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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】測定用プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20241001BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20241001BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 D
H01R13/24
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023559442
(86)(22)【出願日】2022-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2022033201
(87)【国際公開番号】W WO2023084888
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2021184436
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158207
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 尚志
(72)【発明者】
【氏名】山口 亨
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-537160(JP,A)
【文献】特開平06-324079(JP,A)
【文献】特開2010-014449(JP,A)
【文献】特開2015-152547(JP,A)
【文献】国際公開第2021/075455(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/122006(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109254180(CN,A)
【文献】韓国公開特許第2011-0126366(KR,A)
【文献】特開2009-265049(JP,A)
【文献】特表2007-525809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/06-1/073、
31/26-31/27、
31/28-31/3193、
H01R 13/00-13/08、
13/15ー13/35、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対の開口を有し、かつ、内周面および外周面を有する、筒状のハウジングと、
金属からなる、少なくとも1本のピンと、
前記ピンを保持する外部プランジャと、
1対の開口を有し、かつ、内周面および外周面を有する、前記外部プランジャを前記ハウジングに固定するための、筒状の固定部材と、を備え、
前記外部プランジャに第1係止部が形成され、
前記固定部材に第2係止部が形成され、
前記第1係止部と前記第2係止部とを係止させた状態で、前記外部プランジャの少なくとも一部分を前記固定部材の内部に収容し、前記固定部材を回転させて、前記固定部材によって前記外部プランジャを前記ハウジングに固定した測定用プローブであって、
更に、少なくとも1つの貫通孔を有する樹脂ホルダを備え、
前記ピンを前記貫通孔に保持させたうえで、前記樹脂ホルダを前記外部プランジャに取り付け、
前記ピンを前記外部プランジャに間接的に保持させ
前記樹脂ホルダの前記ハウジング側に、前記樹脂ホルダの前記貫通孔に保持された前記ピンを、前記樹脂ホルダの方向に押圧する、板状部材を備えた、
測定用プローブ。
【請求項2】
前記固定部材の前記内周面に第1ネジ山が形成され、
前記ハウジングの前記外周面に第2ネジ山が形成され、
前記固定部材による前記外部プランジャの前記ハウジングへの固定が、
前記固定部材を回転させて、
前記第1ネジ山と前記第2ネジ山とを螺合させることによっておこなわれた、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記外周面に固定用突起が形成され、
前記固定部材に、前記内周面と前記外周面との間を貫通した固定用溝が形成され、
前記固定用溝は、前記固定部材の一方の前記開口から他方の前記開口に向う方向に伸びる第1溝と、前記第1溝の終点から方向を変え、前記第1溝の伸びる方向と交わる方向に伸びる第2溝とを有し、
前記固定部材による前記外部プランジャの前記ハウジングへの固定が、
前記ハウジングの前記外周面に前記固定部材の前記内周面を被せて、前記固定用突起が前記第1溝の前記終点に達するまで、前記固定部材を前記ハウジングに押し込んだうえ、前記固定部材を回転させて、前記固定用突起を前記第2溝の中でスライドさせることによっておこなわれた、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項4】
前記第2溝の前記第1溝と反対側の端部に、前記第2溝の伸びる方向と異なる方向に伸びる第3溝が形成され、
前記固定用突起が前記第3溝に係合されて、前記外部プランジャが前記固定部材によって前記ハウジングへ固定された、
請求項3に記載された測定用プローブ。
【請求項5】
前記外部プランジャが、第1プランジャ部と第2プランジャ部とを有し、
前記第1プランジャ部は、凸状部を有し、前記凸状部の先端に前記ピンが保持され、
前記第2プランジャ部は、貫通孔を有し、
前記第1プランジャ部と前記第2プランジャ部との間に、内部スプリングを介在させて、前記凸状部が前記貫通孔に挿通され、
前記外部プランジャは、前記第1プランジャ部を前記ハウジング側にし、前記第2プランジャ部を前記固定部材側にして、前記ハウジングと前記固定部材の間に配置され、かつ、少なくとも前記第2プランジャの一部分が前記固定部材の外に配置され、
前記第2プランジャ部を前記ハウジングの方向に押圧したとき、前記内部スプリングが縮み、前記第1プランジャ部の前記凸状部の先端に保持された前記ピンが、前記第2プランジャ部の前記貫通孔から突出する、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項6】
前記第1プランジャ部に、第1位置合わせ突起が形成され、
前記第2プランジャ部に、第2位置合わせ突起が形成され、
前記固定部材に、前記内周面と前記外周面との間を貫通した位置合わせ用溝、および、前記内周面側が開口した有底の位置合わせ用溝の少なくとも一方が形成され、
前記第1位置合わせ突起および前記第2位置合わせ突起が、それぞれ、前記位置合わせ用溝の中に配置されることによって、
前記第1プランジャ部および前記第2プランジャ部は、前記固定部材に対して、回転が抑制されている、
請求項5に記載された測定用プローブ。
【請求項7】
前記外部プランジャに、前記第1係止部に該当する第1係止部フランジが形成され、
前記外部プランジャの前記第1係止部フランジと、前記固定部材の前記第2係止部との間に、内部スプリングが配置され、
前記第1係止部と前記第2係止部とが、前記内部スプリングを介して、間接的に係合された、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項8】
前記外部プランジャ、および、前記ハウジングの少なくとも一方に、前記外部プランジャと前記ハウジングとの間の相対的な位置を決める、位置決め部が形成された、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項9】
前記外部プランジャの一方の端部に、前記位置決め部として、第1嵌合部が形成され、
前記ハウジングの一方の前記開口に、前記位置決め部として、第2嵌合部が形成され、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させることによって、前記外部プランジャは前記ハウジングに位置決めされ、
前記外部プランジャから前記ハウジングに向う方向に対して垂直な、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との嵌合断面を見たとき、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との嵌合面が非円形であり、
前記固定部材を回転させても、
前記外部プランジャは前記ハウジングに対して相対的に回転しない、
請求項8に記載された測定用プローブ。
【請求項10】
前記ピンがスプリングピンである、
請求項1に記載された測定用プローブ。
【請求項11】
前記スプリングピンが、内部にばねを備えた本体部と、前記本体部から一方の方向に伸びる第1ピンと、前記本体部から他方の方向に伸びる第2ピンとを有し、
前記本体部を保持した状態で、前記本体部に対して前記第1ピンを押圧したとき、前記第1ピンは前記本体部の方向に縮み、
前記本体部を保持した状態で、前記本体部に対して前記第2ピンを押圧したとき、前記第2ピンは前記本体部の方向に縮む、
請求項10に記載された測定用プローブ。
【請求項12】
前記板状部材がプリント回路基板であり、
前記ピンが、前記プリント回路基板に形成された第1電極に当接し、前記ピンと前記第1電極とが電気的に接続された、
請求項に記載された測定用プローブ。
【請求項13】
信号ケーブルと、
前記ハウジングに収容され、かつ、前記信号ケーブルが接続されたケーブルアダプタと、を備え、
前記ケーブルアダプタの端子が、前記プリント回路基板に形成された第2電極に当接し、前記端子と前記第2電極とが電気的に接続された、
請求項12に記載された測定用プローブ。
【請求項14】
前記外部プランジャの一方の端部に、第3嵌合部が形成され、
前記プリント回路基板、および、前記ケーブルアダプタの一方の端部が、前記第3嵌合部に嵌合され、
前記固定部材を回転させても、
前記プリント回路基板、および、前記ケーブルアダプタが、前記ハウジングに対して相対的に回転しない、
請求項13に記載された測定用プローブ。
【請求項15】
両主面間を貫通する孔を有するフランジを備え、
前記孔に、前記ハウジングが挿通され、
前記ハウジングの他方の前記開口に、前記孔からの抜け止めが形成され、
前記ハウジングの前記外周面、かつ、前記フランジと前記固定部材との間に、外部スプリングが設けられた、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載された測定用プローブ。
【請求項16】
両主面間を貫通する孔を有するフランジを備え、
前記孔に、前記ハウジングが挿通され、
前記ハウジングの他方の前記開口に、前記孔からの抜け止めが形成され、
前記ハウジングの前記外周面にストッパが形成され、
前記ハウジングの前記外周面、かつ、前記フランジと前記ストッパとの間に、外部スプリングが設けられた、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載された測定用プローブ。
【請求項17】
前記外部スプリングと前記固定部材との間に、少なくとも1つのスペーサが設けられた、
請求項15に記載された測定用プローブ。
【請求項18】
前記外部スプリングと前記ストッパとの間に、少なくとも1つのスペーサが設けられた、
請求項16に記載された測定用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の特性の測定に使用する測定用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品や電子機器の製造現場において、製造中の製品や完成した製品の高周波特性などの測定に、測定用プローブが使用されている。特許文献1に、そのような測定用プローブ(静電気対策型プローブ)が開示されている。図13に、特許文献1に開示された測定用プローブ1000を示す。
【0003】
測定用プローブ1000は、外部導体101と内部導体102とを備えている。外部導体101と内部導体102との間は、誘電体層109によって絶縁されている。
【0004】
外部導体101は、外部導体本体151とカバー体152とを備えている。外部導体本体151の一方の端部の外周面に、雄ねじ部140が形成されている。カバー体152は1対の開口を備えた筒状であり、一方の開口の内周面に、雌ねじ部141が形成されている。外部導体101は、雄ねじ部140と雌ねじ部141とを螺合させることによって、外部導体本体151とカバー体152とが一体化されている。
【0005】
内部導体102は、コンタクトピン106と接続導体130とを備えている。コンタクトピン106は、ピン本体121とソケット122とを備えている。コンタクトピン106のソケット122が、誘電体層109の貫通孔111内に保持されている。ピン本体121は、ソケット122に対して抜き差し可能に形成されている。
【0006】
カバー体152に、ピン突出孔144が形成されている。コンタクトピン106のピン本体121が、絶縁体層145を介して、ピン突出孔144から外部に導出されている。コンタクトピン106には、抜け止めの係止片124が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-305159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
測定用プローブ1000は、上記の構造からなるため、ピン本体121を1本しか備えることができなかった。
【0009】
また、測定用プローブ1000は、コンタクトピン106のピン本体121が壊れた場合には、ピン本体121をソケット122から抜いて交換することができる。しかし、コンタクトピン106のソケット122が壊れた場合には、誘電体層109の貫通孔111内に埋め込まれているため、交換することが難しかった。また、測定用プローブ1000は、誘電体層109が割れたり欠けたりした場合にも、外部導体本体151の内周面に強く保持されているため、交換することが難しかった。
【0010】
また、測定用プローブ1000は、カバー体152を回転させ、雄ねじ部140と雌ねじ部141とを螺合させて、カバー体152と外部導体本体151とを一体化させるときに、ピン本体121が回転してしまい、ピン本体121や絶縁体層145が壊れてしまうことがあった。同様に、カバー体152を逆方向に回転させ、雄ねじ部140と雌ねじ部141との螺合を解除させて、カバー体152と外部導体本体151とを分離させるときに、ピン本体121が回転してしまい、ピン本体121や絶縁体層145が壊れてしまうことがあった。
【0011】
そこで、本発明は、複数のピンを備えることができる測定用プローブを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、ピンを始めとする構成要素が破損や故障した場合に、当該構成要素だけを容易に交換することができる測定用プローブを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、被測定物の種類や構造が変わった場合に、ピンの配置や本数、ピンどうしの間のピッチなどを容易に変えることができる測定用プローブを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、製造時やメンテナンス時に、ピンなどが壊れにくい測定用プローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施態様にかかる測定用プローブは、1対の開口を有し、かつ、内周面および外周面を有する、筒状のハウジングと、金属からなる、少なくとも1本のピンと、ピンを保持する外部プランジャと、1対の開口を有し、かつ、内周面および外周面を有する、外部プランジャをハウジングに固定するための、筒状の固定部材と、を備え、外部プランジャに第1係止部が形成され、固定部材に第2係止部が形成され、第1係止部と第2係止部とを係止させた状態で、外部プランジャの少なくとも一部分を固定部材の内部に収容し、固定部材を回転させて、固定部材によって外部プランジャをハウジングに固定し、更に、少なくとも1つの貫通孔を有する樹脂ホルダを備え、ピンを貫通孔に保持させたうえで、樹脂ホルダを外部プランジャに取り付け、ピンを外部プランジャに間接的に保持させ、樹脂ホルダのハウジング側に、樹脂ホルダの貫通孔に保持されたピンを、樹脂ホルダの方向に押圧する、板状部材を備えたものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施態様にかかる測定用プローブは、複数のピンを備えることができる。すなわち、外部プランジャに、複数のピンを保持させることができる。
【0017】
また、本発明の一実施態様にかかる測定用プローブは、構成要素が破損や故障した場合に、当該構成要素だけを容易に交換することができる。
【0018】
また、本発明の一実施態様にかかる測定用プローブは、被測定対象物の種類や構造が変わった場合に、ピンの配置や本数、ピンどうしの間のピッチなどを容易に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態にかかる測定用プローブ100の断面図である。
図2】測定用プローブ100の分解斜視図である。
図3図2と反対方向から見た測定用プローブ100の分解斜視図である。
図4】測定用プローブ100の分解断面図である。
図5】第2実施形態にかかる測定用プローブ200の断面図である。
図6】第3実施形態にかかる測定用プローブ300の断面図である。
図7】第4実施形態にかかる測定用プローブ400の断面図である。
図8】測定用プローブ400の分解斜視図である。
図9図9(A)、(B)は、それぞれ、第5実施形態にかかる測定用プローブ500の要部断面図である。
図10】測定用プローブ500の分解斜視図である。
図11】第6実施形態にかかる測定用プローブ600の要部断面図である。
図12】測定用プローブ600の分解斜視図である。
図13】従来の測定用プローブ1000の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、明細書の理解を助けるためのものであって、模式的に描画されている場合があり、描画された構成要素または構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
【0022】
[第1実施形態]
図1図2図3図4に、第1実施形態にかかる測定用プローブ100を示す。図1は、測定用プローブ100の断面図である。図2および図3は、測定用プローブ100の分解斜視図である。ただし、図2図3とは、測定用プローブ100を相互に反対方向から見ている。図4は、測定用プローブ100の分解断面図である。
【0023】
測定用プローブ100は、複数本のスプリングピン1を備えている。ただし、スプリングピン1の本数は1本であってもよい。なお、本実施形態では、ピンとしてスプリングピン1を使用しているが、使用するピンはスプリングピン1には限られず、押圧しても端部が縮まない、いわゆる固定ピンを使用してもよい。
【0024】
スプリングピン1は、金属製であり、電気が導通する。スプリングピン1は、棒状の本体部11と、本体部11から一方の方向に伸びる棒状の第1ピン12と、本体部11から他方の方向に伸びる棒状の第2ピン13とを有している。本体部11の直径は、第1ピン12および第2ピン13の直径よりも大きい。本体部11の内部には、図示を省略しているが、ばねが収容されている。本体部11を保持した状態で、本体部11に対して第1ピン12を押圧すると、第1ピン12は本体部11の方向に縮む。同様に、本体部11を保持した状態で、本体部11に対して第2ピン13を押圧すると、第2ピン13は本体部11の方向に縮む。スプリングピン1は、ポゴピンと呼ばれる場合がある。
【0025】
測定用プローブ100は、樹脂ホルダ2を備えている。本実施形態においては、樹脂ホルダ2は、第1部分21と第2部分22とが組み合わされたものからなる。本実施形態において、樹脂ホルダ2を第1部分21と第2部分22との2つの部分に分けて構成したのは、製造を容易にするためである。すなわち、樹脂ホルダ2は、たとえば樹脂を金型で成型して作製されるが、1つの部分で構成した場合には、成型に困難を伴うが、第1部分21と第2部分22との2つの部分に分けることによって、成型が容易になっている。ただし、樹脂ホルダ2は、1つの部分だけで構成してもよい。
【0026】
樹脂ホルダ2に、スプリングピン1を収容するための貫通孔23が形成されている。本実施形態においては、樹脂ホルダ2に、複数の貫通孔23が形成されている。貫通孔23は1対の開口を有するが、一方の開口の直径が、他方の開口の直径よりも大きい。
【0027】
貫通孔23には、スプリングピン1を、径の大きい開口側から、スプリングピン1の第1ピン12を挿入して収容するが、貫通孔23の内径は途中から小さくなっている。すなわち、貫通孔23の内径の小さい部分に、第1ピン12を収容し、貫通孔23の内径の大きい部分に、本体部11および第2ピン13を収容するようになっている。貫通孔23にスプリングピン1を挿入したとき、本体部11が貫通孔23の内径の小さい部分に達したところで、スプリングピン1は、それ以上、奥に進まなくなくなる。スプリングピン1は、その状態で、貫通孔23に保持される。
【0028】
樹脂ホルダ2の貫通孔23に保持されたスプリングピン1は、第1ピン12が貫通孔23の径の小さい開口から外部に露出し、第2ピン13が貫通孔23の径の大きい開口から外部に露出している。
【0029】
なお、樹脂ホルダ2に形成された貫通孔23の全てにスプリングピン1を収容する必要はない。被測定物の種類や構造に合わせて、所定の貫通孔23にスプリングピン1を収容すればよい。
【0030】
また、樹脂ホルダ2は、本発明の必須の構成要素ではなく、樹脂ホルダ2を省略して、後述する外部プランジャ3に直接に、スプリングピン1を収容する貫通孔を形成してもよい。
【0031】
測定用プローブ100は、外部プランジャ3を備えている。外部プランジャ3の材質には、たとえば、樹脂を使用することができる。ただし、外部プランジャ3の材質の材質は任意であり、樹脂に代えて、金属やセラミックを使用してもよい。
【0032】
外部プランジャ3は筒状であり、1対の開口31、32を有している。また、外部プランジャ3は、内周面33と外周面34とを有している。
【0033】
外部プランジャ3の外周面34に、後述する固定部材7の第2係止部75と係合させるための、第1係止部35が形成されている。
【0034】
外部プランジャ3の開口32の外周面34に、後述するハウジング8の第2嵌合部85と嵌合させるための、第1嵌合部36が形成されている。
【0035】
また、外部プランジャ3の開口32の内周面33に、後述する、プリント回路基板4、および、ケーブルアダプタ6の一方の端部を嵌合させるための、第3嵌合部37が形成されている。
【0036】
外部プランジャ3に、スプリングピン1を保持した樹脂ホルダ2が保持されている。樹脂ホルダ2は、開口32側から外部プランジャ3に挿入され、外部プランジャ3に保持されている。なお、樹脂ホルダ2が外部プランジャ3の開口31側から押し出されないように、外部プランジャ3および樹脂ホルダ2に抜け止めが施されている。
【0037】
このように、スプリングピン1は、樹脂ホルダ2を介して、間接的に外部プランジャ3に保持されている。スプリングピン1の第1ピン12が、外部プランジャ3の開口31から外部に露出している。
【0038】
測定用プローブ100は、プリント回路基板4を備えている。プリント回路基板4は、外部プランジャ3の第3嵌合部37に嵌合されている。なお、プリント回路基板4を、本件出願書類において、板状部材と呼ぶ場合がある。
【0039】
プリント回路基板4には、スプリングピン1の第2ピン13の先端が当接する第1電極41が形成されている。また、プリント回路基板4には、後述するケーブルアダプタ6の端子61が当接する第2電極42が形成されている。プリント回路基板4において、第1電極41と第2電極42との間に所定の配線が施されている。
【0040】
測定用プローブ100は、信号ケーブル5を備えている。信号ケーブル5は、信号線51と絶縁被覆52とを有している。信号ケーブル5の本数は任意であり、1本であってもよく、複数本であってもよい。
【0041】
測定用プローブ100は、ケーブルアダプタ6を備えている。ケーブルアダプタ6は、少なくとも1つの端子61を備えている。各端子61に、信号ケーブル5の信号線51が接続されている。ケーブルアダプタ6の信号ケーブル5が接続されていない方の端部が、外部プランジャ3の第3嵌合部37に嵌合されている。
【0042】
測定用プローブ100は、外部プランジャ3を後述するハウジング8に固定するための固定部材7を備えている。固定部材7の材質には、たとえば、金属を使用することができる。ただし、固定部材7の材質の材質は任意であり、金属に代えて、樹脂やセラミックを使用してもよい。
【0043】
固定部材7は筒状であり、1対の開口71、72を有している。また、固定部材7は、内周面73と外周面74とを有している。
【0044】
固定部材7の開口71の内周面73に、外部プランジャ3の第1係止部35と係合させるための、第2係止部75が形成されている。
【0045】
固定部材7の内周面73に、後述するハウジング8の第2ネジ山86と螺合させるための、第1ネジ山76が形成されている。本実施形態においては、第1ネジ山76が雌型のネジ山であり、第2ネジ山86が雄型のネジ山である。
【0046】
本実施形態においては、固定部材7の外周面74に、治具(6角レンチやモンキーなど)で固定部材7を回転させることができるように、6つの面が形成されている。
【0047】
測定用プローブ100は、ハウジング8を備えている。ハウジング8の材質には、たとえば、金属を使用することができる。ただし、ハウジング8の材質の材質は任意であり、金属に代えて、樹脂やセラミックを使用してもよい。
【0048】
ハウジング8は筒状であり、1対の開口81、82を有している。また、ハウジング8は、内周面83と外周面84とを有している。
【0049】
ハウジング8の開口81の内周面83は、外部プランジャ3の第1嵌合部36と嵌合させるための、第2嵌合部85を構成している。すなわち、ハウジング8の開口81の内周面83は、外部プランジャ3の第1嵌合部36と嵌合させるための、第2嵌合部85を兼ねている。
【0050】
第1嵌合部36と第2嵌合部85とを嵌合させて、外部プランジャ3からハウジング8に向う方向に対して垂直な、第1嵌合部36と第2嵌合部85との嵌合断面を見たとき、第1嵌合部36と第2嵌合部85との嵌合面は非円形になっている。このため、固定部材7を回転させても、外部プランジャ3は、ハウジング8に対して相対的に回転しない。すなわち、固定部材7のみが、ハウジング8に対して相対的に回転する。
【0051】
ハウジング8の外周面84に、固定部材7の第1ネジ山76と螺合させるための、第2ネジ山86が形成されている。上述したとおり、本実施形態においては、第1ネジ山76が雌型のネジ山であり、第2ネジ山86が雄型のネジ山である。
【0052】
測定用プローブ100は、板状のフランジ9を備えている。フランジ9は、両主面間を貫通する孔91を有している。また、フランジ9は、フランジ9を別の部材(たとえば測定装置の昇降アーム)に取り付けるための複数の取付け孔92を有している。フランジ9の材質は任意であるが、たとえば、ハウジング8と同じ材質を使用することができる。
【0053】
フランジ9の孔91に、ハウジング8が挿通されている。孔91に挿通されたハウジング8の開口82の外周面84に、孔91からの抜け止め87が形成されている。
【0054】
ハウジング8の外周面84、かつ、フランジ9と固定部材7との間に、外部スプリング10が設けられている。
【0055】
以上の構造からなる第1実施形態にかかる測定用プローブ100は、たとえば、次の方法で製造することができる。
【0056】
まず、ハウジング8を、フランジ9の孔91に挿通させる。続いて、ハウジング8の外周面に外部スプリング10を配置する。
【0057】
また、信号ケーブル5の信号線51を、ケーブルアダプタ6の端子61に接続する。
【0058】
次に、被測定物の種類や構造に応じて、必要な本数のスプリングピン1を、樹脂ホルダ2の所定の貫通孔23に収容する。続いて、樹脂ホルダ2を、外部プランジャ3に収容する。
【0059】
次に、外部プランジャ3の第3嵌合部37に、プリント回路基板4を嵌合させる。このとき、プリント回路基板4は、スプリングピン1の第2ピン13を本体部11の方向に押圧するため、スプリングピン1の第2ピン13が本体部11の方向に縮む。この結果、スプリングピン1の第2ピン13の先端が、プリント回路基板4の第1電極41に、適度な弾性力をもって当接する。そのため、スプリングピン1の第2ピン13とプリント回路基板4の第1電極41とは、良好に電気的に接続される。
【0060】
次に、ケーブルアダプタ6の信号ケーブル5が接続されていない方の端部を、外部プランジャ3の第3嵌合部37に嵌合させる。この結果、ケーブルアダプタ6の端子61が、プリント回路基板4の第2電極42に電気的に接続される。続いて、信号ケーブル5を、ハウジング8の開口81側から開口82側に通す。
【0061】
次に、外部プランジャ3の第1嵌合部36とハウジング8の第2嵌合部85とを嵌合させ、外部プランジャ3をハウジング8に対して位置決めする。第1嵌合部36および第2嵌合部85は、外部プランジャ3とハウジング8との間の相対的な位置関係を決める位置決め部である。
【0062】
次に、固定部材7の内周面73を、開口72側から、外部プランジャ3の外周面34に被せ、更にハウジング8の外周面84に被せる。続いて、固定部材7を回転させて、ハウジング8の第1ネジ山76とハウジング8の第2ネジ山86とを螺合させる。外部プランジャ3の第1係止部35と固定部材7の第2係止部75とが係合しているため、第1ネジ山76と第2ネジ山86とを螺合させることによって、外部プランジャ3がハウジング8に強固に固定される。
【0063】
なお、測定用プローブ100は、第1嵌合部36との第2嵌合部85とによって、外部プランジャ3をハウジング8に対して位置決めしているため、固定部材7を回転させて、固定部材7によって外部プランジャ3をハウジング8に固定するとき、あるいは固定を解除するときに、外部プランジャ3がハウジング8に対して相対的に回転せず、固定部材7だけがハウジング8に対して相対的に回転する。
【0064】
この結果、外部プランジャ3とハウジング8との間に、スプリングピン1が収容された樹脂ホルダ2、プリント回路基板4、ケーブルアダプタ6が保持される。スプリングピン1の第2ピン13がプリント回路基板4の第1電極41と良好に電気的に接続され、ケーブルアダプタ6の端子61がプリント回路基板4の第2電極42と良好に電気的に接続される。
【0065】
以上により、測定用プローブ100が完成する。
【0066】
測定用プローブ100は、たとえば、次の方法で使用することができる。
【0067】
測定用プローブ100のフランジ9を、取付け孔92を利用して、たとえば、測定装置の昇降アーム(図示せず)に取り付ける。
【0068】
次に、測定用プローブ100に、被測定物を配置する。続いて、昇降アームを降下させ、測定用プローブ100のスプリングピン1の第1ピン12の先端を、被測定物の測定点(たとえば電極)に当接させる。このとき、第1ピン12の先端は、外部スプリング10の弾性力、および、スプリングピン1の本体部11に収容されたばね(図示せず)の弾性力により、適度な弾性力をもって、被測定物の測定点に当接する。この状態で、測定用プローブ100のスプリングピン1の第1ピン12によって、被測定物の特性を測定する。
【0069】
第1実施形態にかかる測定用プローブ100は、測定用プローブ100は、上記の構造からなるため、複数のスプリングピン1を備えることができる。
【0070】
また、測定用プローブ100は、スプリングピン1、プリント回路基板4、ケーブルアダプタ6などの構成要素が壊れたときに、固定部材7を取り外して全体を分解することによって、壊れた構成要素だけを容易に交換することができる。
【0071】
また、測定用プローブ100は、被測定物の種類や構造が変わった場合に、スプリングピン1の配置や本数を容易に変えることができる。また、測定用プローブ100は、樹脂ホルダ2、プリント回路基板4などを交換することにより、スプリングピン1どうしの間のピッチを容易に変更することができる。
【0072】
また、測定用プローブ100は、製造時やメンテナンス時に、固定部材7を回転させても、スプリングピン1、樹脂ホルダ2、外部プランジャ3、プリント回路基板4、ケーブルアダプタ6などの構成要素が回転しない。そのため、スプリングピン1、樹脂ホルダ2、外部プランジャ3、プリント回路基板4、ケーブルアダプタ6などが壊れにくい。
【0073】
[第2実施形態]
図5に、第2実施形態にかかる測定用プローブ200を示す。ただし、図5は、測定用プローブ200の断面図である。
【0074】
測定用プローブ200は、上述した第1実施形態にかかる測定用プローブ100に、新たな構成を追加した。具体的には、測定用プローブ200は、ハウジング8の外周面84、かつ、外部スプリング10と固定部材7との間に、中央に両主面間を貫通する孔が形成されたスペーサ20を設けた。スペーサ20の枚数は、1枚であってもよく、複数枚であってもよい。
【0075】
測定用プローブ200は、スペーサ20によって、外部スプリング10の弾性力を調整することができる。
【0076】
[第3実施形態]
図6に、第3実施形態にかかる測定用プローブ300を示す。ただし、図6は、測定用プローブ300の断面図である。
【0077】
測定用プローブ300は、上述した第1実施形態にかかる測定用プローブ100に、新たな構成を追加した。具体的には、測定用プローブ300は、ハウジング8の外周面84に、ストッパ30を形成した。そして、外部スプリング10を、ハウジング8の外周面84、かつ、フランジ9とストッパ30との間に設けた。なお、上述した第2実施形態の測定用プローブ200と同じように、外部スプリング10とストッパ30との間に、外部スプリング10の弾性力を調整するためのスペーサを設けてもよい。
【0078】
測定用プローブ300は、ハウジング8から固定部材7を取り外しても、外部スプリング10がハウジング8の外周面84から外れることがないため、スプリングピン1の交換などのメンテナンスを容易におこなうことができる。
【0079】
[第4実施形態]
図7図8に、第4実施形態にかかる測定用プローブ400を示す。ただし、図7は、測定用プローブ400の断面図である。図8は、測定用プローブ400の分解斜視図である。
【0080】
測定用プローブ400は、上述した第1実施形態にかかる測定用プローブ100の構成の一部を変更した。
【0081】
測定用プローブ400は、測定用プローブ100の備えていた固定部材7に代えて、別の構造からなる固定部材47を備えている。
【0082】
固定部材47は筒状であり、1対の開口471、472を備えている。また、固定部材47は、内周面473と外周面474とを備えている。
【0083】
固定部材47の開口471の内周面473に、外部プランジャ3の第1係止部35と係合させるための、第2係止部475が形成されている。
【0084】
固定部材47は、固定部材7が有していたネジ山(第1ネジ山76)を備えていない。固定部材47は、ネジ山の代わりに、内周面473と外周面474との間を貫通した固定用溝476を備えている。固定用溝476は、固定部材47の開口472から開口471に向う方向に伸びる第1溝477と、第1溝477の終点から方向を変え、第1溝477の伸びる方向と交わる方向に伸びる第2溝478とを有している。
【0085】
また、測定用プローブ400は、ハウジング8にも変更を加えている。測定用プローブ400のハウジング8は、測定用プローブ100のハウジング8が備えていたネジ山(第2ネジ山86)を備えていない。そして、測定用プローブ400のハウジング8は、ネジ山の代わりに、外周面84に、固定用突起486が形成されている。
【0086】
測定用プローブ400における、固定部材47による外部プランジャ3のハウジング8への固定は、次の方法でおこなう。まず、ハウジング8の外周面84に固定部材47の内周面473を被せて、固定用突起486が第1溝477の終点に達するまで、固定部材47をハウジング8に押し込む。次に、固定部材47を回転させて、固定用突起486を第2溝478に配置する。以上により、固定部材47により、外部プランジャ3がハウジング8へ固定される。
【0087】
[第5実施形態]
図9(A)、(B)、図10に、第5実施形態にかかる測定用プローブ500を示す。図9(A)、(B)は、それぞれ、測定用プローブ500の要部断面図である。図10は、測定用プローブ500の分解斜視図である。
【0088】
なお、図9(A)は、測定用プローブ500を測定に使用していない状態を示している。一方、図9(B)は、測定用プローブ500を測定に使用している状態を示し、後述する第2プランジャ部532がハウジング560の方向に押圧され、後述する内部スプリング540が縮み、後述する第1プランジャ部531の凸状部531aの先端に保持された固定ピン510が、第2プランジャ部532の貫通孔532cから突出している状態を示している。
【0089】
測定用プローブ500は、外部プランジャ530と、内部スプリング540と、フランジ550と、ハウジング560と、外部スプリング570と、固定部材580とを備えている。
【0090】
外部プランジャ530は、第1プランジャ部531と、第2プランジャ部532とを有している。
【0091】
第1プランジャ部531は、凸状部531aを有している。凸状部531aの先端に、固定ピン510が保持されている。固定ピン510の本数は任意である。固定ピン510は、樹脂ホルダを介して、第1プランジャ部531に保持されてもよい。固定ピン510は、スプリングピンに置き換えてもよい。
【0092】
第1プランジャ部531に、フランジ531bが形成されている。フランジ531bの外縁に、2つの第1位置合わせ突起531cが形成されている。ただし、第1位置合わせ突起531cの数は任意である。
【0093】
第2プランジャ部532は、凸状部532aを有している。凸状部531aの先端に、2つの突起532bが形成されている。ただし、突起532bの数は任意である。
【0094】
突起532bを含む第2プランジャ部532に、貫通孔532cが形成されている。
【0095】
第2プランジャ部532の外縁に、2つの第2位置合わせ突起532dが形成されている。ただし、第2位置合わせ突起532dの数は任意である。
【0096】
第2プランジャ部532に、第1係止部532eが形成されている。
【0097】
第1プランジャ部531と第2プランジャ部532との間に、内部スプリング540を介在させて、凸状部531aが貫通孔532cに挿通されている。
【0098】
フランジ550に、孔550aが形成されている。
【0099】
ハウジング560が、フランジ550の孔550aに挿通されている。ハウジング560には抜け止め560aが形成されており、ハウジング560はフランジ550から抜けないようになっている。
【0100】
ハウジング560の外周に、固定用突起560bが形成されている。
【0101】
固定部材580に、固定部材580の内周面と外周面との間を貫通した、固定用溝590が形成されている。固定用溝590は、固定部材580の一方の開口から他方の開口に向う方向に伸びる第1溝590aと、第1溝590aの終点から方向を変え、第1溝590aの伸びる方向と交わる方向に伸びる第2溝590bとを有している。更に、固定用溝590は、第2溝590bの第1溝590aと反対側の端部に、第2溝590bの伸びる方向と異なる方向に伸びる第3溝590cを有している。なお、第1溝590aの伸びる方向と第2溝590bの伸びる方向となす角度、および、第2溝590bの伸びる方向と第3溝590cの伸びる方向となす角度は、それぞれ任意である。
【0102】
固定部材580に、固定部材580の内周面と外周面との間を貫通した、位置合わせ用溝595が形成されている。なお、本実施形態においては、位置合わせ用溝595が、固定部材580の内周面と外周面との間を貫通した溝であるが、位置合わせ用溝は、固定部材580の内周面側が開口した有底の溝であってもよい。位置合わせ用溝595の数は、第1位置合わせ突起531cの数、および、第2位置合わせ突起532dの数と同じ数である。本実施形態においては、位置合わせ用溝595の数は2つである。
【0103】
固定部材580に、第2係止部580aが形成されている。
【0104】
外部プランジャ530が、第1プランジャ部531をハウジング560側にし、第2プランジャ部532を固定部材580側にして、ハウジング560と固定部材580との間に、固定部材580によって固定されている。固定部材580による外部プランジャ530の固定は、たとえば、次のステップでおこなわれる。
【0105】
まず、ハウジング560の外周、かつ、フランジ550と固定用突起560bとの間に、外部スプリング570を配置する。
【0106】
次に、外部プランジャ530を固定部材580に挿通する。そして、外部プランジャ530の第1係止部532eと、固定部材580の第2係止部580aとを係合させる。このとき、第1位置合わせ突起531cと第2位置合わせ突起532dとは、それぞれ、位置合わせ用溝595の中に配置される。また、第2プランジャ部532の凸状部532aが、固定部材580の外に配置される。
【0107】
次に、ハウジング560の外周面に固定部材580の内周面を被せて、固定用突起560bが固定用溝590の第1溝590aの終点に達するまで、固定部材580をハウジング560に押し込む。続いて、固定部材580を回転させて、固定用突起560bを第2溝590bの中でスライドさせる。続いて、固定用突起560bを第3溝590cに係合させる。この結果、固定部材580によって、外部プランジャ530が、ハウジング560に固定される。
【0108】
測定用プローブ500は、図9(A)に示すように、測定に使用していないときは、第1プランジャ部531の凸状部531aの先端に保持された固定ピン510が、第2プランジャ部532の貫通孔532cの中に収容されている。一方、測定用プローブ500は、測定に使用するときは、図9(B)に示すように、突起532bが被測定物である回路基板などに当接し、第2プランジャ部532がハウジング560の方向に押圧され、内部スプリング540が縮み、第2プランジャ部532がハウジング560の方向に摺動することによって、第1プランジャ部531の凸状部531aの先端に保持された固定ピン510が、第2プランジャ部532の貫通孔532cから外部に突出する。測定用プローブ500は、第2プランジャ部532の貫通孔532cから外部に突出した固定ピン510を、被測定物である回路基板の電極などに当接させて、被測定物の電気的特性を測定する。
【0109】
測定用プローブ500は、測定に使用していないときは、第1プランジャ部531の凸状部531aの先端に保持された固定ピン510が、第2プランジャ部532の貫通孔532cの中に収容されて保護されているため、固定ピン510が障害物(外部の固い物体など)に接触して、破損することが抑制されている。
【0110】
また、測定用プローブ500は、第1プランジャ部531の第1位置合わせ突起531cと、第2プランジャ部532の第2位置合わせ突起532dとが、位置合わせ用溝595の中に配置されているため、第1プランジャ部531および第2プランジャ部532が、固定部材580に対して回転することが抑制されている。
【0111】
[第6実施形態]
図11図12に、第6実施形態にかかる測定用プローブ600を示す。ただし、図11は、測定用プローブ600の要部断面図である。図12は、測定用プローブ600の分解斜視図である。
【0112】
第6実施形態にかかる測定用プローブ600は、上述した第5実施形態にかかる測定用プローブ500の構成の一部に変更を加えた。具体的には、測定用プローブ500では、外部プランジャ530が第1プランジャ部531と第2プランジャ部532とを有し、第1プランジャ部531と第2プランジャ部532との間に内部スプリング540が設けられていたが、測定用プローブ600はこれを変更し、第1プランジャ部631と第2プランジャ部632との間ではなく、外部プランジャ630と固定部材580との間に、内部スプリング640を設けた。なお、第6実施形態の測定用プローブ600の説明において、測定用プローブ500から変更のない構成要素については、測定用プローブ500と同じ符号を使用し、その説明を省略する場合がある。
【0113】
なお、第6実施形態においても、便宜上(比較しやすいように)、第5実施形態と同様、外部プランジャ630に、第1プランジャ部631と第2プランジャ部632とを組み合わせたものを使用した。ただし、外部プランジャ630は、第1プランジャ部631と第2プランジャ部632との2つの構成要素を組み合わせたものである必要はなく、一体的に形成されたものであってもよい。
【0114】
第1プランジャ部631は、凸状部631aを有している。凸状部631aの先端に、固定ピン510が保持されている。第1プランジャ部631に、フランジ631bが形成されている。フランジ631bの外縁に、2つの第1位置合わせ突起631cが形成されている。
【0115】
第2プランジャ部632は、凸状部632aを有している。凸状部631aの先端に、2つの突起632bが形成されている。突起632bを含む第2プランジャ部632に、貫通孔632cが形成されている。第2プランジャ部632に、第1係止部フランジ632dが形成されている。第1係止部フランジ632dは、外部プランジャ630の第1係止部に該当する。第1係止部フランジ632dの外縁に、2つの第2位置合わせ突起632eが形成されている。
【0116】
第1プランジャ部631の凸状部631aが、第2プランジャ部632の貫通孔632cに挿通されている。ただし、第1プランジャ部631と第2プランジャ部632との間には、内部スプリングは設けられていない。
【0117】
外部プランジャ630の第1係止部フランジ632dと、固定部材580の第2係止部580aとの間に、内部スプリング640が配置されている。
【0118】
測定用プローブ600においては、第1係止部である第1係止部フランジ632dと、固定部材580の第2係止部580aとが、内部スプリング640を介して、間接的に係合されている。
【0119】
測定用プローブ600は、固定部材580によって、外部プランジャ630をハウジング560に取付けたとき、内部スプリング640が、外部プランジャ630を、ハウジング560側に押圧する。そのため、測定用プローブ600は、固定部材580の内部において、外部プランジャ630が、がたつく(隙間が発生して外部プランジャ630が不必要に動く)ことが抑制されている。
【0120】
以上、第1実施形態~第6実施形態について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って種々の変更を加えることができる。
【0121】
たとえば、上記実施形態では、ピン(スプリングピンや固定ピン)を樹脂ホルダの貫通孔に収容したうえで、樹脂ホルダを外部プランジャに収容したが、樹脂ホルダは省略してもよい。この場合には、外部プランジャに、直接に、ピンを収容する貫通孔を形成すればよい。
【0122】
また、ピン(スプリングピンや固定ピン)の本数や配置は任意であり、上記実施形態において図示した内容には限られない。また、信号ケーブルの本数も任意であり、上記実施形態において図示した内容には限られない。
【0123】
本発明の一実施態様にかかる測定用プローブは、「課題を解決するための手段」の欄に記載したとおりである。
【0124】
この測定用プローブにおいて、固定部材の内周面に第1ネジ山が形成され、ハウジングの外周面に第2ネジ山が形成され、固定部材による外部プランジャのハウジングへの固定が、固定部材を回転させて、第1ネジ山と第2ネジ山とを螺合させることによっておこなわれることも好ましい。この場合には、容易に、固定部材によって、外部プランジャをハウジングに固定することができる。
【0125】
また、ハウジングの外周面に固定用突起が形成され、固定部材に、内周面と外周面との間を貫通した固定用溝が形成され、固定用溝は、固定部材の一方の開口から他方の開口に向う方向に伸びる第1溝と、第1溝の終点から方向を変え、第1溝の伸びる方向と交わる方向に伸びる第2溝とを有し、固定部材による外部プランジャのハウジングへの固定が、ハウジングの外周面に固定部材の内周面を被せて、固定用突起が第1溝の終点に達するまで、固定部材をハウジングに押し込んだうえ、固定部材を回転させて、固定用突起を第2溝の中でスライドさせることによっておこなわれることも好ましい。この場合には、容易に、固定部材によって、外部プランジャをハウジングに固定することができる。
【0126】
第2溝の第1溝と反対側の端部に、第2溝の伸びる方向と異なる方向に伸びる第3溝が形成され、固定用突起が第3溝に係合されて、外部プランジャが固定部材によってハウジングへ固定されることも好ましい。この場合には、固定部材が、ハウジングに確実に固定される。
【0127】
外部プランジャが、第1プランジャ部と第2プランジャ部とを有し、第1プランジャ部は、凸状部を有し、凸状部の先端にピンが保持され、第2プランジャ部は、貫通孔を有し、第1プランジャ部と第2プランジャ部との間に、内部スプリングを介在させて、凸状部が貫通孔に挿通され、外部プランジャは、第1プランジャ部をハウジング側にし、第2プランジャ部を固定部材側にして、ハウジングと固定部材の間に配置され、かつ、少なくとも第2プランジャの一部分が固定部材の外に配置され、第2プランジャ部をハウジングの方向に押圧したとき、内部スプリングが縮み、第1プランジャ部の凸状部の先端に保持されたピンが、第2プランジャ部の貫通孔から突出することも好ましい。この場合には、測定用プローブを測定に使用していないときは、第1プランジャ部の凸状部の先端に保持された固定ピンが、第2プランジャ部の貫通孔の中に収容されて保護されているため、ピンが障害物(外部の固い物体など)に接触して、破損することが抑制される。
【0128】
第1プランジャ部に、第1位置合わせ突起が形成され、第2プランジャ部に、第2位置合わせ突起が形成され、固定部材に、内周面と外周面との間を貫通した位置合わせ用溝、および、内周面側が開口した有底の位置合わせ用溝の少なくとも一方が形成され、第1位置合わせ突起および第2位置合わせ突起が、それぞれ、位置合わせ用溝の中に配置されることも好ましい。この場合には、第1プランジャ部および第2プランジャ部が、固定部材に対して、回転することが抑制される。
【0129】
外部プランジャに、第1係止部に該当する第1係止部フランジが形成され、外部プランジャの第1係止部フランジと、固定部材の第2係止部との間に、内部スプリングが配置され、第1係止部と第2係止部とが、内部スプリングを介して、間接的に係合されることも好ましい。この場合には、固定部材の内部において、外部プランジャが、がたつく(隙間が発生して外部プランジャが不必要に動く)ことが抑制される。
【0130】
外部プランジャ、および、ハウジングの少なくとも一方に、外部プランジャとハウジングとの間の相対的な位置を決める、位置決め部が形成されることも好ましい。この場合には、固定部材を回転させて、固定部材によって外部プランジャをハウジングに固定するとき、および、固定部材を逆方向に回転させて、固定部材による外部プランジャのハウジングへの固定を解除するときに、外部プランジャはハウジングに対して相対的に回転せず、固定部材がハウジングに対して相対的に回転する。この結果、スプリングピンなどの種々の構成部材の破損を抑制することができる。
【0131】
外部プランジャの一方の端部に、位置決め部として、第1嵌合部が形成され、ハウジングの一方の開口に、位置決め部として、第2嵌合部が形成され、第1嵌合部と第2嵌合部とを嵌合させることによって、外部プランジャはハウジングに位置決めされ、外部プランジャからハウジングに向う方向に対して垂直な、第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合断面を見たとき、第1嵌合部と第2嵌合部との嵌合面が非円形であり、固定部材を回転させても、外部プランジャがハウジングに対して相対的に回転しないことも好ましい。この場合には、ピンなどの破損を抑制することができる。
【0132】
ピンが、スプリングピンであることも好ましい。この場合には、スプリングピンの先端が、被測定物である回路基板などの電極に、適度な弾性力をもって当接する。
【0133】
スプリングピンが、内部にばねを備えた本体部と、本体部から一方の方向に伸びる第1ピンと、本体部から他方の方向に伸びる第2ピンとを有し、本体部を保持した状態で、本体部に対して第1ピンを押圧したとき、第1ピンは本体部の方向に縮み、本体部を保持した状態で、本体部に対して第2ピンを押圧したとき、第2ピンは本体部の方向に縮むことも好ましい。この場合には、スプリングピンの第2ピンの先端が、被測定物である回路基板などの電極に、適度な弾性力をもって当接する。
【0134】
少なくとも1つの貫通孔を有する樹脂ホルダを備え、ピンを貫通孔に保持させたうえで、樹脂ホルダを外部プランジャに取り付け、ピンを外部プランジャに間接的に保持させることも好ましい。この場合には、測定用プローブの製造が容易になる。
【0135】
樹脂ホルダのハウジング側に、樹脂ホルダの貫通孔に保持されたピンを、樹脂ホルダの方向に押圧する、板状部材を備えることも好ましい。この場合において、板状部材は、たとえば、プリント回路基板とし、ピンが、プリント回路基板に形成された第1電極に当接し、ピンと第1電極とが電気的に接続されることも好ましい。
【0136】
信号ケーブルと、ハウジングに収容され、かつ、信号ケーブルが接続されたケーブルアダプタと、を備え、ケーブルアダプタの端子が、プリント回路基板に形成された第2電極に当接し、端子と第2電極とが電気的に接続されることも好ましい。この場合には、測定用プローブの製造が容易になる。
【0137】
外部プランジャの一方の端部に、第3嵌合部が形成され、プリント回路基板、および、ケーブルアダプタの一方の端部が、第3嵌合部に嵌合され、固定部材を回転させても、プリント回路基板、および、ケーブルアダプタが、ハウジングに対して相対的に回転しないことも好ましい。この場合には、プリント回路基板、ケーブルアダプタなどの破損を抑制することができる。
【0138】
両主面間を貫通する孔を有するフランジを備え、孔に、ハウジングが挿通され、ハウジングの他方の開口に、孔からの抜け止めが形成され、ハウジングの外周面、かつ、フランジと固定部材との間に、外部スプリングが設けられることも好ましい。
【0139】
両主面間を貫通する孔を有するフランジを備え、孔に、ハウジングが挿通され、ハウジングの他方の開口に、孔からの抜け止めが形成され、ハウジングの外周面にストッパが形成され、ハウジングの外周面、かつ、フランジとストッパとの間に、外部スプリングが設けられることも好ましい。この場合には、ハウジングから固定部材を取り外しても、外部スプリングがハウジングの外周面から外れることがないため、ピンの交換などのメンテナンスを容易におこなうことができる。
【0140】
外部スプリングと固定部材との間、または、外部スプリングとストッパとの間に、少なくとも1つのスペーサが設けられることも好ましい。この場合には、スペーサにより、外部スプリングの弾性力を調整することができる。
【符号の説明】
【0141】
1・・・スプリングピン
11・・・本体部
12・・・第1ピン
13・・・第2ピン
2・・・樹脂ホルダ
21・・・第1部分
22・・・第2部分
23・・・貫通孔
3・・・外部プランジャ
35・・・第1係止部
36・・・第1嵌合部
37・・・第3嵌合部
4・・・プリント回路基板(板状部材)
41・・・第1電極
42・・・第2電極
5・・・信号ケーブル
51・・・信号線
52・・・絶縁被覆
6・・・ケーブルアダプタ
61・・・端子
7・・・固定部材
75・・・第2係止部
76・・・第1ネジ山
8・・・ハウジング
85・・・第2嵌合部
86・・・第2ネジ山
87・・・抜け止め
9・・・フランジ
91・・・孔
92・・・取付け孔
10・・・外部スプリング
20・・・スペーサ
30・・・ストッパ
47・・・固定部材
475・・・第2係止部
476・・・固定用溝
477・・・第1溝
478・・・第2溝
486・・・固定用突起
510・・・固定ピン
530・・・外部プランジャ
531・・・第1プランジャ部
531a・・・凸状部
531b・・・フランジ
531c・・・第1位置合わせ突起
532・・・第2プランジャ部
532a・・・凸状部
532b・・・突起
532c・・・貫通孔
532d・・・第2位置合わせ突起
532e・・・第1係止部
540・・・内部スプリング
550・・・フランジ
550a・・・孔
560・・・ハウジング
560a・・・抜け止め
560b・・・固定用突起
570・・・外部スプリング
580・・・固定部材
580a・・・第2係止部
590・・・固定用溝
590a・・・第1溝
590b・・・第2溝
590c・・・第3溝
595・・・位置合わせ用溝
630・・・外部プランジャ
631・・・第1プランジャ部
631a・・・凸状部
631b・・・フランジ
631c・・・第1位置合わせ突起
632・・・第2プランジャ部
632a・・・凸状部
632b・・・突起
632c・・・貫通孔
632d・・・第1係止部フランジ
632e・・・第2位置合わせ突起
図1
図2
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図5
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