(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】群管理制御システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
B66B1/18 E
B66B1/18 F
B66B1/18 N
(21)【出願番号】P 2024012982
(22)【出願日】2024-01-31
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北川 新也
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-129845(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113371560(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムであって、
利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、
前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定部と、
前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当部と、を備え、
前記候補号機決定部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する、
群管理制御システム。
【請求項2】
前記候補号機決定部は、
前記情報処理装置が、前記故障号機に乗車不可である場合、当該故障号機を前記候補号機から除外する、
請求項1に記載の群管理制御システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記群管理制御システムから前記状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記取得した状態情報に含まれる前記動作状態の少なくとも一つが正常である場合、前記呼び登録依頼を行う決定部と、を備える、
請求項1に記載の群管理制御システム。
【請求項4】
前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、
前記扉制御部は、
前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている号機を前記呼び登録依頼に割り当てた場合、前記情報処理装置の乗車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごへの乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、または(2)所定時間が経過するまでの第2期間、前記扉の開状態を保持する、
請求項1に記載の群管理制御システム。
【請求項5】
前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、
前記扉制御部は、
前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている号機を前記呼び登録依頼に割り当てた場合、前記かごに乗車した前記情報処理装置の降車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、または(2)所定時間が経過するまでの第4期間、前記扉の開状態を保持する、
請求項1に記載の群管理制御システム。
【請求項6】
複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムの制御方法であって、
利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、
前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定ステップと、
前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当ステップと、を含み、
前記候補号機決定ステップにおいて、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットが利用可能なエレベータを管理する群管理制御システムおよび群管理制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごに乗降する利用者を検知するための光電装置を備えるエレベータが知られている。例えば、特許文献1には、光電装置に加え、音声により乗客への指示を行う音声案内手段を備えるエレベータ装置が開示されている。
【0003】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる技術が知られている。特許文献2には、ロボットから受信した信号に基づいてエレベータを制御することによって、ロボットとエレベータとを連携して動作させるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-036472号公報
【文献】特開2012-018646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットの状態に応じたより適切な号機の割り当てには、なお改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る群管理制御システムは、複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムであって、利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定部と、前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当部と、を備え、前記候補号機決定部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る群管理制御システムの制御方法は、複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムの制御方法であって、利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定ステップと、前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当ステップと、を含み、前記候補号機決定ステップにおいて、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する。
【0008】
本発明の各態様に係る群管理制御システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記群管理制御システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記群管理制御システムをコンピュータにて実現させる群管理制御システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、情報処理装置の状態に応じたより適切な号機の割り当てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る群管理制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】ロボット呼び情報DBの一例を示す図である。
【
図12】エレベータ制御装置が検知装置の動作状態を判定するときに行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】情報処理装置が呼び登録依頼を行うときに行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図14】情報処理装置がかごに乗車するときに行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図15】情報処理装置がかごに乗車した後に行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図16】本発明の実施形態2に係る群管理制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図17】情報処理装置が呼び登録依頼を行うときに行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
<群管理制御システム100の概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る群管理制御システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、群管理制御システム100は、群管理制御装置1、自律走行可能な情報処理装置3、情報処理装置3を管理するロボット管理装置2、エレベータ5、およびエレベータ5を制御するエレベータ制御装置4を備える。なお、情報処理装置3は、ロボットとも称される。また、
図1に示すように、群管理制御システム100は、複数のエレベータ5と、複数のエレベータ5の各々を制御する複数のエレベータ制御装置4と、を備える。
【0012】
本発明に係る群管理制御システム100は、利用者および情報処理装置3によるエレベータ5のかご51への乗降を検知する、号機毎に設けられた検知装置53の動作状態が正常か否かを示す状態情報424を取得する。また、群管理制御システム100は、情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当て可能な号機の候補である候補号機を決定し、当該候補号機の中から情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する。群管理制御システム100は、状態情報424が示す動作状態が正常ではない検知装置53が設けられている号機である故障号機への情報処理装置3の乗車可否に応じて、該故障号機を情報処理装置3の呼び登録依頼に対する候補号機から除外するか否かを決定する。
【0013】
エレベータ5の号機のかご51の扉52に情報処理装置3が衝突する可能性を低減するためには、該情報処理装置3の呼びに対して、検知装置53に異常が発生している故障号機を割り当てないなどの方法が考えられる。一方、情報処理装置3が急いで目的の階床に移動したい場合など、情報処理装置3の呼びに対して故障号機が割り当てられることが許容される場合もある。
【0014】
上記構成によると、群管理制御システム100は、検知装置53の状態情報424に基づき特定される、情報処理装置3の故障号機への乗車可否に応じて、情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定し、候補号機の中から情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する。
【0015】
これにより、群管理制御システム100は、検知装置53の動作状態および情報処理装置3の故障号機への乗車可否に応じたより適切な号機の割り当てを行うことができる。
【0016】
例えば、情報処理装置3が、故障号機に乗車不可である場合、群管理制御システム100は当該号機を候補号機から除外する。これにより、当該情報処理装置3の呼び登録依頼に対して故障号機以外の号機が割り当てられるため、検知装置53の動作状態が正常ではない号機のかご51の扉52に情報処理装置3が衝突する可能性を低減することができる。
【0017】
<ロボット管理装置2>
ロボット管理装置2は、情報処理装置3の管理を行う。また、ロボット管理装置2は、情報処理装置3と群管理制御装置1との間における情報の授受を中継する。
図1に示すように、ロボット管理装置2は、制御部21および記憶部22を備える。
【0018】
(制御部21)
制御部21は、情報処理装置3からの利用要求または呼び登録依頼を受信すると、該情報処理装置3の識別情報と受信した情報とを群管理制御装置1に送信する。また、制御部21は、群管理制御装置1から情報処理装置3の識別情報とエレベータ5の各号機の状態情報424または割当号機を示す情報とを受信すると、識別情報によって特定される利用要求または呼び登録依頼の送信元の情報処理装置3に受信した情報を送信する。また、制御部21は、ロボットDB221に、呼び登録依頼を行った情報処理装置3の識別情報と、該情報処理装置3の呼び登録に関する情報とを対応付けて記憶する。
【0019】
制御部21は、群管理制御装置1から、かご51の戸開が完了したことを示す信号(戸開完了信号)およびかご51の停止階を示す情報を受信した場合、これらの情報を情報処理装置3に送信する。また、制御部21は、情報処理装置3から戸開保持指令、乗車完了信号、または降車完了信号を受信すると、受信した信号を群管理制御装置1に送信する。
【0020】
(記憶部22)
記憶部22は、ロボットDB(データベース)221を記憶している。
図2は、ロボットDB221の例を示す図である。
図2に示すように、ロボットDB221には、情報処理装置3の識別情報(ロボットID)、と該情報処理装置3の呼び登録に関する情報と、が情報処理装置3毎に記憶されている。該情報処理装置3の呼び登録に関する情報には、呼び登録を行った情報処理装置3の出発階、該情報処理装置3の行先階、および該情報処理装置3の乗場行先階呼びに対して割り当てられた割当号機と、を示す情報が含まれる。
【0021】
<情報処理装置3>
情報処理装置3は、自律走行可能な装置であり、エレベータ5を利用して階床間を移動可能である。なお、
図1に示すように、群管理制御システム100には複数台の情報処理装置3が含まれていてもよい。
【0022】
図1に示すように、情報処理装置3は、制御部31、記憶部32および動作部33を備える。制御部31は、情報処理装置3において行われる処理を実行する。
図1に示すように、制御部31は、状態情報取得部311、決定部312、および動作制御部313を備える。動作部33は、動作制御部313の制御に従って動作し、情報処理装置3を所望の場所に移動させる。
【0023】
記憶部32は、情報処理装置3において用いられる各種情報を記憶している。
図1に示すように、記憶部32は、条件情報321を記憶している。条件情報321は、情報処理装置3の故障号機への乗車が可能であるか否かを判定するための基準となる条件である。一例として、条件情報321として、「通常時であれば故障号機に乗車不可であり、緊急時であれば故障号機に乗車可能である」という条件が設定されていてもよい。
【0024】
(状態情報取得部311)
状態情報取得部311は、群管理制御システム100から、エレベータ5の検知装置53の動作状態を示す状態情報424を取得する。情報処理装置3にエレベータ5を利用する必要が生じた場合、状態情報取得部311は、群管理制御装置1に、情報処理装置3の識別情報と共に、状態情報424を要求するための利用要求を送信する。これにより、群管理制御装置1から検知装置53の状態情報424が、ロボット管理装置2を介して情報処理装置3に送信され、状態情報取得部311は状態情報424を取得することができる。状態情報取得部311は、取得した状態情報424を決定部312に出力する。
【0025】
(決定部312)
決定部312は、呼び登録依頼を行うか否か、および、呼び登録依頼を行う場合、故障号機への乗車を許可するか否かを決定する。例えば、決定部312は、状態情報取得部311から状態情報424を取得すると、呼び登録依頼を行うことを決定する。また、決定部312は、情報処理装置3の故障号機への乗車可否を判定する。決定部312は、出発階、行先階、および乗車可否を示す情報を含む呼び登録依頼を生成し、ロボット管理装置2に送信する。これにより、情報処理装置3の呼び登録依頼が行われる。
【0026】
例えば、全てのエレベータ5の号機に設けられる検知装置53の動作状態が正常である場合、決定部312は、情報処理装置3が故障号機へ乗車可能であると判定し、情報処理装置3が故障号機へ乗車可能であることを示す情報を含む呼び登録依頼を生成する。なお、この場合、故障号機へ乗車可否に関わらず、該情報処理装置3の呼び登録依頼に対して故障号機が割り当てられる可能性はないため、決定部312は乗車可否の判定を省略して呼び登録依頼を送信してもよい。
【0027】
全てのエレベータ5の号機に設けられる検知装置53のうち少なくとも1つの号機の動作状態が異常である場合、決定部312は、条件情報321と情報処理装置3の状態と、に基づき、所定の条件が成立するか否かを判定する。また、決定部312は、所定の条件が成立したか否かに基づき、情報処理装置3の故障号機への乗車可否を判定する。
【0028】
例えば、全てのエレベータ5の号機に設けられる検知装置53のうち少なくとも1つの号機の動作状態が異常であり、所定の条件が成立した場合、決定部312は、情報処理装置3が故障号機へ乗車可能であると判定する。一方、全てのエレベータ5の号機に設けられる検知装置53のうち少なくとも1つの号機の動作状態が異常であり、所定の条件が不成立である場合、決定部312は、情報処理装置3が故障号機へ乗車不可であると判定する。情報処理装置3の状態とは、例えば予め設定されている情報処理装置3の仕様、および情報処理装置3の現在の状況等である。
【0029】
例えば、情報処理装置3が消火活動を行うロボット等の緊急車両である場合であって、当該情報処理装置3が緊急時用の動作を行っており、目的の階床に急行する必要がある場合、決定部312は、所定の条件が成立したと判定する。この場合、決定部312は、情報処理装置3が故障号機に乗車可能であることを示す情報を含む呼び登録依頼をロボット管理装置2に送信する。この場合、群管理制御装置1において、故障号機を含む全号機の中から最適な号機が情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てられる。
【0030】
一方、情報処理装置3が緊急車両である場合であって、該情報処理装置3が緊急時以外の動作を行っており、目的の階床に急行する必要がない場合、決定部312は、所定の条件が不成立であると判定する。この場合、決定部312は、情報処理装置3が故障号機に乗車不可であることを示す情報を含む呼び登録依頼をロボット管理装置2に送信する。この場合、群管理制御装置1において、故障号機を除いた候補号機の中から最適な号機が情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てられる。
【0031】
なお、動作状態が正常である号機が存在しない場合であって、条件が不成立である場合、決定部312は、呼び登録依頼を行わないことを決定してもよい。
【0032】
また、決定部312は、エレベータ5の各号機に設けられる検知装置53の動作状態の少なくとも一つが正常であるか否かに基づき、呼び登録依頼を行うか否かを決定してもよい。例えば、決定部312は、取得した状態情報424に含まれる動作状態の少なくとも一つが正常である場合、呼び登録依頼を行うことを決定してもよい。一方、全ての号機に設けられる検知装置53の動作状態が異常を示す場合、すなわち、エレベータ5の全号機が故障号機である場合、決定部312は、呼び登録依頼を行わないことを決定してもよい。
【0033】
(動作制御部313)
動作制御部313は、動作部33を動作させ、情報処理装置3を所望の位置に移動させる。例えば、動作制御部313は、呼び登録依頼を行ったエレベータ5の動作状態に応じて動作部33を動作させる。動作制御部313は、群管理制御装置1からロボット管理装置2を介して、呼び登録依頼に基づく乗場行先階呼びの登録が完了したことを示す情報を受信すると、動作部33を動作させる。これにより、情報処理装置3は乗場に移動し、エレベータ5を待機する。
【0034】
また、情報処理装置3がエレベータ5を待機している状態において、ロボット管理装置2から戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部313は、情報処理装置3が現在位置する階床とかご51が停止している階床とが一致するか否かを判定する。情報処理装置3が現在位置する階床とかご51が停止している階床とが一致する場合、動作制御部313はロボット管理装置2に戸開保持指令を送信する。その後、動作制御部313が動作部33を動作させることで情報処理装置3がかご51に乗車する。情報処理装置3のかご51への乗車動作が完了した後、動作制御部313は、ロボット管理装置2に乗車完了信号を送信する。これにより、ロボット管理装置2から群管理制御装置1を介してエレベータ制御装置4が乗車完了信号を受信し、エレベータ5に対して戸閉を指示する。
【0035】
また、情報処理装置3がかご51に乗車中である場合において、ロボット管理装置2から、戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部313は、情報処理装置3の行先階とかご51が停止している階床とが一致するか否かを判定する。情報処理装置3の行先階とかご51が停止している階床とが一致する場合、動作制御部313はロボット管理装置2に戸開保持指令を送信する。その後、動作制御部313が動作部33を動作させることで情報処理装置3がかご51から降車する。情報処理装置3のかご51への降車動作が完了した後、動作制御部313は、ロボット管理装置2に降車完了信号を送信する。これにより、ロボット管理装置2から群管理制御装置1を介してエレベータ制御装置4が降車完了信号を受信し、エレベータ5に対して戸閉を指示する。
【0036】
<エレベータ5>
図1に示すように、エレベータ5は、かご51、扉52、および検知装置53を備える。また、エレベータ5は、例えば各階床の乗場に、利用者が乗場呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。また、エレベータ5は、かご51内に、利用者がかご呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。
図1に示すように、群管理制御システム100において、複数号機のエレベータ5が設けられていてもよい。
【0037】
かご51は、エレベータ制御装置4のかご制御部413の制御に基づき動作し、階床間を移動する。扉52は、エレベータ制御装置4の扉制御部414の制御に従って開閉する。なお、かご51の扉52の開閉に連動して、乗場の扉も開閉する。
【0038】
検知装置53は、利用者および情報処理装置3によるエレベータ5のかご51への乗降を検知する装置である。検知装置53は、エレベータ5の号機ごとに設けられる。検知装置53は、利用者および情報処理装置3によるかご51への乗降を検知した場合、エレベータ制御装置4に検知信号を送信する。例えば、検知装置53は、かご51に設けられ、扉52を通過する利用者および情報処理装置3を検知可能な光電装置であってもよい。
【0039】
<群管理制御装置1>
図1に示すように、群管理制御装置1は、制御部11、記憶部12、および入出力インターフェース13を備える。制御部11は、群管理制御装置1において行われる各処理を実行する。記憶部12は、群管理制御装置1において用いられる情報を記憶している。入出力インターフェース13は、群管理制御装置1と群管理制御システム100が有する各装置との間で通信を行うための通信モジュールである。
【0040】
(記憶部12)
記憶部12は、エレベータ情報121および呼び登録情報122を記憶している。
図3は、エレベータ情報121の一例を示す図である。エレベータ情報121は、群管理制御システム100に含まれるエレベータ5の状態に関する情報が、号機ごとに対応付けられて記憶されている。
図3に示すように、エレベータ情報121には、エレベータ5の号機を示す識別情報(
図3の「号機」)、当該号機のかご51の現在の位置を示す現在階、当該号機のかご51の現在の移動方向、および当該号機の現在の運転モードを示す情報が含まれる。一例として、
図3では、A号機のエレベータ5のかご51の移動方向が上方階床への移動方向であることを上向き矢印「↑」で示している。
【0041】
エレベータ5の運転モードには、通常運転モードとロボット専用運転モードとが存在する。通常運転モードは、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びと、情報処理装置3からの乗場行先階呼びを受け付け可能な状態でエレベータ5を運行させる運転モードである。ロボット専用運転モードは、情報処理装置3からの呼びが登録された場合における運転モードであり、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びを受け付けず、情報処理装置3のみがエレベータ5を利用可能な状態でエレベータ5を運行させる。
【0042】
呼び登録情報122は、利用者および情報処理装置3の呼び登録に関する情報を記憶している。
図1に示すように、呼び登録情報122には、乗場呼び情報DB(データベース)123、かご呼び情報DB(データベース)124およびロボット呼び情報DB(データベース)125が含まれる。
【0043】
図4は、乗場呼び情報DB123の一例を示す図である。乗場呼び情報DB123は、利用者による乗場呼びに関する情報である。
図4に示すように、乗場呼び情報DB123には、乗場呼びが行われた階床(乗場呼び階)、すなわち利用者の出発階、および乗場呼びによって指定された移動方向を示す情報が含まれる。
図5は、かご呼び情報DB124の一例を示す図である。かご呼び情報DB124は、利用者によるかご呼びに関する情報である。
図5に示すように、かご呼び情報DB124には、利用者の行先階(かご呼び階)を示す情報が含まれる。
【0044】
図6は、ロボット呼び情報DB125の一例を示す図である。ロボット呼び情報DB125は、情報処理装置3による乗場行先階呼びに関する情報である。
図6に示すように、ロボット呼び情報DB125には、情報処理装置3の出発階、行先階、および情報処理装置3の乗場行先階に対して割り当てられた割当号機を示す情報が、登録された乗場行先階ごとに対応付けられて記憶されている。
【0045】
(制御部11)
図1に示すように、制御部11は、第1受付部111、取得部112、第2受付部113、候補号機決定部114、および割当部115を備える。制御部11は、エレベータ制御装置4から、戸開が完了したことを示す信号(戸開完了信号)およびかご51の停止階を示す情報を受信した場合、当該情報に基づき呼び登録情報122を更新してもよい。また、エレベータ5の運転モードが通常運転モードとロボット専用運転モードとの間で切り替えられた場合、制御部11は、エレベータ制御装置4から運転モードの切り替えを示す情報を受信し、エレベータ情報121を更新してもよい。また、エレベータ5の運転モードが通常運転モードからロボット専用運転モードとの間で切り替えられ、登録済みの乗場呼びのキャンセルが行われた場合、制御部11は、呼び登録情報122を更新してもよい。
【0046】
また、制御部11は、情報処理装置3およびロボット管理装置2とエレベータ制御装置4との間における情報の授受を中継してもよい。例えば、制御部11は、エレベータ制御装置4から、かご51の戸開が完了したことを示す信号(戸開完了信号)およびかご51の停止階を示す情報を受信した場合、これらの情報をロボット管理装置2に送信してもよい。また、制御部11は、ロボット管理装置2から、情報処理装置3による戸開保持指令、乗車完了信号、または降車完了信号を受信すると、受信した信号をエレベータ制御装置4に送信する。
【0047】
(第1受付部111)
第1受付部111は、ロボット管理装置2を介して、情報処理装置3の利用要求を受け付ける。具体的には、第1受付部111は、ロボット管理装置2から、情報処理装置3の識別情報と、利用要求とを含む情報を受信する。第1受付部111は、利用要求を受け付けると、各エレベータ制御装置4に利用要求を送信する。
【0048】
(取得部112)
取得部112は、検知装置53の動作状態が正常か否かを示す状態情報424を取得する。第1受付部111が各エレベータ制御装置4に利用要求を送信した後、取得部112は、各エレベータ制御装置4から、エレベータ制御装置4の各々が制御するエレベータ5が備える検知装置53の動作状態を示す状態情報424を受信する。取得部112は、全てのエレベータ制御装置4から状態情報424を受信すると、受信した状態情報424をロボット管理装置2に送信する。
【0049】
(第2受付部113)
第2受付部113は、利用者および情報処理装置3の呼び登録依頼を受け付ける。なお、利用者からの呼び登録依頼は、エレベータ5の乗場またはかご51内に設けられている操作盤(不図示)を用いて行われ得る。
【0050】
利用者からの呼び登録依頼とは、利用者による乗場呼びまたはかご呼びの登録依頼である。利用者からの乗場呼びを受け付けた場合、第2受付部113は、乗場呼びが行われた階床、すなわち利用者の出発階を示す情報と乗場呼びによって指定された移動方向を示す情報と、を割当部115に出力する。また、利用者からのかご呼びを受け付けた場合、第2受付部113は、記憶部12のかご呼び情報DB124に利用者の行先階を記憶し、利用者のかご呼びを登録する。
【0051】
また、第2受付部113は、ロボット管理装置2を介して、情報処理装置3の乗場行先階呼びの登録を受け付ける。具体的には、第2受付部113は、ロボット管理装置2から、情報処理装置3の呼び登録依頼を受信する。呼び登録依頼には、情報処理装置3の識別情報と、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報と、故障号機への乗車可否を示す情報と、が含まれる。第2受付部113は、ロボット管理装置2から情報処理装置3の呼び登録依頼を受け付けると、受信した情報を候補号機決定部114および割当部115に出力する。
【0052】
(候補号機決定部114)
候補号機決定部114は、情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当て可能な号機である候補号機を決定し、決定した候補号機を示す情報を割当部115に出力する。候補号機決定部114は、第2受付部113から、情報処理装置3の呼び登録依頼に関する情報を受信すると、情報処理装置3の故障号機への乗車可否を示す情報に応じて、故障号機を候補号機から除外するか否かを決定する。
【0053】
例えば、候補号機決定部114は、情報処理装置3が、動作状態が正常ではない検知装置53が設けられている号機である故障号機に乗車不可である場合、当該故障号機を候補号機から除外し、故障号機以外の号機を候補号機として決定する。一方、候補号機決定部114は、情報処理装置3が、故障号機に乗車可能である場合、当該故障号機を候補号機に含め、エレベータ5の全号機を候補号機として決定する。
【0054】
(割当部115)
割当部115は、利用者および情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てる号機を選定する。第2受付部113から、利用者の乗場呼びに関する情報を取得した場合、割当部115は、利用者の出発階および移動方向と、エレベータ情報121と、呼び登録情報122と、に基づき、該乗場呼びに対して割り当てる号機を選定する。利用者の乗場呼びに対して割り当てる号機を選定する。また、割当部115は、記憶部12の乗場呼び情報DB123に、当該乗場呼びに関する情報を記憶する。なお、割当部115は、利用者の乗場呼びに対して、ロボット専用運転モードで運転している号機以外の号機を割り当てる。
【0055】
また、割当部115は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに対して割り当てる号機を選定する。割当部115は、第2受付部113から取得した情報処理装置3の呼び登録依頼に関する情報と、候補号機決定部114から取得した候補号機を示す情報と、エレベータ情報121と、呼び登録情報122と、に基づき、情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てる号機を選定する。割当部115は、一般的に行われているセレクティブコレクティブ運転に基づく最適号機を選定し、情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てる号機として決定してもよい。なお、割当部115は、候補号機決定部114によって決定された候補号機の中から情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する。
【0056】
割当部115は、割当結果を示す情報を、利用者または情報処理装置3の呼びに対して割り当てられたエレベータ5の号機を制御するエレベータ制御装置4に送信する。また、割当部115は、情報処理装置3の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定した場合、割当結果を示す情報をロボット管理装置2に送信する。
【0057】
<エレベータ制御装置4>
エレベータ制御装置4は、エレベータ5の動作を制御する。
図1に示すように、群管理制御システム100において、エレベータ5の号機が複数存在する場合、複数のエレベータ5の号機の各々を制御する複数のエレベータ制御装置4が設けられていてもよい。
【0058】
図1に示すように、エレベータ制御装置4は、制御部41および記憶部42を備える。記憶部42は、号機情報421、検知情報422、および呼び登録情報423を記憶している。
【0059】
図7は、号機情報421の一例を示す図である。号機情報421は、エレベータ制御装置4の制御対象であるエレベータ5の号機の状態に関する情報である。号機情報421には、かご51の現在の位置を示す現在階、かご51の現在の移動方向、およびエレベータ5の現在の運転モードを示す情報が含まれる。
図7に示す例では、かご51の移動方向が上方階床への移動方向であることを上向き矢印「↑」で示している。
【0060】
また、
図7に示すように、号機情報421には、状態情報424が含まれる。状態情報424は、検知装置53の動作状態を示す情報である。検知装置53がかご51に乗降する利用者および情報処理装置3を正常に検知可能な状態である場合、状態情報424は「正常」を示す。一方、検知装置53に異常が発生し、かご51に乗降する利用者および情報処理装置3を検知できない状態である場合、状態情報424は「異常」を示す。
【0061】
図8は、検知情報422の例を示す図である。検知情報422は、検知装置53の検知結果を示す情報である。エレベータ制御装置4は、かご51の1回の停止期間ごとに1回分の検知情報422を記録する。かご51の1回の停止期間とは、かご51がいずれかの階床に停止し、かご51の扉52が開いてから閉じるまでの間の期間を示す。
【0062】
検知情報422には、かご51の扉52が開いた時間、かご51の扉52が閉じた時間、およびかご51の1回の停止期間中において、検知装置53がかご51に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したか否かを示す情報が含まれる。かご51の1回の停止期間中においてエレベータ制御装置4が1度でも検知信号を受信した場合、検知情報422には、検知装置53がかご51に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したことを示す情報(
図8の「有」)が記録される。かご51の1回の停止期間中においてエレベータ制御装置4が1度も検知信号を受信しなかった場合、検知情報422には、検知装置53がかご51に乗降する利用者または情報処理装置3を検知しなかったことを示す情報(
図8の「無」)が記録される。
【0063】
呼び登録情報423は、利用者および情報処理装置3による呼びに関する情報のうち、エレベータ制御装置4の制御対象であるエレベータ5を利用する利用者および情報処理装置3の呼びに関する情報である。呼び登録情報423には、乗場呼び情報425、かご呼び情報426、およびロボット呼び情報427が含まれる。
【0064】
図9は、乗場呼び情報425の一例を示す図である。乗場呼び情報425は、利用者による乗場呼びに関する情報である。
図9に示すように、乗場呼び情報425には、乗場呼びが行われた階床(乗場呼び階)、すなわち利用者の出発階、および乗場呼びによって指定された移動方向を示す情報が含まれる。
図10は、かご呼び情報426の一例を示す図である。かご呼び情報426は、利用者によるかご呼びに関する情報である。
図10に示すように、かご呼び情報426には、利用者の行先階(かご呼び階)を示す情報が含まれる。
【0065】
図11は、ロボット呼び情報427の一例を示す図である。ロボット呼び情報427は、情報処理装置3による乗場行先階呼びに関する情報である。
図11に示すように、ロボット呼び情報427には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0066】
図1に示すように、制御部41は、判定部411、受付部412、かご制御部413、扉制御部414、および切替部415を備える。制御部41は、エレベータ制御装置4において行われる各種処理を実行する。例えば、制御部41は、群管理制御装置1から利用要求を受信すると、記憶部42を参照し、該エレベータ制御装置4の制御対象であるエレベータ5に設けられる検知装置53の状態情報424を取得し、群管理制御装置1に送信する。
【0067】
(判定部411)
判定部411は、検知情報422に基づき、検知装置53の動作状態を判定する。判定部411は、過去の検知装置53の検知結果に基づき判定を行う。具体的には、判定部411は、記憶部42を参照し、過去のかご51が停止している期間中の検知情報422を取得する。判定部411は、取得した検知情報422に基づき、検知装置53の動作状態を判定する。
【0068】
例えば、判定部411は、過去3回分のかご51停止期間中における検知情報422を取得し、判定を行う。3回分の検知情報422における検知結果の全てが、かご51に乗降する利用者および情報処理装置3を検知しなかったことを示す場合、判定部411は、検知装置53に異常が発生していると判定する。3回分の検知結果のうち少なくとも1回分の検知結果が、かご51に乗降する利用者および情報処理装置3を検知したことを示す場合、判定部411は、検知装置53が正常に動作していると判定する。
【0069】
判定部411は、検知装置53の動作状態に関する判定結果を状態情報424として記憶部42に記憶する。なお、判定部411は、動作状態の判定を、かご51が停止する毎に行ってもよいし、かご51が数回停止する毎に1度判定を行ってもよい。また、判定部411は、所定の時間が経過する毎に判定を行ってもよい。
【0070】
かご51が停止している期間中、すなわちかご51が停止して扉52が開いている期間中には、かご51に乗車する利用者または情報処理装置3、あるいは降車する利用者または情報処理装置3が存在すると考えられる。ここで、かご51が複数回停止しても検知装置53がかご51に乗車する利用者または情報処理装置3を検知したことを示す検知信号を出力しない場合、検知装置53になんらかの異常が発生して検知ができない状態となっていると考えられる。
【0071】
したがって、判定部411は、かご51停止期間中に検知装置53がかご51に乗降する利用者または情報処理装置3を検知したか否かを示す情報を参照することで、検知装置53に異常が発生しているか否かを判定することができる。
【0072】
なお、判定部411は、検知装置53に異常が発生していると判定した場合、検知装置53に異常が発生していることを示す状態情報424をロボット管理装置2または情報処理装置3に送信してもよい。
【0073】
(受付部412)
受付部412は、群管理制御装置1において登録された利用者または情報処理装置3の呼びを受け付ける。具体的には、受付部412は、群管理制御装置1から、利用者の乗場呼びまたはかご呼びに基づく出発階または行先階を示す情報を受信すると、乗場呼び情報425またはかご呼び情報426として記憶部42に記憶する。また、受付部412は、群管理制御装置1から、情報処理装置3の乗場行先階呼びに基づく出発階および行先階を示す情報を受信すると、ロボット呼び情報427として記憶部42に記憶する。また、受付部412は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに関する情報を受信すると、切替部415に対してエレベータ5の運転モードをロボット専用運転に切り替えることを指示する。これにより、切替部415によってエレベータ5の運転モードをロボット専用運転に切り替えられ、ロボット専用運転モードでの運転が開始される。
【0074】
なお、ロボット専用運転モードの間、受付部412は、利用者からの呼び登録依頼を受け付けない。また、受付部412は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに関する情報を受信した場合、呼び登録情報423を更新し、登録済みの乗場呼びをキャンセルしてもよい。
【0075】
(かご制御部413)
かご制御部413は、登録済みの乗場呼び、かご呼び、および情報処理装置3による乗場行先階呼びに基づき、かご51を移動させる。かご51が情報処理装置3の出発階に到着すると、かご制御部413は、かご51の停止階を示す情報を扉制御部414に出力する。
【0076】
かご制御部413は、呼び登録情報423に記録されている利用者および情報処理装置3の出発階および行先階、並びにエレベータ5の運転モードに基づき、かご51の行先階を決定する。
【0077】
例えば、エレベータ5の運転モードが通常運転モードである場合、かご制御部413は、乗場呼び情報425およびかご呼び情報426を参照してかご51の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご51に送信する。これにより、エレベータ5のかご51は、利用者の乗場呼びおよびかご呼びに基づく行先階に移動する。
【0078】
また、エレベータ5の運転モードがロボット専用運転モードである場合、かご制御部413は、ロボット呼び情報427を参照してかご51の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご51に送信する。これにより、エレベータ5のかご51は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに基づく出発階および行先階に移動する。
【0079】
なお、ロボット専用運転を開始した場合、かご制御部413は、エレベータ5を登録済みのかご呼びに応答させてから、情報処理装置3の出発階への移動を指示してもよい。これにより、情報処理装置3を乗車させる前に、ロボット専用運転が開始したときにかご51に乗車していた利用者を降車させることができる。また、ロボット専用運転が開始した場合、かご制御部413は、登録済みの乗場呼びを削除してもよいし、ロボット専用運転が終了した後に登録済みの乗場呼びにエレベータ5を応答させてもよい。
【0080】
(扉制御部414)
扉制御部414は、かご51の扉52の開閉を制御する。かご51がいずれかの階床に到着すると、扉制御部414は、かご制御部413からかご51が停止したこと、およびかご51の停止階を示す情報を取得する。当該情報を取得すると、扉制御部414は、戸開を指示する信号をエレベータ5の扉52に送信する。これにより、かご51の扉52が開き、かご51の扉52に連動して乗場の扉も開く。また、扉制御部414は、戸開から第1所定時間後(例えば、戸開が完了してから20秒後)に、戸閉を指示する信号を扉52に送信する。これにより、かご51の扉52および乗場の扉が閉じる。第1所定時間としては、一般的なエレベータ5の戸開時間が設定されてよい。また、扉制御部414は、かご51の戸開が完了したことを示す信号(戸開完了信号)およびかご51の停止階を示す情報を群管理制御装置1に送信する。
【0081】
また、扉制御部414は、扉52が開いている期間中に、検知装置53からの検知信号を受信した場合には戸開状態を保持する。また、扉制御部414は、扉52が開いている期間中に、乗場またはかご51内の開閉ボタン等が操作された場合、操作内容に応じて戸開時間を延長、または短縮する。
【0082】
さらに、扉制御部414は、記憶部42の号機情報421を参照し、エレベータ5がロボット専用運転モードで運行している場合、かご51の停止階を示す情報および戸開したことを示す情報を、群管理制御装置1およびロボット管理装置2を介して情報処理装置3に送信する。
【0083】
また、扉制御部414は、エレベータ5がロボット専用運転モードで運行している場合において、扉52が開いている期間中に、情報処理装置3から戸開保持指令を受信すると、扉52の戸開状態を保持する。
【0084】
扉制御部414は、戸開保持指令を受信した後、第1所定時間以内に乗車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉52に送信する。扉制御部414が戸開保持指令を受信した後、第1所定時間以内に乗車完了信号を受信した場合、情報処理装置3はかご51への乗車を完了した状態である。したがって、扉制御部414は、乗車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご51への乗車を完了した後、速やかに扉52を閉鎖させることができる。
【0085】
また、扉制御部414は、戸開保持指令を受信した後、乗車完了信号を受信しないまま第1所定時間が経過した場合、戸閉を指示する信号を扉52に送信する。扉制御部414が戸開保持指令を受信した後、乗車完了信号を受信しないまま第1所定時間が経過した場合、情報処理装置3はかご51に乗車したものの、乗車完了信号が正常に送信されなかった状況であることが考えられる。または、乗車完了信号は送信されたものの、情報処理装置3とエレベータ制御装置4との間の通信が途絶するなどして、エレベータ制御装置4が乗車完了信号を受信できなかったことが考えられる。あるいは、情報処理装置3に異常が発生するなどしてかご51に乗車できず、乗車完了信号を送信できなかったことが考えられる。すなわち、扉制御部414が戸開保持指令を受信した後、乗車完了信号を受信しないまま第1所定時間が経過した場合、情報処理装置3はかご51に乗車している可能性がある。そこで、扉制御部414は、エレベータ5のロボット専用運転モードが継続されている状態のまま戸閉を指示する。具体的には、扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力せずに、扉52に戸閉を指示する。
【0086】
また、扉制御部414は、戸開保持指令を受信できなかったものの、乗車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉52に送信する。扉制御部414が、戸開保持指令を受信できなかったとしても、乗車完了信号を受信したのであれば、情報処理装置3はかご51への乗車を完了できたと考えられる。したがって、扉制御部414は、乗車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご51への乗車を完了した後、速やかに扉52を閉鎖させることができる。
【0087】
戸閉完了後、扉制御部414は、戸閉したことを示す情報をかご制御部413に出力する。扉制御部414が戸開保持指令または乗車完了信号を受信した場合、エレベータ5はロボット専用運転モードで運行しているため、かご51は情報処理装置3の行先階に移動する。
【0088】
また、扉制御部414は、戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できずに第1所定時間が経過した場合、ロボット専用運転を終了させる。具体的には、扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。
【0089】
情報処理装置3がかご51に乗車できた場合、エレベータ制御装置4が戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できないという可能性は低い。したがって、扉制御部414が戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できずに第1所定時間が経過した場合は、何らかの原因によって情報処理装置3がかご51に乗車できなかった可能性が高い。そこで、上述の場合、扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力し、戸閉を指示する信号を扉52に送信する。
【0090】
戸閉完了後、扉制御部414は、戸閉したことを示す情報をかご制御部413に出力する。このように、戸開保持指令または乗車完了信号を受信できなかった場合、扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。そのため、切替部415によってエレベータ5の運転モードが切り替えられ、エレベータ5は通常運転モードで運行する。
【0091】
また、扉制御部414は、戸開保持指令を受信したか否かに関わらず、第1所定時間以内に降車完了信号を受信した場合、ロボット専用運転を終了する。また、扉制御部414は、情報処理装置3の行先階において戸開後、降車完了信号を受信できなかった場合、第1所定時間が経過した後にロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。
【0092】
扉制御部414が降車完了信号を受信した場合、情報処理装置3は行先階においてかご51からの降車を完了している。また、扉制御部414が降車完了信号を受信できなかったとしても、情報処理装置3の行先階においてかご51が戸開した後、第1所定時間が経過していれば、当該情報処理装置3はかご51からの降車を完了していると考えられる。あるいは、情報処理装置3の行先階においてかご51が戸開した後、扉制御部414が降車完了信号を受信できなかった場合、当該情報処理装置3が出発階においてかご51に乗車しなかった可能性がある。
【0093】
したがって、情報処理装置3の行先階においてかご51が戸開した後、扉制御部414が降車完了信号を受信した場合、または第1所定時間が経過した場合には、かご51内に情報処理装置3が存在している可能性は低いと考えられる。そこで、扉制御部414は、情報処理装置3の行先階においてかご51が戸開した後、降車完了信号を受信した場合、または第1所定時間が経過した場合、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。
【0094】
扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力した後、戸閉を指示する信号を扉52に送信し、戸閉したことを示す情報をかご制御部413に出力する。
【0095】
情報処理装置3の出発階または行先階においてかご51が戸開した後、扉制御部414が戸開保持指令を受信していない場合、戸開してから第1所定時間が経過した後に戸閉が開始する。ここで、情報処理装置3がエレベータ5を利用するときには検知装置53の動作状態は正常であるため、検知装置53は乗降中の情報処理装置3を検知することができる。検知装置53が乗降中の情報処理装置3を検知し、検知信号を送信すると、扉制御部414は、戸開状態を保持する指示を行う。そのため、扉制御部414が戸開保持指令を受信できなかったとしても、乗降中の当該情報処理装置3が扉52に挟まれる、または扉52に衝突するなどの事故が発生する可能性は低減される。
【0096】
また、扉制御部414は、エレベータ5がロボット専用運転モードで運行している状態において、情報処理装置3が乗車している号機に設けられる検知装置53の動作状態に応じて、戸開時間を変更してもよい。具体的には、扉制御部414は、エレベータ5がロボット専用運転モードで運行している状態において、かご51がいずれかの階床で停止した場合、状態情報424を取得し、状態情報424が示す動作状態が正常であるか否かを判定する。状態情報424が示す動作状態が正常である場合、扉制御部414は、上述したロボット専用運転モード時の制御を行う。
【0097】
状態情報424が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部414は、情報処理装置3の乗車階において扉52を開状態にしてから、(1)情報処理装置3がかご51への乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、扉52の開状態を保持する。または、状態情報424が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部414は、情報処理装置3の乗車階において扉52を開状態にしてから、(2)第2所定時間が経過するまでの第2期間、扉52の開状態を保持する。
【0098】
上記構成によると、扉制御部414は、情報処理装置3からの乗車完了信号を受信するまで、または、第2所定時間が経過するまで扉52の開状態を保持する。第2所定時間は、例えば、情報処理装置3が乗車を完了するための時間として十分な時間(例えば3分間)が設定され得る。これにより、群管理制御システム100は、かご51内へ移動中の情報処理装置3がかご51の扉52に衝突する可能性を低減できる。
【0099】
また、状態情報424が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部414は、かご51に乗車した情報処理装置3の降車階において扉52を開状態にしてから、(1)情報処理装置3がかご51からの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、扉52の開状態を保持する。または、状態情報424が示す動作状態が正常ではない場合、扉制御部414は、情報処理装置3の降車階において扉52を開状態にしてから、(2)第2所定時間が経過するまでの第4期間、扉52の開状態を保持する。
【0100】
群管理制御システム100では、検知装置53の動作状態が正常ではない場合であっても、情報処理装置3の呼び登録依頼がロボット管理装置2を介して群管理制御装置1に出力され得る。この場合、群管理制御装置1の割当部115は、検知装置53に異常が発生している故障号機を情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てる可能性がある。ここで、扉制御部414は、検知装置53がかご51に乗降する情報処理装置3を検知できなかったとしても、情報処理装置3からの乗車完了信号、または降車完了信号を受信するまで、または、第2所定時間が経過するまで扉の開状態を保持する。
【0101】
従って、情報処理装置3が乗降を完了するまでは扉の開状態が保持される。また、エレベータ制御装置4が乗車完了信号または降車完了信号を受信できず、情報処理装置3が乗降を完了したことを確認できなかったとしても、戸開から第2所定時間が経過するまでは扉の開状態が保持される。これにより、乗場からかご51に移動中、またはかご51から乗場に移動中の情報処理装置3がかご51の扉52に衝突する可能性を低減できる。
【0102】
(切替部415)
切替部415は、エレベータ5の運転モードを切り替える。例えば、受付部412は、情報処理装置3の呼びを登録すると、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部415に出力する。切替部415は、当該信号を受信すると、号機情報421に記憶されているエレベータ5の運転モードを通常運転モードからロボット専用運転モードに切り替える。これにより、エレベータ5のロボット専用運転が開始される。
【0103】
また、扉制御部414は、情報処理装置3の出発階において、戸開保持指令および乗車完了信号の両方を受信できなかった場合、切替部415にロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。扉制御部414は、情報処理装置3の行先階において戸開後、降車完了信号を受信した場合、または降車完了信号を受信できずに第1所定時間または第2所定時間が経過した場合、切替部415にロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。切替部415は、当該信号を取得すると、記憶部42に記憶されているエレベータ5の運転モードをロボット専用運転モードから通常運転モードに切り替える。これにより、エレベータ5のロボット専用運転が終了する。
【0104】
切替部415は、エレベータ5の運転モードを切り替えた後、運転モードの切り替えを行ったことを示す情報を群管理制御装置1に送信する。これにより、群管理制御装置1はエレベータ5の各号機の運転モードを把握することができる。
【0105】
<群管理制御システム100の処理の流れの例>
図12~
図15は、群管理制御システム100において行われる処理の流れの例を示すフローチャートおよびシーケンス図である。以下、
図12~
図15を用いて、群管理制御システム100において行われる処理の流れについて説明する。
【0106】
(動作状態判定時の処理)
図12は、エレベータ制御装置4が検知装置53の動作状態を判定するときに行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0107】
まず、エレベータ5のかご51がいずれかの階床に停止すると(S1でYES)、判定部411は記憶部42を参照し、過去の検知情報422を取得する(S2)。例えば、判定部411は、直近3回分のかご51停止期間における検知情報422を取得する。
【0108】
判定部411は、取得した検知情報422に基づき、過去3回かご51が停止した期間中に、検知装置53が少なくとも1回、かご51に乗降する利用者または情報処理装置3を検知して検知信号を出力したか否かを判定する(S3)。
【0109】
過去3回のかご51が停止した期間中に、検知装置53が1度も検知信号を出力していない場合(S3でNO)、判定部411は、検知装置53の動作状態を異常であると判定する(S4)。一方、過去3回のかご51が停止した期間中に、検知装置53が少なくとも1度、検知信号を出力した場合(S3でYES)、判定部411は、検知装置53の動作状態を正常であると判定する(S5)。
【0110】
ステップS4またはS5の後、判定部411は号機情報421に判定結果を記録する(S6)。これにより、検知装置53の状態情報424が記憶部42に記憶される。
【0111】
(呼び登録依頼時の処理)
図13は、情報処理装置3が呼び登録依頼を行うときに群管理制御システム100において行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【0112】
情報処理装置3がエレベータ5を利用する必要が生じた場合、状態情報取得部311は利用要求を生成し(S11)、ロボット管理装置2に送信する。ロボット管理装置2の制御部21は、利用要求を受信すると(S21)、群管理制御装置1に利用要求を送信する。群管理制御装置1の第1受付部111は、利用要求を受信すると(S31)、複数のエレベータ制御装置4の各々に利用要求を送信する。エレベータ制御装置4の各々の制御部41は、利用要求を受け付けると(S41)、記憶部42に記憶されている状態情報424を取得し、群管理制御装置1に出力する。群管理制御装置1の第1受付部111は、複数のエレベータ制御装置4の各々から状態情報424を受信する。第1受付部111は、状態情報424を取得すると(S32:取得ステップ)、ロボット管理装置2に複数のエレベータ5の各々に設けられる検知装置53の状態情報424を送信する。ロボット管理装置2は、状態情報424を受信すると(S22)、利用要求の送信元である情報処理装置3に状態情報424を送信する。これにより、状態情報取得部311は、状態情報424を取得する。
【0113】
状態情報取得部311は、状態情報424を取得すると、取得した状態情報424を決定部312に出力する。決定部312は、状態情報424によって示される全ての検知装置53の動作状態が正常であるか否かを判定する(S12)。少なくとも一つの検知装置53の動作状態が正常でない場合(S12でNO)、すなわち、少なくとも一つの検知装置53に異常が発生している場合、決定部312は、記憶部32を参照し、条件情報321を取得する。続いて、決定部312は、条件情報321と、情報処理装置3の状態と、に基づき、所定の条件が成立しているか否かを判定する(S13)。
【0114】
全ての検知装置53の動作状態が正常である場合(S12でYES)、または所定の条件が成立した場合(S13でYES)、決定部312は、情報処理装置3が故障号機に乗車可能であることを決定する(S14)。一方、少なくとも一つの検知装置53に異常が発生しており、所定の条件が不成立である場合(S13でNO)、決定部312は、情報処理装置3が故障号機に乗車不可であることを決定する(S15)。
【0115】
ステップS14またはステップS15の後、決定部312は、呼び登録依頼を生成し、ロボット管理装置2に対して出力する(S16)。呼び登録依頼には、情報処理装置3の識別情報、出発階、行先階、および情報処理装置3の故障号機への乗車可否を示す情報が含まれる。ロボット管理装置2の制御部21は、呼び登録依頼を受信すると(S23)、受信した呼び登録依頼を群管理制御装置1に送信する。
【0116】
群管理制御装置1の第2受付部113は、情報処理装置3から呼び登録依頼を受信すると(S33)、情報処理装置3の呼び登録を受け付ける。第2受付部113は、ロボット管理装置2から情報処理装置3の呼び登録依頼を受け付けると、受信した呼び登録依頼に含まれる情報を候補号機決定部114および割当部115に出力する。
【0117】
候補号機決定部114は、第2受付部113から、情報処理装置3の呼び登録依頼に関する情報を取得すると、情報処理装置3が故障号機に乗車可能であるか否かを判定する(S34)。候補号機決定部114は、当該判定の結果に基づき、故障号機を候補号機から除外するか否かを決定する。
【0118】
情報処理装置3が故障号機に乗車不可である場合(S34でNO)、候補号機決定部114は、故障号機を候補号機から除外し、故障号機以外の号機を候補号機として決定する(S35:候補号機決定ステップ)。一方、情報処理装置3が故障号機に乗車可能である場合(S34でYES)、候補号機決定部114は、故障号機を含めた全号機を候補号機として決定する(S36:候補号機決定ステップ)。ステップS35またはS36の後、候補号機決定部114は、決定した候補号機を示す情報を割当部115に出力する。
【0119】
割当部115は、第2受付部113から情報処理装置3の呼び登録依頼に関する情報を取得し、候補号機決定部114から候補号機を示す情報を取得する。割当部115は、候補号機の中から最適号機を選定し、情報処理装置3の呼び登録依頼に対して割り当てる(S37:割当ステップ)。ステップS37の後、割当部115は、割当号機、情報処理装置3の出発階、および行先階を示す情報を含む割当結果を記憶部12のロボット呼び情報DB125に記憶する。続いて、割当部115は、割当号機を示す情報を、ロボット管理装置2に送信する。また、割当部115は、割当結果を示す情報を、割り当てられたエレベータ5の号機を制御するエレベータ制御装置4に送信する。
【0120】
ロボット管理装置2の制御部21は、割当号機を示す情報を受信すると(S24)、受信した情報を、呼び登録依頼の送信元である情報処理装置3に送信する。情報処理装置3の動作制御部313は、当該情報を受信すると、動作部33を動作させ、情報処理装置3を、割当号機前の乗場に移動させる(S17)。
【0121】
エレベータ制御装置4の受付部412は、割当結果を示す情報を受信すると、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報をロボット呼び情報427に記憶する。これにより、エレベータ制御装置4において、情報処理装置3による呼びの登録が受け付けられる(S42)。情報処理装置3による呼びの登録が完了すると、受付部412は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部415に出力する。切替部415は当該信号を取得すると、号機情報421に記憶されているエレベータ5の運転モードをロボット専用運転モードに切り替える。これにより、ロボット専用運転が開始される(S43)。
【0122】
ロボット専用運転が開始されると、かご制御部413は、ロボット呼び情報427を参照し、情報処理装置3の出発階にかご51を移動させる。なお、かご制御部413は、情報処理装置3の出発階にかご51を移動させる前に、かご呼び情報426を参照し、利用者のかご呼びによって指定された階床にかご51を移動させ、利用者のかご呼びに応答した後に情報処理装置3の呼びに応答してもよい。
【0123】
(乗車時の処理)
図14は、情報処理装置3がかご51に乗車するときに群管理制御システム100において行われる処理の流れを示すシーケンス図である。なお、
図14に示すフローの開始時点において、エレベータ制御装置4は、ロボット専用運転モードでの制御を行っており、情報処理装置3は出発階の乗場でかご51を待機している。
【0124】
かご51がいずれかの階床に到着すると、扉制御部414は、扉52に戸開を指示する(S81)。また、かご制御部413は、群管理制御装置1に戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を送信する。また、エレベータ制御装置4の制御部41は、戸開後の経過時間の計測を開始する(S82)。なお、戸開期間中、検知装置53から検知信号を受信した場合、扉制御部414は、扉52の戸開状態を保持させる。
【0125】
群管理制御装置1の制御部11は、戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を受信すると(S71)、受信した情報をロボット管理装置2に送信する。ロボット管理装置2の制御部21は、戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を受信すると(S61)、受信した情報を情報処理装置3に送信する。
【0126】
情報処理装置3の動作制御部313は、戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を受信すると、情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じであるか否かを判定する(S51)。情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じでない場合(S51でNO)、動作制御部313は、ステップS51でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0127】
情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じである場合(S51でYES)、すなわち情報処理装置3の出発階でかご51が停止し、戸開した場合、動作制御部313は、動作部33を動作させる。これにより、情報処理装置3はかご51への乗車動作を開始する(S52)。情報処理装置3がかご51への乗車動作を開始すると、動作制御部313は、戸開保持指令をロボット管理装置2に送信する。
【0128】
ロボット管理装置2の制御部21は、戸開保持指令を受信すると(S62)、受信した戸開保持指令を群管理制御装置1に送信する。群管理制御装置1の制御部11は、戸開保持指令を受信すると(S72)、受信した戸開保持指令をエレベータ制御装置4に送信する。
【0129】
ステップS82の後、扉制御部414は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S83)。なお、エレベータ制御装置4の制御対象であるエレベータ5の検知装置53の動作状態が正常である場合、所定時間とは第1所定時間であってもよい。エレベータ制御装置4の制御対象であるエレベータ5の検知装置53の動作状態が異常である場合、所定時間とは第1所定時間よりも長い第2所定時間であってもよい。戸開から所定時間が経過していない場合(S83でNO)、扉制御部414は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S84)。戸開保持指令を受信した場合(S84でYES)、扉制御部414は、扉52の戸開状態を保持させる。また、扉制御部414は、乗車完了信号を受信したか否かを判定する(S85)。乗車完了信号を受信していない場合(S85でNO)、扉制御部414は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S86)。戸開から所定時間が経過していない場合(S86でNO)、ステップS85の処理に戻る。
【0130】
情報処理装置3のかご51への乗車動作が完了すると(S53)、動作制御部313は、ロボット管理装置2に乗車完了信号を送信する。ロボット管理装置2の制御部21は、乗車完了信号を受信すると(S63)、受信した乗車完了信号を群管理制御装置1に送信する。群管理制御装置1の制御部11は、乗車完了信号を受信すると(S73)、受信した乗車完了信号をエレベータ制御装置4に送信する。
【0131】
扉制御部414は、戸開保持指令を受信している状態(S84でYES)において、乗車完了信号を受信すると(S85でYES)、扉52に戸閉を指示する(S87)。また、扉制御部414が乗車完了信号を受信しないまま(S85でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S86でYES)も、扉制御部414は、扉52に戸閉を指示する(S87)。また、扉制御部414が戸開保持指令を受信していない状態(S84でNO)において、乗車完了信号を受信した場合(S88でYES)も、扉制御部414は扉52に戸閉を指示する(S87)。この場合、エレベータ5はロボット専用運転モードでの運行を継続する。戸閉後、かご制御部413はかご51を移動させる。
【0132】
扉制御部414が戸開保持指令および乗車完了信号を受信しないまま(S84およびS88でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S83でYES)、扉制御部414はロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。切替部415は、当該信号を受信すると、号機情報421に記憶されているエレベータ5の運転モードをロボット専用運転モードから通常運転モードに切り替える。これにより、ロボット専用運転が終了する(S89)。その後、扉制御部414は扉52に戸閉を指示する(S87)。戸閉後、かご制御部413はかご51を移動させる。
【0133】
以上のようにして、群管理制御システム100において、情報処理装置3の乗車に関する処理が行われる。
【0134】
(降車時の処理)
図15は、情報処理装置3がかご51に乗車した後に行われる処理の流れを示すシーケンス図である。なお、以下では、情報処理装置3がかご51に乗車中である場合を例に挙げて説明する。
【0135】
かご51がいずれかの階床に停止すると、扉制御部414は、扉52に戸開を指示し(S121)、戸開完了信号およびかご51の停止階を示す情報を群管理制御装置1に送信する。また、扉制御部414は、戸開してからの経過時間の計測を開始する(S122)。戸開期間中、検知装置53から検知信号を受信した場合、扉制御部414は、扉52の戸開状態を保持させる。
【0136】
群管理制御装置1の制御部11は、戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を受信すると(S111)、受信した情報をロボット管理装置2に送信する。ロボット管理装置2の制御部21は、戸開完了信号およびかご51が停止した階床を示す情報を受信すると(S101)、受信した情報を情報処理装置3に送信する。
【0137】
情報処理装置3の動作制御部313は、かご51に乗車している状態において、戸開完了信号およびかご51の停止階を示す情報を受信すると、情報処理装置3の行先階とかご51の停止階が同じであるか否かを判定する(S91)。情報処理装置3の行先階とかご51の停止階が同じでない場合(S91でNO)、すなわち、かご51が情報処理装置3の行先階以外の階床に停止した場合、ステップS91でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0138】
情報処理装置3の行先階とかご51の停止階が同じである場合(S91でYES)、動作制御部313は動作部33を制御し、降車動作を開始する(S92)。また、動作制御部313は、戸開保持指令をロボット管理装置2に送信する。
【0139】
ロボット管理装置2の制御部21は、戸開保持指令を受信すると(S102)、受信した戸開保持指令を群管理制御装置1に送信する。群管理制御装置1の制御部11は、戸開保持指令を受信すると(S112)、受信した戸開保持指令をエレベータ制御装置4に送信する。
【0140】
ステップS122の後、扉制御部414は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S123)。戸開から所定時間が経過していない場合(S123でNO)、扉制御部414は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S124)。扉制御部414は、戸開保持指令を受信していない場合(S124でNO)、さらに降車完了信号を受信したか否かを判定する(S129)。ステップS124でNOの場合であって、降車完了信号を受信していない場合(S129でNO)、扉制御部414は、再度ステップS123の処理を行う。戸開保持指令を受信した場合(S124でYES)、扉制御部414は、扉52の戸開状態を保持させる。また、扉制御部414は、降車完了信号を受信したか否かを判定する(S125)。降車完了信号を受信していない場合(S125でNO)、扉制御部414は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S126)。戸開から所定時間が経過していない場合(S126でNO)、ステップS125の処理に戻る。
【0141】
情報処理装置3のかご51への降車動作が完了すると(S93)、動作制御部313は、ロボット管理装置2に降車完了信号を送信する。ロボット管理装置2の制御部21は、降車完了信号を受信すると(S103)、受信した降車完了信号を群管理制御装置1に送信する。群管理制御装置1の制御部11は、降車完了信号を受信すると(S113)、受信した降車完了信号をエレベータ制御装置4に送信する。
【0142】
扉制御部414は、戸開保持指令を受信している状態(S124でYES)において、降車完了信号を受信すると(S125でYES)、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。また、扉制御部414が降車完了信号を受信しないまま(S125でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S126でYES)も、扉制御部414は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。切替部415は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S127)。
【0143】
また、扉制御部414は、戸開保持指令を受信していない状態(S124でNO)において、降車完了信号を受信した場合(S129でYES)も、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。また、扉制御部414が戸開保持指令および降車完了信号を受信しないまま(S124およびS129でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S123でYES)、扉制御部414はロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部415に出力する。切替部415は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S127)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部414は扉52に戸閉を指示する(S128)。
【0144】
以上のようにして、群管理制御システム100において、情報処理装置3の降車に関する処理が行われる。
【0145】
<変形例1>
上述した実施形態では、所定の条件が成立するか否かに基づき情報処理装置3の故障号機への乗車可否が決定されていたが、情報処理装置3の故障号機への乗車可否は予め設定されていてもよい。乗車可否を示す情報は、群管理制御システム100のいずれの装置が記憶していてもよい。また、乗車可否を示す情報は、群管理制御システム100外の装置が記憶していてもよい。情報処理装置3の故障号機への乗車可否が予め設定されている場合、候補号機決定部114は、情報処理装置3の故障号機への乗車可否を示す情報を記憶している装置から当該情報を取得し、当該情報に基づき候補号機の決定を行う。
【0146】
<変形例2>
上述した実施形態では、情報処理装置3からの戸開保持指令、乗車完了信号および降車完了信号は、ロボット管理装置2および群管理制御装置1を介してエレベータ制御装置4に送信されていた。しかしながら、戸開保持指令、乗車完了信号および降車完了信号は、情報処理装置3から直接エレベータ制御装置4に送信されてもよい。
【0147】
<変形例3>
上述した実施形態では、群管理制御装置1と情報処理装置3との間の情報の授受は、ロボット管理装置2を介して行われていた。しかしながら、群管理制御システム100がロボット管理装置2を備えず、群管理制御装置1と情報処理装置3とが直接通信を行い、情報を授受する構成であってもよい。
【0148】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0149】
<群管理制御システム100Aの構成>
図16は、本発明の実施形態2に係る群管理制御システム100Aの構成を示すブロック図である。
図16に示すように、群管理制御システム100Aは、群管理制御装置1Aおよび情報処理装置3Aを備える点において実施形態1に係る群管理制御システム100と異なる。
【0150】
情報処理装置3Aは、決定部312に代えて決定部312Aを有する制御部31Aと、条件情報321を記憶していない記憶部32Aと、を備える点において情報処理装置3と異なる。決定部312Aは、状態情報取得部311から状態情報424を取得すると、条件が成立するか否かに関する判定を行わずに呼び登録依頼を生成し、ロボット管理装置2に送信する。ここで、決定部312Aが送信する呼び登録依頼には、情報処理装置3Aの状態を示す情報が含まれる。
【0151】
群管理制御装置1Aは、候補号機決定部114に代えて候補号機決定部114Aを有する制御部11A、および条件情報321を記憶している記憶部12A、を備える点において群管理制御装置1と異なる。
【0152】
候補号機決定部114Aは、第2受付部113から情報処理装置3Aの呼び登録依頼を取得すると、条件情報321を参照し、条件情報321と情報処理装置3Aの状態とに基づき、所定の条件が成立するか否かを判定する。所定の条件が成立した場合、候補号機決定部114Aは、情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であると判定し、故障号機を含めた全号機を候補号機として決定する。一方、所定の条件が不成立である場合、情報処理装置3Aが故障号機に乗車不可であると判定し、候補号機決定部114Aは、故障号機を除いた号機を候補号機として決定する。
【0153】
以上のように、群管理制御システム100Aでは、群管理制御装置1Aにおいて、所定の条件が成立するか否か、すなわち情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であるか否かについての判定が行われる。これにより、情報処理装置3A側では条件成立に関する判定を行う必要がなくなるため、情報処理装置3Aでの処理の負担を軽減することができる。
【0154】
なお、上述した実施形態では、情報処理装置3Aは、呼び登録依頼を送信するときに該情報処理装置3Aの状態を示す情報を送信することで、候補号機決定部114Aが当該情報を取得していたが、これに限られない。例えば、群管理制御システム100Aでは、ロボット管理装置2が情報処理装置3Aの状態を統括的に管理していてもよい。この場合、ロボット管理装置2は、情報処理装置3Aからの呼び登録依頼を受信したときに、該呼び登録依頼と共に、該情報処理装置3Aの状態を示す情報を群管理制御装置1Aに送信する。
【0155】
<群管理制御システム100Aにおいて行われる処理>
図17は、情報処理装置3Aが呼び登録依頼を行うときに群管理制御システム100Aにおいて行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【0156】
図17に示す例において、情報処理装置3Aが利用要求を生成してから状態情報424を取得するまでの間に群管理制御システム100Aにおいて行われる処理(S131、S141~S142、S151~S152、S161)は、
図13のステップS11、S21~22、S31~32、およびS41の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0157】
情報処理装置3Aの決定部312Aは、状態情報424を取得すると、呼び登録依頼を生成し、ロボット管理装置2に対して出力する(S132)。呼び登録依頼には、情報処理装置3の識別情報、出発階、行先階、および情報処理装置3Aの状態を示す情報が含まれる。なお、群管理制御システム100Aにおいて、ステップS131、S141~S142、S151~S152、S161の処理は省略されてもよい。この場合、情報処理装置3Aにエレベータ5を利用する必要が生じた場合、決定部312Aは、状態情報424の取得を省略して呼び登録依頼の生成を行ってもよい。ロボット管理装置2の制御部21は、呼び登録依頼を受信すると(S143)、受信した呼び登録依頼を群管理制御装置1Aに送信する。
【0158】
群管理制御装置1Aの第2受付部113は、ロボット管理装置2を介して情報処理装置3Aから呼び登録依頼を受信すると(S153)、情報処理装置3の呼び登録を受け付ける。第2受付部113は、ロボット管理装置2から情報処理装置3Aの呼び登録依頼を受け付けると、受信した呼び登録依頼に含まれる情報を候補号機決定部114Aおよび割当部115に出力する。
【0159】
候補号機決定部114Aは、第2受付部113から、情報処理装置3Aの呼び登録依頼に関する情報を取得すると、記憶部12Aを参照し、条件情報321を取得する。候補号機決定部114Aは、条件情報321と情報処理装置3Aの状態を示す情報とに基づき、所定の条件が成立するか否かを判定する(S154)。また、候補号機決定部114Aは、当該判定結果に基づき、情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であるか否かを判定する。候補号機決定部114Aは、所定の条件が成立した場合は情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であると判定し、所定の条件が不成立である場合は情報処理装置3Aが故障号機に乗車不可であると判定する。候補号機決定部114Aは、当該判定の結果に基づき、故障号機を候補号機から除外するか否かを決定する。
【0160】
候補号機決定部114Aが故障号機を候補号機から除外するか否かを決定した後に行われる処理(S133、S144、S155~S157、S162~S163)は、
図13のステップS17、S24、S35~37、およびS42~S43の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0161】
以上のように、実施形態2に係る群管理制御システム100Aでは、情報処理装置3Aではなく群管理制御装置1Aにおいて、所定の条件が成立するか否かを判定する処理、および情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であるか否かを判定する処理が行われる。なお、これらの処理は、群管理制御装置1A以外の装置、例えばロボット管理装置2において行われてもよい。この場合、候補号機決定部114Aは、ロボット管理装置2から所定の条件が成立するか否か、または情報処理装置3Aが故障号機に乗車可能であるか否かを示す情報を取得する。
【0162】
〔ソフトウェアによる実現例〕
群管理制御システム100、100A(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11、11A、21、31、31A、41に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0163】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0164】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0165】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0166】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0167】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る群管理制御システムは、複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムであって、利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得部と、前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定部と、前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当部と、を備え、前記候補号機決定部は、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する。
【0169】
本発明の態様2に係る群管理制御システムは、前記態様1において、前記候補号機決定部は、前記情報処理装置が、前記故障号機に乗車不可である場合、当該故障号機を前記候補号機から除外してもよい。
【0170】
本発明の態様3に係る群管理制御システムは、前記態様1または2において、前記情報処理装置は、前記群管理制御システムから前記状態情報を取得する状態情報取得部と、前記取得した状態情報に含まれる前記動作状態の少なくとも一つが正常である場合、前記呼び登録依頼を行う決定部と、を備えていてもよい。
【0171】
本発明の態様4に係る群管理制御システムは、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、前記扉制御部は、前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている号機を前記呼び登録依頼に割り当てた場合、前記情報処理装置の乗車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごへの乗車を完了したことを示す乗車完了信号を受信するまでの第1期間、または(2)所定時間が経過するまでの第2期間、前記扉の開状態を保持してもよい。
【0172】
本発明の態様5に係る群管理制御システムは、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記かごの扉の開閉を制御する扉制御部をさらに備え、前記扉制御部は、前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている号機を前記呼び登録依頼に割り当てた場合、前記かごに乗車した前記情報処理装置の降車階において前記扉を開状態にしてから、(1)前記情報処理装置が前記かごからの降車を完了したことを示す降車完了信号を受信するまでの第3期間、または(2)所定時間が経過するまでの第4期間、前記扉の開状態を保持してもよい。
【0173】
本発明の態様6に係る制御方法は、複数のエレベータの号機を備える群管理制御システムの制御方法であって、利用者および自律走行可能な情報処理装置による前記エレベータのかごへの乗降を検知する、前記号機毎に設けられた検知装置の動作状態が正常か否かを示す状態情報を取得する取得ステップと、前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定ステップと、前記候補号機の中から前記情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当ステップと、を含み、前記候補号機決定ステップにおいて、前記状態情報が示す前記動作状態が正常ではない前記検知装置が設けられている前記号機である故障号機への前記情報処理装置の乗車可否に応じて、前記故障号機を前記候補号機から除外するか否かを決定する。
【符号の説明】
【0174】
1、1A 群管理制御装置
2 ロボット管理装置
3、3A 情報処理装置
4 エレベータ制御装置
5 エレベータ
51 かご
52 扉
53 検知装置
100、100A 群管理制御システム
112 取得部
114、114A 候補号機決定部
115 割当部
311 状態情報取得部
312、312A 決定部
424 状態情報
414 扉制御部
S32 取得ステップ
S35、S36 候補号機決定ステップ
S37:割当ステップ
【要約】
【課題】情報処理装置の状態に応じたより適切な号機の割り当てを行う。
【解決手段】群管理制御システム(100)は、利用者および自律走行可能な情報処理装置(3)によるエレベータ(5)のかご(51)への乗降を検知する検知装置(53)の動作状態が正常か否かを示す状態情報(424)を取得する取得部(112)と、情報処理装置の呼び登録依頼に割り当て可能な候補号機を決定する候補号機決定部(114)と、候補号機の中から情報処理装置の呼び登録依頼に割り当てる号機を選定する割当部(115)と、を備え、候補号機決定部は、状態情報が示す動作状態が正常ではない検知装置が設けられている号機である故障号機への情報処理装置の乗車可否に応じて、故障号機を候補号機から除外するか否かを決定する。
【選択図】
図1