(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電力システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20241001BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241001BHJP
H01M 10/44 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2024539329
(86)(22)【出願日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2023044440
【審査請求日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2023005256
(32)【優先日】2023-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文俊
(72)【発明者】
【氏名】栗田 了輔
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-259612(JP,A)
【文献】特開2017-85852(JP,A)
【文献】国際公開第2012/111234(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/044747(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004053(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数の逆変換器と、
前記複数の逆変換器を前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
最も劣化の進んだ第1蓄電池を備える第1逆変換器から前記第1蓄電池と同じ防火区画の第1負荷に放電する時、前記第1逆変換器以外の逆変換器から前記防火区画を超えて前記第1負荷に放電させる制御を実行する、
ことを特徴とする、電力システム。
【請求項2】
建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数のパワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナを前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
最も劣化の進んだ第1蓄電池を備える第1パワーコンディショナから前記第1蓄電池と同じ防火区画の第1負荷に放電する時、前記第1パワーコンディショナ以外のパワーコンディショナから前記防火区画を超えて前記第1負荷に放電させる制御を実行する、
ことを特徴とする、電力システム。
【請求項3】
建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数の逆変換器と、
前記複数の逆変換器を前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち最も劣化が進んだ第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、
ことを特徴とする電力システム。
【請求項4】
建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数のパワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナを前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち最も劣化が進んだ第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、
ことを特徴とする電力システム。
【請求項5】
前記複数の負荷は、それぞれに各防火区画内に配置された空調機器であり、
前記制御装置は、
前記空調機器を互いの運転時間が重ならないように輪番的に運転制御し、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち、前記第1蓄電池の充放電回数を他の蓄電池の充放電回数よりも少なく、または、前記第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電力システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1蓄電池の充電期間の直後に放電を行わない制御を行う、
請求項5に記載の電力システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1蓄電池の放電期間の直後に充電を行わない制御を行う、
請求項5に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電部と複数の負荷とを備える電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電システムが記載されている。特許文献1の蓄電システムは、複数の蓄電池と複数の電力変換部を備える。複数の蓄電池には、それぞれに複数の電力変換部が接続される。
【0003】
複数の電力変換部は、複数の電力変換部は、複数の蓄電部の直流出力を交流出力に変換して負荷に供給する。
【0004】
特許文献1の蓄電システムは、負荷で電力を消費する場合、商用電力系統からの電力とともに蓄電部から放電された電力を負荷に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の構成では、複数の蓄電池の劣化度(例えばSOH(State of Health))を考慮して、電力供給の制御を行っていない。このため、劣化度が高い(劣化が進んだ)蓄電池からの電力供給が低下または無くなり、商用電力系統から供給される電力のピーク値が上昇してしまうことがある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、蓄電池の劣化度を考慮して、商用電力系統から供給される電力のピーク値の上昇を抑制する電力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態における電力システムは、建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、受電点を通じて商用電力系統から供給される電力を充電し、または蓄電池から負荷へ電力を放電する複数の逆変換器または複数のパワーコンディショナと、複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、最も劣化の進んだ第1蓄電池を備える第1逆変換器または第1パワーコンディショナから第1蓄電池と同じ防火区画の第1負荷に放電する時、第1逆変換器または第1パワーコンディショナ以外の逆変換器またはパワーコンディショナから防火区画を超えて第1負荷に放電させる制御を実行する。
【0009】
また、この発明の一実施形態における電力システムは、建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、受電点を通じて商用電力系統から供給される電力を充電し、または蓄電池から負荷へ電力を放電する複数の逆変換器または複数のパワーコンディショナと、複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、複数の蓄電池のうち最も劣化が進んだ第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する。
【0010】
これらの構成では、最も劣化の進んだ蓄電池の放電電力が少なくなる、または、放電速度が遅くなる。したがって、最も劣化の進んだ蓄電池の劣化を抑制し、この蓄電池による負荷への電力アシスト時間を延ばすことできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、蓄電池の劣化度を考慮して、商用電力系統から供給される電力のピーク値の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、各蓄電池のSOH、上限SOC、および、下限SOCの例を示す表である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電力システムの負荷への電力供給を概略的に示す図である。
【
図4】
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)は、比較例の電力システムの負荷への電力供給を概略的に示す図である。
【
図5】
図5(A)は、本発明の第1の実施形態に係る電力システムにおける複数の蓄電池の蓄電電力の推移を示す図であり、
図5(B)は、比較例の電力システムにおける複数の蓄電池の蓄電電力の推移を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、
図8(D)は、第3の実施形態に係る電力システムにおける輪番制御での各状態を示す図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る電力システムの充放電制御による複数の蓄電池の蓄電電力の遷移を示す図である。
【
図10】
図10は、比較例の電力システムの充放電制御による複数の蓄電池の蓄電電力の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る電力システムについて、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。なお、本実施形態を含む各実施形態における階層数、逆変換器の個数、負荷の個数は、一例であり、複数であればこの例に限るものではない。
【0014】
(電力システム10の概略構成)
図1に示すように、電力システム10は、複数の逆変換器31-34、複数の負荷41-44、複数の系統連系リレー51-54、全体制御装置60、商用電力連系ライン500、受電点P500、および、電流センサCTを備える。全体制御装置60が本発明の「制御装置」に対応する。
【0015】
複数の逆変換器31-34、複数の負荷41-44、複数の系統連系リレー51-54、および、全体制御装置60は、例えば複数階(図の例であれば、4階建て)を有する建築物に設置される。図の例では、逆変換器31、負荷41および系統連系リレー51は、3階に設置され、逆変換器32、負荷42および系統連系リレー52は、2階に設置される。逆変換器33、負荷43および系統連系リレー53は、1階に設置され、逆変換器34、負荷44および系統連系リレー54は、地下1階に設置される。すなわち、逆変換器、負荷および系統連系リレーの組は、それぞれに、同じ建築物の異なる階層に設置される。全体制御装置60は、いずれの階層に設置されていてもよい。
【0016】
それぞれの階層は、それぞれに異なる防火区画に設定されている。すなわち、逆変換器、負荷および系統連系リレーの組は、それぞれに異なる防火区画に設置される。
【0017】
複数の逆変換器31-34は、それぞれに複数の系統連系リレー51-54を通じて受電点P500に接続される。受電点P500において複数の逆変換器31-34の出力が集電され、商用電力連系ライン500を通じて商用電力系統に連系される。商用電力連系ライン500には、電流センサCTが設置されている。
【0018】
逆変換器31は、制御部310、双方向インバータ313、双方向DCDCコンバータ314、および、蓄電池315を備える。双方向インバータ313の交流端子は、系統連系リレー51に接続され、双方向インバータ313の直流端子は、双方向DCDCコンバータ314に接続される。双方向DCDCコンバータ314は、蓄電池315に接続される。制御部310は、全体制御装置60からの制御指示にしたがって、逆変換器31の各種動作の制御を行う。例えば、制御部310は、蓄電池315の充電制御や放電制御を行う。
【0019】
逆変換器32は、制御部320、双方向インバータ323、双方向DCDCコンバータ324、および、蓄電池325を備える。双方向インバータ323の交流端子は、系統連系リレー52に接続され、双方向インバータ323の直流端子は、双方向DCDCコンバータ324に接続される。双方向DCDCコンバータ324は、蓄電池325に接続される。制御部320は、全体制御装置60からの制御指示にしたがって、逆変換器32の各種動作の制御を行う。例えば、制御部320は、蓄電池325の充電制御や放電制御を行う。
【0020】
逆変換器33は、制御部330、双方向インバータ333、双方向DCDCコンバータ334、および、蓄電池335を備える。双方向インバータ333の交流端子は、系統連系リレー53に接続され、双方向インバータ333の直流端子は、双方向DCDCコンバータ334に接続される。双方向DCDCコンバータ334は、蓄電池335に接続される。制御部330は、全体制御装置60からの制御指示にしたがって、逆変換器33の各種動作の制御を行う。例えば、制御部330は、蓄電池335の充電制御や放電制御を行う。
【0021】
逆変換器34は、制御部340、双方向インバータ343、双方向DCDCコンバータ344、および、蓄電池345を備える。双方向インバータ343の交流端子は、系統連系リレー54に接続され、双方向インバータ343の直流端子は、双方向DCDCコンバータ344に接続される。双方向DCDCコンバータ344は、蓄電池345に接続される。制御部340は、全体制御装置60からの制御指示にしたがって、逆変換器34の各種動作の制御を行う。例えば、制御部340は、蓄電池345の充電制御や放電制御を行う。
【0022】
蓄電池315、蓄電池325、蓄電池335、および、蓄電池345は、劣化が生じていない状態(初期状態)において、同じ蓄電容量および同じ充放電特性を有する。なお、ここでの同じ蓄電用量および同じ充放電特性とは、製造誤差の範囲を許容する。
【0023】
負荷41は、逆変換器31と系統連系リレー51とを接続するラインに対して接続される。負荷42は、逆変換器32と系統連系リレー52とを接続するラインに対して接続される。負荷43は、逆変換器33と系統連系リレー53とを接続するラインに対して接続される。負荷44は、逆変換器34と系統連系リレー54とを接続するラインに対して接続される。
【0024】
負荷41、負荷42、負荷43、および、負荷44は、同じ仕様であり、少なくとも消費電力が同じである。なお、ここでの同じ仕様、消費電力が同じとは、製造誤差の範囲を許容する。
【0025】
(全体制御装置60)
全体制御装置60は、商用電力連系ライン500に配置された電流センサCTからの出力(受電点P500での電流の向きおよび大きさ)を受け、複数の逆変換器31-34に対して、後述する各種の制御を行う。
【0026】
全体制御装置60は、負荷41-44の運転について商用電力系統から電力の供給を必要とする場合、商用電力系統から電力の供給を受ける。全体制御装置60は、所定時間(例えば30分)当たりの供給電力のピーク電力の上限値を予め記憶している。全体制御装置60は、電流センサCTの出力に基づいて、供給電力のピーク電力が上限値を超えない範囲で、複数の蓄電池315、325、335、345による電力アシスト(放電アシスト)を行いながら負荷41-44へ運転用の電力を供給する制御を実行する。
【0027】
より具体的には、全体制御装置60は、複数の蓄電池315、325、335、345のSOHおよびSOCを管理している。例えば、逆変換器31の制御部310は、蓄電池315のSOHおよびSOCを観測しており、観測したSOHおよびSOCを全体制御装置60に出力する。同様に、複数の逆変換器32、33、34の制御部320、330、340は、蓄電池325、335、345のSOHおよびSOCをそれぞれに観測しており、観測したSOHおよびSOCを全体制御装置60に出力する。全体制御装置60は、これらの観測されたSOHおよびSOCを記憶する。
【0028】
全体制御装置60は、複数の蓄電池315、325、335、345のSOHおよびSOCに基づいて、複数の負荷41-44の全てが運転している時間が最も長くなるように、複数の蓄電池315、325、335、345の放電制御を行う。概略的には、全体制御装置60は、最も劣化の進んだ蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流よりも小さくし、且つ、複数の負荷41-44の全てが運転している時間が最も長くなるように放電制御を行う。
【0029】
全体制御装置60は、この放電制御の指示を、複数の逆変換器31、33、33、34の制御部310、320、330、340に出力する。より具体的には、全体制御装置60は、蓄電池315の放電制御の指示を逆変換器31の制御部310に出力し、蓄電池325の放電制御の指示を逆変換器32の制御部320に出力する。全体制御装置60は、蓄電池335の放電制御の指示を逆変換器33の制御部330に出力し、蓄電池345の放電制御の指示を逆変換器34の制御部340に出力する。
【0030】
複数の制御部310、320、330、340は、放電制御の指示にしたがって複数の蓄電池315、325、335、345のそれぞれの放電制御を行う。
【0031】
(具体例)
電力システム10が実行する負荷41-45への電力アシスト制御の1つの具体例を説明する。
図2は、各蓄電池のSOH、上限SOC、および、下限SOCの例を示す表である。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る電力システムの負荷への電力供給を概略的に示す図である。
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)は、比較例の電力システムの負荷への電力供給を概略的に示す図である。
【0032】
図2に示すように、蓄電池315、325、335、345は、SOHが異なる。そして、蓄電池315、325、335、345の上限SOC(充電容量の上限)と下限SOC(充電容量の下限)とは、それぞれのSOHによって決定されている。上限SOCおよび下限SOCは、SOHが100%の充電容量に基づいて設定されている。
【0033】
具体的な一例として、蓄電池315のSOHは100%であり、上限SOCは100%、下限SOCは0%に設定されている。蓄電池325のSOHは90%であり、上限SOCは90%、下限SOCは10%に設定されている。蓄電池325のSOHは80%であり、上限SOCは80%、下限SOCは20%に設定されている。蓄電池325のSOHは70%であり、上限SOCは70%、下限SOCは30%に設定されている。
【0034】
(本願の電力システム10の制御)
図3に示すように、電力システム10の全体制御装置60は、蓄電池315を備える逆変換器31から負荷41に対して、放電電力P31で電力アシストを行う。負荷41は、放電電力P31と商用電力系統から電力P1とによって駆動される。
【0035】
全体制御装置60は、蓄電池325を備える逆変換器32から負荷42に対して、放電電力P32で電力アシストを行う。負荷42は、放電電力P32と商用電力系統から電力P2とによって駆動される。
【0036】
全体制御装置60は、蓄電池335を備える逆変換器33から負荷43に対して、放電電力P33で電力アシストを行う。負荷43は、放電電力P33と商用電力系統から電力P3とによって駆動される。
【0037】
全体制御装置60は、蓄電池345を備える逆変換器34から負荷44に対して、放電電力P34で電力アシストを行う。負荷44は、放電電力P34と商用電力系統から電力P4とによって駆動される。
【0038】
全体制御装置60は、複数の放電電力P31、P32、P33、P34を、P31>P32>P33>P34の関係になるように制御する。言い換えれば、全体制御装置60は、劣化の進行度が高いほど放電電力が小さくなるように、複数の放電電力P31、P32、P33、P34(すなわち放電電流)を制御する。そして、全体制御装置60は、最も劣化が進んだ蓄電池345の放電電力P34が他の蓄電池315、325、335の放電電力P31、P32、P33よりも小さくなるように制御する。
【0039】
この際、全体制御装置60は、商用電力系統から電力P1、P2、P3、P4の所定時間当たりのピーク電力が供給電力の上限値(予め設定)を超えないように、複数の放電電力P31、P32、P33、P34(すなわち放電電流)の合計電力を制御する。このような制御を行うことで、不所望な供給電力の増加と、これによる基本電気料金の増加を防ぐことができる。
【0040】
さらに、全体制御装置60は、負荷41-44の運転時間が同じになるように、複数の放電電力P31、P32、P33、P34(すなわち放電電流)を制御する。
【0041】
(比較例の電力システム10Xの制御)
複数の蓄電池315、325、335、345の蓄電電力が下限SOC以上の状態では、
図4(A)に示すように、電力システム10Xの全体制御装置60は、複数の逆変換器31-34から複数の負荷41-44に対して、全て同じ放電電力P30で電力アシストを行う。
【0042】
複数の蓄電池315、325、335、345の蓄電電力が下限SOCを下回るまでは、
図4(A)に示すように、電力システム10Xの全体制御装置60は、この電力アシストを継続する。複数の負荷41-44は、放電電力P30と商用電力系統から電力P1、P2、P3、P4とによってそれぞれに駆動される。
【0043】
図2の場合、蓄電池345は、他の蓄電池315、325、335よりも蓄電電力が小さい。したがって、比較例の電力アシストを継続していると、蓄電池345の蓄電電力が下限SOCを下回る。これが逆変換器34によって検出されると、
図4(B)に示すように、全体制御装置60および逆変換器34は、蓄電池345から負荷44への電力アシストを停止する。したがって、負荷44には、蓄電池345からの放電電力P30が得られない分の電力を上乗せした電力P4Aが商用電力系統から供給される。これにより、電力システム10Xが商用電力系統から供給を受ける電力は増加してしまう。
【0044】
さらに、負荷41-44の運転が続くと、次に、蓄電池335の蓄電電力が下限SOCを下回る。これが逆変換器33によって検出されると、
図4(C)に示すように、全体制御装置60および逆変換器33は、蓄電池335から負荷43への電力アシストを停止する。したがって、負荷43には、蓄電池335からの放電電力P30が得られない分の電力を上乗せした電力P3Aが商用電力系統から供給される。これにより、電力システム10Xが商用電力系統から供給を受ける電力はさらに増加してしまう。
【0045】
以上のように、電力システム10は、不所望な電力供給の増加を抑制できる。
【0046】
(負荷の連続運転時間の延長)
図5(A)は、本発明の第1の実施形態に係る電力システムにおける複数の蓄電池の蓄電電力の推移を示す図である。
図5(B)は、比較例の電力システムにおける複数の蓄電池の蓄電電力の推移を示す図である。比較例の電力システム10Xは、各階層の逆変換器31-34が各階層の負荷41-44に同じ放電電力で電力供給する。
【0047】
(比較例の電力システム10Xの制御)
比較例の電力システム10Xでは、放電電力P30は、複数の蓄電池315、325、335、345によらず同じである。このため、
図5(B)に示すように、蓄電池345の蓄電電力が、複数の蓄電池315、325、335の蓄電電力よりも早く下限SOCに達してしまう。これにより、電力システム10Xは、商用電力系統から供給電力を増加させなければならない。次に、蓄電池335の蓄電電力が下限SOCに達してしまう。これにより、電力システム10Xは、商用電力系統から供給電力をさらに増加させなければならない。
【0048】
この時点では、蓄電池315、325は、負荷41、42への電力アシストがまだ可能である。しかしながら、電力システム10Xとしては、商用電力系統からの供給電力を増加させることなく、複数の負荷41-45への電力供給を継続できない。すなわち、電力システム10Xでは、最も劣化が進んだ蓄電池345の蓄電電力が下限SOCを下回った時点で、全体としての蓄電池を用いた電力アシストを継続できなくなる。
【0049】
(本願の電力システム10の制御)
電力システム10は、上述のように、放電電力P31、P32、P33、P34の大きさを制御する。具体的には、
図5(A)に示すように、複数の蓄電池315、325、335、345は、初期状態として、SOHと上限SOCによって決まる蓄電可能な最大電力を蓄電している。
【0050】
全体制御装置60は、この初期状態から、複数の蓄電池315、325、335、345の蓄電電力がそれぞれの下限SOCに達するまでの時間が同じになるように、放電電力P31、P32、P33、P34の大きさを制御する。具体的には、全体制御装置60は、複数の放電電力P31、P32、P33、P34を、P31>P32>P33>P34の関係になり、且つ、放電電力P31、P32、P33、P34の差を調整する。
【0051】
より具体的には、本願の電力システム10は、複数の蓄電池315、325、335、345のSOH、上限SOCおよび下限SOCの差に基づいて、複数の放電電力P31、P32、P33、P34を調整する。これにより、
図5(A)に示すように、電力システム10では、全ての蓄電池315、325、335、345による電力アシストの時間を同じにでき、さらに、全ての負荷41-44に対する蓄電池を用いた電力アシストの時間を比較例の電力システム10Xよりも長くできる。
【0052】
これにより、本実施形態に係る電力システム10は、蓄電池の劣化度を考慮して、商用電力系統から供給される電力のピーク値の上昇を抑制できる。さらに、電力システム10では、蓄電池の劣化が進むほど放電電流が小さくなるので、劣化の進んだ蓄電池の放電電流による更なる劣化を抑制できる。
【0053】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る電力システムについて、図を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。
【0054】
図6に示すように、第2の実施形態に係る電力システム10Aは、第1の実施形態に係る電力システム10に対して、複数の逆変換器31-34が複数のパワーコンディショナ31P-34Pに変更された点で異なる。電力システム10Aの他の構成は、電力システム10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0055】
電力システム10Aは、複数のパワーコンディショナ31P-34P、複数の負荷41-44、および、全体制御装置60を備える。
【0056】
複数のパワーコンディショナ31P-34Pは、受電点P500を通じて商用電力系統に接続される。
【0057】
パワーコンディショナ31Pは、PCS制御部310P、双方向インバータ313、双方向DCDCコンバータ314、蓄電池315、および、系統連系リレー316を備える。双方向インバータ313の交流端子は、系統連系リレー316を通じて受電点P500に接続される。
【0058】
パワーコンディショナ32Pは、PCS制御部320P、双方向インバータ323、双方向DCDCコンバータ324、蓄電池325、および、系統連系リレー326を備える。双方向インバータ323の交流端子は、系統連系リレー326を通じて受電点P500に接続される。
【0059】
パワーコンディショナ33Pは、PCS制御部330P、双方向インバータ333、双方向DCDCコンバータ334、蓄電池335、および、系統連系リレー336を備える。双方向インバータ333の交流端子は、系統連系リレー336を通じて受電点P500に接続される。
【0060】
パワーコンディショナ34Pは、PCS制御部340P、双方向インバータ343、双方向DCDCコンバータ344、蓄電池345、および、系統連系リレー346を備える。双方向インバータ343の交流端子は、系統連系リレー346を通じて受電点P500に接続される。
【0061】
負荷41、42、43、44は、系統連系リレー316、326、336、346と受電点P500とを接続する各ラインに対してそれぞれに接続される。
【0062】
このように、逆変換器31-34が複数のパワーコンディショナ31P-34Pに変更された構成であっても、電力システム10Aは、電力システム10と同様の電力アシストを実現できる。これにより、電力システム10Aは、電力システム10と同様に、蓄電池の劣化度を考慮して、商用電力系統から供給される電力のピーク値の上昇を抑制でき、劣化の進んだ蓄電池の放電電流による更なる劣化を抑制できる。
【0063】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る電力システムについて、図を参照して説明する。
図7は、第3の実施形態に係る電力システムの構成の一例を示す図である。
【0064】
図7に示すように、第3の実施形態に係る電力システム10Bは、第2の実施形態に係る電力システム10Aに対して、負荷41-44がそれぞれ空調機器41B-44Bに変更された点、複数の空調機器41B-44Nを輪番で運転する点で異なり、これらの異なる構成に対する全体制御装置60Bの制御が異なる点で異なる。電力システム10Bの他の構成は、電力システム10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0065】
電力システム10Bは、複数の空調機器41B-44Bを備える。
【0066】
空調機器41Bは、パワーコンディショナ31Pと同じ階層に設置される。空調機器41Bは、パワーコンディショナ31Pと受電点P500とを接続するラインに対して接続される。空調機器42Bは、パワーコンディショナ32Pと同じ階層に設置される。空調機器42Bは、パワーコンディショナ32Pと受電点P500とを接続するラインに対して接続される。空調機器43Bは、パワーコンディショナ33Pと同じ階層に設置される。空調機器43Bは、パワーコンディショナ33Pと受電点P500とを接続するラインに対して接続される。空調機器44Bは、パワーコンディショナ34Pと同じ階層に設置される。空調機器44Bは、パワーコンディショナ34Pと受電点P500とを接続するラインに対して接続される。
【0067】
全体制御装置60は、複数のパワーコンディショナ31P-34Pへの制御指示を行うとともに、複数の空調機器41B-44Bの運転制御を行う。
【0068】
(運転制御)
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、
図8(D)は、第3の実施形態に係る電力システムにおける輪番制御での各状態を示す図である。
図8(A)は、3階の空調機器のみを運転する場合、
図8(B)は、2階の空調機器のみを運転する場合、
図8(C)は、1階の空調機器のみを運転する場合、
図8(D)は、B1階の空調機器のみを運転する場合を示す。
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、
図8(D)では、ハッチングされていない空調機器が運転状態を示し、ハッチングされている空調機器が停止状態を示す。
【0069】
また、本実施形態では、複数の空調機器41B-44Bの消費電力が10kWの例を説明するが、これは一例であり、消費電力はこれに限られない。
【0070】
(複数の空調機器41B-44Bの輪番運転(複数の蓄電池315、325、335、345の放電制御))
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、
図8(D)に示すように、全体制御装置60は、複数の空調機器41B-44Bを輪番運転するように制御する。すなわち、全体制御装置60は、複数の空調機器41B-44Bのそれぞれの運転状態が重ならないように、順々に単独運転するように、複数の空調機器41B-44Bの運転制御を行う。
【0071】
(空調機器41Bの単独運転)
図8(A)に示すように、全体制御装置60は、空調機器41Bを運転制御し、蓄電池315を放電させて空調機器41Bの消費電力をアシストする指示をパワーコンディショナ31Pに与える。この際、全体制御装置60は、複数の空調機器42B、43B、44Bを停止し、パワーコンディショナ32P、33P、34Pに対して、それぞれの蓄電池325、335、345の放電を行わないように制御する。
【0072】
パワーコンディショナ31PのPCS制御部310Pは、蓄電池315を放電制御し、空調機器41Bに供給する。例えば、
図8(A)の例では、空調機器41Bは、パワーコンディショナ31Pから4kWの電力を受け、商用電力系統から6kWの電力を受ける。
【0073】
(空調機器42Bの単独運転)
図8(B)に示すように、全体制御装置60は、空調機器42Bを運転制御し、蓄電池325を放電させて空調機器42Bの消費電力をアシストする指示をパワーコンディショナ32Pに与える。この際、全体制御装置60は、複数の空調機器41B、43B、44Bを停止し、パワーコンディショナ31P、33P、34Pに対して、それぞれの蓄電池315、335、345の放電を行わないように制御する。
【0074】
パワーコンディショナ32PのPCS制御部310Pは、蓄電池325を放電制御し、空調機器42Bに供給する。例えば、
図8(B)の例では、空調機器42Bは、パワーコンディショナ32Pから4kWの電力を受け、商用電力系統から6kWの電力を受ける。
【0075】
(空調機器43Bの単独運転)
図8(C)に示すように、全体制御装置60は、空調機器43Bを運転制御し、蓄電池335を放電させて空調機器43Bの消費電力をアシストする指示をパワーコンディショナ33Pに与える。この際、全体制御装置60は、複数の空調機器41B、42B、44Bを停止し、パワーコンディショナ31P、32P、34Pに対して、それぞれの蓄電池315、325、345の放電を行わないように制御する。
【0076】
パワーコンディショナ33PのPCS制御部310Pは、蓄電池335を放電制御し、空調機器43Bに供給する。例えば、
図8(C)の例では、空調機器43Bは、パワーコンディショナ33Pから4kWの電力を受け、商用電力系統から6kWの電力を受ける。
【0077】
(空調機器44Bの単独運転)
上述のように、蓄電池345は、他の蓄電池315、325、335と比較して、劣化が進んでおり、蓄電電力が低い。このため、全体制御装置60は、蓄電池345のみから空調機器44Bへ電力供給するのではなく、蓄電池345と蓄電池315とから空調機器44Bへ電力供給する。なお、蓄電池345とともに空調機器44Bに電力供給する蓄電池は、蓄電池315に限るものではないが、劣化が最も進んでいない蓄電池315を用いることが好ましい。
【0078】
図8(D)に示すように、全体制御装置60は、空調機器44Bを運転制御し、蓄電池345を放電させて空調機器44Bの消費電力をアシストする指示をパワーコンディショナ34Pに与える。さらに、全体制御装置60は、蓄電池315を放電させて空調機器44Bの消費電力をアシストする指示をパワーコンディショナ31Pに与える。
【0079】
パワーコンディショナ34PのPCS制御部310Pは、蓄電池345を放電制御し、空調機器44Bに供給する。パワーコンディショナ31PのPCS制御部310Pは、蓄電池315を放電制御し、空調機器44Bに供給する。例えば、
図8(D)の例では、空調機器44Bは、パワーコンディショナ34Pから2kWの電力を受け、パワーコンディショナ31Pから2kWの電力を受け、商用電力系統から6kWの電力を受ける。
【0080】
このような放電制御を行うことによって、電力システム10Bは、複数の空調機器41B-44Bの輪番運転において、商用電力系統からの供給電力を一定にできる。言い換えれば、電力システム10Bは、商用電力系統からの供給電力の一時的な上昇を抑制できる。
【0081】
さらに、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345からの放電電力を小さくできる。これにより、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345の劣化を抑制できる。
【0082】
(充放電シーケンス)
上述の複数の空調機器41B-44Bの運転制御のとき、全体制御装置60は、複数の蓄電池315、325、335、345の放電制御とともに充電制御を行う。
【0083】
図9は、第3の実施形態に係る電力システムの充放電制御による複数の蓄電池の蓄電電力の遷移を示す図である。
図10は、比較例の電力システムの充放電制御による複数の蓄電池の蓄電電力の遷移を示す図である。
図9、
図10の横軸は時間を示し、縦軸は蓄電池の残容量を示す。
【0084】
図9、
図10の充放電シーケンスは、一例であり、これに限るものではない。また、
図9、
図10では、空調機器を30分ごとに輪番運転し、輪番運転の切替時間として10分間どの空調機器も運転しない時間を挿入している。空調機器の消費電力は10kWとする。蓄電池の放電時間は空調機器の運転時間と同期して30分とし、蓄電池から空調機器への放電電力4kWで輪番運転する場合を示す。なお、この放電時間、放電速度は一例であり、複数の空調機器41B-44Bの消費電力や目標温度等に応じて適宜設定できる。また、
図9、
図10では、充電時間10分、商用電力系統から蓄電池への充電電力6kWで充電する場合を示す。充電速度についても、放電速度と同様に適宜設定できる。放電電力よりも充電電力を大きくしている理由は、空調機器の消費電力10kWに対して蓄電池からの放電電力を4kWでアシストするので、商用電力系統から供給される電力は6kWとなり、蓄電池に充電する期間は空調機器がいずれも停止している状態であるため、商用電力系統から6kW充電電力として供給しても、ピーク電力値が変わらないから、というものである。
【0085】
(電力システム10Bの充放電シーケンス)
図9に示すように、期間T11において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力4kWで30分放電するので、電力量は2kWhとなり、蓄電池315の蓄電電力量は5kWhから3kWhとなる。期間CH11において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力6kWで10分充電するので、電力量は1kWhとなり、蓄電池315の蓄電電力量は4kWhとなる。
【0086】
期間T21において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量はT11と同様、2kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は、4.5kWhから2.5kWhとなる。期間CH21において、電力システム10Bは、空調機器42Bを停止して、蓄電池325を充電する。充電電力量は期間CH11と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は3.5kWhとなる。
【0087】
期間T31において、電力システム10Bは、空調機器43Bを運転し、蓄電池335を放電する。放電電力量はT11と同様、2kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は、4kWhから2kWhとなる。期間CH31において、電力システム10Bは、空調機器43Bを停止して、蓄電池335を充電する。充電電力量は期間CH11と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は3kWhとなる。
【0088】
期間T41において、電力システム10Bは、空調機器44Bを運転し、蓄電池345と蓄電池315を放電する。この時、蓄電池345は最も劣化が進んでいるので、蓄電池315、325、335と同様に放電電力を4kWとはせず、2kWとしている。不足する2kWを蓄電池315から放電させることで賄う。よって蓄電池345は、放電電力2kWで30分放電するので、放電電力量は1kWhとなり、蓄電電力量は3.5kWhから2.5kWhとなる。同様に蓄電池315の蓄電電力量は、4kWhから3kWhとなる。
【0089】
期間CH12において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH11と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は4kWhとなる。なお、期間CH12において蓄電池345を充電しない理由としては、最も劣化が進んだ蓄電池であるので、放電してすぐに充電する、という使い方を避けるためである。
【0090】
期間T12において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量はT11と同様、2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は、4kWhから2kWhとなる。期間CH13(CH41)において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池315を充電するとともに、蓄電池345を充電する。この時、蓄電池345を充電させるため、蓄電池315への充電電力を3kW、蓄電池345への充電電力を3kWとする。ここでも蓄電池345には大電流による充電を避けるため、蓄電池315と充電電力を分配する。この結果、蓄電池315と蓄電池345には共に0.5kWhが充電され、蓄電池315の蓄電電力量は2.5kWh、蓄電池345の蓄電電力量は3kWhとなる。
【0091】
期間T22において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量はT21と同様、2kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は、3.5kWhから1.5kWhとなる。期間CH22において、電力システム10Bは、空調機器42Bを停止して、蓄電池325を充電する。充電電力量は期間CH21と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は2.5kWhとなる。
【0092】
期間T32において、電力システム10Bは、空調機器43Bを運転し、蓄電池335を放電する。放電電力量はT31と同様、2kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は、3kWhから1kWhとなる。期間CH32において、電力システム10Bは、空調機器43Bを停止して、蓄電池335を充電する。充電電力量は期間CH31と同様、1kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0093】
期間T42において、電力システム10Bは、空調機器44Bを運転し、蓄電池345と蓄電池315を放電する。蓄電池345の放電電力量はT41と同様、2kWとしている。不足する2kWを蓄電池325から放電させることで賄う。よって蓄電池345は、放電電力2kWで30分放電するので、電力量は1kWhとなり、蓄電電力量は3kWhから2kWhとなる。同様に蓄電池325の蓄電電力量は、2.5kWhから1.5kWhとなる。
【0094】
期間CH33において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池335を充電する。充電電力量は期間CH32と同様、1kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は3kWhとなる。
【0095】
期間T13において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量はT12と同様、2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は、2.5kWhから0.5kWhとなる。
【0096】
期間CH23(CH42)において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池325を充電するとともに、蓄電池345を充電する。充電電力量は期間CH41(CH13)と同様、蓄電池325への充電電力を3kW、蓄電池345への充電電力を3kWとする。ここでも蓄電池345には大電流による充電を避けるため、蓄電池325と充電電力を分配する。この結果、蓄電池325と蓄電池345には共に0.5kWhが充電され、蓄電池315の蓄電電力量は2kWh、蓄電池345の蓄電電力量は2.5kWhとなる。
【0097】
期間T23において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325と蓄電池315を放電する。蓄電池315の放電電力量は蓄電電力量が0.5kWhしかないため、1kWとしている。不足する3kWを蓄電池325から放電させることで賄う。よって蓄電池315は、放電電力1kWで30分放電するので、電力量は0.5kWhとなり、蓄電電力量は0.5kWhから0kWhとなる。同様に蓄電池325の蓄電電力量は、2kWhから0.5kWhとなる。
【0098】
期間CH14において、電力システム10Bは、空調機器42Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH12と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は1kWhとなる。
【0099】
期間T33において、電力システム10Bは、空調機器43Bを運転し、蓄電池335を放電する。放電電力量はT32と同様、2kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は、3kWhから1kWhとなる。
【0100】
期間CH15において、電力システム10Bは、空調機器43Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH14と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0101】
期間T43において、電力システム10Bは、空調機器44Bを運転し、蓄電池345と蓄電池315を放電する。蓄電池345の放電電力量は期間T41と同様、2kWとし、不足する2kWを蓄電池315から放電させることで賄う。よって蓄電池345は、放電電力2kWで30分放電するので、電力量は1kWhとなり、蓄電電力量は2.5kWhから1.5kWhとなる。同様に蓄電池315の蓄電電力量は、2kWhから1kWhとなる。
【0102】
期間CH16において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH15と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0103】
期間T14において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量はT13と同様、2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は、2kWhから0kWhとなる。
【0104】
期間CH24において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池325を充電する。充電電力量は期間CH22と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は1kWhとなる。
【0105】
期間T24において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量はT22と同様、2kWhとなるが、蓄電池325の蓄電電力量は、1.5kWhしかなく、寿命を考慮した電力量は1kWhしか放電できないため、15分放電したところで蓄電池からの放電は不可能になってしまう。結果として、535分間は蓄電池315、325、335、345の放電アシストによって商用電力系統から購入する電力量のピーク値を一定に抑えることができる。実質9時間弱であり、一般的に電力需要が厳しいとされる夏場の午後から日没までの時間帯は十分にカバーできることになる。
【0106】
(比較例の電力システムの充放電シーケンス)
図10に示すように、期間T11から期間T41までは、
図9と同様であり、説明は省略する。
【0107】
期間T41の後、期間CH41において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池345を充電する。充電電力は6kWで、10分充電するので充電電力量は1kWhとなり、蓄電池345の蓄電電力量は2.5kWhとなる。
【0108】
期間T12において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量は4kWであり、30分放電するので放電電力量は2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0109】
期間CH42において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池345を充電する。充電電力は6kWで、10分充電するので充電電力量は1kWhとなり、蓄電池345の蓄電電力量は3.5kWhとなる。
【0110】
期間T22において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量は4kWであり、30分放電するので放電電力量は2kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は1.5kWhとなる。期間CH22において、電力システム10Bは、空調機器42Bを停止して、蓄電池325を充電する。充電電力量は期間CH21と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は2.5kWhとなる。
【0111】
期間T32において、電力システム10Bは、空調機器43Bを運転し、蓄電池335を放電する。放電電力量は期間T31と同様、2kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は1kWhとなる。期間CH32において、電力システム10Bは、空調機器43Bを停止して、蓄電池335を充電する。充電電力量は期間CH31と同様、1kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0112】
期間T42において、電力システム10Bは、空調機器44Bを運転し、蓄電池345を放電する。放電電力量は期間T41と同様、2kWhとなるので、蓄電池345の蓄電電力量は1.5kWhとなる。
【0113】
期間CH33において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池335を充電する。充電電力量は期間CH32と同様、1kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は3kWhとなる。
【0114】
期間T13において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量は期間T12と同様、2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は0kWhとなる。
【0115】
期間CH43において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池345を充電する。充電電力量は期間CH41と同様、1kWhとなるので、蓄電池345の蓄電電力量は2.5kWhとなる。
【0116】
期間T23において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量はT22と同様、2kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は0.5kWhとなる。
【0117】
期間CH44において、電力システム10Bは、空調機器42Bを停止して、蓄電池345を充電する。充電電力量は期間CH42と同様、1kWhとなるので、蓄電池345の蓄電電力量は3.5kWhとなる。
【0118】
期間T33において、電力システム10Bは、空調機器43Bを運転し、蓄電池335を放電する。放電電力量はT32と同様、2kWhとなるので、蓄電池335の蓄電電力量は1kWhとなる。
【0119】
期間CH12において、電力システム10Bは、空調機器43Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH11と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は1kWhとなる。
【0120】
期間T43において、電力システム10Bは、空調機器44Bを運転し、蓄電池345を放電する。放電電力量は期間T42と同様、2kWhとなるので、蓄電池345の蓄電電力量は1.5kWhとなる。
【0121】
期間CH13において、電力システム10Bは、空調機器44Bを停止して、蓄電池315を充電する。充電電力量は期間CH12と同様、1kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は2kWhとなる。
【0122】
期間T14において、電力システム10Bは、空調機器41Bを運転し、蓄電池315を放電する。放電電力量は期間T13と同様、2kWhとなるので、蓄電池315の蓄電電力量は0kWhとなる。
【0123】
期間CH23において、電力システム10Bは、空調機器41Bを停止して、蓄電池325を充電する。充電電力量は期間CH22と同様、1kWhとなるので、蓄電池325の蓄電電力量は1.5kWhとなる。
【0124】
期間T24において、電力システム10Bは、空調機器42Bを運転し、蓄電池325を放電する。放電電力量はT23と同様、2kWhとなるが、蓄電池325の蓄電電力量は、1.5kWhしかなく、寿命を考慮した電力量は1kWhしか放電できないため、15分放電したところで蓄電池からの放電は不可能になってしまう。結果として、535分間は蓄電池315、325、335、345の放電アシストによって商用電力系統から購入する電力量のピーク値を一定に抑えることができる。
【0125】
(電力システム10Bと比較例の電力システムとの比較)
図9の期間T41、T42、T43に示すように、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345と同じ防火区画内の空調機器41Bへの電力アシストのとき、他の防火区画の蓄電池315からも電力アシストを受ける。これにより、電力システム10Bは、蓄電池345の放電速度、放電電流を小さくし、蓄電池345の劣化を抑制できる。
【0126】
また、
図9の期間CH41(CH13)、CH42(CH23)に示すように、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345の充電時に、他の蓄電池315、325の充電を同時に行う。これにより、電力システム10Bは、蓄電池315の充電速度、充電電流を小さくし、蓄電池345の劣化を抑制できる
また、
図9に示すように、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345への充電を、蓄電池345の放電の直後に行わない。これにより、蓄電池345の連続充放電による劣化を抑制できる。
【0127】
また、
図9に示すように、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345への放電を、蓄電池345の充電の直後に行わない。これにより、蓄電池345の連続充放電による劣化を抑制できる。
【0128】
また、
図9、
図10に示すように、電力システム10Bは、比較例の電力システムに対して、同じ時間内における、最も劣化が進んだ蓄電池345への充電回数を少なくできる。具体的に、
図9、
図10の場合、電力システム10Bと比較例の電力システムが535分の間輪番運転を可能としている。この間、電力システム10Bでは、蓄電池345の充電回数は2回であり、比較例の電力システムでは、蓄電池345の充電回数は4回である。これにより、電力システム10Bは、最も劣化が進んだ蓄電池345への充電による劣化を抑制できる。
【0129】
このように、電力システム10Bは、複数の空調機器41B-44Bの輪番運転をできる限り長く保ちながら、商用電力系統から供給される電力のピーク値の上昇を抑制し、且つ、蓄電池の劣化を抑制できる。
【0130】
なお、第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例として示したが、第1の実施形態の変形例としても実現可能である。この場合、全体制御装置60は、複数の逆変換器31-34のみでなく、複数の系統連系リレー51-54の開閉制御を行えればよい。
【0131】
(1) 建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数の逆変換器と、
前記複数の逆変換器を前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
最も劣化の進んだ第1蓄電池を備える第1逆変換器から前記第1蓄電池と同じ防火区画の第1負荷に放電する時、前記第1逆変換器以外の逆変換器から前記防火区画を超えて前記第1負荷に放電させる制御を実行する、ことを特徴とする、電力システム。
【0132】
(2) 建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数のパワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナを前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
最も劣化の進んだ第1蓄電池を備える第1パワーコンディショナから前記第1蓄電池と同じ防火区画の第1負荷に放電する時、前記第1パワーコンディショナ以外のパワーコンディショナから前記防火区画を超えて前記第1負荷に放電させる制御を実行する、
ことを特徴とする、電力システム。
【0133】
(3) 建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数の逆変換器と、
前記複数の逆変換器を前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち最も劣化が進んだ第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、ことを特徴とする電力システム。
【0134】
(4) 建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の負荷と、
前記防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池を備え、商用電力系統から供給される電力を充電し、または前記蓄電池から前記負荷へ電力を放電する複数のパワーコンディショナと、
前記複数のパワーコンディショナを前記商用電力系統に接続する受電点と、
前記複数の蓄電池の充放電を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち最も劣化が進んだ第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、ことを特徴とする電力システム。
【0135】
(5) 前記複数の負荷は、それぞれに各防火区画内に配置された空調機器であり、
前記制御装置は、
前記空調機器を互いの運転時間が重ならないように輪番的に運転制御し、
前記複数の蓄電池のSOHおよびSOCを管理し、
前記複数の蓄電池のうち、前記第1蓄電池の充放電回数を他の蓄電池の充放電回数よりも少なく、または、前記第1蓄電池の放電電流を他の蓄電池の放電電流より小さく制御する、ことを特徴とする、(1)または(2)の電力システム。
【0136】
(6) 前記制御装置は、前記第1蓄電池の充電期間の直後に放電を行わない制御を行う、(5)の電力システム。
【0137】
(7) 前記制御装置は、前記第1蓄電池の放電期間の直後に充電を行わない制御を行う、(5)の電力システム。
【符号の説明】
【0138】
10、10A、10B、10X:電力システム
31、32、33、34:逆変換器
31P、32P、33P、34P:パワーコンディショナ
41、42、43、44:負荷
41B、42B、43B、44B:空調機器
51、52、53、54:系統連系リレー
60、60B:全体制御装置
310、320、330、340:制御部
310P、320P、330P、340P:PCS制御部
313、323、333、343:双方向インバータ
314、324、334、344:双方向DCDCコンバータ
315、325、335、345:蓄電池
316、326、336、346:系統連系リレー
500:商用電力連系ライン
【要約】
電力システム(10B)は、建築物において複数の異なる防火区画にそれぞれに設置された複数の空調機器(41B-44B)と、防火区画のそれぞれに設置され、複数の蓄電池(315、325、335、345)を備え、受電点(P500)を通じて商用電力系統から供給される電力を充電し、または蓄電池(315、325、335、345)から複数の空調機器(41B-44B)へ電力を放電する複数の複数のパワーコンディショナ(31P-34P)と、複数の蓄電池(315、325、335、345)の充放電を制御する全体制御装置(60)と、を備える。全体制御装置(60)は、最も劣化の進んだ蓄電池(345)を備えるパワーコンディショナ(34P)から蓄電池(345)と同じ防火区画の空調機器(44B)に放電する時、パワーコンディショナ(31P)の蓄電池(315)から防火区画を超えて空調機器(44B)に放電させる制御を実行する。