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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】信号処理回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 19/00 20060101AFI20241001BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H03H19/00
H03M1/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020070473
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021168433
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】坂東 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 平裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 文裕
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-123474(JP,A)
【文献】特開平05-267991(JP,A)
【文献】特開2009-200809(JP,A)
【文献】特開昭59-122216(JP,A)
【文献】国際公開第2007/142341(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 19/00
H03M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がアナログ信号の入力信号路に対して接続され、他端がコモン電圧に接続された第1のサンプリング容量および第2のサンプリング容量と、
一端が前記第1のサンプリング容量に接続され、他端が出力端子に接続された第1のフィードバック容量、および、一端が前記第2のサンプリング容量に接続され、他端が前記出力端子に接続された第2のフィードバック容量と、
前記第1のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号、および、前記第2のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号に対する所定の処理を行う増幅器を含む信号処理部と
前記入力信号路と前記第1のサンプリング容量との間、前記第1のフィードバック容量と前記コモン電圧との間、前記第2のフィードバック容量と出力端子との間、および、前記第2のサンプリング容量と前記信号処理部との間に配置された複数の第1のスイッチと、
前記入力信号路と前記第2のサンプリング容量との間、前記第2のフィードバック容量と前記コモン電圧との間、前記第1のフィードバック容量と出力端子との間、および、前記第1のサンプリング容量と前記信号処理部との間に配置された複数の第2のスイッチと
を備え、
第1の期間および第2の期間が交互に発生し、
前記第1の期間において、
前記複数の第1のスイッチがオンに切り替わることによって、前記入力信号路が前記第1のサンプリング容量に接続されるとともに、前記第2のサンプリング容量が前記信号処理部に接続され、前記信号処理部が、前記第2のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号に対する所定の処理を行い、
前記第2の期間において、
前記複数の第2のスイッチがオンに切り替わることによって、前記入力信号路が前記第2のサンプリング容量に接続されるとともに、前記第1のサンプリング容量が前記信号処理部に接続され、前記信号処理部が、前記第1のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号に対する所定の処理を行う
ことを特徴とする信号処理回路。
【請求項2】
出力される前記アナログ信号のデータレートは、前記第1のサンプリング容量または前記第2のサンプリング容量のいずれか一方のみでサンプリングをした場合の2倍のデータレートである
ことを特徴とする請求項に記載の信号処理回路。
【請求項3】
前記増幅器の前段に設けられ、前記増幅器によって増幅される前の前記アナログ信号のオフセット量を調整するオフセット調整回路をさらに備える
ことを特徴とする請求項に記載の信号処理回路。
【請求項4】
記所定の処理は、平均化フィルタ処理である
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の信号処理回路。
【請求項5】
前記第1のサンプリング容量は複数の第1容量からなり、
前記第1のスイッチは前記複数の第1容量と前記入力信号路の間にそれぞれ配置された第3のスイッチを含み、
前記第2のサンプリング容量は複数の第2容量からなり、
前記第2のスイッチは前記複数の第2容量と前記入力信号路の間にそれぞれ配置された第4のスイッチを含み、
前記第1の期間において、前記第3のスイッチは順次オンに切り替えられ、
前記第2の期間において、前記第4のスイッチは順次オンに切り替えられる
ことを特徴とする請求項4に記載の信号処理回路。
【請求項6】
第2のアナログ信号の第2入力信号路に対して接続され、他端がコモン電圧に接続された第3のサンプリング容量および第4のサンプリング容量と、
一端が前記第3のサンプリング容量に接続され、他端が第2の出力端子に接続された第3のフィードバック容量、および、一端が前記第2のサンプリング容量に接続され、他端が前記第2の出力端子に接続された第4のフィードバック容量と
をさらに備え、
前記複数の第1のスイッチは、前記入力信号路と前記第3のサンプリング容量との間、前記第3のフィードバック容量と前記コモン電圧との間、前記第4のフィードバック容量と出力端子との間、および、前記第4のサンプリング容量と前記信号処理部との間に配置され、
前記複数の第2のスイッチは、前記入力信号路と前記第4のサンプリング容量との間、前記第4のフィードバック容量と前記コモン電圧との間、前記第3のフィードバック容量と出力端子との間、および、前記第3のサンプリング容量と前記信号処理部との間に配置され、
前記第1の期間において、
前記複数の第1のスイッチがオンに切り替わることによって、前記第2入力信号路が前記第3のサンプリング容量に接続されるとともに、前記第4のサンプリング容量が前記信号処理部に接続され、前記信号処理部が、前記第4のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号に対する所定の処理を行い、
前記第2の期間において、
前記複数の第2のスイッチがオンに切り替わることによって、前記入力信号路が前記第4のサンプリング容量に接続されるとともに、前記第3のサンプリング容量が前記信号処理部に接続され、前記信号処理部が、前記第3のサンプリング容量にサンプリングされた前記アナログ信号に対する所定の処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アナログ差動信号をキャパシタによってサンプリングし、サンプリングされたアナログ差動信号をアンプによって増幅するスイッチトキャパシタ回路に関する技術が考案されている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-33304号公報
【文献】特開平11-298328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、アナログ信号のデータレートを2倍にして出力するためには、2つの増幅器を設けて、2つの増幅器から交互に増幅後のアナログ信号を出力する必要がある。このため、従来の技術では、2つの増幅器を駆動することによって、消費電力が増加してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る信号処理回路は、アナログ信号の入力信号路に対して接続された第1のサンプリング容量および第2のサンプリング容量と、第1のサンプリング容量にサンプリングされたアナログ信号、および、第2のサンプリング容量にサンプリングされたアナログ信号に対する所定の処理を行う信号処理部とを備え、第1のサンプリング容量および第2のサンプリング容量の一方へのアナログ信号のサンプリングと、第1のサンプリング容量および第2のサンプリング容量の他方にサンプリングされたアナログ信号に対する信号処理部による所定の処理とを、並行して行うことができる。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る信号処理回路によれば、消費電力の増加を抑制しつつ、アナログ信号のデータレートを増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る検出システムおよびICの構成を示す図
図2】第1実施形態に係る増幅回路の回路構成を示す図
図3】第1実施形態に係る増幅回路の第1の期間の状態を示す図
図4】第1実施形態に係る増幅回路の第2の期間の状態を示す図
図5】第1実施形態に係る増幅回路の動作タイミングを示すタイミングチャート
図6】第2実施形態に係る平均化フィルタ回路の回路構成を示す図
図7】第2実施形態に係る平均化フィルタ回路の動作タイミングを示すタイミングチャート
図8】第3実施形態に係る増幅回路の回路構成を示す図
図9】第3実施形態に係るDACの回路構成を示す図
図10】第3実施形態に係るDACに用いられるバイナリコードの一例を示す図
図11】第3実施形態に係るDACに用いられる温度計コードの一例を示す図
図12】第3実施形態に係るD-Aコンバータの動作タイミングを示すタイミングチャート
図13】第3実施形態に係るD-Aコンバータの動作原理を説明するための図
図14】第3実施形態に係るDACを設けない場合の増幅器から出力されるアナログ信号の出力電圧値の一例を示すグラフ
図15】第3実施形態に係るDACを設けない場合の増幅器から出力されるアナログ信号の出力電圧値の一例を示すグラフ
図16】第3実施形態に係るDACを設けた場合の増幅器から出力されるアナログ信号の出力電圧値の一例を示すグラフ
図17】一実施形態に係る荷重検出装置の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
〔第1実施形態〕
(検出システム10の構成)
図1は、第1実施形態に係る検出システム10およびIC20の構成を示す図である。図1に示す検出システム10は、センサ12、IC(Integrated Circuit)20、およびMCU(Micro Controller Unit)30を備える。
【0010】
センサ12は、各種検出対象(例えば、温度、歪み等)を検出する。センサ12は、差動型センサであり、検出値を差分によって表す2つのセンサ信号(アナログ信号)を出力する。
【0011】
IC20は、センサ12から出力されたセンサ信号(アナログ信号)に対する所定の処理を行う集積回路である。例えば、IC20は、センサ12から出力されたセンサ信号を、増幅およびA-D変換する。そして、IC20は、増幅およびA-D変換後のセンサ信号(デジタル信号)を、MCU30へ出力する。
【0012】
MCU30は、IC20との通信を介して、IC20から、増幅およびA-D変換後のセンサ信号(デジタル信号)を取得する。そして、MCU30は、IC20から取得されたセンサ信号を用いた所定のデジタル処理を行う。
【0013】
(IC20の構成)
図1に示すように、IC20は、増幅回路22、A-Dコンバータ24、およびデジタル処理回路26を備える。
【0014】
増幅回路22は、「信号処理回路」の一例である。増幅回路22は、IC20の入力端子に接続されている。増幅回路22は、センサ12からIC20の入力端子を介して入力されるセンサ信号(アナログ信号)を増幅して、A-Dコンバータ24へ出力する。なお、図2以降で説明するように、増幅回路22は、増幅回路22において交互に発生する第1の期間と第2の期間との各々において増幅後のセンサ信号を出力することにより、入力されたセンサ信号の2倍のデータレートを有する増幅後のセンサ信号を出力することができる。
【0015】
A-Dコンバータ24は、増幅回路22の出力端子に接続されている。A-Dコンバータ24は、増幅回路22から出力された増幅後のセンサ信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換して、デジタル処理回路26へ出力する。
【0016】
デジタル処理回路26は、A-Dコンバータ24の出力端子に接続されている。デジタル処理回路26は、A-Dコンバータ24から出力されたセンサ信号(デジタル信号)に対して、所定のデジタル信号処理(例えば、デジタルフィルタ処理等)を行う。また、デジタル処理回路26は、所定のデジタル信号処理が行われた後のセンサ信号を、MCU30との通信(例えば、I2C通信)を介して、MCU30へ送信する。
【0017】
(増幅回路22の回路構成)
図2は、第1実施形態に係る増幅回路22の回路構成を示す図である。図2に示すように、増幅回路22は、入力端子VIN_P、入力端子VIN_M、増幅器AMP、出力端子VOUT_P、出力端子VOUT_M、第1処理部S/H1、第2処理部S/H2、複数の第1のスイッチPP1、および複数の第2のスイッチPP2を備える。
【0018】
入力端子VIN_P,VIN_Mは、センサ12から出力された差動信号を構成する、2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々が入力される。
【0019】
増幅器AMPは、「信号処理部」の一例であり、第2の期間において、後述する第1処理部S/H1のサンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされた2つのアナログ信号の各々を所定のゲインで増幅して、増幅後の2つのアナログ信号の各々を出力することができる。
【0020】
また、増幅器AMPは、第1の期間において、後述する第2処理部S/H2サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされた2つのアナログ信号の各々を所定のゲインで増幅して、増幅後の2つのアナログ信号の各々を出力することができる。
【0021】
出力端子VOUT_P,VOUT_Mは、増幅器AMPから出力された増幅後の2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々を、増幅回路22の外部へ出力する。
【0022】
第1処理部S/H1は、互いに直列接続されたサンプリング容量Cs11およびフィードバック容量Cf11と、互いに直列接続されたサンプリング容量Cs12およびフィードバック容量Cf12とを備える。
【0023】
サンプリング容量Cs11は、第1の期間において、第1のスイッチPP1を介して入力端子VIN_Pに接続され、入力端子VIN_Pから入力されたアナログ信号(非反転信号)がサンプリングされる。サンプリング容量Cs12は、第1の期間において、第1のスイッチPP1を介して入力端子VIN_Mに接続され、入力端子VIN_Mから入力されたアナログ信号(反転信号)がサンプリングされる。
【0024】
サンプリング容量Cs11にサンプリングされたアナログ信号(非反転信号)は、当該アナログ信号(非反転信号)がサンプリングされた第1の期間の次の第2の期間において、フィードバック容量Cf11に転送されることによって増幅器AMPで増幅され、出力端子VOUT_Pから出力される。
【0025】
サンプリング容量Cs12にサンプリングされたアナログ信号(反転信号)は、当該アナログ信号(反転信号)がサンプリングされた第1の期間の次の第2の期間において、フィードバック容量Cf12に転送されることによって増幅器AMPで増幅され、出力端子VOUT_Mから出力される。
【0026】
第2処理部S/H2は、互いに直列接続されたサンプリング容量Cs21およびフィードバック容量Cf21と、互いに直列接続されたサンプリング容量Cs22およびフィードバック容量Cf22とを備える。
【0027】
サンプリング容量Cs21は、第2の期間において、第2のスイッチPP2を介して入力端子VIN_Pに接続され、入力端子VIN_Pから入力されたアナログ信号(非反転信号)がサンプリングされる。サンプリング容量Cs22は、第2の期間において、第2のスイッチPP2を介して入力端子VIN_Mに接続され、入力端子VIN_Mから入力されたアナログ信号(反転信号)がサンプリングされる。
【0028】
サンプリング容量Cs21にサンプリングされたアナログ信号(非反転信号)は、当該アナログ信号(非反転信号)がサンプリングされた第2の期間の次の第1の期間において、フィードバック容量Cf21に転送されることによって増幅器AMPで増幅され、出力端子VOUT_Pから出力される。
【0029】
サンプリング容量Cs22にサンプリングされたアナログ信号(反転信号)は、当該アナログ信号(反転信号)がサンプリングされた第2の期間の次の第1の期間において、フィードバック容量Cf22に転送されることによって増幅器AMPで増幅され、出力端子VOUT_Mから出力される。
【0030】
なお、増幅回路22において、複数の第1のスイッチPP1は、第1の期間において、オン状態に切り替えられ、第2の期間において、オフ状態に切り替えられる。また、増幅回路22において、複数の第2のスイッチPP2は、第1の期間において、オフ状態に切り替えられ、第2の期間において、オン状態に切り替えられる。
【0031】
これにより、増幅回路22では、第1の期間において、入力端子VIN_P,VIN_Mに入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされるともに、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号が、増幅器AMPで増幅されて出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力される。
【0032】
また、増幅回路22では、第2の期間において、入力端子VIN_P,VIN_Mに入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされるともに、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号が、増幅器AMPで増幅されて出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力される。
【0033】
その結果、増幅回路22は、交互に発生する第1の期間および第2の期間の各々において増幅後のアナログ信号を出力することができ、すなわち、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0034】
(増幅回路22の動作)
次に、図3図5を参照して、第1実施形態に係る増幅回路22の動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る増幅回路22の第1の期間の状態を示す図である。図4は、第1実施形態に係る増幅回路22の第2の期間の状態を示す図である。図5は、第1実施形態に係る増幅回路22の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0035】
図5に示すように、増幅回路22は、第1の期間および第2の期間が交互に発生する。
【0036】
図3および図5に示すように、第1の期間においては、複数の第1のスイッチPP1が全てオンに切り替えられ、複数の第2のスイッチPP2が全てオフに切り替えられる。
【0037】
これにより、第1の期間では、サンプリング容量Cs11,Cs12が、入力端子VIN_P,VIN_Mに接続され、入力端子VIN_P,VIN_Mから入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされる。
【0038】
同時に、第1の期間では、サンプリング容量Cs21,Cs22が互いに短絡されて、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号が、フィードバック容量Cf21,Cf22に転送されることによって増幅器AMPで増幅されて、出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力される。
【0039】
一方、図4および図5に示すように、第2の期間においては、複数の第1のスイッチPP1が全てオフに切り替えられ、複数の第2のスイッチPP2が全てオンに切り替えられる。
【0040】
これにより、第2の期間では、サンプリング容量Cs21,Cs22が、入力端子VIN_P,VIN_Mに接続され、入力端子VIN_P,VIN_Mから入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされる。
【0041】
同時に、第2の期間では、サンプリング容量Cs11,Cs12が互いに短絡されて、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号が、フィードバック容量Cf11,Cf12に転送されることによって増幅器AMPで増幅されて、出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力される。
【0042】
その結果、増幅回路22は、交互に発生する第1の期間および第2の期間の各々において増幅後のアナログ信号を出力することができ、すなわち、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0043】
例えば、図5に示す例では、最初の第1の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN1が、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされることが示されている。
【0044】
また、図5に示す例では、次の第2の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN2が、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされるとともに、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされていたアナログ信号ΔVIN1が、増幅されて出力端子ΔVOUTから出力されることが示されている。
【0045】
さらに、図5に示す例では、次の第1の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN3が、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされるとともに、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされていたアナログ信号ΔVIN2が、増幅されて出力端子ΔVOUTから出力されることが示されている。
【0046】
なお、図5において、入力端子ΔVINは、入力端子VIN_Pと入力端子VIN_Mとの差分を表している。また、出力端子ΔVOUTは、出力端子VOUT_Pと出力端子VOUT_Mとの差分を表している。また、アナログ信号ΔVINは、差動信号を構成するアナログ信号(非反転信号)とアナログ信号(反転信号)との差分を表している。
【0047】
また、図5に示すように、第1の期間から第2の期間へ遷移の間に、PP1とPP2が同時オンしないノンオーバーラップ期間が設けられている。
【0048】
以上説明したように、第1実施形態に係る増幅回路22は、アナログ信号の入力信号路に対して接続された第1のサンプリング容量Cs11,Cs12および第2のサンプリング容量Cs21,Cs22と、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号、および、第2のサンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号に対する増幅処理を行う増幅器AMPとを備え、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12および第2のサンプリング容量Cs21,Cs22の一方へのアナログ信号のサンプリングと、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12および第2のサンプリング容量Cs21,Cs22の他方にサンプリングされたアナログ信号に対する増幅器AMPによる増幅処理とを、並行して行うことができる。
【0049】
これにより、第1実施形態に係る増幅回路22は、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号を出力する第2の期間と、第2のサンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号を出力する第1の期間とを交互に設けることにより、第1の期間および第2の期間の各々において、一の増幅器AMPによる増幅後のアナログ信号を出力することができる。このため、第1実施形態に係る増幅回路22によれば、通常の形態では2つ用いなければならないアンプを1つにでき、消費電力の増加を抑制しつつ、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0050】
また、第1実施形態に係る増幅回路22は、第1の期間および第2の期間が交互に発生し、第1の期間において、アナログ信号が第1のサンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされるとともに、増幅器AMPが、第2のサンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号に対する増幅処理を行い、第2の期間において、アナログ信号が第2のサンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされるとともに、増幅器AMPが、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号に対する増幅処理を行う。
【0051】
これにより、第1実施形態に係る増幅回路22は、第1の期間および第2の期間の各々において、一の増幅器AMPによる増幅後のアナログ信号を出力することができる。このため、第1実施形態に係る増幅回路22によれば、消費電力の増加を抑制しつつ、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0052】
また、第1実施形態に係る増幅回路22は、第1の期間において、複数の第1のスイッチPP1がオンに切り替わることによって、アナログ信号の入力信号路が第1のサンプリング容量Cs11,Cs12に接続されるとともに、第2のサンプリング容量Cs21,Cs22が増幅器AMPに接続され、第2の期間において、複数の第2のスイッチPP2がオンに切り替わることによって、アナログ信号の入力信号路が第2のサンプリング容量Cs21,Cs22に接続されるとともに、第1のサンプリング容量Cs11,Cs12が増幅器AMPに接続される。
【0053】
これにより、第1実施形態に係る増幅回路22は、複数の第1のスイッチPP1および複数の第2のスイッチPP2を交互にオンに切り替えるといった簡単な制御により、第1の期間の動作と第2の期間の動作とを交互に切り替えることができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、図6および図7を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態で説明したアナログ信号のデータレートを2倍にする構成を、平均化フィルタ回路40に適用する例を説明する。
【0055】
(平均化フィルタ回路40の回路構成)
図6は、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40の回路構成を示す図である。図6に示すように、平均化フィルタ回路40(「信号処理回路」の他の一例)は、入力端子INP、入力端子INM、第1処理部AVG_FLT1、第2処理部AVG_FLT2、平均化フィルタ42、出力端子OUTP、および出力端子OUTMを備える。
【0056】
入力端子INP,INMは、差動信号を構成する2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々が入力される。
【0057】
平均化フィルタ42は、「信号処理部」の他の一例であり、後述する第1処理部AVG_FLT1の+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)を出力するとともに、後述する第1処理部AVG_FLT1の-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)を出力することができる。
【0058】
また、平均化フィルタ42は、後述する第2処理部AVG_FLT2の+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)を出力するとともに、後述する第2処理部AVG_FLT2の-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)を出力することができる。
【0059】
出力端子OUTP,OUTMは、平均化フィルタ42から出力された平均化フィルタ後の2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々を、平均化フィルタ回路40の外部へ出力する。
【0060】
第1処理部AVG_FLT1は、いずれも入力端子INPとコモン電圧VCMとの間に接続された、4つの第1のサンプリング容量Cs1~Cs4(「+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4」と示す)を備える。また、第1処理部AVG_FLT1は、いずれも入力端子INMとコモン電圧VCMとの間に接続された、4つの第1のサンプリング容量Cs1~Cs4(「-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4」と示す)を備える。
【0061】
+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々と入力端子INPとの間には、スイッチSW1~SW4の各々が設けられている。また、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々と入力端子INMとの間には、スイッチSW1~SW4の各々が設けられている。
【0062】
+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々は、第1の期間において、順次、スイッチSW1~SW4を介して入力端子INPに接続され、入力端子INPから入力されたアナログ信号(非反転信号)がサンプリングされる。-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々は、第1の期間において、順次、スイッチSW1~SW4を介して入力端子INMに接続され、入力端子INMから入力されたアナログ信号(反転信号)がサンプリングされる。
【0063】
+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)は、当該アナログ信号(非反転信号)がサンプリングされた第1の期間の次の第2の期間において、第2のスイッチPP5678を介して平均化フィルタ42に転送され、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、出力端子OUTPから、4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が出力される。
【0064】
-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)は、当該アナログ信号(反転信号)がサンプリングされた第1の期間の次の第2の期間において、第2のスイッチPP5678を介して平均化フィルタ42に転送され、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、出力端子OUTMから、4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が出力される。
【0065】
第2処理部AVG_FLT2は、いずれも入力端子INPとコモン電圧VCMとの間に接続された、4つの第2のサンプリング容量Cs5~Cs8(「+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8」と示す)を備える。また、第2処理部AVG_FLT2は、いずれも入力端子INMとコモン電圧VCMとの間に接続された、4つの第2のサンプリング容量Cs5~Cs8(「-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8」と示す)を備える。
【0066】
また、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々と入力端子INPとの間には、スイッチSW5~SW8の各々が設けられている。また、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々と入力端子INMとの間には、スイッチSW5~SW8の各々が設けられている。
【0067】
+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々は、第2の期間において、順次、スイッチSW5~SW8を介して入力端子INPに接続され、入力端子INPから入力されたアナログ信号(非反転信号)がサンプリングされる。-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々は、第2の期間において、順次、スイッチSW5~SW8を介して入力端子INMに接続され、入力端子INMから入力されたアナログ信号(反転信号)がサンプリングされる。
【0068】
+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)は、当該アナログ信号(非反転信号)がサンプリングされた第2の期間の次の第1の期間において、第1のスイッチPP1234を介して平均化フィルタ42に転送され、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、出力端子OUTPから、4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が出力される。
【0069】
-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)は、当該アナログ信号(反転信号)がサンプリングされた第2の期間の次の第1の期間において、第1のスイッチPP1234を介して平均化フィルタ42に転送され、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、出力端子OUTMから、4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が出力される。
【0070】
なお、平均化フィルタ回路40において、複数の第1のスイッチPP1234は、第1の期間において、オン状態に切り替えられ、第2の期間において、オフ状態に切り替えられる。また、平均化フィルタ回路40において、複数の第2のスイッチPP5678は、第1の期間において、オフ状態に切り替えられ、第2の期間において、オン状態に切り替えられる。
【0071】
これにより、平均化フィルタ回路40では、第1の期間において、入力端子INPに入力されたアナログ信号(非反転信号)が、+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々に順次サンプリングされるともに、入力端子INMに入力されたアナログ信号(反転信号)が、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々に順次サンプリングされる。同時に、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)が、平均化フィルタ42で平均化されて、当該4つのアナログ信号の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が、出力端子OUTPから出力される。また、同時に、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)が、平均化フィルタ42で平均化されて、当該4つのアナログ信号の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が、出力端子OUTMから出力される。
【0072】
また、平均化フィルタ回路40では、第2の期間において、入力端子INPに入力されたアナログ信号(非反転信号)が、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々に順次サンプリングされるともに、入力端子INMに入力されたアナログ信号(反転信号)が、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々に順次サンプリングされる。同時に、+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)が、平均化フィルタ42で平均化されて、当該4つのアナログ信号の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が、出力端子OUTPから出力される。また、同時に、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)が、平均化フィルタ42で平均化されて、当該4つのアナログ信号の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が、出力端子OUTMから出力される。
【0073】
その結果、平均化フィルタ回路40は、交互に発生する第1の期間および第2の期間の各々において平均化フィルタ後のアナログ信号(非反転信号および反転信号)を出力することができ、すなわち、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0074】
なお、図7に示すように、第1の期間から第2の期間へ遷移の間に、PP1234とPP5678が同時オンしないノンオーバーラップ期間が設けられている。
【0075】
(平均化フィルタ回路40の動作)
図7は、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0076】
図7に示すように、平均化フィルタ回路40は、第1の期間および第2の期間が交互に発生する。
【0077】
図7に示すように、第1の期間においては、複数の第1のスイッチPP1234が全てオンに切り替えられ、複数の第2のスイッチPP5678が全てオフに切り替えられる。また、図7に示すように、第1の期間においては、スイッチSW1~SW4の各々が、順次、オンに切り替えられる。
【0078】
これにより、第1の期間では、順次、+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々が、入力端子INPに接続され、入力端子INPから入力されたアナログ信号(非反転信号)が、+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされる。また、順次、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々が、入力端子INMに接続され、入力端子INMから入力されたアナログ信号(反転信号)が、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされる。
【0079】
同時に、第1の期間では、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)が、平均化フィルタ42に転送されることによって、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が、出力端子OUTPから出力される。
【0080】
また、同時に、第1の期間では、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)が、平均化フィルタ42に転送されることによって、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が、出力端子OUTMから出力される。
【0081】
一方、図7に示すように、第2の期間においては、複数の第1のスイッチPP1234が全てオフに切り替えられ、複数の第2のスイッチPP5678が全てオンに切り替えられる。また、図7に示すように、第2の期間においては、スイッチSW5~SW8の各々が、順次、オンに切り替えられる。
【0082】
これにより、第2の期間では、順次、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々が、入力端子INPに接続され、入力端子INPから入力されたアナログ信号(非反転信号)が、+側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされる。また、順次、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々が、入力端子INMに接続され、入力端子INMから入力されたアナログ信号(反転信号)が、-側の第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされる。
【0083】
同時に、第2の期間では、+側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(非反転信号)が、平均化フィルタ42に転送されることによって、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、4つのアナログ信号(非反転信号)の平均値を表すアナログ信号(非反転信号)が、出力端子OUTPから出力される。
【0084】
また、同時に、第2の期間では、-側の第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされた4つのアナログ信号(反転信号)が、平均化フィルタ42に転送されることによって、平均化フィルタ42によって平均化される。その結果、4つのアナログ信号(反転信号)の平均値を表すアナログ信号(反転信号)が、出力端子OUTMから出力される。
【0085】
その結果、平均化フィルタ回路40は、交互に発生する第1の期間および第2の期間の各々において平均化フィルタ後のアナログ信号を出力することができ、すなわち、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0086】
例えば、図5に示す例では、最初の第1の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN1~ΔVIN4の各々が、順次、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされることが示されている。
【0087】
また、図5に示す例では、次の第2の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN5~ΔVIN8の各々が、順次、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされるとともに、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされたアナログ信号ΔVIN1~ΔVIN4の平均値を表すアナログ信号が、出力端子ΔVOUTから出力されることが示されている。
【0088】
さらに、図5に示す例では、次の第1の期間において、入力端子ΔVINから入力されたアナログ信号ΔVIN9~ΔVIN12の各々が、順次、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4の各々にサンプリングされるとともに、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の各々にサンプリングされたアナログ信号ΔVIN5~ΔVIN8の平均値を表すアナログ信号が、出力端子ΔVOUTから出力されることが示されている。
【0089】
なお、図7において、入力端子ΔVINは、入力端子INPと入力端子INMとの差分を表している。また、出力端子ΔVOUTは、出力端子OUTPと出力端子OUTMとの差分を表している。また、アナログ信号ΔVINは、差動信号を構成するアナログ信号(非反転信号)とアナログ信号(反転信号)との差分を表している。
【0090】
以上説明したように、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、アナログ信号の入力信号路に対して接続された第1のサンプリング容量Cs1~Cs4および第2のサンプリング容量Cs5~Cs8と、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされたアナログ信号、および、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされたアナログ信号に対する平均化フィルタ処理を行う平均化フィルタ42とを備え、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4および第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の一方へのアナログ信号のサンプリングと、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4および第2のサンプリング容量Cs5~Cs8の他方にサンプリングされたアナログ信号に対する平均化フィルタ42による平均化フィルタ処理とを、並行して行うことができる。
【0091】
これにより、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされたアナログ信号を出力する第2の期間と、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされたアナログ信号を出力する第1の期間とを交互に設けることにより、第1の期間および第2の期間の各々において、一の平均化フィルタ42による平均化フィルタ処理後のアナログ信号を出力することができる。このため、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40によれば、消費電力の増加を抑制しつつ、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0092】
また、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、第1の期間および第2の期間が交互に発生し、第1の期間において、アナログ信号が第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされるとともに、平均化フィルタ42が、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされたアナログ信号に対する平均化フィルタ処理を行い、第2の期間において、アナログ信号が第2のサンプリング容量Cs5~Cs8にサンプリングされるとともに、平均化フィルタ42が、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4にサンプリングされたアナログ信号に対する平均化フィルタ処理を行う。
【0093】
これにより、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、第1の期間および第2の期間の各々において、一の平均化フィルタ42による平均化フィルタ処理後のアナログ信号を出力することができる。このため、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40によれば、消費電力の増加を抑制しつつ、アナログ信号のデータレートを2倍にすることができる。
【0094】
また、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、第1の期間において、複数の第1のスイッチPP1234がオンに切り替わることによって、アナログ信号の入力信号路が第1のサンプリング容量Cs1~Cs4に接続されるとともに、第2のサンプリング容量Cs5~Cs8が平均化フィルタ42に接続され、第2の期間において、複数の第2のスイッチPP5678がオンに切り替わることによって、アナログ信号の入力信号路が第2のサンプリング容量Cs5~Cs8に接続されるとともに、第1のサンプリング容量Cs1~Cs4が平均化フィルタ42に接続される。
【0095】
これにより、第2実施形態に係る平均化フィルタ回路40は、複数の第1のスイッチPP1234および複数の第2のスイッチPP5678を交互にオンに切り替えるといった簡単な制御により、第1の期間の動作と第2の期間の動作とを交互に切り替えることができる。
【0096】
〔第3実施形態〕
次に、図8および図9を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態で説明した増幅回路22の変形例として、オフセット調整機能を有する増幅回路22Aについて説明する。
【0097】
(増幅回路22Aの回路構成)
図8は、第3実施形態に係る増幅回路22Aの回路構成を示す図である。図2に示すように、増幅回路22Aは、2つのDAC(Digital-to-Analog Converter)50をさらに備える点で、第1実施形態で説明した増幅回路22と異なる。
【0098】
2つのD-Aコンバータ50は、互いに同一の回路構成を有する。2つのD-Aコンバータ50は、いずれも、複数の容量を備える容量型のD-Aコンバータであり、「オフセット調整回路」として機能する。
【0099】
2つのD-Aコンバータ50のうち、一方のD-Aコンバータ50(以下、「D-Aコンバータ50A」と示す)は、出力端子VOUTPが、第1処理部S/H1が備えるサンプリング容量Cs11とフィードバック容量Cf11との間の接続点P1に接続されており、出力端子VOUTMが、第1処理部S/H1が備えるサンプリング容量Cs12とフィードバック容量Cf12との間の接続点P2に接続されている。これにより、D-Aコンバータ50Aは、フィードバック容量Cf11,Cf12に転送される2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々のオフセット調整を行うことができる。
【0100】
2つのD-Aコンバータ50のうち、他方のD-Aコンバータ50(以下、「D-Aコンバータ50B」と示す)は、出力端子VOUTPが、第2処理部S/H2が備えるサンプリング容量Cs21とフィードバック容量Cf21との間の接続点P3に接続されており、出力端子VOUTMが、第2処理部S/H2が備えるサンプリング容量Cs22とフィードバック容量Cf22との間の接続点P4に接続されている。これにより、D-Aコンバータ50Bは、フィードバック容量Cf21,Cf22に転送される2つのアナログ信号(非反転信号および反転信号)の各々のオフセット調整を行うことができる。
【0101】
なお、「オフセット調整」とは、増幅器AMPによって増幅される前のセンサ信号の電圧のオフセット量を減少させる(好ましくは、0とする)ことである。「オフセット調整」を行うことにより、センサ信号を増幅器AMPによって高ゲインで増幅した場合であっても、増幅器AMPから出力されるセンサ信号の電圧が所定の上限閾値および下限閾値を超えないようにすることができる。
【0102】
(D-Aコンバータ50の回路構成)
図9は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50の回路構成を示す図である。
【0103】
図9に示すように、D-Aコンバータ50は、出力端子VOUTPに繋がる信号線51Pと、出力端子VOUTMに繋がる信号線51Mとを備える。
【0104】
D-Aコンバータ50において、信号線51Pには、5つの容量C1P,C2P,C3P,C4P,C5Pが接続されている。5つの容量C1P,C2P,C3P,C4P,C5Pは、それぞれ、接続部VREFN,OSP,bit0P,bit1P,bit2Pに接続されている。スイッチSW1Pは、5つの容量C1P,C2P,C3P,C4P,C5Pをコモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0105】
また、信号線51Pには、8つの容量C6P,C7P,C8P,C9P,C10P,C11P,C12P,C13Pが接続されている。8つの容量C6P,C7P,C8P,C9P,C10P,C11P,C12P,C13Pは、それぞれ、接続部bit3P,DEC1P,DEC2P,DEC3P,DEC4P,DEC5P,DEC6P,DEC7Pに接続されている。スイッチSW2Pは、8つの容量C6P,C7P,C8P,C9P,C10P,C11P,C12P,C13Pをコモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0106】
スイッチSW3Pは出力端子VOUTPに接続され、コモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0107】
また、信号線51Pには、容量C1P~C13Pと、出力端子VOUTPとの間に、容量Csplit2が設けられている。これにより、D-Aコンバータ50は、容量C1P~C13Pに対して、容量Csplit2による重み付けがなされている。
【0108】
また、信号線51Pには、容量C1P~C5Pと、容量C6P~C13Pとの間に、容量Csplit1が設けられている。これにより、D-Aコンバータ50は、容量C1P~C5Pに対して容量Csplit1によるさらなる重み付けがなされている。
【0109】
また、D-Aコンバータ50において、信号線51Mには、5つの容量C1M,C2M,C3M,C4M,C5Mが接続されている。5つの容量C1M,C2M,C3M,C4M,C5Mは、それぞれ、接続部VREFN,OSM,bit0M,bit1M,bit2Mに接続されている。スイッチSW1Mは、5つの容量C1M,C2M,C3M,C4M,C5Mをコモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0110】
また、信号線51Mには、8つの容量C6M,C7M,C8M,C9M,C10M,C11M,C12M,C13Mが接続されている。8つの容量C6M,C7M,C8M,C9M,C10M,C11M,C12M,C13Mは、それぞれ、接続部bit3M,DEC1M,DEC2M,DEC3M,DEC4M,DEC5M,DEC6M,DEC7Mに接続されている。スイッチSW2Mは8つの容量C6M,C7M,C8M,C9M,C10M,C11M,C12M,C13Mをコモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0111】
スイッチSW3Mは、出力端子VOUTMに接続され、コモン電圧VCMに対して接続可能である。
【0112】
また、信号線51Mには、容量C1M~C13Mと、出力端子VOUTMとの間に、容量Csplit2が設けられている。これにより、D-Aコンバータ50は、容量C1M~C13Mに対して、容量Csplit2による重み付けがなされている。
【0113】
また、信号線51Mには、容量C1M~C5Mと、容量C6M~C13Mとの間に、容量Csplit1が設けられている。これにより、D-Aコンバータ50は、容量C1M~C5Mに対して容量Csplit1によるさらなる重み付けがなされている。
【0114】
上記した各接続部には、スイッチSW21,SW22が設けられている。図9では、代表例として、接続部DEC2Mに設けられているスイッチSW21,SW22と、接続部DEC7Mに設けられているスイッチSW21,SW22とが示されている。上記した各接続部は、スイッチSW21がオンに切り替わることにより、基準電圧VREFPに接続される。また、上記した各接続部は、スイッチSW22がオンに切り替わることにより、基準電圧VREFNに接続される。
【0115】
(D-Aコンバータ50に用いられるバイナリコードの一例)
図10は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50に用いられるバイナリコードの一例を示す図である。
【0116】
第3実施形態に係るD-Aコンバータ50において、図9に示す4つの接続部bit0,bit1,bit2,bit3は、図10に示すバイナリコードにより、駆動するか否か(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行うか否か)を切り替えることができる。
【0117】
図10に示すように、本実施形態におけるバイナリコードの採り得る数値範囲は、0~15である。また、図10に示すように、各バイナリコードは、4ビットの2進数で表すことができる。そして、本実施形態では、4つのビットの各々が、4つの接続部bit0,bit1,bit2,bit3の各々に割り当てられている。
【0118】
なお、図10において、対応するビットが「0」となる接続部は、当該接続部を駆動しない(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行わないことで、当該接続部に接続されている容量の電位を変化させない)ことを表す。
【0119】
また、図10において、対応するビットが「1」となる接続部は、当該接続部を駆動する(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行うことで、当該接続部に接続されている容量の電位を変化させる)ことを表す。
【0120】
なお、図10では、4つの接続部bit0,bit1,bit2,bit3の各々について、スイッチSW21,SW22の切り替えによって電位が変動する容量(すなわち、図9に示す容量C3P,C4P,C5P,C6P、または、容量C3M,C4M,C5M,C6M)の容量値が示されている。ただし、容量C6P,C6Mは、Csplit1による重み付けにより、0.8pF相当の容量値となる。
【0121】
例えば、図10に示す例では、接続部bit0を駆動することによって電位が変動する容量の容量値が「0.1pF」である。また、接続部bit1を駆動することによって電位が変動する容量の容量値が「0.2pF」である。また、接続部bit2を駆動することによって電位が変動する容量の容量値が「0.4pF」である。さらに、接続部bit3を駆動することによって電位が変動する容量の容量値は、容量Csplit1による重み付けで0.8pF相当となる。
【0122】
これにより、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、外部のコントローラからバイナリコードを入力することで、電荷の転送時に4つの接続部bit0,bit1,bit2,bit3によって電位を変動させる容量の総容量値を、0.0pF~1.5pFの間で、0.1pF単位で、外部から任意に設定することができる。
【0123】
例えば、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、外部のコントローラからバイナリコード「3」を入力することで、電荷の転送時に2つの接続部bit0,bit1を駆動し、電荷の転送時に変動させる容量の総容量値を「0.3pF」とすることができる。
【0124】
(D-Aコンバータ50に用いられる温度計コードの一例)
図11は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50に用いられる温度計コードの一例を示す図である。
【0125】
第3実施形態に係るD-Aコンバータ50において、図9に示す7つの接続部DEC1,DEC2,DEC3,DEC4,DEC5,DEC6,DEC7は、図11に示す温度計コードにより、駆動するか否か(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行うか否か)を切り替えることができる。
【0126】
図11に示すように、本実施形態における温度計コードの採り得る数値範囲は、0~7である。そして、図11に示すように、各温度計コードは、電荷の転送時に駆動する接続部の数を表す。
【0127】
なお、図11において、「0」が示されている接続部は、当該接続部を駆動しない(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行わないことで、当該接続部に接続されている容量の電位を変化させない)ことを表す。
【0128】
また、図11において、「1」が示されている接続部は、当該接続部を駆動する(すなわち、電荷の転送時にスイッチSW21,SW22の切り替えを行うことで、当該接続部に接続されている容量の電位を変化させる)ことを表す。
【0129】
なお、図11では、7つの接続部DEC1~DEC7の各々について、スイッチSW21,SW22の切り替えによって電位が変動する容量(すなわち、図9に示す容量C7P~C13Pの各々、または、容量C7M~C13Mの各々)の容量値が示されている。
【0130】
例えば、図11に示す例では、7つの接続部DEC1~DEC7の各々は、当該接続部に接続されている容量の容量値がいずれも「0.2pF」であるから、当該接続部を駆動することによって電位が変動する容量の容量値がいずれも「0.2pF」である。
【0131】
これにより、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、外部のコントローラから温度計コードを入力することで、電荷の転送時に7つの接続部DEC1~DEC7によって電位を変動させる容量の総容量値を、0.0pF~1.4pFの間で、0.2pF単位で、外部から任意に設定することができる。
【0132】
例えば、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、外部のコントローラから温度計コード「3」を入力することで、電荷の転送時に3つの接続部DEC1,DEC2,DEC3を駆動し、電荷の転送時に変動させる容量の総容量値を「0.6pF」とすることができる。
【0133】
なお、図10に示すバイナリコードは、外部のコントローラから入力される8ビットの制御コードにおける4ビットを使用するものである。また、図11に示す温度計コードは、外部のコントローラから入力される8ビットの制御コードにおける他の3ビットを使用するものである。すなわち、外部のコントローラから入力される8ビットの制御コードは、D-Aコンバータ50に対して、バイナリコードと温度計コードとを同時に指示することが可能である。
【0134】
バイナリコードを用いる構成の場合、複数の容量の総面積を小さくすることができるが、複数の容量の間でのばらつきが比較的大きくなるため、オフセット調整の精度が低下する虞がある。一方、温度計コードを用いる構成の場合、複数の容量の間でのばらつきが比較的小さくなるため、オフセット調整の精度を高めることができるが、複数の容量の総面積が大きくなる虞がある。第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、バイナリコードを用いる構成と、温度計コードを用いる構成との双方を備えるため、複数の容量の総面積を抑制しつつ、オフセット調整の精度を高めることができる。
【0135】
さらに、外部のコントローラから入力される8ビットの制御コードは、さらに他の1ビットにより、D-Aコンバータ50に対して、出力端子VOUTMに接続されている複数の容量の電位と、出力端子VOUTPに接続されている複数の容量の電位とのそれぞれを、基準電圧VREFPとするか、または、基準電圧VREFNとするかを指定可能である。
【0136】
例えば、D-Aコンバータ50は、8ビットの制御コードにおけるさらに他の1ビットが「1」の場合、出力端子VOUTPに接続されている複数の容量の電位(後述する第1の期間の電位)を、VCM基準でのサンプリングによって基準電圧VREFNとし、出力端子VOUTMに接続されている複数の容量の電位(後述する第1の期間の電位)を、VCM基準でのサンプリングによって基準電圧VREFPとする。
【0137】
反対に、D-Aコンバータ50は、8ビットの制御コードにおけるさらに他の1ビットが「0」の場合、出力端子VOUTPに接続されている複数の容量の電位(後述する第1の期間の電位)を、VCM基準でのサンプリングによって基準電圧VREFPとし、出力端子VOUTMに接続されている複数の容量の電位(後述する第1の期間の電位)を、VCM基準でのサンプリングによって基準電圧VREFNとする。
【0138】
(D-Aコンバータ50の動作)
図12は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図12では、代表例として、接続部DEC2Mおよび接続部DEC7Mの動作が示されている。また、図12では、外部のコントローラから入力された温度計コードに従って、接続部DEC2Mについては電荷の転送時の接続先の切り替えを行い、接続部DEC7Mについては電荷の転送時の接続先の切り替えを行わない例が示されている。
【0139】
図12に示すように、D-Aコンバータ50は、第1の期間および第2の期間が交互に発生する。
【0140】
図12に示すように、第1の期間においては、接続部DEC2Mおよび接続部DEC7Mは、いずれも、スイッチSW22(図9参照)がオンに切り替えられ、且つ、スイッチSW21(図9参照)がオフに切り替えられることにより、接続先が基準電圧VREFNに切り替えられる。
【0141】
これにより、第1の期間では、接続部DEC2Mに接続されている容量C8M(図9参照)、および、接続部DEC7Mに接続されている容量C13M(図9参照)は、いずれも、VCM基準でのサンプリングによって、電位が基準電圧VREFNとなる。
【0142】
また、図12に示すように、第2の期間において、接続部DEC7Mは、接続先が基準電圧VREFNのままである。このため、第2の期間において、接続部DEC7Mに接続されている容量C13Mは、電位が基準電圧VREFNのままである。その結果、第2の期間において、容量C13Mから電荷が出力端子VOUTMへ転送されないこととなる。
【0143】
一方、第2の期間において、接続部DEC2Mは、スイッチSW22がオフに切り替えられ、且つ、スイッチSW21がオンに切り替えられることにより、接続先が基準電圧VREFPに切り替えられる。このため、第2の期間において、接続部DEC2Mに接続されている容量C8Mは、電位が基準電圧VREFPに切り替えられる。その結果、第2の期間において、容量C8Mから電荷が出力端子VOUTMへ転送されることとなる。
【0144】
このように、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、信号線51Mに接続されている3つの容量C3M~C5Mと、信号線51Mに接続されている8つの容量C6M~C13Mとのうち、少なくともいずれか一つの容量の電位を、電荷の転送時に、基準電圧VREFNから基準電圧VREFPに変位させることにより、その容量から出力端子VOUTMへ電荷が転送されるようにすることができる。これにより、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、出力端子VOUTMを通じて、増幅器AMPに入力されるアナログ信号(反転信号)のオフセット量を、電荷を転送する容量の総容量値に応じて、調整することができる。
【0145】
例えば、センサ12から出力されるアナログ信号のオフセット量が予めわかっている場合、そのオフセット量が0となるように、電荷の転送を行う1または複数の容量を、外部のコントローラから8bitの制御コード(バイナリコードおよび温度計コードを含む)によってD-Aコンバータ50に指示することにより、増幅器AMPに入力されるアナログ信号のオフセット量を0にすることができる。
【0146】
なお、図12では、D-Aコンバータ50の出力端子VOUTMにおける非反転信号に対するオフセット量の調整動作について説明したが、図9に示すように、D-Aコンバータ50は、非反転信号側の構成と反転信号側の構成とが対象構造であるため、D-Aコンバータ50の出力端子VOUTPにおける反転信号に対するオフセット量の調整動作も同様である。
【0147】
すなわち、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、信号線51Pに接続されている3つの容量C3P~C5Pと、信号線51Pに接続されている8つの容量C6P~C13Pとのうち、少なくともいずれか一つの容量の電位を、電荷の転送時に、基準電圧VREFPから基準電圧VREFNに変位させることにより、その容量から出力端子VOUTPへ電荷が転送されるようにすることができる。これにより、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、出力端子VOUTPを通じて、増幅器AMPに入力されるアナログ信号(非反転信号)のオフセット量を、電荷を転送する容量の総容量値に応じて、調整することができる。
【0148】
なお、図12に示すように、D-Aコンバータ50において第1の期間から第2の期間へ遷移の間に、スイッチSW21とスイッチSW22とが同時にオンにならないノンオーバーラップ期間が設けられている。
【0149】
増幅回路22での第1の期間において、増幅回路22では、入力端子VIN_P,VIN_Mに入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされるとともに、D-Aコンバータ50Aでは、第1の期間となり、VCM基準でのサンプリングが行われる。また、増幅回路22での第1の期間において、増幅回路22では、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされたアナログ信号が、増幅器AMPで増幅されて出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力されるとともに、D-Aコンバータ50Bでは、第2の期間となり、電荷の転送が行われる。
【0150】
増幅回路22での第2の期間において、増幅回路22では、入力端子VIN_P,VIN_Mに入力されたアナログ信号が、サンプリング容量Cs21,Cs22にサンプリングされるともに、D-Aコンバータ50Bでは、第1の期間となり、VCM基準でのサンプリングが行われる。また、増幅回路22での第2の期間において、増幅回路22では、サンプリング容量Cs11,Cs12にサンプリングされたアナログ信号が、増幅器AMPで増幅されて出力端子VOUT_P,VOUT_Mから出力されるとともに、D-Aコンバータ50Aでは、第2の期間となり、電荷の転送が行われる。
【0151】
(D-Aコンバータ50の動作原理)
図13は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50の動作原理を説明するための図である。
【0152】
図13に示す回路において、容量C0,C1,C2,Csplit2を含むノードVxの全容量は3.2pF(1.6pF+0.1pF+0.1pF+1.4pF)である。
【0153】
図13に示す回路において、各容量にサンプリングされた電荷の転送時に、容量C1(0.1pF)の電位を、基準電圧VREFPから基準電圧VREFNに変位させた場合、ノードVxにおける電位の低下分は、下記数式(1)によって求められる。
【0154】
0.1pF/3.2pF(VREFP-VREFN)・・・(1)
【0155】
また、図13に示す回路において、出力端子VOUTの出力の変化量は、容量の比で決定される。このため、図13に示す回路において、出力端子VOUTの出力の変化量は、下記数式(2)によって求められる。
【0156】
ΔVOUT=0.1pF/3.2pF×1.6pF/4pF(VREFP-VREFN)=0.0125(VREFP-VREFN)・・・(2)
【0157】
第3実施形態に係るD-Aコンバータ50は、この原理を利用して、各容量にサンプリングされた電荷の転送時に、1または複数の容量の電位を変化させることにより、出力端子VOUTの出力を調整し、すなわち、アナログ信号のオフセット量を調整するのである。なお、具体的な数値を用いて動作原理を説明したが、一例であり、数値は任意の値を用いることができる。
【0158】
(アナログ信号の出力電圧値の一例)
図14および図15は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50を設けない場合の増幅器AMPから出力されるアナログ信号の出力電圧値の一例を示すグラフである。図16は、第3実施形態に係るD-Aコンバータ50を設けた場合の増幅器AMPから出力されるアナログ信号の出力電圧値の一例を示すグラフである。
【0159】
図14は、増幅器AMPのゲインを64倍とした場合の、アナログ信号の出力電圧値の一例を示す。図15および図16は、増幅器AMPのゲインを128倍とした場合の、アナログ信号の出力電圧値の一例を示す。
【0160】
図15に示すように、D-Aコンバータ50によるオフセット調整を行わない場合、アナログ信号を高ゲインで増幅した場合、オフセット成分も高ゲインで増幅されてしまうため、アナログ信号の出力電圧値が上限閾値および下限閾値を超えてしまう虞がある。
【0161】
一方、図16に示すように、D-Aコンバータ50によるオフセット調整を行って、増幅器AMPに入力されるアナログ信号のオフセット成分を0にした場合、アナログ信号を高ゲインで増幅した場合であっても、オフセット成分が増幅されることはないため、アナログ信号の出力電圧値が上限閾値および下限閾値を超えてしまわないようにすることができる。
【0162】
以上説明したように、第3実施形態に係るIC20は、アナログ信号を増幅する増幅器AMPと、増幅器AMPの前段に設けられ、増幅器AMPによって増幅される前のアナログ信号のオフセット量を調整するD-Aコンバータ50とを備える。
【0163】
これにより、第3実施形態に係るIC20は、増幅器から出力されるアナログ信号に含まれるオフセット量を軽減することができる。したがって、第3実施形態に係るIC20は、増幅器AMPによってアナログ信号を高ゲインで増幅した場合であっても、増幅器AMPから出力されるアナログ信号の出力電圧値が、閾値を超えてしまわないようにすることができる。
【0164】
特に、第3実施形態に係るIC20において、オフセット調整回路として、複数の容量を備える容量型のD-Aコンバータ50を用いており、外部から入力される制御コードに応じて、複数の容量のうちの少なくともいずれか一つの電位を変動させることにより、アナログ信号のオフセット量を調整する。
【0165】
これにより、第3実施形態に係るIC20は、オペアンプやカレントミラー回路を用いてオフセット調整を行った場合に生じ得る1/fノイズを生じさせることなく、アナログ信号のオフセット量を調整することができる。
【0166】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0167】
例えば、第3実施形態では、第1実施形態に係る増幅回路22に対してD-Aコンバータ50を設けた構成としているが、これに限らない。例えば、第3実施形態のD-Aコンバータ50を、第1実施形態に係る増幅回路22以外の増幅回路に設けてもよい。
【0168】
また、第3実施形態では、「オフセット調整回路」の一例としてD-Aコンバータ50を設けているが、これに限らず、「オフセット調整回路」は、少なくとも増幅器の前段においてアナログ信号のオフセット量を調整することが可能な構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0169】
また、図17は、一実施形態に係る荷重検出装置100の構成を示す図である。図17に示すように、上記各実施形態で説明したIC20は、例えば、対象物150に加わる荷重を検出する荷重検出装置100において、アナログ信号を出力する歪みゲージ(図17に示す歪みセンサ112,114)と、デジタル処理を行うマイコン(図17に示す信号処理回路130)との間を接続する、いわゆるAFE(Analog Front End)(図17に示すAFEチップ120)として使用される。但し、これに限らず、IC20は、歪みゲージ以外のセンサと接続されてもよく、上記各実施形態で説明した検出システム10以外のシステム構成で使用されてもよい。
【符号の説明】
【0170】
10 検出システム
12 センサ
20 IC
22,22A 増幅回路(信号処理回路)
AMP 増幅器(信号処理部)
Cf11,Cf12 フィードバック容量
Cf21,Cf22 フィードバック容量
Cs11,Cs12 サンプリング容量(第1のサンプリング容量)
Cs21,Cs22 サンプリング容量(第2のサンプリング容量)
PP1 第1のスイッチ
PP2 第2のスイッチ
S/H1 第1処理部
S/H2 第2処理部
VIN_P,VIN_M 入力端子
VOUT_P,VOUT_M 出力端子
24 A-Dコンバータ
26 デジタル処理回路
30 MCU
40 平均化フィルタ回路(信号処理回路)
42 平均化フィルタ(信号処理部)
AVG_FLT1 第1処理部
AVG_FLT2 第2処理部
INP,INM 入力端子
OUTP,OUTM 出力端子
Cs1~Cs4 第1のサンプリング容量
Cs5~Cs8 第2のサンプリング容量
PP1234 第1のスイッチ
PP5678 第2のスイッチ
SW1~SW8 スイッチ
50 D-Aコンバータ(オフセット調整回路)
VOUTP,VOUTM 出力端子
C1P~C13P,C1M~C13M 容量
Csplit1,Csplit2 容量
SW21,SW22 スイッチ
SW1P,SW2P,SW3P スイッチ
SW1M,SW2M,SW3M スイッチ
51P,51M 信号線
VREFN,OSP,OSM 接続部
bit0P,bit1P,bit2P,bit3P 接続部
bit0M,bit1M,bit2M,bit3M 接続部
DEC1P~DEC7P,DEC1M~DEC7M 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17