(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20241001BHJP
【FI】
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2020187301
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】517168211
【氏名又は名称】株式会社Splink
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】青山 裕紀
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/091053(WO,A1)
【文献】特開2019-148993(JP,A)
【文献】特開2019-053429(JP,A)
【文献】特開2003-288417(JP,A)
【文献】特開2017-162354(JP,A)
【文献】特開2002-109064(JP,A)
【文献】麻生 祐輝,グループ内貢献心とグループ間競争心を刺激するヘルスケア促進システム,情報処理学会 研究報告 高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) 2017-ITS-071 [online],情報処理学会,2017年11月08日,Internet<URL:https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=184205&file_id=1&file_no=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれの健康関連情報を取得し、
前記複数のユーザのそれぞれについて、前記健康関連情報に基づいて複数の健康指標に関する分析結果を特定し、
前記複数の健康指標で示すマップ上に各ユーザの分析結果を表示
し、
前記複数のユーザにおいて、各ユーザの分析結果における所定期間の変動量に基づき、分析結果を共有すべきユーザを特定し、
特定したユーザの分析結果を、当該ユーザが属するコミュニティの他のユーザに通知する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
健康関連情報を入力した場合に複数の健康指標のいずれかに関する分析結果を出力する学習済みモデルに、前記ユーザの健康関連情報を入力し、前記複数の健康指標のいずれかに関する前記ユーザの分析結果を取得し、
前記複数の健康指標のいずれかで示すマップ上に前記ユーザの分析結果を表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
各ユーザに対応付けて、各ユーザが属するコミュニティを登録し、
前記コミュニティ毎に、各コミュニティに属するユーザの分析結果を前記マップ上に表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記マップ上に各ユーザの分析結果を時系列に表示し、
前記複数のユーザにおいて、各ユーザの分析結果における所定期間の変動量が所定量以上であるユーザの有無を判断し、
前記変動量が所定量以上であるユーザがいる場合、当該ユーザが属するコミュニティの他のユーザに、当該ユーザの分析結果を通知する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1から3までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記所定期間の変動量が所定量以上となった変動要因を前記ユーザの健康関連情報に基づいて特定し、
前記所定期間の変動量が所定量以上となったユーザの分析結果に対応して前記変動要因を表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記変動要因に基づいて、前記他のユーザに対するアドバイス情報を表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
各ユーザに対応付けて、各ユーザが目標とする目標ユーザを登録し、
前記マップ上にいずれかのユーザの分析結果と前記ユーザの目標ユーザの分析結果とを対比させて表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1から6までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項8】
各ユーザに対応付けて、各ユーザが属するコミュニティを登録し、
前記コミュニティ毎に、前記コミュニティに属するユーザの分析結果に基づくランキングを特定
し、
特定した前記ランキングを各コミュニティに属するユーザに通知する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1から7までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記健康関連情報は、前記ユーザの食事、運動又は睡眠を含み、前記ユーザの健康に影響を及ぼす生活習慣に関連する情報を含む
請求項1から8までのいずれかひとつに記載の情報処理方法。
【請求項10】
ユーザの健康関連情報をサーバへ出力し、
前記ユーザを含む複数のユーザのそれぞれについて、各ユーザの健康関連情報に基づいて特定された、複数の健康指標に関する分析結果を前記サーバから取得し、
前記複数の健康指標で示すマップ上に各ユーザの分析結果を表示
し、
前記複数のユーザのうちで、各ユーザの分析結果における所定期間の変動量に基づき分析結果を共有すべきと特定されたユーザの分析結果を、前記サーバから取得し、
取得した前記ユーザの分析結果を表示する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
前記ユーザが属するコミュニティに属する複数のユーザの分析結果を前記サーバから取得し、
前記マップ上に前記コミュニティに属する各ユーザの分析結果を表示する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記複数のユーザのうちで、前記分析結果における所定期間の変動量が所定量以上であるユーザの分析結果を前記サーバから取得する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項10又は11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記所定期間の変動量が所定量以上となった変動要因を前記サーバから取得し、
前記所定期間の変動量が所定量以上であるユーザの分析結果に対応して前記変動要因を表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記変動要因に基づくアドバイス情報を前記サーバから取得し、
前記所定期間の変動量が所定量以上であるユーザの分析結果に対応して前記アドバイス情報を表示する
処理を前記コンピュータが実行する請求項13に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活や運動習慣を含む生活習慣に起因する生活習慣病が問題になっている。また、複雑化した組織や人間関係の中では、多くの人がストレスを感じて生活をしている。このようなストレスが生活習慣病や神経系の病気の増加に関係しているといわれており、人々の関心が高まっている。特許文献1では、労働者のバイタルデータ及び周囲環境のデータに基づいて健康状態を精度よく判定することができるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたシステムでは、労働者自身又は雇用者が労働者の健康状態を把握することは可能であるが、各労働者が健康状態の改善に努めるか否かは個人の意識次第である。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、健康状態の把握だけでなく、健康状態の改善に努めるように促すことが可能な情報処理方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、複数のユーザのそれぞれの健康関連情報を取得し、前記複数のユーザのそれぞれについて、前記健康関連情報に基づいて複数の健康指標に関する分析結果を特定し、前記複数の健康指標で示すマップ上に各ユーザの分析結果を表示する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様にあっては、健康状態の把握だけでなく、健康状態の改善に努めるように促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムの構成例を示す模式図である。
【
図3】クラスタリング結果の一例を示す模式図である。
【
図5】情報処理システムの内部構成例を示すブロック図である。
【
図6】サーバ10が記憶するDBの構成例を示す模式図である。
【
図8】学習モデルの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態2のユーザDBの構成例を示す模式図である。
【
図13】実施形態2の健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】ランキングの提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実施形態4の学習モデルの構成例を示す模式図である。
【
図17】実施形態4の健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の情報処理方法及びプログラムについて、その実施形態を示す図面に基づいて説明する。
【0010】
(実施形態1)
コミュニティに属するユーザ間で、各ユーザの健康分析結果を共有する情報処理システムについて説明する。本実施形態においてユーザ間で共有される健康分析結果として、各ユーザの健康に関連する情報(健康関連情報)から各ユーザの健康状態を分析した分析結果を用いる。
図1は情報処理システムの構成例を示す模式図である。本実施形態の情報処理システムは、サーバ10、ユーザ端末20、計測器30等を含み、サーバ10及びユーザ端末20はインターネット等のネットワークNに接続され、ネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0011】
サーバ10は、各ユーザの健康関連情報及び健康分析結果を管理する管理会社のサーバであり、例えばSNS(Social Networking Service)を提供する会社のサーバであってもよい。サーバ10は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等を用いて構成される。サーバ10は、複数台設けられて分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されてもよく、クラウドサーバを用いて実現されてもよい。ユーザ端末20は、サーバ10が提供する健康管理サービスを利用するユーザの端末であり、複数台設けられている。ユーザ端末20は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成されるが、専用の端末によって構成されてもよい。ユーザ端末20は、例えば近距離無線通信機能によって計測器30と通信することができる。なお、ユーザ端末20と計測器30との間を有線で接続してもよい。計測器30は、バイタルデータを計測することができ、例えば、体重計、血圧計、活動量計等を含み、腕時計型のウェアラブルデバイスであってもよい。バイタルデータは例えば、血圧、脈拍、脈圧、体重、体脂肪率、内脂肪、筋肉量、BMI、歩数、歩行距離、走行距離等を含めることができる。
【0012】
本実施形態の情報処理システムにおいて、ユーザは、ユーザ端末20を用いて、計測器30で計測した自身のバイタルデータを含む健康関連情報をサーバ10にアップロードして記録する。健康関連情報の詳細は後述するが、ユーザは、健康関連情報をユーザ端末20に入力し、又は、ユーザ端末20によって計測器30からバイタルデータを取得する。なお、ユーザのバイタルデータは、ユーザが計測器30で計測した値を読み取ってユーザ端末20に入力してもよい。また、ユーザのバイタルデータの一部が、計測器30からネットワークN経由で直接サーバ10にアップロードされてもよい。サーバ10は、アップロードされた各ユーザの健康関連情報をユーザ毎に蓄積する。なお、サーバ10は、各ユーザの健康関連情報に基づいて各ユーザの健康状態を分析し、得られた健康分析結果を各ユーザに提供する。
【0013】
図2は健康関連情報の一例を示す模式図である。健康関連情報は、ユーザの健康状態を評価するために利用できる情報であればよく、例えば、ユーザの属性情報(性別、年齢等)、生活習慣に関する情報(例えば、運動、飲酒、喫煙、睡眠又は食事等に関する情報)、生活環境に関する情報(例えば、労働時間、満足度、就業形態、家族構成等に関する情報)、生体に関する情報(例えば、身長、体重、血圧、BMI、体温、体脂肪率等)が含まれる。また、健康関連情報は、医療機関等で行った各種の検査結果、治療内容、リハビリ内容、服用中の薬等に関する診察データ、ユーザ自身又は家族の既往歴の情報(遺伝情報)等を含んでもよい。上述した健康関連情報は、例えばアンケート(質問票)形式でユーザが回答することによって収集されてもよく、各種の計測器30を用いて収集されてもよい。また、ユーザの運動に関する情報は、例えばスポーツジムで使用される各種のトレーニング機器で収集される運動データを用いてもよい。健康関連情報は、ユーザの健康に影響を及ぼす生活習慣等に関連する情報であれば、どのような情報でもよい。
【0014】
具体的には、
図2に示すように、健康関連情報は、性別・生年月・身長・体重、婚姻状況・同居状況、就業形態・交代勤務か否か、世帯収入、学校教育の年数、喫煙の有無・喫煙期間・喫煙本数、飲酒頻度、入眠時刻・起床時刻・平均睡眠時間、朝食を抜く頻度・夕食後の間食頻度・食べる速さ、運動頻度、平均労働時間、自律神経、疲労スケール・慢性疲労症候群診断基準、うつスケール、パフォーマンススケール、今の生活や仕事への満足度、生活や仕事のパフォーマンス、健康状態の自己評価、血圧、個人の健康増進ニーズ等の各項目に対するデータを含む。
【0015】
図示しないが、従業員の「疲労」マネジメントによる生産性向上という観点から、健康関連情報としては、
図2の場合とも類似するが、性別・生年月・身長・体重・体温、婚姻状況・同居状況、就業形態・交代勤務か否か、世帯収入、学校教育の年数、喫煙の有無・喫煙期間・喫煙本数、飲酒頻度、入眠時刻・起床時刻・平均睡眠時間、朝食を抜く頻度・夕食後の間食頻度・食べる速さ、運動頻度、平均労働時間、自律神経、認知機能テスト(順唱、逆唱、ストループ、TMT、引き算、メンタルローテーション)、疲労スケール・慢性疲労症候群診断基準、うつスケール、パフォーマンススケール、今の生活や仕事への満足度、生活や仕事のパフォーマンス、健康状態の自己評価等を含めることができる。
【0016】
計測機器を利用した計測による従業員の健康可視化・意識向上という観点から、疲労計測パッケージ、アンチエイジングパッケージ、Woman’s Healthパッケージ、生活習慣病パッケージ、フレイルパッケージ等が考えられる。疲労計測パッケージには、例えば、体組成計、血圧、体温、疲労度質問紙、糖化測定、眼精疲労等の健康関連情報が含まれる。アンチエイジングパッケージには、例えば、体組成計、血圧、血流、体温、疲労度質問紙、糖化測定、骨密度、肌年齢等の健康関連情報が含まれる。Woman’s Healthパッケージには、例えば、体組成計、血圧、体温、疲労度質問紙、糖化測定、骨密度等の健康関連情報が含まれる。生活習慣病パッケージには、例えば、体組成計、血圧、体温、糖化測定、筋力等の健康関連情報が含まれる。フレイルパッケージには、例えば、体組成計、体温、骨密度、筋力等の健康関連情報が含まれる。
【0017】
臨床研究プラットフォームという観点から、健康関連情報としては、統一質問票(生活習慣、睡眠、疲労、気分・意欲・うつ、ストレス)、複数のVAS(Visual Analogue Scale)、自律神経機能(交感神経系、副交感神経系/パワー、バランス)、血管年齢、血管走行機能、血流量、皮膚機能、皮下機能、筋肉量、血圧、筋力、体組成、骨密度、糖化、活動量、睡眠時間、睡眠の質、簡易認知機能(信号機課題、ATMT、PCクレッペリン)、呼気、皮膚ガス成分分析、血清酸化マーカー(d-ROMs)・抗酸化能マーカー(BAP)、簡易代謝物分析(イソクエン酸、オルニチン、シトルリン等)、血漿中還元型・酸化型コエンザイムQ10、各種ビタミン・ミネラル、血漿中一般生化学検査、血球検査(健診ルーティン)、血漿中炎症マーカー(高感度CRP、IL-1β、IL-6等)、血液中総合的がん指標、血液中免疫アレルギー指標、血球系の計測(15ml採血)、遺伝子計測(DNA/RNA/CAP)、血液中エクソソーム、唾液マーカー、腸内細菌、口腔内細菌、PET/MRI・MEG等を含めることができる。
【0018】
健康診断等を行う施設における計測という観点から、健康関連情報としては、統一質問票(生活習慣、睡眠、疲労、気分・意欲・うつ、ストレス)、複数のVAS(Visual Analogue Scale)、自律神経機能(交感神経系、副交感神経系/パワー、バランス)、血管年齢、血管走行機能、血流量、皮膚機能、皮下機能、筋肉量、血圧、筋力、体組成、骨密度、糖化、活動量、睡眠時間、睡眠の質、簡易認知機能(信号機課題、ATMT、PCクレッペリン)、血清酸化マーカー(d-ROMs)・抗酸化能マーカー(BAP)、血漿中一般生化学検査、血球検査(健診ルーティン)、血漿中炎症マーカー(高感度CRP、IL-1β、IL-6等)等を含めることができる。
【0019】
上述のような健康関連情報は、医療従事者でない者でも家庭や職場で計測器により取得可能な情報でもよく、医療従事者が計測器により取得可能な情報でもよく、質問票等で手入力により取得可能な情報でもよく、これらを組み合わせた情報でもよい。健康関連情報を計測器等で計測する場合は、家庭や職場で計測してもよく、病院や診療所等の医療機関で計測してもよく、百貨店、コンビニ、スーパーマーケット、公共施設等でも測定することができる。また、ユーザ端末20がカメラを有する場合、カメラで撮影したユーザの撮影画像に基づいて、ユーザ端末20がユーザの体型に関する情報(BMI、身長、体重等)を推定してもよい。更にユーザ端末20が、LINE(登録商標)、Twitter(登録商標)、Facebook(登録商標)等のSNS(Social Networking Service )と連動し、SNSに投稿された情報から健康関連情報を抽出してもよい。
【0020】
また、健康関連情報に、ユーザの購買データ、広告のクリックを経由したコンバージョンのデータ、ウェブでの検索キーワードデータ、訪問したサイトのデータ、テレビの視聴データ、インストールしたアプリのデータ、POSデータ等の購買に関連する生活関連情報を含めてもよい。健康関連情報は、オンラインデータでもよく、オフラインデータでもよく、オンラインデータとオフラインデータとが混在していてもよい。
【0021】
本実施形態のサーバ10は、上述したような健康関連情報に基づいて各ユーザの健康状態を分析する。その際、サーバ10は、複数の健康指標を軸として表現される健康マップを用いて、各ユーザの健康状態を示す。健康マップは、2つの健康指標を軸として表現された2次元マップであってもよく、3つの健康指標を軸として表現された3次元マップであってもよい。健康指標軸の内容は適宜決めることができるが、例えば、一方の健康指標軸をフィジカルレベルに関する指標とし、他方の健康指標軸をメンタルレベルに関する指標とすることができる。健康マップは、複数のエリアで区分することができ、例えば、健康ゾーン、メンタル低下ゾーン、フィジカル低下ゾーン、メンタル・フィジカル低下ゾーンのように区分すると共に、各区分を複数のレベルで区分することができる。
【0022】
次に、健康マップの生成方法について説明する。ここではフィジカルレベル及びメンタルレベルの2つの健康指標軸で示される健康マップについて説明する。健康マップの生成には、例えば、教師なし学習の手法を用いた機械学習を用いることができる。多数のユーザ(被験者)の健康関連情報の各項目のデータに基づいて、ユーザをクラスタリングする。クラスタリングする際には、2つの健康指標軸で表現できるように、次元削減処理を用いて健康関数情報のデータを2次元に圧縮する。次元削減処理は、例えば主成分分析、重回帰分析等の処理を用いる。
図3はクラスタリング結果の一例を示す模式図であり、
図3には多数のユーザの健康関連情報のデータを2つの健康指標軸でクラスタリングした例を示している。
図3の例では、C1からC7の7個のクラスタに分類できたとする。同じクラスタ内では、データの類似性が高い。図中の白丸印は、各ユーザの健康関連情報のデータを2次元に圧縮して得られた指標を示す。
【0023】
図4は健康マップの一例を示す模式図である。
図4に示す健康マップは、
図3で例示したクラスタC1~C7について、横軸(X軸)をフィジカルレベルとし、縦軸(Y軸)をメンタルレベルとし、クラスタC1~C7を特定する名称を付したものである。
図4の例では、健康ゾーン、メンタル低下ゾーン、フィジカル低下ゾーン、メンタル・フィジカル低下ゾーンの4つのエリアに区分されている。また、健康ゾーン以外の各エリアは、フィジカルレベル又はメンタルレベルの大小に応じて2つのレベル(Lv.1、Lv.2)に区分されている。健康マップは、被験者の年齢層又は性別毎に用意されてもよく、健康マップ上のゾーンは、年齢層又は性別に応じて異なる領域がゾーンに設定されてもよい。また、健康マップ上の各ゾーンは、クラスタリングの結果に基づいて設定される構成のほかに、任意の領域がゾーンに設定されていてもよい。
【0024】
図4に示す健康マップでは、フィジカルレベル(X)は、例えば右方向ほど大きい値をとり、フィジカルレベル(X)の値が大きいほどフィジカル(身体的健康)が低下していることを表す。メンタルレベル(Y)は、例えば上方向ほど大きい値をとり、メンタルレベル(Y)の値が大きいほどメンタル(精神的健康)が低下していることを表す。フィジカルレベル(X)及びメンタルレベル(Y)それぞれの値の範囲は、標準化して適当な範囲内になるように設定すればよい。健康マップ上の点と原点との距離が大きいほど、当該点での総合スコアSの値が小さくなる。また、レベルLv.1は、レベルLv.2よりも健康マップ上で健康状態が良い領域であることを示す。総合スコアSの値は、例えば、0から100までの範囲内の値になるように正規化することができる。
【0025】
健康マップを表現する各健康指標軸の名称は、
図4の例に限定されるものではなく、クラスタリングを行う際に用いる被験者のデータの種別(健康関連情報のデータ項目)に応じて、適切な名称を付与することができる。例えば、フィジカルレベル及びメンタルレベルのほかに、脳コンディションレベル(認知機能レベル、脳年齢、脳疲労度)、体型レベル(BMI、体重・身長)、肌レベル(肌状態)、ストレスレベル(疲労度)、又は生活習慣病等の疾患リスクレベル等の健康指標を用いることができる。健康マップを表現する健康指標は、予め設定されていてもよく、上述したような健康指標からユーザが選択した2つ又は3つの健康指標を軸に用いてもよい。
【0026】
本実施形態のサーバ10は、各ユーザについて、
図2に示すような健康関連情報に基づいて、ユーザの健康状態を示す健康指標の値を特定する。その際、サーバ10は、健康マップの軸に用いる健康指標について指標値(レベル値)を特定する。そしてサーバ10は、特定した健康指標の値から総合スコアSを算出し、総合スコアSをユーザの健康分析結果とする。またサーバ10は、健康指標を軸として表現される健康マップ上に、特定した健康指標の値をプロットすることにより、ユーザの健康状態を健康マップ上に表示する。なお、サーバ10は、健康関連情報を入力として、健康分析結果(健康指標の値)を出力する学習モデル12M(
図5参照)を予め用意しており、各ユーザの健康関連情報を学習モデル12Mに入力することにより、各ユーザの健康分析結果を学習モデル12Mから取得する。学習モデル12Mは、例えばサーバ10が所定の訓練データを学習する機械学習を行うことによって生成される。
【0027】
図5は情報処理システムの内部構成例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、端末全体を制御する制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25、計測器通信部26等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを有する。制御部21は、記憶部22に記憶してある制御プログラム22Pを適宜実行することにより、ユーザ端末20が行うべき種々の情報処理、制御処理等を行う。記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部22は、制御部21が実行する制御プログラム22P及び制御プログラム22Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部22は、制御部21が制御プログラム22Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部22は、サーバ10が提供する健康管理サービスを利用するためのアプリケーションプログラム(以下では健康管理アプリ22APという)を記憶している。なお、記憶部22は、計測器30から取得したバイタルデータ、入力部24を介して入力されたユーザの健康関連情報を記憶する。
【0028】
通信部23は、有線通信又は無線通信によって、ネットワークNに接続するための通信モジュールであり、ネットワークNを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。入力部24は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部21へ送出する。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部21からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部24及び表示部25は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。計測器通信部26は、有線通信又は無線通信によって計測器30との間で通信するための通信モジュールであり、計測器30との間で情報の送受信を行う。計測器通信部26は、無線通信を行う場合、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)等の無線通信規格による通信を行う。
【0029】
サーバ10は、端末全体を制御する制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。サーバ10の制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15のそれぞれは、ユーザ端末20の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、サーバ10の制御部11は、CPU、MPU、又はGPUのほかに、AIチップ(AI用半導体)を有していてもよい。また、サーバ10の記憶部12は、制御部11が実行する制御プログラム12Pに加え、例えば機械学習によって訓練データを学習済みの学習モデル12M、後述するユーザDB(データベース)12a、コミュニティDB12b、健康マップDB12c及びアドバイスDB12dを記憶している。
【0030】
学習モデル12Mは、ユーザの健康関連情報が入力された場合に、この健康関連情報によって分析されるユーザの健康分析結果を出力するように学習された学習済みモデルである。学習モデル12Mは、人工知能ソフトウェアを構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。学習モデル12Mは、入力値に対して所定の演算を行い、演算結果を出力するものであり、記憶部12には、この演算を規定する関数の係数や閾値等のデータが学習モデル12Mとして記憶される。ユーザDB12a、コミュニティDB12b、健康マップDB12c及びアドバイスDB12dは、サーバ10に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、サーバ10が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。
【0031】
読み取り部16は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード等を含む可搬型記憶媒体1aに記憶された情報を読み取る。記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体1aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。また、記憶部12に記憶される制御プログラム12P及び各種のデータは、制御部11が通信部13を介して他の装置からダウンロードして記憶部12に記憶してもよい。
【0032】
図6は、サーバ10が記憶するDB12a~12dの構成例を示す模式図である。
図6AはユーザDB12aを、
図6BはコミュニティDB12bを、
図6Cは健康マップDB12cを、
図6DはアドバイスDB12dをそれぞれ示す。ユーザDB12aは、サーバ10が提供する健康管理サービスを利用するためにユーザ登録したユーザに関する情報を記憶する。
図6Aに示すユーザDB12aは、ユーザID列、個人情報列、健康関連情報列、健康分析結果列、所属コミュニティ列等を含み、ユーザIDに対応付けてユーザに関する情報を記憶する。ユーザID列は、各ユーザを識別するための識別情報(ユーザID)を記憶する。個人情報列は、ユーザの氏名、電話番号、電子メールアドレス等の個人情報を記憶する。健康関連情報列は、ユーザについて
図2に示すような健康関連情報を記憶する。健康関連情報の各項目は時系列のデータを含んでおり、日時情報に対応付けて各項目の情報が記憶されている。日時情報は、各項目の情報を計測器30又はユーザ端末20が取得した日時(年月日、時、分、秒)、又はサーバ10がユーザ端末20等から受信した日時(年月日、時、分、秒)を示す。健康分析結果列は、健康関連情報から分析して得られた結果(健康分析結果)を記憶する。健康分析結果は、例えばデフォルトの健康指標、又はユーザによって選択された健康指標についての値であり、日時情報に対応付けて記憶されている。ここでの日時情報は、制御部11が健康関連情報を分析して健康分析結果を取得した日時(年月日、時、分、秒)を示す。所属コミュニティ列は、ユーザによって登録され、ユーザが属するコミュニティの情報(例えばコミュニティID)を記憶する。ユーザDB12aに記憶されるユーザIDは、新たなユーザが登録された場合に、制御部11によって発行されて記憶される。ユーザDB12aに記憶される個人情報、健康関連情報及び所属コミュニティは、制御部11が通信部13又は入力部14を介して各情報を取得した場合に制御部11によって記憶(蓄積)又は更新される。ユーザDB12aに記憶される健康分析結果は、制御部11が健康関連情報から健康分析結果を取得した場合に制御部11によって記憶(蓄積)される。ユーザDB12aの記憶内容は
図6Aに示す例に限定されない。
【0033】
コミュニティDB12bは、各ユーザが属するコミュニティに関する情報を記憶する。
図6Bに示すコミュニティDB12bは、コミュニティID列、コミュニティ情報列、所属ユーザ列等を含み、コミュニティIDに対応付けてコミュニティに関する情報を記憶する。コミュニティID列は、各コミュニティを識別するための識別情報(コミュニティID)を記憶する。コミュニティ情報列は、コミュニティに付与された名称、コミュニティ又は所属するユーザの特徴等を記憶する。所属ユーザ列は、コミュニティに属するユーザのユーザIDを記憶する。コミュニティDB12bに記憶されるコミュニティIDは、新たなコミュニティが生成された場合に、制御部11によって発行されて記憶される。コミュニティDB12bに記憶されるコミュニティ情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して取得した場合に制御部11によって記憶又は更新される。コミュニティDB12bに記憶される所属ユーザは、制御部11が通信部13を介して各ユーザ(ユーザ端末20)から、コミュニティの所属要求又は所属解消要求を取得した場合に、ユーザのユーザIDが制御部11によって記憶又は削除される。コミュニティDB12bの記憶内容は
図6Bに示す例に限定されない。
【0034】
健康マップDB12cは、
図4に示すような健康マップに関する情報を記憶する。
図6Cに示す健康マップDB12cは、マップID列、第1指標列、第2指標列、ゾーン情報列等を含み、マップIDに対応付けて健康マップに関する情報を記憶する。マップID列は、各健康マップを識別するための識別情報(マップID)を記憶する。第1指標列及び第2指標列は、健康マップを構成する健康指標軸に関する情報を記憶する。なお、3つの健康指標で表される健康マップを用いる場合、健康マップDB12cは第3指標列を有する。ゾーン情報列は、健康マップ上に設けられた各ゾーン(エリア)についてゾーンの名称、ゾーン間の境界を示す情報等を含むゾーン情報を記憶する。健康マップDB12cに記憶されるマップIDは、新たな健康マップが生成された場合に、制御部11によって発行されて記憶される。健康マップDB12cに記憶される第1指標及び第2指標は、健康マップが生成される際に指定された健康指標を制御部11が通信部13又は入力部14を介して取得した場合に制御部11によって記憶される。健康マップDB12cに記憶されるゾーン情報は、制御部11が多数のユーザ(被験者)の健康関連情報に対してクラスタリングした結果に基づいて各ゾーンが区分された場合に、区分された各ゾーンに関する情報が制御部11によって記憶される。健康マップDB12cの記憶内容は
図6Cに示す例に限定されない。
【0035】
アドバイスDB12dは、健康分析結果に応じてユーザに提供されるアドバイスを記憶する。
図6Dに示すアドバイスDB12dは、マップID列、ゾーン情報列、アドバイス情報列等を含み、マップIDに対応付けて健康マップ上の各ゾーンに対応するアドバイスを記憶する。マップID列は、各健康マップのマップIDを記憶し、ゾーン情報列は、健康マップ上に設けられたゾーンの情報(例えばゾーンの名称)を記憶する。アドバイス情報列は、各ゾーンに対応付けられたアドバイス情報を記憶する。アドバイス情報は、各ゾーンが示す健康状態のユーザに対して提供すべきアドバイス、健康状態が異なるゾーン間を変動した場合に提供すべきアドバイス等である。アドバイスは、ユーザの健康状態(健康分析結果)に応じた内容だけでなく、ユーザのパラメータ(例えば、体重、BMI、体脂肪率、筋肉量、血圧、平均睡眠時間、平均労働時間、運動頻度等)に応じた内容であってもよい。また、アドバイスは、保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、心理相談員、運動指導士等の医療従事者が、ユーザの健康状態(健康分析結果)を参考にして設定された内容であってもよい。アドバイスDB12dに記憶されるマップID及びゾーン情報は、制御部11が健康マップを生成した場合に、生成した健康マップに付与されたマップID及びゾーン情報が制御部11によって記憶される。アドバイスDB12dに記憶されるアドバイス情報は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して取得した場合に制御部11によって記憶される。アドバイスDB12dの記憶内容は
図6Dに示す例に限定されない。例えばアドバイスDB12dは、健康マップを構成する健康指標の各値又は各範囲に対応付けてアドバイス情報を記憶する構成でもよい。
【0036】
図7は学習モデル12Mの構成例を示す模式図である。学習モデル12Mは、
図2に示すような健康関連情報を入力として、健康マップを表す健康指標の値(指標値)を出力する機械学習モデルである。学習モデル12Mは、例えば深層学習によって生成されるニューラルネットワークモデルであるDNN(Deep Neural Network)、又はRNN:Recurrent Neural Network)で構成される。学習モデル12Mは、CNN又はRNNのほかに、LSTM(Long Short-Term Memory)、決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)等のアルゴリズムを用いて構成されてもよく、複数のアルゴリズムを組み合わせて構成されてもよい。サーバ10は、所定の訓練データを学習する機械学習を行って学習モデル12Mを事前に生成しておく。なお、学習モデル12Mは、健康マップ毎に生成され、マップIDに対応付けて記憶部12に記憶される。サーバ10は、ユーザDB12aに記憶してあるユーザの健康関連情報を学習モデル12Mに入力し、学習モデル12Mからの出力情報に基づいて健康分析結果を特定する。
【0037】
図7に示す学習モデル12Mは、健康関連情報が入力される入力層と、健康指標としてフィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値をそれぞれ出力する出力層と、入力情報に対して所定の演算を行う中間層(隠れ層)とを備える。入力層は複数の入力ノードを有しており、各入力ノードには健康関連情報の各項目が対応付けられており、健康関連情報の各項目の情報がそれぞれ対応付けられた入力ノードを介して学習モデル12Mに入力される。中間層は、各種の関数及び閾値等を用いて、入力層を介して入力された各情報から出力値を算出し、算出した出力値を出力層へ出力する。学習モデル12Mは、出力層としてフィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層を有し、フィジカルレベル出力層を介してフィジカルレベルに関する情報を出力し、メンタルレベル出力層を介してメンタルレベルに関する情報を出力する。フィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層のそれぞれは、予め設定されたレベル値にそれぞれ対応付けられた複数の出力ノードを有しており、各出力ノードから、対応付けられたレベル値に対する判別確率を出力する。
図7に示す例では、各出力ノードに、第1レベル、第2レベル、第3レベル…の各レベルがそれぞれ対応付けられている。第1レベル、第2レベル、第3レベル…は、所定値であっても所定範囲であってもよく、それぞれの健康指標(フィジカルレベル及びメンタルレベル)が取り得る範囲に基づくレベルが設定される。例えば健康指標が0~100で表される場合、0~100を出力ノードの数で分割した各値又は各範囲を、各出力ノードに対応付けられるレベル値に設定してもよい。フィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層のそれぞれにおいて、各出力ノードの出力値は例えば0~1の値であり、各出力ノードからそれぞれ出力された判別確率の合計が1.0(100%)となる。上述した構成により、本実施形態の学習モデル12Mは、ユーザの健康関連情報が入力された場合に、フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値に係る情報(判別確率)を出力する。
【0038】
サーバ10は、上述した学習モデル12Mにおいて、フィジカルレベル出力層からの出力値のうちで最大の出力値(判別確率)を出力した出力ノードに対応付けられているレベルを、フィジカルレベルのレベル値に特定し、メンタルレベル出力層からの出力値のうちで最大の出力値(判別確率)を出力した出力ノードに対応付けられているレベルを、メンタルレベルのレベル値に特定する。なお、学習モデル12Mのフィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層は、それぞれのレベル値に対する判別確率を出力する複数の出力ノードを有する代わりに、判別確率が最も高いレベル値を出力する1個の出力ノードを有する構成でもよい。
【0039】
学習モデル12Mは、フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値を算出済みのユーザについて、ユーザの健康関連情報に対して、フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値を示す情報(正解ラベル)が付与された訓練データを用いて学習する。健康関連情報、フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値は、ユーザDB12aに記憶してある健康関連情報及び健康分析結果を用いてもよい。学習モデル12Mは、訓練データに含まれる健康関連情報が入力された場合に、訓練データに含まれる正解ラベル(フィジカルレベル及びメンタルレベルの正解のレベル値)に対応する出力ノードからの出力値が1に近づき、他の出力ノードからの出力値が0に近づくように学習する。具体的には、学習モデル12Mは、入力された健康関連情報に基づいて中間層での演算を行い、フィジカルレベル出力層の各出力ノードからの出力値を算出する。そして学習モデル12Mは、算出した各出力ノードの出力値と正解ラベルに応じた値(0又は1)とを比較し、各出力値がそれぞれの正解ラベルに応じた値に近似するように、中間層及びフィジカルレベル出力層におけるニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。学習モデル12Mは、例えば誤差逆伝播法を用いて、中間層及びフィジカルレベル出力層での演算に用いる各種の関数の係数及び閾値等のデータの最適化を行う。同様に学習モデル12Mは、入力された健康関連情報に基づいて中間層での演算を行い、メンタルレベル出力層の各出力ノードからの出力値を算出する。そして学習モデル12Mは、算出した各出力ノードの出力値と正解ラベルに応じた値(0又は1)とを比較し、各出力値がそれぞれの正解ラベルに応じた値に近似するように、例えば誤差逆伝播法を用いて、中間層及びメンタルレベル出力層におけるニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。これにより、健康関連情報が入力された場合に、健康関連情報に基づく健康分析結果としてフィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値を出力するように学習された学習モデル12Mが得られる。
【0040】
学習モデル12Mの学習は他の学習装置で行われてもよい。他の学習装置で学習が行われて生成された学習済みの学習モデル12Mは、例えばネットワークN経由又は可搬型記憶媒体1a経由で学習装置からサーバ10にダウンロードされて記憶部12に記憶される。学習モデル12Mは、
図7に示す構成に限定されない。
【0041】
以下に、訓練データを学習して学習モデル12Mを生成する処理について説明する。
図8は学習モデル12Mの生成処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、サーバ10の制御部11が、記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って行うが、他の学習装置で行われてもよい。
【0042】
サーバ10の制御部11は、あるユーザの健康関連情報に対して、フィジカルレベル及びメンタルレベルに関する正解のレベル値が付与された訓練データを取得する(S11)。訓練データ用の健康関連情報及び正解のレベル値は、ユーザDB12aに記憶してある健康関連情報及び健康分析結果から取得することができる。なお、訓練データは、予めユーザDB12aの記憶内容から生成して訓練データDB(図示せず)に登録しておいてもよい。この場合、制御部11は、訓練データDBから訓練データを取得すればよい。
【0043】
制御部11は、取得した訓練データを用いて学習モデル12Mの学習処理を行う(S12)。ここでは、制御部11は、訓練データに含まれる健康関連情報を学習モデル12Mに入力し、フィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層において、それぞれの出力ノードからの出力値を取得する。具体的には、制御部11は、学習モデル12Mに対して、訓練データに含まれる健康関連情報の各データを、各データが割り当てられた入力ノードから入力し、学習モデル12Mの各出力ノードからそれぞれの出力値を取得する。制御部11は、フィジカルレベル出力層及びメンタルレベル出力層のそれぞれにおいて、各出力ノードからの出力値と、正解のレベル値に応じた値(0又は1)とを比較し、両者が近似するように、例えば誤差逆伝播法を用いて、中間層及び各出力層におけるニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。具体的には、制御部11は、正解のレベル値に対応する出力ノードからの出力値が1に近づき、他の出力ノードからの出力値が0に近づくように学習モデル12Mを学習させる。
【0044】
制御部11は、未処理のデータがあるか否かを判断する(S13)。例えば制御部11は、ユーザDB12aに記憶されている健康関連情報及び健康分析結果のうちで、学習処理に未だ使用されていない情報があるか否かを判断する。訓練データが予め訓練データDBに登録してある場合、制御部11は、訓練データDBに記憶してある訓練データにおいて、未処理の訓練データがあるか否かを判断する。未処理のデータがあると判断した場合(S13:YES)、制御部11はステップS11の処理に戻り、学習処理が未処理の健康関連情報及び健康分析結果に基づいて、ステップS11~S12の処理を行い、訓練データを用いて学習処理を繰り返す。未処理のデータがないと判断した場合(S13:NO)、制御部11は一連の処理を終了する。
【0045】
上述した処理により、ユーザの健康関連情報が入力された場合に、健康関連情報に基づく健康分析結果を出力するように学習された学習モデル12Mが生成される。なお、上述したような訓練データを用いた学習処理を繰り返し行うことにより、学習モデル12Mを更に最適化することができる。また、既に学習済みの学習モデル12Mについても、上述した処理を行うことによって再学習させることができ、この場合、判別精度がより高い学習モデル12Mを生成できる。サーバ10は、2つの健康指標又は3つの健康指標で表現される健康マップ毎に上述した学習処理を行うことにより、健康マップ毎に、健康マップを表す健康指標の指標値を出力する学習モデル12Mを生成する。健康マップ毎に生成された学習モデル12Mは、マップIDに対応付けて記憶部12に記憶される。
【0046】
以下に、上述した処理によって生成された学習モデル12Mを用いて、各ユーザの健康関連情報から健康分析結果を取得してユーザに提供する処理について説明する。本実施形態のサーバ10は、例えば1週間毎又は1ヶ月毎等の定期的に各ユーザの健康関連情報から健康分析結果を取得してユーザに提供する。またサーバ10は、定期的に取得する各ユーザの健康分析結果の変化が大きい場合、当該ユーザが属するコミュニティの他のユーザに、当該ユーザの健康分析結果を通知する。なお、サーバ10は、例えばユーザ端末20から健康分析結果を要求された場合に、対応するユーザの健康関連情報から健康分析結果を取得してユーザに提供してもよい。
図9は健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャート、
図10及び
図11は画面例を示す模式図である。
図9では左側に、あるユーザのユーザ端末20が行う処理を、中央にサーバ10が行う処理を、右側に、あるユーザと同じコミュニティに属する他のユーザのユーザ端末20が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、サーバ10の制御部11が記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って行い、ユーザ端末20の制御部21が記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び健康管理アプリ22APに従って行う。
【0047】
サーバ10は、定期的に、又はユーザ端末20からの指示を受け付けた場合に、各ユーザの健康関連情報を分析して健康分析結果を取得する処理を実行する。よって、制御部11は、健康関連情報を分析すべきタイミングが到来したか否かを判断する(S21)。例えば1週間毎又は1ヶ月毎等の定期的に分析処理を実行する場合、制御部11は、直近に分析処理を実行したタイミングから所定時間(1週間又は1ヶ月等)が経過したか否かを判断し、経過したと判断した場合、分析タイミングが到来したと判断する。またユーザはユーザ端末20(健康管理アプリ22AP)を介して自身の健康関連情報をサーバ10へ送信し、健康関連情報に対する分析処理の実行をサーバ10に指示することができ、制御部11は、ユーザ端末20から分析処理の実行指示を受け付けた場合、分析タイミングが到来したと判断する。
【0048】
制御部11は、分析タイミングが到来していないと判断した場合(S21:NO)、待機し、到来したと判断した場合(S21:YES)、分析対象のユーザ(あるユーザ)の健康関連情報をユーザDB12aから取得する(S22)。例えば制御部11は、ユーザDB12aに記憶してある分析対象のユーザの健康関連情報のうちで、各項目の最新の情報を読み出す。また、各項目が時系列のデータを含む場合、制御部11は、日時情報に対応付けて各項目の情報を読み出してもよい。このとき制御部11は、例えば1週間分又は1ヶ月分の情報を読み出してもよく、前回の分析タイミング以降に蓄積された各情報を読み出してもよい。制御部11は、取得した健康関連情報に基づく健康分析結果を取得する(S23)。ここでは制御部11は、健康関連情報を学習モデル12Mに入力し、学習モデル12Mからの出力値に基づいて、このユーザのフィジカルレベル及びメンタルレベルのそれぞれのレベル値を特定する。例えば制御部11は、健康関連情報の各データを、各データが割り当てられた入力ノードから学習モデル12Mに対して入力する。また制御部11は、学習モデル12Mにおいて、フィジカルレベル出力層からの出力ノードのうちで、最大の出力値(判別確率)を出力した出力ノードを特定し、特定した出力ノードに対応付けられているレベル値を、ユーザのフィジカルレベルに特定する。また制御部11は、メンタルレベル出力層からの出力ノードのうちで、最大の出力値を出力した出力ノードを特定し、特定した出力ノードに対応付けられているレベル値を、ユーザのメンタルレベルに特定する。なお、ユーザの健康関連情報の一部を準備できない場合、制御部11はデフォルトの情報を代わりに学習モデル12Mに入力してもよい。制御部11は、健康分析結果を取得した場合、ユーザIDに対応付けて、この時の日時情報(分析日時の情報)及び健康分析結果をユーザDB12aに記憶しておく。また、制御部11は、健康関連情報から健康分析結果を算出するための算出式を予め用意しておき、取得した健康関連情報を算出式に代入することによって、ユーザのフィジカルレベル及びメンタルレベルのそれぞれのレベル値を算出してもよい。
【0049】
制御部11は、取得した健康分析結果に基づいて、
図10に示すような分析結果画面を生成する(S24)。例えば制御部11は、フィジカルレベル及びメンタルレベルで表された健康マップ上に、このユーザの前回の健康分析結果(フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値)と、今回の健康分析結果とをプロットし、時系列の健康分析結果が表示された健康マップ101を生成する。
図10に示す健康マップ101では、前回の健康分析結果(2020年9月1日の分析結果)が大きい白丸印でプロットされ、今回の健康分析結果(2020年10月1日の分析結果)が二重丸でプロットされ、ここでのユーザと同じコミュニティに属する他のユーザの健康分析結果が小さい白丸印でプロットされている。また制御部11は、今回の健康分析結果に基づいて、ユーザの健康状態を示すゾーン(健康ポジション)を特定すると共に総合スコアを算出する。更に制御部11は、今回の健康分析結果に基づいて、ユーザに提供すべきアドバイス情報をアドバイスDB12dから取得する。なお、アドバイス情報は、今回の健康状態(健康ポジション、総合スコア等)に応じたアドバイス情報であってもよく、前回及び今回の健康状態の変動に応じたアドバイス情報であってもよい。アドバイス情報は、例えば、食事や運動だけではなく、運動器具の購入や、飲食品、サプリメント又は漢方薬の購入又は摂取に関するアドバイス、適切な保険商品を提示するアドバイスでもよい。保険商品をアドバイスする場合には、消費者に対して直接提示するものと、保険会社に対して提示するものと、両者を提示するものとを含めることができる。また、アドバイス情報は、「イチョウ葉由来フラボノイド配糖体及びイチョウ葉由来テルペンラクトンには、認知機能の一部である記憶力を維持する機能があることが報告されています。」、「DHA及びEPAには、認知機能の一部である記憶力を維持する機能や、注意力を維持する機能があることが報告されています。」等の成分の一般的な効用の記載でもよい。更に、アドバイス情報は、表示画面上で操作(例えば、クリック)することにより、直接的または間接的に、運動器具、飲食品、サプリメント、漢方薬のオンラインショップのサイトに繋がるものであってもよい。
【0050】
制御部11は、上述のように取得した健康マップ101、健康ポジション、総合スコア、アドバイス情報を表示した分析結果画面を生成する。なお、ユーザDB12aに記憶してある健康分析結果にユーザの過去の健康ポジション及び総合スコアが含まれる場合、制御部11は、前回の健康ポジション及び総合スコアをユーザDB12aから読み出し、分析結果画面に表示させる。これにより、
図10に示すような分析結果画面が生成される。なお、分析結果画面の健康マップに、3回分以上の健康分析結果(フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値)が時系列に表示されていてもよい。また、健康マップにおいて、各ゾーンを異なる表示態様で表示してもよい。例えば健康マップ中の各ゾーンにおいて、健康状態が良好でないゾーンほどハイライトされた表示態様(目立つ色、鮮やかな色又は模様)で表示してもよい。これにより、健康状態の良し悪しを一瞥で把握することができる。また、分析結果画面は、ユーザが自由にコメントを入力できる欄を有する構成でもよい。この場合、分析結果画面を介して入力されたコメントと入力日時とを記録することにより、ユーザは過去の自身のコメントを見ることができ、日記のような使い方をできる。
【0051】
制御部11は、生成した分析結果画面を、分析対象のユーザ(あるユーザ)のユーザ端末20へ送信する(S25)。ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10から分析結果画面を受信した場合、受信した分析結果画面を表示部25に表示する(S26)。これにより、ユーザ端末20は、ユーザの現在の健康状態と、前回からの健康状態の変動と、今後のアドバイスとを分析対象のユーザに通知できる。特に、健康分析結果を健康マップ上に表示することにより、ユーザは自身の健康状態がいずれのゾーンのどのレベルにあるのかを一瞥で把握できる。また、健康マップ101上に他のユーザ(同じコミュニティに属する他のユーザ)の健康状態がプロットしてあることにより、同じコミュニティに属するユーザ間で健康状態を共有することができる。更に、各ユーザの健康分析結果を時系列に表示した場合には、各ユーザの健康状態の変動を同じコミュニティに属するユーザ間で共有することができる。よって、ユーザは、自身の健康関連情報を取得してサーバ10に登録しておくだけで、自身の健康状態を評価できる健康分析結果及びアドバイス情報が得られるので、健康状態を手軽に把握することができる。なお、ユーザ端末20がフィジカルレベル及びメンタルレベルで表された健康マップと前回の健康分析結果とを記憶部22に記憶している場合、制御部21は、サーバ10から今回の健康分析結果を取得すれば、前回の健康分析結果と今回の健康分析結果とがプロットされた健康マップ101を生成して表示することができる。よって、
図10に示す分析結果画面は、ユーザ端末20がサーバ10から受信した健康分析結果及びアドバイス情報等に基づいて生成してもよい。
【0052】
ステップS25の処理後、サーバ10の制御部11は、ステップS23で取得した健康分析結果と、ユーザの前回の健康分析結果とに基づいて健康分析結果の変動量を算出する(S27)。例えば制御部11は、前回の健康分析結果と今回の健康分析結果とにおいて総合スコアの差異を算出する。また制御部11は、前回の健康分析結果と今回の健康分析結果とにおいて、フィジカルレベル又はメンタルレベルにおける差異を算出してもよい。これにより、制御部11は、1週間又は1ヶ月等の所定期間における健康分析結果の変動量を算出できる。そして制御部11は、健康分析結果の変動量が所定量以上であるか否かを判断する。(S28)。例えば制御部11は、健康分析結果における総合スコアが所定量以上改善されたか否かを判断する。なお、所定量は予め記憶部12に記憶されている。また制御部11は、ステップS23で取得した健康分析結果と、ユーザの前回の健康分析結果とにおいて、健康分析結果を示すゾーンが変化したか否かに応じて、健康分析結果の変動量が所定量以上であるか否かを判断してもよい。更に制御部11は、ステップS23で取得した健康分析結果において、フィジカルレベル又はメンタルレベルの一方の健康指標に関する結果(レベル値)の変動量が所定量以上であるか否かを判断してもよい。健康分析結果の変動量が所定量未満であると判断した場合(S28:NO)、制御部11は処理を終了する。その後、制御部11は、他のユーザについて、分析タイミングが到来したか否かを判断し(S21)、上述した処理を繰り返す。
【0053】
変動量が所定量以上であると判断した場合(S28:YES)、制御部11は、分析対象のユーザの健康関連情報に基づいて、健康分析結果の変動要因を特定する(S29)。例えば制御部11は、前回の健康分析に用いた健康関連情報と、今回の健康分析に用いた健康関連情報とにおいて、変化量が所定量以上であった項目を特定する。例えば運動、飲酒、喫煙、睡眠又は食事等の生活習慣に関する項目について、変化量が所定量以上であった項目を特定する。次に制御部11は、特定した変動要因に基づいて、同じコミュニティに属する他のユーザに提供すべきアドバイスを生成する(S30)。例えば、ウォーキング時間又はウォーキングによる消費カロリの変化量が所定量以上であった場合、制御部11は、ウォーキングを勧めるアドバイスを生成する。そして制御部11は、ステップS24と同様に、分析対象のユーザの前回の健康分析結果と今回の健康分析結果とをプロットした健康マップ101を生成する。また制御部11は、健康マップ101、分析対象のユーザの前回(変動前)の健康ポジション及び今回(変動後)の健康ポジション、前回の総合スコア及び今回の総合スコア、生成したアドバイスを表示したアドバイス画面を生成する(S31)。これにより、
図11に示すようなアドバイス画面が生成される。アドバイス画面の健康マップにおいても、3回分以上の健康分析結果が時系列に表示されていてもよい。
【0054】
制御部11は、生成したアドバイス画面を、分析対象のユーザと同じコミュニティに属する他のユーザのユーザ端末20へ送信する(S32)。ここでは、制御部11は、コミュニティDB12bの記憶内容に基づいて、分析対象のユーザが属するコミュニティを特定し、特定したコミュニティに属する他のユーザのユーザIDをコミュニティDB12bから取得する。そして制御部11は、各ユーザのユーザIDに基づいて、各ユーザのユーザ端末20の宛先情報をユーザDB12aから取得する。なお、ユーザDB12aに記憶してある各ユーザの個人情報は、各ユーザのユーザ端末20と通信するための宛先情報を含む。よって、制御部11は、取得した宛先情報を用いて、他のユーザのユーザ端末20にアドバイス画面を送信できる。
【0055】
他のユーザのユーザ端末20の制御部21は、サーバ10からアドバイス画面を受信した場合、
図11に示すようなアドバイス画面を表示部25に表示する(S33)。これにより、他のユーザのユーザ端末20は、健康状態が改善されたユーザの現在の健康状態と、改善前の健康状態からの変動と、このユーザの健康関連情報に基づいて導き出されたアドバイスとを他のユーザ(ユーザ端末20の持ち主)に通知できる。このように同じコミュニティに属する他のユーザに、健康状態が改善されたユーザの情報を通知することにより、他のユーザに対して、例えば運動、飲酒、喫煙、睡眠又は食事等の生活習慣の改善を促すことが可能となる。
【0056】
上述した処理により、同じコミュニティに属するユーザ間で各ユーザの健康状態及び健康状態の変動を共有できる。また、同じコミュニティに属するユーザにおいて、あるユーザの健康状態が改善された場合に、このユーザの健康状態及び改善要因が他のユーザに通知される。よって、他のユーザは、健康状態が改善されたユーザの健康状態及び改善要因を参考にして自身の生活習慣の改善に努めることが可能となる。このように、同じコミュニティに属するユーザ間で、健康状態の改善に寄与された生活習慣等の情報を共有することにより、各ユーザの健康状態の改善を効率よく実現できることが期待される。なお、各ユーザの情報は、同じコミュニティに属するユーザ間でのみ公開されるので、不用意に他者に公開されることを防止できる。
【0057】
本実施形態では、サーバ10が学習モデル12Mを備え、学習モデル12Mを用いた処理を行う構成であるが、この構成に限定されない。例えば、学習モデル12Mを他のサーバに設け、学習モデル12Mを用いた処理を他のサーバに分散させてもよい。またユーザ端末20が学習モデル12Mを備え、学習モデル12Mを用いた処理を行う構成でもよい。
【0058】
本実施形態において、
図10及び
図11に示す画面中の健康マップ101にプロットされる各ユーザの点は、例えば予め各ユーザによって登録されている写真又はイラスト等を用いて表示されてもよい。また、本実施形態の健康マップは、フィジカルレベル及びメンタルレベルの2つの健康指標軸で表されているが、このような構成に限定されない。健康マップは、予め設定された2つ又は3つの健康指標を軸に用いた健康マップが用意されていてもよく、複数種類の健康指標からユーザが選択した2つ又は3つの健康指標を軸に用いた健康マップが生成されて用意されてもよい。
【0059】
本実施形態では、各ユーザが生活習慣を改善するために行った努力を、健康分析結果(例えば総合スコア)にて評価できるので、健康分析結果を用いた各種のサービスが可能となる。例えば、ユーザに対して健康分析結果に応じたポイントの付与が可能となる。ポイントとしては、実際の店舗やインターネット上の仮想店舗において、商品等を購入する際の代金の代わりに使用できるポイント、又は、企業の福利厚生として従業員が利用可能なサービスを予め設定しておくカフェテリアプランで使用できるポイント等がある。このようなサービスに健康分析結果を用いた場合、ユーザが健康状態を改善するために行う生活習慣の改善等に対するやる気を向上させ、モチベーションを維持することができる。
【0060】
(実施形態2)
ユーザが目標とする他のユーザ(以下では目標ユーザという)を登録しておき、目標ユーザの健康分析結果に変動が生じた場合にユーザに通知する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、実施形態1の情報処理システムと同様の装置にて実現できるので、構成についての詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、サーバ10の記憶部12に記憶してあるユーザDB12aが、
図6Aに示す実施形態1の構成と若干異なる。
【0061】
図12は実施形態2のユーザDB12aの構成例を示す模式図である。本実施形態のユーザDB12aは、
図6Aに示すユーザDB12aの構成に加え、更に目標ユーザ列を有する。目標ユーザ列は、ユーザIDに対応付けて、ユーザIDのユーザが目標に設定した他のユーザのユーザIDを記憶する。目標ユーザのユーザIDは、各ユーザによって設定され、制御部11が通信部13又は入力部14を介して取得した場合に制御部11によって記憶又は更新される。目標ユーザのユーザIDは複数記憶されていてもよい。
【0062】
以下に、本実施形態の情報処理システムにおいて、各ユーザの健康分析結果を提供する処理について説明する。本実施形態のサーバ10は、定期的に取得する各ユーザの健康分析結果の変化が大きい場合、当該ユーザを目標ユーザに設定しているユーザに対して、当該ユーザの健康分析結果を通知する。
図13は実施形態2の健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、
図9に示す処理中のステップS28のYESとステップS29との間にステップS41~S42を追加したものである。
図9と同じステップについては説明を省略する。
【0063】
本実施形態のサーバ10の制御部11及びユーザ端末20の制御部21は、
図9に示すステップS21~S28と同様の処理を行う。これにより、サーバ10の制御部11は、あるユーザについて健康関連情報から健康分析結果を取得し、分析結果画面を、あるユーザのユーザ端末20に提供できる。制御部11は、ステップS28において、ステップS27で算出した健康分析結果の変動量が所定量以上であると判断した場合(S28:YES)、分析対象のユーザがいずれかのユーザの目標ユーザに設定されているか否かを判断する(S41)。具体的には、制御部11は、分析対象のユーザのユーザIDが、ユーザDB12aの目標ユーザに登録されているか否かを判断する。目標ユーザに設定されていないと判断した場合(S41:NO)、制御部11は処理を終了する。なお、制御部11は、他のユーザについて上述した処理を繰り返す。
【0064】
目標ユーザに設定されていると判断した場合(S41:YES)、制御部11は、分析対象のユーザを目標ユーザに設定しているユーザのユーザ端末20の宛先情報を取得する(S42)。例えば制御部11は、分析対象のユーザを目標ユーザに設定している各ユーザのユーザIDに対応付けてユーザDB12aに記憶してあるユーザ端末20の宛先情報をユーザDB12aから取得する。その後、制御部11は、ステップS29~S31の処理を行い、
図11に示すようなアドバイス画面を生成する。そして制御部11は、ステップS42で取得した宛先情報に基づいて、生成したアドバイス画面を、分析対象のユーザを目標ユーザに設定しているユーザのユーザ端末20へ送信する(S32)。これにより、分析対象のユーザの健康分析結果に変動が生じた場合に、分析対象のユーザを目標としている各ユーザに、分析対象のユーザ(目標ユーザ)の健康分析結果に基づくアドバイスを提供することができる。
【0065】
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ユーザが目標とする目標ユーザの健康分析結果及び改善要因が通知されるので、ユーザは、目標ユーザの健康状態及び改善要因を参考にして自身の生活習慣の改善に努めることが可能となる。よって、各ユーザは、目標ユーザにおいて健康状態の改善に寄与された生活習慣等の情報を取得できるので、自身の健康状態の改善を効率よく実現できることが期待される。このように各ユーザの目標ユーザの情報を用いて、各ユーザに対して、例えば運動、飲酒、喫煙、睡眠又は食事等の生活習慣の改善を促すことが可能となる。
【0066】
本実施形態においても、上述した実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。また本実施形態において、分析対象のユーザを目標とする他のユーザに提供されるアドバイス画面は、
図11に示す構成に加え、分析対象のユーザ(目標ユーザ)の健康分析結果と、提供されるユーザの健康分析結果とを対比させて表示する構成でもよい。例えば
図11に示すアドバイス画面の健康マップ上に、目標ユーザの健康分析結果と、提供先のユーザの健康分析結果とがプロットされていてもよい。この場合、アドバイス画面の提供を受けたユーザは、目標ユーザの健康分析結果と自身の健康分析結果とを容易に比較することができ、自身の改善点を容易に把握することができる。また、本実施形態において、サーバ10及びユーザ端末20は、
図9に示す処理及び
図13に示す処理の両方を行う構成でもよい。即ち、分析対象のユーザの健康分析結果に変動が生じた場合に、同じコミュニティに属する他のユーザに対する通知処理を行うと共に、分析対象のユーザを目標ユーザに設定している他のユーザに対する通知処理を行う構成としてもよい。
【0067】
(実施形態3)
同じコミュニティに属する複数のユーザにおいて、健康分析結果のランキングを決定して各ユーザに提供する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、実施形態1の情報処理システムと同様の装置にて実現できるので、構成についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態の情報処理システムにおいて、サーバ10及びユーザ端末20は、
図9に示す処理と同様の処理を実行する。これにより、サーバ10は、各ユーザの健康関連情報に基づいて健康分析結果を取得し、取得した健康分析結果を各ユーザに提供できる。またサーバ10は、分析対象のユーザの健康分析結果が変動した場合に、同じコミュニティに属する他のユーザにも、分析対象のユーザの健康分析結果を提供できる。
【0068】
本実施形態の情報処理システムでは、サーバ10は、
図9に示す処理によって各ユーザの健康分析結果をユーザDB12aに蓄積しており、蓄積した健康分析結果に基づいて、それぞれのコミュニティにおいて各ユーザの健康分析結果のランキングを決定して提供する処理を行う。以下に、本実施形態の情報処理システムにおいて、各コミュニティに属するユーザの健康分析結果のランキングを提供する処理について説明する。
図14はランキングの提供処理手順の一例を示すフローチャート、
図15は画面例を示す模式図である。
図14では左側にサーバ10が行う処理を、右側にユーザ端末20が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、サーバ10の制御部11が記憶部12に記憶してある制御プログラム12Pに従って行い、ユーザ端末20の制御部21が記憶部22に記憶してある制御プログラム22P及び健康管理アプリ22APに従って行う。
【0069】
サーバ10は、例えばコミュニティ毎に設定されたタイミングで、各コミュニティに属するユーザについて健康分析結果のランキングを決定する処理を実行する。サーバ10の制御部11は、いずれかのコミュニティに対してランキングを決定するタイミングが到来した場合に、以下の処理を行う。具体的には、制御部11は、ランキングを決定すべきコミュニティを1つ選択し(S51)、選択したコミュニティに属する各ユーザの健康分析結果をユーザDB12aから読み出す(S52)。例えば健康分析結果として総合スコアがユーザDB12aに蓄積されている場合、制御部11は、コミュニティに属する各ユーザの総合スコアを読み出す。なお、制御部11は、各ユーザのフィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値をユーザDB12aから読み出し、読み出したフィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値に基づいて各ユーザの総合スコアを算出してもよい。
【0070】
制御部11は、各ユーザの健康分析結果(具体的には総合スコア)に対して順位を決定する(S53)。なお、コミュニティに属するユーザの数が多い場合、例えば総合スコアが上位の所定数(例えば10人)のユーザに対してのみ順位(1位~10位)を決定してもよい。そして制御部11は、決定したランキングに基づいて、
図15に示すようなランキング画面を生成する(S54)。例えば制御部11は、フィジカルレベル及びメンタルレベルで表された健康マップ上に、コミュニティに属する各ユーザの健康分析結果(フィジカルレベル及びメンタルレベルのレベル値)をプロットし、上位の所定数のユーザの健康分析結果を、他のユーザの健康分析結果とは異なる態様でプロットする。
図15に示す健康マップ101では、上位の所定数(
図15では3人)のユーザの健康分析結果は大きい白丸印でプロットされ、その他のユーザの健康分析結果は小さい白丸印でプロットされている。また制御部11は、上位の所定数のユーザの健康ポジション(プロットされたゾーン)及び総合スコアを取得する。健康ポジションはプロットした位置に基づいて取得でき、総合スコアはユーザDB12aから取得できる。制御部11は、上述のように生成した健康マップ101と、上位のユーザの健康ポジション及び総合スコアとを表示したランキング画面を生成する。これにより、
図15に示すようなランキング画面が生成される。なお、コミュニティに属する全てのユーザに対して順位を決定し、上位のユーザから順に各ユーザの健康ポジション及び総合スコアをランキング画面に表示させてもよい。
【0071】
制御部11は、生成したランキング画面を、コミュニティに属する各ユーザのユーザ端末20へ送信する(S55)。ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10からランキング画面を受信した場合、受信したランキング画面を表示部25に表示する(S56)。これにより、ユーザ端末20は、ユーザが属するコミュニティにおける各ユーザの健康状態のランキングを通知できる。なお、
図15に示すようなランキング画面中の健康マップ101上に、順位が上位のユーザに加えて、通知先のユーザの健康分析結果がプロットされていてもよい。この場合、通知されたユーザは、自身の健康状態と上位のユーザの健康状態とを容易に比較することができ、自身の生活習慣の改善に対するモチベーションを上昇及び維持させることができる。
【0072】
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、同じコミュニティに属するユーザにおいて、各ユーザの健康分析結果のランキングが通知される。よって、各ユーザは、自身が属するコミュニティ内での自身の順位を把握できるので、コミュニティ内のユーザ間で切磋琢磨し、各ユーザの生活習慣の改善に対するモチベーションを維持できることが期待される。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。また、本実施形態の構成は、実施形態2にも適用可能であり、実施形態2に適用した場合であっても同様の効果が得られる。
【0073】
(実施形態4)
異なる健康指標で表される健康マップを切り替えて表示できる情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、実施形態1の情報処理システムと同様の装置にて実現できるので、構成についての詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、サーバ10の記憶部12に記憶してある学習モデル12Mが、
図7に示す実施形態1の構成と異なる。本実施形態のサーバ10は、学習モデル12Mの代わりに、健康マップを表現するために用いる健康指標毎に用意された複数の学習モデルを記憶部12に記憶している。本実施形態では、健康指標としてフィジカルレベルを出力する学習モデル(フィジカルレベル用の学習モデル12Ma)、メンタルレベルを出力する学習モデル(メンタルレベル用の学習モデル12Mb)、脳コンディションレベルを出力する学習モデル(脳レベル用の学習モデル12Mc)、肌レベルを出力する学習モデル(肌レベル用の学習モデル12Md)が記憶部12に記憶されている。なお、サーバ10の記憶部12に記憶される学習モデルはこれらに限定されず、他の健康指標のレベル値を出力する学習モデルが記憶されていてもよい。
【0074】
図16は実施形態4の学習モデルの構成例を示す模式図である。
図16Aはフィジカルレベル用の学習モデル12Maを、
図16Bはメンタルレベル用の学習モデル12Mbを、
図16Cは脳レベル用の学習モデル12Mcを、
図16Dは肌レベル用の学習モデル12Mdをそれぞれ示す。フィジカルレベル用の学習モデル12Maは、
図2に示すような健康関連情報を入力として、フィジカルレベル(健康指標の指標値)に関する情報を出力する機械学習モデルである。具体的には、
図16Aに示すフィジカルレベル用の学習モデル12Maは、
図7に示す学習モデル12Maにおいてメンタルレベル出力層を備えない構成である。メンタルレベル用の学習モデル12Mbは、
図2に示すような健康関連情報を入力として、メンタルレベル(健康指標の指標値)に関する情報を出力する機械学習モデルである。具体的には、
図16Bに示すメンタルレベル用の学習モデル12Mbは、
図7に示す学習モデル12Maにおいてフィジカルレベル出力層を備えない構成である。脳レベル用の学習モデル12Mc及び肌レベル用の学習モデル12Mdは、フィジカルレベル用の学習モデル12Ma及びメンタルレベル用の学習モデル12Mbと同様の構成を有する。即ち、それぞれの学習モデル12Ma~12Mdは、健康関連情報が入力される入力層と、それぞれの健康指標の指標値(レベル値)に関する情報(判別確率)を出力する出力層と、入力情報に対して所定の演算を行う中間層(隠れ層)とを備える。本実施形態の学習モデル12Ma~12Mdの各層は、
図7に示す実施形態1の学習モデル12Mの各層と同様の構成を有するので詳細については説明を省略する。
【0075】
学習モデル12Ma~12Mdのそれぞれは、それぞれの健康指標のレベル値を算出済みのユーザについて、ユーザの健康関連情報に対して、各健康指標のレベル値を示す情報(正解ラベル)が付与された訓練データを用いて学習する。なお、学習モデル12Ma~12Mdは、サーバ10の制御部11が
図8に示す処理と同様の処理を実行することによって生成される。学習モデル12Ma~12Mdの学習処理は、サーバ10が行う構成に限定されず、他の学習装置で行われてもよい。
【0076】
以下に、本実施形態の情報処理システムにおいて、各ユーザの健康分析結果を提供する処理について説明する。本実施形態のサーバ10は、定期的に、各ユーザの健康関連情報から複数の健康指標(具体的にはフィジカルレベル、メンタルレベル、脳コンディションレベル、肌レベル)について健康分析結果(レベル値)を取得する。そしてサーバ10は、所定の2つの健康指標で表される健康マップを用いて健康分析結果をユーザに提供し、ユーザから健康指標の変更が指示された場合に、ユーザに提供する健康マップを、変更指示された健康指標で表された健康マップに変更して提供する。
図17は実施形態4の健康分析結果の提供処理手順の一例を示すフローチャート、
図18及び
図19は画面例を示す模式図である。
図17に示す処理は、
図9に示す処理中のステップS23,S24の間にステップS61~S62を追加したものである。
図9と同じステップについては説明を省略する。
【0077】
本実施形態のサーバ10の制御部11及びユーザ端末20の制御部21は、
図9に示すステップS21~S23と同様の処理を行う。これにより、サーバ10の制御部11は、分析対象のあるユーザについて健康関連情報に基づいて健康分析結果を取得する。ここでは制御部11は、健康関連情報を学習モデル12Ma~12Mdのそれぞれに入力し、学習モデル12Ma~12Mdのそれぞれからの出力値に基づいて、このユーザにおける複数の健康指標(具体的にはフィジカルレベル、メンタルレベル、脳コンディションレベル、肌レベル)についてのレベル値を取得する。制御部11は、取得した各健康指標のレベル値を、ユーザDB12aの健康分析結果に記憶する(S61)。制御部11は、サーバ10が取得可能な全ての健康指標のレベル値(健康分析結果)を取得したか否かを判断し(S62)、全ての健康指標のレベル値を取得していないと判断した場合(S62:NO)、ステップS23の処理に戻る。そして制御部11は、サーバ10が有する学習モデル12Ma~12Mdを用いて、全ての健康指標についてレベル値の取得を行う。
【0078】
全ての健康指標のレベル値を取得したと判断した場合(S62:YES)、制御部11は、ステップS24以降の処理を行う。具体的には、制御部11は、取得した健康分析結果に基づいて、分析対象のユーザに提供する分析結果画面を生成する(S24)。ここでは制御部11は、例えば
図18に示すような分析結果画面を生成する。
図18に示す分析結果画面は、
図10に示す分析結果画面の構成に加えて、健康マップを表す横軸の健康指標及び縦軸の健康指標の変更を指示するための入力欄と、入力欄に入力された健康指標を用いた健康マップの表示を指示するための表示切替ボタンとを有する。健康指標の入力欄には、サーバ10にて取得可能な健康指標のいずれかを選択できるように構成されたプルダウンメニューが設けられている。
【0079】
ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10から受信した分析結果画面を表示部25に表示することにより(S26)、フィジカルレベル及びメンタルレベルで表される健康マップに基づいてユーザの健康状態を通知できる。
図18に示す画面では、健康マップがフィジカルレベルを横軸の健康指標とし、メンタルレベルを縦軸の健康指標としてあることを示しており、プルダウンメニューを用いて任意の健康指標を入力欄に入力することにより、健康マップに用いる健康指標の変更を指示できる。例えば、
図18に示す分析結果画面において、横軸の健康指標の入力欄に肌レベルが入力された場合、ユーザ端末20の制御部21は、横軸を肌レベルとし縦軸をメンタルレベルとした健康マップをサーバ10に要求する。サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20からの要求に応じて、分析対象のユーザの肌レベル及びメンタルレベル(健康分析結果)をユーザDB12aから取得し、肌レベル及びメンタルレベルで表される健康マップにプロットした分析結果画面を生成してユーザ端末20へ提供する。これにより、
図19に示すような健康マップが表示された分析結果画面がユーザ端末20に提供される。
図19に示す分析結果画面中の健康マップは、横軸を肌レベルとし縦軸をメンタルレベルとして表されており、このようにユーザは、異なる健康指標を用いた健康マップを切り替えてユーザ端末20に表示させることができる。よって、異なる健康指標を用いた健康マップを切り替えて表示させることにより、ユーザの健康状態を、種々の健康マップで確認することができるので、ユーザは自身の健康状態を正確に把握できる。なお、
図19に示す分析結果画面中のアドバイスは、
図18に示す分析結果画面と同様の内容であるが、例えば肌レベル及びメンタルレベルに関するアドバイスが表示されていてもよい。
【0080】
図示は省略するが、分析対象のユーザと同じコミュニティに属する他のユーザに対してサーバ10が提供するアドバイス画面においても、画面中の健康マップの横軸の健康指標及び縦軸の健康指標をそれぞれ変更できるように構成されていてもよい。この場合、他のユーザは、健康状態が改善されたユーザの健康状態を、任意の健康指標を用いた健康マップで確認することができる。よって、各ユーザが見易い健康マップを用いて自身の健康分析結果又は他のユーザの健康分析結果を確認することができる。なお、本実施形態において、
図17中のステップS28では、制御部11は、健康分析結果における総合スコアが所定量以上改善されたか否かを判断してもよく、所定の健康指標について、レベル値が所定量以上改善されたか否か、又はレベル値(健康分析結果)を示すゾーンが変化したか否か等を判断してもよい。なお、所定の複数の健康指標について、レベル値が所定量以上改善されたか否か、又はレベル値を示すゾーンが変化したか否か等を判断してもよい。また、ステップS31では、制御部11は、例えば改善されたレベル値の変動量が大きい健康指標を2つ選択し、選択した健康指標を用いた健康マップによって健康分析結果が表示されたアドバイス画面を生成してもよい。この場合、より改善度合が大きい健康指標について、分析対象のユーザの健康状態を他のユーザに公開できるので、他のユーザに対して健康状態の改善を効果的に促すことが可能となる。
【0081】
以下に、ユーザの健康分析結果を表示する分析結果画面の変形例について説明する。
図20は画面の変形例を示す模式図である。
図17中のステップS24において、制御部11は、
図20に示すような分析結果画面を生成してもよい。
図20に示す分析結果画面は、
図18に示す分析結果画面において、健康マップの横軸及び縦軸の健康指標の入力欄の代わりに、複数の健康マップのうちで表示中の健康マップの位置を示すインジケータ102を表示する。
図20に示す画面では、フィジカルレベル及びメンタルレベルで表現される健康マップと、肌レベル及びメンタルレベルで表現される健康マップと、フィジカルレベル及び脳レベルで表現される健康マップとが切り替えられて表示可能である。
図20Aはフィジカルレベル及びメンタルレベルで表現された健康マップが表示された状態を示しており、例えば
図20A中の矢符に示すように左方向へのスワイプ操作を行った場合、
図20Bに示す肌レベル及びメンタルレベルで表現される健康マップの表示に切り替えられる。図示しないが、
図20Bに示す画面において更に左方向へのスワイプ操作を行った場合、フィジカルレベル及び脳レベルで表現される健康マップの表示に切り替えられる。一方、
図20B中の矢符に示すように右方向へのスワイプ操作を行った場合、
図20Aに示すフィジカルレベル及びメンタルレベルで表現される健康マップの表示に戻る。
【0082】
図20に示す分析結果画面において、健康マップに対して左方向又は右方向へのスワイプ操作が行われた場合、ユーザ端末20の制御部21は、表示中の健康マップに基づいて、切り替えて表示すべき健康マップの種類を特定する。例えば
図20Aに示す健康マップを表示中に左方向へのスワイプ操作が行われた場合、制御部21は、切り替えて表示すべき健康マップとして、肌レベル及びメンタルレベルで表現される健康マップを特定する。そして制御部21は、切り替えて表示すべき健康マップをサーバ10に要求し、サーバ10で生成された健康マップを受信して表示部25に表示する。これにより、分析結果画面に表示される健康マップが切り替えられる。なお、サーバ10は、分析結果画面を生成する際に、全ての健康マップを生成してユーザ端末20へ送信してもよく、この場合、ユーザ端末20の制御部21は、ユーザによるスワイプ操作に応じた健康マップを適宜切り替えて表示すればよい。分析結果画面で切り替えて表示される健康マップは、例えばサーバ10で予め横軸及び縦軸の健康指標が設定された健康マップ、コミュニティ毎に横軸及び縦軸の健康指標が設定された健康マップ、各ユーザの使用頻度が高い健康マップ等としてもよい。
【0083】
各ユーザに提供される分析結果画面だけでなく、分析対象のユーザと同じコミュニティに属する他のユーザに提供されるアドバイス画面においても、画面中の健康マップが、
図20に示すように切り替えて表示できるように構成されていてもよい。この場合、各ユーザが自身の健康分析結果及び他のユーザの健康分析結果を閲覧する際の操作性をより向上させることができる。
【0084】
また、
図20に示す分析結果画面中のインジケータ102において、分析結果画面で表示される健康マップのうちで総合スコアの変動量(改善された量)が最も多い健康マップに対応するマークを、ハイライトされた表示態様(目立つ色、鮮やかな色又は模様)で表示してもよい。この場合、改善された健康状態がより顕著に表示される健康マップがどれであるかをユーザに通知できる。よって、ユーザは、自身の健康分析結果又は他のユーザの健康分析結果における変動を効率よく観察することが可能となる。
【0085】
本実施形態では、上述した各実施形態と同様の効果が得られる。また本実施形態では、各ユーザの健康状態をプロットする健康マップを表す健康指標を変更できるので、ユーザは、自身が見易い健康マップにて自身の健康状態又は他のユーザの健康状態を把握できる。よって、より視認性が良い健康マップにて、各ユーザに、生活習慣の改善を促すことが可能となる。本実施形態においても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。また本実施形態において、異なる健康指標で表される健康マップを切り替えて表示する構成のほかに、並べて表示させる構成でもよい。具体的には、
図18に示す分析結果画面において、フィジカルレベル及びメンタルレベルで表される健康マップの右側に、
図19中の肌レベル及びメンタルレベルで表される健康マップが表示される構成としてもよい。この場合、異なる健康マップを容易に見比べることが可能となる。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
10 サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 ユーザ端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
30 計測器
12a ユーザDB
12b コミュニティDB
12c 健康マップDB
12d アドバイスDB
12M 学習モデル
22AP 健康管理アプリ