IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キンキ道路株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社デーロス・ジャパンの特許一覧

<>
  • 特許-セメント構造体 図1
  • 特許-セメント構造体 図2
  • 特許-セメント構造体 図3
  • 特許-セメント構造体 図4
  • 特許-セメント構造体 図5
  • 特許-セメント構造体 図6
  • 特許-セメント構造体 図7
  • 特許-セメント構造体 図8
  • 特許-セメント構造体 図9
  • 特許-セメント構造体 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】セメント構造体
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/02 20060101AFI20241001BHJP
   E01D 19/06 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E01C11/02 C
E01D19/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023204152
(22)【出願日】2023-12-01
【審査請求日】2024-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508367315
【氏名又は名称】キンキ道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】308029600
【氏名又は名称】株式会社デーロス・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高内 義章
(72)【発明者】
【氏名】川谷 修司
(72)【発明者】
【氏名】児玉 夢野
(72)【発明者】
【氏名】尾川 桃佳
(72)【発明者】
【氏名】森山 守
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特許第6542950(JP,B1)
【文献】特許第7401945(JP,B1)
【文献】特開2013-60710(JP,A)
【文献】特許第5084237(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/02
E01D 19/06
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎構造体とセメント構造体との接続に用いられるコネクタと、
膨張することにより前記セメント構造体を前記基礎構造体から切り離すことが可能な扁平パイプと、
前記コネクタおよび前記扁平パイプの周りに充填される繊維強化セメントモルタルと、を備え、
前記コネクタは、
前記セメント構造体に配された補強部材と結合され得るコネクタ軸部と、
前記基礎構造体に打ち込まれたアンカーボルトに締結され得る第1ナットと、
前記コネクタ軸部に対して、前記コネクタ軸部の軸方向の一方側に位置し、前記第1ナットを収容する収容部と、
前記収容部の縁から前記コネクタ軸部の径方向内側に延伸し、前記第1ナットが前記収容部から抜けるのを防止する延伸部と、を備え、
所定値以上の軸方向の引張力が前記コネクタ軸部と前記第1ナットとの間に加えられたとき、前記延伸部が変形または破断することにより、前記コネクタ軸部は、前記第1ナットから分離する、セメント構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁における隣接する建造物(例えば、橋台および橋桁)の床版を鉄筋コンクリートにより接続するジョイント構造(セメント構造体)が提案されている。ジョイント構造は、隣接する建造物の床版を掘削して凹部を形成し、当該凹部において鉄筋(補強部材)を床版に固定し、そこにセメント系混合物を打ち込むことにより施工される。また、寒暖による橋梁の伸縮を吸収する伸縮継手がジョイント構造において設けられ得る。伸縮継手は、溶接等により鉄筋に固定される。
【0003】
また、補強部材と床版との間に扁平パイプを予め埋設しておくことにより、鉄筋コンクリートの一括撤去を容易にする方法が知られている。当該方法では、扁平パイプを上下に膨張させ、補強部材を破断させ、補強部材を床版から切り離すことにより、鉄筋コンクリートを撤去している。特許文献1および2では、このような鉄筋コンクリートの撤去方法により伸縮継手を取り換えることが記載されている。
【0004】
特許文献2では、補強部材を床版から切り離すための構成が記載されている。具体的には、特許文献2は、コネクタと、コネクタに取り付けられるボルトとを備え、コネクタの裾部は、ボルトの頭部を包囲するスリーブと、ボルトがコネクタから分離するのを防ぐフランジと、を備える分離装置を開示する。ボルトは、床版に固定される支持部材にねじ連結される。コネクタは、アンカーボルト又は鉄筋(補強部材)に接続される。そして、当該分離装置において、コネクタとボルトとの間に所定値以上の軸方向の引張力が加えられるとフランジが変形または破断する構成とすることにより、コネクタをボルトから(すなわち、補強部材を床版から)切り離し可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5084237号公報
【文献】特許6542950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の技術において、建造物から受ける外力(例えば、地震等による建造物の揺れ)により、上記凹部を充填するコンクリートが破断し、ジョイント構造が破損してしまう可能性があった。このようなジョイント構造を取り換えるためには、多大な時間を要することとなる。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、外力に対して十分な強度を有するセメント構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るセメント構造体は、基礎構造体とセメント構造体との接続に用いられるコネクタと、膨張することにより前記セメント構造体を前記基礎構造体から切り離すことが可能な扁平パイプと、前記コネクタおよび前記扁平パイプの周りに充填される繊維強化セメントモルタルと、を備え、前記コネクタは、前記セメント構造体に配された補強部材と結合され得るコネクタ軸部と、前記基礎構造体に打ち込まれたアンカーボルトに締結され得る第1ナットと、前記コネクタ軸部に対して、前記コネクタ軸部の軸方向の一方側に位置し、前記第1ナットを収容する収容部と、前記収容部の縁から前記コネクタ軸部の径方向内側に延伸し、前記第1ナットが前記収容部から抜けるのを防止する延伸部と、を備え、所定値以上の軸方向の引張力が前記コネクタ軸部と前記第1ナットとの間に加えられたとき、前記延伸部が変形または破断することにより、前記コネクタ軸部は、前記第1ナットから分離する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、外力に対して十分な強度を有するセメント構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るジョイント構造の構成を示す断面図である。
図2】上記ジョイント構造のアンカー部の構成を示す断面図である。
図3】上記アンカー部のコネクタの構成を示す正面図である。
図4】かしめ部がかしめられる前の、上記アンカー部のコネクタの構成を示す断面図である。
図5】かしめ部がかしめられた後の、上記アンカー部のコネクタの構成を示す断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るジョイント構造のアンカー部の構成を示す断面図である。
図7】繊維強化セメントモルタルを模視的に示す拡大断面図である。
図8】符号Aはセメントモルタル中にばらの状態で配合する短繊維の拡大側面図であり、符号Bは同セメントモルタル中に収束状態で配合する収束繊維の拡大側面図であり、符号Cは収束繊維を波形に付形した波形収束繊維の拡大側面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るジョイント構造の構成を示す断面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係るジョイント構造の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
(ジョイント構造100の概略構成)
図1は、実施形態1に係る橋梁のジョイント構造100(セメント構造体)の構成を示す断面図である。ジョイント構造100は、橋梁における隣接する建造物の床版(基礎構造体)を接続する。すなわち、ジョイント構造100は、第1建造物1Aの床版2Aと第2建造物1Bの床版2Bとを接続する。ジョイント構造100は、第1建造物1Aと第2建造物1Bとの遊間3の近傍における床版2Aおよび床版2Bの上面を掘削して形成される凹部4において設けられる。ジョイント構造100は、凹部4において鉄筋(補強部材)を床版2A,2Bに固定し、そこにセメント系混合物M(例えばコンクリート、高靭性ジェットモルタルなど)を打ち込むことにより施工される。以下、橋梁における第1建造物1Aが位置する側を前方、第2建造物1Bが位置する側を後方、後方に向かって左側を左方、右側を右方として説明する。
【0012】
図1に示すように、ジョイント構造100は、床版2Aに埋設される複数の第1アンカー部10Aと、床版2Bに埋設される複数の第2アンカー部10Bおよび複数の第3アンカー部10Cと、を備える。複数の第1アンカー部10Aは、左右方向に沿って所定のピッチで床版2Aに設けられている。同様に、複数の第2アンカー部10Bおよび複数の第3アンカー部10Cはそれぞれ、左右方向に沿って所定のピッチで床版2Bに設けられている。以下、複数の第1アンカー部10A、複数の第2アンカー部10B、および複数の第3アンカー部10Cを特に区別する必要がない場合、単にアンカー部10と称する。
【0013】
各アンカー部10は、前後方向に延びる鉄筋(補強部材13)を有する。具体的には、複数の第1アンカー部10Aは、後方に延びる鉄筋を有する。また、複数の第2アンカー部10B、および複数の第3アンカー部10Cは、前方に延びる鉄筋を有する。各第1アンカー部10Aの後方に延びる鉄筋と、対応する第2アンカー部10Bの鉄筋とは任意の連結方法(例えば結束線による結束、溶接など)により連結される。同様に、複数の第2アンカー部10Bの鉄筋と複数の第3アンカー部10Cの鉄筋とが連結される。これにより、隣接する建造物の床版2A,2Bを鉄筋により接続し、前後方向の外力に対するジョイント構造100の強度を向上できる。また、床版2A,2Bを1本の(U字形の)鉄筋により接続する場合と比較し、床版2Aおよび床版2Bにそれぞれ固定されるL字形の鉄筋を連結する上記構成により、第1建造物1Aおよび/または第2建造物1Bの前後方向の伸縮を吸収できる。
【0014】
ジョイント構造100は、扁平パイプ5と、パイプ固定用上部鉄筋6と、パイプ固定用下部鉄筋7とをさらに備える。扁平パイプ5は、膨張することによりジョイント構造100を床版2A,2Bから切り離すことが可能なパイプである。例えば、扁平パイプ5に液体を注入することにより、扁平パイプ5は上下方向に膨張する。扁平パイプ5に液体を注入する注入口は、路面付近に配置される。扁平パイプ5は、アンカー部10のコネクタ12(図2参照)とアンカーボルト11(図2参照)との境界付近を通るように設けられる。また、パイプ固定用上部鉄筋6およびパイプ固定用下部鉄筋7は、扁平パイプ5が上記境界付近に位置するように扁平パイプ5の高さ位置を固定する。例えば、パイプ固定用下部鉄筋7は、アンカー部10の平板部材14(図2参照)の下側において、任意の連結方法により平板部材14に固定される。扁平パイプ5は、アンカー部10の付近を通るように、パイプ固定用下部鉄筋7の上側に載置される。パイプ固定用上部鉄筋6は、扁平パイプ5の上側に載置され、任意の連結方法によりパイプ固定用下部鉄筋7に固定される。これにより、扁平パイプ5は、上記境界付近においてパイプ固定用上部鉄筋6とパイプ固定用下部鉄筋7とに挟持される。
【0015】
ジョイント構造100は、左右方向に延びる複数の左右方向補強部材8をさらに備えてもよい。複数の(図1に示す一例では5つの)左右方向補強部材8は、前後方向に沿って並設される。複数の左右方向補強部材8は、補強部材13の第2直線部133の下方に配置され、任意の連結方法により補強部材13に固定される。複数の左右方向補強部材8により、左右方向の外力に対するジョイント構造100の強度を向上できる。
【0016】
なお、図1に示す構成は、ジョイント構造100の一例に過ぎない。例えば、ジョイント構造100において複数の第3アンカー部10Cは省略されてもよい。
【0017】
(アンカー部10の構成)
図2は、アンカー部10の構成を示す断面図である。図2に示すように、アンカー部10は、アンカーボルト11と、コネクタ12と、補強部材13とを備える。アンカー部10は、床版2A,2Bにアンカーボルト11を打ち込み、当該アンカーボルト11にコネクタ12を介して補強部材13を取り付けることにより、凹部4に設置される。図2では、このようにして組み立てられたアンカー部10を図示している。
【0018】
アンカーボルト11は、床版2A,2Bに固定されるボルトである。アンカーボルト11は、床版2A,2Bの上面から上方(鉛直上向き)に延びている。
【0019】
コネクタ12は、上下方向に延びる略円柱形状のコネクタ軸部121と、コネクタ軸部121の下側に形成される収容部124aに収容される第1ナット122と、を備える。コネクタ軸部121の上端(他端側の端面)には、ネジ孔121a(第2ネジ孔)が形成されている。ネジ孔121aには、後述するL字形の補強部材13が結合される。第1ナット122は、アンカーボルト11と締結する。
【0020】
コネクタ12は、補強部材13をアンカーボルト11と接続し、かつ、所定値以上の軸方向の引張力が加えられたとき、補強部材13をアンカーボルト11から切り離し可能とするための部材である。言い換えると、コネクタ12は、ジョイント構造100を床版2A,2Bと接続し、かつ、所定値以上の軸方向の引張力が加えられたとき、ジョイント構造100を床版2A,2Bから撤去可能とするための部材である。このような機能を有するコネクタ12の具体的な構成については、図3図5を参照し、後述する。
【0021】
補強部材13は、緩やかに折れ曲がった湾曲部132を有するL字形の鉄筋である。すなわち、補強部材13は、第1直線部131と、湾曲部132と、第2直線部133とを有する。補強部材13は、第1直線部131においてネジ切りされており、コネクタ軸部121のネジ孔121aに締結される。第1直線部131は、コネクタ12から上方に延びる。湾曲部132は、第1直線部131に対して90度だけ湾曲する。第2直線部133は、横方向に延び、他のアンカー部10の第2直線部133に任意の連結方法により連結される(図1参照)。例えば、第1アンカー部10Aにおける第2直線部133は、後方に延び、第2アンカー部10Bにおける第2直線部133は、前方に延びる。そして、第1アンカー部10Aにおける第2直線部133と、第2アンカー部10Bにおける第2直線部133とが連結される。これにより、隣接する建造物の床版2A,2Bを逆U字状の鉄筋により接続し、前後方向の外力に対するジョイント構造100の強度を向上できる。なお、第2直線部133が、少なくともパイプ固定用上部鉄筋6(図1参照)より上方に配置されるように、補強部材13は、コネクタ12から上方に延びる。
【0022】
アンカー部10は、平板部材14と、第2ナット15とをさらに備えてもよい。平板部材14は、コネクタ12の下方に位置し、コネクタ12が有する第1ナット122と、後述する第2ナット15とに挟まれて設けられる。また、平板部材14は、その下側に位置するパイプ固定用下部鉄筋7と連結する。これにより、パイプ固定用上部鉄筋6とパイプ固定用下部鉄筋7とに挟持される扁平パイプ5をコネクタ12とアンカーボルト11との境界付近に配置することができる(図1参照)。平板部材14は、ボルトが通過する穴または切り欠きを有する板部材、例えば角ワッシャ等であればよい。第2ナット15は、第1ナット122より下側においてアンカーボルト11と締結する。第2ナット15は、第1ナット122とともに平板部材14を挟んで固定する。
【0023】
(コネクタ12の構成)
図3は、コネクタ12の構成を示す正面図である。図4は、かしめ部124がかしめられる前の、コネクタ12の構成を示す断面図である。図5は、かしめ部124がかしめられた後の、コネクタ12の構成を示す断面図である。図3図5に示すように、コネクタ12は、コネクタ軸部121と、第1ナット122と、頭部123と、かしめ部124とを備える。図3図5を参照し、コネクタ12の具体的な構成について、以下に説明する。
【0024】
図3に示すように、略円柱形状のコネクタ軸部121の下端には、頭部123が設けられている。頭部123は、コネクタ12をアンカーボルト11に締結するためのツール(例えば六角レンチ)と係合するように、コネクタ軸部121より径が拡大されており、非円形(例えば六角形)の断面を有する。頭部123の下端には、略円筒形状のかしめ部124が設けられている。かしめ部124の下部124bは、他の部分よりも外径が小さく(すなわち厚みが小さく)形成されている。
【0025】
図4および図5に示すように、かしめ部124の内部には第1ナット122を収容する収容部124aが形成される。すなわち、コネクタ軸部121の下側(軸方向の一方側)に位置し、第1ナットを収容する収容部124aが形成される。かしめ部124は、既製品である第1ナット122の外径よりわずかに大きい内径を有する。また、かしめ部124は、既製品である第1ナット122の高さより高く形成される。また、かしめ部124は、収容された第1ナット122の下端がかしめ部124の下部124bに達するように形成される。収容部124aは、円柱形状の凹部でもよいし、第1ナット122の形状に合った六角柱形状の凹部であってもよい。
【0026】
図5に示すように、かしめ部124は、収容部124aに第1ナット122が配置された状態でかしめられる。具体的には、かしめ部124の下部124bにおける収容された第1ナット122より下方に延伸する部分(図4参照)を径方向内側に折り曲げる。これにより、収容部124aの縁から径方向内側に延伸し、第1ナット122が収容部124aから抜けるのを防止する延伸部125が形成される。そして、かしめ部124の下部124bをプレス機等により内側に変形させる。これにより、かしめ部124の内面(収容部124aの内面)の一部は、第1ナット122の外面に密着する。したがって、第1ナット122は、かしめ部124に対して相対回転不能に、収容部124aに収容される。なお、延伸部125が第1ナット122のネジ孔121aを塞がないように、かしめ部124の高さおよび延伸部125の長さは設定される。
【0027】
かしめ部124により固定された第1ナット122をアンカーボルト11に締結することにより、コネクタ12は、アンカーボルト11に接続される。ここで、所定値以上の軸方向の引張力がコネクタ軸部121と第1ナット122との間に加えられたとき、延伸部125が変形または破断することにより、コネクタ軸部121は、第1ナット122から分離する。これにより、コネクタ軸部121と第1ナット122との間に所定値以上の軸方向の引張力が加えられたとき、補強部材13を(第1ナット122を除くコネクタ12とともに)アンカーボルト11から切り離し可能とする構成を実現できる。延伸部125(すなわち、かしめ部124の下部124b)の厚さおよび材質は、引張力の上記所定値に応じて適宜決定されればよい。
【0028】
(作用効果)
上記の構成によれば、所定値以上の軸方向の引張力により、補強部材13を、床版2A,2Bに固定されたアンカーボルト11から切り離し可能とする構成を実現できる。すなわち、扁平パイプ5を上下方向に膨張させ、コネクタ12とアンカーボルト11との間に所定値以上の軸方向の引張力を加えることにより、ジョイント構造100を床版2A,2Bから切り離すことができる。したがって、ジョイント構造100内の部品の取り換えの際に、鉄筋コンクリートであるジョイント構造100を容易に撤去できる。
【0029】
そして、従来のジョイント構造においては、コネクタにかしめられたボルトと、床版に打ち込まれたアンカーボルトとを通常のナットより長い長ナット等により固定して、コネクタにかしめられたボルトを床版に固定している。このような構成により、コネクタに接続された補強部材を床版から切り離し可能としている。ただし、ボルトとアンカーボルトとを互いに接続するために、通常のナットより長い長ナットが必要になる。また、ボルト同士を接続する必要があるため、作業工程が増え、施工性がよくない。
【0030】
一方、本実施形態においては、コネクタ12に固定された第1ナット122をアンカーボルト11に締結することで、コネクタ12に固定された第1ナット122を床版2A,2Bに固定している。このような構成により、コネクタをボルトから切り離し可能としている。すなわち、本実施形態では、頭部と軸部とを有するボルトの代わりにナットを用いて、補強部材を床版から切り離し可能な構成を実現している。これにより、ジョイント構造の高さを低減できる。したがって、凹部4の深さを浅くでき、凹部4を充填するセメント系混合物Mの量を低減できる。また、掘削する深さを浅くすることができるため、ジョイント構造100は施工性がよい。さらに、直接アンカーボルト11にコネクタ12を接続することができるため、作業工程を少なくでき、施工性がよい。
【0031】
また、第1ナット122と第2ナット15とに挟まれて設けられる平板部材14は、その下側に位置するパイプ固定用下部鉄筋7と連結する。このような構成により、パイプ固定用上部鉄筋6とパイプ固定用下部鉄筋7とに挟持される扁平パイプ5をコネクタ12とアンカーボルト11との境界付近(詳細には、延伸部125の付近)に配置することができる。
【0032】
また、補強部材13は、第1直線部131においてネジ切りされており、コネクタ軸部121のネジ孔121aに締結される。このような構成により、補強部材13をコネクタ12に溶接する代わりに補強部材13をコネクタ12にネジ止めすることにより、簡易的に補強部材13をコネクタ12に接続できる。したがって、ジョイント構造の施工における溶接作業を低減できる。溶接された箇所は強度が低下する。本実施形態のジョイント構造100では、強度も向上させることができる。
【0033】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0034】
図9は、実施形態2に係る橋梁のジョイント構造101(セメント構造体)の構成を示す断面図である。図10は、ジョイント構造101の構成を示す上面図である。図6は、ジョイント構造101のアンカー部20の構成を示す断面図である。図6図9図10に示すように、アンカー部20は、アンカー部10におけるコネクタ12および補強部材13の代わりに、それぞれコネクタ22および補強部材23を備える点で、アンカー部10と相違する。
【0035】
コネクタ22は、コネクタ軸部221と、第1ナット122と、かしめ部124とを備える。すなわち、コネクタ22は、コネクタ12におけるコネクタ軸部121の代わりにコネクタ軸部221を備え、コネクタ12における頭部123を備えない点で、コネクタ12と相違する。
【0036】
コネクタ軸部221は、軸方向の他方側である上側に延伸する略角柱形状(例えば四角柱形状)の部材である。コネクタ軸部221の側面には、ネジ孔221a(第1ネジ孔)が形成されている。ネジ孔221aには、横方向に延びる補強部材23が結合される。補強部材23は、直線状の鉄筋であり、一端がねじ切りされている。補強部材23は、他のアンカー部20の補強部材23に任意の連結方法により連結される。
【0037】
なお、コネクタ軸部221は、少なくともパイプ固定用上部鉄筋6(図1参照)より上方まで延伸すればよい。そして、補強部材23が、少なくともパイプ固定用上部鉄筋6(図1参照)より上方に配置されるように、ネジ孔221aは、パイプ固定用上部鉄筋6より上方の位置に設けられればよい。
【0038】
(作用効果)
上記の構成によれば、補強部材23を直線状の鉄筋とすることができる。そのため、L字形の補強部材13をコネクタ軸部121にネジ止めする際に第2直線部133が回転するスペースが必要であった一方、直線状の補強部材23をコネクタ軸部221にネジ止めする際には当該スペースは必要でない。したがって、コネクタ軸部にネジ止めする際の作業性を向上させることができる。
【0039】
また、強度が低下する曲げ加工が必要なL字形の補強部材13の代わりに、直線状の補強部材23とすることにより、補強部材23の強度を向上させることができる。
【0040】
また、コネクタ軸部221は、略角柱形状の部材であるため、コネクタ軸部221におけるネジ穴加工が容易となる。また、コネクタ軸部221の断面を非円形とするため、コネクタ12をアンカーボルト11に締結するためのツールと係合する頭部を設ける必要がない。なお、コネクタ軸部221は、略円柱形状の部材であってもよい。その場合、コネクタ22は、頭部123を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0041】
(付記事項)
なお、パイプ固定用下部鉄筋7を省略してもよい。例えば、パイプ固定用下部鉄筋7を省略し、パイプ固定用上部鉄筋6と平板部材14とで扁平パイプ5を挟んで固定してもよい。平板部材14は、扁平パイプ5に重なるよう延びている長方形の板部材でもよい。これにより、パイプ固定用下部鉄筋7を省略し、施工性を向上することができる。
【0042】
上記実施形態では、コネクタ12,22を、橋梁のジョイント構造100,101に適用した一例を説明したが、適用例としてはこれに限定されない。例えば、コネクタ12,22は、工場等における基礎コンクリート(基礎構造体)と機械を載置する架台(セメント構造体)とを接続する部材として使用されてもよい。この場合、(例えば、架台に埋設された扁平パイプの膨張により)コネクタに所定値以上の軸方向の引張力を印加することで、架台を基礎コンクリートから容易に撤去できる。
【0043】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
本実施形態では、上記実施形態で説明したジョイント構造100,101のセメント系混合物Mの一例としての繊維強化セメントモルタル30について説明する。すなわち、本実施形態において、ジョイント構造100,101は、上記コネクタ12,22と、上記扁平パイプ5と、コネクタ12,22および扁平パイプ5の周りに充填される繊維強化セメントモルタル30と、を含む。繊維強化セメントモルタル30は、セメントモルタル31中に補強繊維を配合した材料である。例えば、本実施形態においては、繊維強化セメントモルタル30は、セメントモルタル31に配合する補強繊維が果たす強化繊維機能を著しく高めた材料である。
【0045】
(繊維強化セメントモルタル30の構成)
図7は、繊維強化セメントモルタル30を模視的に示す拡大断面図である。図7に示すように、繊維強化セメントモルタル30は、セメントモルタル31中に補強繊維としてばらの短繊維32aと、短繊維32bを収束して成る収束繊維33とを配合した材料である。詳細には、収束繊維33は、多数本の短直状の短繊維32bを直線に引き揃えて束にし、或いは捩りを与えて束にし、該束の周面に結束繊維34をスパイラル状に巻装し融着することによって形成される。該ばらの短繊維32aと収束繊維33の相乗効果によりセメントモルタル31の強度(引張強度および曲げ強度など)を大幅に向上できる。
【0046】
上記補強繊維としての短繊維32a,32bと結束繊維34とは、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維の他、カーボン繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ダイニーマ繊維が使用される。
【0047】
上記ダイニーマは東洋紡績株式会社(大阪市北区堂島浜二丁目2番8号)の商標であり、このダイニーマは超高分子量ポリエチレンでできており、超高強力、高弾性率を有し、軽く、耐疲労性と、耐衝撃性と、耐光性等に優れ、繊維強化セメントモルタルに配合する補強繊維として適材である。
【0048】
又上記ザイロンは同じ東洋紡績株式会社のポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維の商標であり、同繊維はポリベンズアゾール系ポリマーであり、剛直で極めて直線性の高い分子構造を持つ繊維であり、引張強度、耐衝撃特性と耐光性等に富み、繊維強化セメントモルタルに配合する補強繊維として適材である。
【0049】
上記ポリエチレン繊維、ビニロン繊維の他、カーボン繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ダイニーマ繊維等の繊維は互いに組み合わせて用いることができる。
【0050】
図8の符号Aはセメントモルタル31中にばらの状態で配合する短繊維32aの拡大側面図である。図8の符号Bは同セメントモルタル中に収束状態で配合する収束繊維33の拡大側面図である。図8の符号Cは収束繊維33を波形に付形した波形収束繊維の拡大側面図である。
【0051】
図8の符号Aに示すように、上記ばらの短繊維32aの長さL1は6~12mm、同直径R1は0.006~0.05mmの範囲で夫々選択する。
【0052】
他方、上記収束繊維33の長さL2は9~25mm、同直径R2は0.5~3mmの範囲で選択し、収束繊維33を形成する短繊維32bの直径は0.006~0.05mm、同本数は200~5000本の範囲で選択する。上記直径R2は短繊維32bの本数によって定まる。
【0053】
又上記ばらの短繊維32aと収束繊維33の相対長は略1:1~4となるように上記長さの範囲で選択する。好ましくは繊維長9mmのばらの短繊維32aを選択するとき、同12mmの収束繊維33を選択し、同様に繊維長12mmのばらの短繊維32aを選択するとき、同15mmの収束繊維33を選択するというように、相対長が短い短繊維32aと該短繊維32aより相対長が長い収束繊維33とを混ぜてセメントモルタル31(繊維32a,33以外の全ての配合材を含むモルタル)中に1~4vol%配合する。好ましい配合量は2~3vol%である。
【0054】
更に好ましくは収束繊維33の長さが短繊維32aの長さに対し2~5mm程度長いものを用い、短繊維32aの破断後のひび割れ拡大に対する耐力を発揮せしめる。
【0055】
上記ばらの短繊維32aと収束繊維33の相対配合比(重量比)は1~6:1~6の範囲で選択する。好ましい相対配合比は略1:1である。
【0056】
図8の符号Bは上記収束繊維33の収束手段を例示しており、図示のように多数本の短直状の短繊維32bを直線に引き揃えて束にし、或いは捩りを与えて束にし、該束の周面に結束繊維34をスパイラル状に巻装し融着することによって収束繊維33を形成する。
【0057】
図8の符号Cに示すように、上記収束繊維33を波形に付形した波形収束繊維を用いセメントモルタル31との結合効果を向上することができる。
【0058】
上記スパイラル状に巻装した結束繊維34とばらの短繊維32aと収束繊維33を形成する短繊維32bとは、同じ材質で同じ直径0.006~0.05mmの繊維を用いる。但し本実施形態は結束繊維34とばらの短繊維32aと収束繊維33を形成する短繊維32bの夫々を異材質、異径のもので構成する場合を含む。
【0059】
(繊維強化セメントモルタル30の配合例)
繊維強化セメントモルタル30の配合例について説明する。繊維強化セメントモルタル30の1立方メートル当たりの配合量の例を配合例1~配合例3として以下に示す。なお、繊維強化セメントモルタルの配合例としては、配合例1~配合例3に示すものに限定されない。
<配合例1・・・繊維量1.0vol%>
水・・・・・・・・・・・・・・・・256.8 kg
ポルトランドセメント・・・・・・1342.4 kg
膨張剤・・・・・・・・・・・・・・・20.0 kg
珪砂・・・・・・・・・・・・・・・466.3 kg
シリカフューム・・・・・・・・・・204.4 kg
高性能減水剤・・・・・・・・・・・・13.6 kg
起泡剤・・・・・・・・・・・・・・・・0.543kg
ばらの短繊維(exダイニーマ)・・・・8.327kg
(長さ6~12mm、直径0.006~0.05mm)
収束繊維(exダイニーマ)・・・・・・1.388kg
(長さ9~25mm、直径0.5~3mm)
<配合例2・・・繊維量2.5vol%>
水・・・・・・・・・・・・・・・・324.6 kg
ポルトランドセメント・・・・・・1368.4 kg
珪砂・・・・・・・・・・・・・・・273.7 kg
シリカフューム・・・・・・・・・・241.4 kg
高性能減水剤・・・・・・・・・・・・・8.046kg
抑泡剤・・・・・・・・・・・・・・・・0.657kg
ばらの短繊維(exダイニーマ)・・・12.144kg
(長さ6~12mm、直径0.006~0.05mm)
収束繊維(exダイニーマ)・・・・・12.144kg
(長さ9~25mm、直径0.5~3mm)
<配合例3・・・繊維量4.0vol%>
水・・・・・・・・・・・・・・・・393.4 kg
ポルトランドセメント・・・・・・1367.7 kg
膨張剤・・・・・・・・・・・・・・・20.0 kg
珪砂・・・・・・・・・・・・・・・129.3 kg
シリカフューム・・・・・・・・・・208.1 kg
高性能減水剤・・・・・・・・・・・・13.9 kg
起泡剤・・・・・・・・・・・・・・・・0.825kg
ばらの短繊維(exダイニーマ)・・・・9.7 kg
(長さ6~12mm、直径0.006~0.05mm)
収束繊維(exダイニーマ)・・・・・29.1 kg
(長さ9~25mm、直径0.5~3mm)
本実施形態において、セメントモルタル31とは、ポルトランドセメント(硬化材)を主材とし、これに砂等の骨材や機能材を配合して加水混練したものを含む。
【0060】
上記配合例1乃至3における水、ポルトランドセメント、骨材(珪砂)、機能材(シリカフューム、高性能減水剤、起泡剤)と上記ばらの短繊維32aと収束繊維33はミキサーにかけて混練し、攪拌して両補強繊維5a,6を均一に分散せしめる。
【0061】
本実施形態は、上記水/セメント(シリカフュームを含む)比(W/C%)を配合例1においては16.6%、配合例2においては20.1%、配合例3においては24.9%の貧加水にし、ばらの短繊維32aと収束繊維33と協働してその強度を著しく高めた繊維強化セメントモルタル30である。
【0062】
上記配合例1,3においては起泡剤を配合し、起泡によって体積を増加し、吹き付け性を良好にしている。この起泡は吹き付けによって放散される。
【0063】
又、配合例2においては抑泡剤を配合し打設に適した繊維強化セメントモルタルを構成している。
【0064】
又配合例1,3においては、膨張剤を添加している。該膨張剤は硬化後の繊維強化セメントモルタルの収縮を有効に抑制する効果がある。
【0065】
(繊維強化セメントモルタル30の利点)
本実施形態に係る繊維強化セメントモルタル30は、セメントモルタル31中に補強繊維として配合したばらの短繊維32aと収束繊維33とが協働して、微細ひび割れが生じてから破壊に至る迄の伸び長、即ち強度に影響が少ない浅く微細なひび割れ発生を維持する伸び長を大幅に増大できる。したがって、繊維強化セメントモルタル30は、従来のコンクリートと比較し、引張強度および曲げ強度を大幅に向上できる。
【0066】
このような繊維強化セメントモルタル30をジョイント構造100,101に用いることにより以下の効果を有する。すなわち、繊維強化セメントモルタル30は、建造物からの外力に対応して、微細なひび割れ発生を維持しながら柔軟に変形することができる。これにより、ジョイント構造100,101は、地震等による建造物の揺れ、または寒暖による建造物の伸縮に対して、十分な強度を有することができる。なお、ジョイント構造100,101の鉄筋部分(補強部材13)については、上述したように隣接する建造物の床版2A,2Bにそれぞれ固定されるL字形の鉄筋を連結する構成となっており、これは、隣接する建造物からの外力を吸収できる構成である。
【0067】
一方、繊維強化セメントモルタル30は、扁平パイプ5の膨張によって所定値以上の引張力が加わると、扁平パイプ5を含む上下方向に略直交する面に沿って破断する。したがって、繊維強化セメントモルタル30は、凹部4から容易に撤去することができる。そのため、補修工事において劣化したジョイント構造100,101を容易に撤去し、新たにジョイント構造を施工することができる。また、地震等の災害時に、繊維強化セメントモルタル30を含むジョイント構造100,101は完全に破損せずに構造を維持することができる。一方で、ジョイント構造100,101の一部が破損した場合に、扁平パイプ5を膨張させることによって、容易に撤去し、交換することができる。
【0068】
以上のように、繊維強化セメントモルタル30は、建造物からの外力に対して十分な強度を確保しつつ、所定値以上の引張力に対しては適切に破断するという点において、ジョイント構造100,101の凹部4を充填するセメント系混合物Mとして極めて有効である。
【0069】
(付記事項)
上記砂等の骨材としては珪砂等の砂が例示され、上記機能材としてはシリカフューム(硬化材)、減水剤、起泡剤等が例示される。この例示の場合はセメントとシリカフュームが硬化材となる。
【0070】
本実施形態は、上記ばらの短繊維32aと収束繊維33とを配合した繊維強化セメントモルタルにスチレンブタジエン樹脂系、ポリアクリル酸エステル樹脂系(アクリル樹脂系)、エチレン酢ビ樹脂系、酢ビ・ベオバ樹脂系等から成るポリマー樹脂の流動材を配合した配合例を含む。
【0071】
即ち、前記配合例1乃至3の水とポルトランドセメントと骨材と機能材とから成るセメントモルタルに上記ポリマー樹脂を配合して繊維強化ポリマーセメントモルタルにした配合例を含む。この場合ポリマー樹脂は10~120kgの範囲で配合する。
【0072】
繊維強化セメントモルタルは、補強繊維として、短繊維32aおよび収束繊維33のうち少なくとも1つを含むものでもよい。
【0073】
以上、下限値と上限値間を「~」で示した数値範囲は、該下限値と上限値を含み、該下限値と上限値間の全ての数値(整数値と小数値)を表したものである。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
100,101 ジョイント構造(セメント構造体)
2A,2B 床版(基礎構造体)
5 扁平パイプ
11 アンカーボルト
12、22 コネクタ
121、221 コネクタ軸部
121a、221a ネジ孔
122 第1ナット
124a 収容部
125 延伸部
13、23 補強部材
14 平板部材
15 第2ナット
30 繊維強化セメントモルタル
【要約】
【課題】外力に対して十分な強度を有するセメント構造体を提供する。
【解決手段】ジョイント構造(100)は、コネクタ(12,22)と、扁平パイプ(5)と、繊維強化セメントモルタル(30)と、を備え、コネクタ(12)は、コネクタ軸部(121)と、第1ナット(122)と、を備え、所定値以上の軸方向の引張力がコネクタ軸部と第1ナットとの間に加えられたとき、コネクタ軸部は、第1ナットから分離する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10