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特許7563716農薬情報管理装置、農薬情報管理システム、農薬情報管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】農薬情報管理装置、農薬情報管理システム、農薬情報管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024083428
(22)【出願日】2024-05-22
(62)【分割の表示】P 2020201650の分割
【原出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2024098098
(43)【公開日】2024-07-19
【審査請求日】2024-05-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520218648
【氏名又は名称】株式会社Agrihub
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰一
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-154474(JP,A)
【文献】特開2015-185072(JP,A)
【文献】特開2006-221391(JP,A)
【文献】特開2008-016018(JP,A)
【文献】特開2006-146657(JP,A)
【文献】特開2012-133422(JP,A)
【文献】特開2009-028005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する情報端末から、作物を示す作物情報を取得する作物情報取得部と、
前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬を前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、
農薬の製品ごとに、対象作物の情報を含む農薬製品データを取得する農薬データ取得部と、
前記ユーザが所有している所有農薬を特定するための情報を取得する農薬情報取得部と、
前記農薬製品データを検索して、前記所有農薬のうち前記作物情報が示す作物を前記対象作物とする農薬を前記使用可能農薬として抽出する抽出部と、
を備え、
前記抽出部は、
前記作物情報を含む上位のカテゴリを対象カテゴリとして特定するカテゴリ特定部と、
前記作物情報に加えて前記対象カテゴリを検索条件として、前記農薬製品データを検索して前記使用可能農薬を抽出する検索部と、
を有する、
農薬情報管理装置。
【請求項2】
前記検索部は、
前記農薬製品データから前記作物情報を前記対象作物とする農薬を検索して、使用可能な農薬の第1候補を抽出し、
前記農薬製品データから前記作物情報を含む上位の前記対象カテゴリを前記対象作物とする農薬を検索して、使用可能な農薬の第2候補を抽出し、
使用可能な農薬の前記第1候補及び前記第2候補のうち、前記ユーザが所有している前記所有農薬に含まれている農薬を、前記使用可能農薬として抽出する、
請求項1に記載の農薬情報管理装置。
【請求項3】
前記検索部は、前記ユーザが所有している前記所有農薬に含まれている農薬ごとに前記農薬製品データを検索して、
前記対象作物が前記作物情報の作物を含む農薬を使用可能な農薬の第1候補として抽出し、
前記対象作物が前記対象カテゴリを含む農薬を使用可能な農薬の第2候補として抽出し、
使用可能な農薬の前記第1候補及び前記第2候補を、使用可能な農薬として抽出する、
請求項1に記載の農薬情報管理装置。
【請求項4】
前記検索部は、使用可能な農薬として抽出した農薬のうち、前記農薬製品データの前記対象作物の情報に前記作物情報が示した作物を除くことを示す情報が含まれている農薬を前記使用可能農薬から除外する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の農薬情報管理装置。
【請求項5】
前記カテゴリ特定部は、前記作物情報が示す作物と読みが同じで表記が異なる作物を含むカテゴリも前記対象カテゴリとして特定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の農薬情報管理装置。
【請求項6】
農薬を使用する前記ユーザが使用する前記情報端末と、前記情報端末と通信可能な請求項1からのいずれか一項に記載の前記農薬情報管理装置とを備え、
前記農薬情報管理装置は、
前記情報端末から作物を示す前記作物情報を取得し、
取得した前記作物情報に基づいて前記表示情報を生成し、
生成した前記表示情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、
前記ユーザが栽培する作物を示す前記作物情報の入力を受け付ける作物情報受付部と、
前記農薬情報管理装置の通信部から受信した前記表示情報を表示部に表示させる表示制御部と、
を有する、
農薬情報管理システム。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
ユーザが使用する情報端末から、作物を示す作物情報を取得するステップと、
前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬を前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成するステップと、
農薬の製品ごとに、対象作物の情報を含む農薬製品データを取得するステップと、
前記ユーザが所有している所有農薬を特定するための情報を取得するステップと、
前記農薬製品データを検索して、前記所有農薬のうち前記作物情報が示す作物を前記対象作物とする農薬を前記使用可能農薬として抽出するステップと、
を有し、
前記使用可能農薬として抽出するステップは、
前記作物情報を含む上位のカテゴリを対象カテゴリとして特定するステップと、
前記作物情報に加えて前記対象カテゴリを検索条件として、前記農薬製品データを検索して前記使用可能農薬を抽出するステップと、
を含む、農薬情報管理方法。
【請求項8】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータを請求項1からのいずれか一項に記載の前記農薬情報管理装置として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬情報管理装置、情報端末、農薬情報管理システム、農薬情報管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作物に用いる農薬を散布する散布計画を作成して散布した農薬を管理するシステム等が知られている。また、適切な使用基準の範囲内で農薬を使用するための情報を生成して提供するシステム等も知られている(例えば、特許文献1から3等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-101804号公報
【文献】特開2006-302185号公報
【文献】特開2012-133422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、農薬に関する情報は膨大であり、例えば、1つの農薬の使用方法及び使用回数等が複数存在することもある。したがって、作物を栽培するユーザは、作物に使用可能な農薬、農薬の使用方法、農薬を使用できる回数等を把握することが困難であった。また、人体や環境への負荷軽減の観点及び農薬取締法上の観点から農薬の使用量は正確に管理する必要がある。つまり、農家にとっては、作物に使用可能な農薬、農薬の使用方法、農薬を使用できる回数等を把握することが困難な上、使用量も厳しく管理しなければならないという二重の困難性があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、作物を栽培するユーザに対してユーザが所有している農薬の中から使用可能な農薬を容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、ユーザが使用する情報端末から、作物を示す作物情報を取得する作物情報取得部と、前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬の使用方法と使用可能回数との複数の組み合わせを前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、前記情報端末から前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報を取得する実績情報取得部と、前記表示情報において、前記使用実績情報が示す使用方法に対応する使用可能回数である第1使用可能回数を前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させると共に、前記表示情報における最大の使用可能回数である第2使用可能回数の使用方法が前記使用実績情報の示す使用方法と異なる場合は、前記第2使用可能回数も前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させる、回数管理部とを備え、前記表示情報生成部は、前記回数管理部が前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数を減少させた場合に、減少後の前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数に前記表示情報を更新する、農薬情報管理装置を提供する。
【0007】
前記表示情報生成部が、前記作物情報が示す作物に使用可能な複数の農薬を前記表示情報に含めて生成し、前記実績情報取得部が、前記複数の農薬のうち前記ユーザが使用した農薬が第1農薬であるとの情報を含む前記使用実績情報を取得し、前記複数の農薬中に前記第1農薬に含まれている成分と同じ成分を含有する第2農薬が存在する場合、前記回数管理部は、前記第2農薬の使用方法のうちの使用可能回数が最大となる第3使用可能回数を、前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させてもよい。
【0008】
前記表示情報生成部は、前記作物情報が示す作物に前記使用可能農薬について、当該農薬を複数の希釈倍率で希釈して使用する希釈使用方法を前記表示情報に含めて生成してもよい。
【0009】
前記表示情報生成部は、前記作物情報が示す作物に前記使用可能農薬について、当該農薬の前記希釈倍率の最小値および最大値を前記表示情報に含めて生成してもよい。
【0010】
前記表示情報生成部は、前記最小値及び前記最大値の和又は差に予め定められた係数をかけた値を前記表示情報に更に含めて生成してもよい。
【0011】
農薬の製品ごとに、農薬の成分、対象作物、使用方法、使用可能回数の情報を含む農薬製品データを取得する農薬データ取得部と、前記ユーザが所有している所有農薬を特定するための情報を取得する農薬情報取得部と、前記農薬製品データを検索して、前記所有農薬のうち前記作物情報が示す作物を前記対象作物とする農薬を前記使用可能農薬として抽出する抽出部とを更に備えてもよい。
【0012】
前記抽出部は、前記作物情報を含む上位のカテゴリを対象カテゴリとして特定するカテゴリ特定部と、前記作物情報に加えて前記対象カテゴリを検索条件として、前記農薬製品データを検索して前記使用可能農薬を抽出する検索部とを有してもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、前記ユーザが使用しており、第1の態様の前記農薬情報管理装置と通信可能な情報端末であって、前記ユーザが栽培する作物を示す前記作物情報の入力を受け付ける作物情報受付部と、前記農薬情報管理装置から取得した前記表示情報を表示部に表示させる表示制御部と、前記表示情報に基づいて、前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び前記使用回数を示す前記使用実績情報の入力を受け付ける実績情報受付部とを備える、情報端末を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様においては、農薬を使用するユーザが使用する情報端末と、前記情報端末と通信可能な農薬情報管理装置とを備え、前記農薬情報管理装置は、前記情報端末から作物を示す作物情報を取得する作物情報取得部と、前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬の使用方法と使用可能回数との複数の組み合わせを前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成する表示情報生成部と、前記情報端末から前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報を取得する実績情報取得部と、前記表示情報において、前記使用実績情報が示す使用方法に対応する使用可能回数である第1使用可能回数を前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させると共に、前記表示情報における最大の使用可能回数である第2使用可能回数の使用方法が前記使用実績情報の示す使用方法と異なる場合は、前記第2使用可能回数も前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させる、回数管理部と、前記表示情報を前記情報端末に送信する通信部とを有し、前記情報端末は、前記ユーザが栽培する作物を示す前記作物情報の入力を受け付ける作物情報受付部と、前記農薬情報管理装置の通信部から受信した前記表示情報を表示部に表示させる表示制御部と、前記表示情報に基づいて、前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び前記使用回数を示す前記使用実績情報の入力を受け付ける実績情報受付部とを有する、農薬情報管理システムを提供する。
【0015】
本発明の第4の態様においては、コンピュータが実行する、ユーザが使用する情報端末から、作物を示す作物情報を取得するステップと、前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬の使用方法と使用可能回数との複数の組み合わせを前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成するステップと、前記情報端末から前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報を取得するステップと、前記表示情報において、前記使用実績情報が示す使用方法に対応する使用可能回数である第1使用可能回数を前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させると共に、前記表示情報における最大の使用可能回数である第2使用可能回数の使用方法が前記使用実績情報の示す使用方法と異なる場合は、前記第2使用可能回数も前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させるステップと、前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数を減少させた場合に、減少後の前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数に前記表示情報を更新するステップとを有する、農薬情報管理方法を提供する。
【0016】
本発明の第5の態様においては、コンピュータに、ユーザが使用する情報端末から、作物を示す作物情報を取得するステップと、前記作物情報が示す作物に使用可能な農薬である使用可能農薬の使用方法と使用可能回数との複数の組み合わせを前記情報端末の表示部に表示するための表示情報を生成するステップと、前記情報端末から前記ユーザが使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報を取得するステップと、前記表示情報において、前記使用実績情報が示す使用方法に対応する使用可能回数である第1使用可能回数を前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させると共に、前記表示情報における最大の使用可能回数である第2使用可能回数の使用方法が前記使用実績情報の示す使用方法と異なる場合は、前記第2使用可能回数も前記使用実績情報が示す前記使用回数だけ減少させるステップと、前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数を減少させた場合に、減少後の前記第1使用可能回数及び前記第2使用可能回数に前記表示情報を更新するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作物を栽培するユーザが農薬の使用方法と使用可能回数を容易に把握できるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る農薬情報管理システム10の第1構成例を示す。
図2】第1構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例を示す。
図3】本実施形態に係る情報端末100の表示部110の表示例を示す。
図4】本実施形態に係る情報端末100が表示部110に表示情報を表示させた第1例を示す。
図5】本実施形態に係る情報端末100が表示部110に表示情報を表示させた第2例を示す。
図6】本実施形態に係る回数管理部260が管理した農薬の使用可能回数の一例を示す。
図7】本実施形態に係る農薬情報管理システム10の第2構成例を示す。
図8】第2構成例の情報端末100の表示部110の表示例を示す。
図9】第2構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<農薬情報管理システム10の構成例>
図1は、本実施形態に係る農薬情報管理システム10の第1構成例を示す。ユーザ20は、農薬を用いて作物を栽培する、農薬の使用者である。農薬は、農薬取締法、肥料取締法等の法律によって定められた基準等に基づいて、適切に用いられなければならない。農薬の使用規準は、農薬の製品ごとに、適用作物、単位面積あたりの使用量又は希釈倍率、使用時期、使用回数、農薬に含まれている成分の使用回数等を含む。
【0020】
したがって、ユーザ20は、膨大な情報の中から農薬の製品ごとに異なる情報を確認して、適切な使用量を用いて適切な使用方法で作物を栽培しなければならない。例えば、ユーザ20は、作物を栽培する過程で複数の農薬の使用方法を用いる場合、複数の農薬を使用する場合、複数の作物を栽培する場合、農薬を新たに購入した場合等に、農薬の適切な使用量及び使用方法を確認しなければならなかった。
【0021】
そこで、本実施形態に係る農薬情報管理システム10は、ユーザ20が栽培する作物に用いる農薬の使用方法と使用可能回数をユーザ20が使用する情報端末100に表示して、ユーザ20が使用可能回数を容易に把握できるようにする。農薬情報管理システム10は、情報端末100と、農薬情報管理装置200とを備える。
【0022】
情報端末100は、ユーザ20が使用しており、農薬情報管理装置200と通信可能な端末である。情報端末100は、ネットワーク30を介して農薬情報管理装置200と通信可能であることが望ましい。情報端末100は、例えば、ユーザ20が入力した情報を農薬情報管理装置200に送信し、農薬情報管理装置200が生成した表示情報を受信する。情報端末100は、例えば、スマートフォン、タブレットPC、小型PC等の携帯端末である。情報端末100は、表示部110、受付部120、及び表示制御部130を有する。
【0023】
表示部110は、情報端末100の出力の静止画、動画等を表示する。表示部110は、液晶等である。表示部110は、位置入力の機能を有するタッチパネルディスプレイであることが望ましい。この場合、表示部110は、受付部120としても機能する。本実施形態において、表示部110が受付部120としても機能する例を説明する。
【0024】
受付部120は、ユーザ20からの入力を受け付ける。これに代えて、又は、これに加えて、受付部120は、キーボード、マウス等の入力デバイスを有してもよい。受付部120が受け付ける具体的なユーザ20の入力等については、後述する。
【0025】
表示制御部130は、農薬情報管理装置200から取得した表示情報を表示部110に表示させる。ユーザ20は、例えば、情報端末100に予めインストールされているアプリケーションを実行することで、農薬情報管理システム10の動作を開始させ、表示制御部130は、表示情報を表示部110に表示させる。また、表示制御部130は、表示部110が受付部120として機能する場合、ユーザ20からの入力を受け付ける入力画面を表示させてもよい。
【0026】
農薬情報管理装置200は、情報端末100にユーザ20が入力した情報を取得して、情報端末100の表示部110に表示すべき表示情報を生成する。農薬情報管理装置200は、通信部210と、取得部220と、記憶部230と、抽出部240と、表示情報生成部250と、回数管理部260とを備える。
【0027】
通信部210は、情報端末100と通信する。通信部210は、例えば、外部のネットワーク30を介して情報端末100と通信する。通信部210は、登録されている情報端末100と通信可能となるように構成されていることが望ましい。通信部210は、例えば、情報端末100から送信された情報を受信する。また、通信部210は、農薬情報管理装置200が生成した表示情報を情報端末100に送信する。
【0028】
取得部220は、通信部210を介して、ユーザ20が情報端末100に入力した情報を取得する。また、取得部220は、外部のデータベース40等から農薬に関する情報を農薬製品データとして取得してもよい。取得部220は、作物情報取得部222及び実績情報取得部224を有する。
【0029】
作物情報取得部222は、ユーザ20が使用する情報端末100から、作物を示す作物情報を取得する。作物情報は、ユーザ20が栽培している作物を示し、例えば、いちご、こまつな、ほうれんそう等の情報である。実績情報取得部224は、情報端末100からユーザ20が使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報を取得する。使用実績情報に含まれる農薬の使用方法及び使用回数については後述する。
【0030】
記憶部230は、取得部220が取得した情報を記憶する。また、記憶部230は、農薬情報管理装置200が動作の過程で生成する(又は利用する)中間データ、算出結果、閾値、基準値、及びパラメータ等をそれぞれ記憶してもよい。また、記憶部230は、農薬情報管理装置200内の各部の要求に応じて、記憶したデータを要求元に供給してもよい。また、記憶部230は、農薬製品データを予め記憶していてもよい。
【0031】
記憶部230は、例えば、サーバ等のコンピュータが農薬情報管理装置200として機能する場合、コンピュータを機能させるOS(Operating System)、及びプログラム等の情報を格納してもよい。また、記憶部230は、当該プログラムの実行時に参照されるデータベースを含む種々の情報を格納してもよい。例えば、コンピュータは、記憶部230に記憶されたプログラムを実行することによって、農薬情報管理装置200の少なくとも一部として機能する。
【0032】
記憶部230は、例えば、コンピュータ等のBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)、及び作業領域となるRAM(Random Access Memory)を含む。また、記憶部230は、HDD(Hard Disk Drive)及び/又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置を含んでもよい。また、コンピュータは、GPU(Graphics Processing Unit)等を更に備えてもよい。
【0033】
抽出部240は、農薬製品データから作物情報が示す作物に使用可能な農薬を使用可能農薬として抽出する。農薬製品データは、記憶部230に予め記憶されていてもよく、これに代えて、取得部220が外部のデータベース40等から取得してもよい。農薬製品データは、例えば、農林水産省等の行政機関が公開しているデータである。また、農薬製品データは、農薬の製造メーカ、販売メーカ等が公開しているデータであってもよい。
【0034】
農薬製品データには、例えば、農薬の製品ごとに、適用作物、単位面積あたりの使用量又は希釈倍率、使用時期、使用回数、農薬の使用回数等を示すデータが含まれている。この場合、抽出部240は、農薬製品データのうち、作物情報が示す作物が適用作物となっている農薬を使用可能農薬として抽出する。例えば、抽出部240は、農薬製品データを検索して、農薬製品データに含まれている農薬のうちから、作物情報が示す作物を対象作物とする農薬を使用可能農薬として抽出する。抽出部240は、抽出した使用可能農薬の情報を記憶部230に記憶してもよい。
【0035】
表示情報生成部250は、作物情報が示す作物に使用可能な農薬の使用方法と使用可能回数との複数の組み合わせを情報端末100の表示部110に表示するための表示情報を生成する。表示情報生成部250は、作物情報が示す作物に使用可能な農薬として抽出部240が抽出した使用可能農薬がある場合、この使用可能農薬(複数の場合もある)の使用方法と使用回数との組み合わせを表示情報として生成する。
【0036】
また、表示情報生成部250は、生成した表示情報を通信部210から情報端末100に送信させる。表示情報生成部250は、回数管理部260が表示情報を変更した場合、表示情報を更新して、更新した表示情報を通信部210から情報端末100に送信させる。
【0037】
回数管理部260は、実績情報取得部224が取得した使用実績情報に基づき、表示情報の使用回数の値を変更する。回数管理部260は、例えば、ユーザ20が入力した農薬の使用方法及び使用回数に応じて、表示情報において入力された農薬の使用方法に対応する使用方法の使用可能回数である第1使用可能回数を、入力された使用回数だけ減少させる。
【0038】
また、回数管理部260は、例えば、使用実績情報が示す使用方法に対応する第1使用可能回数だけでなく、使用可能回数が最大となる使用方法の使用可能回数である第2使用可能回数も、使用実績情報が示す使用回数だけ減少させる。以上の表示情報生成部250及び回数管理部260のより具体的な動作について、次に説明する。
【0039】
<第1構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例>
図2は、第1構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例を示す。農薬情報管理システム10は、図2のS410からS490の動作を実行することにより、農薬の使用方法と使用可能回数を容易に把握できる表示情報をユーザ20の情報端末100に表示させる。
【0040】
まず、ユーザ20は、情報端末100にインストールされているアプリケーションを実行して、農薬情報管理システム10の動作を開始させる。この場合、パスワードの入力又はユーザ認証等により、農薬情報管理システム10の動作が実行可能となるようにアプリケーションが構成されていることが望ましい。
【0041】
情報端末100の表示制御部130は、例えば、メニュー等を表示して、過去のデータを利用するか否かをユーザ20に選択させる。ここで、過去のデータは、過去にユーザ20が農薬情報管理システム10を動作させて表示部110に表示させた表示情報である。受付部120は、ユーザ20からの選択を受け付ける(S410)。受付部120は、ユーザ20が新たに表示情報を情報端末100に表示させることを受け付けた場合(S410:No)、ユーザ20からの作物情報の入力を受け付ける。
【0042】
図3は、本実施形態に係る情報端末100の表示部110の表示例を示す。図3は、表示制御部130がユーザ20に作物情報を入力させる場合に表示部110に表示させた入力画面の一例である。表示部110は、受付部120として機能し、ユーザ20の入力を受け付ける。受付部120は、ユーザが栽培する作物を示す作物情報の入力を受け付ける作物情報受付部122を有する。また、受付部120は、作物の栽培場所、栽培面積の入力を受け付けてもよい。情報端末100は、受付部120が受け付けた情報を農薬情報管理装置200に送信する。これにより、農薬情報管理装置200の作物情報取得部222は、作物情報を取得する(S420)。
【0043】
次に、抽出部240は、農薬製品データから、取得した作物情報が示す作物に使用可能な農薬を使用可能農薬として抽出する(S430)。抽出部240は、例えば、予め記憶部230に記憶されている農薬製品データを読み出して、使用可能農薬を抽出する。これに代えて、抽出部240は、取得部220が外部のデータベース40から取得した農薬製品データを用いて、使用可能農薬を抽出してもよい。例えば、作物情報が「いちご」の場合に、抽出部240は、「モベントフロアブル」等の農薬を使用可能農薬として抽出する。
【0044】
次に、表示情報生成部250は、抽出部240が抽出した使用可能農薬に基づいて表示情報を生成する(S440)。表示情報生成部250は、例えば、「モベントフロアブル」の表示情報として、「散布、3回」、「灌注、1回」といった組み合わせを示す情報を生成する。ここで、農薬の使用方法の1つである「散布」は、薬剤を植物、土等の対象物にまく方法を示す。また、「灌注」は、薬剤を薄めた状態で土の中にしみこませる方法を示す。
【0045】
表示情報生成部250は、例えば、生成した表示情報を記憶部230に記憶させる。そして、表示情報生成部250は、生成した表示情報を通信部210から情報端末100に送信させる。これにより、情報端末100の表示制御部130は、農薬情報管理装置200の通信部210から受信した表示情報を表示部110に表示させる(S450)。
【0046】
図4は、本実施形態に係る情報端末100が表示部110に表示情報を表示させた第1例を示す。図4の例は、作物情報が「いちご」であり、抽出された使用可能農薬が「モスピラン顆粒水溶剤」、「モベントフロアブル」、「デュポン ベネビアOD」、「グレーシア乳剤」である例を示す。なお、表示部110を操作して表示しているページをスクロールすることにより、抽出された使用可能農薬が全て表示されるように表示情報が構成されていることが望ましい。
【0047】
また、表示情報には、農薬の使用により防除できる病害虫の情報を適用病害虫情報として含むことが望ましい。図4には、このような適用病害虫情報を製品ごとに表示した例を示す。一例として、「モスピラン顆粒水溶剤」の適用病害虫は、「コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類、カキノヒメヨコバイ」である。
【0048】
そして、表示情報には、作物情報が示す作物「いちご」に使用可能な農薬の使用方法と使用可能回数との組み合わせが製品ごとに含まれている。図4には、このような組み合わせを製品ごとに表示した例を示す。一例として、「モスピラン顆粒水溶剤」の使用方法は「散布」であり、使用可能回数は「2回」である。表示情報には、使用時期の情報が含まれていてもよく、図4は、「収穫前日まで」といった使用時期の情報を表示している例を示す。また、表示情報には、農薬の使用方法が使用可能か否かを示す可否情報が更に含められていてもよく、図4は、使用方法ごとに「OK」といった使用可能を示す可否情報を表示している例を示す。
【0049】
以上の本実施形態に係る農薬情報管理システム10は、ユーザ20が作物情報を情報端末100に入力するだけで、栽培する作物に使用可能な農薬の使用方法と使用可能回数を含む表示情報を情報端末100に表示させる。これにより、ユーザ20は、複雑な操作をすることなく、農薬の使用方法と使用可能回数とを容易に把握することができる。
【0050】
なお、S410において、受付部120が、ユーザ20が過去のデータを利用することを受け付けた場合(S410:Yes)、通信部210は、記憶部230に記憶されている表示情報を読み出して情報端末100に送信する。ここで、記憶部230に記憶されている表示情報が複数ある場合、表示制御部130は、ユーザ20からの選択を受け付ける画像を表示して利用する表示情報をユーザ20に選択させることが望ましい(S460)。これにより、表示制御部130は、図4のように過去に生成した表示情報を表示部110に表示できる(S450)。
【0051】
これにより、農薬情報管理システム10は、ユーザ20が過去に表示させた表示情報をユーザ20に確認させることができる。このようにして、表示部110に表示情報を表示させた農薬情報管理システム10は、ユーザ20が使用した農薬の情報を更に取得することにより、表示部110に表示させた表示情報を更新する。
【0052】
情報端末100のアプリケーションが実行されている間に、ユーザ20が農薬の使用実績を示す実績情報を情報端末100に入力した場合、農薬情報管理装置200の実績情報取得部224は、入力された実績情報を使用実績情報として取得する(S470)。実績情報は、例えば、図4においてチェックされた使用方法及び使用回数を示す情報である。表示部110は、実績情報受付部124を有する受付部120として機能する。実績情報受付部124は、表示情報に基づいて、ユーザ20が使用した農薬の使用方法及び使用回数を示す使用実績情報の入力を受け付ける。図4には、このような実績情報受付部124の一例として、表示制御部130がチェックボックス125と実行ボタン126とを表示部110に表示させた例を示す。なお、表示制御部130は、チェックボックス125に代えて、ラジオボタン等を表示部110に表示させてもよい。
【0053】
例えば、実績情報取得部224は、ユーザ20が表示部110を操作して、「モベントフロアブル」の「灌注」のチェックボックス125にチェックを入れ、実行ボタン126を1回押した場合、「モベントフロアブル」の「灌注」を1回使用した使用実績情報の入力を取得する。
【0054】
次に、表示情報生成部250及び回数管理部260は、実績情報取得部224が取得した使用実績情報に基づき、表示情報の使用回数の値を更新する(S480)。回数管理部260は、表示情報において、使用実績情報が示す農薬の使用方法に対応する使用可能回数である第1使用可能回数を使用実績情報が示す使用回数だけ減少させる。図4の例の場合、使用実績情報が示す農薬の使用方法は「灌注」であり、使用回数は1回である。そこで、回数管理部260は、表示情報の「灌注」の使用可能回数を1回から0回に変更する。
【0055】
なお、表示情報生成部250は、使用可能回数が0回となった「灌注」に対して、可否情報を「OK」から「NG」に変更してもよい。可否情報の「NG」は、「灌注」が作物に対して使用することができないことを示す。このように可否情報を示すことで、ユーザ20は、同じ農薬であっても、使用できる方法と使用できない方法があることを容易に把握することができる。
【0056】
また、回数管理部260は、第1使用可能回数を減少させると共に、表示情報における最大の使用可能回数である第2使用可能回数の使用方法が使用実績情報の示す農薬の使用方法と異なる場合は、第2使用可能回数も使用実績情報が示す使用回数だけ減少させる。図4の例の場合、使用実績情報が示す農薬は「モベントフロアブル」であり、「モベントフロアブル」の使用可能回数が最大の使用方法は「散布」であり、使用可能回数は3回である。「散布」は、使用実績情報が示す使用方法の「灌注」とは異なるので、回数管理部260は、表示情報の「散布」の使用可能回数を3回から2回に減少させる。
【0057】
このように、農薬の使用回数は、実際に使用した方法の使用可能回数(第1使用可能回数)よりも大きい使用可能回数の使用方法が他にある場合、使用した方法の使用可能回数と共に、使用可能回数が最大となる使用方法の使用可能回数(第2使用可能回数)も使用回数だけ減少させて管理するように規定されている。以上の回数管理部260は、このような農薬の規定に対応するように、表示情報の農薬の使用可能回数の情報を管理することができる。また、回数管理部260がこのように動作することで、農薬を使用した方法が、使用可能回数が最大の他の使用方法ではない場合に、ユーザ20が、他の使用方法であれば、実際に使用可能な回数よりも多くの回数の使用ができると勘違いしてしまうことを防止できる。
【0058】
なお、実際に使用した方法と使用可能回数が最大の使用方法とが同一の場合は、使用した方法を使用回数だけ減少させて管理すればよい。そこで、回数管理部260は、使用実績情報が示す使用方法に対応する第1使用可能回数が複数の使用可能回数の中で最大である場合、第1使用可能回数を使用実績情報が示す使用回数だけ減少させ、他の使用方法の使用可能回数を減少させない。例えば、図4の例において、使用実績情報が示す農薬の使用方法が「灌注」に代えて、「散布」だった場合、回数管理部260は、表示情報の「散布」の使用可能回数を3回から2回に変更し、「灌注」の使用可能回数は変更しない。
【0059】
ところで、ユーザ20が、使用可能回数が最大の使用方法で農薬を使用し続けることがある。この場合、ユーザ20が当該使用方法で農薬を使用し続けることで、当該農薬の他の使用方法の使用可能回数が最大の使用可能回数である第2使用可能回数になることがある。図4の例の場合、使用実績情報が「散布」を2回使用したことを示した場合、回数管理部260は、「散布」の使用回可能回数を3回から1回に減少させる。これにより、「散布」及び「灌注」の使用可能回数は共に1回となるので、両者が第2使用可能回数となる。
【0060】
農薬の使用回数は、このように、使用可能回数が最大となる使用方法が複数ある場合、使用した方法の使用可能回数と共に、使用可能回数が最大となる全ての使用方法の使用可能回数も使用回数だけ減少させて管理するように規定されている。したがって、回数管理部260は、使用可能回数が第2使用可能回数に相当する使用方法が複数存在し、第1使用可能回数を使用回数だけ減少させる場合、複数の第2使用可能回数をそれぞれ使用回数だけ減少させる。
【0061】
例えば、「散布」及び「灌注」の使用可能回数が共に1回となった後に、更に「散布」又は「灌注」を1回使用したことを示す使用実績情報を実績情報取得部224が取得した場合、回数管理部260は、「散布」及び「灌注」の使用可能回数を1回から0回に減少させる。これにより、回数管理部260は、農薬の規定に対応するように、表示情報の農薬の使用可能回数の情報を管理することができる。
【0062】
表示情報生成部250は、回数管理部260が第1使用可能回数及び第2使用可能回数を減少させた場合に、減少後の第1使用可能回数及び第2使用可能回数に表示情報を更新する。表示情報生成部250は、表示情報を回数管理部260が変更した使用可能回数に対応する表示情報に更新する。そして、表示情報生成部250は、例えば、更新した表示情報を記憶部230に記憶させる。また、表示情報生成部250は、更新した表示情報を通信部210から情報端末100へと送信させる。そして、情報端末100の表示制御部130は、更新後の表示情報を表示部110に表示する。
【0063】
農薬情報管理システム10は、S470からS490を繰り返して、ユーザ20が、情報端末100を用いて農薬情報管理装置200にアクセスする動作を終了する操作を行うまで表示情報を更新させてよい(S490:No)。情報端末100の受付部120がユーザ20の農薬情報管理システム10の動作を終了させることを受け付けた場合、情報端末100は動作終了の通知を農薬情報管理装置200に送信してアプリケーションを終了させる。農薬情報管理装置200は、取得部220が動作終了の通知を取得したことに応じて、動作を終了させる(S490:Yes)。
【0064】
以上の本実施形態に係る農薬情報管理システム10は、ユーザ20が情報端末100を操作して使用した農薬の使用方法と使用回数とを入力するだけで、情報端末100の表示を更新させることができる。これにより、ユーザ20は、農薬の規定に沿った使用回数の複雑な処理をすることなしに、農薬を使用した後の農薬の使用方法と使用可能回数とを容易に把握することができる。
【0065】
例えば、ユーザ20は、作物を栽培する過程において、農薬の使用方法を変更することがある。このような場合であっても、農薬情報管理システム10は、例えば、農薬の全ての使用方法と使用可能回数との組を表示情報に含めて更新するので、ユーザ20は、異なる農薬の使用方法に対する使用可能回数を容易に把握することができる。
【0066】
以上の本実施形態に係る農薬情報管理システム10は、使用実績情報に対応する第1使用可能回数及び第2使用可能回数を使用回数だけ減少させて表示情報を更新する例を説明したが、これに限定されることはない。ユーザ20は、作物に対して異なる複数の農薬を使用することがある。また、ユーザ20は、作物を栽培している土地の近隣で異なる農薬を使用することもあり、栽培中の作物に異なる農薬が使用されたことと同様の状態になることがある。
【0067】
例えば、ユーザ20が第1農薬及び第2農薬を使用した場合を考える。第1農薬の成分と第2農薬の成分とが全く異なる場合、農薬情報管理システム10は、第1農薬及び第2農薬の使用方法と使用可能回数とを独立に管理すればよい。その一方で、第1農薬の少なくとも一部の成分と第2農薬の少なくとも一部の成分とが同一の成分になることがある。この場合、ユーザ20が第1農薬を作物に使用すると、第2農薬を作物に使用したことと同様の効果を与えることがある。
【0068】
そこで、農薬情報管理システム10は、ユーザ20が第1農薬を使用したことを示す実績情報に対応して、第1農薬の使用方法と使用可能回数の管理に加えて、第2農薬の使用方法と使用可能回数の管理も実行することが望ましい。例えば、表示情報生成部250が、作物情報が示す作物に使用可能な複数の農薬を表示情報に含めて生成しており、実績情報取得部224が、複数の農薬のうちユーザ20が使用した農薬が第1農薬であるとの情報を含む使用実績情報を取得し、使用可能な複数の農薬中に第1農薬に含まれている成分と同じ成分を含有する第2農薬が存在する場合を考える。
【0069】
この場合、回数管理部260は、ユーザ20が第1農薬を使用したことを示す実績情報に対応して、上述のとおり、第1農薬の第1使用可能回数及び第2使用可能回数を使用回数だけ減少させる。そして、回数管理部260は、第2農薬の使用方法のうちの使用可能回数が最大となる第3使用可能回数を、使用実績情報が示す使用回数だけ減少させる。
【0070】
例えば、図4の例において、第2農薬をモベントフロアブルとし、第1農薬がモベントフロアブルの成分を有する農薬とする。ユーザ20が第1農薬を1回使用したことを実績情報受付部124に入力した場合、回数管理部260は、表示情報における第1農薬の第1使用可能回数及び第2使用可能回数をそれぞれ1回だけ減少させる。そして、回数管理部260は、モベントフロアブルの最大の使用可能回数である「散布」の3回を2回に減少させる。これにより、農薬情報管理システム10は、ユーザ20が使用した農薬と同じ成分を有する他の農薬の使用可能回数を変更して更新することができる。したがって、ユーザ20は、より正確な表示情報を容易に把握することができる。
【0071】
以上の本実施形態に係る農薬情報管理システム10は、作物情報に対応する農薬の使用方法と使用可能回数との組み合わせを情報端末100の表示部110に表示させる例を説明したが、これに限定されることはない。農薬情報管理システム10が外部から取得する農薬製品データには、農薬の使用方法として農薬を複数の希釈倍率で希釈して使用する方法の情報が含まれていることがある。ここで、農薬を複数の希釈倍率で希釈して使用する使用方法を希釈使用方法とする。この場合、表示情報生成部250は、作物情報が示す作物に使用可能な農薬について、当該農薬を複数の希釈倍率で希釈して使用する希釈使用方法を表示情報に含めて生成してもよい。
【0072】
例えば、表示情報生成部250は、1つの希釈使用方法に対して複数の希釈倍率を含む表示情報を生成する。一例として、農薬製品データの農薬Aの使用方法には、2000倍及び3000倍に希釈して使用し、使用可能回数がそれぞれ4回の希釈使用方法「噴霧」が含まれている場合を考える。この場合、表示情報生成部250は、「噴霧、使用可能回数4回」の情報に、「希釈倍率2000倍」及び「希釈倍率3000倍」の情報を含めた表示情報を生成する。
【0073】
これにより、表示制御部130は、例えば、「噴霧、希釈倍率2000倍、残り4回」、「噴霧、希釈倍率3000倍、残り4回」といった情報を表示部110に表示することができる。したがって、ユーザ20は、農薬の使用方法が複数の希釈倍率を含むこと、また、実際に使用する場合の希釈倍率を容易に把握することができる。
【0074】
なお、農薬製品データにこのような希釈使用方法の情報が含まれている場合、希釈倍率の情報が希釈倍率の最小値及び最大値を用いた倍率の範囲を示すことがある。このような希釈使用方法の場合、表示情報生成部250は、作物情報が示す作物に使用可能な農薬について、当該農薬の希釈倍率の最小値および最大値を表示情報に含めて生成する。表示情報生成部250は、例えば、倍率の範囲の最小値及び最大値を抽出し、希釈使用方法に対して、抽出した希釈倍率の最小値及び最大値の情報を含む表示情報を生成する。
【0075】
例えば、農薬製品データの農薬Aの使用方法には、「2000~4000倍」に希釈して使用し、使用可能回数が4回の希釈使用方法「噴霧」が含まれている場合を考える。この場合、表示情報生成部250は、「2000~4000倍」の情報から「2000」及び「4000」の情報を抽出する。一例として、表示情報生成部250は、「~」、「倍」といった文字情報を検索条件に含めて農薬製品データを検索する。そして、表示情報生成部250は、文字列「~」の前後に数字の情報が存在する場合に、文字列「~」の前の数字を最小値、文字列「~」の後の数字を最大値として抽出する。
【0076】
そして、表示情報生成部250は、例えば、「噴霧、希釈倍率2000倍、使用可能回数4回」と「噴霧、希釈倍率4000倍、使用可能回数4回」といった組み合わせを生成して表示情報に含める。これにより、農薬情報管理システム10は、農薬製品データに希釈倍率の範囲の情報が含まれていても、実際に使用する場合の希釈倍率を表示部110に表示させることができる。
【0077】
これに加えて、表示情報生成部250は、倍率の最小値及び最大値の間の値を表示情報に加えてもよい。この場合、表示情報生成部250は、最小値及び最大値の和又は差に予め定められた係数をかけた値を表示情報に更に含めて生成する。例えば、表示情報生成部250は、係数を0.5として、「噴霧、希釈倍率2000倍、使用可能回数4回」、「噴霧、希釈倍率3000倍、使用可能回数4回」、及び「噴霧、希釈倍率4000倍、使用可能回数4回」といった組み合わせを生成して表示情報に含める。このように生成した表示情報の表示例を図5に示す。図5は、本実施形態に係る情報端末100が表示部110に表示情報を表示させた第2例を示す。
【0078】
なお、表示情報生成部250は、希釈倍率が端数のない概数となるように、係数を調節してもよい。例えば、倍率の範囲の最小値が1000、最大値が4000の場合、表示情報生成部250は、係数を1/3として、希釈倍率を1000倍、2000倍、3000倍、及び4000倍とした組み合わせを生成して表示情報に含めてもよい。
【0079】
以上の本実施形態に係る農薬情報管理システム10によれば、ユーザ20は、栽培する作物と使用した農薬の情報を情報端末100に入力するだけで、農薬を適正な使用基準の範囲で使用できる情報を容易に把握することができる。このように、ユーザ20は、例えば、実際に農薬を使用する農場であっても、情報端末100を操作するだけで農薬を使用するための情報を容易に把握できるので、速やかに農薬を使用することができる。このような農薬情報管理システム10の回数管理部260のより具体的な動作について次に説明する。
【0080】
<回数管理部260による使用可能回数の管理動作の一例>
図6は、本実施形態に係る回数管理部260が用いるテーブルの一例を示す。ここでは、回数管理部260が図6に示すようなテーブルを用いて使用可能回数を管理する動作を説明する。図6は、「使用方法1」、「使用方法2」、及び「使用方法3」の3つの使用方法を有する農薬Aの例を示す。農薬Aの初期状態として、「使用方法1」の使用可能回数を3回、「使用方法2」の使用可能回数を5回、「使用方法3」の使用可能回数を1回とする。
【0081】
この場合、最大の使用可能回数である第2使用可能回数は、「使用方法2」の5回である。ここで、回数管理部260は、一例として、図6(A)に示すように、農薬Aの使用状態テーブルを定義する。使用状態テーブルは、第2使用可能回数と、3つの使用方法の使用可能回数とで構成されている。回数管理部260は、使用状態テーブルを記憶部230に記憶してもよい。
【0082】
そして、「使用方法1」を2回、「使用方法3」を1回使用したことを示す使用実績情報を実績情報取得部224が取得した場合を考える。回数管理部260は、一例として、図6(B)に示すように、農薬Aの実績テーブルを定義する。実績テーブルは、合計使用回数と3つの使用方法の使用回数とで構成されている。合計使用回数は、「使用方法1」の使用回数(2回)と「使用方法3」の使用回数(1回)との和(3回)を示す。
【0083】
次に、回数管理部260は、使用状態テーブルの各値から実績テーブルの各値を差し引いて、使用状態テーブルを更新する。図6(C)は、更新後の使用状態テーブルを示す。使用状態テーブルの第2使用可能回数は、初期状態の5回から合計使用回数の3回が差し引かれて、2回に更新された例を示す。「使用方法1」の使用可能回数は、初期状態の3回から使用回数の2回が差し引かれて、1回に更新された例を示す。「使用方法3」の使用可能回数は、初期状態の1回から使用回数の1回が差し引かれて、0回に更新された例を示す。
【0084】
次に、回数管理部260は、更新後の第2使用可能回数とそれぞれの使用方法の使用可能回数とを比較して、小さい方の値を採用することで、使用状態テーブルを更に更新する。図6(D)は、更に更新された使用状態テーブルを示す。「使用方法1」の使用可能回数は、更新後の第2使用可能回数である2回よりも小さい1回なので、1回のままとなった例を示す。「使用方法2」の使用可能回数は、更新後の第2使用可能回数である2回よりも大きい5回なので、2回に更新された例を示す。「使用方法3」の使用可能回数は、更新後の第2使用可能回数である2回よりも小さい0回なので、0回のままとなった例を示す。
【0085】
以上のように更新された図6(D)に示す使用状態テーブルは、回数管理部260が使用実績情報に対応して更新した農薬Aの使用可能回数を示す。このように、回数管理部260は、テーブルを用いて農薬の使用可能回数を管理することができる。これにより、回数管理部260は、複数種類の使用方法を複数回使用することを示す使用実績情報を実績情報取得部224が取得しても、複数の使用方法の使用可能回数を容易に更新することができる。
【0086】
なお、ユーザ20は、自身が所有している農薬の中から使用可能な農薬を確認したい場合がある。そこで、農薬情報管理システム10は、ユーザ20が所有している農薬の情報を取得し、取得した農薬の情報の中から使用可能な農薬の情報を抽出してもよい。このような農薬情報管理システム10について次に説明する。
【0087】
<農薬情報管理システム10の第2構成例>
図7は、本実施形態に係る農薬情報管理システム10の第2構成例を示す。第2構成例の農薬情報管理システム10において、図1に示された第1構成例の農薬情報管理システム10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、重複する説明を省略する。
【0088】
第2構成例の農薬情報管理システム10において、情報端末100の受付部120は、ユーザ20が所有している所有農薬の入力を受け付ける機能を有する。図8は、第2構成例の情報端末100の表示部110の表示例を示す。表示部110は、農薬情報受付部128としても機能する。
【0089】
農薬情報受付部128は、例えば、ユーザ20が入力する農薬の情報を所有農薬として受け付ける。また、農薬情報受付部128は、複数の農薬を含む一覧表を表示可能に構成され、一覧表の中からユーザ20が選択した農薬を所有農薬として受け付けてもよい。情報端末100は、農薬情報受付部128が受け付けた所有農薬の情報を農薬情報管理装置200に送信する。
【0090】
また、第2構成例の農薬情報管理装置200の取得部220は、農薬データ取得部226及び農薬情報取得部228を更に有する。農薬データ取得部226は、農薬の製品ごとに、農薬の成分、対象作物、使用方法、使用可能回数の情報を含む農薬製品データを取得する。農薬データ取得部226は、例えば、ネットワーク30を介して外部のデータベース40から農薬製品データを取得する。外部のデータベース40は、例えば、行政機関、農薬の製造メーカ、販売メーカ等が公開しているデータベースである。なお、第1構成例の農薬情報管理システム10は、第2構成例の農薬情報管理システム10と同様に、農薬データ取得部226が設けられていてもよい。
【0091】
農薬情報取得部228は、ユーザ20が所有している所有農薬を特定するための情報を取得する。農薬情報取得部228は、情報端末100から送信された所有農薬の情報を取得する。
【0092】
第2構成例の抽出部240は、農薬製品データを検索して、所有農薬のうち作物情報が示す作物を対象作物とする農薬を使用可能農薬として抽出する。このように、抽出部240は、ユーザ20が所有している農薬のうち、ユーザ20が栽培する作物に使用可能な農薬を使用可能農薬として抽出する。そして、表示情報生成部250は、作物情報が示す作物に使用可能な農薬として抽出部240が抽出した使用可能農薬がある場合、使用可能農薬ごとに、農薬製品データに含まれている使用方法と使用可能回数との組み合わせを情報端末100の表示部110に表示させるための表示情報を生成する。
【0093】
これにより、農薬情報管理システム10は、ユーザ20が所有していない農薬の情報の表示を省略することができる。したがって、ユーザ20は、所有農薬の中から抽出された、より重要な農薬の使用方法と使用可能回数を容易に把握できる。
【0094】
なお、外部のデータベース40から取得した農薬製品データには、適用作物の情報に作物の名前を示す場合と、作物全般、野菜の分類を示す場合がある。例えば、適用作物の情報が「こまつな」を含む作物名を示すこともあれば、「野菜類」、「非結球あぶらな科葉菜類」等を示すこともある。また、漢字表記、平仮名表記等の表記が異なる場合もある。
【0095】
したがって、ユーザ20が入力した作物情報が「こまつな」の場合に、抽出部240が農薬製品データから「こまつな」を適用作物として登録されている農薬だけを抽出すると、「非結球あぶらな科葉菜類」を適用作物として登録されている農薬は、「こまつな」に使用可能な農薬として抽出されないことになる。そこで、抽出部240は、カテゴリ特定部242及び検索部244を更に有し、作物情報が示す作物に使用可能な農薬の抽出精度を向上させる。
【0096】
カテゴリ特定部242は、ユーザ20が栽培している作物を示す作物情報を含む上位のカテゴリを対象カテゴリとして特定する。カテゴリ特定部242は、例えば、作物の分類の情報を示すカテゴリ情報に基づいて対象カテゴリを特定する。カテゴリ情報は、記憶部230に予め記憶されていることが望ましい。また、カテゴリ情報は、農薬データ取得部226が取得した農薬製品データの適用作物の情報から生成したデータベースであることが望ましい。
【0097】
一例として、カテゴリ情報における「こまつな」を含む情報は、「野菜類、非結球あぶらな科葉菜類、こまつな」である。このように、カテゴリ情報は、例えば、ユーザ20が入力した作物(こまつな)を含む上位のカテゴリ(野菜類、非結球あぶらな科葉菜類)で形成されている。なお、カテゴリ情報は、異なる表記(小松菜)を更に含んでもよい。カテゴリ特定部242は、例えば、このようなカテゴリ情報を用いることにより、作物情報が「こまつな」の場合に、「野菜類、非結球あぶらな科葉菜類、小松菜」を対象カテゴリとして特定することができる。
【0098】
検索部244は、作物情報に加えて対象カテゴリを検索条件として、農薬製品データを検索して使用可能農薬を抽出する。検索部244は、例えば、農薬製品データから「こまつな」を適用作物とする農薬を検索して、使用可能な農薬の第1候補を抽出する。また、検索部244は、農薬製品データから「野菜類」「非結球あぶらな科葉菜類」「小松菜」を適用作物とする農薬を検索して、使用可能な農薬の第2候補を抽出する。そして、検索部244は、使用可能な農薬の第1候補及び第2候補のうち、ユーザ20が所有している所有農薬に含まれている農薬を、使用可能な農薬として抽出する。
【0099】
これに代えて、検索部244は、ユーザ20が所有している所有農薬に含まれている農薬ごとに農薬製品データを検索して、適用作物が作物情報の作物を含むか否かを確認してもよい。これにより、検索部244は、所有農薬のうち適用作物が作物情報の作物を含む農薬を農薬の第1候補として抽出する。検索部244は、更に、ユーザ20が所有している所有農薬に含まれている農薬ごとに農薬製品データを検索して、適用作物が対象カテゴリを含むか否かを確認してもよい。これにより、検索部244は、所有農薬のうち適用作物が対象カテゴリを含む農薬を農薬の第2候補として抽出する。そして、検索部244は、農薬の第1候補と農薬の第2候補とを、使用可能な農薬として抽出する。
【0100】
なお、農薬製品データの適用作物には、特定の作物を除くことを示す情報が含まれていることがある。例えば、農薬Bの適用作物が「野菜類(こまつなを除く)」を示すことがある。この場合、農薬Bは「こまつな」に使用可能な農薬ではない。したがって、検索部244は、対象カテゴリを検索条件として農薬製品データを検索する場合、作物情報が示す作物を除くことを示すキーワードを含む適用作物の農薬については抽出しないことが望ましい。例えば、検索部244は、使用可能な農薬として抽出した農薬のうち、農薬製品データの適用作物の情報に作物情報が示した作物を除くことを示す情報が含まれている農薬を除外する。
【0101】
このように、農薬情報管理システム10は、作物情報を用いた検索結果と対象カテゴリを用いた検索結果とを用いて使用可能な農薬を抽出するので、作物に使用可能な農薬の抽出精度を向上させることができる。また、農薬情報管理システム10は、作物情報が示す作物を除くことを示す適用作物の情報に対応して、当該適用作物の農薬を使用可能な農薬から除外する。これにより、農薬情報管理システム10は、作物に使用可能な農薬の抽出精度をより向上させることができる。
【0102】
<第2構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例>
図9は、第2構成例の農薬情報管理システム10の動作フローの一例を示す。第2構成例の農薬情報管理システム10は、図9のS400からS490の動作を実行することにより、ユーザ20の情報端末100にユーザ20が所有する農薬の使用方法と使用可能回数を容易に把握できる表示情報を表示させる。
【0103】
まず、農薬データ取得部226は、農薬製品データを取得する(S400)。なお、農薬情報管理装置200の記憶部230に農薬製品データが記憶されている場合は、S400の動作は省いてよい。また、農薬データ取得部226は、農薬製品データに更新された情報等があれば、更新された情報だけを取得してもよい。なお、次のS410、S420の動作は、図2で既に説明したので、重複する説明を省略する。
【0104】
次に、農薬情報管理装置200の農薬情報取得部228は、ユーザ20が所有している所有農薬を特定するための情報を取得する(S422)。情報端末100の表示部110は、農薬情報受付部128として機能し、ユーザ20の所有農薬の入力を受け付ける。情報端末100は、農薬情報受付部128が受け付けた情報を農薬情報管理装置200に送信する。これにより、農薬情報管理装置200の農薬情報取得部228は、所有農薬の情報を取得する。
【0105】
次に、抽出部240は、農薬製品データを検索して、所有農薬のうち作物情報が示す作物を対象作物とする農薬を使用可能農薬として抽出する(S430)。抽出部240は、カテゴリ特定部242及び検索部244により、作物情報と対象カテゴリとを用いて使用可能農薬を抽出する。ここで、取得部220が取得した作物情報が「こまつな」を示す場合について説明する。
【0106】
カテゴリ特定部242は、作物情報が「こまつな」を示す場合、カテゴリ情報の中から「こまつな」を含む「野菜類、非結球あぶらな科葉菜類、こまつな、小松菜」の情報を抽出する。そして、カテゴリ特定部242は、対象カテゴリを「野菜類、非結球あぶらな科葉菜類、小松菜」として特定する。
【0107】
次に、検索部244は、作物情報が示す「こまつな」に加えて、対象カテゴリの「野菜類、非結球あぶらな科葉菜類、小松菜」を検索条件として、農薬製品データを検索する。検索部244は、農薬製品データのうち、対象作物が検索条件のうちの少なくとも1つに合致する農薬を使用可能農薬として抽出する。また、検索部244は、使用可能な農薬として抽出した農薬のうち、農薬製品データの適用作物の情報に「こまつなを除く」を示す情報が含まれている農薬を除外する。これにより、農薬情報管理システム10は、農薬製品データのうち「こまつな」に使用可能な農薬の抽出精度をより向上させることができる。
【0108】
次に、表示情報生成部250は、抽出部240が抽出した使用可能農薬に基づいて表示情報を生成する(S440)。表示情報生成部250は、例えば、所有農薬の情報に使用可能か否かを示す可否情報を付与した表示情報を生成する。これにより、例えば、ユーザ20が「モスピラン顆粒水溶剤」、「モベントフロアブル」、「デュポン ベネビアOD」、「グレーシア乳剤」といった農薬を所有しており、作物情報として「いちご」を入力した場合、図4に示すように、所有農薬の使用方法に「OK」といった使用可能を示す可否情報が表示部110に表示されることが望ましい。なお、S440からS490の動作は、図2で既に説明したので、重複する説明を省略する。
【0109】
以上の第2構成例の農薬情報管理システム10は、ユーザ20が作物情報と所有農薬の情報とを情報端末100に入力するだけで、ユーザ20が所有している農薬の中から栽培している作物に使用可能な農薬の使用方法と使用可能回数を含む表示情報を情報端末100に表示させる。これにより、ユーザ20は、複雑な操作をすることなく、ユーザ20が所有する農薬の使用方法と使用可能回数とを容易に把握することができる。また、ユーザ20は、所有する農薬を使用したことを情報端末100に入力すれば、農薬を使用した後の農薬の使用可能回数を容易に把握することができる。
【0110】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0111】
10 農薬情報管理システム
20 ユーザ
30 ネットワーク
40 データベース
100 情報端末
110 表示部
120 受付部
122 作物情報受付部
124 実績情報受付部
125 チェックボックス
126 実行ボタン
128 農薬情報受付部
130 表示制御部
200 農薬情報管理装置
210 通信部
220 取得部
222 作物情報取得部
224 実績情報取得部
226 農薬データ取得部
228 農薬情報取得部
230 記憶部
240 抽出部
242 カテゴリ特定部
244 検索部
250 表示情報生成部
260 回数管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9