IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NejiLawの特許一覧

<>
  • 特許-個体識別システム 図1
  • 特許-個体識別システム 図2
  • 特許-個体識別システム 図3
  • 特許-個体識別システム 図4
  • 特許-個体識別システム 図5
  • 特許-個体識別システム 図6
  • 特許-個体識別システム 図7
  • 特許-個体識別システム 図8
  • 特許-個体識別システム 図9
  • 特許-個体識別システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】個体識別システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241001BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241001BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G06T7/00 300Z
G06T7/00 610Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019211996
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021086163
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511025411
【氏名又は名称】株式会社NejiLaw
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181232(JP,A)
【文献】特開2015-215642(JP,A)
【文献】特開2019-095889(JP,A)
【文献】特開2015-207219(JP,A)
【文献】特開2015-176516(JP,A)
【文献】特開2014-235704(JP,A)
【文献】特開2002-032784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別子を格納する記憶部を有するつ以上のセンシングデバイスと、当該デバイスの個体識別を行う個体識別装置とを有し、
上記デバイスは、外部から視認可能な視認部を備え、
上記個体識別装置は、上記デバイスの視認部を画像情報として識別可能な画像識別手段と、上記二つ以上のデバイスのそれぞれの視認部を識別子と紐づけたテーブルを格納する装置記憶部とを具え、
上記画像識別手段によって、上記二つ以上のデバイスのそれぞれの視認部の表示内容を読み取って上記識別子を上記装置記憶部のテーブルから読み出し、
上記個体識別装置は、画像出力部と連携し、
上記画像識別手段によって識別された上記識別子に係るそれぞれのデバイスの取得情報を、それぞれのデバイスの視認部近くに拡張現実として、上記画像出力部に表示出力することを特徴とする個体識別システム。
【請求項2】
前記視認部は、文字、記号、幾何学模様、色彩画像、キャラクタ画像、バーコード、二次元バーコード、カラーバーコードの何れか一つ以上を含む事によって構成される静止画像情報であることを特徴とする請求項1記載の個体識別システム。
【請求項3】
前記視認部は、発光手段を含んで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の個体識別システム。
【請求項4】
前記視認部は、時間的に表示内容が変化するものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の個体識別システム。
【請求項5】
前記デバイスは、外部からの信号を受信する受信部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の個体識別システム。
【請求項6】
前記視認部は、前記受信部が外部からの信号を受信した後に、固有の表示内容を視認可能に構成されることを特徴とする請求項5記載の個体識別システム。
【請求項7】
前記発光手段は、赤外線、可視光、紫外線の何れか一つ以上の発光を可能とするものであることを特徴とする請求項3記載の個体識別システム。
【請求項8】
前記視認部は、識別子と紐付けされた固有の表示がなされるものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の個体識別システム。
【請求項9】
前記デバイスは、該デバイス自身及び/又は周辺の物理状態を反映する情報を取得する情報取得部と、
上記情報取得部によって取得した上記物理状態を反映する情報を前記記憶部に格納された識別子と共に外部に送信する送信部と、を具えることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の個体識別システム。
【請求項10】
前記デバイスから上記物理状態を反映する情報を受信して記憶するサーバを具え、
上記サーバは、前記個体識別装置からの要求によって識別子に対応して記憶している物理状態を反映する情報を前記個体識別装置に送信することを特徴とする請求項記載の個体識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体識別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、住宅家屋、集合住宅、ビル等の建物、橋梁、鉄塔、鉄道、パイプライン、プラント、発電所、風力発電装置、太陽光発電装置等の建築物や建造物(建築物と建造物を合わせて建造物という。)、それらに用いる部材(建材や構造材等)、建設機械や工作機械等の産業機械、その他の機械装置類、それらを構成する部品、締結部材(ねじ、鋲、リベット及び釘等)、刃物等、各種移動手段(ロケット、航空機、潜水艦、船舶、電車、バス、トラック、乗用車、オートバイ、自転車及びエレベータ等)、オフィスや家庭用の機器類や日用品、子供が使用する遊具等の様々な道具が存在している。これらの構造体(建造物や機械装置或いは乗物等を合わせて構造体という。)、それに用いる部材、機械装置類、それらを構成する部品、締結部材、刃物等、各種移動手段、様々な道具(以下、部材等という。)は、長期間に亘って使用されることが前提となるが、経年劣化や震災等の衝撃による外力に晒されるため、老朽化は避けられない。老朽化を放置すれば、自然的或いは人為的な災害が発生するおそれがある。
【0003】
また従来、締結部材としてのボルトの締結状態を確認する軸力測定方法が知られており(例えば、特許文献1参照)、締結時の軸力によって頭頂部の中心部が窪むボルトに対し、窪み量を測定することでボルトの軸力を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-081798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された軸力測定方法は、外形の物理的な変化を測定することによって軸力を算出するため、軸力を測定の都度、変化(変形)した量を測定しなくてはならず、軸力算出までに手間が掛かって利便性が悪いという問題がある。またこのような軸力測定方法では、近接した状態で測定や軸力算出を行う必要があって、遠隔から軸力を知得することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、簡易な構造によって、部材等及び/又は周辺の物理状態を反映する情報を即座に取得し得、且つ取得された情報を視認可能に表示する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の個体識別システムは、識別子を有する一つ以上のセンシングデバイスと、当該デバイスの個体識別を行う個体識別装置とを有し、上記デバイスは、外部から視認可能な視認部を備え、上記個体識別装置は、上記デバイスの視認部を画像情報として識別可能な画像識別手段を具え、上記画像識別手段によって、上記視認部の表示内容を読み取って上記識別子を取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の個体識別システムは、前記視認部が文字、記号、幾何学模様、色彩画像、キャラクタ画像、バーコード、二次元バーコード、カラーバーコード等の何れか1つ以上を含む事によって構成される静止画像情報であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の個体識別システムは、前記視認部が発光手段を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の個体識別システムは、前記視認部が時間的に表示内容が変化するものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の個体識別システムは、前記デバイスが外部からの信号を受信する受信部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の個体識別システムは、前記視認部が外部からの信号を受信した後に、固有の表示内容を視認可能に構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の個体識別システムは、前記発光手段が赤外線、可視光、紫外線の何れか1つ以上の発光を可能とするものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の個体識別システムは、前記視認部が識別子と紐付けされた固有の表示がなされるものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の個体識別システムは、前記個体識別装置が、画像出力部と連携し、前記画像識別手段によって識別された個体を拡張現実として上記画像出力部に表示出力することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の個体識別システムは、前記デバイスが該デバイス自身及び/又は周辺の物理状態を反映する情報を取得する情報取得部と、上記情報取得部によって取得した上記物理状態を反映する情報を外部に送信する送信部と、を具えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の個体識別システムは、前記デバイスから上記物理状態を反映する情報を受信して記憶するサーバを具え、上記サーバは、前記個体識別装置からの要求によって記憶している物理状態を反映する情報を前記個体識別装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡易な構造によって、部材等及び/又は周辺の物理状態を反映する情報を即座に取得し得、且つ取得された情報を視認可能に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の個体識別システムを示すブロック図である。
図2】本実施形態の個体識別装置を示す図である。
図3】本実施形態のセンシングデバイスを搭載した変形検出ボルトを示す図である。
図4】本実施形態の変形検出ボルトの頭部を示す斜視図である。
図5】本実施形態の変形検出ボルトの軸部を示す図である。
図6】頭部キャップを示す斜視図である。
図7】本実施形態の個体識別システムによる歪みの変化量取得処理を示すフローチャートである。
図8】本実施形態の変形検出ボルトの歪みの変化量の表示例を示す図である。
図9】センシングデバイス10の他の例を示すブロック図である。
図10】表示部及び受信部の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の個体識別システムの実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態の個体識別システム1を示すブロック図である。本発明の個体識別システム1は計測対象となる部材等、及び/又はその周辺の物理状態を反映する情報として物理変化に関する情報を計測し、その物理変化に関する情報を視認させるものである。
【0021】
個体識別システム1は、物理状態を反映する情報を測定可能なセンシングデバイス10と、センシングデバイス10で測定された物理状態を反映する情報を拡張現実環境で表示する個体識別装置30と、センシングデバイス10で測定された物理状態を反映する情報を管理する管理サーバ50とにより構成される。
センシングデバイス10から出力された情報は管理サーバ50で管理されると共に、管理サーバ50から個体識別装置30に送信されることで、個体識別装置30において使用者に視認可能に表示される。勿論、センシングデバイス10から個体識別装置30に直接情報を送信するように設定してもよく、その場合管理サーバ50は、センシングデバイス10から受信した情報の記録、管理を行うように構成してもよい。
【0022】
センシングデバイス10は、各部を統括的に制御する演算処理部12を具える。演算処理部12には、記憶部14、情報取得部16、通信部18、電力供給部20が接続されている。記憶部14は、所謂メモリであって、センシングデバイス毎(部材等毎)に採番された識別子(ID)、演算処理部12による制御プログラム等を格納する。また記憶部14は、センシングデバイス10の初期状態における設定情報等を記憶し、且つ演算処理部12でなされた演算結果等を記憶可能に構成してもよい。
【0023】
情報取得部16は、歪み計測センサ(歪みゲージ及び/又は歪み計測用パターン)、A/D変換器等を有して構成され、センシングデバイス10を搭載している部材等にかかる物理状態を反映する情報を取得する。ここでは物理状態を反映する情報として、部材等の初期状態(所定状態)を基準とした物理状態の変化量、即ち、設置初期に計測された歪みを基準としたときの歪みの変化量を取得する。
【0024】
なお、情報取得部16は、歪み計測センサ以外のセンサ、例えば姿勢(傾き、方角)を測定するジャイロセンサ、方位センサ、温度を測定する温度センサ等を具えることで、物理状態を反映する情報として姿勢情報や温度情報を取得してもよい。なお、歪み計測センサと温度センサとを併用すれば、歪み計測センサによって計測された歪みの内、温度による歪みの影響を排除できる。即ち、歪み計測センサによって計測した歪みに対し、温度センサによって計測した温度に基づく補正処理を行うことで、温度による影響を排除した歪みを取得することができる。
【0025】
なお補正処理は、情報取得部16において回路補正により実行又は演算処理部12において演算処理により実行してもよく、情報取得部16及び演算処理部12の両方で実行してもよい。また、情報取得部16は、上記のセンサ以外に、例えば加速度センサ、圧力センサ、臭気センサ、特定粒子官能センサ、放射線センサ、濡れセンサ、位置センサ(GPS)、人感センサ、光センサ、音センサ、磁気センサ、電流センサ、電圧センサ、回転角センサ、イメージセンサ等を有してもよい。
【0026】
通信部18は、アンテナ22を介して情報取得部16が取得した物理状態を反映する情報を管理サーバ50に送信する。勿論、単に外部に信号を送信するものであってもよく、その送信手段としてはアンテナ22の他、発光部(発光素子)、スピーカ等を用いて電波や光、音等の発信波を発して情報を伝達することができる。また通信部18は、受信手段を有してもよく、例えば発信波にレスポンス信号を重畳させ、レスポンス信号の指示に従った情報を外部から受信手段を介して受信してもよい。なお、通信部18は、後述するネットワーク70を介して管理サーバ50に物理変化に関する情報を送信するものであってもよい。
【0027】
電力供給部20は、不図示の電力供給源から各部に電力供給を行う。なお、電力供給源は、電池(一次電池や二次電池)でもよく、外部電源(AC電源やDC電源)であってもよい。また電力供給部20は、受電手段を具えることで、外部から電力供給波を受け、その電力を各部に伝送するものであってもよい。なお、受電手段は、一つ以上の様々な構造を採用でき、複数を併設することも可能であるが、例えば、コイル、アンテナ、受光部(フォトニック素子系部材、ソーラーパネル等)、マイクロフォンや圧電素子等のように振動や圧力変化等を電気エネルギーに変換可能に構成された振動子等のエネルギー変換素子によって、電力供給波を受けて電力に変換する。
【0028】
また、他の電力供給の手法としては、例えば、電力供給波として音波を用い、受電手段として、ゼーベック効果を活用して起電力を得る所謂ゼーベック素子(回路)を用いてもよい。この場合、電力供給波として用いる適宜周波数の音波の音圧によって媒質中に交互に作出される高密度媒質領域と低密度媒質領域の入れ替わりを利用して、交互に生成されるそれぞれの領域に、ゼーベック素子の第一の接点と第二の接点のそれぞれに位置させ、高密度媒質領域が第一の接点を取り巻くタイミングでは第一の接点は温接点となり、他方この瞬間、第二の接点は低密度媒質領域に取り巻かれて冷接点となって所定向きの起電力が生じ、高密度媒質領域と低密度媒質領域とが入れ替わるとき、第一の接点と第二の接点とで温接点側と冷接点側が入れ替わることで、温度差による起電力の電流の向きが入れ替わる交番電流を得るように構成することができる。また、空間中の異なる二点に電力供給装置としての音源を配置して、音波の重ね合わせの音場を作出し、その結果、上記ゼーベック素子の第一の接点と第二の接点に定常的な粗密差の有る状態を設定することで当該ゼーベック素子に定常的な起電力を発生させるように構成してもよい。このような空間上の適宜の二点以上に電力供給装置としての音源を設定する方法としては、例えば、二つの電力供給装置が、受電手段を中間位置として、これら二つの電力供給装置と受電手段とが一直線上に配置され、それぞれの電力供給装置から電力供給波が受電手段に向けて発せられるように構成してもよい。このような構成とすることで、受電手段における電力供給波が定常波となって定常的な温度差を所定部位に作出することができ、直流電流を生起させることができる。
【0029】
更に受電手段は、電力供給装置から発せされる電力供給波を受信する場合に限られず、周囲の環境変動によって自然に生じる電力供給波を受電手段が受けて電力に変換しても良い。周囲環境変動とは、例えば、振動、温度変化、外光(照明光や自然光)、圧力変化(気圧変化)、外力変化(風、浮力変化、降雨)等を含む。自然環境変動と電力供給装置を組み合わせて用いても良い。
【0030】
個体識別装置30は、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラス(ウェアラブルコンピュータ)等の使用者の頭部に装着されるディスプレイ装置であり、各部を統括的に制御する装置側演算処理部32を具える。装置側演算処理部32には、装置記憶部34、表示部36、入力部38、カメラ39、装置通信部40、各部に電力を供給する電源部42が接続される。
【0031】
装置記憶部34は、センシングデバイス10を検知するための検知処理プログラム、入力部38を介した操作受付プログラム等の個体識別装置30が実行する各種処理プログラムや、センシングデバイス10を識別する識別子と後述するマーカ150とを紐付けて記憶するテーブル等を格納する他、装置側演算処理部32による演算結果等を記憶する。
【0032】
表示部36は、使用者に視認可能な画像を表示すると共に、使用者の視野内の景色を視認可能とする光学透過式の表示部である。具体的には、表示部36は、図2に示す可視光を透過する樹脂やガラス等で形成された導光レンズ60、導光レンズ60内に画像を投影する画像投影部62を具える。画像投影部62の配設位置は、特に限定されるものではないが、図2に示すように個体識別装置30のテンプル部分等に配設し得る。
【0033】
導光レンズ60には、個体識別装置30の装着時に使用者の眼前に配置され得る。また導光レンズ60の内部には、ハーフミラーが配されており、画像投影部62(画像出力部)が出力する可視光がハーフミラーで反射して使用者の眼に到達し、また外景からの可視光がハーフミラーを透過して使用者の眼に到達する。結果、表示部36によって、使用者は、視野からの可視光と、画像投影部62からの可視光とが重畳された状態で、双方の可視光が形成する像を同時に視認することができる。即ち、画像投影部62により画像を投影することで、使用者に対して拡張現実画像を表示する。
【0034】
なお、表示部36は、必ずしも上記構成に限定されるものではなく、導光レンズが無く、使用者の網膜に直接画像を投影する画像投影部のみで構成されたものであってもよい。また、使用者の眼前で視野を覆う表示画面とすることで、カメラ39で撮影中の使用者の視野に相当する範囲の景色の画像を表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0035】
入力部38は、個体識別装置30の電源スイッチや操作キー、決定キー等を含み、個体識別装置30を操作するための入力手段である。また、入力部38は、ジェスチャによる入力を受け付ける動き検出プログラムや、視線の動きや方向等による入力を受け付ける視線検知プログラム等を含んでいてもよい。
【0036】
カメラ39は、CCD又はCMOS等の撮像素子を備えた動画を撮像可能なカメラであり、使用者の視野の略全域を含むように画角が設定される。また、カメラ39は、個体識別装置30において正面を向くように設置される。なお、カメラ39は複数あってもよく、二つ以上あればより正確に距離や三次元空間を認識可能である。
【0037】
装置通信部40は、ネットワーク70を介し管理サーバ50と通信を行う。また装置通信部40は、信号を受信するためのアンテナを有するものであってもよい。即ち、センシングデバイス10から発信される信号を受信するものであってもよい。ネットワーク70としては、無線広域ネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、Wi-Fiネットワーク等のような任意の無線通信ネットワークが利用し得る。
【0038】
管理サーバ50は、センシングデバイス10毎の物理状態を反映する情報を記憶するデータベースを有し、ネットワーク70を介して個体識別装置30と通信を行う、一台又は複数台からなるサーバである。例えば、各地にセンシングデバイス10が点在している場合、複数の管理サーバ50をセンシングデバイス10の通信範囲内に入るように各地に設置してもよい。
【0039】
ここで、図3は本実施形態のセンシングデバイス10としての変形検出ボルト100を示す図である。変形検出ボルト100は、頭部102及び軸部104を有し、部材自体にかかる曲げ応力、圧縮応力、引張応力、捻れ応力等の応力を検出し得る構成を含んだボルトである。また変形検出ボルト100には、別体である頭部キャップ106が頭部102に装着(嵌合)される。なお、変形検出対象体は、ボルトに限定されるものではない。
【0040】
また、センシングデバイス10の各部を構成する回路基板が、端子130(後述する)に通電可能に接続するように頭部102内に配設され、更に頭部キャップ106の装着によって変形検出ボルト100に搭載される。なお、回路基板(センシングデバイス10)の配設位置は、必ずしも頭部102ではなく、例えば変形検出ボルト100の先端部であってもよい。
【0041】
図4は本実施形態の変形検出ボルト100の頭部102を示す斜視図である。頭部102は、外周形状が六角形状を有し、三対の二面幅を具える。また頭部102は、軸部104と比して軸心に直交する軸直交方向の最大寸法、即ち軸部104に比して軸直交方向の長さ(幅)が大きい外形形状を有する。頭部102は、外周面の一面及び座面に亘って一連であって、且つ凹状の通電路配設部110を有する。また端部には頭部キャップ106が嵌合し得る嵌合部112を有する。
【0042】
図5は本実施形態の変形検出ボルト100の軸部104を示す図である。なお、図5においては後述するセンサパターン132を省略している。軸部104は、軸直交方向の最大寸法に比して軸方向の長さが長い外形形状を有する。軸部104は、頭部102の付け根乃至座面側に配置された円筒部120と、外周面に雄ねじ螺旋溝が形成されたねじ部122とを具える。即ち、軸部104において、頭部102が存する一端側に円筒部120が位置し、他端側にねじ部122が位置する。
【0043】
円筒部120は、柱状の外周形状を有し、全体に対して一部の領域がくびれを有するように、外形が縮小した縮形部分120aを有する。この縮形部分120aは、ねじ部122の雄ねじの谷径或いは有効径程度となるように、軸直交方向の長さが設定され、本実施形態では雄ねじの有効径と略同一とする。円筒部120は、外周面に対して凹設されたセンサ配設部124を有する。センサ配設部124は、その底面部が平面状を成し、縮形部分120aの中間部位から軸方向に沿って頭部102に向かって延設される。
【0044】
センサ配設部124の底面には、軸部104の物理変化を検出する物理変化検出手段を構成するためのセンサパターン132が直接的に形成される。即ち、該センサパターン132は、センシングデバイス10の情報取得部16に接続する歪み計測センサとして機能し得る。またセンサパターン132は、導電材料から成り、軸方向に複数回往復して延びるセンサ構造部分と、該センサ構造部分から頭部102側に向かって延びるリード部分とから構成される。従ってセンサパターン132は、センサ構造部分における導電材料の変形に伴い抵抗値等の電気的特性が変化する。この電気的特性の変化を検出することで、物理変化検出のための各種センサとして利用し得る。
【0045】
なお、電気的特性の変化によって検出される物理変化は、熱・温度変化、湿度変化等であってもよい。例えば、センサパターン132の電気抵抗値の変化から環境温度を計測する場合、センサパターン132は所謂抵抗温度計の構成部品として用いることを意味する。また同様にして抵抗変化型の電気湿度センサとして湿度を計測してもよい。このようなセンサパターン132は、頭部102側に形成された通電路134と通電可能に接続するものである。
【0046】
次に、頭部102の通電路配設部110、嵌合部112について説明する。図3に示す通電路配設部110は、その凹状断面の底面部分が平面状であって、その底面部分に通電路134が直接形成される。通電路配設部110は、頭部102の外周面においては軸方向に沿って延び、座面上においては軸方向に直交方向に延びるように延設方向が設定される。なお通電路配設部110は、少なくとも頭部102の外周面及び座面に亘って一連であれば、外周面において軸方向に対して傾斜した方向に延設する等、延設方向は適宜設定し得るものである。また通電路配設部110の深さや幅等においても適宜設定し得るものである。
【0047】
嵌合部112は、頭部102の端面(端部)から軸方向に突出した円柱形状を有する。また嵌合部112は、図4に示す外周面上に複数の係止溝(係止部)114を有する。更に嵌合部112の端面には、通電路134と電気的に接続された端子130が直接的に形成される。
【0048】
嵌合部112の外周面に形成された係止溝114は、頭部キャップ106の係止片106a(図6参照)を挿入し得、且つ頭部キャップ106の軸方向に位置を規制し得る形状、例えば略L字形を成している。
【0049】
この場合、係止溝114は、軸方向案内部115と周方向案内部116とを含んで成る。軸方向案内部115は、挿入口114aから軸心に沿って延設され、係止片106aの軸方向の移動を案内する。周方向案内部116は、軸方向案内部115に対して周方向に沿って湾曲或いは屈曲し、終端側に規制端部114bを形成する。規制端部114bは、軸方向に沿った頭部102の頂面側に向かって延びるように、屈曲した部分である。規制端部114bには、係止片106aが嵌まることで、係止片106aの軸方向及び周方向の移動を規制し得る。
【0050】
図6は頭部キャップ106を示す斜視図である。頭部キャップ106は、頭部102の嵌合部112に被せて装着するものであり、内周面に突起形状の複数の係止片106aを具える。なお、頭部102と頭部キャップ106の間には、介在部材を介在させることが望ましい。ここで介在部材は、所謂シール部材、パッキン等であって、可撓性を有する材質、例えばゴムやシリコーン等の弾性体から成るものとする。勿論、ここでの可撓性の部材は樹脂素材に限定されるものではなく、弾性変形及び/又は塑性変形させて強固な嵌合状態を得られるものであればよく、特に限定されない。
【0051】
また変形検出ボルト100には、マーカ150(視認部)が外部から視認可能な位置に配設される。具体的には、変形検出ボルト100がタップ穴やナットにねじ込まれた状態であっても、外部から視認し得るように、マーカ150は、頭部104或いは頭部キャップ106等の表面に設けられる。また、マーカ150は、所謂ARマーカの他、文字、記号、幾何学模様、色彩画像、キャラクタ画像、バーコード、二次元バーコード、カラーバーコード等の何れか一つ以上を含むことによって構成される静止画像情報である。なお、頭部104及び/又は頭部キャップ106の形状を変形検出ボルト100毎に異ならせ、頭部104及び/又は頭部キャップ106の外形自体をマーカ150として設定してもよい。
【0052】
次に、端子130、センサパターン132、通電路134の形成例について説明する。先ず端子130、センサパターン132、通電路134は、変形検出ボルト100の表面に直接形成するものである。例えば変形検出ボルト100の母材が導電性を有する場合、変形検出ボルト100の表面に電気絶縁層を形成し、当該電気絶縁層上に導電材料等の電気伝導性が良好な材料によって端子130、センサパターン132、通電路134のパターンを成す導電部を形成する。
【0053】
電気絶縁層は、例えば積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷、スパッタリング、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD法)等を用いて形成し得る。または例えば所定のマスクを配置した状態で絶縁材料をスパッタリングによって被膜形成したり、シリカ材料を塗布して加熱処理したり、ポリィミド系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系等の有機絶縁材による層を形成する等の手法を用いてもよい。
【0054】
変形検出ボルト100の母材、即ち頭部102又は軸部104が電気伝導性を有する場合には、その母材表面を酸化処理することによって酸化皮膜化し電気絶縁層としても良い。また母材がアルミニウム系の場合にはアルマイト処理によって電気絶縁層を設けても良い。勿論電気絶縁層は、これらの手法によって形成するものに限定するものではない。また変形検出ボルト100の母材が電気絶縁性を有する場合には、電気絶縁層を形成せず、母材に直接端子130、センサパターン132、通電路134のパターンを成す導電部を形成してもよい。
【0055】
導電部は、導電性ペーストを利用した積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷、スパッタリング、CVD法、PVD法等によって電気絶縁層に直接形成される。また導電部は、端子130、センサパターン132、通電路134の形状に合わせたマスキングを施してエッチングすることで、配線の形状を設定してもよい。このように導電部を電気絶縁層に直接形成することで、長時間に亘って、導電部が剥離しないようになっている。
【0056】
勿論、変形検出ボルト100上に、端子130、センサパターン132、通電路134を一連に形成してもよい。その場合、変形検出ボルト100の軸方向に存する軸に平行な平行面と、該平行面に略直交した直交面との境界部分102aに丸み面取り等の加工を施して曲面形状にすることが好ましい。このようにすれば、平行面と直交面間が角状となっている面上に導電部を形成する場合よりも、容易に導電部を形成することができる。
【0057】
次に、個体識別システム1による変形検出ボルト100の歪みの変化量取得処理について説明する。図7は本実施形態の個体識別システム1による歪みの変化量取得処理を示すフローチャートである。ここでは変形検出ボルト100を、個体識別装置30を介して見たとき(カメラ39を変形検出ボルト100に向けたとき)、センシングデバイス10において測定された歪みの変化量を個体識別装置30の表示部36に表示する。
【0058】
先ず、個体識別装置30の装置側演算処理部32は、カメラ39によるスルー画像の撮影を行う(ステップS1)。装置側演算処理部32は、スルー画像中にマーカ150が存するか否かを判定し(ステップS2)、カメラ39の撮影範囲内に変形検出ボルト100のマーカ150が無い場合(ステップS2、No)、スルー画像撮影を継続する。
【0059】
一方、装置側演算処理部32は、カメラ39の撮影範囲内にマーカ150が存する場合(ステップS2、Yes)、マーカ150に関連付けられた識別子を読み出す(ステップS3)。即ち、装置側演算処理部32は、画像識別によってマーカ150を認識し、認識したマーカ150に基づいて装置記憶部34のテーブルを参照してマーカ150に紐付けられた識別子を検索して読み出す。
【0060】
装置側演算処理部32は、歪みの変化量の送信を促す要求通知に上記識別子を付し、当該要求通知を装置通信部40によってネットワーク70を介して管理サーバ50に送信する(ステップS4)。これによって管理サーバ50は、要求通知に付された識別子をもとに、データベースを検索し該当する歪みの変化量を読み出す。管理サーバ50は、読み出した歪みの変化量をネットワーク70を介して個体識別装置30に送信する。
【0061】
装置側演算処理部32は、ネットワーク70を介して歪みの変化量を受信し(ステップS5)、受信した歪みの変化量を表示部36に表示し(ステップS6)、歪み変化量取得処理を終了する。例えば、図8(a)に示すように土台200に板材210の固定のために二本の変形検出ボルト100が用いられている場合、個体識別装置30を通して各マーカ150を見たとき、即ち、カメラ39の撮影範囲にマーカ150が含まれるように個体識別装置30を向けたとき、表示部36において歪みの変化量を表示する。このとき装置側演算処理部32は、図8(b)に示すように使用者の視界において、マーカ150に重畳するように歪みの変化量を表示させる。従って使用者は、変形検出ボルト100とその歪みの変化量とを同時に視認することができる。
【0062】
このように、個体識別装置30を変形検出ボルト100のマーカ150に向けることで、該変形検出ボルト100に作用している歪みの変化量を取得して使用者に表示することが出来る。即ち、変形検出ボルト100における歪みの変化量を即座に取得し得、且つ取得した歪みの変化量を表示部36に視認可能に表示することが出来る。また、歪みの変化量をマーカ150の近くに表示するので、使用者に対して何れの変形検出ボルト100の歪みの変化量であるかを明確に示すことが出来る。
また、カメラ39によってマーカ150を撮影できる範囲であれば、遠隔からでも歪みの変化量の知得が可能となって利便性が向上する。
【0063】
なお、識別子の読出しは、視界にマーカ150が存在するときに行うことに限定しない。例えば、カメラ39による撮影範囲(使用者の視野)内に複数のマーカ150が存しているときに表示部36に全マーカ150の各歪みの変化量を表示してしまうと、かえって視認性が悪くなる虞がある。そこで使用者が指定した変形検出ボルト100(センシングデバイス10)の歪みの変化量だけを表示してもよい。例えば、ジェスチャーで指定したマーカ150の識別子だけを読み出すようにすることができる。この場合、装置側演算処理部32は、使用者のマーカ150に対するジェスチャーを検出する機能を実現するプログラムモジュールとなる。即ち、カメラ39を介して取得した画像から、マーカ150と使用者の指(及び手)を認識し、マーカ上の位置を指や手でタップするジェスチャーが行われた場合、装置側演算処理部32は、当該マーカ150の識別子取得指示がなされたと見なすようにする。
【0064】
また、使用者の視線で指定されたマーカ150の識別子を読み出すようにしてもよい。この場合は個体識別装置30に視線検出用の撮像部を設け、使用者の視線検出を行う。即ち、装置側演算処理部32は、視線検出用の撮像部による画像情報から使用者の視線検出を行い、カメラ39による撮影範囲において何れのマーカ150に視線を向けているかを特定し、特定されたマーカ150の識別子を読み出すようにする。
【0065】
また、使用者の音声で指定されたマーカ150の識別子を読み出すようにしてもよい。この場合は個体識別装置30に音声入力部としてのマイクを設け、使用者の音声入力を受け付ける。即ち、装置側演算処理部32は、マイクを介して使用者による音声入力を受け付け、音声によって特定されたマーカ150の識別子を読み出すようにする。
【0066】
また、レーザ照射されている変形検出ボルト100のマーカ150の識別子を読み出すようにしてもよい。この場合、装置側演算処理部32は、レーザ照射箇所を検出する機能を実現するプログラムモジュールとなる。即ち、カメラ39を介して取得した画像から、レーザ照射箇所を検出し、レーザが照射されている変形検出ボルト100のマーカ150の識別子を読み出すようにする。
【0067】
また、上述した実施形態においては、変形検出ボルト100にマーカ150を設けたが、これに限定されるものではなく、変形検出ボルト100にLED等によって構成されセンシングデバイス10が制御し、赤外線、可視光、紫外線の何れか一つ以上を発光する発光部を設け、発光部の発光によって識別子を知らせるようにしてもよい。例えば、モールス信号のように発光部を断続的に点灯させて識別子を示す文字コードを送ってもよい。また、演算処理部12が、通信部18による歪みの変化量の発信処理を断続的に行い、発光部の発光タイミングと通信部18による発信タイミングとを同期させ、且つ個体識別装置30で歪みの変化量を直接的に受信させるようにする。このようにすれば、発光部が発光している変形検出ボルト100の識別子しか発信されていないので、他の変形検出ボルト100の識別子との混同を防止することができる。
【0068】
また、変形検出ボルト100毎に位置情報を設定して管理サーバ50で位置情報を管理しておき、個体識別装置30の位置とカメラ39の方向とから、変形検出ボルト100を特定するようにしてもよい。この場合、個体識別装置30にはGPSと方位センサ等を搭載する。装置側演算処理部32は、例えば管理サーバ50と通信を行い、自身の位置情報と向いている方位とを通知する。管理サーバ50は、個体識別装置30の位置情報と方位とから、近傍で且つ個体識別装置30の前方に存在している変形検出ボルト100を特定し、該変形検出ボルト100の歪みの変化量を個体識別装置30に送信する。これによっても個体識別装置30の表示部36に歪みの変化量を表示させることができる。
【0069】
図9はセンシングデバイス10の他の例を示すブロック図である。センシングデバイス10は、上述した構成に限定されるものではなく、LEDパネル等からなる表示部160、外部からの信号を受信する受信部162を有するものでもよい。ここで表示部160は、マーカに相当する文字、記号、幾何学模様、色彩画像、キャラクタ画像、バーコード、二次元バーコード、カラーバーコード等を表示するものである。また、受信部162が受信する信号は、光による信号、音による信号、電波信号等を利用し得る。
【0070】
また、表示部160及び受信部162は、外部から見えるように、例えば図10(a)に示すように変形検出ボルト100の頭部キャップ106の頂面に配設し得る。また、受信部162は複数あってもよく、図10(b)に示すように、表示部160の周囲に所定間隔毎に配設してもよい。また、受信部162の位置を、図10(c)に示すように頭部キャップ106の外周面に設定してもよい。
【0071】
例えば、受信部162が光を受光する受光素子を具えて成るものであれば、使用者がレーザ光等の光を受信部162に向けて照射したとき、演算処理部12は、受信部162によって信号の受信を認識し、表示部160にマーカを表示する。このような構成によっても所望のセンシングデバイス10の識別子の取得が可能となる。
【0072】
なお、上述した実施形態においては、歪みや応力情報を送信する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、加速度センサやジャイロセンサ等により取得し得る加速度情報や姿勢情報、圧力センサにより取得される液体、ゲル状体、気体、固体等の圧力情報、臭気センサにより取得される臭気に関する情報、放射線センサにより取得される放射線量等の情報、濡れセンサにより取得される水分の付着情報、位置センサ(GPS)により取得される位置情報、イメージセンサにより取得される画像情報等の種々の情報を取得してもよい。このようなセンシングデバイス10の情報取得部16が具え得る各種センサによれば、センシングデバイス10(及びそれを搭載する変形検出ボルト100)自身及び/又は周辺の物理状態を反映する種々の情報を取得することが出来る。
【0073】
なお、上述した実施形態においては、管理サーバ50から個体識別装置100に物理状態を反映する情報を送信したが、これに限定されるものではなく、センシングデバイス10から直接個体識別装置30に物理状態を反映する情報を送信してもよい。例えば、変形検出ボルト100のマーカ150を個体識別装置30で読み取ってその識別子を取得し、当該識別子のセンシングデバイス10のみが呼応する情報発信指令信号を個体識別装置30の装置通信部40から発信する。センシングデバイス10は、自身の識別子の情報発信指令信号を受信したとき、情報取得部16によって取得した物理状態を反映する情報を発信する。個体識別装置は、受信した物理状態を反映する情報を示す画面を表示部36に表示させるように構成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…個体識別システム、10…センシングデバイス、12…演算処理部、14…記憶部、16…情報取得部、18…通信部、20…電力供給部、22…アンテナ、30…個体識別装置、32…装置側演算処理部、34…装置記憶部、36…表示部、38…入力部、39…カメラ、40…装置通信部、42…電源部、50…管理サーバ、100…変形検出ボルト、150…マーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10