(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】磁性インサートおよびバッフルを有するパイプラインストレーナ
(51)【国際特許分類】
B01D 35/02 20060101AFI20241001BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20241001BHJP
B03C 1/28 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B01D35/02 A
B03C1/00 A
B03C1/00 F
B03C1/28 105
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020004626
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517102709
【氏名又は名称】ザ・メトラフレックス・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルバック ダニエル ティー
(72)【発明者】
【氏名】リクター ジェームス アール
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-279886(JP,A)
【文献】特開平08-117517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0183587(US,A1)
【文献】特表2016-531745(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118569(JP,U)
【文献】実開昭58-149699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-29/96,33/00-35/05,35/10-37/04
B03C 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、
Y字形状を有する本体であって、前記本体は、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部およびキャビティを有し、前記キャビティは、前記入口、前記出口および前記デブリ排出部を接続する、本体と、
前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、
前記濾過要素の前記開口第1端部と前記開口第2端部との間に配置され、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記本体から取り外されるように構成される少なくとも1つの磁石と、
前記濾過要素の内部において、前記磁石と前記
濾過要素との間に配置されるバッフルと、
前記キャビティ内へ延びるドライウェルと
を備え、
前記バッフルは、円筒形状を有
し、
前記ドライウェル内に前記少なくとも1つの磁石が配置される、
パイプラインストレーナ。
【請求項2】
前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を含む、請求項1に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項3】
前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配される、請求項2に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項4】
前記バッフル上に配置される少なくとも1つのフィンをさらに備える、請求項1に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項5】
パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、
本体であって、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部、ならびに前記入口、前記出口、および前記デブリ排出部を接続する、前記本体の内部のキャビティを含む本体と、
前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、
前記キャビティ内へ延びるドライウェルと、
前記ドライウェル内に配置される少なくとも1つの磁石と、
前記濾過要素の内部において、前記ドライウェルと前記
濾過要素との間に配置されるバッフルと、
を備え、
前記入口の中心から前記出口の中心へ延びる前記本体の第1軸と、前記開口第1端部から前記開口第2端部へ延びる前記濾過要素の長手方向軸との間の角度は、0度よりも大きく、かつ90度よりも小さく、
前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を備える、
パイプラインストレーナ。
【請求項6】
前記バッフルは、円筒形状を有する、請求項
5に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項7】
前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配される、請求項
5に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項8】
前記バッフル上に配置される少なくとも1つのフィンをさらに備える、請求項
5に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁石は、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記ドライウェルから取り外されるように構成される、請求項
5に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項10】
前記ドライウェルの開口端部は、前記濾過要素の前記開口第2端部の中心に配置される、請求項
9に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項11】
パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、
本体であって、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部、ならびに前記入口、前記出口、および前記デブリ排出部を接続する、前記本体の内部のキャビティを備える本体と、
前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、
前記キャビティ内の前記濾過要素内へ延びるドライウェルと、
前記ドライウェル内に配置され、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記ドライウェルから取り外されるように構成される少なくとも1つの磁石と、
前記本体に取り付けられ、前記濾過要素の前記開口第2端部を前記キャビティ内に保持するための第1肩部を含む着脱可能なカバーと、
前記濾過要素の内部において、前記ドライウェルと前記
濾過要素との間に配置されるバッフルと、
前記バッフル上に配置される少なくとも1つのフィンと、
を備え、
第2肩部が、前記濾過要素の前記開口第2端部を保持するために前記本体内にあり、
前記ドライウェルの端部は、前記着脱可能なカバー内に配置される、
パイプラインストレーナ。
【請求項12】
前記バッフルは、円筒形状を有する、請求項
11に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項13】
前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を備える、請求項
11に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項14】
前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配される、請求項
13に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項15】
前記入口の中心から前記出口の中心へ延びる前記本体の第1軸と、前記開口第1端部から前記開口第2端部へ延びる前記濾過要素の長手方向軸との間の角度は、0度よりも大きく、かつ90度よりも小さい、請求項
11に記載のパイプラインストレーナ。
【請求項16】
前記ドライウェルの長手方向軸と前記濾過要素の前記長手方向軸とは一致する、請求項
11に記載のパイプラインストレーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年1月16日に出願された米国仮特許出願第62/793,272号の利益を主張する出願であって、その開示内容の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、パイプラインストレーナに関し、特に、パイプラインストレーナを通過する流体内の金属粒子を除去するための磁石を含むパイプラインストレーナに関する。
【背景技術】
【0003】
パイプラインストレーナは、ポンプ、コンプレッサ、タービン、計器、自動弁、スプリンクラヘッド、ノズル、蒸気トラップ、熱交換器、計器、および他のパイプライン装置を保護するために使用される。パイプラインストレーナは、有孔型、メッシュ型、またはウェッジワイヤ型の濾過要素を用いて、流動流体から固体を機械的に除去する。固体は濾過要素内に保持され、当該濾過要素は、流体を自己を通じて流して、下流側の装置へ通過させる。ある程度の期間の後、濾過要素内の固体の収集に関連する過度の圧力降下を回避するために、パイプラインストレーナ内の排出管が開放されて、保持されたデブリが除去される。
【0004】
近年、磁石を利用するモータを備えるポンプへの関心および使用が増加している。これらのポンプは、非常に効率が良いと考えられているため、多くの適用において望ましい。しかしながら、このポンプは効率が良い一方で、ポンプ内の磁石が、水中にある酸化鉄などの微小金属粒子を引き付ける。微小金属粒子は、インペラのようなポンプ要素に付着し、ポンプの性能に悪影響を及ぼす。これらの微小粒子は、水中に常に存在するが、非磁性ポンプの性能に影響を及ぼさない。
【0005】
従来使用される濾過要素の孔は、典型的に、これらの微小金属粒子を流体から効率よく除去するには大きすぎる。したがって、いくつかのパイプラインストレーナは、金属粒子を引き付けるために磁石を利用する。それらの用途に対してはおそらくは効果的ではあるが、これらのパイプラインストレーナのうちのいくつかは、パイプラインストレーナをラインから取り外すことなく磁石を容易に除去することを可能にしない。さらに、他のものは、磁石を迅速かつ効率的な方法で取り外すことを可能にしない。
【0006】
したがって、磁性粒子が容易に収集され、除去されることを可能にするパイプラインストレーナを提供することが望ましい。また、パイプラインストレーナがラインから取り外されることを必要とすることなく、そのような特徴を備えるパイプラインストレーナが提供されることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パイプラインストレーナから流体を流出させることなく、本体から取り外されるように構成される1または複数の磁石を含む新しいパイプラインストレーナが発明された。ドライウェルは、磁石を収容するために使用されてもよい。磁石を引き出す動作により、金属粒子が、ドライウェルの外表面に沿って、デブリ排出部へ向かって引かれる。したがって、本発明のパイプラインストレーナは、流体内の磁性粒子が、効果的に収集され、除去されることをもたらす。さらに、本発明のパイプラインストレーナは、粒子を収集し、パイプラインストレーナがラインから取り外されることを必要とすることなく、収集された粒子の除去を可能にする。バッフルは、粒子が除去される際に分散を最小にするために使用される。
【0008】
したがって、本発明の一態様において、本発明は、概して、パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、Y字形状を有する本体であって、前記本体は、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部およびキャビティを有し、前記キャビティは、前記入口、前記出口および前記デブリ排出部を接続する、本体と、前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、前記濾過要素の前記開口第1端部と前記開口第2端部との間に配置され、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記本体から取り外されるように構成される少なくとも1つの磁石と、前記磁石と前記デブリ排出部との間に配置されるバッフルと、を備えることを特徴とするパイプラインストレーナであってもよい。前記バッフルは、円筒形状を有していてもよい。前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を含んでいてもよい。前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配されていてもよい。前記バッフルは、2つの個別のバッフルで形成されていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記キャビティの内部に、少なくとも1つのフィンを含んでいてもよい。前記少なくとも1つのフィンは、前記バッフル上、前記濾過要素上、またはその両方にあってもよい。前記パイプラインストレーナは、前記キャビティ内へ延びるドライウェルを含んでいてもよく、前記少なくとも1つの磁石が前記ドライウェル内に位置する。前記ドライウェルの長手方向軸と、前記開口第1端部から前記開口第2端部までの前記濾過要素の長手方向軸とは一致していてもよい。ねじ付きキャップが、前記ドライウェルの開口端部に取り外し可能に取り付けられてもよい。前記ドライウェルの開口端部は、前記濾過要素の前記開口第2端部の中心に位置していてもよい。複数の磁石が、前記ドライウェル内に配置されていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記デブリ排出部内に配置される弁を含んでいてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記本体に取り付けられ、前記濾過要素の前記開口第2端部を前記キャビティ内に保持するための第1肩部を有する着脱可能なカバーを含んでいてもよい。第2肩部が、前記濾過要素の前記開口第2端部を保持するために前記キャビティ内に含まれていてもよい。前記ドライウェルは、前記着脱可能なカバーから前記キャビティ内へ延びていてもよい。前記キャビティは、前記濾過要素の前記開口第1端部のための環状肩部を含んでいてもよい。
【0009】
別の態様では、本発明は、概して、パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、本体であって、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部、ならびに前記入口、前記出口、および前記デブリ排出部を接続する、前記本体の内部のキャビティを含む本体と、前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、前記キャビティ内へ延びるドライウェルと、前記ドライウェル内に配置される少なくとも1つの磁石と、前記ドライウェルと前記デブリ排出部との間に配置されるバッフルと、を備え、前記入口の中心から前記出口の中心へ延びる前記本体の第1軸と、前記開口第1端部から前記開口第2端部へ延びる前記濾過要素の長手方向軸との間の角度は、0度よりも大きく、かつ90度よりも小さいことを特徴とする、パイプラインストレーナであってもよい。前記バッフルは、円筒形状を有していてもよい。前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を含んでいてもよい。前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配されていてもよい。前記バッフルは、2つの個別のバッフルで形成されていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記キャビティの内部に少なくとも1つのフィンを含んでいてもよい。前記少なくとも1つのフィンは、前記バッフル上、前記濾過要素上、またはその両方にあってもよい。前記少なくとも1つの磁石は、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記ドライウェルから取り外されるように構成されていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記本体に取り付けられ、前記濾過要素の前記開口第2端部を前記キャビティ内に保持するための第1肩部を含む着脱可能なカバーを備えていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記濾過要素の前記開口第1端部のための環状肩部を含んでいてもよい。前記ドライウェルの長手方向軸と前記濾過要素の前記長手方向軸とは、一致していてもよい。前記ドライウェルの開口端部は、前記濾過要素の前記開口第2端部の中心に位置していてもよい。弁が前記デブリ排出部内にあってもよい。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、概して、パイプラインストレーナであって、前記パイプラインストレーナが、本体であって、流体のための入口、洗浄された流体のための出口、デブリ排出部、ならびに前記入口、前記出口、および前記デブリ排出部を接続する、前記本体の内部のキャビティを含む本体と、前記キャビティ内に配置され、前記洗浄された流体を提供するために、前記流体から粒子を除去するように構成される濾過要素であって、開口第1端部、および前記開口第1端部とは反対側に位置する開口第2端部を有する濾過要素と、前記キャビティ内の前記濾過要素内へ延びるドライウェルと、前記ドライウェル内に配置され、前記キャビティ内の液体を前記パイプラインストレーナから流出させることなく、前記ドライウェルから取り外されるように構成される少なくとも1つの磁石と、前記本体に取り付けられ、前記濾過要素の前記開口第2端部を前記キャビティ内に保持するための第1肩部を含む着脱可能なカバーと、前記ドライウェルと前記デブリ排出部との間に配置されるバッフルと、を備え、第2肩部が、前記濾過要素の前記開口第2端部を保持するために前記本体内に存在することを特徴とする、パイプラインストレーナであってもよい。前記ドライウェルの端部は、着脱可能なカバー内に位置していてもよい。前記バッフルは、円筒形状を有していてもよい。前記バッフルは、非多孔性である上部および多孔性である下部を含んでいてもよい。前記下部の孔は、前記下部の周りに均等に分配されていてもよい。前記バッフルは、2つの個別のバッフルで形成されていてもよい。前記パイプラインストレーナは、前記キャビティの内部に少なくとも1つのフィンを含んでいてもよい。前記少なくとも1つのフィンは、前記バッフル上、前記濾過要素上、またはその両方にあってもよい。前記入口の中心から前記出口の中心へ延びる前記本体の第1軸と、前記開口第1端部から前記開口第2端部へ延びる前記濾過要素の長手方向軸との間の角度は、0度よりも大きく、かつ90度よりも小さくてもよい。前記ドライウェルの長手方向軸と前記濾過要素の前記長手方向軸とは一致する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の態様ならびに実施形態は、以下の図面の説明および好ましい実施形態の詳細な説明に基づいて、当業者に理解される。
【0012】
添付の図面により、本発明がいかに製造され、実施され得るかを理解することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の1または複数の実施形態による使用可能なパイプラインストレーナの部分断面側面図である。
【
図2】
図2Aは、本発明の1または複数の実施形態によるパイプラインストレーナの部分断面側面図であり、
図2Bは、
図2Aの一部を詳細に示す図である。
【
図3】
図2Aおよび
図2Bに示される実施形態のバッフルの上面および正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記のように、本体に取り外し可能に挿入される磁石を含む新しいパイプラインストレーナが発明された。
【0015】
それに応じて、添付の図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態を次に説明するが、説明する実施形態は、単に好ましいものであり、限定するものと意図されないことが理解される。
【0016】
図1を参照すると、パイプラインストレーナ10は、典型的には、本体12を備える。本体12は、たとえば、鉄、炭素鋼、炭素モリブデン鋼、ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼、アルミニウム、銅、モネル、ニッケル、HASTELLOY(登録商標)B、HASTELLOY(登録商標)C、チタン、およびプラスチックを含む、様々な適切な材料で作製され得る。
【0017】
また、パイプラインストレーナ10は、濾過要素14を含む。本体12の内側には、濾過要素14を収容するキャビティ16が存在する。また、本体12は、本体12の第1端部20に配置される流体のための、キャビティ16への入口18を含む。洗浄された流体のための、キャビティ16からの出口22が、本体12の第2端部24に配置される。本体12の入口18および出口22の両方は、概ね円形であり、入口18の中心および出口22の中心を通って延びる軸A1を有する。
【0018】
本体12は、また、濾過要素14を収容するデブリ収集チャンバ28を備えるキャビティ16の一部に配置されるデブリ排出部26を含む。デブリ排出部26は、保持されるデブリが、重力の影響でデブリ排出部26にて収集されるようにデブリ収集チャンバ28の下端部に配置される。示される実施形態では、ボール弁29が、デブリ排出部26に配置される。ボール弁29は、本体がまだライン中にあり、そこを通過する流体の圧力下にある間に、濾過要素14内のデブリが本体12から除去されることを可能にする。ボール弁29は、当該技術において公知であり、デブリ排出部26のねじ孔31に係合するねじ部によってデブリ排出部26に取り付けられてもよい。
【0019】
濾過要素14の長手方向軸A2は、第1端部30から第2端部32へ延びる。好ましくは、第1端部30および第2端部32の両方は、開口しており、好ましくは、完全に開口している。第2端部32は、濾過要素14が本体に挿入されると、本体12のデブリ排出部26の近くに配置される。様々な実施形態では、濾過要素14の少なくとも第1端部30は平面状であり、第1平面に位置する。濾過要素14の第2端部32もまた、平面状であり、第2平面に位置してもよい。少なくとも1つの実施形態では、濾過要素14の第1端部30を含む第1平面は、濾過要素14の長手方向軸A2に対して斜めに配置される。濾過要素14の第2端部32は、濾過要素14の長手方向軸A2に対し垂直に配置されてもよい。濾過要素14は、好ましくは管状であり、濾過要素14の長手方向軸A2は、円形開口端部30、32の中心を通る。
【0020】
したがって、示される実施形態では、パイプラインストレーナ10の本体12は、Y字形状を有し、本体12の軸A1と濾過要素14の長手方向軸A2との間の角度は、90°未満である。好ましくは、当該角度は、0°~60°であり、もっとも好ましくは、当該角度は、30°より小さく9.5°より大きい。たとえば、好ましい角度は、約22.0°、22.5°、23.0°、23.5°、24.0°、24.5°、25.0°、25.5°、26.0°、26.5°、27.0°、27.5°、28.0°または28.5°であってもよい。濾過要素14の軸A3と本体12の軸A1との間の角度に関する「約」という用語により、記載の角度の+/-0.3°を意味することを意図する。そのようなパイプラインストレーナは、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0206982号明細書に開示されている。
【0021】
しかしながら、本体12の軸A1と濾過要素14の長手方向軸A2との間の角度は、90°であり、パイプラインストレーナは、米国特許第5,718,822号明細書(その開示内容の全ては参照により本明細書に組み込まれる)の
図4に示されるような、バスケットストレーナを備えるとも考えられる。
【0022】
濾過要素14を本体12のキャビティ16に挿入するために、着脱可能なカバー60が、本体12に取り付けられる。カバー60は、本体12と共に、キャビティ16を形成する。カバー60は、カバー60が閉じられたときに濾過要素14の第2端部32を所定の位置に保持するように構成される第1肩部64を含む。キャビティ16の内側表面66は、カバー60が閉じられたときに濾過要素14の第2端部32を所定の位置に保持するための第2肩部68を含む。さらに、第1端部20に、好ましくは入口18の内部または内側に位置する環状肩部70は、カバー60が閉じられたときに濾過要素14の第1端部30を所定の位置に保持する。カバーを有するそのようなパイプラインストレーナは、米国特許出願公開第2016/0263503号明細書に開示されており、その開示内容の全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
濾過要素14のために、いくつか例を挙げると、炭素鋼、ステンレス鋼、モネル、HASTELLOY(登録商標)B、HASTELLOY(登録商標)C、Alloy20、ニッケル、真鍮、銅、亜鉛メッキ鋼、INCOLOY(登録商標)、INCONEL(登録商標)、チタン、アルミニウム、およびプラスチックを含め、様々な材料が使用され得る。濾過要素14は、また、エポキシ、アスファルト、ポリテトラフルオロエチレン、ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、ゴム、ネオプレン、フェノールの焼き付け、亜鉛、カドミウム、ニッケルを用いたメッキ、ガルバナイジングなど、様々なコーティングでライニングされ得る。
【0024】
濾過要素14の材料の選択において考慮することの1つは、装置を損傷させることなく下流側の装置を通過し得る粒子のサイズおよび量に基づいた濾過要素14の作製に使用される孔、メッシュまたはウェッジワイヤ開口部のサイズである。実際に必要とされるよりも小さい孔を使用することは、洗浄が頻繁になりすぎること、圧力が過度に低下すること、およびスクリーンがより薄い金属で構築されることにつながり、スクリーンがより薄い金属で構築されると、耐えられる圧力差が小さくなる。概して、ステンレス鋼製の有孔金属は、典型的に、パンチ孔の直径よりも1ゲージ厚小さい厚さで得られ得る。炭素鋼および真鍮は、穴の直径と略同じ厚さで得られ得る。大型の濾過要素14にて微細濾過を達成する一般的な方法は、孔がより大きく、ゲージのより大きい有孔板にメッシュを裏張りすることによるものである。
【0025】
濾過要素14の容量比、または開口比(OAR)は、洗浄なしで動作できる時間の長さ、および生み出される圧力損失などの動作特性に影響を及ぼす。OARは、パイプの内側断面積(流動領域)と、濾過要素14を構成する材料の開口流動領域との関係である。
【0026】
少なくとも100%のOAR、または1:1の比を有する濾過要素14は、要素が清潔である間、パイプと同等の自由流動領域を提供するであろう。400%のOARを有する濾過要素14は、一般的な加熱および空調において許容される。さらに、より大きいOARは、大量のデブリが濾過されると予測される流動、または粘度の高い流体が取り扱われる流動に適する。
【0027】
濾過要素14のOARを考慮すると、様々な特定の代理業者および製造業者によって使用される、2つの認められた方法が存在する。ある方法は、「見通し線(line of sight)」の論拠を維持し、直列の要素に対して複数の開口領域を用いる。この方法では、40%の開口領域材料と直列の60%の開口領域材料とは、結果として、組み合わされた24%の(すなわち、軍用規格に応じた)開口領域を有する。
【0028】
代替の方法は、より制限的な要素の開口領域が直列に使用されることを可能にする。上記の例の場合、40%となる(すなわち、Underwriter Laboratory Standardsに従う)。使用される方法は、寸法のような設計上の決定に加え、推測される動作圧力の降下に影響を及ぼす。
【0029】
例として、燃料油は、概して、バーナーノズル中の小さな開口部を保護するために、微小の程度まで濾過される。これは、微細に織られたメッシュが、補強有孔板と直列に使用されることを必要とする。有孔板の開口領域を50%とし、メッシュの開口領域を30%とすることにより、その結果の、組み合わせの開口領域は、直列の2つの要素を通る見通し線以外に流路がない場合、15%だけであると考えられ得る。これには、高容量で大型の濾過要素14と考えられ得る、250%のOARを有する濾過要素14が必要とされる。しかしながら、有孔板のみを使用する濾過要素14は、3倍以上のOARを有し得る。したがって、所与の濾過要素14において、OARは、異なる開口領域を有する様々な孔またはメッシュを使用することによって変化してもよい。
【0030】
合理的な速度のために設計されたほとんどのポンプ設備は、濾過要素14において約2ポンド/平方インチ(psi)の圧力降下を許容する。濾過要素14が目詰まりする場合、圧力降下は、目詰まりのパターンおよび使用される濾過要素14の種類によって異なる。大量の固体が予測される場合は、正味の開口領域が大きい濾過要素14を使用する。濾過要素14が、濾過要素14のOARがパイプ領域に近づく点にまで目詰まりすると、濾過要素14における圧力降下が、極めて急速かつ予想外に増大する。したがって、この点において、後に詳述するように濾過要素14が洗浄されていることが推奨され、さもなければ、大きな差圧が生じる。濾過要素14が耐え得る最大差圧は、濾過要素14の種類、ラインの寸法および使用される材料によって大きく異なる。
【0031】
デブリを伴う流体が濾過要素14を通過すると、デブリは、濾過要素14内に収集されて蓄積される。より少ない量のデブリを有する洗浄された流体は、濾過要素14を通り抜ける。洗浄された流体は、濾過要素14を通り抜けた後、出口22を経由して本体12を出る。
【0032】
しかし、上に示したように、磁気モータを含むポンプを使用するため、濾過要素14内の孔によって効果的に保持されるには微細すぎる金属粒子を、パイプラインストレーナを通過する流体からパイプラインストレーナ10の外へ除去することが望ましい。
【0033】
それに応じて、パイプラインストレーナ10は、1または複数の磁石80を含み、好ましくは、複数の磁石80を含む。磁石80は、円筒状に形成されてもよい。いくつかの従来のパイプラインストレーナは、細かい金属粒子を除去するための磁石80を提供するが、これらの従来のパイプラインストレーナは、保持された金属粒子をキャビティ16から容易かつ効率よく除去する能力を提供しない。対照的に、本発明のパイプラインストレーナ10では、1または複数の磁石80は、キャビティ16内の液体をパイプラインストレーナ10から排出させることなく、本体12から取り外されるように構成される。
【0034】
例示的実施形態では、ドライウェル82は、たとえば、カバー60からキャビティ16内へ延びる。ドライウェル82は、(キャビティ16内に、特に濾過要素14内に位置する)閉鎖端部84と、1または複数の磁石80が出し入れされる開口端部86とを含む。着脱可能なキャップ88が、ドライウェル82の開口端部86に取り付けられてもよい。ドライウェル82内に磁石80が存在するため、濾過要素14の内側の微小金属粒子は、ドライウェル82外表面90に収集される。したがって、好ましくは、ドライウェル82は、非磁性材料で作製され、本体12およびカバー60の材料と異なっていてもよい。
【0035】
ドライウェル82は、開口端部86から閉鎖端部84へ延びる長手方向軸A3を有する。好ましくは、ドライウェル82の長手方向軸A3と濾過要素14の長手方向軸A2とは、オフセットされる。さらに、ドライウェル82の開口端部86は、好ましくはカバー60内に位置し、もっとも好ましくは、デブリ排出部26と濾過要素14の第2端部32の中心との間の、(第1端部30から見て)濾過要素14の第2端部32の周辺部内に位置する。すなわち、ドライウェル82の一部は、デブリ排出部26と第2端部32の中心との間に位置する。
【0036】
収集された金属粒子を除去するために、ねじ付きキャップ88がドライウェル82の開口端部86から取り外される。磁石80は、ドライウェル82から引き出され、好ましくは、ゆっくりと下方向へ引き出される。磁石80がドライウェル82から引き出されると、ドライウェル82の外表面90上に収集された金属粒子は、概してデブリ排出部26へ向かう方向に沿って引っぱられる。磁石80がドライウェル82から完全に引き出されると、微小金属粒子は、もはやドライウェル82の外表面90に引き付けられなくなり、デブリ排出部26の方へ落下する。収集チャンバ28の底部、つまりデブリ排出部26の近くに大部分が蓄積される金属粒子を含むデブリ収集チャンバ28内のデブリを吹き飛ばすために、ボール弁29が開放される。
【0037】
本発明のさまざまな実施形態は、パイプラインストレーナ10を提供し、パイプラインストレーナ10は、ラインから取り外されることを必要としないため、保持される金属粒子がパイプラインストレーナ10からより迅速に除去されることをもたらす。実際に、パイプラインストレーナ10は、好ましくは、デブリ収集チャンバ28からの(ボール弁29を介した)、微小金属粒子を含む収集されたデブリの除去を促進するために、依然として圧力下にある。さらに、磁石を引き出すと、その結果、収集された金属粒子がデブリ排出部26に向かって引っぱられるため、ドライウェル82の開口端部86およびデブリ排出部26の位置決めが、より迅速かつ効率的な金属粒子の除去をもたらす。
【0038】
しかしながら、
図2A、
図2Bおよび
図3では、パイプラインストレーナ110を含む本発明の実施形態を示す。
図2Aおよび
図2Bのパイプラインストレーナ110において、同一の特徴に対しては、
図1の実施形態と同じ参照番号が使用され、これらの特徴に関する上記の説明が、参照により組み込まれる。
【0039】
図2Aおよび
図2Bでは、入口18の中心および出口22の中心を通って延びる軸A1と、第1端部30から第2端部32へ延びる濾過要素14の長手方向軸A2との間の角度は、
図1に示すパイプラインストレーナ10における当該角度よりも大きい。さらに、第1端部30が含まれる平面と、濾過要素14の第2端部32が含まれる平面とは、互いに平行である。そのようなパイプラインストレーナは、米国特許第5,718,822号明細書の
図4に示されている。
【0040】
このような種類のパイプラインストレーナでは、デブリ排出部26またはその近傍における乱流(
図1に示すストレーナ内の乱流と比べて)が増大すると考えられる。デブリ排出部26が開放されるとき、この増大した乱流は、収集された(既に説明したようにドライウェル82の底部へ移動させられた)金属粒子を散乱させる。これにより、散乱した金属粒子の一部が、デブリ排出部26から引き出されるのではなく、パイプラインストレーナ110の下流へ流される。
【0041】
図2Aおよび
図2Bに示すように、バッフル100が、パイプラインストレーナ110のキャビティ16内に設けられる。バッフル100は、たとえば、接着、締め付け、溶接、ろう付け、または溶接クリップなどを含む、任意の数の従来の留め具または固定方法によってパイプラインストレーナ110に固定されてもよい。そのように図示されていないが、バッフル100は、
図1のパイプラインストレーナ10内に設けられると考えられる。
【0042】
バッフル100は、概して、管状であってもよいし、ドライウェル82と同心である管状であってもよい(
図3参照)。バッフル100は、流体(および金属粒子)がバッフル100を通って流れることを可能にする複数の孔104を有する下部102を含む。孔104は、円形形状で示されているが、孔104は、ひし形、正方形、楕円形、三角形、または他の任意の形状であってもよい。さらに、孔104が、下部102の円周に均等に分配されて示されているが、孔104の配置は、孔104が、下部102の周りに均等に分配されないように、流体の流れを方向付けるように調節され得る。バッフル100の上部106は、中実(非多孔性)である。他の構成が考えられる。
【0043】
さらに、バッフル100は、バッフル100の周りの流体の流れをさらに制御するための、1または複数のフィン108、または流れ方向づけ羽根を含んでもよい。フィン108は、流体の流れを方向付けし、バッフル100と同一平面上にはない。濾過要素14が、デブリ排出部26の近位の乱流をさらに減少させるために、および金属粒子がデブリ排出部26から引き出されるのではなく、パイプラインストレーナ110の下流へ放出される可能性を最小にするために、1または複数のフィン108を含むことが(図示されないが)考えられる。
【0044】
バッフル100は、
図3に最もよく示されるように、長手方向の中心軸に沿って見た場合、円形状である。しかし、たとえば、楕円形、ひし形、三角形、C字形、U字形、V字形、八角形、星形など、他の形状が用いられてもよい。例示的実施形態として、バッフル100が星形であり、バッフル100の(星型を形成する)交差するアームは、細長く、かつバッフル100のフィン108を形成することが考えられる。さらに、バッフル100は、2つの個別の部品から形成されてもよく、たとえば(ドライウェル82の軸に沿って)上から見るとV字状の2つの線形バッフル100が使用されてもよい。ここでも、他の形状および配置が、流体の流れを制御するために使用されてもよい。
【0045】
バッフル100の存在に加えて、
図2Aおよび
図2Bのパイプラインストレーナ110では、ドライウェル82の軸A3および濾過要素14の軸A2が一致するように図示される。これは単に例示的な実施形態であり、その2つは一致、斜め、または交差でなく、平行であってもよい。
【0046】
前述の詳細から明らかであるように、本発明は、前述の詳細および説明において記載されているものとかなり異なり得る様々な変更および修正例を有して具現化されることが可能である。当業界への寄与の範囲内で合理的かつ適切にもたらされるすべての修正例を、本件に関して保証される特許の範囲内で具現化することを望むことが理解されるべきである。