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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/12 20060101AFI20241001BHJP
   B65B 9/02 20060101ALI20241001BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B65B57/12
B65B9/02
B65B57/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020086776
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181316
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000152125
【氏名又は名称】株式会社プレッシオ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】高木 康次
(72)【発明者】
【氏名】林 沙梨生
(72)【発明者】
【氏名】石黒 琢也
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-074976(JP,A)
【文献】実開昭57-175696(JP,U)
【文献】特開2008-013225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/12
B65B 9/02
B65B 57/00
B65H 16/00 - 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように前記第1のロールの外周面に接触して前記第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと;
長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように前記第2のロールの外周面に接触して前記第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと;
前記第1のロールから引き出された前記第1の包装材と前記第2のロールから引き出された前記第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の前記第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を接着して切断する接着切断部と;
前記第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と;
前記第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と;
前記第1のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第1の支持部材と、前記第1のロールの軸を押圧する第1の押圧部材と、前記第1のロールの径が所定値を下回ったときに前記第1のロールを前記第1の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記第1押圧部材を付勢する第1の付勢手段と、を有する第1の押圧機構と;
前記第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第2の支持部材と、前記第2のロールの軸を押圧する第2の押圧部材と、前記第2のロールの径が所定値を下回ったときに前記第2のロールを前記第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記第2の押圧部材を付勢する第2の付勢手段と、を有する第2の押圧機構と;
を有する包装機。
【請求項2】
長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように前記第1のロールの外周面に接触して前記第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと;
長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように前記第2のロールの外周面に接触して前記第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと;
前記第1のロールから引き出された前記第1の包装材と前記第2のロールから引き出された前記第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の前記第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を接着して切断する接着切断部と;
前記第1の支持ローラの回転量を検出する第1の検出部と;
前記第2の支持ローラの回転量を検出する第2の検出部と;
前記第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と;
前記第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と;
前記第1及び第2の検出部における検出結果に基づいて前記第1及び第2の制動部の動作タイミングを制御する制御部と;
前記第1のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第1の支持部材と、前記第1のロールの軸を押圧する第1の押圧部材と、前記第1のロールの径が所定値を下回ったときに前記第1のロールを前記第1の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記第1押圧部材を付勢する第1の付勢手段と、を有する第1の押圧機構と;
前記第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第2の支持部材と、前記第2のロールの軸を押圧する第2の押圧部材と、前記第2のロールの径が所定値を下回ったときに前記第2のロールを前記第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記第2の押圧部材を付勢する第2の付勢手段と、を有する第2の押圧機構と;
を有する包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、新聞をフィルムで包装する包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞をフィルムで包装する包装機は、一般に、2つのロールから引き出したフィルムの間に新聞を挟んで新聞の周りでフィルム同士を熱溶着する。そして、熱溶着した部分でフィルムを切断し、次の新聞の投入を待機する。フィルムのロールは、自由に回転可能に設けられており、フィルムを引き出すことにより回転し、引き出しを止めることにより停止する。
【0003】
ロールは、フィルムの残りの長さ、すなわちロール径の大きさにより、回転時の慣性モーメントが異なる。ロール径が大きいロールは、ロール径が小さいロールより重く、回転を開始してから回転速度が安定するまでにより多くの時間を必要とし、制動を開始してから停止するまでにより多くの時間を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-143008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したタイプの包装機では、少なくとも新聞の厚み分だけ、2つのロールから引き出されるフィルムの長さに差を生じることが知られている。このように、2つのロールから引き出されるフィルムの長さに差を生じると、フィルムの消費量に差を生じ、2つのロールのロール径にも差を生じる。また、このようなロール径の差は、包装する新聞の数が増えるに連れて徐々に大きくなる。この結果、2つのロールの交換時期がずれ、常にロール径が異なる状態で包装機を動作させなければならなくなる。
【0006】
2つのロールの径が異なると、上述したように、ロールの回転及び停止に要する時間に差を生じ、フィルムの弛みにバラつきを生じる。この結果、フィルムのシール位置(溶着部分)が新聞の端部に対向するセンター位置からずれたり、フィルムに皺が生じたりして、新聞をフィルムで包装した包装品の見栄えが悪くなる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、包装品の見栄えを良くすることができる包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装機の一態様は、長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように第1のロールの外周面に接触して第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと;長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように第2のロールの外周面に接触して第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと;第1のロールから引き出された第1の包装材と第2のロールから引き出された第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で第1の包装材と第2の包装材を接着して切断する接着切断部と;第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と;第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と;第1のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第1の支持部材と、第1のロールの軸を押圧する第1の押圧部材と、第1のロールの径が所定値を下回ったときに第1のロールを第1の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように第1押圧部材を付勢する第1の付勢手段と、を有する第1の押圧機構と;第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第2の支持部材と、第2のロールの軸を押圧する第2の押圧部材と、第2のロールの径が所定値を下回ったときに第2のロールを第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように第2の押圧部材を付勢する第2の付勢手段と、を有する第2の押圧機構と;を有する。
【0009】
本発明の包装機の一態様は、長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように第1のロールの外周面に接触して第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと;長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように第2のロールの外周面に接触して第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと;第1のロールから引き出された第1の包装材と第2のロールから引き出された第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で第1の包装材と第2の包装材を接着して切断する接着切断部と;第1の支持ローラの回転量を検出する第1の検出部と;第2の支持ローラの回転量を検出する第2の検出部と;第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と;第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と;第1及び第2の検出部における検出結果に基づいて第1及び第2の制動部の動作タイミングを制御する制御部と;第1のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第1の支持部材と、第1のロールの軸を押圧する第1の押圧部材と、第1のロールの径が所定値を下回ったときに第1のロールを第1の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように第1押圧部材を付勢する第1の付勢手段と、を有する第1の押圧機構と;第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する第2の支持部材と、第2のロールの軸を押圧する第2の押圧部材と、第2のロールの径が所定値を下回ったときに第2のロールを第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように第2の押圧部材を付勢する第2の付勢手段と、を有する第2の押圧機構と;を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、包装品の見栄えを良くすることができる包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る包装機を示す概略図である。
図2図2は、図1の包装機の動作を制御する制御系のブロック図である。
図3図3は、図1の包装機のロールを支持する支持機構を示す斜視図である。
図4図4は、図3の支持機構の動きを説明するための図である。
図5図5は、図3の支持機構の動きを説明するための図である。
図6図6は、図3の支持機構の動きを説明するための図である。
図7図7は、図3の支持機構の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る包装機10について図面を参照して説明する。
図1は、包装機10の構造を説明するための概略図である。図2は、包装機10の動作を制御する制御系のブロック図である。
【0013】
図1に示すように、包装機10は、被包装物である新聞Pを投入する投入口1a、及び新聞PをフィルムF1、F2で包装した包装品W(図示省略)を排出する排出口1bを備えた筐体1を有する。筐体1は、略矩形箱状に形成され、重力方向の上方に天壁1cを有し、重力方向の下方に底壁1dを有する。投入口1aは図1で紙面と垂直な方向に延びて天壁1cに設けられ、排出口1bは図1で紙面と垂直な方向に延びて底壁1dに設けられている。本実施形態では、被包装物として複数枚の新聞紙を重ねて折り畳んだ新聞Pを例に挙げて説明するが、被包装物は新聞Pに限らず、冊子や扁平な箱などの他の物品であってもよい。
【0014】
筐体1内には、長尺な樹脂製のフィルムF1(第1の包装材)を円筒状の巻き芯C1に巻回したロールR1(第1のロール)、及び長尺な樹脂製のフィルムF2(第2の包装材)を円筒状の巻き芯C2に巻回したロールR2(第2のロール)が収容配置されている。各ロールR1、R2の巻き芯C1、C2は、その内部にわずかな遊びを有して軸S1、S2を挿通可能な内径を有する。軸S1、S2は、その両端において、それぞれ、後述する支持機構30(図3)によって筐体1に対して上下に移動可能な状態で支持される。
【0015】
軸S1、S2は、図1で紙面と垂直な方向に延設され、ロールR1、R2が互いに干渉しない距離だけ左右に離れた位置で筐体1に取り付けられる。ロールR1、R2は、それぞれ、軸S1、S2に対して自由に回転可能となっている。また、ロールR1、R2は、軸S1、S2の両端を支持機構30から取り外すことにより、交換可能となっている。各ロールR1、R2の軸S1、S2を支持する支持機構30については、図3を参照して後で詳細に説明する。
【0016】
図1で左側のロールR1は、フィルムF1の引き出しにより時計回り方向に回転する姿勢で筐体1内に取り付けられている。右側のロールR2は、フィルムF2の引き出しにより反時計回り方向に回転する姿勢で筐体1内に取り付けられている。ロールR1、R2は、フィルムF1、F2を引き出す動作によって軸S1、S2を中心に回転し、フィルムF1、F2の引き出しを止めた後もその慣性により暫く回転を継続しようとする。
【0017】
各ロールR1、R2の重力方向の下方には、それぞれ、ロールR1、R2の外周面に外周面を接触せしめてロールR1、R2を下から支える支持ローラ9a、9bが設けられている。支持ローラ9a、9bの回転軸は図1で紙面と垂直な方向に延設されている。支持ローラ9a、9bの回転軸の両端は、筐体1に対して回転可能に取り付けられている。見方を変えると、各ロールR1、R2は、上述したように、その軸S1、S2の両端を筐体1に対して上下に移動可能に支持されているため、対応する支持ローラ9a、9bに対して自重により押し付けられる。このため、支持ローラ9a、9bは、ロールR1、R2に対してそれぞれ従動回転可能となっている。支持ローラ9aは、第1の支持ローラとして機能し、支持ローラ9bは、第2の支持ローラとして機能する。
【0018】
新聞Pの投入方向に沿って投入口1aの下流側には、2つのガイドローラ2a、2bが設けられている。新聞Pの投入方向は、図1で上から下に向かう重力方向であり、以下、この方向を引き出し方向と称する場合もある。ガイドローラ2a、2bは、各ロールR1、R2から引き出されたフィルムF1、F2をそれぞれ掛け回して図1で下方へ案内する。ガイドローラ2a、2bは、図1で紙面と直交する方向に延設された軸を有する。ガイドローラ2a、2bは、新聞Pの厚みより大きく投入口1aの幅よりわずかに広い間隔で互いに左右に離間して投入口1aの近くに配置されている。ガイドローラ2a、2bの間を通って案内されたフィルムF1、F2は、重力方向に引き出される。投入口1aを介して筐体1内に投入された新聞Pは、2枚のフィルムF1、F2の間に通される。
【0019】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿ってガイドローラ2a、2bの下流側には、引き出し方向と略平行に延設したガイド板3a、3bが設けられている。図1で左側のガイド板3aは、フィルムF1が新聞Pの通路に対向する面と反対の背面側に対向配置され、右側のガイド板3bは、フィルムF2が新聞Pの通路に対向する面と反対の背面側に対向配置されている。ガイド板3a、3bは、フィルムF1、F2の引き出し方向の先端を接着切断部4のカッタ4aとヒータ4bの間に指向させるとともに、フィルムF1、F2のばたつきを抑えるように機能する。
【0020】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿ってガイド板3a、3bのさらに下流側には、2枚のフィルムF1、F2を接着して切断する接着切断部4が設けられている。接着切断部4は、図1で紙面と直交する方向に延びた刃を有するカッタ4a、及びカッタ4aの刃と同じ方向に延びたヒータ4bを有する。カッタ4aは、図示右側のフィルムF2の背面側に配置され、ヒータ4bは、カッタ4aに対向する位置で左側のフィルムF1の背面側に配置されている。ヒータ4bは、カッタ4aの刃を受け入れる溝を有する。カッタ4a及びヒータ4bは、少なくともフィルムF1、F2の幅を超える長さを有する。
【0021】
カッタ4aを図示の位置からヒータ4bに向けて左方向へ移動すると、2枚のフィルムF1、F2がカッタ4aとヒータ4bの間に挟まれて互いに接触し、ヒータ4bの熱により2枚のフィルムF1、F2が溶着される。それと同時に、フィルムF1、F2の溶着部分が引き出し方向の略中央位置でカッタ4aによって切断される。この結果、接着切断部4を通過した2枚のフィルムF1、F2の引き出し方向の後端同士が溶着され、引き出し方向に沿って接着切断部4の上流側の2枚のフィルムF1、F2の引き出し方向の先端同士が溶着された状態となる。
【0022】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿って接着切断部4の上流側で且つガイド板3a、3bの下流側には、新聞Pの通過を検知するためのセンサ5が設けられている。また、フィルムF1、F2の引き出し方向に沿って接着切断部4の下流側には、新聞Pの通過を検知するためのセンサ6が設けられている。センサ5、6は、それぞれ、新聞Pの搬送経路を間に挟んだ左右両側に発光素子と受光素子を有する透過型の光電センサである。つまり、センサ5は、接着切断部4の上流側でその光線が新聞Pの搬送経路を横切る位置に配置され、センサ6は、接着切断部4の下流側でその光線が新聞Pの搬送経路を横切る位置に配置されている。なお、センサ5、6の光線は、フィルムF1、F2を透過するため、フィルムF1、F2の間に挟まれた新聞Pの通過を検知することができる。センサ5、6は、新聞Pで反射された反射光を検出する反射型の光電センサであってもよい。
【0023】
フィルムF1、F2の引き出し方向に沿ってセンサ6のさらに下流側には、2枚のフィルムF1、F2の間に新聞Pを挟んだ積層体Tを挟持拘束して引き出し方向に搬送する搬送機構8が配置されている。搬送機構8は、積層体Tの図示左右両側に略同じ構造の搬送ユニット8L、8Rを有する。図示左側の搬送ユニット8Lは、重力方向に互いに離間した駆動ローラ8aと従動ローラ8bに無端状の搬送ベルト8cを巻回した構造を有する。駆動ローラ8aと従動ローラ8bの回転軸は、紙面と直交する方向に延設されている。搬送ユニット8Lは、搬送ベルト8cが積層体Tの図示左側の表面(フィルムF1の背面)に接触して走行する位置に配置されている。
【0024】
図示右側の搬送ユニット8Rは、搬送ユニット8Lに対して積層体Tの反対側で、搬送ベルト8cが積層体Tの図示右側の表面(フィルムF2の背面)に接触して走行する位置に配置されている。この搬送ユニット8Rは、図示しないプーリやタイミングベルトを介して搬送ユニット8Lの駆動軸に接続されてもよく、搬送ユニット8Lに同期して駆動されるようになっている。搬送ユニット8Lの搬送ベルト8cの走行方向は図1で時計回り方向であり、搬送ユニット8Rの搬送ベルト8cの走行方向は反時計回り方向である。搬送機構8を介して搬送されてフィルムF1、F2によって包装された包装品Wは、一旦停止した搬送機構8を再び駆動させることにより、筐体1の排出口1bを介して包装機10から排出される。
【0025】
図2に示すように、包装機10は、各部の動作を制御する制御部20を有する。
制御部20には、2つのロールR1、R2から引き出されるフィルムF1、F2の引き出し量をそれぞれ検出するためのエンコーダ11a、11bが接続されている。一方のフィルムF1の引き出し量を検出するためのエンコーダ11aは、第1の検出部として機能し、他方のフィルムF2の引き出し量を検出するためのエンコーダ11bは第2の検出部として機能する。
【0026】
エンコーダ11a、11bは、上述した支持ローラ9a、9b(図1)の回転軸にそれぞれ取り付けられている。エンコーダ11a、11bは、例えば、支持ローラ9a、9bの回転軸にそれぞれ固定した図示しないディスクを有する。エンコーダ11a、11bは、各ディスクの全周に設けた複数の切欠きを図示しない光電センサによって検出し、切欠きが光軸を間欠的に遮るパルス信号を出力する。つまり、エンコーダ11a、11bは、ロールR1、R2から引き出されるフィルムF1、F2の引き出し量をパルス数として出力する。
【0027】
また、制御部20には、2つのロールR1、R2の回転をそれぞれ止めるブレーキ12a、12bが接続されている。一方のロールR1の回転を止めるブレーキ12aは、第1の制動部として機能し、他方のロールR2の回転を止めるブレーキ12bは、第2の制動部として機能する。ブレーキ12a、12bは、それぞれ、支持ローラ9a、9bの回転軸に押し付けて摩擦により回転を停止させるブレーキシュー13a、13b、及びブレーキシュー13a、13bを支持ローラ9a、9bの回転軸に押し付けるアクチュエータ14a、14bを備える。ブレーキ12a、12bを動作させて支持ローラ9a、9bの回転を止めると、支持ローラ9a、9bの外周面に接触したロールR1、R2の回転も止められる。
【0028】
また、制御部20には、接着切断部4のカッタ4aをヒータ4bに向けて駆動するアクチュエータ15が接続されている。また、制御部20には、接着切断部4のヒータ4bに通電するとともにサイドヒータ16に通電するための電源装置17に接続されている。サイドヒータ16は、2枚のフィルムF1、F2の幅方向の両端縁をシールする。また、制御部20には、搬送機構8の駆動ローラ8aを回転させるためのモータ18が接続されている。さらに、制御部20には、包装機10の動作プログラムを記憶した記憶部19が接続されている。記憶部19は、各エンコーダ11a、11bを介して検出したパルス数を一時的に記憶する。
【0029】
以下、上述した包装機10を用いた処理動作について説明する。
(準備作業)
作業員は、まず、包装機10の図示しないカバーを開けて、筐体1内の所定位置にロールR1、R2を取り付ける。このとき、作業員は、ロールR1、R2の巻き芯C1、C2にそれぞれ軸S1、S2を挿通し、軸S1、S2の両端を支持機構30に取り付ける。そして、作業員は、各ロールR1、R2から引き出したフィルムF1、F2をガイドローラ2a、2bの上方で弛ませて互いに重ね合わせる。その後、作業員は、カバーを閉じて包装機10の電源を入れる。
(前処理)
上述した(準備作業)の後、作業員により投入口1aを介して前処理用の新聞Pが投入されると、ガイドローラ2a、2bの上方で重ねられたフィルムF1、F2が新聞Pの投入方向の先端(以下、単に先端と称する)によって下方へ押し込まれる。このようにして投入された新聞Pは、その自重により、フィルムF1、F2を伴って、搬送機構8へ送り込まれる。このとき、包装機10の制御部20は、センサ5、6の出力を監視し、新聞Pの先端がセンサ5の光線を遮った時点でモータ18を駆動し、搬送機構8の動作を開始させる。
【0030】
搬送機構8へ送り込まれた新聞Pは、その両面にフィルムF1、F2をそれぞれ重ねた状態(ここでは、この状態のものを積層体Tと称する)で、2つの搬送ユニット8L、8Rの間に送り込まれ、走行している一対の搬送ベルト8cの間に挟まれて拘束された状態で搬送を開始される。このように、搬送機構8によって積層体Tの搬送が開始されると、フィルムF1、F2も新聞Pと一緒に搬送機構8によって下方へ引っ張られる。
【0031】
この後、制御部20は、新聞Pの搬送方向の後端(以下、単に後端と称する)をセンサ6により検知した時点でモータ18を停止し、搬送機構8による積層体Tの搬送を停止させる。また、制御部20は、搬送機構8による新聞Pの搬送中にエンコーダ11a、11bを介して検出したパルス数を記憶部19に書き込む。積層体Tが所定位置で停止された後、ロールR1、R2は、その慣性により回り続け、停止するまでフィルムF1、F2がロールR1、R2から送り出される。
【0032】
制御部20は、搬送機構8によって積層体Tを搬送して所定位置で停止した後、記憶部19に記憶したパルス数に基づく所定のタイミングでブレーキ12a、12bを作動させ、ロールR1、R2の回転を停止させる。これにより、搬送機構8の上流側におけるフィルムF1、F2の弛みを均一にすることができる。積層体Tを停止させてロールR1、R2を停止させた後、制御部20は、接着切断部4のカッタ4aを動作させ、2枚のフィルムF1、F2を溶着して切断する。
【0033】
さらにこの後、制御部20は、モータ18を駆動して搬送機構8による積層体Tの搬送を再開し、排出口1bを介して排出する。このようにして排出された積層体Tは、新聞Pの先端側でフィルムF1、F2が溶着されておらず開いている。このため、作業員は、排出した積層体Tから新聞Pだけを取り出して再処理に供する。
【0034】
一方、前処理用の積層体Tを排出した後、接着切断部4の上流側のフィルムF1、F2は、その引き出し方向の下流側の端部同士が溶着された状態となっている。この状態で、包装機10は、被包装物としての新聞Pの投入を待機する状態となる。
(包装動作)
上述した(前処理)の後、作業員により被包装物としての新聞Pが投入口1aを介して投入されると、新聞Pの先端が2枚のフィルムF1、F2の溶着部分を下方へ押し込む。このようにして投入された新聞Pは、その自重により、フィルムF1、F2を伴って、搬送機構8へ送り込まれる。このとき、制御部20は、センサ5、6の出力を監視し、新聞Pの先端がセンサ5の光線を遮った時点でモータ18を駆動し、搬送機構8の動作を開始させる。
【0035】
搬送機構8へ送り込まれた新聞Pは、その両面にフィルムF1、F2をそれぞれ重ねた状態で、2つの搬送ユニット8L、8Rの間に送り込まれ、走行している一対の搬送ベルト8cの間に挟まれて拘束された状態で搬送を開始される。このように、搬送機構8によって積層体Tの搬送が開始されると、フィルムF1、F2も新聞Pと一緒に搬送機構8によって下方へ引っ張られる。そして、積層体Tの搬送により、フィルムF1、F2が各ロールR1、R2から引き出され、ロールR1、R2が回転する。
【0036】
この後、制御部20は、新聞Pの後端をセンサ6により検知した時点でモータ18を停止し、搬送機構8による積層体Tの搬送を停止させる。また、制御部20は、搬送機構8による新聞Pの搬送中にエンコーダ11a、11bを介して検出したパルス数を記憶部19に書き込む。積層体Tが停止された後、ロールR1、R2は、その慣性により回り続け、停止するまでフィルムF1、F2がロールR1、R2から送り出される。
【0037】
制御部20は、搬送機構8によって積層体Tを搬送して所定位置で停止した後、記憶部19に記憶したパルス数に基づく所定のタイミングでブレーキ12a、12bを作動させ、ロールR1、R2の回転を停止させる。これにより、搬送機構8の上流側でフィルムF1、F2の弛みを均一にすることができる。積層体Tを停止させてロールR1、R2を停止させた後、制御部20は、接着切断部4のカッタ4aを動作させ、2枚のフィルムF1、F2を溶着して切断する。さらにこの後、制御部20は、モータ18を駆動して搬送機構8による積層体Tの搬送を再開し、排出口1bを介して包装品W(図示せず)を排出する。
【0038】
一方、包装品Wを排出した後、接着切断部4の上流側のフィルムF1、F2は、その引き出し方向の下流側の端部同士が溶着された状態となっている。この状態で、包装機10は、次の新聞Pの投入を待機する待機状態となる。包装機10は、以上の動作を繰り返して、複数部の新聞PをフィルムF1、F2によって包装する。
【0039】
上記のように複数部の新聞Pを包装すると、フィルムF1、F2が消費されて、ロールR1、R2の径が徐々に小さくなる。ロール径が小さくなって軽くなると、フィルムF1、F2を引き出した勢いによりロールR1、R2が振動してあばれ易くなる。ロールR1、R2が振動すると、支持ローラ9a、9bに対する押し付け力が不安定になり、ロールR1、R2が支持ローラ9a、9bから離れてしまい、支持ローラ9a、9bがロールR1、R2に従動回転しなくなってしまう。
【0040】
ロールR1、R2が支持ローラ9a、9bに接触していない状態でブレーキ12a、12bを作動させた場合、支持ローラ9a、9bを停止させる制動力をロールR1、R2に正常に伝えることができなくなり、停止制御の信頼性が低下する。また、ロールR1、R2が支持ローラ9a、9bに接触していない状態でエンコーダ11a、11bを介して検出したパルス数は、ロールR1、R2の回転量と比例しなくなり、ブレーキ12a、12bの制御基準が不確かなものとなってしまう。この結果、搬送機構8の上流側でフィルムF1、F2の弛みを均一に制御することができなくなり、包装品WのフィルムF1、F2に皺を生じたり、溶着部分がセンター位置からずれたりして、包装品Wの見栄えが悪くなってしまう場合がある。
【0041】
よって、本実施形態では、ロールR1(R2)の径が所定の大きさより小さくなったとき(軽くなったとき)に、ロールR1(R2)を支持ローラ9a(9b)に押し付ける方向の押圧力を新たに発生させて、ロールR1、R2の振動を抑えるようにした。
【0042】
図3は、ロールR1、R2の軸S1、S2の両端を支持する支持機構30の一例を示す斜視図である。包装機10は、軸S1、S2の両端をそれぞれ支持する4つの支持機構30を備えている。軸S1の両端を支持する支持機構30は第1の押圧機構として機能し、軸S2の両端を支持する支持機構30は第2の押圧機構として機能する。4つの支持機構30は、同じ構造を有するため、ここでは、ロールR1の軸S1の一端を支持する支持機構30について代表して説明する。
【0043】
支持機構30は、筐体1に固定した取付金具32(支持部材)、ロールR1の軸S1を押圧する押圧金具34(押圧部材)、及び押圧金具34を取付金具32に対して付勢するねじりコイルバネ36(付勢手段)を有する。押圧金具34は、取付金具32に対して回動軸38を中心に回動可能に取り付けられている。ねじりコイルバネ36は、回動軸38に取り付けられており、その一端36aを取付金具32に固定し、他端36bを押圧金具34に固定している。
【0044】
取付金具32は、軸S1の一端を支持する略矩形板状の支持板部32a、及び筐体1に固定する固定板部32bを一体に有する。固定板部32bは、水平面に沿って延設される。支持板部32aは、固定板部32bに対して直交し且つ軸S1と直交する姿勢で配置される。取付金具32は、1枚の金属板を形状加工して折り曲げることにより一体に形成することができる。
【0045】
固定板部32bは、取付金具32を筐体1に固定するための図示しないネジを挿通するためのスリット31を有する。スリット31は、軸S1と略平行に延設されている。支持板部32aは、ロールR1の軸S1(図1)を上下にスライド可能に受け入れる溝33を有する。溝33は、重力方向に延設されている。溝33の図示上端33aは開放しており、支持板部32aの上端縁321は、溝33の上端33aに向けて下方に傾斜している。
【0046】
支持板部32aは、溝33の図示下端近くに、上述した回動軸38を有する。回動軸38は、軸S1と略平行に延設されている。また、支持板部32aは、回動軸38に取り付けたねじりコイルバネ36の一端36aを引っ掛けて固定するネジ39を有する。
【0047】
押圧金具34は、例えば、1枚の金属板を形状加工して折り曲げることにより一体に形成することができる。押圧金具34は、取付金具32の支持板部32aの外面322に対向して取り付けられている。押圧金具34は、回動軸38を介して取付金具32に対して回動可能に取り付けられている。押圧金具34の回動の先端には、取付金具32の支持板部32aの縁に係合する係合部35が設けられている。係合部35は、押圧金具34を取付金具32側に略直角に折り曲げることにより形成することができる。また、押圧金具34は、ねじりコイルバネ36の他端36bを引っ掛けて固定するための切欠き37を有する。
【0048】
ねじりコイルバネ36は、金属線材をコイル状に巻いた構造を有し、図3に示すように取付金具32と押圧金具34の間で回動軸38に装着して取り付けられている。上述したように、ねじりコイルバネ36の一端36aはネジ39に引っ掛けて取付金具32に固定され、他端36bは押圧金具34の切欠き37に引っ掛けて固定されている。ねじりコイルバネ36は、図示の状態で、回動軸38を中心に押圧金具34を時計回り方向に回動させる方向に付勢している。言い換えると、ねじりコイルバネ36は、このような付勢力が押圧金具34に作用するようにねじった状態で取り付けられる。押圧金具34は、係合部35を支持板部32aの縁に係合せしめてそれ以上の回動を止められている。
【0049】
押圧金具34は、図3に示す状態で支持板部32aの溝33に重なるカム突起40を有する。カム突起40は、挿入側傾斜縁41と抜取側傾斜縁42を有する。挿入側傾斜縁41及び抜取側傾斜縁42は、押圧金具34の外周縁の一部であり、両者の間の頂部43に向けてそれぞれ溝33の方向に傾斜している。カム突起40が溝33に重なる部分の大きさや、挿入側傾斜縁41及び抜取側傾斜縁42の傾斜角度や、ねじりコイルバネ36のバネ定数は、ロールR1、R2の重量や軸S1、S2の径などに応じて適宜選択される。
【0050】
以下、上述した支持機構30の動きについて、図4乃至図7を参照して説明する。
フィルムF1を引き出していない未使用のロールR1を包装機10に取り付けた場合、図4に示すように、ロールR1の巻き芯C1に挿通した軸S1の端部が押圧金具34の挿入側傾斜縁41に接触した状態となる。この状態で、ロールR1は、その外周面を支持ローラ9aの外周面に押し付けた状態となる。言い換えると、支持機構30は、未使用のロールR1を包装機10に装着して支持ローラ9aによって支えたときに軸S1が押圧金具34の挿入側傾斜縁41に接触する位置に設けられている。或いは、支持機構30は、未使用のロールR1を装着した状態で、ロールR1の外周面が支持ローラ9aからわずかに上方に離間する位置に設けてもよい。
【0051】
図4の状態で、押圧金具34は軸S1から接触圧を受けていてもよく、或いは接触圧が略ゼロであってもよい。押圧金具34が軸S1からわずかでも接触圧を受けている場合、押圧金具34の係合部35が取付金具32の縁に係合しなくなり、少なくとも軸S1の重量の一部が支持機構30によって支えられた状態となる。或いは接触圧がゼロである場合、押圧金具34は、回動することなく、係合部35が取付金具32の縁に係合した状態のままとなる。
【0052】
この後、フィルムF1がロールR1から引き出されてロールR1の径が小さくなるに連れて、図5に示すように、軸S1が溝33内を重力方向の下方に徐々に移動する。つまり、筐体1の所定位置に取り付けた支持ローラ9aによって支えられた状態のロールR1は、径が小さくなるに連れて軸S1と外周面との間の距離が短くなることによって、軸S1が支持ローラ9aに近付く方向に変位する。
【0053】
図4の状態から図5の状態まで軸S1が移動するとき、軸S1が押圧金具34の挿入側傾斜縁41を押圧し、押圧金具34がねじりコイルバネ36の付勢力に抗して図示反時計回り方向に回動される。このとき、軸S1が挿入側傾斜縁41を押圧する押圧力は、ロールR1の自重によるものである。言い換えると、ねじりコイルバネ36は、ロールR1の自重によって押圧金具34が回動する程度のバネ定数が選択されている。見方を変えると、このとき、ねじりコイルバネ36により、軸S1が押圧金具34から溝33に沿って上方に向かう反発力を受け、軸S1が下から支えられる。押圧金具34から軸S1が受ける反発力は、軸S1が溝33の下端に近付くに連れて徐々に大きくなる。
【0054】
この後、フィルムF1がさらに消費されて、図6に示すように、軸S1が押圧金具34の縁に接触する位置が押圧金具34の頂部43に達すると、押圧金具34が軸S1を下から支える反発力が無くなり、押圧金具34の回動が一時的に停止される。この状態で、軸S1は、押圧金具34から溝33に沿って上方及び下方に向かう付勢力を受けない状態となる。
【0055】
さらに、この後、フィルムF1が消費されて軸S1が溝33の底に近付くと、軸S1が押圧金具34の頂部43を超えて抜取側傾斜縁42に接触し、ねじりコイルバネ36の付勢力によって押圧金具34が図示時計回り方向に回動される。つまり、軸S1の接触位置が頂部43を超えた後、軸S1を溝33の底に向けて下方に押える押圧力が発生する。これにより、フィルムF1の引き出しによってロールR1が振動しようとした際に、軸S1のバタつきを抑えることができ、ロールR1の外周面が支持ローラ9aから離間する不具合を抑制することができる。
【0056】
なお、軸S1の接触位置が頂部43を超えた後、フィルムF1が消費されて軸S1が下方に移動するとき、押圧金具34の抜取側傾斜縁42から軸S1に作用する押圧力の下方に向かうベクトル成分は、軸S1が溝33の底に近付くに連れて徐々に大きくなる。このため、ロールR1が軽くなって振動し易くなるのに合わせて押圧力を強くすることができ、ロールR1の振動を効果的に抑制することができる。
【0057】
一方、フィルムF1が無くなってロールR1を交換する場合、作業員が筐体1のカバーを開けて使用済みのロールR1の両端を支持機構30から取り外す。このとき、図7に示す状態から、溝33に沿って軸S1を上方に移動させ、溝33の上端33aから軸S1を抜き取る。図7の状態から軸S1を上方に移動させると、押圧金具34の抜取側傾斜縁42が軸S1によって押圧され、ねじりコイルバネ36の付勢力に抗して押圧金具34が図示反時計回り方向に回動される。
【0058】
以上のように、本実施形態によると、フィルムF1、F2が消費されてロールR1、R2の径がある特定のしきい値より小さくなったときに、ロールR1、R2を支持ローラ9a、9bに押し付ける方向の押圧力を発生させるようにしたため、フィルムF1、F2の引き出しによってロールR1、R2が振動する不具合を抑制することができる。このため、本実施形態によると、エンコーダ11a、11bを介してロールR1、R2の回転量を正確に検出することができ、ブレーキ12a、12bの作動タイミングを高精度に制御することができ、包装品Wの見栄えをよくすることができる。
【0059】
また、本実施形態によると、ロールR1、R2の径が小さくなった場合であっても使用し続けることができるため、フィルムF1、F2を最後まで使い切ることができ、包装機10のライニングコストを低く抑えることができる。また、このため、フィルムF1、F2の交換作業の回数を減らすことができ、利便性を向上させることができる。
【0060】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、取付金具32の溝33に沿ってロールR1、R2の軸S1、S2を上下方向に移動可能に支持し、且つ支持ローラ9a、9bによってロールR1、R2を下から支える場合について説明したが、これに限らず、ロールR1、R2を支える支持ローラは、各ロールに複数本ずつ設けてもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように前記第1のロールの外周面に接触して前記第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと、
長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように前記第2のロールの外周面に接触して前記第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと、
前記第1のロールから引き出された前記第1の包装材と前記第2のロールから引き出された前記第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の前記第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を接着して切断する接着切断部と、
前記第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と、
前記第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と、
前記第1のロールの径が所定値を下回ったときに前記第1のロールを前記第1の支持ローラに押し付ける押圧力を発生させる第1の押圧機構と、
前記第2のロールの径が所定値を下回ったときに前記第2のロールを前記第2の支持ローラに押し付ける押圧力を発生させる第2の押圧機構と、
有する包装機。
[2]
前記第1及び第2の押圧機構は、それぞれ、前記第1及び第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する支持部材と、前記第1及び第2のロールの軸を押圧する押圧部材と、前記第1及び第2のロールの軸が所定のしきい値を超えて前記溝に沿って下方に移動したときに前記第1及び第2のロールを前記第1及び第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記押圧部材を付勢する付勢手段と、を有する、
[1]の包装機。
[3]
長尺な第1の包装材を巻いた第1のロールを下から支えるように前記第1のロールの外周面に接触して前記第1のロールに従動回転可能に設けた第1の支持ローラと、
長尺な第2の包装材を巻いた第2のロールを下から支えるように前記第2のロールの外周面に接触して前記第2のロールに従動回転可能に設けた第2の支持ローラと、
前記第1のロールから引き出された前記第1の包装材と前記第2のロールから引き出された前記第2の包装材の間に被包装物を挟んだ積層体の前記第1及び第2の包装材の引き出し方向の後端側で前記第1の包装材と前記第2の包装材を接着して切断する接着切断部と、
前記第1の支持ローラの回転量を検出する第1の検出部と、
前記第2の支持ローラの回転量を検出する第2の検出部と、
前記第1の支持ローラの回転を止める第1の制動部と、
前記第2の支持ローラの回転を止める第2の制動部と、
前記第1及び第2の検出部における検出結果に基づいて前記第1及び第2の制動部の動作タイミングを制御する制御部と、
前記第1のロールの径が所定値を下回ったときに前記第1のロールを前記第1の支持ローラに押し付ける押圧力を発生させる第1の押圧機構と、
前記第2のロールの径が所定値を下回ったときに前記第2のロールを前記第2の支持ローラに押し付ける押圧力を発生させる第2の押圧機構と、
を有する包装機。
[4]
前記第1及び第2の押圧機構は、それぞれ、前記第1及び第2のロールの軸を上下に移動可能に支持する溝を有する支持部材と、前記第1及び第2のロールの軸を押圧する押圧部材と、前記第1及び第2のロールの軸が所定のしきい値を超えて前記溝に沿って下方に移動したときに前記第1及び第2のロールを前記第1及び第2の支持ローラに押し付ける方向の押圧力を発生させるように前記押圧部材を付勢する付勢手段と、を有する、
[3]の包装機。
【符号の説明】
【0062】
1…筐体、 2a、2b…ガイドローラ、 3a、3b…ガイド板、 4…接着切断部、 4a…カッタ、 4b…ヒータ、 5、6…センサ、 8…搬送機構、 9a、9b…支持ローラ、 10…包装機、 11a、11b…エンコーダ、 12a、12b…ブレーキ、 20…制御部、 30…支持機構、 32…取付金具、 33…溝、 34…押圧金具、 36…ねじりコイルバネ、 38…回動軸、 41…挿入側傾斜縁、 42…抜取側傾斜縁、 F1、F2…フィルム、 P…新聞、 R1、R2…ロール、 S1、S2…軸、 T…積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7