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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20230101AFI20241001BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 1/56 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 3/12 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 1/72 20230101ALI20241001BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20241001BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C02F1/52 G
C02F1/28 E
C02F1/28 D
C02F1/32
C02F1/44 F
C02F1/56 G
C02F3/12 N
C02F1/72 101
C02F9/00
B01D21/01 102
B01D21/01 107Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020132082
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2021146331
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2020043721
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000252698
【氏名又は名称】壽化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】今枝 基明
(72)【発明者】
【氏名】佐野 教信
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-074057(JP,A)
【文献】特開2016-059829(JP,A)
【文献】特開平10-274628(JP,A)
【文献】特開2014-097472(JP,A)
【文献】特開2012-187443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00-78、3/00-34、9/00-20
B01D21/01
G01N21/84-958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の検査面の欠陥を検出する浸透探傷法で排出される廃水であって、浸透探傷剤を含有し、且つ蛍光色を有する前記廃水を処理する水処理装置において、
前記廃水にベントナイトの粒状物直接的に添加し、撹拌することによって、前記廃水の着色成分を吸着して凝集させる凝集手段を備え
前記粒状物の粒径は20~70メッシュであること
を特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記凝集手段は、
前記ベントナイトの粒状物が添加された処理水に、アルミニウム塩又は鉄塩からなる無機凝集剤を添加する第1添加手段をさらに備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記凝集手段は、
前記ベントナイトの粒状物及び前記無機凝集剤が添加された処理水に、ポリアクリルアミドの誘導体である高分子凝集剤を添加する第2添加手段をさらに備え、
前記高分子凝集剤の添加後に沈殿処理を行い、上澄み液を得ること
を特徴とする請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記凝集手段による凝集後の処理水を濾過する濾過手段と、
前記濾過手段による濾過後の処理水に対し、酸化剤を添加し、紫外線による酸化処理を行う紫外線酸化手段と
を備えたこと
を特徴とする請求項1から3の何れか一に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記紫外線酸化手段により処理された処理水を活性炭で濾過する活性炭濾過手段をさらに備えたこと
を特徴とする請求項4に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記凝集手段による沈殿後の処理水に含まれる有機物を微生物によって分解する生物処理手段と、
前記生物処理手段によって処理された生物処理水を浸漬膜で濾過する浸漬膜式濾過手段と
を備えたこと
を特徴とする請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記紫外線酸化手段により処理された処理水の一部を前記生物処理手段へ戻す第1循環手段を備えたこと
を特徴とする請求項6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記活性炭濾過手段で濾過された処理水の一部を、前記紫外線酸化手段へ戻す第2循環手段を備えたこと
を特徴とする請求項6又は7に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や非金属の表面検査には、表面に微細な欠陥や貫通傷を正確に検出するために蛍光浸透探傷剤が使用される。検査で使用した蛍光浸透探傷剤は、廃液として排出されるが、蛍光色を有することからそのまま排水できないため産業廃棄物として処分するのが一般的である。浸透探傷廃液は、蛍光色という性質以外に有機物と油分の濃度が高いのが特徴的である。例えば、浸透探傷廃液に粉末の活性炭を添加して処理する排水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5852199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、浸透探傷廃液に粉末の活性炭を添加した場合、蛍光色を有する色素成分(有機物)を除去しきれなかった。
【0005】
本発明の目的は、浸透探傷廃液を良好に処理できる水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の水処理装置は、被検査物の検査面の欠陥を検出する浸透探傷法で排出される廃水であって、浸透探傷剤を含有し、且つ蛍光色を有する前記廃水を処理する水処理装置において、前記廃水にベントナイトの粒状物直接的に添加し、撹拌することによって、前記廃水の着色成分を吸着して凝集させる凝集手段を備え、前記粒状物の粒径は20~70メッシュであることを特徴とする。水処理装置は、浸透探傷法で排出される廃水を処理できる。ベントナイトで着色成分を吸着して凝集させることで、透明度の高い処理水が得られる。なお、ベントナイトは粒状物の方が好ましい。粒状物とは、例えば、特有なアルミナケイ酸質のモンモリナイトの組成を持った鉱物の粒状物であり、粒径は20~70メッシュであるのが好ましい。
【0007】
(2)前記凝集手段は、前記ベントナイトの粒状物が添加された処理水に、アルミニウム塩又は鉄塩からなる無機凝集剤を添加する第1添加手段をさらに備えてもよい。これにより、水処理装置は、凝集効果をさらに高めることができるので、脱色効果が向上し、透明度をさらに上げることができる。
【0008】
(3)前記凝集手段は、
前記ベントナイトの粒状物及び前記無機凝集剤が添加された処理水に、ポリアクリルアミドの誘導体である高分子凝集剤を添加する第2添加手段をさらに備え、前記高分子凝集剤の添加後に沈殿処理を行い、上澄み液を得てもよい。これにより、水処理装置は、フロックを粗大化し、沈殿を早く行うことができる。よって、水処理装置は、脱色効果が向上し、透明度をさらに上げることができる。
【0009】
(4)本態様は、前記凝集手段による凝集後の処理水を濾過する濾過手段と、前記濾過手段による濾過後の処理水に対し、酸化剤を添加し、紫外線による酸化処理を行う紫外線酸化手段とを備えてもよい。これにより、水処理装置は、処理水中の難分解性有機物を分解できる。
【0010】
(5)本態様は、前記紫外線酸化手段により処理された処理水を活性炭で濾過する活性炭濾過手段をさらに備えてもよい。これにより、水処理装置は、処理水中に残留する酸化剤を分解し、有機物を吸着できる。
【0011】
(6)本態様は、前記凝集手段による沈殿後の処理水に含まれる有機物を微生物によって分解する生物処理手段と、前記生物処理手段によって処理された生物処理水を浸漬膜で濾過する浸漬膜式濾過手段とを備えてもよい。これにより、水処理装置は、処理水中の有機物を生物処理手段で分解できる。
【0012】
(7)本態様は、前記紫外線酸化手段により処理された処理水の一部を前記生物処理手段へ戻す第1循環手段を備えてもよい。難分解性有機物が紫外線酸化により部分的な酸化を受けると生分解性が向上する。水処理装置は、その一部を生物処理手段に戻すことで、有機物の分解を促進できる。
【0013】
(8)本態様は、前記活性炭濾過手段で濾過された処理水の一部を、前記紫外線酸化手段へ戻す第2循環手段を備えてもよい。活性炭に吸着された有機物は活性炭内で増殖した微生物により分解される。酸化剤と紫外線によって生成したOHラジカルにより活性炭に吸着された有機物がさらに酸化分解を受ける。水処理装置は、そのような処理水の一部を、紫外線酸化手段に戻すことで、有機物の分解を促進し、活性炭の寿命を延ばすことができる。
【0014】
上述した(1)から(8)の発明は、任意に組み合わせることができる。例えば(1)の全部または一部を備えずに他の(2)から(8)の少なくともいずれか1つの構成を備えたものとしても良い。但し特に、(1)の構成を備えて、(2)から(8)の少なくともいずれか1つの構成と組み合わせを備えると良い。また(1)から(8)の任意の構成要素を抽出し、組み合わせても良い。本願出願人はこれらのような構成についても特許権を取得する意思を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】水処理装置1(第1実施形態)の構成図である。
図2】紫外線酸化塔6の構造を示す簡略図である。
図3】紫外線酸化塔621(変形例)の構造を示す簡略図である。
図4】紫外線酸化塔622(変形例)の構造を示す簡略図である。
図5】確認試験1の結果を示す表である。
図6】確認試験2の結果を示す表である。
図7】確認試験3の結果を示す表である。
図8】水処理装置100(第2実施形態)の構成図である。
図9】水処理装置200(第3実施形態)の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照し、本発明の第1~第3実施形態を説明する。なお、参照する図面は本発明が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いられるものである。図面に記載した各処理工程、及び装置構成等はそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例である。
【0017】
-第1実施形態-
図1を参照し、水処理装置1の構成を説明する。水処理装置1は、主に浸透探傷法で排出される廃水(以下、浸透探傷廃液と呼ぶ)を原水として処理する装置である。浸透探傷法とは、被検査物の検査面に浸透探傷剤を含有する浸透液を塗布し、検査面の欠陥に浸透液を浸透させた後、検査面の余剰の浸透液を除去し、現像処理を行うことで、欠陥を検出する方法である。浸透探傷廃液は蛍光色を有し、有機物と油分の濃度が高いのが特徴的である。
【0018】
水処理装置1は、原水槽2、反応槽3、脱水槽4、循環水槽5、紫外線酸化塔6、活性炭塔7等を備える。水処理装置1は所謂「バッチ式」である。原水槽2は原水を貯留する。反応槽3は、原水槽2から移送される原水を貯留する。反応槽3には、pH計41と撹拌機3Aが設けられる。反応槽3内の原水には、特殊吸着剤、無機凝集剤、中和剤、高分子凝集剤が添加される。添加する機構として、例えば配管とポンプ等を用いてもよい。特殊吸着剤とは、ベントナイトの粒状物であり、具体的には、特有なアルミナケイ酸質のモンモリナイトの組成を持った鉱物の粉体又は粒状体であり、粒径は20~70メッシュであるのが望ましい。無機凝集剤は、例えば、通常の水処理に使用されるアルミニウム塩又は鉄塩からなる無機凝集剤を用いることができる。高分子凝集剤は、例えば、ポリアクリルアミドの誘導体である高分子凝集剤を用いることができる。反応槽3は、原水中の色素成分を吸着除去して凝集させる。
【0019】
脱水槽4は、メッシュで形成された脱水カゴ40Aを備え、反応槽3から移送される凝集後の汚泥を濾過し、濾液を生成する。循環水槽5は、反応槽3から移送される凝集後の上澄み液と、脱水槽4から移送される濾液を第一処理水として貯留する。循環水槽5には、pH計42と撹拌機501が設けられる。循環水槽5内の第一処理水には、酸化剤、中和剤が添加される。循環水槽5にはさらに、後述する紫外線酸化塔6で処理された水が循環される。バッチ式では、一定時間循環する。目的は、有機物濃度を低下させることである。一定時間循環し、有機物濃度が低くなったら、紫外線酸化塔6から後述する活性炭塔7へ通水する。一定時間循環することのメリットとして、紫外線酸化塔6における紫外線のランプ本数を少なく設計できる。紫外線酸化塔6は、循環水槽5から移送される第一処理水を紫外線及びオゾンで酸化して、第二処理水を生成する。なお、紫外線酸化塔6の具体的な構造と処理の仕組みは後述する。活性炭塔7は、活性炭701を備え、紫外線酸化塔6で生成された第二処理水中の残留酸化剤と残留有機物を吸着し、最終処理水として排出する。
【0020】
原水槽2と反応槽3の間には、配管11が設けられる。配管11にはポンプ31が設けられる。反応槽3と循環水槽5の間には、配管12が設けられる。配管12の途中には、弁35が設けられる。弁35は配管12の流路を開閉する。反応槽3と脱水槽4の間には、配管13が設けられる。配管13の途中には、弁36が設けられる。弁36は配管13の流路を開閉する。脱水槽4と循環水槽5の間には、配管14が設けられる。配管14にはポンプ32が設けられる。循環水槽5と紫外線酸化塔6の間には、配管15が設けられる。配管15にはポンプ33が設けられる。配管15の途中には、フィルタ部43が設けられる。フィルタ部43は、配管15を通過する第一処理水を効果的に濾過する。紫外線酸化塔6と活性炭塔7の間には、配管16が設けられる。配管16の途中には、弁37が設けられる。弁37は配管16の流路を開閉する。配管16における弁37よりも上流側には、分岐部19が設けられる。分岐部19と循環水槽5の間には、配管17が設けられる。配管17の途中には、弁38が設けられる。弁38は配管17の流路を開閉する。反応槽3には、工水供給管18が設けられる。工水供給管18は、反応槽3に洗浄水としての工水を供給する。工水供給管18の途中には、弁39が設けられる。弁39は工水供給管18の流路を開閉する。なお、工水供給管18は削除してもよい。
【0021】
図2を参照し、紫外線酸化塔6の構造を説明する。紫外線酸化塔6は、円筒形の密閉された反応筒60を備える。反応筒60の下部には、流入管601が設けられる。流入管601には、配管15の下流側端部(図1参照)が接続される。それ故、配管15を流れる第一処理水は、流入管601から反応筒60の内部に流入する。反応筒60の上部には、流出管602が設けられる。流出管602には、配管16の上流側端部(図1参照)が接続される。それ故、反応筒60内で処理されて生成した第二処理水は、流出管602から流出し、配管16を流れる。なお、本実施形態では、流入管601は反応筒60の下部に、流出管602は反応筒60の上部に設けられることから、第一処理水は反応筒60の下部から上部に向けて流れるが、例えば流入管601を反応筒60の上部に、流出管602を反応筒60の下部に設けてもよい。この場合、第一処理水は反応筒60の上部からを下部に向けて流れる。
【0022】
紫外線酸化塔6の内側には、円筒形の石英ジャケット61が設けられる。石英ジャケット61の内側には、放電管63と空気供給管62が設けられる。放電管63には電源66が接続される。空気供給管62の上端部62Aには、図示外のエアコンプレッサが配管を介して接続される。それ故、空気供給管62は、放電管63の下方から空気を放出する。
【0023】
放電管63は、例えば低圧水銀灯を用いることができる。低圧水銀灯(低圧UVランプ)は、点灯中の水銀蒸気圧が100Pa以下の水銀蒸気中のアーク放電の発光を利用する周知の放電ランプである。低圧水銀灯の発する主な紫外線は254nmであり、この波長には殺菌効果があり、さらに酸化剤と反応して、OHラジカルを生成する。OHラジカルは有機物を分解し、最終的には、HOとCOにまで分解できる。難分解性有機物の一例として、エチレングリコールをOHラジカルで分解する場合、以下の通りとなる。
【化1】
【0024】
低圧水銀灯は185nmの紫外線も発する。この紫外線は酸素(空気)との接触により酸素を励起してオゾン化空気を生成する。なお、紫外線を使用しない場合、オゾンと過酸化水素の組み合わせによる促進酸化処理法にて処理してもよい。石英ジャケット61内で生成されたオゾン化空気は、オゾン化空気管64により取り出され、これを紫外線酸化塔6の反応筒60内の下部に設けた散気管65から放出して拡散させる。これにより、撹拌効果が与えられ、且つOHラジカルを発生させ、有機物の酸化を促進できる。
【0025】
なお、酸化剤としてオゾンを使用する場合、オゾンはガス体であるので、反応筒60内に供給する方法として、例えば、図3図4に示す構成を適用できる。図3図4に示す紫外線酸化塔621,622は、紫外線酸化塔6の変形例である。なお、紫外線酸化塔6と共通する部分は、紫外線酸化塔6と同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
図3に示す紫外線酸化塔621は、オゾナイザー611から延びるオゾン供給管612を、反応筒60内の下部に設けた散気管65に接続する。オゾナイザー611はオゾンを生成する。オゾナイザー611で生成されたオゾンは、オゾン供給管612を流れ、反応筒60内の下部に設けた散気管65から放出して拡散される。
【0027】
図4に示す紫外線酸化塔622は、ポンプ613から延びる配管615の出口を、反応筒60の下部に接続する。配管615の途中にエジェクター614を設け、オゾナイザー611から延びるオゾン供給管616をエジェクター614に接続する。オゾナイザー611で生成されたオゾンはオゾン供給管616を流れる。ポンプ613の駆動により配管615に水が流れ、エジェクター614において生ずる負圧により、オゾン供給管616からオゾンが配管615内に吸引され、反応筒60内の下部に放出して拡散される。
【0028】
なお、上記の方法は、気体(オゾン)の供給であることから、反応筒60内での気液混合により撹拌効果を十分に得られる。酸化剤として、例えば、過酸化水素水や、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液等の場合は液体であるので、反応筒60内で十分な混合を行う必要がある。そこで、例えば、反応筒60内の底部に散気機構を設け、これにより空気を供給して反応筒60内を撹拌するのがよい。但し、空気等の混合により発泡する水の場合、例えば、消泡剤を添加して撹拌するとよい。図2に示す紫外線酸化塔6において、反応筒60内を混合しないで循環速度を速めることで、放電管63との接触反応時間を保持するようにしてもよい。
【0029】
図1図2を参照し、水処理装置1による水処理工程を説明する。水処理開始時、弁35~37,39を閉に調整する。ポンプ31を駆動すると、原水槽2に貯留された原水が、配管11を流れて反応槽3に移送される。反応槽3に貯留された原水に対して、特殊吸着剤が添加される。特殊吸着剤の添加量の一例は、5000mg/Lである。撹拌機3Aにより、30分~1時間程度撹拌する。このとき、特殊吸着剤に色素成分が吸着し、ほぼ無色透明な液となる。さらに凝集効果を高める為、無機凝集剤が添加され、pH計41の検出値に応じて中和剤が適宜添加される。その後、高分子凝集剤が添加されるとフロックが巨大化し、汚泥が沈降分離する。汚泥を取り除いた上澄み液の水質は、色度成分の吸着除去により、有機物とヘキサン抽出物質(油分)の濃度が大幅に減少する。
【0030】
次いで、弁35を開くことで、凝集後の上澄み液は配管12を流れ、循環水槽5へ移送される。一方、弁36を開くことで、凝集後の汚泥は配管13を流れ、脱水槽4に移送される。汚泥は脱水カゴ40Aにより脱水される。脱水した汚泥は、産業廃棄物として処分する。脱水による濾液は脱水槽4に貯留される。ポンプ32を駆動すると、脱水槽4に貯留された濾液は配管14を流れ、循環水槽5に移送される。それ故、循環水槽5には、凝集後の上澄み液と濾液が第一処理水として貯留される。撹拌機3Aにより、第一処理水が撹拌される。循環水槽5には酸化剤が添加される。酸化剤は、紫外線酸化塔6において利用される。上記の通り、酸化剤には、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムがある。酸化剤の添加方法は、酸化剤の種類により異なる。また、pH計41の検出値に応じて中和剤が適宜添加される。
【0031】
次いで、ポンプ33を駆動すると、循環水槽5に貯留された第一処理水が配管15を流れ、フィルタ部43により濾過される。濾過された第一処理水は、紫外線酸化塔6に移送される。紫外線酸化塔6において、上記の通り、第一処理水に残存する有機物は、OHラジカルによってHOとCOにまで分解される。よって、紫外線酸化塔6の流出管602から有機物が分解された第二処理水が流出する。
【0032】
次いで、ポンプ33を駆動した状態で弁38を開く。これにより、第二処理水は、分岐部19から配管17に流れ、循環水槽5に戻される。ポンプ33を一定時間駆動し続けることで、第二処理水は紫外線酸化塔6を循環するので、第二処理水中の有機物濃度は低下する。有機物濃度が所定レベルまで低下した後、弁38を閉じ、弁37を開く。これにより、紫外線酸化塔6の流出管602から流出した第二処理水は、配管16を流れ、活性炭塔7に移送される。第二処理水が活性炭塔7を通過することにより、第二処理水中の残留酸化剤と残留有機物が吸着される。活性炭塔7を通過した処理水は、最終処理水として河川等に放流される。
【0033】
次に、特殊吸着剤による色素成分の吸着効果を確認する為、確認試験1を行った。試験条件について説明する。確認試験1に用いた原水は浸透探傷廃水である。原水の組成について、pHは7、TOC(全有機炭素)は1500mg/L、COD(化学的酸素要求量)は1300mg/L、油分は1400mg/Lであった。特殊吸着剤は、20~70メッシュ(0.841~0.2mm)に粒径調整されたベントナイトの粒状物(American Colloid Company製、商品名「VOLCLAY ACCOFLOC 361」)を用いた。確認試験1では、特殊吸着剤を原水に対して5000mg/Lとなるように添加し、1時間撹拌した。なお、比較例として、活性炭粉末を原水に添加して同様に撹拌したものを用いた。1時間撹拌後、夫々のTOC、COD、蛍光色の有無について調べた。
【0034】
図5は、確認試験1の結果である。活性炭粉末を添加した処理水において、TOCは1200mg/L、CODは700mg/Lであった。原水のTOC、CODと比べて低減してはいるが、大幅に低減することはできなかった。さらに、原水の蛍光色が消えなかっことから、色素成分の吸着効果は不十分であった。これに対し、特殊吸着剤を添加した処理水においては、TOCは200mg/L、CODは260mg/Lであり、活性炭粉末を添加したものに比べ、大幅に低減した。そして、処理水は無色透明であり、原水の蛍光色が消えたことから、色素成分の吸着効果について実証できた。
【0035】
次に、水処理装置1の水処理工程における水質の変化について確認する為、確認試験2を行った。確認試験2に用いた原水の組成について、TOCは1500mg/L、CODは1300mg/L、BOD(生物化学的酸素要求量)は140mg/L、鉱油類のn-Hexは620mg/L、動植物油類のn-Hexは810mg/Lであった。上記水処理工程において、第一処理水、第二処理水、最終処理水の組成について調べた。第一処理水は、反応槽3における吸着処理、及び凝集処理後の処理水である。第二処理水は、第一処理水を紫外線酸化塔6で反応させ、300分循環させた後の処理水である。最終処理水は、活性炭塔7から排出された処理水である。なお、反応槽3、紫外線酸化塔6、活性炭塔7における夫々の処理条件は以下の通りである。
(ア)反応槽3
・特殊吸着剤・・・5000mg/L
・塩化鉄・・・100mg/L
・高分子凝集剤・・・2mg/L
(イ)紫外線酸化塔6
・リアクター容量・・・4L
・UVランプ・・・40W 低圧水銀灯
・酸化剤・・・過酸化水素
・酸化剤注入量・・・1000mg/L
(ウ)活性炭塔7
・活性炭充填量・・・10L
・通水SV・・・5/h
【0036】
図6は、確認試験2の結果である。第一処理水のTOCは200mg/L、CODは260mg/L、BODは30mg/L、鉱油類のn-Hexは<1、動植物油類のn-Hexは9mg/Lであった。第二処理水のTOCは30mg/L、CODは25mg/L、BODは20mg/L、鉱油類のn-Hexは<1、動植物油類のn-Hexは<1であった。最終処理水のTOCは<5、CODは<10、BODは<10、鉱油類のn-Hexは<1、動植物油類のn-Hexは<1であった。
【0037】
第一処理水の組成を見ると、特殊吸着剤による吸着処理、無機凝集剤と高分子凝集剤による凝集処理により、TOC、COD、BODの何れも低減したことから、原水中の有機物が低減したことが認められるが、TOCとCODを見ると、依然として一定量の有機物が第一処理水中に残存している。なお、鉱油類のn-Hex、動植物油類のn-Hexは大幅に低減していることから、原水中の油は大幅に除去されていることが分かった。
【0038】
そこで、第二処理水の組成を見ると、紫外線酸化塔6において第一処理水中の有機物が分解されることから、第一処理水に比べ、特にTOCとCODが大幅に低減したことが認められる。動植物油類のn-Hexも<1まで低減した。そして、最終処理水の組成を見ると、活性炭塔7において、第二処理水中に残存する有機物が活性炭701によって吸着されることから、TOCは<5、COD、BODの何れも<10まで低減することができた。これにより、水処理装置1の水処理工程は、放流基準を十分に満たす水質レベルまで原水を処理できることが実証された。
【0039】
次に、紫外線酸化塔6の循環処理におけるTOC濃度の変化について確認する為、確認試験3を行った。確認試験3では、紫外線酸化塔6において、循環水槽5との間で第一処理水を循環させる循環処理を300分行い、60分ごとにTOC濃度を計測した。なお、処理開始後30分経過時においてもTOC濃度を計測した。処理開始時の第一処理水のTOCは180mg/Lであった。図7に示すように、循環処理開始後、第一処理水中のTOC濃度は、時間の経過に比例して減少していることが確認できた。循環処理開始300分後、TOCは30mg/Lまで減少した。これにより、紫外線酸化塔6において、循環処理を行うことで、第一処理水中の有機物を分解できることが実証された。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態の水処理装置1は、浸透探傷法で排出される廃水であって、浸透探傷剤を含有し且つ蛍光色を有する廃水をバッチ式で処理する。水処理装置1は、反応槽3に貯留する廃水に特殊吸着剤であるベントナイトの粒状物を添加し、撹拌することによって、廃水の着色成分を吸着して凝集させる。これにより、水処理装置は透明度の高い処理水を得ることができる。
【0041】
以上説明において、反応槽3は本発明の「凝集手段」、「第1添加手段」、「第2添加手段」の一例である。フィルタ部43は本発明の「濾過手段」の一例である。紫外線酸化塔6,621,622は本発明の「紫外線酸化手段」の一例である。活性炭塔7は本発明の「活性炭濾過手段」の一例である。
【0042】
-第2実施形態-
図8を参照し、水処理装置100の構成を説明する。第1実施形態の水処理装置1はバッチ式であるが、第2実施形態の水処理装置100は連続式である。処理する原水量が多い場合、バッチ式よりも連続式で処理するとよい。水処理装置100の構成は、第一実施形態の水処理装置1の構成をベースとし、反応槽3の代わりに反応処理部300を備え、脱水槽4の代わりに脱水処理部400を備え、それ以外は第1実施形態の構成と同じである。よって、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、共通部分については第1実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
反応処理部300は、原水が移送される方向の上流側から順に、第1槽301、第2槽302、第3槽303、第4槽304を直列に備える。第1槽301、第2槽302、第3槽303には、撹拌機51~53が夫々設けられる。第1槽301は、原水槽2から移送される原水を滞留させる。第1槽301には特殊吸着剤が添加され、色素成分の吸着処理が行われる。第2槽302は、第1槽301にて吸着処理された処理水を受け入れる。第2槽302には、無機凝集剤と中和剤が添加され、微粒子を含む懸濁物質の凝集処理が行われる。第2槽302にはpH計41が設けられる。第3槽303は、第2槽302にて凝集処理された後の処理水を受け入れる。第3槽303には、高分子凝集剤が添加され、微粒子を含む懸濁物質の凝集処理が行われる。第4槽304は、第3槽303にて凝集処理された後の処理水を受け入れて貯留する。第4槽304は、第3槽303にて凝集処理された後の処理水を受け入れて、上澄み液と沈殿汚泥に分離する。第4槽304と循環水槽5の間には、配管12が設けられる。
【0044】
脱水処理部400は、汚泥槽401、脱水機402、脱水濾液槽403を備える。汚泥槽401は、反応処理部300の第4槽304から移送された汚泥を貯留する。脱水機402は、汚泥槽401から移送される汚泥を脱水する。脱水機402で脱水された脱水汚泥は、産業廃棄物として処分される。脱水濾液槽403は、脱水機402で分離された濾液を貯留する。汚泥槽401と第4槽304の間には、配管13が設けられる。配管13には弁36が設けられる。汚泥槽401と脱水機402の間には、配管21が設けられる。配管21にはポンプ405が設けられる。脱水機402と脱水濾液槽403の間には、配管22が設けられる。脱水濾液槽403と循環水槽5の間には、配管14が設けられる。配管14にはポンプ32が設けられる。
【0045】
水処理装置100による水処理工程を説明する。ポンプ31を駆動すると、原水槽2に貯留された原水が、配管11を流れて反応処理部300の第1槽301に移送される。原水が第1槽301、第2槽302、第3槽303を順次流れることで、第1槽301にて特殊吸着剤による吸着処理が行われ、第2槽302にて無機凝集剤による凝集処理が行われ、第3槽303にて高分子凝集剤による凝集処理が連続的に行われる。第4槽304では、各処理が行われた処理水が上澄み液と沈殿汚泥に分離される。上澄み液は、配管12を介して循環水槽5に移送される。汚泥は、弁36を開くことで、配管13を介して、脱水処理部400の汚泥槽401に移送される。汚泥槽401に貯留する汚泥は、配管21を介して脱水機402に移送されて脱水される。脱水機402から排出される濾液は、配管22を介して脱水濾液槽403に移送される。ポンプ32の駆動により、脱水濾液槽403に貯留する濾液は、配管14を介して循環水槽5に移送される。よって、循環水槽5は、反応処理部300の第4槽304から移送される凝集後の上澄み液と、脱水処理部400の脱水濾液槽403から移送される濾液を第一処理水として貯留する。なお、循環水槽5以降の処理は、第1実施形態と同じである。ポンプ33を駆動し続け、紫外線酸化塔6において第二処理水を循環させながら、その一部を活性炭塔7に移送して通水させることで、最終処理水が連続的に排出される。
【0046】
以上説明したように、第2実施形態の水処理装置100は、浸透探傷法で排出される廃水であって、浸透探傷剤を含有し且つ蛍光色を有する廃水を連続的に処理する。これにより、原水量が多くても効率よく処理できる。
【0047】
以上説明において、反応処理部300の第1槽301は本発明の「凝集手段」の一例である。第2槽302は本発明の「第1添加手段」の一例である。第3槽303は本発明の「第2添加手段」の一例である。
【0048】
-第3実施形態-
図9を参照し、水処理装置200の構成を説明する。第3実施形態の水処理装置200は、第2実施形態の水処理装置100と同じ連続式である。水処理装置200は、第2実施形態の反応処理部300の第4槽304と循環水槽5の間に、中継槽8と生物処理槽9を備える点で第2実施形態と異なる。よって、第3実施形態では、第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、共通部分については第2実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
中継槽8は、反応処理部300の第4槽304の下流側に設けられる。第4槽304と中継槽8の間には、配管45が設けられる。第4槽304における凝集後の上澄み液は、配管45を介して、中継槽8に移送される。中継槽8と脱水処理部400の脱水濾液槽403の間には、配管23が設けられる、配管23には、ポンプ406が設けられる。よって、ポンプ406の駆動により、脱水濾液槽403に貯留する濾液は、配管23を介して中継槽8に移送される。よって、中継槽8は、反応処理部300の第4槽304から移送される凝集後の上澄み液と、脱水処理部400の脱水濾液槽403から移送される濾液を第一処理水として貯留する。
【0050】
生物処理槽9は、中継槽8の下流側に設けられる。中継槽8と生物処理槽9の間には、配管24が設けられる。配管24には、ポンプ81が設けられる。ポンプ81の駆動により、中継槽8に貯留する第一処理水が、配管24を介して生物処理槽9に移送される。生物処理槽9には、微生物を含む活性汚泥が貯留され、その底部には、ブロワー91に接続される散気管911が設けられる。ブロワー91から供給される空気が散気管911からから生物処理槽9内に供給されることで、活性汚泥と第一処理水が混合して撹拌され、微生物による有機物分解が行われる。生物処理槽9には、浸漬膜92が設けられる。浸漬膜92は、生物処理槽9内で有機物分解された生物処理水を濾過する。浸漬膜92の下方にも、ブロワー94に接続される散気管941が設けられる。浸漬膜92と循環水槽5の間には、配管25が設けられる。配管25には、ポンプ93が設けられる。ポンプ93の駆動により、生物処理水が浸漬膜92を介して吸い上げられ、配管25を介して、循環水槽5に移送される。紫外線酸化塔6と活性炭塔7を接続する配管16の分岐部19と生物処理槽9の間には、配管171が設けられる。配管171には、弁38が設けられる。
【0051】
活性炭塔7の出口には、排出管27が接続される。排出管27の途中には、分岐部28が設けられる。分岐部28と循環水槽5の間には、配管29が設けられる。配管29には、弁71が設けられる。
【0052】
水処理装置200による水処理工程を説明する。水処理装置200は、第2実施形態の水処理装置100と同様に連続的に処理が行われる。原水は反応処理部300において、吸着処理及び凝集処理が行われ、中継槽8に第一処理水が貯留される。第一処理水は、生物処理槽9に移送され、微生物による有機物分解が行われる。生物処理槽9で処理された生物処理水は、循環水槽5を介して、紫外線酸化塔6に移送される。紫外線酸化塔6において、生物処理水中の有機物が分解され、第二処理水として活性炭塔7に移送される。活性炭塔7において、第二処理水中の残留酸化剤と残留有機物が吸着され、排出管27を介して、最終処理水として河川等に放流される。
【0053】
紫外線酸化塔6において、例えば、酸化剤量と紫外線ランプの本数を多くし、循環時間を長くすることで、有機物の殆どを分解できるが、設備コストやランニングコストが増大するという懸念がある。そこで、水処理装置200では、配管171の弁38を開くことで、紫外線酸化塔6で処理された第二処理水の一部又は大部分を、配管171を介して、生物処理槽9に戻すことができる。この循環により、紫外線で部分的な酸化を受けた有機物は、浸漬膜92に生息する微生物によって分解される。なお、この循環は、残留する難分解性物質が比較的濃度の高い場合に適用するとよい。難分解性物質が紫外線酸化により部分的な酸化を受けると生分解性が向上するため、微生物量の多い膜濾過槽へ返送して分解するものである。
【0054】
さらに、配管29の弁71を開くことで、活性炭塔7から排出される最終処理水の一部又は大部分を循環水槽5に戻すことができる。この循環は、残留する難分解性物質が比較的低濃度の場合に適用される。この循環により、活性炭に吸着された有機物は、活性炭塔7内で増殖した微生物により分解される。さらに、酸化剤と紫外線によって生成したOHラジカルにより、活性炭に吸着された有機物はさらに酸化分解を受けることができる。これらを繰り返すことによって、有機物の分解が促進する。そして、これらの効果により有機物分解と共に活性炭が再生されるので、吸着容量が増大し、活性炭の寿命を延ばすことができる。なお、上記2種類の循環は、残留有機物が多ければ多いほど原水流入に対する循環比を大きくする必要があるが、通常は1:0.5~1:5の範囲が好ましい。
【0055】
以上説明したように、第3実施形態の水処理装置200は、第2実施形態と同様に、浸透探傷法で排出される廃水であって、浸透探傷剤を含有し且つ蛍光色を有する廃水を連続的に処理する。これにより、原水量が多くても効率よく処理できる。第3実施形態では、反応処理部300で処理された第一処理水は、生物処理槽9に移送され、微生物による有機物分解が行われる。そして、生物処理槽9で処理された生物処理水は、紫外線酸化塔6に移送され、生物処理槽9で分解できなかった有機物が、紫外線酸化塔6において分解するので、処理水中の有機物を効果的に分解できる。また、紫外線酸化塔6において難分解性有機物が紫外線酸化により部分的な酸化を受けると生分解性が向上するので、その一部を配管17を介して生物処理槽9に戻すことで、有機物の分解を促進できる。さらに、紫外線酸化塔6で処理された第二処理水は、活性炭塔7において吸着処理される。活性炭に吸着された有機物は活性炭内で増殖した微生物により分解される。酸化剤と紫外線によって生成したOHラジカルにより活性炭に吸着された有機物がさらに酸化分解を受ける。そのような処理水の一部を配管29及び循環水槽5を介して紫外線酸化塔6に戻すことで、有機物の分解を促進できる。
【0056】
以上説明において、生物処理槽9は本発明の「生物処理手段」の一例である。配管171は本発明の「第1循環手段」の一例である。配管29は本発明の「第2循環手段」の一例である。浸漬膜92は本発明の「浸漬膜式濾過手段」の一例である。
【0057】
なお、本発明は上記の第1~第3実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。上記実施形態において、原水に対して、特殊吸着剤を5000mg/Lとなるように添加しているが、適宜変更してもよい。例えば、目安として、原水のTOC(全有機炭素濃度)に対し、0.5~10倍の割合となるように特殊吸着剤を添加してもよい。なお、この添加割合の範囲は、原水の性状に応じて適宜変更してもよい。
【0058】
また、第1実施形態は、脱水槽4の代わりに、第2実施形態の脱水処理部400を備えてもよい。また、第2実施形態及び第3実施形態は、脱水処理部400の代わりに、第1実施形態の脱水槽4(脱水カゴ40Aを含む)を備えてもよい。脱水の方式は種々変更可能である。
【0059】
また、紫外線酸化塔6の放電管63は低圧水銀灯であるが、少なくとも185nmの波長を有する紫外線を発光するものであれば水銀ランプ等に限らず何でもよく、例えばLEDでもよい。
【0060】
フィルタ部43は砂濾過、又はカートリッジ濾過等の濾過過方式であるが、他の濾過方式であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,100,200 水処理装置
3 反応槽
6,621,622 紫外線酸化塔
7 活性炭塔
9 生物処理槽
17,29 配管
43 フィルタ部
300 反応処理部
301 第1槽
302 第2槽
303 第3槽
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9