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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/012 20060101AFI20241001BHJP
   A61G 7/018 20060101ALI20241001BHJP
   A47C 19/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61G7/012
A61G7/018
A47C19/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020132201
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029082
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】392030623
【氏名又は名称】株式会社ランダルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】植原 貴久
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3113490(JP,U)
【文献】特開2011-194107(JP,A)
【文献】特開2009-261746(JP,A)
【文献】特開平07-008481(JP,A)
【文献】特開2009-207642(JP,A)
【文献】特開2014-113463(JP,A)
【文献】特開2001-340394(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076554(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/00 - A61G 7/16
A47C 17/00 - A47C 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフレーム及び該ベースフレームの上方に配置されるベッドフレームと、
前記ベッドフレームを前記ベースフレームに対して昇降可能に支持する昇降機構とを備え、
前記昇降機構は、
前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの一方の長手方向の一側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共に前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの他方の前記長手方向の一側に対し少なくとも回動可能に結合された第1起伏部材と、
前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの他方の前記長手方向の他側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共に前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの一方の前記長手方向の他側に対し少なくとも回動可能に結合された第2起伏部材と、
前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材の中間部を相互に連結し前記長手方向に動作することで前記第1及び前記第2起伏部材を一体に起伏動作させる連結部材と、
前記ベッドフレーム又は前記ベースフレームと前記連結部材とに対して回転可能且つ移動不能に結合され前記連結部材を前記長手方向に駆動する駆動部と、
を備え、
前記連結部材は、前記長手方向に延びる長尺部材であり、前記長手方向の両端部が前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材に対して回動可能且つ移動不能に結合され、前記長手方向に移動することで前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材が一体に起伏動作させる部材本体を備え、
前記駆動部は、一方の結合部が前記部材本体に軸支された構成であり、他方の結合部が前記ベッドフレーム又は前記ベースフレーム軸支された構成であり、前記一方及び他方の結合部が相互に前記長手方向にずれることで前記第1起伏部材と交差するように傾斜する、
ベッド装置。
【請求項2】
請求項1記載のベッド装置であって、
前記連結部材は、前記第2起伏部材の中間部に回動可能且つ移動不能に結合されると共に前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの一方に回動可能且つ移動不能に結合されたリンク部を備え、
前記部材本体は、前記リンク部と前記第1起伏部材の中間部とに回動可能且つ移動不能に結合された、
ベッド装置。
【請求項3】
請求項2記載のベッド装置であって、
前記リンク部は、該リンク部よりも前記部材本体の移動方向に対して起立した可動アームを一体的に回動可能に備え、
前記部材本体は、前記可動アームを介して前記リンク部に結合された、
ベッド装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のベッド装置であって、
前記駆動部は、前記ベッドフレーム又は前記ベースフレームに対する結合位置が前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームに対する前記第1起伏部材の結合位置の少なくとも一方に対して前記長手方向の外側に配置された、
ベッド装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のベッド装置であって、
前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材は、前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームに対する結合位置が前記長手方向にずれることで傾斜し、前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材の前記傾斜の方向は、相互に逆向きである、
ベッド装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のベッド装置であって、
前記駆動部は、動アクチュエーターである、
ベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドフレームを昇降可能なベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のベッド装置としては、例えば特許文献1のように、ベッドフレームであるベッド支持材を床部材に対して昇降機構により昇降可能に支持したものがある。
【0003】
昇降機構は、下リンクをベッド支持材の長手方向の両側に備えている。各下リンクは、一側がベッド支持材に回動可能且つ長手方向に移動可能に結合され、他側が床部材に回動可能且つ移動不能に結合されている。下リンクの中間部は、伸縮動作を行う動力アクチュエーターによって相互に連結されている。
【0004】
従って、動力アクチュエーターに伸縮動作を行わせることで下リンクを起伏させ、ベッド支持材を昇降させることができる。
【0005】
かかるベッド装置では、下リンクのベッド支持材に対する結合が何れも長手方向に移動可能なものであるので、剛性が低くなりやすい。このため、下リンクの中間部とベッド支持材とにそれぞれ回動可能且つ移動不能に結合された上リンクを設けて、ベッド装置の剛性が確保されている。
【0006】
しかし、上リンクは、下リンクと共に起伏するが、起伏状態(傾斜状態)によっては動力アクチュエーターの伸縮動作を妨げ、結果としてベッド支持材の昇降動作を妨げるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3076554号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、ベッドフレームを昇降させる昇降機構によりベッド装置の剛性を確保する場合に、ベッドフレームの昇降動作が妨げられるおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ベースフレーム及び該ベースフレームの上方に配置されるベッドフレームと、前記ベッドフレームを前記ベースフレームに対して昇降可能に支持する昇降機構とを備え、前記昇降機構は、前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの一方の長手方向の一側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共に前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの他方の前記長手方向の一側に対し少なくとも回動可能に結合された第1起伏部材と、前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの他方の前記長手方向の他側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共に前記ベースフレーム及び前記ベッドフレームの一方の前記長手方向の他側に対し少なくとも回動可能に結合された第2起伏部材と、前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材の中間部を相互に連結し前記長手方向に動作することで前記第1及び前記第2起伏部材を一体に起伏動作させる連結部材と、前記ベッドフレーム又は前記ベースフレームと前記連結部材とに対して回転可能且つ移動不能に結合され前記連結部材を前記長手方向に駆動する駆動部と、を備え、前記連結部材は、前記長手方向に延びる長尺部材であり、前記長手方向の両端部が前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材に対して回動可能且つ移動不能に結合され、前記長手方向に移動することで前記第1起伏部材及び前記第2起伏部材が一体に起伏動作させる部材本体を備え、前記駆動部は、一方の結合部が前記部材本体に軸支された構成であり、他方の結合部が前記ベッドフレーム又は前記ベースフレーム軸支された構成であり、前記一方及び他方の結合部が相互に前記長手方向にずれることで前記第1起伏部材と交差するように傾斜する、ことをベッド装置の最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベッドフレームの昇降動作が妨げられることなく、また昇降機構によりベッド装置の剛性確保されているため、動作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ベッド装置を示す斜視図である(実施例1)。
図2図1のベッド装置の一部を省略した側面図である(実施例1)。
図3図1のベッド装置の平面図である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ベッドフレームの昇降動作が妨げられることなく、昇降機構によりベッド装置の剛性を確保するという目的を、第1起伏部材と第2起伏部材の長手方向に移動可能な結合をそれぞれベースフレームとベッドフレームとに分け、ベースフレーム又はベッドフレームに対する駆動部の結合部分で駆動部及び連結部材を介して第1起伏部材及び第2起伏部材の中間部を受けることにより実現した。
【0013】
すなわち、ベッド装置(1)は、ベースフレーム(3)及びこのベースフレーム(3)の上方に配置されるベッドフレーム(5)と、ベッドフレーム(5)をベースフレーム(3)に対して昇降可能に支持する昇降機構(7)とを備える。
【0014】
昇降機構(7)は、第1起伏部材(9)と、第2起伏部材(11)と、連結部材(13)と、駆動部(15)とを備える。
【0015】
第1起伏部材(9)は、ベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)の一方の長手方向の一側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共にベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)の他方の長手方向の一側に対少なくともし回動可能に結合される。
【0016】
第2起伏部材(11)は、ベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)の他方の長手方向の他側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共にベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)の一方の長手方向の他側に対し少なくとも回動可能に結合される。
【0017】
連結部材(13)は、第1起伏部材(9)及び第2起伏部材(11)の中間部を相互に連結し、長手方向に動作することで第1及び第2起伏部材(11)を一体に起伏動作させる。
【0018】
駆動部(15)は、ベッドフレーム(5)又はベースフレーム(3)と第1起伏部材(9)及び第2起伏部材(11)の中間部の一方又は連結部材(13)とに対して回転可能且つ移動不能に結合され、連結部材(13)を長手方向に駆動する。
【0019】
連結部材(13)は、リンク部(29)と、部材本体(31)とを備えた構成としても良い。リンク部(29)は、第2起伏部材(11)の中間部に回動可能且つ移動不能に結合されると共にベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)の一方に回動可能且つ移動不能に結合される。部材本体(31)は、リンク部(29)と第1起伏部材(9)の中間部とに回動可能且つ移動不能に結合され全体として長手方向に移動可能となっている。
【0020】
リンク部(29)は、このリンク部(29)よりも部材本体(31)の移動方向に対して起立した可動アーム(37)を一体的に回動可能に備えてもよい。この場合、部材本体(31)は、可動アーム(37)を介してリンク部(29)に結合される。
【0021】
駆動部(15)は、ベッドフレーム(5)又はベースフレーム(3)に対する結合位置がベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)に対する第1起伏部材(9)の結合位置の少なくとも一方に対して長手方向の外側に配置されてもよい。
【0022】
第1起伏部材(9)及び第2起伏部材(11)は、ベースフレーム(3)及びベッドフレーム(5)に対する結合位置が長手方向にずれることで傾斜し、第1起伏部材(9)及び第2起伏部材(11)の傾斜の方向は、相互に逆向きである構成としてもよい。
【0023】
駆動部(15)は、ベッドフレーム(5)又はベースフレーム(3)に対する結合位置と連結部材(13)に対する結合位置が長手方向にずれることで第1起伏部材(9)と交差するように傾斜してもよい。
【実施例1】
【0024】
[ベッド装置の構成]
図1は、本発明の実施例1に係るベッド装置を示す斜視図、図2は、同一部を省略した側面図、図3は、同平面図である。
【0025】
本実施例のベッド装置1は、例えば介護施設や病院等で用いられ、図示しないボトムやマットレスの位置を昇降可能としたものである。このベッド装置1は、ベースフレーム3と、ベッドフレーム5と、昇降機構7とを備え、ベースフレーム3に対してベッドフレーム5が昇降機構7により昇降可能に支持されている。
【0026】
なお、図1図3のベッド装置1では、理解容易のために昇降に関する構成以外は省略されているが、背上げ機構、膝上げ機構等の他の構成を有することも可能である。
【0027】
ベースフレーム3は、平面視において矩形枠状に形成され、四隅に脚部3aが取り付けられている。この脚部3aにより、ベースフレーム3は、設置面上に設置される。ベースフレーム3の上方には、昇降機構7を介してベッドフレーム5が配置されている。
【0028】
ベッドフレーム5は、ベースフレーム3と同様、平面視において矩形枠状に形成されて、図示しないボトムやマットレスを支持可能とする。
【0029】
昇降機構7は、第1起伏部材9と、第2起伏部材11と、連結部材13と、駆動部15とを備える。
【0030】
第1起伏部材9は、ベッド装置1の長手方向の一側(図2における右側)に配置されている。なお、ベッド装置1の長手方向の一側とは、ベッド装置1の長手方向の中央に対する一方側を意味する。また、ベッド装置1の長手方向の他側(図2における左側)は、ベッド装置1の長手方向の中央に対する他方側を意味する。
【0031】
第1起伏部材9は、長尺状、例えば棒状や筒状等に形成されており、ベッド装置1の幅方向の両側に一対設けられている。一対の第1起伏部材9は、平面視におけるベッド装置1の長手方向に沿った中心線に対して対称に構成され、相互に連結軸17によって連結されている。
【0032】
各第1起伏部材9は、一側(図2における上側)がベースフレーム3及びベッドフレーム5の一方であるベッドフレーム5の長手方向の一側に結合され、他側(図2における下側)がベースフレーム3及びベッドフレーム5の他方であるベースフレーム3の長手方向の一側に結合されている。なお、第1起伏部材9は、一つのみ設け、両側を支持用の軸を介してベースフレーム3及びベースフレーム3に結合する構成としてもよい。
【0033】
第1起伏部材9の一側及び他側は、第1起伏部材9の長手方向の中央に対する一方側及び他方側をそれぞれ意味する。
【0034】
第1起伏部材9の結合部9a,9bは、それぞれ一側における端部(一端)及び他側における端部(他端)となっている。ただし、結合部9a,9bは、第1起伏部材9の一端及び他端に限られるものではない。
【0035】
第1起伏部材9の一側の結合部9aは、ベッドフレーム5に対して回動可能且つ移動不能なものとなっている。なお、移動不能とは、ベッド装置1の長手方向、幅方向、上下方向において移動不能を意味する(以下、同じ。)。本実施例において、一側の結合部9aは、第1起伏部材9がベッドフレーム5に軸支される構成となっている。
【0036】
第1起伏部材9の他側の結合部9bは、ベースフレーム3に対して回動可能且つ長手方向に移動可能なものとなっている。ただし、結合部9bは、少なくともベースフレーム3に対して回動可能となっていればよく、長手方向に移動不能としてもよい。なお、長手方向に移動可能とは、ベッド装置1の長手方向にのみ移動可能であることをいい、ベッド装置1の幅方向、上下方向には移動不能なことを意味する。本実施例において、他側の結合部9bは、第1起伏部材9に取り付けたローラー19がベースフレーム3に取り付けたレール21に長手方向で走行可能に支持されている。なお、ローラー19を省略し、第1起伏部材9に取り付けた軸を長手方向でスライド可能にレール21に支持する構成としても良い。また、結合部9bを長手方向に移動不能とする場合、後述する連結部材13の部材本体31の一側を第1起伏部材9の長手方向に移動自在に第1起伏部材9に対して軸支すればよい。
【0037】
第2起伏部材11は、ベッド装置1の長手方向の他側に配置されている。第2起伏部材11は、第1起伏部材9と同様、長尺状、例えば棒状や筒状等に形成されており、ベッド装置1の幅方向の両側に一対設けられている。一対の第2起伏部材11は、ベッド装置1の中心線に対して対称に構成され、相互に連結軸23によって連結されている。
【0038】
各第2起伏部材11は、一側(図2における下側)がベースフレーム3及びベッドフレーム5の他方であるベースフレーム3の長手方向の他側に結合され、他側(図2における上側)がベースフレーム3及びベッドフレーム5の一方であるベッドフレーム5の長手方向の他側に結合されている。
【0039】
本実施例において、第2起伏部材11の結合部11a,11bは、一側における端部(一端)及び他側における端部(他端)となっている。ただし、結合部11a,11bは、第2起伏部材11の一端及び他端に限られるものではない。
【0040】
第2起伏部材11の一側の結合部11aは、ベースフレーム3に対して回動可能且つ移動不能なものとなっている。この一側の結合部11aは、連結軸23が軸受等によりベースフレーム3に可動自在且つ移動不能に支持され、第2起伏部材11がベースフレーム3に軸支される構成となっている。
【0041】
第2起伏部材11の他側の結合部11bは、ベッドフレーム5に対して回動可能且つ長手方向に移動可能なものとなっており、第1起伏部材9の結合部9bと同様にして、第2起伏部材11に取り付けたローラー25がベッドフレーム5に取り付けたレール27に長手方向で走行可能に支持されている。ただし、結合部11bは、少なくともベースフレーム3に対して回動可能となっていればよく、長手方向に移動不能としてもよい。この場合、リンク部29の一側の結合部29bを、ベッドフレーム5に対して長手方向に移動自在とする。
【0042】
なお、一側の結合部11aを長手方向に移動可能とし、他側の結合部11bを移動不能としてもよい。この場合、第1起伏部材9の一側の結合部9aを長手方向に移動可能とし、第1起伏部材9の他側の結合部9bを移動不能とする。
【0043】
第1起伏部材9及び第2起伏部材11のそれぞれは、ベースフレーム3及びベッドフレーム5に対する結合位置が長手方向にずれることで傾斜している。本実施例では、側面視において、第1起伏部材9及び第2起伏部材11が上方に向かって漸次間隔が狭くなるようにハの字状又は逆V字状であり、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の傾斜の方向が相互に逆向きとなっている。
【0044】
なお、第1起伏部材9及び第2起伏部材11は、上方に向かって漸次間隔が広くなるように、逆ハの字又はV字状としてもよい。また、第1起伏部材9及び第2起伏部材11は、同一方向に傾斜していてもよい。
【0045】
連結部材13は、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部を相互に連結し、長手方向に動作することで第1及び第2起伏部材9,11を一体に起伏動作させる。起伏動作とは、起立・倒伏させる動作を意味する。なお、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部とは、それぞれ第1起伏部材9の端部間の部位及び第2起伏部材11の端部間の部位を意味する。
【0046】
本実施例の起伏動作では、第1及び第2起伏部材9,11が水平方向に対して角度を増加させるように傾動することで起立し、同角度を減少させるように傾動することで倒伏する。
【0047】
かかる連結部材13は、リンク部29と、部材本体31とを備えている。
【0048】
リンク部29は、長尺状、例えば一対の板状片を結合したものであり、ベッド装置1の幅方向の両側に一対設けられている。一対のリンク部29は、平面視におけるベッド装置1の長手方向に沿った中心線に対して対称に構成され、相互に連結軸33によって連結されている。
【0049】
各リンク部29は、一側(図2における下側)が第2起伏部材11の中間部に回動可能且つ移動不能に結合され、他側(図2における上側)がベースフレーム3及びベッドフレーム5の一方であるベッドフレーム5に回動可能且つ移動不能に結合される。リンク部29の他側をベースフレーム3に結合してもよいことは勿論である。
【0050】
リンク部29の一側の結合部29aは、リンク部29の一側を第2起伏部材11に軸支した構成となっている。リンク部29の他側の結合部29bは、リンク部29の他側を支持軸35が挿通する構成となっている。支持軸35は、ベッドフレーム5に回動自在且つ移動不能に支持され、幅方向に延びている。
【0051】
連結部材13の部材本体31は、動作として長手方向に移動するものであり、リンク部29と第1起伏部材9の中間部に回動可能且つ移動不能に結合される。本実施例の部材本体31は、長手方向に沿った長尺状、例えば棒状や筒状等であり、一側が第1起伏部材9の中間部に軸支され、他側がリンク部29の連結軸33に一体回転するように固定された可動アーム37に軸支されている。この可動アーム37は、リンク部29よりも部材本体31の移動方向である水平方向(長手方向)に対して起立した状態となっている。
【0052】
なお、連結部材13は、リンク部29を省略することも可能である。例えば、連結部材13は、伸縮可能な棒やシリンダ若しくはパンタグラフ機構等で構成してもよい。この場合、連結部材13は、両側が第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部に回動自在且つ移動不能に結合され、伸縮する動作を行う。
【0053】
駆動部15は、連結部材13を長手方向に駆動するものである。本実施例の駆動部15は、直動アクチュエーターによって構成されている。直動アクチュエーターとしては、ボールねじ機構、シリンダ装置等を用いればよい。なお、駆動部15は、直動アクチュエーター以外であってもよく、電動モーター等を採用することも可能である。
【0054】
駆動部15は、基部39及びこの基部39に支持された伸縮部41を備え、給電に応じて伸縮部41が伸縮する。この駆動部15は、ベッドフレーム5にと連結部材13とに対して回転可能且つ移動不能に結合されている。ただし、駆動部15をベースフレーム3と連結部材13とに対して結合してもよい。或いは、駆動部15をベッドフレーム5(又はベースフレーム3)と第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部の一方とに対して結合してもよい。
【0055】
ベッドフレーム5に対する結合部39aは、駆動部15の基部39に一体に設けられた結合アーム43が結合軸45に挿通状態で軸支された構成となっている。結合軸45は、ベッドフレーム5に固定され、幅方向に延びている。ここでの固定とは、回動不能且つ移動不能に固定することを意味する。
【0056】
連結部材13に対する結合部41aは、駆動部15の伸縮部41の先端部が連結部材13に軸支された構成となっている。なお、上記のように駆動部15をベッドフレーム5(又はベースフレーム3)と第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部の一方とに対して結合する場合は、駆動部15が結合される第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部に結合用のアームを設け、このアームに駆動部15の伸縮部41の先端部を軸支すればよい。
【0057】
駆動部15は、ベッドフレーム5に対する結合位置である結合部39aと連結部材13に対する結合位置である結合部41aが長手方向にずれることで第1起伏部材9と交差するように傾斜する。
【0058】
これにより、結合部39aは、ベースフレーム3及びベッドフレーム5に対する第1起伏部材9の結合位置である結合部9a,9bの少なくとも一方に対して長手方向の外側に配置されている。本実施例では、長手方向における結合部9a,9bの間に結合部39aが位置している。
【0059】
ただし、結合部39aは、結合部9a,9bの双方に対して長手方向の外側に位置してもよい。また、結合部39aは、結合部9a,9bよりも長手方向の内側に位置してもよい。なお、長手方向の外側とは、結合部9a,9bを基準とし、長手方向において近い方の端部寄りの位置をいう。
【0060】
[ベッドフレームの動作]
本実施例のベッド装置1では、昇降機構7の駆動部15の伸縮部41を伸縮させると、連結部材13が長手方向に動作する。すなわち、連結部材13は、部材本体31が長手方向に移動し、これに応じて一方で第1起伏部材9を直接的に起伏させ、他方でリンク部29を起伏させることで第2起伏部材11を連動して間接的に起伏させる。
【0061】
リンク部29を起伏させる際は、部材本体31が結合されている可動アーム37がリンク部29よりも部材本体31の移動方向に対して起立した状態となっているので、リンク部29の傾斜状態に拘わらず、可動アーム37を介してリンク部29を円滑に起伏させることができる。
【0062】
こうして第1及び第2起伏部材9,11を起伏させることにより、第1及び第2起伏部材11のベッドフレーム5に対する結合位置が上下し、ベッドフレーム5が昇降することになる。
【0063】
かかる昇降の際には、ベッド装置1の剛性が確保されているため、動作を円滑に行うことができる。
【0064】
すなわち、第1起伏部材9と第2起伏部材11の長手方向に移動可能な結合が、ベースフレーム3とベッドフレーム5とに分かれている。これにより、第1起伏部材9と第2起伏部材11の長手方向に移動可能な結合がベースフレーム3又はベッドフレーム5の何れか一方に集中することを防止され、ベッド装置1の剛性が向上する。
【0065】
しかも、ベッドフレーム5に対する駆動部15の結合部39aにより、連結部材13及び駆動部15を介して第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部が受けられている。このため、駆動部15を利用して第1起伏部材9及び第2起伏部材11の支持が強化され、ベッド装置1の剛性が向上する。なお、上記のように駆動部15をベッドフレーム5(又はベースフレーム3)と第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部の一方とに対して結合する場合も、同様に連結部材13及び駆動部15を介して第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部を受けることができる。
【0066】
また、本実施例では、ベッドフレーム5に対する駆動部15の結合部39aがベッドフレーム5に対する第1起伏部材9の結合位置に対して長手方向の外側に配置されていることにより、よりベッド装置1の剛性が向上されている。
【0067】
さらに、本実施例では、第1起伏部材9及び第2起伏部材11がハの字状に逆向きに傾斜しているため、よりベッド装置1の剛性が向上されている。
【0068】
しかも、本実施例では、駆動部15が第1起伏部材9と交差するように傾斜しているため、筋交いのように機能して、よりベッド装置1の剛性が向上されている。
【0069】
結果として、上記のようにベッド装置1の剛性が確保されることになる。従って、ベッドフレーム5が昇降する際の揺れや振動が防止され、動作が安定して円滑になる。
【0070】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例のベッド装置1は、ベースフレーム3及びこのベースフレーム3の上方に配置されるベッドフレーム5と、ベッドフレーム5をベースフレーム3に対して昇降可能に支持する昇降機構7とを備える。
【0071】
昇降機構7は、ベースフレーム3及びベッドフレーム5の一方であるベッドフレーム5の長手方向の一側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共にベースフレーム3及びベッドフレーム5の他方であるベースフレーム3の長手方向の一側に対し少なくとも回動可能に結合された第1起伏部材9と、ベースフレーム3の長手方向の他側に対し回動可能且つ移動不能に結合されると共にベッドフレーム5の長手方向の他側に対し少なくとも回動可能に結合された第2起伏部材11と、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部を相互に連結し、長手方向に動作することで第1及び第2起伏部材9及び11を一体に起伏動作させる連結部材13と、ベッドフレーム5と連結部材13とに対して回転可能且つ移動不能に結合され、連結部材13を長手方向に駆動する駆動部15と、を備える。
【0072】
従って、少なくとも第1起伏部材9と第2起伏部材11の長手方向に移動可能な結合をベースフレーム3とベッドフレーム5とに分けることができ、ベッド装置1の剛性を向上できる。その上、ベッドフレーム5に対する駆動部15の結合部39aで連結部材13及び駆動部15を介して第1起伏部材9及び第2起伏部材11の中間部を受け、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の支持を強化してベッド装置1の剛性を向上できる。
【0073】
結果として、第1起伏部材9及び第2起伏部材11に結合したリンク等で剛性を確保する必要がないので、ベッドフレーム5の昇降動作が妨げられることなく、昇降機構7によりベッド装置1の剛性を確保することができる。
【0074】
また、本実施例では、剛性向上のために、上記のように長手方向に移動可能な結合を分散させ、且つ駆動部15を利用することで、構成を簡素化することができる。
【0075】
連結部材13は、第2起伏部材11の中間部に回動可能且つ移動不能に結合されると共にベッドフレーム5に回動可能且つ移動不能に結合されたリンク部29と、このリンク部29と第1起伏部材9の中間部とに回動可能且つ移動不能に結合され、長手方向への移動を行う部材本体31とを備えている。
【0076】
従って、部材本体31を長手方向に移動させ、一方で第1起伏部材9を直接的に起伏させ、他方でリンク部29を起伏させることで第2起伏部材11を連動して間接的に起伏させることができる。
【0077】
これにより、リンク部29を設けても、リンク部29を直接的に起伏させることで、リンク部29が第2起伏部材11の起伏の妨げになることを抑制し、ベッド装置1の昇降動作の円滑化を図ることができる。
【0078】
リンク部29は、このリンク部29よりも部材本体31の移動方向に対して起立した可動アーム37を一体的に回動可能に備え、部材本体31は、可動アーム37を介してリンク部29に結合されている。
【0079】
従って、リンク部29の傾斜状態に拘わらず、可動アーム37を介してリンク部29を円滑に起伏させることができる。
【0080】
駆動部15は、ベッドフレーム5に対する結合位置がベッドフレーム5に対する第1起伏部材9の結合位置に対して長手方向の外側に配置されているので、よりベッド装置1の剛性を向上させることができる。
【0081】
また、第1起伏部材9及び第2起伏部材11は、ベースフレーム3及びベッドフレーム5に対する結合位置が前記長手方向にずれることで傾斜し、第1起伏部材9及び第2起伏部材11の傾斜の方向は、相互に逆向きである。
【0082】
これにより、よりベッド装置1の剛性を向上させることができる。
【0083】
駆動部15は、ベッドフレーム5に対する結合位置と連結部材13に対する結合位置が長手方向にずれることで第1起伏部材9と交差するように傾斜している。
【0084】
従って、駆動部15及び第1起伏部材9を筋交いのように機能させることができ、よりベッド装置1の剛性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 ベッド装置
3 ベースフレーム
5 ベッドフレーム
7 昇降機構
9 第1起伏部材
11 第2起伏部材
13 連結部材
15 駆動部
29 リンク部
31 部材本体
37 可動アーム
図1
図2
図3