(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理装置および診療システム
(51)【国際特許分類】
A61G 15/10 20060101AFI20241001BHJP
A61G 13/10 20060101ALI20241001BHJP
A61C 19/00 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
A61G15/10
A61G13/10
A61C19/00 H
(21)【出願番号】P 2020147633
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】上田 智章
(72)【発明者】
【氏名】細川 洋一
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-057320(JP,A)
【文献】特開2020-039808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/10
A61G 13/10
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、
患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段と
を備え
、
前記表示手段は、複数の診療台で撮影された前記患者の画像および前記診療に関する情報を、1台の前記端末装置にまとめて表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、
患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段と
を備え
、
前記表示手段は、前記端末装置の操作者を認証した後に、前記患者の画像および前記診療に関する情報を当該端末装置に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、
患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段と
、
前記端末装置で撮影された操作者の画像を取得する他の取得手段と、
前記操作者の画像を、前記診療台に設置された表示部に表示させる他の表示手段と
を備える情報処理装置。
【請求項4】
前記他の表示手段は、前記操作者の画像とともに、前記端末装置で収録された操作者の音声を出力させ、または、当該端末装置に入力されたメッセージを前記表示部に表示させることを特徴とする
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
患者の診療を行う診療装置と、
患者以外の操作者が操作する端末装置と、
患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置と
を備え
、
前記制御装置は、複数の診療台で撮影された前記患者の画像および前記診療に関する情報を、1台の前記端末装置にまとめて表示させることを特徴とする診療システム。
【請求項6】
患者の診療を行う診療装置と、
患者以外の操作者が操作する端末装置と、
患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置と
を備え
、
前記制御装置は、前記端末装置の操作者を認証した後に、前記患者の画像および前記診療に関する情報を当該端末装置に表示させることを特徴とする診療システム。
【請求項7】
患者の診療を行う診療装置と、
患者以外の操作者が操作する端末装置と、
患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置と
を備え
、
前記制御装置は、前記端末装置で撮影された操作者の画像を取得し、当該操作者の画像を、前記診療装置に設置された表示部に表示させることを特徴とする診療システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記操作者の画像とともに、前記端末装置で収録された操作者の音声を出力させ、または、当該端末装置に入力されたメッセージを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7に記載の診療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および診療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートに着座した患者の口腔部等を撮影する撮影部を備えた診療台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
診療台で患者の診療を行う場合、患者の保護者や付き添い者等のような患者以外の者は、患者の様子や診療に関する情報を知ることが困難である。
本発明は、診療台で診療を受けている患者以外の者が、患者の様子や診療に関する情報を知ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明が適用される情報処理装置は、診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段とを備え、前記表示手段は、複数の診療台で撮影された前記患者の画像および前記診療に関する情報を、1台の前記端末装置にまとめて表示させることを特徴とする情報処理装置である。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される情報処理装置は、診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段とを備え、前記表示手段は、前記端末装置の操作者を認証した後に、前記患者の画像および前記診療に関する情報を当該端末装置に表示させることを特徴とする情報処理装置である。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される情報処理装置は、診療台で診療を受けている患者の画像を取得する取得手段と、患者が前記診療台で診療を受けている期間に、前記患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを併せて、患者以外の操作者が操作する端末装置に表示させる表示手段と、前記端末装置で撮影された操作者の画像を取得する他の取得手段と、前記操作者の画像を、前記診療台に設置された表示部に表示させる他の表示手段とを備える情報処理装置である。
ここで、前記他の表示手段は、前記操作者の画像とともに、前記端末装置で収録された操作者の音声を出力させ、または、当該端末装置に入力されたメッセージを前記表示部に表示させることを特徴とすることができる。
【0006】
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される診療システムは、患者の診療を行う診療装置と、患者以外の操作者が操作する端末装置と、患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置とを備え、前記制御装置は、複数の診療台で撮影された前記患者の画像および前記診療に関する情報を、1台の前記端末装置にまとめて表示させることを特徴とする診療システムである。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される診療システムは、患者の診療を行う診療装置と、患者以外の操作者が操作する端末装置と、患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記端末装置の操作者を認証した後に、前記患者の画像および前記診療に関する情報を当該端末装置に表示させることを特徴とする診療システムである。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される診療システムは、患者の診療を行う診療装置と、患者以外の操作者が操作する端末装置と、患者が前記診療装置で診療を受けている期間に、当該診療装置で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、前記端末装置に表示させる制御装置とを備え、前記制御装置は、前記端末装置で撮影された操作者の画像を取得し、当該操作者の画像を、前記診療装置に設置された表示部に表示させることを特徴とする診療システムである。
ここで、前記制御装置は、前記操作者の画像とともに、前記端末装置で収録された操作者の音声を出力させ、または、当該端末装置に入力されたメッセージを前記表示部に表示させることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、診療を受けている患者の様子や診療に関する情報を、患者から離れた場所でも知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態が適用される診療システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本実施の形態が適用される歯科用診療装置の構成を示した斜視図である。
【
図4】本実施の形態が適用される制御装置の主な機能構成を示した機能ブロック図である。
【
図5】制御装置により行われる処理の手順を示したフローチャートである。
【
図6】端末装置の端末表示部に表示される表示内容の一例を示した図である。
【
図7】端末装置の端末表示部に表示される表示内容の他の一例を示した図である。
【
図8】表示装置に表示される表示内容の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(診療システム)
図1は、本実施の形態が適用される診療システム1の全体構成を示した図である。
図1に示すように、本実施の形態の診療システム1は、診療システムの一例であり、診療を受ける患者や診療を行う医師等が使用する診療装置の一例としての歯科用診療装置10と、歯科用診療装置10から離れた場所において、診療を受ける患者および診療を行う医師等以外の第三者が使用する端末装置30と、診療システム1全体の制御を行う情報処理装置または制御装置の一例としての制御装置50とを備えている。本実施の形態の診療システム1では、歯科用診療装置10および端末装置30は、それぞれ、有線または無線のネットワークを介して制御装置50と通信可能に構成されている。
ここで、本実施の形態の説明において「診療」とは、診察および治療の他、診察および治療に付随する行為を含む。また、「診療を行う医師等」には、医師の他、歯科用診療装置10において医師による診療の補助を行うアシスタント等も含む。
【0010】
(歯科用診療装置)
図2は、本実施の形態が適用される歯科用診療装置10の構成を示した斜視図である。また、
図3は、
図2をIII方向から見た図であって、後述する照明装置7および撮影装置8を正面から見た図である。
図2に示すように、歯科用診療装置10は、床面の上に設けられ、診療を受ける患者を支持する診療台の一例としての診療用椅子2を備えている。
【0011】
また、歯科用診療装置10は、医師用の診療用器具(インスツルメント)等を置くための医師用トレーテーブル3と、医師用の診療用器具が抜差し自在に保持される医師用インスツルメントホルダ4と、アシスタント用の診療用器具が抜差し自在に支持されるアシスタント用インスツルメントホルダ5とを備えている。
医師用トレーテーブル3および医師用インスツルメントホルダ4は、診療用椅子2の脇に設けられている。また、アシスタント用インスツルメントホルダ5は、医師用トレーテーブル3および医師用インスツルメントホルダ4に対し、診療用椅子2を挟んで反対側に設けられている。
【0012】
医師用インスツルメントホルダ4に保持される医師用の診療用器具としては、例えば、エアタービンハンドピース、マイクロモータハンドピース、スケーラ、スリーウェーシリンジ、根管長測定器、根管拡大器、口腔内カメラ等を挙げることができる。
アシスタント用インスツルメントホルダ5に保持されるアシスタント用の診療用器具としては、例えば、患者の口腔内の唾液、血液、切削屑等(以下、廃液と表記することがある。)を吸引する吸引用器具を挙げることができる。このような吸引用器具として具体的には、サクションシリンジ(バキュームシリンジ)、サライバエジェクタ等が挙げられる。
【0013】
また、歯科用診療装置10は、診療用椅子2の脇に設けられ、患者がうがいに用いるコップに水を供給する供給装置(スピットン装置)6を備えている。
供給装置6には、ベースユニット6A、ベースユニット6Aの上に設置され患者の口腔内から排出された廃液を受ける廃液受け部(ベースン)6B、コップに対し水を供給するコップ用給水部6C、清掃用の水を廃液受け部6Bに供給する清掃用給水部6Dが設けられている。さらに、供給装置6には、ベースユニット6Aの内部に、廃液を収容する収容容器(サクションタンク)6Eが設けられている。収容容器6Eには、アシスタント用の吸引用器等具によって吸引された廃液(患者の口腔内から吸引された廃液)が収容される。
【0014】
また、歯科用診療装置10は、診療用椅子2に着座した患者の口腔内等に光を照射する照明装置7と、照明装置7を支持するアーム7Aと、アーム7Aを支持する支柱7Bとを備えている。
図3に示すように、照明装置7は、光源71Aを備えた本体部71と、本体部71に取り付けられ照明装置7を操作する際に医師等に把持される把持部72とを備えている。
【0015】
本体部71は、照明装置7を正面から見た場合に、内周に空間を有する四角環状の形状を有している。そして、本体部71には、それぞれが光を出射する複数(この例では12個)の光源71Aが間隙を介して配置されている。それぞれの光源71Aは、予め定められた波長の光を出射するLED(Light Emitting Diode)素子により構成される。本実施の形態の照明装置7では、複数の光源71Aを用いて光を照射することで、光の照射対象である患者の口腔内等に影が生じることが抑制される。
把持部72は、照明装置7を正面から見た場合に、本体部71から左右両側に突出するように設けられている。
【0016】
また、歯科用診療装置10は、診療用椅子2に着座した患者の口腔内等の撮影対象部位を撮影する撮影装置8を備えている。
撮影装置8は、撮影対象部位を撮影して画像を取得するカメラ81と、カメラ81の周囲に設けられ、カメラ81による撮影対象部位に光を照射する補助光源82とを備えている。
【0017】
図3に示すように、撮影装置8は、照明装置7とともに、アーム7Aに支持されている。この例では、撮影装置8は、照明装置7の四角環状の形状を有する本体部71の内周部に設けられている。これにより、撮影装置8は、照明装置7の光源71Aにより光が照射された状態で、患者の口腔内等の撮影対象部位を撮影することができる。
撮影装置8は、カメラ81により撮影された画像のデータを、制御装置50に出力する。
【0018】
カメラ81が撮影し取得する画像は、静止画であってもよく、動画であってもよい。また、カメラ81は、例えば診療用椅子2に患者が着座している際に、連続して撮影対象部位を撮影するようにしてもよいし、後述する操作パネル11等の受付装置を介して医師等により撮影の指示があった場合に、撮影対象部位を撮影するようにしてもよい。
さらに、撮影装置8は、カメラ81の他に、音声を収録するマイクを備えていてもよい。
【0019】
また、歯科用診療装置10は、表示装置(モニタ)9を備えている。
図2に示すように、表示装置9は、医師用トレーテーブル3の上に設けられている。表示装置9は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成されている。診療システム1では、制御装置50による制御に基づいて、表示装置9に各種の情報が表示される。表示装置9は、画像を表示するディスプレイの他に、音声を出力するスピーカを備えていてもよい。なお、表示装置9における表示については後段にて説明する。
【0020】
また、歯科用診療装置10は、医師からの指示を受け付ける受付装置を有している。診療システム1では、この受付装置に対する指示が医師等からあると、この指示が制御装置50に出力される。これにより、診療システム1の各部が駆動する。
本実施の形態の歯科用診療装置10は、このような受付装置として、医師用トレーテーブル3に設けられる操作パネル11と、診療用椅子2に隣接して床面の上に設けられ、医師の足により操作されるフットスイッチ(不図示)とを備えている。詳細については後述するが、本実施の形態では、操作パネル11に対する医師等の操作に応じて、診察台で患者が受ける診療に関する情報が入力される。
【0021】
(端末装置)
図1に戻り、端末装置30の構成について説明する。
端末装置30は、歯科用診療装置10で診療を受ける患者および診療を行う医師等以外の者が操作する装置である。端末装置30は、歯科用診療装置10が置かれている場所とは離れた場所で使用される。言い換えると、端末装置30は、歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子を直接確認することができないような場所で使用される。このような場所としては、例えば、診療施設の待合室等が挙げられる。
【0022】
端末装置30は、例えば、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯端末や、パーソナルコンピュータ(PC)等の種々の情報処理装置により構成される。
なお、以下の説明では、歯科用診療装置10で診療を受ける患者および診療を行う医師等以外の、端末装置30を操作する者を、「操作者」と表記する場合がある。
【0023】
本実施の形態の端末装置30は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等により構成され、操作者に対して各種の情報を表示する端末表示部31を備えている。
また、端末装置30は、端末表示部31に積層されるタッチパネル等により構成され、操作者からの入力を受け付ける端末受付部32を備えている。
さらに、端末装置30は、端末装置30を操作する操作者の顔等の画像の撮影を行う端末撮影部33を備えている。端末撮影部33は、音声を収録するマイクを備えていてもよい。
【0024】
詳細については後述するが、本実施の形態の診療システム1では、端末装置30は、制御装置50による制御に基づき、歯科用診療装置10で受け付けた診療に関する情報と歯科用診療装置10で撮影された画像とを、端末表示部31に併せて表示する。これにより、端末装置30の操作者は、歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子を直接確認することができないような場所にいる場合であっても、歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子や診療の内容等を知ることが可能になる。
【0025】
(制御装置)
続いて、制御装置50について説明する。
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)(不図示)、ROM(Read Only Memory)(不図示)、RAM(Random Access Memory)(不図示)等を有している。ROMには、CPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部(不図示)から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUがプログラムを実行することにより、以下に述べる、制御装置50の各機能が実現される。
なお、CPUによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体(光ディスク等)、光磁気記録媒体、半導体メモリ等のコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネット等の通信手段を用いてダウンロードさせてもよい。
【0026】
図4は、本実施の形態が適用される制御装置50の主な機能構成を示した機能ブロック図である。
制御装置50は、各種の情報を管理する情報管理部51と、撮影装置8を制御する撮影制御部52と、表示装置9を制御する表示制御部53と、端末装置30を制御する端末制御部54と、時間を計測する計時部55とを備えている。
【0027】
情報管理部51は、受付手段の一例であって、患者に関する情報や患者の診療に関する情報等の各種の情報を管理する。
情報管理部51は、歯科用診療装置10にて診療を受ける患者の診療履歴情報と、患者を識別する識別情報とを対応付けて記憶している。ここで、患者の診療履歴情報とは、今までに患者に行った診療経過等に関する情報であり、例えば、今までに患者に行った診療の内容や診療に用いた薬剤、患者のアレルギーの有無等の情報が挙げられる。また、識別情報とは、複数の患者を互いに識別するための情報であり、例えば、患者の氏名やそれぞれの患者に割り当てられた診察番号等が挙げられる。
【0028】
また、情報管理部51は、医師等により操作パネル11等の受付装置を介して入力された、患者の診療に関する情報を取得する。患者の診療に関する情報とは、例えば、歯科用診療装置10にて行われている診療の進捗状況に関する情報、診療の内容を示す情報、診療に要する時間に関する情報等である。なお、患者の診療に関する情報については、後段にて詳細に説明する。
【0029】
撮影制御部52は、取得手段の一例であって、歯科用診療装置10にて医師等により患者の診療が行われている場合に、撮影装置8による撮影を制御する。
具体的には、撮影制御部52は、歯科用診療装置10において医師等により患者の診療が開始されると、撮影装置8のカメラ81を制御して、診療用椅子2に着座する患者の撮影対象部位(例えば、患者の口腔内等)を撮影させる。そして、撮影制御部52は、カメラ81により撮影された画像を、順次取得する。
【0030】
また、撮影制御部52は、例えば、情報管理部51が取得した診療に関する情報や、操作パネル11等を介した医師等による指示に応じて、撮影装置8(カメラ81)による撮影条件を変更してもよい。
撮影装置8による撮影条件としては、例えば、動画または静止画の選択、カラー画像またはモノクロ画像の選択、撮影を行うタイミング、撮影対象部位等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
表示制御部53は、他の表示手段の一例であって、表示装置9における表示を制御する。
具体的は、表示制御部53は、表示装置9に対して、診療用椅子2に着座した患者の識別情報を入力させるための画面を表示させる。また、表示制御部53は、操作パネル11等を用いて入力された患者の識別情報に基づいて、表示装置9に対して、診療用椅子2に着座した患者の診療履歴情報を表示させる。さらに、表示制御部53は、表示装置9に対して、診療用椅子2に着座した患者の診療に関する情報を入力させるための画面を表示させる。
【0032】
また、表示制御部53は、表示装置9に対して、端末装置30の端末撮影部33により撮影された画像を表示させる。より具体的には、表示制御部53は、後述する端末撮影制御部543による制御に基づいて端末撮影部33により端末装置30の操作者の画像が撮影された場合に、表示装置9に対して、撮影された操作者の画像を表示させる。
【0033】
端末制御部54は、端末装置30の動作を制御する。
本実施の形態の端末制御部54は、端末装置30の端末表示部31における表示を制御する端末表示制御部541と、端末装置30の端末撮影部33による撮影を制御する端末撮影制御部543とを備えている。
【0034】
端末表示制御部541は、表示手段の一例であって、端末装置30の端末表示部31に対して、情報管理部51が取得した患者の診療に関する情報と、撮影制御部52が取得した患者の画像とを、併せて表示させる。
【0035】
また、端末表示制御部541は、例えば、情報管理部51が取得した患者の診療に関する情報や、操作パネル11等を介した医師等による指示に応じて、端末表示部31に表示する患者の画像や患者の診療に関する情報の表示条件を変更してもよい。
端末表示部31における患者の画像の表示条件としては、例えば、患者の画像の解像度、拡大率、動画または静止画の選択、カラー画像またはモノクロ画像の選択等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、端末表示部31における診療に関する情報の表示条件としては、診療に関する情報を表示する文字の大きさ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
情報管理部51が取得した患者の診療に関する情報等に応じて端末表示部31における表示条件を変更することで、端末装置30の操作者が、歯科用診療装置10にて診療を受ける患者の様子や診療に関する情報を、より把握しやすくなる。
なお、端末表示制御部541による制御に基づいて端末装置30の端末表示部31に表示される内容については、後段にて具体例を挙げて説明する。
【0036】
端末撮影制御部543は、他の取得手段の一例であって、操作パネル11等を介して医師等により指示があった場合に、端末撮影部33により、端末装置30の操作者(例えば、操作者の顔)を撮影させる。そして、端末撮影制御部543は、端末撮影部33により撮影された操作者の画像を、順次取得する。
【0037】
計時部55は、歯科用診療装置10にて行われる患者の診療に要する時間等の時間を計測する。例えば、計時部55は、歯科用診療装置10において医師等により患者の診療を開始してからの経過時間を計測する。
【0038】
(診療に関する情報について)
続いて、情報管理部51によって取得される患者の診療に関する情報(歯科用診療装置10にて行われている診療の進捗状況に関する情報、診療の内容を示す情報、診療に要する時間に関する情報)について説明する。
ここで、歯科で行われる医師等による診療は、通常、複数の工程に分けられている。そして、診療を受ける患者は、診療施設に複数回通院し、通院毎に複数の工程を順番に受ける。例えば、小児歯科において虫歯治療を行う場合、医師等による診療は、(1)検査、(2)検査結果の説明および治療計画の説明、(3)虫歯の進行止め処置、(4)虫歯の治療処置、(5)予防プランの説明、(6)予防処置、(7)定期健診…等の複数の工程に分けられており、これらを順次行う。なお、この診療の工程は、説明のための一例であって、必ずしも正確なものではない。
【0039】
診療の進捗状況に関する情報としては、例えば、歯科用診療装置10にて行っている診療が上述した複数の工程のいずれに該当するか、あと何回の工程で診療が終了するか(今後の通院回数)等の情報が挙げられる。
また、診療の内容を示す情報としては、今回行っている診療の工程において、診療の具体的な作業内容(例えば、歯を削る、詰め物を詰める、フッ素を塗布する等)に関する情報、診療の対象となる部位(例えば、治療を行う歯の位置等)に関する情報、診療の対象となる部位の症状(例えば、虫歯の段階(C0~C4)、歯肉炎、歯周病の有無等)に関する情報、診療に使用する器具、薬剤、材料等に関する情報が挙げられる。
さらに、診療に要する時間に関する情報としては、歯科用診療装置10において診療を開始してからの経過時間、今回の診療が終了するまでの所要時間、診療の終了予定時刻等に関する情報が挙げられる。
【0040】
(診療システムにおいて行われる処理)
続いて、診療システム1において、歯科用診療装置10で医師等が患者の診療を行う場合に、制御装置50により行われる処理について説明する。
図5は、制御装置50により行われる処理の手順を示したフローチャートである。
診療システム1では、歯科用診療装置10で患者の診療を行う場合、まず、歯科用診療装置10の診療用椅子2に患者が着座する。そして、医師等は、歯科用診療装置10の操作パネル11等を操作して、診療用椅子2に着座した患者の診療に関する情報を入力する。そして、情報管理部51が、入力された診療に関する情報を取得する(ステップ101)。
ここで、診療に関する情報としては、上述したように、歯科用診療装置10にて行われている診療の進捗状況に関する情報、診療の内容を示す情報、診療に要する時間に関する情報等が挙げられる。
【0041】
なお、歯科用診療装置10では、診療に関する情報の入力に先立って、操作パネル11等の操作に基づいて、診療用椅子2に着座した患者を識別する識別情報の入力を受け付けてもよい。この場合、情報管理部51は、入力された識別情報に基づいて診療用椅子2に着座した患者の診療履歴情報を取得し、表示装置9に表示させることができる。そして、ステップ101では、医師等は、表示装置9に表示された診療履歴情報を参照しながら、診療に関する情報を入力することができる。
【0042】
その後、医師等が、歯科用診療装置10を用いて、診療用椅子2に着座した患者の診療を開始する(ステップ102)。制御装置50は、例えば、医師等による操作パネル11に対する操作や診療用器具等の使用状況に応じて、医師等による診療が開始されたことを検知することができる。
そして、診療が開始されると、計時部55が、診療時間の計測を開始する(ステップ103)。
【0043】
また、撮影制御部52が、撮影装置8を制御し、カメラ81により患者の撮影対象部位を撮影させる(ステップ104)。そして、撮影制御部52は、カメラ81により撮影された患者の画像を、順次取得する。
【0044】
次いで、端末表示制御部541が、ステップ101にて情報管理部51により取得された診療に関する情報と、ステップ104にて撮影された患者の画像とを併せて、端末装置30の端末表示部31に表示させる(ステップ105)。なお、ステップ105では、ステップ103にて計時部55により計測される診療時間に基づき、診療に関する情報として、診療に要する時間に関する情報を表示させてもよい。
これにより、端末装置30の操作者である患者の保護者や付き添い者等は、歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子を直接確認できない場所にいる場合であっても、患者の様子や診療の内容を知ることができる。
【0045】
次いで、端末撮影制御部543は、操作パネル11等に対する医師等の操作により、端末装置30で撮影された画像を要求する旨の指示があったか否かを判定する(ステップ106)。
端末装置30で撮影された画像を要求する旨の指示がない場合(ステップ106でNO)には、制御装置50は、後述するステップ109に進み、処理を継続する。
【0046】
一方、端末装置30で撮影された画像を要求する旨の指示があった場合(ステップ106でYES)、端末撮影制御部543は、端末装置30の端末撮影部33を制御し、端末装置30の操作者を撮影させる(ステップ107)。そして、端末撮影制御部543は、端末撮影部33により撮影された操作者の画像を、順次取得する。
【0047】
次いで、表示制御部53は、ステップ107にて撮影された画像を、表示装置9に表示させる(ステップ108)。
これにより、歯科用診療装置10にて診療を受ける患者は、表示装置9に表示された操作者(患者の保護者や付き添い者等)を視認することができる。この結果、例えば、患者が小児である場合や診療に不安がある場合等に、患者に安心感を与えることができ、歯科用診療装置10による診療を円滑に行うことが可能になる。
【0048】
その後、医師等による患者の診療が終了すると(ステップ109)、撮影制御部52が、撮影装置8を制御し、カメラ81による患者の撮影を終了する(ステップ110)。
次いで、端末表示制御部541が、端末装置30の端末表示部31に、診療が終了した旨の情報を表示させる(ステップ111)。なお、端末表示制御部541は、ステップ111にて診療が終了した旨の情報とともに、例えば今後の診療予定や次回の診療内容等の診療に関する情報を、併せて端末表示部31に表示させてもよい。
以上の工程により、一連の処理を終了する。
【0049】
なお、ここでは、ステップ104~ステップ105の処理(端末表示部31に診療に関する情報と患者の画像とを表示させる処理)と、ステップ106~ステップ108の処理(表示装置9に操作者の画像を表示させる処理)とを順に行っているが、これに限定されるものではない。例えば、ステップ104~ステップ105の処理とステップ106~ステップ108の処理とを行う順序は逆であってもよく、また、これらの処理を並行して行ってもよい。
【0050】
(表示制御部53による端末装置30の表示について)
続いて、上述したステップ105において端末表示制御部541により端末装置30の端末表示部31に行われる表示について、具体例を挙げて説明する。
図6は、端末装置30の端末表示部31に表示される表示内容の一例を示した図である。
【0051】
図6に示すように、端末装置30の端末表示部31には、表示制御部53(
図4参照)による制御に基づいて、歯科用診療装置10(
図1参照)にて診療を受ける患者の画像A1と、患者の診療に関する情報A2とが、併せて表示されている。
なお、患者の画像A1と患者の診療に関する情報A2とが併せて表示されるとは、患者の画像A1と患者の診療に関する情報A2とが同一の端末装置30に表示されることを意味する。この例では、患者の画像A1と患者の診療に関する情報A2とを、端末装置30の端末表示部31に同時に表示しているが、例えば、患者の画像A1と患者の診療に関する情報A2とを端末表示部31に所定の時間差で交互に表示するような形態も含む。
【0052】
図6では、患者の画像A1として、撮影装置8(
図3参照)で撮影された患者の口腔内の画像が表示されている。なお、患者の画像A1は、静止画であってもよく、動画であってもよい。また、患者の画像A1は、カラー画像であってもよく、モノクロ画像であってもよい。
【0053】
また、
図6では、診療に関する情報A2として、診療の進捗状況に関する情報A21、診療の内容を示す情報A22、および診療に要する時間に関する情報A23が表示されている。
具体的には、診療の進捗状況に関する情報A21として、診療の工程を示す「今日は、虫歯の治療を行います。」との文章が表示されている。
このように、端末装置30の端末表示部31に、患者の画像A1と併せて診療の進捗状況に関する情報A21が表示されることで、端末装置30の操作者は、医療施設の待合室にいる場合等のように患者の様子を直接確認できない場合であっても、患者に行われる診療の進捗状況を知ることができる。
【0054】
また、
図6では、診療の内容を示す情報A22として、診療の具体的な作業内容を示す「まず、虫歯となっている歯を削ります。その後、保険適用の白い詰め物を詰めます。」との文章が表示されている。
このように、端末装置30の端末表示部31に、患者の画像A1と併せて診療の内容を示す情報A22が表示されることで、端末装置30の操作者は、患者の様子を直接確認できない場合であっても、患者に対して行われる診療の具体的な内容を知ることができる。
【0055】
さらに、
図6では、診療の内容を示す情報A22として、診療の対象となる部位および診療の対象となる部位の症状を示す「治療する歯です。軽度の虫歯(C1)です。」との文章、および診療の対象となる部位(歯)の位置を示すマークが、患者の画像A1に重畳して表示されている。
このように、診療に関する情報A2(この例では、診療の内容を示す情報A22)が患者の画像A1に重畳して表示されることで、端末装置30を操作する操作者に、患者の様子や患者の診療の様子がより伝わりやすくなる。
【0056】
さらにまた、
図6では、診療に要する時間に関する情報A23として、歯科用診療装置10において診療を開始してからの経過時間を示す「診療経過時間:5分」との文章、およびこの回の診療が終了するまでの所要時間を示す「診療終了まであと10分の予定です。」との文章が表示されている。なお、診療に要する時間に関する情報A23は、計時部55により計測される診療時間に基づいている。
このように、端末装置30の端末表示部31に、患者の画像A1と併せて診療に要する時間に関する情報A23が表示されることで、端末装置30の操作者は、患者の様子を直接確認できない場合であっても、診療に要する時間を知ることができる。
【0057】
続いて、上述したステップ105において表示制御部53により端末装置30の端末表示部31に行われる表示の他の例について説明する。
図7は、端末装置30の端末表示部31に表示される表示内容の他の一例を示した図である。
図7に示す例においても、
図6と同様に、端末装置30の端末表示部31には、表示制御部53(
図4参照)による制御に基づいて、歯科用診療装置10(
図1参照)にて診療を受ける患者の画像A1と、患者の診療に関する情報A2とが、併せて表示されている。
【0058】
図7では、患者の画像A1として、撮影装置8(
図3参照)で撮影された患者の口腔内の画像が表示されている。
また、
図7では、診療に関する情報A2として、診療の進捗状況に関する情報A21、および診療の内容を示す情報A22が表示されている。
具体的には、診療の進捗状況に関する情報A21として、診療の工程を示す「今日は、麻酔をして抜歯を行います。」との文章が表示されている。
【0059】
また、
図7では、診療の内容を示す情報A22として、「今まで、麻酔をして気持ち悪くなったり、アレルギー反応が出たりしたことはありますか?」との文章、およびこの文章に対する操作者からの返答に用いられる「はい」、「いいえ」との選択肢が表示されている。
言い換えると、
図7では、診療の内容を示す情報A22として、端末装置30の操作者による応答を要求する医師等からの質問が表示されている。
そして、
図7に示すような応答を要求する情報が端末表示部31に表示されると、端末装置30の操作者は、端末受付部32等を介して、端末装置30に応答(この場合は、「はい」または「いいえ」の選択)を入力する。制御装置50は、情報管理部51が端末装置30に入力された応答を取得し、表示制御部53が表示装置9等に応答の内容を表示させる。
【0060】
ここで、歯科用診療装置10を用いて患者の診療を行う場合、診療の途中で、医師等から患者に対し、診療の内容等について質問をし、これに対する応答を要求する場合がある。しかしながら、例えば患者が小児である場合には、医師等からの質問に対し応答することが難しい場合がある。このような場合に、端末装置30の端末表示部31に、診療に関する情報A2(この例では、診療の内容を示す情報A22)として、操作者による応答を要求する医師等からの質問を表示させることで、操作者が歯科用診療装置10から離れた場所にいる場合であっても、患者に代わって患者の保護者等である端末装置30の操作者に、医師等からの質問に応答させることができる。付言すると、医師等は、歯科用診療装置10にて患者の診療を継続した状態で、端末装置30の操作者のもとへ行かなくても、応答の内容を知ることができる。これにより、歯科用診療装置10を用いた患者の診療に要する作業を簡易にすることができる。
【0061】
(表示装置9に表示される端末装置30の操作者の画像について)
続いて、上述したステップ108において表示制御部53により表示装置9に行われる表示について、具体例を挙げて説明する。
図8は、表示装置9に表示される表示内容の一例を示した図である。
図8に示すように、表示装置9には、端末装置30の端末撮影部33により撮影された端末装置30の操作者の画像B1が表示されている。
【0062】
ここで、歯科用診療装置10にて小児等の患者に対して診療を行う場合、患者が診療に対し不安感や恐怖感を抱く場合がある。これに対し、表示装置9に患者の保護者等である端末装置30の操作者の画像B1を表示させ、患者に操作者の画像B1を見せることで、患者の不安感や恐怖感を低減させることができる。これにより、歯科用診療装置10を用いた患者の診療をより円滑に進めることができる。
【0063】
また、
図8に示すように、表示装置9には、端末装置30の端末受付部32等を介して受け付けた操作者からのメッセージB2を表示させてもよい。また、表示装置9が音声を出力するスピーカを備える場合、端末装置30が有するマイク等で収録された操作者の音声を出力させてもよい。これにより、歯科用診療装置10で診療を受ける患者の不安感や恐怖感をより低減させやすくなる。
【0064】
(操作者の認証について)
ところで、制御装置50は、端末装置30の端末表示部31に患者の画像A1と診療に関する情報A2とを表示させる前に、端末装置30を操作する操作者を認証する処理を行ってもよい。これにより、患者とは関係のない者が操作する端末装置30に、患者の画像A1や診療に関する情報A2が表示されることが抑制される。
端末装置30を操作する操作者を認証する方法は特に限定されない。制御装置50は、例えば、端末装置30の操作者に端末受付部32等を介して認証のための情報(例えば、患者の名前や患者の生年月日等)を入力させ、その正否によって端末装置30の操作者を認証することができる。また、制御装置50は、例えば、端末撮影部33により端末装置30の操作者の顔などを撮影し、撮影した画像を表示装置9に表示させて患者に確認させることで、端末装置30の操作者を認証することができる。
【0065】
(まとめ)
本実施の形態の診療システム1では、歯科用診療装置10で診療を受けている患者の画像と、患者が受ける診療に関する情報とを併せて、医師等および患者以外の操作者が操作する端末装置30に表示させる。これにより、端末装置30の操作者が患者から離れた場所にいる場合であっても、患者の様子や診療に関する情報を知ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限りにおいては様々な変形や組み合わせを行っても構わない。
【0066】
例えば、制御装置50は、予め定められた条件を満たす場合に限って、端末装置30に患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを表示させる構成としてもよい。例えば、制御装置50は、端末装置30の操作者から患者の画像および診療に関する情報の要求があった場合にのみ、端末装置30に患者の画像と患者が受ける診療に関する情報とを表示させることができる。
【0067】
また、上述の実施の形態では、歯科用診療装置10における診療を開始してから診療が終了するまでの期間、撮影装置8により継続して患者を撮影し、端末装置30に対し患者の画像を継続して表示させているが、これに限られるものではない。
例えば、歯科用診療装置10における診療の状況や医師等の判断に応じて、患者の撮影や患者の画像の表示を中断してもよい。例えば、歯科用診療装置10において出血が多い治療を行う場合等、端末装置30の操作者が患者の画像を見ることが好ましくない場合等には、患者の撮影や患者の画像の表示を一時的に停止してもよい。
【0068】
また、上述した実施の形態では、1台の歯科用診療装置10にて診療を受ける患者の画像および診療に関する情報を、1台の端末装置30に表示させる構成としたが、これに限られるものではない。診療システム1では、歯科用診療装置10および端末装置30の一方または双方が複数存在してもよい。
例えば、診療施設に複数の歯科用診療装置10が存在する場合、それぞれの歯科用診療装置10で診療を受ける患者の画像および診療に関する情報を、1台の端末装置30にまとめて表示させてもよい。この場合、端末装置30の操作者は、複数の歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子や診療に関する情報をまとめて知ることができる。例えば、端末装置30を診療施設の受付等で使用する場合、複数の歯科用診療装置10で診療を受ける患者の様子や診療に関する情報をまとめて知ることにより、会計や次の患者の呼び出し作業等、診療施設の運営を円滑に行うことが可能になる。
【0069】
さらに、上述した実施の形態では、端末装置30に表示させる診療に関する情報を、医師等が操作パネル11を介して入力する構成としたが、これに限られるものではない。
例えば、撮影装置8により撮影される患者の画像や、今までの診療履歴情報等に基づいて、制御装置50(情報管理部51)が診療に関する情報を作成してもよい。
【0070】
さらにまた、上述した実施の形態では、歯科にて用いられる歯科用診療装置10を含む診療システム1を例示して説明したが、本実施の形態の診療システム1は、歯科に限らず、耳鼻科、眼科、内科等の他の科の診療にも用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…診療システム、2…診療用椅子、3…医師用トレーテーブル、4…医師用インスツルメントホルダ、5…アシスタント用インスツルメントホルダ、6…供給装置、7…照明装置、8…撮影装置、9…表示装置、10…歯科用診療装置、11…操作パネル、30…端末装置、31…端末表示部、32…端末受付部、33…端末撮影部、50…制御装置、51…情報管理部、52…撮影制御部、53…表示制御部、54…端末制御部、55…計時部、541…端末表示制御部、543…端末撮影制御部