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特許7563732飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20241001BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241001BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20241001BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20241001BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/135
A23L33/125
A23L33/21
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166782
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2021090410
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2019219510
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】593012228
【氏名又は名称】株式会社希松
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 豊
(72)【発明者】
【氏名】藤浪 未沙
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉純
(72)【発明者】
【氏名】小松 令以子
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0316079(US,A1)
【文献】特開2004-155727(JP,A)
【文献】特表2009-529574(JP,A)
【文献】協和薬品 国産桑の葉青汁 ,Amazon.co.jp [online],2016年08月17日,https://www.amazon.co.jp/dp/B01KJHF9CC?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_MBJBM1TXQT02DS9Q8DGY 検索日2024.04.24
【文献】豆乳とおからのうみゃあ青汁(3.0g×30包),INTERNETARCHIVE waybackmachine,2019年07月29日,https://web.archive.org/web/20190729015250/https://www.tofu-moritaya.com/item/W00011371.html 検索日2024.04.24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
桑葉成分と、オリゴ糖と、水溶性食物繊維と、プロバイオティクス菌と、
を含み、
前記桑葉成分が、飲食品組成物の乾燥質量に対して、40~80質量%含まれ、
前記オリゴ糖として1-ケストースを少なくとも含み、
前記1-ケストースが、桑葉の青臭さ改善用組成物として含まれる、
飲食品組成物(ただし、飲食品組成物に、豆乳、おから(大豆を含む)および湯葉(大豆を含む)が含まれることを除く。)
【請求項2】
前記オリゴ糖が、フラクトオリゴ糖であり、
前記水溶性食物繊維が、グアーガム酵素分解物であり、
前記プロバイオティクス菌が、乳酸菌である、
請求項1に記載の飲食品組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の飲食品組成物を含有し、肌の状態を改善する用途に用いられる肌改善用飲食品組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の飲食品組成物を含有し、肌の状態を改善する用途および便秘を改善する用途に用いられる肌改善用および便秘改善用飲食品組成物。
【請求項5】
前記便秘を改善する用途が、妊婦の便秘を改善する、
請求項に記載の肌改善用および便秘改善用飲食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品組成物、肌改善用食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物に関する。特に、経口摂取による飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑色植物の緑葉の乾燥粉末を水や牛乳等に分散して飲用する、いわゆる青汁が知られている。青汁は、食物繊維やビタミン類が含まれており、野菜不足の解消につながることから、健康食品として近年注目されている。青汁の原料となる緑葉植物としては、ケール、大麦若葉、桑葉等、様々な緑葉が知られている。中でも、桑葉の乾燥粉砕物は、血糖値低下効果や糖尿病予防効果があることが知られており、青汁としての飲用が知られている。また、お湯や水を加えてお茶として飲用する等が知られている(特許文献1参照)。更に、桑葉の抽出物を化粧料に配合することも知られている(特許文献2参照)。
【0003】
ところで、肌荒れに関しては、保湿クリーム等の化粧料を肌に塗布することで、肌の状態を改善することが一般的ではあるが、経口摂取による肌質改善剤も知られている。例えば、マンノースを主体とした単糖類が1~10分子結合したオリゴ糖類を経口摂取することにより、肌の水分含量が増大すること(特許文献3参照)、クロロゲン酸類を含有し、クロロゲン酸類/カフェインの質量比が65以上であるコーヒー豆抽出物を有効成分とすることで肌荒れが改善すること(特許文献4参照)、等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-101732号公報
【文献】特開2007-282632号公報
【文献】特許第6269251号公報
【文献】特開2018-108977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり、経口による肌荒れ改善剤は知られている。しかしながら、特許文献3には、マンノースを主体とした単糖類が1~10分子結合したオリゴ糖類を、コーヒーに添加した飲料しか記載されていない。また、特許文献4には、クロロゲン酸類/カフェインの質量比が65以上であるコーヒー豆抽出物を、甘味料等添加した飲料に添加した例しか記載されていない。つまり、特許文献3および4には、特定の成分が、肌荒れ改善効果を示すことしか記載されていない。
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、(1)桑葉成分と、オリゴ糖と、水溶性食物繊維と、プロバイオティクス菌と、を組み合わせた飲食品組成物が、無理なく経口摂取できること、(2)桑葉成分により、いわゆる青汁を飲用した時の効果が得られること、(3)青汁を飲用した時の効果に加え、肌の状態を改善する効果も併せて得られること、を新たに見出した。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示す、飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物に関する。
【0009】
(1)桑葉成分と、オリゴ糖と、水溶性食物繊維と、プロバイオティクス菌と、
を含む、飲食品組成物。
(2)前記オリゴ糖が、フラクトオリゴ糖であり、
前記水溶性食物繊維が、グアーガム酵素分解物であり、
前記プロバイオティクス菌が、乳酸菌である、
上記(1)に記載の飲食品組成物。
(3)前記桑葉成分が、飲食品組成物の乾燥質量に対して、40~80質量%含まれる、
上記(1)または(2)に記載の飲食品組成物。
(4)前記オリゴ糖として1-ケストースを少なくとも含み、
前記1-ケストースが、桑葉の青臭さ改善用組成物として含まれる、
上記(1)~(3)の何れか一つに記載の飲食品組成物。
(5)上記(1)~(4)の何れか一つに記載の飲食品組成物を含有し、肌の状態を改善する用途に用いられる肌改善用飲食品組成物。
(6)上記(1)~(4)の何れか一つに記載の飲食品組成物を含有し、肌の状態を改善する用途および便秘を改善する用途に用いられる肌改善用および便秘改善用飲食品組成物。
(7)前記便秘を改善する用途が、妊婦の便秘を改善する、
上記(6)に記載の肌改善用および便秘改善用飲食品組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の飲食品組成物を経口摂取することで、青汁の摂取による効果に加え、肌の状態が改善するとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例2において、飲用前、飲用2週間後および4週間後の角質層水分量の測定結果を示すグラフである。
図2図2は、実施例2において、飲用前、飲用2週間後および4週間後の、キメ画像および角層染色画像を示す。
図3図3は、実施例3において、飲用開始前から4週間後までの、1週間当たりの排便回数を示すグラフである。
図4図4は、実施例4において、飲用開始前1週間と、飲用開始後の1週間当たりの排便回数を示すグラフである。
図5図5は、実施例6において、飲用開始前の2週間、飲用中の8週間、飲用終了後の4週間の、それぞれ、1週間当たりの排便回数を示すグラフである。
図6図6は、実施例7において、飲用前および飲用8週間後の皮膚弾力性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の飲食品組成物、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物について詳しく説明する。
【0013】
本発明の飲食品組成物は、桑葉成分と、オリゴ糖と、水溶性食物繊維と、プロバイオティクス菌と、を含むことを特徴としている。
【0014】
桑葉成分は、飲食品組成物を乾燥した粉体として提供する場合は、桑葉部分を公知の方法により、乾燥粉末にしたものを用いればよい。また、桑葉成分は、採取した桑葉をそのまま用いてもよいが、加工処理(例えば、発酵処理)等を加えたものであってもよい。
【0015】
また、飲食品組成物を液体状で提供する場合は、乾燥粉末に水や牛乳等の液体を添加し、液体中に粉末状の桑葉の繊維部分を分散し、桑葉に含まれるエキス分のみ液体中に溶解した状態で用いてもよい。或いは、桑葉に含まれるエキス等の成分を予め抽出し、飲料を構成する液体に抽出したエキス等の成分のみ添加してもよい。以上のとおり、本明細書において、「桑葉成分」と記載した場合、桑葉の乾燥粉末と、桑葉から抽出したエキス分の成分の両方を意味する。
【0016】
桑葉成分は、1-デオキシノジリマイシンによる血糖値の上昇を抑制する作用があることが知られている。桑葉は、クワ属(Morus)に属する木本植物の葉をいう。クワ属の主な種としては、ログワ(M.Ihou)、ヤマグワ(M.bombycis)、ナガミグワ(M.laevigata)、ケグワ(M.tiliaefolia)、オガサワラグワ(M.boninensis)、テンジクグワ(M.serrata)、レッドマルベリー(M.rubra)、カラヤマグワ(M.alba)、クロミグワ(M.nigra)、ブラックマルベリー(M.mesozygia)などを例示することができるが、本発明においては、これらのいずれの葉も用いることができる。
【0017】
オリゴ糖としては、難消化性オリゴ糖や消化性オリゴ糖等、食品分野で一般的に用いられているオリゴ糖であれば特に制限はない。難消化性オリゴ糖の例として、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラクチュロース、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、キシロオリゴ糖、キトサン、マンノオリゴ糖、ジフラクトース、セロビオース、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、マルトシルスクロース、1-ケストース、フラクトース、などが挙げられる。また、消化性オリゴ糖の例として、マルトオリゴ糖、グルコシルスクロース、パラチノース、トレハロース、イソマルトオリゴ、などが挙げられる。勿論、上記の各種オリゴ糖は単なる例示であって、例示されていないオリゴ糖を用いてもよい。また、オリゴ糖は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記に例示したオリゴ糖の中で、腸内での善玉菌を増やし、腸内環境を整えられる等の効果を奏することから難消化性オリゴ糖が好ましく、難消化オリゴ糖の中でも桑葉成分のミネラル等を吸収しやすいことから、フラクトオリゴ糖がより好ましい。更に、フラクトオリゴ糖の中でも、1-ケストースは、桑葉成分が有する青臭さ等、経口摂取する際に不快に感じる臭いや味を抑える効果を有することから、特に有用である。オリゴ糖として、1-ケストースのみを用いてもよい。
【0019】
水溶性食物繊維とは、ヒトの消化酵素では消化されない多糖類を主体とした高分子成分のうち水溶性のものを意味する。水溶性食物繊維は、胃腸をゆっくり移動し、糖質の吸収を抑えられるので食後の血糖値の上昇が抑えられ、更に、コレステロールも低下できる。
【0020】
水溶性食物繊維の例としては、グアーガムまたはその酵素分解物、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、アルギン酸(又はその塩)、ラミナリン、グルコマンナン、カラギーナン、フコイジン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、ジェランガム、コンドロイチン硫酸(又はその塩)、プルラン、サイリウム、ガラクトマンナン、コーンファイバー、アップルファイバー、ビートファイバー、レジスタントスターチ、グルカン、キシログルカン、イヌリン、寒天、アガー、コラーゲン、ヒアルロン酸(又はその塩)等が挙げられる。勿論、上記の水溶性食物繊維は単なる例示であって、例示されていない水溶性食物繊維を用いてもよい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記に例示した水溶性食物繊維の中で、血糖値の上昇の抑制、下痢の改善、腸粘膜細胞増殖、腸内フローラの改善等の効果を奏することからグアーガム酵素分解物が好ましい。
【0022】
本明細書において、プロバイオティクス菌とは、人体に良い影響を与える微生物、いわゆる善玉菌を意味する。プロバイオティクス菌の例としては、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌、糖化菌などが挙げられる。
【0023】
プロバイオティクス菌の中で「乳酸菌」とは、代謝により乳酸を産生する細菌のことを言う。乳酸菌は、生菌であっても死菌であってもよく、死菌の場合は菌体破砕物であってもよい。乳酸菌粉末は、例えば培養した乳酸菌又は発酵に使用した乳酸菌培養物から培地等の不要分を除いた後に乳酸菌の菌体を公知の方法で粉末化して得ることができる。乳酸菌の種類としては、代謝産物として乳酸を産生するものであれば特に限定されず、ヒト等の動物において従来経口摂取されているものが挙げられ、例えば、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、リューコノストック(Leuconostoc)属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、テトラゲノコッカス(Tetragenococcus)属、バチルス(Bacillus)属のものが挙げられる。
【0024】
Bifidobacterium属としては、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium mongoliense、等が挙げられる。
【0025】
Lactobacillus属としては、Lactobacillus brevis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus delburvecki、Lactobacillus casei、Lactobacillus crispatus、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus halivaticus、Lactobacillus pentosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus salivarius、Lactobacillus sporogenes、Lactobacillus sakei、Lactobacillus fructivorans、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus fermentum、等が挙げられる。
【0026】
Enterococcus属としては、Enterococcus faecalis(Streptococcus faecalisと称されることもある)、Enterococcus faesium(Streptococcus faesiumと称されることもある)、Streptococcus thermophilus、Lactococcus lactis(Streptococcu slactisと称されることもある)、等が挙げられる。
【0027】
Leuconostoc属としては、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc oenos、等が挙げられる。
【0028】
Pediococcus属としては、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus、等が挙げられる。
【0029】
Staphylococcus属としては、Staphylococcus carnosus、Staphylococcus xylosus、Staphylococcus thermophilus、Staphylococcus faecalis、Staphylococcus faecium、が挙げられる。
【0030】
Tetragenococcus属としては、Tetragenococcus halophilusが挙げられる。
【0031】
Bacillus属としては、Bacillus coagulans、及びBacillus mesentericus等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、Bacillus coagulans、Bifidobacterium longum、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacllus bulgaricus、Staphylococcus thermophilus、Staphylococcus faecalis、Staphylococcus faecium、が好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記に例示したプロバイオティクス菌の中で、腸内環境をより整えやすいことから、乳酸菌である、Lactobacillus caseiが好ましい。
【0034】
飲食品組成物の乾燥質量に対して、桑葉成分は40~80質量%、オリゴ糖は10~50質量%、水溶性食物繊維は5~30質量%、プロバイオティクス菌は0.01~5質量%程度配合することが好ましい。
【0035】
飲食品組成物は、その効果を損なわない範囲内であれば、飲食品の分野で用いられている添加剤を更に配合してもよい。添加剤としては、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料などが挙げられる。また、必要に応じて、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛などの金属を含む化合物)、セレン化合物、キチン・キトサン、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、スフィンゴ脂質およびその誘導体(スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、等が挙げられる。
【0036】
後述する実施例に示すとおり、本発明の飲食品組成物は、いわゆる青汁を経口摂取した時の効果に加え、肌の状態を改善するという効果、および、便秘を改善するという効果を奏する。特に便秘の改善に関しては、妊婦の便秘を改善するという顕著な効果を示す。より具体的には、妊娠中は黄体ホルモンや妊娠子宮による圧迫の影響から便秘になりやすいが、多くの妊婦は薬の服用に抵抗を示す。しかしながら、後述する実施例で示すとおり、本発明の飲食用組成物は、妊婦が服用した際に便秘が改善されるという効果を示す。したがって、本発明の飲食品組成物は、肌改善用飲食品組成物、肌改善用および便秘改善用飲食品組成物、更に、便秘改善の対象者として妊婦に好適に用いることもできる。
【0037】
なお、本明細書において、「肌の状態を改善する」とは、飲食品組成物を経口摂取することで、「角層水分量(いわゆる「うるおい」)」が増加することを意味する。また、「角層水分量」の増加に加え、「脂っぽさ」、「肌荒れ」、「肌表面のなめらかさ」、「肌のキメ」、「くすみ・透明感」および「毛穴の目立ち」から選択される1種以上の指標が併せて改善されることを、「肌の状態を改善する」と定義してもよい。
【0038】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例
【0039】
<実施例1>
[飲食品組成物の作製]
以下の材料および配合割合により、飲食品組成物を作製した。
<材料>
(1)桑葉:株式会社わくわく園社製、商品名:有機桑葉粉末
(2)オリゴ糖:フラクトオリゴ糖(日本オリゴ糖株式会社製、商品名:フラクトオリゴ糖)
(3)水溶性食物繊維:グアーガム酵素分解物(太陽化学株式会社製、商品名:サンファイバーR)
(4)プロバイオティクス菌:乳酸菌Lactobacillus casei(東亜薬品工業株式会社製、商品名:LC・カゼイ菌末トーア)
【0040】
<配合割合>
(1)桑葉:64%
(2)オリゴ糖:20%
(3)水溶性食物繊維:15%
(4)プロバイオティクス菌:1%
【0041】
<実施例2>
[肌状態評価(VAS)実験]
(1)実施例1で作製した飲食品組成物を、5人の被験者(男性5人)に、一日12g(一包4gを、一日3回、100~180mLの水またはお湯に溶かした。)、4週間、飲用させた。一週間毎に自身の肌状態について、VAS(Visual Analogue Scale)によるアンケートを実施した。表1に、アンケート項目と結果を示す。なお、表1の数値は、0に近いほど不調、10に近いほど良好な肌状態を表す
【0042】
【表1】
【0043】
[肌状態評価(機械測定)実験]
上記[肌状態評価(VAS)実験]中に、飲用前、2週間後、4週間後の被験者の肌の状態を、測定機械により測定した。測定項目と測定方法は以下のとおりである。
(1)角質層水分量
Corneometer(登録商標) CM825(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。図1は測定結果を示すグラフで、飲用前の角質層水分量を100として相対評価を行った。
【0044】
(2)キメ撮影
マイクロスコープ M3 (スカラ社製)を用いて撮影した。
(3)角層染色画像
角層チェッカーAST-01(アサヒテクノラボ社製)を用い、テープストリッピング法により行った。
図2は、飲用前、飲用2週間後および4週間後の、キメ画像および角層染色画像を示す。
【0045】
図1から明らかなように、実施例1で作製した飲食品組成物を経口摂取することで、角層の水分量が著しく向上した。一般的に、皮膚に直接塗布する保湿化粧料を用いた場合は、短期間で肌の水分量が向上するが、経口摂取では肌の水分量の迅速な改善は難しいと考えられていた。一方、本発明の飲食品組成物は、経口摂取により、僅か2週間で角層水分量が20%向上するという顕著な効果を示すことを確認した。また、図2から明らかなように、実施例1で作製した飲食品組成物を経口摂取することで、肌のキメが細かくなり、各層の重層剥離が改善された。
【0046】
以上の結果より、本発明の飲食品組成物が、経口摂取により肌の状態を改善できることを確認した。
【0047】
<実施例3>
[便秘改善の確認]
被験者を、便秘実感のある4人の健常成人(男性1名、女性3名)に代えた以外は、実施例2と同様に飲食品組成物を飲用させた。図3は、飲用開始前から4週間後までの、1週間当たりの排便回数を示すグラフである。図3から明らかなように、本発明の飲食品組成物を経口摂取することで、経口摂取1週間目で排便回数が著しく向上した。したがって、本発明の飲食品組成物は、便秘改善の用途に使用できることを確認した。
【0048】
<実施例4>
[妊婦による飲用実験]
被験者を、妊婦24人に代えた以外は、実施例2と同様に飲食品組成物を飲用させた。図4は、飲用開始前1週間と、飲用開始後の1週間当たりの排便回数を示すグラフである。図4から明らかなように、本発明の飲食品組成物を経口摂取することで、経口摂取1週間目で排便回数が著しく向上した。したがって、本発明の飲食品組成物は、薬の服用に抵抗を感じる妊婦に特に有用である。
【0049】
<実施例5>
[1-ケストースの青臭さ低減効果の確認]
実施例1で作製した飲食品組成物のフラクトオリゴ糖の量を10%とし、1-ケストース(物産フードサイエンス株式会社製、商品名:ベビーオリゴ)を10%添加した以外は、実施例1と同様の手順で飲食品組成物を作製した。なお、実施例1と実施例5の飲食品組成物の甘味度は同じである。
【0050】
次に、実施例1および実施例5で作製した飲食品組成物を、実施例2と同様の飲用方法により5人の被験者に飲用させ、「苦味」、「青臭さ」、および「甘み」の官能評価を行った。官能評価は、実施例1の飲食品組成物を基準に、実施例5の強弱を評価し、以下の基準で点数化した。
【0051】
<評価基準>
実施例1の青汁を3点とした場合に、
・1点=かなり弱い、
・2点=弱い、
・3点=同等、
・4点=強い、
・5点=かなり強い。
【0052】
表2に官能試験の結果を示す。表2から明らかなように、オリゴ糖として1-ケストースを用いた場合には、桑葉の青臭さを低減できることを確認した。また、作製した飲食品組成物の甘味度は同じであるが、1ケストースを添加することで、被験者は経口摂取した際に甘く感じることを確認した。
【0053】
【表2】
【0054】
以上の結果より、本発明の飲食品組成物として、オリゴ糖であれば経口摂取する際に特に問題はないが、オリゴ糖の中でも1-ケストースを用いた場合には、飲み易くなることを確認した。
【0055】
次に、被験者の数を増やして以下の実験を行った。
【0056】
<実施例6>
[飲用前後の便秘改善の確認]
被験者を健常成人(女性21名、年齢(歳)42.9±5.5)に代え、飲用期間を8週間に伸ばした以外は、実施例5と同様に飲食品組成物を飲用させた。図5は、飲用開始前の2週間、飲用中の8週間、飲用終了後の4週間の、それぞれ、1週間当たりの排便回数を示すグラフである。図5から明らかなように、本発明の飲食品組成物を経口摂取することで、実施例3および4の結果と同様、排便回数が著しく向上した。また、飲用終了後も、飲用前と比較して、排便回数が多い状態を維持した。したがって、本発明の飲食品組成物は、飲用中の便秘改善効果に加え、飲用終了後も便秘改善効果を持続できることを確認した。
【0057】
<実施例7>
[皮膚弾力性の実験]
上記<実施例6>の実験中において、飲用前(飲用開始日と同日)と8週間の飲用終了直後(飲用終了日と同日または翌日)に、被験者の皮膚の弾力性を測定した。測定機械には、Cutometer CT580(Courage+Khazaka社製)を用いた。図6は測定結果を示すグラフで、縦軸は皮膚弾力性(戻り率)を示す。皮膚弾力性の数値が高いほど、皮膚の弾力性が高いと評価できる。なお、飲用前と8週間の飲用終了後の測定結果をt検定で統計解析を行ったところ、P<0.05であり、統計学的に有意であることを確認した。
【0058】
図6から明らかなように、本発明の飲食品組成物を経口摂取することで、皮膚弾力性の向上を確認した。なお、皮膚弾力性は、皮下組織の老化等により低下するものであり、肌状態評価の指標として実施例2の角質層水分量とは異なる。つまり、実施例7の結果より、本発明の飲食品組成物が、経口摂取により皮膚弾力性を改善するという効果を奏することを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の飲食品組成物は経口摂取により、異なる複数の効果を奏することができる。したがって、健康食品産業にとって有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6