(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】熱センサワイヤ、および方法
(51)【国際特許分類】
H01C 7/02 20060101AFI20241001BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20241001BHJP
H01C 1/04 20060101ALI20241001BHJP
H01C 1/034 20060101ALI20241001BHJP
G01K 7/16 20060101ALI20241001BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01C7/02
H01C7/04
H01C1/04
H01C1/034
G01K7/16 Z
H01M10/48 301
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020179259
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-10-24
(32)【優先日】2019-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーリー ボリソヴィッチ マトゥス
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジー.ピネダ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ フェンテス
【審査官】上谷 奈那
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-185947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0106593(US,A1)
【文献】特開平02-129901(JP,A)
【文献】特開2019-090785(JP,A)
【文献】特開平08-142638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02
H01C 7/04
H01C 1/04
H01C 1/034
G01K 7/16
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱センサワイヤであって、
前記熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、
キャリア部と、を備え、前記キャリア部は、前記感熱部に隣接して前記ワイヤ軸に沿って延在し、前記感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、
前記感熱部は内芯を備え、前記キャリア部は、前記内芯の周囲に周方向に設けられ、
前記熱センサワイヤは、前記キャリア部の周囲に設けられたワイヤ被覆をさらに備え、
前記内芯は、前記ワイヤ軸に沿って互いに長手方向に設けられた第1の芯セグメントおよび第2の芯セグメントを備え、
前記第1の芯セグメントは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を備え、
前記第2の芯セグメントは、前記目標温度範囲内の転移温度を呈しない、
熱センサワイヤ。
【請求項2】
円形断面または矩形断面を備える、請求項1に記載の熱センサワイヤ。
【請求項3】
様々な機能特性を有する複数の層を備え、前記感熱部は、導電性を有する第1の層を備え、第2の層は電気的絶縁性を有する、請求項1または2に記載の熱センサワイヤ。
【請求項4】
前記感熱部は、前記熱センサワイヤの長さに沿った可変断面を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
【請求項5】
前記ワイヤ被覆は、前記第1の芯セグメントの周囲に設けられた第1の被覆セグメントと、前記第2の芯セグメントの周囲に設けられた第2の被覆セグメントと、を備え、前記第1の被覆セグメントは第1の色を有し、前記第2の芯セグメントは、前記第1の色とは異なる第2の色を有する、請求項
1に記載の熱センサワイヤ。
【請求項6】
前記キャリア部の周囲に設けられた外側ワイヤ被覆と、
前記キャリア部内に設けられた複数の内側ワイヤと、をさらに備え、
前記感熱部は、前記複数の内側ワイヤのうちの第1の内側ワイヤ内に設けられ、第1の転移温度を有する第1の感熱材料を備え、
前記複数の内側ワイヤは、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を有する第2の感熱材料を備える少なくとも1本の追加ワイヤを備える、請求項1から
5のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
【請求項7】
前記熱センサワイヤの長さに沿って周期的に異なる長さのセグメントを有する多数のワイヤから形成された複数の積層/カレンダー加工されたセグメントを備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
【請求項8】
熱センサワイヤであって、
前記熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、
キャリア部と、を備え、前記キャリア部は、前記感熱部に隣接して前記ワイヤ軸に沿って延在し、前記感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、
前記キャリア部の周囲に設けられた外側ワイヤ被覆と、
前記キャリア部内に設けられた複数の内側ワイヤと、をさらに備え、
前記感熱部は、前記複数の内側ワイヤのうちの第1の内側ワイヤ内に設けられ、第1の転移温度を有する第1の感熱材料を備え、
前記複数の内側ワイヤは、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を有する第2の感熱材料を備える少なくとも1本の追加ワイヤを備える
熱センサワイヤ。
【請求項9】
熱センサワイヤであって、
前記熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、
キャリア部と、を備え、前記キャリア部は、前記感熱部に隣接して前記ワイヤ軸に沿って延在し、前記感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、
前記熱センサワイヤの長さに沿って周期的に異なる長さのセグメントを有する多数のワイヤから形成された複数の積層/カレンダー加工されたセグメントを備える
熱センサワイヤ。
【請求項10】
熱センサワイヤを形成する方法であって、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸する前記熱センサワイヤのキャリア部を形成することと、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸し、かつ前記キャリア部に隣接する前記熱センサワイヤの感熱部を感熱材料から形成することと、を備え、
前記感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とするポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、前記キャリア部は、前記目標温度範囲内での熱転移を有しないキャリア材料を備え、
前記感熱材料を前記熱センサワイヤの内芯部として形成することと、
前記内芯部の周囲に前記キャリア部を形成することと、
前記内芯部に可変径を生成するために前記内芯部を押し出すことと
を含む方法。
【請求項11】
前記感熱材料と前記キャリア部とを多層ワイヤ構成において一連の層として形成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記感熱材料を内芯部として形成することは、
前記内芯部の第1の芯セグメントを形成するために前記感熱材料を押し出すことと、
前記感熱材料を押し出した後に、前記内芯部の第2の芯セグメントを形成するために第2の材料を押し出すことと、をさらに含み、前記第1の芯セグメントは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を備え、前記第2の芯セグメントは、前記目標温度範囲内の転移温度を呈しない、請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記キャリア部の周囲に被覆を形成することをさらに含み、前記被覆を形成することは、
前記第1の芯セグメントの周囲に第1の被覆セグメントを形成することと、
前記第2の芯セグメントの周囲に第2の被覆セグメントを形成することと、をさらに含み、前記第1の被覆セグメントは第1の色を有し、前記第2の芯セグメントは、前記第1の色とは異なる第2の色を有する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記感熱材料は、第1の感熱材料および第2の感熱材料を備え、前記第1の感熱材料および前記第2の感熱材料は、前記キャリア材料内に設けられた第1のワイヤおよび第2のワイヤとして押し出され、前記第1の感熱材料は第1の転移温度を備え、前記第2の感熱材料は、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を備える、請求項
10から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
熱センサワイヤを形成する方法であって、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸する前記熱センサワイヤのキャリア部を形成することと、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸し、かつ前記キャリア部に隣接する前記熱センサワイヤの感熱部を感熱材料から形成することと、を備え、
前記感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とするポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、前記キャリア部は、前記目標温度範囲内での熱転移を有しないキャリア材料を備え、
前記感熱材料を前記熱センサワイヤの内芯部として形成することと、
前記内芯部の周囲に前記キャリア部を形成することと、
を含み、
前記感熱材料を内芯部として形成することは、
前記内芯部の第1の芯セグメントを形成するために前記感熱材料を押し出すことと、
前記感熱材料を押し出した後に、前記内芯部の第2の芯セグメントを形成するために第2の材料を押し出すことと、をさらに含み、
前記第1の芯セグメントは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を備え、前記第2の芯セグメントは、前記目標温度範囲内の転移温度を呈しない
方法。
【請求項16】
熱センサワイヤを形成する方法であって、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸する前記熱センサワイヤのキャリア部を形成することと、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸し、かつ前記キャリア部に隣接する前記熱センサワイヤの感熱部を感熱材料から形成することと、を備え、
前記感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とするポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、前記キャリア部は、前記目標温度範囲内での熱転移を有しないキャリア材料を備え、
前記感熱材料は、第1の感熱材料および第2の感熱材料を備え、前記第1の感熱材料および前記第2の感熱材料は、前記キャリア材料内に設けられた第1のワイヤおよび第2のワイヤとして押し出され、前記第1の感熱材料は第1の転移温度を備え、前記第2の感熱材料は、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を備える
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
分野
実施形態は、電池デバイスを含む回路保護デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ポリマー正温度係数(PPTC)デバイスならびに負温度係数(NTC)デバイスなどの材料は、様々な用途の中、過電流保護デバイスまたは過熱保護デバイス、ならびに電流センサまたは温度センサとして使用され得る。公知の構成において、PPTC材料は、電流を制限するため、または部品の温度を感知するために、一対の電極の間に配置され得る。しかし、PPTCデバイスとNTCデバイスの配置の柔軟性向上が高まることにより、新たな用途が可能になるか、または既存用途の制御が向上する。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態においては、熱センサワイヤが提供される。熱センサワイヤは、熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、キャリア部と、を含み得、キャリア部は、感熱部に隣接してワイヤ軸に沿って延在し、感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備える。
【0004】
別の実施形態においては、熱センサワイヤを形成するための方法が提供される。この方法は、熱センサワイヤの長さに沿って延伸する熱センサワイヤのキャリア部を形成することを含み得る。この方法は、熱センサワイヤの長さに沿って延伸し、かつキャリア部に隣接する熱センサワイヤの感熱部を感熱材料から形成することを含み得る。そのため、感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とするポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料で形成され得、キャリア部は、目標温度範囲内での熱転移を有しないキャリア材料を備える。
【0005】
さらなる実施形態においては、デバイスが、電池部と、電池部と接触して設けられた熱センサワイヤと、を含み得る。熱センサワイヤは、熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、キャリア部と、を含み得、キャリア部は、感熱部に隣接してワイヤ軸に沿って延在し、感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
【
図1B】本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
【
図1C】本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
【
図1D】本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
【
図1E】本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
【
図1F】各種実施形態にかかる熱センサワイヤの側面図を示す。
【
図1G】本開示の実施形態にかかる、PPTCベースの熱センサワイヤの抵抗を温度の関数として表したグラフを示す。
【
図2】本開示の実施形態にかかるデバイス内の熱センサワイヤの一実装形態を示す。
【
図3】熱センサワイヤを形成するための装置の一実施形態を示す。
【
図4】本開示のさらなる実施形態にかかる熱センサワイヤを示す。
【
図5】本開示の他の実施形態にかかるプロセスフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本実施形態について、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下、より詳しく説明する。これらの実施形態は、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとは解釈されず、むしろ、本開示を徹底かつ完全なものとし、その範囲を当業者に十分に伝える目的で提供されるものである。図面において、同様の数字は、全体を通じて同様の素子を表す。
【0008】
以下の説明および/または特許請求の範囲においては、「~に」、「~に重なって」、「~に設けられ」および「~の上に」という用語が使用され得る。「~に」、「~に重なって」、「~に設けられ」および「~の上に」は、2つまたはそれ以上の素子が互いに直接物理的に接触していることを示す目的で使用され得る。また、「~に」、「~に重なって」、「~に設けられ」および「~の上に」という用語は、2つまたはそれ以上の素子が互いに直接接触していないことを意味し得る。例えば、「~の上に」は、1つの素子が別の素子の上方に、互いに接触せずに存在することを意味し得、この2つの素子の間に別の素子(複数または単数)を有し得る。さらに、「および/または」という用語は、「および」を意味し得、これは「または」を意味し得、「排他的論理和(exclusive-or)」を意味し得、「一つ」を意味し得、「一部ではあるが、全部ではない」を意味し得、「どちらも~ない」を意味し得、かつ/または「両方」を意味し得るが、請求される主題の範囲がこの点で限定されるものではない。
【0009】
各種実施形態においては、熱表示器「ワイヤ」が分散型温度感知目的で使用され得る。温度感知素子を有する熱表示器ワイヤまたは熱センサワイヤは、デバイスが臨界温度を超えた時期を感知する目的で使用され得る。いくつかの実施例においては、過剰な温度をもたらす熱が広いエリアで生成され得るのに対し、他の実施形態においては、温度センサが、ホットスポットを検出する目的で展開され得る。
【0010】
各種実施形態においては、ポリマー正温度係数(PPTC)または負温度係数(NTC)材料を感熱ワイヤの一部として使用することができる。簡潔に言えば、本実施形態の感熱ワイヤ(本明細書では「熱センサワイヤ」とも称される)は、目標温度に到達または超越した時期を明示する目的で使用され得る。感熱ワイヤは、局所的または全体的に温度が変化し得る本体またはデバイスと接触して展開され得る。感熱ワイヤによって保護されている当該デバイスの場合、温度が目標温度を満足または超過すると、感熱ワイヤのPPCT材料またはNTC材料で、高抵抗から低抵抗への転移、またはその逆の転移が生じ得る。このようにして、感熱ワイヤに連結された表示器またはデバイスが、抵抗の変化を警報信号または制御信号に変換し得る。そのため、本実施形態の感熱ワイヤは、現在の実施形態において、公知のPPTCデバイスと同様の過電流および/または過熱保護のために、低インピーダンス(通常動作)から高インピーダンス(高温時)へのPTC抵抗と、その逆のNTC抵抗と、を変化させる「デジタル」PPTC熱表示器に基づいて使用され得る。
【0011】
図1A~
図1Eは、本開示の種々の実施形態に従って配置された各種熱センサワイヤの断面を示す。
図1Aには、本開示のいくつかの実施形態にかかる熱センサワイヤ100が示されている。熱センサワイヤ100は、熱センサワイヤ100のワイヤ軸(記載の直交座標系のZ軸に沿って延在する感熱部を含み得る。同様に、熱センサワイヤ100は、ワイヤ軸に沿って延在するキャリア部を含み得る。
図1の構成に示すとおり、熱センサワイヤ100は、内芯104と、内芯の周囲に周方向に設けられた外芯102と、を含み得る。そのため、内芯104および外芯102の両方がワイヤ軸に沿って延在し得る。
図1に示すとおり、内芯104が棒状または中実円筒状であり得るのに対し、外芯102は、中空円筒状または環状を有する。いくつかの実施形態においては、内芯104が感熱部となり得るのに対し、外芯102はキャリア部となり得る。他の実施形態においては、内芯104がキャリア部となり得るのに対し、外芯は感熱部となり得る。
【0012】
熱センサワイヤ100の感熱部は、任意の適切な公知のPPTC材料または公知のNTC材料で形成され得る。PPTC材料の非限定的な例としては、ポリマー部分と、その中に分散または散在した導電性粉末と、を有するポリマー複合材が挙げられ、PPTC材料のポリマー部分は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、HDPE(高密度/低密度ポリエチレン)、ポリウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン(EFTE)、PFA(パーフルオロアルコキシ)、または、結晶相および非晶質相を有するポリマーなど、他のポリマーであり得る。NTC材料の非限定的な例としては、Ni、Mn、Feなどを基質とする酸化物やシリコンなどが挙げられる。
【0013】
各種実施形態において、熱センサワイヤのキャリア部は、PPTC材料において使用される上記ポリマーの1つなど、ポリマー中に伝導性粉末が分散していないポリマー材料を基質とし得る。他の実施形態において、熱センサワイヤのキャリア部は、PPTC材料において使用される上記ポリマーの1つなど、ポリマー内に誘電体粉末が分散したポリマー材料を基質とし得る。さらなる実施形態において、熱センサワイヤのキャリア部は、ポリイミド、PVC(ポリ塩化ビニル)、ランバー(Rambar)などのアクリルアルキッドやポリイミド類、または他のポリマーなどの他のタイプのポリマー材料を基質とし得る。他の非限定的な実施形態において、キャリア部は、温度(他のポリマーよりもTgガラス転移点またはTm融点)が高いポリマーを含むキャリア材料で形成され得るか、より重い架橋ポリマーであり得る。例えば、低い転移温度が感熱部のポリマーに対して用いられ、キャリア部の高温(ポリカーボネート系)ポリウレタンまたは熱架橋ポリイミドとの伝導に用いられ得る。キャリア部は、高温のPET(ポリエチレンテレフタレート)またはPCTポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)の混合物から形成され得る。キャリア部に適した他の材料は、ETFEもしくは無機繊維ガラスベース繊維、または有機麻ベース(organic hemp based)繊維、ピンホールの無く電気絶縁性の高い金属ワイヤ、ナイロン、ポリエステル、あるいはその他の材料であり得る。
【0014】
各種実施形態において、感熱部は、電気抵抗率が急激かつ顕著に変化する目標転移温度を呈するように設計され得る。感熱材料としてPPTC材料を用いた実施形態においては、抵抗率の増加が、1桁の増加、3桁の増加、5桁の増加、7桁の増加などを含み得る。感熱部がNTC材料で形成されている他の実施形態においては、5倍、10倍、100倍といった抵抗率の急激な減少が起こり得る。本実施形態は、この文脈に限定されるものではない。抵抗率の転移の急激性は、PPTC材料またはNTC材料の性質に依存し得る。ただし、いくつかの実施形態においては、抵抗率の変化の大半が、5℃や10℃など、数℃にわたって行われ得る。
図1Gの実施例においては、PPTCベースの熱センサワイヤが、50℃~60℃の温度範囲にわたって約4桁(10,000)の抵抗率増加を呈する。このように、熱センサワイヤは、保護されているデバイスまたは本体が約60℃という目標温度に到達または超越した時期を示すセンサとして使用され得る。
【0015】
図1Fに示唆されているとおり、熱センサワイヤ100は、公知のワイヤと同様の長尺形状を有し得る。本明細書に後述される熱センサワイヤ100および他のワイヤは、可塑性、すなわち形状を成して所与の物体に巻き付く能力を含む、公知のワイヤと同様の機械的特性を呈し得る。各種非限定的な実施形態において、以下に詳述する熱センサワイヤ100または他の熱センサワイヤの径は、150μm~1cmの範囲であり得る。
【0016】
図2を参照すると、デバイス200における熱センサワイヤ100の一実装形態が示されており、デバイス200は、熱センサワイヤ100に加え、電池部202を含み得る。熱センサワイヤ100は、電池部202の多くの領域が熱センサワイヤ100の様々な部分(セグメント)と熱接触するようにして、電池部202に巻き付けられ得る。熱センサワイヤ100が60℃の転移温度を呈する一実施形態においては、電池部202の任意の領域(複数または単数)でホットスポットが生じ、60℃またはそれ以上にまで加熱されると、電池部202のホットスポット(複数可)と熱接触している熱センサワイヤ100のセグメント(複数または単数)で、上記のような急激かつ顕著な抵抗率の変化が生じる。
図2に示すとおり、熱センサワイヤ100は、任意の適切な回路、コントローラ、または表示器を表すセンサデバイス204に電気的に接続され得、熱センサワイヤ100における抵抗の大きな変化がトリガとなって、適切な制御信号または表示器信号が生成される。例えば、デバイス200は、60℃のホットスポットを検出した直後に電池部202の動作を停止し得るか、可聴信号および可視信号の一方または両方などの警報信号を生成し得る。
【0017】
熱センサワイヤ100は、電池部202など、デバイスの様々で多くの領域に隣接して、またはその周囲に巻き付けて便利に配置され得ることから、以下に詳述する熱センサワイヤ100および他の同様のワイヤが、単純な回路を使用して、デバイスまたは本体内の任意の箇所で発生する熱事象をプローブするための便利な機構を提供する。そのため、熱事象または熱偏位(thermal excursion)の正確な位置が確定できない場合でも、熱センサワイヤ100は、保護されるべき本体またはデバイスのどこかで局所的な事象が発生したことを容易に検出できるため、過度または広範囲の加熱が発生する前に適切な措置の実施が可能となる。
【0018】
図1Aの上記実施形態においては、内芯104と外芯102だけが示されている。ただし、さらなる実施形態においては、熱センサワイヤが、外芯の周囲に設けられたワイヤ被覆を含み得る。
図1Bは、外芯102の周囲に設けられたワイヤ被覆112を含む、熱センサワイヤ110の一実施形態を表す。非限定的な各種実施形態においては、ワイヤ被覆112が、伝導性相を添加せずに、感熱部で使用されるものと同じベースポリマーなどの絶縁体で形成され得;誘電体材料フィラーを用いて、感熱部で使用されるものと同じベースポリマーなどの絶縁体で形成され得;T
Gを高めるか、架橋を増やす別のポリマーを添加して、感熱部で使用されるものと同じベースポリマーなどの絶縁体で形成され得る。絶縁体被覆を形成するためのベースPPTC材料に添加され得る追加ポリマー材料の例としては、ポリカーボネート、PVC、ポリイミド、PTFE、または他の公知のポリマーが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態においては、ワイヤ被覆112または同様のワイヤ被覆が、
図4に関して以下に詳述するとおり、外芯102または内芯104の中身に関する情報を伝えるために特別に配置され得る。
図3は、熱センサワイヤ110などの熱センサワイヤを形成するための装置300の一実施形態を表す。装置300は、内芯104が引き抜かれるか押し出される中央オリフィス302と、内芯104の周りに形成する外芯102を供給するための第2のオリフィス304と、外芯102の周りにワイヤ被覆112を供給するための第3のオリフィス306と、を有する押出装置を表し得る。
【0020】
図1Cは、断面が円形または環状ではなく矩形である熱センサワイヤ120の実施形態を示す。このように、内芯126が矩形であり得るのに対し、外芯124は矩形筒状を有し、ワイヤ被覆122によって囲まれている。用途によっては、熱センサワイヤ120の断面が矩形、平坦、または長尺のものを使用することが、環状断面のワイヤよりも適切であり得る。
【0021】
図1Dは、円形断面または環状断面を有し、キャリア部132の周囲に設けられた外側ワイヤ被覆131を有する熱センサワイヤ130の実施形態を表す。この実施形態においては、複数の内側ワイヤがキャリア部132内に設けられている。これらのワイヤは、第1の内側ワイヤ134、第2の内側ワイヤ136、および第3の内側ワイヤ138として示されている。各種実施形態において、これらの内側ワイヤは、熱特性が互いに異なり得る。例えば、第1の内側ワイヤ134は、第1の転移温度を特徴とする第1の感熱材料142を用いて形成され得、第2の内側ワイヤ136は、第2の転移温度を特徴とする第2の感熱材料146を用いて形成され得、第3の内側ワイヤ138は、第3の転移温度を特徴とする第3の感熱材料150を用いて形成され得る。これらの転移温度は、いずれも互いに異なり得る。そのため、熱センサワイヤ130は、多数の様々な温度での温度感知が保護対象デバイスにとって有用である用途に適し得る。例えば、第1の転移温度は60℃であり得、第2の転移温度は70℃であり得、第3の転移温度は80℃であり得る。内側ワイヤの各々は、所与の温度に達した時期を明示するために、回路またはデバイスに個別に連結され得る。電池を保護する場合、電池上の所与の位置で60℃を超えると、抵抗が急激に変化している第1の内側ワイヤ134が、第1の警報信号の送信をトリガし得る。70℃を超えると、第2の内側ワイヤ136が、より高レベルの警報など、第2の信号をトリガし、80℃を超えると、第3の内側ワイヤ138が、電源の遮断などの手続きをトリガし得る。
【0022】
図1Dは3本の内側ワイヤの実施形態を表しているが、他の実施形態においては、本数の異なる内側ワイヤが、多温度対応型の温度センサワイヤを形成する目的で使用され得る。なお、組み立ておよび配線の便宜上、それぞれの内側ワイヤの内側被覆140、内側被覆144、および内側被覆148は、色などが互いに異なり得る。
【0023】
図1Eには、平坦、長尺、または矩形断面を有し、キャリア部161の周囲に設けられた外側ワイヤ被覆162を有する熱センサワイヤ160の実施形態を表される。この実施形態においては、
図1Dと同様、複数の内側ワイヤがキャリア部161内に設けられている。これらのワイヤは、第1の内側ワイヤ164、第2の内側ワイヤ166、および第3の内側ワイヤ168として示されている。各種実施形態において、これらの内側ワイヤは、熱特性が互いに異なり得る。例えば、第1の内側ワイヤ164は、第1の転移温度を特徴とする第1の感熱材料172(内側被覆170で囲まれる)を用いて形成され得、第2の内側ワイヤ166は、第2の転移温度を特徴とする第2の感熱材料176(内側被覆174で囲まれる)を用いて形成され得、第3の内側ワイヤ168は、第3の転移温度を特徴とする第3の感熱材料180(内側被覆170で囲まれる)を用いて形成され得る。これらの転移温度は、いずれも互いに異なり得る。そのため、熱センサワイヤ160は、上述した熱センサワイヤ130の場合のように、多数の様々な温度での温度感知が保護対象デバイスにとって有用である用途に適し得る。
【0024】
図4は、本開示のさらなる実施形態にかかる熱センサワイヤ400を示す。熱センサワイヤ400は、内芯402と、内芯402の周囲に設けられた外芯404と、外芯404の周囲に設けられたワイヤ被覆406と、を含む。内芯402が、ワイヤ軸(z軸)に沿って互いに長手方向に設けられた第1の芯セグメント402Aおよび第2の芯セグメント402Bを備えるという点で、内芯402は図示のようにセグメント化され得、第1の芯セグメント402Aは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を有する感熱材料を備える。そのため、第1の芯セグメント402Aは、例えば、PPTC材料またはNTC材料を含み得る。これに対し、第2の芯セグメント402Bは、目標温度範囲内の転移温度を呈しない。例えば、熱センサワイヤ400は、約80℃を上回る温度偏位(temperature excursion)を検出するように設計され得るため、第1の芯セグメント402Aの材料は、約70℃から約80℃の間のどこかの範囲の転移温度を有するように設計され得る。
【0025】
内芯402は一般に、第2の芯セグメント402Bを含んで導電性であり得るため、第1の芯セグメント402Aにおいて80℃で転移が生じたときに、内芯402の全体的な抵抗および抵抗の変化が容易に測定可能であり得る。各種実施形態において、第1の芯セグメント402Aは、
図4に示すとおり、内芯402に沿って複数回繰り返され得る。例えば、熱センサワイヤ400は、温度を監視するために、複数の第1の芯セグメント402Aが電池領域の表面に適用される電池パックに適用され得る。さらに、第2の芯セグメント402Bは、カーボンブラックなど、数度以内(少なくとも監視対象の目標温度範囲外)で導電度が1桁またはそれ以上変化する転移温度を呈しない単純な導体を含み得る。そのため、第2の芯セグメント402Bは、電池間の隙間や縁部など、温度が監視されない領域の隣りに配置され得る。このように、PPTC材料またはNTC材料が内芯402全体に供給される必要はなく、監視対象のデバイス領域に隣接して選択的に配置され得る選択セグメント内にのみ供給されれば良い。
【0026】
図4にさらに示すとおり、ワイヤ被覆406は、第1の芯セグメント402Aの周囲に設けられた第1の被覆セグメント406Aと、第2の芯セグメント402Bの周囲に設けられた第2の被覆セグメント406Bと、を備え、第1の被覆セグメント406Aは第1の色を有し、第2の芯セグメント406Bは、第1の色とは異なる第2の色を有する。このようにして、熱センサワイヤ400は、長さに沿った感熱部(第1の芯セグメント402A)の位置を明示し、熱センサワイヤ400の感熱部を、監視対象または保護対象のデバイスの部分に適切に適用しやすくする。
【0027】
各種実施形態によれば、熱センサワイヤは、円形から矩形に至る様々なダイによって断面が制御される単一ワイヤとしてのPTC材料の押出し;いくつかの層が伝導性であり、他の層が伝導性でない様々な機能特性を有する多層ワイヤ構成を形成するための多数の層の共押出;ワイヤの長さに沿って可変断面を有する押出し;ロールツーロール(roll to roll)またはバッチプロセスに実行される、長さに沿って周期的に異なる長さのセグメントを有する多数の「ワイヤ」から積層/カレンダー加工されたセグメント;ホットメルトプレスまたはホットメルト印刷、および再積層;を含む、任意の適切な技術によって形成され得る。いくつかの実施形態においては、熱センサワイヤの感熱部を形成する内芯部が、一定の径で押し出され得る。いくつかの実施形態においては、内芯部が、内芯部の可変径を生成するために押し出され得る。例えば、内芯部の第1の径がワイヤの特定の長さにわたることにより、ワイヤの全体抵抗が許容レベルに維持され得る一方で、この径は、特定の箇所で、より小さな第2の径に変更され得る。例えば、(伝導性の)内芯部の径は、熱感知が行われないワイヤのセグメントに沿った第1の値で確定され得、熱感知が実施されるセグメントに沿った第2の値であり得る。
【0028】
図5を参照すると、例示的なプロセスフロー500が示されている。ブロック502で、熱センサワイヤのキャリア部が形成される。キャリア部は、熱センサワイヤの長軸に沿って延在し得る。
【0029】
ブロック504で、感熱材料から熱センサワイヤの感熱部が形成される。この感熱部は、熱センサワイヤの長さ沿いに、キャリア部に隣接して延伸している。いくつかの実施形態においては、感熱部が、キャリア部内に設けられた芯部として形成され得、他の実施形態においては、キャリア部が、感熱部内の芯部として形成され得る。
【0030】
感熱材料は、種々の実施形態において、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を含み得る。感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とし得る。例えば、熱転移は、数℃以内などの狭い温度範囲内で、1桁、2桁、または4桁といった抵抗の増加または減少を伴い得る。熱転移の目標範囲は、用途に応じて整えられ得るが、非限定的な各種実施形態によれば、一般に-50℃~200℃の範囲内にあり得る。反対に、キャリア部は、目標温度範囲内に熱転移を持たないキャリア材料で形成され得る。これは、目標温度範囲内で、数℃といった狭い温度範囲で抵抗が10倍(1桁)以上などの唐突な変化を起こさないことを意味する。そのため、熱センサワイヤは、感熱材料で生じる目標温度範囲内の熱転移のみによって急激な抵抗変化を呈し得る。
【0031】
いくつかの実施形態においては、感熱部が、複数の異なる内側ワイヤに形成され得、各内側ワイヤは、所与の転移温度を有する感熱材料を含む。例えば、3つの異なる転移温度を有する3つの異なる感熱材料を用いて、3つの異なる内側ワイヤが形成され得る。この3つの異なる内側ワイヤは、識別のために、それぞれ異なる被覆で被覆され得、キャリア部の周囲に設けられた一般的な被覆を含む感熱ワイヤの共通のキャリア部に設けられ得る。
【0032】
ブロック506で、感熱部およびキャリア部の周囲に被覆が形成される。各種実施形態において、被覆は、公知のワイヤ被覆と同様、電気絶縁体であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態においては、感熱部が、複数の異なる内側ワイヤに形成され得、各内側ワイヤは、所与の転移温度を有する感熱材料を含む。例えば、3つの異なる転移温度を有する3つの異なる感熱材料を用いて、3つの異なる内側ワイヤが形成され得る。この3つの異なる内側ワイヤは、識別のために、それぞれ異なる被覆で被覆され得、キャリア部の周囲に設けられた一般的な被覆を含む感熱ワイヤの共通のキャリア部に設けられ得る。
【0034】
要約すると、本実施形態は、標準的なPPTCデバイスと同様、過電流および/または過熱保護に使用され得る。各種実施形態においては、熱センサワイヤが、連続的なPPTC構造としての感知素子として、または直列および/もしくは並列の電気的構成で多数の温度感知エリアに配置され得る。デジタル素子は、正常動作時に抵抗/インピーダンスが低い場合と、異常状態のために、単純なデジタル信号(マイクロプロセッサによって検出され得るか、またはリレーもしくは電界効果トランジスタなどの電気スイッチを駆動する目的で使用され得る)の使用が許可されるときに抵抗/インピーダンスが高い場合に、直列に配置され得る。
【0035】
本実施形態は、特定の実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲に定義されているとおり、本開示の領域および範囲から逸脱しない限り、記載された実施形態に対する多数の修正、改変および変更が可能である。したがって、本実施形態は、記載された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の文言によって定義される全範囲、およびその均等物を有し得る。
[項目1]
熱センサワイヤであって、
前記熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、
キャリア部と、を備え、前記キャリア部は、前記感熱部に隣接して前記ワイヤ軸に沿って延在し、前記感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備える、熱センサワイヤ。
[項目2]
円形断面または矩形断面を備える、項目1に記載の熱センサワイヤ。
[項目3]
様々な機能特性を有する複数の層を備え、前記感熱部は、導電性を有する第1の層を備え、第2の層は電気的絶縁性を有する、項目1または2に記載の熱センサワイヤ。
[項目4]
前記感熱部は、前記熱センサワイヤの長さに沿った可変断面を備える、項目1から3のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
[項目5]
前記感熱部は内芯を備え、前記キャリア部は、前記内芯の周囲に周方向に設けられ、前記熱センサワイヤは、前記キャリア部の周囲に設けられたワイヤ被覆をさらに備える、項目1から4のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
[項目6]
前記内芯は、前記ワイヤ軸に沿って互いに長手方向に設けられた第1の芯セグメントおよび第2の芯セグメントを備え、前記第1の芯セグメントは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を備え、前記第2の芯セグメントは、前記目標温度範囲内の転移温度を呈しない、項目5に記載の熱センサワイヤ。
[項目7]
前記ワイヤ被覆は、前記第1の芯セグメントの周囲に設けられた第1の被覆セグメントと、前記第2の芯セグメントの周囲に設けられた第2の被覆セグメントと、を備え、前記第1の被覆セグメントは第1の色を有し、前記第2の芯セグメントは、前記第1の色とは異なる第2の色を有する、項目6に記載の熱センサワイヤ。
[項目8]
前記キャリア部の周囲に設けられた外側ワイヤ被覆と、
前記キャリア部内に設けられた複数の内側ワイヤと、をさらに備え、
前記感熱部は、前記複数の内側ワイヤのうちの第1の内側ワイヤ内に設けられ、第1の転移温度を有する第1の感熱材料を備え、
前記複数の内側ワイヤは、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を有する第2の感熱材料を備える少なくとも1本の追加ワイヤを備える、項目1から7のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
[項目9]
前記熱センサワイヤの長さに沿って周期的に異なる長さのセグメントを有する多数のワイヤから形成された複数の積層/カレンダー加工されたセグメントを備える、項目1から8のいずれか一項に記載の熱センサワイヤ。
[項目10]
熱センサワイヤを形成する方法であって、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸する前記熱センサワイヤのキャリア部を形成することと、
前記熱センサワイヤの長さに沿って延伸し、かつ前記キャリア部に隣接する前記熱センサワイヤの感熱部を感熱材料から形成することと、を備え、
前記感熱材料は、目標温度範囲内での熱転移を特徴とするポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備え、前記キャリア部は、前記目標温度範囲内での熱転移を有しないキャリア材料を備える、方法。
[項目11]
前記感熱材料を前記熱センサワイヤの内芯部として形成することと、
前記内芯部の周囲に前記キャリア部を形成することと、
を含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
前記内芯部を一定の径で押し出すことを含む、項目11に記載の方法。
[項目13]
前記内芯部に可変径を生成するために前記内芯部を押し出すことを含む、項目11に記載の方法。
[項目14]
前記感熱材料と前記キャリア部とを多層ワイヤ構成において一連の層として形成することを含む、項目10から13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
前記感熱材料を内芯部として形成することは、
前記内芯部の第1の芯セグメントを形成するために前記感熱材料を押し出すことと、
前記感熱材料を押し出した後に、前記内芯部の第2の芯セグメントを形成するために第2の材料を押し出すことと、をさらに含み、前記第1の芯セグメントは、導電度が目標温度範囲内で少なくとも1桁変化する転移温度を備え、前記第2の芯セグメントは、前記目標温度範囲内の転移温度を呈しない、項目11から14のいずれか一項に記載の方法。
[項目16]
前記キャリア部の周囲に被覆を形成することをさらに含み、前記被覆を形成することは、
前記第1の芯セグメントの周囲に第1の被覆セグメントを形成することと、
前記第2の芯セグメントの周囲に第2の被覆セグメントを形成することと、をさらに含み、前記第1の被覆セグメントは第1の色を有し、前記第2の芯セグメントは、前記第1の色とは異なる第2の色を有する、項目15に記載の方法。
[項目17]
前記感熱材料は、第1の感熱材料および第2の感熱材料を備え、前記第1の感熱材料および前記第2の感熱材料は、前記キャリア材料内に設けられた第1のワイヤおよび第2のワイヤとして押し出され、前記第1の感熱材料は第1の転移温度を備え、前記第2の感熱材料は、前記第1の転移温度とは異なる第2の転移温度を備える、項目11から16のいずれか一項に記載の方法。
[項目18]
デバイスであって、
電池部と、
前記電池部と接触して設けられた熱センサワイヤと、を備え、前記熱センサワイヤは、
前記熱センサワイヤのワイヤ軸に沿って延在する感熱部と、
キャリア部と、を備え、前記キャリア部は、前記感熱部に隣接して前記ワイヤ軸に沿って延在し、前記感熱部は、ポリマー正温度係数(PPTC)材料または負温度係数(NTC)材料を備える、デバイス。
[項目19]
前記キャリア部の周囲に設けられたワイヤ被覆をさらに備え、前記感熱部は内芯を備え、前記キャリア部は、前記内芯の周囲に周方向に設けられる、項目18に記載のデバイス。