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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ランドセル
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/36 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
A45C13/36 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020214556
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100531
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】517317967
【氏名又は名称】株式会社協和
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小森 規子
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-141816(JP,U)
【文献】特開平08-336412(JP,A)
【文献】実開平02-038442(JP,U)
【文献】特開平09-266806(JP,A)
【文献】実開昭60-022920(JP,U)
【文献】実開昭54-104302(JP,U)
【文献】登録実用新案第3004137(JP,U)
【文献】国際公開第2020/026225(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206586569(CN,U)
【文献】特開平08-000332(JP,A)
【文献】実開昭60-077417(JP,U)
【文献】登録実用新案第3091953(JP,U)
【文献】特開平09-131209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
教科書、ノートなどの各種教材を収容する主収容室(3)と副収容室(5)と前ポケット部(7)を有するランドセル本体(2)と、該ランドセル本体の上部を開閉可能に覆う蓋板とからなるランドセル(1)において、前記ランドセル(1)の任意補強箇所の形状に合わせて形成した軽量で強度性を有する芯板(21)と、該芯板をガイド保持する各種形状の支持板(22、32、42、52)とからなる補強部(20)を、前記主収容室(3)の大マチ枠(10)の任意箇所に少なくとも1以上取り付けてなり、
前記補強部は、前記大マチ枠(10)の左右大マチ部(11)の上方に縫着固定した上部支持板(22)の内枠部(27)に前記芯板(21)を嵌合接着してなる、
ことを特徴とするランドセル。
【請求項2】
前記補強部は、前記左右大マチ部(11)の下方に取付けた第1支持板(32)または第2支持板(42)の内枠部(37、47)に前記芯板(21)を嵌合接着してなる、 ことを特徴とする請求項1に記載のランドセル。
【請求項3】
教科書、ノートなどの各種教材を収容する主収容室(3)と副収容室(5)と前ポケット部(7)を有するランドセル本体(2)と、該ランドセル本体の上部を開閉可能に覆う蓋板とからなるランドセル(1)において、
前記ランドセル(1)の任意補強箇所の形状に合わせて形成した軽量で強度性を有する芯板(21)と、該芯板をガイド保持する各種形状の支持板(22、32、42、52)とからなる補強部(20)を、前記主収容室(3)の大マチ枠(10)および前記ランドセル(1)の主収容室(3)の大マチ枠(10)の任意箇所に少なくとも1以上取り付けてなり、
前記補強部は、前記大マチ枠(10)の左右大マチ部(11)の上方に縫着固定した上部支持板(22)の内枠部(27)に前記芯板(21)を嵌合接着し、前記大マチ枠(10)の底板部(13)中央、または左右両側に中敷板(55)を介して軽量で強度性を有する前記芯板(21)を接着固定してなる、
ことを特徴とするランドセル。
【請求項4】
教科書、ノートなどの各種教材を収容する主収容室(3)と副収容室(5)と前ポケット部(7)を有するランドセル本体(2)と、該ランドセル本体の上部を開閉可能に覆う蓋板とからなるランドセル(1)において、前記ランドセル(1)の任意補強箇所の形状に合わせて形成した軽量で強度性を有する芯板(21)と、該芯板をガイド保持する各種形状の支持板(22、32、42、52)とからなる補強部(20)を、前記主収容室(3)の大マチ枠(10)前記ランドセル(1)の主収容室(3)の大マチ枠(10)の任意箇所に少なくとも1以上取り付けてなり、
前記補強部は、前記左右大マチ部(11)の上方に縫着固定した上部支持板(22)の内枠部(27)に前記芯板(21)を嵌合接着し、前記左右大マチ部(11)の下方に縫着固定した第1支持板(32)、または第2支持板(42)の内枠部(37、47)に前記芯板(21)を嵌合接着し、前記大マチ枠(10)の底板部(13)中央、または左右両側に前記芯板(21)を接着固定してなる、
ことを特徴とするランドセル。
【請求項5】
前記補強部(20)は、軽量で強度性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂材を用途に応じて矩形または方形に形成した芯板(21)と、軽量で強度性を有する縫製が容易な合成樹脂材により前記ランドセル(1)の補強箇所の形状に合わせて形成した前記上部支持板、前記第1支持板および前記2支持板(22、32、42)とからなり、前記上部支持板、前記第1支持板および前記2支持板(22、32、42)の形状は門型、コ字型、口字型のいずれかであり、該支持板に前記芯板(21)の外周縁形状に合わせて形成した内枠部(27、37、47)を設けてなる、
ことを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項6】
前記補強部(20)の上部支持板(22)は、左右枠部(23)の上端に大マチ枠(10)の左右大マチ部(11)の上端湾曲形状に合わせて湾曲させた上縁部(25)を一体で門型に形成し、前記左右枠部(23)の内側に芯板(21)の外周縁形状に合わせて形成した内枠部(27)を設けてなり、前記左右大マチ部(11)の上方内側にそれぞれ上部支持板(22)を縫着固定し、該上部支持板の内枠部(27)に前記芯板(21)を嵌合接着してなる、
ことを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項7】
前記補強部(20)の第1支持板(32)は、コ字型に形成した枠部(33)の内側に芯板(21)の外周縁形状に合わせて形成した内枠部(37)を一体に設けてなり、この第1支持板(32)を左右大マチ部(11)の下方内側に縫着固定し、それぞれの内枠部(37)に前記芯板(21)を嵌合接着してなる、
ことを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項8】
前記補強部(20)の第2支持板(42)は、ロ字型に形成した枠部(43)の内部に芯板(21)の外周縁形状に合わせて形成した内枠部(47)を設けてなり、この第2支持板(42)を左右大マチ部(11)の下方内側に縫着固定し、それぞれの内枠部(47)内に前記芯板(21)を嵌合接着してなる、
ことを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項9】
前記大マチ枠(10)の底板部(13)中央、または左右両側に接着固定した前記芯板(21)は、該芯板の前後方向両端と底板部(13)の前後方向両端に接する背板及び仕切板との間に隙間を設けて位置し、該芯板の上面に主収容室3の内底面に敷く前記中敷板55を被せて圧着固定してなる、
ことを特徴とする請求項3に記載のランドセル。
【請求項10】
前記補強部(20)は、大マチ枠(10)の左右大マチ部(11)の上方または下方に前記芯板(21)を接着固定し、該芯板の表面全体を第3支持板(52)で全体を覆うように被せ、該第3支持板の周縁を左右大マチ部(11)にそれぞれ縫着固定してなる、
ことを特徴とする請求項1又は5に記載のランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学童用ランドセルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学童が背負うランドセルは、教科書やノートなどの大きなものを収容する主収容室と、計算用具などの各種教材を収容する副収容部と、内部に収容した給食費や教材費などのお金や大切なものが落下して紛失するのを防止するため、開口部にジッパーを取付けて開閉可能に形成した前ポケット部からなるランドセル本体と、前記ランドセル本体を覆う蓋板と、前記ランドセル本体を背負う背負いベルトにより構成されているものが広く知られている。
【0003】
一方、ランドセルは小学1年から6年までの6年間使用すること、また、小学生はランドセルの取り扱いが乱暴であることから経年劣化と共に変形や型崩れが生じやすい。そのため、ランドセルの強度が弱い部分、特に主収容室の開口部は左右大マチの上端部と仕切板の上端部と背板とのよって囲まれて形成されており、支持部分がないことから強い外圧力により変形したり型崩れが生じやすい。
【0004】
特に大マチ部の開口部は、支持部分がないことから前後左右からの押圧力に弱く折り曲げられやすいことに加え、開口部の上端部分は被せ板で覆った際に蓋板の曲面に沿うように上方が膨らんだ湾曲状に形成されており、この湾曲部分も押圧力により折り曲げられ変形を受けやすい部分で変形しやすい。
【0005】
そのため、ランドセルの変形や型崩れが生じやすい主収容室の開口部分やマチ部分には金属製や合成樹脂製の補強部材を取付けて補強することが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-66222号公報
【文献】実開昭61―158218号公報
【0007】
前者のランドセルは、主収容室の開口部周縁に形状記憶合金からなる補強材と形状記憶高分子(樹脂)からなる補強材を取付けて形成したもので、主収容室の開口部周縁の変形や型崩れを防止することはできるが主収容室のマチ部分、またはランドセル全体の変形や型崩れを防止することができないという問題点がある。後者のランドセルの主収容室の開口部に取付けた補強枠は、合成樹脂材で形成され、ランドセルの背板と大仕切板との間のマチ部分の上縁に取付けたもので、主収容室の前後方向には強いが左右方向からの押圧力に弱く強度性に問題がある。また、一度変形すると元の形状に戻すことはできない。また、補強枠はマチ部分の上縁に露出して取付けてあるため外部からの見栄えが悪いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、ランドセル全体、または主収容室の開口部周縁やマチ部分の変形や型崩れを防止するため、軽量で強度性の高い炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)材を補強材として使用して形成することにより、強い押圧力や衝撃に対して変形や型崩れが生じないランドセルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、教科書、ノートなどの各種教材を収容する主収容室3と副収容室5と前ポケット部7を有するランドセル本体2と、該ランドセル本体の上部を開閉可能に覆う蓋板(図示せず)とからなるランドセル1において、前記ランドセル1の任意補強箇所の形状に合わせて形成した軽量で強度性を有する芯板21と、該芯板をガイド保持する各種形状の支持板22、32、42、52とからなる補強部20を前記主収容室3の大マチ枠10の任意箇所に少なくとも1以上取付けてなることを特徴とする。また、前記補強部20は、軽量で強度性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)材を用途に応じて矩形または方形に形成した芯板21と、軽量で強度性を有する縫製が容易な合成樹脂材(無架橋低発泡ポリプロピレンシート)により前記ランドセル1の補強箇所の形状に合わせて門型、コ字型、口型などに形成した支持板22、32、42とからなり、該支持板に前記芯板21の外周縁形状に合わせて形成した内枠部27を設けてなることを特徴とする。さらには、前記補強部20の上部支持板22は、左右枠部23の上端に大マチ枠10の左右大マチ部11の上端湾曲形状に合わせて湾曲させた上縁部25を一体の門型に形成し、該枠部の内側に芯板21の外周縁形状に合わせて形成した内枠部27を設けてなり、この上部支持板22を前記左右大マチ部11の上方内側にそれぞれ縫着固定し、該上部支持板の内枠部27に芯板21を嵌合接着してなることを特徴とする。さらにはまた、前記補強部20の第1支持板32は、コ字型に形成した枠部33の内側に芯板21の外周縁形状に合わせて形成した内枠部37を一体に設けてなり、この第1支持板32を左右大マチ部11の下方内側に縫着固定し、それぞれの内枠部37に芯板21を嵌合接着してなることを特徴とする。また、前記補強部20の第2支持板42は、ロ字型に形成した枠部43の内部に芯板21の外周縁形状に形成した内枠部47を設けてなり、この第2支持板42を左右大マチ部11の下方内側に縫着固定し、それぞれの内枠部47内に芯板21を嵌合接着してなることを特徴とする。さらには、前記補強部20は、前記大マチ枠10の左右大マチ部11の上方に縫着固定した上部支持板22の内枠部27に芯板21を嵌合接着し、前記左右大マチ部11の下方に取付けた第1支持板32または第2支持板42の内枠部37、47に芯板21を嵌合接着してなることを特徴とする。さらにはまた、前記補強部20は、前記大マチ枠10の左右大マチ部11の上方に取付けた上部支持板22の内枠部27に芯板21を嵌合接着し、前記大マチ枠10の底板部13中央、または左右両側に中敷板55を介して芯板21を接着固定してなることを特徴とする。また、前記補強部20は、前記大マチ枠10の左右大マチ部11の上方に取付けた上部支持板22の内枠部27に芯板21を嵌合接着し、前記左右大マチ部11の下方に取付けた第1支持板32、または第2支持板42の内枠部37、47に芯板21を嵌合接着し、前記大マチ枠10の底板部13中央、または左右両側に芯板21を接着固定してなることを特徴とする。さらには、前記大マチ枠10の底板部13中央、または左右両側に接着固定した芯板21は、該芯板の前後方向両端と底板部13の前後方向両端に接する背板及び仕切板との間に隙間を設けて位置し、該芯板の上面に主収容室3の内底面に敷く中敷板55を被せて圧着固定してなることを特徴とする。さらにはまた、前記補強部20は、大マチ枠10の左右大マチ部11の上部または下部に芯板21を接着固定し、該芯板の表面全体を第3支持板52で覆うように被せ、該第3支持板の周縁を左右大マチ部11にそれぞれ縫着固定してなることを特徴とする。
【0010】
したがって、補強部20を軽量で強度性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)材をランドセル1の補強用芯板21として使用し、該芯板は強い外圧力(例えば、約100kg)にも耐えることが可能であるが、ランドセルを縫製する工業用ミシンでは直接ランドセルに縫着することは困難であることから、接着した芯板21が経年劣化によりずれたり剥がれたりするのを防止するため、工業用ミシンで縫製が可能な各種形状に形成した合成樹脂材からなる支持板22、32、42、52を補強箇所に応じて取付け、該支持板22、32、42、52に芯板21を接着して保持または支持して形成した補強部20をランドセル1の主収容室3を構成する大マチ枠10の任意箇所に少なくとも1以上取付けて形成したことにより、ランドセル1を乱暴に取り扱った強い衝撃力や強い押圧力に対し、ランドセル1の変形や型崩れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るランドセルの側面図である。
図2】ランドセル本体の主収容室を構成する大マチ枠の斜視図である。
図3】補強部の拡大正面図である。
図4図3のA―A断面図である。
図5】補強部の上部支持板の正面図である。
図6】補強部の芯板正面図である。
図7】補強部の第1支持板の正面図である。
図8】補強部の第2支持板の正面図である。
図9】大マチ枠の大マチ部の上下に補強部を取付けた状態を示す断面図である。
図10】芯板を大マチ枠の底面部中央に取付けた状態の断面図である。
図11】芯板を大マチ枠の底面部の左右両側に取付けた状態の断面図である。
図12】大マチ枠の底面部に取付けた芯板を中敷板で圧着固定した状態を示す断面図である。
図13】補強部の第3支持板で芯板を覆って取付けた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1は本発明に係るランドセルの側面図、図2はランドセル本体の主収容室を構成する大マチ枠に補強部を取付けた状態の斜視図、図3は補強部の拡大正面図、図4図3のA―A断面図、図5は補強部の上部支持板の正面図、図6は補強部の芯板正面図である。このランドセル1は、合成皮革または人工皮革で形成したランドセル本体2と蓋板(図示せず)と背負ベルト(図示せず)により構成されている。
【0013】
ランドセル本体2は、図1に示すごとく、教科書やノートや筆箱などを収納する大きな主収容部3と、該主収容部の前側に取付ける学習用具などを入れる小さな副収容部5と、大切な小物などを収容する前ポケット部7からなり、前記主収容部3は、幅広に形成した平板からなる底面部13の両側に大マチ部11、11を一体に形成した大マチ枠10と、学童の背中に面して位置する背板(図示せず)と、該背板の反対側に位置する仕切板(図示せず)をそれぞれ縫着して箱型に形成し、上方に教科書を出し入れするための開口部を設けてある。
【0014】
前記大マチ枠10は、一枚の扁平な人工皮革シート地の略中央に主収容室3の底面を形成する底面部13を位置し、該底面部の両側を直角方向に谷折りして大マチ部11、11を形成してなり、該大マチ部の上端部分は蓋板で覆った際に蓋板の曲面に沿うように上方が膨らんだ湾曲状に形成してある。
【0015】
この大マチ枠10と背板と仕切板とにより構成された主収容室3は、従来、開口部分の周縁に支持部分がないことから前後左右からの押圧力により変形しやすいことに加え、開口部分の上端部分は被せ板で覆った際に蓋板の曲面に沿うように上方が膨らんだ湾曲状に形成されており、この湾曲部分も押圧力により変形や型崩れを受けやすい部分であることから、本発明に係る補強部20を取付けることにより変形や型崩れを防止する。
【0016】
この補強部20は、図2、3に示すごとく、前記ランドセル1の任意補強箇所に取付けて主収容室3の変形や型崩れを防止する。特に、主収容室3を構成する大マチ部11、11の上方または下方、さらには底面部に補強部20を取付けてマチ部分を補強することにより主収容室3の変形や型崩れを防止する。
【0017】
この補強部20は、軽量で開口部分に加わる強い押圧力(例えば、100kg)による変形や型崩れを防止する強度性を有する芯板21と、軽量で強度性と大マチ部11への縫着が容易な合成樹脂板材からなる各種形状の支持板22、32、42、52とにより構成されている。
【0018】
前記芯板21は、図6に示すごとく、軽量で強度性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)板、例えば、三菱ケミカル株式会社が販売する登録商標「パイロフィルペレット」を使用してランドセルの補強箇所の形状に合わせて矩形または方形に形成してある。
【0019】
前記した強度性を有する芯板21は、ランドセル用の皮革に接着することは可能できるが、ランドセルを縫製するために使用する工業ミシンでは、該芯板を直接皮革に縫着することが困難である。また、ランドセル1は6年の長期間使用すること、学童の取り扱いが乱暴であることから、接着剤で取付けただけだと経年劣化により接着力が弱くなり芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがある。
【0020】
そこで接着した芯板21のズレや剥がれを防止して長期間使用してもランドセルの変形や型崩れを防止するため、工業ミシンで縫製可能な軽量で丈夫な合成樹脂板からなる各種形状の支持板22、32、42、52を介して取付けてある。この支持板22、32、42、52に使用する合成樹脂板材は、好ましくは、古河電工株式会社が販売する無架橋低発泡ポリプロピレンシートである登録商標「エフセル」を使用する。
【0021】
この支持板は、主収容室3の外圧に弱い部分の変形や型崩れを起こしやすい箇所の形状に合わせて形成し、例えば、大マチ枠10の大マチ部11上方に取付ける上部支持板22は、図3、5に示すごとく、左右枠部23の上端に大マチ部11の上部湾曲形状に合わせて湾曲させた上縁部25を略門型の一体に形成し、該上縁部と枠部23の内側に芯板21の外周縁形状に合わせて形成した内枠部27を設けてある。
【0022】
この上部支持板22の取付けは、前記左右大マチ部11の内側上方で湾曲形状に合わせて上縁部25を位置してから枠部23をそれぞれ縫着固定し、該上部支持板の内枠部27に芯板21を嵌合接着して取付けて補強部20を形成する。この補強部20の内側に主収容室3の化粧布板(図示せず)を取付けて外部から見えないように形成する。したがって、ランドセル1を乱暴に扱ったり外部からの強い衝撃や押圧力が生じても補強部20の芯板21がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0023】
大マチ枠10の大マチ部11の下方に取付ける第1支持板32は、図7に示すごとく、枠部33をマチ幅に合わせてコ字型に形成し、内側に芯板21の外周縁形状に合わせて内枠部37を設けてある。この第1支持板32を前記左右大マチ部11の下方内側に枠部33をそれぞれ縫着固定し、該第1支持板の内枠部37に芯板21を嵌合接着して補強部20を形成する。
【0024】
したがって、ランドセル1を乱暴に扱ったり外部からの強い衝撃や押圧力を受けても芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがない。この第1支持板32の枠部33に設けた開口部分の向きは、大マチ部11の面に対し上向きまたは下向きさらには横向きの任意方向に取付けることができる。
【0025】
大マチ枠10の大マチ部11の下方に取付ける第2支持板42は、図8に示すごとく、枠部43全体を口型に形成し、内部に芯板21を嵌合収納する内枠部47を設けてある。この第2支持板42を前記左右大マチ部11の内側下方にそれぞれ縫着固定し、該第2支持板の内枠部47内に芯板21を嵌合接着させて補強部20を形成する。したがって、ランドセル1を乱暴に扱ったり外部からの強い衝撃や外圧力が加わっても補強部20の芯板21がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0026】
前記補強部20は、芯板21と各種形状の支持板22、32、42とを組み合わせて使用するだけでなく、図10、11に示すごとく、大マチ枠10の内底面部13の中央または両側に芯板21を直接取付けてもよい。この場合、芯板21は、主収容室3の内底面に敷く中敷板55で接着固定される。したがって、支持板を取付けなくても芯板21がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0027】
この底面部13に取付けた芯板21は、該芯板の前後方向両端と、底面部13が接合する背板と仕切板との間に隙間(例えば、2mm~10mm、好ましくは、5mm)を設けて接着固定して取付ける。この芯板21の前後両端と背板側と仕切板側との間に隙間を設けることにより、主収容室3の前後方向に外部から強い押圧力が加わったとき、収容室3の底面部13が押圧力によって若干変形し始めると、芯板の両端が背板と仕切板とに直角方向に当接して支持することにより底面部の変形を止めることができる。
【0028】
したがって、主収容室3は、底面部13を芯板21、大マチ部の両側上下方向は上部支持板32と下方向を第1支持板32、または第2支持板42からなる補強部20でそれぞれ支持することにより、強い押圧力(例えば、100kg)に対して主収容室3の変形や型崩れを防止することができる。
【0029】
また、補強部20の取付け位置は、図2、9に示すごとく、ランドセル1の左右大マチ部11の上方や下方だけでなく、大マチ部11の上方と底面部13の2ケ所、または、大マチ部11の上方と下方および底面部13の3ケ所に取付けることにより、比較的体重の重い学童がランドセルに乗って遊ぶ際の強い衝撃や外圧力が加わっても補強部20が背板や仕切板を支持することにより変形や型崩れを防止することができる。
【0030】
さらには、図13に示すごとく、大マチ枠10の左右大マチ部11の上部、または下部に芯板21を接着固定し、該芯板の表面全体を第3支持板52で覆うように被せ、該支持板の周縁を左右大マチ部11に縫着固定して補強板20を形成してもよい。
【0031】
さらにはまた、前記芯板21は、支持板を介さずに直接大マチ枠10の左右大マチ部11の上部、および底面部の中央または左右両側に直接接着して形成することもできる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態の作用について説明すると、ランドセル本体2の主収容室3を形成する大マチ枠10の大マチ部11または底面部13に少なくとも1以上の補強部20を組み合わせて取付けて(例えば、(ア)大マチ部の上方、(イ)大マチ部上方と下方、(ウ)大マチ部上方と底面部、(エ)大マチ部上下と底面部など)ランドセル1を形成することにより、比較的体重の重い学童が遊びでランドセルに乗ったときの強い押圧力でも変形や型崩れを防止することができる。
【0033】
補強部20は、軽量で開口部の変形や型崩れを防止する強度性を有する芯板21と、強度性と大マチ部11への縫着が容易な合成樹脂板材からなる用途に応じて形成した各種形状の支持板22、32、42、52との組み合わせ、または、芯板21のみからなり、前記芯板21は、軽量で強度性を有する炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)板を使用してランドセルの補強箇所に合わせて矩形または方形に形成してある。
【0034】
前記各種形状の支持板は、大マチ枠10の大マチ部11に取付ける芯板21のズレや移動を防止するもので、取付け箇所の形状に合わせて形成してなり、大マチ部11上方に取付ける上部支持板22は、全体を門型で左右枠部23の上端に大マチ部の上部湾曲形状に合わせて湾曲させて上縁部25を一体に形成し、該上縁部と枠部の内側で外周縁形状に合わせて形成した内枠部27に芯板21を接着してある。
【0035】
この上部支持板22は、主収容室3の開口部分を保護するもので、前記左右大マチ部11の上方湾曲形状に合わせて縫着固定し、該上部支持板の内枠部27に芯板21を嵌合接着することにより、ランドセルを乱暴に扱ったり外部からの衝撃や外圧で芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0036】
図7に示すごとく、第1支持板32は、大マチ枠10の大マチ部11を保護するもので、大マチ部11の下方に取付ける枠部33をコ字型に形成し内側に芯板21の外周縁形状に合わせて内枠部37を設けてなり、前記左右大マチ部11の内側下方に第1支持板32をそれぞれ縫着固定し、該第1支持板の内枠部37に芯板21を嵌合接着させる。したがって、ランドセルを乱暴に扱ったり外部から衝撃や外圧で芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがない。この第1支持板32の枠部33に設けた開口部分は、大マチ部11の面に対し上向きまたは下向きさらには横向きに取付けてもよい。
【0037】
図8に示す第2支持板42は、大マチ部11を保護するもので、枠部43全体を口型に形成し、内部に芯板21を嵌合収納する内枠部47を設けてなり、この第2支持板42を前記左右大マチ部11の内側下方にそれぞれ縫着固定し、内枠部47に芯板21を嵌合接着させることにより、ランドセルを乱暴に扱ったり外部からの衝撃や外圧で芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0038】
前記補強部20は、芯板21と前記各種支持板22、32、42とを組み合わせて形成するだけでなく、図10、11、12に示すごとく、大マチ部11の底面部13の中央または両側に芯板21を直接接着して固定することができる。この場合、該芯板の上面に主収容室3の内底面に敷く、中敷板55で圧着固定することによりズレたり剥がれたりするおそれがない。
【0039】
この底面部13に取付けた芯板21は、該芯板の前後方向両端と、底面部13が接合する背板と仕切板との間に隙間を設けて取付け、主収容室3の前後方向に外部から強い押圧力が加わった場合、押圧力により主収容室3の底面部13が若干変形し始めると、芯板の両端が背板と仕切板とにそれぞれ直角方向に当接して支持し、底面部の変形を止めることにより、底面部13の変形または型崩れを防止することができる。
【0040】
さらには、前記補強部20は、図13に示すごとく、大マチ枠10の左右大マチ部11の上部または下部に芯板21を接着固定し、該芯板の表面全体に該芯板より幅の広い第3支持板52で全体を覆うように被せ、該第3支持板の周縁を左右大マチ部11にそれぞれ縫着固定して形成してもよい。したがって、縫製が簡単で外部からの衝撃で芯板21の位置がズレたり剥がれたりするおそれがない。
【符号の説明】
【0041】
1 ランドセル
2 ランドセル本体
3 主収容室
5 副収容室
7 前ポケット部
10 大マチ枠
11 大マチ部
13 底面部
20 補強部
21 芯板
22 上部支持板
23 枠部
25 上縁部
27 内枠部
32 第1支持板
33 枠部
37 内枠部
42 第2支持板
43 枠部
47 内枠部
52 第3支持板
55 中敷板
図1
図2
図3
図4
図5
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図13