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特許7563777ベルトバックル、ベルトバックルシステムおよび航空機用安全ベルト
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ベルトバックル、ベルトバックルシステムおよび航空機用安全ベルト
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20241001BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20241001BHJP
   A44B 11/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B64D11/06
A62B35/00 A
A44B11/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022501258
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2020068485
(87)【国際公開番号】W WO2021004848
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】19185016.3
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522011344
【氏名又は名称】エアクラフト・キャビン・モディフィケーション・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】AIRCRAFT CABIN MODIFICATION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビアマン・アンドレアス
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03029487(US,A)
【文献】米国特許第03246377(US,A)
【文献】登録実用新案第3144742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
A62B 35/00
A44B 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックル(10)であって、
前記ベルトバックル(10)は、
- 航空機用安全ベルトのバックルタングを少なくとも部分的に収容する収容空間(20)を形成する本体(12)と、
- 前記航空機用安全ベルトのベルトストラップ(16)が巻き付けられることで、前記ベルトストラップを取り付けるように構成されたホルダ(14)であって、前記ホルダ(14)上で前記ベルトストラップ(16)を移動させることにより、前記航空機用安全ベルトの長さが調節可能である、ホルダ(14)と、
- 前記航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間(20)に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体(12)に対してラッチ係合させるように構成された係止装置(18)と、
を備え、
前記本体(12)は、ベースプレート(40)と、両側で前記ベースプレートから突出する側壁(42)とを備え、前記ベースプレート(40)および前記側壁(42)は、少なくとも部分的に前記収容空間(20)を画定し、前記ベースプレート(40)は、略平面状の底面(44)を形成しており、
前記ホルダ(14)は、前記側壁(42)の各細長い貫通開口(58)に並進可能に取り付けられるピン要素(54)と、前記ピン要素(54)が差し込まれるスリーブ(56)であって、前記ベルトストラップ(16)が巻き付けられるように構成されたスリーブ(56)とを備え、前記側壁(42)に並進可能に取り付けられており、前記ベルトストラップ(16)に引張荷重が加えられたとき、前記ホルダ(14)が、前記ホルダ(14)に面する前記ベースプレート(40)の締付縁(38)へと引っ張られ、前記ベルトストラップ(16)が前記締付縁(38)と前記ホルダ(14)との間で締め付けられて、前記航空機用安全ベルトの長さが変わることを防止するように、前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)の方向に前記底面(44)から突出し
前記本体(12)が金属材料から構成され、前記ピン要素(54)が金属材料から構成され、前記スリーブ(56)がプラスチック材料から構成されているベルトバックル(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のベルトバックル(10)において、前記締付縁(38)が、前記ベースプレート(40)の貫通開口(50)に形成されているベルトバックル(10)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)および前記ベースプレート(40)が、一体に形成されているベルトバックル(10)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)、前記ベースプレート(40)、および/または突出する前記締付縁(38)が、再形成により、略平面状の出発部品から形成されているベルトバックル(10)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記締付縁(38)が丸められているベルトバックル(10)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)の各前記貫通開口(58)の、前記底面(44)に対する垂直方向の距離が、前記貫通開口(58)に沿って、前記締付縁(38)への前記ホルダ(14)の移動方向に向かって小さくなるベルトバックル(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記スリーブ(56)が、その長手方向の延長に沿って溝(60)を有し、当該溝に前記ピン要素(54)が収容され
前記スリーブ(56)は、前記ピン要素(54)が収容される軸方向の貫通開口を備えるベルトバックル(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記ホルダ(14)が、前記本体(12)の一方の側壁(42)から他方の側壁(42)へと延びているベルトバックル(10)。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記係止装置(18)は、
前記側壁(42)の間で旋回するように前記側壁に取り付けられたプレート要素(26)と、
前記プレート要素に取り付けられたラッチ係合要素(24)であって、前記バックルタングの対応する貫通開口に係合して、前記航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間(20)に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体(12)にロックし得るラッチ係合要素と、を備えるベルトバックル(10)。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記ベルトバックル(10)が、前記航空機用安全ベルトの装着状態を検出するセンサを有するセンサアセンブリと、
出された前記装着状態を送信する送信手段と、
記センサおよび前記送信手段を動作させるための電源と、を備えるベルトバックル(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ベースプレート(40)に、およびこれにより前記本体(12)に支持力を導入するベルトバックル(10)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)および前記側壁(42)における前記ホルダ(14)の可動型の取付部は、前記ベルトストラップ(16)の引張荷重により生じて前記ホルダ(14)に作用する力のうち、少なくとも80%が、突出する前記締付縁(38)により吸収されるような寸法および構成であるベルトバックル(10)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)のための支持面(63)を形成しているベルトバックル(10)。
【請求項14】
請求項13に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)は、締付け状態において、前記ホルダに(14)巻き付けられた前記ベルトストラップ(16)が当該支持面に対して略平行に延びるように設けられているベルトバックル(10)。
【請求項15】
請求項13または14に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、平らな面を有し、前記平らな面の面積が、少なくとも25mm あるベルトバックル(10)。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、平らな面を有し、前記平らな面の幅が、少なくとも0.5mmであるベルトバックル(10)。
【請求項17】
請求項13から16のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、前記ベースプレート(40)に対して角度(β)をなす平らな面を有し、前記角度(β)は、10°から50°の範囲であるベルトバックル(10)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)に面する端部において、前記ベースプレート(40)に対して角度(α)をなす延長方向(64)を規定しており、前記角度(α)は、40°から80°の範囲であるベルトバックル(10)。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)と、
前記ベルトバックル(10)の前記ホルダ(14)に巻き付けられ、前記ベルトバックル(10)の前記収容空間(20)から前記貫通開口(50)を通って前記締付縁(38)を越えて案内されるベルトストラップ(16)と
を備えるベルトバックルシステム。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか一項に記載のベルトバックル(10)および/または請求項19に記載のベルトバックルシステムと、
バックルタングと、
記ベルトバックル(10)に取り付けられたベルトストラップ(16)と、前記バックルタングに取り付けられたベルトストラップ(16)と、
を備える航空機用安全ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックルと、航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックルシステムと、航空機用安全ベルトとに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機用安全ベルトは、民間航空機の座席の不可欠な部品である。特に、旅客機では、乗員がそれぞれの座席でシートベルトを装着できるようにすることが義務付けられている。これにより、乱気流の際のけがや事故を防止または低減し得る。ここで、航空機用安全ベルトおよび特にそのベルトバックルに対しては、高い負荷要件が課されている。例えば、これらの部品は13kNまでの力に適うように構成されていなければならない。また同時に、航空機用安全ベルトの重量をできるだけ小さくすることが重要である。これによってのみ、旅客機を効率的に運用することが可能となる。例えば、航空機用安全ベルトのベルトバックルの重量は、約80gを越えないようにする必要がある。
【0003】
さらに、航空機用安全ベルトは、拘束すべき各乗員の体格に合わせられるようにする必要がある。例えば、それぞれの乗員の腹囲が異なっていたとしても、航空機用安全ベルトは、当該安全ベルトを装着した乗員に対して可能な限りきっちりと遊びなく接する必要がある。したがって、航空機用安全ベルトにおいては、通常、航空機用安全ベルトの端部の少なくとも1つの長さが調節可能である。この目的で、例えばベルトバックルを、位置調節のためにベルトストラップに沿って移動させ得る。あるいは、これは、ベルトストラップをベルトバックルに沿って移動させ得ると理解してもよい。このようにして、ベルトバックルと、当該ベルトバックルが保持されるベルトストラップのシート取付部との間の距離を変えることが可能である。
【0004】
この点についても、航空機用安全ベルトおよびそのベルトバックルに対してまったく相反する要求が生じることがある。快適性を高め、乗員にとってベルトの装着をより許容できるものとするために、航空機用安全ベルトの長さが可能な限り速やかかつ容易に調節可能であることが望ましい。他方、航空機用安全ベルトには高い負荷がかかり得ることから、高負荷の場合にも、航空機用安全ベルトの長さが調節された状態で、ベルトバックルおよびベルトストラップが互いに対して各々の位置に安全に留まるようにすることが同時に求められている。
【0005】
米国特許第5,088,160号(特許文献1)には、例えば、長さ調節可能な航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックルが開示されている。同文献には、調節後の位置でベルトストラップを安全に締め付けるために、丸みのある縁部を複数設けることが提案されている。しかし、そのためには、ベルトストラップをベルトバックルに保持するホルダが必要となるが、このホルダは複雑で重量が大きく、製造コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックル、ベルトバックルシステム、および航空機用安全ベルトを改良することである。特に、本発明の課題は、軽量、簡易かつ費用効率の良いベルトバックルであって、これを用いることで長さ調節可能な航空機用安全ベルトを得ることができるベルトバックルを作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記の課題は独立請求項の各主題によって達成される。各従属請求項には、本発明を意図して発展させた有利な実施形態が示されており、1つの態様の有利な実施形態は、他のそれぞれの態様の有利な実施形態であり、その逆もまた同様であると理解されたい。
【0008】
本発明の第1の態様は、航空機用安全ベルトのベルトバックルに関する。前記ベルトバックルは、前記航空機用安全ベルトのバックルタングを少なくとも部分的に収容する収容空間を形成する本体を備えていてもよい。対応するバックルタングは、前記安全ベルトを締めるように前記収容空間に挿入することができる。また、前記収容空間は、前記本体の内部空間と考えてもよいが、完全に閉じられていないことが好ましい。
【0009】
さらに、前記ベルトバックルは、ホルダであって、前記航空機用安全ベルトのベルトストラップが当該ホルダに巻き付けられることで、前記ベルトストラップを取り付けるように構成されたホルダを備えていてもよい。前記航空機用安全ベルトの長さは、好ましくは、前記ホルダ上で前記ベルトストラップを移動させることにより調節可能である。例えば、前記ホルダは、前記ベルトストラップが少なくとも一部に巻き付けられる棒状要素を備えていてもよい。前記ベルトストラップは、例えば摩擦および/または締付けにより、前記ホルダ上で位置が保持される。前記航空機用安全ベルトの長さが調節可能であることにより、前記ホルダ上における前記ベルトストラップの係止(例えば、締付け)を解除することで、前記ベルトストラップを前記ホルダに沿って摺動させることができる。その後、前記ベルトストラップを、例えば締付けにより、前記ホルダ上に係止することができる。好ましくは、前記ホルダ上における前記ベルトストラップの締付けは自己ロック式である。前記航空機用安全ベルトを締めると、前記ホルダ上における前記ベルトストラップの位置が自動的に定まる。前記ベルトバックルを作動および/または移動させるだけで、例えば、前記ベルトストラップに対して傾けることおよび/または前記航空機用安全ベルトを外すことで、移動可能となり、これにより長さ調節が可能となる。
【0010】
さらに、前記ベルトバックルは、航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体に対してラッチ係合させるように構成された係止装置を備えていてもよい。このラッチ係合は、前記航空機用安全ベルトを再度外すことができるように解除可能であることが好ましい。前記バックルタングを前記ベルトバックルとラッチ係合させることにより、乗員は、前記航空機用安全ベルトを締めてこの安全ベルトを装着することができる。このため、好ましくは、前記ベルトバックルにベルトストラップが配され、前記バックルタングにもベルトストラップが配されており、これらのベルトストラップがそれぞれ航空機座席に連結され、ベルトバックルとバックルタングとの連結により乗員を拘束し得る構成とされる。
【0011】
前記本体は、ベースプレートと、両側で前記ベースプレートから突出する側壁とを備え、前記ベースプレートおよび前記側壁は、少なくとも部分的に前記収容空間を画定し、前記ベースプレートは、略平面状の底面を形成していてもよい。前記側壁は、前記ホルダの各取付点および/または前記ベルトバックルの各作動要素および/または前記係止機構の各ラッチ係合要素を提供してもよい。また、前記側壁は、着脱時に乗員の指が挟まれないように、前記収容空間を側方から画定してもよい。前記ベースプレートは、前記安全ベルトを装着した乗員の上に置かれるように構成されていることが好ましい。この場合、前記ベースプレートは、前記底面の領域において、前記収容空間とは反対側に面する支持面を形成していてもよい。前記支持面は、前記ベルトバックルが少なくとも部分的に装着者の上に置かれるときに接する表面として定義してもよい。そういった意味で、前記ベースプレートは前記収容空間を下側で画定すると理解することもできる。また、前記ベースプレートは、少なくとも一部が平面として構成されており、この平面部分が、前記収容空間に面する側において前記底面を形成し、前記収容空間とは反対の側において前記支持面を形成すると考えてもよい。平面状の底面は、快適で安定性が高く、かつ費用効率よく製造し得る。製造により平面からのずれが生じ得るが、本件の場合、平面からのずれがあっても平面と考えるものとする。例えば、各側壁は平面状のプレートから深絞りにより形成することができ、これらの側壁間の中央部分がベースプレートを形成する。ここで、前記ベースプレートは、前記平面状の底面の領域において僅かに膨らんでいてもよいが、この部分は、前記側壁へと続く湾曲した移行部とは全く異なるものである。
【0012】
前記ホルダは、前記側壁に並進可能に取り付けられていてもよく、前記ベルトストラップに引張荷重が加えられたとき、前記ホルダが、前記ホルダに面する前記ベースプレートの締付縁へと引っ張られ、前記ベルトストラップが前記締付縁と前記ホルダとの間で締め付けられて、前記航空機用安全ベルトの長さが変わることを防止するように、前記締付縁が、前記ホルダの方向に前記底面から突出していてもよい。好ましくは、前記引張荷重は、航空機座席において前記安全ベルトを装着した乗員を拘束するような方向への引張荷重である。このような構成により、前記ベルトストラップを十分に強く締め付けるために他の特別な工程、形状、突出部などを必要としないホルダを用いることが可能である。これにより、前記ホルダを複雑の形状ものとする必要がない。例えば、前記ホルダとして、概ね円筒状の要素を単に用いてもよい。それにもかかわらず、突出する前記締付縁により、十分に大きな締付力が提供され得る。このように、前記ベルトバックルは構造が簡易で、軽量かつ費用効果が高い。特に、前記突出部により、前記ベースプレートへと、またこれにより前記ベルトバックルの前記本体へと支持力または締付力を容易に導入することができる。これにより、構造が簡易で軽量な構成により、高い負荷を容易に吸収し得る。また、突出する締付縁は簡易かつ費用効率のよい方法で製造することができ、特に、前記ベースプレートを再形成することにより製造することができる。
【0013】
前記長さは、前記ベルトストラップの長手方向の延長に沿って前記ベルトバックルを移動させることにより、簡単かつ直感的に変えることができる。前記側壁は、略平面状に形成されてもよいし、起伏のある形状を有していてもよい。前記側壁は、前記ベースプレートまたはその底面から略直角に突出していることが好ましい。前記側壁は、前記収容空間へのバックルタングの挿入方向と略平行であり、かつ/または前記挿入方向を横断する方向に前記収容空間を画定することが好ましい。前記ホルダは、前記ベルトバックルの長手方向の延長に沿って移動可能に前記側壁に保持されていることが好ましい。前記長手方向の延長は、各前記側壁の主延長および/または前記バックルタングの前記挿入方向と一致してもよい。前記収容空間は、少なくとも部分的に画定された内部空間であって、前記ベルトストラップおよび前記保持装置が少なくとも部分的に収容される空間であってもよい。
【0014】
前記締付縁は、前記収容空間の方向に、かつ/または前記バックルの支持面とは反対側に突出していることが好ましい。特に、前記締付縁は、前記底面の平面から突出していてもよい。前記締付縁は、前記ベースプレートの湾曲および/または傾斜した領域の境界に形成されていてもよく、前記湾曲および/または傾斜した領域は、前記底面を形成する領域に隣接していることが好ましい。前記引張荷重の方向は、前記ベルトバックルまたはシートベルトが装着者の上に通常配置された状態における引張方向と一致することが好ましい。このような位置では、好ましくは、前記ベルトストラップは、実質的に前記底面の延長としてかつ/または前記底面と平行に、前記収容空間および/または前記バックルタングの挿入開口とは反対の側から、前記ベルトバックルから離れるように延びる。前記引張荷重も、実質的にこの方向に作用することが好ましい。
【0015】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記締付縁が、前記ベースプレートの貫通開口に形成されている構成とされる。ここで、好ましくは、前記ベルトストラップは、前記ベルトストラップの前記収容空間から外部へと案内され、これによってさらに締め付けられており、特に湾曲部によりさらに締め付けられている。前記ベルトストラップは、前記締付縁を越えて湾曲した後、前記支持面と前記安全ベルトを装着した乗員の身体との間を延びている。前記ベルトストラップは、その締付位置または前記ベルトバックルの締付位置において、前記支持面および/または前記ベースプレートの前記底面とは反対側の面に隣接していてもよい。対照的に、移動させるための位置または長さ調節のための位置では、前記ベルトストラップは、例えば上記箇所から離間させてもよいが、必ずしもそのような構成とする必要はない。さらに、このような構成により、前記本体を前記ベルトストラップに対して傾けることで、前記ベルトバックルの締付けを容易に解除することが可能である。これにより、前記引張荷重の方向が変わるので、前記ベルトバックルまたは前記ホルダに対する前記ベルトストラップの締付けを容易かつ直感的に解除することが可能である。特に、これにより、前記ベルトストラップが前記ホルダを前記締付縁の方向に引っ張らなくなるので、または少なくとも引っ張りの程度が小さくなるので、締付けが解除されるか、少なくともそれぞれの締付力が低減される。その結果、本願において、シートベルトとも称される前記航空機用安全ベルトの長さが調節されるように、前記ベルトストラップを移動させ得る。前記締付縁は、好ましくは、前記貫通開口を画定し、かつ/または前記貫通開口に設けられている。
【0016】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記側壁および前記ベースプレートが、一体に形成されている構成とされる。これにより、前記本体は特に頑丈となる。また、これにより、前記ベルトバックルは特に容易かつ費用効率よく製造し得る。
【0017】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記側壁、前記ベースプレート、および/または突出する前記締付縁が、再形成により、特に深絞りおよび/または打ち抜き加工により、略平面状の出発部品から形成されている構成とされる。このような製造方法は特に容易かつ費用効率がよく、好ましくは単一の工程で実行し得る。特に、これにより、前記締付縁を前記本体へと特に容易に挿入し得る。追加の製造工程が不要となるように、前記締付縁が前記側壁と同時に形成されることが好ましい。前記締付縁に貫通開口を同時に形成するためには、打ち抜き加工が特に適している(この貫通開口については既に上述した)。この目的のために、打ち抜き工具が、出発部品のうちの特定の領域を同時に再形成し、例えばこの領域を上方に湾曲させて、突出する前記締付縁を形成するように構成されていてもよい。前記締付縁は、当該締付縁が形成される前記貫通開口を打ち抜く際に形成されてもよく、特に、平坦な出発部品の平面の外側へと特定の領域を押し出すことにより形成されてもよい。また、前記ベースプレートの前記底面は、前記出発部品において再形成されていない領域に相当してもよい。また、各貫通開口は、異なる方法で形成してもよく、例えば打ち抜き加工または穴あけ加工により形成してもよいが、前記側壁は深絞りにより形成される。前記締付縁は、当該締付縁に押し付けられ又は締め付けられたベルトに対する損傷を防止するために、バリ取りおよび/またはR加工が施されていることが好ましい。
【0018】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記締付縁が丸められており、特には凹状または凸状に丸められている構成とされる。丸められた前記締付縁によって、より強い締付力および/または前記ベルトストラップの保護が可能となり得る。凸状に湾曲させることで点負荷を回避することができる。特に、前記ホルダおよび/または当該ホルダに巻き付けられた前記ベルトストラップの対応する半径に応じて調整が行われることに相俟って、点負荷を回避することができる。これにより、前記航空機用安全ベルトまたは前記ベルトストラップの寿命を向上させ得る。凹状に湾曲させることで、特に強力な締付けを可能としつつも、引張力により、かつ/または前記航空機用安全ベルトの長さを変える際に前記ベルトストラップが前記締付縁と擦れることにより引き起こされる前記ベルトストラップに対する損傷を防止し得る。
【0019】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記ホルダが、前記側壁の各細長い貫通開口に並進可能に取り付けられるピン要素を備える構成とされる。好ましくは、各側壁に前記ピン要素のための貫通開口が1つずつ設けられており、これらの貫通開口に、前記ピン要素が両端部領域において少なくとも部分的に収容される。好ましくは、これら2つの貫通開口は互いに対向して同軸かつ/または対称に設けられている。前記ピン要素のこのような取付部は容易かつ費用効率よく製造でき、極めて頑丈でもある。さらに、ピン要素は、重量が最適化された構成であるにもかかわらず、大きな力を受けるために特に好適である。前記ピン要素は、細長い各貫通開口において脱落しないように、例えば滑り落ちないように、保護されていることが好ましい。前記2つの側壁は、互いに対称であることが好ましく、特に前記ベースプレートの中央平面に対して対称であることが好ましい。同様に、前記ベースプレートはこの中央平面に対して対称であってもよい。
【0020】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記側壁の各前記貫通開口の、前記底面に対する垂直方向の距離が、前記貫通開口に沿って、前記締付縁への前記ホルダの移動方向に向かって小さくなる構成とされる。これにより、前記ベルトストラップに対する引張荷重が増大した場合でも、コアの力を徐々に増大させ得る。これにより、前記ベルトストラップを保護し、また、安全な締付けおよび締付けの容易な解除が可能となる。例えば事故などの最大負荷の場合にのみ、乗員が締付けを解除することが難しくなる可能性があるが、前記安全ベルトの着脱時における通常の引張荷重の場合には解除は難しくない。例えば、前記貫通開口は、前記底面により形成される平面に対して傾斜している。こうした傾斜角は、5°から20°の範囲であることが好ましい。
【0021】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記ホルダが、前記ピン要素が差し込まれるスリーブであって、前記ベルトストラップが巻き付けられるように構成されたスリーブを備える構成とされる。前記スリーブを用いることで、前記ベルトストラップを巻き付けるための所望の半径を容易に実現し得る。これにより、前記ベルトストラップの調節に逆らって作用する摩擦力の調節が容易である。また、この構成は、前記航空機用安全ベルトの長さの調節後に前記ベルトストラップが自己クランプまたは自己ロックすることからみても有利となり得る。また、前記スリーブの表面または材料は、前記ベルトストラップに対して柔らかいものであってもよく、例えば、比較的軟質かつ/または滑らかなプラスチック材料が用いられる。前記スリーブに対しては圧力が加えられたときにのみ負荷が加わり得ることから、前記スリーブに、この材料を用いることができる。対照的に、前記ピン要素は、例えば金属材料等の比較的強度のある材料から構成されているので、それぞれの作用負荷を容易に吸収することができる。また、前記スリーブは、前記本体または前記側壁において前記ピン要素が脱落しないように保護するために用いてもよい。これにより、さらに乗員の手が届きやすい箇所にある追加の要素および/または固定要素を省くことができる。前記スリーブに巻き付けられた前記ベルトストラップにより、前記スリーブが外れることが防止され得る。前記ベルトバックルを分解するためには、この場合、例えば、まず前記ベルトストラップを航空機の座席から外さなければならず、その後に、前記ベルトストラップを前記スリーブから抜き取ることができる。こうして前記ベルトストラップが抜き取られた後にのみ、前記スリーブを前記ピン要素から抜き取り、前記ピン要素を分解し得る。前記スリーブは、好ましくは、円筒状の表面領域を有しており、この表面領域の周囲に前記ベルトストラップが少なくとも部分的に巻き付けられており、かつ/または前記円筒状の表面領域が前記側壁の間を延びている。
【0022】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記スリーブが、その長手方向の延長に沿って溝を有し、当該溝に前記ピン要素が収容される構成とされる。前記溝は、例えば、前記スリーブの円筒状の表面領域を通過して延びていてもよい。こういった形式の構成は、前記ベルトバックルを特に容易かつ速やかに取り付けることを可能とし、前記ピン要素を前記側壁に固定するために特に適している。
【0023】
代替的に又は付加的に、前記スリーブは、前記ピン要素が収容される軸方向の貫通開口、特には、軸方向の中央貫通開口を備える。これにより、前記スリーブは、特に容易かつ費用効率よく製造することができる。加えて、前記スリーブは、特に大きな負荷を吸収することができ、特には、その軸心方向の長手方向軸心および前記ピン要素に対する回転の向きにかかわらず特に大きな負荷を吸収することができる。
【0024】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記ホルダが、特には前記ピン要素および/または前記スリーブが、前記本体の一方の側壁から他方の側壁へと延び、特に、前記底面から離れて延びている構成とされる。この構成は特に頑丈である。好ましくは、前記ピン要素は、前記スリーブに差し込まれていない状態で、前記側壁の前記貫通開口から取り出すことができ、特に前記ピン要素を抜き取ることで取り出すことができる。前記スリーブに差し込まれると、前記スリーブがそうした抜き取りを阻害することが好ましい。前記ベルトストラップは、前記スリーブに巻き付けられることにより、前記スリーブを前記ピン要素に固定し得るものであり、特に、前記ピン要素が前記スリーブの前記溝に収容されているときに、前記スリーブを前記ピン要素に固定し得る。
【0025】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記本体が金属材料から構成され、特にはアルミニウム材料から構成される。これにより、前記本体が頑丈となり、大きな負荷を吸収し得る。アルミニウム材料とすることにより、本体を特に軽量とすることが可能であり、さらには、容易に変形させて、突出する前記締付縁を形成し得る。代替的に又は付加的に、前記ピン要素が金属材料から構成され、特にはアルミニウム材料から構成される。これにより、前記ピン要素も軽量で頑丈となる。好適な金属材料のさらなる例としては、スチールが挙げられ、アルミニウム材料よりもさらに大きな負荷を吸収可能とする。代替的に又は付加的に、前記スリーブがプラスチック材料から構成される。これにより、前記スリーブは、特に軽量となり、引き起こされる損傷から、特に摩擦によって引き起こされる損傷から、前記ベルトストラップを保護し得る。
【0026】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記係止装置は、前記側壁の間で旋回するように前記側壁に取り付けられたプレート要素と、前記プレート要素に取り付けられたラッチ係合要素であって、前記バックルタングの対応する貫通開口に係合して、前記航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体にロックし得るラッチ係合要素と、を備える構成とされる。これにより、前記航空機用安全ベルトを容易、直観的かつ速やかに着脱できるようにする機構を提供することが可能である。このように、前記係止装置も軽量かつ頑丈である。前記係止装置は、前記本体に取り付けられたばね要素により係止位置に付勢されていることが好ましい。これにより、前記シートベルトが不所望に解除されたままになることを回避し得る。前記ベルトまたは前記ベルトバックルは、単に、前記プレート要素を引っ張って前記プレート要素を前記本体に対して回転させることによって解除することができる。また、前記プレート要素が前記収容空間を画定していることにより、各ユーザが手や指などをはさまないように保護することができる。好ましくは、前記プレート要素は、前記収容空間において前記安全ベルトを装着した乗員とは反対側にある面(上面とも呼ばれる)を画定していてもよい。好ましくは、前記プレート要素は、前記ばね要素により付勢された位置において、前記ベースプレートの前記底面と略平行に設けられている。好ましくは、前記プレート要素は略平面状であり、かつ/または金属材料から構成される。
【0027】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、前記ベルトバックルが、前記航空機用安全ベルトの装着状態を検出するセンサを有するセンサアセンブリと、任意で、検出された前記装着状態を送信する送信手段と、任意で、前記センサおよび任意で前記送信手段を動作させるための電源と、を備える構成とされる。これにより、客室乗務員の業務を支援することができる。また、危険な状況において、各乗員が実際に安全ベルトを装着しているということを保証することができる。加えて、それぞれのシートベルトの装着状態を検出することによって、必要があれば、被害を受けたとする申立てが不当になされることを防止し得る。
【0028】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、突出する前記締付縁が、前記ベースプレートに、およびこれにより前記本体に支持力を導入する構成とされる。換言すれば、前記ベルトストラップの引張荷重により生じて前記ホルダに作用する力が、前記ホルダが前記ベルトストラップと共に配置される前記締付縁を介して、前記ベースプレートへと、およびこれにより前記本体へと導入されることを要する。これにつき、突出する前記締付縁および前記側壁における前記ホルダの可動型の取付部は、前記ベルトストラップの引張荷重により生じて前記ホルダに作用する力のうち、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくはその全てが、突出する前記締付縁により吸収され、前記ベースプレートへと、およびこれにより前記本体へと導入されるような寸法および構成であることが好適である。
【0029】
前記ベルトバックルのさらなる有利な実施形態では、突出する前記締付縁が、前記ホルダのための支持面を形成している構成とされる。換言すれば、前記ホルダは、特に前記ホルダの前記ピンおよび/または前記スリーブは、締付け状態において前記ベルトストラップが前記支持面と前記ホルダとの間で締め付けられるように、前記支持面に接して配置することができるようにする必要がある。好ましくは、前記支持面は、締付け状態において、前記ホルダに巻き付けられた前記ベルトストラップが当該支持面に対して略平行に延びるように設けられている。これにより、荷重による力が、より広いベルトストラップの表面にわたって分散され得るので、前記ベルトストラップが、例えば、尖った縁部に当たることによって(および場合によっては当該縁部との摩擦によって)損傷しないようにすることができる。
【0030】
さらに、この目的で、前記支持面が、好ましくは平らな面または凸状に湾曲した表面を有し、前記ベルトストラップと実際に接触する面積が、少なくとも25mm、好ましくは少なくとも35mm、より好ましくは少なくとも40mm、特に好ましくは少なくとも45mmであることが好ましい。好ましくは、前記支持面の表面の幅が、少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも0.8mm、特に好ましくは少なくとも1.0mmである。
【0031】
前記ベルトバックルのさらに好適な実施形態では、前記支持面が、前記ベースプレートに対して角度をなす、好ましくは平らな面を有し、前記角度は、10°から50°の範囲であり、好ましくは15°から40°の範囲であり、特に好ましくは20°から30°の範囲である構成とされる。これにより、好ましくは平らな面が、前記ホルダを支持するように形成されているので、前記ホルダにかかる力(前記ベースプレートに対して斜め下方に作用している力)が、特に良好に吸収され得る。突出する前記締付縁に作用する力によって、当該締付縁が曲がってしまわないように、突出する前記締付縁が、前記ホルダに面する端部において、前記ベースプレートに対して角度をなす延長方向(例えば、前記締付縁に隣接する接線または中心軸の延長を通る方向)を規定しており、前記角度は、40°から80°の範囲であり、好ましくは50°から75°の範囲であり、特に好ましくは60°から70°の範囲であることがさらに好適である。
【0032】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るベルトバックルと、前記ベルトバックルの前記ホルダに巻き付けられ、好ましくは、前記ベルトバックルの前記収容空間から前記貫通開口を通って前記締付縁を越えて案内されるベルトストラップとを備えるベルトバックルシステムに関する。前記ベルトストラップが前記ホルダに巻き付けられていることから、前記ベルトストラップは前記ホルダに締結されている。このように、本発明の第2の態様に係るベルトバックルシステムは、第1の態様に係るベルトバックルを備える。第1の態様に係る前記ベルトバックルから得られる構成および利点については、第1の態様についての上記説明から分かる。第1の態様の有利な実施形態は、第2の態様の有利な実施形態と考えるべきであり、その逆もまた同様である。
【0033】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係るベルトバックルおよび/または本発明の第2の態様に係るベルトバックルシステムと、バックルタングと、好ましくは、前記ベルトバックルに取り付けられたベルトストラップと、前記バックルタングに取り付けられたベルトストラップとを備える航空機用安全ベルトに関する。前記ベルトストラップのそれぞれ反対側の端部は、航空機座席に取り付けられるように構成されていることが好ましい。また、連続的なベルトストラップを用いてもよく、このベルトストラップは、それぞれの端部で、ベルトバックルとバックルタングとに取り付けられている。この場合、前記ベルトストラップは、例えば、航空機座席の中央領域に取り付けてもよい。前記バックルタングは、例えば金属材料から、好ましくはアルミニウム材料から構成してもよく、かつ/または、前記ベルトバックルの前記係止機構の前記ラッチ係合要素を係合させるための貫通開口を備えていてもよい。前記バックルタングは、例えばプレート要素として構成されていてもよく、対応するベルトストラップを取り付けるためのさらなる貫通開口を備えていてもよい。
【0034】
このように、本発明の第3の態様に係る航空機用安全ベルトは、第1の態様に係るベルトバックルおよび/または第2の態様に係るベルトバックルシステムを備える。第1の態様に係るベルトバックルおよび第2の態様に係るベルトバックルシステムから得られる構成および利点については、それぞれ当該第1の態様および第2の態様についての上記説明から分かる。第1の態様および第2の態様の有利な実施形態は、第3の態様の有利な実施形態と考えるべきであり、その逆もまた同様である。
【0035】
本発明のさらなる利点、構成および詳細については、好適な実施形態についての以下の説明および図面から把握される。本明細書において上述した構成および構成の組み合わせ、ならびに、以下の図面の説明で言及される構成および構成の組み合わせ、および/または図面のみに示される構成および構成の組み合わせは、それぞれ言及された組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせとして又は単独で用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ベルトストラップを取り付けるためのホルダを備えた、航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックルを示す概略断面図である。
図2図1のベルトバックルを示す概略上面図である。
図3】ベルトストラップが取り付けられた図1のベルトバックルを示す概略断面図である。
図4図1のベルトバックルの本体を示す概略斜視図である。
図5図1のベルトバックルのホルダのピン要素を示す概略斜視図である。
図6図1のベルトバックルのホルダのスリーブを示す概略斜視図である。
図7図1のベルトバックルの細部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックル10を示す概略断面図である。ベルトバックル10は、本体12を備え、この本体については、図4の概略斜視図において他の部品なしで単独で示されている。ベルトバックル10は、さらに、航空機用安全ベルトのベルトストラップ16を巻き付けることにより当該ベルトストラップを取り付けるように構成されたホルダ14を備える。図3には、図1と同じ断面図において、ベルトストラップ16が、保持装置14の周りに巻き付けられた状態で示されている。ベルトバックル10は、バックルタングとのラッチ係合により航空機用安全ベルトを締めるように構成された係止装置18をさらに備える。
【0038】
図2は、図1のベルトバックル10を示す概略上面図であり、破線A-Aで図1の断面を示している。本体12は、航空機用安全ベルトのバックルタングを少なくとも部分的に収容する収容空間20を形成している。航空機用安全ベルトを装着するために、開口22を介して収容空間20へと前記バックルタングを挿入し得る。前記バックルタングを挿入すると、係止装置18のラッチ係合要素24が、当該バックルタングにおける対応の貫通開口とラッチ係合する。航空機用安全ベルトを解除するために、プレート要素26を持ち上げて、取付軸30を中心として旋回させ得る。これにより、ラッチ係合要素24も前記バックルタングの貫通開口から持ち上げられるので、前記バックルタングを収容空間20から引き出すことができる。プレート要素26およびラッチ係合要素24はいずれも、ばね要素28によって係止位置に付勢されているので、意図せずバックルタングが外れてしまうことがなく、つまり、意図せず航空機用安全ベルトが解除されてしまうことがないか、その可能性が低い。
【0039】
異なる体格の乗員に航空機用安全ベルトを適合させることができるように、ベルトストラップ16は、その長手方向の延長に沿ってベルトバックル10またはホルダ14に対して移動させることができる。例えば、航空機用安全ベルトを締めているときであっても、ベルトストラップ16の上端32を引っ張って、この安全ベルトの長さを短くすることができる。この上端32は、ベルトストラップ16の自由端とも呼ばれることがある。一方、ベルトストラップ16の下端34は、着座して安全ベルトを装着した乗員を制止することができるように、航空機の座席に接続されていることが好ましい。上端32を引っ張ると、他端34が見かけ上短くなる。逆もまた同様であり、ベルトバックル10を引っ張ることで、上端32を航空機の座席の方向にスライドさせ、それに応じて航空機用安全ベルトが長くなるように調節することも可能である。
【0040】
ベルトバックル10においては、航空機用安全ベルトの長さを簡単かつ直感的に調節できるようにすることが必要であり、さらには、ベルトストラップ16が、ベルトバックル10において調節後の位置で安全に係止された状態に保たれることが必要である。この方法によってのみ、安全ベルトを装着した乗員を制止するためのそれぞれの強い力を、安全に吸収し得る。同時に、ベルトバックル10は頑丈で、経済的かつ軽量であることが必要である。
【0041】
本件の場合、ホルダ14は、この目的のために、本体12に並進移動可能に取り付けられている。ベルトストラップ16(特に、航空機の座席に接続された端部34)を引っ張ると、ホルダ14は、矢印36により示される方向に引っ張られる。また、ホルダ14に面する締付縁38が、本体12のベースプレートの底面から突出している。これにより、ベルトストラップ16に引張荷重が加えられると、ホルダ14は締付縁38へと引っ張られ、ベルトストラップ16は締付縁38とホルダ14との間で締め付けられる。これにより、航空機用安全ベルトの長さが変わることが安全に阻止され、ベルトストラップ16はベルトバックル10における自己の位置に係止される。特に、この構造により、引張荷重が大きくなると締付けが強くなるので、長さの変更が弱い力で行われることと、事故の際に生じ得る強い引張力の間の保持力が弱まることとは矛盾しない。
【0042】
以下では、図4の概略斜視図に基づいて、本体12の例示的な形態について説明する。この形態は、特に簡易かつ頑丈なベルトバックル10の構造を可能とし、費用効率よく製造し得る。本体12は、ベースプレート40と、両側で前記ベースプレートから直角に突出する側壁42とを備える。ベースプレート40および側壁42は、収容空間20を少なくとも部分的に画定している。また、ベースプレート40は、略平面状の底面44を形成しており、前記底面において収容空間20とは反対の側が、ベルトを締めた乗員の身体の上に置かれる表面となる。バックルタングを挿入するための開口22に面する前端において、ベースプレート40は2つの貫通開口46を備える。これらの貫通開口46は重量を低減するためのものである。また、側壁42は、2つの対向する貫通開口48を備え、これらの貫通開口に、プレート要素26の取付軸30が保持される。
【0043】
さらに、ベースプレート40は中央領域に貫通開口50を備え、前記貫通開口は、ホルダ14の領域および/またはホルダが側壁42に取り付けられている箇所において、底面44を貫通して延びている。図3から明らかであるように、ベルトストラップ16は、貫通開口50を通して案内される。また、貫通開口50を画定し、かつバックルタングを挿入するための開口22に面する境界部は、締付縁38を形成している。ホルダ14の長手方向軸心を中心としてベルトバックル10を回転させることにより、図1および図3において矢印52で示されるように、締付縁38またはホルダ14に対するベルトストラップ16の向きを変えることができる。ベルトバックル10が十分に傾けられると、ベルトストラップ16に引張荷重が加えられたときにホルダ14が締付縁38の方向に引っ張られることがなくなり、または、少なくとも引っ張りの程度が小さくなる。その結果、ベルトストラップ16の締付けを緩めることができ、ベルトストラップを容易に調整し得る。特に、ベルトバックル10を解除するためにプレート要素26を引っ張ることによって、ベルトバックル10をこのように回転させることもできる。このように、前記航空機用安全ベルトは、解除時には自然に伸ばすことができるので、次の乗員の体格が異なる場合であっても、この安全ベルトを容易に装着することができる。
【0044】
特に図1および図3から明らかであるように、締付縁38は、収容空間20およびホルダ14の方向に平面状の底面44から突出している。これにより、締付縁38は、ベースプレート40において、または底面44に対してある種の隆起部を形成している。ここでは、締付縁38は、ベースプレート40の湾曲または傾斜した端部領域により形成されている。ここでは、前記湾曲または傾斜した端部領域は、隣接する底面44に対して湾曲または傾斜している。この構成は、図7の詳細図において特に良く表されている。同図によると、締付縁38の支持面63は、ベースプレート40に対して角度βをなす平らな面を有し、前記角度は、好ましくは10°から50°の範囲であり、好ましくは15°から40°の範囲であり、特に好ましくは20°から30°の範囲である。このように、平面状の支持面が形成されていることにより、前記ベースプレートに対して斜め下方に前記ホルダに作用する力(図1の矢印を参照)が特に良く吸収され得る。突出する締付縁38に作用する力によって締付縁38が曲がってしまわないように、さらに好適には、突出する締付縁38が、ホルダ14に面する端部において、ベースプレート40に対して角度αをなす延長方向64(図7では、中心軸の延長線を通る)を規定し、前記角度は、40°から80°の範囲であり、好ましくは50°から75°の範囲であり、特に好ましくは40°から70°の範囲である。
【0045】
図示されたベルトバックルの形態では、突出する締付縁38がホルダ14に対する支持面63を形成する構成である。換言すれば、ホルダ14は、特にホルダ14のピン54および/またはスリーブ56(図5を参照)は、締付け状態において(図3では、この状態は完全には実現していない)、ベルトストラップ16が支持面63とホルダ14との間で締め付けられるように支持面63の上に配置できるようにする必要がある。ここで、支持面63は、好ましくは、締付け状態において、ホルダに巻き付けられたベルトストラップ16が当該支持面63に対して略平行に延びるように設けられている。図3に示されている状況に基づくと、既にこの状態をイメージすることができる。これにより、比較的大きなベルトストラップ表面にわたって支持力が分散され得るので、ベルトストラップが尖った縁部に当たることによって(場合によっては当該縁部との摩擦によって)損傷しないようにすることができる。
【0046】
ベースプレート40の締付縁38は、複数の利点を有する。ホルダ14は、特に簡易な構造を有することができ、かつ費用効率よく製造し得る。締付縁38は、本体12と一体に形成されていてもよい。締付縁38は1つの製造ステップで製造することができ、例えば、貫通開口50と共に深絞りおよび/または打ち抜き加工で製造することができる。特に、平面状の出発部品を用いてもよく、この出発部品から、ベースプレート40および側壁42を同時かつ一体に形成し、好ましくは貫通開口50および締付縁38と共に、例えば深絞りおよび打ち抜き加工を組み合わせた工程で形成する。締付縁38が突出しているので、特に確実な締付けが実現され得る。また、特に、ほぼ全ての押圧力が締付縁38に作用することから、安全ベルトを装着した乗員が拘束されているときに作用する各負荷が、特に良く吸収され得る。これらの力は、その後、本体12の他の部分へと特に良く導入され得る。
【0047】
ここで、締付縁38に対して、バリ取りおよび/またはR加工が施されている。特に、ここでは、締付縁38は凹形であるので、特に強力な締付けが実現され得る。加えて、バリ取りおよびR加工により、航空機用安全ベルトの長さ調節時におけるベルトストラップ16に対する(例えば擦れによる)損傷が、特に良く防止され得る。
【0048】
ここで、ホルダ14は、ピン要素54と、スリーブ56とを備える。ピン要素54は、図5の概略斜視図に単独で示されている。ピン要素54の形状は、2つの側壁42における対向する2つの細長い貫通開口58に応じた形状である。これにより、ピン要素54は、ベルトストラップ16の締付けを実現または解除するために、その長手方向の延長に沿って、これらの2つの細長い貫通開口58に対してスライドさせて出し入れすることができる。細長い貫通開口58は底面44の平面に対して傾斜しており、前記ホルダが、底面44の平面において締付縁38に向かって底面44に対して垂直な方向に移動する際に、同方向に前記締付縁に近づくようになっている。これにより、漸進的に締め付けることができる。よって、貫通開口58は、底面44に対して傾斜して長手方向に延びている。ここでは、ピン要素54は、本体12と同様に、金属材料から構成されている。好ましくは、重量の都合上、アルミニウム材料が用いられる。
【0049】
前記スリーブは、その軸方向の延長に沿って延びる溝60を備え、この溝にピン要素54が配置されてもよい。スリーブ56は、図6の概略斜視図に単独で示されている。これに対して、ピン要素54に対するスリーブ56の配置は、図1および図3に示されている。ここでは、スリーブ56は、例えばプラスチック材料製である。これにより、長さ調節時のベルトストラップ16の摩耗を低減し得るので、航空機用安全ベルトの寿命を特に長くすることができる。また、このようにすることで、安定性を損なうことなく、ベルトバックル10の重量も特に小さくできる。スリーブ56に作用する各押圧力は、金属材料と比べると比較的頑丈でないプラスチック材料が用いられる場合でも、スリーブにより良好に吸収され得る。これに対して、ピン要素54は、より狭い領域で貫通開口58と接しなければならず、引張荷重や曲げ荷重を受ける可能性もあることから、ピン要素54はより頑丈な材料から形成されている。また、スリーブ56は、プラスチック材料が用いられていることによって比較的高い弾性を有し得るので、極めて強い力が作用した場合でも、ベルトストラップ16が締付縁38において切断されることを確実に回避することができる。
【0050】
図5図6を照らし合わせると直ちに明らかとなるように、スリーブ56は、単に溝60を用いてピン要素54上を滑らせるだけでよい。特に、スリーブ56は、本体12または側壁42の貫通開口58にピン要素54が挿入された後に、ピン要素54上を滑らせてもよい。2つの突出領域62は、スリーブ56の面のうち、溝のない領域に接触させることができる領域であって、スリーブ56からピン要素54が滑り抜けないようにすることができる。これにより、ピン要素54、およびこれによりホルダ14は、本体12に固定され得る。好ましくは、ベルトストラップ16が巻き付けられたスリーブ56の厚さは、ピン要素54が、スリーブ56および本体12から外れるように締付縁38の方向に十分に遠ざかることができなくなる程度の厚さである。特に、その理由として、こうした位置では、ピン要素がまだ細長い貫通開口58を通り抜けることができないからである。ベルトストラップ16は、溝60の周囲にも巻き付けられていることが好ましく、これにより、スリーブ56がピン要素54上で固定される。その結果として、ホルダ14全体が、ベルトストラップ16により共に固定されている。ベルトストラップ16がベルトバックル10から外された後にのみ、ホルダ14を分解し得る。よって、付加的な固定要素を不要とすることができる。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
航空機用安全ベルトに用いられるベルトバックル(10)であって、
前記ベルトバックル(10)は、
- 航空機用安全ベルトのバックルタングを少なくとも部分的に収容する収容空間(20)を形成する本体(12)と、
- 前記航空機用安全ベルトのベルトストラップ(16)が巻き付けられることで、前記ベルトストラップを取り付けるように構成されたホルダ(14)であって、前記ホルダ(14)上で前記ベルトストラップ(16)を移動させることにより、前記航空機用安全ベルトの長さが調節可能である、ホルダ(14)と、
- 前記航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間(20)に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体(12)に対してラッチ係合させるように構成された係止装置(18)と、
を備え、
前記本体(12)は、ベースプレート(40)と、両側で前記ベースプレートから突出する側壁(42)とを備え、前記ベースプレート(40)および前記側壁(42)は、少なくとも部分的に前記収容空間(20)を画定し、前記ベースプレート(40)は、略平面状の底面(44)を形成しており、
前記ホルダ(14)は、前記側壁(42)に並進可能に取り付けられており、前記ベルトストラップ(16)に引張荷重が加えられたとき、前記ホルダ(14)が、前記ホルダ(14)に面する前記ベースプレート(40)の締付縁(38)へと引っ張られ、前記ベルトストラップ(16)が前記締付縁(38)と前記ホルダ(14)との間で締め付けられて、前記航空機用安全ベルトの長さが変わることを防止するように、前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)の方向に前記底面(44)から突出しているベルトバックル(10)。
[態様2]
態様1に記載のベルトバックル(10)において、前記締付縁(38)が、前記ベースプレート(40)の貫通開口(50)に形成されているベルトバックル(10)。
[態様3]
態様1または2に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)および前記ベースプレート(40)が、一体に形成されているベルトバックル(10)。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)、前記ベースプレート(40)、および/または突出する前記締付縁(38)が、再形成により、特に深絞りおよび/または打ち抜き加工により、略平面状の出発部品から形成されているベルトバックル(10)。
[態様5]
態様1から4のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記締付縁(38)が丸められており、特には凹状または凸状に丸められているベルトバックル(10)。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記ホルダ(14)が、前記側壁(42)の各細長い貫通開口(58)に並進可能に取り付けられるピン要素(54)を備えるベルトバックル(10)。
[態様7]
態様6に記載のベルトバックル(10)において、前記側壁(42)の各前記貫通開口(58)の、前記底面(44)に対する垂直方向の距離が、前記貫通開口(58)に沿って、前記締付縁(38)への前記ホルダ(14)の移動方向に向かって小さくなるベルトバックル(10)。
[態様8]
態様6または7に記載のベルトバックル(10)において、前記ホルダ(14)が、前記ピン要素(54)が差し込まれるスリーブ(56)であって、前記ベルトストラップ(16)が巻き付けられるように構成されたスリーブ(56)を備えるベルトバックル(10)。
[態様9]
態様8に記載のベルトバックル(10)において、前記スリーブ(56)が、その長手方向の延長に沿って溝(60)を有し、当該溝に前記ピン要素(54)が収容され、かつ/または、
前記スリーブ(56)は、前記ピン要素(54)が収容される軸方向の貫通開口、特には、軸方向の中央貫通開口を備えるベルトバックル(10)。
[態様10]
態様6から9のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記ホルダ(14)が、特には前記ピン要素(54)および/または前記スリーブ(56)が、前記本体(12)の一方の側壁(42)から他方の側壁(42)へと延び、特に、前記底面(44)から離れて延びているベルトバックル(10)。
[態様11]
態様1から10のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記本体(12)が金属材料から構成され、特にはアルミニウム材料から構成され、かつ/または、
前記ピン要素(54)が金属材料から構成され、特にはアルミニウム材料から構成され、かつ/または、
前記スリーブ(56)がプラスチック材料から構成されるベルトバックル(10)。
[態様12]
態様1から11のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記係止装置(18)は、
前記側壁(42)の間で旋回するように前記側壁に取り付けられたプレート要素(26)と、
前記プレート要素に取り付けられたラッチ係合要素(24)であって、前記バックルタングの対応する貫通開口に係合して、前記航空機用安全ベルトを締めるように前記収容空間(20)に少なくとも部分的に挿入された位置で、前記バックルタングを前記本体(12)にロックし得るラッチ係合要素と、を備えるベルトバックル(10)。
[態様13]
態様1から12のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記ベルトバックル(10)が、前記航空機用安全ベルトの装着状態を検出するセンサを有するセンサアセンブリと、
任意で、検出された前記装着状態を送信する送信手段と、
任意で、前記センサおよび任意で前記送信手段を動作させるための電源と、を備えるベルトバックル(10)。
[態様14]
態様1から13のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ベースプレート(40)に、およびこれにより前記本体(12)に支持力を導入するベルトバックル(10)。
[態様15]
態様1から14のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)および前記側壁(42)における前記ホルダ(14)の可動型の取付部は、前記ベルトストラップ(16)の引張荷重により生じて前記ホルダ(14)に作用する力のうち、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくはその全てが、突出する前記締付縁(38)により吸収されるような寸法および構成であるベルトバックル(10)。
[態様16]
態様1から15のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)のための支持面(63)を形成しているベルトバックル(10)。
[態様17]
態様16に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)は、締付け状態において、前記ホルダに(14)巻き付けられた前記ベルトストラップ(16)が当該支持面に対して略平行に延びるように設けられているベルトバックル(10)。
[態様18]
態様16または17に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、好ましくは平らな面を有し、前記平らな面の面積が、少なくとも25mm 、好ましくは少なくとも35mm 、より好ましくは少なくとも40mm 、特に好ましくは少なくとも45mm であるベルトバックル(10)。
[態様19]
態様16から18のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、好ましくは平らな面を有し、前記平らな面の幅が、少なくとも0.5mm、より好ましくは少なくとも0.8mm、特に好ましくは少なくとも1.0mmであるベルトバックル(10)。
[態様20]
態様16から19のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、前記支持面(63)が、前記ベースプレート(40)に対して角度(β)をなす、好ましくは平らな面を有し、前記角度(β)は、10°から50°の範囲であり、好ましくは15°から40°の範囲であり、特に好ましくは20°から30°の範囲であるベルトバックル(10)。
[態様21]
態様1から20のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)において、突出する前記締付縁(38)が、前記ホルダ(14)に面する端部において、前記ベースプレート(40)に対して角度(α)をなす延長方向(64)を規定しており、前記角度(α)は、40°から80°の範囲であり、好ましくは50°から75°の範囲であり、特に好ましくは60°から70°の範囲であるベルトバックル(10)。
[態様22]
態様1から21のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)と、
前記ベルトバックル(10)の前記ホルダ(14)に巻き付けられ、好ましくは、前記ベルトバックル(10)の前記収容空間(20)から前記貫通開口(50)を通って前記締付縁(38)を越えて案内されるベルトストラップ(16)と
を備えるベルトバックルシステム。
[態様23]
態様1から21のいずれか一態様に記載のベルトバックル(10)および/または態様22に記載のベルトバックルシステムと、
バックルタングと、
好ましくは、前記ベルトバックル(10)に取り付けられたベルトストラップ(16)と、前記バックルタングに取り付けられたベルトストラップ(16)と、
を備える航空機用安全ベルト。
【符号の説明】
【0051】
10 ベルトバックル
12 本体
14 ホルダ
16 ベルトストラップ
18 係止装置
20 収容空間
22 開口
24 ラッチ係合要素
26 プレート要素
28 ばね要素
30 取付軸
32 ベルトストラップの上端
34 ベルトストラップの下端
36 矢印
38 締付縁
40 ベースプレート
42 側壁
44 平面状の底面
46 貫通開口
48 貫通開口
50 貫通開口
52 矢印
54 ピン要素
56 スリーブ
58 細長い貫通開口
60 溝
62 突出領域
63 支持面
64 延長方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7