(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】コンクリートカキ付着基盤及び製造方法、海洋生態プロジェクトの建設方法
(51)【国際特許分類】
C04B 28/02 20060101AFI20241001BHJP
A01K 61/54 20170101ALI20241001BHJP
C04B 14/04 20060101ALI20241001BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20241001BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20241001BHJP
C04B 14/28 20060101ALI20241001BHJP
C04B 18/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C04B28/02
A01K61/54
C04B14/04 A
C04B18/08 Z
C04B18/14 Z
C04B14/28
C04B18/04
(21)【出願番号】P 2022533425
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2020133083
(87)【国際公開番号】W WO2021109984
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】201911210542.0
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911210403.8
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】呂 建福
(72)【発明者】
【氏名】曹 珍珍
(72)【発明者】
【氏名】汪 明軍
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-041525(JP,A)
【文献】特開2003-265039(JP,A)
【文献】特開2003-055888(JP,A)
【文献】特開2011-093723(JP,A)
【文献】特開2001-146459(JP,A)
【文献】特開平07-206501(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111264427(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104529286(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104938384(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106986579(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107056096(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106495517(CN,A)
【文献】特開2018-130081(JP,A)
【文献】特開2006-109782(JP,A)
【文献】特開2002-315468(JP,A)
【文献】特表2023-517785(JP,A)
【文献】特表2023-517786(JP,A)
【文献】特表2023-517787(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049410(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302396(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0044989(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107372242(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107805037(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109467354(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111499290(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
A01K 61/54、61/77、61/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントコンクリートカキ付着基盤であって、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤で構成され、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤の重量百分率は順次、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%、0.6~3.0%、0.4%~2.0%、0.4%~2.0%、0.2%~1.8%、0.15%~1.5%及び0.03%~0.18%であり、ここで、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を含み、前記バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、前記バイオカルシウム粉末の粉末度は100メッシュ~1000メッシュであり、前記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム及びリンであり、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含むことを特徴とする、セメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項2】
前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つであ
る、ことを特徴とする、請求項1に記載のセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項3】
前記バイオカルシウム粉末は
、100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末又は魚骨粉末
の1種類以上の複合物、及
び100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項4】
前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカーのうち1つ以上であり、前記炭酸カルシウム粉末の粉末度は200メッシュを超えることを特徴とする、請求項1に記載のセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項5】
前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維のうち1つ以上を含む無機繊維であることを特徴とする、請求項1に記載のセメントコンクリートカキ付着基盤。
【請求項6】
前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、及び軽量セラムサイトのうち1つ又は2つであり、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、及び軽量セラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmであることを特徴とする、請求項1に記載のセメントコンクリートカキ付着基盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210542.0号の「表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤及びその製造方法」の優先権の利益を主張し、2019年12月2日に出願された中国特許出願番号第201911210403.8号の「海洋生態プロジェクトの建設方法」の優先権の利益を主張し、それらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、カキ付着基盤の技術及び海洋生態プロジェクトの建設技術に関し、特に、コンクリートカキ付着基盤及び製造方法、海洋生態プロジェクトの建設方法に関し、海洋の固着生物とコンクリートの学際的分野に属する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活水準の向上に伴い、カキは健康食品として需要が高まっている。従来の小規模な養殖と養殖方法は、増大するカキの需要に応えることができない。同時に、カキ礁の修復量の増加と、カキ礁のような海洋生態プロジェクトの建設に伴い、カキ付着基盤の需要が高まっている。一般的な養殖方法には、ひび建式養殖、地播き養殖、橋石及び立石養殖、垂下式養殖などがあり、しかし、カキが付着基盤で十分な付着率に達するまでに長い時間がかかるという問題があり、また、カキ養殖量の増加により、ヒオウギガイの殻などの貝類のカキ付着基盤は、カキ幼生のニーズを十分に満たすことができず、貝類の付着基盤の価格が上昇している。また、最近、中国海洋大学から出願された特許出願CN106719186において、セメントペースト質量の15%~20%の貝殻粉末、5%~15%の貝殻くずを混ぜ込むことにより、新規なカキ付着基盤を製造し、貝殻くずは、付着基盤の表面を粗くし、カキの付着量を増やし、貝殻くずは、ヒオウギガイの殻よりも採苗しやすく、幼生の付着効果に優れた。しかし、減水剤は水の使用量の制御と養生には考慮されないため、水セメント比と養生によってコンクリートの浸透性が決まる。そのため、付着基盤に含まれる大量のアルカリが放出され、接触する海水のアルカリ度が高くなり、海洋の固着生物の幼生の付着が阻害され、特に、養殖池で幼生を育てる場合、水域が小さいと、水域のpH値が上昇し、カキ幼生が死んでしまう可能性があり、同時に、大量の貝殻粉末を混ぜ込むと、セメント付着基盤の色が濃い灰色から淡い色に変化し、カキの付着にとって不利である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、現在、水の使用量の制御と養生(水セメント比と養生によってコンクリートの浸透性が決まる)を行わないため、付着基盤に含まれる大量のアルカリが放出され、それと接触する海水のアルカリ度が高くなり、海洋の固着生物の幼生の付着が阻害され、同時に大量の貝殻粉末を混ぜ込むため、セメント付着基盤の色が濃い灰色から淡い色に変化し、カキの付着にとって不利であるという問題を解決するために、固着生物をコンクリート表面に速く高密度に付着するように誘引し、耐久性に優れた軽量コンクリート付着基盤を提供することである。
【0005】
本発明の実現方法は以下のとおりである。本発明は、付着基盤中のセグメントの使用量を低下させることにより、適切なセメントの種類を選択し、適切な鉱物混和剤を加え、アルカリ度の低いセメントを取得し、同時に付着基盤のコンクリートの水セメント比を制御し、その放出速度を制御し、且つカキの好みに応じて付着色、バイオカルシウム、炭酸カルシウム及び微量元素を混ぜ込み、そのため、カキの早期付着、変態、後期の成長を促進し、付着基盤の構成設計を行う。また、該付着基盤は、養殖池で幼生を直接付着させ、長時間海水に浸した後は使用する必要がなく、激しい衝突や破壊がない場合、該付着基盤の耐用年数は50年以上になる可能性がある。
【0006】
軽量骨材コンクリートを使用することにより、コンクリート付着基盤の重量を軽減でき、供試体の製造、輸送、養生の過程において輸送コスト及び人件費を削減でき、また、実際の海での養殖では、付着基盤を移動してカキを収穫する漁師の人件費を削減したり、コンクリートプロジェクトの輸送及び固定などのコストを削減したりでき、更に、使用中に誤って地面に落ちて破損するリスクを低減できる。
【0007】
繊維を使用すると、コンクリートの強度、特に引張強度を高めることができる。本発明では、耐アルカリ性繊維とエココンクリートと組み合わせ、コンクリートの耐亀裂性、耐曲げ性、耐疲労性を向上させる。防波堤部材に適用した場合のコンクリートの早期亀裂を低減し、輸送中や海辺での固定中の部材の破損率を低減し、特に台風などの極端な負荷に耐える能力を高めることができる。
【0008】
本発明は以下の構造的特徴を更に有する。
【0009】
その材料の成分は、セメント質材料と、軽量粗骨材と、軽量細骨材と、水と、濃色顔料と、バイオカルシウム粉末と、炭酸カルシウム粉末と、微量元素と、短繊維と、超可塑剤とを含み、その重量百分率は順次、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%、0.6~3.0%、0.4%~2.0%、0.4%~2.0%、0.2%~1.8%、0.15%~1.5%及び0.03%~0.18%である。
【0010】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0011】
好ましくは、前記濃色顔料は、コンクリートの性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0012】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末であり、バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度は100メッシュ~1000メッシュである。
【0013】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものである。
【0014】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度は200メッシュを超える。
【0015】
好ましくは、前記微量元素の亜鉛、鉄、カリウム及びリンは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリートの性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0016】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0017】
好ましくは、前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維のうち1つ以上を含む無機繊維(長さ12~20mm)である。
【0018】
好ましくは、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。
【0019】
好ましくは、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmである。
【0020】
表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法であって、
粗い表面に付着するというカキ幼生の好みの特性に応じて、異なる粗さを設計し、次に、粗さが異なる成形型枠を製造するステップS1と、
セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤を量るステップS2と、
まず、軽量粗骨材、軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えて更に1~2分間撹拌し、その後、短繊維、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させるステップS3と、
型抜きしたコンクリート供試体を情況に応じて高濃度CO2の養生箱に置いて0.5~5時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生すれば、
誘引効果に優れた表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤を製造し得るステップS4ことを特徴とする、表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法。
【0021】
本発明の目的は、海洋プロジェクトを建設し、カキをその表面に速く高密度に付着させ、海洋プロジェクトの耐久性を向上させ、「生態学的技術者」としてのカキが水体を浄化し、生態系を回復し、非常に生態学的な海洋プロジェクトを実現するための海洋プロジェクトの建設方法を提供するである。
【0022】
本発明の建設方法は以下の部分で構成される。
【0023】
(1)生態プロジェクトを建設する海区の調査、
(2)セメントベース付着基盤の製造、
(3)カキ幼生の定時に定量的な収獲及び養殖、
(4)コンクリート部材の設計、
(5)コンクリート部材の製造、
(6)コンクリート供試体の配置、
(7)カキ付着基盤の現場配置、
(8)幼生の付着の管理及び監視。
【0024】
具体的な技術的解決手段は以下のとおりである。
【0025】
(1)において説明された生態プロジェクトが建設される海区の調査は、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ該海区の異なる季節の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、K+などを調査研究し、更に、過去の台風発生数、その強度を調査するということである。
【0026】
(2)において説明されたセメントベース付着基盤の製造は、形状が板状の付着基盤、波形の付着基盤、円筒形の付着基盤のうち1つで、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造するということである。
【0027】
(3)において説明されたカキ幼生の定時に定量的な収獲及び養殖は、地元の海域のカキ浮遊幼生は、集中して付着して変態する期間に、付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が15~25個/100cm2の場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖するということである。
【0028】
(4)において説明されたコンクリート部材の設計は、カキの付着が環境及び消波への影響を考慮し、生態プロジェクトのコンクリート部材の構成をし、カキの付着量をできるだけ増やし、他の生物に空間を提供するために、内部空隙率>40%で、薄肉、多重開口部の部材を用い、その上に数本の傾斜柱を設置し、部材のサイズが0.5~15立方メートルであるということである。
【0029】
(5)において説明されたコンクリート部材の製造は、海洋の固着生物への誘引性が高い繊維強化エココンクリートを用い、且つ弾性金型を用い、特別な形状の部材、特に内部が大きくて外部が小さいような溝構造を製造し、コンクリート配合比及びそのアルカリ度と浸透防止性に応じて、その養生方法を決定するということである。
【0030】
(6)において説明されたコンクリート供試体の配置は、2年目に、カキの浮遊幼生は、地元の海域で集中して付着して変態する期間に、分散して置き、また、複数の供試体の相互作用を考慮し、コンクリート部材を縄で接続するということである。
【0031】
(7)において説明されたカキ付着基盤の現場配置は、(3)において性腺発達の成熟段階にあるカキが付着する基盤を海洋生態プロジェクトの建設海区に輸送し、部材ごとに表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を置き、且つ縄でコンクリート部材に固定し、また、地元の海域の浮遊生物情況に応じて、必要に応じて餌を入れ、又は餌の栄養塩を入れるということである。
【0032】
(8)において説明された幼生の付着の管理及び監視は、カキ幼生がコンクリート表面での付着情況を監視し、幼生の付着密度が30~40個/100cm2の場合、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を取り外し、且つ防波堤の生態状態を長期的に監視し、実際の情況に応じた改善策を講じるということである。
【0033】
(6)における具体的な対策に記載のカキ幼生の集中付着変態期について、一般的に、中国華北地方は5~8月、中国華南地方は4~10月である。
【0034】
(4)における具体的な対策に記載の薄肉、多重開口部の部材は、内部空隙率が40%~90%であり、且つその上に数本の傾斜柱が設置されたコンクリート部材であり、それは、ベースと、ベースに接続された薄肉、中空のコンクリート筐体とを含み、筐体に6本以上のコンクリート棒が設置される。その筐体は球体、立方体などのうち1つであり得、コンクリート棒は円筒、長方体などのうち1つであり得る。
【0035】
(5)における具体的な対策に記載のコンクリートの養生方法について、コンクリート配合比に基づき、コンクリートの養生方法及び養生時間を決定し、例えば、ポルトランドセメントで製造されたコンクリートは、CO2で養生され、養生時間が0.5時間~5時間である。
【0036】
(3)における具体的な対策に記載のセメントベース生物付着基盤において、成形時に直径3~5mmの丸穴を作り出し、板状の付着基盤のサイズは10×10×2~3cmである。
【0037】
(7)における具体的な対策に記載の縄はシュロ縄、ガラス繊維ロープ、玄武岩繊維ロープのうち1つである。
【0038】
(2)における具体的な対策に記載の表面が粗い軽量コンクリート付着基盤について、その材料の成分は、セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維、超可塑剤であり、その重量百分率は順次、21.8%~34.5%、24.6%~37.5%、15.8%~29.6%、8.4%~16.4%、0.6~3.0%、0.4%~2.0%、0.4%~2.0%、0.2%~1.8%、0.15%~1.5%及び0.03%~0.18%である。
【0039】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。
【0040】
好ましくは、前記濃色顔料は、コンクリートの性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0041】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末であり、バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度は100メッシュ~1000メッシュである。
【0042】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理するものである。
【0043】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度は200メッシュを超える。
【0044】
好ましくは、前記微量元素の亜鉛、鉄、カリウム及びリンは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む天然鉱物、工業製品、又は化学試薬を選択して対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリートの性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0045】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つを含む。
【0046】
好ましくは、前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維のうち1つ以上を含む無機繊維(長さ12~20mm)である。
【0047】
好ましくは、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。
【0048】
好ましくは、前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmである。
【0049】
セメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法は、
粗い表面に付着するというカキ幼生の好みの特性に応じて、異なる粗さを設計し、次に、粗さが異なる成形型枠を製造するステップS1と、
セメント質材料、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤を量るステップS2と、
まず、軽量粗骨材、軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えて更に1~2分間撹拌し、その後、短繊維、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させるステップS3と、
型抜きしたコンクリート供試体を情況に応じて高濃度CO2の養生箱に置いて0.5~5時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じて養生すれば、
誘引効果に優れた表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤を製造し得るステップS4とを含む。
【0050】
ステップ(5)における具体的な対策に記載の繊維強化エココンクリートは、セメント質材料、砕石、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤で構成され、セメント質材料、砕石、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤の重量百分率は順次、12.5%~22.0%、39.4%~49.8%、24.9%~37.3%、6.2%~8.7%、0.2%~1.7%、0.15~1.0%、0.15~1.0%、0.1%~1.0%、0.1%~1.0%及び0.02%~0.1%である。
【0051】
ステップ(5)における具体的な対策に記載の繊維強化エココンクリートの原料は以下のとおりである。
【0052】
好ましくは、前記濃色顔料は、鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つである。また、コンクリートの性能への影響度に応じて、これらの顔料の改質を行い、改質処理には透明樹脂、有機ケイ素、ジメチルシロキサン、超疎水性材料のうち1つを使用する。
【0053】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末は、牛骨粉末であり、バイオ炭酸カルシウム粉末は、カキ殻粉末、魚骨粉末、卵殻粉末、サンゴ粉末のうち1つ以上の組み合わせを含み、その粉末度は100メッシュ~1000メッシュである。
【0054】
好ましくは、前記バイオカルシウム粉末の改質方法は、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸のうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理し、そして希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0055】
好ましくは、前記炭酸カルシウム粉末は、方解石、チョーク、石灰石、大理石、アラゴナイト、トラバーチン粉末、及び加工処理された軽質炭酸カルシウム、活性炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウィスカー及び超微細軽質炭酸カルシウムのうち1つ以上であり、その粉末度は200メッシュを超える。
【0056】
好ましくは、前記微量元素は亜鉛、鉄、カリウム及びリンであり、それは、硫酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄のうち1つ以上を含む、天然鉱物、工業製品、又は化学試薬をして対応するイオンの持続放出を実現し、コンクリートの性能への悪影響を低減又は解消するように改質する。しかし、富栄養化領域の場合、窒素又はリン元素を含有する物質を選択しない。
【0057】
好ましくは、前記短繊維は、玄武岩繊維、アルカリ耐性ガラス繊維、炭素繊維などのうち1つ以上の無機繊維(長さ12~40mm)である。
【0058】
好ましくは、前記セメント質材料は、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメント、スルホアルミネートセメント、アルカリ活性化セメント質材料のうち1つである。そのうち、鉱物混和剤を混ぜ込んだポルトランドセメントは、シリカフューム、スラグ粉末、フライアッシュのうち1つ以上の組み合わせを含み、スルホアルミネートセメントは、速硬性スルホアルミネートセメント、高強度スルホアルミネートセメント、膨張スルホアルミネートセメントのうち1つ又は2つを含み、アルカリ活性化セメント質材料は、アルカリ活性化スラグ、アルカリ活性化スラグ+フライアッシュのうち1つである。
【0059】
好ましくは、前記砂は、川砂、機械製砂(母材は玄武岩又は花崗岩)、又は淡水化海砂のうち1つ以上である。
【0060】
繊維強化エココンクリートの製造方法は、
セメント質材料、砕石、砂、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤を精確に量るステップS1と、
まず、砕石、砂をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、セメント質材料、濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素を加えて更に0.5~1分間撹拌し、その後、短繊維、水及び超可塑剤を加えて3~8分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させ、次いで、28日間標準養生し、又は実際の情況に応じた養生をすれば、繊維強化エココンクリートを製造し得るステップS2とを含む。
【0061】
ステップ(5)における具体的な対策に記載の繊維強化エココンクリートの原料は、濃色顔料、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤であり、そのうち、濃色顔料、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.2%~1.7%、12.5%~22.0%、39.4%~49.8%、24.9%~37.3%、6.2%~8.7%及び0.02%~0.1%である。
【0062】
ステップ(5)における具体的な対策に記載の繊維強化エココンクリートの原料は、牛骨粉末、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤であり、そのうち、牛骨粉末、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.15%~1.37%、12.5%~22.0%、39.4%~49.8%、24.9%~37.3%、6.2%~8.7%及び0.02%~0.1%である。
【0063】
ステップ(5)における具体的な対策に記載の繊維強化エココンクリートの原料は、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤であり、そのうち、炭酸カルシウム粉末、セメント質材料、砕石、砂、水及び超可塑剤の重量百分率は順次、0.15%~1.37%、12.5%~22.0%、39.4%~49.8%、24.9%~37.3%、6.2%~8.7%及び0.02%~0.1%である。
【0064】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0065】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つコンクリートにカビが生えるという問題を解決する。誘引剤を混ぜ込まないコンクリートよりも、誘引剤を混ぜ込んだコンクリートのカギの幼生の付着量は顕著に増加する。
【0066】
本発明により、海洋プロジェクトを建設し、そのプロジェクトにカキをより高い密度に付着させ、海洋プロジェクトの耐久性を向上させ、「生態学的技術者」としてのカキは水体を浄化し、水域を改良するという特徴に基づき、非常に生態学的な海洋プロジェクトを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】10%の牛骨粉末を混ぜ込んだ、配合比が異なるコンクリート表面にカビが生える情況(標準養生で)である。
【
図2】粉末度が200メッシュ、10%の改質した牛骨粉末を混ぜ込む場合の異なる配合比である。
【
図3】実際の海の付着実験の210日間の概略図である。
【
図4】実際の海の付着実験の300日間の概略図である。
【
図8】生物模倣コンクリート部材の設計概略図である。
図8では、1.厚さが約5cmのコンクリート薄肉、2.長さが約1.5mのコンクリート棒、3.薄肉構造のベース、4.コンクリート棒の接続強化領域、5.直径が異なる貫通穴。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明を更に説明する。
【0069】
これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではない。
【0070】
実施例1~21の実施方法は同じであるが、それらのコンクリート配合比は以下の実施例のとおりであり、本発明は上記コンクリートを用い、形状が異なるコンクリートカギ付着基盤の設計を行い、具体的には、
図5~7を参照する。
【0071】
実施例1、通常のポルトランドセメントのコンクリート配合比について、通常のポルトランドセメント、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、29.37%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0072】
そのうち、前記軽量粗骨材は、最大粒径が20mm未満の粉砕された軽量多孔質玄武岩、軽量セラムサイトのうち1つ又は2つである。前記軽量細骨材は、粉砕されたゼオライト、軽量のセラミックサンドのうち1つ又は2つであり、その粒径は0.2mm~5mmであり、且つ格付が高い。前記水は、コンクリート用水の品質基準(JGJ63-2006)を満たす必要があり、Cl-含有量<1000mg/Lであり、PH値>4.5であり、セメントの初期硬化時間差及び最終硬化時間、強度、浸透性にほとんど影響を与えない。また、実施例1~21で選択された上記材料は同じである。
【0073】
実施例2、基準コンクリート配合比について、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、17.62%、1.47%、10.28%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0074】
実施例3、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0075】
実施例4、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0076】
実施例5、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0077】
実施例6、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.17%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0078】
そのうち、改質した濃色顔料は、196透明樹脂であり、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕する。
【0079】
実施例7、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0080】
実施例8、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0081】
実施例9、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.17%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0082】
実施例10、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、0.87%、17.62%、1.18%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0083】
実施例11、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、1.47%、17.62%、1.10%、7.71%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0084】
実施例12、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、2.35%、17.62%、0.99%、6.94%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0085】
実施例13、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0086】
実施例14、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.87%、17.62%、1.36%、9.52%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0087】
実施例15、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.47%、17.62%、1.29%、8.99%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0088】
実施例16、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、17.62%、1.17%、8.23%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0089】
牛骨粉末の改質方法は以下のとおりである。100メッシュの牛骨粉末を濃度2%のリン酸溶液に加え、両者の重量比は1:3であり、温度は20~30℃であり、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、3000~5000周り/分間の遠心分離機で3分間遠心分離し、上澄み液を捨て、且つ遠心分離した固形物を水で2~3回洗浄し、洗浄水は酸性を示せず、遠心分離した固形物を40℃で真空乾燥し、乾燥した牛骨粉末と1:4のスラグ粉末を混合し、粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕し、使用に備える。
【0090】
実施例17、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、0.5%、1.47%、17.62%、0.93%、6.50%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0091】
実施例18、炭酸カルシウム粉末、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、シリカフューム、軽量粗骨材、軽量細骨材、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、2.35%、1.2%、1.47%、17.62%、0.84%、5.89%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0092】
実施例19、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.5%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.94%、6.50%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0093】
実施例20、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、バイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.6%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.92%、6.42%、33.53%、24.48%、12.59%、0.03%である。
【0094】
硫酸亜鉛の改質方法は以下のとおりである。SiO2含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、60°Cのミキサーで150gの水を加え、次に、100gの硫酸亜鉛を加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を60°Cに加熱し、溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで10分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、改質した硫酸亜鉛が得られる。
【0095】
実施例21、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、改質したバイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、短繊維及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.5%、1.47%、1.47%、0.87%、17.62%、0.94%、6.50%、33.07%、24.14%、12.59%、0.8%、0.03%である。
【0096】
実施例1~21の実施方法の具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0097】
上記表面が粗いセメントコンクリートカキ付着基盤の製造方法に応じて、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体5個を製造し、それらはそれぞれ、該コンクリートの28日間の塩化物イオン浸透性耐性及び28日間の標準養生後の実験室でのカキ幼生の付着変態情況を試験するために使用される。具体的な操作ステップは以下のとおりである。
【0098】
(一)供試体の成形
【0099】
1.計算し、上記質量に応じて、通常のポルトランドセメント、軽量粗骨材、軽量細骨材、水、濃色顔料、バイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、微量元素、短繊維及び超可塑剤を精確に量る。
【0100】
2.コンクリートの長方体供試体の金型内に、表面粗さが異なるサンドペーパー(20メッシュ、60メッシュ、200メッシュを含む)を貼り付け、使用に備え、
【0101】
3.まず、軽量粗骨材及び軽量細骨材をコンクリートミキサー中に入れて0.5~1分間撹拌し、次に、通常のポルトランドセメント、バイオカルシウム粉末(改質した牛骨粉末:カキ殻粉末=2:1)、炭酸カルシウム粉末、微量元素、濃色顔料を加え、0.5~1分間撹拌し続け、その後、短繊維、水及び超可塑剤を加えて2~6分間撹拌し、均一に撹拌した後、注入して振動させて型抜きすれば、Φ100×50mmの円筒形供試体3個と200×200×30mmの長方体供試体5個が得られる。
【0102】
4.型抜きしたコンクリート供試体を直ちに10気圧下のCO2養生箱中に入れて2時間養生し、セメント供試体のアルカリ度を低下させ、その後、28日間標準養生し、且つ各齢期で対応する浸透性評価を行い、また、28日間後、実験室でのカキ幼生の付着と変態試験を行う。
【0103】
(二)急速塩化物イオン浸透性試験の具体的なステップは以下のとおりである。
【0104】
基準『Standard Test Method for Electrical Indication of Concrete’s Ability to Resist Chloride Ion Penetration』(ASTM1202-2017)に従って、28日間養生する場合、それぞれ養生室からΦ100×50mmの円筒形供試体3個を取り出し、且つそれらの表面の水及び不純物を洗浄し、その表面が乾燥した後、円筒形供試体の表面にエポキシを薄く塗布する。次に、供試体を真空飽和器に20~24時間置く。続いて、供試体を取り出し、その表面を洗浄し、有機ガラス金型に置き、同時に供試体と金型との間の密封性を検出した後、その両側の金型中に質量濃度3%の塩化ナトリウム溶液(電極は電源の負極に接続される)及びモル濃度0.3mol/Lの水酸化ナトリウム溶液(電極は電源の正極に接続される)をそれぞれ入れる。次いで、実験器具を始動し、6時間後、試験データを記録し、最後の2つの供試体に対して上記操作を繰り返す。最後に、規範に従って、強度を計算する。
【0105】
(三)実験室でのカキ幼生の付着と変態試験の具体的なステップは以下のとおりである。
【0106】
28日間標準養生した後、養生室から200×200×30mmの長方体供試体をそれぞれ取り出し、且つその表面の水及び不純物を洗浄し、その後、試験池中に入れ、実験室内に試験池を作り、そのカキ幼生の存在量は0.85ind/ml3であり、池中の海水は砂ろ過した黄海の海水であり、塩分濃度は約32%~34%であり、海水面がコンクリート供試体よりも高くなった後、酸素パイプを試験池中に均一に配置し、カキ幼生を投げ入れるために準備する。バケツ中のカキ幼生をゆっくりと撹拌した後、ビーカーを使用し、カキ幼生を含む海水の質量を精確に量り、続いて、試験池中に均一に投げ入れる。
【0107】
カキ付着誘引試験が始まった後、試験池内の海水を毎日交換し、水交換量は試験池の総容量の1/3であり、スクリーン(200メッシュ以上)を使用して排水口を塞ぎ、付着しないカキ幼生が水で流れ落ちることを防止し、スクリーン上の幼生を再度試験池に投げ入れ、毎日9:00及び19:00にパスツールピペットでクロレラを定時で定量的に給餌し、且つカキの付着情況を観察する。
【0108】
所定の齢期試験を継続した後、試験池中の水を排出し、供試体を取り出し、供試体表面のカキの数及び生存率を統計し、記録して分析し、統計の場合、コンクリートを注入成形する時の滑らかな底面を用いる。
【0109】
参照文献1(新規なコンクリート人工魚礁及びその製造方法CN104529286 A)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0110】
本発明の目的は参照文献と異なり、参照文献1において、コンクリートにカキ殻粉末を混ぜ込むが、その目的は、廃棄物の利用、人工魚礁の修復及び改善である。本発明の目的は、カキ幼生が付着するように誘引することである。
【0111】
参照文献2(生物模倣コンクリート人工魚礁及びその製造方法2015 CN104938384 A)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0112】
(1)本発明の目的は参照文献2と異なり、参照文献2において、コンクリートにカキ殻又はカキ殻粉末を混ぜ込むが、その目的は、表面の生物模倣によって魚、微生物、藻類を集め、微生物の数を増加させることによって水体環境を改善することであり、カキが言及されない。本発明の目的は、カキ幼生が付着するように誘引することである。
【0113】
(2)参考文献2によると、セグメントの投与量の10%未満のバイオ炭酸カルシウム粉末(150~200メッシュ)は、誘引と付着に対して無効であることを示す。しかし、研究過程において、改質した牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末(粉末度が100~1000メッシュ)を用い、牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末の最適な投与量はセメント質材料の10%以下であることが分かる。
【0114】
(3)牛骨粉末及びバイオ炭酸カルシウム粉末を改質することは、具体的には、エタン酸、酢酸、ケイ酸、亜硫酸などのうち1つ又は2つで100メッシュ~500メッシュの卵殻粉末、サンゴ粉末、カキ殻粉末及び魚骨粉末を処理すること、及び希釈したリン酸、硫酸、塩酸及び硝酸のうち1つ又は2つで、100メッシュ~500メッシュの牛骨粉末を処理することである。
【0115】
(4)参考文献において、コンクリート表面にカキ殻を嵌め込むことは難しく、全てのプロジェクトの表面はこのような方法を用いるわけでなく、実行可能性は低い。本発明は、生物が付着するように誘引するために、コンクリート内に貝殻粉末を加え、且つ貝殻粉末の投与量はセメント質材料質量の10%を占め、実施しやすく、カキ付着量を大幅に向上させることができる。
【0116】
(5)海洋環境下で、近年、人工魚礁の深刻な腐食が多く発生し、深刻な腐食は主に、嫌気性微生物であるチオバチルス菌が分泌した生物学的硫酸と他の細菌が分泌した酸性物質などの複合作用によって引き起こされる。しかし、炭酸カルシウムの酸腐食耐性は非常に弱いため、粉末度が大きな炭酸カルシウムの含有量が高すぎると、深刻な酸腐食を引き起こすことができる。
【0117】
参考文献3(范瑞良.基盤種類がカキの付着、成長、個体群の確立及び礁本体の発育への影響[D])に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0118】
(1)参考文献3において、80メッシュの牛骨粉末、カルシウム粉末、石膏粉末を取り、それぞれコンクリート中に独立して加える。本発明における全てのカルシウム質材料の粉末度は、100メッシュを超え、参考文献3における材料の粉末度よりも大きい。同様に、牛骨粉末を混ぜ込むため改質し、コンクリート粒子の格付及びその誘引能力を考慮する。
【0119】
(2)常温条件で、振動ミルで牛骨粉末を粉砕し、粉末度が80メッシュを超えた後、牛骨粉末に大量のコラーゲンが含まれるため、塊になり、粉砕を続けることができない。本発明において、希酸改質技術を用い、且つ他の物質と共に粉砕されると、粒径が小さな牛骨粉末、粉末度>200メッシュの改質したバイオカルシウム粉末が得られる。得られたバイオカルシウム粉末は、バイオカルシウムの元の物質を残し、カキ幼生が付着するように誘引するための物質の放出速度を向上させ、且つバイオカルシウム粉末の投与量を低下させるため、セメントコンクリート性能への影響を低下させる。
【0120】
(3)牛骨粉末は、大量のコラーゲンなどの有機物質を含み、大量のこれらの物質を混ぜ込むと、コンクリートの強度及び浸透防止性の低下をもたらし、特に5%を超えた後、投与量を向上させると、コンクリートの強度は急速に低下し、浸透防止性は顕著に低くなり、また、標準養生条件下でコンクリート表面にカビが生える。
図1は、コンクリート表面にカビが生える情況である。
図2は、改質したコンクリートの表面情況である。
【0121】
図1から分かるように、コンクリート表面のカビは白くて綿状であり、コンクリート表面のほぼ全体を覆い、牛骨粉末、齢期、養生条件が同じである場合、
図2におけるコンクリート表面にカビがない。
【0122】
本発明は、希酸による改質及び複合粉砕技術により、牛骨粉末の誘引能力を十分に発揮し、牛骨粉末の投与量を大幅に低減し、且つ防食処理及び改質を行い、牛骨粉末を主としての複合誘引剤を製造し、その投与量が低く、同時にカキ幼生の付着能力が高く、且つコンクリートにカビが生えるという問題を解決する。誘引剤を混ぜ込まないコンクリートよりも、誘引剤を混ぜ込んだコンクリートのカギの幼生の付着量は顕著に増加する。
【0123】
参考文献及び調べられた資料から分かるように、カキ幼生の付着にとって、カルシウム含有量は不可欠であり、同様に、現在のいくつかの試験結果は、セメントベース材料に適切な量の炭酸カルシウム物質を加えると、カキ幼生の付着と成長を促進できることも証明する。しかし、セメントコンクリートには大量のカルシウムイオンが含まれ、一般的に細孔溶液のpH値は12.5を超え、常温で、飽和水酸化カルシウム溶液のpH値は約12であり、従って、コンクリート細孔溶液中のカルシウムイオン濃度は約5mmol/Lであり、炭酸カルシウムの溶解度は非常に低く、25℃で9.5×10-5mol/L(9.5×10-2mmol/L)しかない。現在、カキが付着するように誘引するためのカルシウムイオン濃度の最適範囲は10~25mmol/Lであると考えられ、カキ幼生を飽和炭酸カルシウム溶液に入れた場合でも、カキの付着に適したイオン濃度を提供するのに十分なCa2+濃度がない。更に、セメントコンクリート中のCa(OH)2を迅速に放出できるが、炭酸カルシウムの溶解には時間がかかっている。従って、コンクリート中に炭酸カルシウム質材料を加えてカキ幼生の付着を促進する場合、Ca2+は支配的な役割を果たさないと決定できる。カキの早期付着、変態はHCO3
-に関連し、変態の場合、Ca2+と共に炭酸カルシウムの二次殻を形成する。炭酸カルシウムを混ぜ込んだ後、炭酸カルシウムはCO2や水と反応するため、Ca(HCO3)2を生成した後に付着に関与し、カキ幼生の付着を促進する基本的なメカニズムである。
【0124】
セメントベース材料に最適な量の炭酸カルシウムがあり、それは以下の3つの側面から説明できる。
【0125】
1)同量の代替セメントでは、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中のアルカリを希釈し、総アルカリ度が低下し、しかし、炭酸カルシウム投与量の増加に伴い、コンクリート中の炭酸カルシウムの溶解確率が向上し、その溶液中のHCO3
-含有量が向上するため、カキの付着と変態を促進し、しかし、投与量が大きすぎる場合、コンクリートの浸透性が急に高まり、コンクリート中のアルカリ及び炭酸塩ラジカルが急速に浸出し、アルカリの悪影響が顕著になり、炭酸塩の臨界効果又は悪影響が現れ始めるため、付着量が低下し、
2)同量の代替骨材では、投与量の増加に伴い、コンクリートの浸透性が低下し、カルシウムイオンとOH-の浸出が低下し、しかし、炭酸イオンの浸透率は徐々に向上し、一定の値に達すると、カキの付着が最大値に達し、投与量が増加し続けると伴い、カルシウムイオンが大幅に減少し、炭酸塩も減少する可能性があり、カルシウムイオン濃度はカキ幼生の付着を制限し、それは付着量の低下として現れ、
3)同量の代替鉱物混和剤では、投与量の増加に伴い、浸透性も向上し、且つ炭酸カルシウムの増加により、カキの付着に必要なHCO3
-濃度が適切な範囲に達し、それはカキ幼生の付着量の向上として現れ、鉱物混和剤の投与量が増加し続けると伴い、鉱物混和剤の投与量が低下し、浸出したアルカリと炭酸塩の量が増加するが、アルカリとHCO3
-イオンが多すぎるとカキ幼生の付着を阻害する。
【0126】
参考文献4(李真真、公丕海、関長涛、etal.様々なセメント種類のコンクリート人工魚礁の生物付着効果[J].漁業科学進展、2017、38(5):57-63。)に比べて、その違いは以下のとおりである。
【0127】
参考文献4において、複合ポルトランドセメント、スラグポルトランドセメント、ポゾラン質のポルトランドセメント、フライアッシュ質のポルトランドセメント及びアルミナセメントを使用し、本発明において、通常のポルトランドセメントと鉱物混和剤を複合して混ぜ込むことによって低アルカリ度のセグメントを実現し、ここで、シリカフュームは、鉱物混和剤のうち1つであり、それは、活性が高く、その適切な投与量が海洋環境における鉄筋コンクリートの耐久性の向上に明らかな効果を果たし、最適化設計及び試験により、強度と耐久性に優れた低アルカリ度セメントを得ることができる。同時に、シリカフュームコンクリートの浸透防止性が高い特徴により、コンクリート内部のアルカリ度が高くても、大量のカキ幼生が付着、変態、成長する。また、低アルカリ度のスルホアルミネートセメントの複合により、セメントコンクリートのアルカリ度を調整し、カキ幼生の付着のために適切なpH値を提供する。また、海洋植物とカキやフジツボなどの固着生物の耐アルカリ性は異なり、付着期と後期で必要な環境は異なり、例えば、フジツボ及びカキの付着、変態及び後期の成長は大量のカルシウムイオンを必要とする。
【0128】
参考文献4において、コンクリートは海洋生物を集めるために使用され、それは主に、付着生物の大きさと多様性から出発し、主な付着生物は様々な藻類である。本発明において、研究目的はカキの付着を誘引することであり、しかし、カキやフジツボの耐アルカリ性は藻類よりも高く、且つカキの付着、変態は大量のカルシウムイオンを必要とするため、2種類のコンクリートは同じように見えるが、実際にはまったく異なる。
図3及び
図4はそれぞれ、参考文献4における約210日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況と本発明における300日間の実際の海の付着実験を経た後の生物付着情況との比較である。
【0129】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。
【0130】
濃色顔料
【0131】
カキの眼点幼生の走光性を利用し、濃色顔料(鉄黒、アニリンブラック、カーボンブラック、硫化アンチモン、ベンガラ、有機顔料レッドのうち1つ又は2つ)をコンクリート中に混ぜ込み、コンクリートの色を変更し、コンクリートの色は濃くなり、カキ幼生にそれが暗い環境であると思わせ、カキ幼生が自分で濃色のンクリート表面に到達するように誘引し、カキ幼生とコンクリート表面との接触確率を向上させ、カキ幼生が付着するように誘引する確率を向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0132】
海洋生物学の研究者は、望ましくない個体群を繁殖及び増殖又は排除するために、異なる色の基質を使用した海洋の固着生物の付着への研究を検討し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、濃色のコンクリートを使用してカキ幼生が付着するように誘引する。本発明は、濃色顔料を加え、コンクリート表面の色を濃くし、カキ幼生の付着を促進する。コンクリート中に他の材料を混ぜ込むため、コンクリート性能に影響を与える。本発明は、異なるセメントのコンクリートが異なる表面色を有することを考慮する。従って、セメント種類及び投与量に基づいて濃色物質の投与量を決定する。濃色顔料もコンクリート性能に影響を与える。最も重要なことは、濃色顔料を混ぜ込むと同時に、コンクリート中のアルカリとCa2+の浸透率を制御しない場合、放出されたアルカリは固着生物幼生の付着、変態及び成長に影響を与え、投与量が所定の値を超える場合、幼生の付着量が低下することである。本発明において、コンクリートの浸透防止性を設計及び制御し、主な対策は、濃色顔料の種類の選択、投与量の制御及び改質である。濃色物質の投与量の増加に伴い、幼生の付着量は高くなり、投与量はグル化材料の0.5%~6%である場合、幼生の付着量は最高であるが、その後わずかに増加し、又は変化しない。
【0133】
微量元素
【0134】
カキ体内は大量の亜鉛を含み、それが生息する海水よりもはるかに高く、同時に、カキ体内は多くのFe鉄、P、K元素を含む。同時に、溶液中の適切なZn2+及びK+濃度は、カキ幼生の早期付着と変態を促進し得る。従って、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硝酸カリウム、硫酸鉄、リン酸亜鉛、硝酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸鉄、リン酸カルシウムを微量元素として使用してコンクリートに混ぜ込み、これらの物質の改質により、コンクリートの強度と浸透防止性は基本的に変化せず、カキ幼生の付着誘引率を大幅に向上させる。具体的には以下のとおりである。
【0135】
海洋生物学の研究者は、カキの付着メカニズム及び繁殖と増殖の目的を明らかにするために、異なるイオンが海洋の固着生物の付着と変態への影響を研究し、それは海洋生物学の分野に属する。それは、海洋コンクリート工学やコンクリート材料学とはまったく異なり、完全に2つの主要な分野である。海洋の固着生物とコンクリート材料学の学際的融合により、コンクリート中に対応する物質を加え、カキ幼生がコンクリート表面に付着するように誘引することが分かる。可溶性塩は、初期の作業性、硬化時間、及び後期の強度と浸透防止性などのコンクリート性能に大きな影響を与えるため、本発明は、珪藻土を担体として使用することにより、これらの無機塩を珪藻土の内部に固定し、可溶性塩がコンクリート性能への影響を低減すると同時に、珪藻土がコンクリート性能を向上させる効果を利用し、これらの誘引物質を加えても、コンクリートの優れた力学的性質と浸透防止性を維持できることを実現する。また、珪藻土は担体として持続放出効果があるため、可溶性塩の放出は比較的遅く、特に海水に所定の時間以上浸した後、その放出速度は非常に低いレベルに保たれる。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、微量元素をコンクリートに混ぜ込み、コンクリート表面の微量元素のイオン含有量を変更し、及びコンクリートの浸透性を制御することは、カキ幼生が付着するように誘引する能力に優れたコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0136】
コンクリートの浸透性
【0137】
コンクリートの強度及び浸透性はコンクリートの2つの最も重要な性能である。標準コンクリート中に異なる誘引剤を加えると、コンクリート性能に影響を与え、そのため、異なる物質を混ぜ込んでカキ幼生の付着、変態及び後機の成長を促進する場合、まず、コンクリートの強度や浸透性に大きな影響を与えないように、全体として制御する必要があり、次に、各種の原料の適合性に応じて原料を選択し、原料の性能が実際の要件を満たせない場合、原料を加える前に改質することで、望ましい機能を達成できる。しかし、実は、前述の関連研究では、カルシウム含有量がカキ幼生の付着への影響を考慮するが、コンクリート自体の性能を考慮せず、水セメント比、カルシウム含有量及び養生などを考慮せず、コンクリートの浸透性の変化により、コンクリート内部のアルカリやイオンの浸透率が変化し、コンクリートの浸透防止性が低いほど、その内部のアルカリとイオンの浸透率が高くなり、指数関数的に増加する可能性がある。従って、これらの放出されたアルカリとイオンは幼生に大きな影響を与え、付着を促進することから付着を阻害することまで変化し、特にセメント含有量が多い場合、この情況はより深刻になる可能性がある。従って、コンクリート中に誘引剤を混ぜ込み、コンクリートの浸透防止性の変化は、制御可能な範囲内にあることを確保しなければならず、例えば、変化は10%を超えない。このように、これらの誘引効果を比較することができ、そうでなければ、誘引剤を独立して混ぜ込み又は誘引剤を複合して混ぜ込むことがカギ幼生の誘引効果への影響を評価することができない。
【0138】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つコンクリートの浸透防止性から出発してコンクリートを設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによってコンクリートの浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、コンクリートの浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0139】
粗さの増加
【0140】
粗い表面は、カキの幼生が這って付着するために、より優れた触覚刺激を提供し、付着力を増加させ、基板でのカキ幼生の滞留時間を伸ばし、同時に、亀裂と穴ぼこが存在することで、幼生を保護でき、捕食者に襲われる可能性を低下させ、また、滑らかな付着基盤よりも付着可能面積が大きいため、表面が粗い付着基盤でのカキ幼生の付着率が向上する。
【0141】
また、繊維を使用すると、コンクリートの強度、特に引張強度を高めることができる。本発明では、耐アルカリ性繊維とエココンクリートと組み合わせ、コンクリートの耐亀裂性、耐曲げ性、耐疲労性を向上させる。防波堤部材に適用した場合のコンクリートの早期亀裂を低減し、輸送中や海辺での固定中の部材の破損率を低減し、特に台風などの極端な負荷に耐える能力を高めることができる。同時に、本発明は、軽量骨材コンクリートを使用することにより、コンクリート付着基盤の重量を軽減でき、供試体の製造、輸送、養生の過程において輸送コスト及び人件費を削減でき、また、実際の海での養殖では、付着基盤を移動してカキを収穫する漁師の人件費を削減したり、コンクリートプロジェクトの輸送及び固定などのコストを削減したりでき、更に、使用中に誤って地面に落ちて破損するリスクを低減できる。
【0142】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献1~3により、本発明において、コンクリート中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、牛骨粉末の改質、粉砕技術及びコンクリートの浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有するコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0143】
以下、実施例Aによって本発明を詳細に説明し、これらの実施例Aは、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではない。プロジェクト計画の具体的な技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0144】
(実施例A1)
(1)生態プロジェクトを建設する海区の調査では、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ四半期ごとに10回試験し、該海区の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、K+イオンを記録し、更に、過去の台風発生数、その強度を調査研究し、長年にわたった海域の気象及び水文データを調べ、エコロジー捨て石防波堤の建設のための実行可能方法及び解決策を分析し、
【0145】
(2)コンクリート付着基盤の製造では、エココンクリートを使用し、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造し、付着基盤のサイズは10cm×10cm×2cmであり、型抜きした後、直ちに10気圧で1時間のCO2養生を行い、その後、28日間標準養生する。
【0146】
(3)カキ幼生の定時に定量的な収獲及び養殖では、7月に、粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が20個/100cm2の場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に移して浮遊養殖する。
【0147】
(4)コンクリート部材の設計では、カキの付着が環境及び消波への影響を考慮すると、生態プロジェクトのコンクリート部材の構成を設計し、カキの付着量をできるだけ増やし、他の生物に空間を提供するために、薄肉、多重開口部の半球形部材を用い、内部空隙率が40%未満であり、且つ半球形部材の表面に6本の長方体のコンクリート棒を傾斜して設置し、部材の総サイズが10m3である。
【0148】
(5)コンクリート部材の製造では、海洋の固着生物への誘引性が高い繊維強化エココンクリートを用い、且つ弾性金型を用い、半球形部材、特に内部が大きくて外部が小さいような溝構造を製造し、CO2で養生し、養生時間は2時間であり、その後、28日間標準養生する。
【0149】
(6)コンクリート供試体の配置では、2年目に、地元の海域のカキの浮遊幼生は、集中して付着変態する期間に、コンクリート供試体を分散して置き、且つ複数の供試体の相互作用を考慮し、コンクリート部材を縄で接続し、
【0150】
(7)カキ付着基盤の現場配置では、コンクリート表面にカキ(性腺発達の成熟段階)がよく付着するカキ基盤を防波堤が建設される海区に輸送し、半球形部材ごとに表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を置き、縄で半球形部材に固定し、また地元の海域の浮遊生物情況に応じて、クロレラ濃縮餌を投げ入れる。同時に、カキ幼生の発育情況に基づき、給餌量は、25,000細胞/mL、40,000細胞/mL、60,000細胞/mLから80,000細胞/mLに増える。
【0151】
(8)幼生の付着の管理及び監視では、カキ幼生がコンクリート表面での付着密度が35個/100cm2に達する場合、カキ付着基盤取り外し、同時に該海域の浮遊生物の種類及びその数に基づき、給餌するかどうかを決定する。
【0152】
(実施例A2)
(1)生態プロジェクトを建設する海区の調査では、該海区におけるカキの優勢種及びカキ付着の有無を調査し、且つ四半期ごとに15回試験し、該海区の気温、海水温度、溶存酸素、浮遊生物、全溶存無機窒素、活性リン酸塩、活性ケイ酸塩、Ca2+、Zn2+、K+イオンを記録し、更に、過去の台風発生数、その強度を調査し、長年にわたった海域の気象及び水文データを調べ、エコロジー捨て石防波堤の建設のための実行可能方法及び解決策を分析し、
【0153】
(2)コンクリート付着基盤の製造では、エココンクリートを使用し、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を製造し、付着基盤のサイズは10cm×10cm×3cmであり、型抜きした後、直ちに10気圧で1.5時間のCO2養生を行い、その後、28日間標準養生する。
【0154】
(3)カキ幼生の定時に定量的な収獲及び養殖では、8月に、粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を近くの海域の採苗区に置き、カキ幼生の付着量が25個/100cm2の場合、採苗を停止し、次に、付着基盤を餌の豊かな海域に輸送して浮遊養殖する。
【0155】
(4)コンクリート部材の設計では、カキの付着が環境及び消波への影響を考慮すると、生態プロジェクトのコンクリート部材の構成を設計し、カキの付着量をできるだけ増やし、他の生物に空間を提供するために、内部空隙率が50%未満で、薄肉、多重開口部の半球形部材を用い、、且つ半球形部材の表面に6本の円筒形のコンクリート棒を傾斜して設置し、部材の総サイズが15m3である。
【0156】
(5)コンクリート部材の製造では、海洋の固着生物への誘引性が高い繊維強化エココンクリートを用い、且つ弾性金型を用い、半球形部材、特に内部が大きくて外部が小さいような溝構造を製造し、CO2で養生し、養生時間は2時間であり、その後、28日間標準養生する。
【0157】
(6)コンクリート供試体の配置では、2年目に、コンクリート供試体を分散して置くという方法を用い、また、複数の半球形部材の相互作用を考慮し、各部材を縄で接続する。
【0158】
(7)カキ付着基盤の現場配置では、コンクリート表面にカキ(性腺発達の成熟段階)がよく付着するカキ基盤を防波堤が建設される海区に輸送し、半球形部材ごとに表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤を置き、縄で半球形部材に固定し、また、地元の海域の浮遊生物情況に応じて、クロレラ濃縮餌を投げ入れる。同時に、カキ幼生の発育情況に基づき、給餌量は、30,000細胞/mL、50,000細胞/mL、70,000細胞/mLから90,000細胞/mLに増える。
【0159】
(8)幼生の付着の管理及び監視では、カキ幼生がコンクリート表面での付着密度が40個/100cm2に達する場合、カキ付着基盤を取り外し、同時に該海域の浮遊生物の種類及びその数に基づき、給餌するかどうかを決定する。
【0160】
実施例A1及び実施例A2に記載のカキ付着基盤と注入用のコンクリート配合比は以下のとおりである。
【0161】
海洋の固着生物への誘引性が高い繊維強化エココンクリート(1~22)のコンクリート配合比において、生物模倣コンクリート部材(23)の様態であり、表面が粗い軽量コンクリートカキ付着基盤のコンクリート配合比は、前述の実施例1~21と同じであり、そのコンクリートカキ付着基盤の形状設計は、具体的には、
図5~7を参照する。
【0162】
弾性金型を用い、特別な形状の部材、特に内部が大きくて外部が小さいような溝構造を製造し、コンクリート配合比及びそのアルカリ度と浸透防止性に応じて、その養生方法を決定する。
【0163】
1、通常のポルトランドセメントのコンクリート配合比について、通常のポルトランドセメント、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、17.1%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0164】
そのうち、前記砕石の母材は玄武岩及び輝緑岩のうち1つであり、その最大粒径は50mmを超えず、格付が高く、前記砂は川砂、機械製砂(母材は花崗岩、玄武岩のうち1つである)又は淡水化海砂のうち1つ以上であり、格付が高い。前記水は、コンクリート用水の品質基準(中華人民共和国業界規格(JGJ63-2006):コンクリート用水規格)を満たす必要があり、Cl-含有量<1000mg/Lであり、PH値>4.5であり、セメントの初期硬化時間差及び最終硬化時間、強度、浸透性にほとんど影響を与えない。また、実施例A1~22で選択された上記材料は同じである。
【0165】
2、基準コンクリート配合比について、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、10.26%、0.86%、5.98%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【表1】
【0166】
以上の実施例から分かるように、高炉スラグ粉末及びシリカフュームをコンクリート中に混ぜ込むと、セメントなどの粒子間の空隙を埋めるだけでなく、ポゾラン反応が発生し得、次に、移行領域の界面微細構造を改善し、コンクリートの基本強度を確保するだけでなく、コンクリート自体のアルカリ度及び浸透性を低下させる。コンクリートとそれに接触する海水との接触によるアルカリ度差を低減する効果を果たすと同時に、低い浸透性はアルカリの放出速度を抑え、最後に、カキ幼生がコンクリート表面に付着しやすくなる。
【0167】
3、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0168】
4、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0169】
5、改質しない濃色顔料、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0170】
6、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0171】
7、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0172】
8、改質した濃色顔料(鉄黒:アニリンブラック混合物の質量比=1:1)、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0173】
そのうち、改質した濃色顔料は、196透明樹脂であり、3%の硬化剤と1.5%の促進剤を混ぜ込んで顔料と混合し、且つ顔料と樹脂の体積比は1:0.2であり、常温で4時間硬化し、60℃で4時間硬化し、次に、叩いて破壊し、粉末度が400メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕する。
【表2】
【0174】
黒色顔料はコンクリートの浸透性に大きな影響を与え、投与量の増加に伴い、カキ幼生の付着量は低減する。一方で、コンクリートの浸透性が向上するため、コンクリートのアルカリの浸出が増加し、その一方で、酸化鉄が鉄イオンに変換し、鉄イオンの濃度が上昇するため、カキ幼生の付着を阻害する可能性がある。該問題に対して、樹脂で顔料を覆い、次に粉末まで粉砕するため、コンクリートの浸透防止性を大幅に向上させることができ、特に投与量が1.37%の場合、その電束は3.2%しか増加しない。同時に、濃色顔料の増加に伴い、カキの付着量も増加し、投与量が1.37%の場合は改質前とは異なり、カキ幼生の付着率の低下として現れる。
【0175】
9、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0176】
10、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0177】
11、改質しない牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0178】
12、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0179】
13、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0180】
14、改質した牛骨粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0181】
100メッシュの牛骨粉末を濃度2%のリン酸溶液に加え、両者の重量比は1:3であり、温度は20~30℃であり、回転数200~500周り/分間のミキサーで30分間撹拌し、3000~5000周り/分間の遠心分離機で3分間遠心分離し、上澄み液を捨て、且つ遠心分離した固形物を水で2~3回洗浄し、洗浄水は酸性を示せず、遠心分離した固形物を40℃で真空乾燥し、乾燥した牛骨粉末と1:4のスラグ粉末を混合し、粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕し、使用に備える。
【表3】
注:改質した牛骨粉末の粉末度を200メッシュ~300メッシュまで粉砕する
【0182】
牛骨粉末は粉砕しにくく、一般的に約100メッシュまで粉砕し続けることが難しいという問題に対して、ここでは、まず、100メッシュの牛骨粉末を2%濃度の希リン酸で化学改質し、次に、乾燥した牛骨粉末と1:4のスラグ粉末を粉末度が200メッシュを超えるまで振動ミルで粉砕する。このように、改質した牛骨粉末とコンクリート中のアルカリ性物質との接触を向上させ、同時に、コンクリート内部の微細構造はより緻密であり、以前に発生したカビ現象はない。改質した後、低投与量の場合、コンクリートの浸透防止性も改善する。投与量が1.37%に達しても、電束(コンクリート浸透性を表す指標の1つであり、ASTMC1202やGB/T 50082-2009のようなコンクリート性能テスト評価方法規格において定められている)はわずか4.2%まで増加し、カキ幼生の付着変化率は205%から400%まで増加する。
【0183】
15、改質した牛骨粉末、改質した濃色顔料、カキ殻粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、0.86%、0.51%、10.26%、0.62%、4.34%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0184】
16、改質した牛骨粉末、改質した濃色顔料、カキ殻粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、0.51%、0.86%、10.26%、0.58%、4.03%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【表4】
【0185】
本実施例は、標準コンクリート中に濃色顔料、カキ殻粉末、牛骨粉末を複合して混ぜ込み、標準コンクリートはカギの付着、変態に必要なCa2+を提供し、且つ低いアルカリ度を有し、同時に、濃色顔料により、コンクリートの色は濃くなり、ほとんど全ての可視光を吸収し、コンクリート表面が黒くなり、日陰環境を提供し、また、貝殻粉末及び牛骨粉末を混ぜ込むと、必要なHCO3
-、PO4
3-及び各種の微量元素を提供し、カキの付着を協力して促進し、そのため、0.86%の濃色顔料、0.51%のカキ殻粉末、0.51%の牛骨粉末の場合、カキ幼生の付着変化率は317%に達するが、0.86%の濃色顔料、0.51%のカキ殻粉末、0.86%の牛骨粉末の場合、付着変化率517%まで増幅する。
【0186】
17、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.51%、10.26%、0.79%、5.54%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0187】
18、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.86%、10.26%、0.75%、5.23%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0188】
19、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、1.37%、10.26%、0.68%、4.79%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【表5】
【0189】
本実施例Aは、投与量の異なる600メッシュの炭酸カルシウム粉末で鉱物混和剤を同量で代替する。炭酸カルシウム粉末の投与量の増加に伴い、コンクリートの浸透防止性が低下するが、コンクリートの電束は基準値よりも低く、投与量が1.37%の場合でも、その浸透防止性は基準群の浸透防止性よりも優れた。炭酸カルシウム粉末の投与量の増加に伴い、コンクリート中の炭酸カルシウムの溶解確率を向上させ、そのため、付着変化率を向上させ、具体的には、投与量がそれぞれ0.51%、0.86%、1.37%の場合、カキ幼生の付着変化率は20%、40%、50%になって現れる。
【0190】
20、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料、改質した牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.3%、0.86%、0.86%、0.51%、10.26%、0.54%、3.77%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0191】
21、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料、改質した牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.6%、0.86%、0.86%、0.51%、10.26%、0.50%、3.51%、46.67%、29.0%、7.2%、0.03%である。
【0192】
硫酸亜鉛の改質方法は以下のとおりである。SiO
2含有量>90%、粉末度が600メッシュの珪藻土を選択し、60°Cのミキサーで150gの水を加え、次に、100gの硫酸亜鉛を加え、完全に溶解するまで撹拌し、使用に備え、続いて、150gの上記珪藻土を60°Cに加熱し、溶液中に加え、回転数200~500周り/分間のミキサーで10分間撹拌し、その後、乾燥温度が100°Cの乾燥オーブンで乾燥すれば、改質した硫酸亜鉛が得られる。
【表6】
注:濃色顔料は改質した鉄黒とアニリンブラックであり、且つ質量比は2:1である。
【0193】
本実施例は、標準コンクリート中に硫酸亜鉛、牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末及び濃色顔料を複合して混ぜ込み、標準コンクリートはカギの付着、変態に必要なCa2+を提供し、且つ低いアルカリ度を有し、同時に、濃色顔料により、コンクリートの色は濃くなり、ほとんど全ての可視光を吸収し、コンクリート表面が黒くなり、日陰環境を提供し、また、牛骨粉末及び炭酸カルシウム粉末を混ぜ込むと、必要なHCO3
-、PO4
3-及び牛骨粉末内の各種の微量元素を提供し、硫酸亜鉛によって提供されたZn2+はカキ幼生の早期付着を促進し、以上は、カキ幼生の早期付着の誘引、変態に必要なイオン及び濃色などの要件を全面的に満たし、優れた効果を果たし、0.86%の濃色顔料、0.51%の牛骨粉末、0.51%の炭酸カルシウム粉末及び0.2%の硫酸亜鉛の場合、付着変化率は580%に達し、0.86%の濃色顔料、0.51%の牛骨粉末、0.51%の炭酸カルシウム粉末及び0.6%の硫酸亜鉛の場合、付着変化率は652%である。
【0194】
22、硫酸亜鉛、改質した濃色顔料、改質した牛骨粉末、炭酸カルシウム粉末、通常のポルトランドセメント、シリカフューム、高炉スラグ粉末、砕石、砂、水、短繊維及びポリカルボン酸塩減水剤粉末の重量百分率は順次、0.6%、0.86%、0.86%、0.51%、10.26%、0.50%、3.51%、46.42%、28.85%、7.2%、0.4%、0.03%である。
【0195】
23、本発明は、上記コンクリートを用い、コンクリート部材に対して生物模倣の形態設計を行い、具体的には、
図8を参照する。
【0196】
また、上記実施例の実施方法の具体的な操作ステップは前述の実施例1~21と同じであり、参考文献2~4は前述の参考文献と同じであるため、削除される。
【0197】
参考文献5は、「生きている防波堤_ニューヨーク沿岸のグリーンインフラストラクチャ_孫一鶴」である。
【0198】
本発明の目的は参考文献と異なり、参考文献5において、「生きている」防波堤の建設を行い、マクロデザイン、表面テクスチャ、低アルカリセメントで製造されたコンクリート部材により、海洋生物の数を増加させ、増加した海洋生物は、海洋生物及び海洋の固着生物で、主に海洋生物である。本発明において、セメントの低アルカリ化に加えて、コンクリート中に濃色顔料、バイオカルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末及び微量元素などを混ぜ込み、カキ幼生を誘引し、その誘引は、迅速、緻密などの特徴を有し、効果に優れ、海域の生態環境を大幅に改善できる。
【0199】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献2~3により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0200】
また、本発明独自の特徴及びその有益な効果は以下のとおりである。濃色顔料、微量元素及びコンクリートの浸透性などの面の内容は前述の内容と同じであるため、前述の独自の特徴及びその有益な効果を参照されたい。
【0201】
海洋の固着生物が付着、変態及び後期の成長に必要な最適な環境を把握し、且つコンクリートの浸透防止性から出発してコンクリートを設計する必要があり、各種の原料の投与量のみを考慮することによってコンクリートの浸透防止性の変化をもたらすことを無視することではない。従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、化学、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、従来の背景により、本発明において、コンクリートの浸透防止性の全体的な制御は、誘引剤はカキが付着するように効果的に誘引する能力に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0202】
従って、同様に、この部分の知識は、海洋の固着生物、海洋植物、海洋コンクリート工学の学際的融合に関し、コンクリート・工学の分野の当業者でも海洋生物学の分野の当業者でも、参考文献2~3により、本発明において、コンクリート中に濃色顔料を混ぜ込むことによる色の変化、牛骨粉末の改質、粉砕技術及びコンクリートの浸透性の制御はカキが付着するように効果的に誘引する能力と高い耐久性を有するコンクリートに密接に関連する技術的特徴を取得することができない。また、参考文献4により、本発明において、コンクリートのアルカリ度の低下及びカルシウムイオン濃度の釣り合いは海洋の固着生物の付着に密接に関連する技術的特徴を取得することができない。
【0203】
本発明の実施例を示して説明するが、当業者にとって、本発明の原理及び精神から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は、請求の範囲及びそれらの同等物によって限定されることが理解され得る。