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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】水晶発振器及び水晶発振器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20241001BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H03H9/19 A
H03H3/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023076222
(22)【出願日】2023-05-02
(65)【公開番号】P2023177259
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】111120274
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522111611
【氏名又は名称】安碁科技股▲フェン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AKER TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 瑞華
(72)【発明者】
【氏名】林 逸倫
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-303825(JP,A)
【文献】特開2013-093654(JP,A)
【文献】特開2001-313537(JP,A)
【文献】特開2003-142979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00- 9/74
H03H 3/007-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板とトップ電極線路とボトム電極線路とを含む水晶発振器であって、
該圧電基板は、薄肉エリアと、該圧電基板の複数の側辺における互いに反対する2つの側辺に位置すると共に、該薄肉エリアに連続するつのサイドリムエリアとを含み、
該薄肉エリアは互いに反対に位置する上表面及び下表面を有し、且つ、該上表面には該上表面の側辺と間隔を置く上作業区間が画成され、該下表面には該下表面の側辺と間隔を置く下作業区間が画成されており、
2つのサイドリムエリアにおける1つは、該サイドリムエリアのトップ縁から該薄肉エリアの上表面に向かって凹陥するように形成された凹部を有する上、該薄肉エリアの上表面と、該凹部のボトム縁とは、該圧電基板においては実質的に同一の高さを有するように、同一の仮想平面に位置しており、
該トップ電極線路は、該上作業区間に配置される作業エリア及び該作業エリアから該凹部のボトム縁に向かって延伸する延伸エリアを有しており、
該ボトム電極線路は、該下作業区間に配置される作業エリア及び延伸エリアを有し、該ボトム電極線路の延伸エリアは、該ボトム電極線路の該作業エリアから該圧電基板の側辺に向かって延伸し、該凹部のボトム縁にり、
該ボトム電極線路の延伸エリアは、該ボトム電極線路の作業エリアに接続する第1の部分と、該第1の部分から該凹部を有する側辺へ延伸する第2の部分と、該第2の部分から該凹部のボトム縁へ延伸すると共に該トップ電極線路の延伸エリアと互いに間隔を置いて配置される第3の部分と、を有することを特徴とする水晶発振器。
【請求項2】
水晶発振器の製造方法であって、
圧電基板の下表面に該圧電基板の複数の側辺と間隔を置く作業エリアを有するボトム電極線路を形成するステップ(a)と、
該ボトム電極線路に仮基板を設けるステップ(b)と、
該ステップ(b)の後、該仮基板から離れた一側から該圧電基板をパターン化することで、該圧電基板を、薄肉エリアと、該圧電基板の前記複数の側辺における互いに反対する2つの側辺に位置すると共に、該薄肉エリアに連続するつのサイドリムエリアとを含み、且つ、該薄肉エリアは上表面及び前記下表面を有し、該上表面に該上表面の側辺と間隔を置いた上作業区間が画成され、該薄肉エリアの下表面に該ボトム電極線路の作業エリアが形成されている下作業区間が画成され、且つ、該2つサイドリムエリアにおける1つは該サイドリムエリアのトップ縁から該薄肉エリアの上表面に向かって凹陥する凹部を有し、更に、該薄肉エリアの上表面と該凹部のボトム縁が同一の仮想平面に位置して該圧電基板においては実質的に同一の高さを有するように、該圧電基板をパターン化するステップ(c)と、
該上作業区間に位置する作業エリア及び該作業エリアから該凹部のボトム縁に向かって延伸する延伸エリアを有するトップ電極線路を形成するステップ(d)と、
該仮基板を取り除くことで該ボトム電極線路を露出させるステップ(e)と、を含み、
該ステップ(a)において形成された該ボトム電極線路は、延伸エリアを有し、該ボトム電極線路の延伸エリアは、該ボトム電極線路の作業エリアから該圧電基板の該下表面の側辺延伸する第1の部分を有するように、該凹部のボトム縁位置し、且つ、
該ステップ(e)の後に、該ボトム電極線路の第2の部分及び第3の部分を形成し、該ボトム電極線路の第2の部分は該第1の部分から該凹部を有する側辺へ延伸し、該ボトム電極線路の第3の部分は、該第2の部分から該凹部のボトム縁へ延伸すると共に、該トップ電極線路の延伸エリアとは互いに間隔を置いて配置される手順、もしくは、
該ステップ(c)の後に、該ボトム電極線路の第2の部分及び第3の部分を形成し、該ボトム電極線路の第2の部分は該第1の部分から該凹部を有する側辺へ延伸し、該ボトム電極線路の第3の部分は、該第2の部分から該凹部のボトム縁へ延伸すると共に、該トップ電極線路の延伸エリアとは互いに間隔を置いて配置される手順が行われることを特徴とする水晶発振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発振器に関し、特に水晶発振器及びその水晶発振器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器とは石英結晶体自身による圧電効果を利用して振動周波数を生成する部品であり、常に各種の電子製品(例えば、通信設備)の中に配置されている。伝統的な水晶発振器は大体石英基板と該石英基板のトップ面とボトム面とにそれぞれ形成されるトップ電極とボトム電極とを含み、該ボトム電極は該石英基板のボトム面から側周面に沿って該石英基板のトップ面まで延伸することで、該トップ電極と該ボトム電極とを同一の表面に位置させて外部に対して電気的に接続する。
【0003】
水晶発振器に関連する技術分野に熟知する研究者や業者が周知する通り、石英基板は厚さが薄いほど、生成する振動周波数は高くなる。
【0004】
従って、水晶発振器が高周波数バンドに利用されることができるように、該石英基板は薄肉化される必要があり、これによりその厚さを必要とされる高周波数バンドに到達させる。
【0005】
図1図2には、特許文献1に開示の結晶体振動部材が示されており、結晶体基板11と、トップ励起電極12と、ボトム励起電極13とを含む。該結晶体基板11は、上作業面1111及び下作業面1112を定義する薄肉化エリア111と、該薄肉化エリア111を囲み、且つ、厚さが該薄肉化エリア111より大のサイドリムエリア112と、を含む。該トップ励起電極12は薄肉化エリア111の上作業面1111に配置されるトップ作業電極エリア121と、該トップ作業電極エリア121から該サイドリムエリア112に向かって延伸するトップ引き込み電極エリア122と、を有する。該ボトム励起電極13は薄肉化エリア111の下工作面1112に配置されるボトム作業電極エリア131と、該ボトム作業電極エリア131から該サイドリムエリア112に向かって延伸するボトム引き込み電極エリア132と、を有し、その中で、該ボトム引き込み電極エリア132は該ボトム作業電極エリア131に接続する第1の部分1311と、該第1の部分1311から該結晶体基板11のサイドリムエリア112のトップ面まで延伸する第2の部分1322と、を有する。
【0006】
特許文献1に公開される結晶体振動部材1の結晶体基板11は該トップ、ボトム作業電極エリア121、131が設置される該薄肉化エリア111を有するものの、該薄肉化エリア111の厚さが該サイドリムエリア112の厚さより小であり、この両者の間に高低差が存在するので、これにより該トップ励起電極12のトップ引き込み電極エリア122の構造は、製作工程において歩留まりの低下につながり、該トップ励起電極12の回路構造の完全性にも影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾特許第I401882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記説明から分かるように、水晶発振器を薄肉化することを前提として、水晶発振器の構造を改良することで該薄肉化エリアとサイドリムエリアの両者の高度差によって引き起こされる回路の完全性が不足する問題を解決することは、本発明が属する技術分野において求められている課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的に達成すべく、本発明は、圧電基板とトップ電極線路とボトム電極線路とを含む水晶発振器であって、該圧電基板は、薄肉エリアと、該圧電基板の複数の側辺における1つの側辺に位置すると共に、該薄肉エリアに連続する少なくとも1つのサイドリムエリアとを含み、該薄肉エリアは互いに反対に位置する上表面及び下表面を有し、且つ、該上表面には該上表面の側辺と間隔を置く上作業区間が画成され、該下表面には該下表面の側辺と間隔を置く下作業区間が画成されており、該サイドリムエリアには、該サイドリムエリアのトップ縁から該薄肉エリアの上表面に向かって凹陥するように形成された凹部を少なくとも1つ有する上、該薄肉エリアの上表面と、該凹部のボトム縁とは、該圧電基板においては実質的に同一の高さを有するように、同一の仮想平面に位置しており、該トップ電極線路は、該上作業区間に配置される作業エリア及び該作業エリアから該凹部のボトム縁に向かって延伸する延伸エリアを有しており、該ボトム電極線路は、該下作業区間に配置される作業エリア及び延伸エリアを有し、該ボトム電極線路の延伸エリアは、該ボトム電極線路の該作業エリアから該圧電基板の側辺に向かって延伸し、該凹部のボトム縁もしくは該圧電基板の該サイドリムエリアが位置する側辺以外の他の側辺にあることを特徴とする水晶発振器を提供する。
【0010】
また、本発明は水晶発振器の製造方法であって、
圧電基板の下表面に該圧電基板の複数の側辺と間隔を置く作業エリアを有するボトム電極線路を形成するステップ(a)と、
該ボトム電極線路に仮基板を設けるステップ(b)と、
該ステップ(b)の後、該仮基板から離れた一側から該圧電基板をパターン化することで、該圧電基板を、薄肉エリアと、該圧電基板の前記複数の側辺における1つの側辺に位置すると共に、該薄肉エリアに連続する少なくとも1つのサイドリムエリアとを含み、且つ、該薄肉エリアは上表面及び前記下表面を有し、該上表面に該上表面の側辺と間隔を置いた上作業区間が画成され、該薄肉エリアの下表面に該ボトム電極線路の作業エリアが形成されている下作業区間が画成され、且つ、該サイドリムエリアは該サイドリムエリアのトップ縁から該薄肉エリアの上表面に向かって凹陥する凹部を少なくとも1つ有し、更に、該薄肉エリアの上表面と該凹部のボトム縁が同一の仮想平面に位置して該圧電基板においては実質的に同一の高さを有するように、該圧電基板をパターン化するステップ(c)と、
該上作業区間に位置する作業エリア及び該作業エリアから該凹部のボトム縁に向かって延伸する延伸エリアを有するトップ電極線路を形成するステップ(d)と、
該仮基板を取り除くことで該ボトム電極線路を露出させるステップ(e)と、を含み、
該ステップ(a)において形成された該ボトム電極線路は、延伸エリアを有し、該ボトム電極線路の延伸エリアは、該ボトム電極線路の作業エリアから該圧電基板の側辺に延伸することで、該凹部のボトム縁もしくは該圧電基板の該サイドリムエリアが位置する側辺以外の他の側辺にあることを特徴とする水晶発振器の製造方法をも提供する。
【発明の効果】
【0011】
上記構成により、本発明の水晶発振器は、該トップ電極線路の延伸エリアが該サイドリムエリアの凹部のボトム縁にあって、且つ、該トップ電極線路の作業エリアは該薄肉化エリアの上表面の上作業区間に位置し、そして該薄肉化エリアの上表面と該凹部のボトム縁は更に実質的に同じ高さを有する共有平面に位置するので、水晶発振器を薄肉化することを前提として、該薄肉化エリアとサイドリムエリア両者の高度差によって引き起こされる回路の完全性が低下する問題を解決し、製作工程であるべき歩留まりを維持する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】特許文献1に記載される水晶発振器が示される上面図である。
図2図1におけるII‐II線に沿った断面図である。
図3】本発明の水晶発振器の製造方法の実施例のステップ(a)を説明する正面図である。
図4図3の上面図である。
図5】本発明の水晶発振器の該実施例の製造方法のステップ(b)を説明する正面図である。
図6図5の上面図である。
図7】本発明の水晶発振器の該実施例の製造方法のステップ(c)を説明する正面図である。
図8図7の上面図である。
図9】本発明の水晶発振器の該実施例の製造方法のステップ(d)を説明する正面図である。
図10図9の左側面図である。
図11】本発明の水晶発振器の該実施例の製造方法のステップ(e)を説明する正面図である。
図12図7に類似するが、仮基板の別形態が示されている。
図13図12の上面図である。
図14】ステップ(e)の後に、第2の部分及び第3の部分をボトム電極線路に形成する工程が示される左側面図である。
図15図14の上面図である。
図16】この実施例により製造された水晶発振器の斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は図面を参照して本発明の連動装置の各実施形態について詳しく説明する。
【0014】
図14図16に示されているように、本発明の水晶発振器の1つの実施例は、圧電基板2と、トップ電極線路3と、ボトム電極線路4と、を含む。本発明のこの実施例において、該圧電基板2は1つの石英基板を例として説明する。
【0015】
該圧電基板2は、薄肉化エリア21と、該圧電基板2の複数の側辺における1つの側辺に位置し、且つ、該薄肉化エリア21に連続する少なくとも1つ(この実施例では2つ)のサイドリムエリア22とを含み、そして薄肉化エリア21と2つのサイドリムエリア22とによりキャビティ200が画成されている。該薄肉化エリア21は、互いに反対に位置する上表面211及び下表面212を有し、且つ、該上表面211には該上表面211の側辺と間隔を置く上作業区間2111が画成され、該下表面212には、該下表面212の側辺と間隔を置く下作業区間2121が画成されている。薄肉化エリア21の上表面211はキャビティ200に面する。該サイドリムエリア22は、そのトップ縁から該薄肉化エリア21の上表面211に向かって凹陥するように形成されたと共に、キャビティ200に連通する凹部221を少なくとも1つ有する。図14に示されるように、該薄肉化エリア21の上表面211と該凹部221のボトム縁2211は、該圧電基板においては実質的に同一の高さを有するように、同一の仮想平面に位置する。
【0016】
該トップ電極線路3は、該上作業区間2111に配置される作業エリア31及び該作業エリア31から該凹部221のボトム縁2211に向かって延伸する延伸エリア32を有する。
【0017】
該ボトム電極線路4は、該下作業区間2121に配置される作業エリア41及び延伸エリア42を有し、該延伸エリア42は、該作業エリア41から該圧電基板2の該サイドリムエリア22が位置する側辺に向かって延伸し、該サイドリムエリア22が位置する側辺(図13に示される左側の側辺)の凹部221のボトム縁2211もしくは該圧電基板2の該サイドリムエリア22が位置する側辺以外の他の側辺にある。
【0018】
本発明のこの実施例において、該圧電基板2は2つのサイドリムエリア22を含み、且つ、これらのサイドリムエリア22は該圧電基板2の複数の側辺の中の2つの反対するように配置される(図13に示されるように左右に配置)側辺に位置する。
【0019】
この他、図14図15に示されるように、本発明のこの実施例において、該ボトム電極線路4の延伸エリア42は作業エリア41に連続する第1の部分421と、該第1の部分421から該凹部221を有する側辺に向かって延伸する第2の部分422と、該第2の部分422から該凹部221のボトム縁2211に向かって延伸し、且つ、該トップ電極線路3の延伸エリア32と間を開けて配置される第3の部分423と、を有する。
【0020】
なお、本発明のこの実施例における凹部221と該ボトム電極線路4の延伸エリア42の第3の部分423とは、図14図16に示される構成を例として説明を行ったが、すなわち、該圧電基板2はその1つの側辺(左側辺)20において凹陥するように設けられる1つのみの凹部221を有し、これにより該トップ電極線路3の延伸エリア32と該ボトム電極線路4の延伸エリア42の第3の部分423が間隔を置くように隣接して該サイドリムエリア22の凹部221内のボトム縁2211に間隔設置される状態を例として説明したが、これに限定されることはない。また、図15もしくは図16に示される右側のサイドリムエリア22にも凹部221を有する構成が可能であり、且つ、これにより該ボトム電極線路4の延伸エリア42は作業エリア41から右側のサイドリムエリア22に延伸することで延伸エリア42の第3の部分423を右側のサイドリムエリア22の凹部221内のボトム縁2211の辺りに位置させることができる(ボトム縁2211は図15図16には示さず)。
【0021】
本発明のこの水晶発振器の製造方法は、図3図16を参照して以下のように順に説明する。該製造方法は、以下のステップ(a)とステップ(b)とステップ(c)とステップ(d)とステップ(e)が含まれる。
【0022】
図3図4に示されるように、該ステップ(a)では、該圧電基板2の下表面212に該作業エリア41と該延伸エリア42とを有するボトム電極線路4を形成し、該ボトム電極線路4の作業エリア41は、與該圧電基板2の下表面212の各側辺と間隔を置く。図3に示される圧電基板2は、図3では上に面する下表面212を有することにより、次のステップが容易になる。
【0023】
図5図6に示されるように、該ステップ(b)では、該ボトム電極線路4に仮基板5を設ける。詳しく説明すると、該ステップ(b)では、該ボトム電極線路4を該仮基板5に向かい合わせてワックス材6、光分解接着材料もしくは熱分解接着材料を利用して該ボトム電極線路4を該仮基板5に貼り合せる。本発明のこの実施例の製造方法において、該ステップ(b)では該ワックス材6を利用して該ボトム電極線路4と該仮基板5とを貼り合せるが、これに限定されることはない。
【0024】
図7図8に示されるように、該ステップ(c)では、該ステップ(b)の後、該仮基板5から離れた一側から該圧電基板2の上表面210をパターン化することで、該圧電基板2を、該薄肉化エリア21と、少なくとも該圧電基板2の複数の側辺における1つの側辺(図7図8に示される左側辺)に位置すると共に、サイドリムエリア22に接続する該少なくとも1つの薄肉化エリア21とを含むようにする。前記実施例で述べたように、該薄肉化エリア21は該上表面211及び該下表面212を有し、且つ、該上表面211と下表面212はそれぞれ各側辺と間隔を置いた該上作業区間2111及び該ボトム電極線路4の作業エリア41が形成される下作業区間2121を定義し、該サイドリムエリア22はそのトップ縁から該薄肉化エリア21の上表面211に向かって凹陥する該凹部221を有し、且つ、該薄肉化エリア21の上表面211と該凹部221のボトム縁2211は図7に示されるように、実質的に同一の高さの仮想平面に位置する。本発明の該ステップ(c)のパターン化に用いることができる手段としては、該圧電基板2の上に所定パターンを有するマスク層(図示せず)を形成してから、該圧電基板2に対してウェットエッチングもしくはドライエッチングを施すことでマスクによりカバーされないエリアを除去することで、該圧電基板2を該薄肉化エリア21及び該凹部221を有するサイドリムエリア22を含むようにすることができる。本発明の該実施例の製造方法のステップ(c)において、該マスク層の所定パターンにより該圧電基板2を該ステップ(c)を実行した後に該2つのサイドリムエリア22を含むようにすることが出来、且つ、これらのサイドリムエリア22は該圧電基板2の複数の側辺における2つの反対に配置される(図7図8に示されるように左右に配置される)側辺に位置する。
【0025】
図9図10に示されるように、該ステップ(d)では、該作業エリア31及び該延伸エリア32を有する該トップ電極線路3を形成し、該トップ電極線路3の作業エリア31は該上作業区間2111に位置し、且つ、該トップ電極線路3の延伸エリア32は作業エリア31から該凹部221のボトム縁2211に向かって延伸する。本発明の該実施例において、該トップ電極線路3の作業エリア31と該ボトム電極線路4の作業エリア41の両者は互いに重なり合う(図9図10に示されるように)。
【0026】
図11に示されるように、該ステップ(e)では、該仮基板5を除去することで該ボトム電極線路4を露出させる。具体的に言うと、本発明の実施例において、このステップ(b)では該ワックス材6を用いて該ボトム電極線路4と該仮基板5とを貼り合せるので、該ステップ(e)を実施する際、わずかな温度で該ボトム電極線路4と仮基板5との間の該ワックス材6を溶融させることができ、これにより該仮基板5を該圧電基板2の下表面212から離れさせることができる。なお、該ステップ(b)が光分解接着材料もしくは熱分解接着材料により実施される場合には、光を照射しもしくは加熱することによって該仮基板5を除去する。
【0027】
具体的に言うと、図3図4に示されるように、該ステップ(a)において作業エリア41及びボトム電極線路4の延伸エリア42の第1の部分421は、圧電基板2の下表面212に形成される。第1の部分421は、作業エリア41から下表面212の1つの側辺へ延伸するように銀ペーストをコーティングすることにより作成される。更に、ボトム電極線路4の延伸エリア42の第2の部分422と第3の部分423を形成する工程としては、ステップ(c)もしくはステップ(e)の後に行うことができる。この実施例において、延伸エリア42の第2の部分422と第3の部分423を形成するこの工程が該ステップ(e)の後に実施される理由は、仮基板5は圧電基板2とほぼ同じサイズを有するので、ボトム電極線路4の延伸エリア42の第2の部分422と第3の部分423を形成するプロセスは、仮基板5を除去しなければ実行できないからである。しかし、仮基板5の4つの側面の寸法が圧電基板2のこれらよりより小さい場合、図12図13に示されるように、延伸エリア42の第2の部分422と第3の部分423を形成する工程はステップ(c)の後に行うことができる。
【0028】
具体的に言うと、本発明の該実施例の製造方法において、延伸エリア42の第2の部分422と第3の部分423を形成するこの工程においては図14及び図15に示されるように、該ボトム電極線路4の第2の部分422は該第1の部分421から該凹部221を有する側辺に向かって延伸し、該ボトム電極線路4の第3の部分423は該第2の部分422から該凹部221のボトム縁2211に向かって延伸すると共に、該トップ電極線路3の延伸エリア32とは互いに間隔を置いて配置される。この他、この工程ではロボットアーム(図示せず)を用いて銀ペーストを該第2の部分422と第3の部分423とを形成する位置に配置することで、該ボトム電極線路4の延伸エリア42の第2の部分422及び第3の部分423を構成する。
【0029】
以上をまとめると、本発明の水晶発振器及びその製造方法において、該トップ電極線路3の延伸エリア32は1つの側辺(例では左側辺)のサイドリムエリア22の凹部221のボトム縁2211に位置し、且つ、該トップ電極線路3の作業エリア31は該薄肉化エリア21の上表面211の作業区間2111に位置し、そして該薄肉化エリア21の上表面211と該凹部221のボトム縁2211は実質的に同じ高さの仮想平面に位置するので、水晶発振器を薄肉化することを前提として、該薄肉化エリア21とサイドリムエリア22両者に高度差がある場合に引き起こされる回路の完全性が低下する問題を解決し、製作工程であるべき歩留まりを維持し、従って本発明の目的を確実に達成することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0031】
2 圧電基板
21 薄肉化エリア
210 上表面
211 上表面
2111 上作業区間
212 下表面
2121 下作業区間
22 サイドリムエリア
221 凹部
2211 ボトム縁
3 トップ電極線路
31 作業エリア
32 延伸エリア
4 ボトム電極線路
41 作業エリア
42 延伸エリア
421 第1の部分
422 第2の部分
423 第3の部分
5 仮基板
6 ワックス材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16