IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一ビニール株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】棒状部材相互の交差部連結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20241001BHJP
   E04H 17/14 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F16B7/04 301M
E04H17/14 102Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023145717
(22)【出願日】2023-09-08
(65)【公開番号】P2024055775
(43)【公開日】2024-04-18
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2022162445
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-028609(JP,U)
【文献】実公昭44-027051(JP,Y1)
【文献】実公昭47-025455(JP,Y1)
【文献】実公昭42-022990(JP,Y1)
【文献】実開平05-030523(JP,U)
【文献】実開昭63-061248(JP,U)
【文献】米国特許第04338040(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0085729(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0078502(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/04
F16B 7/08
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第1の矩形軸部を有する第1の棒状部材と、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第2の矩形軸部を有する第2の棒状部材とを、該第1の矩形軸部と該第2の矩形軸部の該平坦面相互が直角に交差した当接状態で連結させるための棒状部材相互の交差部連結具であって、保持部材とスライド押圧部材とを備えており、
前記保持部材は、基板の左右側で側片を対向して突設して形成された第1の収容凹部を有し、左右の該側片の先端縁部の、前後方向で見た一端側と他端側の夫々において、左右の挟持片が対向状態で突設され、左右の該挟持片の夫々の先端部分には、向き合う方向に突出する係合突部が設けられており、
左右の前記挟持片の先端間の開口を通して前記第1の矩形軸部を、その一つの平坦面を前記基板に向けた状態で、前記第1の収容凹部に嵌入させることができ、該嵌入状態で、該一つの平坦面が前記基板の内面に当接すると共に該第1の矩形軸部の左右の平坦面が左右の前記側片の内側面に当接し、且つ該嵌入状態で、左右の前記側片の前記先端縁部が、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面から突出しないようになされており、
前後の前記挟持片の間には、その先端間の開口を通して前記第2の矩形軸部を嵌入させることのできる第2の収容凹部が設けられており、該第2の矩形軸部の一つの平坦面を前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面に当接させると共に該第2の矩形軸部の前後の平坦面が前後の前記挟持片の内側面に当接する状態で嵌入されるようになされており、
前記スライド押圧部材は、間隔を置いて内外に配置された外板部と内板部を有すると共に、該外板部の左右の縁部には、内方側に突出する側片部が設けられてなり、左右の該側片部と前記内板部の左右の縁部との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部が形成され、該内板部の左右側の部分と前記外板部との間に、左右の該スライド溝部に連なり且つ前記係合突部を収容させる左右の収容溝部が設けられており、
前記保持部材の前記一端側の左右の前記挟持片と前記他端側の左右の前記挟持片の夫々の前記係合突部を、前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させて前記収容溝部に収容状態とするように、前記スライド押圧部材を、前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドさせることができ、
前後左右に位置する前記挟持片の有する前記係合突部が左右の前記収容溝部に収容され且つ、該係合突部が前記内板部の前記左右側の部分に圧接された状態で、前記内板部の前記第2の矩形軸部に向き合う押圧面が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とする棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項2】
横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第1の矩形軸部を有する第1の棒状部材と、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第2の矩形軸部を有する第2の棒状部材とを、該第1の矩形軸部と該第2の矩形軸部の該平坦面相互が直角に交差した当接状態で連結させるための棒状部材相互の交差部連結具であって、保持部材とスライド押圧部材とを備えており、
前記保持部材は、基板の左右側で側片を対向して突設して形成された第1の収容凹部を有し、左右の該側片の先端縁部の、前後方向で見た一端側と他端側の夫々において、左右の挟持片が対向状態で突設され、左右の該挟持片の夫々の先端部分には、逆向きに突出する係合突部が設けられており、
左右の前記挟持片の先端間の開口を通して前記第1の矩形軸部を、その一つの平坦面を前記基板に向けた状態で、前記第1の収容凹部に嵌入させることができ、該嵌入状態で、該一つの平坦面が前記基板の内面に当接すると共に該第1の矩形軸部の左右の平坦面が左右の前記側片の内側面に当接し、且つ該嵌入状態で、左右の前記側片の前記先端縁部が、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面から突出しないようになされており、
前後の前記挟持片の間には、その先端間の開口を通して前記第2の矩形軸部を嵌入させることのできる第2の収容凹部が設けられており、該第2の矩形軸部の一つの平坦面を前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面に当接させると共に該第2の矩形軸部の前後の平坦面が前後の前記挟持片の内側面に当接する状態で嵌入されるようになされており、
前記スライド押圧部材は、間隔を置いて内外に配置された外板部と内板部を有すると共に、該外板部の左右の縁部には、内方側に突出する側片部が設けられてなり、左右の該側片部の先端に、向き合う方向に支持片が突設されており、左右の該支持片と前記内板部の左右の縁部との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部が形成され、前記外板部の左右側の部分と前記支持片との間に、左右の該スライド溝部に連なり且つ前記係合突部を収容させる左右の収容溝部が設けられており、
前記保持部材の前記一端側の左右の前記挟持片と前記他端側の左右の前記挟持片の夫々の前記係合突部を、前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させて前記収容溝部に収容状態とするように、前記スライド押圧部材を、前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドさせることができ、
前後左右に位置する前記挟持片の有する前記係合突部が左右の前記収容溝部に収容され且つ、左右の該係合突部が前記支持片に圧接された状態で、前記内板部の前記第2の矩形軸部に向き合う押圧面が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とする棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項3】
前記内板部の前記押圧面には押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とする請求項1記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項4】
前記内板部の前記押圧面には押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とする請求項2記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項5】
前記押圧突部は、前記スライド方向に延長し且つ前記押圧面で所要高さに突出する突条部を有しており、該突条部の、前記スライド方向で見た先側の部分は、その先端に向けて突出量が徐々に小さくなる傾斜案内部として形成されていることを特徴とする請求項3記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項6】
前記押圧突部は、前記スライド方向に延長し且つ前記押圧面で所要高さに突出する突条部を有しており、該突条部の、前記スライド方向で見た先側の部分は、その先端に向けて突出量が徐々に小さくなる傾斜案内部として形成されていることを特徴とする請求項4記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項7】
前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させた状態で前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドし得る前記スライド押圧部材は、前記スライド方向で見たときのスライド方向基端に、前記一端側の左右の前記挟持片の外端に当接し得るカバー片が設けられていることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項8】
前記内板部の先端側の部分は、その左右縁が傾斜辺として形成されて先細化するように構成され、左右の前記スライド溝部の先端側の開口の幅が、前記内板部の先端に向かうにつれて拡大する拡大導入部とされており、
前記カバー片が、前記一端側の左右の前記挟持片の外端に当接した状態で、前記外板部と前記内板部とが内外に配置されてなる前記スライド押圧部材の、前記スライド方向で見た先側部分が、前記他端側の左右の前記挟持片から該スライド方向先側に向けて突出するように構成されており、該先側部分の前記前後方向での突出長さは、前記拡大導入部の前記前後方向での長さに略等しく設定されていることを特徴とする請求項7記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項9】
前記内板部の先端側の部分の、前記外板部に向き合う外方側の面部は、先端に向けて且つ前記基板に向けて傾斜する傾斜ガイド面として形成されており、該傾斜ガイド面が、前記スライド押圧部材の前記スライド時において前記係合突部が前記内板部に乗り移る際の衝合を防止することを特徴とする請求項1記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【請求項10】
前記支持片の先端側の部分の、前記外板部に向き合う外方側の面部は、先端に向けて且つ前記基板に向けて傾斜する傾斜ガイド面として形成されており、該傾斜ガイド面が、前記スライド押圧部材の前記スライド時において前記係合突部が前記支持片に乗り移る際の衝合を防止することを特徴とする請求項2記載の棒状部材相互の交差部連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに直交する棒状部材相互の交差部を連結する棒状部材相互の交差部連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに直交する棒状部材の交差部を連結する連結具としては、特許文献1や特許文献2に記載されているフックバンドが提案されている。特許文献1に係るフックバンドは、断面円形の棒部材相互を連結するために用いられており、特許文献2に係るフックバンドは、螺旋状に捩れる棒部材相互を連結するために用いられている。
【0003】
これらのフックバンドは、何れも、特許文献1の図15や特許文献2の図14に示すように、弾力性を有する1本の金属線材を屈曲して形成されており、第1の棒材を嵌め入れて該第1の棒材の裏面部を支持するU字状屈曲部の左右両端に、第2の棒材を該第1の棒材に向けて押圧する左右一対の押圧線状部が、所要間隔を隔てて且つ該第1の棒材の略長さ方向に延長する如く連設されている。そして、両該押圧線状部の先端部に、該第1の棒材の裏面部に弾性圧接状態に当接し得る円弧状係合片が該第1の棒材の長さ方向で位置をずらして逆方向に突設されており、両該押圧線状部には、前記第1の棒材に裏面部で重なる前記第2の棒材の円弧状表面部分に沿うように円弧状に屈曲した1個の押圧屈曲部が設けられている。
【0004】
そのため、該直線状支柱と該横連結杆との交差部分を連結するに際しては、該フックバンドを強い力で弾性変形させて行う開閉操作を要し、該連結は容易とは言えなかった。又、該直線状支柱に対する該横連結杆の取り付け位置を変更しようとする場合は、装着状態にある前記フックバンドを強い力で弾性変形させて一旦取り外した後に取り付け位置を所要に変更し、再度該フックバンドを所要に強い力で弾性変形させて装着する作業を要するため、かかる位置変更作業も容易とは言えなかった。加えて、前記固定は、金属線材を屈曲して形成されたフックバンドを弾性変形させて行うものであったため、該弾性変形させる際に前記円弧状係合片の先端で怪我をする恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-219164号公報
【文献】特開2012-000091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、棒状部材相互を連結する作業を容易且つ確実に、しかも安全に行うことができ、又、該連結位置の変更も容易に行うことのできる、棒状部材相互の交差部連結具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具(以下、交差部連結具ともいう)の第1の態様は、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第1の矩形軸部を有する第1の棒状部材と、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第2の矩形軸部を有する第2の棒状部材とを、該第1の矩形軸部と該第2の矩形軸部の該平坦面相互が直角に交差した当接状態で連結させるための棒状部材相互の交差部連結具であって、保持部材とスライド押圧部材とを備えている。前記保持部材は、基板の左右側で側片を対向して突設して形成された第1の収容凹部を有し、左右の該側片の先端縁部の、前後方向で見た一端側と他端側の夫々において、左右の挟持片が対向状態で突設され、左右の該挟持片の夫々の先端部分には、向き合う方向に突出する係合突部が設けられている。左右の前記挟持片の先端間の開口を通して前記第1の矩形軸部を、その一つの平坦面を前記基板に向けた状態で、前記第1の収容凹部に嵌入させることができ、該嵌入状態で、該一つの平坦面が前記基板の内面に当接すると共に該第1の矩形軸部の左右の平坦面が左右の前記側片の内側面に当接し、且つ該嵌入状態で、左右の前記側片の前記先端縁部が、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面から突出しないようになされている。前後の前記挟持片の間には、その先端間の開口を通して前記第2の矩形軸部を嵌入させることのできる第2の収容凹部が設けられており、該第2の矩形軸部の一つの平坦面を前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面に当接させると共に該第2の矩形軸部の前後の平坦面が前後の前記挟持片の内側面に当接する状態で嵌入されるようになされている。前記スライド押圧部材は、間隔を置いて内外に配置された外板部と内板部を有すると共に、該外板部の左右の縁部には、内方側に突出する側片部が設けられてなり、左右の該側片部と前記内板部の左右の縁部との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部が形成され、該内板部の左右側の部分と前記外板部との間に、左右の該スライド溝部に連なり且つ前記係合突部を収容させる左右の収容溝部が設けられている。前記保持部材の前記一端側の左右の前記挟持片と前記他端側の左右の前記挟持片の夫々の前記係合突部を、前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させて前記収容溝部に収容状態とするように、前記スライド押圧部材を、前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドさせることができる。そして、前後左右に位置する前記挟持片の有する前記係合突部が左右の前記収容溝部に収容され且つ、該係合突部が前記内板部の前記左右側の部分に圧接された状態で、前記内板部の前記第2の矩形軸部に向き合う押圧面が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第2の態様は、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第1の矩形軸部を有する第1の棒状部材と、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている第2の矩形軸部を有する第2の棒状部材とを、該第1の矩形軸部と該第2の矩形軸部の該平坦面相互が直角に交差した当接状態で連結させるための棒状部材相互の交差部連結具であって、保持部材とスライド押圧部材とを備えている。前記保持部材は、基板の左右側で側片を対向して突設して形成された第1の収容凹部を有し、左右の該側片の先端縁部の、前後方向で見た一端側と他端側の夫々において、左右の挟持片が対向状態で突設され、左右の該挟持片の夫々の先端部分には、逆向きに突出する係合突部が設けられている。左右の前記挟持片の先端間の開口を通して前記第1の矩形軸部を、その一つの平坦面を前記基板に向けた状態で、前記第1の収容凹部に嵌入させることができ、該嵌入状態で、該一つの平坦面が前記基板の内面に当接すると共に該第1の矩形軸部の左右の平坦面が左右の前記側片の内側面に当接し、且つ該嵌入状態で、左右の前記側片の前記先端縁部が、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面から突出しないようになされている。前後の前記挟持片の間には、その先端間の開口を通して前記第2の矩形軸部を嵌入させることのできる第2の収容凹部が設けられており、該第2の矩形軸部の一つの平坦面を前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面に当接させると共に該第2の矩形軸部の前後の平坦面が前後の前記挟持片の内側面に当接する状態で嵌入されるようになされている。 前記スライド押圧部材は、間隔を置いて内外に配置された外板部と内板部を有すると共に、該外板部の左右の縁部には、内方側に突出する側片部が設けられてなり、左右の該側片部の先端に、向き合う方向に支持片が突設されており、左右の該支持片と前記内板部の左右の縁部との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部が形成され、前記外板部の左右側の部分と前記支持片との間に、左右の該スライド溝部に連なり且つ前記係合突部を収容させる左右の収容溝部が設けられている。前記保持部材の前記一端側の左右の前記挟持片と前記他端側の左右の前記挟持片の夫々の前記係合突部を、前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させて前記収容溝部に収容状態とするように、前記スライド押圧部材を、前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドさせることができる。そして、前後左右に位置する前記挟持片の有する前記係合突部が左右の前記収容溝部に収容され且つ、左右の該係合突部が前記支持片に圧接された状態で、前記内板部の前記第2の矩形軸部に向き合う押圧面が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記一つの平坦面と対向する対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第3の態様は、前記第1の態様において、前記内板部の前記押圧面には押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第4の態様は、前記第2の態様において、前記内板部の前記押圧面には押圧突部が突設されており、該押圧突部が、前記第1の矩形軸部の前記対向平坦面で支持されている前記第2の矩形軸部の、前記対向平坦面を前記第1の矩形軸部に向けて押圧することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第5の態様は、前記第3の態様において、前記押圧突部は、前記スライド方向に延長し且つ前記押圧面で所要高さに突出する突条部を有しており、該突条部の、前記スライド方向で見た先側の部分は、その先端に向けて突出量が徐々に小さくなる傾斜案内部として形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第6の態様は、前記第4の態様において、前記押圧突部は、前記スライド方向に延長し且つ前記押圧面で所要高さに突出する突条部を有しており、該突条部の、前記スライド方向で見た先側の部分は、その先端に向けて突出量が徐々に小さくなる傾斜案内部として形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第7の態様は、前記第1~第6の何れかの態様において、前記挟持片の先端側の部分を前記スライド溝部に位置させた状態で前記前後方向で前記一端側から前記他端側に向けてスライドし得る前記スライド押圧部材は、前記スライド方向で見たときのスライド方向基端に、前記一端側の左右の前記挟持片の外端に当接し得るカバー片が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第8の態様は、前記第7の態様において、前記内板部の先端側の部分は、その左右縁が傾斜辺として形成されて先細化するように構成され、左右の前記スライド溝部の先端側の開口の幅が、前記内板部の先端に向かうにつれて拡大する拡大導入部とされており、前記カバー片が、前記一端側の左右の前記挟持片の外端に当接した状態で、前記外板部と前記内板部とが内外に配置されてなる前記スライド押圧部材の、前記スライド方向で見た先側部分が、前記他端側の左右の前記挟持片から該スライド方向先側に向けて突出するように構成されており、該先側部分の前記前後方向での突出長さは、前記拡大導入部の前記前後方向での長さに略等しく設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第9の態様は、前記第1の態様において、前記内板部の先端側の部分の、前記外板部に向き合う外方側の面部は、先端に向けて且つ前記基板に向けて傾斜する傾斜ガイド面として形成されており、該傾斜ガイド面が、前記スライド押圧部材の前記スライド時において前記係合突部が前記内板部に乗り移る際の衝合を防止することを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具の第10の態様は、前記第2の態様において、前記支持片の先端側の部分の、前記外板部に向き合う外方側の面部は、先端に向けて且つ前記基板に向けて傾斜する傾斜ガイド面として形成されており、該傾斜ガイド面が、前記スライド押圧部材の前記スライド時において前記係合突部が前記支持片に乗り移る際の衝合を防止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるときは、棒状部材相互の連結を容易且つ正確に、しかも安全に行うことができ、又、該連結位置の変更も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る交差部連結具を用いて構成された格子状構造物の一例を示す正面図である。
図2】その格子状構造物における、第1、第2の棒状部材の連結状態を示す拡大図である。
図3】本発明に係る交差部連結具の構成を説明する斜視図である。
図4】本発明を構成する保持部材とスライド押圧部材の構成を説明する斜視図である。
図5】保持部材の第1の収容凹部に第1の矩形軸部を収容する要領を説明する説明図である。
図6】第1、第2の棒状部材の連結状態を示す断面図である。
図7】保持部材の第2の収容凹部に第2の矩形軸部を収容した状態を示す説明図である。
図8】保持部材にスライド押圧部材をスライドにより装着する要領を示す斜視図である。
図9】スライド押圧部材を示す斜視図と底面図である。
図10】保持部材にスライド押圧部材をスライドにより装着した状態を、挟持片を断面して示す説明図である。
図11】スライド押圧部材の、スライド方向で見た先側部分が、他端側の左右の挟持片からスライド方向先側に向けて突出していないとした場合の問題点を説明する説明図である。
図12】スライド押圧部材の、スライドに伴う押圧突部の押圧作用を説明する説明図である。
図13】スライド押圧部材を保持部材にスライドにより装着するに際し、該スライド押圧部材に、収容溝部への係合突部の乗り移りを容易化するためのスライド傾斜面が設けられた場合を説明する説明図である。
図14】第1、第2の棒状部材相互を連結するに際し、保持部材の第1の収容凹部に第1の矩形軸部を嵌入した状態を示す斜視図である。
図15】その後、第2の収容凹部に第2の矩形軸部を嵌入した状態を示す斜視図である。
図16】その後における、スライド押圧部材のスライドによる移動状態を示す斜視図である。
図17】スライド押圧部材のスライドが完了して第1、第2の棒状部材相互が連結された状態を示す斜視図である。
図18】左右の挟持片の先端部分に係合突部を逆向きに突設してなる交差部連結具の構成を説明する断面図である。
図19】基板の左右側で突設された側片が先窄まり状態で設けられている保持部材を示す断面図である。
図20】第1の収容凹部の基板の内面に滑り止め突条部が設けられてなる保持部材を示す断面図である。
図21】保持部材の有する挟持片の先端部分に設けられている係合突部の他の態様を示す側面図である。
図22】スライド押圧部材の押圧面が第2の矩形軸部の対向平坦面を第1の矩形軸部に向けて押圧する態様を示す断面図である。
図23】拡大導入部が設けられない場合におけるスライド押圧部材の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
図1~4、図6において本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具1は、例えば、植物栽培棚やガーデン用フェンス等の格子状構造物2(図1)を構成するに際して用いられるものであり、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面3a(3a1,3a2,3a3,3a4)が設けられている第1の矩形軸部5を有する第1の棒状部材6(図3)と、横断面が正方形状又は長方形状を呈して4つの平坦面3b(3b1,3b2,3b3,3b4)が設けられている第2の矩形軸部7を有する第2の棒状部材9(図3)とを、該第1、第2の矩形軸部5,7の該平坦面3a,3b相互が直角に交差した当接状態で連結させるものであって、保持部材10とスライド押圧部材11とを備えている。
【0020】
前記保持部材10は、本実施例においては樹脂で一体成形されており、図3~4に示すように、基板12の左右側(本実施例においては左右側縁)13,13で側片15,15を対向して突設して形成された第1の収容凹部16を有し、左右の該側片15,15の先端縁部17,17の、前後方向で見た一端側17aと他端側17bの夫々において、左右の挟持片19,19が対向状態で突設され、該左右の挟持片19a,19b、19c,19dの夫々の先端部分18には、左右向き合う方向に突出する係合突部20,20が設けられている。本実施例においては、左右向き合う該係合突部20,20の上面の、向き合う内方側の部分は、内方に向け且つ前記基板12側に向けて傾斜する傾斜面21として形成されている。
【0021】
然して、前記第1の矩形軸部5を前記第1の収容凹部16に嵌入させるに際しては、図5に示すように、前記第1の矩形軸部(本実施例においては、地面で立設された支柱22としての前記第1の棒状部材6の前記第1の矩形軸部)5の一の角部分24の隣り合う平坦面3A,3Bを、左右の前記傾斜面21、21の縁部21a,21aに当接させ、その後、該第1の矩形軸部5を前記基板12に向けて相対的に押圧状態とする。これによって、左右の前記挟持片19a,19b、19c,19dが図5に矢印F1で示すように弾性拡開しつつ前記保持部材10がF2方向に回転し、最終的には図3図6に示すように、該第1の矩形軸部5は、左右の前記挟持片19a,19b、19c,19dの先端間の拡開した開口23(図4)を通して前記第1の収容凹部16に嵌入される。該嵌入状態で、図6に示すように、一つの前記平坦面3a1が前記基板12の内面25に当接すると共に該第1の矩形軸部5の左右の平坦面3a2,3a3が左右の前記側片15,15の内側面26,26に当接する。且つ該嵌入状態で、左右の前記側片15,15の前記先端縁部17,17が、前記一の平坦面3a1と対向する対向平坦面3a4から突出しないようになされている。図6においては、該先端縁部17,17が、該対向平坦面3a4よりも稍低く設定されている。
【0022】
又、前後の前記挟持片19a ,19c 間、19b, 19d間には、図4図6~7に示すように、その先端間の開口27(図4)を通して前記第2の矩形軸部7を嵌入させることのできる第2の収容凹部29が設けられており、該第2の矩形軸部7の一つの平坦面3b1を前記第1の矩形軸部5の前記対向平坦面3a4に当接させると共に、図7に示すように、該第2の矩形軸部7の前後の平坦面3b2,3b3が前後の前記挟持片19a,19c、19b,19d(図4)の内側面30,30に当接する状態で嵌入されるようになされている。
【0023】
前記スライド押圧部材11は、本実施例においては樹脂で一体成形されており、図3~4、図6図8~10に示すように、間隔を置いて内外に配置された外板部31(図3図6)と内板部32(図6)を有すると共に、該外板部31の左右の縁部33,33には、内方側に突出する側片部35,35が対向状態に設けられてなり、左右の該側片部35,35と前記内板部32の左右の縁部36,36との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部37,37が形成され、該内板部32の左右側の部分39,39と前記外板部31の左右側の部分34,34との間に、左右の該スライド溝部37,37に連なり且つ前記係合突部20,20を収容させる左右の収容溝部40,40が設けられている。
【0024】
前記内板部32の先端側の部分41は、図9に示すように、その左右縁が傾斜辺42,42として形成されて先細化するように構成されており、左右の前記スライド溝部37,37の先端側の開口の幅が拡大されて拡大導入部45とされている。
【0025】
そして前記内板部32の、前記第2の矩形軸部7に向き合う押圧面46には、図6図9に示すように押圧突部47が突設されている。
然して該スライド押圧部材11は、図4に矢印Fで示すように、前記保持部材10の前記一端側17aと前記他端側17bの夫々の左右の前記挟持片19,19、19,19に設けられている前記係合突部20,20、20,20(図4)を、左右の前記収容溝部40,40(図6)に収容状態として、前記一端側17aから前記他端側17bに向けてスライドさせることができる。このスライドは、図4図6図8図9(B)に示すように、該係合突部20,20、20,20が設けられてなる各挟持片19,19、19,19の先端側の部分49,49、49,49を前記拡大導入部45,45を通して前記スライド溝部37,37に収容した状態で行われる。
【0026】
そして図6に示すように、前後左右に位置する前記挟持片19,19、19,19に設けられている前記係合突部20,20、20,20が左右の前記収容溝部40,40に収容され且つ、該係合突部20,20、20,20が前記内板部32の前記左右側の部分39,39に圧接された状態で、前記押圧突部47,47が、前記第1の矩形軸部5の前記対向平坦面3a4で支持されている前記第2の矩形軸部7の、前記一つの平坦面3b1と対向する対向平坦面3b4を、前記第1の矩形軸部5に向けて押圧する。
【0027】
該押圧突部47は、本実施例においては図6(B)、図9図10に示すように、前記スライド方向Fに延長し且つ前記内板部32の前記押圧面46から所要高さに突出する突条部50を有している。該突条部50の、前記スライド方向Fで見た先側の部分は、図9に示すように、その先端に向けて突出量が徐々に小さくなる傾斜案内部51して形成されており、該突条部50の該傾斜案内部51を除く部分50aの全長が、図6に示すように、前記対向平坦面3b4を前記第1の矩形軸部5に向けて押圧する。
【0028】
前記スライド押圧部材11は、図4図6に示すように、前記挟持片19、19、19、19の先端側の部分49,49、49,49を前記スライド溝部37,37、37,37に位置させた状態で前記前後方向で前記一端側17a(図4)から前記他端側17b(図4)に向けてスライドし得るものであるが、本実施例においては図3~4に示すように、該スライド押圧部材11の、前記スライド方向Fで見たときのスライド方向基端52に、前記一端側の左右の前記挟持片19a,19bの外端53,53に当接するカバー片55が設けられている。
なお本実施例においては、該カバー片55の突出方向と逆向きに小突条部58(図4)が突設されている。
【0029】
そして前記カバー片55が、該左右の前記挟持片19a,19bの外端53,53に当接した状態で、該カバー片55が、図3に示すように、左右の前記挟持片19a,19b間56(図15)を閉塞する。これによって、図16~17に示すように、第1、第2の棒部材6,9相互の交差部54を該カバー片55で掩蔽できる。該カバー片55と前記外板部31とによって前記交差部54(図15)を掩蔽できることから、該交差部54の外観を向上させることができる。又このように掩蔽することにより、前記挟持片19a,19b間56等の挟持片19,19間56を掩蔽できることから、該間56を通して砂の粒子等が該交差部54に進入するのを防止でき、該交差部54の劣化を軽減できる。
【0030】
又このように、前記カバー片55が前記一端側の左右の前記挟持片19a,19bの外端53,53に当接した状態で、図3図10に示すように、前記外板部31と前記内板部32とが内外に配置されてなる前記スライド押圧部材11の前記スライド方向Fで見た前記先側部分59が、前記他端側17b(図4)の左右の前記挟持片19c,19dから該スライド方向先側に向けて突出するように構成されている。
【0031】
このように突出させるのは次の理由による。即ち、図9(B)に基づいて前記したように、前記内板部32の先端側の部分41は、その左右縁が傾斜辺42,42として形成されて先細化するように構成されており、左右の前記スライド溝部37,37の先端側部分は、その開口幅が拡大されて拡大導入部45とされている。
【0032】
このように拡大導入部45を形成しているのは、前記スライド押圧部材11を、前記一端側17aから他端側17bに向けてスライドさせる際(図4に示すように矢印F方向にスライドさせる際)、左右の前記挟持片19a,19bの前記先端側の部分49,49を前記スライド溝部37,37に位置合わせするときに、該先端側の部分49,49を、図9(B)に示すように、幅広の該拡大導入部45(図9)に挿入させさえすれば、該位置合わせを容易且つ確実に行い得るようにするためである。
【0033】
ところで、このように該拡大導入部45を形成する場合において、もしも図11に示すように、前記カバー片55が、左右の前記挟持片19a,19bの前記外端53,53に当接した状態で、前記内板部32の先端32aが前記後の挟持片19c ,19dの外端19d1に略合致した状態にあるとすれば、前記係合突部20を収容させるための前記収容溝部40を構成する際、前記内板部32の左右側の部分39,39の溝幅Lが、前記拡大導入部45が形成されている部分においては幅狭に構成されることとなる。そのため図11に示すように、該収容溝部40の該幅狭の部分40aにおいては、前記内板部32の左右側の部分39a,39aの幅が狭いものとなる。これでは、該内板部32の左右側の部分39aに対する前記合突部20の、図6に基づいて説明した前記圧接力を所要の大きさに発揮させることができない。従って、該拡大導入部45が形成されている側においては、前記押圧突部47(図6図9)による前記第2の矩形軸部7の前記対向平坦面3b4に対する押圧力を所要大きさに発揮させることができないものとなる。
【0034】
そこで本実施例においては、前記のように、前記スライド押圧部材11の前記スライド方向Fで見た前記先側部分59を、前記他端側17b(図4)の左右の前記挟持片19c,19dから該スライド方向先側に向けて突出させているのである。ここに、突出させる先側部分59の突出長さは、本実施例においては、前記拡大導入部45の前後方向長さに略等しく設定されている。
【0035】
これにより、前記傾斜辺42が設けられることによって、前記収容溝部40の溝幅Lが図11に示すように幅狭となることに起因する前記係合突部20の圧接力の低下を防止でき、前記一端側17aと前記他端側17bにおける前記押圧突部47による押圧作用を確実に発揮させることができる。
【0036】
次に、かかるスライド押圧部材11のスライド作用と該スライドに伴う前記押圧突部47,47による前記押圧作用と、該押圧による前記第1、第2の棒状部材6,9の交差状態での連結作用を説明する。
【0037】
図7は、前記第1 の収容凹部16に、前記第1の棒状部材6の前記第1の矩形軸部5を、前記開口23を通して嵌入させ、又、前記第2の収容凹部29に、前記第2の棒状部材9の前記第2の矩形軸部7を前記開口27を通して嵌入させた状態を示している。
【0038】
該嵌入状態で、図8に示すように、前記スライド押圧部材11を前記保持部材10の前記一端側17aから前記他端側17bに向けてスライドさせる。そのために先ず、図4に示すスライド押圧部材11を矢印F方向にスライドさせ、図9(B)に示すように、該スライド押圧部材11の有する左右の前記スライド溝部37,37の前記拡大導入部45,45に前記一端側( 図1においては上端側)17a(図4) の左右の挟持片19a,19bの前記先端側の部分49,49を位置合わせし、同時に、前記係合突部20,20を前記収容溝部40,40の入口側に位置させる。その後図6に示すように、前記スライド押圧部材11を前記他端側17b(図4)に向けてスライドさせ、前記一端側( 図1においては上端側)17aと前記他端側(図1においては下端側)17bの左右の係合突部20,20を、左右の前記収容溝部40,40に収容状態とする。
【0039】
スライド押圧部材11をこのようにスライドさせていくと、左右の前記押圧突部47,47(図9)が、図12に示すように、前記傾斜案内部51,51の衝合防止作用によって、前記第2の矩形軸部7の前記対向平坦面3b4の角部Aに衝合するのが防止され(図12(A))、その後図12(B)に示すように、該対向平坦面3b4に乗り上げ状態となる。該乗り上げ状態で、前記突条部50(図6図9)が前記第2の矩形軸部7の該対向平坦面3b4を前記第1 の矩形軸部5に向けて押圧する(図6図10(B))。そして、該押圧に伴う摩擦作用によって、前記第1、第2の棒状部材6,9相互の前記交差部54が強固に連結される。
【0040】
該乗り上げ状態で、前記突条部50が前記対向平坦面3b4を前記第1の矩形軸部に向けて押圧する反作用で、前記内板部32が、該対向平坦面3b4から離れる外向きに押圧され、その結果、前記収容溝部40の溝底面40a(図6(A))は、前記突条部50(図9)による押圧がない場合(前記内板部32が自由状態にある場合)、に比べて若干外方( 図6(A)) においては上方)に位置した状態となる。そのため図13(A)に示すように、前記スライド押圧部材11のスライドによって前記一端側17a(図4)の左右の係合突部20a,20aを前記収容溝部40,40に収容させた後に、前記他端側17b(図4)の左右の係合突部20b,20bを図13(A)に矢印F1で示すように該収容溝部40に収容させんとする際、図13(A)に一点鎖線で示すように、該係合突部20b,20bが前記収容溝部40の溝底面40aの外端40bに衝合し易く、該スライドを円滑に行えない場合が生じる。そこで本実施例においては、図13(A)に一点鎖線で示し、図13(B)に示すように、前記内板部32の前記先端側の部分の外面(前記外板部31に面する面)を、前記基板12に向けて傾斜するスライド傾斜面44として形成している。
【0041】
これによって、前記一端側17a(図4)の前記左右の係合突部20a,20aが前記収容溝部40,40に収容された後における、前記左右の係合突部20b,20bの前記収容溝部40への乗り移りが、図13(B)に一点鎖線で示すように、前記スライド傾斜面44による衝合回避作用によって、前記溝底面40aの外端40bに衝合するといった事態を招来することなく、該スライド傾斜面44に案内されて円滑に行われることとなる。
【0042】
この場合、前記スライド押圧部材11の、前記スライド方向で見た先側部分59(図3)が前記スライド方向先側に向けて突出するように構成されているため、前記スライドが完了した状態においては、図13(B)に示すように、前記他端側17b(図4)の前記左右の係合突部20b,29bが前記スライド傾斜面44に続く収容溝部の溝底面40aに圧接状態となる。これにより、前記左右の係合突部20b,20bが前記スライド傾斜面44に存するのが防止される。もしも、該スライド傾斜面44に存すると、該左右の係合突部20b,20bが該スライド傾斜面44の傾斜方向下端に向けて滑る恐れがある。
【0043】
そして本実施例においては、図9(B)に一点鎖線で示すように、前記スライド押圧部材11は、前記挟持片19,19の前記先端側の部分49,49を前記スライド溝部37,37に位置させた状態で、前記前後方向で前記一端側17a(図4)から前記他端側17b(図4)に向けてスライドし得るものである。又本実施例においては図4に示すように、該スライド押圧部材11の、前記スライド方向で見たときの前記スライド方向基端52に、前記一端側17aの左右の前記挟持片19a,19bの外端53,53に当接する前記カバー片55が設けられている。そして、前記カバー片55が、左右の前記挟持片19a,19bの外端53,53に当接した状態で、図3に示すように、前記スライド押圧部材11の前記スライド方向で見た前記先側部分59が、前記他端側17bの左右の前記挟持片19c,19dから該スライド方向先側に向けて突出するように構成されている。
【0044】
かかることから、前記したように、前記突条部50(図6(B))による前記第2の矩形軸部7の前記押圧作用が効果的に発揮され、これによって、前記交差部54の連結を確実に行うことができる。このように本実施例に係る交差部連結具1によるときは、前記拡大導入部45を有し、且つ、前記スライド方向で見た前記先側部分59が、前記他端側17bの左右の前記挟持片19c,19d(図4)から該スライド方向先側に向けて突出するように構成されているため、前記スライド押圧部材11のスライド操作を円滑に行うことができると共に、前記交差部54の連結を強固に行うことができる利点がある。
【0045】
なお、スライド状態の前記カバー片55は、図3図10に示すように、前記一端側17a(図4)の左右の挟持片19a,19bの外端(上端)53,53に当接することによって停止状態となるため、前記先側部分59の前方向への突出量が規制される。
【0046】
又本実施例においては、前記スライド押圧部材11に前記カバー片55が設けられているため、該スライド押圧部材11のスライド操作は、前記カバー片55をそのスライド方向Fに押すことによって容易に行うことができる。
【0047】
図1は、かかる構成を有する棒状部材相互の交差部連結具1の使用態様を示
すものであり、例えば、植物栽培棚やガーデン用フェンス等を構成するために応用されている。同図において、支柱22が前記第1の棒状部材6とされると共に、横方向繋ぎ部材61が前記第2の棒状部材9とされている。
【0048】
図14~17は、第1、第2の棒状部材6,9相互が直角に交差した当接状態にある交差部を前記交差部連結具1を用いて連結する作業工程を説明する説明図である。
【0049】
先ず図14に示すように、前記保持部材10の前記第1の収容凹部16に前記第1の棒状部材6の前記第1の矩形軸部5の所要部位を、前記開口23を通して嵌入させ、図6に示すように、前記一の平坦面3a1を前記基板12の内面25に当接させると共に左右の平坦面3a2,3a3が左右の前記側片15,15の内側面26,26に当接した状態とする。該嵌入状態で、左右の前記側片15,15の前記先端縁部17,17が、前記対向平坦面3a4から突出しない。本実施例においては、該対向平坦面3a4が前記先端縁部17,17から稍突出した状態にある。
【0050】
その後、図15に示すように、前記前後の挟持片19a,19cの間56、19b,19dの間56の前記第2の収容凹部29に、該挟持片19a,19c、19b,19dの先端間の開口27を通して、前記第2の棒状部材9の前記第2の矩形軸部7を嵌入させる。該嵌入状態で、図7に示すように、該第2の矩形軸部7の前後の平坦面3b2,3b3が前後の該挟持片19,19の内側面30,30に当接した状態となる。
【0051】
その後、図16に示すように、前記スライド押圧部材11の前記スライド溝部37,37(図6)に左右の前記挟持片19a,19bの先端側の部分49,49を位置させ、且つ、左右の前記収容溝部40,40に、その前端側17aからその後端側17bに向けて、左右の前記係合突部20,20をスライドさせて収容状態とする。図16の矢印Fは、前記スライド押圧部材11の該スライドによる移動状態を示している。
【0052】
該スライド押圧部材11は、図17に示すように、前記カバー片55が前記一端側(上端側)17aに位置する左右の前記挟持片19a,19bの前記外端(上端)53,53に当接することによって、前記スライド方向Fで見た前記先側部分59が、前記他端側(下端側)に位置する左右の前記挟持片19c,19dから下方に突出した状態となり、これによって、前記第1の棒状部材6と前記第2の棒状部材9相互の交差部54が連結される。かかる交差部54の連結が、該第1 の棒状部材6と該第2の棒状部材9相互の全ての交差部で行われることによって、例えば図1に示すような、植物栽培棚やガーデン用フェンス等の格子状構造物2が構成される。
【0053】
前記第1の棒状部材6と前記第2の棒状部材9の交差部54の連結状態を解除するには、図17に矢印で示すように、前記スライド押圧部材11を前記と逆方向(本実施例においては上方向)にスライドさせ、該スライド押圧部材11を前記保持部材10から取り外す。該スライドは、前記小突条部58に指先を当てて押すことにより容易に行うことができる。
【実施例2】
【0054】
図18(A)は、棒状部材相互の交差部連結具1の他の実施例を示すものであり、実施例1における場合と相違するのは、左右の前記挟持片19,19の夫々の先端部分18,18に設けられている係合突部20,20を、左右の該挟持片19,19の夫々の該先端部分18,18に逆向きに突出する状態で設けた点である。
【0055】
本実施例においては、左右の前記挟持片19,19の先端間の開口59を通して前記第1の矩形軸部5を、その一つの平坦面3a1を前記基板12に向けた状態で、前記第1の収容凹部16に嵌入させることができる。該嵌入状態で、該一つの平坦面3a1が前記基板12の内面25に当接すると共に、該第1の矩形軸部5の左右の平坦面3a2,3a3が左右の前記側片15,15の内側面26,26に当接する。そして該嵌入状態で、左右の前記側片15,15の前記先端縁部17,17が、前記一つの平坦面3a1と対向する対向平坦面3a4から突出しないようになされている。そして実施例1における場合と同様に、前後の前記挟持片19a,19c間、19b,19d間には、実施例1における場合と同様に、その先端間の開口27を通して前記第2の矩形軸部7を嵌入させることのできる第2の収容凹部29が設けられており、該第2の矩形軸部7の一つの平坦面3b1を前記第1の矩形軸部5の前記対向平坦面3a4に当接させると共に、図7に基づいて説明したと同様に、該第2の矩形軸部7の前後の平坦面3b2,3b3が前後の前記挟持片19a,19c、19b,19dの内側面に当接する状態で嵌入されるようになされている。
【0056】
前記スライド押圧部材11は、間隔を置いて内外に配置された外板部31と内板部32を有すると共に、該外板部31の左右の縁部61,61には、内方側に突出する側片部62,62が設けられてなり、左右の該側片部62,62の先端に、向き合う方向に支持片63,63が突設されている。そして、左右の該支持片63,63と前記内板部32の左右の縁部61,61との間に、前後方向に延長する左右のスライド溝部37,37が形成され、前記外板部31の左右側の部分65,65と前記支持片63,63との間に、左右の該スライド溝部37,37に連なり且つ前記係合突部20,20を収容させる左右の収容溝部40,40が設けられている。
【0057】
又、前記保持部材10の前記一端側17a(図4)の左右の前記挟持片19a,19bと前記他端側17bの左右の前記挟持片19c,19aの夫々の前記係合突部20,20、20,20を、前記挟持片19a,19b,19c,19dの先端側の部分49,49,49,49を前記スライド溝部37,37、37,37に位置させて前記収容溝部40,40、40,40に収容状態とするように、前記スライド押圧部材11を、前記前後方向で前記一端側17a(図4)から前記他端側17b(図4)に向けてスライドさせることができる。
【0058】
そして、前後左右に位置する前記挟持片19,19の有する前記係合突部20,20が左右の前記収容溝部40,40に収容され且つ、左右の該係合突部20,20が前記支持片63、63に圧接された状態で、前記内板部32の前記第2の矩形軸部7に向き合う押圧面46が、前記と同様構成の押圧突部47を介して、前記第1の矩形軸部5の前記対向平坦面3a4で支持されている前記第2の矩形軸部7の、前記一つの平坦面3b1と対向する対向平坦面3b4を前記第1の矩形軸部5に向けて押圧するように構成されている。
【0059】
加えて本実施例においては、図18(B)に示すように、前記支持片63,63の先端側の部分の、前記外板部31に向き合う外方側の面部64,64は、先端に向けて且つ前記基板12側に向けて傾斜する傾斜ガイド面66,66として形成されている。該傾斜ガイド面66,66を形成する理由は、図13(A)(B)に基づいて説明したところと同様である。
【0060】
これによって、該傾斜ガイド面66,66が、前記スライド押圧部材11の前記スライド時において前記係合突部20が前記支持片63に乗り移る際の衝合を防止するように構成されている。
【0061】
又本実施例においても、実施例1における場合と同様にして、押圧突部47、拡大導入部45が設けられると共に、前記スライド押圧部材11のスライド方向基端52にカバー片55が設けられている。これらは、実施例1で説明した棒状部材相互の交差部連結具1におけると同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する
【実施例3】
【0062】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0063】
(1) 前記実施例においては、前記第1の矩形軸部5及び前記第2の矩形軸部7を横断面正方形状に構成しているが、横断面長方形状に構成してもよい。この場合、前記第2の棒状部材9を、上下にある程度長く形成された横断面長方形状とする場合は、その有する目隠し機能を利用して、目隠し用フェンスを構成することができる。
【0064】
(2) 前記第1の棒状部材6は、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている前記第1の矩形軸部5を有するものであれば、その余の部分は例えば捩れ棒等として構成されたものであってもよい。又、該第1の棒状部材6は中実であっても中空であってもよい。
同様に、前記第2の棒状部材9も、横断面が正方形状又は長方形状を呈して周方向で4つの平坦面が設けられている前記第2の矩形軸部7を有するものであれば、その余の部分は例えば捩れ棒等として構成されたものであってもよい。又、該第2の棒状部材は中実であっても中空であってもよい。
【0065】
(3) 前記実施例においては、前記側片15,15は、前記基板12と直角状態を呈しているが、該側片15,15は、例えば図19に示すように内側に稍傾いた先窄まり状態で突設されることもある。
この場合は、前記保持部材10の前記第1の収容凹部16に前記第1の棒状部材6の前記第1の矩形軸部5の所要部位を嵌入させた状態で、図19に一点鎖線で示すように、前記側片15,15が弾性的に拡開された状態となるので、該側片15,15による該第1の矩形軸部5の挟持力が大きく、従って、第1の矩形軸部5の所要位置に前記保持部材10がより安定的に取り付けられた状態が得られる。
【0066】
(4) 前記スライド押圧部材11は、前後方向で前記一端側17aから前記他端側17bに向けてスライドさせることができるものであるが、該前後方向のスライドは、前記実施例で示すような上下方向でのスライドには限らず、左右方向でのスライドであってもよい。
【0067】
(5) 本発明に係る棒状部材相互の交差部連結具1は、植物栽培棚やガーデン用フェンス等のエクステリアとしての格子状構造物を構成するために応用できる他、インテリアとしての格子状構造物を構成するために応用することもできる。
【0068】
(6) 前記基板12の前記内面25には、例えば図20に示すように、所要間隔を隔てる同突出量の複数本の、先端鋭の滑り止め突条部67を設け、該滑り止め突条部67を介して、前記第1の矩形軸部5の前記一の平坦面3a1を前記内面25で支持させることとしてもよい。
このように構成することにより、該滑り止め突条部67の先端部67aが前記第1の矩形軸部5の前記平坦面に食い込む等して該第1の矩形軸部5と該内面25との間の摩擦力が増大され、前記棒状部材相互の前記交差部54の、例えば図17に示す前記第2の矩形軸部7がずり下がることを防止できる。なお、該滑り止め突条部67に代えて、先端鋭の線状(該線状の延長方向は問わない)や点状を呈する等の各種の摩擦突部であってもよい。
【0069】
(7) 本発明は、前記したように、左右の前記挟持片19,19の夫々の先端部分に、向き合う方向に突出する係合突部20,20が設けられており、左右の前記挟持片19,19の弾性的拡開によって、前記第1の矩形軸部5を、左右の前記挟持片19,19の先端間の開口23を通して前記第1の収容凹部16に嵌入させ、その一の平坦面3a1を前記基板12に向けた状態で前記第1の収容凹部16に嵌入させることができる。向き合う方向に突出する前記係合突部20の形態は、左右の前記挟持片19、19の先端間の開口23を通して前記第1の収容凹部16に嵌入させることができるものであれば、前記実施例で示したような傾斜案内面21(図4)を有するものには特定されず、例えば図21に示すような円弧状面69として構成されてもよい。
【0070】
(8) 本発明は、前記スライド押圧部材11を、前記前後方向で前記一端側17aから前記他端側17bに向けてスライドさせることによって、前記内板部32の、前記第2の矩形軸部7に向き合う前記押圧面46が、前記第1の矩形軸部5で支持されている前記第2の矩形軸部7を、該第1の矩形軸部5に向けて押圧することを可能とするものであれば、前記押圧突部47は、前記した突条部50として構成されることの他、例えば半球状突部等の突部として構成されてもよい。或いは、図22に示すように、前記内板部32の前記押圧面46に前記押圧突部47を設ける代わりに、前記押圧面46が前記第2の矩形軸部7の前記対向平坦面3b4を前記第1の矩形軸部5に向けて押圧するように構成してもよい。図22においては、該押圧面46の前側部分が、前記対向平坦面3b4に対する衝合を防止するための逃がし傾斜面65とされている。
【0071】
(9) 本発明に係る交差部連結具1を構成する前記スライド押圧部材11の左右の前記スライド溝部37,37の先端側に前記拡大導入部45が設けられない場合は、前記スライド溝部の先端側においても、図23に示すように、前記内板部32の左右側の部分39に対する前記係合突部20の圧接力を所要大きさに発揮させることができるため、前記実施例におけるように、該スライド押圧部材11の先側部分59を、スライド方向先側に向けて突出させる必要はない。
【0072】
(10)前記カバー片55は省略されることもある。
【符号の説明】
【0073】
1 交差連結具
2 格子状構造物
3a 平坦面
3b 平坦面
5 第1の矩形軸部
6 第1の棒状部材
7 第2の矩形軸部
9 第2の棒状部材
10 保持部材
11 スライド押圧部材
12 基板
15 側片
16 第1の収容凹部
17 先端縁部
17a 一端側
17b 他端側
19 挟持片
20 係合突部
21 傾斜面
22 支柱
23 開口
29 第2の収容凹部
31 外板部
32 内板部
37 スライド溝部
40 収容溝部
45 拡大導入部
46 押圧面
47 押圧突部
49 先端側の部分
50 突条部
51 傾斜案内面
54 交差部
55 カバー片
60 支持片
62 側片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23