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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】空調システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20241001BHJP
   F24F 3/02 20060101ALI20241001BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241001BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20241001BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241001BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20241001BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F3/02
F24F7/007 B
F24F7/08 A
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024023189
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】長廣 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-246490(JP,A)
【文献】特開2000-205632(JP,A)
【文献】特開2009-192199(JP,A)
【文献】特開2011-163710(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0034194(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 3/02
F24F 7/007
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空間に外気を導入する空調装置と、
外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する第1の取得部と、
前記第1の取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーを用いて、前記空調装置による前記空調空間への外気の導入時期を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記空調空間に対する熱負荷の最も小さい外気が前記空調空間に導入されるように前記空調装置を制御すると共に、前記第1の取得部によって取得された予測温度または予測比エンタルピーの日較差が大きいほど、外気の導入時期における前記空調空間への外気の導入量がより多くなるように前記空調装置を制御する、空調システム。
【請求項2】
前記空調装置は、それぞれ異なる位置に存在する複数の外気導入口から取り入れた外気を前記空調空間に導入可能であり、
前記複数の外気導入口のそれぞれにおける外気の現在の温度または現在の比エンタルピーを取得する第2の取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記空調装置によって外気が前記空調空間に導入される際に、前記第2の取得部によって取得された外気の現在の温度または現在の比エンタルピーを用いて、前記空調空間に対する外気の熱負荷が最も小さい外気導入口から取り入れた外気が前記空調空間に導入されるように前記空調装置を制御する、請求項1記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調空間の温度または比エンタルピーを取得する第3の取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記第3の取得部によって取得された温度または比エンタルピーが、温度または比エンタルピーの調整方向における目標値を超えない範囲において外気が前記空調空間に導入されるように前記空調装置を制御する、請求項1記載の空調システム。
【請求項4】
空調空間に外気を導入する空調装置の制御方法であって、
外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、
取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーを用いて、前記空調装置による前記空調空間への外気の導入時期を制御するステップと、を含み、
前記外気の導入時期を制御するステップにおいて、前記空調空間に対する熱負荷の最も小さい外気が前記空調空間に導入されるように前記空調装置を制御すると共に、取得された予測温度または予測比エンタルピーの日較差が大きいほど、外気の導入時期における前記空調空間への外気の導入量がより多くなるように前記空調装置を制御する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調空間に外気を導入する空調システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外への開放部を有する空調空間の空調を行う空調システムにおいて、屋外の空気の温度が、空調空間の温度に対して温度調整の目標側にある場合に、開放部から空調空間に空気が流入するように空調システムを制御することが行われていた(例えば、特許文献1参照)。そのような方法によって、省エネルギー化を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-115053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空調システムでは、制御時における屋内、屋外の温度差に応じて外気を導入するかどうかを決定している。そのため、省エネルギー化の効果が限定的になるという課題がある。例えば、商業施設などのように、夜間には空調を動作させない場合には、夏季の早朝における低い温度の外気を空調空間に導入することができず、外気を導入する機会が限定的になるからである。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、省エネルギー化の効果をより高めるための外気導入を実現することができる空調システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様による空調システムは、空調空間に外気を導入する空調装置と、外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得する第1の取得部と、第1の取得部によって取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーを用いて、空調装置による空調空間への外気の導入時期を制御する制御部と、を備え、制御部は、空調空間に対する熱負荷の最も小さい外気が空調空間に導入されるように空調装置を制御する、ものである。
【0007】
このような構成により、最適な温度または最適な比エンタルピーの外気を空調空間に導入することができるようになり、その結果として、省エネルギー化の効果をより高めることができる。
【0008】
また、本発明の一態様による空調システムでは、空調装置は、それぞれ異なる位置に存在する複数の外気導入口から取り入れた外気を空調空間に導入可能であり、複数の外気導入口のそれぞれにおける外気の現在の温度または現在の比エンタルピーを取得する第2の取得部をさらに備え、制御部は、空調装置によって外気が空調空間に導入される際に、第2の取得部によって取得された外気の現在の温度または現在の比エンタルピーを用いて、空調空間に対する外気の熱負荷が最も小さい外気導入口から取り入れた外気が空調空間に導入されるように空調装置を制御してもよい。
【0009】
このような構成により、複数の外気導入口のうち、外気の温度または比エンタルピーが最も好適である外気導入口から取り入れた外気を空調空間に導入することができるようになる。その結果、省エネルギー化の効果をさらに高めることができる。
【0010】
また、本発明の一態様による空調システムでは、空調空間の温度または比エンタルピーを取得する第3の取得部をさらに備え、制御部は、第3の取得部によって取得された温度または比エンタルピーが、温度または比エンタルピーの調整方向における目標値を超えない範囲において外気が空調空間に導入されるように空調装置を制御してもよい。
【0011】
このような構成により、例えば、空調空間に対して冷房が行われる場合であって、外気の温度が空調空間の温度の目標値よりも低い場合に、外気を空調空間に過剰に取り入れないようにすることができる。その結果として、外気を導入するためのエネルギーを低減することができる。
【0012】
また、本発明の一態様による空調システムでは、制御部は、第1の取得部によって取得された予測温度または予測比エンタルピーの日較差が大きいほど、外気の導入時期における空調空間への外気の導入量がより多くなるように空調装置を制御してもよい。
【0013】
このような構成により、外気導入の効果が高い場合には、より多くの外気を導入することができるようになる。例えば、夏季において、一律にナイトパージを行ったとしても、省エネルギー化を促進できないこともある。夜間の外気温があまり低くならないこともあり、また、昼間の外気温が高くならないこともあるからである。外気導入が効果的でない状況においてより多くの外気を導入した場合には、外気を導入するためのエネルギーが余分に消費されることになる。一方、外気の予測温度または予測比エンタルピーの日較差に応じて外気の導入量を調整することによって、そのような余分なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0014】
また、本発明の一態様による制御方法は、空調空間に外気を導入する空調装置の制御方法であって、外気の予測温度または予測比エンタルピーを取得するステップと、取得された外気の予測温度または予測比エンタルピーを用いて、空調装置による空調空間への外気の導入時期を制御するステップと、を含み、外気の導入時期を制御するステップにおいて、空調空間に対する熱負荷の最も小さい外気が空調空間に導入されるように空調装置を制御するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様による空調システム等によれば、最適な温度または比エンタルピーの外気を空調空間に導入することができるようになり、その結果として、省エネルギー化の効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態による空調システムの構成を示す模式図
図2】同実施の形態による空調システムの制御に関する構成を示す機能ブロック図
図3】同実施の形態における空調空間の存在する建物の一例を示す外観斜視図
図4】同実施の形態における外気の予測温度の変化を示す図
図5】同実施の形態による空調システムの動作を示すフローチャート
図6】同実施の形態による空調システムの制御に関する構成の他の一例を示す機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による空調システム、及び空調装置の制御方法について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による空調システムは、外気の予測温度を用いて、空調空間に導入するのに適した温度の外気を空調空間に導入するものである。
【0018】
図1は、本実施の形態による空調システム1の構成を示す模式図であり、図2は、空調システム1の制御に関する構成を示す機能ブロック図である。空調システム1は、空調装置10と、第1の取得部20と、第2の取得部30と、制御部40とを備え、必要に応じて、空調空間3への給気(SA)用のダクト61と、空調空間3からの還気(RA)用のダクト62とをさらに備えてもよい。空調空間3は、空調システム1が空調を行う対象となる空間である。空調空間3は特に限定されないが、例えば、オフィスや、商業施設、店舗、駅、空港、地下街などであってもよい。
【0019】
空調装置10は、外気導入口から取り入れた外気(OA)を空調空間3に導入する。本実施の形態では、図1で示されるように、空調装置10が、3個の外気導入口51~53からそれぞれ取り入れた外気OA1~OA3を空調空間3に導入できる場合について主に説明する。また、空調装置10は、例えば、空調空間3に供給する空気の温度を調整してもよい。本実施の形態では、空調装置10が空調空間3への外気の導入と、空調空間3の空気の温度調整との両方を行う場合について主に説明する。
【0020】
外気導入口51~53は、それぞれ外気をダクト14b~14dに取り入れるための取入口である。複数の外気導入口51~53は、例えば、それぞれ異なる位置に存在してもよい。異なる位置とは、例えば、上下方向及び水平方向の少なくとも一方において異なる位置であってもよい。一例として、図3で示されるように、外気導入口51~53は、空調空間3が内部に存在する建物5のそれぞれ異なる位置に設けられてもよい。なお、複数の外気導入口51~53は、それぞれの位置における外気の温度が異なるように設けられることが好適である。そのため、例えば、空調空間3が内部に存在する建物5の壁面に複数の外気導入口51~53が設けられる場合に、複数の外気導入口51~53のうち、少なくとも2個の外気導入口は、異なる方位を向いた壁面に設けられてもよい。具体的には、外気導入口51は建物5の北向きの壁面に設けられ、外気導入口53は建物5の西向きの壁面に設けられてもよい。なお、本実施の形態では、3個の外気導入口51~53が用いられる場合について主に説明するが、外気導入口の個数は、例えば、1個であってもよく、または、2個以上の任意の個数であってもよい。理想的には、例えば、建物の各方位を向いた壁面ごとにそれぞれ外気導入口が設けられることが好適である。また、例えば、各壁面において、異なる上下方向の位置にそれぞれ外気導入口が設けられることがさらに好適である。一例として、建物の北向きの壁面、東向きの壁面、南向きの壁面、西向きの壁面のそれぞれにおいて、上方の位置と、下方の位置とにそれぞれ外気導入口が設けられてもよい。この場合には、外気導入口の個数は8個となる。
【0021】
空調装置10は、一例として、送風機11、12と、コイル13と、還気用のダクト14aと、外気の導入用のダクト14b~14dと、排気(EA)用のダクト14eと、ダクト14a~14eにそれぞれ設けられたダンパ15a~15eとを備えてもよい。排気用のダクト14eの一端は、一例として、還気用のダクト14aにおけるダンパ15aと送風機12との間の位置においてダクト14aに連結されていてもよい。
【0022】
送風機11は、還気または外気を空調空間3に送る。また、コイル13によって空気の温度や湿度が調整される場合には、その調整後の空気が送風機11によって空調空間3に送られることになる。
【0023】
送風機12は、空調空間3からの還気について、排気及び送風機11への送風の少なくとも一方を行う。排気と送風機11への送風の割合は、例えば、ダンパ15a、15eの風量が調整されることによって変更されてもよい。
【0024】
コイル13は、空気の温度を調整するための熱交換器である。コイル13には、例えば、ボイラーや冷凍機を有している熱源機器9から、冷水や温水が供給されてもよい。空調装置10によって冷房が行われる場合には、熱源機器9からコイル13に冷水が供給され、空調装置10によって暖房が行われる場合には、熱源機器9からコイル13に温水が供給されてもよい。コイル13は、例えば、空気の湿度の調整、すなわち除湿も行ってもよい。この場合には、コイル13を通過する空気の露点温度以下の温度の冷水がコイル13に供給されてもよい。
【0025】
空調空間3に供給される供給空気の風量は、例えば、送風機11によって調整されてもよく、供給空気の通過するダクト61に設けられた可変風量装置(VAV:Variable Air Volume)によって調整されてもよい。送風機11によって風量を調整する場合には、空調装置10において、風量を調整できる送風機11、例えば、インバータ制御される送風機11や、DCモータを用いた送風機11が用いられてもよい。
【0026】
ダンパ15a~15eは、例えば、モータダンパであり、制御部40によって風量を調整できてもよい。例えば、ダンパ15a、15eの風量が調整されることによって、還気のうち、排気される割合を変更することができる。また、例えば、ダンパ15b~15dの風量が調整されることによって、外気を取り込む外気導入口と、外気の風量とを変更することができる。
【0027】
第1の取得部20は、外気の予測温度を取得する。この予測温度は、空調空間3の存在する位置や地域における予測された気温であってもよい。第1の取得部20が取得する予測温度は、例えば、現在から所定の期間の気温の予測結果であってもよい。所定の期間は、例えば、24時間であってもよく、それ以上であってもよい。この所定の期間に、空調空間3に取り込むのに適した気温となる時間帯が含まれていることが好適である。第1の取得部20によって取得される外気の予測温度は、例えば、図4で示されるように、外気の温度の今後の経時的な変化が分かるものであることが好適である。外気の予測温度は、所定の時間ごと、例えば1時間ごとの外気の予測温度であってもよい。第1の取得部20は、例えば、気象情報を提供している気象庁や民間の会社などから外気の予測温度を取得してもよい。一例として、第1の取得部20は、インターネットなどの通信回線を介して、空調空間3が存在する位置や地域における外気の予測温度を取得してもよい。また、他の一例として、第1の取得部20は、空調空間3の存在する位置における過去の外気の温度などの気象情報や、空調空間3の存在する地域における今後の天気などの気象情報を用いて、空調空間3の存在する位置における外気の温度を予測することによって、外気の予測温度を取得してもよい。
【0028】
第2の取得部30は、複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の温度を取得する。第2の取得部30は、例えば、複数の外気導入口51~53にそれぞれ配置された温度センサ31~33によって測定された外気の現在の温度を温度センサ31~33から取得してもよい。この現在の温度の取得は、例えば、温度センサ31~33から送信された現在の温度の有線または無線の通信回線を介した受信であってもよい。なお、一例として、第2の取得部30は、温度センサ31~33を有していてもよい。この場合には、第2の取得部30による現在の温度の取得は、現在の温度の測定であってもよい。
【0029】
なお、温度センサ31~33による外気の温度の測定は、外気導入口51~53の近傍において行われることが好適である。例えば、温度センサ31~33は、外気導入口51~53の近傍のダクト14b~14d内に配置されてもよく、外気導入口51~53の近傍のダクト14b~14d外に配置されてもよい。
【0030】
制御部40は、第1の取得部20によって取得された外気の予測温度を用いて、空調装置10による空調空間3への外気の導入時期を制御する。外気の予測温度に基づいて、制御部40は、空調空間3に導入するのに最も好ましい外気の温度の時期を特定することができる。そして、制御部40は、その特定結果に基づいて、その好ましい温度の外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。
【0031】
制御部40は、空調空間3に対する熱負荷の最も小さい外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。空調空間3に対する熱負荷の最も小さい外気とは、その外気を空調空間3に導入した際に、空調空間3の熱負荷を最も低くすることができる外気であると考えてもよい。より具体的には、制御部40は、例えば、空調空間3に対して冷房が行われる場合には、最も温度の低い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御し、空調装置10に対して暖房が行われる場合には、最も温度の高い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。空調空間3に対して冷房が行われる場合とは、空調空間3に冷房が行われる季節のことであってもよい。そのため、制御部40が外気を導入するように空調装置10を制御する際に、空調装置10による空気の温度の調整は必ずしも行われていなくてもよい。空調空間3に対して暖房が行われる場合についても同様である。
【0032】
最も温度の低い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御するとは、予測温度における最低の温度の時間帯の外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御することであってもよい。なお、この外気の導入は予測気温に基づいて行われるため、実際には最低の温度の外気を空調空間3に導入できていない可能性もあるが、少なくとも最低の温度に近い外気を空調空間3に導入できると考えられる。最も温度の高い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御する場合にも同様である。
【0033】
より具体的には、取得された外気の予測温度が図4で示されるものであり、空調空間3に冷房が行われている場合には、制御部40は、予測温度における最も温度の低い時点T1を特定する。そして、その特定した時点T1になった際に、制御部40は、外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。また、取得された外気の予測温度が図4で示されるものであり、空調空間3に暖房が行われている場合には、制御部40は、予測温度における最も温度の高い時点T2を特定する。そして、その特定した時点T2になった際に、制御部40は、外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。
【0034】
また、制御部40は、空調装置10によって外気が空調空間3に導入される際に、第2の取得部30によって取得された外気の現在の温度を用いて、空調空間3に対する外気の熱負荷が最も小さい外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。より具体的には、制御部40は、例えば、外気を空調空間3に導入する際に、複数の外気導入口51~53のうち、外気の温度が最も好適である外気導入口を特定し、その特定した外気導入口から外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。例えば、空調空間3に対して冷房が行われる場合には、制御部40は、空調装置10によって外気が空調空間3に導入される際に、第2の取得部30によって取得された外気の現在の温度が最も低い外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。また、例えば、空調空間3に対して暖房が行われる場合には、制御部40は、空調装置10によって外気が空調空間3に導入される際に、第2の取得部30によって取得された外気の現在の温度が最も高い外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。
【0035】
より具体的には、空調空間3に冷房が行われる場合であって、空調空間3に外気が導入される際に取得された外気導入口51~53における現在の外気の温度がそれぞれ21℃、22℃、23℃である場合には、外気の温度が最も低い外気導入口51が実際に外気を取り入れるための外気導入口として選択され、その選択された外気導入口51から外気が導入されるように空調装置10が制御されてもよい。この場合には、例えば、ダンパ51bが開けられ、ダンパ51c、51dが閉じられることによって、外気導入口51のみから外気が導入されるようにしてもよい。
【0036】
複数の外気導入口51~53が異なる位置に設けられていることによって、外気導入口51~53における外気の温度がそれぞれ異なる可能性がある。そのため、このように外気の温度が最も好適な外気導入口から空調空間3に外気を導入することによって、より空調に適した外気を空調空間3に導入することができるようになり、省エネルギー化をより促進することができる。
【0037】
ここで、上記のように外気が空調空間3に導入されている場合には、例えば、還気用のダクト14aのダンパ15aは閉じられており、排気用のダクト14eのダンパ15eは開けられていてもよい。このようにすることで、空調空間3の空気を、効率よく外気に置き換えることができる。また、外気が空調空間3に導入されている場合には、例えば、送風機11、12の風量は同程度であってもよい。
【0038】
また、上記のようにして外気が空調空間3に導入される際に、空調空間3に導入される外気の割合は、通常、より多いことが好適である。例えば、空調空間3の容積の3割以上が外気に置き換えられることが好適であり、5割以上が外気に置き換えられることがより好適であり、7割以上が外気に置き換えられることがさらに好適であり、9割以上が外気に置き換えられることがよりさらに好適である。
【0039】
一方、予測温度の日較差、すなわち一日の最高温度と最低温度との差が小さい場合には、特定の時期に外気を一括して空調空間3に導入するメリットは小さいことになる。そのため、制御部40は、第1の取得部20によって取得された予測温度の日較差が大きいほど、外気の導入時期における空調空間3への外気の導入量がより多くなるように空調装置10を制御してもよい。この場合には、第1の取得部20によって取得された予測温度の日較差が小さいほど、外気の導入時期における空調空間3への外気の導入量がより少なくなることになる。
【0040】
予測温度の日較差は、例えば、予測温度が図4で示される場合に、最高温度H2から最低温度H1を減算した値であってもよい。日較差は、通常、正の実数である。制御部40は、例えば、第1の取得部20によって取得された予測温度を用いて日較差を算出し、日較差と、空調空間3への外気の導入量とを対応付ける情報を用いて、その算出した日較差に対応する外気の導入量を特定し、その特定した量に応じた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。日較差と、空調空間3への外気の導入量とを対応付ける情報は、例えば、両者を対応付けるテーブルや、日較差から外気の導入量を計算するための関数などであってもよい。
【0041】
次に、空調システム1の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)制御部40は、外気の導入時期を決定する処理を行うかどうか判断する。そして、外気の導入時期を決定する処理を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、ステップS104に進む。制御部40は、例えば、外気の導入時期を決定する処理を行うと定期的に判断してもよい。一例として、制御部40は、毎日、あらかじめ決められた時間(例えば、午前0時や、午前2時など)になると、外気の導入時期を決定する処理を行うと判断してもよい。
【0042】
(ステップS102)第1の取得部20は、外気の予測温度を取得する。
【0043】
(ステップS103)制御部40は、ステップS102で取得された外気の予測温度を用いて、外気の導入時期を決定する。例えば、冷房の季節には、外気の予測温度が最も低い時間帯が外気の導入時期に決定されてもよく、暖房の季節には、外気の予測温度が最も高い時間帯が外気の導入時期に決定されてもよい。そして、ステップS101に戻る。なお、外気の導入時期の決定結果は、例えば、「3時間後」などのように決定時点からの期間で示されてもよく、「午前5時」などのように時刻によって示されてもよい。前者の場合には、例えば、決定時点からタイマによる計時が開始されてもよい。
【0044】
(ステップS104)制御部40は、ステップS103で決定した外気の導入時期になったかどうか判断する。そして、外気の導入時期になった場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS101に戻る。例えば、外気の導入時期の決定結果が「3時間後」などのように決定時点からの期間であり、その決定時点からタイマによる計時が行われている場合には、制御部40は、タイマの値が決定結果となった際に、外気の導入時期になったと判断してもよい。また、例えば、外気の導入時期の決定結果が「午前5時」などのように時刻である場合には、制御部40は、図示しない時計部の時刻が決定結果となった際に、外気の導入時期になったと判断してもよい。
【0045】
(ステップS105)第2の取得部30は、複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の温度を取得する。
【0046】
(ステップS106)制御部40は、ステップS105で取得された現在の温度のうち、最も好適な温度に対応する外気導入口を、外気を導入するために用いる外気導入口に決定する。例えば、冷房の季節には、最も低い外気の温度に対応する外気導入口が、外気の導入に用いられる外気導入口に決定されてもよく、暖房の季節には、最も高い外気の温度に対応する外気導入口が、外気の導入に用いられる外気導入口に決定されてもよい。
【0047】
(ステップS107)制御部40は、ステップS106で決定した外気導入口から空調空間3に外気が導入されるように空調装置10を制御する。この制御によって、例えば、あらかじめ決められた容量の外気が空調空間3に導入されてもよい。そして、ステップS101に戻る。
【0048】
なお、図5のフローチャートには含まれていないが、空調空間3に供給される空気の温度の調整が、適宜、空調装置10によって行われてもよい。この温度の調整によって、空調空間3の空気の温度が、所望の温度となるように調整されてもよい。空気の温度調整は、例えば、外気の導入と同時に行われてもよく、または、外気の導入とは別に行われてもよい。また、図5のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理が終了してもよい。
【0049】
次に、本実施の形態による空調システム1の動作について、具体例を用いて説明する。なお、本具体例では、空調空間3に冷房が行われる季節における制御について主に説明する。
【0050】
まず、午前0時になると、制御部40は、外気の導入時期を決定する処理を行うと判断し、外気の予測温度を取得する旨の指示を第1の取得部20に渡す(ステップS101)。その指示を受け取ると、第1の取得部20は、気象情報を提供するサーバにインターネットを介してアクセスし、そのサーバから、空調空間3の存在する地域に対応する1日分の気温の予測結果である予測温度を取得して制御部40に渡す(ステップS102)。その予測温度は、例えば、図4で示されるものであるとする。
【0051】
予測温度を受け取ると、制御部40は、最低温度の時間T1を外気の導入時期に決定する(ステップS103)。この時間T1は、例えば、午前5時であったとする。制御部40は、例えば、外気の導入時期である「午前5時」を記憶部などに蓄積してもよい。
【0052】
その後、外気の導入時期である午前5時になると、制御部40は、外気を空調空間3に導入すると判断し、複数の外気導入口51~53ごとの現在の温度を取得するように第2の取得部30に指示する(ステップS104)。その指示を受け取ると、第2の取得部30は、複数の外気導入口51~53にそれぞれ配置された温度センサ31~33から、外気導入口51~53における外気の現在の温度をそれぞれ取得して制御部40に渡す(ステップS105)。温度センサ31~33によって取得された現在の温度は、それぞれ21℃、22℃、23℃であったとする。
【0053】
現在の温度を受け取ると、制御部40は、受け取った温度のうち、最も低い温度である21℃に対応する外気導入口51を、外気を導入するために用いる外気導入口に決定し(ステップS106)、制御部40は、外気導入口51から空調空間3に外気が導入されるように空調装置10を制御する(ステップS107)。なお、この時点において、空調空間3に供給される空気の温度調整は行われていなかったとする。すると、制御部40は、ダンパ15a、15c、15dが閉じられ、ダンパ15b、15eが開けられるように制御する。また、送風機11、12を動作させて、外気導入口51からの外気OA1が空調空間3に導入され、空調空間3からの還気がすべて排出されるようにする。この外気の導入は、例えば、あらかじめ決められた容量の外気が空調空間3に導入されるまで継続されてもよい。
【0054】
以上のように、本実施の形態による空調システム1によれば、最適な温度の外気を空調空間3に導入することができる。その結果、より効率的に空調を行うことができるようになる。例えば、その外気導入に応じて、空調空間3の空調を行う際の熱源機器9のエネルギー消費をより抑えることができ、省エネルギー化の効果をより高めることができるようになる。また、通常、空調空間3において冷房などの空調を行う場合には、外気の温度が空調に適していなくても、換気のために一定量の外気を空調空間3に導入する必要があり、その結果として、空調の効率が低下するという問題がある。一方、例えば、冷房が行われる季節において、早朝の最も低い温度の外気を空調空間3にあらかじめ大量に導入しておくことによって、昼間に冷房を行う際に、外気の導入量を低減することができる。すなわち、最適な温度の外気を導入することによって、通常の空調時の換気量を減らすことができ、それに応じて空調の効率を向上させることができる。
【0055】
また、複数の外気導入口のうち、外気の現在の温度が最も好適な外気導入口から外気を導入することによって、さらに省エネルギー化を促進することができる。また、例えば、日較差が小さい場合により多くの外気を導入することによって、送風機11、12を不必要に動作させることになり、結果として省エネルギー化に逆行することになるが、予測温度の日較差が大きいほど、外気の導入量がより多くなるようにすることによって、そのような事態が起きないようにすることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の温度を用いて、外気を導入する外気導入口が決められる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の比エンタルピーを用いて、外気を導入する外気導入口が決定されてもよい。この場合には、第2の取得部30は、複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の温度に代えて、複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の比エンタルピーを取得してもよい。比エンタルピーは、例えば、乾球温度、湿球温度、相対湿度、絶対湿度のうち、2個の値を用いて算出することができる。そのため、第2の取得部30は、例えば、複数の外気導入口51~53のそれぞれに配置された2種類のセンサ(例えば、乾球温度を測定する温度センサ、及び相対湿度を測定する湿度センサなど)によって測定された現在の値を2種類のセンサからそれぞれ取得し、その取得した2個の現在の値を用いて、現在の比エンタルピーを計算してもよい。その2種類のセンサによる現在の値の測定は、温度センサ31~33による現在の温度の測定と同様に、外気導入口51~53の近傍において行われることが好適である。また、第2の取得部30は、例えば、複数の外気導入口51~53のそれぞれに配置された2種類のセンサによってそれぞれ測定された現在の値を用いて計算された現在の比エンタルピーを、その計算を行った比エンタルピー取得装置から取得してもよい。第2の取得部30による2種類のセンサからの2個の現在の値の取得や、第2の取得部30による比エンタルピー取得装置からの現在の比エンタルピーの取得は、例えば、送信された情報の有線または無線の通信回線を介した受信であってもよい。なお、一例として、第2の取得部30は、複数の外気導入口51~53のそれぞれに配置された2種類のセンサを有していてもよい。この場合には、第2の取得部30による現在の比エンタルピーの取得は、2種類のセンサを用いた現在の値の測定と、その測定結果を用いた比エンタルピーの計算とによって行われてもよい。また、外気の現在の比エンタルピーを用いて、外気を導入する外気導入口が決定される場合にも、複数の外気導入口51~53は、それぞれの位置における外気の比エンタルピーが異なるように設けられることが好適である。
【0057】
第2の取得部30によって複数の外気導入口51~53のそれぞれにおける外気の現在の比エンタルピーが取得された場合には、制御部40は、空調装置10によって外気が空調空間3に導入される際に、第2の取得部30によって取得された外気の現在の比エンタルピーを用いて、空調空間3に対する外気の熱負荷が最も小さい外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。より具体的には、制御部40は、例えば、空調装置10によって外気が空調空間3に導入される際に、空調空間3に対して冷房が行われる場合には、第2の取得部30によって取得された外気の現在の比エンタルピーが最も低い外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御し、空調空間3に対して暖房が行われる場合には、第2の取得部30によって取得された外気の現在の比エンタルピーが最も高い外気導入口から取り入れた外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。このようにすることで、冷房が行われる場合には、比エンタルピーの最も低い外気、例えば、温度と湿度の低い外気を空調空間3に導入することができ、暖房が行われる場合には、比エンタルピーの最も高い外気、例えば、温度と湿度の高い外気を空調空間3に導入することができるようになる。
【0058】
また、本実施の形態では、空調装置10が複数の外気導入口51~53から取り入れた外気を空調空間3に導入することができ、その複数の外気導入口51~53のうち、外気の現在の温度や外気の現在の比エンタルピーが最適な外気導入口から外気を取り入れる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。例えば、空調装置10が複数の外気導入口51~53から取り入れた外気を空調空間3に導入することができる場合であっても、空調装置10は、そのすべての外気導入口51~53からそれぞれ外気を取り入れてもよい。また、例えば、空調装置10は、1個の外気導入口のみから外気を取り入れてもよい。これらの場合には、空調システム1は、例えば、第2の取得部30を備えていなくてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、外気の予測温度を用いて、外気の導入時期が制御される場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。外気の予測エンタルピーを用いて、外気の導入時期が制御されてもよい。この場合には、第1の取得部20は、予測温度に代えて、予測比エンタルピーを取得してもよい。上記したように、比エンタルピーは、例えば、乾球温度、湿球温度、相対湿度、絶対湿度のうち、2個の値を用いて算出することができる。そのため、第1の取得部20は、例えば、予測乾球温度、予測湿球温度、予測相対湿度、予測絶対湿度のうち、2個の値を取得し、その取得した2個の値を用いて予測比エンタルピーを計算してもよい。または、第1の取得部20は、例えば、気象情報を提供している気象庁や民間の会社などから外気の予測比エンタルピーを取得してもよい。なお、第1の取得部20による予測比エンタルピーの取得は、取得対象が予測温度から予測比エンタルピーとなった以外は、上記説明と同様にして行われてもよい。
【0060】
第1の取得部20によって予測比エンタルピーが取得された場合にも、制御部40は、空調空間3に対する熱負荷の最も小さい外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。より具体的には、制御部40は、例えば、空調空間3に対して冷房が行われる場合には、最も比エンタルピーの低い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御し、空調装置10に対して暖房が行われる場合には、最も比エンタルピーの高い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。
【0061】
また、予測比エンタルピーが取得される場合には、制御部40は、例えば、第1の取得部20によって取得された予測比エンタルピーの日較差が大きいほど、外気の導入時期における空調空間3への外気の導入量がより多くなるように空調装置10を制御してもよい。この制御は、予測温度が予測比エンタルピーとなった以外は、予測温度の日較差が大きいほど、外気の導入時期における空調空間3への外気の導入量がより多くなるようにする制御と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0062】
また、本実施の形態において、外気の空調空間3への導入は、外気の導入後の空調空間3の温度に応じて制御されてもよい。この場合には、空調システム1は、例えば、図6で示されるように、空調空間3の温度を取得する第3の取得部50をさらに備えてもよい。第3の取得部50は、例えば、空調空間3に配置された温度センサ51によって測定された空調空間3の温度を温度センサ51から取得してもよい。この現在の温度の取得は、例えば、温度センサ51から送信された現在の温度の有線または無線の通信回線を介した受信であってもよい。なお、一例として、第3の取得部50は、温度センサ51を有していてもよい。この場合には、第3の取得部50による空調空間3の温度の取得は、空調空間3の温度の測定であってもよい。また、第3の取得部50によって取得される空調空間3の温度は、例えば、複数の位置で測定された空調空間3の温度の代表値であってもよい。代表値は、例えば、平均値や、中央値、最大値、最小値などであってもよい。
【0063】
第3の取得部50によって空調空間3の温度が取得された場合には、制御部40は、その取得された温度が、温度の調整方向における目標値を超えない範囲において外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。温度の調整方向は、空調における温度の調整方向であってもよく、例えば、空調空間3に冷房が行われる場合には、温度の低下する方向であり、空調空間3に暖房が行われる場合には、温度の上昇する方向であってもよい。また、目標値は、例えば、空調装置10の目標温度と同じであってもよく、または、異なっていてもよい。例えば、冷房が行われる場合であって、外気の温度が20℃であり、空調空間3の温度の調整方向における目標値が23℃に設定されている場合には、制御部40は、空調空間3の温度が23℃以上となるように空調装置10による外気の導入を制御してもよい。より具体的には、第3の取得部50によって取得された温度が23℃となった際に、制御部40は、空調空間3への外気の導入を停止してもよい。このようにすることで、空調空間3に外気を過剰に導入することを回避することができ、外気を導入するためのエネルギーを低減することができる。
【0064】
この場合にも、温度に代えて比エンタルピーを用いて制御を行ってもよい。比エンタルピーを用いた制御が行われる場合には、第3の取得部50は、空調空間3の比エンタルピーを取得してもよい。この比エンタルピーの取得は、例えば、第2の取得部20による比エンタルピーの取得と同様にして行われてもよい。また、比エンタルピーが取得される場合には、制御部40は、その取得された比エンタルピーが、比エンタルピーの調整方向における目標値を超えない範囲において外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御してもよい。この制御は、温度が比エンタルピーとなった以外は、空調空間3の温度を用いた外気の導入の制御と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0065】
また、本実施の形態では、空調装置10において、空調空間3に供給される空気の温度の調整も行われる場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。空調装置10は、外気を空調空間3に導入するためのものであり、空調空間3に供給される空気の温度の調整は、別途、他の空調装置によって行われてもよい。この場合には、空調装置10は、コイル13を備えていなくてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、空調システム1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0068】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、ソフトウェアにより実現可能な構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0069】
また、以上の実施の形態は、本発明を具体的に実施するための例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲及び均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 空調システム
3 空調空間
10 空調装置
20 第1の取得部
30 第2の取得部
40 制御部
51~53 外気導入口
【要約】
【課題】省エネルギー化の効果をより高めるための外気導入を実現することができる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システム1は、空調空間3に外気を導入する空調装置10と、外気の予測温度を取得する第1の取得部20と、第1の取得部20によって取得された外気の予測温度を用いて、空調装置10による空調空間3への外気の導入時期を制御する制御部40とを備える。制御部40は、空調空間3に対して冷房が行われる場合には、最も温度の低い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御し、空調空間3に対して暖房が行われる場合には、最も温度の高い外気が空調空間3に導入されるように空調装置10を制御する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6