(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】脚部ユニットおよびそれを用いたシンク付キャビネット
(51)【国際特許分類】
A47B 77/02 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
A47B77/02
(21)【出願番号】P 2024139504
(22)【出願日】2024-08-21
【審査請求日】2024-08-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523267298
【氏名又は名称】株式会社LabLab
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】岩永 正己
(72)【発明者】
【氏名】上田 将弘
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-29366(JP,A)
【文献】特開2006-87531(JP,A)
【文献】特開2006-296961(JP,A)
【文献】特開2006-25937(JP,A)
【文献】特開2006-325788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク付キャビネットに用いられる脚部ユニットであって、
貫通孔を有する縦棒部、一対の前記縦棒部を上部で連結する第一桟部、および、一対の前記縦棒部を前記第一桟部より下の位置で連結する第二桟部を有する、金属製棒材からなる脚部基体と、
背面に前記縦棒部を収容する溝部を有する、表面材と、
前記縦棒部を前記溝部に収容した状態で前記貫通孔に挿入されて、前記脚部基体に前記表面材を固定する、留め具と、を備える、脚部ユニット。
【請求項2】
前記留め具は、雄ネジであり、
前記溝部は、前記貫通孔に対向する位置に雌ネジを備え、
前記雄ネジを前記貫通孔に挿入した状態で雌ネジに螺合して前記脚部基体に前記表面材を固定する、請求項1に記載の脚部ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の脚部ユニットと、
前記脚部ユニットを連結する横桟と、
天板と、
棚板と、を備え、
前記横桟は、
任意の脚部ユニットの第一桟部の端部および他の脚部ユニットの第一桟部の前記端部に対応する端部に接続され、前記任意の脚部ユニットおよび前記他の脚部ユニットを連結する一対の第一横桟部と、
前記任意の脚部ユニットの第二桟部の端部および前記他の脚部ユニットの第二桟部の前記端部に対応する端部に接続され、前記任意の脚部ユニットおよび前記他の脚部ユニットを連結する第二横桟部と、
を備え、
前記天板は、一対の前記第一横桟部の上に配置される、シンク付キャビネット。
【請求項4】
一対の第二横桟部を備え、
前記棚板は、一対の前記第二横桟部の間に配置される、
請求項3に記載のシンク付キャビネット。
【請求項5】
キッチンまたは洗面台である、請求項3に記載のシンク付キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部ユニットおよびそれを用いたシンク付キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
シンク付キャビネットは、キッチン台や洗面台などとして用いられる。シンク付キャビネットは、水が使用される場所で用いられるために防水性が求められる。
【0003】
例えば、システムキッチンには、角パイプを組み合わせたフレームと、天板と、棚板とを備えるものがある。例えば、特許文献1には、H字状の脚部材と、H字状の脚部材の連結フレームの下面に取り付けられた補強フレームとを、ねじで連結する、フレームキッチンに関する発明が開示されている。また、特許文献2には、システムキッチンなどに用いることができる、複数の立方体状又は直方体状の枠体ユニット同士を相互に連結した枠体に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-029375号公報
【文献】特開2023-174440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にはフレームにアルミ合金などが用いられることが記載され、特許文献2には枠体ユニットに鉄などが用いられることが記載される。例えば、業務用キッチンのように、装飾よりも機能重視の場合には金属フレームを用いるのがよいが、無機質で無骨なイメージとなる。一方、居住空間で用いられるキッチンや洗面台などのシンク付キャビネットには柔らかで温かみのある木材など、金属以外の材料を用いたいという潜在的なニーズがある。
【0006】
シンク付キャビネットのフレームとして無垢材や集成材などの木材を用いることもできるが、強度の観点からはある程度太い材を用いる必要がある。
【0007】
本発明は、十分な強度を有する脚部ユニットおよびシンク付キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記を要旨とする。
【0009】
シンク付キャビネットに用いられる脚部ユニットであって、
貫通孔を有する縦棒部、一対の前記縦棒部を上部で連結する第一桟部、および、一対の前記縦棒部を前記第一桟部より下の位置で連結する第二桟部を有する、金属製棒材からなる脚部基体と、
背面に前記縦棒部を収容する溝部を有する、表面材と、
前記縦棒部を前記溝部に収容した状態で前記貫通孔に挿入されて、前記脚部基体に前記表面材を固定する、留め具と、を備える、脚部ユニット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、十分な強度を有する脚部ユニットおよびシンク付キャビネットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、脚部ユニットの構成を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図2】
図2は、脚部基体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【
図4】
図4は、脚部基体に表面材を装着する状態を示す図である。
【
図5】
図5は、他の例に係る脚部基体に表面材を装着する状態を示す図である。
【
図6】
図6は、脚部ユニットに横桟、天板および棚板を装着する状態を示す側面図である。
【
図7】
図7は、脚部ユニットに横桟、天板および棚板を装着する状態を示す正面図である。
【
図8】
図8は、キッチンの構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、他の例に係る脚部ユニットに横桟を装着する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、図面を参照しながら、本実施形態に係る脚部ユニットについて説明し、続いてシンク付キャビネットについて説明する。なお、図面において、シンク付キャビネットの奥行方向をX方向、シンク付キャビネットの幅方向をY方向、シンク付キャビネットの高さ方向をZ方向としている。また、以下の説明において、長さについての「同じ」については-2~+2mmの範囲の公差を許容される。
【0013】
[脚部ユニット100]
図1は、脚部ユニットの構成を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図2は、脚部基体を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
図3は、表面材の一部を示す斜視図である。
図4は、脚部基体に表面材を装着する状態を示す図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る脚部ユニット100は、脚部基体10、表面材20、および、留め具30を備える。
【0015】
(脚部基体10)
図1、2および4に示すように、脚部基体10は、金属製棒材からなり、縦棒部11、一対の縦棒部11を上部で連結する第一桟部12、および、一対の縦棒部11を第一桟部12より下の位置で連結する第二桟部13を有する。脚部基体10は、さらに、一対の縦棒部11を第二桟部13より下の位置で連結する第三桟部14を有していてもよい。脚部基体10は、シンク付キャビネット800の構造に必要な強度を有しておれば、その材質に制約はない。縦棒部11、第一桟部12、および、第二桟部13の接続方法には制約はないが、溶接によるのがよい。
【0016】
図4に示すように、縦棒部11は、貫通孔111を有する。貫通孔111は、特に第一桟部12と第二桟部13との間に存在する。貫通孔111には留め具30が挿入される。縦棒部11は、例えば、その軸方向(Z方向)に垂直な断面において、シンク付キャビネット800の奥行方向(X方向)の長さ(奥行)がシンク付キャビネット800の幅方向(Y方向)の長さ(幅)より小さい。このような構成であれば、表面材20の溝部21を浅くでき、表面材20の形状の自由度が高くなる。例えば、縦棒部の断面形状の奥行:幅=1:1~3であり、奥行は5~20mmの範囲、幅は10~50mmの範囲で設定すればよい。その断面形状は、矩形でもよいし、正方形でもよい。
【0017】
第一桟部12および第二桟部13は、縦棒部11と同様の断面形状を有するのがよい。例えば、第一桟部12および第二桟部13の断面形状の高さ:幅=1:1~3であり、高さは5~20mmの範囲、幅は10~50mmの範囲で設定すればよい。第一桟部12および第二桟部13は、縦棒部11と同様に、貫通孔(図示省略)を有するのがよい。この貫通孔には、留め具30と同様の留め具が挿入され、この留め具によって第一横桟部41および第二横桟部42と接続される。
【0018】
脚部基体10の寸法は、シンク付キャビネット800の用途に応じて設定される。脚部基体10の高さ(Z方向)は、例えば、システムキッチンの場合、天板50の上面までの高さ(通常は800~950mm)および天板50の厚さ(通常は20~50mm)に合わせて、750~920mmの範囲で設定すればよい。例えば、洗面台の場合、天板50の上面までの高さ(通常は750~850mm)および天板50の厚さ(通常は20~50mm)に合わせて、700~820mmの範囲で設定すればよい。
【0019】
脚部基体10の奥行(X方向)は、例えば、システムキッチンの場合、天板50の奥行(通常は550~1000mm)に合わせて、500~1000mmの範囲で設定すればよい。例えば、洗面台の場合、天板50の奥行(通常は500~650mm)に合わせて、450~650mmの範囲で設定すればよい。
【0020】
脚部基体10の幅(Y方向)は、表面材20の形状の自由度を高めるためには、極力小さいことが好ましいが、構造上必要とされる強度を確保するためにはある程度の幅を備える必要がある。例えば、脚部基体10の幅は10~50mmの範囲で設定すればよい。
【0021】
脚部基体10の材質は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ合金などの金属が例示される。また、中実であれば、断面積を小さくできるので、表面材の形状の自由度が増すというメリットがあり、中空であれば、質量を低減できるというメリットがあるので、求められる性能によって適宜選択可能である。
【0022】
脚部基体10は、
図1および
図2に示す例のように、さらに第三桟部14、またはさらに第四桟部(図示省略)を備えていてもよい。第三桟部14または第四桟部(図示省略)を備える場合には、もう一段または二段の棚を追加することが可能となる。第三桟部14または第四桟部(図示省略)の材質および形状については、第一桟部12および第二桟部13と同様である。
【0023】
脚部基体10において、第一桟部12は、縦棒部11の上端よりも下で連結されているので、第一横桟部41を第一桟部12の上面に取り付けることができる。
【0024】
(表面材20)
図1、3および4に示すように、表面材20は、背面20a(奥行方向の奥側の端面)に縦棒部11を収容する溝部21を有する。溝部21の形状には制約がないが、溝部21の深さ(奥行)は縦棒部11の奥行以上であるのがよい。収容した縦棒部11を見えにくくするためである。
【0025】
留め具30として、皿ネジを用いる場合には、溝部21の底面には縦棒部11の貫通孔111に対応する位置に雌ネジ22を備える。雌ネジ22は、例えば、埋め込みナットを用いて形成する。また、木ネジを使用することもできる。
【0026】
表面材20の正面(奥行方向の手前側の端面)および側面(幅方向の両端面)の形状には特に制約がなく、シンク付キャビネット800の仕様に応じて、平面、曲面、これらの組み合わせなど、自由に設定することができる。ただし、第二横桟部42等との収まりを考慮すると、背面20aの少なくとも溝部21と近接する領域(溝部21と背面20aとの境界から5~10mmの領域)は平面であることが好ましい。
【0027】
表面材20の材質としては、銘木の無垢材、集成材等のほか、集成材、木質繊維板、パーチ材等の棒材の表面に銘木突板、樹脂シート等を貼り付けた複合材、圧縮木材、合成木材、人工木材などの再生木材などに例示される木質表面材のほか、再生プラスチックなどの樹脂表面材などを採用することができる。シンク付キャビネット800としての構造的な強度は脚部基体10によって担保できるため、表面材20には構造的な強度が必要ではない。また、表面材20は、留め具30によって脚部基体10に取り付けられるため、吸湿による変形が懸念させる材を用いることができる。よって、本実施形態に係る脚部ユニット100には、表面材として使用する樹種の自由度が高いというメリットがある。例えば、表面材としては、桐、ヒノキ、ポプラ、クルミといった比重が小さく、強度が弱い材を用いることもできる。また、構造材としての強度が求められる場合に比べて断面積を小さくすることができるため、形状設計の自由度も高くなり、意匠性に優れた脚部ユニットが得られる。このため、例えば、表面材20の長さ方向に垂直な断面における奥行(X方向)は25~60mm、幅(Y方向)は25~60mmとすることができる。特に、奥行(X方向)および幅(Y方向)の双方を35mm以下とすることにより、よりシャープな印象の脚部ユニットが得られる。この点、再生プラスチックのように、強度が弱い材の場合も同様の効果が得られる。また、無垢材等の木質材で脚部を製造した場合に比較して製造コストを下げることができる。
【0028】
(留め具30)
図1および4に示すように、留め具30は、縦棒部11を表面材の溝部21に収容した状態で、縦棒部11の貫通孔111に挿入されて、その状態で締結されることにより、脚部基体10に表面材20を固定する。留め具30は、例えば、皿ネジ、木ネジなどの雄ネジである。
【0029】
脚部基体10がシンク付キャビネット800の脚部として装着された際に、留め具30は、シンク付キャビネット800の正面からは見えない位置に配置されるので、シンク付キャビネット800の意匠性を高めることができる。
【0030】
(脚部ユニットの他の実施形態)
図5は、他の例に係る脚部基体に表面材を装着する状態を示す図である。
図5に示すように、縦棒部11aは、貫通孔111aを有する。貫通孔111aは、特に第一桟部12と第二桟部13との間に存在することは前述の例と同様である。貫通孔111aには留め具30aが挿入される。この例における留め具30aは木ネジであり、貫通孔111aは木ネジの形状に沿った貫通孔である。縦棒部11aは、その軸方向(Z方向)に垂直な断面において、シンク付キャビネット800の奥行方向(X方向)の長さ(奥行)と幅方向(Y方向)の長さ(幅)が同等である。すなわち、縦棒部11aの断面形状の奥行:幅=1:1である。そして、表面材20aには、縦棒部11aの形状に沿った溝部21aが形成されている。前述の例と同様に、溝部21aの深さは縦棒部11aの奥行以上である。
【0031】
ここで、前述の
図4に示す例における、縦棒部11の場合、強度確保のために幅方向の長さを大きくする必要があるが、
図5に示す例のように、奥行および幅の長さが同等である縦棒部11aを用いる場合には、幅方向の長さを相対的に小さくすることができ、表面材20aに形成する溝部21aの幅(Y方向の長さ)を狭くすることができる。その結果、溝部21aを挟む縦壁部22aの幅(Y方向の長さ)を長くできるので、縦壁部22aが破損しにくくなるというメリットがある。この観点からは、縦棒部11aの断面形状の幅/奥行は1.5以下が好ましく、1.3以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
【0032】
留め具30として、木ネジを用いる場合には、溝部21の底面に特段の加工を施す必要はないが、木ネジに対応する予備孔を設けておくことで表面材20aへの取付時の割れを抑止しやすくなる。
【0033】
[シンク付キャビネット]
図6は、脚部ユニットに横桟、天板および棚板を装着する状態を示す側面図である。
図7は、脚部ユニットに横桟、天板および棚板を装着する状態を示す正面図である。なお、各図において、天板に取り付けられるシンクを省略している。
【0034】
図6および7に示すように、本実施形態に係るシンク付キャビネット800は、脚部ユニット100と、脚部ユニット100を連結する横桟40と、天板50と、棚板60と、を備える。シンク付キャビネット800とは、例えば、キッチン、洗面台などのシンクを備えるキャビネットを意味する。
【0035】
(横桟40)
図6および7に示すように、横桟40は、少なくとも第一横桟部41および第二横桟部42を備える。横桟40は、第三横桟部43を備えていてもよい。また、図示は省略するが、第四横桟部があってもよい。横桟40の段数は、シンク付キャビネットの仕様により変更することができる。
【0036】
第一横桟部41は、任意の脚部ユニット100aの第一桟部12aの正面側端部12aaと、他の脚部ユニット100bの第一桟部12bの正面側端部12baとに接続される正面側桟部と、任意の脚部ユニット100aの第一桟部12aの背面側端部12abと、他の脚部ユニット100bの第一桟部12bの背面側端部12bbとに接続される背面側桟部とを備える。これらの一対の第一横桟部41により任意の脚部ユニット100aおよび他の脚部ユニット100bが連結される。第一横桟部41の上部には天板50が配置されるため、第一横桟部41は、正面側桟部と背面側桟部との対で配置される。
【0037】
第一横桟部41の厚さ(Z方向の長さ)は、シンク付キャビネット800の構造上の強度を確保するのに十分な厚さを備え、かつ表面材20の幅(Y方向の長さ)との意匠的なバランスによって設定すればよい。ただし、第一横桟部41の端部には、第一桟部12の寸法と同一寸法の切り欠き411(411a,411b)を備えている。切り欠き411(411a,411b)を第一桟部12の端部12aa,12ab,12ba,12bbに配置した状態で、留め具(図示省略)で、第一横桟部41と第一桟部12とを連結する。切り欠き411の厚さは、Z方向における第一桟部12の上面から縦棒部11の上端までの長さと同じであるのがよい。
【0038】
第二横桟部42は、少なくとも、任意の脚部ユニット100aの第二桟部13aの背面側端部13abを備える。第二横桟部42は、さらに、任意の脚部ユニット100aの第二桟部13aの正面側端部13aaと、他の脚部ユニット100bの第二桟部13bの正面側13baとに接続される正面側桟部を備えていてもよい。例えば、第二横桟部42の上部に棚板60を配置する場合に、第二横桟部42は、正面側桟部と背面側桟部との対で配置される。例えば、棚板60の上に引出し等を設置する場合も同様である。また、第二横桟部42の上部に棚板60を配置しない場合には、第二横桟部42は、背面側桟部のみが配置される。例えば、レール式の引出しを設置する場合、食洗機を設置する場合、自立型のキャビネットを設置する場合、ゴミ箱などを収容するための空間を設ける場合などである。
【0039】
第二横桟部42の厚さ(Z方向の長さ)も、第一横桟部41と同様に、シンク付キャビネット800の構造上の強度を確保するのに十分な厚さを備え、かつ表面材20の幅(Y方向の長さ)との意匠的なバランスによって設定すればよい。ただし、第二横桟部42の端部は、第一横桟部41と同様に、第二桟部13の寸法と同一寸法の切り欠き421(421a,421b)を備え、この部分で第二桟部13と連結される。
【0040】
第三横桟部43は、少なくとも、任意の脚部ユニット100aの第三桟部14aの背面側端部14abと、他の脚部ユニット100bの第三桟部14bの背面側14bbとに接続される背面側桟部を備える。第三横桟部43は、さらに、任意の脚部ユニット100aの第三桟部14aの正面側端部14aaと、他の脚部ユニット100bの第三桟部14bの正面側14baとに接続される正面側桟部を備えていてもよい。例えば、第三横桟部43の上部に棚板60を配置する場合に、第三横桟部43は、正面側桟部と背面側桟部との対で配置される。第三横桟部43の上部に棚板60を配置しない場合には、第三横桟部43は、背面側桟部のみが配置される。例えば、棚板60の上にキャビネット、小型の食洗機等を設置する場合も同様である。また、自立型の食洗機を設置する場合、自立型のキャビネットを設置する場合、レール式の引出しを設置する場合、ゴミ箱などを収容するための空間を設ける場合などである。
【0041】
第三横桟部43の厚さ(Z方向の長さ)も、第一横桟部41と同様に、シンク付キャビネット800の構造上の強度を確保するのに十分な厚さを備え、かつ表面材20の幅(Y方向の長さ)との意匠的なバランスによって設定すればよい。ただし、第三横桟部43の端部は、第一横桟部41と同様に、第三桟部14の寸法と同一寸法の切り欠き431(431a,431b)を備え、この部分で第三桟部14と連結される。
【0042】
横桟40の長さは、シンク付キャビネット800の幅に合わせて自由に設定することができる。横桟40の長さは、例えば、標準的な洗面台の場合には900mmであり、標準的なキッチンの場合には1500~3200mmである。横桟40の材質としては、例えば、集成材、無垢材などの木質材料が挙げられる。
【0043】
第一横桟部41、第二横桟部42および第三横桟部43としては、同じ形状の桟を用いることができる。これにより部品の共通化ができるので、製造コストの低減、施工性の向上を図ることができる。
【0044】
シンク付キャビネット800において、第一横桟部41および第二横桟部42は、表面材20の背面に接するような位置に配置される結果、表面材20が手前に突出するように配置される。これによって、フレームキッチンと通称される金属フレームで構成されるキッチンとは異なる意匠性を有することになる。また、表面材20と面合せで扉を設けることができる。
【0045】
(天板)
図6および7に示すように、天板50は、一対の第一横桟部41の上に配置される。このとき、第一桟部12の上には、第一横桟部41の切り欠き411(411a,411b)を除く厚さと同一の厚さを有する棒材45が配置される。これによって、シンク付キャビネット800を幅方向(Y方向)からの見た時に天板50と第一桟部12との間に隙間ができるのを防止できる。
【0046】
(棚板)
図6および7に示すように、棚板60は、一対の第二横桟部42の間に配置される。すなわち、棚板60は、第二桟部13の長さ(X方向の長さ)から一対の第二横桟部42の幅(X方向の長さ)を引いた長さの幅(X方向の長さ)を有し、第二横桟部42の長さ(Y方向の長さ)と同じ長さを有している。棚板60の厚さは、第二横桟部42の厚さ(Z方向の長さ)から、切り欠き421(421a,421b)の高さ(Z方向の長さ)を引いた長さと同一である。これにより、棚板60と第二横桟部42とのそれぞれの上面を面合せにすることができる。なお、シンク付キャビネットの仕様によって、棚板60の一部または全部を省略することができる。
【0047】
(シンク付キャビネットの他の実施態様)
図6および7に示す例では、二つの脚部ユニットを用いる場合を示しているが、シンク付キャビネットは、三つ以上の脚部ユニットを用いてもよい。以下、キッチンの場合を例にして説明する。
図8は、キッチンの構成を示す分解図である。
【0048】
図8に示すように、キッチン900は、四本の脚部ユニット90(90a,90b,90c,90d)と、脚部ユニット90を連結する横桟91(第一横桟部91a,第二横桟部91b,第三横桟部91c)と、天板92と、棚板93、93と、を備える。また、各脚部ユニット90は、脚部基体901、表面材902、および、留め具(図示省略)を備える。
【0049】
そして、第一横桟部91aおよび第二横桟部91bには、両端の脚部ユニット90a,90dに対応する位置(端部)だけでなく、中間にある脚部ユニット90b,90dに対応する位置にも切り欠きが設けられており、それぞれの脚部ユニットの第一桟部および第二桟部と接続される。このように、横桟91の長さおよび切り欠きの位置を調整することにより様々な形状のシンク付キャビネットを製造することができ、設計自由度が高い。
【0050】
図9は、他の例に係る脚部ユニットに横桟を装着する状態を示す斜視図である。
図9には、四つの脚部ユニット101(101a,101b,101c,101d)を備え、天板、棚板等を取り付ける前のシンク付キャビネットの例を示している。最も手前にある脚部ユニット101aに示すように、この脚部ユニット101(101a)においては、第二桟部130(130a)、第三桟部140(140a)の取付位置は、前掲の
図2等に示す例と同様であるが、第一桟部120の取付位置が異なっている。すなわち、この脚部ユニット101(101a)においては、第一桟部120(120a,120b,120c,120d)は、縦棒部(図示省略)の上端で連結されている。
この脚部ユニット101を用いる場合には、第一横桟部41aは、第一桟部120(120a,120b,120c,120d)の下からに配置され、留め具300によって連結される。第一横桟部41aの第一桟部120に対応する位置には、第一桟部120を収容できる溝が形成されている。第二横桟部42aおよび第三横桟部43aと、第二桟部130および第三桟部140とのそれぞれの連結は、前掲の
図2等に示す例と同様である。第二横桟部42aおよび第三横桟部43aにも第一横桟部41aと同様に、第二桟部130および第三桟部140を収容できる溝が形成されている。天板(図示省略)は、第一横桟部41aの上面に取り付けられる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、十分な強度を有する脚部ユニットおよびシンク付キャビネットを提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
100 脚部ユニット
10 脚部基体
11 縦棒部
111 貫通孔
12 第一桟部
13 第二桟部
14 第三桟部
20 表面材
20a 背面
21 溝部
30 留め具
800 シンク付キャビネット
40 横桟
50 天板
60 棚板
41 第一横桟部
42 第二横桟部
43 第三横桟部
900 キッチン
90 脚部ユニット
901 脚部基体
902 表面材
91 横桟
92 天板
93,94 棚板
101,101a,101b,101c,101d 脚部ユニット
120,120a,120b,120c,120d 第一桟部
130,130a,130b,130c,130d 第二桟部
140,140a,140b,140c,140d 第三桟部
40a 横桟
41a 第一横桟部
42a 第二横桟部
43a 第三横桟部
【要約】
【課題】十分な強度を有する脚部ユニットおよびシンク付キャビネットの提供
【解決手段】シンク付キャビネットに用いられる脚部ユニットで100は、貫通孔111を有する縦棒部11、一対の縦棒部11を上部で連結する第一桟部12、および、一対の縦棒部11を第一桟部12より下の位置で連結する第二桟部13を有する、金属製棒材からなる脚部基体10と、背面に縦棒部11を収容する溝部21を有する、表面材20と、縦棒部11を溝部21に収容した状態で貫通孔111に挿入されて、脚部基体10に表面材20を固定する、留め具30と、を備える。
【選択図】
図1