(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電力供給システム、電子機器、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20241001BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241001BHJP
H02J 1/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G06F1/26 303
H02J1/00 306M
H02J1/00 304D
H02J1/10
(21)【出願番号】P 2023042504
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 清
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-232520(JP,A)
【文献】特開2000-324717(JP,A)
【文献】特開2013-055828(JP,A)
【文献】特開平08-065918(JP,A)
【文献】特開2017-093260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/26
H02J1/00;1/10;9/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインと、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御する制御手段であって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する制御手段と、
前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能な検出手段であって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを前記制御手段に通知する検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段による通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間に設けられ、前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の状態を接続状態または遮断状態に切り替える切り替え手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記切り替え手段を制御することにより、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記切り替え手段は、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つのうちの一方に接続される第1端子と、前記複数の給電ラインにおける任意の2つのうちの他方に接続される第2端子を有し、前記制御手段による制御に応じて、前記第1端子と前記第2端子との間の状態が接続状態または遮断状態となるスイッチである、
請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電力供給システムと、
前記複数の給電ラインのうち、対応する給電ラインそれぞれに1対1で接続される1つまたは複数の論理回路と、
を備える電子機器。
【請求項5】
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムが実行する処理方法であって、
前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能なことであって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを通知することと、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続すること
であって、通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することと、
を含む処理方法。
【請求項6】
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムのコンピュータに、
前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能なことであって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを通知することと、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続すること
であって、通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給システム、電子機器、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野で論理回路などの情報処理を実行する回路を含む電子機器が使用されている。電子機器は、正常に動作している場合、継続して動作し続けること、すなわち、可用性が望まれることが多い。そのため、電子機器における回路に継続して電力が供給されることが望まれることが多い。特許文献1には、関連する技術として、無停電電源装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器の中には、複雑な情報処理が求められているものがある。そのような電子機器では、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能なものがある。そのような電子機器についても、正常に動作している場合には、可用性が望まれることが多い。電子機器における回路に継続して電力を供給する技術として、回路に電力を供給する主電源とは別にその回路に電力を供給することのできる予備の電源を用意して、予め電源を冗長化する技術がある。しかしながら、予め電源を冗長化する技術は、電源の実装面積が増加してしまい、多くの電子機器で求められている小型化の要求と相反するものである。そこで、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能な電子機器において、回路に供給される電力が遮断されることを抑制することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる電力供給システム、電子機器、処理方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、電力供給システムは、1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインと、前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御する制御手段であって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する制御手段と、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能な検出手段であって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを前記制御手段に通知する検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記検出手段による通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、電子機器は、上記の電力供給システムと、前記複数の給電ラインのうち、対応する給電ラインそれぞれに1対1で接続される1つまたは複数の論理回路と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムが実行する処理方法であって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能なことであって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを通知することと、前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することであって、通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムのコンピュータに、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能なことであって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを通知することと、前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することであって、通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能な電子機器において、回路に供給される電力が遮断されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態による電子機器の構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による電子機器が行う処理を説明するための第1の図である。
【
図3】本開示の一実施形態による電子機器が行う処理を説明するための第2の図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による電子機器の構成の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による電力供給システムの最小構成を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による最小構成の電力供給システムの処理フローの一例を示す図である。
【
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
(電子機器の構成)
本開示の一実施形態による電子機器1について図面を参照して説明する。電子機器1は、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能な電子機器であって、回路に供給される電力が遮断されることを抑制することのできる機器である。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態による電子機器1の構成の一例を示す図である。電子機器1は、
図1に示すように、電力供給システム1a、および1つ以上の論理回路1bを備える。なお、
図1に示す例では、論理回路1bとして、4つの論理回路1b1、1b2、1b3、1b4が示されている。また、論理回路1bが複数存在する場合、それらの論理回路1bは、すべて異なる論理回路であっても、同一の種類の論理回路が含まれていてもよい。
【0014】
電力供給システム1aは、
図1に示すように、電源部10a、10b、10c、10d、ダイオード20a、20b、20c、20d、切り替え部30a、30b、30c、30d、30e、30f、切り替え指示部40、ソケット50a、50b、50c、50dを備える。なお、電源部10a、10b、10c、10dを総称して、電源部10ということがある。ダイオード20a、20b、20c、20dを総称して、ダイオード20ということがある。切り替え部30a、30b、30c、30d、30e、30fを総称して、切り替え部30ということがある。ソケット50a、50b、50c、50dを総称して、ソケット50ということがある。
【0015】
電源部10aは、電力を送電する給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給可能な電力源である。電源部10bは、電力を送電する給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給可能な電力源である。電源部10cは、電力を送電する給電ラインL3を介してソケット50cに電力を供給可能な電力源である。電源部10dは、電力を送電する給電ラインL4を介してソケット50dに電力を供給可能な電力源である。
【0016】
ダイオード20aは、電源部10aの出力に接続される。ダイオード20bは、電源部10bの出力に接続される。ダイオード20cは、電源部10cの出力に接続される。ダイオード20dは、電源部10dの出力に接続される。ダイオード20のそれぞれは、接続された電源部10に外部から電流が逆流することを防止する。
【0017】
切り替え部30aは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL1と給電ラインL2との間の状態を接続状態または遮断状態にする。切り替え部30bは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL1と給電ラインL3との間の状態を接続状態または遮断状態にする。切り替え部30cは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL1と給電ラインL4との間の状態を接続状態または遮断状態にする。切り替え部30dは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL2と給電ラインL3との間の状態を接続状態または遮断状態にする。切り替え部30eは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL2と給電ラインL4との間の状態を接続状態または遮断状態にする。切り替え部30fは、切り替え指示部40による制御の下、給電ラインL3と給電ラインL4との間の状態を接続状態または遮断状態にする。例えば、切り替え部30のそれぞれは、切り替え指示部40から、制御信号としてオン信号を受けた場合に対応する2つの給電ラインの間の状態を接続状態にする。また、例えば、切り替え部30のそれぞれは、切り替え指示部40から、制御信号としてオフ信号を受けた場合に対応する2つの給電ラインの間の状態を遮断状態にする。切り替え部30は、例えば、制御信号に応じて第1端子と第2端子とが接続状態または遮断状態となるスイッチである。
【0018】
切り替え指示部40は、後述するソケット50からの通知に基づいて、切り替え部30それぞれにオン信号またはオフ信号の制御信号を出力する。切り替え指示部40は、この制御信号により、切り替え部30それぞれに対応する2つの給電ラインの間の状態を接続状態または遮断状態にする。なお、切り替え指示部40による切り替え部30それぞれに対応する2つの給電ラインの間の状態の制御の具体例については、後述する(電子機器が行う処理)において示す。
【0019】
ソケット50aは、論理回路1b1を搭載可能なソケットである。ソケット50bは、論理回路1b2を搭載可能なソケットである、ソケット50cは、論理回路1b3を搭載可能なソケットである。ソケット50dは、論理回路1b4を搭載可能なソケットである。ソケット50のそれぞれは、対応する論理回路1bが搭載された場合に、その搭載を検出する検出手段を備える。検出手段の例としては、論理回路1bが対応するソケット50に搭載された場合に論理回路1b内部に保存されている情報を読み出せた場合に論理回路1bが搭載されたと判定する検出手段、ソケット50におけるピンに流れる電流やインピーダンスが所定の状態になった場合に論理回路1bが搭載されたと判定する検出手段などが挙げられる。ソケット50のそれぞれは、対応する論理回路1bが搭載されたことを検出した場合、その検出を切り替え指示部40に通知する。なお、論理回路1bに、同一の種類の論理回路が含まれている場合、その同一の種類の論理回路1bに対応するソケット50のそれぞれは、その同一の種類の論理回路1bの何れも搭載可能である。
【0020】
論理回路1bのそれぞれは、対応するソケット50に搭載可能である。つまり、論理回路1bのそれぞれは、電力供給システム1aに対して、取り付けおよび取り外しが可能な論理回路である。
【0021】
(電子機器が行う処理)
次に、
図2および
図3を参照して、本開示の一実施形態による電子機器1が行う処理について説明する。
図2は、本開示の一実施形態による電子機器1が行う処理を説明するための第1の図である。
図3は、本開示の一実施形態による電子機器1が行う処理を説明するための第2の図である。
図2は、ソケット50のすべてに対応する論理回路1bが搭載されている電子機器1の状態を示している。
図3は、ソケット50aに論理回路1b1が搭載され、ソケット50bに論理回路1b2が搭載されている電子機器1の状態を示している。ユーザの使用状況によっては、
図3に示すように、電子機器1においてソケット50のすべてに対応する論理回路1bが搭載されているとは限らない。ここでは、
図2に示す電子機器1の状態から
図3に示す電子機器1の状態に変更された場合(すなわち、ソケット50のそれぞれに搭載される論理回路1bが変更された場合)の電力供給システム1aの状態の変更を説明することにより、電力供給システム1aにより論理回路1bに供給される電力の遮断が抑制されることを明らかにする。
【0022】
まず、
図2に示すソケット50のすべてに対応する論理回路1bが搭載されている電子機器1について説明する。ソケット50のすべてに対応する論理回路1bが搭載された場合、ソケット50のすべては、対応する論理回路1bが搭載されたことを切り替え指示部40に通知する。ソケット50のすべてに対応する論理回路1bが搭載された場合、電源部10aは、給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給する必要がある。また、電源部10bは、給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給する必要がある。また、電源部10cは、給電ラインL3を介してソケット50cに電力を供給する必要がある。また、電源部10dは、給電ラインL4を介してソケット50dに電力を供給する必要がある。よって、切り替え指示部40は、ソケット50それぞれからの通知に応じて、切り替え部30のすべてに制御信号としてオフ信号を出力する。これらの制御信号により、切り替え部30のそれぞれは、対応する2つの給電ラインの間の状態を遮断状態にする。その結果、電源部10aは、給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給する。また、電源部10bは、給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給する。また、電源部10cは、給電ラインL3を介してソケット50cに電力を供給する。また、電源部10dは、給電ラインL4を介してソケット50dに電力を供給する。
【0023】
なお、例えば、ソケット50それぞれからの通知内容と、切り替え部30のそれぞれへの制御信号の内容との対応関係を予めデータテーブルとして用意し、切り替え指示部40は、そのデータテーブルを参照することにより、制御信号を決定することができる。
【0024】
次に、
図3に示すソケット50aに論理回路1b1が搭載され、ソケット50bに論理回路1b2が搭載されている電子機器1について説明する。ソケット50aに論理回路1b1が搭載され、ソケット50bに論理回路1b2が搭載された場合、ソケット50aおよびソケット50bが、対応する論理回路1bが搭載されたことを切り替え指示部40に通知する。ソケット50aに論理回路1b1が搭載され、ソケット50bに論理回路1b2が搭載された場合、電源部10aは、給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給する必要がある。また、電源部10bは、給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給する必要がある。しかしながら、電源部10cは、給電ラインL3を介してソケット50cに電力を供給する必要がない。また、電源部10dは、給電ラインL4を介してソケット50dに電力を供給する必要がない。そのため、例えば、電源部10cを電源部10aの予備の電源部とすることが可能である。これは、給電ラインL1と給電ラインL3との間の状態を接続状態にすることにより実現できる。また、例えば、電源部10dを電源部10bの予備の電源部とすることが可能である。これは、給電ラインL2と給電ラインL4との間の状態を接続状態にすることにより実現できる。よって、切り替え指示部40は、ソケット50aおよびソケット50bそれぞれからの通知に応じて、切り替え部30a、30c、30d、30fのそれぞれに制御信号としてオフ信号を出力し、切り替え部30aおよび30eのそれぞれに制御信号としてオン信号を出力する。これらの制御信号により、切り替え部30a、30c、30d、30fのそれぞれは、対応する2つの給電ラインの間の状態を遮断状態にする。また、これらの制御信号により、切り替え部30aおよび30eのそれぞれは、対応する2つの給電ラインの間の状態を接続状態にする。その結果、電源部10aは、給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給する。また、電源部10bは、給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給する。また、電源部10cは、給電ラインL3、切り替え部30b、および給電ラインL1を介してソケット50aに電力を供給する。また、電源部10dは、給電ラインL4、切り替え部30e、および給電ラインL2を介してソケット50bに電力を供給する。
【0025】
以上、本開示の実施形態による電子機器1について説明した。電子機器1において、電力供給システム1aは、複数の給電ラインL1、L2,L3、L4、切り替え指示部40を備える。給電ラインL1、L2,L3、L4(複数の給電ラインの一例)は、1対1で対応する電源部10(電源の一例)に接続される。切り替え指示部40(制御手段の一例)は、複数の給電ラインL1、L2、L3,L4における任意の2つの間の接続状態を制御する。切り替え指示部40は、複数の給電ラインL1、L2、L3,L4のうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する。
【0026】
この電力供給システム1aにより、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能な電子機器において、回路に供給される電力が遮断されることを抑制することができる。
【0027】
なお、本開示の一実施形態による電子機器1は、ソケット50a、50b、50c、50dを備えるものとして説明した。しかしながら、本開示の別の実施形態による電子機器1は、ソケット50a、50b、50c、50dの一部または全部に代わって、半田付けなどにより面実装できる基板上のパターンを備えるものであってもよい。そして、そのパターンにより論理回路1bが電子機器1の電力供給システム1aに搭載されるものであってもよい。この場合、このパターンに、論理回路1bが搭載されたと判定する検出手段が設けられるものであってよい。
【0028】
また、本開示の別の実施形態による電子機器1において、電力供給システム1aは、電源部10a、10b、10c、10d、ダイオード20a、20b、20c、20d、切り替え部30a、30b、30c、30d、30e、30f、切り替え指示部40、ソケット50a、50b、50c、50dを備え、さらに、システム管理部60を備えるものであってもよい。
図4は、本開示の別の実施形態による電子機器1の構成の一例を示す図である。システム管理部60は、ソケット50のそれぞれに対応する論理回路1bが搭載されているか否かに関わらず、切り替え指示部40に対して、切り替え部30のそれぞれに出力する制御信号を任意に設定することができる。その結果、複数の給電ライン(例えば、給電ラインL1、L2、L3、L4)における任意の2つの間の接続状態を、任意に設定することが可能になる。
【0029】
例えば、ソケット50のそれぞれに、対応する論理回路1bが搭載されているものとする。しかしながら、ソケット50bに搭載されている論理回路1b2の機能を無効にし、かつソケット50dに搭載されている論理回路1b4の機能を無効にしているものとする。この場合、電源部10bは、給電ラインL2を介してソケット50cに電力を供給する必要がない。また、電源部10dは、給電ラインL4を介してソケット50dに電力を供給する必要がない。そのため、例えば、電源部10bを電源部10aの予備の電源部とし、電源部10dを電源部10cの予備の電源部とすることが可能である。電源部10bを電源部10aの予備の電源部とし、電源部10dを電源部10cの予備の電源部とするには、切り替え指示部40は、切り替え部30aおよび切り替え部30fに制御信号としてオン信号を出力し、切り替え部30b、30c、30d、30eに制御信号としてオフ信号を出力すればよい。よって、この場合、システム管理部60は、切り替え部30aおよび切り替え部30fに制御信号としてオン信号を出力させ、切り替え部30b、30c、30d、30eに制御信号としてオフ信号を出力させる指示を、切り替え指示部40に出力すればよい。そして、切り替え指示部40は、システム管理部60による指示に応じて、切り替え部30aおよび切り替え部30fに制御信号としてオン信号を出力し、切り替え部30b、30c、30d、30eに制御信号としてオフ信号を出力すればよい。その結果、この場合、電源部10bを電源部10aの予備の電源部とし、電源部10dを電源部10cの予備の電源部とすることができる。
【0030】
図5は、本開示の実施形態による電力供給システム1aの最小構成を示す図である。電力供給システム1aは、
図5に示すように、複数の給電ライン100、制御手段200を備える。複数の給電ライン100のそれぞれは、1対1で対応する電源に接続される。制御手段200は、前記複数の給電ライン100における任意の2つの間の接続状態を制御する制御手段であって、前記複数の給電ライン100のうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する。複数の給電ライン100は、例えば、
図1に例示されている給電ラインL1~L2が有する機能を用いて実現することができる。制御手段200は、例えば、
図1に例示されている切り替え指示部40が有する機能を用いて実現することができる。
【0031】
図6は、本開示の実施形態による最小構成の電力供給システム1aの処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の電力供給システム1aの処理について
図6を参照して説明する。
【0032】
複数の給電ライン100のそれぞれは、1対1で対応する電源に接続される(ステップS101)。制御手段200は、前記複数の給電ライン100における任意の2つの間の接続状態を制御する制御手段であって、前記複数の給電ライン100のうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する(ステップS102)。
【0033】
以上、本開示の実施形態による最小構成の電力供給システム1aについて説明した。この電力供給システム1aにより、互いに独立した情報処理を行う複数の回路を搭載可能な電子機器において、回路に供給される電力が遮断されることを抑制することができる。
【0034】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0035】
本開示の実施形態について説明したが、上述の電子機器1、電力供給システム1a、切り替え指示部40、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0036】
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、
図7に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0037】
例えば、上述の電子機器1、電力供給システム1a、切り替え指示部40、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0038】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0039】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【0041】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0042】
(付記1)
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインと、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御する制御手段であって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する制御手段と、
を備える電力供給システム。
【0043】
(付記2)
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間に設けられ、前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の状態を接続状態または遮断状態に切り替える切り替え手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記切り替え手段を制御することにより、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する、
付記1に記載の電力供給システム。
【0044】
(付記3)
前記切り替え手段は、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つのうちの一方に接続される第1端子と、前記複数の給電ラインにおける任意の2つのうちの他方に接続される第2端子を有し、前記制御手段による制御に応じて、前記第1端子と前記第2端子との間の状態が接続状態または遮断状態となるスイッチである、
付記2に記載の電力供給システム。
【0045】
(付記4)
前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出可能な検出手段であって、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出した場合、前記複数の給電ラインの少なくとも1つに接続されている論理回路を検出したことを前記制御手段に通知する検出手段、
を備え、
前記制御手段は、
前記検出手段による通知に基づいて、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続する、
付記1から付記3の何れか1つに記載の電力供給システム。
【0046】
(付記5)
付記1から付記4の何れか1つに記載の電力供給システムと、
前記複数の給電ラインのうち、対応する給電ラインそれぞれに1対1で接続される1つまたは複数の論理回路と、
を備える電子機器。
【0047】
(付記6)
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムが実行する処理方法であって、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続すること、
を含む処理方法。
【0048】
(付記7)
1対1で対応する電源に接続された複数の給電ラインを備える電力供給システムのコンピュータに、
前記複数の給電ラインにおける任意の2つの間の接続状態を制御することであって、前記複数の給電ラインのうち、論理回路が接続されていない給電ラインを、論理回路が接続されている給電ラインに接続すること、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0049】
1・・・電子機器
1a・・・電力供給システム
1b・・・論理回路
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・電源部
20・・・ダイオード
30・・・切り替え部
40・・・切り替え指示部
50・・・ソケット
L1、L2、L3、L4・・・給電ライン
100・・・複数の給電ライン
200・・・制御手段