(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】器具外乱補償のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20241001BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179250
(22)【出願日】2022-11-09
(62)【分割の表示】P 2021078666の分割
【原出願日】2015-10-27
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2014-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スワラップ,ニティシュ
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,ポール ジー
(72)【発明者】
【氏名】リンチ,ゴーラン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ダニエル
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-502768(JP,A)
【文献】特表2016-516487(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0013336(US,A1)
【文献】特開2003-299674(JP,A)
【文献】国際公開第2014/146107(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/048957(WO,A1)
【文献】特開2013-252427(JP,A)
【文献】特開平05-138583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0013764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085510(US,A1)
【文献】特開2012-005557(JP,A)
【文献】特開2011-212837(JP,A)
【文献】特許第6676061(JP,B2)
【文献】特許第7128224(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
B25J 13/00
B25J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援装置であって:
イメージング装置を支持するように構成された第1の多関節アームと、
エンドエフェクタを有する器具を支持するように構成された第2の多関節アーム
であって、前記第2の多関節アームは、1つ又は複数のジョイントと、前記第2の多関節アームの前記1つ又は複数のジョイントと関連付けられた1つ又は複数のアクチュエータとを有する、第2の多関節アームと、
前記第1の多関節アーム及び前記第2の多関節アームに結合される制御ユニットと、を有し、
前記制御ユニットは:
第1の時間における前記イメージング装置の第1の位置に基づいている第1の基準フレームを設定し、
前記第1の時間の後:
第1の外乱が前記イメージング装置を前記第1の位置から離れて動かすように、前記第1の外乱が前記第1の多関節アームの少なくとも1つのジョイントを動かすことを許容
するために1つ又は複数の第1のブレーキの解放を引き起こし、前記1つ又は複数の第1のブレーキの各ブレーキは、前記少なくとも1つのジョイントのそれぞれのジョイントに関連付けられ、前記第1の外乱は、前記1つ又は複数の第1のブレーキの前記解放、台の運動、又はオペレータによる前記第1の多関節アームの手動運動によって引き起こされ、
前記イメージング装置が前記第1の位置から離れて動いた後に
、前記エンドエフェクタを動かすコマンドを受信
し、前記コマンドは、前記第1の時間における前記イメージング装置の前記第1の位置に基づいて設定された前記第1の基準フレームに対する前記エンドエフェクタの動きを示し、
前記第1の基準フレームに対して前記エンドエフェクタを動かす前記コマンドを前記エンドエフェクタに対する基準フレームに対して前記エンドエフェクタを動かすコマンドに変換し、
変換された前記コマンドに基づいて前記第2の多関節アームの前記1つ又は複数のアクチュエータの各アクチュエータにそれぞれの駆動コマンドを送信する、
ように構成される、
コンピュータ支援装置。
【請求項2】
前記制御ユニットはさらに:
第2の外乱が前記第2の多関節アームの1つ又は複数の第1のジョイントを動かすことを許容
するために1つ又は複数の第2のブレーキの解放を引き起こし、
前記第2の外乱によって生じる前記エンドエフェクタに対する運動を減少させるように、前記第2の多関節アームの1つ又は複数の第2のジョイントに関連付けられる1又は複数のそれぞれのアクチュエータの各アクチュエータにそれぞれのコマンドを送信
し、前記1つ又は複数の第2のブレーキの各ブレーキは、前記第2の多関節アームの前記1つ又は複数の第1のジョイントのそれぞれのジョイントに関連付けられ、前記第2の外乱は、前記1つ又は複数の第2のブレーキの前記解放、前記台の前記運動、又は前記オペレータによる前記第2の多関節アームの手動運動によって引き起こされる、
ように構成される、
請求項
1に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項3】
前記制御ユニットはさらに:
第1のセーブされた変換を決定し、前記第1のセーブされた変換は、前記第2の外乱が前記1つ又は複数の第1のジョイントのあるジョイントの位置に変化を生じさせる前の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ2つの座標フレーム間にあり、前記第2の外乱が前記変化を生じさせる前の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記コンピュータ支援装置に関連付けられた基準座標フレームに対して定められ;
前記1つ又は複数の第2のジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間の第2のセーブされた変換を決定し、前記1つ又は複数の第2のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記基準座標フレームに対して定められ;
第3の変換を決定し、前記第3の変換は、前記第2の外乱が前記変化を生じさせた後の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間にあり、前記第2の外乱が前記変化を生じさせた後の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記基準座標フレームに対して定められ;
前記変化によって生じる前記第2の多関節アームの関心のあるポイントの予測動作を:
前記第1及び前記第2のセーブされた変換に基づく前記関心のあるポイントについての外乱を受けていない位置と、前記第2のセーブされた変換及び前記第3の変換に基づく前記関心のあるポイントの予測位置との間の差を計算することによって、
決定する;
ように構成される、
請求項
2に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項4】
前記制御ユニットはさらに:
前記予測動作の並進運動部分のパーセンテージとしてエラー訂正された予測動作を生成
し;
前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記1つ又は複数の第2のジョイントに関連付けられた1つ又は複数のそれぞれのアクチュエータの各々にそれぞれのコマンドを送信する;
ように構成される、
請求項
3に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項5】
前記制御ユニットはさらに:
前記予測動作の回転運動部分のパーセンテージとしてエラー訂正された予測動作を生成
し;
前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記1つ又は複数の第2のジョイントに関連付けられた1つ又は複数のそれぞれのアクチュエータの各々にそれぞれのコマンドを送信する;
ように構成される、
請求項
3に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項6】
前記制御ユニットはさらに:
前記1つ又は複数の第2のジョイントの構成に基づいて前記エラー訂正された予測動作の速度を調整する、
ように構成される、
請求項
4又は
5に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項7】
コンピュータ支援装置の作動方法であって、前記コンピュータ支援装置は、イメージング装置を支持するように構成された第1の多関節アームと、エンドエフェクタを有する器具を支持するように構成された第2の多関節アームと、制御ユニットと、を有し、前記作動方法は:
前記制御ユニットが、第1の時間における前記イメージング装置の第1の位置に基づいている第1の基準フレームを設定するステップと;
前記第1の時間の後:
第1の外乱
が前記イメージング装置を前記第1の位置から離れて動かすように、
前記制御ユニットが、前記第1の外乱が前記第1の多関節アームの少なくとも1つのジョイントを動かすことを許容する
ために1つ又は複数の第1のブレーキの解放を引き起こすステップ
であって、前記1つ又は複数の第1のブレーキの各ブレーキは、前記少なくとも1つのジョイントのそれぞれのジョイントに関連付けられ、前記第1の外乱は、前記1つ又は複数の第1のブレーキの前記解放、台の運動、又はオペレータによる前記第1の多関節アームの手動運動によって引き起こされる、ステップと;
前記制御ユニットが、前記イメージング装置が前記第1の位置から離れて動いた後に
、前記エンドエフェクタを動かすコマンドを受信するステップ
であって、前記コマンドは、前記第1の時間における前記イメージング装置の前記第1の位置に基づいて設定された前記第1の基準フレームに対する前記エンドエフェクタの動きを示す、ステップと;
前記制御ユニットが、前記第1の基準フレームに対して前記エンドエフェクタを動かす前記コマンドを前記エンドエフェクタに対する基準フレームに対して前記エンドエフェクタを動かすコマンドに変換するステップと;
前記制御ユニットが、変換された前記コマンドに基づいて前記第2の多関節アームの1つ又は複数のジョイントに関連付けられた1つ又は複数のアクチュエータの各アクチュエータにそれぞれの駆動コマンドを送信するステップと;
を含む、
作動方法。
【請求項8】
前記制御ユニットが、第2の外乱が前記第2の多関節アームの1つ又は複数の第1のジョイントを動かすことを許容する
ために1つ又は複数の第2のブレーキの解放を引き起こすステップ
であって、前記1つ又は複数の第2のブレーキの各ブレーキは、前記第2の多関節アームの前記1つ又は複数の第1のジョイントのそれぞれのジョイントに関連付けられ、前記第2の外乱は、前記1つ又は複数の第2のブレーキの前記解放、前記台の前記運動、又は前記オペレータによる前記第2の多関節アームの手動運動によって引き起こされる、ステップと;
前記制御ユニットが、前記第2の外乱によって生じる前記エンドエフェクタに対する運動を減少させるように、前記第2の多関節アームの1つ又は複数の第2のジョイントに関連付けられる1又は複数のアクチュエータの各アクチュエータにそれぞれのコマンドを送信するステップと;
をさらに含む、
請求項
7に記載の作動方法。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記第2の外乱が前記1つ又は複数の第1のジョイントのあるジョイントの位置に変化を生じさせる前の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ2つの座標フレーム間の第1のセーブされた変換を決定するステップであって、前記第2の外乱が前記変化を生じさせる前の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記コンピュータ支援装置に関連付けられた基準座標フレームに対して定められる、ステップと;
前記制御ユニットが、前記1つ又は複数の第2のジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間の第2のセーブされた変換を決定するステップであって、前記1つ又は複数の第2のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記基準座標フレームに対して定められる、ステップと;
前記制御ユニットが、第3の変換を決定するステップであって、前記第3の変換は、前記第2の外乱が前記変化を生じさせた後の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間にあり、前記第2の外乱が前記変化を生じさせた後の前記1つ又は複数の第1のジョイントに及ぶ前記2つの座標フレームの各座標フレームは、前記基準座標フレームに対して定められる、ステップと;
前記制御ユニットが、前記変化によって生じる前記第2の多関節アームの関心のあるポイントの予測動作を:
前記第1及び前記第2のセーブされた変換に基づく前記関心のあるポイントについての外乱を受けていない位置と、前記第2のセーブされた変換及び前記第3の変換に基づく前記関心のあるポイントの予測位置との間の差を計算することによって、
決定する、ステップと;
をさらに含む、
請求項
8に記載の作動方法。
【請求項10】
前記制御ユニットが
、前記予測動作の並進運動部分又は回転運動部分
のパーセンテージとしてエラー訂正された予測動作を生成するステップと;
前記制御ユニットが、前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記1つ又は複数の第2のジョイントに関連付けられた1つ又は複数のそれぞれのアクチュエータの各々にそれぞれのコマンドを送信するステップと;
をさらに含む、
請求項
9に記載の作動方法。
【請求項11】
コンピュータ支援装置に関連付けられる1又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記1又は複数のプロセッサに請求項
8乃至
10のいずれか1項に記載の作動方法を実行させるように構成される複数の機械可読指令を含む非一時的機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本開示は、2014年10月27日に出願された"System and Method for Integrated Operating Table"と題する米国仮出願第62/069,245号及び2015年3月17日に出願された"System and Method for Reducing Tool Disturbances"と題する米国仮特許出願第62/134,212号の優先権を主張し、これらの両方は、それらの全部が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は概して、多関節アーム(articulated arms)を備える装置の動作に関し、より具体的には、器具姿勢に対する外乱を減少させることに関する。
【背景技術】
【0003】
ますます多くの装置が自律的及び半自律的電子デバイスに置き換えられている。これは特に、手術室、介入室、集中治療病棟、救急室等で見出される自律的及び半自律的電子デバイスの大規模アレイを備える今日の病院において当てはまる。例えば、ガラス温度計及び水銀温度計が電子体温計に置き換えられており、静脈内点滴ラインは今や電子モニタ及び流量調整器を含み、従来の手持ち式手術器具は、コンピュータ支援医療装置によって置き換えられている。
【0004】
これらの電子デバイスは、それらを操作する人に利点及び課題の両方をもたらす。これらの電子デバイスの多くは、1又は複数の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの自律又は半自律運動を行える可能性がある。これらの1又は複数の多関節アーム及びエンドエフェクタのそれぞれは、多関節アーム及びエンドエフェクタの動作をサポートするリンク及び多関節ジョイント(articulated joint)の組合せを含む。多くの場合、関節ジョイントは、リンクの遠位端部に位置する対応する器具並びに対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの関節ジョイントの所望の位置及び/又は向き(一括して、姿勢)を得るために、操作される。器具に近位の関節ジョイントのそれぞれは、対応する器具の位置及び/又は向きを操作するために使用される可能性がある少なくとも1自由度を持つ対応する多関節アーム及び/エンドエフェクタを提供する。多くの場合、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタは、対応する器具のx、y、及びz位置(一括して、並進運動と称される)並びに対応する器具のロール、ピッチ、及びヨーの向き(一括して、回転運動と称される)を制御することを可能にする少なくとも6自由度を含む可能性がある。対応する器具の姿勢の制御におけるより大きい柔軟性を提供するために、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタはしばしば、冗長自由度を含むように設計される。冗長自由度が存在するとき、関節ジョイントの位置及び/又は向きの多数の異なる組合せが、対応する器具の同じ姿勢を得るために使用されてよいことが可能である。
【0005】
多関節アームを備える装置が医療処置のために使用されるとき、器具及び/又は他のエンドエフェクタが患者の内部の解剖学的構造への処置を実行するために利用されることができるようにポート部位(port site)で患者とドッキングされることがあることは珍しくない。処置に応じて、多関節アームの少なくとも一部を再位置決めするために多関節アームの1又は複数のジョイントのロック及び/又はブレーキを解放することが望ましいことがある。ロック及び/又はブレーキが解放されるとき、これは、多関節アームの位置及び/又は向きの、より重要なことには患者の中に位置する器具及び/又はエンドエフェクタの先端の、望ましくない運動をもたらすことがある。この望ましくない運動は、患者への危害、多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの近くの人員への危害、多関節アーム及び/又はエンドエフェクタへの損傷、多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの近くの他の装置への損傷、滅菌野の破損、及び/又は他の望ましくない結果をもたらすかもしれない。
【0006】
したがって、ブレーキ及び/又はロックが多関節アームの1又は複数のジョイントにおいて解放されるとき、器具、多関節アーム、及び/又はエンドエフェクタの望ましくない運動に関して多関節アームの1又は複数のジョイントを訂正することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置は、多関節アームの第1のジョイントセット、多関節アームの第2のジョイントセット、第1のジョイントセット及び第2のジョイントセットに結合される制御ユニットを含む。幾つかの実施形態では、制御ユニットは、1又は複数のブレーキの解放によって生じる第1のジョイントセットに対する外乱を決定するとともに多関節アーム上の関心のあるポイントの位置に対する動作を減少させるよう第2のジョイントセットを使用して外乱を補償するように構成される。
【0008】
幾つかの実施形態と一致して、医療装置の動作を制御する方法は、外乱の前の医療装置の多関節アームの第1のジョイントセットに及ぶ(spanning)2つの座標フレームの間の変換である第1のセーブされる変換を決定するステップ;多関節アームの第2のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第2のセーブされる変換を決定するステップ;第1のジョイントセットの1又は複数のジョイントの位置を乱す外乱を受信するステップ;外乱の後の第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第3の変換を決定するステップ;及び外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップ、を含む。幾つかの例では、外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作は、第1及び第2のセーブされる変換に基づく第1の位置決定と第3の変換及び第2のセーブされる変換に基づく第2の位置決定との間の差を計算することを含む。
【0009】
幾つかの実施形態と一致して、医療装置の動作を制御する方法は、外乱の前の医療装置の多関節アームの第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第1のセーブされる変換を決定するステップ;多関節アームの第2のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第2のセーブされる変換を決定するステップ;第1のジョイントセットの1又は複数のジョイントの位置を乱す外乱を受信するステップ;外乱の後の第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第3の変換を決定するステップ;及び外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップ、を含む。幾つかの例では、外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップは、第1及び第2のセーブされる変換に基づく第1の位置決定と第3の変換及び第2のセーブされる変換に基づく第2の位置決定との間の差を計算するステップを含む。
【0010】
幾つかの実施形態と一致して、コンピュータ支援医療装置は、第1の時間におけるイメージング装置の位置に基づいている第1の基準フレームを設定し、第1の時間においてイメージング装置の位置から離れてイメージング装置を動かす第1の多関節アームに対する第1の外乱を許容し、エンドエフェクタを動かすコマンドを受信し、第1の基準フレームからのエンドエフェクタを動かすコマンドをエンドエフェクタに関する基準フレームにおいてエンドエフェクタを動かすコマンドに変換するように構成される。
【0011】
幾つかの実施形態と一致して、非一時的機械可読媒体は、複数の機械可読指令を含み、この指令は、医療装置に関連付けられる1又は複数のプロセッサによって実行されるとき、外乱の前の医療装置の多関節アームの第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第1のセーブされる変換を決定するステップ;多関節アームの第2のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第2のセーブされる変換を決定するステップ;第1のジョイントセットの1又は複数のジョイントの位置を乱す外乱を受けるステップ;外乱の後の第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第3の変換を決定するステップ;及び外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップ、を含む方法を1又は複数のプロセッサに実行させるように適合される。幾つかの例では、外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップは、第1及び第2のセーブされる変換に基づく第1の位置決定と第3の変換及び第2のセーブされる変換に基づく第2の位置決定との間の差を計算するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】幾つかの実施形態によるコンピュータ支援システムの簡略図である。
【
図2】幾つかの実施形態によるコンピュータ支援システムを示す簡略図である。
【
図3】幾つかの実施形態によるコンピュータ支援医療システムの運動学的モデルの簡略図である。
【
図4】多関節アームのブレーキの解放をずらす方法の簡略図である。
【
図5】第2のジョイントセットによる1又は複数のジョイントセットから関心あるポイントへの外乱を補償する方法の簡略図である。
【
図6A】例示的なカメラビュー及び座標系の斜視図を示す簡略図である。
【
図6B】センサの視点からのカメラビュー又はディスプレイ及び関連する座標系を示す簡略図である。
【
図7】多関節アームの1又は複数のジョイントへの外乱を補償しながらユーザコマンドに基づいて多関節アームを動かす方法の簡略図である。
【
図8A】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8B】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8C】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8D】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8E】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8F】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【
図8G】本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込む様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。
【0013】
図面において、同じ記号を有する要素は、同じ又は同様の機能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載では、本開示と一致する幾つかの実施形態を述べる具体的な詳細が説明される。しかしながら、幾つかの実施形態は、これらの具体的な詳細の幾つか又は全てがなくても実施できることは当業者には明らかであろう。本明細書に開示される具体的な実施形態は、例証であって限定ではないことが意図されている。当業者は、ここには具体的に記載されていない他の要素が本開示の範囲及び精神のなかにあることを認識するであろう。また、不必要な繰り返しを避けるために、1つの実施形態に関連して図示及び記載された1又は複数の特徴は、そうでないことが具体的に記載されていない限り又は1又は複数の特徴が実施態様を非機能的にしない限り、他の実施形態に組み込まれ得る。用語「~を含む(including)」は、含むことを意味するが、それに限定されるものではなく、含まれる1又は複数の個々のアイテムのそれぞれは、特に断りのない限り、オプションであるとみなされるべきである。同様に、用語「~し得る、~してもよい、~ことができる、~する可能性がある(may)」は、アイテムがオプションであることを示す。
【0015】
図1は、幾つかの実施形態によるコンピュータ支援システム100の簡略図である。
図1に示されるように、コンピュータ支援システム100は、1若しくは複数の可動又は多関節アーム120を持つ装置110を含む。1又は複数の多関節アーム120のそれぞれは、1又は複数のエンドエフェクタを支持する。幾つかの例では、装置110は、コンピュータ支援手術装置と一致し得る。1又は複数の多関節アーム120はそれぞれ、多関節アーム120の少なくとも1つの遠位端部に取り付けられる1又は複数の器具、手術器具、イメージング装置等の支持を提供する。幾つかの実施形態では、装置110及びオペレータワークステーションは、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商品化されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemに対応し得る。幾つかの実施形態では、他の形態、より少ない又はより多い多関節アーム等を持つコンピュータ支援手術装置が、コンピュータ支援システム100とともに使用され得る。
【0016】
装置110は、インタフェースを経由して制御ユニット130に結合される。インタフェースは、1又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含み得るとともに、さらに、1又は複数のネットワークスイッチング及び/又はルーティング装置を持つ1又は複数のネットワークを含み得る。制御ユニット130は、メモリ150に結合されたプロセッサ140を含む。制御ユニット130の動作は、プロセッサ140によって制御される。制御ユニット130は、1つのプロセッサ140のみを備えて示されているが、プロセッサ140は、制御ユニット130の中の1又は複数の中央処理装置、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、特定用途向け集積回路(ASICs)などの代表であり得ることが理解される。制御ユニット130は、独立型サブシステム及び/又はコンピューティングデバイスに追加されるボードとして、又は仮想マシンとして実装され得る。幾つかの実施形態では、制御ユニットは、オペレータワークステーションの部分として含まれ得る及び/又はオペレータワークステーションと別であるが、オペレータワークステーションと協調して動作され得る。制御ユニットの幾つかの例、例えば制御ユニット130は、1又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ140)によって実行されるとき、1又は複数のプロセッサに方法400のプロセスを実行させ得る実行可能コードを含む非一時的、有形機械可読媒体を含み得る。
【0017】
メモリ150は、制御ユニット130によって実行されるソフトウェア及び/又は制御ユニット130の動作中に使用される1又は複数のデータ構造を格納するために使用される。メモリ150は、1又は複数の種類の機械可読媒体を含み得る。機械可読媒体の幾つかの一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを持つ任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はそこからプロセッサ又はコンピュータが読むように適合される任意の他の媒体を含み得る。
【0018】
図示されるように、メモリ150は、装置110の自律及び/又は半自律制御をサポートする動作制御アプリケーション160を含む。動作制御アプリケーション160は、装置110から位置、動作、及び/又は他のセンサ情報を受信するための、他の装置に関する他の制御ユニットと位置、動作、及び/又は衝突回避情報を交換するための、並びに/又は、装置110、多関節アーム120、及び/又は装置110のエンドエフェクタの動作を計画する及び/又は計画の支援をするための、1又は複数のアプリケーションプログラミングインターフェース(APIs)を含み得る。動作制御アプリケーション160は、ソフトウェアアプリケーションとして描かれているが、動作制御アプリケーション160は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェアとソフトウェアの組合せを使用して実装され得る。
【0019】
幾つかの実施形態では、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入室の中で見つけられ得る。コンピュータ支援システム100は、2つの多関節アーム120を持つ1つの装置110のみを含んでいるが、当業者は、コンピュータ支援システム100が、装置110と同様の及び/又は装置110と異なる設計の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタを持つ任意の数の装置を含み得ることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、装置のそれぞれは、より少ない又はより多い多関節アーム及び/又はエンドエフェクタを含み得る。
【0020】
コンピュータ支援システム100はさらに手術台170を含む。1又は複数の多関節アーム120のように、手術台170は、手術台170のベースに対するテーブルトップ180の関節運動をサポートする。幾つかの例では、テーブルトップ180の関節運動は、テーブルトップ180の高さ、傾き、スライド、トレンデレンブルグ向き(Trendelenburg orientation)等を変えるためのサポートを含み得る。図示されていないが、手術台170は、1又は複数の制御入力部、例えば、テーブルトップ180の位置及び/又は向きを制御するための手術台コマンドユニット等を含み得る。幾つかの例では、手術台170は、ドイツのTrumpf Medical Systems GmbHによって商品化されている手術台の1又は複数に対応し得る。
【0021】
手術台170も、インタフェースを経由して制御ユニット130に結合される。インタフェースは、1又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含み得るとともに、さらに、1又は複数のネットワークスイッチング及び/又はルーティング装置を持つ1又は複数のネットワークを含み得る。幾つかの実施形態では、手術台170は、制御ユニット130と異なる制御ユニットに結合されてもよい。幾つかの例では、動作制御アプリケーション160は、手術台170及び/又はテーブルトップ180に関連付けられる位置、動作、及び/又は他のセンサ情報を受信するための1又は複数のアプリケーションプログラミングインターフェース(APIs)を含み得る。幾つかの例では、動作制御アプリケーション160は、多関節アーム、器具、エンドエフェクタ、手術台構成要素等の他の動作を補償するように、ジョイント及びリンクの可動域の制限、多関節アーム、器具、エンドエフェクタ、手術台構成要素等の運動に適応する及び/又は回避する、衝突回避に関連付けられる動作計画に寄与することができ、内視鏡のようなビューイング(viewing)装置を、関心領域及び/又は1又は複数の器具又はエンドエフェクタをビューイング装置の視野内に維持及び/又は配置するように、調整し得る。幾つかの例では、動作制御アプリケーション160は、手術台170及び/又はテーブルトップ180の動作を計画し得る及び/又は動作の計画を支援し得る。幾つかの例では、動作制御アプリケーション160は、例えば、手術台コマンドユニットの使用により手術台170及び/又はテーブルトップ180の運動を妨げることによって、手術台170及び/又はテーブルトップ180の動作を妨げ得る。幾つかの例では、動作制御アプリケーション160は、装置110と手術台170との間の幾何学的関係が分かるように、装置110を手術台170に位置合わせするのを補助し得る。幾つかの例では、幾何学的関係は、装置110及び手術台170に対して維持される座標フレーム間の並進及び/又は1又は複数の回転を含み得る。
【0022】
制御ユニット130はさらに、インタフェースを経由してオペレータワークステーション190に結合され得る。オペレータワークステーション190は、多関節アーム120及びエンドエフェクタの運動及び/又は操作を制御するために、オペレータ、例えば外科医によって使用され得る。多関節アーム120及びエンドエフェクタの操作をサポートするために、オペレータワークステーション190は、多関節アーム120及び/又はエンドエフェクタのうちの1又は複数の少なくとも一部の画像を表示するためのディスプレイシステム192を含む。例えば、ディスプレイシステム192は、多関節アーム120及び/又はエンドエフェクタが使用されているとき、オペレータが多関節アーム120及び/又はエンドエフェクタを見ることが非現実的及び/又は不可能であるときに使用され得る。幾つかの実施形態では、ディスプレイシステム192は、多関節アーム120のうちの1つ、又は第3の多関節アーム(図示せず)によって制御される、内視鏡のような、ビデオキャプチャ装置からのビデオ画像を表示する。
【0023】
オペレータワークステーション190は、装置110、多関節アーム120、及び/又は多関節アーム120に取り付けられたエンドエフェクタを操作するために使用され得る1又は複数の入力制御部195又はマスタ制御部195を持つコンソール作業空間を含む。入力制御部195のそれぞれは、入力制御部195の運動がオペレータワークステーション190によって検出されるとともに制御ユニット130に伝達されるように、それら自身の多関節アームの遠位端部に結合され得る。改良された人間工学を提供するために、コンソール作業空間はまた、オペレータが、入力制御部195を操作する間に腕を置くことができる、アームレスト197のような、1又は複数のレスト(rest)も含み得る。幾つかの例では、ディスプレイシステム192及び入力制御部195は、多関節アーム120及び/又は多関節アーム120に取り付けられたエンドエフェクタを遠隔操作するために、オペレータによって使用され得る。幾つかの実施形態では、装置110、オペレータワークステーション190、及び制御ユニット130は、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商品化されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemに対応し得る。
【0024】
幾つかの実施形態では、他の構成及び/又はアーキテクチャが、コンピュータ支援システム100とともに使用され得る。幾つかの例では、制御ユニット130は、オペレータワークステーション190及び/又は装置110の一部として含まれ得る。幾つかの実施形態では、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入室で見つけられ得る。コンピュータ支援システム100は、2つの多関節アーム120を持つ1つの装置110のみを含んでいるが、当業者は、コンピュータ支援システム100が、装置110と同様の及び/又は装置110と異なる設計の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタを持つ任意の数の装置を含み得ることを理解するであろう。幾つかの例では、装置のそれぞれは、より少ない又はより多い多関節アーム120及び/又はエンドエフェクタを含み得る。そのうえ、装置110に取り付けられ得る追加のアームを制御するために追加のワークステーション190があり得る。そのうえ、幾つかの実施形態では、ワークステーション190は、手術台170を制御するための制御部を有し得る。
【0025】
図2は、幾つかの実施形態によるコンピュータ支援システム200を示す簡略化された図であるコンピュータ支援システム200は、コンピュータ支援システム100と一致し得る。
図2に示されるように、コンピュータ支援システム200は、1又は複数の多関節アームを備えるコンピュータ支援装置210及び手術台280を含む。
図2に示されていないが、コンピュータ支援装置210及び手術台280は、手術台280に関する少なくとも運動学的情報がコンピュータ支援装置210の多関節アームの動作を実行するために使用される動作制御アプリケーションに知られるように、1又は複数のインタフェース及び1又は複数の制御ユニットを用いて一緒に結合される。
【0026】
コンピュータ支援装置210は、様々なリンク及びジョイントを含む。
図2の実施形態では、コンピュータ支援装置は概して、リンク及びジョイントの3つの異なるセットに分けられる。近位端部で可動カート215又は患者側カート215から始まっているのは、セットアップ構造220である。セットアップ構造の遠位端部に結合されるのは、多関節アームを形成する一連のリンク及びセットアップジョイント240である。そして。セットアップジョイント240の遠位端部に結合されるのは、多ジョイントマニピュレータ260である。幾つかの例では、一連のセットアップジョイント240及びマニピュレータ260は、多関節アーム120の1つに対応し得る。コンピュータ支援システムは、1つの一連のセットアップジョイント240及び対応するマニピュレータ260だけを伴って示されているが、当業者は、コンピュータ支援システムが、多数の多関節アームを備えるように、1より多い一連のセットアップジョイント240及び対応するマニピュレータ260を含み得ることを理解するであろう。
【0027】
図示されるように、コンピュータ支援装置210は、可動カート215に取り付けられる。可動カート215は、コンピュータ支援装置210が、手術台280の近くでコンピュータ支援装置をより良く位置決めするように、場所から場所に、例えば、手術室の間で又は手術室の中で、移送されることを可能にする。セットアップ構造220は、可動カート215に取り付けられる。
図2に示されるように、セットアップ構造220は、コラム(column)リンク221及び222を含む2部分コラムを含む。コラムリンク222の上方又は遠位端部に結合されるのは、ショルダジョイント223である。ショルダジョイント223に結合されるのは、ブームリンク224及び225を含む2部分ブームである。ブームリンク225の遠位端部には、手首ジョイント226があり、手首ジョイント226に結合されるのは、アーム取付プラットフォーム227である。
【0028】
セットアップ構造220のリンク及びジョイントは、アーム取付プラットフォーム227の位置及び向き(すなわち、姿勢)を変更するための様々な自由度を含む。例えば、2部分コラムは、ショルダジョイント223を軸232に沿って上下に動かすことによりアーム取付プラットフォーム227の高さを調整するために使用される。アーム取付プラットフォーム227はさらに、ショルダジョイント223を用いて可動カート215、2部分コラム、及び軸232周りに回転される。アーム取付プラットフォーム227の水平位置は、2部分ブームを用いて軸234に沿って調整される。そして、アーム取付プラットフォーム227の向きもまた、手首ジョイント226を用いてアーム取付プラットフォーム配向軸236周りの回転によって調整され得る。したがって、セットアップ構造220内のリンク及びジョイントの動作制限を条件として、アーム取付プラットフォーム227の位置は、2部分コラムを用いて、可動カート215の上で垂直方向に調整され得る。アーム取付プラットフォーム227の位置はまた、2部分ブーム及びショルダジョイント223それぞれを用いて、移動カート215の周りに半径方向及び角度方向に調整され得る。そして、アーム取付プラットフォーム227の角度方向(angular orientation)もまた、手首ジョイント226を用いて変更され得る。
【0029】
アーム取付プラットフォーム227は、1又は複数の多関節アームの取付けポイントとして使用される。可動カート215の周りでアーム取付プラットフォーム227の高さ、水平位置、及び向きを調整する能力は、手術又は処置が行われる可動カート215の近くに位置する作業スペースの周りに1又は複数の多関節アームを位置決めする及び向き合せするためのフレキシブルなセットアップ構造を提供する。例えば、アーム取付プラットフォーム227は、様々な多関節アーム並びにこれらの対応するマニピュレータ及び器具が患者に外科処置を行うのに十分な可動域を有するように、患者の上に位置決めされ得る。
図2は、第1のセットアップジョイント242を用いてアーム取付プラットフォーム227に結合された単一の多関節アームを示している。1つの多関節アームのみが示されているが、当業者は、多数の関節式アームが、追加の第1のセットアップジョイントを用いてアーム取付プラットフォーム227に結合され得ることを理解するであろう。
【0030】
第1のセットアップジョイント242は、患者側カート215の最も近位にある多関節アームのセットアップジョイント240セクションを形成する。セットアップジョイント240はさらに、一連のジョイント及びリンクを含み得る。
図2に示されるように、セットアップジョイント240は、1又は複数のジョイント(明示的には図示せず)を介して結合されるリンク244及び246を含む。セットアップジョイント240のジョイント及びリンクは、第1のセットアップジョイント242を用いて、アーム取付プラットフォーム227に対してセットアップジョイント240を軸252の周りに回転させ、第1のセットアップジョイント242とリンク246との間の半径方向及び水平方向距離を調整し、軸254に沿ったアーム取付プラットフォーム227に対するリンク246の遠位端部におけるマニピュレータ取付部262の高さを調整し、マニピュレータ取付部262を軸254の周りに回転させる能力を含む。いくつかの例では、セットアップジョイント240はさらに、アーム取付プラットフォーム227に対するマニピュレータ取付部262の姿勢を変更するために、追加の自由度を可能にする追加のジョイント、リンク、及び軸をさらに含み得る。
【0031】
マニピュレータ260は、マニピュレータ取付部262を介してセットアップジョイント240の遠位端部に結合される。マニピュレータ260は、マニピュレータ260の遠位端部に取り付けられた器具キャリッジ268を持つ追加のジョイント264及びリンク266を含む。器具270が、器具キャリッジ268に取り付けられる。器具270は、挿入軸に沿って整列されるシャフト272を含む。シャフト272は、典型的には、動作の遠隔中心(remote center)274を通過するように整列される。動作の遠隔中心274の位置は、典型的には、マニピュレータ260のジョイント264の動作が、動作の遠隔中心274の周りでシャフト272の回転を生じさせるように、マニピュレータ取付部262に対して固定された並進関係(fixed translational relation)に維持される。実施形態に応じて、マニピュレータ取付部262に対する動作の遠隔中心274の固定された並進関係は、マニピュレータ260のジョイント264及びリンク266の物理的な拘束を用いて、ジョイント264に許容される動作に置かれるソフトウェア拘束を用いて、及び/又はこれら両方の組合せを用いて、維持される。ジョイント及びリンクの物理的な拘束を用いて維持される動作の遠隔中心を使用するコンピュータ支援手術装置の代表的な実施形態は、2013年5月13日に出願された、”Redundant Axis and Degree of Freedom for Hardware-Constrained Remote Center Robotic Manipulator”と題する米国特許出願第13/906,888号に記載され、ソフトウェア拘束によって維持される動作の遠隔中心を使用するコンピュータ支援手術装置の代表的な実施形態は、2005年5月19日に出願された、”Software Center and Highly Configurable Robotic Systems for Surgery and Other Uses”と題する米国特許第8,004,229号に記載されており、これらの明細書はその全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの例では、動作の遠隔中心274は、患者278の切開部又は開口部のような体の開口部の位置に対応し得る。器具270が使用されるとき、動作の遠隔中心274は体の開口部に対応しているので、動作の遠隔中心274は、動作の遠隔中心274での患者278の解剖学的構造へのストレスを制限するために、患者278に対して静止したままである。いくつかの例では、シャフト272は、体の開口部に位置するカニューレ(図示せず)を通過し得る。いくつかの例では、比較的大きなシャフト又はガイドチューブ外径(例えば、4-5mm以上)を有する器具は、カニューレを用いて身体開口部を通過し得るが、カニューレは、オプションで、比較的小さなシャフト及びガイドチューブ外径(例えば、2-3mm以下)を有する器具では省略され得る。
【0032】
シャフト272の遠位端部には、エンドエフェクタ276がある。ジョイント264及びリンク266によるマニピュレータ260の自由度は、マニピュレータ取付部262に対するシャフト272及び/又はエンドエフェクタ276の少なくともロール、ピッチ、及びヨーの制御を可能にし得る。いくつかの例では、マニピュレータ260の自由度はさらに、エンドエフェクタ276が、挿入軸に沿って且つ動作の遠隔中心274に対して前進及び/又は後退させられ得るように、器具キャリッジ268を用いてシャフト272を前進及び/又は後退させる能力を含み得る。いくつかの例では、マニピュレータ260は、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商品化されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemと共に使用するためのマニピュレータと一致し得る。いくつかの例では、器具270は、内視鏡のようなイメージング装置、把持器、焼灼器具又は手術用メスのような手術用器具等であり得る。いくつかの例では、エンドエフェクタ276は、シャフト272の遠位端部に対するエンドエフェクタ276の部分の更なる局所的な操作を可能にする、ロール、ピッチ、ヨー、把持のような追加の自由度を含み得る。
【0033】
手術又は他の医療処置中に、患者278は、通常、手術台280上に配置される。手術台280は、テーブルベース282及びテーブルトップ284を含み、テーブルベース282は、器具270のシャフト272が体の開口部で患者278の中に挿入されている間に器具270及び/又はエンドエフェクタ276がコンピュータ支援装置210によって操作されるように、移動カート215に近接して位置する。手術台280はさらに、テーブルベース282に対するテーブルトップ284、したがって患者278の相対位置が制御されるように、テーブルベース282とテーブルトップ284との間に1又は複数のジョイント又はリンクを含む多関節構造290を含む。いくつかの例では、多関節構造290は、テーブルトップ284が、テーブルトップ284の上の点に位置し得る仮想的に規定されるテーブル動作アイソセンタ286に対して制御されるように構成され得る。いくつかの例では、アイソセンタ286は、患者278の内部に位置し得る。いくつかの例では、アイソセンタ286は、動作の遠隔中心274に対応する体の開口部位(body opening site)のような体の開口部のうちの1つ又はその近くで、患者の身体壁と共に配置され得る。
【0034】
図2に示されるように、多関節構造290は、テーブルトップ284がテーブルベース282に対して上昇及び/又は下降され得るように高さ調整ジョイント292を含む。多関節構造290はさらに、アイソセンタ286に対するテーブルトップ284の傾斜294及びトレンデレンブルグ296向きの両方を変更させるジョイント及びリンクを含む。傾斜294は、患者278の右側又は左側のいずれかが、患者278の他方の側に対して上方に(すなわち、テーブルトップ284の長手方向又は頭部からつま先の軸の周りに)回転されるように、テーブルトップ284が左右に傾けられることを可能にする。トレンデレンブルグ296は、患者278の足を持ち上げる(トレンデレンブルグ)か、又は患者278の頭部を持ち上げる(逆トレンデレンブルグ)ようにテーブルトップ284が回転されることを可能にする。いくつかの例では、傾斜294及び/又はトレンデレンブルグ296回転のいずれかは、アイソセンタ286の周りの回転を生じるように、調整され得る。多関節構造290はさらに、
図2に示されるような概して左及び/又は右の動作でテーブルベース282に対してテーブルトップ284を長手方向(頭蓋から尾骨)軸に沿って摺動させる追加のリンク及びジョイント298を含む。
【0035】
図8A-
図8Gは、本明細書に記載される統合コンピュータ支援装置及び可動手術台機構を組み込んだ様々なコンピュータ支援装置システムアーキテクチャを示す単純化された概略図である。様々な図示されるシステム構成要素は、本明細書に記載される原理に従う。これらの図では、構成要素は明瞭化のために簡略化されており、個々のリンク、ジョイント、マニピュレータ、器具、エンドエフェクタ等のような様々な詳細は示されていないが、これら様々な詳細は、様々な図示された構成要素に組み込まれることが理解されるべきである。
【0036】
これらのアーキテクチャでは、1又は複数の手術器具又は器具のクラスタ(cluster)に関連付けられるカニューレは示されていないが、カニューレ及び他の器具ガイド装置は、オプションで比較的大きいシャフト又はガイドチューブの外径(例えば、4-5mm以上)を有する器具又は器具クラスタに使用することができるが、オプションで比較的小さいシャフト又はガイドチューブの外径(例えば、2-3mm以下)を有する器具では省略され得る。
【0037】
これらのアーキテクチャにおいても、遠隔操作されるマニピュレータは、手術中に、ハードウェア拘束(例えば、固定された交差する器具ピッチ、ヨー、及びロール軸)又はソフトウェア拘束(例えば、ソフトウェア拘束される交差する器具ピッチ、ヨー、及びロール軸)を用いることによって動作の遠隔中心を規定するマニピュレータを含むと理解されるべきである。そのような器具の回転軸のハイブリッド(例えば、ハードウェア拘束されるロール軸及びソフトウェア拘束されるピッチ及びヨー軸)が規定されることもできる。さらに、いくつかのマニピュレータは、処置中に手術用器具の回転軸を規定し且つ拘束しなくてもよく、いくつかのマニピュレータは、処置中に器具の1又は2つの回転軸だけを規定し且つ拘束してよい。
【0038】
図8Aは、可動手術台1100を示し、単一器具コンピュータ支援装置1101aが示されている。手術台1100は、可動テーブルトップ1102及び、テーブルトップ1102を遠位端部で支持するために、機械的に接地されたテーブルベース1104から延びるテーブル支持構造1103を含む。いくつかの例では、手術台1100は、手術台170及び/又は280と一致し得る。コンピュータ支援装置1101aは、遠隔操作マニピュレータ及び単一の器具アセンブリ1105aを含む。コンピュータ支援装置1101aはまた、近位ベース1107aで機械的に接地され且つマニピュレータ及び器具アセンブリ1105aを遠位端部で支持するように延びる支持構造1106aも含む。支持構造1106aは、アセンブリ1105aが動かされ且つ手術台1100に対して様々な固定姿勢に保持されることを可能にするように構成される。ベース1107aは、オプションで、手術台1100に対して恒久的に固定される又は移動可能である。手術台1100及びコンピュータ支援装置1101aは、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0039】
図8Aは、2、3、4、5、又はそれより多い個々のコンピュータ支援装置が含まれ得ることを示すオプションの第2のコンピュータ支援装置1101bをさらに示しており、各装置は、対応する支持構造1106bによって支持された対応する個々の遠隔操作マニピュレータ及び単一の器具アセンブリ(複数可)1105bを有する。コンピュータ支援装置1101bは、機械的に接地され、アセンブリ1105bは、コンピュータ支援装置1101aと同様に、姿勢を取る。手術台1100及びコンピュータ支援装置1101a及び1101bは一緒にマルチ器具手術システムを構成し、且つそれらは本明細書に記載されるように一緒に動作する。いくつかの例では、コンピュータ支援装置1101a及び/又は1101bは、コンピュータ支援装置110及び/又は210と一致し得る。
【0040】
図8Bに示されるように、別の可動手術台1100及びコンピュータ支援装置1111が示される。コンピュータ支援装置1111は、代表的なマニピュレータ及び器具アセンブリ1105a及び1105bによって示されるように、2、3、4、5又はそれより多い個々の遠隔操作マニピュレータ及び単一の器具アセンブリを含むマルチ器具装置である。コンピュータ支援装置1111のアセンブリ1105a及び1105bは、手術台1100に対してアセンブリ1105a及び1105bをグループとして一緒に移動させ且つ姿勢を取らせることを可能にする組合せ支持構造1112によって支持される。コンピュータ支援装置1111のアセンブリ1105a及び1105bはまた、対応する個々の支持構造1113a及び1113bによってそれぞれ支持され、これら支持構造は、各アセンブリ1105a及び1105bが、手術台1100に対して並びに1又は複数の他のアセンブリ1105a及び1105bに対して個別に動かされ且つ姿勢を取ることを可能にする。このようなマルチ器具手術システムアーキテクチャの例は、Intuitive Surgical, Inc.によって商品化されているda Vinci Si(登録商標)手術システム及びda Vinci Xi(登録商標)手術システムである。手術台1100及び例示のコンピュータ支援装置1111を有する手術マニピュレータシステムは、本明細書に記載されるように一緒に動作する。いくつかの例では、コンピュータ支援装置1111は、コンピュータ支援装置110及び/又は210と一致する。
【0041】
図8A及び
図8Bのコンピュータ支援装置はそれぞれ、床に機械的に接地された状態で示されている。しかし、1又は複数のこのようなコンピュータ支援装置は、オプションで、壁又は天井に機械的に接地されることができ、このような壁又は天井の接地部に対して恒久的に固定され得る又は移動可能であり得る。いくつかの例では、コンピュータ支援装置は、コンピュータ支援システムの支持ベースが手術台に対して動かされることを可能にするトラック(track)又はグリッドシステム(grid system)を用いて、壁又は天井に取り付けられ得る。いくつかの例では、1又は複数の固定又は解放可能な(releasable)取付けクランプが、それぞれの支持ベースをトラック又はグリッドシステムに取り付けるために使用され得る。
図8Cに示されるように、コンピュータ支援装置1121aは、壁に機械的に接地され、コンピュータ支援装置1121bは、天井に機械的に接地される。
【0042】
加えて、コンピュータ支援装置は、可動手術台1100を介して間接的に機械的に接地され得る。
図8Dに示されるように、コンピュータ支援装置1131aはオプションで、手術台1100のテーブルトップ1102に結合される。コンピュータ支援装置1131aは、
図8Dに示される破線の構造によって表されるように、オプションで、テーブル支持構造1103又はテーブルベース1104のような手術台1100の他の部分に結合され得る。テーブルトップ1102がテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に対して動くとき、コンピュータ支援装置1131aも同様にテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に対して動く。しかし、コンピュータ支援装置1131aがテーブル支持構造1103又はテーブルベース1104に結合されるとき、コンピュータ支援装置1131aのベースは、テーブルトップ1102が移動する際に、地面に対して固定されたままである。テーブルの動作が発生すると、患者の身体が動いてテーブルトップ1102に対する体の開口部の位置を変化させるため、器具が患者に挿入される体の開口部も同様に動き得る。従って、コンピュータ支援装置1131aがテーブルトップ1102に結合される実施形態に関して、テーブルトップ1102は、局所的な機械的接地として機能し、体の開口部は、テーブルトップ1102に対して移動し、それによって、コンピュータ支援装置1131aに対して同様に移動する。
図8Dはまた、第2のコンピュータ支援装置1131bがオプションで追加され、マルチ器具システムを形成するようにコンピュータ支援装置1131aと同様に構成され得ることも示す。手術台に結合された1つ又は複数のコンピュータ支援装置を含むシステムは、本明細書に開示されるように動作する。
【0043】
いくつかの実施形態では、同じ又はハイブリッドの機械的接地を伴うコンピュータ支援装置の他の組合せも可能である。例えば、システムは、床に機械的に接地された1つのコンピュータ支援装置、及び手術台を介して床に機械的に接地された第2のコンピュータ支援装置を含み得る。このようなハイブリッドの機械的接地システムは、本明細書で開示されるように動作する。
【0044】
本発明の態様はまた、2以上の手術用器具が単一の体の開口部を介して体に入る単一の体開口システムも含む。このようなシステムの例は、2010年8月12日に出願された、”Surgical System Instrument Mounting”と題する米国特許第8,852,208号、及び2007年6月13日に出願された、”Minimally Invasive Surgical System”と題する米国特許第9,060,678号に示されており、これら両文献は参照により援用される。
図8Eは、上述のような手術台1100と一緒の遠隔操作マルチ器具コンピュータ支援装置1141を示す。2以上の器具1142がそれぞれ、対応するマニピュレータ1143に結合され、器具1142のクラスタ及び器具マニピュレータ1143は、システムマニピュレータ1144によって一緒に動かされる。システムマニピュレータ1144は、システムマニピュレータ1144が様々な姿勢に動かされ且つ固定されることを可能にする支持アセンブリ1145によって支持される。支持アセンブリ1145は、上記の説明と一致するベース1146に機械的に接地される。2以上の器具1142は、単一の体の開口部で患者に挿入される。オプションで、器具1142は、単一のガイドチューブを通って一緒に延び、ガイドチューブは、オプションで、上述の参考文献に記載されているように、カニューレを通って延びる。コンピュータ支援装置1141及び手術台1100は、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0045】
図8Fは、オプションで、テーブルトップ1102、テーブル支持構造1103、又はテーブルベース1104に結合されることによって、手術台1100を介して機械的に接地された別のマルチ器具、単一身体開口コンピュータ支援装置1151を示す。
図8Dを参照して上述した説明はまた、
図8Fに示される機械的な接地オプションにも適用される。コンピュータ支援装置1151及び手術台1100は、本明細書に記載されるように一緒に動作する。
【0046】
図8Gは、1又は複数の遠隔操作マルチ器具、単一身体開口コンピュータ支援装置1161、及び1又は複数の遠隔操作単一器具コンピュータ支援装置1162が、本明細書に記載されるように手術台1100と一緒に動作するように組み合わされ得ることを示す。コンピュータ支援装置1161及び1162のそれぞれは、上述のような様々な方法で、直接的に又は別の構造を介して、機械的に接地され得る。
【0047】
図3は、いくつかの実施形態によるコンピュータ支援医療システムの運動学的モデル300の簡略図である。
図3に示されるように、運動学的モデル300は、多くのソース及び/又は装置に関連付けられる運動学的情報を含み得る。運動学的情報は、コンピュータ支援医療装置及び手術台のリンク及びジョイントについての既知の運動学的モデルに基づく。運動学的情報はさらに、コンピュータ支援医療装置及び手術台のジョイントの位置及び/又は向きに関連する情報に基づく。いくつかの例では、ジョイントの位置及び/又は向きに関連する情報は、直動ジョイント(prismatic joints)の直線位置及び回転ジョイント(revolute joint)の回転位置を測定するエンコーダのような1又は複数のセンサから導出され得る。
【0048】
運動学的モデル300は、いくつか座標フレーム又は座標系、及び1つ座標フレームから別座標フレームに位置及び/又は向きを変換するための、同次変換(homogeneous transforms)のような変換を含む。いくつかの例では、運動学的モデル300は、
図3に含まれる変換リンケージによって示される順方向及び/又は逆方向/反対方向の変換を合成することによって、1つ座標フレームの位置及び/又は向きの任意の他の座標フレームにおける順方向マッピング及び/又は逆方向マッピングを可能にするために使用され得る。いくつかの例では、変換が行列形式の同次変換としてモデル化されるとき、合成は、行列乗算を用いて達成され得る。いくつかの実施形態では、システムが、座標基準フレームを運動学的チェーンの1又は複数の点に付ける(attaching)ために及び1つの基準フレームを運動学的モデル300の他に変換するために、デナビット・ハーテンバーグ(Denavit-Hartenberg)パラメータ及び変換を使用し得る。いくつかの実施形態では、運動学的モデル300は、
図2のコンピュータ支援装置210及び手術台280の運動学的関係をモデル化するために、使用され得る。
【0049】
運動学的モデル300は、手術台170及び/又は手術台280のような手術台の位置及び/又は向きをモデル化するために使用されるテーブルベース座標フレーム305を含む。いくつかの例では、テーブルベース座標フレーム305は、手術台に関連付けられる基準点及び/又は向きに対する手術台上の他の点をモデル化するために使用され得る。いくつかの例では、基準点及び/又は向きは、テーブルベース282のような、手術台のテーブルベースに関連付けられ得る。いくつかの例では、テーブルベース座標フレーム305は、コンピュータ支援システムのワールド(world)座標フレームとして使用するのに適し得る。
【0050】
運動学的モデル300はさらに、テーブルトップ284のような、手術台のテーブルトップを表す座標フレームにおける位置及び/又は向きをモデル化するために使用され得るテーブルトップ座標フレーム310を含む。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310は、アイソセンタ286のような、テーブルトップの回転中心又はアイソセンタ周りにセンタリングされ得る。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310のz軸は、手術台が配置される床又は表面に対して垂直方向に及び/又はテーブルトップの表面に直交して向き合せされ得る。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310のx軸及びy軸は、テーブルトップの長手方向(頭からつま先方向)及び横方向(左右方向)主軸を取り込むように向き合せされ得る。いくつかの例では、テーブルベース対テーブルトップ座標変換315が、テーブルトップ座標フレーム310とテーブルベース座標フレーム305との間の位置及び/又は向きをマッピングするために使用される。いくつかの例では、過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、多関節構造290のような、手術台の多関節構造の1又は複数の運動学的モデルが、テーブルベース対テーブルトップ座標変換315を決定するために使用される。
図2の実施形態と一致するいくつかの例では、テーブルベース対テーブルトップ座標変換315は、手術台に関連付けられる高さ、傾斜、トレンデレンブルグ、及び/又はスライド設定の複合効果をモデル化する。
【0051】
運動学的モデル300はさらに、コンピュータ支援装置110及び/又はコンピュータ支援装置210のようなコンピュータ支援装置の位置及び/又は向きをモデル化するために使用される装置ベース座標フレームを含む。いくつかの例では、装置ベース座標フレーム320は、コンピュータ支援装置に関連付けられる基準点及び/又は向きに対して、コンピュータ支援装置上の他の点をモデル化するために使用され得る。いくつかの例では、基準点及び/又は向きは、可動カート215のような、コンピュータ支援装置の装置ベースに関連付けられ得る。いくつかの例では、装置ベース座標フレーム320は、コンピュータ支援システムのワールド座標フレームとして使用するのに適し得る。
【0052】
手術台とコンピュータ支援装置との間の位置及び/又は向きの関係を追跡するために、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合わせを行うことがしばしば望ましい。
図3に示されるように、位置合わせは、テーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレーム320との間の位置合せ変換325を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、位置合せ変換325は、テーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレームとの間の部分的な又は完全な変換となり得る。位置合せ変換325は、手術台とコンピュータ支援装置との間のアーキテクチャ配置に基づいて決定される。
【0053】
コンピュータ支援装置がテーブルトップ1102に取り付けられる
図8D及び
図8Fの例では、位置合せ変換325は、テーブルベース対テーブルトップ座標変換315及びコンピュータ支援装置がテーブルトップ112のどこに取り付けられているかを知ることから決定される。
【0054】
コンピュータ支援装置が床に配置される、或いは壁又は天井に取り付けられる
図8A-8C、8E、及び8Fの例では、位置合せ変換325の決定は、装置ベース座標フレーム320及びテーブルベース座標フレーム305にいくつかの制約を与えることによって簡略化される。いくつかの例では、これらの制約は、装置ベース座標フレーム320及びテーブルベース座標フレーム305の両方が同じ垂直上向き又はz軸上で一致することを含む。手術台が水平な床に配置されるとの仮定の下で、部屋の壁(例えば、床に対して垂直)と天井(例えば、床に対して平行)との相対的な向きは既知であり、共通の垂直上向き又はz軸(又は適切な向き変換)が、装置ベース座標フレーム320及びテーブルベース座標フレーム305の両方又は適切な向き変換に関して維持されることが可能である。いくつかの例では、共通のz軸のため、位置合せ変換325は、テーブルベース座標フレーム305のz軸の周りの、テーブルトップに対する装置ベースの回転関係(例えば、θ
Z位置合せ)を単にモデル化することができる。いくつかの例では、位置合せ変換325はオプションで、テーブルベース座標フレーム305と装置ベース座標フレーム320との間の水平オフセット(例えば、XY位置合せ)をモデル化することもできる。これは、コンピュータ支援装置と手術台との間の垂直(z)関係が分かっているため可能である。従って、テーブルベース対テーブルトップ変換315におけるテーブルトップの高さの変化は、テーブルベース座標フレーム305及び装置ベース座標フレーム320の垂直方向軸が、テーブルベース座標フレーム305と装置ベース座標フレーム320との間の高さの変化が互いの妥当な許容誤差(公差)内にあるように、同じ又はほぼ同じであるため、装置ベース座標フレーム320の垂直調整に類似している。いくつかの例では、テーブルベース対テーブルトップ変換315における傾斜及びトレンデレンブルグ調整は、テーブルトップの高さ(又はそのアイソセンタ)及びθ
Z及び/又はXY位置合せを知ることによって、装置ベース座標フレーム320にマッピングされ得る。いくつかの例では、位置合せ変換325及びテーブルベース対テーブルトップ変換315は、たとえそのコンピュータ支援装置が構造的にそうでない場合でもテーブルトップに取り付けられているかのように、コンピュータ支援手術装置をモデル化するために使用され得る。
【0055】
運動学的モデル300はさらに、コンピュータ支援装置の多関節アーム上の最近位点に関連付けられる共有座標フレームの適切なモデルとして使用され得るアーム取付プラットフォーム座標フレーム330を含む。いくつかの実施形態では、アーム取付プラットフォーム座標フレーム330は、アーム取付プラットフォーム227のようなアーム取付プラットフォーム上の好都合な点に関連付けられ且つこの点に対して向き合せされる。いくつかの例では、アーム取付プラットフォーム座標フレーム330の中心点は、z軸がアーム取付プラットフォーム配向軸236と整列される状態で、アーム取付プラットフォーム配向軸236上に配置され得る。いくつかの例では、装置ベース対アーム取付プラットフォーム座標変換335は、装置ベース座標フレーム320とアーム取付プラットフォーム座標フレーム330との間の位置及び/又は向きをマッピングするために使用される。いくつかの例では、過去及び/又は現在のジョイントセンサ読取値と一緒に、装置ベースと、セットアップ構造220のような、アーム取付プラットフォームとの間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルは、装置ベース対アーム取付プラットフォーム座標変換335を決定するために使用される。
図2の実施形態と一致するいくつかの例では、装置ベース対アーム取付プラットフォーム座標変換335は、コンピュータ支援装置のセットアップ構造の2部分コラム、肩ジョイント、2部分ブーム、及び手首ジョイントの複合効果をモデル化し得る。
【0056】
運動学的モデル300はさらに、コンピュータ支援装置の多関節アームのそれぞれに関連付けられる一連の座標フレーム及び変換を含む。
図3に示されるように、運動学的モデル300は、3つの多関節アームに関する座標フレーム及び変換を含むが、当業者は、異なるコンピュータ支援装置が、より少ない及び/又はより多い(例えば、1、2、4、5、又はそれより多い)多関節アームを含み得ることを理解するだろう。
図2のコンピュータ支援装置210のリンク及びジョイントの構成と一致して、多関節アームの各々は、多関節アームの遠位端部に取り付けられた器具のタイプに依存して、マニピュレータ取付部座標フレーム、動作の遠隔中心座標フレーム、及び器具、エンドエフェクタ、又はカメラ座標フレームを用いてモデル化される。
【0057】
運動学的モデル300では、多関節アームのうちの第1のものの運動学的関係が、マニピュレータ取付部座標フレーム341、動作の遠隔中心座標フレーム342、器具座標フレーム343、アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換344、マニピュレータ取付部対動作の遠隔中心変換345、及び動作の遠隔中心対器具変換346を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付部座標フレーム341は、マニピュレータ260のようなマニピュレータに関連付けられる位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付部座標フレーム341は典型的には、対応する多関節アームのマニピュレータ取付部262のような、マニピュレータ取付部に関連付けられる。アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換344はその結果、対応するセットアップジョイント240の過去及び/又は現在のジョイントセンサ読取値と一緒に、アーム取付プラットフォームと、対応するセットアップジョイント240のような、対応するマニピュレータ取付部との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。
【0058】
動作の遠隔中心座標フレーム342は、対応するマニピュレータ260の対応する動作の遠隔中心274のような、マニピュレータに取り付けられた器具の動作の遠隔中心に関連付けられる。マニピュレータ取付部対動作の遠隔中心の変換345はその結果、対応するジョイント264の過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付部と、対応するマニピュレータ260の対応するジョイント264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジ268のような、対応する動作の遠隔中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。対応する動作の遠隔中心が、
図2の実施形態のように、対応するマニピュレータ取付部に対して固定した位置関係に維持されるとき、マニピュレータ取付部対動作の遠隔中心変換345は、本質的に静的な並進成分並びに、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転成分を含む。
【0059】
器具座標フレーム343は、対応する器具270の対応するエンドエフェクタ276のような、器具の遠位端部に配置されるエンドエフェクタに関連付けられる。動作の遠隔中心対器具変換346はその結果、過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、対応する器具及び動作の遠隔中心を動かす及び/又は向き合せする、コンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。いくつかの例では、動作の遠隔中心対器具変換346は、対応するシャフト272のようなシャフトが動作の遠隔中心を通過する向き、及びこのシャフトが動作の遠隔中心に対して前進及び/又は後退する距離を説明する。いくつかの例では、動作の遠隔中心対器具変換346はさらに、器具のシャフトの挿入軸が動作の遠隔中心を通過することを反映するように拘束され得るとともに、シャフトによって規定される軸周りのシャフト及びエンドエフェクタの回転を説明する。
【0060】
運動学的モデル300では、多関節アームのうちの第2のものの運動学的関係が、マニピュレータ取付部座標フレーム351、動作の遠隔中心座標フレーム352、器具座標フレーム353、アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換354、取付部対動作の遠隔中心変換355、及び動作の遠隔中心対器具変換356を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付部座標フレーム351は、マニピュレータ260のようなマニピュレータに関連付けられる位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付部座標フレーム351は、対応する多関節アームのマニピュレータ取付部262のようなマニピュレータ取付部に関連付けられる。アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換354はその結果、対応するセットアップジョイント240の過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、アーム取付プラットフォームと、対応するセットアップジョイント240のような対応するマニピュレータ取付部との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。
【0061】
動作の遠隔中心座標フレーム352は、対応するマニピュレータ260の対応する動作の遠隔中心274のような、多関節アームのマニピュレータの動作の遠隔中心に関連付けられる。取付部対動作の遠隔中心変換355はその結果、対応するジョイント264の過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付部と、対応するマニピュレータ260の対応するジョイント264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジのような対応する動作の遠隔中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。対応する動作の遠隔中心が、
図2の実施形態に示されるように、対応するマニピュレータ取付部に対して固定した位置関係で維持されるとき、取付部対動作の遠隔中心変換355は、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化しない本質的に静的な並進成分、及びマニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転成分を含む。
【0062】
器具座標フレーム353は、エンドエフェクタ上の点、器具、器具、並びに/又は、対応する器具270のような、多関節アームに取り付けられた器具のエンドエフェクタに関連付けられる。動作の遠隔中心対器具変換356はその結果、過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、対応する器具及び対応する動作の遠隔中心を移動及び/又は向き合せする、コンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。いくつかの例では、動作の遠隔中心対器具変換356は、対応するシャフト272のようなシャフトが動作の遠隔中心を通過する向き、及びシャフトが動作の遠隔中心に対して前進及び/又は後退する距離を説明する。いくつかの例では、動作の遠隔中心対器具変換356は、器具のシャフトの挿入軸が動作の遠隔中心を通過することを反映するように拘束され得るとともに、シャフトによって規定される挿入軸周りのシャフト及びエンドエフェクタの回転を説明し得る。
【0063】
運動学的モデル300では、多関節アームのうちの第3のものの運動学的関係が、マニピュレータ取付部座標フレーム361、動作の遠隔中心座標フレーム362、カメラ座標フレーム363、アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換364、取付部対動作の遠隔中心変換365、及び動作の遠隔中心対カメラ変換366を用いて、取り込まれる。マニピュレータ取付部座標フレーム361は、マニピュレータ260のようマニピュレータに関連付けられる位置及び/又は向きを表すのに適したモデルを表す。マニピュレータ取付部座標フレーム361は、対応する多関節アームのマニピュレータ取付部262のようなマニピュレータ取付部に関連付けられる。アーム取付プラットフォーム対マニピュレータ取付部変換364はその結果、対応するセットアップジョイント240の過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、アーム取付プラットフォームと、対応するセットアップジョイント240のような対応するマニピュレータ取付部との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。
【0064】
動作の遠隔中心座標フレーム362は、対応するマニピュレータ260の対応する動作の遠隔中心274のような、多関節アームのマニピュレータの動作の遠隔中心に関連付けられる。取付部対動作の遠隔中心変換365はその結果、対応するジョイント264の過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、対応するマニピュレータ取付部と、対応するマニピュレータ260の対応するジョイント264、対応するリンク266、及び対応するキャリッジ268のような、対応する動作の遠隔中心との間のコンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。対応する動作の遠隔中心が、
図2の実施形態のように、対応するマニピュレータ取付部に固定した位置関係で維持されるとき、取付部対動作の遠隔中心変換365は、マニピュレータ及び器具が操作される際に変化しない本質的に静的な並進成分、及びマニピュレータ及び器具が操作される際に変化する動的な回転成分を含む。
【0065】
カメラ座標フレーム363は、多関節アームに取り付けられた内視鏡のようなイメージング装置に関連付けられる。動作の遠隔中心対カメラ変換366はその結果、過去及び/又は現在のジョイントセンサの読取値と一緒に、イメージング装置及び対応する動作の遠隔中心を移動及び/又は向き合せさせる、コンピュータ支援装置のリンク及びジョイントの1又は複数の運動学的モデルに基づく。いくつかの例では、動作の遠隔中心対カメラ変換366は、対応するシャフト272のようなシャフトが動作の遠隔中心を通過する向き、及びシャフトが動作の遠隔中心に対して前進及び/又は後退する距離を説明する。いくつかの例では、動作の遠隔中心対カメラ変換366は、イメージング装置のシャフトの挿入軸が動作の遠隔中心を通過することを反映するように拘束され得るとともに、シャフトによって規定される軸周りのイメージング装置の回転を説明する。
【0066】
幾つかの実施形態では、カメラ座標フレーム363に関連付けられるイメージング装置は、ユーザがカメラ座標フレーム363からのビデオストリームを見ることができるように、オペレータワークステーションにビデオを流し得る。例えば、イメージング装置によって取り込まれたビデオは、中継され、
図1のオペレータワークステーション190のディスプレイシステム192上に表示され得る。幾つかの実施形態では、イメージング装置は、それが器具座標フレーム343に関連付けられる器具及び/又は器具座標フレーム353に関連付けられる器具のビデオ及び/又は画像を取り込むように、向けられ得る。器具座標フレーム343に関連付けられる器具及び/又は器具座標フレーム353に関連付けられる器具は、
図1の入力部又はマスタ制御部195のような、コントローラを通じてユーザによって操作され得る。幾つかの実施形態では、器具及び/又はエンドエフェクタの直観的な操作を可能にするために、制御部からのユーザコマンドがカメラ座標フレーム363の座標系と関連付けを行い得る。例えば、コントローラを使用する上下、左右、及び出入り(in and out)のコマンドは、カメラ座標フレーム363に関する上下、左右、及び出入りの器具の運動に変換し得る。上下、左右、及び出入りは、座標フレーム363のx、y、及びz並進軸によって再送され得る。同様に、ロール、ピッチ、及びヨーコマンドは、器具を、カメラ座標フレームに関してロール、ピッチ、及びヨー運動させ得る。幾つかの実施形態では、
図1のプロセッサ140のような、1又は複数のプロセッサが、ユーザコマンドをカメラ座標フレーム363から器具座標フレーム343及び353におけるそれぞれのコマンド及び動作に変換し得る。並進移動コマンドは、運動学的関係により得る。例えば、器具座標フレーム343に関連付けられる器具へのコマンドは、カメラ座標フレーム363から変換366を使用して動作の遠隔中心基準フレーム362へ、次に動作の遠隔中心基準フレーム362から変換365を使用して取付部座標フレーム361へ、取付部座標フレーム361から変換364を使用してアーム取付プラットフォーム座標フレーム330へ、アーム取付プラットフォーム座標フレーム330から変換344を使用してマニピュレータ取付部座標フレーム341へ、マニピュレータ取付部座標フレーム341から変換345を使用して動作の遠隔中心座標フレーム342へ、動作の遠隔中心座標フレーム342から変換346を使用して器具座標フレーム343になり得る。この方法では、ある基準フレームで知られている任意の動作コマンドが、1又は複数の他の座標フレームにおける対応するコマンドに変換されることができる。
【0067】
上で議論され、ここでさらに強調するように、
図3は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に限定すべきでない。当業者は、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。幾つかの実施形態によれば、手術台とコンピュータ支援装置との間の位置合せは、代替の位置合せ変換を用いてテーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレーム320との間で決定されてよい。代替の位置合せ変換が使用されるとき、位置合せ変換325は、代替の位置合せ変換をテーブルベース対テーブルトップ変換315の逆/反対をと合成することによって決定される。幾つかの実施形態によれば、コンピュータ支援装置をモデル化するために使用される座標フレーム及び/又は変換は、コンピュータ支援装置のリンク及びジョイント、その多関節アーム、そのエンドエフェクタ、そのマニピュレータ、及び/又はその器具の特定の構成に応じて異なるように構成されてよい。いくつかの実施形態によれば、運動学的モデル300の座標フレーム及び変換は、1又は複数の仮想器具及び/又は仮想カメラに関連付けられる座標フレーム及び変換をモデル化するために使用され得る。幾つかの例では、仮想器具及び/又はカメラは、以前に格納及び/又はラッチされた器具の位置、動作に起因する器具及び/又はカメラの投影、外科医及び/又は他の従事者等によって規定された基準点等に関連付けられ得る。
【0068】
コンピュータ支援システム100及び/又は200のようなコンピュータ支援システムが作動されているとき、目標の1つは、1又は複数のジョイントから、器具(複数可)、リンク(複数可)及び/又はジョイント(複数可)の1又は複数のポイントの位置への外乱及び/又は動きの伝搬を最小にする及び/又は除去することである。例えば、
図2を参照すると、ジョイント242及び/又はリンク246の1又は複数への外乱は、外乱が、エンドエフェクタ276(エンドエフェクタ276は関心のある典型的なポイントにある)に、患者278の中にある間に、伝搬する場合に、患者278に障害を引き起こすかもしれない。
【0069】
コンピュータ支援システムの動作の1つのモードでは、手術台の1又は複数のジョイント及び多関節アームのジョイントは、ジョイントの動作が、制限される及び/又は完全に禁止されるように、サーボ制御及び/又はブレーキの使用を通じて定位置にロック及び/又は保持され得る。幾つかの例では、これは、マニピュレータのジョイントが、所望の処置を遂行するとき、器具を他のジョイントからの動作によって邪魔されずに制御することを可能にし得る。幾つかの実施形態では、マニピュレータは、動作の遠隔中心を維持するように物理的に拘束され得るとともに、マニピュレータを構成しない1又は複数のジョイントの動作は、動作の遠隔中心を不必要に動かすかもしれない。これらの例では、マニピュレータを構成しないジョイントを、物理的及び/又はサーボ制御ブレーキシステムを通じて定位置にロックさせることを有益であることがある。しかし、動作の遠隔中心に対する動作を許容すること、したがって、動作の遠隔中心の位置に影響を及ぼし得るジョイントのうちの1又は複数をロックするブレーキの解除を許容することが望ましい場合があることがある。
【0070】
幾つかの例では、器具は、処置の間に患者の体の開口部に挿入され得る。幾つかの例では、器具の位置は、
図1のワークステーション190のようなオペレータコンソールの外科医によって遠隔操作を介して制御され得る。しかし、器具が患者の体の開口部に挿入されたままである間に、多関節アームの動作を可能にするコンピュータ支援システムの動作の他のモデルをサポートすることが望ましいことがある。動作のこれらの他のモードは、器具が患者の体の開口部に挿入されていないときの動作のモードにおいて存在しないリスクを導入するかもしれない。幾つかの例では、これらのリスクは、限定されるものではないが、器具が患者に対して動くことを可能にされるときの患者への危害、器具が滅菌野の破損すること、多関節アーム間の衝突からの損傷等を含むかもしれない。
【0071】
一般的な場合では、動作のこれらの他のモードは、器具に近位の1又は複数のジョイントが、1又は複数のジョイントの位置及び/又は向きの変化(すなわち、動作)をもたらす外乱に曝されるときに、患者に対する患者の開口部に挿入される器具のあるポイントを維持する目標によって特徴付けられ得る。器具に近位の1又は複数の第1の又は外乱を受けるジョイントにおける外乱が、器具の位置の変化をもたらすので、外乱を受けるジョイントの動作によって生じる器具の運動を補償する1又は複数の第2の若しくは補償ジョイントにおける運動を導入することが望ましいことがある。外乱の程度及び補償の量を決定することは、外乱の種類及び性質、例えば、外乱が手術台又は患者の運動に関連しているかどうか、又は外乱が器具を制御するために使用される多関節アームに限定されるかどうか等、に依存する。
【0072】
動作のこれらの他のモードの1つのカテゴリーでは、器具及び/又は器具状のポイントの位置がモニタされ得るとともに任意の適切なワールド座標フレームにおいて維持され得るように、患者が動いていないときである。これは、多関節アームの制御された動作と関連付けられる外乱を含み得る。幾つかの例では、多関節アームの制御された動作は、処置を実行する前に多関節アーム及び/又はマニピュレータをセットアップするために使用される1又は複数のジョイントの運動を含み得る。この1つの例は、セットアップジョイント240が処置の間にマニピュレータ260の動作の良好な範囲を提供するよう動かされることを可能にするようにアーム取付プラットフォーム227が並進移動され且つ位置合わせされる
図2の実施形態と一致するコンピュータ支援装置のセットアップ構造の1又は複数の運動を含む。このタイプの動作の例は、2014年3月17日に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”と題する米国仮特許出願第61/954,261号に詳細に記載され、この出願は本明細書に参照によって援用される。このカテゴリーはさらに、他の動作を開始するより前のブレーキ及び/又は他のジョイントロックの解放に関連付けられる外乱を含み得る。幾つかの例では、患者に挿入されている間に患者の体壁によって器具に加えられる力及びトルクに起因するような、器具のシャフトへの外力及び/又はトルクが、ブレーキ及び/又はロックが解放され且つ力及び/又はトルクが解放されたジョイントによって吸収されるとき、器具の望ましくない動作をもたらすかもしれない。このカテゴリーはさらに、オペレータによる多関節アームの手動再位置決めの間に及び/又は多関節アームと障害物との間の衝突に起因して生じるかもしれないような、つかまれた(clutched)又は浮動(float)状態の多関節アームの動作によって生じる外乱を含み得る。このタイプの動作の例は、2014年3月17日に出願された“System and Method for Breakaway Clutching in an Articulated Arm”と題する米国仮特許出願第61/954,120号に詳細に記載され、この出願は本明細書に参照によって援用される。このタイプの動作の追加の例は、コンピュータ支援装置が1又は複数のブレーキ又はロックを解除することによって統合された手術台動作に備えるとともに体壁によって体の開口部に挿入される器具に加えられる力及びトルクが解放されるとき、起こることがある。これらのタイプの動作及び外乱は、2015年3月17日に出願された、"System and Method for Integrated Surgical Table"と題する、米国仮特許出願第62/134,207号、及び同時に出願された、代理人整理番号ISRG006930PCT / 70228.498WO01の"System and Method for Integrated Surgical Table"と題するPCT特許出願に示されており、これらの両方は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0073】
多関節アームの1又は複数のジョイントへのブレーキ解放に関して、ブレーキ解放の際のジョイントに加えられている任意の力及び/又はトルクは、ジョイント及びそれらのそれぞれのリンクに動きをもたらすことがある。これらの外乱はしばしば、多関節アームに取り付けられたエンドエフェクタ及び/又は器具に治する運動の素早く且つ時には大きいジャンプを引き起こすことがある。単一のブレーキ解放からの如何なる単一の外乱も小さいかもしれないが、多数のジョイントに関するブレーキが同時に解放されるときの組み合わされた外乱はかなり大きいことがある。運動におけるこれらの大きいジャンプは、エンドエフェクタが患者を怪我させることを引き起こすかもしれない。さらに、運動におけるこれらのジャンプはしばしば、人間の反応に対してあまりに速く、したがって、不可能でないにしても、手動制御を通じて修正することは困難である。ジャンプを減少させ且つユーザに反応する能力を提供する1つの方法は、各ブレーキのブレーキ力を時間をかけてゆっくり減少させること及び/又はブレーキを一つずつ解放することである。しかし、手術中、手術中の患者の死亡率は、患者が手術中である時間の長さに関連して上昇するので、如何なる不必要な時間消費も最小にすることが重要である。したがって、(数秒以下にわたる)短期間でブレーキを解放することが望ましい。
【0074】
図4は、幾つかの実施形態によるずれたブレーキ解放(staggered brake release)の例示の方法の簡略図である。幾つかの例では、方法400は、
図1の多関節アーム120のような、1又は複数の多関節アームのジョイントの1又は複数のブレーキの解放をずらす(stagger)ために使用され得る。幾つかの実施形態によれば、方法400は、1又は複数のプロセッサ(例えば、
図1の制御ユニット130のプロセッサ140)で実行されるとき、1又は複数のプロセッサにプロセス410-430の1又は複数を実行させ得る、少なくとも部分的に、非一時的、有形、機械可読媒体に格納される実行可能コードの形態で実装され得るプロセス410-430の1又は複数を含み得る。
【0075】
プロセス410において、ブレーキ解放に関する多関節アームの数が決定される。幾つかの実施形態では、多関節アームの数は、予め決定されていてよい。例えば、装置は、多関節アームの特定の数をハードコードされてよい。幾つかの実施形態では、ユーザが、ブレーキ解放に関する多関節アームの数を設定してよい。例えば、
図1のワークステーション190のような、ワークステーション上のボタン及び/又はスイッチを使用して、ユーザ及び/又はオペレータが、ブレーキ解放させるアームがどれか及び/又は同アームの数を選択することができる。幾つかの実施形態では、多関節アームの数は、1又は複数のポート及び/又は他の通信インタフェースへの接続によって検出され得る。例えば、
図1のコンピュータ支援システム100のような、コンピュータ支援システムは、多関節アームの1又は複数のブレーキを解放するブレーキ解放モードを有してよく、制御ユニット130は、多関節アームとの通信インタフェースを通じてシステムによって制御される多関節アームの数を決定してよい。
【0076】
プロセス420において、各多関節アームに関するブレーキ解放のタイミングが決定される。幾つかの実施形態では、各ブレーキ解放のタイミングは、1つのブレーキが他のブレーキと同じ時間に解放されないことを確実にするためにずらされ得る。幾つかの実施形態では、多関節アームのジョイントは、ブレーキを立て続けに自動的に解放するように設定され得るとともに、
図1の制御ユニット130のような、中央コントローラは、各アームに関する各ブレーキ解放の開始をどのようにずらすかを決定し得る。例えば、
図2の多関節アーム120のような、多関節アームは、ブレーキを
図2のセットアップジョイント240のようなジョイントのセットに関して解放させ得る。4つのセットアップジョイントがあることを仮定すると、これらのジョイントは、 .25秒毎に解放されるように、立て続けに解放され得る。異なるブレーキの解放の間の時間及びブレーキが解放される順番は、予め設定され得るとともに、いったんブレーキ解放の指令が受信されると自動であり得る。これは、通信及び処理時間の遅延なしの素早く信頼できるブレーキ解放を可能にする。
【0077】
如何なる1つの多関節アームに関するブレーキ解放が、他の多関節アームに関するブレーキ解放と同時に解放されないことを確実にするために、各アームに関するブレーキ解放を始めるコマンドは、同時のブレーキ解放を防ぐ計算された間隔で送信される。例えば、各多関節アームにおけるブレーキ解放の間の間隔が.2秒であるとき、各アームは、ブレーキ解放を互いから.25秒で始めるように命じられ得る。この例では、第1のアームで解放される4つのジョイントが、時間0s、 .2s、 .4s、及び .6sで解放される。次のアーム及び次のアームの4つのジョイントに関するブレーキの解放は、 .25s、 .4s、 .65s、及び .85sである。第3のアームは、ブレーキを .5s、 .7s、 .9s、及び1.1sで解放する。最終的に、第4のアームは、 .75s、 .95s、1.15s、及び1.35sで解放する。当業者は、ブレーキが同時に解放されないようにブレーキ解放間隔及びコマンド間の間隔に多くの可能性があり、これらの全ては本明細書で考えられていることを認めるであろう。各アームがいつブレーキ解放を開始するかを決定する1つの単純な例示の方法は、アームのブレーキ解放間の時間間隔をアームの数によって割ることである。
【0078】
幾つかの実施形態では、ブレーキ解放の順番は予め決定されている。例えば、ブレーキは、最小の動作を有するジョイントに関するブレーキから最大の動作を有するジョイントに関するブレーキの順に解放されてよい。幾つかの実施形態では、ブレーキ解放の間にどのジョイントが最大を引き起こす又は最大に動くかを決定することは、経験的なチューニングを通じて決定され得る。実験に基づいて、床に平行な動作のための回転ジョイント及び/又は並進移動ジョイント(時おり水平動作を伴うジョイントと称される)に関するブレーキを解放することは、最少量の動作を引き起こす傾向が有り、床に垂直な運動を可能にするジョイント(時おり垂直動作を伴うジョイントと称される)に関するブレーキを解放することは、最大の動作を引き起こす傾向が有る。幾つかの実施形態では、力センサが、どのブレーキが最大の力及び/又はトルクを支えているかを示し得るとともにこれらのジョイントが最大に動くであろうことを決定し得る。幾つかの実施形態では、ブレーキ解放の順番は、各ジョイントの構成(configuration)及び位置に基づいて決定され得る。例えば、動作のその範囲の端部におけるジョイントは、そのジョイントに関するブレーキが解放されるとき、動く可能性が低いことがある。
【0079】
幾つかの実施形態では、多関節アームは、任意の他の多関節アームと通信していないかもしれない。したがって、1又は複数のアームに送信されるブレーキ解放コマンドが遅延するとき、これは、1又は複数のジョイントが同時に解放されることを引き起こすかもしれない。幾つかの例では、同時のブレーキ解放が発生しないことを確実にするために、各ロボットアームは、全システムのためのグローバルクロックサイクルカウントを共有し得るとともに、各アームは、どのブレーキが解放されることができるかに関する時間のウィンドウを与えられ得る。例えば、システムが全てのアームのブレーキ解放を1秒の時間フレーム内に開始させる場合、1kHzのプロセッサは、その時間フレーム内に1000クロックサイクルを有する。4つの多関節アームがある場合、1秒の中のクロックサイクルは、250サイクルの4つのウィンドウに分割されることができる。サイクル0-249は、1つのアームに、250-499は第2のアームに、500-749は第3のアームに、750-999は第4のアームに指定されることができる。タイミングウィンドウは次に、1000によるグローバルクロックサイクルの法によって決定されることができる。この方法では、各ウィンドウは、1000クロックサイクル毎に1回繰り返される。アームが、クロックサイクルにおけるブレーキ解放のためのウィンドウを逃すとき、その多関節アームに関するブレーキ解放は、その多関節アームのための250クロックサイクルウィンドウが繰り返すとき、解放される。
【0080】
より一般的には、ブレーキ解放のための時間のウィンドウは、時間制限の間のクロックサイクルの数をアームの数で割ることによって決定される。与えられたグローバルクロック時間に関するブレーキ解放ウィンドウは、時間制限の間のクロックサイクルの数によるグローバルクロックの法を使用することによって決定される。幾つかの実施形態では、バッファが、ブレーキ解放が互いの1つのクロックサイクル内で発生することを防ぐために、各クロックサイクルウィンドウに加えられてよい。例えば、250クロックサイクルウィンドウに基づいて、ブレーキ解放のためのウィンドウは、249、499、749及び999における各アームのための単一のクロックサイクルであり得る。この方法では、各多関節アームに関してブレーキ解放が始まるときの間のに249クロックサイクルバッファが、又は1kHzプロセッサに基づいて約.25秒がある。
【0081】
幾つかの実施形態では、中央コントローラは、どのブレーキが解放されるか、ブレーキ解放の順番、及びいつかを直接決定する。この方法では、中央コントロールは、ブレーキのどれもが同時に解放されないことを確実にすることができる。幾つかの実施形態では、ブレーキは、時間にわたって徐々に解放されてよい。しかし、方法400は、ブレーキ力の漸進的な縮小なしにバイナリブレーキ(binary brakes)と共に動作するようにも設定される。これは、方法が、レガシーシステムに存在するより安価でより複雑でないブレーキで使用されることを可能にする。さらに、バイナリブレーキは、より安価で、より信頼でき、より単純であるために望ましい。
【0082】
プロセス430において、多関節アームのジョイントに対するブレーキが、プロセス420において設定されたブレーキ解放タイミングにしたがって解放される。
【0083】
幾つかの実施形態では、多関節アームのジョイントは、徐々に解放され得るブレーキを有し得る。幾つかの例では、ブレーキのそれぞれは、時間にわたって徐々に同時に解放されることができる。幾つかの実施形態では、ブレーキは、ブレーキが割り当てられたタイミングウィンドウの中で徐々に解放しながら及び/又は漸進的なブレーキ解放が割り当てられたタイミングウィンドウの始めに始まりながら、プロセス420で決定されたタイミングにしたがって解放され得る。幾つかの例では、ブレーキの漸進的な解放は、時間にわたってブレーキ力を制御する信号をランピング(ramping)することによって達成され得る。幾つかの例では、ランピングされた信号は、電圧、電流、パルス幅デューティサイクル、及び/又は同様のものであり得る。ランピングされた信号とブレーキ力との間の伝達関係に依存して、時間にわたってランピングされた信号の値の変化は、線形及び/又は非線形であり得る。
【0084】
図5は、幾つかの実施形態によるブレーキ解放によって生じる外乱のような、外乱を補償するための方法500の単純化された図である。幾つかの例では、集合的にジョイントの第1のセット又は外乱を受ける(disturbed)ジョイントと称される、1又は複数のジョイントに関するブレーキの解放によって生じる外乱は、多関節アームに関連付けられるポイント(関心のあるポイント)及び/又は器具が外乱によって最小限に又は完全に影響を受けないように、集合的にジョイントの第2のセット又は補償ジョイントと称される、1又は複数の他のジョイントによって補償され得る。関心のあるポイントは、特定のジョイントの場所、動作の遠隔中心、器具、エンドエフェクタ、器具、エンドエフェクタ、運動学的チェーンに沿ったポイント、前述のポイントのいずれかの近似値、及び/又は同様のものであり得る。幾つかの実施形態では、補償ジョイントは、外乱を受けるジョイントにおける変化によって生じる運動を補償するために使用される1又は複数の冗長自由度を提供し得る。
【0085】
幾つかの例では、外乱を受けるジョイントは、補償ジョイントと比べて、全ての関心のあるポイントの遠位又は近位にあり得る。例えば、
図2の一連のセットアップジョイント240は外乱を受けるジョイントであり、ジョイント264は補償ジョイントであり、エンドエフェクタ276は関心のあるポイントであってよい。この例では、セットアップジョイント240は、マニピュレータ260のジョイント264よりもエンドエフェクタ276から遠位にあり、このジョイント264は補償ジョイントであってよい。
【0086】
他の例では、外乱を受けるジョイントの幾つかは、補償ジョイントの間にあってよい。しかし、これらの例では、運動学的チェーンは、各サブセットが全て、サブセット内の補償ジョイントと比べて(運動学的チェーン全体に関する同じ関心のあるポイントであってもなくてもよい)サブセットの関心のあるポイントの近位又は遠位のようなサブセットの外乱を受けるジョイントを有するように、ジョイント及びコネクタのサブセットに分解され得る。この方法では、全ての補償ジョイントに関連して関心のあるポイントのより遠位又は近位にある外乱を受けるジョイント全てを補償するためのモデルが、運動学的チェーンをサブ運動学的チェーンに分解することによって1又は複数の補償ジョイントに関連して関心のあるポイントに対して外乱を受けるジョイントの幾つかがより近位にあるとともに外乱を受けるジョイントの幾つかがより遠位にある運動学的チェーンに適用されることができる。
【0087】
方法500は、外乱を受けるジョイントの全てが、運動学的チェーンの補償ジョイントより関心のあるポイントの近位にある実施形態との関連で論じられている。しかし、当業者は、この方法が、外乱を受けるジョイントの全てが、補償ジョイントの近位ではなくより遠位にある状況に適用可能であることを理解するであろう。さらに、上で論じられたように、この方法はまた、外乱を受けるジョイントが、運動学的チェーン全体を、各サブ運動学的チェーンが、外乱を受けるジョイントの全てが1又は複数の関心あるポイントに関連して補償ジョイントの近位又は遠位にあるように、選ばれ得るサブ運動学的チェーンの集合として扱うことによって、運動学的チェーンの補償ジョイントの間にはさまれる状況に適用されることもできる。
【0088】
方法500は、1又は複数のプロセッサ(例えば、
図1の制御ユニット130のプロセッサ140)で実行されるとき、1又は複数のプロセッサにプロセス510-560の1又は複数を実行させ得る、少なくとも部分的に、非一時的、有形、機械可読媒体に格納される実行可能コードの形態で実装され得るプロセス510-560の1又は複数を含み得る。
【0089】
幾つかの実施形態では、方法500は、1又は複数の補償ジョイントに補償動作を導入することによって1又は複数の外乱を受けるジョイントの動作に起因する器具の位置の変化を補償するために使用され得る。幾つかの例では、方法500は、外乱を受けるジョイントの動作が、制御された動作、つかまれた動作(clutched motion)、ブレーキ又はロック解放、並びに/又は同様のものに起因するときに使用され得る。幾つかの例では、方法500は、外乱を受けるジョイントの動作が、プロセス430の間のような、ブレーキの解放に起因するときに使用され得る。
図2の実施形態と一致する幾つかの例では、1若しくは複数の外乱を受けるジョイント及び/又は1若しくは複数の補償ジョイントは、セットアップ構造220のジョイントのいずれか、セットアップジョイント240、及び/又は器具に近位のマニピュレータ260の任意のジョイントを含み得る。幾つかの実施形態では、方法500の使用は、器具、カニューレ、及び/又は同様のものが対応する多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータの遠位端部に、多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータに関する動作の遠隔中心が定められ得るように、結合されるときの作動に限定され得る。幾つかの実施形態では、方法500は、器具の姿勢及び/又は位置を、患者の開口部又は切開部の壁からの抵抗を使用して及び/又はコンピュータ支援装置のオペレータによって少なくとも部分的に維持することを含み得る。幾つかの実施形態では、方法500は、オペレータが依然として1又は複数の器具の運動を制御するように、コンピュータ支援装置のオペレータからの運動コマンドと併せて及び/又は同運動コマンドに加えて適用され得る。
【0090】
プロセス510において、基準座標フレームが確立される。計算をしやすくするために、プロセス510は、運動学的チェーンの動いていない/固定されたポイントを基準フレームとして使用し得る。例えば、
図2及び3に関して、セットアップジョイント240が外乱を受けるジョイントであり、マニピュレータ260のジョイントが補償ジョイントである場合、セットアップジョイント240よりカート215に近位の任意のポイントが、基準フレームとして使用されることができ、
図3のアーム取付プラットフォーム座標フレーム330であり得るジョイント226を含む。
【0091】
プロセス520において、基準座標フレームから、
図2のエンドエフェクタ276のような、安定させるためのポイントへの基準変換が確立される。この基準変換は、外乱を受けるジョイントへの任意の外乱の前に確立され得る。幾つかの実施形態では、この変換は、1又は複数のジョイント、器具、リンク、及び/又は運動学的チェーンの任意の他の物体の特定の位置のための変換であり得る。幾つかの実施形態では、基準変換は、幾つかの座標フレーム間の幾つかのサブ変換からなり得る。例えば、アーム取付プラットフォーム座標フレーム330から器具座標フレーム353への変換は、変換354、355、及び356からなる。幾つかの実施形態では、これらの変換は、
図1のメモリ150のような、メモリに格納され得る。
【0092】
プロセス530において、ジョイントの外乱が検出され、外乱によって生じる関心のあるポイントに対する運動の予測が、外乱を受けるジョイントの新しい位置を使用して決定される。
【0093】
以下は、外乱を受けるジョイントの外乱によって生じる関心のあるポイントへの外乱を決定する例示的な方法である。第1のステップにおいて、乱れの前の外乱を受けるジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間の変換が、
図1のメモリ150のようなメモリに格納され得る。幾つかの例では、2つの座標フレームは、座標フレームの第1のものが外乱を受けるジョイントの最近位の近位にあり且つ座標フレームの第2のものが外乱を受けるジョイントの最遠位の遠位にあるとき、外乱を受けるジョイントに及ぶ。第2のステップでは、補償ジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間の変換がメモリに格納され得る。第3のステップでは、外乱を受けていない関心のあるポイントの位置が、第1及び第2のステップでセーブされた変換を使用して決定される。幾つかの例では、この関心のあるポイントの位置は、任意の外乱を受ける又は補償動作が生じる前の関心あるポイントをモデル化し得る。第4のステップでは、関心のあるポイントに関する推定位置が、外乱を受けるジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間のライブ/現在の変換及び第2のステップのセーブされた変換を使用することによって決定される。幾つかの例では、補償ジョイントではなく、外乱を受けるジョイントの変化を説明する関心のあるポイントの推定位置が、決定され得る。第5のステップでは、外乱を受けていない関心のあるポイントに関する位置と推定される関心のあるポイントとの間の差が、外乱を受けるジョイントの動作がどのように関心のあるポイントを動かしたかを決定するために使用されることができる。当業者によって認識されるように、補償ジョイントに及ぶ2つの座標フレームの間の格納された変換は、行列、及び/又は同様のものの形態でのように、同次変換(homogeneous transform)を表すことができる任意の適切なデータ構造に格納され得る。幾つかの例では、変換は、そこから変換が補償ジョイントの1又は複数の運動学的モデルを使用して再計算され得るジョイント角度及び/又は位置として格納され得る。格納された変換は、特定の構成及び/又は特定の時点に関する構成のために行われ得る。
図3に対するこの方法の例示的な適用が、以下を含んでよく、外乱によって生じるジョイント動作は、変換354を変え得るが、変換355及び356を変えない。この方法では、外乱によって生じる位置の変化の予測が、変化した変換354並びにセーブされた変換355及び356を使用することによって決定されることができる。さらに、これは、ユーザコマンドによって生じる作動される動作からの外乱によって生じる器具基準フレーム353の動作の分離を可能にする。したがって、セーブされた変換355及び356が器具の実際の位置を決定するために使用されないことがあるとしても、外乱によって生じる関心のあるポイントに対する動作を予測するために使用されることができる。
【0094】
オプションのプロセス540において、530における予測は、実世界のエラーに関して調整される。ジョイント間の全てのリンクが完全にリジッドである、理想の世界では、プロセス530における予測は、ジョイントの外乱に起因して動かされる関心のあるポイントのところに完全に一致するであろう。しかし、ジョイント間のリンクは、曲がるとともに、リンクに加えられる力の量及びリンク材料の曲げ強さに依存することを与える。例えば、手術中、手術被験者の皮膚はしばしば、被験者に入っているカニューレをテント状に覆う(tent)又はずり上げる。このテント状に覆うことは、カニューレに力を加え、そして、装置のリンク及びジョイントに力を加える。ブレーキがかけられている間、皮膚は、その位置を維持するように装置によって支えられているが、ブレーキがジョイントの幾つかに関して解放されるとき、これらのジョイントは、自由に動くことを可能にされるとともに外乱を受ける。そして、テント状に覆われた皮膚は、皮膚がもはやジョイントの運動方向に力を加えなくなるまで、解放されたジョイントを動かす。皮膚はもはやカニューレに力を加えない(又はより少ない力を加える)ので、テント状に覆うことによって生じる力を支えていたジョイント間のリンクは、反曲する(de-flex)。反曲(de-flexing)はしばしば、ジョイントによる動作の幾つかに対抗し、したがって、ジョイント運動に基づく運動予測が課題に見積もられることをもたらす。これはプロセス530における予測のエラーを引き起こし得る。プロセス540において、調整が、予測に対するエラーの他のソース及びエラーのこのソースを説明するために行われる。
【0095】
幾つかの実施形態では、エラー訂正は、プロセス530の間に予測される並進移動動作におけるエラーの量を推定するスカラー倍であり得る。推定値は、患者、処置、及び/又は多関節装置の向きのような、1又は複数の要因に依存し得る。例えば、子供、大人、獣医学(例えば、動物種)、手術の領域(例えば、腕、足、胃、胸部、頭蓋等)、及び/又は同様のもののための設定があり得る。幾つかの例では、一般的なエラー推定が全ての場合に関して使用され得る。幾つかの実施形態では、関心のあるポイントでの外乱に関してプロセス530の間に予測される回転動作の100%と並進動作の80-95%との間の単一のエラー推定が、関心のあるポイントのエラー訂正された位置として使用され得る。計算をしやすくするために、エラー訂正は、関心のあるポイントの座標フレームにおいて計算され得る。この方法では、関心のあるポイント上の並進動作に対する訂正は、(例えば、予測される並進外乱の1つのフラクション(fraction)及び予測される回転外乱の他のフラクションを使用して)回転エラーと異なって扱われ得る。訂正は、異なる基準フレームにおいて適用され得るが、他の座標フレームにおける回転が関心のあるポイントの座標フレームにおける並進動作に寄与するので、計算は難しくなり得る。幾つかの実施形態では、プロセス540が省略されるとき、プロセス530の間に決定される予測は、エラー訂正された予測として使用され得る。しかし、プロセス530の間に決定される予測を使用することは、僅かな過剰訂正を導入することがある。
【0096】
プロセス550において、エラー訂正された予測変換と基準変換との間の差が決定される。プロセス540の間に決定されるエラー訂正された予測変換とプロセス520の間に決定される基準変換との間の差は、外乱によって関心のあるポイントに導入されているエラーを表す。エラーが、多関節アームの1又は複数の補償ジョイントを使用する運動によって補償されない限り、関心のあるポイントの配置は、望ましくなく変化することがある。幾つかの例では、差は、実際の(actual)変換及び基準変換を表す対応する行列及び/又はベクトルをかけることによって決定され得る。幾つかの例では、差は、エラー訂正された予測変換で基準変換の逆(inverse/reverse)を構成すること(composing)によって決定されるエラー変換として表され得る。
【0097】
プロセス560では、補償ジョイント変化が、差に基づいて決定される。プロセス550の間に決定される実際の変換と基準変換との間の差を使用することで、1又は複数の補償ジョイントにおける変化が決定される。エラー訂正された予測変換と基準変換との間の差は、基準変換の基準座標系から補償ジョイントのそれぞれに関連付けられる1又は複数の局所座標系にマッピングされる。実際において、これは、関心のあるポイントの配置におけるエラーを基準座標系から補償ジョイントに対する関心のあるポイントの相対エラーに変換する。幾つかの例では、1又は複数の運動学的モデルが、差を局所座標系に変換するために使用される。幾つかの例では、補償ジョイントは、外乱を受け鵜ジョイントの1つではない多関節アームのジョイントのいずれか及び/又はマニピュレータを含み得る。いったん関心のあるポイントの相対エラーが決定されると、それらは、補償ジョイントのそれぞれに関する運動を決定するために使用され得る。幾つかの例では、逆ヤコビアンが、相対エラーを補償ジョイントの運動にマッピングするために使用され得る。幾つかの例では、補償ジョイントにおける運動は、ジョイント速度が補償ジョイントに適用されるとき、適用され得る。
【0098】
プロセス570において、補償ジョイントが駆動される。1又は複数のコマンドが、プロセス560の間に決定された補償ジョイントの運動に基づいて補償ジョイントの1又は複数のアクチュエータに送信される。補償ジョイントに送信されるコマンドは、基準座標系における関心のあるポイントの配置がほとんど外乱を伴わずに維持されるように、1又は複数の外乱を受けるジョイントの運動によって導入される関心のあるポイントへの外乱を補正する。1又は複数の補償ジョイントが関心のあるポイントの配置に対して補正変化をもたらし続ける限り、プロセス530-570は、関心のあるポイントの位置及び配置に導入される任意のエラーを補償するために繰り返され得る。
【0099】
幾つかの実施形態によれば、関心のあるポイントの補正、駆動、又は動かすことは、関心のあるポイントと異なる基準ポイントから行われ得る。これは、ジョイント位置決め及び速度のような、ジョイント運動を駆動するための関数及び/又はアルゴリズムのより単純な計算及び/又は再使用を可能にし得る。例えば、
図2を参照すると、コンピュータ支援システム200のマニピュレータ260のジョイントをエンドエフェクタ276よりマニピュレータマウント262におけるエラーに関して調整させることは、計算的により容易であり得る。幾つかの例では、方法500を実装するシステムは、プロセス540の間に決定されるエラー調整された予測を含む異なる基準ポイントに関する基準位置を作り得る。この基準ポイントは、その後、外乱に関する調整のために補償ジョイントを駆動するために使用され得る。関心のあるポイントの外乱は、基準ポイントのような、運動学的チェーンにおける他のポイントの外乱によって表され得るので、これは機能する。基準ポイントは、プロセス520の間に確立された基準変換のような、1又は複数の基準変換を使用して決定され得る。幾つかの場合では、基準変換の逆が、使用され得る。
図2にしたがって、エンドエフェクタの運動を調整することは、セットアップジョイント240の1又は複数のブレーキの解放中にセットアップジョイント240への外乱によって生じ得るエンドエフェクタ276のエラー訂正された予測位置に基づいて基準マニピュレータマウント262位置を作ることを含み得る。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、プロセス570は、実際上の制限を受け得る。幾つかの例では、関心のあるポイントの位置におけるエラーを補償する補償ジョイントの1又は複数の能力は、1又は複数の補償ジョイントの可動域(ROM)限度によって制限され得る。幾つかの例では、補償ジョイントの1又は複数のROM限度に達するとき及び/又は達しようとしているとき、方法500及び/又はプロセス570は、停止され得るとともに、エラーが、1又は複数の可視及び/又は可聴エラーキューを使用してオペレータに示され得る。幾つかの例では、方法500及び/又はプロセス570の動作を停止することよりむしろ、プロセス570は、外乱によって生じる運動の全てが補償されていないというフィードバックをオペレータに提供しながら制御可能なエラーを最小にするように、外乱からの運動を部分的に補償するように修正された形態で動作し得る。幾つかの例では、フィードバックは、補償が限定されていることを示す1又は複数の可視及び/又は可聴キュー並びに/又は1又は複数の補償ジョイントへの抵抗の適用を含み得る。幾つかの例では、抵抗は、1又は複数の補償ジョイントに関連付けられる1又は複数のブレーキを部分的に適用すること及び/又は1又は複数の補償ジョイントに関連付けられる1又は複数のアクチュエータに動作抵抗電圧及び/又は信号を適用することを含み得る。
【0101】
上で論じられそしてここでさらに強調されるように、
図5は、単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を過度に限定すべきでない。当業者は、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。幾つかの実施形態によれば、方法500は、コンピュータ支援装置によって操作されている器具のそれぞれに独立して適用され得る。幾つかの例では、器具は、患者の体の開口部を通って挿入される器具のいずれかを含み得る。幾つかの例では、補償ジョイントは、エンドエフェクタの配置を維持するための補償がエンドエフェクタのそれぞれに別々に適用されるようにコンピュータ支援システムの、取付プラットフォーム227のような、アーム取付プラットフォームの遠位に位置し得る。
【0102】
幾つかの実施形態によれば、外乱を受けるジョイント及び補償ジョイントは、多関節アーム及び/又はマニピュレータのジョイントのそれぞれを含まなくてもよい。幾つかの例では、補償ジョイントは、単にマニピュレータのロール、ピッチ、及びヨージョイントを含んでよい。幾つかの例では、多関節アーム及び/又はマニピュレータの他のジョイントは、方法500の間にそれらの相対運動を防ぐためにロックされてよい。幾つかの例では、多関節アーム及び/又はマニピュレータの1若しくは複数の非作動ジョイントは、エンドエフェクタの配置に対する外乱がロック解除されているジョイントの変化によって少なくとも部分的に減少され得るように、方法500の間にロック解除され得る及び/又は浮動状態に置かれ得る。幾つかの例では、ロック解除されているジョイントにおける変化は、補償ジョイントが駆動されることになる量を減少させ得る。幾つかの例では、器具の姿勢は、器具の挿入ポイントでの体壁からの抵抗を使用して及び/又はコンピュータ支援装置のオペレータによって少なくとも部分的に維持され得る。
【0103】
幾つかの実施形態によれば、プロセス530-590のうちの1又は複数は、同時に実行され得る。幾つかの実施形態によれば、追加の状況が、コンピュータ支援装置の制御をオペレータに戻すことによって及び/又はコンピュータ支援装置の動作の停止によってのように、方法500の早期終了をもたらし得る。幾つかの例では、追加の状況は、補償運動を完了できないこと、オペレータワークステーション及び/又は多関節アームの1又は複数の制御部を使用するオペレータからの手動介入及び/又はオーバーライド、1又は複数の安全インターロックを使用するオペレータワークステーションとのオペレータ離脱の検出、コンピュータ支援装置における位置トラッキングエラー、システム故障、及び/又は同様のものを含み得る。幾つかの例では、所望の運動は、コンピュータ支援装置のリンク及び/又はジョイントの間の差し迫った衝突、コンピュータ支援装置の1又は複数の動作範囲の制限、患者の動作に起因する器具の姿勢を維持することができないこと、及び/又は同様のものに起因して可能でないことがある。幾つかの例では、方法500の早期終了は、エラー通知がオペレータに送信されることをもたらし得る。幾つかの例では、エラー通知は、テキストメッセージ、点滅光、可聴トーン、発話フレーズ、及び/又は同様のもののような、任意の可視及び/又は可聴インジケータを含み得る。
【0104】
図4の方法400及び/又は
図5の方法500を実行するときのように、ジョイントの外乱又は外乱の補償中、オペレータによる器具の遠隔操作制御を依然として可能にすることが有益であり得る。遠隔制御は、外乱に対抗するように及び/又は外乱の幾つかが外乱補償によって完全に相殺されない場合に及び/又は過度の補償があるとき外科医が小さい調整を可能にすることを可能にする。さらに、外科医は、外乱の間に処置を続け得る。
図2のコンピュータ支援システム200の器具270のようなシステムの器具の1又は複数を制御するオペレータの協調の支援のために、システムは、制御システムを直観的な基準フレームを有するように設定し得る。
【0105】
幾つかの実施形態では、オペレータは、
図1のディスプレイシステム192のようなディスプレイシステムを通じて
図2のコンピュータ支援システム200の器具を見る。ディスプレイシステム192は、コンピュータ支援システム200の多関節アーム上の器具として取り付けられる、内視鏡のような、カメラからのビデオストリームであり得る。カメラは、
図1の入力制御部195のような、コントローラによって制御され得る他の多関節アームからの器具を表示し得る。直観的な制御及び器具のコマンドのために、コントローラは、ディスプレイの基準フレームにおけるコマンドを受け入れることができ、この基準フレームは、イメージング装置/ビデオカメラ/内視鏡の基準フレームであり得る。
【0106】
幾つかの実施形態では、補償のために又はユーザ制御コマンドにしたがってジョイントを駆動するとき、多関節アーム及び多関節アームに関連するエンドエフェクタの構成に基づいて、ジョイントの運動は、バンド幅制限され得る、速度制限され得る、バンド幅制御され得る、及び/又は速度制御され得る。例えば、
図2に関して、エンドエフェクタ276が器具キャリッジ268から離れて完全に延ばされるとき、1又は複数のジョイントを駆動することからのアームの小さい動作及び小さい速度運動は、エンドエフェクタ276における大きい運動及びより速い運動を引き起こす。対照的に、エンドエフェクタ276が完全に引っ込められるとき、1又は複数のジョイントを駆動することからのアームの大きい動作及び大きい速度運動は、エンドエフェクタ276における小さい運動及びより遅い速度に変換される。同様に、どれくらい遠く前方に多関節アームが前方及び/又は後方にピッチ動作されるかに応じて、ヨー回転運動及び速度が拡大及び/又は縮小される。
【0107】
幾つかの実施形態では、補償のためにジョイントを駆動することは、補償運動を幾つかの反復部分に分けることによって、バンド幅制限され得る及び/又は速度制限され得る。例えば、 .2秒の期間の間の10の反復部分。この方法では、補償ジョイントは、外乱を受けるジョイントへの追加の外乱を生じさせる非常に短い期間の大きい運動を行うことを妨げられ得る。例えば、器具が完全に引っ込められることに近づくとき、エンドエフェクタにおける小さい補償動作は、補償ジョイントの1又は複数における大きい動作を必要とし得る。大きい動作に関する1又は複数のジョイントによる早い反応は、外乱を受けるジョイントを急に動かし、追加の外乱及び、時折補償の間に外乱を受けるジョイントを乱すことと、他の外乱を引き起こすその次の外乱に対して補償することとの間のフィードバックループを生じさせ得る。したがって、1又は複数のジョイント及び/又はエンドエフェクタの向きに応じて、ジョイントは、速度制限され得る。幾つかの実施形態では、ハードな速度制限が、全ての構成においてジョイントに適用され得る。
【0108】
図6A及び6Bは、2つの異なる視点からの例示のカメラビュー600を示している。
図6Aは、オーバーヘッド視点(overhead perspective)であり、
図6Bはイメージング装置610のセンサの視点である。
図6Bの視点からのカメラビュー600は、イメージング装置610からのストリーミングイメージキャプチャを受信する、
図1のオペレータワークステーション190のディスプレイシステム192のような、ディスプレイから見られ得る。幾つかの実施形態では、イメージング装置610は、内視鏡であり、
図1の多関節アーム102及び/又は
図2の多関節アームのような、多関節アームによって制御される。
図6Aでは、カメラビュー600は、イメージング装置610の例示の視野及びフォーカスエリア(focus area)を表し得る破線によって輪郭を描かれている。
図6Bでは、例示のカメラビューが、
図1のオペレータワークステーション190のディスプレイシステム192のような、ディスプレイ上でイメージング装置610からのビデオストリームを見るユーザの視点から示されている。幾つかの実施形態では、イメージング装置610によって提供されるビデオストリームは、立体的であってよい。イメージング装置610は、立体ビデオストリームを提供するために1又は複数のセンサを使用し得る。この方法では、オペレータは、
図1のコンピュータ支援システム100のようなシステムを使用するとき、奥行き感知覚を有し得る。カメラ座標フレーム611は、イメージング装置610の座標フレームを説明する。
図6Aでは、カメラ座標フレーム611は、ページを出入りするX1軸(図示せず)を持つカメラ座標フレーム611のZ1及びY1軸を示している。
図6Bでは、カメラ座標フレーム611のX1及びY1軸が示され、Z1軸(図示せず)はページを出入りする。幾つかの実施形態では、カメラ座標フレーム611は、
図3のカメラ座標フレーム363であってよい。
【0109】
図6A及び6Bはまた、器具620及び630を含み、これらもまた、
図1の多関節アーム120及び/又は
図2の多関節アームのような、1又は複数の多関節アームによって制御される。器具620及び630は、カメラビュー600の中にあってよく、
図1の入力制御部195のような、制御部を使用するとともに
図6Bの視点から器具620及び630を見る1又は複数のユーザ又はオペレータによって操作されてよい。
図6A及び6Bはまた、異なる視点からの、器具620及び630それぞれの座標フレーム621及び631を示している。幾つかの例では、座標フレーム621及び631は、
図3の器具座標フレーム343及び353と同じであってよい。
【0110】
器具620及び630を遠隔操作するユーザは、カメラビュー600の
図6Bの視点から器具を見ているので、ユーザコマンドがカメラ基準フレーム611で行われることが有益であることがある。カメラ座標フレーム611で提供される任意のコマンドは、
図3の運動学的モデル300のような運動学的モデルを使用することによって、座標フレーム621及び631におけるコマンドに変換されることができる。この方法では、上下は、カメラビューに関連し、このカメラビューは一般的にユーザの視点と一致する。器具620又は630を上下に動かすユーザコマンドは、器具がカメラ座標フレーム611のX1軸に沿って動くことに変換し得る。同様に、他の並進動作に関するユーザコマンドは、カメラ座標フレーム611のY1及びZ1軸に従い得る。幾つかの実施形態では、ロール、ピッチ、及びヨーのような回転運動に関するコマンドもまた、カメラ座標フレーム611から座標基準フレーム621及び631に変換され得る。
【0111】
幾つかの実施形態では、カメラ座標フレーム611は、物理的なイメージング装置610から切り離されてよい。これは、器具動作が座標フレームに固定される幾つかの実施形態において有益であり得る。例えば、器具620及び630の位置がカメラ座標フレームに関連して指令され且つカメラ座標フレームがイメージング装置610に固定されている場合、イメージング装置610に対する望ましくない外乱が、器具620及び630に対する望ましくない外乱に変換する。幾つかの実施形態では、ユーザは、カメラ座標フレームを、イメージング装置610とともに動かす及び/又は再整列するオプションを有してよい。この方法では、イメージング装置610が、器具運動がユーザにより直観的でなくなるように、カメラ座標フレーム611からあまりに遠くに離れるとき、ユーザは、カメラ座標フレームを再設定及び/又は再位置決めすることができる。
【0112】
幾つかの場合では、各アームの器具及び/又はイメージング装置に影響を及ぼす多数のアームの1又は複数のジョイントに対する外乱があり得る。これは、例えば、ブレーキが幾つかのジョイントに関して解放されるとき、例えば、方法400で論じられたずらされたブレーキ解放及び/又は方法500のブレーキ解放のように、幾つかのジョイントに関して解放される。さらに、外乱の間、ユーザがアーム、器具、及び/又はイメージング装置の1又は複数の直観的な制御及び動作を維持することを可能にすることが望ましいことがある。
【0113】
図7は、幾つかの実施形態による外乱の間の1又は複数の器具の直観的な制御を維持するための例示的な方法700を示す。幾つかの例では、外乱は、
図1のコンピュータ支援システム100のような、コンピュータ支援システムの1又は複数の多関節アーム及びカメラの1又は複数のジョイントで発生し得る。
【0114】
プロセス710において、カメラ座標フレームが、イメージング装置の位置に設定される。幾つかの実施形態では、これは、時折、「ラッチング(latching)」又は「ラッチされている(latched)」と称される。イメージング装置は、
図1の多関節アーム120及び/又は
図2の多関節アームのような、多関節アームによって制御され得る及び/又は保持され得る。幾つかの実施形態では、カメラ座標フレームは、ブレーキ解放の前及び/又は外乱の導入のような、特定の瞬間における、座標基準フレームからカメラ座標フレームへの変化を記録することによって設定/ラッチされ得る。幾つかの実施形態では、変換は、
図3のモデル300のような、運動学的モデルを使用することによって決定され得る。
図3にしたがって、カメラ座標フレームは、カメラ座標フレーム363であってよく、基準座標フレームは、アーム取付プラットフォーム座標フレーム330であってよい。記録された変換は、イメージング装置を制御する多関節アームの特定の構成での特定の時点における基準フレームからカメラ座標フレームへの変換であってよい。幾つかの実施形態では、変換を記録することは、
図1のメモリ150のような、コンピュータ可読媒体上に、カメラ座標フレームと基準フレームとの間変換及び/又は運動学的関係を格納することを含んでよい。
【0115】
プロセス720において、外乱は、許容され得る及び/又はシステムに導入され得る。例えば、1又は複数の多関節アームに対する1又は複数のジョイントに関する1又は複数のブレーキが、解放され得る。これは、イメージング装置及び/又は器具を制御する多関節アームの1又は複数のジョイントのブレーキの解放を含み得る。幾つかの実施形態では、外乱は、方法400のずらされたブレーキ解放及び/又は方法500のブレーキ解放によってもたらされ得る。
【0116】
プロセス730において、器具及び/又はイメージング装置への外乱は、外乱によって生じるエンドエフェクタ及びイメージング装置の運動が減少される及び/又は排除されるように、補償される。幾つかの実施形態では、各器具及びイメージング装置に関してプロセス730において実行される補償は、
図5の方法500におけるプロセスの1又は複数を使用して実行され得る。幾つかの実施形態では、イメージング装置は、放って置かれるままにさせられ得るとともに補償なしに外乱を受けることを許容され得る。
【0117】
プロセス740において、コンピュータ支援システムは、器具動作コマンドを受信し得る。器具動作コマンドは、
図1の入力制御部195のような、ユーザが操作する制御部から来てよい。器具動作コマンドは、外乱と同時であり得る。
【0118】
プロセス750において、プロセス740で受信されるコマンドは、プロセス710の間に記録されるカメラ座標フレームからプロセス710の間に記録/格納される変換を使用してそれぞれの器具の座標フレームに変換される。幾つかの実施形態では、カメラ座標フレームによって表される物理的なイメージング装置は外乱を受けているとともに遠くに動かされていることがあり、したがって、710の間に記録されたカメラ座標フレームと同じ位置にもはやいないかもしれない。幾つかの例では、この差は、器具の制御における減少したレベルの直観をもたらすかもしれず、これは、それが取り付けられている多関節アームを使用してカメラをオペレータが再位置決めすることによって及び/又はカメラ座標フレームを再設定することによって、いつでも訂正され得る。
【0119】
プロセス760において、コンピュータ支援システムは、プロセス750においてカメラ座標フレームから器具座標フレームに変換されたコマンドにしたがって器具を動かすためにジョイントを駆動する。幾つかの実施形態によれば、プロセス710-760の1又は複数は同時に実行され得る。
【0120】
幾つかの実施形態では、760のプロセスは、コンピュータ支援システムが外乱を補償するようにジョイントを駆動することと同時に生じることができる。例えば、ジョイントを駆動するユーザコマンドは、外乱補償に基づいてジョイントを駆動するコマンドに重ねられ(superimposed)てもよい。上で論じられたように、ジョイントの運動は、バンド幅制限され得る、速度制限され得る、バンド幅制御され得る、及び/又は速度制御され得る。補償コマンドの上に重ねられるユーザコマンドに基づいてジョイントを駆動することは、
図4及び5に関連して上で論じられたのと同様の方法で制御され得る及び/又は制限され得る。
【0121】
例示的な実施形態が図示され且つ説明されているが、広範な修正、変更、及び置換が、前述の開示において企図され、いくつかの例では、実施形態のいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用なしに用いることができる。当業者は、多くの変形形態、代替形態、及び修正形態を認識するだろう。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、特許請求の範囲は、本明細書に開示された実施形態の範囲と一致する方法で及び広範に解釈することが適切である。
【0122】
次の付記を記す。
(付記1) 多関節アームの第1のジョイントセットと、
前記多関節アームの第2のジョイントセットと、
前記第1のジョイントセット及び前記第2のジョイントセットに結合される制御ユニットと、を有し、
前記制御ユニットは、
1又は複数のブレーキの解放によって生じる前記第1のジョイントセットに対する外乱を決定するように、及び
前記多関節アーム上の関心のあるポイントの位置に対する動作を減少させるよう前記第2のジョイントセットを使用して前記外乱を補償するように、構成される、
コンピュータ支援医療装置。
(付記2) 前記制御ユニットは、前記1又は複数のブレーキを解放するように構成される、
付記1に記載の装置。
(付記3) 前記関心のあるポイントは、前記多関節アームのエンドエフェクタの先端である、
付記1に記載の装置。
(付記4) 前記1又は複数のブレーキの前記解放はずらされる、
付記1に記載の装置。
(付記5) 前記第2のジョイントセットを使用して前記外乱を補償するために、前記制御ユニットは、
基準ポイントに対する前記関心のあるポイントに関する初期位置を決定するように、
前記第1のジョイントセットに対する前記外乱に基づいて前記関心のあるポイントに関する予測動作を決定するように、及び
前記第2のジョイントセットに駆動コマンドを送信するように、構成され、
前記駆動コマンドは、前記予測動作の反対の方向に前記関心のあるポイントを動かす第1のコマンドを含む、
付記1に記載の装置。
(付記6) 前記関心のあるポイントに関する前記予測動作を決定するために、前記制御ユニットは、エラーを調整する、
付記5に記載の装置。
(付記7) 前記エラーを調整するために、前記制御ユニットは、前記多関節アームの1又は複数のリンクの曲げを調整するように構成される、
付記6に記載の装置。
(付記8) 前記エラーを調整するために、前記制御ユニットは、前記第1のジョイントセットに対する前記外乱に基づいて前記関心のあるポイントの並進動作予測にスカラー値を掛けるように構成される、
付記6に記載の装置。
(付記9) 前記駆動コマンドはさらに、ユーザコマンドに基づいて前記関心のあるポイントを動かす第2のコマンドを含み、前記第1のコマンド及び前記第2のコマンドは重ねられる、
付記5に記載の装置。
(付記10) 前記制御ユニットはさらに、駆動されるとき前記第2のジョイントセットの前記速さを制限するように構成される、
付記5に記載の装置。
(付記11) 医療装置の動作を制御する方法であって
第1のセーブされる変換を決定するステップであって、前記第1のセーブされる変換は、外乱の前の前記医療装置の多関節アームの第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である、ステップ;
第2のセーブされる変換を決定するステップであって、前記第2のセーブされる変換は、前記多関節アームの第2のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である、ステップ;
外乱を受けるステップであって、前記外乱は、前記第1のジョイントセットの1又は複数のジョイントの前記位置を乱す、ステップ;
第3の変換を決定するステップであって、前記第3の変換は、前記外乱の後の前記第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である、ステップ;及び
前記外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップであって、
前記第1及び前記第2のセーブされる変換に基づく第1の位置決定と前記第3の変換及び前記第2のセーブされる変換に基づく第2の位置決定との間の差を計算することを含む、ステップ、を含む、
方法。
(付記12) 前記方法は、
関心のあるポイントのエラー訂正された予測動作を決定するステップであって、
前記関心のあるポイントの前記予測動作の並進運動部分を第1のスケールファクタでスケーリングするステップ、を含む、
ステップをさらに含む、
付記11に記載の方法。
(付記13) 前記関心のあるポイントの前記エラー訂正された部分を決定するステップはさらに、前記関心のあるポイントの前記予測動作の回転運動部分を前記第1のスケールファクタと異なる第2のスケールファクタでスケーリングするステップ、を含む、
付記12に記載の方法。
(付記14) 前記第1のスケールファクタは、0.85である、
付記12に記載の方法。
(付記15) 前記第1のスケールファクタは、0.8から0.95の間である、
付記12に記載の方法。
(付記16) 前記方法はさらに、
前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記第2のジョイントセットの1又は複数のジョイントを駆動するステップを含む、
付記12に記載の方法。
(付記17) 前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントを駆動するステップは、前記第2のジョイントセットの構成に基づいて速度調整される、
付記16に記載の方法。
(付記18) 前記方法はさらに、
動作コマンドを受信するステップと、
前記動作コマンドに基づいて前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントをさらに駆動するステップと、を含む、
付記17に記載の方法。
(付記19) 前記動作コマンドは、カメラ座標フレームに対する所望の運動を含む、
付記18に記載の方法。
(付記20) 前記外乱は、前記第1のジョイントセットに関するブレーキ解放によって引き起こされる、
付記11に記載の方法。
(付記21) 前記第1のジョイントセットに関する前記ブレーキ解放は、ずらされるブレーキ解放である、
付記20に記載の方法。
(付記22) 前記第1のジョイントセットに関する前記ブレーキ解放は、漸進的なブレーキ解放である、
付記20に記載の方法。
(付記23) イメージング装置を持つ第1の多関節アームと、
エンドエフェクタを持つ第2の多関節アームと、
前記第1の多関節アーム及び前記第2の多関節アームに結合される制御ユニットと、を有し、
前記制御ユニットは、
第1の時間における前記イメージング装置の位置に基づいている第1の基準フレームを設定するように、
前記第1の時間において前記イメージング装置の前記位置から離れて前記イメージング装置を動かす前記第1の多関節アームに対する第1の外乱を許容するように、
前記エンドエフェクタを動かすコマンドを受信するように、及び
前記第1の基準フレームからの前記エンドエフェクタを動かすコマンドを前記エンドエフェクタに関する基準フレームにおいて前記エンドエフェクタを動かすコマンドに変換するように、構成される、
コンピュータ支援医療装置。
(付記24) 前記制御ユニットはさらに、
前記第2の多関節アームの第1のジョイントセットに対する第2の外乱を許容するように、及び
前記第1のジョイントセットに対する前記第2の外乱によって生じる前記エンドエフェクタに対する運動を減少させるように、前記多関節アームの第2のジョイントセットの1又は複数のジョイントを駆動するように、構成される、
付記23に記載の装置。
(付記25) 前記第1のジョイントセットに対する前記第2の外乱によって生じる前記エンドエフェクタに対する運動を減少させるように前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントを駆動するために、前記制御ユニットはさらに、
前記第2の外乱の前の前記第1のジョイントセットを含む2つの座標フレームの間の変換である第1のセーブされる変換を決定するように、
前記第2のジョイントセットを含む2つの座標フレームの間の変換である第2のセーブされる変換を決定するように、
前記第2の外乱の後の前記第1のジョイントセットを含む2つの座標フレームの間の変換である第3の変換を決定するように、
前記第1及び前記第2のセーブされる変換に基づく前記エンドエフェクタの第1の位置と前記第3の変換及び前記第2のセーブされる変換に基づく前記エンドエフェクタの第2の位置決定との間の差を計算することによって前記第2の外乱によって生じる前記エンドエフェクタの予測動作を決定するように、構成される、
付記24に記載の装置。
(付記26) 前記第1のジョイントセットに対する前記外乱によって生じる前記エンドエフェクタに対する運動を減少させるように前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントを駆動するために、前記制御ユニットはさらに、
スカラー値を前記エンドエフェクタの前記予測動作の一部に掛けることによって前記エンドエフェクタのエラー訂正された予測動作を決定するように構成される、
付記25に記載の装置。
(付記27) 医療装置に関連付けられる1又は複数のプロセッサによって実行されるとき、1又は複数のプロセッサに方法を実行させるように適合される複数の機械可読指令を含む非一時的機械可読媒体であって、前記方法は、
外乱の前の前記医療装置の多関節アームの第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第1のセーブされる変換を決定するステップ;
前記多関節アームの第2のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第2のセーブされる変換を決定するステップ;
前記第1のジョイントセットの1又は複数のジョイントの位置を乱す前記外乱を受けるステップ;
前記外乱の後の前記第1のジョイントセットに及ぶ2つの座標フレームの間の変換である第3の変換を決定するステップ;及び
前記外乱によって生じる関心あるポイントの予測動作を決定するステップであって、
前記第1及び前記第2のセーブされる変換に基づく第1の位置決定と前記第3の変換及び前記第2のセーブされる変換に基づく第2の位置決定との間の差を計算するステップを含む、
ステップ、を含む、
非一時的機械可読媒体。
(付記28) 前記方法は、
関心のあるポイントのエラー訂正された予測動作を決定するステップであって、
前記関心のあるポイントの前記予測動作の並進運動部分を第1のスケールファクタでスケーリングするステップ、を含む、
ステップをさらに含む、
付記27に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記29) 前記関心のあるポイントの前記エラー訂正された部分を決定するステップはさらに、前記関心のあるポイントの前記予測動作の回転運動部分を前記第1のスケールファクタと異なる第2のスケールファクタでスケーリングするステップ、を含む、
付記28に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記30) 前記第1のスケールファクタは、0.85である、
付記28に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記31) 前記第1のスケールファクタは、0.8から0.95の間である、
付記28に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記32) 前記方法はさらに、
前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記第2のジョイントセットの1又は複数のジョイントを駆動するステップを含む、
付記28に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記33) 前記エラー訂正された予測動作に基づいて前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントを駆動するステップは、前記第2のジョイントセットの構成に基づいて速度調整される、
付記32に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記34) 前記方法はさらに、
動作コマンドを受信するステップと、
前記動作コマンドに基づいて前記第2のジョイントセットの前記1又は複数のジョイントをさらに駆動するステップと、を含む、
付記33に記載の非一時的機械可読媒体。
(付記35) 前記動作コマンドは、カメラ座標フレームに対する所望の運動を含む、
付記34に記載の非一時的機械可読媒体。