(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/337 20060101AFI20241001BHJP
B41M 5/41 20060101ALI20241001BHJP
B41M 5/323 20060101ALI20241001BHJP
B41M 5/333 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B41M5/337 230
B41M5/41 200
B41M5/323
B41M5/333
(21)【出願番号】P 2021560802
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046167
(87)【国際公開番号】W WO2021106076
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】江頭 雄介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅彦
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-188706(JP,A)
【文献】特開2002-316482(JP,A)
【文献】特開2015-030227(JP,A)
【文献】特開2008-194843(JP,A)
【文献】特開2018-167483(JP,A)
【文献】特開2009-255309(JP,A)
【文献】特開2002-113947(JP,A)
【文献】特開平08-011436(JP,A)
【文献】特開2019-166747(JP,A)
【文献】特開2016-093961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/28- 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材上に、少なくとも感熱記録層と中間層とがこの順で積層された感熱記録体であって、
前記感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と、エピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂またはオキサゾリン基を含有する有機化合物を主成分とする架橋剤とを含有し、
前記中間層が、コアシェル構造の樹脂を含有
し、
前記分散剤が、スチレンアクリルアンモニウム塩であることを特徴とする感熱記録体。
【請求項2】
前記感熱記録層が、粒子状の発色剤及び粒子状の顕色剤の少なくとも一方を含有し、
前記発色剤の粒子径及び前記顕色剤の粒子径が、0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項
1に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録体に関し、更に詳しくは、透明性に優れた感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録体は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、記録画像が得られるものであり、ファクシミリや自動券売機、科学計測機の記録用媒体としてだけではなく、小売店等のPOSシステムの感熱記録ラベルなどとして広範な用途に使用されている。
【0003】
また、感熱記録体は、上述の自動券売機等において屋外で使用されるため、耐水性や保存安定性に優れたものが提案されている。より具体的には、感熱記録層に、カルボキシル変性ポリビニルアルコール等のカルボキシル基含有樹脂とエピクロロヒドリンとポリアミン/アミド系樹脂とを含有する感熱記録体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、感熱記録体を、各種の食品などが収容された容器のラベルや包装用のフィルムとして使用する場合、ラベルやフィルムによって、容器の中身が隠れてしまい、消費者が中身を確認することが困難になるという問題がある。従って、感熱記録体からなるラベルやフィルムを透明にすることにより、容器の中身を確認できるようにすることが望まれている。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の感熱記録体においては、依然として、感熱記録体の透明性が不十分であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、透明性に優れた感熱記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明では、透明な基材上に、少なくとも感熱記録層と中間層とがこの順で積層された感熱記録体を前提とし、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と、エピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂またはオキサゾリン基を含有する有機化合物を主成分とする架橋剤を含有し、中間層が、コアシェル構造の樹脂を含有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によると、透明性に優れた感熱記録体を提供することができる。
【0010】
また、第2の発明では、第1の発明において、分散剤が、スチレンアクリルアンモニウム塩、またはスチレンマレイン酸塩により構成されている。
【0011】
また、第3の発明では、第1又は第2の発明において、感熱記録層が、粒子状の発色剤及び粒子状の顕色剤の少なくとも一方を含有し、発色剤の粒子径及び顕色剤の粒子径が、0.1μm以上1.0μm以下に設定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明性に優れた感熱記録体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の感熱記録体を説明するための断面図である。
【
図2】架橋剤であるエピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂中のアゼチジニウム環(AZR)と、分散剤のカルボキシル基との架橋反応を説明するための図である。
【
図3】架橋剤であるオキサゾリン基を含有する有機化合物のオキサゾリン基と、分散剤のカルボキシル基との架橋反応を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態の感熱記録体を説明するための断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の感熱記録体1は、シート状の透明な基材2上に、加熱によって発色する感熱記録層3、中間層4、及び、トップコート層5が積層された構造となっている。
【0017】
基材2としては、透明の合成樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどを用いることができる。基材2の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm~100μm程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。
【0018】
感熱記録層3を形成する材料としては、加熱により発色する発色剤、顕色剤、結着剤、及び滑剤などを含む。
【0019】
感熱記録層3の透明性を向上させるために、各材料は、粒子径の細かいものを使用することが好ましい。このように粒子径の細かい材料を使用することにより、粒子の乱反射を抑制することができる。
【0020】
具体的には、発色剤である染料としては、例えば、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランなどを挙げることができ、粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましく、0.1~0.6μm以下であることがより好ましく、0.1~0.55μmであることが特に好ましい。
【0021】
上記の顕色剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンなどを挙げることができ、粒子径は、0.1~1.0μmであることが好ましく、0.1~0.6μm以下であることがより好ましく、0.1~0.55μmであることが特に好ましい。
【0022】
なお、上記粒子径とは、マイクロトラックレーザー解析・散乱式粒度分析機による測定50%平均粒子径をいう。
【0023】
結着剤としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体などを挙げることができる。
【0024】
滑剤としては、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛、パラフィンなどを挙げることができ、それらの粒子径は、0.5μm以下であることが好ましい。
【0025】
なお、透明性を向上させるためには、パラフィンを含有させることが特に有効であり、このパラフィンは、感熱記録層3の発色温度未満、好ましくは80℃未満、より好ましくは、50℃未満の低融点のパラフィンであることが好ましい。
【0026】
この低融点のパラフィンの粒子径は、上記のように0.5μm以下であることが好ましい。このパラフィンの含有量は、乾燥重量で、例えば、0.1~1.0g/m2であることが好ましい。
【0027】
このように低融点のパラフィンを含有させることにより、感熱記録層形成用の塗液を基材2上に塗布して乾燥する際に、パラフィンが溶融し、感熱記録層3を構成する粒子の表面の凹凸等の隙間に入り込んで隙間を埋めることになり、これによって、粒子表面の乱反射を抑制して透明性を向上させることができる。
【0028】
水や油に対するバリアー性を有する中間層4は、主に、樹脂によって形成されている。この中間層4の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂のエマルション、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂、SBR樹脂などが挙げられる。
【0029】
透明性を向上させるためには、上記樹脂は、水溶性部分を有する樹脂、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)樹脂、あるいは、疎水性のコア粒子を水溶性のシェルポリマーでコーティングしたコアシェル構造の樹脂、例えば、コアシェル型アクリル樹脂などが好ましい。
【0030】
水溶性のポリビニルアルコール(PVA)やコアシェル型のアクリル樹脂は、成膜性が良好であり、感熱記録層3上に、中間層形成用の塗液を塗布して乾燥する際に、水溶性部分を有する樹脂が、感熱記録層3へ染み込んで平滑な中間層4が形成されるため、感熱記録層3での乱反射が抑制されて透明性が向上する。
【0031】
コアシェル型の樹脂は、例えば、コアシェル型アクリル樹脂として、バリアスター(三井化学社製)の名称で市販されているものなどを使用することができる。
【0032】
トップコート層5は、サーマルヘッドに対する感熱記録体1のマッチング性を向上させて、感熱記録層3の発色が順調に行われるようにするものであり、このトップコート層5は、結着剤中に充填剤、滑剤、架橋剤などを添加したものが用いられる。
【0033】
結着剤である樹脂としては、例えば、アクリル樹脂などが挙げられる。滑剤としては、例えば、ポリエチレン、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、炭酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0034】
充填剤としては、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ジルコニウム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。なお、これら充填剤の粒子径は、1.0μm以下であることが好ましい。透明性を向上させるためには、充填剤として、粒子径の小さいコロイダルシリカが好ましい。
【0035】
ここで、本実施形態の感熱記録体1においては、感熱記録層3が、カルボキシル基を有する分散剤と、エピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂またはオキサゾリン基を含有する有機化合物を主成分とする架橋剤とを含有する点に特徴がある。
【0036】
カルボキシル基を有する分散剤としては、スチレン・アクリル系重合物等のスチレンアクリルアンモニウム塩、スチレンマレイン酸樹脂等のスチレンマレイン酸塩が使用される。
【0037】
そして、感熱記録層3において、
図2に示すように、架橋剤であるエピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂中のアゼチジニウム環(AZR)と、分散剤のカルボキシル基とが反応して、架橋構造が形成され、この架橋により、感熱記録層3の成膜性が向上し、感熱記録層3に含まれる空隙が埋められるものと考えられる。その結果、感熱記録層3の透明性が向上するため、透明性に優れた感熱記録体1を得ることができる。
【0038】
また、同様に、感熱記録層3において、
図3に示すように、架橋剤であるオキサゾリン基を含有する有機化合物のオキサゾリン基と、分散剤のカルボキシル基とが反応して、架橋構造が形成され、この架橋により、感熱記録層3の成膜性が向上し、感熱記録層3に含まれる空隙が埋められるものと考えられる。その結果、感熱記録層3の透明性が向上するため、透明性に優れた感熱記録体1を得ることができる。
【0039】
なお、感熱記録層3全体に対する分散剤の含有量は、5~20質量%が好ましい。また、感熱記録層3全体に対する架橋剤の含有量は、0.5~10質量%が好ましい。
【実施例】
【0040】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0041】
(実施例1)
(感熱記録体の作製)
<感熱記録層>
表1に示す感熱記録層形成用の塗液を調製し、調製した感熱記録層形成用の塗液を基材である厚さ40μmのOPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム上に、塗布量が、乾燥重量で4.0~6.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、基材上に厚さが45~50μmの感熱記録層を作製した。なお、表1において、各配合剤の数値は、乾燥時における重量比率を示している。
【0042】
また、配合材料として、分散剤は、スチレンアクリルアンモニウム塩を使用し、架橋剤は、エピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂を使用した。また、染料は、粒子径が0.15μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランを使用し、顕色剤は、粒子径が0.15μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンを使用し、結着剤(バインダ)は、ガラス転移温度Tgが「-3℃」のSBRを使用した。また、滑剤は、融点が100℃で粒子径が0.6μmのポリエチレン(PE)、及び融点が46℃で粒子径が0.2μmのパラフィンを使用した。また、充填剤は、粒子径が0.4μmのカオリンを使用した。
【0043】
<中間層>
コアシェル型アクリル樹脂を使用した中間層形成用の塗液を調製し、調製した中間層形成用の塗液を上述の感熱記録層上に、塗布量が乾燥重量で2.0g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、感熱記録層上に厚さが2.0μmの中間層を形成した。
【0044】
<トップコート層>
表1に示すトップコート層形成用の塗液を調製し、調製したトップコート層形成用の塗液を上述の中間層上に、塗布量が、乾燥重量で1.5g/m2となるように塗布した後、乾燥を行うことにより、中間層上に厚さが1.5μmのトップコート層を形成した。
【0045】
なお、結着剤(バインダ)として、アクリル樹脂を使用し、滑剤として、ポリエチレン(PE)、ステアリン酸亜鉛(St-Zn)を使用した。また、充填剤として、粒子径が数nmのコロイダルシリカと粒子径が数十nmのコロイダルシリカを使用し、架橋剤として、炭酸ジルコニウムを使用した。
【0046】
以上の方法により、本実施例の感熱記録体を作製した。
【0047】
<ヘイズ値の測定>
ヘーズメーター(日本電色(株)製、商品名:NDH7000)を使用して、得られた感熱記録体のヘイズ値を、JIS-K7136:2000に準拠して測定した。以上の結果を表1に示す。
【0048】
(実施例2)
感熱記録層において、架橋剤を、上述の架橋剤よりも反応点が1割低いとともに、カチオン化度が低く、さらに分子量が小さいエピクロロヒドリン変性ポリアミドポリアミン樹脂に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0049】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0050】
(実施例3)
感熱記録層において、架橋剤を、オキサゾリン基を含有する有機化合物に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0051】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0052】
(実施例4)
感熱記録層において、顕色剤を、粒子径が0.25μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更するとともに、染料を、粒子径が0.25μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0053】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
感熱記録層において、架橋剤を、オキサゾリン基を含有する有機化合物に変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.25μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.25μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0055】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0056】
(実施例6)
感熱記録層において、顕色剤を、粒子径が0.46μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更するとともに、染料を、粒子径が0.46μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0057】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0058】
(実施例7)
感熱記録層において、架橋剤を、オキサゾリン基を含有する有機化合物に変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.46μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.46μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0059】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0060】
(実施例8)
感熱記録層において、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更するとともに、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0061】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0062】
(実施例9)
感熱記録層において、分散剤を、スチレンマレイン酸塩に変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更するとともに、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0063】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
架橋剤を配合しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0065】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0066】
(比較例2)
感熱記録層において、架橋剤を配合せず、顕色剤を、粒子径が0.25μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.25μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0067】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0068】
(比較例3)
感熱記録層において、架橋剤を配合せず、顕色剤を、粒子径が0.46μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.46μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0069】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0070】
(比較例4)
感熱記録層において、架橋剤を配合せず、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0071】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0072】
(比較例5)
感熱記録層において、架橋剤を配合せず、分散剤を、スチレンマレイン酸塩に変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0073】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0074】
(比較例6)
感熱記録層において、分散剤を、重合度500、ケン化度86.5~89.0のポリビニルアルコールに変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0075】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0076】
(比較例7)
感熱記録層において、架橋剤を配合せず、分散剤を、重合度500、ケン化度86.5~89.0のポリビニルアルコールに変更するとともに、顕色剤を、粒子径が0.55μmの4-ヒドロキシフェニル(4’-n-プロポキシフェニル)スルホンに変更し、更に、染料を、粒子径が0.55μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオランに変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0077】
次いで、上述の実施例1と同様にして、ヘイズ値の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
表1に示すように、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と架橋剤とを含有する実施例1~3の感熱記録紙(染料及び顕色剤の粒子径が0.15μm)は、架橋剤を含有していない比較例1(染料及び顕色剤の粒子径が0.15μm)に比し、ヘイズ値が小さくなっており、感熱記録体の透明度が向上していることが分かる。
【0080】
また、表1に示すように、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と架橋剤とを含有する実施例4~5の感熱記録紙(染料及び顕色剤の粒子径が0.25μm)は、架橋剤を含有していない比較例2(染料及び顕色剤の粒子径が0.25μm)に比し、ヘイズ値が小さくなっており、感熱記録体の透明度が向上していることが分かる。
【0081】
また、表1に示すように、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と架橋剤とを含有する実施例6~7の感熱記録紙(染料及び顕色剤の粒子径が0.46μm)は、架橋剤を含有していない比較例3(染料及び顕色剤の粒子径が0.46μm)に比し、ヘイズ値が小さくなっており、感熱記録体の透明度が向上していることが分かる。
【0082】
また、表1に示すように、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と架橋剤とを含有する実施例8の感熱記録紙(染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)は、架橋剤を含有していない比較例4(染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)に比し、ヘイズ値が小さくなっており、感熱記録体の透明度が向上していることが分かる。
【0083】
また、表1に示すように、感熱記録層が、カルボキシル基を有する分散剤と架橋剤とを含有する実施例9の感熱記録紙(分散剤がスチレンマレイン酸塩であって、染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)は、架橋剤を含有していない比較例5(分散剤がスチレンマレイン酸塩であって、染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)に比し、ヘイズ値が小さくなっており、感熱記録体の透明度が向上していることが分かる。
【0084】
また、カルボキシル基を有しない分散剤(ポリビニルアルコール)を使用した比較例6~7(染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)においては、架橋剤の有無にかかわらず、カルボキシル基を有する分散剤(スチレンアクリルアンモニウム塩、またはスチレンマレイン酸塩)を使用した実施例8~9(染料及び顕色剤の粒子径が0.55μm)に比し、感熱記録体の透明度が低下していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上に説明したように、本発明は、各種の食品などが収容された容器のラベルや包装用のフィルムとして使用される感熱記録体に、特に有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 感熱記録体
2 基材
3 感熱記録層
4 中間層
5 トップコート層