IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブイ・エス・エル・ジャパン株式会社の特許一覧 ▶ 東京製綱株式会社の特許一覧 ▶ 守谷鋼機株式会社の特許一覧

特許7563866ハイブリッド反力アンカーおよびその組立てキット
<>
  • 特許-ハイブリッド反力アンカーおよびその組立てキット 図1
  • 特許-ハイブリッド反力アンカーおよびその組立てキット 図2
  • 特許-ハイブリッド反力アンカーおよびその組立てキット 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】ハイブリッド反力アンカーおよびその組立てキット
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/80 20060101AFI20241001BHJP
   E02D 23/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
E02D23/08 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024050702
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391005891
【氏名又は名称】ブイ・エス・エル・ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592016784
【氏名又は名称】守谷鋼機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】高原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】那須 敦
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-227198(JP,A)
【文献】特開2000-257061(JP,A)
【文献】実開昭62-176233(JP,U)
【文献】実開昭62-176232(JP,U)
【文献】特開2013-15006(JP,A)
【文献】特開2008-231810(JP,A)
【文献】特開2022-187218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/80
E02D 23/08
E21D 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空を有する両端が開口した接続スリーブと,
末端部に圧着スリーブが固定され,圧着スリーブよりも内側に,リング形状のジョイントねじ部材が通されたPC鋼より線と,
末端部にソケットが固定された繊維強化プラスチック製ケーブルとを備え,
上記接続スリーブの少なくとも両端部分の内周面に雌ねじが形成されており,
上記ジョイントねじ部材の外周面および上記ソケットの先端部の外周面に雄ねじが形成されており,
上記接続スリーブの両端部のそれぞれに,上記ジョイントねじ部材および上記ソケットがねじ止めされている,
ハイブリッド反力アンカー。
【請求項2】
上記ソケットは内部に中空を有する両端が開口したものであり,上記ソケット内に膨張剤が充填されており,上記ソケット内に挿入された上記繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部が上記膨張剤に埋め込まれている,
請求項1に記載のハイブリッド反力アンカー。
【請求項3】
内部に中空を有する両端が開口した接続スリーブと,
末端部に圧着スリーブが固定され,圧着スリーブよりも内側に,リング形状のジョイントねじ部材が通されたPC鋼より線と,
末端部にソケットが固定された繊維強化プラスチック製ケーブルとを備え,
上記接続スリーブの少なくとも両端部分の内周面に雌ねじが形成されており,
上記ジョイントねじ部材の外周面および上記ソケットの先端部の外周面に雄ねじが形成されている,
ハイブリッド反力アンカー用組み立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハイブリッド反力アンカーに関する。また,この発明はハイブリッド反力アンカーの組立てに用いられるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
地下工事,たとえば下水道工事では数十mから数km程度の距離の離れた2ヵ所に,人の出入り,掘削機や資材の搬入のための発進立杭および到達立杭が設けられる。シールドマシン等の掘削機によって発進立坑から到達立杭にかけて横穴(本坑)が掘り進められる。本坑に下水道管が敷設されることによって発進立坑から到達立坑にかけて下水道管路が構築される。
【0003】
発進立坑および到達立坑では,その施工方法の一つとして円筒形や小判型などの形状を備えるコンクリート管または鋼管が埋設されることがある。
【0004】
立坑の周辺においてあらかじめ地中深くにPC鋼より線製のアンカーを埋設しておき,このアンカーに作用する反力をコンクリート管や鋼管を地中に圧入するために利用することがある(反力アンカー)(特許文献1参照)。反力アンカーの下端部は地中深くの地盤と強固に固定され,地上に出されたアンカーの上端部がジャッキを用いて引っ張られる(緊張される)。アンカーに生じる反力(圧縮力)によってコンクリート管や鋼管が地中に圧入される。
【0005】
上述したPC鋼より線製アンカーは地下工事が終わった後も地中に残置されることがある。しかしながら,新規の地下工事において横穴を掘り進めるときに,過去の地下工事において地中に残置されたPC鋼より線製反力アンカーに掘削機がぶつかると,残置されているPC鋼より線製アンカーが掘削機に絡みついてしまい,動作不能になるおそれがある。
【0006】
PC鋼より線製アンカーを地中に残置せずに,工事終了後に引き抜いて撤去することもある。しかしながら,アンカーを引き抜いている途中,たとえばPC鋼より線がねじれてしまうと途中で引き抜きができなくなることがある。この場合,アンカーの撤去にはかなりの労力を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-227198号公報
【発明の開示】
【0008】
この発明は,地中に残置してもその後の地下工事等に支障を生じさせない反力アンカーを提供することを目的とする。
【0009】
この発明によるハイブリッド反力アンカーは,内部に中空を有する両端が開口した接続スリーブと,末端部に圧着スリーブが固定され,圧着スリーブよりも内側に,リング形状のジョイントねじ部材が通されたPC鋼より線と,末端部にソケットが固定された繊維強化プラスチック製ケーブルとを備え,上記接続スリーブの少なくとも両端部分の内周面に雌ねじが形成されており,上記ジョイントねじ部材の外周面および上記ソケットの先端部の外周面に雄ねじが形成されており,上記接続スリーブの両端部のそれぞれに,上記ジョイントねじ部材および上記ソケットがねじ止めされているものである。
【0010】
この発明によると,接続スリーブを介して,PC鋼より線と繊維強化プラスチック製ケーブルを接続することができる。PC鋼より線と繊維強化プラスチック製ケーブルは,それぞれジョイントねじ部材およびソケットを通じて接続スリーブの両端部にねじ止めされるので,強い引張力が加えられたとしても接続が外れてしまう可能性は低い。
【0011】
この発明によるハイブリッド反力アンカーは,PC鋼より線と繊維強化プラスチック製ケーブルを備える。PC鋼より線は長手方向の引っ張りに対して高い強度を有し,局部的なせん断力や表面のキズにも強い。ハイブリッド反力アンカーに緊張力を導入するときには一般にはジャッキが用いられる。ハイブリッド反力アンカーを構成するPC鋼より線がアンカーヘッドにくさび止めされ,アンカーヘッドがジャッキによって持ち上げられることで,ハイブリッド反力アンカーは緊張される。
【0012】
他方,繊維強化プラスチック製ケーブルは長手方向の引っ張りに対してはPC鋼より線と同等の強度を発揮するが,局部的なせん断力や表面のキズには弱い。逆に言えば,局部的なせん断力や表面のキズが繊維強化プラスチック製ケーブルに加わると,繊維強化プラスチック製ケーブルはその形状を維持しない。先行する地下工事においてこの発明によるハイブリッド反力アンカーが地中に残置されており,後日の地下工事において掘削機が繊維強化プラスチック製ケーブルにぶつかったとしても,掘削機が繊維強化プラスチック製ケーブルに絡みつくことはなく,むしろ破壊されることになる。このようにこの発明によるハイブリッド反力アンカーは,後日に掘削が行われると考えられる範囲に繊維強化プラスチック製ケーブルを位置させておくことで,地中に残置しても,その後の地下工事等に支障を生じさせない。残置に適する反力アンカーが提供される。
【0013】
一実施態様では,上記ソケットは内部に中空を有する両端が開口したものであり,上記ソケット内に膨張剤が充填されており,上記ソケット内に挿入された上記繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部が上記膨張剤に埋め込まれている。ソケット内に充填される膨張剤の膨張圧によって繊維強化プラスチック製ケーブルの末端部分にソケットを強固に定着することができる。
【0014】
この発明は,内部に中空を有する両端が開口した接続スリーブと,末端部に圧着スリーブが固定され,圧着スリーブよりも内側に,リング形状のジョイントねじ部材が通されたPC鋼より線と,末端部にソケットが固定された繊維強化プラスチック製ケーブルとを備え,上記接続スリーブの少なくとも両端部分の内周面に雌ねじが形成されており,上記ジョイントねじ部材の外周面および上記ソケットの先端部の外周面に雄ねじが形成されている,ハイブリッド反力アンカー組立てキット(部品組)も提供する。工事現場等において,上記接続スリーブの両端部のそれぞれに上記ジョイントねじ部材および上記ソケットをねじ止めすることによって,上述したハイブリッド反力アンカーが組み立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】立坑構築の様子を概略的に示す断面図である。
図2】接続部材の分解斜視図である。
図3】組み立てられた状態の接続部材の断面図である。
【実施例
【0016】
図1は立坑構築の様子を概略的に示している。
【0017】
立坑は坑道のうち垂直方向に掘られたものである。一般には中空のコンクリート管または鋼管(以下,管21という)を地中に埋設することによって立坑は構築される。管21は地上に出ている管21の上端を下向きに押圧することによって地中に圧入される。管21の内部の土砂は掘削されて外に出される。既存の管21の上端部に新たな上端部を構築することによって地中に埋設される管21の長さ(全高)は任意に調節することができる。この場合,上端部構築,圧入および掘削の作業が繰返されることによって立坑は構築される。
【0018】
管21の上端を下向きに押圧して地中に圧入するためにハイブリッド反力アンカーが用いられる。
【0019】
ハイブリッド反力アンカーは,接続部材1と,PC鋼より線2と,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製ケーブル3(以下,CFRPケーブル3と呼ぶ)から構成される。ハイブリッド反力アンカーは,あらかじめ地中に穿孔される細長い長孔を通じて地中に埋設される。
【0020】
PC鋼より線2は,断面が円形の複数本のPC鋼線を撚り合わせることで構成されている。たとえば,1×7構造(1本のPC鋼線を中心にして,その周囲に6本のPC鋼線を撚り合わせた構造)を持つ,直径が12.7mmの7本よりPC鋼より線2を用いることができる。PC鋼より線2の構造および直径は任意に設計することができる。
【0021】
CFRPケーブル3は,炭素繊維およびエポキシ樹脂の複合材を材料とする,断面が円形の複数本のより線(CFRPより線)をさらにより合わせることで構成されている。CFRPより線のそれぞれは多数本の連続する炭素繊維と,多数本の炭素繊維に含侵されたエポキシ樹脂によって断面円形に形成されたものである。たとえば直径が12.5mmの1×7構造(1本のCFRPより線を中心にして,その周囲に6本のCFRPより線を撚り合わせた構造)のCFRPケーブル3を用いることができる。CFRPケーブル3の構造および直径も任意に設計することができる。
【0022】
接続部材1の一端にPC鋼より線2が,他端にCFRPケーブル3が,それぞれ接続されており,接続部材1を介してPC鋼より線2とCFRPケーブル3は一直線上にのびている。接続部材1の一端に末端が接続されたPC鋼より線2の先端部分(頭部)は地上に出されている。接続部材1および接続部材1の他端に末端が接続されたCFRPケーブル3はその全体が地中に埋め込まれている。CFRPケーブル3の先端部分の周囲の地盤にはグラウト(図示略)が注入され,グラウトを介して周囲の地盤と強固に一体化される。
【0023】
管21の上端に支圧桁22が載せられている。支圧桁22と管21の上端面との間に支圧盤(図示略)を設けてもよい。支圧桁22にはPC鋼より線2が通る孔(図示略)があけられており,PC鋼より線2の先端部分は支圧桁22にあけられた孔を通って支圧桁22の上方まで達している。
【0024】
支圧桁22の上面にジャッキ23が設置され,支圧桁22の上方に達しているPC鋼より線2の先端部分がジャッキ23によって引っ張られる。たとえばくさび止めによってPC鋼より線2の先端部分にアンカーヘッド(図示略)が定着され,アンカーヘッドがジャッキ23によって持ち上げられる。
【0025】
ジャッキ23によってハイブリッド反力アンカー(PC鋼より線2の先端部分)を引っ張ると,ハイブリッド反力アンカーにはその反力(圧縮力)が生じる。この反力が管21を地中に圧入するために用いられる。一般には管21の周囲に等間隔で2~10本程度のハイブリッド反力アンカーが埋設され,ハイブリッド反力アンカーの本数と同じ数のジャッキ23が用いられる。複数台のジャッキ23は制御装置(図示略)によって制御され,管21の姿勢が制御される。
【0026】
1台のジャッキ23によって密集する複数本のハイブリッド反力アンカーを同時に引っ張ることもできる。この場合には,複数本,たとえば5本のハイブリッド反力アンカーのそれぞれのPC鋼より線2が一つのアンカーヘッドに定着され,5本のハイブリッド反力アンカー(5本のPC鋼より線2)がジャッキ23によって同時に引っ張られる。管21の圧入に必要とされる力に応じて,ハイブリッド反力アンカーの本数は調節される。
【0027】
図2は接続部材1(ハイブリッド反力アンカー)の分解斜視図である。図3は接続部材1の断面図である。
【0028】
接続部材1は,CFRP端末ソケット11,圧着スリーブ13,ジョイントねじ部材14および接続スリーブ15を備えている。
【0029】
接続スリーブ15は,内部が中空の円筒形のもので,鉄等の硬い金属から作られている。接続スリーブ15の両端部分のそれぞれの内周面には雌ねじが形成されている(図2では一方の雌ねじ15Aだけが見えている)。
【0030】
CFRP端末ソケット11は,CFRPケーブル3の末端部分を外傷等から保護し,かつCFRPケーブル3を接続部材1に接続するためのもので,金属製であり,内部が中空の細長い円筒形を持つ。CFRP端末ソケット11の中空の直径はCFRPケーブル3の直径よりも大きい。CFRP端末ソケット11の内部空間に,好ましくは中心を一致させて,CFRPケーブル3の末端部分が収められている(挿入されている)。
【0031】
CFRP端末ソケット11の内部空間に膨張剤12が充填され,CFRPケーブル3はCFRP端末ソケット11内で膨張剤12中に埋め込まれている。膨張剤12は適切な温度管理下において適度な膨張を生じ,固化する。膨張剤12が膨張するときに生じる膨張圧によって,CFRP端末ソケット11内にCFRPケーブル3の末端部分が強く拘束される。膨張剤12には,たとえば酸化カルシウムを主成分とし,水と反応して膨張する,いわゆるセメントミルクを用いることができる。
【0032】
CFRP端末ソケット11の先端部分(CFRPケーブル3が外に出ていない端部)の外周面に雄ねじ11Aが形成されており,そこに内周面に雌ねじ15Aが形成された接続スリーブ15の一端がねじ結合されることで,接続スリーブ15の一端にCFRPケーブル3が接続される。CFRPケーブル3には膨張剤12を介して端末ソケット11が固定されており,端末ソケット11は接続スリーブ15にねじ結合されるので,接続スリーブ15からCFRPケーブル3が抜け出てしまうことはない。
【0033】
PC鋼より線2に金属製のリング形状のジョイントねじ部材14が通されている。ジョイントねじ部材14の内径はPC鋼より線2の直径よりもわずかに大きく,ジョイントねじ部材14はPC鋼より線2に沿って移動可能である。
【0034】
PC鋼より線2の末端部分に,金属製の円筒形の圧着スリーブ13が圧着されている。圧着スリーブ13はその周囲から強くかしめられる(固く密着される)ことで,PC鋼より線2に強固に固定される。上述したジョイントねじ部材14は圧着スリーブ13よりも内側(圧着スリーブ13よりもさらに末端側ではない側)に位置する。
【0035】
ジョイントねじ部材14の外周面に雄ねじ14Aが形成されており,そこに内周面に雌ねじが形成された接続スリーブ15の他端がねじ結合されることで,接続スリーブ15の他端にPC鋼より線2が接続される。PC鋼より線2に強い引張力が加わったとしても,PC鋼より線2の末端部分に圧着された圧着スリーブ13が,接続スリーブ15にねじ止めされたジョイントねじ部材14に当接することになるから,接続スリーブ15からPC鋼より線2が抜け出てしまうこともない。
【0036】
ハイブリッド反力アンカーは複数の接続部材1を備えるものであってもよい。たとえば,2つの接続部材1を用いることで,中央部分にCFRPケーブル3が配置され,その両端に接続部材1を介してPC鋼より線2がそれぞれ配置されたハイブリッド反力アンカーを製造することもできる。
【0037】
CFRPケーブル3は,その長手方向への引っ張りについてはPC鋼より線2と同等の高い強度を有する一方,局部的なせん断力や表面のキズには弱い。先行する地下工事のときにハイブリッド反力アンカーが地中に残置されたとする。後日の工事においてハイブリッド反力アンカーのCFRPケーブル3に掘削機等がぶつかったとき,CFRPケーブル3が掘削機にからみついてしまうことはなく,むしろCFRPケーブル3は破壊されることになる。すなわち,ハイブリッド反力アンカーは,後日に掘削等が行われると考えられる範囲にCFRPケーブル3を位置させておくことで,地中に残置しても,その後の地下工事等に支障を生じさせないものになる。
【0038】
上述した実施例では,炭素繊維とエポキシ樹脂とによって構成されるCFRPケーブル3を用いる例を説明したが,炭素繊維に代えて,ガラス繊維,アラミド繊維,バサルト繊維その他の合成繊維を用いてもよい。また,合成繊維に含浸される樹脂についても,エポキシ樹脂に代えて,ポリアミド樹脂,フェノール樹脂その他の樹脂を用いてもよい。
【0039】
また,上述した実施例では,複数本のPC鋼線を撚り合わせたPC鋼より線2を用いる例を説明したが,PC鋼より線2の外周面に防食性に優れた高性能グリースを塗布し,その上をポリエチレンによって被覆したアンボンドPC鋼より線を用いてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 接続部材
2 PC鋼より線
3 CFRPケーブル
11 CFRP端末ソケット
11A,14A 雄ねじ
12 膨張剤
13 圧着スリーブ
14 ジョイントねじ部材
15 接続スリーブ
15A 雌ねじ
【要約】
【課題】地中に残置してもその後の地下工事等に支障を生じさせないアンカーを提供する。
【解決手段】ハイブリッド反力アンカーは,内部に中空を有する両端が開口した接続スリーブ15と,末端部に圧着スリーブ13が固定され,圧着スリーブ13よりも内側に,リング形状のジョイントねじ部材14が通されたPC鋼より線2と,末端部にソケット11が固定された炭素繊維強化プラスチック製ケーブル3とを備える。接続スリーブ15の少なくとも両端部分の内周面に雌ねじが形成され,ジョイントねじ部材14の外周面およびソケット11の先端部の外周面に雄ねじが形成されている。接続スリーブ15の両端部のそれぞれに,上記ジョイントねじ部材14および上記ソケット11がねじ止めされる。
【選択図】図3
図1
図2
図3