(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】安全スイッチ用アクチュエータおよびこれを備えた安全スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 27/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
H01H27/00 G
(21)【出願番号】P 2020177828
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健広
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-213820(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102737900(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全スイッチ用アクチュエータであって、
前記安全スイッチのキー挿入孔に挿入可能な先端部を有する操作キーと、
前記操作キーが当該操作キーの主面に沿う第1の方向およびこれと直交する第2の方向に揺動するように、前記操作キーの基端部を支持するベースと、
前記ベースに設けられ、前記基端部を前記第1および第2の方向に付勢する付勢部材と、
前記ベースに設けられ、
前記第1の方向に延びるとともに、前記基端部に当接可能な第1の当接部を有し、前記第1の方向にお
ける前記操作キーの揺動範囲を調整する第1の調整部材と、
前記ベースに設けられ、
前記第1の方向と直交する前記第2の方向に延びるとともに、前記基端部に当接可能な第2の当接部を有し、前記第2の方向にお
ける前記操作キーの揺動範囲を調整する第2の調整部材とを備え、
前記操作キーが前記第1の方向に揺動する際には、前記第2の調整部材の前記第2の当接部が前記基端部の摺動面として機能しており、前記操作キーが前記第2の方向に揺動する際には、前記第1の調整部材の前記第1の当接部が前記基端部の摺動面として機能している、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1、第2の調整部材が低頭ねじから構成されており、前記低頭ねじの頭部の頭頂面が前記第1、第2の当接部を構成している、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項3】
請求項2において、
前記頭頂面が平坦状に形成されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項4】
請求項2において、
前記低頭ねじの軸部先端には、工具係止用の溝が形成されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1において、
前記ベースが、底壁部と、その両端縁部から延びる一対の側壁部とを有する断面コ字状の取付ベースを備え、前記底壁部および前記各側壁部の双方が扉取付用のねじを挿入するための取付孔を有している、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1において、
前記付勢部材がねじりコイルばねである、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1の方向が水平方向または垂直方向であり、前記第2の方向が前記第1の方向と直交する垂直方向または水平方向である、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1において、
当該安全スイッチ用アクチュエータが、回動扉用のアクチュエータである、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ。
【請求項9】
請求項1に記載の前記安全スイッチ用アクチュエータと、
前記キー挿入孔を有するスイッチ本体と、
を備えた安全スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全スイッチ用アクチュエータおよびこれを備えた安全スイッチに関し、詳細には、その構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械や産業用ロボットなどの産業用機械が設置された危険区域の出入口には、扉の開閉状態に応じてオン/オフする安全スイッチが設けられている。
【0003】
一般に、安全スイッチは、扉側に配置され、操作キーを有するアクチュエータと、壁側に配置され、キー挿入孔を有するとともに、内部の操作ロッドの動きに応じて接点が切り替えられるスイッチ本体とを備えており、扉の閉塞時に扉側のアクチュエータの操作キーが壁側のスイッチ本体のキー挿入孔に挿入されることで、スイッチ本体の内部の操作ロッドが移動して接点が切り替えられるようになっている。
【0004】
このような安全スイッチにおいて、たとえば回動扉(開き戸)に取り付けられたアクチュエータの操作キーが壁側のスイッチ本体のキー挿入孔にスムーズに挿入されるようにするために、これまで種々の方策が講じられてきた。
【0005】
たとえば、特許第4229556号公報には、アクチュエータ(1)の操作キー(2)をベース(3)の支持軸(33)の回りに水平方向および垂直方向に揺動自在に設け、操作キー(2)をねじりコイルばね(5)のばね力により水平方向および垂直方向に付勢するとともに、操作キー(2)の水平方向および垂直方向の揺動範囲を調整ねじ(6、7)により調整可能にしたものが記載されている(同公報の段落[0027]、[0030]、[0031]および
図4、
図6参照)。また、操作キー(2)の揺動方向を水平方向または垂直方向のいずれか一方に規制するための着脱可能なガイドストッパ(4)がベース(3)に設けられている(同公報の段落[0032]~[0034]および
図7、
図9、
図10参照)。
【0006】
また、特許第6470162号公報には、アクチュエータ(1)の操作キー(2)をベース(3)の支持軸(5)の回りに水平方向および垂直方向に揺動自在に設け、操作キー(2)をねじりコイルばね(41)のばね力により水平方向および垂直方向に付勢したものが記載されている(同公報の段落[0022]~[0028]および
図7~
図9、
図11参照)。また、操作キー(2)に重ねて配置されるホルダ(32)が設けられるとともに、ホルダ(32)に作用することにより、操作キー(2)の揺動方向における基準位置を変更可能な基準位置調整部(6)が設けられている(同公報の段落[0033]、[0034]、[0036]および
図7~
図9、
図11参照)。
【0007】
上述した特許第4229556号公報に記載のものにおいては、同公報の
図13に示すように、アクチュエータ(1)の操作キー(2)が回転扉(10)に対して水平方向に揺動するように用いられる場合には、アクチュエータ(1)のベース(3)の嵌合部(34)(同公報の
図7、
図9)にガイドストッパ(4)を嵌め込むことにより、操作キー(2)が水平方向にのみ揺動可能な状態にするとともに、調整ねじ(6)の締込位置を適宜調整することにより、操作キー(2)の揺動範囲を調整する。
【0008】
この場合、回転扉(10)の閉塞中には、操作キー(2)の先端部がスイッチ本体(100)のキー挿入孔(103)に挿入されていく過程で、操作キー(2)が水平方向に揺動するので(同公報の
図13参照)、操作キー(2)がキー挿入孔(103)と過度に干渉することなく、キー挿入孔(103)にスムーズに挿入される。なお、操作キー(2)が水平方向に揺動する際には、操作キー(2)が当て片(2a)の部分がガイドストッパ(4)に対して摺動することになる(同公報の
図9参照)。
【0009】
また、上記特許第4229556号公報に記載のものにおいては、同公報の
図14に示すように、アクチュエータ(1)の操作キー(2)が回転扉(10)に対して垂直方向に揺動するように用いられる場合には、アクチュエータ(1)のベース(3)の嵌合部(35)(同公報の
図7、
図10)にガイドストッパ(4)を嵌め込むことにより、操作キー(2)が垂直方向にのみ揺動可能な状態にするとともに、調整ねじ(7)の締込位置を適宜調整することにより、操作キー(2)の揺動範囲を調整する。
【0010】
この場合、回転扉(10)の閉塞中には、操作キー(2)の先端部がスイッチ本体(100)のキー挿入孔(103)に挿入されていく過程で、操作キー(2)が垂直方向に揺動するので(同公報の
図14参照)、操作キー(2)がキー挿入孔(103)と過度に干渉することなく、キー挿入孔(103)にスムーズに挿入される。なお、操作キー(2)が垂直方向に揺動する際には、操作キー(2)が当て片(2a)の部分がガイドストッパ(4)に対して摺動することになる(同公報の
図10参照)。
【0011】
一方、上述した特許第6470162号公報に記載のものにおいては、同公報の
図16に示すように、アクチュエータ(1)の操作キー(2)が開き扉(9)に対して水平方向に揺動するように用いられる場合には、基準位置調整部(6)のホルダ固定ねじ(62)により操作キー(2)の揺動方向における基準位置(つまり揺動位置)を適宜調整する。
【0012】
この場合、開き戸(9)の閉塞中には、操作キー(2)の先端部がスイッチ本体(100)のキー挿入孔(103)に挿入されていく過程で、操作キー(2)が水平方向に揺動するので、操作キー(2)がキー挿入孔(103)と過度に干渉することなく、キー挿入孔(103)にスムーズに挿入される。なお、操作キー(2)が水平方向に揺動する際には、操作キー(2)の基部がホルダ(32)に対して摺動することになる(同公報の
図9参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許第4229556号公報に記載のものにおいては、アクチュエータ(1)の操作キー(2)の揺動方向および揺動範囲を調整するのに、調整ねじ(6、7)に加えて、ガイドストッパ(4)が別途必要になる。ガイドストッパ(4)は、揺動時の操作キー(2)の摺動面として機能している。一方、上記特許第6470162号公報に記載のものにおいては、アクチュエータ(1)の操作キー(2)の揺動位置を調整するのに、基準位置調整用のホルダ固定ねじ(62)に加えて、ホルダ(32)が別途必要になる。ホルダ(32)は、揺動時の操作キー(2)の摺動面として機能している。
【0014】
このように、上記従来の構成では、調整ねじやホルダ固定ねじに加えて、ねじとは別個のガイドストッパやホルダが必要であり、そのため、部品点数が多く、構造が複雑である。また、操作キーを水平方向または垂直方向のいずれか一方にのみ揺動可能に構成するには、上記特許第4229556号公報に示すように、ガイドストッパを適切な位置に付け替える必要があり、取付作業が面倒であった。
【0015】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、部品点数を削減でき、構造を簡略化できるとともに、取付作業を簡単に行えるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る安全スイッチ用アクチュエータは、安全スイッチのキー挿入孔に挿入可能な先端部を有する操作キーと、操作キーが当該操作キーの主面に沿う第1の方向およびこれと直交する第2の方向に揺動するように、操作キーの基端部を支持するベースと、ベースに設けられ、基端部を第1および第2の方向に付勢する付勢部材と、ベースに設けられ、第1の方向に延びるとともに、基端部に当接可能な第1の当接部を有し、第1の方向における操作キーの揺動範囲を調整する第1の調整部材と、ベースに設けられ、第1の方向と直交する第2の方向に延びるとともに、基端部に当接可能な第2の当接部を有し、第2の方向における操作キーの揺動範囲を調整する第2の調整部材とを備えており、操作キーが第1の方向に揺動する際には、第2の調整部材の第2の当接部が基端部の摺動面として機能しており、操作キーが第2の方向に揺動する際には、第1の調整部材の第1の当接部が基端部の摺動面として機能している。
【0017】
本発明によれば、操作キーを当該操作キーの主面に沿う第1の方向に揺動させる場合には、第2の調整部材の第2の当接部を操作キーの基端部に当接させるとともに、第1の調整部材の第1の当接部により第1の方向における操作キーの揺動範囲を調整する。これにより、扉の閉塞中には、操作キーの先端部がキー挿入孔に挿入されていく過程で、操作キーが第1の方向に揺動するので、操作キーがキー挿入孔と過度に干渉することなく、キー挿入孔にスムーズに挿入される。また、操作キーが第1の方向に揺動する際には、操作キーの基端部が第2の調整部材の第2の当接部と摺動する。
【0018】
また、操作キーを第1の方向と直交する第2の方向に揺動させる場合には、第1の調整部材の第1の当接部を操作キーの基端部に当接させるとともに、第2の調整部材の第2の当接部により第2の方向における操作キーの揺動範囲を調整する。これにより、扉の閉塞中には、操作キーの先端部がキー挿入孔に挿入されていく過程で、操作キーが第2の方向に揺動するので、操作キーがキー挿入孔と過度に干渉することなく、キー挿入孔にスムーズに挿入される。また、操作キーが第2の方向に揺動する際には、操作キーの基端部が第1の調整部材の第1の当接部と摺動する。
【0019】
このように本発明によれば、アクチュエータの操作キーの揺動方向および揺動範囲を調整するのに、第1、第2の調整部材に加えて、これらとは別個の部材を必要としない。これにより、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。しかも、本発明によれば、操作キーの揺動方向を変更する際に、第1、第2の調整部材を操作するだけでよく、第1、第2の調整部材とは別個の部材を付け替えたりする必要がないので、アクチュエータの取付作業を簡単に行えるようになる。
【0020】
本発明では、第1、第2の調整部材が低頭ねじから構成されており、低頭ねじの頭部の頭頂面が第1、第2の当接部を構成している。
【0021】
本発明では、頭頂面が平坦状に形成されている。
【0022】
本発明では、低頭ねじの軸部先端に工具係止用の溝が形成されている。
【0023】
本発明では、ベースが、底壁部と、その両端縁部から延びる一対の側壁部とを有する断面コ字状の取付ベースを備えており、底壁部および各側壁部の双方が扉取付用のねじを挿入するための取付孔を有している。
【0024】
本発明では、付勢部材がねじりコイルばねである。
【0025】
本発明では、第1の方向が水平方向または垂直方向であり、第2の方向が第1の方向と直交する垂直方向または水平方向である。
【0026】
本発明では、安全スイッチ用アクチュエータが、回動扉用のアクチュエータである。
【0027】
本発明に係る安全スイッチは、請求項1に記載の安全スイッチ用アクチュエータと、キー挿入孔を有するスイッチ本体とを備えている。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明によれば、アクチュエータの操作キーの揺動方向および揺動範囲を調整するのに、第1、第2の調整部材に加えてこれらとは別個の部材を必要としないので、部品点数を削減でき、構造を簡略化できるだけでなく、操作キーの揺動方向を変更するのに、第1、第2の調整部材とは別個の部材を付け替えたりする必要がないので、アクチュエータの取付作業を簡単に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例によるアクチュエータ(水平可動の場合)およびこれに対応するスイッチ本体を備えた安全スイッチの概略構成を示す図であって、扉の閉塞途中の状態を示している。
【
図2】前記アクチュエータ(
図1)の全体斜視図である。
【
図3】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図4】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図5】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図6】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図7】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図8】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図9】前記アクチュエータ(
図2)の組立手順を時系列的に示す分解組立図である。
【
図10】前記アクチュエータユニット(
図2)の平面図であって、操作キーの水平方向の揺動角をαに設定した状態を示している。
【
図11】
図10のXI矢視図であって、前記アクチュエータ(
図10)を先端側から見た側面図である。
【
図12】
図10のXII矢視図であって、前記アクチュエータ(
図10)を基端(後端)側から見た側面図である。
【
図13】
図11のXIII-XIII線断面図であって、前記アクチュエータ(
図10)の水平方向の横断面を示している。
【
図14】
図10のXIV-XIV線断面図であって、前記アクチュエータ(
図10)の垂直(鉛直)方向の縦断面を示している。
【
図15】前記アクチュエータ(
図1)がスイッチ本体(
図1)のキー挿入孔に挿入されていく様子を示す平面概略図である。
【
図16】本発明の一実施例によるアクチュエータ(垂直可動の場合)およびこれに対応するスイッチ本体を備えた安全スイッチの概略構成を示す図であって、扉の閉塞途中の状態を示している。
【
図17】前記アクチュエータユニット(
図16)の正面図であって、操作キーの垂直方向の揺動角をβ(
図19参照)に設定した状態を示している。
【
図18】
図17のXVIII矢視図であって、前記アクチュエータ(
図17)を先端側から見た側面図である。
【
図20】
図18のXX-XX線断面図であって、前記アクチュエータ(
図17)の垂直(鉛直)方向の縦断面を示している。
【
図21】
図17のXXI-XXI線断面図であって、前記アクチュエータ(
図17)の水平方向の横断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし
図21は、本発明の一実施例によるアクチュエータおよびこれを備えた安全スイッチを説明するための図である。
図1はアクチュエータを水平方向(第1の方向)に揺動させる場合(つまり水平可動の場合)のアクチュエータおよびこれに対応するスイッチ本体のレイアウトの一例を示し、
図16はアクチュエータを垂直方向(第2の方向)に揺動させる場合(つまり垂直可動の場合)のアクチュエータおよびこれに対応するスイッチ本体のレイアウトの一例を示しており、これらいずれの場合においても同一構造のアクチュエータが用いられている。
図2はアクチュエータの全体斜視図、
図3ないし
図9はアクチュエータの組立手順を示す分解組立図、
図10ないし
図14は水平可動のアクチュエータの外観図または断面図、
図15はアクチュエータの操作キーがスイッチ本体のキー挿入孔に挿入される様子を示す平面概略図、
図17ないし
図21は垂直可動のアクチュエータの外観図または断面図である。
【0031】
図1に示すように、本実施例による安全スイッチ1は、たとえば壁(または固定扉)Wに取り付けられるスイッチ本体SWと、矢印C方向に回動可能な可動扉(開き戸)Dに取り付けられるアクチュエータ2とを備えている。
【0032】
アクチュエータ2は、たとえばステンレス等からなる金属製の操作キー2Aを有しており、スイッチ本体SWは、可動扉Dの閉塞時にアクチュエータ2の操作キー2Aの先端部20が挿入されるキー挿入孔SWaを前面に有している。スイッチ本体SWの内部には、操作キー2Aの先端部20の押圧片20aが係合し得る回転可能なカム部材(図示せず)とこれに当接する操作ロッド(図示せず)が設けられており、操作キー2Aによりカム部材が回転して操作ロッドが移動することにより、内部の接点が切り替えられるようになっている。
【0033】
アクチュエータ2は、操作キー2Aの基端部21を支持するベース2Bを有しており、ベース2Bは、概略Z字状(または逆Z字状)に折り曲げられた、たとえば金属製のブラケットBRを介して可動扉Dに取り付けられている。
【0034】
図2に示すように、ベース2Bは、操作キー2Aの基端部21を受け入れるための開口2B
0aを有する、たとえば樹脂製のインナーベース2B
0と、インナーベース2B
0を外側から挟み込むように配置された、たとえばステンレス等からなる金属製の取付ベース2B
1とから構成されている。取付ベース2B
1は、断面コ字状の部材であって、底壁部2B
1Sと、その両端縁部から互いに平行に延びる一対の側壁部2B
1Wとを有している。各側壁部2B
1Wには、インナーベース2B
0および操作キー2Aの基端部21を挿通して延びる支軸部24の各端部が挿入されており、操作キー2Aは、支軸部24の回りを水平方向(第1の方向)に揺動自在になっているとともに、垂直方向(第2の方向)に揺動自在になっている(詳細は後述)。
【0035】
インナーベース2B0には、第1の方向において操作キー2Aの揺動範囲を調整する第1の調整ねじ(第1の調整部材)22と、第2の方向において操作キー2Aの揺動範囲を調整する第2の調整ねじ(第2の調整部材)23とが設けられている。第1の調整ねじ22は第1の方向に沿って配設され、第2の調整ねじ23は第2の方向に沿って配設されている。また、第1、第2の調整ねじ22、23は、インナーベース2B0にそれぞれ設けられたねじ孔(図示せず)に螺合している。
【0036】
ここで、第1の方向には、実質的に水平方向とみなし得る方向を含んでおり、第2の方向には、実質的に垂直方向とみなし得る方向を含んでいる。なお、
図1に示す例では、アクチュエータ2の主面(すなわち、アクチュエータ2において長手方向および短手方向により構成される面)が水平方向に配設されており、したがって、第1の方向は、アクチュエータ2の主面に沿う方向であり、第2の方向は、アクチュエータ2の主面と直交する方向(および実質的に直交する方向)である。
【0037】
取付ベース2B
1の底壁部2B
1Sおよび各側壁部2B
1Wには、取付ベース2B
1をブラケットB
Rにねじ止め固定するための取付ねじ(図示せず)が挿入される取付孔2B
1c、2B
1a、2B
1bがそれぞれ形成されている。
図1の例では、底壁部2B
1Sの取付孔2B
1cに挿入された取付ねじ(図示せず)により、取付ベース2B
1がブラケットB
Rにねじ止め固定されている。
【0038】
次に、
図3ないし
図9はアクチュエータ2の組立手順を時系列的に示しており、
図10ないし
図15は、水平可動で用いられる場合(
図1)のアクチュエータ2を示している。なお、
図3ないし
図9は、インナーベース2B
0、取付ベース2B
1およびアクチュエータ2をいずれも後端側(
図2右側)から見た斜視図である。
【0039】
アクチュエータ2を組み立てる際には、
図3に示すように、まず、インナーベース2B
0および第1、第2の調整ねじ22、23を用意する。第1、第2の調整ねじ22、23には、ナット部材25、26をそれぞれ螺合させる。各ナット部材25、26には、対応する各調整ねじ22、23が螺合し得るねじ孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。この例では、各ナット部材25、26は、たとえば正方形状部材である。第1、第2の調整ねじ22、23はいずれも、好ましくは低頭ねじから構成されており、各ねじ22、23の頭部22h、23hの高さは、一般的なねじよりも低くなっている。また、第1、第2の調整ねじ22、23のねじ部(軸部)22s、23sの各先端面には、それぞれ溝22g、23gが形成されている。これらの溝22g、23gは、マイナスドライバ等の工具を係止するためのものである。
【0040】
一方、インナーベース2B0には、各ナット部材25、26をスライド可能に係止するための係止溝2B0c、2B0dがそれぞれ形成されている。また、インナーベース2B0には、第1、第2の調整ねじ22、23の各ねじ部22s、23sを外周側から弾性的に挟持するための切欠き2B0e、2B0fがそれぞれ形成されている。各切欠き2B0e、2B0fの幅寸法は、各ねじ部22s、23sの外径寸法よりも若干小さく設定されている。なお、切欠き2B0fは、インナーベース2B0に設けられたボス部2B0Fに形成されている。
【0041】
図3中の一点鎖線に示すように、第1、第2の調整ねじ22、23に螺合する各ナット部材25、26を、インナーベース2B
0の後端側からインナーベース2B
0の各々対応する各係止溝2B
0c、2B
0dにスライドさせつつ進入させて係止させる。このとき、第1の調整ねじ22のねじ部22sは、切欠き2B
0e内に進入しており、ねじ部22sは、切欠き2B
0eの内壁面に弾性的に係合している。同様に、第2の調整ねじ23のねじ部23sは、切欠き2B
0f内に進入しており、ねじ部23sは、切欠き2B
0fの内壁面に弾性的に係合している。
【0042】
次に、
図4に示すように、操作キー2Aおよび仮止めシャフト24’(その後の組立工程で支軸部24(後述)に置き換わる)を用意する。仮止めシャフト24’は支軸部24よりも短尺で、支軸部24の小径部24a(後述)と略同一の径を有する円柱状の部材である。操作キー2Aの基端部21には、操作キー2Aを貫通しかつ長手方向に延びる長孔21aが形成されている。長孔21aの小径部分の内径寸法は、これに挿入される円柱状の支軸部24の大径部24c(後述)の外形寸法よりも若干大きく設定されている。支軸部24の挿入用の孔として長孔にしたのは、操作キー2Aの水平方向および垂直方向の揺動をスムーズに行えるようにするためである。また、インナーベース2B
0には、支軸部24を受け入れるための開孔2B
0bが形成されており、開孔2B
0bはインナーベース2B
0を厚み方向に貫通している。開孔2B
0bの内径寸法は、支軸部24の外形寸法より大きめに設定されている。
【0043】
図4中の一点鎖線に示すように、操作キー2Aの基端部21をインナーベース2B
0の開孔2B
0
aからインナーベース2B
0内に進入させて、基端部21の長孔21aをインナーベース2B
0の開孔2B
0bと上下方向に整列させ、この状態から、仮止めシャフト24’をインナーベース2B
0の開孔2B
0bを通って操作キー2Aの基端部21の長孔21a内に挿入する。これにより、操作キー2Aがインナーベース2B
0に仮止めされる。
【0044】
次に、
図5に示すように、ねじりコイルばね(付勢部材)27を用意し、ねじりコイルばね27のリング部27cを仮止めシャフト24’の外周に嵌め込むとともに、リング部27cから延びる各腕部27a、27bを弾性変形させつつ、リング部27cと一緒にインナーベース2B
0の開孔2B
0b内に進入させる。そして、一方の腕部27aの先端に形成されたフック部27d(
図5)を、操作キー2Aの基端部21に形成された係止凹部21b(
図4)に係止させ、他方の腕部27bをインナーベース2B
0の内壁面に係止させる。このとき、
図6に示すように、腕部27bの先端の図示左側部分は、インナーベース2B
0のボス部2B
0Fの角部に係止され、腕部27bの長さ方向中央部分の図示右側部分は、ボス部2B
0Fの角部の上方においてインナーベース2B
0に形成された角部に係止している。これにより、腕部27bはインナーベース2B
0内において左右から拘束された状態にある。また、このとき、操作キー2Aの基端部21には、ねじりコイルばね27の弾性変形にともなう弾性反発力が水平方向および垂直方向の双方に作用しており、基端部21は水平方向および垂直方向に付勢されている。
【0045】
次に、
図6に示すように、取付ベース2B
1を用意する。取付ベース2B
1の各側壁部2B
1Wには、支軸部24
(後述)の各端部を支持するための支持孔2B
1dがそれぞれ貫通形成されている。図示上側の側壁部2B
1Wの支持孔2B
1dは、支軸部24の小径部24aを支持するためのものであり、図示下側の側壁部2B
1Wの支持孔2B
1dは、支軸部24の大径部24cを支持するためのものである。また、一方(図示上側)の側壁部2B
1Wには、インナーベース2B
0のボス部2B
0Fを受け入れるための切欠き2B
1eが形成されており、底壁部2B
1Sには、切欠き2B
1eに連通するとともに、インナーベース2B
0を受け入れるための開口2B
1fが形成されている。
【0046】
図6中の一点鎖線に示すように、操作キー2Aおよびインナーベース2B
0を取付ベース2B
1の後端側から開口2B
1fに進入させる。
【0047】
操作キー2Aおよびインナーベース2B
0が取付ベース2B
1に進入すると、
図7に示すように、インナーベース2B
0のボス部2B
0Fが側壁部2B
1Wの切欠き2B
1e内に進入する。この状態から、
図7に示すように、蓋体28を用意し、これを取付ベース2B
1の開口2B
1fの内部に挿入して開口2B
1fの開口端縁部に係止する。係止後、操作キー2Aおよびインナーベース2B
0を開口2B
1fの側に若干量戻すことにより、蓋体28の各端部が、インナーベース2B
0および取付ベース2B
1の間で挟持される。
【0048】
次に、
図8に示すように、支軸部24を用意する。支軸部24の一端には、小径部24aが形成されていて段差が生じており、他端には大径部24cおよび周溝24bが形成されている。同図中の一点鎖線に示すように、取付ベース2B
1の一方(図示下側)の側壁部2B
1Wの支持孔2B
1dから支軸部24を挿入することにより、取付ベース2B
1の他方(図示上側)の側壁部2B
1Wの支持孔2B
1dから仮止めシャフト24’を押し出す。このとき、支軸部24は操作キー2Aの基端部21の長孔21a内を挿通しており、支軸部24の小径部24aは取付ベース2B
1の他方(図示上側)の側壁部2B
1Wの支持孔2B
1dに挿入される。次に、インナーベース2B
0に形成された間隙(図示せず)からE形止め輪29を挿入し、支軸部24の周溝24bに圧入して係合させる。これにより、ベース2Bに対する支軸部24の抜け止めがなされる。この場合には、支軸部24の端部をかしめる必要がなく、支軸部24の端部を取付ベース2B
1の外表面から突出しないようにすることが可能なので、取付ベース2B
1の各側壁部2B
1WをブラケットB
Rに対する取付面として用いることができるようになり、取付時の自由度が増す。
【0049】
このようにして、
図9に示すように、アクチュエータ2の組立てが完了する。
【0050】
上述のように構成されたアクチュエータ2が水平可動で用いられる場合には、
図14(
図10のXIV-XIV線断面図)に示すように、第2の調整ねじ23が軸部23sの側からたとえばマイナスドライバ(図示せず)により締められてねじ込まれることによって、第2の調整ねじ23の頭部23hがベース2Bの内部に進入しており、頭部23hの平坦状の頭頂面(第2の当接部)23haが操作キー2Aの基端部21の一方の主面に当接している。基端部21の他方の主面には、インナーベース2B
0の内壁面2B
0a
3が対向している。また、操作キー2Aの基端部21には、ねじりコイルばね27による付勢力が図示上方に作用しており、そのため、操作キー2Aの基端部21は支軸部24に沿って図示上方に移動して、インナーベース2B
0の開口2B
0aに形成されたテーパ面2B
0a
2に沿おうとするが、このとき、第2の調整ねじ23の頭部23hの頭頂面23haが基端部21と当接しているので、操作キー2Aの図示上方への移動は規制される。この状態では、操作キー2Aの主面は、支軸部24の軸線と直交する面内に配設されている(
図11参照)。なお、
図14に示すように、インナーベース2B
0には、支軸部24の周溝24bにE形止め輪29を圧入して係止する際にE形止め輪29の圧入用治具を挿入するためのスリット2B
0sが形成されている。E形止め輪29は、スリット2B
0sの開口側から視認可能になっている。
【0051】
その一方、
図13(
図11のXIII-XIII線断面図)に示すように、第1の調整ねじ22が軸部22sの側からたとえばマイナスドライバ(図示せず)により緩められることによって、第1の調整ねじ22の頭部22hがベース2Bの内部から最も後退した位置に配置されている。操作キー2Aの基端部21には、ねじりコイルばね27による付勢力が水平面内において図示時計回りに作用しており、そのため、操作キー2Aは支軸部24の回りを図示時計回りに揺動していて、操作キー2Aの基端部21の側面が第1の調整ねじ22の頭部22hの平坦状の頭頂面(第1の当接部)22haに当接している。また、このとき、操作キー2Aは、
図10に示すように、長手方向の中心線CLに対して時計回りに角度αだけ揺動した位置(最大揺動角αの位置)に配置されている。インナーベース2B
0の開口2B
0aには、操作キー2Aの角度αの揺動を許容し得るように、テーパ面2B
0a
1が形成されている。
【0052】
図13に示す状態から、第1の調整ねじ22を徐々に締め込んでいくと、第1の調整ねじ22の頭部23Hが徐々にベース2Bの内部に進入し、ねじりコイルばね27の付勢力に抗して操作キー2Aを図示反時計回りに揺動させる。これにより、操作キー2Aの水平方向の揺動角を最大揺動角αよりも小さな角度に調整できる。このような操作キー2Aの水平方向の揺動角(つまり揺動範囲)の調整は、回動扉Dの回動半径に応じて適宜行われる。
【0053】
回動扉D(
図1)が閉塞する際には、
図15に示すように、扉閉塞中に操作キー2の先端部20がスイッチ本体SWのキー挿入孔SWaに挿入されていく過程で、操作キー2が水平方向に揺動するので、操作キー2がキー挿入孔SWaと過度に干渉することなく、キー挿入孔SWaにスムーズに挿入される。また、操作キー2が水平方向に揺動する際には、操作キー2の基端部21が第2の調整ねじ23の頭部23hの頭頂面23haに対して摺動しており、頭頂面23haは、基端部21の摺動面として機能している(
図14参照)。これにより、操作キー2の水平方向の揺動がスムーズに行われる。
【0054】
上述のように構成されたアクチュエータ2が垂直可動で用いられる場合には、
図20(
図18のXX-XX線断面図)に示すように、第1の調整ねじ22が軸部22sの側から締め込まれることにより、第1の調整ねじ22の頭部22hがベース2Bの内部に進入しており、頭部22hの平坦状の頭頂面(第1の当接部)22haが操作キー2Aの基端部21の後側の側面に当接している。基端部21の前側の側面には、インナーベース2B
0の開口2B
0aが対向している。操作キー2Aには、ねじりコイルばね27による付勢力が支軸部14の回りを図示時計回りに作用しており、そのため、操作キー2Aの先端部20は図示上側に向かって、基端部21は図示下側に向かって移動しようとするが、第1の調整ねじ22の頭部22hの頭頂面22haが基端部21と当接しているので、操作キー2Aの水平方向の揺動は規制される。この状態では、操作キー2Aの主面は、垂直面(鉛直面)内に配設されている(
図18参照)。
【0055】
その一方、
図21(
図17のXXI-XXI線断面図)に示すように、第
2の調整ねじ2
3が軸部2
3sの側から緩められることにより、第2の調整ねじ23の頭部23hがベース2Bの内部から最も後退した位置に配置されている。このとき、操作キー2Aには、ねじりコイルばね27による付勢力が図示時計回りに作用しており、そのため、操作キー2Aは図示時計回りに揺動していて、操作キー2Aの基端部21の一方の主面が第2の調整ねじ23の頭部23hの平坦状の頭頂面(第2の当接部)23haに当接している。また、このとき、操作キー2Aは、
図19に示すように、長手方向の中心線CL’に対して時計回りに角度βだけ揺動した位置(最大揺動角βの位置)に配置されている。
図21に示すように、インナーベース2B
0の開口2B
0aに形成されたテーパ面2B
0a
2により、操作キー2Aの角度βの揺動が許容されている。
【0056】
図21に示す状態から、第2の調整ねじ23を徐々に締め込んでいくと、第2の調整ねじ23の頭部23
hが徐々にベース2Bの内部に進入し、ねじりコイルばね27の付勢力に抗して操作キー2Aを図示反時計回りに揺動させる。これにより、操作キー2Aの垂直方向の揺動角を最大揺動角βよりも小さな角度に調整できる。このような操作キー2Aの垂直方向の揺動角(つまり揺動範囲)の調整は、回動扉Dの回動半径に応じて適宜行われる。
【0057】
回動扉D(
図1)が閉塞する際には、アクチュエータ2が水平可動の場合と同様に、扉閉塞中に操作キー2の先端部20がスイッチ本体SWのキー挿入孔SWaに挿入されていく過程で
(図16参照)、操作キー2が垂直方向に揺動するので、操作キー2がキー挿入孔SWaと過度に干渉することなく、キー挿入孔SWaにスムーズに挿入される。また、操作キー2が垂直方向に揺動する際には、操作キー2の基端部21は、第1の調整ねじ22の頭部22hの頭頂面22haに対して摺動しており、頭頂面22haは、基端部21の摺動面として機能している(
図20参照)。
【0058】
このように本実施例によれば、アクチュエータ2の操作キー2Aの揺動方向および揺動範囲を調整するのに、第1、第2の調整ねじ22、23に加えて、これらとは別個の部材を必要としない。これにより、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。しかも、本実施例によれば、操作キー2Aの揺動方向を変更する際に、第1、第2の調整ねじ22、23を操作するだけでよく、第1、第2の調整ねじ22、23とは別個の部材を付け替えたりする必要がないので、別部材の脱落や紛失の恐れもなく、アクチュエータ2の取付作業を簡単に行えるようになって、作業者の負担を軽減できる。
【0059】
しかも、本実施例によれば、第1、第2の調整ねじ22、23の頭部22h、23hがインナーベース2B0の内部に配置されており、各調整ねじ22、23を完全に緩めてしまう前に各頭部22h、23hが操作キー2Aの基端部21に当接するように構成されているので、各調整ねじ22、23がインナーベース2B0から抜け落ちる恐れはなく、作業者の負担を軽減できる。
【0060】
さらに、本実施例によれば、第1の調整ねじ22のねじ部22sが樹脂製のインナーベース2B0の切欠き2B0eの内壁面に弾性的に係合していて、ねじ部22sを回す際には切欠き2B0eの内壁面から摩擦力が作用するようになっており、同様に、第2の調整ねじ23のねじ部23sが樹脂製のインナーベース2B0の切欠き2B0fの内壁面に弾性的に係合していて、ねじ部23sを回す際には切欠き2B0fの内壁面から摩擦力が作用するようになっているので、可動扉Dの閉塞時に作用する衝撃荷重に起因した振動の作用下においても、第1、第2の調整ねじ22、23が緩みにくくなっており、これにより、アクチュエータ2の揺動角の調整の頻度(メンテナンス頻度)を減らすことができ、作業者の負担を軽減できる。
【0061】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、第1の方向が水平方向であり、第2の方向が垂直方向である例を示したが、これとは逆に、第1の方向が垂直方向であり、第2の方向が水平方向である場合においても、本発明が適用されることはいうまでもない。
【0062】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、回動扉Dが右開きの場合を例にとって説明したが、本発明によるアクチュエータは、回動扉Dが左開きの場合にも適用可能である。
【0063】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、アクチュエータ2がブラケットBRを介して可動扉Dに取り付けられた例を示したが、本発明によるアクチュエータ2は、可動扉Dに直接取り付けるようにしてもよい。
【0064】
〔第4の変形例〕
前記実施例では、本発明による第1、第2の調整部材としてそれぞれ低頭ねじを用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。たとえば、インナーベース2B0の外部から操作可能なピニオンを設けるとともに、当該ピニオンが噛み合うラックをインナーベース2B0の内部に設け、ラックの先端を操作キー2Aの基端部21に当接させるような構成を採用することも可能である。
【0065】
〔第5の変形例〕
前記実施例では、本発明による付勢部材としてねじりコイルばねを用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されず、その他のばねを採用するようにしてもよい。また、単一のばねから構成されていなくてもよく、水平方向に付勢するばねと、垂直方向に付勢するばねとをそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。
【0066】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および各変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、アクチュエータおよびこれを備えた安全スイッチに有用である。
【符号の説明】
【0068】
1: 安全スイッチ
2: アクチュエータ
2A: 操作キー
20: 先端部
21: 基端部
22: 第1の調整ねじ(第1の調整部材)
22h: 頭部
22ha: 頭頂面(第1の当接部)
22s: 軸部
22g: 溝
23: 第2の調整ねじ(第2の調整部材)
23h: 頭部
23ha: 頭頂面(第2の当接部)
23s: 軸部
23g:溝
27: ねじりコイルばね(付勢部材)
2B: ベース
2B1: 取付ベース
2B1W: 側壁部
2B1S: 底壁部
2B1a、2B1b、2B1c: 取付孔
SW: スイッチ本体
SWa: キー挿入孔
D: 回動扉
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【文献】特許第4229556号公報(段落[0027]、[0030]~[0034]および
図4、
図6、
図7、
図9、
図10参照)
【文献】特許第6470162号公報(段落[0022]~[0028]、[0033]、[0034]、[0036]および
図7~
図9、
図11参照)