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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】芯止め用遠隔操作伐採装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20241001BHJP
   A01G 23/091 20060101ALI20241001BHJP
   B27B 17/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A01G23/08 501D
A01G23/091
B27B17/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023137834
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】392022721
【氏名又は名称】株式会社和田電業社
(74)【代理人】
【識別番号】100094617
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 正浩
(72)【発明者】
【氏名】和田 功
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-38632(JP,Y1)
【文献】特開2019-103432(JP,A)
【文献】特許第6071311(JP,B2)
【文献】特開2018-130090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/08
A01G 23/091
B27B 17/00
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木を挟み込んで固定する本体と抑え部とを有し、伐採対象の樹木における主幹の先端部に取り付けられる取付架台と、
チェーンソーが着脱自在に搭載されるチェーンソー移動台を有し、前記取付架台に装着され、前記伐採対象の樹木に対してチェーンソーを水平方向に移動させるスライドテーブルと、
前記スライドテーブルに設けられ、前記チェーンソー移動台を前記取付架台に対して水平方向に移動させる移動手段と、
前記移動手段及び前記チェーンソーを倒木範囲外から遠隔操作で制御する制御手段とを具備し、
前記取付架台の本体は、長手方向が樹木の長軸方向に配置され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された取付部材と、この取付部材に樹木の半径方向に接合され、前記スライドテーブルが樹木の接線方向に装着される装着部材と、前記取付部材の中央部に樹木の接線方向に設置された第1支持部材とを備え、
前記取付架台の抑え部は、前記第1支持部材に対向して樹木の接線方向に設けられた第2支持部材と、この第2支持部材の中央部に十字形に接合され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された固定部材とを備え、
樹木を前記第1支持部材と前記第2支持部材で挟み、且つ前記第1支持部材と前記第2支持部材を一対の締結具で固定するものであり、
前記取付架台、スライドテーブル及びチェーンソーを分離して搬送し、前記伐採対象の樹木の主幹先端部に取付架台を取り付け、この取付架台にスライドテーブルを装着し、チェーンソー移動台にチェーンソーを搭載して組み立て、前記制御手段による遠隔操作で樹木を伐採する
ことを特徴とする芯止め用遠隔操作伐採装置。
【請求項2】
前記本体の前記取付部材、前記装着部材及び前記第1支持部材はそれぞれ、チャンネル材で構成され、
前記第2支持部材と前記固定部材はそれぞれ、チャンネル材で構成され、
前記取付部材における二本のフランジの樹木との接触部、及び前記固定部材における二本のフランジの樹木との接触部がそれぞれ鋸歯状である、請求項1に記載の芯止め用遠隔操作伐採装置。
【請求項3】
前記締結具は、樹木を挟んで配置された前記第1支持部材と前記第2支持部材を、樹木を挟んで締結する一対の蝶ボルトとナットである、請求項1に記載の芯止め用遠隔操作伐採装置。
【請求項4】
前記スライドテーブルは、前記取付架台に装着される枠状体を備え、前記チェーンソー移動台は、この枠状体の長手方向に沿って前記移動手段により水平方向に往復移動する、請求項1に記載の芯止め用遠隔操作伐採装置。
【請求項5】
前記制御手段は、有線または無線で倒木範囲外から前記移動手段及び前記チェーンソーを制御するものである、請求項1に記載の芯止め用遠隔操作伐採装置。
【請求項6】
前記制御手段は、命令を送信する送信機と、この送信機からの命令を受信する受信機と、前記受信機で受けた命令に基づいて前記チェーンソー移動台の駆動装置を制御するサーボモータと、前記受信機で受けた命令に基づいて前記チェーンソーのスロットルを制御するリニアアクチュエータユニットとを備える、請求項5に記載の芯止め用遠隔操作伐採装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐採対象の樹木の主幹の先端部に取り付け、遠隔操作で樹木を切断する、芯止め用遠隔操作伐採装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のパーツに分割して人力で山間地へ容易に搬入して容易に組み立てることができ、遠隔操作で樹木を伐採する人肩運搬型の遠隔操作伐採装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、移動台に電動式チェーンソーを搭載することで、低騒音化、低振動化、軽量化を図った遠隔操作による電動式伐採装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-240959号公報
【文献】実用新案登録第3240179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、伐採には樹木を根元から切断する「根切伐採」と、先端部だけを切断する「芯止め伐採」の2種類がある。
【0006】
特許文献1、2の伐採装置は、いずれも根切伐採を前提としたもので、伐採対象の樹木の根元にチェーンブロックのチェーンを巻き付け、当該チェーンブロックのフックを取付架台に係止し、チェーンブロックを締め込んで、取付架台を樹木の切断部に取り付ける構成になっている。
【0007】
しかしながら、芯止め伐採を行う場合には、樹木の主幹の先端付近の細い部分に伐採装置を取り付けるため、チェーンブロックのチェーンと樹木との接触面積が確保し難い。このため、伐採装置の取付強度が低下し、チェーンソーの動作時に緩みやずれが発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、樹木の主幹の先端部であっても安定して強固な取り付けができる芯止め用遠隔操作伐採装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る芯止め用遠隔操作伐採装置においては、樹木を挟み込んで固定する本体と抑え部とを有し、伐採対象の樹木における主幹の先端部に取り付けられる取付架台と、チェーンソーが着脱自在に搭載されるチェーンソー移動台を有し、前記取付架台に装着され、前記伐採対象の樹木に対してチェーンソーを水平方向に移動させるスライドテーブルと、前記スライドテーブルに設けられ、前記チェーンソー移動台を前記取付架台に対して水平方向に移動させる移動手段と、前記移動手段及び前記チェーンソーを倒木範囲外から遠隔操作で制御する制御手段とを具備し、前記取付架台の本体は、長手方向が樹木の長軸方向に配置され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された取付部材と、この取付部材に樹木の半径方向に接合され、前記スライドテーブルが樹木の接線方向に装着される装着部材と、前記取付部材の中央部に樹木の接線方向に設置された第1支持部材とを備え、前記取付架台の抑え部は、前記第1支持部材に対向して樹木の接線方向に設けられた第2支持部材と、この第2支持部材の中央部に十字形に接合され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された固定部材とを備え、樹木を前記第1支持部材と前記第2支持部材で挟み、且つ前記第1支持部材と前記第2支持部材を一対の締結具で固定するものであり、前記取付架台、スライドテーブル及びチェーンソーを分離して搬送し、前記伐採対象の樹木の主幹先端部に取付架台を取り付け、この取付架台にスライドテーブルを装着し、チェーンソー移動台にチェーンソーを搭載して組み立て、前記制御手段による遠隔操作で樹木を伐採することで、上述した課題を解決した。
【0010】
また、前記本体の前記取付部材、前記装着部材及び前記第1支持部材はそれぞれ、チャンネル材で構成され、前記第2支持部材と前記固定部材はそれぞれ、チャンネル材で構成され、前記取付部材における二本のフランジの樹木との接触部、及び前記固定部材における二本のフランジの樹木との接触部がそれぞれ鋸歯状であることで、同じく上述した課題を解決した。
【0011】
更に、前記締結具は、樹木を挟んで配置された前記第1支持部材と前記第2支持部材を、樹木を挟んで締結する一対の蝶ボルトとナットであることで、同じく上述した課題を解決した。
【0012】
また、前記スライドテーブルは、前記取付架台に装着される枠状体を備え、前記チェーンソー移動台は、この枠状体の長手方向に沿って前記移動手段により水平方向に往復移動することで、同じく上述した課題を解決した。
【0013】
加えて、前記制御手段は、有線または無線で倒木範囲外から前記移動手段及び前記チェーンソーを制御するものであることで、同じく上述した課題を解決した。
【0014】
また、前記制御手段は、命令を送信する送信機と、この送信機からの命令を受信する受信機と、前記受信機で受けた命令に基づいて前記チェーンソー移動台の駆動装置を制御するサーボモータと、前記受信機で受けた命令に基づいて前記チェーンソーのスロットルを制御するリニアアクチュエータユニットとを備えることで、同じく上述した課題を解決した。
【発明の効果】
【0015】
取付架台が樹木を挟み込んで固定する本体と抑え部とで構成され、長手方向が樹木の長軸方向に配置され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された取付部材を有することで、細い樹木であっても取付部材を樹木の長軸方向に長い距離で接触させて固定することができ、接触面積を確保するとともに、樹皮との抵抗を大きくしてずれを防止することができる。
【0016】
従って、樹木の主幹の先端部であっても安定して強固な取り付けができる芯止め用遠隔操作伐採装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る芯止め用遠隔操作伐採装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図2図1に示した芯止め用遠隔操作伐採装置における、取付架台の樹木への取付前の状態と、取付後の状態を示す斜視図である。
図3図2に示した取付架台へスライドテーブルとチェーンソーを装着した状態を示す斜視図である。
図4図3に示したチェーンソーを移動した状態を示す斜視図である。
図5図4を背面側から見た斜視図である。
図6】芯止め用遠隔操作伐採装置を樹木に取り付けた状態を示す平面図である。
図7図6の背面図である。
図8図6の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る芯止め用遠隔操作伐採装置の概略構成を示している。この伐採装置は、取付架台10、スライドテーブル20及びチェーンソー30等を備えている。取付架台10は、樹木を挟み込んで固定する本体10aと抑え部10bとを有し、伐採対象の樹木40の主幹の先端付近の細い部分に、締結具である蝶ボルト11-1,11-2とナット12-1,12-2(ボルトとナットでも良い)を用いて装着される。
【0020】
スライドテーブル20は、取付架台10における本体10aの装着部材13にボルト21-1,21-2とナット22-1,22-2で装着される。このスライドテーブル20のチェーンソー移動台23に、チェーンソー30が着脱自在に搭載される。チェーンソー移動台23には、市販のエンジン式・充電式・電動式チェーンソーを入れ替えて搭載できるようになっている。
【0021】
また、チェーンソー移動台23は、スライドテーブル20上を長手方向に往復移動するようになっており、当該チェーンソー移動台23に搭載したチェーンソー30を水平方向に移動させて樹木40を伐採する。
【0022】
取付架台10、スライドテーブル20及びチェーンソー30等は分離して人力で山間地等に搬入する。そして、伐採対象の樹木40における主幹の先端部を、取付架台10の本体10aと抑え部10bで挟み込んで蝶ボルト11-1,11-2とナット12-1,12-2で固定する。
【0023】
次に、この取付架台10にスライドテーブル20を装着し、チェーンソー移動台23にチェーンソー30を搭載して組み立て、遠隔操作で樹木を伐採する。
【0024】
図2(a),(b)は、取付架台10の樹木40への取付前の状態と、取付後の状態を示している。取付架台10の本体10aは、スライドテーブル20を装着する装着部材13、樹木40への取付面となる取付部材14、抑え部10bとともに樹木40を挟んで固定する第1支持部材15とからなる。これら装着部材13、取付部材14及び第1支持部材15は、チャンネル材で構成されている。
【0025】
即ち、本体10aの取付部材14は、長手方向が樹木40の長軸方向(Y方向)に配置され、二本のフランジの樹木40との接触部が鋸歯状に形成されている。また、取付部材14の下部には蝶ボルト19-1を挿通するためのネジ孔19-1aとナット(図示せず)が設けられている。装着部材13は、この取付部材14に樹木40の半径方向(X方向)に接合され、スライドテーブル20が樹木40の接線方向(Z方向)に装着される。第1支持部材15は、取付部材14の中央部に樹木40の接線方向に設置される。
【0026】
このような構成によって、取付架台10を樹木40に装着したときに、樹木40の先端付近の細い部分であっても、取付部材14を樹木40の長軸方向に長い距離で接触させることができ、接触面積を確保するとともに、二本のフランジの鋸歯状の部分と蝶ボルト19-1の先端の尖った部分で樹皮との抵抗を大きくしてずれを防止できる。また、必要に応じて蝶ボルト19-1の先端を樹木40にねじ込むことで、より固定強度を高めることができる。
【0027】
装着部材13の端部は、取付部材14のウェブの先端部外側に接合され、補強板16-1,16-2により固定される。補強板16-1,16-2は、装着部材13と取付部材14のフランジにリベット(ボルトとナットや溶接でも良い)で固定される。第1支持部材15のウェブは、取付部材14のウェブの中央部に溶接や蝶ボルトとナットなどで十字形に固定される。
【0028】
一方、抑え部10bは、第1支持部材15に対向して樹木40の接線方向に配置される第2支持部材17と、この第2支持部材17のウェブの中央部に十字形に配置される固定部材18とで構成される。第2支持部材17と固定部材18は、チャンネル材で構成され、蝶ボルト19-2とナット(図示せず)で十字形に固定されている。
【0029】
また、固定部材18における二本のフランジの樹木40との接触部は鋸歯状になっており、取付架台10を樹木40に装着したときに樹皮との抵抗を大きくしてずれを防止する。第2支持部材17と固定部材18は、蝶ボルト19とナットに代えて溶接しても良いが、蝶ボルト19-2を用いることで、蝶ボルト19-2の先端の尖った部分で樹皮との抵抗を大きくできる。
【0030】
尚、第1支持部材15と第2支持部材17には、複数のボルト通し孔が設けられており、伐採する樹木40の太さに応じて蝶ボルト11-1,11-2とナット12-1,12-2の位置を変更可能になっている。
【0031】
また、取付架台10の各部材を構成するチャンネル材には、軽量化のために、例えば、アルミニウム等の材料が用いられている。
【0032】
図3及び図4に示すように、スライドテーブル20は、アルミニウム等からなる角パイプ(またはL字アングル)24a,24b,24c,24dが溶接等で固着されて形成された枠状体24と、長手方向の角パイプ24c,24d上に設置された移動レール26-1,26-2とを備えている。また、枠状体24には、長手方向に沿って配置された推進軸(リニアシャフト)25が挿通されている。枠状体24の短手方向の角パイプ24a,24bは、長手方向に沿って配置された推進軸25の両端を支持している。
【0033】
推進軸25の一端は、モータ(駆動装置)Mによって回動駆動されるようになっている。推進軸25には、支持部材23aが設置されている。この支持部材23aは、推進軸25に螺合・挿通する状態で回転自在に設けられた雌ネジ孔を有し、チェーンソー移動台23の下面に固定されている。
【0034】
支持部材23aにより、推進軸25の回転運動が水平方向の運動に変換され、チェーンソー移動台23を水平方向に往復移動させる。このように、支持部材23a、推進軸25、移動レール26-1,26-2及びモータM等は移動手段として働く。
【0035】
更に、推進軸25の一端には、負荷が生じると空回りするショックガード25aが設けられている。そして、取付架台10の装着部材13に、角パイプ24c,24dの中央部がボルト21-1,21-2とナット22-1,22-2で装着される。
【0036】
スライドテーブル20上のチェーンソー移動台23には、図1に示すように、L字アングル材27-1~27-4が立設され、これらL字アングル材27-1~27-4でチェーンソー30が固定されて、枠状体24上を長手方向に沿って水平方向に往復移動する。
【0037】
このチェーンソー移動台23には、チェーンソー30のスロットル操作を行うスロットル操作装置28と、モータMの制御装置29が設けられている。スロットル操作装置28は、リニアアクチュエータユニットとリニアモーションガイド(LMガイド)とを備えている。本例ではラジオコントロールユニットを用いており、制御装置29は、受信機とサーボモータ等を備えている。
【0038】
そして、図示しない送信機の操作による命令または指示を受信機が受信すると、この受信機によりサーボモータとリニアアクチュエータユニットが作動され、モータMのオン/オフ及び回転方向の制御と、直線運動部をころがりを用いてガイドするLMガイドによるスロットルレバーの制御が行われるようになっている。
【0039】
これによって、倒木範囲外からチェーンソー30のスロットル操作及びモータMの回動制御が可能である。もちろん、倒木範囲外から遠隔操作できれば良いので、有線によるコントロールユニットを用いることも充分に可能である。
【0040】
図6乃至図8はそれぞれ、芯止め用遠隔操作伐採装置を樹木に取り付けた状態を示す平面図、背面図及び側面図である。まず、作業者は、例えば素登り、あるいは1本梯子や昇柱器を利用して樹木40の主幹の先端付近の細い部分に芯止め用遠隔操作伐採装置を組み立てつつ取り付ける。
【0041】
そして、地上の安全な位置から送信機で伐採命令を送信する。この命令を芯止め用遠隔操作伐採装置の受信機で受信し、受信機で受けた命令に基づいて駆動装置であるモータMを制御するサーボモータを制御して、スライドテーブル20のチェーンソー移動台23を水平移動させる。また、受信機で受けた命令に基づいてチェーンソー30のスロットル30cをリニアアクチュエータユニットで制御してスロットル操作を行う。
【0042】
これによって、チェーンソー移動台23がスライドテーブル20の長手方向に沿って水平移動することで、チェーンソー30のガイドバー30aが矢印で示すように水平移動し、このガイドバー30aの外周に沿って回転するソーチェーン30bにより樹木40が伐採される。
【0043】
この際、取付部材14の二本のフランジの鋸歯状の接触部と蝶ボルト19-1の先端の尖った部分が、チェーンソー移動台23の移動する水平方向に対して直交する樹木40の長軸方向に配置されていることで、往復移動するときのブレやぐらつきを少なくできる。
【0044】
伐採終了後には、取付と逆の手順で芯止め用遠隔操作伐採装置を分解して回収する。
【0045】
本発明によれば、長手方向が樹木の長軸方向に配置され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された取付部材を有することで、細い樹木であっても取付部材を樹木の長軸方向に長い距離で接触させることができ、接触面積を確保するとともに、樹皮との抵抗を大きくしてずれを防止することができる。従って、樹木の主幹の先端部であっても安定して強固な取り付けができる。
【0046】
しかも、素登り、あるいは1本梯子や昇柱器を利用しての作業など、足元が不安定な状態での高所作業を最小限にでき、作業員は予め倒木範囲の外に避難していることから、作業の安全、人身災害の防止が図れる。また、作業員のチェーンソーの使用時間を削減できるので、白蝋病等の職業病防止も図れる。
【0047】
更に、取付架台、スライドテーブル及びチェーンソーを分離して搬送できるので、山間地への人力での搬入も容易である。また、組み立ては、伐採対象の樹木に取付架台を取り付け、この取付架台にスライドテーブルを装着し、チェーンソー移動台にチェーンソーを搭載すれば良いので、取付作業の簡便化も図れる。
【0048】
加えて、既存の有線または無線の制御手段、チェーンソー、チェーンブロック等の汎用品を流用して芯止め用遠隔操作伐採装置を作製することができるので、開発費や製造コストも少なくて済む。
【0049】
制御手段には、無線の場合、送信機、受信機、サーボモータ及びリニアアクチュエータユニット等の市販のラジオコントロールユニットを用いることができ、比較的安価にできる。また、既存の有線または無線の制御手段、チェーンソー、チェーンブロック等の汎用品を流用することができるので、開発費や製造コストも少なくて済む。しかも、構成部材は安価な材質で汎用性があり、且つ極力コストが掛からない構造で実現できる。
【0050】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0051】
例えば、各部材をアルミニウムで作成する例を説明したが、アルミニウムに限定されるものではないのはもちろんであり、比較的軽量で十分な強度を持ったものであれば、他の材料や複数の材料の組み合わせでも良い。
【符号の説明】
【0052】
10
取付架台
10a 本体
10b 抑え部
11-1,11-2 蝶ボルト(締結具)
12-1,12-2 ナット(締結具)
13
装着部材
14
取付部材
15
第1支持部材
16-1,16-2 補強板
17
第2支持部材
18
固定部材
19-1,19-2 蝶ボルト
20
スライドテーブル
21-1,21-2 ボルト
22-1,22-2 ナット
23
チェーンソー移動台
23a 支持部材
24
枠状体
24a,24b,24c,24d 角パイプ
25
推進軸
25a ショックガード
26-1,26-2 移動レール
27-1~27-4 L字アングル材
28
スロットル操作装置
29
制御装置
30
チェーンソー
30a ガイドバー
30b ソーチェーン
30c スロットル
40
樹木

モータ
【要約】
【課題】樹木の主幹の先端部であっても安定して強固な取り付けができる芯止め用遠隔操作伐採装置を提供する。
【解決手段】伐採対象の樹木の主幹の先端部に取り付け、遠隔操作で樹木を切断する芯止め用遠隔操作伐採装置であって、樹木40を挟み込んで固定する本体10aと抑え部10bとを有する取付架台10を具備する。取付架台の本体は、長手方向が樹木の長軸方向に配置され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された取付部材14と、スライドテーブルを樹木の接線方向に装着する装着部材13と、樹木の接線方向に設置された第1支持部材15とを備え、取付架台の抑え部は、第1支持部材に対向して設けられた第2支持部材17と、この第2支持部材に接合され、樹木への取付面が鋸歯状に形成された固定部材18とを備える。そして、樹木を第1、第2支持部材で挟み、第1、第2支持部材を一対の締結具11-1,11-2,12-1,12-2で固定する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8