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特許7563879センサデータの存在下において整備計画を改善するためのシステムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】センサデータの存在下において整備計画を改善するためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q10/20
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019232370
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2020113265
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】16/238,424
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モジュタバヘザデ, モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ベルニッキ, ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ベイギ, シェルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, カリン イー.
(72)【発明者】
【氏名】アヴェント, マイケル ジョン
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-140446(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0133178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0343093(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0037122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ駆動式最適化整備計画(SDOMP)を生成するための、コンピュータによって実行される方法であって:
一つの装置タイプのための第1の整備計画を受け取ること(1602)であって、前記第1の整備計画が、前記装置タイプの整備タスクを規定し、前記整備タスクを実施すべき間隔を規定している、第1の整備計画を受け取ること;
センサデータ履歴(1604)、定期整備データ履歴(1606)、及び不定期整備データ履歴(1608)を受け取ることであって、前記センサデータ履歴(1604)は、センサアラートデータを含み、前記定期整備データ履歴(1606)及び前記不定期整備データ履歴(1608)のいずれかが、非定例所見を含む、こと
前記センサデータ履歴前記定期整備データ履歴及び前記不定期整備データ履歴に基づいて、前記センサアラートが前記非定例所見に対応する確率を決定すること
前記装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的(418)を受け取ることであって、前記オペレータの前記一つ又は複数の整備改善目的(418)が許容リスクレベルを含む、こと;及び
前記確率が前記許容リスクレベルを満たすとき、段階的に拡大するよう調整された、規定された前記間隔のうちの一つを含むSDOMPを生成すること(1618)
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の整備計画が承認済整備計画(414)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置タイプが航空機(201)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサデータが、装置正常性管理(AHM)アラートデータ(422)を含み、前記AHMアラートデータが、タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)オイルレベル、及びエンジンオイルレベルからなるリストより選択される少なくとも一つのデータタイプを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記装置の動作履歴を受けること(1612)を更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、少なくとも前記装置の前記動作履歴に基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記SDOMPに対する終了日(434)を決定することを更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、少なくとも前記終了日に基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
間隔調整の正味益を決定すること(1614)を更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、前記整備タスクに関連付けられる費用に少なくとも基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
センサ駆動式最適化整備計画(SDOMP)を生成するためのシステムであって:
一つ又は複数のプロセッサ(402);及び
分析コンポーネント(428)を記憶するメモリエリア(410)
を備え、前記分析コンポーネントは、前記一つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記一つ又は複数のプロセッサに、
一つの装置タイプのための第1の整備計画を受け取ること(1602)であって、前記第1の整備計画が、前記装置タイプの整備タスクを規定し、前記整備タスクを実施すべき間隔を規定している、第1の整備計画を受け取ること;
センサデータ履歴(1604)、定期整備データ履歴(1606)、及び不定期整備データ履歴(1608)を受け取ることであって、前記センサデータ履歴(1604)は、センサアラートデータを含み、前記定期整備データ履歴(1606)及び前記不定期整備データ履歴(1608)のいずれかが、非定例所見を含む、こと
前記センサデータ履歴前記定期整備データ履歴及び前記不定期整備データ履歴に基づいて、前記センサアラートが前記非定例所見に対応する確率を決定すること
前記装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的(418)を受け取ることであって、前記オペレータの前記一つ又は複数の整備改善目的(418)が許容リスクレベルを含む、こと;及び
前記確率が前記許容リスクレベルを満たすとき、段階的に拡大するよう調整された、規定された前記間隔のうちの一つを含むSDOMPを生成すること(1618)
を含む動作を実施させる、システム。
【請求項9】
前記第1の整備計画が承認済整備計画(414)を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記装置タイプが航空機(201)である、請求項又はに記載のシステム。
【請求項11】
前記センサデータが、装置正常性管理(AHM)アラートデータ(422)を含み、前記AHMアラートデータが、タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)オイルレベル、及びエンジンオイルレベルからなるリストより選択される少なくとも一つのデータタイプを含む、請求項から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作が、前記装置の動作履歴を受けること(1612)を更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、少なくとも前記装置の前記動作履歴に基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記動作が、前記SDOMPに対する終了日(434)を決定することを更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、少なくとも前記終了日に基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記動作が、間隔調整の正味益を決定すること(1614)を更に含み、
前記SDOMPを生成すること(1618)が、前記整備タスクに関連付けられる費用に少なくとも基づいて前記SDOMPを生成することを更に含む、請求項から13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
車両隊のオペレータは、効率的なサービス及び車両隊利用を行うために、整備計画に従う。このような車両の例には、限定されないが、航空機、航空貨物車両、自動車、無人航空機(UAV)、海上車両(船、潜水艦等)等が含まれる。航空機の場合、往々にして整備計画データ(MPD)が製造者によって航空機のオペレータに提供され、それには一般に、推奨される定期的整備タスク、その間隔、必要なアクセス、及びその他の関連情報に関する情報が含まれる。整備タスクは多くの場合、グループ化されて「チェックパッケージ」として特定されたパッケージで実施される。
【0002】
いくつかの運用シナリオでは、オペレータはMPDを開始ポイントとして使用し、財務上の検討事項、例えばサービスから車両を除外するコストや特定のチェックパッケージを実施するコストに基づいてその整備計画スケジュールを調整する。しかしながら、実際の運用条件及び利用可能なデータ履歴を無視した整備計画のスケジュール調整は、整備データ及びセンサデータの履歴を活用した標的とする許容整備計画以下に運用リスクを維持するために、整備を必要以上に実施する(それによりコストが増大する)か、さもなければ最適な頻度で整備が行われない可能性を生じさせる。
【発明の概要】
【0003】
開示される実施例は、添付図面を参照して詳細に記載される。以下の概要は、ここに開示されるいくつかの実施例を説明するために提供される。しかしながらこれは、すべての実施例をいずれか特定の構成又は順序の動作に限定することを意味しない。
【0004】
ここに開示されるいくつかの態様及び実装態様は、センサ駆動式最適化(又は改善)整備プログラム(SDOMP)を生成するための方法を目的としている。一つの例示的方法は:一つの装置タイプのための第1の整備計画を受け取ることであって、この第1の整備計画が、この装置タイプの整備タスクを規定し、整備タスクを実施すべき間隔を規定する、受け取ること;センサデータ(センサアラートデータを含む)履歴、定期整備データ履歴、不定期整備データ履歴、及びセンサアラートを整備タスクとリンクするドキュメンテーションを受け取ること;センサデータ履歴を定期整備データ履歴及び不定期整備データ履歴と相関させて、センサデータの予測値を決定すること;当該装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的を受け取ること;及び少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいて、規定された間隔のうち一つの間隔が調整されたSDOMPを生成することを含む。
【0005】
SDOMPを生成するためのシステムと方法も提供される。一つの装置タイプのための整備タスクと整備タスクを実施するための間隔とを規定する第1の整備計画が受け取られる。センサデータ履歴、定期整備データ履歴、及び不定期整備データ履歴が受け取られて相関させられ、センサデータの予測値が決定される。当該装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的が受け取られ、少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいて、SDOMPが生成される。SDOMPにおいては、規定された間隔のうちの一つの間隔が調整されている。
【0006】
開示される実施例は、添付図面を参照して詳細に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】装置の製造及び保守方法のブロック図である。
図2】本開示の種々の態様のための装置200のブロック図である。
図3】特定のフライングモジュール201の概略的斜視図である。
図4】コンピューティングデバイス400のメモリエリア410の一実装態様のブロック図である。
図5】重なり合う確率密度曲線と検出の確率及び誤り警報の確率の値を決める閾値とを示している。
図6】修理又は他の整備アクションを要する状態を検出する確率の累積分布関数(CDF)を示している。
図7図6のCDF曲線の閾値の変更を示している。
図8図7の閾値変更の決定方法を図式化して示している。
図9】本開示の態様を実装するためのプロセスフローの一実装態様のブロック図である。
図10】アラートディスプレイの一実装態様である。
図11】センサマッピング動作の一実装態様のブロック図である。
図12】SDOMP430生成に関与する関連イベントのタイムラインを示している。
図13】非定例所見と整備メッセージとの関係を示している。
図14】A-Dは、センサデータを活用する種々のシナリオの正味利益を示している。
図15】整備タスクを段階的に拡大するかどうかを決定する動作の一実装態様を示すフロー図である。
図16】SDOMP430を生成する動作の一実装態様を示すフロー図である。
図17】SDOMP430を生成するためのプロセスを示すブロック図である。
図18】本開示の種々の態様を実装するために適したシステムの一実装態様を示すブロック図である。
【0008】
対応する参照番号は、図面を通して対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
種々の実施形態が、添付の図面を参照して詳細に記載される。可能な限り、同じ又は同様の部品に言及するために、図面全体を通じて同じ参照番号を使用する。具体的な実装態様に関して本開示を通して行われる言及及び実装態様は、例示のみを目的として提供されており、別途断らない限り、いずれの実装態様の限定も意図しない。
【0010】
上記概要、及び特定の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことにより、よりよく理解されるだろう。ここで使用される、「1つの(「a」又は「an」)」という語の後に記載される単数形の要素又はステップは、複数の同要素又はステップを必ずしも除外しない。更に、「一実施形態」への言及は、記載されている特徴を同様に包含する追加の実施形態の存在を除外するものではない。また、別途断らない限り、特定の性質を有する一つ又は複数の要素を「備える」「含む」又は「有する」実施形態は、その性質を有さない追加の要素を含み得る。
【0011】
装置に搭載されるセンサは、故障を予測するためのセンサベースの診断ツールを展開することを目標として使用される。これは、予防的整備を予測的整備で置き換える可能性を有している。しかしながら、センサは一般的に、検査プログラムの完全な知識を持たないことの多いコンポーネントのベンダー又は設計エンジニアによって配備される。したがって、センサと整備タスクの間の機能的マッピングは、仮想(センサーが可能にする)検査を通して改善された検査間隔を可能にする。残念なことに、一部のセンサデータの確率的性質のために、オペレータによっては誤り警報とみなしてアラートを無視することがある。これは、センサに可能なすべての益を認識することを妨げる。一般に、センサアラートは、一部のアラートは閾値を超えるセンサ測定値の二値状態であるので、センサデータのサブセットである。
【0012】
確率的なセンサデータは、オペレータのアラート解釈のみに依存することなく、修正された検査間隔の形態の客観的で厳密且つアクション可能な情報に変換可能である。このようにして、センサが故障又は劣化.の少なくとも部分的な予測子となるとき、センサの益は、整備費用の削減、効率の改善、及び装置活用の増大を通して認識される。
【0013】
本開示の態様は、センサ駆動式最適化整備プログラム(SDOMP)を生成するための、コンピュータで実施される方法、装置、及びコンピュータプログラム製品を提供する。一つの装置タイプのための整備タスクと整備タスクを実施するための間隔とを規定する第1の整備計画が受け取られる。センサデータ履歴、定期整備データ履歴、及び不定期整備データ履歴が受け取られて相関され、センサデータの予測値が決定される。当該装置タイプの装置のオペレータ(例えば、装置又は装置群の所有者、装置又は装置群の責任を有する管理者、又は装置を操作するユーザ)の一つ又は複数の整備改善目的が受け取られ、少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいて、SDOMPが生成される。SDOMPに含まれる規定間隔のうちの一つは調整済されている。
【0014】
特定の装置(例えば、一つのタイプ又はモデルの特定の装置又は装置群)に関して、整備データ履歴は、承認済整備計画(AMP)の下で各整備イベントについて発生した費用を含む。整備データ履歴は、定期整備データ履歴と不定期整備データ履歴とを含む。整備イベントは、装置のコンポーネントの整備、修理、又は交換に関連付けられるいずれかのイベントである。一実施形態において、整備イベントは、例えば、機能部品の故障、システムの故障、機能の喪失、機能低下、サービスの中断、腐食、摩耗、遅い応答時間、効率低下、燃料効率の低下、タイヤ圧力の喪失、又はコンポーネント又はコンポーネントの下位部品の整備、修理、又は交換を必要とする他のいずれかのイベントを含む。更に、各整備イベントは一つ又は複数の整備パッケージを含み、各整備パッケージは一つ又は複数の整備タスクを含む。ここで使用される整備タスクは、コンポーネント又は下位コンポーネントの検査、整備、修理、及び/又は交換に関連付けられるタスクである。整備データ履歴を使用して、一つ又は複数の整備パッケージを含む整備イベントは、各整備タスクに関連付けられる費用を決定するために分析される。
【0015】
センサデータと共に、整備データ履歴、費用及び一つ又は複数の整備改善目的(例えば、装置又は装置群のオペレータによって提供される)、利用可能なリソース(例えば、任意の時間に利用可能な労働者及び設備)、及び装置の総運転寿命として規定された時間の長さ(例えば、オペレータが装置又は装置群を所有している規定された時間の長さ)、複数の整備タスクの各々を使用して、本開示の態様は、計画される整備イベントの頻度を最小化し、予防的に計画された整備タスクのスケジュールを最適化又は改善することで装置の発送を改善すると同時に、予定外のサービス中の整備タスクの発生を最小化する。例えば、整備タスクの間隔(例えば、整備タスクを実施する間の日数)が増加することにより、オペレータが装置又は装置群を所有する(例えば、リース契約に基づき)総運転寿命の間にその装置又は装置群に対して特定の整備タスクが実施される回数が減少する。特定の整備タスクのための整備を延期することにより、特定の整備を実施することに関連付けられる費用も延期される。リースされた装置又は装置群の場合、間隔が増加することで、装置のリース返却日を超えて特定の整備が延期されることがありうるであろう。したがって、特定の整備が実施される前に装置が返却されれば、装置会社は特定の整備の費用を発生させないであろう。
【0016】
定期的な整備活動は、前もって計画された整備活動であり、不定期の整備活動は、故障又は非定例所見の結果発生する活動である。定例所見は、検査(定期又は不定期を問わず)の間に予測されるものとして検出又は決定される状態、例えば特定の使用量の後のタイヤ上のトレッドデスである。非定例所見は、検査(定期又は不定期を問わず)の間に検出又は決定される不測の状態、例えば予測の範囲を超えた状態の、何らかのコンポーネントの腐食又は劣化及び/又は機能性の喪失である。
【0017】
更に詳細に図面を参照すると、本開示の実施形態は、図1に示される装置製造及び保守方法100及び図2に示されるような装置200に照らして記載される。まず図1の、一実施形態による装置(例えば、キャリングモジュール200)の製造及び保守方法を示す図を参照する。一実施形態において、製造前に、装置製造及び保守方法100は、図2の装置200の仕様及び設計102と材料の調達104とを含む。製造の間に、図2の装置200のコンポーネント及びサブアセンブリの製造106とシステムインテグレーション108とが行われる。その後、図2の航空機200は、サービス112に供されるために、認可及び納品110を経る。顧客によるサービスの間、図2の装置200には定例の整備及び保守114がスケジューリングされ、これには、一実施形態では、改造、再構成、改修、及びここに記載されるその他の整備又は保守が含まれる。
【0018】
一実施形態において、装置製造及び保守方法100のプロセスの各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実施又は実行される。このような実装態様では、オペレータは顧客である。本明細書の目的のために、システムインテグレータは任意の数の装置製造者及び主要なシステムの下請け業者を含み;第三者は任意の数のベンダー、下請け業者、及び供給者を含み;一実施形態では、オペレータは、装置又は装置群の所有者、装置又は装置群の責任を有する管理者、装置を操作するユーザ、リース会社、軍事団体、サービス機関等である。
【0019】
図2には、装置200が示されている。図2に示されるように、装置200の一実施例は、航空宇宙ビークル、航空機、エアカーゴ、飛行自動車(flying car)等といった飛行装置201である。また、図2に示されるように、装置200の更なる実施例は、自動車、トラック、重装備、建設機械、ボート、船舶、潜水艦等といった地上輸送装置202である。図2に示される装置200の更なる実施例は、以下のモジュール:エアモジュール、ペイロードモジュール及び地上モジュールのうちの少なくとも一又は複数を含むモジュラー装置203である。エアモジュールは、エアリフト又は飛行能力を提供する。ペイロードモジュールは、貨物又は生物(人、動物等)といった物を輸送する能力を提供する。地上モジュールは、地上移動能を提供する。ここに開示される解決法は、モジュールの各々に別々に適用されるか、又はエア及びペイロードモジュール、又はペイロード及び地上モジュール等、又はすべてのモジュールといったグループに適用される。
【0020】
図3には、一実施形態が実装されたフライングモジュール201が更に具体的に示されている。この実施例では、フライングモジュール201は、図1の装置製造及び保守方法100によって製造された航空機であり、複数のシステム304及び内装306を有する機体303を含んでいる。複数のシステム304の実装態様には、推進システム308、電気システム310、油圧システム312及び環境システム314のうちの一又は複数が含まれる。しかしながら、他のシステムも含まれてよい。航空宇宙産業の実施例が示されているが、異なる有利な実施形態が、自動車産業等といった他の産業に適用される。
【0021】
図4は、SDOMPを生成するためのコンピューティングデバイス400のブロック図である。いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス400は、一つ又は複数のプロセッサ402、一つ又は複数の提示コンポーネント404及びメモリエリア410を含む。コンピューティングデバイス400に関連付けられる、本開示の実装態様は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、スマートホン、モバイルタブレット、ポータブルデバイス、家電製品、専用コンピューティングデバイス等を含む様々なコンピューティングデバイスによって実施される。開示される実装態様は、通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが実施される分散コンピューティング環境においても実施される。更に、コンピューティングデバイス400は図では単独のデバイスとして示されているが、一実施形態では、複数のコンピューティングデバイスが一緒に働き、図示のデバイスリソースを共有する。例えば、一実施形態において、メモリエリア410は、複数のデバイスに分散され、提供されるプロセッサ(複数可)402は異なるデバイスに収容される等である。
【0022】
一実施形態において、プロセッサ(複数可)402は、メモリエリア410といった種々のエンティティからデータを読み込む任意の数量の処理ユニットを含む。具体的には、プロセッサ(複数可)402は、本開示の態様を実施するためのコンピュータで実行可能な命令を実行するようにプログラムされる。一実施形態において、命令は、プロセッサによって、コンピューティングデバイス400内部の複数のプロセッサによって、又はコンピューティングデバイス400外部のプロセッサによって実施される。いくつかの実装態様では、プロセッサ(複数可)402は、後述するフロー図に例示され、添付図面に示されるもののような命令を実行するようにプログラムされる。更に、いくつかの実装態様では、プロセッサ(複数可)402は、ここに記載される動作を実施するためのアナログ技術の一実装態様を表す。例えば、動作は、アナログ式クライアントコンピューティングデバイス400及び/又はデジタル式クライアントコンピューティングデバイス400によって実施される。
【0023】
提示コンポーネント(複数可)404は、オペレータ(例えば、装置又は装置群の所有者、装置又は装置群の責任を有する管理者、又は装置を操作するユーザ)又は別のデバイスに対してデータ表示を提供する。一実装態様において、提示コンポーネントは、表示デバイス、スピーカ、印刷コンポーネント、振動コンポーネント等を含む。当業者であれば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で視覚的に、スピーカを通して聞き取れるように、コンピューティングデバイス400間で無線式に、有線接続で、又は他の方法でというように、コンピュータデータが複数の方法で提示されることを理解及び認識するであろう。一実施形態において、提示コンポーネント(複数可)404は、プロセス及び動作が十分に自動化されて人間相互作用が低減されているか又は必要でないときには使用されない。例えば、いくつかの実施形態では、SDOMPを生成及び実施し、不定期タスクを定期タスクに変更し、定期タスクを実施するプロセスが完全に自動化されてユーザの介在を有さない。
【0024】
メモリエリア410は、装置データ412、承認済み整備プログラム(AMP)414、整備費用416、整備改善目的418(オペレータによって提供される)、整備データ履歴420、センサデータ422、データマッピングコンポーネント424、データ相関コンポーネント426、分析コンポーネント428、SDOMP430、データ取得及び前処理コンポーネント432、並びにその他のデータ及びロジック434を記憶する。装置データ412は、特定のタイプの装置又は装置群に関する装置納品日、装置償却完了日、及び動作時間を含み、リースであれば、装置のリース返却日、クリアランス期間、及びリース条件(例えば、装置を貸主に返却する前に実施しなければならない整備イベント)を含む。一実施形態において、AMP414は、以下のうちの一又は複数:整備計画データ(MPD)、装置に特定の整備タスク、装置の検査イベント、費やされた労働時間、及び整備の間のアクセス要件を含む。いくつかの実装態様では、メモリエリア410は、更に最適化されたバージョン又は改善されたバージョンのAMP414であるが、センサデータ422を用いて改善される第1の改善された整備プログラムを更に記憶する。整備費用416は、装置又は装置群の複数の整備タスクのためのオペレータによって発生した費用履歴に関するデータを含む。また、更に詳細には、整備費用416に記憶される各イベントの費用履歴は、装置の労働、材料等に基づく、一つ又は複数の整備プロバイダ(例えば、整備費用416内で提供される整備タスクに関連付けられるタスクを実施する会社)から発生した既知の費用に基づいている。整備データ履歴420は、定期整備データ履歴と不定期整備データ履歴とを含む、AMP414から実施された整備イベントの履歴を説明する情報を含む。
【0025】
センサデータ422は、センサベースのアラートシステム(SBAS)装置正常性管理(AHM)アラートデータを含み、これは、いくつかの実装態様では、タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)のオイルレベル、エンジンのオイルレベル等のいずれか又はすべてといった測定可能なコンポーネントに関するデータを含む。いくつかの実装態様では、SBASアラートデータは装置正常性管理(AHM)アラートデータを含む。センサデータ422は、搭載される他のセンサ又は装置と通信するセンサからのデータも含む。実施形態において、センサデータ422はセンサデータ履歴と現在の(例えば、リアルタイムの)センサデータの両方を含む。データマッピングコンポーネント424は、マップを生成するための定期整備タスク所見及びロジックへのSBASアラートデータのマップを含む。データ相関コンポーネント426は、非定例所見と先行する関連整備メッセージとの間の相関を確立する。分析コンポーネント428は、装置又は装置群に対する整備を計画するための最適なイベント要件を識別するソフトウエア統計分析ツールである。一実施形態において、統計分析は、限定されないが統計分析ソフトウエア(SAS)といった既知の又は利用可能な統計アプリケーションプログラムを用いて実施される。SDOMP430は、結果として生成された産物である。データ取得及び前処理コンポーネント432、及びその他のデータ及びロジック434は、データマッピングコンポーネント424及び分析コンポーネント428をサポートするデータの処理及び記憶のために使用される。例えば、他のデータ及びロジック434は、装置の動作履歴、SDOMP430の終了日(例えば、リース終了日)、及び間隔調整の正味益を決定するためのデータ(例えば、整備費用416を用いた)を含む。
【0026】
図5は、重なり合う確率密度曲線502及び504と、検出の確率及び誤り警報の確率の値を決める閾値506を提供するグラフ500を示している。曲線502は、アラートを生じさせるべきでない状態のセンサ測定の出力を示している。曲線504は、アラートを生じさせるべき状態のセンサ測定の出力を示している。残念なことに、センサも、測定されたセンサ出力の解釈も、完全に正確ではない。結果として、アラートを生じさせるべきでない状況であるにも関わらず、反対の状況、即ちアラートに相当する状況に属するセンサ測定の出力から区別不能なセンサ測定の出力を生成することがあり、したがって曲線502と504が重なっている。閾値506は、アラートが生成されるかどうかを決定するように設定される。感知された状態が閾値506を超える場合、センサアラートが発行され;逆に、感知された状態が閾値506未満であれば、センサアラートは発行されない。これは四つの可能性を生じる:領域512は、曲線502の下に位置し、閾値506を下回る。したがって、領域512は、アラートを生じさせるべきでない状態においてアラートが発行されない状況を表す。これは、アラートが発行されないことが正しい真陰性である。領域522は、曲線502の下に位置し、閾値506を上回る。したがって、領域522は偽陽性(例えば、誤り警報)を表し、これは、アラートを生じさせるべきでない状態においてアラートが発行される状況である。これは誤り警報の状況である。領域514は、曲線504の下に位置し、閾値506を上回る。したがって、領域514は真陽性を表し、これは、アラートを生じさせるべき状態においてアラートが発行される状況である。これは正しい検出状況である。領域524は、曲線504の下に位置し、閾値506を下回る。したがって、領域524は偽陰性を表し、これはアラートを生じさせるべき状態においてアラートが発行されない状況である。これは一般に、検出ミスの状況としても識別される。一実施形態において、閾値506は、検出の確率(P)と誤り警報の確率(PFA)との所望の均衡(例えば、最適な閾値)を見出すために、上方又は下方に調整される。Pは領域514によって表され、PFAは領域522によって表される。一般に、閾値506を上昇させるとPFAは低下するが、Pが低下するという犠牲が生じる。
【0027】
図6は、修理又は他の整備アクションを要する状態を検出する累積確率の累積分布関数(CDF)曲線602を示している。一実装態様において、CDF曲線602は、統計分析方法を、定期整備所見の整備記録データセット及び不定期整備のログブックデータセットといった検査データ履歴に適用することによって得られる。別の実装態様では、CDF曲線602は、米国特許第8117007号に記載されている統計分析定期整備最適化エンジン(SASMO)を使用して生成される。CFD曲線602は、非定例所見の確率を示し、CDF曲線602のいくつかの実装態様は、装置及びそのコンポーネントの整備データ履歴を分析することにより得られる。整備アクションは、例えば不定期修理であり、整備タスクは例えば検査又は予防的整備である。非定例所見の状態が適時に修補されない場合、差し迫った不定期整備アクションの可能性がもたらされる。CDF曲線602は、一つ又は複数のオペレータからの整備データ履歴420を用いた推定であり、先行する検査では修理又はその他の整備アクションを要する状態が識別されなかった後のいずれかの検査時に、そのような状態を検出する見込み(確率)を表す。所与の標的許容リスクレベルはライン604である。ライン604がCDF曲線602と交差する位置において、これは、時間の単位で検査間隔T606を示す。間隔T606の前の検査は、はじめの方の検査であり、結果として修理又はその他の整備アクションを要する状態が識別される見込みは比較的小さい。間隔T606の後の検査は、後の方の(拡大された間隔での)検査であり、状況によっては、結果として修理又はその他の整備アクションを要する状態が識別される見込みが比較的大きい。センサデータを使用しない場合、検査間隔は、多くの場合上述のように決定された間隔T606に従って設定される。
【0028】
整備の最適化/改善サービスは、センサデータ422と組み合わせた定期及び不定期整備データに基づいて、オペレータの整備プログラムを最適化/改善するSBASは、リアルタイムのセンサデータ、例えば、タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)、及びエンジンオイルレベルを使用して、診断及び予知サービスを提供する。SBASの診断及び予知能は、特定の検査タスク間隔を最適化又は改善するとともに、不定期整備を定期整備に変換するために活用される。一実施形態において、センサデータ422によって所見が完全に予測される検査タスクが仮想的に実施されるのに対し、センサデータ422が整備タスクの所見の部分的な予測子にすぎない場合、タスクの仮想的検査及び実際の位置での検査の両方が実施される。このようにして、センサデータ422の予測値により、実際の位置での検査の間隔が段階的に増加される。
【0029】
図7は、センサデータ422を有利に使用することにより有効となった、CDF曲線602の関数として変更された検査間隔を示す。センサが故障又は劣化の完全な予測子であれば、検査がもはや不要であるので、最適な検査間隔は無限に近づく。しかしながら、物理的限界は、センサはむしろ故障又は劣化の部分的予測子であることを意味する。これにより、ライン604より上にライン704があることによって示される新規の許容リスクレベルを用いて示されるように、現物検査のみに依存することに対し、更なるリスクが許容される。ライン704がCDF曲線602と交差する地点は、時間の単位で新規の検査間隔T’(Tプライム)706を示し、これは間隔T606より後の地点にある(間隔が長くなった)。ライン604は、非定例所見を識別する現物検査の累積確率を示し、許容リスクレベルに設定される。ライン704は、前の検査間隔、Tにおける、非定例所見を識別する現物検査、センサアラート、又は両方の累積確率を示す。いくつかの実装態様では、センサアラートが所与の間隔における累積確率を改善するため、依然として同じ許容リスクレベルを保存しながら、間隔はT’に拡大され得る(延長され得る)。
【0030】
図8は、図7の変更後閾値の決定方法を図式化して示している。劣化及び故障を含む非定例所見を識別する累積確率を表すCDF曲線602が、間隔T606と一緒に、ライン604が示す標的許容リスクレベルを決定するために使用される。センサアラートが故障の可能性を予測する確率(P)は、整備データ履歴420を使用することによる等して決定される。センサアラートが故障の可能性を予測する確率Pが存在するため、センサデータの非存在下でも、延長された間隔を用いて同等のリスクレベルの特別コンストラクト(R_equivalent)が、発生し得るリスクの推定を可能にする。実際の動作では、延長された間隔とセンサデータの使用とにより、結果として得られるリスクは変化しない。R_equivalentは、以下により元の標的許容リスクレベルR及び確率Pの関数である:
方程式1 R_equivalent=R+(1-R)×P
【0031】
本質的に、センサアラートは追加の(1-R)×Pリスクに対処し、元の標的許容リスクレベルRとして、実効リスクレベル(R_equivalent)を保持する。等リスクレベル(R_equivalent)はライン704によって示されている。
方程式2 P(J∪S)=P(J)+P(S)-P(J∩S)
方程式3 P(J∪S)=P(J)+P(S)-P(J|S)×P(S);ベイズの方程式による
方程式4 P(J∪S)=P(J)+P(S)-P(J)×P(S);J及びSは独立して動作するため
方程式5 P(J∪S)=P(J)+(1-P(J))×P(S)
P(J∪S)が非定例所見を検出する現物検査(J)、又はセンサ(S)、又は両方の確率である場合、P(J)は、現物検査(J)のみが非定例所見を検出する確率であり、P(S)は、センサ(S)のみが非定例所見を検出する確率(正確な検出)である。ライン704がCDF曲線602と交差する地点は、時間の単位で新規の検査間隔T706を示す。未検出故障確率分布曲線812は、センサアラートによって予測されなかった故障発生の見込みを表す。ライン604が示す元の標的許容リスクレベルは、未検出故障確率分布曲線812と、新規検査間隔T’706に対応する位置において交差しており、センサが、元の標的許容リスクレベルを維持しながら検査間隔の増加(T606からT’706への)をどのように可能にしているのかを示している。いくつかの実装態様では、センサによる検出の確率がランダムである場合、既知の分布(例えば、ガウス分布)、次いで重畳積分法を用いて、センサデータ422の使用によって軽減されたリスクを推定する。
【0032】
一実施例として、整備タスクは:「エンジンオイルフィルターエレメントのバイパス状態の一般的目視検査」を、150飛行時間の間隔(T)で読み込む。150時間の初期間隔(T)は、0.4の許容リスクレベル(R)でCDF曲線602から導出される。センサは、継続的にオイルフィルターエレメントのバイパス状態を測定する。オイルフィルターエレメントのバイパスが特定の閾値を超えると、センサはセンサからアラートを生成する。二つの事例を示す:
事例1:P(S)=1である完全なセンサ。故障が存在する場合、センサはそれを100%の確度で捕捉する。この事例では、方程式1は以下のようになる:
方程式6 R_equivalent=R+(1-R)×P(S)=0.4+0.6×1
【0033】
新規の現物検査間隔は無期限に延期される。つまり、検査タスクは現物検査から除外され、仮想検査のみが必要となる。
事例2:P(S)=0.8である不完全なセンサ。故障が存在する場合、センサはそれを80%の確度で捕捉する。この事例では、方程式1は以下のようになる:
方程式7 R_equivalent=R+(1-R)×P(S)=0.4+0.6×0.8=0.88
【0034】
新規の現物検査間隔は段階的に拡大されるが、無期限ではない。
【0035】
図9は、本開示の態様を実装するためのプロセスフロー900の一実装態様のブロック図である。入力データは一緒に、タスク、間隔、及び許容リスクを特定するAMP414及び整備改善目的418;センサデータ422の一部であるSBASデータ及びアラート902;障害切り分け情報904;定期整備データ履歴906;及び不定期整備データ履歴908を含む。定期整備データ履歴906及び不定期整備データ履歴908は、整備データ履歴420をソースとしている。データ取得及び前処理段階は、データ取得及び前処理コンポーネント432を使用して、プロセス932aでSBASデータ及びアラート902を、プロセス932bで障害切り分け情報904を、プロセス932cで定期整備データ履歴906及び不定期整備データ履歴908を、それぞれ取得及び/又は処理することを含む。これらの結果はデータマッピングコンポーネント424に供給される。タスク及びアラート選択プロセス910は、現物検査からの除外及び/又は段階的拡大の候補として種々の整備タスクを選択する。次いで各タスクは分析コンポーネント428に供給される。次いで分析コンポーネント428は、判定動作912において、914で元の間隔を保持するかどうか、916で現物検査からタスクを除外するかどうか(それにより仮想検査を作成する)、又は918で間隔を段階的に拡大するかどうかを判断する。いくつかの実装態様では、分析コンポーネント428は、未検出故障確率分布曲線812を生成するために使用されるデータを構築する。
【0036】
判定動作912は、センサデータ422の予測値及びAMP414及び整備改善目的418を使用する。センサデータ422が予測値を有さない場合、つまり故障及び非定例所見がセンサデータ422又はアラートのいずれによっても予測できない場合は、元のAMP間隔が保持される。センサデータ422が完全な予測値を有する場合、つまりセンサデータ422又はアラートによって故障及び非定例所見が高い信頼度で予測される場合は、検査といった整備タスクが現物検査から除外される。しかしながら、センサデータ422が部分的予測値を有する場合、つまりセンサデータ422又はアラートによって故障及び非定例所見が妥当な確率で予測可能である場合は、整備タスクは検出の信頼度に従って段階的に拡大される。このようにして、SDOMP430は、少なくともセンサデータ422の予測値及び整備改善目的418に基づいて生成される。いくつかの実装態様では、SDOMP430は、調整された(例えば、段階的に拡大された又は段階的に縮小された)間隔を含み、除外されたタスク及びいくつかの不変のAMP間隔も反映する。
【0037】
図10は、SBASデータ及びアラート902内部に記憶された異なるセンサ(例えば、異なるコンポーネント供給者によって製造されたセンサ)からのSBASデータ及びアラートが、異なるフォーマットを有する状態の一実装態様である。例えば、それぞれセンサ1001及び1002からのアラートデータ1011及び1012は、第1のフォーマット1021を有する。それぞれセンサ1003及び1004からのアラートデータ1013及び1014は、第2の、異なるフォーマット1022を有する。これは、データ取得及び前処理コンポーネント432が異なるソースから異なるフォーマットでデータを受け取り、下流での使用に必要なようにそれを処理することができなければならないことを示している。SBASデータ及びアラート902は、異なるコンポーネントベンダーによって供給されて異なるソースを有する、したがって一定のフォーマットを有さないセンサからのデータを含む。
【0038】
図11は、センサマッピング動作の一実装態様のブロック図1100である。動作1102は、タスク及びアラート選択プロセス910の一部であり、ここでは候補SBASアラートが識別される。いくつかの実装態様では、動作1102は、最適なアラート閾値を見つけるためにアラート閾値(例えば、図5の閾値506)を調整することを含む。センサアラートによってあまりにも多い偽陽性が提供され、それが利用されると、その結果行われる不定期検査は整備費用を上昇させるであろう。いくつかの実施例では、センサ自体が、偽陽性率を低下させるためにアラート条件を変更するように調整される。これは、いくつかの実装態様では、コンポーネントベンダーによって供給される障害切り分けマニュアルをソースとする障害切り分け情報904とともに使用される。次いでこれらデータセットは、推奨される整備アクション1104を用いて分析される。
【0039】
また、いくつかの実装態様においては、整備データ履歴420から導出される整備タスク1106が、不定期整備タスク情報を識別するために使用される。不定期整備タスク候補1108が選択され、これにより種々のコンポーネントの故障情報及び非定例所見に関するデータが提供される。いくつかの実装態様では、不定期整備タスク候補1108に関するデータも、整備データ履歴420から導出される。次いで整備アクション1110は、1112において、センサデータ422を整備所見にマッピングするために、推奨される整備アクション1104と比較される。いくつかの実装態様では、センサデータ(センサアラートを含む)の整備アクションへの論理的マッピングの後に、データ履歴を使用して誤り警報の回数が多すぎるかどうかを確認する別の段階が行われる。
【0040】
図12は、SDOMP430の生成に関与する関連イベントである第1のイベント1202及び第2のイベント1204のタイムライン1200を示している。第1のイベント1202は、整備メッセージ、例えばセンサアラート又はその他報告されるセンサデータと、間隔1206を挟んでそれに続く第2のイベント1204である。第2のイベント1204は、非定例所見Xとして識別される非定例所見である。最初は、第1のイベント1202と第2のイベント1204との相関は認識されていない可能性がある。しかしながら、マッピング動作の間に、第1のイベント1202と第2のイベント1204との相関が識別される。例えば、有意な数の非定例所見が関連の整備メッセージによって処理された場合、多くの場合相関を確立することができる。
【0041】
図13は、概念的な時間関係ネットワーク1300における整備タスク(非定例所見を介した)と整備メッセージとの関係を示している。図13は、図11のブロック図1100を理解するための別の視点を提供する。いくつかの実施例では、センサデータ422(アラートであるか全般的センサデータであるかに関わらず)は、整備タスク(例えば検査)及び/又は非定例所見を一対一でマッピングしない。実施形態において、重複を含む一対多の関係、多対一の関係、及び組み合わせが存在する。例えば、複数のセンサアラートが第1の非定例所見と相関し、それら複数のセンサアラートのうちの一又は複数が更に複数の他の非定例所見と相関する。
【0042】
一般に、センサデータ422は、二つの検討事項をもたらす:検出の確率(付随する誤り警報の確率を含む)、及び関連性である。第1の検討事項である検出の確率は、信頼性の検討であり、どの程度高い信頼度でセンサデータ422が非定例所見を予測するかという問題に対処する。多くの場合、相関を計算する統計分析との関連性を確立することが可能である。相関は、二つのイベント間の関連性の数値的特定である。いくつかの実装態様で使用される一つの相関法は、二つの変数X及びY間の線形相関の指標であるピアソン相関係数(PCC)である。完全な相関は、二つのイベントが常に一緒に発生することを示し、一方、非相関イベントの場合、一つのイベントが発生するとき、第2のイベントが発生するかどうかの予測に証明力はない。センサデータ422は、信頼性と、整備タスク、非定例所見、及び整備アクションに対する関連性とについて分析される。
【0043】
概念的時間関係ネットワーク1300は、以下のような問題に答える:特定のセンサ又はセンサの組の関連性はどんなものか/どの程度センサデータ422は信頼に足るものであるか/予測値を改善するためにセンサデータ422によってどのような効力が提供されるか。例えば、整備メッセージ1302の有意性が、障害切り分け情報904を使用して識別される。整備タスク1106は、非定例所見1308を識別するために使用される。次いで、障害切り分け情報904と整備アクション1110との間に関係が見出され、非定例所見1308と整備アクション1110との間に関係が見出される。次いで、これにより整備メッセージ1302と整備タスク1106とのマッピングが完了し、整備所見と関連するセンサアラート及びその他センサデータとの相関の定量化が容易になる。
【0044】
図14A-Dは、センサデータを活用する種々のシナリオの正味益を示している。図8に戻ると、一組の例示的事例が記載されており、そこで現物検査間隔はTである。Tは、リスク(R)の逆関数として見出され(グラフ中、CDF曲線602)、T’は段階的に拡大される間隔である。したがって、定期整備アクションの回数iは、元の間隔及び拡大される間隔について、それぞれ単位時間当たり1/T及び1/T’である。段階的拡大の益(B)は、以下のように計算される:
方程式8 B=(1/T-1/T’)×C_scheduled
[式中、C_scheduledはタスクのための定期整備の費用である。]
【0045】
図14Aは、事例1の棒グラフ1400である:航空会社は、センサベースのアラートに対処するプロセスを有している。したがって、アラートによってトリガされる検査に対処するための所定のビジネスプロセスが既存であり、よって検査の費用は含まれない。方程式8に示されるSBASの段階的拡大の正味益はBである。棒グラフ1400では、部分1402は間隔Tでの定期整備の元の費用を示す。部分1404は、間隔T’での定期整備の単位時間当たりの新規の費用を示し、益(B)は差1408として示される。
【0046】
図14Bは、事例2.1の棒グラフ1410を示す:航空会社はセンサベースのアラートに対応するプロセスを有さず、誤り警報を減らすためにセンサ閾値を変更することはできない。SBAS段階的拡大の正味益は、方程式9に示されるBである:
方程式9 B=(1/T-1/T’)×C_scheduled-PFA×C_unscheduled
[式中、PFAはセンサ誤り警報の確率であり、C_scheduledはタスクの不定期整備の費用である。棒グラフ1410では、部分1416は、間隔T’での不定期整備の費用を示し、よってそれは部分1404の上に付加されている。正味益(B)は差1418として示される。センサ誤り警報が多すぎて正味益がマイナスである(例えば、使用された費用の方が大きい)場合、センサデータを使用して整備間隔を段階的に拡大するべきでない。
【0047】
図14Cは、事例2.2の棒グラフ1420を示す。これは、PFAを低減するためにセンサアラート閾値(例えば、図5の閾値506)を変更ことができる点を除いて事例2.2と同様である。最初、PFA及びC_unscheduledは、部分1404の上の部分1426として示される不定期整備費用を生じ、この費用は高すぎて正味益はマイナスである。したがって、センサアラート閾値は、PFAを低減するために調整される。これは、検出の確率(P(S))を低下させるように影響し、よって新規の間隔はP(S)が低下したT’’となるであろう。
【0048】
図14Dは、やはり事例2.2の棒グラフ1430を示しているが、新規の間隔T’’を反映している。棒グラフ1430では、部分1434は、間隔T’’での定期整備の新規費用を示しており、この費用は、図14A-Cの棒グラフ1404より高い(費用の増大を反映している)。部分1434の上の部分1436は、C_unscheduled及びPFAの低減による不定期整備費用を示す。正味益(B)は差1438として示される。棒グラフ1430は、PFAとPの組み合わせ(正確な検出及びアラートの確率)がゼロより大きい正味益を産むアラート閾値が存在するシナリオを示している。全体として、図14A-Dは誤り警報の確率が十分に低いときはセンサデータ422への依存は整備イベントを減少させるが、誤り警報の確率が高すぎると、センサデータ422への依存は不要に整備イベントを増やし、それによりオペレータ費用が増加し得ることを示している。
【0049】
図15は、整備タスクを段階的に拡大するかどうかを決定する動作の一実装態様を示すフロー図1500である。フロー図1500は、判定動作912を更に説明する。センサデータ422のサブセットである選択されたセンサデータ履歴422aは、いくつかの実装態様では概念的時間関係ネットワーク1300によって表される相関動作1502において、整備データ履歴420と組み合わせられる。判定動作1504は、センサデータ422が故障又はその他非定例所見を予測することができたかを決定する。予測できなかった場合、結果は、元の整備間隔を保持するという判定914である。判定動作1504における決定が明確なイエス又はノーの結果となる可能性が低いことに注意されたい。一実施例において、判定は、0.0に到達することはまれであり、その代わりノーの結果について低い値を有する予測値計算を前提としている。即ち、いくつかの実装態様では、予測値が閾値と比較されてイエス又はノーの結果が提供される。
【0050】
センサデータ422が故障又は非定例所見を予測することができた場合、判定動作1506は、センサデータ422が非定例所見(例えば、劣化又は故障又はその他非定例所見)を完全に予測できたかどうかを決定する。イエスであれば、結果は、現物検査から整備タスクを除外して仮想検査(センサを介した)を使用するという判定916である。判定動作1504と同様に、判定動作1506のいくつかの実装態様は、絶対的に完全なセンサデータ予測値を必要とするのではなく、第2の閾値を使用する。センサデータ422が完全に予測的でない場合、センサデータ422は故障又はその他の非定例所見を部分的にしか予測できず(リスクを排除するというよりはむしろ低減する)、その結果、整備間隔を段階的に拡大するという判定918が行われる。このプロセス(整備間隔を段階的に拡大する)の一部は、図8に示される検出確率の修正である。判定動作1504に用いられる閾値を参照し、センサデータ422の予測値が閾値を満たすとき、検査間隔の段階的拡大が行われる。
【0051】
次に、図16のフロー図1600は、SDOMP430を生成するための動作の一実装態様を示している。一実施形態において、図16に示される動作は、一つ又は複数のプロセッサ402に命令を与える分析コンポーネント428によって実施される。動作1602は、装置タイプのための第1の整備計画を受け取ることを含み、この第1の整備計画は、当該装置タイプの整備タスクを規定し、その整備タスクが実施される間隔を規定している。いくつかの実装態様では、第1の整備計画は、AMP(例えば、AMP414)を含む。いくつかの実装態様では、装置タイプは航空機(例えば、フライングモジュール201)である。
【0052】
動作1604は、センサデータ履歴を(例えば、センサデータ422から)受け取ることを含み;動作1606は、定期整備データ履歴を(例えば、整備データ履歴420から)受け取ることを含み、動作1608は、不定期整備データ履歴を(例えば、整備データ履歴420から)受け取ることを含む。いくつかの実装態様では、受け取られたセンサデータはSBASアラートデータを含む。いくつかの実装態様では、SBASアラートデータは、:タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、APUオイルレベル、及びエンジンオイルレベルからなるリストより選択された少なくとも一つのデータタイプを含む。
【0053】
動作1610は、センサデータ履歴を定期整備データ履歴及び不定期整備データ履歴と相関させて、センサデータ422の予測値を決定することを含む。いくつかの実装態様では、センサデータ422の予測値を決定することは、センサアラートが非定例所見に対応する確率を決定することを含む。動作1612は、装置の動作履歴を受け取ることを含み、動作1614は、間隔調整の正味益を決定することを含む。誤り警報(偽陽性)及び検出漏れ(偽陰性)は整備費用を押し上げる。例えば、図14C及び14Dの説明を参照されたい。いくつかの実装態様では、この費用情報は誤り警報及び検出漏れの確率に従って重み付けされる。例えば、センサへの依存が原因で第1の整備タスクが見送られ、その結果、より高額な第2の整備タスクが必要となるとき、決定される費用には、より高額な第2の整備タスクが使用される。動作1612及び1614は、他のデータ及びロジック434からのデータを使用し、図17-19に関して更に記載される。
【0054】
動作1616は、CDF曲線602を構築することと、少なくともセンサデータ422の予測値に基づいて、SDOMP(例えば、SDOMP430)を生成することを含み、生成されたSDOMP430においては規定された間隔のうち一つの間隔が調整されている。いくつかの実装態様では、SDOMP430を生成することは、少なくともセンサデータ422の予測値に基づいており、整備改善目的418は、センサデータ422の予測値が閾値を満たすとき、検査間隔を段階的に拡大することを含む。いくつかの実装態様では、SDOMP430を生成することは、少なくとも装置の動作履歴に基づいてSDOMP430を生成することを更に含む。いくつかの実装態様では、SDOMP430を生成することは、少なくとも終了日に基づいてSDOMP430を生成することを更に含む。いくつかの実装態様では、SDOMPを生成することは、少なくとも整備タスクに関連付けられる費用に基づいてSDOMP430を生成することを更に含む。次いで動作1618は、生成されたSDOMP430を、例えば提示コンポーネント404上に、提示することを含む。
【0055】
図17は、分析コンポーネント428がSDOMP430を生成するためのプロセス1700を示すブロック図である。装置データ412及びAMP141は、動作1602において分析コンポーネント428によって使用され;整備データ履歴420は動作1606及び1608において使用される。センサデータ422(例えばセンサデータ履歴)は、動作1604において分析コンポーネント428によって使用され;動作1604、1606、及び1608の結果は動作1610において使用される。分析コンポーネント428は、動作1612及び1614において他のデータ及びロジック434を使用する。いくつかの実装態様では、他のデータ及びロジック434は、装置の動作履歴、SDOMP430に対する終了日(例えば、リース終了日)、及び間隔調整(例えば、整備費用416を使用した)の正味益を決定するためのデータを含む。動作1602、1610、1612及び1614の結果は、SDOMP430を生成するために動作1616において使用される。
【0056】
図18は、SDOMPを生成するためのシステム1800のブロック図である。システム1800は、適切なコンピューティング環境の一実装態様であり、本発明の使用又は機能性の範囲に関するいかなる制限も示唆しない。同様に、システム1800は、図示のコンポーネント/モジュールのいずれか一つ又は組み合わせに依存する又はそれを要件とすると解釈するべきでない。
【0057】
ここに開示される実装態様及び実施形態は、コンピュータ又はPDA若しくはその他のポータブルデバイスといった他のマシンによって実行されるプログラムコンポーネント等のコンピュータで実行可能な命令を含む、コンピュータコード又はマシンで使用可能な命令の一般的状況において記載される。一般に、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含むプログラムコンポーネントは、特定のタスクを実施するコードを指すか、又は特定の抽象データタイプを実装する。開示される実装態様は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、スマートホン、モバイルタブレット、ポータブルデバイス、家電製品、専用コンピューティングデバイス等を含む種々のシステム構成で実施される。開示される実装態様はまた、通信ネットワークを通してリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが実施される分散コンピューティング環境において実施される。
【0058】
システム1800は、ネットワーク1818に通信可能に連結されたコンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス400)を含む。コンピューティングデバイス400は、直接的に又は間接的に以下のデバイス:メモリエリア410、一つ又は複数のプロセッサ402、一つ又は複数の提示コンポーネント404、入出力(I/O)ポート1808、I/Oコンポーネント1810、電源1812、及びネットワークコンポーネント1814に連結されるバス1816を含む。システム1800は、ここに図示されるコンポーネントのいずれか一つ又は組み合わせに関して何らかの依存性又は必要性を有すると解釈するべきでない。システム1800は図では単独のデバイスとして示されているが、一実施形態では、複数のコンピューティングデバイスが一緒に働き、図示のデバイスリソースを共有する。例えば、一実施形態において、メモリエリア410は、複数のデバイスに分散され、提供されるプロセッサ(複数可)402は異なるデバイスに収容される等である。
【0059】
バス1816は一つ又は複数のバスを表す(例えばアドレスバス、データバス、又はそれらの組み合わせ)。図18の種々のブロックは明瞭性のために線で示されているが、実際には、種々のコンポーネントの境界線は明瞭でなく、比喩的にいえば、線はグレイで曖昧であるという方が正確である。例えば、表示デバイスといった提示コンポーネントをI/Oコンポーネントとすることが考慮される。また、プロセッサはメモリを有する。これは本技術の性質であり、図18は、本開示の一つ又は複数の実施形態に関連して使用されるシステム又はコンピューティングデバイスの単なる例示である。「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「ポータブルデバイス」等のこのようなカテゴリは、区別されず、すべて図18の範囲に含まれることが企図され、ここでは「コンピューティングデバイス」という。
【0060】
一実施形態において、メモリエリア410は、ここに記載されるコンピュータ可読媒体のいずれかを含む。一実施形態において、メモリエリア410は、ここに開示される種々の動作を実行するように構成された命令を記憶し、それら命令にアクセスするために使用される。いくつかの実装態様では、メモリエリア410は、仮想環境における揮発性及び/又は不揮発性メモリ、リムーバブル又は非リムーバブルメモリ、データディスク、又はこれらの組み合わせの形態の、コンピュータ記憶媒体を含む。
【0061】
一実施形態において、プロセッサ(複数可)402は、メモリエリア410又はI/Oコンポーネント1810といった種々のエンティティからデータを読み込む任意の数量の処理ユニットを含む。具体的には、プロセッサ(複数可)402は、本開示の態様を実施するためのコンピュータで実行可能な命令を実行するようにプログラムされる。一実施形態において、命令は、プロセッサによって、コンピューティングデバイス400内部の複数のプロセッサによって、又はコンピューティングデバイス400外部のプロセッサによって実施される。いくつかの実装態様では、プロセッサ(複数可)402は、後述するフロー図に例示され、添付図面に示されるもののような命令を実行するようにプログラムされる。更に、いくつかの実装態様では、プロセッサ(複数可)402は、ここに記載される動作を実施するためのアナログ技術の一実装態様を表す。例えば、動作は、アナログ式クライアントコンピューティングデバイス及び/又はデジタル式クライアントコンピューティングデバイスによって実施される。
【0062】
提示コンポーネント(複数可)404は、オペレータ(例えば、装置又は装置群の所有者、装置又は装置群の責任を有する管理者、又は装置を操作するユーザ)又は別のデバイスに対してデータ表示を提供する。一実装態様において、提示コンポーネントは、表示デバイス、スピーカ、印刷コンポーネント、振動コンポーネント等を含む。当業者であれば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)で視覚的に、スピーカを通して聞き取れるように、コンピューティングデバイス400間で無線式に、有線接続で、又は他の方法でというように、コンピュータデータが複数の方法で提示されることを理解及び認識するであろう。
【0063】
ポート1808は、コンピューティングデバイス400を、I/Oコンポーネント1810を含む、一部は組み込み式である他のデバイスに論理的に連結することを可能にする。I/Oコンポーネント1810の実装態様は、例えば、限定しないが、マイクロホン、キーボード、マウス、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、プリンタ、無線デバイス等を含む。
【0064】
いくつかの実装態様では、ネットワークコンポーネント1814は、ネットワークインターフェースカード及び/又はネットワークインターフェースカードを操作するためのコンピュータで実行可能な命令(例えば、ドライバ)を含む。一実施形態において、コンピューティングデバイス400と他のデバイスとの間の通信は、任意の有線又は無線接続上の任意のプロトコル又は機構を使用して行われる。いくつかの実装態様では、ネットワークコンポーネント1814は、転送プロトコルを用いるパブリック、プライベート、又はハイブリッド(パブリック及びプライベート)上で、短距離通信技術(例えば、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth(登録商標)ブランドの通信等)を用いて無線によりデバイス間で、又はこれらの組み合わせでデータ通信するために操作される。
【0065】
コンピューティングデバイス400に関連して記載したが、本開示の実装態様は、多数の他の汎用又は専用コンピューティングシステムの環境、構成、又はデバイスを用いて実装可能である。本開示の態様に使用するために適切な周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の実装態様は、限定しないが、スマートホン、モバイルタブレット、モバイルコンピューティングデバイス、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ポータブル又はラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、ゲーム機、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、プログラマブル家電製品、携帯電話、ウェラブル又はアクセサリフォームファクタのモバイルコンピューティング及び/又は通信デバイス(例えば、時計、眼鏡、ヘッドセット、又はイヤホン)、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記システム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境、VRデバイス、ホログラフィックデバイス等を含む。このようなシステム又はデバイスは、キーボード又はポインティングデバイスといった入力デバイス経由、ジェスチャ入力、近接入力(例えばホバリングによる)、及び/又は音声入力を含む任意の方法でユーザからの入力を受け取る。
【0066】
一実施形態において、本開示の実装態様は、ソフトウエア、ファームウエア、ハードウエア、又はこれらの組み合わせにおいて一つ又は複数のコンピュータ又は他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールといったコンピュータで実行可能な命令の一般的状況において記載される。一実施形態において、コンピュータで実行可能な命令は、一つ又は複数のコンピュータで実行可能なコンポーネント又はモジュールへと編成される。一般に、プログラムモジュールは、限定しないが、特定のタスクを実施する又は特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及びデータ構造を含む。一実施形態において、本開示の態様は、任意の数及び編成のこのようなコンポーネント又はモジュールを用いて実装される。例えば、本開示の態様は、ここに図示及び記載される特定のコンピュータで実行可能な命令又は特定のコンポーネント又はモジュールに限定されない。本開示の他の実装態様は、ここに図示及び記載されるもの以外の何らかの機能性を有する様々なコンピュータで実行可能な命令又はコンポーネントを含む。汎用コンピュータを用いる実装態様では、本開示の態様は、ここに記載される命令を実行するように構成されるとき、汎用コンピュータを特定用途向けコンピューティングデバイスに変換する。
【0067】
例として、限定しないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備える。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、又はプログラムモジュール等の情報の格納のための任意の方法又は技術において実装される、揮発性及び不揮発性のリムーバブル及び非リムーバブルメモリを含む。コンピュータ記憶媒体は有形であり、通信媒体に対して相互に排他的である。コンピュータ記憶媒体は、ハードウエアにおいて実装され、搬送波及び伝播信号を除外する。本開示の目的のためのコンピュータ記憶媒体は、本質的に信号でない。一実装態様において、コンピュータ記憶媒体は、ハードディスク、フラッシュドライブ、固体状態メモリ、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又はその他メモリ技術、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はその他光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又はその他磁気記憶デバイス、又はコンピューティングデバイスによるアクセスに関する情報を記憶するために使用される他のいずれかの非伝送媒体を含む。対照的に、通信媒体は一般的に、コンピュータ可読命令、データ構造、又はプログラムモジュール等を、搬送波又はその他輸送機構といったモジュール化されたデータ信号に具現化し、任意の情報伝達媒体を含む。
【0068】
以下の段落は、本開示の更なる態様を説明している。
【0069】
A1.SDOMPを生成するための方法であって:
一つの装置タイプのための第1の整備計画を受け取ることであって、この第1の整備計画が、当該装置タイプの整備タスクを規定し、整備タスクを実施すべき間隔を規定している、第1の整備計画を受け取ること;
センサデータ履歴、定期整備データ履歴、及び不定期整備データ履歴を受け取ること;
センサデータ履歴を定期整備データ履歴及び不定期整備データ履歴と相関させて、センサデータの予測値を決定すること;
当該装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的を受け取ること;及び
少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいて、規定された間隔のうち一つが調整されたSDOMPを生成すること
を含む方法。
【0070】
A2.第1の整備計画が承認済整備計画を含む、A1の方法。
【0071】
A3.装置タイプが航空機である、A1又はA2の方法。
【0072】
A4.センサデータが航空機正常性管理(AHM)アラートデータを含み、AHMアラートデータが:タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)オイルレベル、及びエンジンオイルレベルからなるリストより選択される少なくとも一つのデータタイプを含む、A1-A3のいずれか一つの方法。
【0073】
A5.センサデータの予測値を決定することが、センサアラートが非定例所見に対応する確率を決定することを含む、A1-A4のいずれか一つの方法。
【0074】
A6.オペレータの一つ又は複数の整備改善目的が許容リスクレベルを含む、A1-A5のいずれか一つの方法。
【0075】
A7.少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいてSDOMPを生成することが、センサデータの予測値が閾値を満たすとき検査間隔を段階的に拡大することを含む、A1-A6のいずれか一つの方法。
【0076】
A8.装置の動作履歴を受けとることを更に含み、
SDOMPを生成することが、少なくとも装置の動作履歴に基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A1-A7のいずれか一つの方法。
【0077】
A9.SDOMPに対する終了日を決定することを更に含み、
SDOMPを生成することが、少なくとも終了日に基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A1-A8のいずれか一つの方法。
【0078】
A10.間隔調整の正味益を決定することを更に含み、
SDOMPを生成することが、整備タスクに関連付けられる費用に少なくとも基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A1-A9のいずれか一つの方法。
【0079】
A11.SDOMPを生成するためのシステムであって:
一つ又は複数のプロセッサ;及び
分析コンポーネントを記憶するメモリエリア
を備え、分析コンポーネントは、一つ又は複数のプロセッサによって実行されると、一つ又は複数のプロセッサに、
一つの装置タイプのための第1の整備計画を受け取ることであって、この第1の整備計画が、当該装置タイプの整備タスクを規定し、整備タスクを実施すべき間隔を規定している、第1の整備計画を受け取ること;
センサデータ履歴、定期整備データ履歴、及び不定期整備データ履歴を受け取ること;
センサデータ履歴を定期整備データ履歴及び不定期整備データ履歴と相関させて、センサデータの予測値を決定すること;
当該装置タイプの装置のオペレータの一つ又は複数の整備改善目的を受け取ること;及び
少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいて、規定された間隔のうち一つが調整されたSDOMPを生成すること
を含むシステム。
【0080】
A12.第1の整備計画が承認済整備計画を含む、A11のシステム。
【0081】
A13.装置タイプが航空機である、A11又はA12のシステム。
【0082】
A14.センサデータがAHMアラートデータを含み、AHMアラートデータが、タイヤ圧力、酸素圧力、油圧作動液、補助動力ユニット(APU)オイルレベル、及びエンジンオイルレベルからなるリストより選択される少なくとも一つのデータタイプを含む、A11-A13のいずれか一つのシステム。
【0083】
A15.センサデータの予測値を決定することが、センサアラートが非定例所見に対応する確率を決定することを含む、A11-A14のいずれか一つのシステム。
【0084】
A16.オペレータの一つ又は複数の整備改善目的が許容リスクレベルを含む、A11-A15のいずれか一つのシステム。
【0085】
A17.少なくともセンサデータの予測値と整備改善目的とに基づいてSDOMPを生成することが、センサデータの予測値が閾値を満たすとき検査間隔を段階的に拡大することを含む、A11-A16のいずれか一つのシステム。
【0086】
A18.前記動作が、装置の動作履歴を受けとることを更に含み、
SDOMPを生成することが、少なくとも装置の動作履歴に基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A11-A17のいずれか一つのシステム。
【0087】
A19.前記動作が、SDOMPに対する終了日を決定することを更に含み、
SDOMPを生成することが、少なくとも終了日に基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A11-A18のいずれか一つのシステム。
【0088】
A20.前記動作が、間隔調整の正味益を決定することを更に含み、
SDOMPを生成することが、少なくとも整備タスクに関連付けられる費用に基づいてSDOMPを生成することを更に含む、A11-A19のいずれか一つのシステム。
【0089】
本開示の態様の要素又はその実装態様を提示するとき、冠詞「一つの(「a」「an」)」「その(「the」)、及び「前記(「said」)」は、要素の一又は複数が存在することを意味する。用語「備える/含む(「comprising」)」、「含む(「including」)」、及び「有する(「having」)」は、包括的であり、列挙された要素以外に追加的要素が存在し得ることを意味する。用語「実装態様」は、「実施例」を意味する。「以下のA、B、及びCのうちの一又は複数」という表現は、「Aの少なくとも一つ及び/又はBの少なくとも一つ及び/又はCの少なくとも一つ」を意味する。
【0090】
本開示の態様の上記の詳細な説明により、特許請求の範囲に規定される本開示の態様の範囲を逸脱せずに、修正例及び変形例が可能であることは明らかであろう。本開示の態様の範囲を逸脱せずに、上記の構成、製品、及び方法に種々の変更を行うことが可能であり、上記記載に含まれ、添付図面に示されるすべては、例示であって限定を意味しないと解釈されたい。
図1
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