(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】変位センサ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20241001BHJP
G01V 8/12 20060101ALI20241001BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01H35/00 V
G01V8/12 J
G01C3/06 110A
(21)【出願番号】P 2020071363
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】叶田 壮兵
(72)【発明者】
【氏名】大津 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】呉 哲庸
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/042933(WO,A1)
【文献】特開2010-127635(JP,A)
【文献】特開2010-114400(JP,A)
【文献】特開2013-127943(JP,A)
【文献】実開昭50-59987(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光素子と、
光を透過するための透過窓を有する金属筐体と、
前記投光素子を保持し、前記金属筐体の一部で構成される光学ベースに接着される
セラミック成型品の第1ホルダ部材と、
前記光学ベースに固定され且つ投光スポットを形成するために前記投光素子から投光された光を集光し、前記透過窓を通じて検出領域に向けて出射する投光レンズと、
前記光学ベースに固定され且つ前記検出領域における前記投光スポットの像を形成するために前記検出領域からの光を集光する受光レンズと、
該受光レンズにより形成された前記検出領域における前記投光スポットの像を撮像し、受光量に応じた受光信号を生成する撮像素子と、
該撮像素子を保持し、前記光学ベースに接着される
、前記第1ホルダ部材とは別体のセラミック成型品の第2ホルダ部材と、
前記撮像素子からの前記受光信号に基づいて前記撮像素子における前記投光スポットの位置を特定して、当該特定した投光スポットの位置に基づいて検出対象の変位を測定する測定部とを有し、
前記投光素子
は前記第1ホルダ部材により前記光学ベースと絶縁されるとともに、前記撮像素子は
前記第2ホルダ部材により前記光学ベースと絶縁され、
前記第1、第2のホルダ部材が前記光学ベースに個々に接着固定され、
前記金属筐体の一部で構成される光学ベースは、これに光学部品を組み込むことでモジュール化され、
前記投光レンズがコリメータレンズで構成され又はコリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせにより構成され、
前記光学ベースには、前記第1、第2のホルダ部材の位置決めの調整可能範囲に対応した平らな面が形成されている、変位センサ。
【請求項2】
前記光学ベースが金属製の成型品であり、
該光学ベースに前記投光レンズ及び前記受光レンズを保持するホルダ部が一体成形され、
該ホルダ部に前記投光レンズ及び前記受光レンズが接着剤により固定されている、請求項
1に記載の変位センサ。
【請求項3】
前記光学部品を組み込んでモジュール化された前記光学ベースが前記金属筐体の主筐体に溶接される、請求項1
又は2に記載の変位センサ。
【請求項4】
光を投光する投光素子と、
光を透過するための透過窓を有するとともに、側方に開放した主筐体と前記主筐体の側方に開放した開口を塞ぐ蓋部材とを有する金属筐体と、
前記投光素子を保持し、前記金属筐体の一部で構成される光学ベースに接着される第1ホルダ部材と、
前記光学ベースに固定され且つ投光スポットを形成するために前記投光素子から投光された光を集光し、前記透過窓を通じて検出領域に向けて出射する投光レンズと、
前記光学ベースに固定され且つ前記検出領域における前記投光スポットの像を形成するために前記検出領域からの光を集光する受光レンズと、
該受光レンズにより形成された前記検出領域における前記投光スポットの像を撮像し、受光量に応じた受光信号を生成する撮像素子と、
該撮像素子を保持し、前記光学ベースに接着される第2ホルダ部材と、
前記撮像素子からの前記受光信号に基づいて前記撮像素子における前記投光スポットの位置を特定して、当該特定した投光スポットの位置に基づいて検出対象の変位を測定する測定部とを有し、
前記投光素子および前記撮像素子はセラミック材料により前記光学ベースと絶縁され、
前記第1、第2のホルダ部材が前記光学ベースに個々に接着固定され、
前記金属筐体の前記蓋部材で構成される光学ベースは、これに光学部品を組み込むことでモジュール化されていることを特徴とする変位センサ。
【請求項5】
前記第1、第2のホルダ部材は少なくとも2つの作業孔を有し、
前記光学ベースには、前記第1、第2のホルダ部材の位置決めの調整可能範囲に対応した平らな面が形成されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項6】
前記投光素子と前記投光レンズとの間に鏡筒を有し、
該鏡筒が可撓性部材で構成されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項7】
前記第1、第2のホルダ部材の底面に複数のテープが接着され、該複数のテープにより前記第1、第2のホルダ部材を前記光学ベースに接着するための接着剤の充填領域が規定され、
該テープによって第1、第2のホルダ部材と前記光学ベースとの間のスペーサが構成されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項8】
前記受光レンズと前記撮像素子との間にミラーを有し、
該光学ベースに前記ミラーを保持するミラー用ホルダ部が一体成形され、
該ミラー用ホルダ部に前記ミラーが接着されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項9】
前記投光レンズと前記受光レンズとの間に動作表示灯が配置されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項10】
前記撮像素子の画素の幅が近距離側では大きく、遠距離側では小さい、請求項1~
9のいずれか一項に記載の変位センサ。
【請求項11】
前記投光レンズがコリメータレンズで構成され又はコリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせにより構成されている、請求項
4に記載の変位センサ。
【請求項12】
前記第1、第2のホルダ部材がセラミック成型品である、請求項
4に記載の変位センサ。
【請求項13】
光を投光する投光素子と、
光を透過するための透過窓を有する金属筐体と、
前記投光素子を保持し、前記金属筐体の一部で構成される光学ベースに接着される第1ホルダ部材と、
前記光学ベースに固定され且つ投光スポットを形成するために前記投光素子から投光された光を集光し、前記透過窓を通じて検出領域に向けて出射する投光レンズと、
前記光学ベースに固定され且つ前記検出領域における前記投光スポットの像を形成するために前記検出領域からの光を集光する受光レンズと、
該受光レンズにより形成された前記検出領域における前記投光スポットの像を撮像し、受光量に応じた受光信号を生成する撮像素子と、
該撮像素子を保持し、前記光学ベースに接着される第2ホルダ部材と、
前記撮像素子からの前記受光信号に基づいて前記撮像素子における前記投光スポットの位置を特定して、当該特定した投光スポットの位置に基づいて検出対象の変位を測定する測定部とを有し、
前記投光素子および前記撮像素子はセラミック材料により前記光学ベースと絶縁され、
前記第1、第2のホルダ部材が前記光学ベースに個々に接着固定され、
前記金属筐体の一部で構成される光学ベースは、これに光学部品を組み込むことでモジュール化され、
前記第1、第2のホルダ部材の底面に複数のテープが接着され、該複数のテープにより前記第1、第2のホルダ部材を前記光学ベースに接着するための接着剤の充填領域が規定され、
該テープによって第1、第2のホルダ部材と前記光学ベースとの間のスペーサが構成されていることを特徴とする変位センサ。
【請求項14】
光を投光する投光素子と、
光を透過するための透過窓を有する金属筐体と、
前記投光素子を保持し、前記金属筐体の一部で構成される光学ベースに接着される第1ホルダ部材と、
前記光学ベースに固定され且つ投光スポットを形成するために前記投光素子から投光された光を集光し、前記透過窓を通じて検出領域に向けて出射する投光レンズと、
前記光学ベースに固定され且つ前記検出領域における前記投光スポットの像を形成するために前記検出領域からの光を集光する受光レンズと、
該受光レンズにより形成された前記検出領域における前記投光スポットの像を撮像し、受光量に応じた受光信号を生成する撮像素子と、
該撮像素子を保持し、前記光学ベースに接着される第2ホルダ部材と、
前記撮像素子からの前記受光信号に基づいて前記撮像素子における前記投光スポットの位置を特定して、当該特定した投光スポットの位置に基づいて検出対象の変位を測定する測定部とを有し、
前記投光素子および前記撮像素子はセラミック材料により前記光学ベースと絶縁され、
前記第1、第2のホルダ部材が前記光学ベースに個々に接着固定され、
前記金属筐体の一部で構成される光学ベースは、これに光学部品を組み込むことでモジュール化され、
前記投光レンズと前記受光レンズとの間に動作表示灯が配置されていることを特徴とする変位センサ。
【請求項15】
前記第1ホルダ部材及び前記第2ホルダ部材はセラミック製の成型品で構成され、
前記投光素子及び前記撮像素子は、前記セラミック製の成型品により前記光学ベースと電気的に絶縁されている、請求項1
3又は1
4に記載の変位センサ。
【請求項16】
前記第1、第2のホルダ部材は少なくとも2つの作業孔を有し、
前記光学ベースには、前記第1、第2のホルダ部材の位置決めの調整可能範囲に対応した平らな面が形成されている、請求項1
3~1
5のいずれか一項に記載の変位センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位を検出してON/OFF判定信号を出力する変位センサに関し、より詳しくは金属筐体を備えた変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
変位センサは、光電変換を行うイメージセンサを含むタイプと、イメージセンサを含まないタイプの2種類があり、様々な用途に対応して使い分けられている。変位センサには、具体的には、近接スイッチ、接触式スイッチ、超音波式スイッチなどの他に、三角測距式センサ、TOF(Time Of Flight)、光電スイッチなどが含まれる。これらは、検出対象物の高さの測定、検出対象物の表面の凹凸の測定、検出対象物の有無などの検出に適用される。
【0003】
特許文献1は、金属筐体を備えた変位センサを開示している。変位センサは、投光素子と撮像素子を備えている。投光素子は投光レンズを通じて検出光を検出領域に向けて投光し、検出領域で反射した光を受光レンズを通じて撮像素子が受け取る。
【0004】
特許文献1の変位センサは、金属筐体に光学系モジュールを組み込むことで作られている。光学系モジュールは樹脂成形フレームを有し、この樹脂成形フレームに、投光素子、投光レンズ、受光レンズ、撮像素子が組み付けられている。また、樹脂成形フレームは放熱ゴムを介して金属筐体に組み付けられている。投光素子などが発する熱は樹脂成形フレームに接した放熱ゴムを通じて金属筐体に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は一層の小型化を目指す目的の下で開発を進めている中で上述した樹脂成形フレームに着目して本発明を案出するに至ったものである。
本発明の目的は、更なる小型化を実現できるモジュール構造を備えた変位センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を達成すべく、本発明に係る変位センサは、基本的には、
光を投光する投光素子と、
光を透過するための透過窓を有する金属筐体と、
前記投光素子を保持し、前記金属筐体の一部で構成される光学ベースに接着されるセラミック成型品の第1ホルダ部材と、
前記光学ベースに固定され且つ投光スポットを形成するために前記投光素子から投光された光を集光し、前記透過窓を通じて検出領域に向けて出射する投光レンズと、
前記光学ベースに固定され且つ前記検出領域における前記投光スポットの像を形成するために前記検出領域からの光を集光する受光レンズと、
該受光レンズにより形成された前記検出領域における前記投光スポットの像を撮像し、受光量に応じた受光信号を生成する撮像素子と、
該撮像素子を保持し、前記光学ベースに接着される、前記第1ホルダ部材とは別体のセラミック成型品の第2ホルダ部材と、
前記撮像素子からの前記受光信号に基づいて前記撮像素子における前記投光スポットの位置を特定して、当該特定した投光スポットの位置に基づいて検出対象の変位を測定する測定部とを有し、
前記投光素子は前記第1ホルダ部材により前記光学ベースと絶縁されるとともに、前記撮像素子は前記第2ホルダ部材により前記光学ベースと絶縁され、
前記第1、第2のホルダ部材が前記光学ベースに個々に接着固定され、
前記金属筐体の一部で構成される光学ベースは、これに光学部品を組み込むことでモジュール化され、
前記投光レンズがコリメータレンズで構成され又はコリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせにより構成され、
前記光学ベースには、前記第1、第2のホルダ部材の位置決めの調整可能範囲に対応した平らな面が形成されている。
【0008】
第1、第2のホルダ部材と前記光学ベースとの間に位置する電気的絶縁材料は好ましくは伝熱性を備えているのがよい。
【0009】
本発明の作用効果及び他の目的は以下の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例の光学式三角測距センサを説明するための図である。
【
図2】実施例の光学式三角測距センサの一部を構成する本体部を所望の位置に固定できることを説明するための図である。
【
図3】実施例の光学式三角測距センサの一部を構成するヘッド部が内蔵する構成要素を説明するための図である。
【
図4】ヘッド部の内部構造を説明するためのブロック図である。
【
図5】(I)ワーク位置の遠近に伴って撮像素子におけるスポットの像の位置が変化することを説明するための図であり、(II)は画素の配列ピッチを不等間隔にした画像素子のイメージを説明するための図である。
【
図6】画素の配列が等間隔の画像素子における問題点を説明するための図であり、(I)は、ワークが近距離に位置するときのスポットが結像する位置を示し、(II)は、ワークが中間位置に位置するときのスポットが結像する位置を示し、(III)は、ワークが遠距離に位置するときのスポットが結像する位置を示す。
【
図7】不等間隔画像素子における画素の幅の設定を説明するための図であり、(I)は、ワークが近距離に位置するときのスポットの大きさに関連した画素の幅を示し、(II)は、ワークが中間位置に位置するときのスポットの大きさに関連した画素の幅を示し、(III)は、ワークが遠距離に位置するときのスポットの大きさに関連した画素の幅を示す。
【
図8】本体部の内部構造を説明するためのブロック図である。
【
図9】ヘッド部、本体部に含まれる電源回路を説明するための図である。
【
図10】ヘッド部が出射する緑色のレーザ光の強度及びパワーを制限する制御を説明するためのフローチャートである。
【
図13】投光用の第1ホルダ部材を斜め上から見た斜視図である。
【
図14】受光用の第2ホルダ部材を斜め上から見た斜視図である。
【
図15】投光用の第1ホルダ部材を斜め下から見た斜視図である。
【
図16】第1ホルダ部材及び第2ホルダ部材を搭載装置のフィンガを使って位置決めし且つ位置決めした後に第1、第2のホルダ部材と蓋部材とを接着する接着剤が硬化するまで保持することを説明するための図である。
【
図17】第1、第2のホルダ部材の下面にテープを設けない場合の問題点を説明するための図であり、(I)は第1、第2のホルダ部材が均等に分布する接着剤によって蓋部材に接着された状態を示し、(II)は第1、第2のホルダ部材が不均等に分布する接着剤によって蓋部材に接着された状態を示す。
【
図18】第1、第2のホルダ部材に接着したシリコンテープがスペーサとして機能して第1、第2のホルダ部材を一意の姿勢で蓋部材に接着できることを説明するための図である。
【
図19】蓋部材に第1、第2ホルダ部材を設置する際の調整可能範囲を説明するための図である。
【
図20】例えば金属製の第1、第2のホルダ部材をセラミック板を介して蓋部材に接着する変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、実施例の変位センサを示し、より具体的には光学式三角測距センサ100を示す。三角測距センサ100はヘッド部2と本体部4に分けて構成され、ヘッド部2と本体部4とは中継ケーブル6によって接続されている。中継ケーブル6は、好ましくは、コネクタを介在させることなくヘッド部2と本体部4とに半田付けされるのがよい。
【0012】
一般的な三角測距センサに含まれる構成要素のうち、三角測距に必要とされる光学部品及びこれに関連した素子、電源基板などの必要最小限の構成要素群がヘッド部2に収容され、それ以外のユーザインターフェース部材、具体的には表示部を構成する例えばドットマトリックスディスプレイ、例えば有機ELディスプレイ(OELD)、操作ボタンで構成される操作部などの構成要素群が本体部4に設けられている。これにより、ヘッド部2を小型化することができる。
【0013】
すなわち、ヘッド部2は、検出対象に向けて投受光を行う機能を主体に必要最小限の要素で構成され、他方、本体部4は、電源回路、表示部、操作部で構成されている。ヘッド部2は緑色レーザ光源を含み、この緑色レーザ光を出射して検出対象にスポットを形成する。
【0014】
実施例の三角測距センサ100によれば、ヘッド部2が表示機能無しの検出対象に向けて投受光を行う必要最小限の要素に限定で構成されているため小型化することができる。従って、ヘッド部2を設置する場所の選択に自由度がある。また、中継ケーブル6で一体化された本体部4も設置場所の選択に自由度がある。このことから、検出対象の測定に適した場所にヘッド部2を設置し、そして、ヘッド部2の近くの任意の場所に本体部4を設置することで、検出対象の表面に現れる緑色レーザ光のスポットを視認してスポットの位置が適切であるか否かを確認しながら且つOELD12の表示を確認しながら判定しきい値などの設定作業を行うことができる。
【0015】
図2は本体部4を示す。本体部4は、幾分扁平な断面略矩形の細長い外形形状を有し、その長手方向一端に位置するヘッド側端4aと、長手方向他端部に位置する出力側端4bとを有している。また、本体部4の4つの面で構成される側面は、比較的幅広の第1側面4cと、この第1側面4cに隣接した幅狭の第2側面4dを含んでいる。
【0016】
本体部4には出力ケーブル8が接続され、本体部4から出力ケーブル8を通じて判定信号つまりON/OFF信号がPLCなどの制御機器10(
図1)や従来の分離型センサのセンサヘッドから分離された分離アンプに向けて出力される。中継ケーブル6及び出力ケーブル8は共に屈曲可能な可撓性を備え、
図1に示すように中継ケーブル6を折り返して束ねることにより、ヘッド部2と本体部4との距離を任意に調整することができる。
図2を参照して、本体部4は、ヘッド側端4a及び出力側端4bから夫々長手方向に突出した周方向に延びる溝状の首部Nを有し、この首部Nの周面は好ましくは円形である。首部Nに結束バンドBを掛け渡すことで、ヘッド部2に近い、例えば30cm程度離れた任意の設置場所ILに固定することができる。
【0017】
首部Nの配置位置に関する変形例として、首部Nの代わりに、ヘッド側端4a及び出力側端4bの近傍に結束バンドBを受け入れる溝を本体部4に設けてもよい。幅広の第1側面4cにはOELD12が配設されている。また、この第1側面4cには、OELD12を挟んで一端側に本体部動作表示灯14が配設され、他端側にSETボタン16が配設されている。SETボタン16は例えばしきい値の自動設定(ティーチングモード)など動作モードを選択するのに用いられる。幅狭の第2側面4dには、UPボタン18とDOWNボタン20とが隣接して配置され、また、モードボタン22が配設されている。UP/DOWNボタン18、20は例えばしきい値を調整したりメニューを選択したりするのに用いられる。モードボタン22は三角測距センサ100の動作モードを切り替えるのに用いられる。上述したSETボタン16を第1側面4cではなくて、幅狭の第2側面4dに配置してもよい。
【0018】
図3は、ヘッド部2の内部に配設される要素を説明するための図である。ヘッド部2は、このヘッド部2の設置姿勢の変化を検出するためのモーションセンサ50を含んでいる。モーションセンサ50の代表例がジャイロセンサであり、他の例として加速度センサ、地磁気センサを挙げることができる。モーションセンサ50はヘッド部2と一体的に設置されている。具体的には、モーションセンサ50はヘッド部2との関係で相対変位しないようにヘッド部2に組み付けられている。これにより、ヘッド部2が外力を受けてヘッド部2の設置姿勢が変化し、光軸変位が発生したことをモーションセンサ50によって敏感に検知することができ、これにより光軸変位アラームを報知できる。
【0019】
ヘッド部2は、投光部52、投光レンズ54、受光レンズ56、ミラー58、撮像素子60を有し、これらの要素で三角測距のための光路が形成されている。投光レンズ54はコリメータレンズで構成されている。変形例として、投光レンズ54は、コリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせで構成されてもよい。撮像素子60はリニアイメージセンサで構成され、撮像素子60には電荷蓄積素子が含まれる。この撮像素子60と受光回路62とで受光部64が構成されている。後に説明するように、撮像素子60は、好ましくは、各画素60aの幅が近距離側では大きく、遠距離側では小さい。
【0020】
シリンドリカルレンズは幅方向に帯状の光ビームを生成するという特性を有している。コリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせによって、幅方向に帯状の投光ビームを生成し、矩形の受光素子60の各画素60aと整合させることにより、実質的に、検出光の反射光の殆どを受光素子60で受光することができる。したがって、コリメータレンズとシリンドリカルレンズとの組み合わせによって測定精度を向上できる。
【0021】
投光部52は好ましくは緑色レーザ光を発する半導体レーザ光源(InGaN/GaNの窒化ガリウム系)で構成される。ヘッド部2は、検出対象の検出領域に向けて検出光である緑色レーザ光を投光する。ワークに照射されたスポットの状態は検出精度に影響する。集光した小さなスポットであるほど検出精度が良い。緑色のレーザ光は赤色よりもスポットの状態が優れている。後に説明するように緑色は比視感度に優れている。この特性を利用して、緑色レーザ光の強度、パワーを制限してもスポットの視認性を確保することができる。ワークの所望の位置に投光ビームが照射されていることをユーザが目視で確認できることは検出を適正に実行する上で望ましいことは言うまでもない。
【0022】
投光部52が出射した緑色レーザ光は投光レンズ54、投光窓66を通じてワークに達する。ワークの表面で反射した反射光は、受光窓67、受光レンズ56を通り、ミラー58で屈折されて受光部64で受け取られる。すなわち、受光部64は、ワークの検出領域から反射した緑色レーザ光を受光し、これを光電変換して受光信号を生成する。投光部52、受光部64は、ヘッド部2に内蔵されたプロセッサ68によって制御される。
【0023】
図3から分かるように、ヘッド部2は、比較的薄い略直方体の形状を有し、幅狭の投受光面2aに上記の投光窓66、受光窓67が配置されている(
図3)。投光窓66と受光窓67の間には例えば赤色、緑色の2色のLEDで構成された前面動作表示灯70が配設されている。前面動作表示灯70は、赤色、緑色、赤と緑の混色である黄色で点灯又は点滅することができる。
【0024】
ヘッド部2の長手方向の第1、第2の端2b、2cのうち、投光窓66から離れた第2の端2cと、投受光面2aと対抗する背面2dとの間の角部2eは切り欠かれた形状を有し、この角部2eは好ましくは45°の傾斜面で構成されている。この角部2eに中継ケーブル6が通過する孔が形成され、孔は止水部材72で水の侵入が阻止される。止水部材72に直に隣接してヘッド部2の内部には上記前面動作表示灯70と同じ色の2色のLED74が配置されている。止水部材72は光を透過する導光部材で構成され、LED74と導光止水部材72によって出力部動作表示灯76が構成されている。前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76は、ON/OFF判定信号に同期して黄色又は緑色で点灯され、また、例えば赤色の点滅によってエラー表示される。
【0025】
ヘッド部2の設置において、投受光窓66、67が位置する投受光面2a及び中継ケーブル6が位置する角部2eは露出した状態に置かれるのが通常である。実際の運用において、露出した状態に置かれる投受光面2a及び角部2eに前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76を配置することで、前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76をヘッド部2の外形輪郭から突出させる必要はない。換言すれば、ヘッド部2の外形輪郭の小型化を阻害する前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76を突出した形態にする必要無しに、ユーザに前面動作表示灯70及び/又は出力部動作表示灯76の点灯、点滅を認識させることができる。
【0026】
上述したように、好ましくは45°の傾斜面で構成された角部2eに中継ケーブル6が接続されている。また、導光止水部材72によって出力部動作表示灯76の一部が構成されている。したがって、角部2eに配置した第2表示灯76は、ヘッド部2の外形輪郭を規定する第2の端2c、背面2dの延長線L1、L2の内側に位置している(
図3)。換言すれば、第2表示灯76は、延長線L1、L2から外部に突出していない。これにより、出力部動作表示灯76の存在によって小型化したヘッド部2の外形寸法は拡大しない。小型化を企図しないのであれば、前面動作表示灯70及び出力部動作表示灯76はヘッド部2の外形輪郭から突出した形態であってもよい。
【0027】
図2を参照して前述したように、本体部4の溝状の首部Nに結束バンドBを掛け渡すことで、本体部4をヘッド部2に近い任意の場所ILに固定することができる。本体部4は長方形の断面形状を有している。OELD12を設置した第1側面と、UP/DOWNボタン18、20等を設置した幅狭の第2側面とは互いに直角に交わっている。第1側面と対抗する第3側面、第2側面と対抗する第4側面は平らな面で構成され、この第3側面、第4側面は設置面を構成している。この第3側面及び/又は第4側面を設置場所に当接させた状態で、ヘッド部2の近傍であって比較的平らな任意の場所IL(例えば柱)に上記結束バンドBを使って固定することができる。
【0028】
図4は、ヘッド部2の制御系を説明するためのブロック図である。投光部52を構成する緑色レーザダイオード(LD)520が発するレーザ光はフォトダイオード(モニタPD)522で監視され、このモニタPD522の出力電流はI/V変換回路524、A/D変換回路526を経て投光制御部680に入力される。緑色LD520はLD駆動回路530によって制御され、このLD駆動回路530は投光制御部680によって制御される。LD駆動回路530は電流制御回路532、投光スイッチ回路534を含む。投光制御部680からD/A変換回路536を経て制御信号が電流制御回路532に入力され、また、投光制御部680から投光スイッチ回路534に制御信号が入力される。これにより、緑色LD520は所定の周期で且つ所定のパワーでレーザ光を投光する。LD駆動回路530に過電流が流れたときには過電流検知回路538によって検知され、過電流検知回路538の検知情報は投光制御部680に供給される。これにより投光制御回路680は過電流を抑制する制御が実行される。
【0029】
受光部64を構成する受光回路62の受光情報はA/D変換回路640を経てマイクロコンピュータ68に入力される。マイクロコンピュータ68、ピーク受光量検出部682、ピーク位置検出部684、距離算出部686、距離判定部688、出力部690を構成する。ピーク受光量検出部682は受光量のピーク値を検出し、このピーク値は投光制御部680に入力されて投光制御に反映される。受光部64で検出した受光量の情報から受光量のピーク位置がピーク位置検出部684で検出され、このピーク位置に基づいて距離算出部686によってワークまでの検出距離が測定される。この距離測定には、ピーク位置と距離との対応関係を示すテーブル692が参照される。算出した検出距離は、メモリに保存されている判定しきい値694を読み込んで、この判定しきい値との対比で距離判定部688によって判定される。この判定に関連したデータや後の説明するOELD12の表示に必要な受光情報を含む測定情報(判定しきい値を含む)は出力部690、通信部78を通じて本体部4に供給される。また、距離判定部688による判定結果に基づいて、ヘッド部の前面動作表示灯70、出力部動作表示灯76が点灯/点滅する。これによりユーザは現在の測定状態をリアルタイムで知ることができる
【0030】
ヘッド部2はモーションセンサ50を有し、このモーションセンサ50はヘッド部2と一体である。モーションセンサ50を構成するジャイロセンサの検知信号は光軸変位検知部696に入力される。光軸変位検知部696は、メモリ参照部698からしきい値を読み込み、光軸変位発生検知信号がしきい値以上のときに、光軸変位発生情報を出力部690に供給する。この光軸変位発生情報は通信部78を通じて本体部4に供給される。
【0031】
前述した撮像素子60の各画素60aの幅について
図5~
図7を参照して説明する。
図5の(I)は、例えばCMOSからなる撮像素子60において、ワークの遠近によって反射光を受ける部位が異なることを説明するための図である。図示の例では、ワークが近距離に位置する場合には撮像素子60の下方部位にスポットの像が結像する(
図5の(II))。そして、次に説明するようにスポットの像は相対的に大きい。他方、ワークが遠距離に位置する場合には撮像素子60の上方部位にスポットの像が結像する。そして、スポットの像は相対的に小さい。後に説明するように、撮像素子60の画素60aの群は、好ましくは、ワークが遠距離に位置するときに受光する部位からワークが近距離に位置するときに受光する部位に向かうに従って画素60aの幅Pnが大きくなるように撮像素子60が設計されている。ここに画素60aの幅Pnは、隣接する2つの画素60aにおいて、第1の画素の中心と第2の画素の中心との間の距離を実質的に意味している。
【0032】
図6は、複数の画素60aで構成される矩形の撮像素子60において、ワークの遠近によってスポットの像SPを受ける部位が異なり、またスポットの像SPの大きさが変化することを説明するための図である。
図6の(I)は、ワークが近距離に位置するときに撮像素子60の画素60aの群の並び方向一端部にスポットが結像することを示す。
図6の(II)は、ワークが中間位置に位置するときに撮像素子60の画素60aの群の中間部にスポットが結像することを示す。
図6の(III)は、ワークが遠距離に位置するときに撮像素子60の画素60の群の並び方向他端部にスポットが結像することを示す。
【0033】
図6の(I)から分かるようにワークが近距離に位置するときにはスポットの像SPは大きく、ワークが遠距離に位置するときにはスポットの像SPは小さい(
図6の(III))。撮像素子60の画素60aが等間隔に配列している場合、図示の例では、ワークが近いときには、7つの画素60aで受光されている。これに対して、ワークが遠いときには1つの画素60aで受光されている。
【0034】
ワークが近くに位置し、スポットの像SPが複数の画素60aで受光されるときには(
図6の(I))、受光する画素60aの数が多く、複数の画素60aの受光データに基づいて受光波形を曲線的に近似できるため受光量のピークの位置を推定する精度が高くなる。他方、ワークが遠くに位置し、スポットの像SPが例えば1つ画素60aで受光されるときには(
図6の(III))、受光波形を曲線的に近似できないため受光量のピーク位置を推定できない。ワークが遠い場合にも受光波形を曲線的に近似するためには、受光画素60のそれぞれの幅を小さくすることが望ましい。一方で、受光画素60のそれぞれの幅を小さくした場合は、撮像素子全体の画素数が多くなり、処理負荷が大きくなる。
【0035】
この問題に対して、ヘッド部2に搭載する矩形の撮像素子60は画素60aの幅がワークの遠近に対応して異なるように設計するのが好ましい。
図7は、撮像素子60が近距離側から遠距離側に向けて徐々に画素60aの幅が小さくなるように設計された例を説明するための概念図である。
図7は不等間隔の画素60aを備えた撮像素子60のイメージ図である。撮像素子60で結像するスポットの像SPは、ヘッド部2の検出範囲に対応して、そのサイズが決まる。
図7の(I)は、ワークが近距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。
図7の(II)は、ワークが中間距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。
図7の(III)は、ワークが遠距離に位置しているときのスポットの結像位置及びスポットの像SPを示す。図示の例では、ワークの遠近に関わりなく3つの画素60aでスポットの像SPを受光するように画素60aの幅が規定されている。これにより、ワークの遠近に関わりなくスポットの像SPを受光した3つの画素60aの受光量を曲線近似してピーク位置を推定できる。加えて、撮像素子全体の画素数を減らすこともでき、また、多くの画素60aで受光していないことから処理負担も軽減できる。これによりピーク位置の検出精度と処理負担軽減を両立することができる。図示の例では、3つの画素60aでスポットの像SPを受光する。これは、受光波形を曲線的に近似するために、少なくとの3つの画素60aでスポットの像SPを受光するのがよいという理由に基づいている。
【0036】
なお、
図7では、スポットの像SPを円又は楕円で表現してあるが、スポットの像SPの形状は円又は楕円に限らず、矩形であってもよい。
【0037】
図8は、本体部4の制御系を説明するためのブロック図である。本体部4は、プロセッサ24、入力回路26、出力回路28、電源回路30、メモリ32、通信部34を含んでいる。図示の操作部402は、SETボタン16、UPボタン18、DOWNボタン20、モードボタン22を意味している。ユーザは操作部402を操作することにより、チューニング設定、マスク設定、ジャイロセンサ(モーションセンサ50)のしきい値設定、本体部4の出力論理の設定、クリア入力などを行うことができる。ユーザが操作部402を操作すると操作受付部240でこの操作が受け付けられ、ユーザが例えば光軸変位しきい値や距離判定しきい値を変更する操作を行うとメモリ32に保存されている光軸変位しきい値、距離判定しきい値が更新される。
【0038】
データ受信部340を通じてヘッド部2から受け取った受光情報を含む測定情報、光軸変位検知信号は出力生成部246に供給される。出力生成部246は、ヘッド部2から受け取った受光情報に含まれる判定情報に基づいて、ユーザが設定可能な出力論理248に従って論理ON/OFF判定信号を含む出力情報を生成する。この出力情報は出力回路28を通じて出力ケーブル8を通じて外部機器に供給される。また、出力生成部246は光軸変位検知信号を受け取ったときには、出力回路28を通じて警報信号を外部に出力してもよい。
【0039】
上述した出力情報は、上述したように本体部4で生成してもよいし、ヘッド部2で生成してもよい。ヘッド部2と本体部4とを連結する中継ケーブル6の存在によって、一般的には、ノイズの影響を受け易い。ヘッド部2で判定ON/OFF信号を生成した場合において、中継ケーブル6を通じて本体部4に供給される判定ON/OFF信号は二値化された信号であるためノイズの影響は受け難い。他方、本体部4で判定ON/OFF信号を生成した場合には、この判定ON/OFF信号をヘッド部で生成する必要がないためヘッド部2の回路基板が複雑になることを回避でき、小型化を目指すときにヘッド部2を小型にすることが可能である。
【0040】
また、ヘッド部2から受け取った光軸変位検知信号は光軸変位制御部242に供給される。光軸変位制御部242が光軸変位検知信号を受け取ったときには、光軸変位検知信号を表示画面生成部244に供給する。表示画面生成部244は光軸変位検知信号を受け取ると、直ちにOELD12に表示する表示画面を生成する。表示画面生成部244で生成した表示画面はディスプレイ制御部250に供給され、ディスプレイ制御部250は表示画面生成部244で生成した表示画面に基づいてOELD12のアラーム報知表示の描画を制御する。
【0041】
ヘッド部2から受け取った判定しきい値を含む受光情報を含む測定情報は表示画面生成部244によって受け取られる。表示画面生成部244は受光情報に基づいてOELD12に表示する表示画面を生成する。表示画面生成部244で生成した表示画面はディスプレイ制御部250に供給され、ディスプレイ制御部250は表示画面生成部244で生成した表示画面に基づいてOELD12の現在値表示の描画を制御する。
【0042】
ヘッド部2は、投受光面2aに隣接した部位の長手方向一端側と他端側に夫々貫通した取付孔Thを有し、この取付孔Thはヘッド部2を横断する方向つまり投光の光軸と直交する方向に延びている。ヘッド部2は、2つの取付孔Thに挿入したボルトを使って設置場所に固定される。すなわち、ヘッド部2は投光面2aに隣接した部位において、天面2bに隣接した部位と、底面2cに隣接した部位に夫々取付孔Thが形成され、この取付孔Thは、ヘッド部2の平らな両側面に貫通している。そして、取付孔Thに挿通したボルトで設置場所に固定する設計となっている。したがって、互いに平行に延び且つ互いに対向した一対の平らな側面は夫々取付面を構成している。取付孔Thは投光ビームの光軸と直交する方向に延びている。換言すれば、両側面を取付面にすることから、ヘッド部2の設置に関する光軸調整において光軸の向きを調整するのに都合が良い。
【0043】
また、2つの取付孔Thの内側に投光部52、受光部64が配置され、また、投光部52と受光部64の間に前面表示灯78、電源回路78が配置されている。すなわち、ヘッド部2に含まれる重量物が2つの取付孔Thの間に配置されている。これにより、ヘッド部2の光軸調整が容易になる。また、ヘッド部2は略直方体の形状を有し、その一つの面である投受光面2aに限定して前面表示灯78というユーザインターフェース機能が付与されており、中継ケーブル6が位置する角部2eを除いた他の面つまり取付面として構成された平らな両側面だけでなく、長手方向両端面2b、2c、背面2dが平らな面で構成することができ、この背面2d、長手方向両端面2b、2cも取付面として利用できる。このことから、ヘッド部2の設置箇所や設置姿勢の選択の自由度を高めることができる。
【0044】
ヘッド部2が出射する緑色レーザ光に関し、投光部52(緑色レーザダイオード(LD)520)が発する緑色レーザ光の強度及びパワーは、緑色レーザ光のスポットの位置をユーザが裸眼で確認してもユーザに影響を及ぼさないレベルに制限される。この制限は、モニタPDが受け取った受光量に基づいてマイクロコンピュータ68によって行われる。緑色レーザ光の強度及びパワーの制限は、安全規格の「クラス1」又は「クラス2」を念頭に置いてユーザにより設定される。緑色は波長が500nm~555nmであり、比視感度(明比視感度及び暗比視感度)が他の色よりも優れている。したがって、緑色レーザ光の強度及びパワーを上記のレベルに制限してもスポットの視認性を確保できる。
【0045】
緑色LD520の動作モードを2つ用意し、ユーザの設定によって、クラス1で動作する第1モードと、クラス2で動作する第2モードを使い分けるようにしてもよい。第1モードは例えば光軸調整時及び/又は点検時に選択し、第2モードはティーチングの時や運用時に選択できるようにするのが好ましい
【0046】
図9は、ヘッド部2、本体部4に含まれる電源回路を説明するための図である。本体部4は電源回路30を内蔵している。電源回路30は、2つの電源回路30A、30Bを含む。一方の電源回路30Aは外部から受け取った電圧を調整して他方の電源回路30Bとヘッド部2に供給する。この他方の電源回路30Bは電圧を調整してプロセッサ24及びヘッド部2に供給し、この電圧でヘッド部2のモーションセンサ(ジャイロセンサ)50及びプロセッサ68が駆動される。本体部4の一方の電源回路30Aの電圧は緑色LD520に供給され、また、第2電源回路78に供給される。第2電源回路78は電圧を調整し、この電圧はリニアレギュレータ82によって安定化した後に、撮像素子60、受光回路62に供給される。
【0047】
図10は、緑色レーザ光を発するLD520(
図4)の強度及びパワーを制限する制御を説明するためのフローチャートである。
図10を参照して、ステップS1で投光信号を生成する。この投光信号は予め定められた投光周期を有している。次のステップS2において、予め設定された電流量及びパルス幅で緑色LD520を駆動する。次のステップS3において、受光部64が受け取った受光量が予め規定した範囲内であるか否かを判別しYESであればステップS1に戻る。ステップS3において、NOつまり受光量が規定の範囲を逸脱しているときには、ステップS4に移行してこの逸脱が所定回数以上連続しているか否かを判別する。このステップS4においてYESつまり逸脱が所定回数以上連続しているときには何らかの故障が発生しているとして緑色LD520への電源供給を停止する(S5)。ステップS4において、NOのときには、ステップS6に進んで緑色LD520を制御する電流量及びパルス幅を調整してステップS2に戻る。
【0048】
上記ステップS3ないしS6は、緑色レーザ光の強度及びパワーを制限する実質的なリミッタを構成している。投光部52が発する緑色レーザ光の強度及びパワーは、ワークに当たった緑色レーザ光のスポットの位置をユーザが裸眼で確認してもユーザに影響を及ぼさないレベルに制限される。この制限は安全規格の「クラス1」又は「クラス2」を念頭に置いて設定すればよい。緑色は波長が500nm~555nmであり、比視感度(明比視感度及び暗比視感度)が他の色よりも優れている。したがって、緑色レーザ光の強度及びパワーを上記のレベルに制限しても裸眼でのスポットの視認性を確保できる。
【0049】
図11はヘッド部2の分解斜視図である。なお、この
図11は、光学系部品及びこれに関連したホルダを説明するための図であることから、それ以外の部品や要素は図示が省かれている。ヘッド部2の筐体202は主筐体204と蓋部材206とで構成され、主筐体204と蓋部材206は共に金属材料で作られた精密成型品である。金属材料は典型的にはステンレス鋼である。
図12は、
図11に対応したヘッド部2の縦断面図である。
【0050】
主筐体204は、その2つの側面のうち一方の側面が蓋部材206によって形成されている。すなわち、主筐体204は、
図11に参照符号2fで示す平らな側面つまり取付面と対抗する側が側方に向けて開放したボックス状の形状を有し、この側方に開放した開口を密閉するようにして蓋部材206が主筐体204に溶接により固定される。この蓋部材206によって、主筐体204の側面2fと対抗する他方の平らな側面つまり取付面が形成される。
【0051】
蓋部材206は光学系部品を搭載する光学ベースつまりフレームを構成し、蓋部材206には光学系部品が搭載されて蓋部材206それ自体がモジュール化される。そして、光学系部品を含むモジュール化した蓋部材206を主筐体204に組み付け、その後、蓋部材206を主筐体204に溶接することによりヘッド部2が組み立てられる。
【0052】
図11において、参照符号40は金属押さえ部材を示す。ヘッド部2の投受光面2aは金属押さえ部材40によって実質的に形成され、金属押さえ部材40によってシール部材42が圧縮される。このシール部材42によってヘッド部2の投受光面2aの止水性が確保される。
【0053】
図12において、前面動作信号灯70を構成する信号灯ユニットAは2色のLED70aが実装されたLED基板を含む。
図12を参照すると分かるように、信号灯ユニットAは、投光レンズ54と受光レンズ56との間のデッドスペースに配置されていることが分かる。この配置により、ヘッド部2の小型化が実現されている。前述した角部2に出力部動作表示灯76を配置させていることもヘッド部2の小型化効果があるが、出力部動作表示灯76を構成する2色のLED74を実装したLED基板210がヘッド部2の側面に対して鉛直に配置されていることもヘッド部2の小型化効果がある。
【0054】
図12の参照符号208は例えば黒に着色したスポンジなどの可撓性の遮光又は吸光材料で構成された鏡筒を示す。可撓性鏡筒208は、投光部52、投光レンズ54、受光レンズ56などの光学系部品を蓋部材206に搭載した後に投光部52と投光窓66との間に設置される。
図12は、光学系部品だけを抽出して図示した図である。実際は、基板などで密な状態であると理解されたい。
図12に基づいて説明すれば、投光部52は上方の角部に位置し、角部2eの出力部動作表示灯76は下方に位置して互いに大きく離れているため、投光部52が発する光の迷光がミラー58、撮像素子60或いは導光防水パッキン96に達する可能性は低い。投光部52と投光窓66との間に可撓性鏡筒208を設置することで、この可能性を無くすることができる。
【0055】
前述したように蓋部材206は金属の精密成型品である。
図11、
図12を参照して、蓋部材206の裏面には、投光レンズ54、受光レンズ56の配置部位に起立する3つのホルダ部212、214、216が一体成形されている。第1、第2のホルダ部212、214には、夫々、光を通過させる開口212a、214aが形成されている。第1のホルダ部212には投光レンズ54が接着剤Ad(
図12)により固定される。第2のホルダ部214には受光レンズ56が接着剤Adにより固定される。第3のホルダ部216(
図12)にはミラー58が接着により固定される。
【0056】
ミラー58は直方体の形状を有していることから、第3ホルダ部216は実質的にミラー58の土台を構成する形状を有し、その上にミラー58が接着されている。変形例として、第3ホルダ部216を省いてもよい。また、第3ホルダ部216の代わりに、成型品からなる土台部材を用意し、この土台部材をミラー58に接着させると共に、土台部材を蓋部材206に接着させる構成を採用してもよい。
【0057】
第1乃至第3のホルダ部212、214、216によって、投光レンズ54、受光レンズ56、ミラー58が蓋部材206に直接的に接着材Adによって固定される。変形例として、第1乃至第3のホルダ部212、214、216の全て又はその一部を蓋部材206とは別体のホルダ部材で構成し、このホルダ部材に投光レンズ54、受光レンズ56、ミラー58を接着させると共に、当該ホルダ部材を蓋部材206に接着させるようにしてもよい。
【0058】
図13は、投光部52を位置決め固定するための第1ホルダ部材220を斜め上から見た斜視図である。第1ホルダ部材220は、ベース部分220aと、ベース部分220aから鉛直に起立する縦壁220bとを有する成型品である。投光部52は縦壁220bに接着により固定される。
【0059】
図14は撮像素子60と受光回路62を含む受光部64の構造体を位置決め固定するための第2ホルダ部材230を斜め上から見た斜視図である。第2ホルダ部材230は、ベース部分230aと、ベース部分230aから鉛直に起立する2本の支柱230bとを有する成型品である。撮像素子60と受光回路62は2本の支柱230bに接着により固定される。
【0060】
第1、第2のホルダ部材220、230は、例えばアルミナからなるセラミック成形品である。この成型品は電気絶縁性、成形性、低熱膨張係数、熱伝導性に優れている。したがってセラミック成型品の第1、第2のホルダ部材220、230は雰囲気温度の変動に対して形状安定性及び寸法安定性に優れ、また、電気的な絶縁性に優れている。
【0061】
図14から分かるように、第2ホルダ部材230のベース部分230aは間隔を隔てた部位に少なくとも2つの作業孔232を有する。
図13を参照して第1ホルダ部材220は、ベース部分220aが一方の作業孔222(1)が形成され、他方の作業孔222(2)は縦壁220bの頂面に形成された切欠き状の形状を有している。
【0062】
第2ホルダ部材230はベース部分230aに2つの作業孔222が形成され、他方、第1ホルダ部材230は、ベース部分230aに一つの作業孔222(1)が形成され、縦壁230bに他の作業孔222(2)が形成されている。このことから分かるように、各ホルダ部材に関し、2つの作業孔222は蓋部材206の面と平行な横面に配置してもよいし、蓋部材206の面と直交する縦面に配置してもよい。いずれにせよ、各ホルダ部材220、230の各々に設けられる2つの作業孔222は極力遠ざけた角隅部に配置するのがよい。これにより、各ホルダ部材220、230の位置決め精度を高めることができる。
【0063】
投光部52のための第1ホルダ部材220と、受光部64のための第2ホルダ部材230とを別部材で構成したことから分かるように、投光部52を固定した第1ホルダ部材220と、受光部64を固定した第2ホルダ部材230とを、個別に独立して蓋部材206に搭載し且つ位置決め調整することができる。この搭載及び位置決め調整は、後に説明する搭載装置250(
図16)によって個々に行われる。
図13を参照して、投光部52のための第1ホルダ部材220の2つの作業孔222は、一方側に片寄せした位置に形成されている。2つの作業孔222が設けられている側は、受光部64のための第2ホルダ部材230が位置する側とは反対側である。これにより、第1ホルダ部材220を搭載する作業を行う第1搭載装置250と、第2ホルダ部材230を搭載する作業を行う第2搭載装置250との干渉を回避することができる。
【0064】
第1、第2のホルダ部材220、230は蓋部材206に接着剤Ad(
図17)により固定される。
図15は、投光用の第1ホルダ部材220を斜め下から見た斜視図である。第1ホルダ部材220を蓋部材206に接着する際には、その準備工程として、第1ホルダ部材220のベース部分220aの底面に、間隔を隔てて少なくとも2つの帯状のテープ240の内側の面が接着される。テープ240は好ましくは滑り性に優れた特性を有しているのがよい。テープ240は蓋部材206に接着されない。投光部52を組み込んだ第1ホルダ部材220は搭載装置250(
図16)によって蓋部材206に位置決めされ、位置決めした後に2つのテープ240の間の空間Srに液状の接着剤が充填される。すなわち、2つのテープ240によって形成される空間Srは接着剤を充填する領域であり、2つのテープ240によって接着剤充填領域Sr(
図15)が規定される。
【0065】
この2つのテープ240はスペーサとしての機能を有し、テープ240の厚みで、接着剤充填領域Srに充填した接着剤Adの厚みを規定することができる。
図17は、テープ240を設けない場合の問題点を説明するための図である。第1、第2のホルダ部材220、230と蓋部材206との間に均等に接着剤Adが存在するのが理想であり、これにより、第1、第2のホルダ部材220、230を正規の姿勢で蓋部材206に固定できる(
図17の(I))。しかし、接着剤Adが不均一な場合には、第1、第2のホルダ部材220、230に傾きが発生する(
図17の(II))。そして、この傾きは不確定要素である。
図18は、テープ240を設けた場合を説明するための図である。第1、第2のホルダ部材220、230と蓋部材206との間に位置する2つのテープ240はスペーサとして機能し、蓋部材206に対する第1、第2のホルダ部材220、230の姿勢を一意に規定することができる。
【0066】
この2つのテープ240は上述したようにスペーサとして機能することから、接着剤充填領域Srは、第1、第2ホルダ部材220、230の底面において最大限の面積を占めるのがよい。これにより蓋部材20に対する第1、第2ホルダ部材220、230の一意の設置姿勢を確実なものにすることができると共に第1、第2ホルダ部材220、230の固定を確実なものにすることができる。このためには2つのテープ240を第1、第2ホルダ部材220、230の底面の互いに対向する側縁部に配置するのがよい。
【0067】
図15を参照して、第1のホルダ部材220を例に説明すると、平面視矩形のベース部分220aの両側縁に沿って連続して延びる左右のテープ240が配置されている。これにより、最大限の接着剤充填領域Srを形成することができる。第1ホルダ部材220のベース部分220aには上述したように1つの作業孔222(
図13、
図16)が形成されている。この作業孔222をテープ240で塞ぐのがよい。これにより、接着剤充填領域Srに充填した液状の接着剤が作業孔222に入り込むのを防止できる。これにより接着剤充填領域Srに充填する接着剤の量を所定量に規定することができ、また、この所定量の接着剤Adで接着剤充填領域Srを満たすことができる。そして、テープ240の厚みで接着剤Adの均一な厚みを規定することができる。これにより、第1ホルダ部材220を蓋部材206に固定した後の第1ホルダ部材220の姿勢の変動を防止することができる。
【0068】
図16は、第1ホルダ部材220、第2ホルダ部材230を蓋部材206に搭載している最中の様子を平面視で描いた図である。受光部64を保持する第2ホルダ部材230に注目すると、ベース部分230aがミラー58側を大きく切り欠いた平面視三角形の斜辺を更に切り欠いた略三日月形状であるのが分かる。そして、ミラー側58に位置する互いに対向する角部に第1、第2の作業孔232(1)、232(2)が配置しているのが分かる。なお、第1の作業孔232(1)は長孔で構成され、この長孔からなる第1作業孔232(1)の長軸は第2作業孔232(2)の方向に向けて延びているのが分かる。変形例として第2作業孔232(2)を長孔で構成してもよい。第1、第2の作業孔232(1)、232(2)の何れか一方を長孔にすることで後に説明する搭載装置250(
図20)で第2ホルダ部材230をハンドルする際の製造公差を吸収することができる。
【0069】
このように平面視略三日月状のベース部分230aに関し、図示を省略したが、2つのテープ240で第1、第2の作業孔232(1)、232(2)を塞ぐように各テープ240が配置されている。具体的には、第1の作業孔232(1)に関するテープ240は、第2の作業孔232(2)と対向する辺の全域に亘って延びている。他方、第2の作業孔232(2)に関するテープ240は、当該第2の作業孔232(2)の部分に配置されている。
【0070】
図16を参照して、搭載装置250は2本のフィンガ250aを有し、この2本のフィンガ250aは例えば受光用の第2ホルダ部材230の作業孔222に挿入され、そして、第2ホルダ部材230を所定の位置に位置決めすると共に、この位置決めを行ったら2つのテープ240の間の空間Sr(
図15)に接着剤Adを充填し、そして接着剤Adが硬化するまでフィンガ250aで第1、第2ホルダ部材を保持し続ける。投光用の第1ホルダ部材220についても同様である。蓋部材206には先ず光学部品が搭載され、その後、搭載装置250による第1、第2のホルダ部材220、230の搭載作業が実行される。この搭載作業に先立って、第1ホルダ部材220に投光部52が接着され、第2ホルダ部材230には受光部64が接着される。
【0071】
搭載装置24によって第1、第2のホルダ部材220、230を個別に位置決めする工程において、滑り性に優れたテープ240によって、フィンガ250aの微妙な動きで第1、第2のホルダ部材220、230を円滑に位置決めすることができる。テープ240は上述したようにスペーサとして機能し、接着剤充填領域Srに充填する接着剤Adの適切な量を規定することができる。緑色LD520は赤色LDに比べて高い電圧が必要であり、換言すれば、緑色LD520の発熱量は赤色LDに比べて多い。第1、第2のホルダ部材220、230はセラミック成型品であることから、セラミック材料の特性によってホルダ部材220、230は熱変形し難い。
【0072】
<蓋部材206への投光部52、受光部62の搭載>
図19において、矢印T(1)は光軸調整作業の方向を示し、矢印T(2)は焦点位置の調整作業の方向を示す。第1ホルダ部材220の2つの作業孔222、第2ホルダ部材230の2つの作業孔232の配列方向は、光軸調整作業の方向T(1)に沿った方向であるのがよい。これにより、搭載装置24の調整作業プログラムを作成し易くなる。投光部52、受光部62はシャインプルーフの原理を満たすように位置決めされる。
【0073】
投光部52、受光部62の取付位置は、第1、第2のホルダ部材220、230を含む各部品の製造誤差により変化する。各部品の製造公差により、第1、第2のホルダ部材220、230の取付位置として変化する最大範囲は予め定められており、この最大範囲に対応した第1、第2のホルダ部材220、230の調整可能範囲Ar(1)、Ar(2)つまりクリアランスが平らな面で構成されて、第1、第2のホルダ部材220、230が接着可能である。
【0074】
図16、
図19を参照して、参照符号206aは蓋部材206の隆起部を示す。隆起部206aは、蓋部材206の周縁に沿って連続的に延びている。この隆起部206aによって蓋部材206の剛性を高めることができる。この観点から言えば隆起部206aは蓋部材206の外周縁の全域に形成されるのが望ましいが、隆起部206aは第2調整可能範囲Ar(2)つまり受光部64を保持する第2ホルダ部材230を搭載する領域の近傍において欠落している。
【0075】
ヘッド部2は究極の小型化を企図して設計されており、その企図の下で投光部52と受光部64とが接近して配置されている。これに伴って、第1、第2調整可能範囲Ar(1)、Ar(2)は隣接している。なお、
図19は模式的に図示することで第1、第2調整可能範囲Ar(1)、Ar(2)の存在を説明するための図であり、実際は、
図12から理解できるように、第1、第2ホルダ部材220、230は接近した状態で配置される。このことから第1、第2調整可能範囲Ar(1)、Ar(2)は隣接している(
図16)。蓋部材206の大きさは限定的であり、そのなかで第1、第2調整可能範囲Ar(1)、Ar(2)の確保を優先して第2調整可能範囲Ar(2)に干渉する部分は隆起部206aを省いてある。
【0076】
第1、第2のホルダ部材220、230の変形例として、第1、第2のホルダ部材220、230は、電気的な絶縁性を備えたセラミック材料を含有した樹脂成型品であってもよい。
【0077】
第1、第2のホルダ部材220、230の他の変形例として、
図20に図示のように、電気的な絶縁性を備えたシート又はプレート260を介して第1、第2のホルダ部材220、230を蓋部材206に接着してもよい。シート又はプレート260は好ましくは伝熱性に優れているのが良い。伝熱性及び電気的な絶縁性を備えたプレート260の典型例として薄いセラミックプレートを挙げることができる。シート又はプレート260の代わりに、第1、第2のホルダ部材220、230の接着面及び/又は蓋部材206の該当箇所に電気的な絶縁性を備えた材料をコーティングしてもよい。このコーティング材料も電気的な絶縁性に加えて伝熱性に優れた材料であるのが好ましい。この他の変形例によれば、第1、第2のホルダ部材220、230はセラミック成型品に限定されず、例えば金属製の成型品を採用することができる。
【0078】
<ヘッド部2の小型化>
ヘッド部2から操作部402、表示部(OELD)12を省いて、ヘッド部2から延出する中継ケーブル6が一体的に接続された本体部4に好ましくは操作部402、表示部12を設置することによりヘッド部2に操作部402、表示部12を設けたのと実施的に同じ使用状態を作りつつ、ヘッド部2を小型化することができる。そして、幾分扁平な略直方体形状のヘッド部2の投受光面2aを唯一のユーザインターフェース面として限定し、両側面2f(
図11)を平らな面で構成し、この両側面2fを取付面として利用すべく光軸と直交する方向に貫通する取付孔Thが形成されている。そして、投受光面2aに動作表示灯70を設置することで、他の5つの面、つまり長手方向一端面(天面)2b、他端面(底面)2c、両側面2f(
図11)、背面2dをユーザインターフェース機能を有さない平らな面で構成することができ、両側面2fだけでなく、天面2b、底面2c、背面2dの何れかの面を使ってヘッド部2を設置することができる。
【0079】
図12を参照して、投光部52はヘッド主筐体204の端2bに極力近づけた位置に配置されている。ヘッド主筐体204は金属製である。参照符号260は投光回路基板を示す。投光回路基板260はヘッド主筐体204に隣接して位置し、絶縁部材262によって包囲されている。この絶縁部材262によって投光回路基板260とヘッド主筐体204とが電気的に絶縁されている。
【0080】
前面動作表示灯70はユニット化され、この表示灯ユニットにはLED駆動回路基板266が含まれている。また、前面動作表示灯70の一部を構成する光拡散部材268は金属押さえ部材40によって後付けされる。光拡散部材268は空所268aを有し、この空所268aによって光の減衰が調整されている。
【0081】
受光レンズ56は、図外のスリットによって検出光が通過する領域が制限されている。この制限された領域を参照符号56aで示す。前述したように、受光レンズ56と受光部64との間にミラー58が介装されている。ミラー58を介装することにより、受光部64を投光部52側に近づけた位置に配置することができる。また、検出光が通過する受光レンズ56の領域を制限することによって、受光レンズ56に接近した位置にミラー58を配置することができる。
【0082】
図12において、参照符号214aは受光レンズホルダ部214の一部を切り欠いた形状の凹所を示す。受光レンズ56に接近した位置にミラー58を配置するため、受光レンズホルダ部214の一部つまりミラーホルダ部216と干渉する部位を受け入れるために凹所214aが形成されている。これにより、受光レンズホルダの一部と重複する部位まで受光レンズ56に接近した位置にミラー58を配置することができる。
【0083】
図14を参照して、参照符号280は、第1支柱230b(1)の側面であって、ミラー58と対面する側面を示す。側面280において、その大部分を構成するミラー58に近い部分280(1)が傾斜面で構成されている。第1支柱230b(1)の側面280はミラー58からの反射光を受けて、側面280で反射した光が迷光となって受光部64に侵入してしまう可能性がある。この側面280の大部分を傾斜面280(1)で構成することにより、側面280で反射するミラー58からの検出光の一部が迷光となって受光部64に侵入するのを抑制することができる。
【0084】
<小型化に向けた第1、第2のホルダ部材220、230の構造>
図13、
図14を参照して、投光部2を保持する第1ホルダ部材220及び受光部64を保持する第2ホルダ部材230は、その全ての角部270がラウンドした形状に成形されている。角部270をラウンドした形状にすることで、第1、第2のホルダ部材220、230を蓋部材206に設置する等の作業中にセラミック製の第1、第2のホルダ部材220、230が欠損する事故を防止できる。
【0085】
投光部2を保持する第1ホルダ部材220及び第2ホルダ部材230のベース部分220a、230aは要所要所に隆起部分272を有する。この隆起部分272によって第1ホルダ部材220及び第2ホルダ部材230の剛性を高めることができる。なお、
図12を参照して、第1ホルダ部材220の縦壁220bには、投光部52の3本の端子52aが通過する開口280が形成されている。この開口280は各端子52a毎の3つの開口であってもよい。その場合、ホルダ部の開所領域が少なくなり、より剛性を高めることができるであろう
【0086】
図10を参照して、第1のホルダ部材220は、投光部2の長さ寸法L1に比べて、ベース部分220aの長さ寸法L2が大きく設計され(L1<L2)、また、ベース部分220aは、縦壁220bよりも後方にも延長した長さ寸法L3を備えた延長部220cを備えている。ベース部分220aの長さ寸法L2を投光部2よりも大きく設計することにより、第1のホルダ部材220の安定性や剛性を高めることができることに加えて、金属製の蓋部材206と投光部2との間の沿面距離を長くすることで絶縁性を高めることができる。
【0087】
図15を参照して、投光部52を保持する第1ホルダ部材220は、縦壁220bの幅W1に比べてベース部分220aの幅W2が小さく設計されている。
図16から最も良く分かるように、第1ホルダ部材220のベース部分220aは第2ホルダ部材230側の領域Cuを切り欠いた形状を有し、この切欠き領域Cuによってベース部分220aの幅W2が狭められている。これにより、第2ホルダ部材230に関する調整可能範囲Ar(2)を第1ホルダ部材220側に拡大することができる。このことは、第1ホルダ部材220と第2ホルダ部材230との間隔を狭めることができることを意味している。つまり投光部52と受光部62との間の離間距離を小さく設計できるためヘッド部2を小型化できる。
【0088】
図14を参照して、参照符号62aはフレキシブル基板を示す。受光部64はボックス状の形状を有している。これを保持する第2ホルダ部材230の2本の支柱230bは、ボックス状の受光部64の両脇に配置されている。2本の支柱のうち、第1ホルダ部材220側の第1支柱230b(1)は、ボックス状の受光部64の前面側に位置している。他方、受光部64の他側の第2支柱230b(2)はボックス状の受光部64の側面に位置している。第1支柱230b(1)を受光部64の前面側に位置させることにより、第1ホルダ部材220と第2ホルダ部材230との間隔を狭めることができ、投光部52と受光部62との間の離間距離を小さく設計できるためヘッド部2を小型化できる。フレキシブル基板は多層フレキシブル基板であってもよい。多層フレキシブル基板によって高機能化が実現可能である。
【0089】
前述したように、搭載装置250は、2本のフィンガ250aによって第1、第2のホルダ部材220、230を蓋部材206に搭載し且つ位置決めする。
図16から最も良く分かるにように、2本のフィンガ250aは作業孔232に挿入される。
図14を参照して、2つの作業孔232のうち一方の作業孔232(1)は好ましくは長孔で構成される。これにより、第1、第2のホルダ部材220、230の製造公差を吸収することができる。なお、第2ホルダ部材230を例に説明すると、2つの作業孔232は、極力、離れているのが組み付け精度を高める上で好ましい。
図14に図示の第2ホルダ部材230においてそのベース部分230aに2つの作業孔232が形成されているが、一方の作業孔232を例えば第2の支柱230b(2)に形成してもよい。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例及び変形例を説明したが、本発明は、本体部4を所定位置、例えばDINレールに固定する分離型の変位センサに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 光学式三角測距センサ
2 三角測距センサのヘッド部
4 三角測距センサの本体部
52 投光部
54 投光レンズ
64 受光部
70 前面動作表示灯
204 三角測距センサの主筐体
206 三角測距センサの蓋部材
208 鏡筒
212 投光レンズ用のホルダ部
214 受光レンズ用のホルダ部
216 ミラー用のホルダ部
220 投光用の第1ホルダ部材(投光部52)
222 作業孔
230 受光用の第2ホルダ部材
240 スペーサ機能を備えたテープ
250 搭載装置
250a 搭載装置のフィンガ