(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】試験室
(51)【国際特許分類】
F21V 21/00 20060101AFI20241001BHJP
F21V 29/10 20150101ALI20241001BHJP
F21V 29/15 20150101ALI20241001BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20241001BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20241001BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241001BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20241001BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241001BHJP
【FI】
F21V21/00 300
F21V29/10
F21V29/15 100
F21V29/70
F21V31/00 300
F21S2/00 600
F21Y101:00 100
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020084877
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517381603
【氏名又は名称】バイス テヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】520167140
【氏名又は名称】クリマ エス・アー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーモン マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ハック クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュロッサー ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ラッシェル デニス
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ リカルド
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-226577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0093926(US,A1)
【文献】特開2019-066261(JP,A)
【文献】国際公開第2018/210726(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00331064(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00
F21V 29/10
F21V 29/15
F21V 29/70
F21V 31/00
F21S 2/00
F21Y 101/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験材料を受け入れるための、外部環境(13)の温度に対して遮蔽された、かつ、前記外部環境(13)に対して密閉可能な、試験空間(12)と、
照明モジュール(10)とを備えた試験室であって、
前記試験室内の温度は、-80℃~+300℃の範囲であり、
前記照明モジュールは前記試験空間に少なくとも部分的に配置することが可能であり、
前記試験空間は前記照明モジュールによって照らすことが可能であり、
前記照明モジュールは光源(21)とソケット(19)とを備え、
前記照明モジュールは壁ダクト(22)と導光装置(23)とを備え、
前記壁ダクトは、前記試験空間を取り囲む壁(11)の中に配置され、それにより、前記壁ダクトは前記壁の内側(24)から外側(25)へと延び、
前記導光装置は、光出口領域(33)と光入口領域(34)とを有すると共に、前記壁ダクトの中に配置され、それにより、前記導光装置は前記壁ダクトの内側端(26)から外側端(29)へと延び、
前記ソケットは前記外側端に配置され、前記光入口領域に前記光源を位置させ、前記光出口領域は前記内側端に配置され、
前記壁ダクト(22)と前記導光装置(23)との間に空隙(39)が形成され、
前記照明モジュール(10)は、前記内側端(26)に配置される密閉装置(35)を備え、
前記導光装置(23)は前記密閉装置を貫通し、前記密閉装置は前記導光装置を前記壁ダクト(22)のところで密閉しており、
前記壁ダクト(22)は空洞状の外郭からなり、一端にフランジを有する管であり、
前記壁ダクト(22)は更なる
管を含み、前記更なる管
が互いに接続され、前記管に対して望遠鏡のようにスライド移動可能に構成されている
ことを特徴とする、試験室。
【請求項2】
請求項1に記載の試験室であって、
導光装置(23)は少なくとも断面がロッド形状であり、前記導光装置は、ガラスからなることを特徴とする、試験室。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試験室であって、
前記壁ダクト(22)と前記導光装置(23)とが互いに対して同軸上であることを特徴とする、試験室。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の試験室であって、
前記光源(21)は、発光ダイオード(20)又はハロゲンランプであることを特徴とする、試験室。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の試験室であって、
前記ソケット(19)は、冷却装置(41)と電気的接続手段(42)とを有することを特徴とする、試験室。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の試験室であって、
前記試験室は、前記試験空間(12)を取り囲む温度に対して遮蔽された壁(11)を含み、前記壁の内側(24)と外側(25)との間に断熱材料(17)が配置されることを特徴とする、試験室。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の試験室であって、
前記試験室は、前記試験空間(12)内の温度を調整するための温度制御装置を備え、前記温度制御装置によって、前記試験空間(12)内の温度は、-20℃~+100℃の範囲に調整可能である、試験室。
【請求項8】
請求項7に記載の試験室であって、
前記温度制御装置は、前記試験空間(12)に配置される第1熱交換器を有する回路に、冷媒、圧縮器、凝縮器、及び膨張弁を有する冷却装置を含み、前記冷媒は、前記第1熱交換器に供給することが可能であり、前記温度制御装置は、ヒーターを有する加熱装置と、前記試験空間に配置される第2熱交換器と、を備えることを特徴とする、試験室。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の試験室であって、
前記試験空間(12)は、腐食性流体を受け入れることが可能なように設計されることを特徴とする試験室。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の試験室であって、
前記試験室は、前記試験空間内における、空気温度、空気圧、及び相対的な空気湿度を制御及び/又は規制することにより試験条件を設定する制御装置を含むことを特徴とする、試験室。
【請求項11】
試験材料を受け入れるための、外部環境(13)の温度に対して遮蔽された、かつ、外部環境(13)に対して密閉可能な、試験空間(12)を有する試験室を、改変するための方法であって、
前記試験室内の温度は、-80℃~+300℃の範囲であり、
ランプケーシングを有し、前記外部環境(13)の温度に対して遮蔽された壁(11)の内側(24)の前記試験空間内に配置されるランプにおいて、前記試験空間を取り囲むランプケーシングが除去され、
前記壁の外側(25)と前記内側との間に貫通孔(18)が形成され、
壁ダクト(22)、導光装置(23)、光源(21)およびソケット(19)を備える照明モジュール(10)が、前記壁ダクトが前記壁の前記内側から前記外側へと延びる態様で、前記貫通孔に挿入され、
光出口領域(33)と光入口領域(34)とを有する前記導光装置が前記壁ダクトの内側端(26)から外側端(29)へと延びるように前記壁ダクト内に配置され、
前記ソケットが前記外側端に配置され、
前記光源が前記光入口領域に配置され、光出口領域が前記内側端に配置され、
前記壁ダクト(22)と前記導光装置(23)との間に空隙(39)が形成され、
前記照明モジュール(10)が前記内側端(26)に配置される密閉装置(35)を備え、
前記導光装置(23)が前記密閉装置を貫通し、前記密閉装置は前記導光装置を前記壁ダクト(22)のところで密閉しており、
前記壁ダクト(22)は、空洞状の外郭からなり、一端にフランジを有する管であり、
前記壁ダクト(22)は更なる
管を含み、前記更なる管
が互いに接続され、前記管に対して望遠鏡のようにスライド移動可能に構成されている
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験室のための照明モジュールに関し、照明モジュールを有する試験室に関し、試験室を改変するための方法に関し、ここでの試験室は、外部環境に対して密閉可能な、温度に対して遮蔽された試験空間であって、試験材料を受け入れることが可能な試験空間を備え、ここでの温度は-20℃~+100℃の範囲であり、好ましくは-60℃~+180℃の範囲であり、特に好ましくは-80℃~+300℃の範囲であり、試験空間の中で生成することが可能であり、ここでの照明モジュールは、試験空間の中に少なくとも部分的に配置可能であり、試験空間は照明モジュールによって照らすことが可能であり、照明モジュールは光源及びソケットを備える。本発明は更に、このような照明モジュールを有する試験室に関する。
【背景技術】
【0002】
試験材料の温度または気候を試験する際には、密閉可能な試験空間を有する試験室が一般的に用いられ、斯かる試験室においては、所定の気候上の又は他の環境上の条件をシミュレーションすることを可能とするために、少なくとも、他の環境パラメータと共に温度も設定することができるようになっている。試験材料は、試験シークェンス又は試験期間の間、シミュレーションされる環境条件に晒される。例えば緩やかな温度変化を伴う試験シークェンスの間における試験材料の潜在的な変化を視覚的に決定することを可能とするために、試験空間内にある試験材料を照らす必要がある。試験空間内に配置され、またそれによりヒトによって試験材料を監視することを可能とする、またはヒトによって試験空間を調査することを可能とする、1つ又はそれ以上の照明モジュール又はランプは、一般的に、この照明を構成する。試験空間それ自体は、1つ又はそれ以上の窓を有していて、その窓を通じてヒトが試験空間内を見られるとしてもよい。さらに、照明は試験シークェンスの間だけ利用されるものではなくてもよく、試験空間内に試験構造をセットするときや、試験空間を掃除するときや、試験空間でその他の動作が行われるとき等にも、照明が利用されてもよい。このような試験室は、例えば、独国特許出願公開第102016204378号明細書に開示されている。
【0003】
照明モジュール又はランプは、一般的に、試験空間の壁の内側に配置されるため、試験空間は十分に照らされると考えられる。照明モジュールは、本質的には、ランプケーシングの中に光源を有するソケットからなる。ランプケーシングは、透明の庇を有し、外部環境に対してしっかりとシールできるように設計されている。これは、試験空間における試験条件に応じて必要となり得る。なぜならば、氷点よりも低い温度、100℃を超える温度、高い空気湿度若しくは霧、及び/又は、塩水のような腐食性流体が、実現され又は存在し得るからである。従来、安価でかつ容易に入手可能であることから、光源として白熱ハロゲンランプが用いられてきた。しかしながら、不利な点は、白熱ランプは試験空間内において温度変動に晒されるため、運用寿命が短いところ、電球の交換には時間が掛かってしまう点である。所謂オーブンランプのような、より長い運用寿命を有する白熱ランプは、非常に小さい光収率しか持たない。さらに、白熱ランプは、試験空間内に熱負荷を加えるため、試験空間を冷却する際には、冷却回路の温度制御装置においてより高い性能が求められることにより、熱負荷分が埋め合わされることとなる。そうではあるが、代替的な光源として発光ダイオードを用いることにも、問題がある。何故ならば、発光ダイオードは、80℃までの温度でしか、確実に使用することはできないからである。これよりも高い温度で使用した場合、一般的には、発光ダイオードの運用寿命が大幅に短くなってしまう結果がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、本発明の目的は、試験空間を確実に照らすことが可能な、照明モジュールと、照明モジュールを有する試験室と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する照明モジュール、請求項9の特徴を有する試験室、及び請求項15の特徴を有する試験室を改変する方法により、達成される。
【0006】
試験室のための本発明に係る照明モジュールは、光源とソケットとを含み、試験室は、試験材料を受け入れるための、温度に対して遮蔽され、かつ、外部環境に対して密閉可能な試験室を含み、温度は、-20℃~+100℃の範囲、好ましくは-60℃~+180℃の範囲、特に好ましくは-80℃~+300℃の範囲であり、試験空間内において生成可能であり、照明モジュールは試験空間に少なくとも部分的に配置することが可能であり、試験空間は照明モジュールによって照らすことが可能であり、照明モジュールは壁ダクトと導光装置とを備え、壁ダクトは、試験空間を取り囲む壁内に配置可能であり、それにより、壁ダクトは壁の内側から外側へと延び、導光装置は光出口領域と光入口領域とを有し、壁ダクト内に配置されることにより導光装置は壁ダクトの内側端から外側端へと延び,ソケットは外側端に配置され、光源は光入口領域に配置され、光出口領域は内側端に配置される。
【0007】
その結果、本発明に係る照明モジュールにおいては、最新技術として現在知られているのと同様に試験空間の壁の内側に配置されるのではなく、壁を貫通している。これは、温度に対して遮蔽された壁の内側と外側とを接続する壁ダクトによって、実現可能とされる。壁ダクトの内部には、導光装置が配置され、この導光装置の光入口領域に光源が位置する。光源は、ソケットによって光入口領域に保持され又は配置され、ソケットそれ自体は壁ダクトの外側端に固定される。光源の光又は流束は、一緒になって、光入口領域を経由して導光装置へと入り、光出口流域を通ることにより導光装置から出て行く。光出口領域は壁ダクトの内側端に配置されるため、試験空間は出て行く光によって照らされる。
【0008】
光源が壁ダクトの外側端の領域に配置されていることが、必要である。光源が導光装置を介して試験空間から離れて配置されており、また、光源が試験空間の外側に配置されているため、光源は高温に晒されることはなく、或いは温度変動に晒されることはない。それ故に照明モジュールを具現化するために、大体において全ての種類の光源を用いることが可能である。さらに、光源は試験空間内において熱負荷を誘発することがなく、そのため、熱効率に関して有利な、試験室の冷却装置の運用が可能となる。同時に、比較的高流量の光を導光装置へと一緒に導入し、試験空間をより明るく照らすことも可能となる。光源はもはや過酷な温度に晒されることはないので、光源の運用寿命が著しく長くなる。同時に、試験室の操作を行っているときに、光源を容易に交換することができる。ランプケーシングはもはや試験空間に配置される必要はないので、試験空間の体積を拡大することができる。
【0009】
壁ダクトが空洞状の外郭で、好ましくは管状に形成されていれば、有利である。管は、円形であっても、長方形であっても、正方形であってもよい。そうすれば、管は、壁の開口に容易に挿入することができる。この開口は、管の外寸と一致する。さらに、管は、一端に、好ましくは内側端に、フランジを有することが意図される。このフランジにより、管は、壁の側部又は内側部に対して、密着した状態となるように接触することとなる。壁ダクトは更なる管又はフランジを含むこととしてもよく、そのいずれもが前記管に接続され、前記管上に望遠鏡のようにスライドするように置換え可能であるように実現される。さらに、上記の2つの管又は上記管と、フランジとは、ネジ接続によりぴったり合う態様で互いに螺合されることとしてもよく、及び/又は、互いに接着されることにより接続されることとしてもよい。このようにして、壁ダクトは容易に、壁の厚さとなるように調整される。さらに、更なる管にフランジが形成されるとしてもよく、それによりフランジが壁の外側部に対して密着した状態で接触するとしてもよい。
【0010】
導光装置は少なくとも断面においてロッド形状であってもよく、導光装置はガラスから成っていてもよく、好ましくはホウケイ酸ガラスから成っていてもよい。導光装置は、ガラスでできたモノリス体で構成されていてもよく、導光装置にはミラーやプリズムや、その他の好適な光学素子が含まれているとしてもよい。ホウケイ酸ガラスは、-270℃~+500℃の温度範囲で用いることができ、湿度に対して耐性を有する。また、ホウケイ酸ガラスは、例えば酸性溶液やアルカリ溶液のような高腐食性の媒体に対して耐性を有する。
【0011】
壁ダクト及び導光装置は、互いに対して同軸上に配置されるとしてもよい。照明モジュールは、その縦軸に対して本質的に回転対称に設計することができる。照明モジュールを生産し搭載することが、著しく容易となる。
【0012】
壁ダクトと導光装置との間に、空隙が形成される。この場合、導光装置は熱的に壁ダクトから分離している。例えば、導光装置はスペーサと共に壁ダクト内に配置されていて、それにより空隙が形成されるとしてもよい。スペーサは、例えば環状ディスクの態様で実現されるとしてもよい。
【0013】
照明モジュールは、内側端に配置される密閉手段を含んでいても良く、導光装置は密閉手段を貫通することができ、密閉手段は導光装置を壁ダクトのところで密閉することができる。密閉手段は、例えばプラグのようなもので実現されてもよく、プラグは内側端において壁ダクトに挿入される。導光装置は、プラグに、簡素な孔を介して挿入されてもよい。導光装置は、本質的には、壁ダクトの内側端から僅かに萌え出ていてもよいし、あるいは内側端を超えて所定量だけ延び出ていてもよい。密閉手段は、例えば、シリコーン又はそれとは異なる耐熱性材料から成っていてもよい。密閉手段をプラグとして実現することで、十分な密閉効果を達成しつつ、同時に、壁ダクト、密閉手段、及び導光装置の熱膨張率の違いを、プラグの弾性により埋め合わせることが可能となる。
【0014】
光源は、発光ダイオード又はハロゲンランプとすることができる。発光ダイオードは、電力消費が比較的少なく、長い運用寿命を有する。加えて、発光ダイオードによれば、光の色や、流束や、演色を、要求に応じて調整することが可能となる。発光ダイオードの電圧源は、全体的に発光ダイオードに接続される。このことは、照明モジュールを操作する際に外部のネットワークが必要ではないことを意味する。発光ダイオードは、標準化されたベースを有し、ベースは標準化されたソケットに挿入される、とすることができる。形状に関しては、発光ダイオード又はそのように実現される光源は、結果としては、従来の光源と共通性を有する。これに代えて、ソケットを形成するプリント配線板に、発光ダイオードが配置されるとしてもよい。
【0015】
ソケットは、冷却装置と電気的接続手段とを有するとしてもよい。冷却装置は、外部環境に熱を消散するためのフィンが形成された冷却器具としてもよい。電気的接続手段は、ソケットに接続される給電線としてもよい。
【0016】
空調のための本発明に係る試験室は、試験材料を受け入れるための、温度に対して遮蔽されかつ外部環境に対して密閉可能な、試験空間を含み、また、本発明に係る少なくとも1つの照明モジュールを含む。照明モジュールは、試験空間を取り囲む壁の内側部から僅かに萌え出ているのみなので、試験空間の内側に邪魔となるエッジが生じることはない。このように、ランプケーシングの存在により、試験空間が不必要に縮小化されることがない。試験空間内には発火源がないため、試験室は、優先日において有効な欧州連合のATEX Directive 2014/34/EU に準拠するように設計することができる。
【0017】
試験室は、熱に対して遮蔽性を有し、試験空間内を取り囲む、壁を含む。それぞれの壁の内側と外側との間に、断熱材料を配置することができる。例えば、壁の内側は、ステンレス鋼板から成るものとしてもよく、壁の外側との間に断熱材料を配置することが可能である。壁の外側も、ステンレス鋼板から成るものとしてもよい。結果として、断熱材料は、本質的には壁全体に詰め込まれる。壁の厚さは、5cmよりも大きいとしてもよく、好ましくは10cmとすることができ、特に好ましくは10cm~20cm又はそれ以上であるとしてもよい。
【0018】
試験室は、試験空間の温度を制御するための温度制御装置を含んでいてもよく、温度は-20℃~+100℃の範囲であり、好ましくは-60℃~+180℃の範囲であり、特に好ましくは-80℃~+300℃の範囲であり、温度制御装置によって試験空間内に生成することが可能である。このように、試験室によって、試験空間の温度をこの範囲に設定することが可能であり、また、例えば、試験シークェンスの範囲内で漸次的な温度変化を実行することが可能である。
【0019】
温度制御装置は、試験空間に配置される第1熱交換器を有する回路に、冷媒、圧縮器、凝縮器、及び膨張弁を有する冷却装置を含み、冷媒は第1熱交換器に供給することが可能であり、温度調整装置は、ヒーターを有する加熱装置と、試験空間に配置される第2熱交換器と、を備える。このため、試験空間を第1熱交換器によって冷却し、また、試験空間を第2熱交換器によって加熱することが可能である。第2熱交換器は、電熱によって実現することが可能である。
【0020】
さらに、試験空間は、腐食性流体を受け入れるように設計されてもよい。腐食性流体は、例えば、酸性溶液又はアルカリ性溶液であってもよい。そのため、試験空間の壁の内側は少なくとも腐食性流体に対して耐性を有するように設計されている必要がある。或いは、壁の内側は、例えば、対応するコーティングによって、腐食に対し耐性を有するとしてもよい。
【0021】
試験室は、試験空間内における、空気温度、空気圧、及び相対的な空気湿度を制御及び/又は規制することにより試験条件を設定する制御装置を含むとしてもよい。制御装置を用いることにより、ひいては試験シークェンスを制御することが可能となる。同時に、照明モジュールは、制御装置を介して、ON・OFFすることが可能となる。
【0022】
本発明に係る、試験材料を受け入れるための、温度に対して遮蔽された、かつ、外部環境に対して密閉可能な、試験空間を有する試験室を、改変するための方法においては、ランプケーシングを有し、試験室の温度に対して遮蔽された壁の内側の試験空間内に配置されるランプであって、試験空間を取り囲むランプが、除去され、壁の外側と内側との間に貫通孔が形成され、壁ダクト、導光装置、光源およびソケットを備える照明モジュールが、壁ダクトが壁の内側から外側へと延びる態様で、貫通孔に挿入され、光出口領域と光入口領域とを有する導光装置であって、導光装置が壁ダクトの内側端から外側端へと延びるように壁ダクト内に配置され、ソケットが外側端に配置され、光源が光入口領域に配置され、光出口領域が内側端に配置される。
【0023】
本発明に係る照明モジュール、及び、本発明に係る試験室の、有利な点についての説明は、本発明に係る方法における有利な点としても、参照される。方法についての更なる有利な実施形態に関しては、装置クレーム1の従属項の特徴についての記述から派生させて導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、試験室の壁11(断面で示している)内における照明モジュール10の縦断面図である(試験室の壁11以外の部分は見えていない)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、試験室の壁11(断面で示している)内における照明モジュール10の縦断面図である(試験室の壁11以外の部分は見えていない)。壁11が試験空間12を取り囲み、試験空間12を外部環境13に対してしっかりと密閉する。壁11は、本質的に互いに対して平行に配置されるシート14,15により構成され、シート14,15の間にはギャップ16が形成され、これには温度を遮断するための断熱材料17が詰められている。貫通孔18が壁11に形成され、そこに照明モジュール10が挿入されている。照明モジュール10は、発光ダイオード20として実現される光源21を有するソケット19と、壁ダクト22と、導光装置23と、を備える。壁ダクト22は、壁11の内側24から外側25へと延びている。特に内側24、より正確には、壁ダクト22の管27の内側端26に、フランジ28が形成され、このフランジ28が内側24に強固に接触している。壁ダクト22の外側端29においては、壁ダクト22の環状フランジ30が、外側25に固定されている。管27がフランジ30内において望遠鏡のように動くことが可能であるため、壁ダクト22を壁11の厚さにまで調製することができる。管27はフランジ30にネジ(不図示)を介して接続されているとすることができ、即ち、ネジが伸びることにより、及び/又は、それらに接着することにより、接続することができる。
【0026】
導光装置23は、この例ではガラスロッド31として実現され、これは壁ダクト22内に配置される。グラスロッド31は、照明モジュール10の縦軸32の方向において、管27又はフランジ30に対して同軸上に、配置されて、光出口領域33と、光入口領域34とを、具現化する。さらに、照明モジュール10は、プラグ36として実現される密閉装置10を備える。ガラスロッド31はプラグ36を貫通するので、光出口領域33は試験空間12において内側端26に接触する。さらに、ガラスロッド31は、環状ディスク37,38によって、壁ダクト22内に保持されている。こうして、壁ダクト22とガラスロッド31との間に、空隙39が形成されている。ソケット19は外側端29に配置され、発光ダイオード20を受け止めている。ソケット19の冷却装置41の冷却フィン40がソケット19に形成され、ケーブル42が発光ダイオード20へと案内される。発光ダイオード20から放たれた光は、ガラスロッド31の光入口領域34へと入り、光出口領域33から出て試験空間12へと到達し、それにより試験空間12が照らされる。発光ダイオード20から放たれた熱は、冷却装置41を介して、外部環境13へと消散させることができる。発光ダイオード20は、ガラスロッド31を介して、試験空間12から遠く離れて配置されており、かつ、発光ダイオード20は、空隙39及び断熱材料17があるために、現在の温度や環境条件の影響をそれ程には著しく受けないため、ひいては、発光ダイオード20を比較的長い運用寿命で利用することが可能となる。