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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】画像選択表示システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/93 20060101AFI20241001BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20241001BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241001BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241001BHJP
   G09G 5/12 20060101ALI20241001BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20241001BHJP
   A63F 13/211 20140101ALI20241001BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20241001BHJP
   H04N 5/783 20060101ALI20241001BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241001BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241001BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20241001BHJP
【FI】
H04N5/93
G09G5/36 400
G09G5/37 310
G09G5/00 530T
G09G5/00 510X
G09G5/00 555D
G09G5/00 510Q
G09G5/12
G09G5/00 550H
G09G5/00 510M
G09G5/00 520W
G09G5/00 550C
G09G5/14 A
A63F13/211
A63F13/65
H04N5/783
H04N5/66 D
G06F3/01 570
G06F3/0484
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020097984
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021190969
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】515178199
【氏名又は名称】株式会社風神企画
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】茆原 大志
(72)【発明者】
【氏名】原 伸生
(72)【発明者】
【氏名】中山 誠基
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-272945(JP,A)
【文献】特開2012-257051(JP,A)
【文献】特開2017-011446(JP,A)
【文献】特開2019-051360(JP,A)
【文献】特開2019-057845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/91 - 5/956
H04N 5/66 - 5/74
H04N 5/782- 5/784
G09G 5/00 - 5/40
A63F 13/00-13/98
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置(100)に縦横のアスペクト比が異なる動画または静止画からなる画像データを表示する画像選択表示システム(1)が、
横のアスペクト比が大きい左右方向に横長の第一画像データ(12)の出力を行う第一画像データ出力手段(10)と、縦のアスペクト比の大きい上下方向に縦長の第二画像データ(22)の出力を行う第二画像データ出力手段(20)と、前記第一画像データおよび\または第二画像データに付随する音声データ(32)を再生する音声再生手段(30)と、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段の何れかから送信された画像データ(12,22)を表示する表示画面(40)と、前記第一画像データ出力手段および前記第二画像データ出力手段から送信される画像データの前記表示画面への表示の選択を行う画像データ選択手段(50)と、前記第一画像データ出力手段および前記第二画像データ出力手段から出力された画像の同期をとる同期手段(60)と、からなり、
前記画像データ選択手段(50)は、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段から出力される何れかの画像データ(12,22)を選択して前記表示画面(40)に送信することにより前記表示画面に表示するとともに、
前記同期手段(60)は、前記第一画像データと前記第二画像データとの出力タイミングの誤差を検出する誤差検出手段(62)と、前記第一画像データと前記第二画像データの出力タイミングの誤差を測定する誤差測定手段(64)と、検出し測定された前記第一画像データと前記第二画像データの出力タイミングの誤差を補正する補正手段(66)と、からなり、
前記誤差検出手段(62)は、前記画像データ選択手段(50)が前記第一画像データ(12)または前記第二画像データ(22)の何れかより選択したアクティブな画像データと、選択されなかった非アクティブな画像データとを対比して両者の間の出力タイミングの誤差を検出するとともに、前記誤差測定手段(64)は、前記誤差の量を測定した上で一定量の誤差を測定した場合に誤差の発生の認定を行い、前記補正手段(66)は、前記第一画像データ出力手段(10)または前記第二画像データ出力手段(20)に対して、発生した画像データの誤差に応じて前記選択されなかった非アクティブな画像データの出力タイミングを前記選択されたアクティブな画像データに合わせる補正をすることを特徴とする画像選択表示システム。
【請求項2】
前記補正手段(66)は、画像データが動画像である場合には、非アクティブな画像データを、コマ送り、コマ戻し、コマ指定、一時停止のうちの何れか一または複数の処理をすることにより、非アクティブな画像データの出力タイミングを前記選択されたアクティブな画像データに合わせる補正をすることを特徴とする請求項1に記載の画像選択表示システム。
【請求項3】
前記画像データ選択手段(50)は、別の画像データを選択する画像データ選択信号(120)を受信した際には、前記第一画像データ出力手段(10)または前記第二画像データ出力手段(20)から出力される新たに選択された画像データを、現在選択されている画像データに替えて前記表示画面(40)に送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像選択表示システム。
【請求項4】
前記画像表示装置(100)は、スマートフォンまたは携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像選択表示システム。
【請求項5】
前記画像データ選択手段(50)は、スマートフォンまたは携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末の角度を検知する角度計測センサー(52)からなるとともに、
前記画像データ選択信号(120)は、前記角度計測センサー(52)によるスマートフォン本体または携帯型ゲーム機本体またはタブレット型携帯端末本体の設置角度の変化を示す信号からなり、
前記画像データ選択手段(50)が、前記画像表示装置(100)が横向きであること示す画像データ選択信号(120)を検知した場合には、第一画像データ出力手段(10)が出力する画像データを選択して前記表示画面(40)に送信・表示するとともに、前記画像データ選択手段(50)が、前記画像表示装置(100)が縦向きであること示す画像データ選択信号(120)を検知した場合には、第二画像データ出力手段(20)が出力する画像データを選択して前記表示画面(40)に送信・表示することを特徴とする請求項3に記載の画像選択表示システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦横のアスペクト比が異なる表示画面に動画像または静止画像からなる画像データを表示するための画像選択再生システムに関し、特に、表示画面を縦向きまたは横向きに切り替えた際に、それぞれの画像が相互に関連する別の画像データを切り替えて表示画面に表示させることで視覚的効果を高めることを可能とするとともに、画像データ同士の表示/再生タイミングの同期を適確にとることでユーザの快適性を高めることを可能とした画像選択再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スマートフォンやタブレット端末、携帯型ゲーム機のようなポータブルタイプの機器を用いて映像やゲームなどを楽しむために、動画・静止画等からなる画像の表示方法に趣向を凝らすための技術が開発されており、ゲームにストーリー性を持たせたり、映像の臨場感を高めることを可能とした、映像の表示手法に工夫を凝らすための様々な技術が開発され利用されている。特に、スマートフォンやタブレット端末、携帯型ゲーム機のような携帯可能な電子機器を用いて映像やゲームを楽しむ機会が多い昨今において、表示領域が小さい画面で最大限に興趣効果を高めることが要求されている。
【0003】
通常、ストーリー性のある画像やゲーム等をユーザが楽しむ場合、ある特定の視点から見た映像が一方的に画面に表示され、それをユーザが見て楽しんでいる。しかしながら、ユーザは自分が見た設定された画像におけるストーリーしか見ることができず、その裏で進行する別のストーリーがあったとしてもそれを知ることはできない。ユーザが用意された同時進行する他のストーリーを任意のタイミングで見ることができれば、画像を見るたびに新たな発見があったり、別のストーリーを楽しむことができたり、楽しみの範囲が広がる。
【0004】
また、同一の画像であったとしても、縦横のアスペクト比の異なる画面によると、表示されない領域が発生し、その部分をユーザは見ることができない。しかしながら、表示されない領域に隠されたメッセージが、そのストーリーを理解したりゲームを解く鍵となる領域が存在することがあり、そのポイントが見えるように画像を切り替えることができるような構成とすると、画像の楽しみ方が広がる。
【0005】
例えば、ゲーム中に表示される画像の切り替えに関する技術として、特開2019-51360号公報が存在する。ここでは、画面に表示する内容を制御する技術であって、傾きセンサの検出結果に応じて、仮想空間に配置される仮想カメラの視界のアスペクト比を、縦長の第1アスペクト比と横長の第2アスペクト比との間で切り替えるとともに、仮想カメラが第1アスペクト比で撮影する第1撮影画像と第2アスペクト比で撮影する第2撮影画像中、予め定められた条件を満たす位置に部品を重ね合わせた画像をディスプレイに表示するゲームプログラムに関する技術が開示されている。この構成により、表示態様が切り替わった場合でも、ユーザに違和感を抱かせないことが可能になる旨示唆されている。
【0006】
確かにこの技術によれば、縦横アスペクト比の異なる画像の表示態様を切り替えることが可能となるが、同一仮想空間内における撮影位置の制御を行うのみでは、例えば同一時間で異なる場所の画像を同時に再生等する場合に、時間的ズレが生じるとユーザが違和感を覚えてしまうという大きな問題点があった。
【0007】
また、特開2019-140568号公報では、パノラマ画像を取得し、パノラマ画像に基づいて動画を生成する画像処理装置に関する技術であって、動画生成手段が、パノラマ画像をトリミングする際のトリミング領域の位置を順次移動してトリミングしたうえで、複数のトリミング画像を順次再生する動画を生成するとともに、パノラマ画像のアスペクト比または所定方向のサイズに応じて、パノラマ画像を所定のアスペクト比でトリミングするか、パノラマ画像を所定のアスペクト比と異なるアスペクト比でトリミングするかを切り替える技術が開示されている。この技術により、状況に応じた動画の生成を行うことで見栄えのよい動画を生成することが可能となる旨が開示されている。
【0008】
この技術によれば、確かに、任意のタイミングで画面に表示する画像を効率よく他の画像に切り替えることが可能となり、切替タイミングのズレに起因するユーザの違和感は解消されることとなるとも考えられるが、ベースとなる画像が異なる場合に、ズレを防止することが困難という問題点があった。さらに、画像の切替タイミングをユーザに委ねた場合にも、切替を繰り返すうちに画像間の表示タイミングのズレが生じかねないという大きな問題点があり、ユーザが好きなタイミングで画像を切り替えて楽しむことが難しい構成であった。
【0009】
画像の表示方法に趣向を凝らし、映像の臨場感を高めることは、特に、スマートフォンやタブレット端末、携帯型ゲーム機などを用いて映像やゲームを楽しむ機会が多い現在において強く要求されている。そこで、縦横のアスペクト比が異なる別個の画像データの表示を相互に切り替えることを可能して、一方の画面では認識し得なかった情報を画像を切り換えることにより可視化して、興趣効果を高めるとともに、画像間において同期をとって切替時の表示タイミングのズレを防止することを可能とした画像選択表示システムの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2019-51360号公報
【文献】特開2019-140568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題を解決するために、縦横のアスペクト比が異なる表示画面に動画像または静止画像からなる画像データを表示するための画像選択再生システムであって、特に、表示画面を縦向きまたは横向きに切り替えた際に、それぞれ内容が相互に関連する別の画像データを切り替えて表示画面に表示させることで視覚的効果や興趣効果を高めるとともに、画像データ同士の表示/再生タイミングの同期を適確にとることでユーザの違和感を排除し、快適性を高めることを可能とした画像選択再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために本発明に係る画像選択表示システムは、画像表示装置に縦横のアスペクト比が異なる動画または静止画からなる画像データを表示する画像選択表示システムが、横のアスペクト比が大きい左右方向に横長の第一画像データの出力を行う第一画像データ出力手段と、縦のアスペクト比の大きい上下方向に縦長の第二画像データの出力を行う第二画像データ出力手段と、前記第一画像データおよび\または第二画像データに付随する音声データを再生する音声再生手段と、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段の何れかから送信された画像データを表示する表示画面と、前記第一画像データ出力手段および前記第二画像データ出力手段から送信される画像データの前記表示画面への表示の選択を行う画像データ選択手段と、前記第一画像データ出力手段および前記第二画像データ出力手段から出力された画像の同期をとる同期手段と、からなり、前記画像データ選択手段は、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段から出力される何れかの画像データを選択して前記表示画面に送信することにより前記表示画面に表示するとともに、前記同期手段は、前記第一画像データと前記第二画像データとの出力タイミングの誤差を検出する誤差検出手段と、前記第一画像データと前記第二画像データの出力タイミングの誤差を測定する誤差測定手段と、検出し測定された前記第一画像データと前記第二画像データの出力タイミングの誤差を補正する補正手段と、からなる構成である。
【0013】
また、前記誤差検出手段は、前記画像データ選択手段が前記第一画像データまたは前記第二画像データの何れかより選択したアクティブな画像データと、選択されなかった非アクティブな画像データとを対比して両者の間の出力タイミングの誤差を検出するとともに、前記誤差測定手段は、前記誤差の量を測定した上で一定量の誤差を測定した場合に誤差の発生の認定を行い、前記補正手段は、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段に対して、発生した画像データの誤差に応じて前記選択されなかった非アクティブな画像データの出力タイミングを前記選択されたアクティブな画像データに合わせる補正をする構成である。
【0014】
また、前記補正手段は、画像データが動画像である場合には、非アクティブな画像データを、コマ送り、コマ戻し、コマ指定、一時停止のうちの何れか一または複数の処理をすることにより、非アクティブな画像データの出力タイミングを前記選択されたアクティブな画像データに合わせる補正をする構成である。
【0015】
また、前記画像データ選択手段は、別の画像データを選択する画像データ選択信号を受信した際には、前記第一画像データ出力手段または前記第二画像データ出力手段から出力される新たに選択された画像データを、現在選択されている画像データに替えて前記表示画面に送信する構成である。
また、前記画像表示装置は、スマートフォンまたは携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末からなる構成である。
【0016】
更に、前記画像データ選択手段は、スマートフォンまたは携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末の角度を検知する角度計測センサーからなるとともに、前記画像データ選択信号は、前記角度計測センサーによるスマートフォン本体または携帯型ゲーム機本体またはタブレット型携帯端末本体の設置角度の変化を示す信号からなり、前記画像データ選択手段が、前記画像表示装置が横向きであること示す画像データ選択信号を検知した場合には、第一画像データ出力手段が出力する画像データを選択して前記表示画面に送信・表示するとともに、前記画像データ選択手段が、前記画像表示装置が縦向きであること示す画像データ選択信号を検知した場合には、第二画像データ出力手段が出力する画像データを選択して前記表示画面に送信・表示する構成でもある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.第一画像データ出力手段と第二画像データ出力手段を設けたため、縦横アスペクト比の異なる画像を所定の条件で選択して表示することができる。また、画像データ選択手段が第一画像データ出力手段と第二画像データ出力手段の何れが出力される画像であるかを適宜に選択し、画像を素早く切り替えることが可能となる。また、同期手段を設けたため、第一画像データ出力手段と第二画像データ出力手段がそれぞれ出力する画像の同期をとることが可能となり、タスク実行の遅延等を起因とする画像表示のズレを防止し、補正することが可能となる。
2.同期手段として、誤差検出手段と誤差測定手段と補正手段とを設ける構成としたため、検出したズレの程度を正確に算出したうえで補正して同期をとることが可能となる。
【0018】
3.補正手段が非アクティブな画像データをコマ送りまたはコマ戻しまたはコマ指定または一時停止によって補正して同期をとる構成としたため、ユーザがズレの発生を認識することがなくなり、快適に画像を切り替えて楽しむことが可能となる。
4.画像データ選択手段が画像データ選択信号を受信した際に画像を切り替える処理を行う構成としたため、ユーザが任意のタイミングで表示される画像を切り替えることが可能となる。
【0019】
5.画像表示装置をスマートフォンまたは携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末としたため、コンパクトかつ縦横のアスペクト比が異なる表示画面に画像を切り替えて表示させることが可能となる。
【0020】
6.画像データ選択手段を、角度を検知する角度計測センサーとしたため、画像表示装置の設置角度が変更されることにより画像データ選択信号を自動的に発生させることができ、ユーザが任意のタイミングで画像表示装置を回転等させることで表示される画像を選択し切り替えて表示画面に送信・表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像選択表示システムを、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1aは、本発明に係る画像選択表示システムの概略図であり、図1bは、記憶手段を外部に配置した画像選択表示システムの概略図である。図2aは、画像表示装置に画像選択表示システムを組み込んだ状態の概略図であり、図2bは、記憶手段を外部に配置した画像表示装置の概略図である。図3aは、同期手段の動作の例を示す図であり、図3bは、同期処理を示す図である。図4aは、横長画面時の画像選択表示システムの実施例を示す図であり、図4bは、縦長画面時の画像選択表示システムの実施例を示す図である。
【0022】
本発明に係る画像選択表示システム1は、スマートフォン、携帯型ゲーム機またはタブレット型携帯端末などのポータブル機器からなる画像表示装置100に組み込まれるシステムであって、図1aまたは図1bに示すように、第一画像データ出力手段10と、第二画像データ出力手段20と、音声再生手段30と、表示画面40と、画像データ選択手段50と、同期手段60と、からなり、表示画面40を装備する画像表示装置100の視聴時の縦横の角度変化に応じて、表示画面40に表示する画像データを選択して表示することで、視覚的効果、興趣効果を高めるとともに、同期手段60が画像データ同士の表示/再生タイミングの同期を適確にとることでユーザの違和感を排除し快適性を高めることを可能とした、画像を選択して表示するためのシステムである。
【0023】
なお、本発明に係る画像選択表示システム1が表示画面40に表示する画像データは、主に動画像からなるが静止画像も含むものもあり、縦横のアスペクト比の異なる動画像(または静止画像)を切り替えながら表示画面40に表示する構成である。同期手段60は、動画像(または静止画像)の表示タイミングの調整を行う構成である。表示切替の対象となる画像データは、何れもが動画像(または静止画像)であってもよいし、何れかが動画像で他が静止画のように動画像と静止画像とを混在させる構成としてもよい。また、画像の表示とは、本実施例では動画像の再生を含むことは勿論である。
【0024】
また、本実施例において、アクティブな画像データとは、画像データ選択手段50によって選択され表示画面40に現在表示(再生)されている画像データを指し、非アクティブな画像データとは、逆に画像データ選択手段50によって選択されておらず、表示画面40に表示されずにバックグラウンドで表示(再生)処理が進む画像データのことを指す。
【0025】
画像選択表示システム1を搭載する画像表示装置100は表示画面40を有する構成である。本実施例では、表示画面40は縦横のアスペクト比が異なる構成であり、画像選択表示システム1は、図1aおよび図2aに示すように、画像表示装置100の表示画面40に動画像(または静止画像)からなる画像データを表示させる構成である。また、本実施例では、画像表示装置100は、記憶手段70を装備しており、演算装置(図示せず)が記憶手段70に記憶されている画像データや音声データ32などの各種データを読み出して演算処理する構成である。なお、この構成に限定されることはなく、例えば、図1bおよび図2bに示すように、記憶手段70を遠隔地に置き、無線通信または有線通信により、ネットワーク網や通信機器(中継機器を含む)を介して、記憶手段70に記憶されている画像データや音声データ32などの各種データを、画像表示装置100に送信して、画像表示装置100に設けた中継手段80を経由して、演算装置が演算処理し表示する構成や、複数の撮影装置(図示せず)によって撮影された動画像をネットワーク網を介して画像表示装置100に生配信する構成とすることも可能である。
【0026】
画像表示装置100は、本実施例では、図2aまたは図2bに示すように、スマートフォン110aや携帯型ゲーム機110bやタブレット型携帯端末110cからなる構成となっているが、これに限定されることはなく、縦横のアスペクト比が異なる表示画面40を有するポータブル電子機器等を適宜選択して使用することが可能である。
【0027】
第一画像データ出力手段10は、第一画像データ12の出力を行うための手段である。第一画像データ12は、図4aに示すように、横のアスペクト比が大きい左右方向に拡幅した横長の長方形からなる表示領域に対応した形の画像データであり、図1aまたは図1bに示すように、第一画像データ出力手段10が第一画像データ12を読み取って表示画面40に表示されるように出力する。
【0028】
第一画像データ12は、横のアスペクト比が大きい画像データを用意し、そのまま第一画像データ出力手段10が出力して表示画面40に表示する構成としてもよいし、表示画面40が表示可能な表示サイズを超える大きめの元画像データを用意し、そこから表示画面40に表示可能な任意の個所を第一画像データ出力手段10が切り取って第一画像データ12として出力したうえで、表示画面40に表示する構成としてもよい。
【0029】
第二画像データ出力手段20は、第二画像データ22の出力を行うための手段である。第二画像データ22は、図4bに示すように、縦のアスペクト比の大きい上下方向に拡幅した縦長の長方形からなる表示領域に対応した形の画像データであり、図1aまたは図1bに示すように、第二画像データ出力手段20が第二画像データ22を読み取って表示画面40に表示されるように出力する。
【0030】
第二画像データ22は、縦のアスペクト比が大きい画像データを用意し、そのまま第二画像データ出力手段20が出力して表示画面40に表示する構成としてもよいし、表示画面40が表示可能な表示サイズを超える大きめの元画像データを用意し、そこから表示画面40に表示可能な任意の個所を第二画像データ出力手段20が切り取って第二画像データ22として出力したうえで、表示画面40に表示する構成としてもよい。
【0031】
本実施例では、第一画像データ12および第二画像データ22はMPEG4やMotion Jpeg等の動画ファイル、あるいはJPEG等の画像ファイルからなり、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20はMPEG4やMotion Jpeg等の動画ファイルを再生可能なソフトウェア(モジュール)によって構成され、あるいは画像ファイルを表示可能なソフトウェアによって構成されている。また、各ファイルは各々画像表示装置100内や遠隔地に配置された記憶手段70に保存されており、画像表示装置100の演算装置(図示せず)によって呼び出されて再生表示処理が行われる構成となっているが、この構成に限定されることはなく、第一画像データ12および第二画像データ22は他のデータ形式でもよいし、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20による第一画像データ12および第二画像データ22の表示は独立したアプリケーションまたは独立した装置で行う構成としてもよい。また、複数の撮影装置(図示せず)によって撮影された動画像を、ネットワーク網を介して画像表示装置100に生配信する構成とすることも可能である。
【0032】
音声再生手段30は、第一画像データ12および/または第二画像データ22に付随する音声データ32を再生するための手段であり、本実施例では、図1aに示すように、記憶手段70に記憶された音声データ32を呼び出して再生する構成となっている。なお、音声データ32は、図1bに示すように、遠隔地に配置された記憶手段70に保存して呼び出す構成とすることも可能であり、また、複数の撮影装置(図示せず)によって撮影された動画像に付随する音声を、ネットワークを介して画像表示装置100に生配信する構成とすることも可能である。
【0033】
音声データ32は、本実施例では、第一画像データ12および第二画像データ22とは別ファイルとして管理されており、第一画像データ12および第二画像データ22が動画像である場合、第一画像データ12または第二画像データ22が表示再生される際に、同時に音声再生手段30が稼働し、動画像ファイルとは別に設けられる音声ファイルを再生する構成であり、第一画像データ12または第二画像データ22が静止画像である場合には、画像データが表示される際に静止画像ファイルとは別に設けられる音声ファイルを音声再生手段30が再生処理する構成である。なお、この構成に限らず、音声データ32は、第一画像データ12および第二画像データ22が動画像である場合、動画ファイルに含まれる音声データを音声再生手段30が再生処理する構成とすることも可能である。
【0034】
表示画面40は、第一画像データ出力手段10または第二画像データ出力手段20の何れかが出力して送信された画像データ(第一画像データ12または第二画像データ22)を表示するための出力装置であり、図2aまたは図2bに示すように、画面の縦横比が異なるスマートフォン等に装備される表示装置からなる構成である。表示画面40は、本実施例では、画像表示装置100に組み込まれた液晶画面からなるが、この構成に限定されることはなく、機器に追加接続した画像表示専用の機器であってもよい。
【0035】
画像データ選択手段50は、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20から表示画面40へ向けて出力された2つの画像データを受信し、一定の条件に合致した何れか一つの画像データを選択したうえで表示画面40に送信するための手段である。第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20は、図1aまたは図1bに示すように、それぞれ第一画像データ12および第二画像データ22を、画像表示装置100内や遠隔地に配置された記憶手段70から読み出して画像データ選択手段50に渡す。その後、画像データ選択手段50が何れの画像データを表示画面40に表示させるかを選択処理して、アクティブな画像データとして表示画面40に送信し、表示画面40が画像データを表示する。
【0036】
同期手段60は、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20から出力された画像データの出力の同期をとる手段である。ユーザが画像選択表示システム1を使用する際において、例えば長時間画像の切り替えを繰り返しながら画像を楽しんでいる際、各種タスクの遅延や実行エラーの発生により、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20の出力タイミングにズレが生じることがある。この状態で、画像データの切替を繰り替えすと、画像間の出力タイミングのズレをユーザが認識し、違和感を覚え、快適性を失うこととなる。同期手段60によって、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20の出力タイミングの同期をとることにより、画像データ同士の表示タイミングの同期を適確にとることができ、視聴するユーザの快適性を高めることが可能となった。
【0037】
本発明に係る画像選択表示システム1の基本的な動作を説明すると、まず、第一画像データ出力手段10および第二画像データ出力手段20が、同時に夫々の画像データの出力を開始し、第一画像データ12および第二画像データ22をそれぞれ画像選択手段50に送信する。次に、各画像データを受信した画像データ選択手段50は、後述するユーザが決定する条件に従って、第一画像データ12および第二画像データ22を選択してアクティブな画像データとし、表示画面40に選択したアクティブな画像データを送信する。そして、アクティブな画像データを受け取った表示画面40は該画像データを画面に表示する構成である。上記条件が変化すると、画像データ選択手段50は、現在非アクティブな画像データをアクティブな画像データに切り替えて選択し、表示画面40に選択したアクティブな画像データを送信して表示させる。これにより、ユーザが決定する条件により、表示画面40に表示する画像を次々と切り替えることが可能となる。このユーザが決定する条件については、後述する。
【0038】
同期手段60は、図1aまたは図1bに示すように、誤差検出手段62と、誤差測定手段64と、補正手段66とからなる。誤差検出手段62は、第一画像データ12と第二画像データ22との間の出力タイミングの誤差を検出する手段である。
【0039】
誤差検出手段62は、本実施例では、図3aに示すように、画像データ選択手段50が第一画像データ12または第二画像データ22の何れかより選択したアクティブな画像データと、選択されなかった非アクティブな画像データとを対比して両者の間の出力タイミングの誤差を検出する。
【0040】
出力タイミングは、例えば、動画像であれば、アクティブな動画(画像データ)と非アクティブな動画(画像データ)のフレームナンバーの相違を検出することで、出力タイミングの誤差の発生を検知することができる。なお、この場合、フレームレートが同じであることが望ましく、フレームレートが異なる動画像同士の場合、動画同士の同期がとれているフレーム間のフレームナンバーの対応を予め取得しておき、該フレームナンバーの対応に誤差(ズレ)が生じた場合に、出力タイミングの誤差が発生したと判断する構成とすることが可能である。
【0041】
誤差測定手段64は、第一画像データ12と第二画像データ22の出力タイミングの誤差を測定する手段である。本実施例では、誤差測定手段64は、アクティブな画像データと非アクティブな画像データとの出力タイミングの誤差の量を測定した上で、一定量の誤差を測定した場合に誤差の発生の認定を行う構成である。
【0042】
本実施例では、図3aに示すように、誤差検出手段62が画像データ間の出力タイミングの誤差を検出した際に、誤差測定手段64は、第一画像データ12と第二画像データ22の現在表示されているフレームのナンバーを対比して、何れの画像データがどれ位進んでいるか(遅れているか)を算出し、誤差の度合いを数値的に取得する。
【0043】
補正手段66は、誤差検出手段62が検出し、誤差測定手段64によって測定された第一画像データ12と第二画像データ22の出力タイミングの誤差を補正する手段である。
【0044】
本実施例では、補正手段66は、図3aおよび図3bに示すように、第一画像データ出力手段10または第二画像データ出力手段20に対して、発生が認定された画像データの誤差に応じて、選択されなかった非アクティブな画像データの出力タイミングを、選択されたアクティブな画像データに合わせる補正を行う事で、画像間の同期をとる構成である。この構成とすることにより、検出された誤差の程度を正確に算出して数値的に取得したうえで、出力タイミングを的確に補正し、画像データ同士の同期をとることが可能となる。
【0045】
補正手段66は、本実施例では、図3bに示すように、表示画面40に表示される画像データが動画像である場合には、非アクティブな画像データを、コマ送り、コマ戻し、コマ指定、或いは一時停止することにより、非アクティブな画像データの出力タイミングを選択されたアクティブな画像データに合わせる補正をする構成である(図3aは、コマ送りによる補正処理の例を示している)。すなわち、ユーザが視聴していない方の画像データの出力タイミングを、ユーザが視聴する画像データの方に合わせる補正を行う。ここでは、コマ送りとは、画像データのフレームを誤差分進める処理であり、コマ戻しとは、画像データのフレームを誤差分戻す処理であり、コマ指定とは、画像データの開始フレームを指定する処理であり、一時停止とは、画像データの再生を一旦停止して再開まで一定時間おく処理である。本実施例では、これらの何れかの処理を選択し、或いは組み合わせて処理を行う構成としている。これにより、視聴中の画像データの表示(再生)はそのままに、発生した画像データ間の誤差を補正することが可能となり、ユーザはズレの発生を認識せずに、快適に画像を切り替えて楽しむことが可能となる。
【0046】
ユーザが決定する画像データを切り替えるための条件は、本実施例では、画像データ選択手段50が受信する画像データ選択信号120の内容からなる。すなわち、画像データ選択手段50は、画像データ選択信号120を受信することにより、第一画像データ12および第二画像データ22の何れをアクティブな画像データとして表示画面40に送信するかを選択する。画像データ選択信号120は、ユーザによる特定の操作に起因して発信される信号データであり、図2に示すように、画像データ選択手段50が画像データ選択信号120を受信すると、画像データ選択信号120に内容に応じて、第一画像データ出力手段10または第二画像データ出力手段20から出力される画像データのうちの何れかを選択してアクティブな画像データとし、表示画面40に表示されている画像データに替えて(表示画面40に表示されていない場合には、新規に)、画像データ選択信号120の種別(第一画像データ12または第二画像データ22の何れを選択したか)に従って、表示画面40に送信することによって、表示画面40にアクティブな画像データを表示する構成である。
【0047】
より具体的には、画像データ選択手段50は、本実施例では、スマートフォン110aまたは携帯型ゲーム機110bまたはタブレット型携帯端末110c等からなる画像表示装置100に搭載される、自機の角度の変化を検知する角度計測センサー52から発せられる信号を画像データ選択信号120として取得し、何れの画像データをアクティブにするか選択する。
【0048】
角度計測センサー52は、本実施例では、画像表示装置100に搭載される加速度センサーからなり、加速度センサーから発せられる信号を画像データ選択信号120として利用する構成であるが、これに限定されるものではなく、画像表示装置100の設置角度を検出可能なセンサーであれば任意に選択して使用することが可能である。
【0049】
具体的には、図4aに示すように、スマートフォン110aまたは携帯型ゲーム機110bまたはタブレット型携帯端末110c等の画像表示装置100が横向きの角度で配置されていること示す画像データ選択信号120を取得した場合には、画像データ選択手段50は、第一画像データ12が表示画面40に表示されるように、第一画像データ出力手段10が出力する第一画像データ12をアクティブな画像データとして選択して表示画面40に送信する。これにより、第二画像データ22は、非アクティブとなる。また、図4bに示すように、スマートフォン110aまたは携帯型ゲーム機110bまたはタブレット型携帯端末110c等の画像表示装置100が縦向きであること示す画像データ選択信号120を取得した場合には、画像データ選択手段50は、第二画像データ22が表示されるように、第二画像データ出力手段20が出力する第二画像データ22をアクティブな画像データとして選択して表示画面40に送信する構成となっている。このときは、第一画像データ12が、非アクティブとなる。
【0050】
以上の構成とすることにより、加速度センサー等からなる角度計測センサー52を装備するスマートフォン110aまたは携帯型ゲーム機110bまたはタブレット型携帯端末110c等の画像表示装置100に画像選択表示システム1を搭載することが可能となるとともに、これらの画像表示装置100上で動画などを楽しむ際に、画像表示装置100の角度を縦横に変化させることにより、角度に応じた画像に切り換えて表示画面40に表示させることが可能となり、ユーザが看取する視覚的効果を高めることが可能となった。また、画像データ同士の表示/再生タイミングの同期を適確にとることが可能となり、画像を楽しむユーザの快適性を更に高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1a】本発明に係る画像選択表示システムの概略図
図1b】記憶手段を外部に配置した画像選択表示システムの概略図
図2a】画像表示装置に画像選択表示システムを組み込んだ状態の概略図
図2b】記憶手段を外部に配置した画像表示装置の概略図
図3a】同期手段の動作を示す図
図3b】同期処理を示す図
図4a】横長画面の時の画像選択表示システムの実施例を示す図
図4b】縦長画面の時の画像選択表示システムの実施例を示す図
【符号の説明】
【0052】
1 画像選択表示システム
10 第一画像データ出力手段
12 第一画像データ
20 第二画像データ出力手段
22 第二画像データ
30 音声再生手段
32 音声データ
40 表示画面
50 画像データ選択手段
52 角度計測センサー
60 同期手段
62 誤差検出手段
64 誤差測定手段
66 補正手段
70 記憶手段
80 中継手段
100 画像表示装置
110a スマートフォン
110b 携帯型ゲーム機
110c タブレット型携帯端末
120 画像選択信号
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b