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  • 特許-有機ガス処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】有機ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/77 20060101AFI20241001BHJP
   G01N 33/00 20060101ALI20241001BHJP
   G01N 21/78 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
G01N21/77 A
G01N33/00 C
G01N21/78 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020127188
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024538
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】冨田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 勲
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智治
(72)【発明者】
【氏名】坂本 禎志
(72)【発明者】
【氏名】河本 憲一
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078274(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110967450(CN,A)
【文献】特開平09-141027(JP,A)
【文献】特開2019-148598(JP,A)
【文献】実開昭54-025252(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/75-21/83
G01N 30/00-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空間に設置されたチャンバー内有機溶媒から生じる有機ガスを検知してモニタリングしたガスを前記室内空間に排気して戻す有機ガス処理システムであって、
記有機溶媒が収容されるチャンバーと、前記チャンバー内の有機ガスを吸引して室内空間へ排気するダクトと、前記ダクト内に設けられたケミカルフィルタと、を備えた有機ガス処理装置と、
前記ケミカルフィルタを通過したガスの一部を流入させ、流入した当該ガスの状態を検出するガス検知管を備えた検知装置と、
前記検知装置で検出したガスの検知データを処理するデータ処理部と、
を有し、
前記検知装置は、前記ガス検知管のガス充填状態に応じて自動で前記ガス検知管を交換可能な検知管自動交換装置を備えており、
前記ケミカルフィルタは、前記ダクト内に複数設けられており、
前記検知装置は、一端が前記ダクトに接続され、他端が前記ガス検知管に接続される検知用配管を備え、
前記検知用配管の一端は、複数の前記ケミカルフィルタの間に接続されていることを特徴とする有機ガス処理システム。
【請求項2】
前記検知装置には、前記ケミカルフィルタを通過して前記検知装置内に流入された前記ガスを流通させる前記ガス検知管を配置する読取り領域を有する読取装置が設けられ、
検知管自動交換装置は、複数の前記ガス検知管が収容される検知管カセットを有する検知管ホルダを備え、
前記検知管カセットに収納された前記複数のガス検知管は、前記読取り領域に対して順次、入れ替えて配置されることを特徴とする請求項1に記載の有機ガス処理システム。
【請求項3】
前記データ処理部は、前記検知装置で検出した検知データに基づいて予め設定される基準値を超えた場合に警報を発信することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機ガス処理システム。
【請求項4】
前記検知管自動交換装置は、回転中心回りに回転する円盤状の検知管ホルダを備え、
前記検知管ホルダには、複数の前記ガス検知管が回転中心を中心として放射状に、かつ、着脱可能に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の有機ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機溶剤を扱う際には、労働災害を防止し、作業者の安全と健康を守るため作業環境測定が実施されている。また、揮発した有機ガスが作業者に暴露しないようにするために局所排気装置やプッシュプル型換気装置が設置され、これにより有機ガス発散防止抑制措置が施されている。
このような環境測定方法としては、例えば特許文献1~3に示されるようにガス検知管の自動測定を行い、データ送信を自動化して保存するような装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-300518号公報
【文献】特開2007-098375号公報
【文献】特開2019-148598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の作業環境測定では、以下のような問題があった。
すなわち、特許文献1~3に示す環境測定では、ガス検知管を測定毎に交換する必要があり、その交換作業に手間と時間を要することから定期的なモニタリング手法としては問題があった。
また、従来の有機ガス発散防止抑制措置に採用される装置は、ドラフトチャンバーを備えた装置であり、発生したガスの全量を室外に排気するものであった。この室外への排気に伴って大量の外気を室内に導入する必要があり、室内温度等の空調を管理するためのコストが増大することから、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、定時測定による測定効率を向上させることができ、測定にかかるコストを低減できる有機ガス処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る有機ガス処理システムは、室内空間に設置されたチャンバー内有機溶媒から生じる有機ガスを検知してモニタリングしたガスを前記室内空間に排気して戻す有機ガス処理システムであって、前記有機溶媒が収容されるチャンバーと、前記チャンバー内の有機ガスを吸引して室内空間へ排気するダクトと、前記ダクト内に設けられたケミカルフィルタと、を備えた有機ガス処理装置と、前記ケミカルフィルタを通過したガスの一部を流入させ、流入した当該ガスの状態を検出するガス検知管を備えた検知装置と、前記検知装置で検出したガスの検知データを処理するデータ処理部と、を有し、前記検知装置は、前記ガス検知管のガス充填状態に応じて自動で前記ガス検知管を交換可能な検知管自動交換装置を備えており、前記ケミカルフィルタは、前記ダクト内に複数設けられており、前記検知装置は、一端が前記ダクトに接続され、他端が前記ガス検知管に接続される検知用配管を備え、前記検知用配管の一端は、複数の前記ケミカルフィルタの間に接続されていることを特徴としている。
【0007】
本発明では、ケミカルフィルタを通過したガスをサンプリングして検知装置のガス検知管を通過させてそのガスの濃度等の検知データをデータ処理してモニタリングすることができる。このとき、検知管自動交換装置によりモニタリングが完了したガス検知管を自動でガス検知位置に移動させて交換することができることから、ガス検知管を使用しても従来のような交換作業に多大な手間と時間を要すことがない測定を実現できる。このように、ガス検知管の自動開封・入れ替え・計測機能を備えた検知装置を用いることにより、定期的なモニタリング測定を効率よく行うことができ、測定にかかるコストを低減できる。
【0008】
また、本発明の有機ガス処理システムによれば、循環空気の温度変化がない状態で、チャンバーとダクトを通過する有機ガスがケミカルフィルタによって除去され、その有機ガスが除去された清浄空気を室内空間に戻すことができる。そのため、本発明では、外気への排気が不要となり、従来のように有機ガスの全量を室外に排気する場合に比べて外気の室内空間への導入量を削減することができるうえ、従来のような外気への排気ダクトを設置する必要もなくなることから、空調コストを抑制できる。したがって、この場合には、ダクトの増設などが困難な既存施設への導入も可能となる。
【0009】
さらに、本発明では、ケミカルフィルタを使用した有機ガス処理装置に求められるガスセンサーのコストを大幅に抑えることができるうえ、検知管自動交換装置によりガス検知管の変更を容易に行うことができ、幅広いガス検知を実施することができる。
また、本発明では、データ処理部において、検知装置で検出した検知データを保存しておくことで、室内空間へ排気される清浄空気の排気データの安全性を検証することができ、ケミカルフィルタの最適な交換時期を確認することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る有機ガス処理システムは、前記検知装置には、前記ケミカルフィルタを通過して前記検知装置内に流入された前記ガスを流通させる前記ガス検知管を配置する読取り領域を有する読取装置が設けられ、検知管自動交換装置は、複数の前記ガス検知管が収容される検知管カセットを有する検知管ホルダを備え、前記検知管カセットに収納された前記複数のガス検知管は、前記読取り領域に対して順次、入れ替えて配置されることが好ましい。
【0011】
本発明では、検知管カセットに収容される複数のガス検知管を順次、読取装置に入れ替えてガス検知を行うことができる。この場合には、予め検知管カセットに複数のガス検知管をセットしておくことができるので、交換の自動化を容易に行うことができ、ガス検知管の交換にかかる作業効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る有機ガス処理システムは、前記データ処理部は、前記検知装置で検出した検知データに基づいて予め設定される基準値を超えた場合に警報を発信することを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、ガス検知管で検出した検知データをデータ処理部でモニタリングし、その結果に基づいて警報を発信することができるので、信頼性の高い有機ガス処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有機ガス処理システムによれば、定時測定による測定効率を向上させることができ、測定にかかるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による有機ガス処理システムの概略構成を示す図である。
図2】検知装置に装着される検知管自動交換装置の概要を示す平面図である。
図3】有機ガス処理システムの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による有機ガス処理システムについて、図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態による有機ガス処理システム1は、図1に示すように、有機溶剤を取り扱う室内空間Rで発生した有機ガスGをケミカルフィルタ23でガス処理して再び室内空間Rに排気して戻す循環型のシステムであり、除去後のガス(以下、「清浄化ガスg」という)を検知してモニタリングするガス処理システムである。
有機ガス処理システム1は、有機ガス処理装置2、検知装置3、およびデータ処理部4を備えている。
【0018】
有機ガス処理装置2は、有機溶媒6が収容されるチャンバー21と、チャンバー21内の有機ガスGを吸引して室内空間Rへ排気するダクト22と、ダクト22内に設けられたケミカルフィルタ23と、を備えている。
【0019】
チャンバー21は、中空部21Aを有する箱型に形成され、有機溶媒6を出し入れ可能な開口部21aを有している。チャンバー21の外壁の一部にはダクト22の端部(接続端22a)が接続されている。チャンバー21の外壁部には、ダクト22に連通するチャンバー内流路24が形成されている。チャンバー21の中空部21Aを形成する内壁面21bには、有機溶媒6から発する有機ガスGをチャンバー内流路24に吸入させる通気孔25が設けられている。
チャンバー21内の中空部21A及びチャンバー内流路24は、それぞれが連通するダクト22によって吸引されて負圧になっている。そのため、中空部21Aに配置される有機溶媒6から発生する有機ガスGはチャンバー21の開口部21aを通じて外部へ漏れ出すことがないように構成されている。
【0020】
ダクト22は、一端の接続端22aがチャンバー21のチャンバー内流路24に接続され、他端の排気口22bが室内空間Rに位置するように配置されている。ダクト22にはファン等の吸入手段(図示省略)が設けられている。そのため、チャンバー21の中空部21A内の有機ガスGは、ダクト22の吸入手段によって中空部21Aからチャンバー内流路24に吸入され、さらにチャンバー内流路24をダクト22側に向けて流通する。
【0021】
ダクト22の途中には、検知装置3に有機ガスGが清浄化された清浄化ガスgの一部を採取するための検知用配管32が接続されている。この検知用配管32は、後述する一対のケミカルフィルタ23A、23Bの間の位置に接続される。
【0022】
ケミカルフィルタ23は、ダクト22内の途中に設けられ、流路方向に間隔をあけて配置されている。ここで上流側に設けられるものを上流側ケミカルフィルタ23Aとし、下流側に設けられるものを下流側ケミカルフィルタ23Bとする。ダクト22における上流側ケミカルフィルタ23Aと下流側ケミカルフィルタ23Bとの間には、検知装置3の検知用配管32が接続されている。下流側ケミカルフィルタ23Bは、排気口22bの手前に装着されている。ケミカルフィルタ23A、23Bによって、ダクト22内に吸引される有機ガスG中のケミカル物質が吸着処理されて空気が清浄化される。
【0023】
本実施形態では、後述するように定期的な測定を行うものであって、連続的な測定はできない。そのため、本実施形態では、上流側ケミカルフィルタ23Aが破損によりフィルタ機能を損失した場合に備えて下流側にバックアップフィルタとしての下流側ケミカルフィルタ23Bが備えられている。
【0024】
検知装置3は、上流側ケミカルフィルタ23Aを通過した清浄化ガスgの一部を流入させて採取し、採取した当該清浄化ガスgの濃度などを検出するガス検知管31を備えている。
【0025】
検知装置3は、複数のガス検知管31を収容する装置本体ケース30と、有機ガス処理装置2のダクト22に接続され清浄化ガスgの濃度等を検知するガス検知管31に連通される検知用配管32と、ガス検知管31の変化状況を画像撮影により読み取る読取装置33と、ガス検知管31のガス充填状態に応じて自動で交換可能な検知管自動交換装置5(図2参照)と、を備えている。
【0026】
ガス検知管31は、採取した清浄化ガスgの濃度等を測定するために使用される。ガス検知管31は、例えば透明な管内に化学試薬を備えるものが採用される。この化学試薬は、清浄化ガスgがガス検知管31内を通過することで接触してガス濃度に応じて変色する。この変色した色を判定することにより濃度が算出される。
【0027】
読取装置33は、読取り領域33Aに配置されるガス検知管31の表面を撮影して撮影画像を取得するカメラを備えている。この読取装置33で撮影した検知画像データDはデータ処理部4に送信される。読取装置33の読取り領域33Aは、上流側ケミカルフィルタ23Aを通過した清浄化ガスgを管内に流通させるガス検知管31が入れ変わり配置される。
【0028】
検知装置3には、読取り領域33Aに配置されるガス検知管31の下流側端部31aにおいて吸引ポンプ34が着脱可能に接続されている。ガス検知が行われる際に吸引ポンプ34を駆動することで、吸引によりガス検知管31内が負圧となってダクト22から検知用配管32を介して清浄化ガスgがガス検知管31に流入した状態となる。
【0029】
検知管自動交換装置5は、図2に示すように、回転中心5a回りに回転する円盤状の検知管ホルダ51を備えている。検知管ホルダ51には、複数のガス検知管31をそれぞれ着脱可能に収納する検知管カセット52が設けられている。これら検知管カセット52は、回転中心5aを中心として放射状に配置されている。検知管ホルダ51の回転中心5aには、検知用配管32のガス吐出部32aが位置するようになっている。検知管ホルダ51は、不図示のモータ等の駆動手段によって断続的に一方向(例えば、図2の符号E方向)に回転可能に設けられている。つまり、検知管カセット52にセットされるガス検知管31のうち1つが読取装置33の読取り領域33Aに位置し、この読取り領域33Aには検知管ホルダ51を回転させることで順次、未検知のガス検知管31が入れ替わってセットされる。
【0030】
検知管自動交換装置5では、読取り領域33Aに配置されているガス検知管31が完了した後、設定した時間に自動的に次の未検知のガス検知管31を開封し、入れ替えて測定する機構が設けられている。
【0031】
図1に示すように、データ処理部4は、検知装置3で検出した清浄化ガスgの検知画像データDを処理する部分であって、画像処理部、画像演算部、警報発信部等を有する中央演算処理装置(CPU)を備えている。データ処理部4は、検知装置3の読取装置33に接続され、読取装置33で撮影された検知画像データDが取り込まれる。
【0032】
データ処理部4は、検知装置3で検出した検知画像データDに基づいて予め設定されるガス濃度の基準値を超えた場合に警報発信部より警報を発信する。
【0033】
次に、有機ガス処理システム1における検知動作と、データ処理の動作手順について、図3に基づいて説明する。
先ず、ステップS1において、検知管ホルダ51へセットするために検知装置3の装置本体ケース30に複数のガス検知管31を補充しておく。
次に、検知装置3における動作となる。先ず、測定部位である検知装置3内に検知管自動交換装置5をセットする(ステップS2)。その後、ステップS3において、ガス検知管31の両端をカットする。なお、ガス検知管31の両端をカットした後は、収納部52内を脱気したり、ガス検知管31の両側にシリコン製の栓を密着させて保持し、周辺部の空気を触れさせないように両端を挟んで閉じる閉止手段を設けることが好ましい。
【0034】
そして、ステップS4において、図2に示すように、検知管自動交換装置5の複数の検知管ホルダ51の複数の検知管カセット52にガス検知管31を収容してセットする。このとき検知管カセット52に収容される複数のガス検知管31のうち1本のガス検知管31が読取装置33の読取り領域33Aに位置決めされる。
【0035】
次に、吸引ポンプ34を駆動して読取り領域33Aに位置するガス検知管31内に上流側ケミカルフィルタ23Aで清浄化された清浄化ガスgを通過させ、そのガス検知管31内に清浄化ガスgを充填させてサンプリングする(ステップS5)。その後、読取装置33でガス検知管31を撮影してその撮影画像を取得する(ステップS6)。
そして、画像の撮影が終了したガス検知管31を検知管ホルダ51の検知管カセット52から取り外し(ステップS7)、検知管ホルダ51から取り外したガス検知管31は破棄する(ステップS8)。そして、ステップS8で廃棄した後、取り外して空になった検知管カセット52に新たなガス検知管31が設置される。
【0036】
次に、ステップS6で検知画像データDを取得した次の動作として、データ処理部4における動作となる。
ステップS6の後、データ処理部4ではステップS9とステップS11に進む。先ず、検知画像データDが保存され(ステップS9)、その検知画像データDは測定員によって測定値が判定される(ステップS10)。一方、ステップS11では、検知画像データDが保存された後、測定値が読み取られる処理が行われる。
【0037】
そして、ステップS12において、ステップS11で測定された測定値が保存され、予め設定されている基準値と比較する処理が行われる。ステップS12において、測定値と基準値を比較した結果、基準値以下の場合には測定が終了となり(ステップS14)、測定値が基準値を超える場合には警報が発信される処理が行われてから測定が終了となる(ステップS13、ステップS14)。
【0038】
次に、上述した有機ガス処理システム1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図1に示すように、上流側ケミカルフィルタ23Aを通過した清浄化ガスgをサンプリングして検知装置3のガス検知管31を通過させてその清浄化ガスgの濃度等の検知画像データDをデータ処理してモニタリングすることができる。このとき、本実施形態では、検知管自動交換装置5によりモニタリングが完了したガス検知管31を自動でガス検知位置に移動させて交換することができることから、ガス検知管31を使用しても従来のような交換作業に多大な手間と時間を要すことがない測定を実現できる。
このように、ガス検知管31の自動開封・入れ替え・計測機能を備えた検知装置3を用いることにより、定期的なモニタリング測定を効率よく行うことができ、測定にかかるコストを低減できる。
【0039】
また、本実施形態の有機ガス処理システム1によれば、循環空気の温度変化がない状態で、チャンバー21とダクト22を通過する有機ガスGがケミカルフィルタ23によって除去され、その有機ガスGが除去された清浄空気(清浄化ガスg)を室内空間Rに戻すことができる。
そのため、本実施形態では、外気への排気が不要となり、従来のように有機ガスの全量を室外に排気する場合に比べて外気の室内空間Rへの導入量を削減することができるうえ、従来のような外気への排気ダクトを設置する必要もなくなることから、空調コストを抑制できる。したがって、この場合には、ダクトの増設などが困難な既存施設への導入も可能となる。
【0040】
さらに、本実施形態では、ケミカルフィルタ23を使用した有機ガス処理装置2に求められるガスセンサーのコストを大幅に抑えることができるうえ、検知管自動交換装置5によりガス検知管31の変更を容易に行うことができ、幅広いガス検知を実施することができる。
また、本実施形態では、データ処理部4において、検知装置3で検出した検知画像データDを保存しておくことで、室内空間Rへ排気される清浄空気の排気データの安全性を検証することができ、ケミカルフィルタ23の最適な交換時期を確認することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、検知管カセット52に収容される複数のガス検知管31を順次、読取装置33に入れ替えてガス検知を行うことができる。
この場合には、予め検知管カセット52に複数のガス検知管31をセットしておくことができるので、交換の自動化を容易に行うことができ、ガス検知管31の交換にかかる作業効率を向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、ガス検知管31で検出した検知画像データDをデータ処理部4でモニタリングし、その結果に基づいて警報を発信することができるので、信頼性の高い有機ガス処理を行うことができる。
【0043】
上述のように本実施形態による有機ガス処理システム1では、定時測定による測定効率を向上させることができ、測定にかかるコストを低減できる。
【0044】
以上、本発明による有機ガス処理システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0045】
例えば、本実施形態では、読取装置33を採用しているが、この読取装置33を省略して撮影画像のみを記録し、目視により判定を行うことも可能である。
【0046】
また、検知管自動交換装置5の具体的な構成については、上述した実施形態に限定されることはなく、他の構成と採用することができる。例えば、検知管自動交換装置として、複数のガス検知管31が収容される検知管カセット52を有する検知管ホルダ51を備えたものでなくてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、検知用配管32に対して1台のチャンバー21を接続した構成としているが、複数台のチャンバー21を検知用配管32に対して切り替え可能に接続した構成としてもよい。この場合には、有機ガス処理システム1は測定間隔が連続ではないことから、ガス検知管32で測定した後、流路を切り替えて別のチャンバーの測定を行うことができる。すなわち、1台の検知装置で複数台のチャンバー21のモニタリングを行うことができるので、コストの低減を図ることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、データ処理部4において、検知装置3で検出した検知画像データDに基づいて予め設定される基準値を超えた場合に警報を発信する構成としているが、このような警報を発信することに限定されることはない。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 有機ガス処理システム
2 有機ガス処理装置
3 検知装置
4 データ処理部
5 検知管自動交換装置
6 有機溶媒
21 チャンバー
22 ダクト
23 ケミカルフィルタ
23A 上流側ケミカルフィルタ
23B 下流側ケミカルフィルタ
31 ガス検知管
32 検知用配管
33 読取装置
33A 読取り領域
51 検知管ホルダ
52 検知管カセット
D 検知画像データ(検知データ)
G 有機ガス
g 清浄化ガス(ガス)
R 室内空間
図1
図2
図3