IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-吐水装置 図1
  • 特許-吐水装置 図2
  • 特許-吐水装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/20 20060101AFI20241001BHJP
   A61H 9/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A47K3/20
A61H23/00 532
A61H23/00 533
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020154987
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048912
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢治
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-121504(JP,A)
【文献】特開2017-169798(JP,A)
【文献】特開2007-268159(JP,A)
【文献】実開平07-017185(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00- 4/00
E03C 1/00- 1/10
A61H 7/00-37/00
B05B 1/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の上縁面に設けられ、前記浴槽の内部に吐水する第1吐水口及び第2吐水口を有する本体部と、
前記第1吐水口へ湯水を供給する第1給水ラインと、
前記第2吐水口へ湯水を供給し、前記第1給水ラインと異なる流路の第2給水ラインと、を備え、
前記第1吐水口は、使用者の肩の方向に湯水を吐水し、
前記第2吐水口は、前記本体部の正面視における幅方向の中央側から湯水を吐水し、
前記第1給水ラインは、前記第2給水ラインよりも供給する湯水の流量が多い、吐水装置。
【請求項2】
前記第1給水ラインに接続され、前記第1吐水口へ供給される湯水が通過する第1給水口と、
前記第2給水ラインに接続され、前記第2吐水口へ供給される湯水が通過する第2給水口と、を有する、請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインの少なくともいずれかが、独立して湯水の流量を調整可能に構成される、請求項1又は2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインのいずれかに湯水を供給する状態と、両方に供給する状態とを切り替える切替装置をさらに備え、前記切替装置は、前記浴槽の側壁の外側に配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の上縁面に吐水装置を設け、入浴中の使用者に対して吐水する技術が知られている。吐水装置は、浴槽の外側にある給水源から一本の湯水の給水ラインで湯水を給水し、一つの吐水口から吐水している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-104192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐水装置に吐水口を複数設け、異なる位置に別個に吐水しようとした場合、片方の吐水口のみから吐水したり、二つの吐水口から吐出する流量や速度をそれぞれ変更したりすることが困難になる。一本の給水ラインに切替装置を設ける場合、給水ラインと吐水口の間に切替装置が配置される。この場合吐水装置が大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、浴槽の上縁面に設けられ、前記浴槽の内部に吐水する第1吐水口及び第2吐水口を有する本体部と、前記第1吐水口へ湯水を供給する第1給水ラインと、前記第2吐水口へ湯水を供給し、前記第1給水ラインと異なる流路の第2給水ラインと、を備える、吐水装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の吐水装置が設けられた浴槽を示す斜視図である。
図2】本実施形態の吐水装置を示す展開図である。
図3】本実施形態の吐水装置が設けられた浴槽を外側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、吐水装置1は、浴槽100の上縁面120に設けられ、使用者の首や肩等に吐水を行う装置である。
【0008】
浴槽100は、浴槽本体110と、上縁面120と、を有する。浴槽100は、上部が開口した略直方体の形状を有し、湯水を貯水可能に形成される。
【0009】
浴槽本体110は、底面部111と、側壁部112と、一対のジェット噴射口113と、排水口114と、を有する。底面部111は、略長方形で四隅が湾曲している。側壁部112は、底面部111から上方に延びる。ジェット噴射口113は、側壁部112のうち浴槽本体110の短手方向に位置する面の下方に2つ形成される、ジェット噴射口113は、後述する給水機構5から供給された湯水を、浴槽本体110内に噴射する。
【0010】
上縁面120は、浴槽本体110の上端から四周の外側へ延出する部分である。上縁面120は、概ね平坦に形成され、外側から浴槽本体110側に向かって排水勾配が形成されている。
【0011】
吐水装置1は、浴槽100の上縁面120に設けられる。詳細には、上縁面120のうち浴槽100の短手方向に延びる部分の上に配置される。本明細書の説明において、浴槽100の短手方向から吐水装置1を見た方向を正面とし、正面視の左右を結ぶ方向を吐水装置1の幅方向とする。吐水装置1は、枕部2と、本体部3(図2参照)と、ベースプレート4(図2参照)と、給水機構5(図3参照)と、を有する。
【0012】
枕部2は、使用者が頭部を載せることが可能な高さを有し、上縁面120から凸となるように配置される。枕部2は、吐水装置1の外形を規定する部分であり、吐水装置1の本体部3を覆うように配置される。枕部2は、幅方向に長い横長の形状を有する。
【0013】
本体部3は、図2に示すように、浴槽の上縁面120上に設けられる。本体部3は、枕部2の下方及び内部に配置され、浴槽100に湯水を吐水する機構を備える。本体部3は、幅方向に延びる横長の形状を有する。本体部3は、第1吐水口31と、一対の第2吐水口32と、前壁部33と、を有する。第1吐水口31及び第2吐水口32は、ともに浴槽100の上縁面に設けられ、浴槽100の内部に吐水する。
【0014】
第1吐水口31は、使用者の例えば肩へと湯水を吐水する吐水口である。第1吐水口31は、幅方向に略直線状に延び、細長いスリット状の開口である。第1吐水口31から吐水される湯水は、薄い膜状に形成され、使用者の肩へと吐水される。
【0015】
前壁部33は、第1吐水口31のから下方に延び、本体部3の前面を構成する板状の部分である。
【0016】
一対の第2吐水口32は、前壁部33の幅方向の略中央に、間を離して2つ形成される開口部である。それぞれの第2吐水口32からは、使用者の例えば首に向かって一本の水の流れが波打つように吐水される。図2に示すように、第2吐水口32の内部には、第2吐水口32から吐出される水を波打つように発射するための首湯ユニット320が配置されている。
【0017】
ベースプレート4は、本体部3の下方内側に配置され、浴槽100の上縁面120にボルトにより固定される。ベースプレート4は、プレート部43と、第1接続部41と、一対の第2接続部42と、を有する。プレート部43は、本体部3と略同じ長さ、本体部3の幅方向に延び、平坦な板状に形成される。
【0018】
第1接続部41は、プレート部43の下方から下に突出する円筒形状を有する。第1接続部41は、ベースプレート4の幅方向略中央部に配置される。第1接続部41は、後述する第1給水ライン51に接続される。第1接続部41の円筒形状における開口が、第1給水口41aである。第1給水口41aは、後述する第1給水ライン51に接続されて、第1吐水口31へ供給する湯水が通過する開口である。
【0019】
一対の第2接続部42は、プレート部43の下方から下に突出し、第1接続部41よりも径が小さい円筒形状を有する。第2接続部42は、第1接続部41の幅方向の両外側に、第1接続部41から間を空けて配置される。第2接続部42は、後述する第2給水ライン52に接続される。第2接続部42の円筒形状における開口が、第2給水口42aである。第2給水口42aは、後述する第2給水ライン52に接続されて、第2吐水口32へ供給する湯水が通過する開口である。
【0020】
給水機構5は、図3に示すように、図示しない外部の給水源から湯水を供給する機構である。給水機構5は、第1給水ライン51と、第2給水ライン52と、第3給水ライン53と、ポンプ54と、切替装置55と、を有する。
【0021】
ポンプ54は、外部の給水源から供給される湯水を所定量及び所定速度供給する。ポンプ54は、切替装置55に接続され、切替装置55を介して第1給水ライン51~第3給水ライン53に接続されている。
【0022】
第1給水ライン51は、第1吐水口31へ湯水を供給する管を有する。第1給水ライン51は、一端が後述する切替装置55に接続され、他端が第1接続部41に接続される。
【0023】
第2給水ライン52は、一対の第2吐水口32それぞれへ湯水を供給する管を有する。すなわち、第2給水ライン52は、二本の管を有する。第2給水ライン52は、一端が後述する切替装置55に接続され、他端が後述する第2接続部42に接続される。第2給水ライン52は、切替装置55から第1給水ライン51と異なる管、すなわち異なる流路で湯水が供給される。
【0024】
第3給水ライン53は、浴槽本体110のジェット噴射口113に湯水を供給する管を有する。第3給水ライン53は、端が後述する切替装置55に接続され、二本に分岐して他端が一対のジェット噴射口113に接続される。
【0025】
これらの第1給水ライン51、第2給水ライン52、第3給水ライン53は、切替装置55から最短距離でそれぞれ第1接続部41、第2接続部42、ジェット噴射口113へ接続されていない。第1給水ライン51、第2給水ライン52、第3給水ライン53は、浴槽本体110の幅方向に沿って延び、一旦それぞれ第1接続部41、第2接続部42、ジェット噴射口113から遠ざかったのち、屈曲して戻るように形成されている。このように形成することで、施工現場で生じる施工誤差等を許容する余裕が生まれる。
【0026】
切替装置55は、浴槽100の側壁としての側壁部112の外側に配置されている。切替装置55は、第1給水ライン51~第3給水ライン53のいずれか、又は組み合わせて、あるいは全てに湯水を供給する状態を切り替える。切替装置55は、三方弁551と、二方弁552と、接続管553と、を有する。
【0027】
接続管553は、ポンプ54から三方弁551及び二方弁552に接続される管である。接続管553は、三方弁551の方向に向かう大きな径の部分553aと、大きな径の部分553aから二方弁552の方向へ分岐する小さな径の部分553bを有する。三方弁551は、ポンプ54から接続管553を介して供給される湯水を第1給水ライン51及び第3給水ライン53に切替えるように供給する。二方弁552は、接続管553の小さな径の部分553bに設けられ、第2給水ラインに湯水を供給する。
【0028】
切替装置55は、第1給水ライン51、第2給水ライン52、第3給水ライン53に湯水を供給するか否かを切り替えるとともに、それぞれに供給する湯水の流量や流速も独立して変更することができる。例えば、第1給水ライン51から供給される湯水の流量は、第2給水ライン52から供給される湯水の流量よりも多い。
【0029】
給水機構5の全体の流れを説明する。給水源から供給された湯水は、使用者が選択して指示することにより、給水ラインが選択、変更される。例えば、第1吐水口31から吐水するよう指示した場合、ポンプ54から供給される湯水は、切替装置55の接続管553を通って三方弁551から第1給水ライン51を通り、ベースプレート4に形成された第1接続部41の第1給水口41aを通って第1吐水口31へ至る。
【0030】
第2吐水口32から吐水するよう指示した場合、ポンプ54から供給される湯水は、切替装置55の接続管553を通って二方弁552から分岐して、第2給水ライン52の二本の管を流通する。そして、第2給水ライン52を流通する湯水は、ベースプレート4に形成された第2接続部42の第2給水口42aを通って第2吐水口32へ至る。
【0031】
ジェット噴射口113から吐水するよう指示した場合、ポンプ54から供給される湯水は、切替装置55の三方弁551から分岐して、第3給水ライン53を通り、ジェット噴射口113を通って第2吐水口32へ至る。
【0032】
第1吐水口31及び第2吐水口32からの吐水は、両方同時に吐水することも可能であり、片方のみ吐水することも可能である。
【0033】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。吐水装置1を、浴槽100の上縁面120に設けられ、浴槽100の内部に吐水する第1吐水口31及び第2吐水口32を有する本体部3と、第1吐水口31へ湯水を供給する第1給水ライン51と、第2吐水口32へ湯水を供給し、第1給水ライン51と異なる流路の第2給水ライン52と、を含んで構成した。第1給水ライン51と第2給水ライン52とが異なる流路で構成されるため、第1吐水口31及び第2吐水口32への給水を切り替える切替装置55を浴槽本体110の外側に、第1吐水口31及び第2吐水口32を有する本体部3と別に、本体部3の上流側に配置することが可能となる。仮に、第1給水ライン51及び第2給水ライン52を同じ流路で構成して、第1吐水口31及び第2吐水口32に供給する前に切り替えるように構成する場合、一つの給水流路から給水し、第1吐水口31及び第2吐水口32との間に切替装置を配置して、流路を分岐させる必要が生じる。この場合、切替装置55を第1吐水口31及び第2吐水口32の直前に位置させるため、浴槽の上縁面に配置する本体部が大型化することが懸念される。本実施形態によれば、浴槽100の上縁面120に配置する吐水装置1の本体部3を小型化した状態で第1吐水口31及び第2吐水口32から吐水される湯水の流量や流速を制御することができる。
【0034】
本実施形態によれば、第1給水ライン51に接続され、第1吐水口31へ供給される湯水が通過する第1給水口41aと、第2給水ライン52に接続され、第2吐水口32へ供給される湯水が通過する第2給水口42aと、を含んで構成した。第1吐水口31及び第2吐水口32に供給される湯水が、それぞれ独立した開口である第1給水口41a、第2給水口42aを通って供給される。これにより確実に第1給水ライン51及び第2給水ライン52を別個独立のものとすることができるので、上記と同様の効果を奏する。
【0035】
本実施形態によれば、第1給水ライン51及び第2給水ライン52の少なくともいずれかが、独立して湯水の流量を調整可能に構成した。例えば、第2給水ライン52を第1給水ライン51と独立して湯水の流量を調整するように構成する。これにより、第1吐水口31からの吐水の有無や流量等を考慮せずに、第2吐水口32から吐水させることができるため、利便性が向上する。同様に、第1給水ライン51を第2給水ラインと独立して湯水の流量を調整可能に構成した場合、第2吐水口32からの吐水の有無や流量等を考慮せずに第1吐水口31から吐水させることができる。第1給水ライン51及び第2給水ライン52の両方を独立して湯水の流量を調整可能に構成した場合、より自由な吐水が可能になる。
【0036】
本実施形態によれば、第1吐水口31を、使用者の肩へと湯水を吐水させ、第2吐水口32を、使用者の首へと湯水を吐水させた。第1給水ライン51で、第2給水ライン52よりも供給する湯水の流量を多くした。これにより使用者が肩と首のそれぞれ又は両方に湯水を吐出させることができ、利便性が向上する。肩に吐水する湯水を首に吐水する湯水よりも多くすることで、吐水する体の部位の面積に応じた量を吐水することができ、使用感が向上する。
【0037】
本実施形態によれば、第1給水ライン51及び第2給水ライン52のいずれかに湯水を供給する切替装置55をさらに含んで構成した。切替装置55を、第1給水ライン51及び第2給水ライン52のいずれかに湯水を供給する状態と、第1給水ライン51及び第2給水ライン52の両方に湯水を供給する状態を切り替えさせた。切替装置55を、浴槽100の側壁部112の外側に配置させた。これにより、吐水装置1における浴槽100の上縁面120に配置する本体部3部分を小型化することができるので、吐水装置1の外観をすっきりさせると同時に浴槽100の周囲の空間を広くすることができる。
【0038】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、切替装置55に用いられる弁は、流路の切り替えが可能であれば、どのような種類の弁を用いてもよい。
【0039】
第1吐水口31から吐水される湯水は、例えば肩へ向けて吐水され、第2吐水口32から吐水される湯水は、例えば首に向けて吐水される。しかし、第1吐水口31及び第2吐水口32から吐水される湯水は、身体の他の部位へ向けて吐水されてもよい。
【0040】
浴槽100は、上部が開口した略直方体の形状を有するものを例に説明した。浴槽の形状は、使用者が湯船につかるように湯水を貯水することができれば、開口部の形状は長円形や円形、正方形、その他の自由な形状を有していてよい。
【符号の説明】
【0041】
1 吐水装置、 3 本体部、 31 第1吐水口、 32 第2吐水口、 41a 第1給水口、 42a 第2給水口、 51 第1給水ライン、 52 第2給水ライン、 55 切替装置、 100 浴槽、 112 側壁部(側壁)、 120 上縁面

図1
図2
図3