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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】医用情報処理装置及び医用情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241001BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241001BHJP
   G06T 17/10 20060101ALI20241001BHJP
   G06T 15/08 20110101ALI20241001BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20241001BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
A61B6/46 536Q
A61B5/055 380
G06T17/10
G06T15/08
G06T19/00 A
A61B6/03 560J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020158243
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2021166695
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020069794
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山形 仁
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508561(JP,A)
【文献】国際公開第2019/141543(WO,A1)
【文献】特開2018-079012(JP,A)
【文献】特開2016-101502(JP,A)
【文献】特開2012-035009(JP,A)
【文献】特表2019-508191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボクセルで構成された人体データを記憶する記憶部と、
前記人体データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、それぞれ記憶させて人体データを生成する生成部、
を備え
前記生成部は、前記各ボクセルにおいて、前記隣接するボクセルとの関連性を、隣接する方向に対応付けて保持させる、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記解剖学的構造の情報に基づいて、前記人体データを構成する各ボクセルに対応する人体の組織をそれぞれ特定し、特定した組織の組成情報を前記各ボクセルに対してそれぞれ保持させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、隣接するボクセルにおける組成情報、及び、前記隣接するボクセルに対応する組織との関連を示す性質のうち少なくとも一方で示される前記関連性を、前記人体データの各ボクセルにおいて、隣接する方向に対応付けて保持させる、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記人体データの利用目的に応じて、前記記憶部に記憶された前記人体データにおけるボクセルのサイズを仮想的に変更した人体データを生成する、請求項1~3のいずれか1つに記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記複数のボクセルに対して、不可視化させた予備ボクセルをそれぞれ付帯させた前記人体データを生成する、請求項1~4のいずれか1つに記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、細胞増殖によって増大した組織に対応するボクセルとして、可視化させた前記予備ボクセルを用いる、請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記人体データのボクセルのデータを用いて解析処理を実行し、解析処理結果を出力する解析部をさらに備える、請求項1~6のいずれか1つに記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記解析部は、前記人体データのボクセルのデータを用いて、医用画像診断装置による撮像のシミュレーション画像を求める、請求項7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記人体データと、被検体から収集した医用画像データとの位置合わせを実行する位置合わせ部と、
前記位置合わせの結果に基づいて、前記医用画像データのボクセルに対応する前記人体データにおけるボクセルを特定し、特定したボクセルに対して前記医用画像データのボクセルにおけるデータ値を保持させた個人データを前記記憶部に格納する格納部と、
をさらに備える、請求項1~8のいずれか1つに記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記格納部は、前記個人データに対して、前記被検体の被検体情報を付帯させる、請求項9に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記格納部は、前記被検体の被検体情報として、利用許諾の有無を付帯させた前記個人データを、前記記憶部に蓄積させ、
前記個人データの利用者からの利用要求に応じて、前記利用許諾が付帯された個人データを出力する出力部をさらに備える、請求項10に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
複数のボクセルで構成された人体データを記憶するものであり、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、前記人体データの各ボクセルに対応付けて記憶する記憶部と、
前記人体データのボクセルのデータを用いて解析処理を行い、解析処理結果を出力する解析部と、
を備え
前記記憶部は、前記各ボクセルにおいて、前記隣接するボクセルとの関連性が、隣接する方向に対応付けて保持された前記人体データを記憶する、医用情報処理装置。
【請求項13】
前記解析部は、前記人体データのボクセルのデータを用いて、医用画像診断装置による撮像のシミュレーション画像を求める、請求項12に記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
複数のボクセルで構成された人体データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データのデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、それぞれ記憶させて人体データを生成する、
ことを含み、
前記各ボクセルにおいて、前記隣接するボクセルとの関連性が、隣接する方向に対応付けて保持される、医用情報処理方法。
【請求項15】
複数のボクセルで構成された人体データであり、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とが、各ボクセルに対応付けて記憶された前記人体データのボクセルのデータを用いて解析処理を行い、解析処理結果を出力する、
ことを含み、
前記各ボクセルにおいて、前記隣接するボクセルとの関連性が、隣接する方向に対応付けて保持される、医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置及び医用情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の仮想解剖データが、医用画像の表示に利用されている。例えば、医用画像データにおけるボクセルの3次元配置と同様の3次元配列を有するボクセルセットを備える仮想解剖データと、医用画像データとを解剖学的ランドマークに基づいて位置合わせすることで、仮想解剖データに基づく画像と医用画像データとの間で位置を対応付けながら、相互に表示切り替えを行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-101502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、種々の解析に利用可能な人体データを提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用情報処理装置は、記憶部と、生成部とを備える。記憶部は、複数のボクセルで構成された人体データを記憶する。生成部は、前記人体データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、それぞれ記憶させて人体データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2A図2Aは、第1の実施形態に係る生成機能による細分化データの生成処理の一例を説明するための図である。
図2B図2Bは、第1の実施形態に係る生成機能による細分化データの生成処理の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る細分化データのボクセルの一例を説明するための図である。
図4A図4Aは、第1の実施形態に係る人体データに保持される関連性を説明するための図である。
図4B図4Bは、第1の実施形態に係る人体データに保持される関連性を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る人体データにおける予備ボクセルを説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る人体データにおけるボクセルの位置変化を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る解析機能によるシミュレーションの一例を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る解析機能によるシミュレーションの一例を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図10図10は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図11図11は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、第2の実施形態に係るデータ管理システムの概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、医用情報処理装置及び医用情報処理方法の実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用情報処理装置及び医用情報処理方法は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、実施形態は、処理内容に矛盾が生じない範囲で他の実施形態や従来技術との組み合わせが可能である。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る医用情報処理装置における構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、医用情報処理装置1は、通信インターフェース11と、記憶回路12と、入力インターフェース13と、ディスプレイ14と、処理回路15とを有する。医用情報処理装置1は、図示しないネットワークを介して、ネットワーク上の種々の装置と通信可能に接続させることも可能である。
【0009】
通信インターフェース11は、処理回路15に接続されており、図示しないネットワーク上に配置された各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース11は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路15に出力する。例えば、通信インターフェース11は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0010】
記憶回路12は、処理回路15に接続されており、各種のデータを記憶する。例えば、記憶回路12は、図示しないネットワーク上に配置された各装置から受信した種々のデータや、医用情報処理装置1の処理結果などを記憶する。また、記憶回路12は、処理回路15が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。また、記憶回路12は、図1に示すように、構造データ121と、人体データ122とを記憶する。なお、構造データ121及びと人体データ122については、後に詳述する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0011】
入力インターフェース13は、処理回路15に接続されており、操作者から各種の指示及び情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース13は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路15に出力する。例えば、入力インターフェース13は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース13は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース13の例に含まれる。
【0012】
ディスプレイ134は、処理回路135に接続されており、各種の情報及び画像を表示する。具体的には、ディスプレイ134は、処理回路135から送られる情報及び画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ134は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0013】
処理回路15は、入力インターフェース13を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、医用情報処理装置1の動作を制御する。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。
【0014】
以上、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の構成について説明した。かかる構成のもと、医用情報処理装置1は、処理回路15による処理によって、種々の解析に利用可能な人体データを提供することを可能にする。以下、本実施形態に係る医用情報処理装置1の詳細について説明する。図1に示すように、医用情報処理装置1の処理回路15は、制御機能151、生成機能152、及び、解析機能153を実行する。ここで、制御機能151は、出力部の一例である。また、生成機能152は、生成部の一例である。また、解析機能153は、解析部の一例である。
【0015】
制御機能151は、入力インターフェース13を介して入力された各種要求に応じた処理を実行するように制御する。例えば、制御機能151は、通信インターフェース11を介した各種情報の送受信、記憶回路132への情報の格納、ディスプレイ14への各種情報の表示などを制御する。なお、制御機能151は、生成機能152によって生成された人体データの出力を制御するが、この点については、後に詳述する。
【0016】
生成機能152は、複数のボクセルで構成された人体データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、それぞれ記憶させて人体データを生成する。具体的には、生成機能152は、所定のサイズの複数のボクセルで構成された細分化データを形成し、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、解剖学的構造の情報に基づいて推定される医用画像データのデータ値と、解剖学的構造の情報に基づいて決定される隣接するボクセルとの関連性とを、細分化データの各ボクセルに対してそれぞれ保持させた人体データ122を生成する。
【0017】
具体的には、生成機能152は、標準人体モデルを複数のボクセルに細分化した細分化データを生成し、生成した細分化データの各ボクセルに、組成情報と、データ値と、関連性とを保持させた人体データを生成する。例えば、生成機能152は、記憶回路12に記憶された構造データ121に基づく標準人体モデルを複数のボクセルに細分化した細分化データを生成する。
【0018】
ここで、構造データ121は、人体の解剖学的構造に関する標準データであり、人体の外部構造データ及び内部構造データを含む。外部構造データは、例えば、人体の体表の形状に関するデータを含む。また、内部構造データは、例えば、骨、筋肉、靭帯、内蔵、感覚器官、脈管、神経などに関するデータを含む。構造データ121は、これらの外部構造及び内部構造について、標準的な位置関係及びサイズが定義されたデータである。なお、構造データ121は、入力インターフェース13を介した操作者の操作に応じて、制御機能151によって記憶回路12に格納される。
【0019】
図2A及び図2Bは、第1の実施形態に係る生成機能152による細分化データの生成処理の一例を説明するための図である。なお、図2A及び図2Bでは、胸部及び腹部を含む領域R1の細分化データを生成する場合を例に示すが、生成機能152は、構造データ121を用いて体全体の細分化データを生成する。
【0020】
例えば、生成機能152は、図2Aに示すように、構造データ121における胸部及び腹部の外部構造データと内部構造データとを用いて、胸部と腹部を含む領域R1の標準人体モデルを取得する。そして、生成機能152は、図2Bに示すように、取得したR1の標準人体モデルを所定のボクセルサイズで細分化した細分化データを生成する。なお、図2Bには示されていないが、領域R1には、胸部及び腹部の標準人体モデルが含まれ、標準人体モデルが細分化されている。
【0021】
ここで、生成機能152によって生成される細分化データにおける各ボクセルは、位置情報が付与される。例えば、図2Bに示すように、領域R1に含まれるボクセルV1は、領域R1におけるボクセルV1の位置を示す位置情報(x1、y1、z1)が付与される。なお、細分化データにおける各ボクセルには、時間情報を付与することもできる。例えば、ボクセルV1は、時間情報(t1)を付与させることができる。
【0022】
また、生成機能152は、任意のサイズのボクセルにより標準人体モデルを細分化することができる。例えば、生成機能152は、人体における細胞のサイズに準じたサイズのボクセルによって標準人体モデルを細分化する。図3は、第1の実施形態に係る細分化データのボクセルの一例を説明するための図である。例えば、生成機能152は、図3に示すように、1辺「10μm」のボクセルで標準人体モデルを細分化することで細分化データを生成する。
【0023】
生成機能152は、このように生成した細分化データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、解剖学的構造の情報に基づいて推定される医用画像データのデータ値と、解剖学的構造の情報に基づいて決定される隣接するボクセルとの関連性とを保持させることで、人体データを生成する。
【0024】
具体的には、生成機能152は、解剖学的構造の情報に基づいて、細分化データを構成する各ボクセルに対応する人体の組織をそれぞれ特定し、特定した組織の組成情報を各ボクセルに対してそれぞれ保持させる。すなわち、生成機能152は、領域R1における位置情報に基づいて、各ボクセルが人体の外部構造又は内部構造のいずれに相当するかを特定する。そして、生成機能152は、特定した構造の組成情報を各ボクセルに保持させる。
【0025】
例えば、生成機能152は、位置情報に基づいて、各ボクセルが、骨、筋肉、靭帯、内蔵、感覚器官、脈管、神経のいずれに相当するかを特定し、特定結果に基づいて、図3に示すように、蛋白質や骨などの組成情報をボクセルに保持させる。また、生成機能152は、特定した部位に関する情報もボクセルに保持させることができる。
【0026】
また、生成機能152は、解剖学的構造の情報に基づいて推定される医用画像データのデータ値を各ボクセルに保持させる。例えば、生成機能152は、各ボクセルが保持する組成情報や、部位に関する情報に基づいて、ボクセルごとに種々の医用画像データのデータ値を推定し、推定したデータ値をボクセルに保持させる。
【0027】
例えば、生成機能152は、図3に示すように、各ボクセルについて、CT値、X線減弱係数、T1値、T2値、PD(Proton Density)値、音響インピーダンス、弾性率などのデータ値(パラメータ)を推定し、推定したデータ値を各ボクセルに保持させる。
【0028】
また、生成機能152は、隣接するボクセルにおける組成情報、及び、隣接するボクセルに対応する組織との関連を示す性質のうち少なくとも一方で示される関連性を、細分化データの各ボクセルに対してそれぞれ保持させる。すなわち、生成機能152は、各ボクセルに対して、隣接するボクセルがどのようなものであるかを示す情報を保持させる。
【0029】
図4A及び図4Bは、第1の実施形態に係る人体データに保持される関連性を説明するための図である。なお、図4A及び図4Bでは、説明の便宜上、隣接するボクセル間が離れているが、実際には、各ボクセル間は接している。例えば、生成機能152は、図4Aに示すように、ボクセルV1に対して、隣接するボクセルV2との関連性a1と、隣接するボクセルV3との関連性a2と、隣接するボクセルV4との関連性a3とを保持させる。
【0030】
ここで、生成機能152は、隣接するボクセルとの関連性を、隣接する方向に対応付けて保持させる。例えば、生成機能152は、ボクセルV1において、ボクセルV2の方向に関連性a1を対応付け、ボクセルV3の方向に関連性a2を対応付け、ボクセルV4の方向に関連性a3を対応付けて保持させる。
【0031】
例えば、ボクセルV1~ボクセルV3が骨であり、ボクセルV4が靭帯である場合、生成機能152は、ボクセルV1に対して、組成情報「骨」を保持させるとともに、関連性a1及び関連性a2として「骨」を保持させ、関連性a3として「蛋白質(コラーゲン)」を保持させる。同様に、生成機能152は、全てのボクセルについて、隣接するボクセルとの関連性を保持させる。例えば、生成機能152は、ボクセルV4に対して、ボクセルV1の方向に対応付けて関連性「骨」を保持させる。
【0032】
なお、隣接するボクセルとの関連性は、上記した組成情報に限らず、組織情報や、組織との関連を示す性質などが保持される場合でもよい。例えば、図4Bに示すように、血管の内壁表面に対応するボクセルV5に対して、血液に対応するボクセルV6と血管壁に対応するボクセルV7とが隣接しており、ボクセルV5に対して、ボクセルV6とボクセルV7との関連性を保持させる場合に、生成機能152は、隣接するボクセルに対応する組織との関連を示す性質を保持させる。
【0033】
一例を挙げると、生成機能152は、ボクセルV5において、血液に対応するボクセルV6の方向の関連性a4として、流体に対する滑り抵抗値を保持させる。また、生成機能152は、ボクセルV5において、血管壁に対応するボクセルV7の方向の関連性a5として、血管壁の組織に対するボクセルV5の組織の弾性を示すバネ定数や結合の強さを表す結合係数を保持させる。このように、生成機能152は、隣接するボクセルとの関連性として、隣接するボクセルに対して自ボクセルが持つ性質を保持させることができる。
【0034】
ここで、上述したように細胞のサイズに準じたサイズのボクセルによって標準人体モデル全体を細分化した細分化データを生成し、各ボクセルに対して自ボクセルの組成情報と、隣接するボクセルとの関連性(組成情報や、性質など)とを保持させた人体データを生成する場合、ボクセル数が膨大となり、人体データの生成に手間がかかる。そこで、生成機能152は、人体データの利用目的に応じて、記憶回路12に記憶された人体データ122におけるボクセルのサイズを仮想的に変更した人体データを生成することもできる。例えば、生成機能152は、医用画像データにおけるボクセルと同様のサイズのボクセルを有する人体データを生成して、人体データの用途に応じて、局所的にボクセルのサイズを変更可能な人体データを生成することもできる。
【0035】
かかる場合には、例えば、生成機能152は、構造データ121を用いて標準人体モデルを取得し、取得した標準人体モデルを医用画像データにおけるボクセルと同様のサイズのボクセルで細分化した細分化データを生成する。そして、生成機能152は、上述したように、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、解剖学的構造の情報に基づいて決定される隣接するボクセルとの関連性とを、細分化データの各ボクセルに対してそれぞれ保持させた人体データを生成して、記憶回路12に格納する。
【0036】
そして、生成機能152は、用途に応じた人体データ122のボクセルサイズを局所的に変化させる。一例を挙げると、生成機能152は、胸部を対象として人体データ122が利用される場合に、人体データ122における胸部のボクセルサイズを仮想的に変化させる。例えば、生成機能152は、医用画像データにおけるボクセルと同様のサイズを有する胸部のボクセルを、細胞レベルのサイズに仮想的に細分化する。ここで、仮想的に細分化された細胞レベルのボクセルには、細分化される前のボクセルに保持された各種情報に基づいて、組成情報と、データ値と、関連性とが割り当てられてもよく、或いは、上述したように、解剖学的構造の情報に基づいて、細分化された各ボクセルにそれぞれ組成情報と、データ値と、関連性とが格納されてもよい。
【0037】
このように、医用画像データにおけるボクセルと同様のサイズのボクセルを有する人体データ122を生成しておき、人体データ122の利用の目的に応じて、局所的にボクセルサイズを変更可能とすることで、人体データ122の作成の手間を省くとともに、目的に応じた人体データを容易に準備することを可能にする。
【0038】
また、生成機能152は、子供から大人への成長や、ガン細胞など、細胞の増殖に伴う組織の増大に対応するため、各ボクセルに対して予備ボクセルを付帯させた人体データを生成する。図5は、第1の実施形態に係る人体データにおける予備ボクセルを説明するための図である。なお、図5においては、ボクセルV1に対して予備ボクセルを付帯させた状態を示すが、実際には、全てのボクセルに対して図示した予備ボクセルが付帯される。
【0039】
例えば、生成機能152は、図5のボクセルV1に示すように、人体データのボクセルV1に対して破線で示す複数の予備ボクセルV1aを付帯させる。ここで、予備ボクセルV1aは、細胞の増殖に応じて利用されるボクセルであり、通常は不可視化された状態(使用しない状態)で保持される。すなわち、生成機能152は、図5に示すように、ボクセルV1に対してボクセルV2が隣接し、ボクセルV2との関連性a1をボクセルV1に保持させた人体データを生成する。
【0040】
そして、子供から大人への成長や、ガン細胞などの細胞増殖によって体積が増大した人体データを生成する際に、生成機能152は、細胞増殖によって増大した組織に対応するボクセルとして、可視化させ、使用する状態とした予備ボクセルを用いる。例えば、生成機能152は、ボクセルV1に付帯された予備ボクセルV1aのうち、増大した体積に相当する数の予備ボクセルを可視化させて、可視化させた予備ボクセルV1aに対して組成情報などを保持させるとともに、位置情報を更新することで、人体データを生成する。その際、隣接するボクセル間で保持される関連性の情報も更新される。
【0041】
このように、人体データに予備ボクセルを付帯させることで、人体データを再構築することなく、大きさの異なる人体データを容易に生成することができる。なお、各ボクセルに付帯される予備ボクセルの数は任意であるが、想定される最大の増加量に対応可能となる数を付帯させるようにしてもよい。
【0042】
また、生成機能152は、人体データの各ボクセルに組織の性質に関する情報を保持させることもできる。例えば、生成機能152は、形状が変化や、関節の動きによって位置が変化するボクセルに対して可動範囲や変化量を示す情報を保持させることができる。図6は、第1の実施形態に係る人体データにおけるボクセルの位置変化を説明するための図である。ここで、図6においては、人体データのボクセルを2次元で示す。
【0043】
例えば、図6に示すボクセルV11~V18が、ボクセルV14を支点として、屈曲・伸展する関節に対応するボクセルである場合、生成機能152は、ボクセルV14に対して可動範囲や変化量を示す情報を保持させる。一例を挙げると、生成機能152は、解剖学的構造の情報に基づいて、ボクセルV14に対して、屈曲時に屈曲方向(図中、下方向)に90°回転する旨の情報を保持させる。これにより、ボクセルV11~V18について、伸展時の人体データ(図6の上段)と、屈曲時の人体データ(図6の下段)とを容易に生成することができる。
【0044】
上述したように、生成機能152は、細胞レベルのサイズのボクセルで形成した細分化データの各ボクセルに対して、組成情報や、データ値、隣接するボクセルとの関連性などを保持させた人体データを生成する。そして、生成機能152は、生成した人体データを記憶回路12に格納する。
【0045】
このように生成された人体データを用いることで、解析機能153は、種々の解析を行うことができる。具体的には、解析機能153は、人体データ122のボクセルのデータを用いて解析処理を行い、解析処理結果を出力する。例えば、解析機能153は、人体データのボクセルのデータを用いて、医用画像診断装置による撮像のシミュレーション画像を求める。図7は、第1の実施形態に係る解析機能153によるシミュレーションの一例を説明するための図である。ここで、図7においては、人体データ122を用いたCTスキャンのシミュレーションの一例を示す。
【0046】
ここで、人体データ122は、細分化された各ボクセルにおいて、解剖学的構造に基づいて推定されたCT値あるいはX線減弱係数がそれぞれ保持されている。したがって、このような人体データ122を用いることで、仮想的なCTスキャンが可能となる。
【0047】
例えば、解析機能153は、図7に示すように、仮想X線管5と、仮想X線検出器6とを用いて、人体データ122の仮想スキャンを実行する。具体的には、解析機能153は、仮想X線管5から照射され、仮想X線検出器6における検出素子61に入射されるX線が通過した各ボクセルのCT値あるいはX線減弱係数を用いて、検出素子61におけるX線の強度を算出する。同様に、解析機能153は、仮想X線検出器6における全ての検出素子についてX線の強度を算出することで、図7で示す仮想X線管5の位置からのX線投影データを収集する。そして、解析機能153は、仮想X線管5と仮想X線検出器6を回転させながら、各方向からのX線投影データを収集し、画像再構成を行うことで、人体データ122の仮想CTスキャンを実行する。
【0048】
ここで、生成機能152によって生成される人体データ122は、ボクセルのサイズが変更可能であるため、仮想X線管5における焦点サイズや、仮想X線検出器6における検出素子のサイズを小さくした場合でも、解析機能153は、透過するX線の吸収を正確に計算することができる。例えば、シミュレーションの対象となる部位のボクセルをより小さくする(例えば、細胞レベルまで小さくする)ことで、仮想X線管5における焦点サイズや、仮想X線検出器6における検出素子のサイズを小さくした場合でも、X線が通過する各ボクセルにおけるCT値あるいはX線減弱係数の違いを反映させた仮想的なCT画像データを収集することができる。したがって、解析機能153は、人体データ122を用いることにより、現時点で実現することが困難な焦点サイズ及び検出素子のサイズを有する仮想X線管5及び仮想X線検出器6を用いた仮想CTスキャンをシミュレーションにより実現することができる。
【0049】
例えば、解析機能153は、種々の条件の仮想X線管5及び仮想X線検出器6を用いた仮想CTスキャンを行い、種々のデータを収集する。収集されたこれらのデータを解析することで、X線管及びX線検出器の開発効率の向上に寄与することができる。
【0050】
また、例えば、解析機能153は、人体データ122の仮想CTスキャンによって得られたX線投影データに対して種々の手法の再構成を行い、再構成データを収集する。収集されたこれらの再構成データを解析することで、例えば、より解像度の高いCT画像データに適した再構成手法の開発に寄与することができる。
【0051】
また、例えば、解析機能153は、人体データ122の仮想CTスキャンによって得られたX線投影データに対して種々の手法のフィルタリング処理を行い、処理結果を収集する。収集されたこれらの処理結果を解析することで、例えば、ノイズ低減や、散乱線除去、種々のアーチファクトの低減に効果が高いフィルタリング処理の開発に寄与することができる。
【0052】
また、生成機能152によって生成される人体データ122は、各ボクセルが、組成情報や、隣接するボクセルとの関連性を保持しているため、各ボクセルが保持するデータ値に基づくシミュレーション結果に対して、組成情報や隣接ボクセルとの関連性を加味することで、より精度の高いシミュレーションを実現することができる。
【0053】
例えば、解析機能153は、人体データ122に対して、各ボクセルに保持されているMRIに関わるパラメータであるT1値、T2値、PD(Proton Density)値などを用いて、種々のMRIにおけるパルスシーケンスを用いた仮想MRスキャンを実行して、仮想MRスキャンによって得られたMR画像データと、各ボクセルに保持された組成情報とを比較することで、目的により適したパルスシーケンスの開発に寄与することができる。
【0054】
例えば、解析機能153は、MR画像データのボクセルサイズ、撮像範囲などの撮像パラメータを種々変更する設定機能と、人体データ122と撮像パラメータに基づいて解析処理を行い、この撮像パラメータでMRスキャンを実施した時に得られるMR画像を求める画像生成機能を備えている。
【0055】
人体データ122は、細分化された各ボクセルにおいて、T1値、T2値、PD値などがそれぞれ保持されている。そこで、解析機能153は、撮影パラメータのボクセルサイズに合わせて、人体データ122のボクセルの統合/分割処理を行う。ボクセルの統合/分割処理では、ボクセルの保持しているT1値、T2値、或いは、PD値などの値に対して、平均化や加重平均などの演算処理を行い統合/分割したボクセルに対応するT1値、T2値、或いは、PD値などを求める。解析機能153は、このボクセルサイズを種々変化させた人体データ122に基づいて仮想MRスキャン画像を生成して出力する。
【0056】
また、例えば、解析機能153は、人体データ122に対して、各ボクセルに保持されている超音波イメージングに関わるパラメータである音響インピーダンス値を用いて、仮想超音波画像を出力することができる。
【0057】
例えば、超音波診断装置による超音波画像は、超音波プローブのジオメトリ(超音波を送受信する振動子のピッチ、振動子の数、振動子の配置形状(セクタ、コンベックスなど))、撮像パラメータ(振動子の送受信のタイミングや駆動強度など)に応じて決まる。解析機能153は、超音波プローブのジオメトリに関する情報や撮像パラメータの情報などを記憶回路12に記憶させる設定機能と、人体データ122の音響インピーダンス値、超音波プローブのジオメトリの情報、撮像パラメータの情報に基づいて解析処理を行い、この撮像パラメータで超音波スキャンを実施した時に得られる超音波画像を求める画像生成機能を備えている。
【0058】
画像生成機能は、超音波プローブのジオメトリと撮像パラメータに基づいて、超音波プローブの各振動子で発生する超音波を求める。そして発生した超音波の人体データ122の音響インピーダンス値で定義された人体モデル内での伝搬をシミュレーションし、各振動子で受信される超音波の受信信号を求める。この超音波の受信信号に基づいて、仮想超音波画像を生成して出力する。
【0059】
また、例えば、解析機能153は、各ボクセルにおける関連性に情報を用いて、関節の動きや、血管内の血流の動きなどをシミュレーションによって求め、これらのシミュレーション結果を用いて、仮想的な医用画像を収集することもできる。一例を挙げると、解析機能153は、血管内の血流の動きのシミュレーション結果を用いて、超音波による血流画像をシミュレーションによって取得することができる。
【0060】
また、生成機能152によって生成される人体データ122は、各ボクセルに対して予備ボクセルが付帯されているため、予備ボクセルを用いたシミュレーションに利用することができる。図8は、第1の実施形態に係る解析機能153によるシミュレーションの一例を説明するための図である。
【0061】
例えば、解析機能153は、図8に示すように、ボクセルV1がガン化して、増殖した状態の人体データを、複数の予備ボクセルV1aのうち予備ボクセルV21~V26を用いて生成する。そして、解析機能153は、ボクセルV1と予備ボクセルV21~V26におけるガンの悪性度を種々変更させた人体データをそれぞれ生成する。すなわち、解析機能153は、ガンの悪性度に応じて、データ値を変更する。そして、解析機能153は、このように生成された複数の人体データを用いて仮想スキャンを実行することで、ガンの状態に応じたシミュレーション結果を取得することができる。
【0062】
次に、医用情報処理装置1による処理の手順について説明する。図9は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1による処理の手順を示すフローチャートである。ここで、図9は、人体データ122の生成処理の手順の一例を示す。なお、図9におけるステップS101~ステップS106は、処理回路15が、生成機能152に対応するプログラムを記憶回路12から読みだして実行することで実現される。
【0063】
図9に示すように、処理回路15は、構造データ121に基づいて取得した標準人体モデルを細胞レベルのボクセルサイズで細分化して(ステップS101)、解剖学的構造に基づいて、各ボクセルに組成情報を格納する(ステップS102)。そして、処理回路15は、解剖学的構造に基づく各ボクセルの組成に基づいて、各ボクセルに標準のデータ値を格納する(ステップS103)。
【0064】
さらに、処理回路15は、各ボクセルの組成に基づいて、細胞の性質を格納して(ステップS104)、隣接するボクセルの組成に基づいて、隣接するボクセルとの関連性を各ボクセルに格納する(ステップS105)。そして、処理回路15は、生成した人体データを記憶回路12に格納する(ステップS106)。
【0065】
図10は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1による処理の手順を示すフローチャートである。ここで、図10は、人体データ122を用いた解析処理の手順の一例を示す。なお、図10におけるステップS201~ステップS206は、処理回路15が、解析機能153に対応するプログラムを記憶回路12から読みだして実行することで実現される。
【0066】
例えば、入力インターフェース13を介して解析処理に関する指示を受け付けると、図10に示すように、処理回路15は、解析内容を取得して(ステップS201)、記憶回路12から解析対象となる部位の人体データ122を読み出す(ステップS202)。そして、処理回路15は、解析内容に基づいてボクセルサイズを変更するか否かを判定する(ステップS203)。
【0067】
ここで、ボクセルサイズを変更する場合には(ステップS203、肯定)、処理回路15は、解析対象となる部位の人体データ122のボクセルサイズを解析内容に応じて変更して(ステップS204)、ボクセルサイズを変更した人体データ122を用いた解析を実行する(ステップS105)。なお、ステップS203においてボクセルサイズを変更しない場合には(ステップS203、否定)、処理回路15は、記憶回路12から読み出した人体データ122を用いた解析を実行する(ステップS205)。そして、処理回路15は、解析結果を出力する(ステップS206)。
【0068】
上述したように、第1の実施形態によれば、記憶回路12は、複数のボクセルで構成された人体データ122を記憶する。生成機能152は、前記人体データの各ボクセルに対して、人体の解剖学的構造の情報に基づく組成情報と、医用画像データに基づくデータ値と、隣接するボクセルとの関連性とを、それぞれ記憶させて人体データを生成する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、種々の条件の撮像シミュレーションを行うことができる人体データを生成することができ、種々の解析に利用可能な人体データを提供することを可能にする。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、生成機能152は、解剖学的構造の情報に基づいて、細分化データを構成する各ボクセルに対応する人体の組織をそれぞれ特定し、特定した組織の組成情報を各ボクセルに対してそれぞれ保持させる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、解剖学的構造に基づく組成情報を用いた解析を行うことを可能にする。
【0070】
また、第1の実施形態によれば、生成機能152は、隣接するボクセルにおける組成情報、及び、隣接するボクセルに対応する組織との関連を示す性質のうち少なくとも一方で示される関連性を、細分化データの各ボクセルに対してそれぞれ保持させる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、各ボクセルについて、周囲の組織の情報を考慮した解析を行うことを可能にする。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、生成機能152は、人体データの利用目的に応じて、記憶回路12に記憶された人体データ122におけるボクセルのサイズを仮想的に変更した人体データを生成する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、目的に応じてボクセルサイズを変更した撮像シミュレーションを行うことを可能にする。例えば、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、細胞レベルの情報を用いた撮像シミュレーションを行うことも可能にする。
【0072】
また、第1の実施形態によれば、生成機能152は、複数のボクセルに対して、不可視化させた予備ボクセルをそれぞれ付帯させた細分化データを形成する。また、生成機能152は、細胞増殖によって増大した組織に対応するボクセルとして、可視化させた予備ボクセルを用いる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、細胞増殖に伴って増大した場合の人体データを容易に生成することを可能にする。
【0073】
また、第1の実施形態によれば、解析機能153は、人体データのボクセルのデータを用いて解析処理を実行し、解析処理結果を出力する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、種々の解析を行うことを可能にする。
【0074】
また、第1の実施形態によれば、解析機能153は、人体データのボクセルのデータを用いて、医用画像診断装置による撮像のシミュレーション画像を求める。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、種々のシミュレーション画像を取得することを可能にする。
【0075】
また、第1の実施形態によれば、解析機能153は、各ボクセルのパラメータ(データ値)を用いてシミュレーションによって仮想イメージングを行うことができる。これらの複数の仮想イメージングによる画像は例えば、機械学習における教師データとして利用することを可能とする。
【0076】
一例を挙げると、解析機能153は、ガンの悪性度に応じて、各ボクセルに保持されたパラメータ(データ値)を変更した複数の人体データ122を生成し、生成した各人体データ122を用いて仮想スキャンをそれぞれ実行する。解析機能153は、仮想スキャンによって得られたシミュレーション画像を、ガンの悪性度にそれぞれ対応付けて記憶回路12に格納する。これらのシミュレーション画像は、ガンの悪性度ごとの教師データとして利用することができる。
【0077】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、人体データ122を生成して、解析に用いる例について説明した。第2の実施形態では、人体データを個人データの蓄積に用いる例について説明する。図11は、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aの構成の一例を示すブロック図である。なお、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1と比較して、記憶回路12aに医用画像データ123及び個人データ124を記憶する点と、処理回路15aが位置合わせ機能154及び格納機能155を実行する点が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0078】
図11に示すように、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、ネットワーク200を介して画像保管装置2と接続され、医用情報処理システム100に含まれる。画像保管装置2は、図示しない医用画像診断装置によって収集された医用画像を保管する。なお、医用画像診断装置は、例えば、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。
【0079】
画像保管装置2は、サーバ装置などによって実現され、医用画像診断装置から受信した医用画像データを自装置の記憶回路に保管する。また画像保管装置2は、医用情報処理装置1aに対して医用画像データを送信する。
【0080】
第2の実施形態に係る記憶回路12aは、医用画像データ123及び個人データ124を記憶する。医用画像データ123は、医用画像診断装置によって被検体から収集され、画像保管装置2によって記憶された3次元の医用画像データある。制御機能151は、通信インターフェース11を介して、画像保管装置2から被検体ごとに医用画像データ123を取得して、記憶回路12aに格納する。
【0081】
個人データ124は、処理回路15aの処理によって生成され、格納されたデータである。具体的には、個人データ124は、人体データ122に個人の検査結果が格納されたデータである。
【0082】
位置合わせ機能154は、人体データ122と、被検体から収集した3次元の医用画像データ123との位置合わせを実行する。例えば、位置合わせ機能154は、人体データ122の解剖学的構造の情報に基づいて、人体データ122に含まれる解剖学的特徴点(Anatomical Landmark)を抽出する。また、位置合わせ機能154は、3次元の医用画像データに含まれる解剖学的特徴点を抽出する。ここで、解剖学的特徴点とは、特定の骨や臓器、血管、神経、内腔などの部位の特徴を示す点である。
【0083】
そして、位置合わせ機能154は、人体データ122に含まれる解剖学的特徴点と、3次元の医用画像データに含まれる解剖学的特徴点とを比較して、対応する解剖学的特徴点が一致するように画像変形を行うことで、人体データ122と医用画像データ123との位置合わせを実行する。
【0084】
格納機能155は、位置合わせの結果に基づいて、医用画像データ123のボクセルに対応する人体データ122におけるボクセルを特定し、特定したボクセルに対して医用画像データ123のボクセルにおけるデータ値を保持させた個人データを記憶回路12aに格納する。ここで、格納機能155は、記憶回路12aに記憶された人体データ122のボクセルサイズに応じた格納処理を行う。例えば、記憶回路12aに記憶された人体データ122のボクセルサイズが、医用画像データ123のボクセルサイズと同じ場合、格納機能155は、医用画像データ123の各ボクセルの値を、人体データ122の対応するボクセルにそれぞれ格納することで、個人データ124を生成する。
【0085】
一方、記憶回路12aに記憶された人体データ122のボクセルサイズが、医用画像データ123のボクセルサイズとよりも小さい場合(例えば細胞レベルなど)、格納機能155は、医用画像データ123における1ボクセルに対応する複数のボクセルを人体データ122から抽出する。そして、格納機能155は、抽出した複数のボクセル全てに対して、対応する1ボクセルのデータ値をそれぞれ格納した個人データ124を生成する。
【0086】
例えば、格納機能155は、被検体Aの胸部から収集したCT画像データにおける1ボクセルのCT値あるいはX線減弱係数を、人体データから抽出した複数のボクセルに対してそれぞれ格納する。同様に、格納機能155は、CT画像データにおける全てのCT値あるいはX線減弱係数を、人体データにおいて対応する複数のボクセルに対してそれぞれ格納することで、被検体Aの個人データを生成して、記憶回路12に格納する。
【0087】
ここで、格納機能155は、同一の被検体から収集した医用画像データのデータ値を同一の人体データ122に対して格納する。例えば、被検体Aが、腹部の超音波画像データ、頭部のMR画像データをさらに収集している場合、位置合わせ機能154は、CT値あるいはX線減弱係数を格納した人体データ122と、各医用画像データとの位置合わせを実行する。格納機能155は、位置合わせ結果に基づいて、CT値あるいはX線減弱係数を格納した人体データ122の各ボクセルに対して、超音波画像データのデータ値と、MR画像データのデータ値とをさらに格納する。
【0088】
すなわち、格納機能155は、1つの人体データに対して同一被検体の全てのデータを格納することで、個人データ124によるデータの一元管理を実現することを可能にする。
【0089】
また、格納機能155は、医用画像データの再構成前後のデータを人体データに関連付けて格納する。具体的には、格納機能155は、医用画像データの収集位置に相当する人体データ内の位置に再構成前後のデータを対応付けて記憶させる。これにより、被検体の標準データを読み出すだけで、元データを用いた処理を行うことができる。
【0090】
また、格納機能155は、個人データに対して、被検体の被検体情報を付帯させることができる。例えば、格納機能155は、被検体の電子カルテデータ、氏名、性別、生年月日、顔写真、ゲノム情報、PHデータ、日常行動のデータ(体重、血圧、運動量、塩分、尿データなど)を、個人データ124に対応付けて格納する。ここで、日常行動のデータは、種々のウェアラブルデバイスや、トイレに付けたセンサで尿成分を解析するIoTトイレなどにより日常的に収集され、通信機器を介して医用情報処理装置1aに送信される。医用情報処理装置1aは、受信した日常行動のデータを、IDに基づいて対応する個人データに対応付けて管理する。
【0091】
制御機能151は、個人データ124の読み出し要求に応じて、記憶回路12から対象となる個人データ124を読み出して、出力する。ここで、個人データ124の読み出しにおいては、個人の認証処理が実行される。例えば、制御機能151は、IDの入力及び顔認証による認証された場合に、記憶回路12から対象となる個人データ124を読み出して、出力する。
【0092】
上述したように、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、実際に被検体から収集した医用画像データや、被検体情報を、人体データ122を用いてまとめた個人データ124を生成して管理する。例えば、医用情報処理装置1aによって多数の被検体の個人データ124を蓄積して管理することで、蓄積した個人データ124を他者に提供するシステムを構築することができる。
【0093】
図12は、第2の実施形態に係るデータ管理システムの概要を説明するための図である。図12に示すように、第2の実施形態に係るデータ管理システムは、ネットワーク上に医用情報処理装置1aが配置され、個人から取得したデータを用いて上述した個人データの蓄積を行う。医用情報処理装置1aは、管理会社3によって運用管理される。管理会社3は、医用情報処理装置1aによって生成される個人データを蓄積するデータベース31を有する。
【0094】
管理会社3は、データ管理システムの利用を所望する個人に対して、データを提供していることを示す証憑として管理冊子を発行するとともに、IDを発行して、認証情報(顔写真)の提供を受ける。個人は、管理冊子を自身で管理して、医療機関において検査をうけた際に、管理会社3に対する医用画像データの提供を医療機関に申請する。
【0095】
医療機関は、個人からの申請に応じて、検査によって収集された医用画像データ、電子カルテデータなどを管理会社3に提供する。管理会社3は、医療機関から提供されたデータを用いて個人データ124を生成して、データベース31に蓄積する。また、個人は、日常行動データを管理会社3に送信することで、自身の個人データ124に情報を蓄積させる。ここで、医療機関から管理会社にデータが提供された場合、及び、日常行動データを管理会社3に送信した場合、個人が管理する管理冊子に、データの提供日時、提供内容などが記帳可能となる。個人は、管理冊子を記帳することで、現在の個人データ124の状態を把握することができる。
【0096】
管理会社3は、データ管理システムを多数の個人に利用してもらうことで、多数の個人データ124を蓄積する。ここで、管理会社3は、データ管理システムを多数の個人に利用してもらうため、例えば、データの提供に対して手数料を支払うなどしてもよい。
【0097】
上述したように、多数の個人にデータ管理システムを利用してもらい、個人データが蓄積されると、管理会社3は、蓄積した個人データを提供するデータ提供サービスを運用する。例えば、管理会社3は、データ提供サービスを受ける提供先4に対して、提供内容に応じた手数料と引き換えに、個人データ124を提供する。
【0098】
ここで、管理会社3から提供先4に対して提供される個人データは、個人から利用許諾を受けたデータのみが提供されるように、データ提供サービスが運用される。例えば、管理会社3は、個人からデータ提供サービスの利用が申し込まれた際に、他者へのデータ提供を許諾するか否かを個人に確認する。許諾するか否かが確認されると、格納機能155は、被検体の被検体情報として、利用許諾の有無を個人データに付帯させて、データベース31に格納する。
【0099】
制御機能151は、提供先4からのデータ提供サービスの利用要求に応じて、利用許諾が付帯された個人データを出力する。例えば、提供先4である医療機関は、個人データに付帯された医用画像データを再利用することで、自機関での検査の合理化を図ることができる。また、提供先4である製薬会社は、個人データに付帯されたゲノム情報を研究開発に利用することができる。
【0100】
また、管理会社3は、データ提供サービスで人体データ122を提供することもできる。上述したように、人体データ122は、ボクセルのサイズを任意に変更することができ(例えば、細胞レベルまで小さくするなど)、仮想X線管5における焦点サイズや、仮想X線検出器6における検出素子のサイズを小さくした場合でも、透過するX線の吸収を正確に計算することができる。したがって、人体データ122を用いることにより、様々な焦点サイズ及び検出素子のサイズを有する仮想X線管5及び仮想X線検出器6を用いた仮想CTスキャンをシミュレーションにより実現することができる。
【0101】
そこで、提供先4である医療機器メーカーは、人体データ122の提供サービスを受け、自社が設定する条件で、人体データ122に対する仮想CTスキャンをシミュレーションすることにより、製品の開発効率を向上させることができる。
【0102】
また、人体データ122における各ボクセルは、種々の医用画像診断装置(MRI装置、超音波診断装置、PET装置など)に関する標準のデータ値を保持している。したがって、提供先4である医療機器メーカーは、各種の医用画像診断装置について、人体データ122に対する仮想スキャンを実行して、種々の条件における画像をシミュレーションで求めることにより、各種の医用画像診断装置について製品の開発効率を向上させることができる。
【0103】
また、人体データ122における各ボクセルは、隣接するボクセルとの関連性を保持している。そこで、提供先4である医療機器メーカーは、隣接するボクセルとの関連性の情報を用いて関節の動きや、血管内の血流の動きをシミュレーションで求める。そして、医療機器メーカーは、種々の医用画像診断装置において種々の条件での撮像シミュレーション結果を実行することで、関節の動きや、血流の動きに関する撮像手法の開発効率を向上させることができる。
【0104】
管理会社3は、蓄積した個人データ124及び人体データ122を提供先4に提供して、手数料を受け取ることにより、上記したデータ提供サービスを運用管理する。例えば、管理会社は、個人データ124及び人体データ122の提供のみを行ってもよく、或いは、個人データ124及び人体データ122の提供及び当該データを用いた解析の提供を行ってもよい。
【0105】
ここで、上記した人体データ122(個人データ124)のデータサイズについて説明する。人体データ122を、細胞レベルのボクセルサイズで生成する場合、例えば、人体を、「頭部:30cm3」、「胸部・腹部:70cm×40cm×30cm」、「脚:(70cm×20cm×20cm)×2」、「腕(50cm×10cm×10cm)×2」とし、細胞のサイズを「10μm」とする。各ボクセルには、組成情報、データ値及び関連性のデータが対応付けて記憶される。複数時間のデータを蓄積する場合は、例えば、この人体を100フレーム分準備すれば良い。
【0106】
人体データ122は、各ボクセルが予備ボクセルを備えているが、この予備ボクセルを不可視化(使用しないボクセルとしてデータサイズを小さくする)することで、位置に応じて「1/8」、或いは、「1/64」などにデータサイズを削減することができる。
【0107】
上記した体積の人体データ122を、細胞レベルのサイズのボクセルで生成する場合、ボクセル数が膨大となり、トータルデータ容量は大きくなる。そこで、上記実施形態で説明したように、人体データ122をより大きなボクセル(例えば、医用画像データ123のボクセルサイズと同じ)で生成することにより、トータルデータ容量の増大を抑えた人体データ122を実現することが可能となる。
【0108】
上述したように、第2の実施形態によれば、位置合わせ機能154は、人体データと、被検体から収集した医用画像データとの位置合わせを実行する。格納機能155は、位置合わせの結果に基づいて、医用画像データのボクセルに対応する人体データにおけるボクセルを特定し、特定したボクセルに対して医用画像データのボクセルにおけるデータ値を保持させた個人データを記憶回路12に格納する。したがって、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、人体データを用いて、個人データを一元管理することを可能にする。
【0109】
また、第2の実施形態によれば、格納機能155は、個人データに対して、被検体の被検体情報を付帯させる。したがって、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、個人の種々のデータを含めて一元管理することを可能にする。
【0110】
また、第2の実施形態によれば、格納機能155は、被検体の被検体情報として、利用許諾の有無を付帯させた個人データを、データベース31に蓄積させる。制御機能151は、個人データの利用者からの利用要求に応じて、利用許諾が付帯された個人データを出力する。従って、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1aは、個人の承認のもと、個人データを運用管理することを可能にする。
【0111】
(その他の実施形態)
さて、これまで第1~第2の実施形態について説明したが、上述した第1~第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0112】
上述した実施形態では、人体データ122の生成と、人体データ122を用いた解析とを医用情報処理装置1、1aで行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、それぞれの処理を別の装置が実行する場合でもよい。すなわち、上述した人体データ122の生成に関する処理のみを実行する人体データ生成装置としての医用情報処理装置と、人体データ122を用いた解析に関する処理のみを実行する解析装置としての医用情報処理装置とが、それぞれ構成される場合でもよい。
【0113】
各実施形態において説明した医用情報処理装置においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12、12aへ記憶されている。処理回路15、15aは、記憶回路12、12aからプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15、15aは、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、上記した各実施形態においては、各処理機能が単一の処理回路15、15aによって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路15、15aは、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路15、15aが有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0114】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路12、12aに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0115】
なお、上述した各実施形態においては、記憶回路12、12aが各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、複数の記憶回路を分散して配置し、処理回路15、15aは、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0116】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0117】
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、医用情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0118】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、種々の解析に利用可能な人体データを提供することができる。
【0119】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0120】
1、1a 医用情報処理装置
151 制御機能
152 生成機能
153 解析機能
155 格納機能
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12