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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】筒状体支持部材、筒状体収納箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20241001BHJP
   B65D 59/06 20060101ALI20241001BHJP
   B65D 77/26 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
B65D81/05 500A
B65D59/06
B65D77/26 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020160754
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053878
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(72)【発明者】
【氏名】高橋 留莉子
(72)【発明者】
【氏名】矢島 朋幸
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-051540(JP,A)
【文献】特開2015-113171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 59/06
B65D 77/26
B65D 85/671
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体の端部を支持する筒状体支持部材であって、
前記筒状体の端部の周面に接する孔部と、
前記筒状体の端面を覆う蓋部と、を有し、
前記孔部の内周面から外方に広がり、前記筒状体の周面から突出する突起部が挿入される溝部が形成されていることを特徴とする筒状体支持部材。
【請求項2】
前記孔部は、板状材を重ねたものから形成されていることを特徴とする請求項1に記載の筒状体支持部材。
【請求項3】
前記孔部および前記蓋部は、1つの板状材を折り曲げて重ねることによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の筒状体支持部材。
【請求項4】
前記蓋部は矩形を成し、角部が面取り形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の筒状体支持部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の筒状体支持部材を備えた筒状体収納箱であって、
箱本体と、前記箱本体の上面および底面に配された前記筒状体支持部材とを有し、前記筒状体の一方の端部と他方の端部とを、それぞれ前記筒状体支持部材で支持し、前記筒状体を前記箱本体の内面から離間させて収納することを特徴とする筒状体収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体を支持する筒状体支持部材とこれを備えた筒状体収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
両端に開口を有する筒状体を箱体に収容して輸送する際には、輸送時の振動などによって筒状体どうしが衝突したり、筒状体と箱体の内面との擦れが生じ、筒状体が破損しやすいという課題があった。
このため、箱体の内部に緩衝材を詰めるなどして、輸送時の筒状体の揺動を防止する方法が一般的である。
また、特許文献1には、段ボール箱に対して、上面及び底面の内側及び外側の突き合わせた部分に形成した延長部を段ボール箱の内側に折り曲げることによって、ロールの内側面に接して支持する支持部を備えたロール収納箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-020029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたようなロール収納箱は、段ボール箱の上面及び底面に形成した延長部を段ボール箱の内側に折り曲げるだけの簡易な構成であるため、被収容物がロール紙のように軽量で短尺でのものであれば揺動せずに支持できるが、被収容物が重くて長尺な筒状体の場合、輸送時の振動によって延長部が変形、破損してしまい、長期かつ酷な輸送環境においては、搬送、積込み、積層保管などのタイミングで、筒状体の損傷につながる懸念があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、重量が大きく、長尺な筒状体を支持した際に、振動や外部応力が加わっても変形することなく確実に支持可能な筒状体支持部材とこれを備えた筒状体収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の筒状体支持部材は、筒状体の端部を支持する筒状体支持部材であって、前記筒状体の端部の周面に接する孔部と、前記筒状体の端面を覆う蓋部と、を有し、前記孔部の内周面から外方に広がり、前記筒状体の周面から突出する突起部が挿入される溝部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の筒状体支持部材によれば、筒状体支持部材の孔部に筒状体の端部を挿入することにより、孔部の内周面は、筒状体の端部の周面を取り巻くように接する。これにより、重量が大きく、長尺な筒状体であっても、安定して支持することが可能であり、かつ、蓋の一部を筒状体の中空部に折り曲げる構成などと比較して、強度が保たれ、屈曲や破損などが生じる虞が無い。
【0008】
また、本発明では、前記孔部は、板状材を重ねたものから形成されていてもよい。
【0009】
また、本発明では、前記孔部および前記蓋部は、1つの板状材を折り曲げて重ねることによって形成されていてもよい。
【0010】
また、本発明では、前記蓋部は矩形を成し、角部が面取り形状に形成されていてもよい。
【0011】
本発明の筒状体収納箱は、前記各項に記載の筒状体支持部材を備えた筒状体収納箱であって、箱本体と、前記箱本体の上面および底面に配された前記筒状体支持部材とを有し、前記筒状体の一方の端部と他方の端部とを、それぞれ前記筒状体支持部材で支持し、前記筒状体を前記箱本体の内面から離間させて収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重量が大きく、長尺な筒状体を支持した際に、振動や外部応力が加わっても変形することなく確実に支持可能な筒状体支持部材とこれを備えた筒状体収納箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の筒状体支持部材を示す外観斜視図である。
図2図1におけるAーA’線に沿った筒状体支持部材の断面を示す断面図である。
図3図1に示す筒状体支持部材の折り畳み前の状態を示す平面図である。
図4】折り畳み前の状態の筒状体支持部材を折り畳む手順を段階的に示した説明図である。
図5】折り畳み前の状態の筒状体支持部材を折り畳む手順を段階的に示した説明図である。
図6】本発明の一実施形態の筒状体収納箱を示す断面図である。
図7】筒状体収納箱の蓋部分を取り除いた状態で上から見た時の平面図である。
図8】一実施形態の散気管を示す外観斜視図である。
図9図8の散気管の分解斜視図である。
図10図8の散気管の要部拡大断面図である。
図11】弾性膜体に複数個の通気孔を一括して形成する手順を段階的に示した要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の筒状体支持部材とこれを備えた筒状体収納箱について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
(筒状体支持部材)
図1は、本発明の一実施形態の筒状体支持部材を示す外観斜視図である。また、図2は、図1におけるAーA’線に沿った断面を示す断面図である。
本実施形態の筒状体支持部材10は、被収容物である筒状体Pの端部が挿入可能に形成され、この筒状体Pを保持する部材である。筒状体は、内部が空洞のものであっても、中実なものであっても支持可能である。筒状体の外形形状は、例えば、円筒状、四角筒状、楕円筒状、多角形筒状など、どのような外形形状のものであっても良く、限定されるものではない。本実施形態では、略円筒形の筒状体Pを支持する筒状体支持部材10について説明する。
【0016】
筒状体支持部材10は、筒状体Pの端部の周面Pfに接する孔部11が形成された支持体12と、筒状体Pの端面Peを覆う蓋部片(蓋部)13と、を有する。
支持体12は、中心に孔11aが形成された平板状の板状材からなる支持体片12aを複数枚積み重ねたものから構成されている。本実施形態では、支持体12は、3枚の支持体片12aを積み重ねたものから構成されている。
【0017】
なお、孔部11が形成された支持体12を構成する支持体片12aは3枚に限定されるものではなく、支持する筒状体Pのサイズなどに合わせて、適宜、必要な枚数が積み重ねられれば良い。支持体片12aの積み重ね枚数を増やせば、孔部11の深さが増加し、筒状体Pの端面Peをより深く挿入できるため、支持安定性が向上する。
【0018】
支持体12に形成された孔部11は、支持する筒状体Pの端部の断面形状に合わせた円形の開口形状になるように形成されている。孔部11は、略円筒形の筒状体Pの直径と同一か、それよりも僅かに小さい開口径になるように形成されている。
【0019】
孔部11には、この孔部11の内周面から外方に広がった溝部15が形成されている。本実施形態では、この溝部15は、孔部11の内周面に連接して外方に広がる断面略半円形に形成されている。こうした溝部15は、筒状体Pを孔部11に挿入した際に、筒状体Pの周面から突出するように形成された突起部Prが挿入される。
【0020】
本実施形態では、筒状体Pに1か所の突起部Prが形成されるのに対して、溝部15は孔部11に4か所形成されている。例えば、溝部15は、孔部11の円周に沿って、互い90°ずつ離間した位置にそれぞれ形成されている。
【0021】
これにより、筒状体Pを筒状体支持部材10の孔部11に挿入する際に、突起部Prと溝部15の位置がズレていても、筒状体Pを90°未満の角度で回転させるだけで、4か所いずれかの溝部15に突起部Prが入り込むようになり、溝部15が1か所だけ形成した場合と比較して、筒状体Pの挿入時の作業性が向上する。
なお、溝部15は、孔部11に1か所~3か所形成してもよく、あるいは5か所以上形成することもできる。
【0022】
蓋部片(蓋部)13は、支持体12に形成された孔部11の一方の開口面を塞ぐように、支持体12に積み重ねられる、孔の無い平板状の板状材である。なお、この蓋部片(蓋部)13は、中心に筒状体Pの外形よりも小径の孔が形成されていてもよい。
【0023】
こうした支持体12を構成する複数の支持体片12aと蓋部片(蓋部)13の外形形状はほぼ同一の形状、本実施形態では略矩形状に形成されている。
そして、この略矩形状の蓋部片(蓋部)13および支持体片12aを積み重ねた支持体12の4隅の角部のうち、隣接する2つの角部が面取りされた面取部14が形成されている。
【0024】
支持体12を構成する1つの支持体片12aは、矩形の4辺のうちの少なくとも1辺で、他の支持体片12a、または蓋部片(蓋部)13と繋がっていればよい。
【0025】
図3は、図1に示す筒状体支持部材の折り畳み前の状態(展開状態)を示す平面図である。
本実施形態の筒状体支持部材10は、1枚の板状材、例えば段ボールシートによって形成されている。
折り畳み前の状態の筒状体支持部材10は、4つの部分に区画され、図3中の右上、左上、および左下の区画がそれぞれ孔11aを有する支持体片12a1,12a2,12a3とされ、右下の区画が蓋部片(蓋部)13とされている。
【0026】
このうち、支持体片12a2と支持体片12a3との間、および支持体片12a1と蓋部片13との間は折り線L1とされる。また、支持体片12a3と蓋部片13との間は切込み線L2とされる。更に、支持体片12a2と蓋部片13との間は、両端に切込みを形成して中央部分は繋げられたヒンジ線L3とされている。
【0027】
このような折り畳み前の状態の筒状体支持部材10は、1枚の段ボールシートから打ち抜きによって成形することで、低コストで容易に製造することができる。
例えば、本実施形態の筒状体支持部材10では、厚さ8mm程度の段ボールシートを用いて、それぞれの支持体片12aおよび蓋部片13の1辺が150mm、孔部の直径が100mm程度に形成している。
【0028】
なお、筒状体支持部材10は、段ボール以外にも、例えば、プラスチック段ボール、厚紙、不織布といった緩衝材として利用される材料を適宜選択できるが、成形性や耐圧性能、エコロジーの観点から段ボールを使用することが好ましい。
【0029】
図3に示す折り畳み前の状態の筒状体支持部材10は、折り曲げて重ねることにより、容易に筒状体Pを支持可能な状態の筒状体支持部材10にすることができる。
図4図5は、折り畳み前の状態の筒状体支持部材10を折り畳む手順を段階的に示した説明図である。
まず、図4(a)に示すように、折り線L1に沿って、支持体片12a1と支持体片12a2を手前側に折る。そして、図4(b)に示すように、支持体片12a1と支持体片12a2を、支持体片12a2と蓋部片13にそれぞれ重ねる。
【0030】
次に図5(a)に示すように、ヒンジ線L3に沿って支持体片12a2と支持体片12a3とが重ねられた部分を、支持体片12a1側に折り曲げる。そして、図5(b)に示すように、支持体片12a2と支持体片12a3とが重ねられた部分を、支持体片12a2と蓋部片13とが重ねられた部分に重ねる。
【0031】
こうした簡易な折り畳み手順により、折り畳み前の平板状にされた筒状体支持部材10から、図1に示すように、3枚の支持体片12aと蓋部片(蓋部)13とが積み重ねられ、筒状体Pの端部を支持可能な孔部11が形成された筒状体支持部材10を容易に形成することができる。
【0032】
以上のような構成の本実施形態の筒状体支持部材10によれば、孔部11に筒状体Pの端部を挿入することにより、孔部11の内周面は、筒状体Pの端部の周面Pfを取り巻くように接する。これにより、重量が大きく、長尺な筒状体Pであっても、安定して支持することが可能であり、かつ、蓋の一部を筒状体の中空部に折り曲げる構成などと比較して、強度が保たれ、屈曲や破損などが生じる虞が無い。
【0033】
また、本実施形態の筒状体支持部材10は、筒状体Pの端面Peを覆う蓋部片13を形成することによって、筒状体Pの端面Peに加わる外力から筒状体Pの端面Peを保護することができ、より安全に筒状体Pを保持することができる。
そこで、蓋部片13は所望とする外力保護を可能にするよう、複数枚重ねられるようにすることも好ましい。
【0034】
更に、本実施形態の筒状体支持部材10は、折り畳み前の状態では平板状であるため、大量の保管にあたっても大きなスペースを必要とせず、必要に応じて簡易な組み立て手順により、容易に筒状体Pを支持可能な折り重ね形状の筒状体支持部材10にすることができる。
【0035】
(筒状体収納箱)
図6は、本発明の一実施形態の筒状体収納箱を示す断面図である。また、図7は、筒状体収納箱の蓋部分を取り除いた状態で上から見た時の平面図である。
本実施形態の筒状体収納箱20は、箱本体21と、この箱本体21の上面21a側、および底面21b側にそれぞれ複数個配列された筒状体支持部材10とを有する。
【0036】
本実施形態では、筒状体支持部材10は、箱本体21の上面21a側、および底面21b側にそれぞれ縦横3個づつ、合計9個の筒状体支持部材10が配置されている。
そして、箱本体21の上面21a側、および底面21b側で対向する一対の筒状体支持部材10の間で、筒状体Pが起立した状態でそれぞれ支持される。即ち、本実施形態では、箱本体21の内部に合計9本の筒状体Pが筒状体支持部材10に支持された状態で収納される。
【0037】
本実施形態の筒状体収納箱20によれば、筒状体Pの直径よりも十分に大きい筒状体支持部材10の支持体12によって、箱本体21の内面21fから離間した状態で収納される。
【0038】
これにより、筒状体Pを収納した筒状体収納箱20を運搬するなとした場合でも、振動によって筒状体Pが箱本体21の内面21fに接したり、筒状体Pどうしが衝突することが無い。よって、筒状体収納箱20は、収納した筒状体Pを起立させた状態で破損させることなく運搬することができる。
【0039】
また、箱本体21の上面21a側に配列された筒状体支持部材10は、蓋部片(蓋部)13に面取部14が形成されているため、複数の筒状体支持部材10が互いに密着して配列されていても、この面取部14を指掛かりとして蓋部片13を容易に上方に開けることができる。これにより、箱本体21から筒状体Pを取り出さなくても、容易に筒状体Pの端面Peの状態を確認することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、筒状体収納箱20の箱本体21の上面21a側、および底面21b側にそれぞれ縦横3個づつ、合計9個の筒状体支持部材10を配置して、9本の筒状体Pを収納しているが、筒状体Pの収納本数は限定されるものではない。
例えば、筒状体収納箱20の箱本体21の上面21a側、および底面21b側にそれぞれ縦横2個づつ、合計4個の筒状体支持部材10を配置して、4本の筒状体Pを収納するようにしたり、筒状体収納箱20に1本だけ筒状体Pを収納する構成であってもよい。
【0041】
(筒状体の収納方法)
本実施形態の筒状体の収納方法は、図6に示すように、筒状体収納箱20の箱本体21の底面20bに、縦横3個づつ合計9個の筒状体支持部材10を、蓋部片(蓋部)13が底面20bに接するように配列する。この時、筒状体支持部材10は、図4、5に示すように、折り畳まれる前のシート状の筒状体支持部材10の支持体片12aや蓋部片(蓋部)13を、折り線L1およびヒンジ線L3に沿って折り曲げて重ねることによって、組み立てておけばよい。
【0042】
次に、筒状体Pの一方の端部を、箱本体21の底面21bに配列した筒状体支持部材10の孔部11に挿入する。この時、筒状体Pの周面から突出するように形成された突起部Prが、孔部11に形成された4か所の溝部15のいずれかに合致する位置まで回転させた後に挿入する(図1を参照)。これにより、筒状体Pの一方の端部は、その周面Pfが孔部11に接して安定して支持される。なお、筒状体Pは、予め保護用のビニール袋などに挿入しておくことも好ましい。
【0043】
次に、筒状体Pの他方の端部に、筒状体支持部材10の孔部11に挿入する。これにより、筒状体Pの他方の端部も、その周面Pfが孔部11に接して安定して支持される。
このようにして、9本の筒状体Pを順次、一方の端部を箱本体21の底面21bに配列した筒状体支持部材10の孔部11に挿入した後に、他方の端部に筒状体支持部材10を被せることを繰り返す。
【0044】
そして、箱本体21の上面21a側を閉じることによって、箱本体21に収納された筒状体Pは、それぞれ一方の端部と他方の端部が筒状体支持部材10で支持される。筒状体Pは、箱本体21の上面21aと底面21bとの間で起立した状態で収納される。これにより、筒状体Pを収容した筒状体収納箱20を搬送する際に振動や衝撃が加わったとしても、筒状体Pが箱本体21の内面21fに当接して擦れたり、筒状体Pどうしが接触するといったことがなく、筒状体を破損させることなく搬送することができる。
【0045】
また、筒状体Pを複数固定する場合において、重心に偏りが起きやすい場合であれば、筒状体Pの一方の端部を固定する支持体片12aは、筒状体Pを配置する一面上において、その中心位置に重心が来るよう均等配置可能な孔部を形成し、また筒状体Pの他方の端部には、それぞれ筒状体支持部材10を被せるようにしてもよい。このようにすることで、箱本体21の重心がより安定し、筒状体Pの搬送を容易に行うことができる。
【0046】
ここで、筒状体の例として、散気管が挙げられる。散気管は後述するチューブ基材と弾性膜体から構成される。通常、弾性膜体はゴム等の部材から形成されることから、材料加工から保管・搬送の間で、不意の加圧等によって破損やブロッキング(癒着)が起きやすい状態となる。例えば、散気管を横置きで保管した場合であれば、同一部材内でも底部に面する部分には自重が加わる。また、複数の散気管を平置きにした場合であれば、それらの部材間で圧力が加わる。
【0047】
このため、ブロッキングを予防する手段として、後述する散気管にコート剤を塗布することが挙げられる。散気管の組立後の保管において、上述した本実施形態の箱本体21を用いることによって、ブロッキングの発生を効果的に抑制することができる。以下、散気管について詳細を説明する。
【0048】
(散気管(筒状体)の構成)
本実施形態の筒状体の収納方法によって収納する筒状体の一例である散気管(筒状体)について説明する。
図8は、一実施形態の散気管を示す外観斜視図である。また、図9は、図8の散気管の分解斜視図である。また、図10は、図8の散気管の要部拡大断面図である。
散気管(散気装置)30は、例えば、排水処理施設で利用される。具体的には、活性汚泥法によって排水中の有機物を除去するための処理槽内に設置されて、処理槽外に配置されたブロワから送られた空気を、処理槽内に供給するために利用される。
【0049】
散気管30は、チューブ基材31と、チューブ基材31の外側表面を覆う弾性膜体32とを有する。チューブ基材31と弾性膜体32とは、バンド33、33によって固定されている。
【0050】
チューブ基材31は、アダプター35と筒体36とからなる。アダプター35は、一方の端部に空気導入口37を備え、他方の端部が隔壁35aで封止された円筒体である。空気導入口37は、例えば、配管を介してブロワと接続される。アダプター35は、側面に空気吹出口38を備える。空気吹出口38は、空気導入口37に導入された空気を外部に吹き出す。
空気吹出口38は、互いに対向する位置で2個備えられている。また、アダプター35は他方の端部に筒状突起部39を備える。筒状突起部39に筒体36を挿入することによって、アダプター35と筒体36とが接続され、チューブ基材31を構成する。
【0051】
チューブ基材31のサイズは、特に制限はないが、例えば、外径が59mm以上90mm以下の範囲内、軸方向の長さが500mm以上1000mm以下の範囲内である。
【0052】
チューブ基材31を構成するアダプター35及び筒体36の材料は、特に制限はないが、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。アダプター35及び筒体36は、例えば、射出成形によって製造することができる。
【0053】
弾性膜体32はチューブ状とされていて、内側表面から外側表面に連通する通気孔(スリット)34を複数個備える。通気孔34の長さは、例えば1mm~2mmの範囲内にあることが好ましい。通気孔34の長さがこの範囲内にあると、サイズが微細でかつ均一な気泡を発生させやすくなる。
【0054】
弾性膜体32の構成材料としては、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料を用いることができる。
【0055】
湾曲部43は、曲率半径がチューブ基材31の半径よりも小さくなっており、これによって湾曲部43の内側表面とチューブ基材31の外側表面との間に空間45を形成する機能を有する。湾曲部43は、互いに対向する位置で2個備えられており、2個の湾曲部43はそれぞれ、チューブ基材31に備えられた空気吹出口38と対向するように配置されている。
【0056】
湾曲部43の内側表面には、肉厚部44が設けられている。肉厚部44は、散気運転を停止した時に生じる負圧によって、湾曲部43が空気吹出口38に吸い込まれることを防止する。肉厚部44の厚さは、特に制限はないが、好ましくは3mm以上5mm以下の範囲内である。
【0057】
次に、弾性膜体32に対して、複数個の通気孔(スリット)34を形成する方法の一例について説明する。
図11は、弾性膜体に複数個の通気孔を一括して形成する手順を段階的に示した要部拡大断面図である。
図11(a)に示すように、弾性膜体32に複数個の通気孔34を一括して形成する際には、複数の貫通針51を基材52の一面に配列形成した加工型材50を用いる。貫通針51は、形成する通気孔34の寸法と同一長の針を用いればよい。
【0058】
こうした貫通針51には、予めコート剤Cを塗布しておく。コート剤としては、例えば、シリコン系コート剤、フッ素化合物系コート剤、ワックス系コート剤などが挙げられる。
そして、貫通針51にコート剤Cを塗布した加工型材50に、弾性膜体32を緊張させて対向させる。なお、弾性膜体32は、チューブ状に形成されているものであっても、チューブ状にする前のシート状のものであってもよい。
【0059】
次に、図11(b)に示すように、弾性膜体32を加工型材50に押し付ける。そして、図11(c)に示すように、弾性膜体32の厚み方向に沿って貫通針51を完全に貫通させる。これにより、弾性膜体32に通気孔34が形成される。
【0060】
この時、貫通針51に予め塗布されていたコート剤Cが、通気孔34の内周面に転写されてコート層が形成される。こうしたコート剤Cは、通気孔34の内周面とともに、一部が弾性膜体32の表面にも転写されコート層を形成する。
【0061】
以上のような通気孔34の形成方法によれば、簡易な工程て、容易に複数の通気孔34を弾性膜体32に一括して形成することができる。また、通気孔34の形成と同時に、この内周面にコート層を形成することができる。
【0062】
そして、散気管(散気装置)30の端部に、本実施形態の筒状体支持部材10(図1を参照)を嵌め込んで、箱本体21に収容する。本実施形態の筒状体支持部材10を用いることによって、箱本体21に収納された散気管(散気装置)30は、それぞれ一方の端部と他方の端部が筒状体支持部材10で支持され、箱本体21の上面21aと底面21bとの間で起立した状態で収納される。これにより、コート剤Cが塗布された弾性膜体32は、箱本体21内で中空で支持される。
【0063】
このため、筒状体収納箱20を搬送する際に振動や衝撃が加わったとしても、弾性膜体32が箱本体21の内面21fに当接して擦れたり、弾性膜体32どうしが接触するといったことがないので、コート剤Cが剥離する懸念が無い。また、散気管(散気装置)30全体も箱本体21内に収容することで、外部から直接衝撃が加わるのを防止することができる。よって、弾性膜体32のブロッキングを効果的に抑制することが可能になる。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10…筒状体支持部材
11…孔部
12…支持体
12a…支持体片
13…蓋部片(蓋部)
15…溝部
20…筒状体収納箱
21…箱本体
21a…上面
21b…底面
30…散気管(散気装置)
31…チューブ基材
32…弾性膜体
34…通気孔(ピンホール)
35…アダプター
36…筒体
37…空気導入口
50…加工型材
51…貫通針
52…基材
P…筒状体
C…コート剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11