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特許7563941締結状態判定装置、ソケット装置、レンチ装置、締結状態判定システム、締結状態判定方法、および、締結状態判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】締結状態判定装置、ソケット装置、レンチ装置、締結状態判定システム、締結状態判定方法、および、締結状態判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   F16B 31/02 20060101AFI20241001BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F16B31/02 Z
B25B23/14 610U
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020180731
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071656
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】桐山 朝浩
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-274152(JP,A)
【文献】特開2017-011429(JP,A)
【文献】特開昭62-070728(JP,A)
【文献】特開2002-178702(JP,A)
【文献】特開2010-072006(JP,A)
【文献】特開2016-179520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 31/02
B25B 23/00- 23/18
F03D 1/00- 80/80
G01L 5/00- 5/28
G01N 21/84- 21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、
を備え
前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色取得部が取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定装置。
【請求項2】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記色取得部が取得した前記色の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
結状態判定装置。
【請求項3】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備え、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
結状態判定装置。
【請求項4】
前記色取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、
前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項1~3のいずれか一項に記載の締結状態判定装置。
【請求項5】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、
前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、
を備え
前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
ソケット装置。
【請求項6】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、
前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
ソケット装置。
【請求項7】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、
を備え、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
ソケット装置。
【請求項8】
前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、
前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項5~7のいずれか一項に記載のソケット装置。
【請求項9】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、
前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、
を備え
前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
レンチ装置。
【請求項10】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、
前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
レンチ装置。
【請求項11】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、
を備え、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
レンチ装置。
【請求項12】
前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、
前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項9~11のいずれか一項に記載のレンチ装置。
【請求項13】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と
記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、
を含み、
前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定システム。
【請求項14】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、
を備え、
前記判定部は、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定システム。
【請求項15】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、
前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、
前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
締結状態判定システム。
【請求項16】
前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、
前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項13~15のいずれか一項に記載の締結状態判定システム。
【請求項17】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、
前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、
を含む処理を実行し、
前記判定ステップでは、履歴記憶部が記憶する前記軸力に関する履歴と、前記色取得ステップにおいて取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定装置の締結状態判定方法。
【請求項18】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、
前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、
を含む処理を実行し、
前記判定ステップでは、前記色取得ステップにおいて取得した前記色の情報と、軸力記憶部に記憶される軸力に関する情報であって前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力を示す情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定装置の締結状態判定方法。
【請求項19】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、
前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、
を含む処理を実行し、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
締結状態判定装置の締結状態判定方法。
【請求項20】
前記色取得ステップでは、前記色を数値化した値を取得し、
前記判定ステップでは、前記色取得ステップにおいて取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項17~19のいずれか一項に記載の締結状態判定方法。
【請求項21】
コンピュータ
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、
として機能させ、
前記判定部は、履歴記憶部が記憶する前記軸力に関する履歴と、前記色取得部が取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定プログラム。
【請求項22】
コンピュータを、
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、
前記判定部の判定結果を出力する出力部、
として機能させ、
前記判定部は、前記色取得部が取得した前記色の情報と、軸力記憶部に記憶される軸力に関する情報であって前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力を示す情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する、
締結状態判定プログラム。
【請求項23】
コンピュータを、
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、
前記判定部の判定結果を出力する出力部、
として機能させ、
前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される、
締結状態判定プログラム。
【請求項24】
前記色取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部として機能し、
前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う、
請求項21~23のいずれか一項に記載の締結状態判定プログラム。
【請求項25】
少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く圧縮力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、
前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記圧縮力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果を出力する出力部と、
を備える締結状態判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結状態判定装置、ソケット装置、レンチ装置、締結状態判定システム、締結状態判定方法、および、締結状態判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルト等の締結部材を用いて、固定させる対象の部材を適切な軸力で締結するために様々な提案がされている。例えば、被締結体とナットとの間にリング状の弾性体を配置し、弾性体を外周端部の一定幅が内周側と異なる色彩に色分けすることにより、ボルトの軸力の程度を、目視によって確認できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-181019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、狭い場所や高所などに締結部材が適用された場合には、目視で確認を行うことが困難なことがある。また、締結部材を見る角度や、周囲の明るさ等の環境や、作業スタッフの視力などによって、色を誤認識してしまうと、適切な軸力で締結させることができないおそれがある。このため、従来技術では、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができないことがある。
【0005】
本発明は、例えば、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる、締結状態判定装置、ソケット装置、レンチ装置、締結状態判定システム、締結状態判定方法、および、締結状態判定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る締結状態判定装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、を備え、前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色取得部が取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
【0007】
このように構成することで、作業スタッフに、締結部材の軸力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【0008】
上記構成で、前記色取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る締結状態判定装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、を備え、前記判定部は、前記色取得部が取得した前記色の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0011】
本発明の他の態様に係る締結状態判定装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備え、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
【0012】
上記構成で、前記判定部によって前記軸力が前記所定の基準を満たさないと判定されたときに、その旨を報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0013】
上記構成で、前記締結部材に取り付けられ、前記締結部材を締め付けるソケット部を備え、前記ソケット部は、前記色取得部を備えてもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係るソケット装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、を備え、前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
本発明の他の態様に係るソケット装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、を備え、前記判定部は、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
本発明の他の態様に係るソケット装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、を備え、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
上記構成において、前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0015】
このように構成することで、色変化部の情報を作業スタッフに提示することができる。これにより、例えば、ディスプレイ等に色変化部の情報を表示することができ、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場合や、周囲が暗い場合であっても、簡単に目視で確認することができる。また、色変化部の情報を解析することにより、作業スタッフに、締結部材の軸力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。
【0016】
上記構成で、前記内部における光量に関する条件が一定となる条件下で、前記色を検出する検出部を備え、前記色情報取得部は、前記検出部の検出結果から得られる前記色の情報を取得してもよい。
【0017】
上記構成で、
前記色変化部に対して光を照射する光源を備え、前記検出部は、前記光源によって光が照射された際の前記色を検出してもよい。
【0018】
上記構成で、前記ソケット部は、前記色変化部と前記検出部との位置関係を一定に保つ位置規制部を備えてもよい。
【0019】
上記構成で、前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する判定結果出力部と、を備えてもよい。
【0020】
本発明の他の態様に係るレンチ装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、を備え、前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
本発明の他の態様に係るレンチ装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、を備え、前記判定部は、前記色取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
本発明の他の態様に係るレンチ装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部に、前記締結部材を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記駆動部の前記トルクを制御する制御部と、を備え、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
上記構成において、前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う。
【0021】
このように構成することで、締結部材の軸力が所定の基準を満たすトルクで締結部材を締め付けることができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【0022】
上記構成で、前記内部における光量に関する条件が一定となる条件下で、前記色を検出する検出部を備え、前記色情報取得部は、前記検出部の検出結果から得られる前記色の情報を取得してもよい。
【0023】
上記構成で、前記色変化部に対して光を照射する光源を備えてもよい。
【0024】
上記構成で、前記ソケット部は、前記色変化部と前記色情報取得部との位置関係を一定に保つ位置規制部を備えてもよい。
【0025】
本発明の他の態様に係る締結状態判定システムは、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記軸力に関する履歴を記憶する履歴記憶部と、を含み、前記判定部は、前記履歴記憶部が記憶する前記履歴と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
本発明の他の態様に係る締結状態判定システムは、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力に関する情報を記憶する軸力記憶部と、を備え、前記判定部は、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報と、前記複数の締結部材の軸力に関する情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
本発明の他の態様に係る締結状態判定システムは、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部を有する前記締結部材に取り付けるソケット部と、前記ソケット部の内部に設けられ前記色変化部の情報を取得する色情報取得部と、前記色情報取得部が取得した前記色変化部の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、を備え、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
上記構成において、前記色情報取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部を備え、前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0026】
このように構成することで、作業スタッフに、締結部材の軸力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【0027】
本発明の他の態様に係る締結状態判定方法は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、を含む処理を実行し、前記判定ステップでは、履歴記憶部が記憶する前記軸力に関する履歴と、前記色取得ステップにおいて取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
本発明の他の態様に係る締結状態判定方法は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、を含む処理を実行し、前記判定ステップでは、前記色取得ステップにおいて取得した前記色の情報と、軸力記憶部に記憶される軸力に関する情報であって前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力を示す情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
本発明の他の態様に係る締結状態判定方法は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得ステップと、前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定ステップと、を含む処理を実行し、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
上記構成において、前記色取得ステップでは、前記色を数値化した値を取得し、前記判定ステップでは、前記色取得ステップにおいて取得した前記値に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0028】
このように構成することで、作業スタッフに、締結部材の軸力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【0029】
本発明の他の態様に係る締結状態判定プログラムは、コンピュータ、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、として機能させ、前記判定部は、履歴記憶部が記憶する前記軸力に関する履歴と、前記色取得部が取得した前記色の情報とに基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する
本発明の他の態様に係る締結状態判定プログラムは、コンピュータを、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、前記判定部の判定結果を出力する出力部、として機能させ、前記判定部は、前記色取得部が取得した前記色の情報と、軸力記憶部に記憶される軸力に関する情報であって前記締結部材とは異なる複数の締結部材の軸力を示す情報と、に基づいて、前記軸力が前記所定の基準を満たすか否かを判定する。
本発明の他の態様に係る締結状態判定プログラムは、コンピュータを、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部、前記判定部の判定結果を出力する出力部、として機能させ、前記所定の基準は、互いに異なる前記部品を締結する複数の締結部材から得られた複数の軸力に基づいて決定される。
上記構成において、前記色取得部は、前記色を数値化した値を取得する数値取得部として機能し、前記判定部は、前記数値取得部が取得した前記値に基づいて前記判定を行う。
【0030】
このように構成することで、作業スタッフに、締結部材の軸力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【0031】
本発明の他の態様に係る締結状態判定装置は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く圧縮力に応じて任意の箇所の色が変化する前記締結部材の前記色の情報を取得する色取得部と、前記色取得部が取得した前記色の情報に基づいて、前記圧縮力が所定の基準を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を出力する出力部と、を備える。
【0032】
このように構成することで、作業スタッフに、ナットの締結力が所定の基準を満たすか否かを通知することができる。これにより、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【発明の効果】
【0033】
上述の締結状態判定装置、ソケット装置、レンチ装置、締結状態判定システム、締結状態判定方法、および、締結状態判定プログラムによれば、例えば、適切な軸力で締結部材を簡単に締結させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態における風車の構成例を示す斜視図。
図2】本発明の第1実施形態における風車に用いられるボルトの軸力を判定する締結状態判定システムの構成例を示す図。
図3】本発明の第1実施形態における締結状態判定システムの詳細な構成例を示す図。
図4】本発明の第1実施形態における締結状態判定装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図5】本発明の第1実施形態における記憶部が記憶する軸力と色の値との対応関係テーブルを示す図。
図6】本発明の第1実施形態における締結状態判定装置が行う、ボルトの締め付け時における締結状態判定処理の一例を示すフローチャート。
図7】本発明の第1実施形態における締結状態判定装置が行う、ボルトの点検時における締結状態判定処理の一例を示すフローチャート。
図8】本発明の第2実施形態における記憶部が記憶する対応関係テーブルを示す図。
図9】本発明の第3実施形態における記憶部が記憶する対応関係テーブルを示す図。
図10】本発明の第4実施形態における締結状態判定システムを示す図。
図11】本発明の第4実施形態におけるソケット装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図12】本発明の第5実施形態におけるレンチ装置を示す図。
図13】本発明の第5実施形態におけるレンチ装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図14】本発明の第6実施形態における締結状態判定システムの構成例を示す図。
図15】本発明の第6実施形態におけるソケット装置の外観の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における風車101の構成例を示す斜視図である。風車101は、タワー102と、ナセル103と、ハブ104と、複数のブレード105(羽根)とを備える。タワー102は、陸上または海上において、鉛直方向の上向きに設けられる。
【0037】
ナセル103は、タワー102の上端に取り付けられる。ナセル103には、ハブ104を介してブレード105が取り付けられる。ナセル103は、ハブ104およびブレード105の向きをヨー方向で調整するために旋回駆動する。ナセル103には、当該ナセル103をヨー方向に回転させるヨー駆動力を発生するヨー駆動装置が内蔵される。ヨー駆動装置は、風向きに応じてハブ104およびブレード105の向き(風車の向き)を回転させる力を発生させる。ヨー方向に回転させることにより、風の力を効率よく受けるように、風車101の向きを風向きに追従させることが可能である。
【0038】
ハブ104は、ロール方向に回転する。ハブ104は、ナセル103に取り付けられるとともに、複数のブレード105が取り付けられる。ハブ104は、ブレード105が受けた風力による回転力(動力)を回転軸に伝達する。ハブ104は、回転軸を介してナセル103に風力に基づく回転力を伝達する。
【0039】
また、ハブ104には、各ブレード105をピッチ方向に回転させるピッチ駆動力を発生するピッチ駆動機構が内蔵される。ピッチ駆動力を発生する駆動機構は、ブレード105ごとに設けられる。ピッチ駆動機構は、風速に応じて各ブレード105をピッチ方向に回転させることで各ブレード105の角度を制御する。例えば、台風などの強風時には、ピッチ駆動機構がピッチ角を風向きに並行にすることによって、風を逃がし、各ブレード105を停止させることが可能である。
【0040】
ブレード105は、風力を受けて回転力を発生する羽である。複数枚(例えば、3枚)のブレード105は、ロール方向の回転軸から放射方向に延びるように、互いに等角度でハブ104に取り付けられる。
【0041】
図2は、本発明の第1実施形態における風車101に用いられるボルト230の締結状態を判定する締結状態判定システム200の構成例を示す図である。なお、図2においては、ヨーアクチュエータ210を例に挙げて説明するが、ピッチアクチュエータ等の他のアクチュエータに用いられるボルトや、風車101の他の部材に用いられるボルトにも、締結状態判定システム200が適用される。
【0042】
図2に示すように、締結状態判定システム200は、1台以上のヨーアクチュエータ210と、締結状態判定装置220とを備える。ヨーアクチュエータ210は、風車のナセル103に、N本(Nは、2以上の整数)のボルト230で固定される。
【0043】
ヨーアクチュエータ210は、駆動部211と、制動部212と、減速機213と、軸214(駆動軸)と、ピニオン215とを備える。駆動部211は、モータである。駆動部211は、駆動部211に供給された電流に応じて、軸214の長手方向を回転軸として、軸214を回転させる。制動部212は、電磁ブレーキを用いて、軸214の回転速度を抑える。制動部212は、電磁ブレーキを用いて、軸214の回転の停止状態を維持してもよい。減速機213は、減速機213に備えられたギアを用いて、軸214の回転速度を定める。
【0044】
ピニオン215は、リングギア216と噛み合うように、軸214の端部に備えられる。リングギア216は、タワー102の上部に備えられる。N本のボルト230は、ヨーアクチュエータ210において円周状に配置される。ボルト230には、ボルト230の軸力を判定するためのソケット装置240が設けられている。
【0045】
締結状態判定装置220は、ボルト230の締結状態を判定する装置である。締結状態判定装置220は、パソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末、専用の端末装置などのコンピュータ装置である。以下、図3を用いて、締結状態判定システム200の詳細について説明する。
【0046】
図3は、本発明の第1実施形態における締結状態判定システム200の詳細な構成例を示す図である。図3において、締結状態判定システム200は、締結状態判定装置220と、ボルト230と、ソケット装置240とを備える。
【0047】
<ボルト230の構成>
ボルト230は、締結部材の一例である。ボルト230は、ボルト部301と、ゲージピン302とを備える。ボルト部301は、被締結部材を締結する六角ボルトである。ボルト部301のねじ部には、不図示のナットが取り付けられる。なお、ボルト部301は、六角ボルトに限らず、他のボルト(アジャストボルト、アンカーボルト、蝶ボルトなど)であってもよいし、ビスやねじなどであってもよい。
【0048】
ゲージピン302は、少なくとも2つの部品を締結する締結部材を締め付ける際に働く軸力に応じて色が変化する色変化部の一例である。2つの部材は、例えば、被締結部材とナットである。なお、締結部材は、3つ以上の部品を締結することも可能である。ゲージピン302は、ボルト部301の軸部から頭部にかけて設けられている。ゲージピン302の一部(例えば、上面302a)は、ボルト部301の頭部から露出している。ここで、ボルト部301には、被締結部材を締結させる力の半作用として引張力(軸力)が働き、すなわち、ボルト部301が伸びる方向に力が働く。ゲージピン302は、軸力によるボルト部301の伸びに伴って引っ張られると、僅かに沈み込み、これにより、色が変化する部材である。また、ゲージピン302は、軸力が低下すると、沈み込む量が小さくなり、これにより、元の色に戻る。すなわち、ゲージピン302の色の変化は、可逆性のある変化である。例えば、ゲージピン302は、軸力が低いときには赤色であり、軸力が高くなるにつれて、濃い色(黒色)に変化する。
【0049】
なお、ゲージピン302は、ボルト部301の頭部上方から見て、ボルト部301の中心に設けられている。ただし、これに限らず、ゲージピン302は、ボルト部301の頭部上方から見て、ボルト部301の中心からずれた位置に設けられていてもよい。
【0050】
<ソケット装置240の構成>
ソケット装置240は、ボルト230の頭部を覆うように取り付けられる。ソケット装置240は、ボルト230を締め付けた後も、常時、ボルト230に取り付けられるものとする。ただし、これに限らず、ソケット装置240は、ボルト230の締結時や点検時などに取り付けられるようにしてもよい。
【0051】
ソケット装置240は、連結部310と、ソケット部311と、LED(light emitting diode)312と、カメラ313と、位置規制部314と、情報取得部315と、情報出力部316とを備える。連結部310は、作業スタッフが把持する不図示のレンチと、ソケット装置240とを連結する。ソケット部311は、六角形状の形状を有し、ボルト部301の頭部に装着される。ソケット部311は、操作スタッフがレンチを操作することに応じて、ボルト230を締め付けたり、緩めたりする。
【0052】
LED312は、ゲージピン302に対して光を照射する光源である。光源にLED312を用いることにより、照射方向を安定させることができるとともに、ソケット装置240の小型化や長寿命化を図ることが可能である。ただし、光源は、LED312に限らず、白熱電球や蛍光ランプなどであってもよい。
【0053】
カメラ313は、ゲージピン302の色を検出する。カメラ313には、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)カメラが用いられる。カメラ313は、ソケット内部320における光量に関する条件が一定となる条件下で、ゲージピン302の色を検出する。光量に関する条件が一定となる条件下は、例えば、ソケット内部320への外部からの光が遮断されるとともに、LED312が一定の光量で点灯するという条件下である。ソケット内部320への外部からの光が遮断されるとは、ソケット部311がボルト部301の頭部に嵌るとともに、ソケット装置240の底部317が被締結部材(不図示)に当接することによって、ソケット内部320が密閉された状態になることである。
【0054】
位置規制部314は、ゲージピン302の上面302aとカメラ313との位置関係を一定に保つ部材である。位置規制部314は、ボルト230頭部の上面302aに当接し、ソケット内部320におけるボルト230の図中上方向への移動を規制する。これにより、カメラ313がゲージピン302を撮像する際の条件を一定に保つことができる。
【0055】
情報取得部315は、ソケット部311の内部に設けられゲージピン302の情報を取得する。ゲージピン302の情報は、カメラ313によって撮像された撮像結果である。
【0056】
情報出力部316は、情報取得部315が取得したゲージピン302の情報を出力する。情報出力部316は、情報取得部315が取得したゲージピン302の情報を、有線通信または無線通信によって締結状態判定装置220へ出力する。なお、情報出力部316は、情報取得部315が取得したゲージピン302の情報を、USBメモリやメモリカードなどの記録媒体に出力してもよい。
【0057】
なお、情報出力部316は、情報取得部315が取得したゲージピン302の情報を、ディスプレイに表示してもよい。すなわち、ディスプレイは、カメラ313によって撮像された撮像結果を表示してもよい。これにより、作業スタッフは、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場合や、周囲が暗い場合であっても、ゲージピン302の目視確認を簡単かつ正確に行うことができる。
【0058】
<締結状態判定装置220の構成>
締結状態判定装置220は、有線通信または無線通信によってゲージピン302の情報を取得する。なお、締結状態判定装置220は、ゲージピン302の情報が記録媒体に記憶されている場合には、当該記録媒体からゲージピン302の情報を取得してもよい。
【0059】
締結状態判定装置220は、色取得部331と、記憶部332と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335と、出力デバイス336とを備える。
【0060】
色取得部331は、ゲージピン302の色の情報を取得する。ゲージピン302の色の情報は、具体的には、色を数値化した値であり、カメラ313によって検出された検出結果(撮像結果)を解析することによって得られる。色を数値化した値は、例えば、色相、明度、および彩度で表すことができ、具体的には、赤(R)、緑(G)、青(B)の各値で表すことができる。
【0061】
検出結果を解析する機能部(解析部)は、締結状態判定装置220が備えるものとする。ただし、解析部は、締結状態判定装置220およびソケット装置240のうちのいずれか一方に具備されていればよい。解析部をソケット装置240に具備させる構成とした場合、ソケット装置240の情報出力部316は、ゲージピン302の色の情報を出力するようにすればよい。
【0062】
記憶部332は、ボルト230の軸力と、ゲージピン302の色の情報との対応関係を示す情報を記憶する。記憶部332は、軸力と、色を数値化した値(色の値)との対応関係を示す情報(図5の対応関係テーブル500参照)を記憶する。対応関係を示す情報は、例えば、1kNごとの軸力と、色の値とが対応する情報であってもよいが、少なくとも、適正な軸力の範囲(例えば、30~40kN)と、そのときの色の値とが対応する情報が用意されていればよい。
【0063】
判定部333は、色取得部331が取得した色の情報に基づいて、ボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否か(適正であるか否か)を判定する。具体的には、判定部333は、記憶部332に記憶される対応関係を示す情報を参照し、色取得部331が取得した色の値か所定の基準を満たす範囲内にあるか否かを判定する。色の値か所定の基準を満たすとは、軸力が適正であることであり、具体的には、例えば、軸力が所定範囲内(30~40kN)にあることである。
【0064】
判定結果出力部334は、判定部333の判定結果を出力デバイス336に出力する。判定結果出力部334は、例えば、風車101の施工時や点検時など、作業スタッフがボルト230を締め付ける際に、軸力が所定の基準を満たさないことを示す出力態様や、軸力が所定の基準を満たすことを示す出力態様で、判定結果を出力する。出力デバイス336は、ディスプレイ、スピーカ、ランプなどである。
【0065】
例えば、出力デバイス336をディスプレイとした場合の出力態様は、軸力の適否に応じた表示態様である。例えば、軸力が不適正な場合には「不適正」を示す文字や「×」を示すマークの出力態様であり、軸力が適正な場合には「適正」を示す文字や「〇」を示すマークの出力態様である。また、出力デバイス336をスピーカとした場合の出力態様、軸力が不適正な場合には警告音の出力態様であり、軸力が適正な場合にはその旨を示す音や無音の出力態様である。
【0066】
なお、判定結果出力部334は、軸力の値(例えば、○○kN)そのものを出力してもよい。なお、軸力の値を出力する場合、記憶部332が、ボルト230の軸力の値と、ゲージピン302の色の情報との対応関係を示す情報を記憶するようにしておけばよい。また、判定部333が、当該対応関係を示す情報を参照し、色を示す情報に基づいて軸力の値を判定すればよい。
【0067】
<定期的な軸力の判定について>
ソケット装置240を常時、ボルト230に取り付けられるものとした場合、判定部333は、所定の点検タイミングで軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する。所定の点検タイミングは、1日に数回、数日に1回、数カ月に1回など、予め設定した経過するタイミングとしてもよい。また、常時点検を行うようにしてもよい。また、点検タイミングは、風速何メートル以上の風が吹いた時など、風車101の構造物(例えば、ヨーアクチュエータ210)に負荷がかかることが想定される条件を満たしたタイミングとしてもよい。
【0068】
報知部335は、点検タイミングにおいて、判定部333によって軸力が所定の基準を満たさないと判定されたときに、その旨を報知する。報知部335は、出力デバイス336を用いてその旨を報知する。報知部による報知態様は、例えば、出力デバイス336をディスプレイとした場合には、軸力が不適正な場合には「不適正」を示す文字や「×」を示すマークを表示する報知態様であり、出力デバイス336をスピーカとした場合には、軸力が不適正な場合には警告音を出力する報知態様である。
【0069】
報知部335は、複数のボルト230のうち、いずれか1つの軸力が所定の基準を満たさないと判定されたときに、その旨を報知してもよい。また、報知部335は、予め設定した複数個以上のボルト230の軸力が所定の基準を満たさないと判定されたときに、その旨を報知してもよい。
【0070】
<締結状態判定装置220のハードウェア構成>
図4は、本発明の第1実施形態における締結状態判定装置220のハードウェア構成の一例を示す図である。図4において、締結状態判定装置220は、CPU(Central Processing Unit)401と、ROM(Read Only Memory)402と、RAM(Random access Memory)403と、メモリ404と、通信I/F(インターフェース)405と、入力デバイス406と、出力デバイス336とを備えている。各部は、バス420によってそれぞれ接続されている。
【0071】
CPU401は、締結状態判定装置220の全体の制御を司る。ROM402は、各種プログラムを記録している。RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU401は、RAM403をワークエリアとして使用しながら、ROM402に記録された各種プログラムを実行することによって、締結状態判定装置220の全体の制御を司る。
【0072】
メモリ404は、各種データを記憶する。メモリには、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が用いられる。メモリ404は、締結状態判定プログラムなどの各種プログラムを記憶する。また、メモリ404は、軸力と色の情報との対応関係を記憶する。
【0073】
通信I/F405は、通信回線を通じてソケット装置240と接続されるインタフェースである。通信I/F405は、例えば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースであり、インターネットなどのネットワークに接続される。また、通信I/F405は、携帯電話回線(例えば、LTE(Long Term Evolution)、PHS(Personal Handy-Phone System)など)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプタなどの有線通信のインタフェースを採用することもできる。そして、通信I/F405は、ネットワークと内部のインタフェースを司り、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。
【0074】
入力デバイス406は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のタッチキーを表示するタッチパネルや、ハードキーなどである。また、入力デバイス406は、マイクを含む。入力デバイス406は、作業スタッフから、軸力の判定の開始を受け付けたり、所定の点検タイミングを受け付けたりする。また、入力デバイス406は、ソケット装置240のLED312の明るさの調整を受け付けたり、カメラ313の焦点の調整などを受け付けたりしてもよい。
出力デバイス336は、スピーカやディスプレイ(タッチパネル)を含む。
【0075】
図3に示した、色取得部331と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335とは、CPU401によって実現される。すなわち、CPU401がメモリ404に記憶されている締結状態判定プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、色取得部331と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335とのうち一部または全部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のマイクロコンピュータを用いて実現されてもよい。また、記憶部332は、メモリ404によって実現される。
【0076】
<記憶部332が記憶する軸力と色の値との対応関係テーブル>
図5は、本発明の第1実施形態における記憶部332が記憶する軸力と色の値との対応関係テーブル500を示す図である。対応関係テーブル500は、実験結果から得られたものである。図5に示すように、対応関係テーブル500は、ボルト230の軸力に対応するゲージピン302の各色の値を示す。
【0077】
具体的に説明すると、対応関係テーブル500において、軸力は、0kN~50kNを示している。色の値は、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の値を示している。軸力の下限値は、軸力が所定の基準を満たす下限値であり、例えば、「30kN」である。軸力の上限値は、軸力が所定の基準を満たす上限値であり、例えば、「40kN」である。なお、対応関係テーブル500に示す軸力の値は、一例であり、ボルト230のサイズや、被締結部材等に応じて、任意の値とすることが可能である。
【0078】
判定部333によって軸力が所定の基準を満たす(適正)と判定されるのは、色取得部331によって取得された赤(R)、緑(G)、青(B)の各値が、軸力の下限値(30kN)が示す赤(R)、緑(G)、青(B)の各値と、軸力の上限値(40kN)が示す赤(R)、緑(G)、青(B)の各値との範囲内(所定範囲内)にある場合である。なお、色取得部331によって取得された赤(R)、緑(G)、青(B)の全ての値が、それぞれ所定範囲内にある場合に、所定の基準を満たすと判定される。
【0079】
<締結状態判定装置220が行う、ボルト230の締め付け時における締結状態判定処理>
次に、図6を用いて、風車101の施工時や点検時に、作業スタッフがボルト230を1本ずつ締め付ける際の各ボルト230についての締結状態判定処理について説明する。図6は、本発明の第1実施形態における締結状態判定装置220が行う、ボルト230の締め付け時における締結状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
図6において、締結状態判定装置220は、ボルト230の軸力の判定が開始されるか否かを判断する(ステップS601)。軸力の判定開始は、例えば、入力デバイス406が作業スタッフから軸力の判定開始の操作を受け付けることである。作業スタッフは、入力デバイス406を操作するとともに、ボルト230の締め付けを開始する。
【0081】
締結状態判定装置220は、軸力の判定開始となるまで待機する(ステップS601:NO)。軸力の判定開始となると(ステップS601:YES)、締結状態判定装置220は、ソケット装置240のカメラ313によって検出された検出結果から得られるゲージピン302の色の値を取得する(ステップS602)。そして、締結状態判定装置220は、対応関係テーブル500を参照し、各色の値が所定範囲内(軸力の下限値に対応する値と上限値に対応する値との範囲内)にあるか否かの色の判定を行う(ステップS603)。
【0082】
そして、色の値が所定範囲内にない場合(ステップS604:NO)、すなわち、ゲージピン302の色が黒色になっていない場合、締結状態判定装置220は、軸力が不適正である旨を出力し(ステップS605)、ステップS602に戻る。色の値が所定範囲内にある場合(ステップS604:YES)、すなわち、ゲージピン302の色が黒色になった場合、締結状態判定装置220は、軸力が適正である旨を出力し(ステップS606)、一連の処理を終了する。
【0083】
<締結状態判定装置220が行う、ボルト230の点検時における締結状態判定処理>
次に、図7を用いて、ボルト230の点検時におけるボルト230ごとの締結状態判定処理について説明する。図7は、本発明の第1実施形態における締結状態判定装置220が行う、ボルト230の点検時における締結状態判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
図7において、締結状態判定装置220は、ボルト230の点検タイミングであるか否かを判断する(ステップS701)。締結状態判定装置220は、点検タイミングになるまで待機する(ステップS701:NO)。ボルト230の点検タイミングとなった場合(ステップS701:YES)、締結状態判定装置220は、ソケット装置240のカメラ313によって検出された検出結果から得られる色の値を取得する(ステップS702)。そして、締結状態判定装置220は、対応関係テーブル500を参照し、各色の値が所定範囲内(軸力の下限値に対応する値と上限値に対応する値との範囲内)にあるか否かの色の判定を行う(ステップS703)。
【0085】
そして、色の値が所定範囲内にない場合(ステップS704:NO)、すなわち、ゲージピン302の色が黒色になっていない場合、締結状態判定装置220は、軸力が不適正である旨を報知し(ステップS705)、一連の処理を終了する。色の値が所定範囲内にある場合(ステップS704:YES)、すなわち、ゲージピン302の色が黒色の状態を保持している場合、締結状態判定装置220は、軸力が適正である旨を出力し(ステップS706)、一連の処理を終了する。
【0086】
以上説明したように、第1実施形態に係る、締結状態判定システム200、締結状態判定装置220、およびソケット装置240によれば、ゲージピン302の色の情報に基づいて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定し、判定結果を出力するようにした。これにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所にボルト230が用いられた場合でも、ボルト230を適切な軸力で簡単に締結させることができる。また、作業スタッフが直接目視しないでよいため、作業スタッフの誤認識に伴って不適切な軸力でボルト230を締結させてしまうことを抑えることができる。
【0087】
特に、風車101は、設置場所、風量等によって、ボルト230に掛かる負荷が風車101ごと、アクチュエータごと、ボルト230ごとに異なるため、経時使用による軸力の低下を推定しにくいことがある。さらに、風車101に用いられるボルト230は高所に用いられることから、作業スタッフが容易に点検を行うことができないことがある。これに対して、第1実施形態によれば、作業スタッフが高所に上らなくても、風車101に用いられるボルト230が適切な軸力で締結されているか否かを簡単に判定することができるため、ボルト230の点検に係る作業負荷を軽減することができる。
【0088】
このように、第1実施形態によれば、適切な軸力でボルト230を締結させることができるため、ボルト230の設置数を低減させることが可能になる。したがって、ボルト230を設置する領域の縮小化を図ることができるため、ヨーアクチュエータ210や、ボルト230が用いられる他の部材の小型化を図ることができる。
【0089】
また、第1実施形態において、締結状態判定装置220は、ゲージピン302の色を数値化した値に基づいて、ボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにした。これにより、ボルト230の軸力を精度よく判定することができるため、より適切な軸力でボルト230を締結させることができる。
【0090】
また、第1実施形態において、締結状態判定装置220は、ボルト230の軸力が所定の基準を満たさないと判定したときに、その旨を報知するようにした。これにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所にボルト230が配置されている場合でも、作業スタッフが当該場所に赴かなくても、軸力が不適切となった旨を作業スタッフに迅速に報知することができる。したがって、ボルト230の点検に係る作業負荷を軽減することができる。また、ボルト230の点検に係る人件費の削減を図ることができる。
【0091】
また、第1実施形態において、ソケット装置240は、軸力に応じて色が変化するゲージピン302の情報を取得して出力するようにした。これにより、締結状態判定装置220は、ゲージピン302の色の情報に基づいて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定し、判定結果を出力することができる。したがって、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所にボルト230が用いられた場合でも、適切な軸力でボルト230を締結させることができる。また、作業スタッフが直接目視しないでよいため、作業スタッフの誤認識によって不適切な軸力でボルト230を締結させてしまうことを抑えることができる。また、判定結果をディスプレイ等に色の情報を表示することにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場合や、周囲が暗い場合であっても、簡単に目視確認することができる。
【0092】
また、第1実施形態において、ソケット装置240に具備されるカメラ313は、ソケット内部320における光量に関する条件が一定となる条件下で、色を検出するようにした。これにより、軸力の判定に係る条件を揃えることができるため、当該判定に係る精度を向上させることができ、より適切な軸力でボルト230を締結させることができる。
【0093】
また、第1実施形態において、ソケット装置240は、ゲージピン302に対して光を照射するLED312を備えるようにした。これにより、ソケット内部320の光量を一定に保つことができるため、軸力の判定に係る条件を揃えることができる。したがって、より精度よく軸力を判定することができる。また、光源をLED312とすることにより、照射方向を安定させることができるとともに、ソケット装置240の小型化や長寿命化を図ることが可能である。
【0094】
また、第1実施形態において、光量に関する条件が一定となる条件下は、ソケット内部320への外部からの光が遮断された条件下とした。これにより、ソケット内部320の光量をより一定に保つことができる、軸力の判定に係る条件を揃えることができる。したがって、より精度よく軸力を判定することができる。
【0095】
また、第1実施形態において、ソケット装置240は、ゲージピン302とカメラ313との位置関係を一定に保つ位置規制部を備えるようにした。これにより、カメラ313によってゲージピン302が検出される際の双方の位置関係を一定に保つことができる。したがって、より精度よく軸力を判定することができる。
[他の実施形態]
次に、第2実施形態~第8実施形態について説明する。なお、第2実施形態~第8実施形態では、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0096】
[第2実施形態]
上述した第1実施形態では、ゲージピン302の現在の色の情報を用いて、ボルト230の軸力の適否を判定するようにした。第2実施形態では、締結状態判定装置220は、ゲージピン302の現在の色の情報に加えて、過去の色の情報(履歴)を用いてボルト230の軸力の適否を判定する。
【0097】
第2実施形態において、締結状態判定装置220は、記憶部332を備える。記憶部332は、履歴記憶部の一例である。記憶部332は、軸力に関する履歴を記憶する。軸力に関する履歴は、過去の軸力の値である。また、軸力に関する履歴は、例えば、所定期間ごとの過去の軸力の値である。所定期間は、例えば、1時間、1日、1カ月、1年など、任意の期間を設定することが可能である。なお、軸力に関する履歴は、過去のボルト230の色の情報(例えば、色の値)でもよい。
【0098】
第2実施形態において、判定部333は、記憶部332が記憶する履歴と、色取得部331が取得した色の情報(例えば、色の値)とに基づいて、当該色の情報から得られる軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する。例えば、判定部333は、過去の履歴との比較結果(軸力の差分)を用いてボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0099】
<第2実施形態における記憶部332が記憶する対応関係テーブル800>
第2実施形態において、締結状態判定装置220の記憶部332は、図8に示す対応関係テーブル800を記憶する。図8は、本発明の第2実施形態における記憶部332が記憶する対応関係テーブル800を示す図である。対応関係テーブル800は、同一のボルト230についての軸力の経時変化を示す。具体的には、図8に示すように、対応関係テーブル800は、「データNo.」と、「色の値」と、「推定軸力」と、「データ1との差分」と、「判定結果」との項目を含む。
【0100】
データNo.1は、例えば、最も過去のデータを示す。データNo.2は、前回のデータを示す。データNo.3は、例えば、現在のデータを示す。なお、図示では、データNo.1~3の3つのデータを例示しているが、実際には、これ以上のデータがある。また、図示において、各データを取得する間隔は、1カ月を示している。
【0101】
色の値は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の値を示す。推定軸力は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の値から推定されるボルト230の軸力を示す。具体的には、推定軸力は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の値を用いて、図5に示した対応関係テーブル500を用いて推定することが可能である。
【0102】
データ1との差分は、データNo.1との推定軸力の差分を示す。例えば、データNo.2の推定軸力と、データNo.1の推定軸力との差分は、-5kNである。データNo.3の推定軸力と、データNo.1の推定軸力との差分は、-10kNである。これにより、時間の経過により、ボルト230が緩んでいることがわかる。
【0103】
判定結果は、判定部333による判定結果を示す。第1実施形態と同様に、判定部333は、推定軸力が所定範囲内(30~40kN)にない場合には、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。さらに、第2実施形態において、判定部333は、推定軸力が所定範囲内であったとしても、データNo.1との差分が10kN以上となった場合に、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。このため、図8に示す例では、判定部333は、データNo.3については、軸力が所定範囲内(下限値)であるものの、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。報知部335は、データNo.3については、軸力が所定の基準を満たさない旨を報知する。
【0104】
第2実施形態によれば、ボルト230の経時的な緩みの変化を得ることができる。このため、ボルト230の軸力が下限値を下回る前に、ボルト230の締め付けを促す報知を行うことができる。したがって、ボルト230が下限値を下回ることを抑えることができるため、適切な軸力でボルト230を締結することができる。
【0105】
[第3実施形態]
上述した第1実施形態では、各ボルト230についてそれぞれ軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにした。第3実施形態では、締結状態判定装置220は、他のボルトとの比較結果を用いてボルト230の軸力に適否を判定する。
【0106】
第3実施形態において、締結状態判定装置220は、記憶部332を備える。記憶部332は、軸力記憶部の一例である。記憶部332は、ボルト230とは異なる他のボルトの軸力に関する情報を記憶する。他のボルトの軸力に関する情報は、他のボルトの色の値から推定される推定軸力を示す情報である。ただし、他のボルトの軸力に関する情報は、他のボルトの色の情報(例えば、色の値)でもよい。
【0107】
判定部333の判定における所定の基準は、複数の他のボルトから得られた複数の軸力に基づいて決定される。複数の他のボルトは、互いに異なる少なくとも2つの部品を締結する。具体的には、複数の他のボルトは、締結対象である被締結部材およびナットの組合せがそれぞれ異なる。締結対象である被締結部材は、異なる部材でもよし、同一部材である場合には締結される部位が異なっていればよい。判定部333の判定に用いられる複数の軸力は、他のボルトの軸力の平均値でもよい。ただし、実施形態3では、当該複数の軸力は、隣接する他のボルトの軸力と、当該他のボルトに隣接するボルト(2つ隣りのボルト)の軸力とを考慮した軸力としている。
【0108】
第3実施形態において、判定部333は、記憶部332が記憶する他のボルトの軸力を示す情報と、色取得部331が取得したボルト230の色の情報(例えば、色の値)とに基づいて、当該色の情報から得られる軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する。例えば、判定部333は、隣接する他のボルトとの比較結果(軸力の差分)を用いてボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かを判定する。
【0109】
<第3実施形態における記憶部332が記憶する対応関係テーブル900>
第3実施形態において、締結状態判定装置220の記憶部332は、図9に示す対応関係テーブル900を記憶する。図9は、本発明の第3実施形態における記憶部332が記憶する対応関係テーブル900を示す図である。図9に示すように、対応関係テーブル900は、「ボルトNo.」と、「色の値」と、「推定軸力」と、「隣接するボルトとの差分」と、「判定結果」との項目を含む。
【0110】
ボルトNo.1~5の各ボルト230は、順番に配置されているものとする。例えば、ボルトNo.1、5は、最も隅に配置されているボルト230を示す。ボルトNo.2は、例えば、ボルトNo.1とボルトNo.3との間に配置されているとする。ボルトNo.3は、例えば、ボルトNo.2とボルトNo.4との間に配置されているとする。ボルトNo.4は、例えば、ボルトNo.3とボルトNo.5との間に配置されているとする。
【0111】
色の値は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の値を示す。推定軸力は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの色の値から推定される軸力を示す。具体的には、推定軸力は、色取得部331が取得した、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の値を用いて、図5に示した対応関係テーブル500を用いて推定することが可能である。なお、ボルトNo.1~5の各ボルト230の色の値は、同時期(同じ点検タイミング)に取得されたものとする。
【0112】
隣接する他のボルトとの差分は、隣接する他のボルトとの推定軸力の差分を示す。例えば、判定対象のボルト230をボルトNo.1とすると、隣接する他のボルトとの差分は、ボルトNo.2との差分を示しており、例えば、+10kNを示す。また、判定対象のボルト230をボルトNo.2とすると、隣接する他のボルトとの差分は、ボルトNo.1およびボルトNo.3との差分を示しており、例えば、ボルトNo.1に対して-10kN、ボルトNo.3に対して±0kNを示す。また、判定対象のボルト230をボルトNo.3とすると、隣接する他のボルトとの差分は、ボルトNo.2およびボルトNo.4との差分を示しており、例えば、ボルトNo.2に対して±0kN、ボルトNo.4に対して-5kNを示す。判定対象のボルト230をボルトNo.4やボルトNo.5とした場合についても同様に、隣接する他のボルトとの差分が記憶されている。
【0113】
判定結果は、判定部による判定結果を示す。第1実施形態と同様に、判定部333は、推定軸力が所定範囲内にない場合には、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。また、第3実施形態において、ボルト230の軸力が所定範囲内であったとしても、隣接する他のボルトとの関係では、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。
【0114】
例えば、ボルトNo.2の判定結果は「×」である。これについて補足すると、判定部333は、ボルトの軸力が所定範囲内であったとしても、隣接する他のボルトとの推定軸力の差分が10kN以上である場合に、判定対象のボルト230についても軸力が所定の基準を満たさないと判定する。具体的には、ボルトNo.2は、推定軸力が所定範囲内(下限値)であるものの、ボルトNo.1と比較すると、推定軸力の差分が10kN以上である。このため、判定部333は、ボルトNo.2について、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。報知部335は、ボルトNo.2について、軸力が所定の基準を満たさない旨を報知する。
【0115】
また、ボルトNo.3の判定結果は「×」である。これについて補足すると、判定部333は、ボルト230の軸力が所定範囲内であったとしても、隣接する他のボルトが所定の基準を満たさず(不適正)且つ隣接する他のボルトとの推定軸力の差分が同程度(例えば、±0)である場合には、判定対象のボルト230についても軸力が所定の基準を満たさないと判定する。具体的には、ボルトNo.3は、推定軸力が所定範囲内(下限値)であり、ボルトNo.2と比較すると、推定軸力の差分が±0kNである。また、ボルトNo.2は、所定の基準を満たさないと判定されている。このため、判定部333は、ボルトNo.3についても、軸力が所定の基準を満たさないと判定する。報知部335は、ボルトNo.3について、軸力が所定の基準を満たさない旨を報知する。
【0116】
上述したように、第3実施形態では、色取得部が取得したボルト230の色の情報と、他のボルトの締結部材の軸力を示す情報とに基づいて、ボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにした。具体的には、ボルト230の軸力が所定範囲内であったとしても、隣接する他のボルトとの比較結果(軸力の差分)を用いてボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにした。したがって、隣接する他のボルト(例えば、ボルトNo.1)に対して、推定軸力の差分が一定値以上である場合には、ボルト230(例えば、ボルトNo.2)に異常があるものと見なして、所定の基準を満たさないことを報知することができる。このため、軸力が下限値以下になる前に、ボルト230の締め付けを促す旨を報知することができる。すなわち、ボルト230の軸力が低下しやすい箇所を重点的にボルト230の締め付けを促す報知を行うことができる。したがって、適切な軸力でボルト230を締結することができる。
【0117】
また、第3実施形態では、判定部333の判定における所定の基準は、複数の他のボルトから得られた複数の軸力に基づいて決定されるようにした。これにより、複数の他のボルトの軸力を考慮して、ボルト230の軸力を判定することができる。したがって、ボルト230の軸力の判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0118】
なお、第3実施形態では、各ボルト230の推定軸力が所定範囲内であるか否かを判定し、さらに、隣接する他のボルトとの推定軸力の差分を用いて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにしたが、これに限らない。例えば、各ボルト230の推定軸力が所定範囲内であるか否かを判定せずに、隣接する他のボルトとの軸力の差分のみを用いて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定するようにしてもよい。具体的には、隣接する他のボルトとの軸力の差分が一定値以上(例えば、-10kN以上)である場合に、軸力が所定の基準を満たさないと判定してもよい。例えば、判定対象のボルト230をボルトNo.2とする、隣接するNo.1との差分が-10kNであることから、この差分の結果のみを用いて、ボルトNo.2の軸力が所定の基準を満たさないと判定してもよい。
【0119】
[第4実施形態]
上述した第1実施形態では、締結状態判定装置220が、色取得部331と、記憶部332と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335とを備えた締結状態判定システム200について説明した。第4実施形態では、これらの機能部を、ソケット装置1010が備えた締結状態判定システム1000について説明する。
【0120】
図10は、本発明の第4実施形態における締結状態判定システム1000を示す図である。図10に示すように、締結状態判定システム1000は、ソケット装置1010と、出力デバイス1020とを備える。ソケット装置1010は、情報取得部315と、色取得部331と、記憶部332と、判定部333と、判定結果出力部334とを備える。また、ソケット装置240は、ゲージピン302の情報(撮像結果)を解析する解析部を備える。色取得部331は、情報取得部315が取得した情報から解析によって得られた色の情報を取得する。
【0121】
出力デバイス1020は、判定結果出力部334から出力された判定結果を表示等によって出力する。出力デバイス1020は、映像を表示するディスプレイ、音を出力するスピーカ、振動する振動機(バイブレータ)、所定の点灯態様で点灯するランプなどである。また、出力デバイス1020は、パソコンやスマートフォンなどの情報処理端末でもよい。また、出力デバイス1020は、外付けの装置に限らず、ソケット装置1010に具備されていてもよい。
【0122】
また、出力デバイス1020は、ソケット部311に対して、ボルト230を締め付けるためのトルクを作用させる駆動部であってもよい。なお、出力デバイス1020を駆動部とする場合、締結状態判定システム1000は、判定部333の判定結果に基づいて駆動部のトルクを制御する制御部を備えるようにすればよい。当該制御部は、ソケット装置1010に具備されていてもよいし、外部の装置に具備されていてもよい。
【0123】
<ソケット装置1010のハードウェア構成>
図11は、本発明の第4実施形態におけるソケット装置1010のハードウェア構成の一例を示す図である。図11において、ソケット装置1010は、CPU1101と、ROM1102と、RAM1103と、メモリ1104と、通信I/F1105と、LED312、カメラ313とを備えている。各部は、バス1120によってそれぞれ接続されている。
【0124】
CPU1101は、ソケット装置1010の全体の制御を司る。ROM1102は、各種プログラムを記録している。RAM1103は、CPU1101のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU1101は、RAM1103をワークエリアとして使用しながら、ROM1102に記録された各種プログラムを実行することによって、ソケット装置1010の全体の制御を司る。
【0125】
メモリ1104は、各種データを記憶する。メモリには、例えば、フラッシュメモリ、HDDなどの不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が用いられる。メモリ1104は、締結状態判定プログラムなどの各種プログラムを記憶する。また、メモリ1104は、軸力と色の情報との対応関係を示す情報(例えば、図5の対応関係テーブル500)を記憶する。通信I/F1105は、通信回線を通じて出力デバイス1020や他の装置と接続されるインタフェースである。
【0126】
図10に示した、情報取得部315と、色取得部331と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335とは、CPU1101によって実現される。すなわち、CPU1101がメモリ1104に記憶されている締結状態判定プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。また、記憶部332は、メモリ1104によって実現される。
【0127】
第4実施形態に係る締結状態判定システム1000およびソケット装置1010は、ゲージピン302の情報に基づいて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定し、判定結果を出力するようにした。第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0128】
[第5実施形態]
上述した第1実施形態では、締結状態判定装置220が、情報取得部315と、色取得部331と、記憶部332と、判定部333とを備えた締結状態判定システム200について説明した。第5実施形態では、これらの機能部をレンチ装置1200について説明する。レンチ装置1200は、作業スタッフがボルトを締め付ける際に用いられ、ボルト230の軸力が適正になるよう自動でボルト230を締め付けることが可能である。
【0129】
図12は、本発明の第5実施形態におけるレンチ装置1200を示す図である。図10に示すように、レンチ装置1200は、ソケット装置1210と、情報取得部315と、色取得部331と、記憶部332と、判定部333と、駆動部1201と、制御部1202と、出力デバイス1203とを備える。また、レンチ装置1200は、作業スタッフが把持する把持部を備える。
【0130】
駆動部1201は、ソケット部311に、ボルト230を締め付けるためのトルクを作用させる。駆動部1201は、例えば、駆動モータである。制御部1202は、判定部333の判定結果に基づいて、駆動部1201のトルクを制御する。
【0131】
また、出力デバイス1203は、ディスプレイ、スピーカ、ランプなどである。また、出力デバイス1203は、把持部に具備される振動機(バイブレータ)などである。出力デバイスは、判定部333によってボルト230の軸力が所定の基準を満たすか否かに応じて、異なる出力態様で判定結果を出力する。異なる出力態様は、具体的には、異なる表示態様、異なる音の態様、異なる点灯態様、異なる振動態様である。例えば、出力デバイス1203がランプであれば、軸力が所定の基準を満たさない場合には赤で点灯し、軸力が所定の基準を満たす場合には青で点灯する。また、出力デバイス1203が振動機であれば、軸力が所定の基準を満たさないときには把持部が振動せず、軸力が所定の基準を満たすと把持部が振動する。
【0132】
<レンチ装置1200のハードウェア構成>
図13は、本発明の第5実施形態におけるレンチ装置1200のハードウェア構成の一例を示す図である。図12において、ソケット装置1210は、CPU1301と、ROM1302と、RAM1303と、メモリ1304と、駆動部1201と、出力デバイス1203とを備えている。各部は、バス1320によってそれぞれ接続されている。
【0133】
CPU1301は、レンチ装置1200の全体の制御を司る。ROM1302は、各種プログラムを記録している。RAM1303は、CPU1301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU1301は、RAM1303をワークエリアとして使用しながら、ROM1302に記録された各種プログラムを実行することによって、ソケット装置1010の全体の制御を司る。
【0134】
メモリ1304は、各種データを記憶する。メモリには、例えば、フラッシュメモリ、HDDなどの不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が用いられる。メモリ1304は、締結状態判定プログラムなどの各種プログラムを記憶する。また、メモリ1304は、軸力と色の情報との対応関係を占めす情報(例えば、図5の対応関係テーブル500)を記憶する。通信I/F1305は、通信回線を通じてソケット装置1210や他の装置と接続されるインタフェースである。
【0135】
図12に示した、情報取得部315と、色取得部331と、判定部333と、制御部1202とは、CPU1301によって実現される。すなわち、CPU1301がメモリ1304に記憶されている締結状態判定プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。また、記憶部332は、メモリ1304によって実現される。
【0136】
第5実施形態に係るレンチ装置1200は、ゲージピン302の情報に基づいて、軸力が所定の基準を満たすか否かを判定し、判定結果に基づいて、駆動部1201のトルクを制御するようにした。これにより、ボルト230の軸力が適正になるように自動でボルト230を締め付けることができる。また、使用によってボルト230が緩んだ場合でも、自動でボルト230を締め付けることができる。したがって、第5実施形態によれば、ボルト230の軸力を、常に適正な軸力に保つことができる。また、ボルト230の締め付けに係る作業スタッフの作業負荷を軽減することができる。
【0137】
[第6実施形態]
上述した第1実施形態では、ボルト230(六角ボルト)を用いた締結状態判定システム200について説明した。第6実施形態では、六角穴付ボルト1400を用いた締結状態判定システム200について説明する。
【0138】
図14は、本発明の第6実施形態における締結状態判定システム200の構成例を示す図である。図14において、締結状態判定システム200は、締結状態判定装置220と、六角穴付ボルト1400と、ソケット装置1410と、を備える。
【0139】
<六角穴付ボルト1400の構成>
六角穴付ボルト1400は、締結部材の一例である。六角穴付ボルト1400は、ゲージピン302を備える。ゲージピン302は、軸力に応じて色が変化する色変化部の一例である。ゲージピン302は、ボルト部301の軸部から頭部にかけて設けられている。ゲージピン302の一部(例えば、上面302a)は、ボルト部301の六角穴から露出している。
【0140】
なお、ゲージピン302は、ボルト部301の頭部方向から見て、ボルト部301の中心に設けられている。ただし、これに限らず、ゲージピン302は、ボルト部301の頭部方向から見て、ボルト部301の中心からずれた位置に設けられていてもよい。
【0141】
<ソケット装置1410の構成>
図15は、本発明の第6実施形態におけるソケット装置1410の外観の一例を示す図である。図15(A)は、ソケット装置1410を上方(図15(B)のa方向)から見た上面図である。図15(B)は、ソケット装置1410を側方から見た断面図である。図15(C)は、ソケット装置1410を下方(図15(B)のb方向)から見た下面図である。なお、以下では、図15を参照しつつ、図14に示したソケット装置1410について説明する。
【0142】
ソケット装置1410は、六角穴付ボルト1400の六角穴に取り付けられる。ソケット装置1410は、六角穴付ボルト1400を締め付けた後も、常時、六角穴付ボルト1400に取り付けられものとする。これに限らず、ソケット装置1410は、六角穴付ボルト1400の締結時や点検時などに取り付けられるようにしてもよい。
【0143】
ソケット装置1410は、連結部310と、ソケット部311と、LED(light emitting diode)312と、カメラ313と、位置規制部1401と、情報取得部315と、情報出力部316とを備える。連結部310は、作業スタッフが把持する不図示のレンチと、ソケット装置1410とを連結する(図15(A)参照。)。ソケット部311は、図15(C)に示すように、六角形状の形状を有し、六角穴付ボルト1400の六角穴に装着される。ソケット部311は、操作スタッフがレンチを操作することに応じて、六角穴付ボルト1400を締め付けたり、緩めたりする。
【0144】
LED312は、ゲージピン302に対して光を照射する光源である。カメラ313は、ゲージピン302の色を検出する。ソケット内部320は、密閉された状態になっている。具体的には、ソケット内部320は、ソケット部311がボルト部301の六角穴に嵌るとともに、ソケット装置240の底部317が六角穴の上面に当接することにより、密閉された状態となる。このため、カメラ313は、ソケット内部320における光量に関する条件が一定となる条件下で、ゲージピン302の色を検出する。
【0145】
位置規制部1401は、六角穴付ボルト1400の六角穴の上面に当接し、ソケット内部320におけるボルト230の図中上方向への移動を規制する。これにより、カメラ313がゲージピン302を撮像する際の条件を一定に保つことができる。
【0146】
第6実施形態によれば、六角穴付ボルト1400に対しても、締結状態判定システム200を適用することができる。これにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所に六角穴付ボルト1400が適用された場合でも、適切な軸力で六角穴付ボルト1400を締結させることができる。また、作業スタッフが直接目視しないでよいため、作業スタッフの誤認識に伴って不適切な軸力で六角穴付ボルト1400を締結させてしまうことを抑えることができる。
【0147】
[第7実施形態]
上述した第1実施形態では、ゲージピン302の一部が頭部から露出するボルト230について説明した。第7実施形態では、ゲージピン302の一部がボルト部301のねじ先から露出するボルトについて説明する。
【0148】
第7実施形態において、ボルトは、ゲージピン302の一部がボルト部301のねじ先から露出するものとする。すなわち、ナットがねじ込まれる側にゲージピン302が設けられるものとする。このため、ナットを締め付けることによって、軸力が高くなると、ねじ先から露出しているゲージピン302の色の変化が検出されることになる。
【0149】
第7実施形態において、ソケット装置240は、ナット側に設けられ、ナットを締め付けるソケット部311を備える。ナットが締め付けられることにより、軸力が適正になると、ねじ先から露出しているゲージピン302の色が黒色に変化する。
【0150】
第7実施形態によれば、ナット側にソケット装置240を設けたとしても、適切な軸力とすることができる。これにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所でナットを締め付ける場合でも、適切な軸力でナットを締め付けることができる。また、作業スタッフが直接目視しないでよいため、作業スタッフの誤認識に伴って不適切な軸力でナットを締め付けてしまうことを抑えることができる。
【0151】
[第8実施形態]
上述した第1実施形態では、締結部材をボルト230とした締結状態判定システム200について説明した。第8実施形態では、締結部材をナットとした締結状態判定システム200について説明する。
【0152】
第8実施形態に係る締結状態判定システム200において、ナットは、例えば、六角ナットである。ナットは、六角ボルトにねじ込まれて、被締結部材を締結する。なお、ナットは、六角ナットに限らず、四角ナット、六角袋ナットなど他のナットであってもよい。ナットは、被締結部材に接する側(以下「接触側」という。)と、被締結部材に接しない側(以下「非接触側」という。)とを有する。
【0153】
ナットは、ゲージピンを備える。ゲージピンは、ゲージピンの一部が非接触側から露出するように設けられる。ここで、ボルトには、被締結部材を締結させる力として圧縮力が働く。ゲージピンは、圧縮力によって、ボルトが圧縮されると、僅かに浮き上が、これにより、色が変化する部材である。また、ゲージピンは、圧縮力が低下すると、浮き上がる量が小さくなり、これにより、元の色に戻る。ゲージピンは、圧縮力が低いときには黒色であり、圧縮力が高くなるにつれて、薄い色(赤色)に変化する。
【0154】
ソケット装置240は、ナットを覆うように取り付けられる。ソケット装置240は、ナットを締め付けた後も、常時、ナットに取り付けられるものとする。ただし、これに限らず、ソケット装置240は、ナットの締結時や点検時などに取り付けられるようにしてもよい。ソケット内部320は、ソケット部311とナットとによって密閉された状態になっている。カメラ313は、LED312がゲージピン302に対して光を照射することにより、ゲージピン302の色を検出する。
【0155】
第8実施形態によれば、ナットを締め付ける場合でも、適切な締結力とすることができる。これにより、狭い場所や高所など目視確認を行うことが困難な場所でナットを締め付ける場合でも、適切な締結力でナットを締め付けることができる。また、作業スタッフが直接目視しないでよいため、作業スタッフの誤認識に伴って不適切な締結力でナットを締め付けてしまうことを抑えることができる。これにより、ボルトの軸力を適切な軸力とすることができる。
【0156】
なお、上述した各実施形態をそれぞれ組み合わせることも可能である。例えば、第6実施形態に示した六角穴付ボルト1400に適用するソケット装置1410に、第4実施形態のソケット装置1010に具備される各機能部(色取得部331と、記憶部332と、判定部333と、判定結果出力部334と、報知部335)を具備させることも可能である。また、例えば、第5実施形態に示したレンチ装置1200に、第6実施形態に示した六角穴付ボルト1400に適用するソケット装置1410を連結することも可能である。
【0157】
また、上述した各実施形態において、各機能部(色取得部331、判定部333、判定結果出力部334、報知部335、制御部1202等)は、一のコンピュータ装置に具備される構成について説明した。ただし、これらの機能部は、他のコンピュータ装置に具備されていてもよい。例えば、これらの機能部は、外部サーバに具備されていてもよい。また、これらの機能部が具備されるコンピュータ装置は、1台であることに限らず、複数台であってもよい。具体的には、例えば、これらの機能部の一部の機能部が一のコンピュータ装置に具備され、他の機能部が他のコンピュータ装置に具備されてもよい。
【0158】
また、上述した各実施形態では、本発明に係る締結状態判定システム200、1000、締結状態判定装置220、ソケット装置240、1010、1410、レンチ装置1200等を風車101に適用した場合について説明した。但し、これらを、風車101に適用することに限らず、例えば精密減速機など、ボルト230(および六角穴付ボルト1400)を用いる各種工業製品に適用することが可能である。各実施形態によれば、各ボルト230を適切な軸力で締結することができるため、ボルト230の設置数を低減させることが可能になる。これにより、各種工業製品の小型化を図ることができる。
【0159】
なお、以上に説明した、締結状態判定システム200、1000、締結状態判定装置220、ソケット装置240、1010、1210、1410、レンチ装置1200を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0160】
101…風車、210…ヨーアクチュエータ、200,1000…締結状態判定システム、230…ボルト、240,1010,1210,1410…ソケット装置、302…ゲージピン、311…ソケット部、312…LED、313…カメラ、314…位置規制部、315…情報取得部、316…情報出力部、331…色取得部、332…記憶部、333…判定部、334…判定結果出力部、335…報知部、500,800,900…対応関係テーブル、1200…レンチ装置、1201…駆動部、1202…制御部、1400…六角穴付ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15