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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】方法、情報処理装置、及び車両
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20241001BHJP
【FI】
G06Q10/083
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020185970
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075281
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2022-10-18
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】青野 和巳
(72)【発明者】
【氏名】上野山 直貴
(72)【発明者】
【氏名】ゴルグリ ジャヤバラト アール
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】田中 寛人
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-96963(JP,A)
【文献】特開2019-116251(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030025(WO,A1)
【文献】特開2011-184150(JP,A)
【文献】特開2005-172394(JP,A)
【文献】特開2006-131374(JP,A)
【文献】国際公開第2018/118010(WO,A1)
【文献】特開2018-36015(JP,A)
【文献】特開2002-115962(JP,A)
【文献】特開2001-317862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容空間に収容された荷物を輸送する車両と通信する情報処理装置が実行する方法であって、
前記複数の収容空間ごとに、前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得すること
取得された前記輸送条件に基づいて、前記複数の収容空間ごとに、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御すること、及び
前記収容空間のいずれか一つに収容された複数の荷物の前記輸送条件が同時に成立し得ない場合、前記車両を介して警告を行うこと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の温度又は湿度を所定値又は所定範囲内に維持するという第1条件を含み、
前記情報処理装置は、前記収容空間に設けられた空調装置を用いて、前記収容空間の温度又は湿度を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の気圧を所定値又は所定範囲内に維持するという第2条件を含み、
前記情報処理装置は、前記収容空間に設けられた加減圧装置を用いて、前記収容空間の気圧を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の方法であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定のガスを噴射するという第3条件を含み、
前記情報処理装置は、前記収容空間に設けられた噴射装置を用いて、前記収容空間に前記所定のガスを噴射する、方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の方法であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定の光を照射するという第4条件を含み、
前記情報処理装置は、前記収容空間に設けられた光源装置を用いて、前記収容空間に前記所定の光を照射する、方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法であって、
荷物の前記輸送条件は、輸送時の前記車両の加速度の大きさを所定値以下にするという第5条件を含み、
前記情報処理装置は、前記所定値を前記車両の加速度の大きさの上限値に設定し、前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限する、方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の方法であって、
前記収容空間の環境を制御する能力が前記収容空間に収容された荷物の前記輸送条件を成立し得ない場合、前記車両を介して警告を行うことを更に含む、方法。
【請求項8】
複数の収容空間に収容された荷物を輸送する車両と通信する情報処理装置であって、制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の収容空間ごとに、前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得し、
取得された前記輸送条件に基づいて、前記複数の収容空間ごとに、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御し、前記収容空間のいずれか一つに収容された複数の荷物の前記輸送条件が同時に成立し得ない場合、前記車両を介して警告を行う、情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の温度又は湿度を所定値又は所定範囲内に維持するという第1条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた空調装置を用いて、前記収容空間の温度又は湿度を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、情報処理装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の情報処理装置であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の気圧を所定値又は所定範囲内に維持するという第2条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた加減圧装置を用いて、前記収容空間の気圧を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、情報処理装置。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定のガスを噴射するという第3条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた噴射装置を用いて、前記収容空間に前記所定のガスを噴射する、情報処理装置。
【請求項12】
請求項8から11の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定の光を照射するという第4条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた光源装置を用いて、前記収容空間に前記所定の光を照射する、情報処理装置。
【請求項13】
請求項8から12の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
荷物の前記輸送条件は、輸送時の前記車両の加速度の大きさを所定値以下にするという第5条件を含み、
前記制御部は、前記所定値を前記車両の加速度の大きさの上限値に設定し、前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限する、情報処理装置。
【請求項14】
請求項8から13の何れか一項に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記収容空間の環境を制御する能力が前記収容空間に収容された荷物の前記輸送条件を成立し得ない場合、前記車両を介して警告を行う、情報処理装置。
【請求項15】
複数の収容空間を備える車両であって、制御部を備え、
前記制御部は、
前記複数の収容空間ごとに、前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得し、
取得された前記輸送条件に基づいて、前記複数の収容空間ごとに、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御し前記収容空間のいずれか一つに収容された複数の荷物の前記輸送条件が同時に成立し得ない場合、前記車両を介して警告を行う、車両。
【請求項16】
請求項15に記載の車両であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の温度又は湿度を所定値又は所定範囲内に維持するという第1条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた空調装置を用いて、前記収容空間の温度又は湿度を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、車両。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の車両であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物の周囲環境の気圧を所定値又は所定範囲内に維持するという第2条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた加減圧装置を用いて、前記収容空間の気圧を前記所定値又は前記所定範囲内に維持する、車両。
【請求項18】
請求項15から17の何れか一項に記載の車両であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定のガスを噴射するという第3条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた噴射装置を用いて、前記収容空間に前記所定のガスを噴射する、車両。
【請求項19】
請求項15から18の何れか一項に記載の車両であって、
荷物の前記輸送条件は、前記荷物に所定の光を照射するという第4条件を含み、
前記制御部は、前記収容空間に設けられた光源装置を用いて、前記収容空間に前記所定の光を照射する、車両。
【請求項20】
請求項15から19の何れか一項に記載の車両であって、
荷物の前記輸送条件は、輸送時の前記車両の加速度の大きさを所定値以下にするという第5条件を含み、
前記制御部は、前記所定値を前記車両の加速度の大きさの上限値に設定し、前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法、情報処理装置、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を用いた荷物の輸送技術が知られている。例えば、特許文献1には、荷物に取り付けられた商品タグから読み取った荷物情報に基づいて、配送車の荷台に搭載する位置を判断し、当該位置を表示させて配達員に指示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-160491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を用いた荷物の輸送技術の改善が望まれている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、車両を用いた荷物の輸送技術を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る方法は、
収容空間に収容された荷物を輸送する車両と通信する情報処理装置が実行する方法であって、
前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得すること、及び
取得された前記輸送条件に基づいて、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御し、又は前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限すること
を含む。
【0007】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、
収容空間に収容された荷物を輸送する車両と通信する情報処理装置であって、制御部を備え、
前記制御部は、
前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得し、
取得された前記輸送条件に基づいて、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御し、又は前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る車両は、
収容空間を備える車両であって、制御部を備え、
前記制御部は、
前記収容空間に収容される荷物の輸送条件を取得し、
取得された前記輸送条件に基づいて、前記荷物の輸送時における前記収容空間の環境を制御し、又は前記荷物の輸送時における前記車両の加速度の大きさを制限する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、車両を用いた荷物の輸送技術が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】車両の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】情報処理装置に記憶される情報の例を示す図である。
図5】情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(実施形態の概要)
図1を参照して、本開示の一実施形態に係るシステム1の概要について説明する。システム1は、車両10と、情報処理装置20と、タグ30と、を備える。車両10及び情報処理装置20は、例えば移動体通信網及びインターネット等を含むネットワーク40と通信可能に接続される。
【0013】
車両10は、例えば輸送用自動車であるが、これに限られず任意の車両であってもよい。車両10は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1乃至5等の自動運転が可能であってもよい。車両10には、輸送する荷物を収容する収容空間11が設けられている。図1では4つの収容空間11が図示されているが、車両10に設けられる収容空間11の数は任意に定められてもよい。車両10は、収容空間11に収容された荷物を輸送するために用いられる。情報処理装置20は、例えばサーバ装置であるが、これに限られず任意のコンピュータであってもよい。タグ30は、荷物に取り付けられるタグである。タグ30は、例えばRF(Radio Frequency)タグ、又は一次元コード若しくは二次元コードが印刷されたタグであるが、これらに限られない。
【0014】
まず、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。車両10は、例えば作業員によって収容空間11に荷物が収容されると、当該荷物に取り付けられたタグ30から情報を読み取る。車両10は、読み取った情報を、ネットワーク40を介して情報処理装置20へ送信する。情報処理装置20は、車両10から受信した情報に基づいて、当該荷物の輸送条件を取得する。そして情報処理装置20は、取得された輸送条件に基づいて、荷物の輸送時における収容空間11の環境を制御し、又は荷物の輸送時における車両10の加速度の大きさを制限する。
【0015】
このように、本実施形態によれば、収容空間11に収容される荷物の輸送条件に基づいて、収容空間11の環境が適切に制御されたり、輸送時における車両10の加速度の大きさが適切に制限されたりし得る。したがって、荷物に応じた適切な環境下で輸送が実施可能となる点で、車両10を用いた荷物の輸送技術が改善される。
【0016】
次に、システム1の各構成について、詳細に説明する。
【0017】
(車両の構成)
図2に示すように、車両10は、収容空間11と、読取部12と、調整部13と、通信部14と、記憶部15と、制御部16と、を備える。
【0018】
収容空間11は、輸送時に荷物が収容される空間である。収容空間11には、例えば開閉可能な扉が設けられる。扉を閉めることで収容空間11が密閉されてもよい。当該扉は、荷物を収容する作業員又は荷物の受取人が、例えばパスワード入力又は生体認証等の操作を行うことにより開けることができてもよい。
【0019】
読取部12は、タグ30から情報を読み取る1つ以上の装置を含む。当該装置は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)リーダ、コードスキャナ、又はカメラ等であるが、これらに限られない。本実施形態において、読取部12は、例えば収容空間11に荷物が収容されると、当該荷物に取り付けられたタグ30から後述する荷物情報を読み取る。
【0020】
調整部13は、収容空間11の環境を調整する1つ以上の装置を含む。当該装置は、空調装置、加減圧装置、噴射装置、又は光源装置等であるが、これらに限られない。空調装置は、収容空間11の温度又は湿度を調整可能となるように、収容空間11に設けられる。加減圧装置は、収容空間11の気圧を調整可能となるように、収容空間11に設けられる。噴射装置は、収容空間11に所定のガスを噴射可能となるように、収容空間11に設けられる。光源装置は、収容空間11に所定の光を照射可能となるように、収容空間11に設けられる。
【0021】
通信部14は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば4G(4th Generation)若しくは5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られない。本実施形態において、車両10は、通信部14及びネットワーク40を介して情報処理装置20と通信する。
【0022】
記憶部15は、1つ以上のメモリを含む。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部15に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部15は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部15は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部15に記憶された情報は、例えば通信部14を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0023】
制御部16は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるがこれらに限られない。プログラマブル回路は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)であるがこれに限られない。専用回路は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であるがこれに限られない。制御部16は、車両10全体の動作を制御する。例えば、制御部16は、読取部12を用いてタグ30から読み取った情報を、通信部14及びネットワーク40を介して情報処理装置20に送信し得る。また例えば、制御部16は、通信部14及びネットワーク40を介して情報処理装置20から受信する情報に基づいて、調整部13を用いて収容空間11の環境を制御し、又は荷物の輸送時における車両10の加速度の大きさを制限し得る。
【0024】
(情報処理装置の構成)
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0025】
通信部21は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信インタフェースを含む。当該通信インタフェースは、例えば移動体通信規格、有線LAN(Local Area Network)規格、又は無線LAN規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、情報処理装置20は、通信部21及びネットワーク40を介して車両10と通信する。
【0026】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含む。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、情報処理装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及びデータベース等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0027】
本実施形態において記憶部22は、図4に示すように、荷物情報と輸送条件の対応関係を示す情報を記憶する。詳細には、記憶部22は、複数の荷物情報と、当該複数の荷物情報にそれぞれ対応する複数の輸送条件と、を記憶する。
【0028】
「荷物情報」は、タグ30が取り付けられる荷物に関する任意の情報を含む。具体的には、荷物情報は、荷物の名称、識別ID、又は属性等を含んでもよい。名称は、例えば商品名又は製品名等であるが、これらに限られない。識別IDは、例えばシステム1において荷物を識別可能な情報である。属性は、荷物の任意の性質又は分類等を示す情報である。例えば属性には、「冷蔵」、「冷凍」、「宅配ピザ」、「生鮮食品」、又は「ガラス製品」等が含まれ得る。
【0029】
「輸送条件」は、荷物の輸送時に満たされるべき任意の条件である。本実施形態において、輸送条件は、第1乃至第5条件のうち1つ以上の条件を含み得る。
【0030】
第1条件は、荷物の周囲環境の温度又は湿度を所定値又は所定範囲内に維持するという条件である。例えば、上記の荷物情報が「冷蔵」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、温度を-5℃~5℃の範囲に維持するという第1条件が含まれてもよい。また例えば、上記の荷物情報が「冷凍」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、温度を-15℃以下に維持するという第1条件が含まれてもよい。また例えば、上記の荷物情報が「宅配ピザ」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、温度を65℃~80℃に維持するという第1条件が含まれてもよい。また例えば、上記の荷物情報が「生鮮食品」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、湿度を85%~100%に維持するという第1条件が含まれてもよい。しかしながら、荷物情報と第1条件の対応関係及び内容は、上述の例に限られず任意に定められてもよい。
【0031】
第2条件は、荷物の周囲環境の気圧を所定値又は所定範囲内に維持するという条件である。例えば、上記の荷物情報が「生鮮食品」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、気圧を0.1Pa~100Paに維持するという第2条件が含まれてもよい。しかしながら、荷物情報と第2条件の対応関係及び内容は、上述の例に限られず任意に定められてもよい。
【0032】
第3条件は、荷物に所定のガスを噴射するという条件である。例えば、上記の荷物情報が「生鮮食品」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、オゾンガスを噴射するという第3条件が含まれてもよい。しかしながら、荷物情報と第3条件の対応関係及び内容は、上述の例に限られず任意に定められてもよい。
【0033】
第4条件は、荷物に所定の光を照射するという条件である。例えば、上記の荷物情報が「生鮮食品」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、紫外光を照射するという第4条件が含まれてもよい。しかしながら、荷物情報と第4条件の対応関係及び内容は、上述の例に限られず任意に定められてもよい。
【0034】
第5条件は、車両10の加速度の大きさを所定値以下にするという条件である。例えば、上記の荷物情報が「ガラス製品」である場合、当該荷物情報に対応する輸送条件には、車両10の加速度の大きさを1.96m/s以下にするという第5条件が含まれてもよい。しかしながら、荷物情報と第5条件の対応関係及び内容は、上述の例に限られず任意に定められてもよい。
【0035】
制御部23は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のプログラマブル回路、1つ以上の専用回路、又はこれらの組合せを含む。制御部23は、情報処理装置20全体の動作を制御する。制御部23によって制御される情報処理装置20の動作の詳細については後述する。
【0036】
(情報処理装置の動作フロー)
図5を参照して、情報処理装置20の動作フローについて説明する。
【0037】
ステップS100:情報処理装置20の制御部23は、荷物情報と輸送条件の対応関係を示す情報を記憶部22に記憶する。
【0038】
ステップS101:制御部23は、車両10の収容空間11ごとに、収容空間11に収容される荷物の輸送条件を取得する。
【0039】
具体的には、制御部23は、車両10の読取部12によってタグ30から読み取られた荷物情報を、通信部21及びネットワーク40を介して受信する。そして制御部23は、ステップS100における荷物情報と輸送条件の対応関係に基づいて、車両10から受信した荷物情報に対応する輸送条件を取得する。例えば、車両10から受信された荷物情報が「冷凍」である場合、温度を-15℃以下に維持するという第1条件を含む輸送条件が取得され得る。
【0040】
なお、1つの収容空間11に複数の荷物が収容されてもよい。かかる場合、ステップS101において制御部23は、複数の荷物にそれぞれ対応する複数の輸送条件を取得する。したがって、制御部23は、収容空間11ごとに、収容空間11に収容された1つ以上の荷物にそれぞれ対応する1つ以上の輸送条件を取得する。
【0041】
ステップS102:制御部23は、ステップS101で取得された輸送条件が成立し得るか否かを判定する。輸送条件が成立し得ると判定した場合(ステップS102-Yes)、プロセスはステップS103に進む。一方、輸送条件が成立し得ないと判定した場合(ステップS102-No)、プロセスはステップS105に進む。
【0042】
例えば、2つの荷物が1つの収容空間11に収容された場合を考える。かかる場合において、例えば一方の荷物の輸送条件が、温度を-5℃~5℃の範囲に維持するという第1条件を含んでおり、他方の荷物の輸送条件が、温度を-15℃以下に維持するという第1条件を含んでいるとき、当該2つの輸送条件は同時に成立し得ない。このため、制御部23は、輸送条件が成立し得ないと判定する。なお、当該2つの荷物が2つの収容空間11に分けて収容された場合には、制御部23は、輸送条件が成立し得ると判定し得る。
【0043】
また例えば、2つの荷物が、1つの収容空間11に収容され又は2つの収容空間11に分けて収容された場合を考える。かかる場合において、例えば一方の荷物の輸送条件が、車両10の加速度の大きさを1.96m/s以下にするという第5条件を含んでおり、他方の荷物の輸送条件が、車両10の加速度の大きさを0.98m/s以下にするという第5条件を含んでいるとき、当該2つの輸送条件は同時に成立し得る。このため、制御部23は、輸送条件が成立し得ると判定し得る。
【0044】
また例えば、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が、温度を-15℃以下に維持するという第1条件を含んでいる場合を考える。かかる場合において、車両10の調整部13に含まれる空調装置が、当該収容空間11を-15℃以下に維持する冷却能力を有していないとき、当該輸送条件は成立し得ない。このため、制御部23は、輸送条件が成立し得ないと判定する。
【0045】
ステップS103:ステップS102で輸送条件が成立し得ると判定された場合(ステップS102-Yes)、制御部23は、ステップS101で取得された輸送条件に基づいて、荷物の輸送時における各収容空間11の環境を制御する。
【0046】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク40を介して、車両10の調整部13の制御信号を車両10へ送信することによって、収容空間11の環境を制御する。例えば、制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第1条件を含む場合、車両10の調整部13に含まれる空調装置を用いて、当該収容空間11の温度又は湿度を所定値又は所定値以下に維持する。また制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第2条件を含む場合、車両10の調整部13に含まれる加減圧装置を用いて、当該収容空間11の気圧を所定値又は所定範囲内に維持する。また制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第3条件を含む場合、車両10の調整部13に含まれる噴射装置を用いて、当該収容空間11に所定のガスを噴射する。また制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第4条件を含む場合、車両10の調整部13に含まれる光源装置を用いて、当該収容空間11に所定の光を照射する。
【0047】
ステップS104:制御部23は、ステップS101で取得された輸送条件に基づいて、荷物の輸送時における車両10の加速度の大きさを制限する。
【0048】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク40を介して、加速度の上限値を車両10に通知することによって、輸送時における車両10の加速度の大きさを制限する。例えば、制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第5条件を含む場合、当該第5条件に示される「所定値」を車両10の加速度の大きさの上限値に設定する。上限値が設定されると、荷物の輸送時において車両10の制御部16は、例えば緊急回避を行う等の所定の状況を除き、車両10に発生する加速度の大きさが上限値を超えないように車両10の加減速操作を行う。
【0049】
ステップS105:ステップS102で輸送条件が成立し得ないと判定された場合(ステップS102-No)、制御部23は、車両10を介して警告を行う。
【0050】
具体的には、制御部23は、通信部21及びネットワーク40を介して、警告の内容を車両10へ通知する。車両10は、例えば車両10に設けられた表示装置又はスピーカ等の出力装置を介して、通知された警告の内容を出力する。警告の内容は、例えば輸送条件が同時に成立しない複数の荷物が1つ又は複数の収容空間11に収容されていることを作業員に知らせるメッセージ、又は輸送条件が同時に成立しない複数の荷物を異なる収容空間11に収容することを促すメッセージ等を含み得るが、これに限られず任意に定められてもよい。
【0051】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理装置20は、収容空間11に収容される荷物の輸送条件を取得する。そして情報処理装置20は、取得された輸送条件に基づいて、収容空間11の環境を制御し、又は荷物の輸送時における車両10の加速度の大きさを制限する。
【0052】
かかる構成によれば、収容空間11に収容される荷物の輸送条件に基づいて、収容空間11の環境が適切に制御されたり、輸送時における車両10の加速度の大きさが適切に制限されたりし得る。したがって、荷物に応じた適切な環境下で輸送が実施可能となる点で、車両10を用いた荷物の輸送技術が改善される。
【0053】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0054】
例えば、上述した実施形態において情報処理装置20が実行する一部又は全部の動作を、車両10が実行する実施形態も可能である。また、上述した収容空間11、読取部12、及び調整部13を、車両10から独立した収容装置として構成する実施形態も可能である。かかる場合、収容装置は、車両10と有線又は無線を介して通信可能ある。また、収容装置は、情報処理装置20と通信する通信インタフェースを備えてもよく、或いは車両10の通信部14を介して情報処理装置20と通信可能であってもよい。さらに、上述した実施形態において情報処理装置20が実行する一部又は全部の動作を、当該収容装置が実行する実施形態も可能である。
【0055】
また、上述した実施形態において、読取部12が収容空間11に設けられる例について説明した。しかしながら、例えばハンディターミナル又はスマートフォン等の携帯端末が読取部12として採用可能であってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態において、車両10が、読取部12を用いてタグ30から荷物情報を読み出す例について説明した。しかしながら、車両10が、タグ30から荷物情報ではなく輸送条件を示す情報を読み出す実施形態も可能である。かかる場合、情報処理装置20は、車両10から荷物の輸送条件を示す情報を受信可能である。このため、情報処理装置20は、荷物情報と輸送条件の対応関係を示す情報を記憶する必要がない。
【0057】
また、上述した実施形態では、輸送条件が第1乃至第5条件を含み得る例について説明した。しかしながら、輸送条件は、例えば振動の大きさが所定値以下であるという第6条件を含んでもよい。かかる場合、情報処理装置20の制御部23は、例えば地図データに含まれる道路ごとに、走行中の車両10に発生する振動の大きさを示す情報を予め記憶してもよい。そして制御部23は、収容空間11に収容された荷物の輸送条件が第6条件を含む場合、振動の大きさが当該第6条件に示される所定値以下である道路を優先的に用いて、車両10による荷物の輸送ルートを決定し、車両10に通知してもよい。
【0058】
また、例えば汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る情報処理装置20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る情報処理装置20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、コンピュータのメモリに格納し、コンピュータのプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体としても実現可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 システム
10 車両
11 収容空間
12 読取部
13 調整部
14 通信部
15 記憶部
16 制御部
20 情報処理装置
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
30 タグ
40 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5