(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】構成部品、制御装置及び産業機械
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G05B23/02 301V
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2020187748
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019238443
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】池田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴宏
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-258941(JP,A)
【文献】特開2021-005231(JP,A)
【文献】特開2005-202774(JP,A)
【文献】特開2012-226662(JP,A)
【文献】特開平11-282789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品とともに産業機械に組み込まれ、前記構成部品と接続され、前記構成部品を制御する制御装置であって、
前記構成部品は、
前記制御装置に対して提供可能な自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部と、
自身の固有識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した前記制御装置の制御装置識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した他の構成部品の固有識別情報と、について、前記制御装置
によって取得された取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部と、
を備
え、
前記制御装置は、
自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部と、
前記構成部品の固有の識別情報について、それぞれの前記構成部品から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部と、
過去に
前記固有識別情報取得部によって取得された固有識別情報について、
前記固有識別情報取得部によって取得された取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持している制御側構成履歴保持部と、
新たに取得された前記固有識別情報と固有の前記構成履歴に含まれる固有識別情報との間の構成上の差異を検出する制御側差異検出部と、
差異が検出された場合に、前記制御装置識別情報と新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に前記新たな構成履歴を前記制御側構成履歴保持部
及び前記部品側構成履歴保持部に保持させる制御側保持実行部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
制御装置とともに産業機械に組み込まれ
、前記制御装置によって制御される構成部品であって、
前記制御装置に対して提供可能な自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部と、
自身の固有識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した前記制御装置の制御装置識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した他の構成部品の固有識別情報とについて、
前記制御装置によって取得された取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部と、
前記部品側構成履歴保持部に保持されている最新の構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報と、前記構成部品を制御する前記制御装置に保持されている最新の構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報との構成上の差異を検出する部品側差異検出部と、
差異が検出された場合に、既に保持されている前記構成履歴とは別に新たな構成履歴を前記部品側構成履歴保持部に保持させる部品側保持実行部と、
を備える構成部品。
【請求項3】
請求項
2に記載の構成部品と接続され、前記構成部品を制御する制御装置であって、
自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部と、
前記構成部品の固有の識別情報について、それぞれの前記構成部品から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部と、
過去に
前記固有識別情報取得部によって取得された固有識別情報について、
前記固有識別情報取得部によって取得された取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している制御側構成履歴保持部と、
制御装置識別情報と新たに取得された固有識別情報とを新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に前記新たな構成履歴を前記制御側構成履歴保持部に保持させる制御側保持実行部と、
を備える制御装置。
【請求項4】
前記固有識別情報保持部は、前記構成部品に適用されているソフトウェアの情報を含む前記固有識別情報を保持する
請求項
2に記載の構成部品。
【請求項5】
前記制御装置は、前記制御装置と前記構成部品との接続状態に関する接続情報を取得する接続情報取得部をさらに備え、
前記制御側保持実行部は、前記制御側構成履歴保持部及び前記部品側構成履歴保持部に、取得した接続情報を含む新たな構成履歴を保持させる
請求項
1又は3に記載の制御装置。
【請求項6】
構成部品を制御する制御装置であって、
自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部と、
前記構成部品の固有の識別情報について、それぞれの前記構成部品から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部と、
前記制御装置識別情報保持部が保持していた制御装置識別情報と、前記固有識別情報取得部によって過去に取得された固有識別情報とについて、
前記固有識別情報取得部によって取得された取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持している制御側構成履歴保持部と、
新たに取得された前記固有識別情報と固有の前記構成履歴に含まれる固有識別情報との間の構成上の差異を検出する制御側差異検出部と、
差異が検出された場合に、前記制御装置識別情報保持部が保持している制御装置識別情報と前記固有識別情報取得部によって新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に前記新たな構成履歴を前記制御側構成履歴保持部に保持させる制御側保持実行部と、
を備える制御装置。
【請求項7】
前記新たな構成履歴は、前記制御装置識別情報保持部が保持している制御装置識別情報及び前記固有識別情報取得部によって新たに取得された前記固有識別情報と、前記既に保持されている構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報との間の構成上の差異を有する制御装置のみの制御装置識別情報又は構成部品のみの固有識別情報を含むものである
請求項
6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置識別情報保持部は、前記制御装置に適用されているソフトウェアの情報を含む前記制御装置識別情報を保持する
請求項
1、3又は6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記固有識別情報取得部は、前記構成部品に適用されているソフトウェアの情報を含む前記固有識別情報を取得する
請求項
1、3又は6に記載の制御装置。
【請求項10】
請求項
1に記載の制御装置、又は、請求項
2に記載の構成部品及び請求項3に記載の制御装置、又は、請求項
6に記載の制御装置を備えた産業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構成部品、制御装置及び産業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークに加工等を行う産業機械と、当該産業機械を制御する制御装置が知られている。産業機械には、アンプ、モータ等の複数の構成部品が組み込まれている。このような、制御装置及び構成部品は、自身の個体識別番号のみを記録しているのが一般的である。そして、制御装置及び構成部品の組み合わせは、製造元からの出荷時にデータベース上に記録されているのが現状である。
【0003】
ところで、システムの出荷後に、出荷先の工作機械メーカの都合や、エンドユーザでの交換修理等により、システム構成が変更されることがある。このようなシステムの構成部品に不具合が発生した場合、当該構成部品は、回収されて調査される。しかしながら、システム変更後に発生した不具合では、不具合発生時のシステム構成がわからない。そのため、正確な再現試験が実施できない。その結果、不具合の発生が確認できず、不具合の解決ができないことがあった。そこで、接続された外部ユニットの情報と接続先の監視制御ユニットとの間で、外部ユニットの登録情報を共有する監視制御システム構成設定機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の機構では、監視制御ユニットに外部ユニットが接続されることで、両者の間で登録情報が共有される。一方、特許文献1に記載の機構では、固有の登録情報が共有されるものの、過去の登録情報までは共有されない。そのため、不具合発生後にシステム構成が変更された場合、不具合発生時の構成は、記録されない。したがって、不具合発生時の構成を再現することができず、不具合を解消することができない。そこで、不具合発生時の構成を容易に取得することができれば好適である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示は、制御装置とともに産業機械に組み込まれる構成部品であって、前記制御装置に対して提供可能な自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部と、自身の固有識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した制御装置の制御装置識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した他の構成部品の固有識別情報と、について、前記制御装置からの取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部と、を備える構成部品に関する。
【0007】
(2)また、本開示は、制御装置とともに産業機械に組み込まれる構成部品であって、前記制御装置に対して提供可能な自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部と、自身の固有識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した前記制御装置の制御装置識別情報と、過去に前記産業機械を共に構成した他の構成部品の固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部と、前記部品側構成履歴保持部に保持されている最新の構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報と、前記構成部品を制御する前記制御装置に保持されている最新の構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報との構成上の差異を検出する部品側差異検出部と、差異が検出された場合に、既に保持されている前記構成履歴とは別に新たな構成履歴を前記部品側構成履歴保持部に保持させる部品側保持実行部と、を備える構成部品に関する。
(3)また、本開示は、構成部品を制御する制御装置であって、自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部と、前記構成部品の固有の識別情報について、それぞれの前記構成部品から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部と、前記制御装置識別情報保持部が保持していた制御装置識別情報と、前記固有識別情報取得部によって過去に取得された固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持している制御側構成履歴保持部と、前記制御装置識別情報保持部が保持している制御装置識別情報と前記固有識別情報取得部によって新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に前記新たな構成履歴を前記制御側構成履歴保持部に保持させる制御側保持実行部と、を備える制御装置に関する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、不具合発生時の構成履歴を容易に取得可能な構成部品、その制御装置、及びそれらを含む産業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る産業機械を示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の産業機械の構成履歴を示す模式図である。
【
図4】第1実施形態の構成部品の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態の産業機械の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の第2実施形態に係る構成部品の構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態の産業機械の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】変形例の構成履歴の構成部品のリストを示す模式図である。
【
図9】変形例の構成履歴の構成部品のリストを示す模式図である。
【
図10】変形例の構成履歴の構成部品のリストを示す模式図である。
【
図11】本開示の第3実施形態に係る産業機械を示す概略構成図である。
【
図12】第3実施形態の制御装置及び構成部品の構成を示すブロック図である。
【
図13A】第3実施形態の産業機械の構成履歴を示す模式図である。
【
図13B】第3実施形態の産業機械の構成履歴を示す模式図である。
【
図13C】第3実施形態の産業機械の構成履歴を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200について、
図1から
図7及び
図11から
図13Cを参照して説明する。
まず、以下の各実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200の概要について説明する。
【0011】
産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、それぞれを構成する部品等の構成履歴を保持することができる。ここで、構成部品200は、複数組み合わされて制御装置10以外の産業機械1の一部又は全部を構成する。産業機械は、例えば、工作機械(マシニングセンタ、旋盤、研削盤、放電加工機等)、産業用ロボット、その他の機械(射出成形機、レーザ加工機、プレス加工機、積層造形装置等)である。産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、例えば、構成内容の変更ごとに、構成履歴を保持することができる。これにより、不具合の発生した構成部品200を産業機械1から取り外して、別の場所で試験する場合であっても、不具合の発生した構成履歴に近い産業機械1の構成を再現することができる。これにより、試験における不具合の再現率を高め、原因究明を容易にすることができる。
【0012】
[第1実施形態]
産業機械1は、いわゆる、NC(numerical control)工作機械(以下「CNC」(computerized numerical control)ということがある)である。産業機械1は、
図1に示すように、制御装置10と、構成部品200と、を備える。
【0013】
産業機械1は、交換可能な複数の構成部品200を備える。すなわち、産業機械1は、複数の構成部品200を組み合わせて構成される。産業機械1は、例えば、構成部品200として、センサ201、I/O202、サーボアンプ203、サーボモータ204、パルスコーダ205、スピンドルアンプ206、スピンドルモータ207等を組み合わせて構成される。構成部品200の構成については後述する。
【0014】
制御装置10は、例えば、構成部品200を制御する装置である。制御装置10は、
図2に示すように、制御装置識別情報保持部11と、接続情報取得部12と、固有識別情報取得部13と、制御側構成履歴保持部14と、制御側差異検出部15と、制御側保持実行部16と、を備える。
【0015】
制御装置識別情報保持部11は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の二次記憶媒体である。制御装置識別情報保持部11は、制御装置10の自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する。制御装置識別情報保持部11は、例えば、制御装置識別情報として、制御装置10の個体識別番号、型式を保持する。
【0016】
接続情報取得部12は、例えば、CPUが動作することにより実現される。接続情報取得部12は、制御装置10及び構成部品200の接続状態に関する接続情報を取得する。
【0017】
固有識別情報取得部13は、例えば、CPUが動作することにより実現される。固有識別情報取得部13は、構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として新たに取得する。固有識別情報取得部13は、例えば、構成部品200の個体識別番号及び型式を取得する。また、構成部品200がサーボアンプ203である場合、固有識別情報取得部13は、サーボアンプ203のソフト系列・版数、許容最大電流値等についても固有識別情報として取得する。
【0018】
制御側構成履歴保持部14は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の二次記憶媒体である。制御側構成履歴保持部14は、過去に取得された固有識別情報について、取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している。制御側構成履歴保持部14は、例えば、固有識別情報取得部13による固有識別情報の取得よりも以前に取得された固有識別情報について、構成履歴として保持している。すなわち、制御側構成履歴保持部14は、構成履歴の変遷を累積的に保持する。制御側構成履歴保持部14は、例えば、
図3に示すように、1つの構成履歴として、記録日、制御装置10の固有識別情報、及び構成部品200の固有識別情報を含む構成部品200のリストを保持する。制御側構成履歴保持部14は、例えば、構成履歴として、制御装置10の制御装置識別情報と、構成部品200の固有識別情報とを構成履歴として保持している。
【0019】
制御側差異検出部15は、例えば、CPUが動作することにより実現される。制御側差異検出部15は、固有識別情報と固有の構成履歴との間の構成上の差異を検出する。制御側差異検出部15は、例えば、固有識別情報に、固有の構成履歴からの変化の有無を検出する。すなわち、制御側差異検出部15は、固有の構成履歴から、構成部品200の交換、組み換え、又はソフトウェアのアップデート等の有無を検出する。
【0020】
制御側保持実行部16は、例えば、CPUが動作することにより実現される。制御側保持実行部16は、差異が検出された場合に、制御装置識別情報と新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる。制御側保持実行部16は、例えば、新たな構成履歴として、変更日時(保持実行日時)と、制御装置識別情報と、固有識別情報のリストとを制御側構成履歴保持部14に保持させる。また、制御側保持実行部16は、取得した接続情報を含む新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる。制御側保持実行部16は、例えば、
図3に示すように、構成部品200の間の接続関係を(例えば英数字で)示す新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる。なお、本実施形態において、制御側保持実行部16は、新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる際に、後述する部品側構成履歴保持部212(
図4参照)についても、保持されている構成履歴とは別に、新たな構成履歴を保持させる。
【0021】
構成部品200は、自身を組み込んで構成される産業機械1と、制御装置10との構成履歴を保持可能な部品である。構成部品200は、
図4に示すように、固有識別情報保持部211と、部品側構成履歴保持部212と、を備える。
【0022】
固有識別情報保持部211は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の二次記憶媒体である。固有識別情報保持部211は、構成部品200の自身の識別情報を固有識別情報として保持する。固有識別情報保持部211は、例えば、個体識別番号及び仕様番号を保持する。また、固有識別情報保持部211は、構成部品200に適用されているソフトウェアの情報を含む固有識別情報を保持する。固有識別情報保持部211は、例えば、サーボアンプ203のソフトウェアの情報(系列、版数)を含む固有識別情報を保持する。
【0023】
部品側構成履歴保持部212は、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の二次記憶媒体である。部品側構成履歴保持部212は、過去に産業機械1を共に構成した、制御装置10の制御装置識別情報と構成部品200の固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している。部品側構成履歴保持部212は、例えば、構成履歴として、自身の固有識別情報と、制御装置10の制御装置識別情報と、他の構成部品200の固有識別情報とを構成履歴として保持している。部品側構成履歴保持部212は、例えば、産業機械1を構成する構成部品200のいずれかに変更があるごとに、変更内容を含む構成履歴を保持する。また、例えば、部品側構成履歴保持部212は、1の産業機械1から取り外されて、他の産業機械1に組み込まれた際に、他の産業機械1の全体を構成する構成部品200の固有識別情報を含む構成履歴を保持する。
【0024】
次に、産業機械1の動作の流れについて、
図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、産業機械1の電源が投入される(ステップS1)。すなわち、制御装置10及び構成部品200の電源が投入される。次いで、固有識別情報取得部13は、構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として取得する(ステップS2)。
【0025】
次いで、制御側差異検出部15は、取得された固有識別情報と、制御側構成履歴保持部14に保持されている最新の構成履歴との差異を検出する(ステップS3)。新たに取得された固有識別情報と、最新の構成履歴に含まれる固有識別情報との間に差異がある場合(ステップS3:YES)、制御側保持実行部16は、制御装置識別情報及び新たに取得された固有識別情報を含む新たな構成履歴について、制御側構成履歴保持部14及び部品側構成履歴保持部212に保持させる(ステップS4)。このとき、制御側保持実行部16は、新たな構成履歴に、接続情報取得部12により取得された接続情報を含めて制御側構成履歴保持部14及び部品側構成履歴保持部212に保持させる。これにより、本フローは、終了する。一方、固有識別情報と、最新の構成履歴に含まれる固有識別情報との間に差異が無い場合(ステップS3:NO)、制御側保持実行部16は、新たな構成履歴について、保持を実行しない(ステップS5)。これにより、本フローは、終了する。
【0026】
以上、第1実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200によれば、以下の効果を奏する。
(1)制御装置10とともに産業機械1に組み込まれる構成部品200であって、制御装置10に対して提供可能な自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部211と、固有識別情報と、過去に産業機械1を共に構成した制御装置10の制御装置識別情報と、過去に産業機械1を共に構成した他の構成部品200の固有識別情報と、について、制御装置10からの取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部212と、を備える。
また、上記構成部品200と接続され、構成部品200を制御する制御装置10であって、自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部11と、構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部13と、過去に取得された固有識別情報について、取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持している制御側構成履歴保持部14と、新たに取得された固有識別情報と固有の構成履歴に含まれる固有識別情報との間の構成上の差異を検出する制御側差異検出部15と、差異が検出された場合に、制御装置識別情報と新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に新たな構成履歴を前記制御側構成履歴保持部14に保持させる制御側保持実行部16と、を備える。
これにより、構成部品200の交換等により、変更があった場合に、産業機械1を構成する制御装置10及び産業機械1の構成部品200の固有識別情報は、新たな構成履歴として保持される。新たな構成履歴が既に保持されている構成履歴に加えて保持されていくので、過去の構成履歴を容易に取得することができる。したがって、不具合発生時の構成履歴についても容易に取得することができ、不具合の発生した環境の再現性を高めることができる。これにより、不具合の原因究明の可能性をより高めることができる。
【0027】
(2)固有識別情報保持部211は、構成部品200に適用されているソフトウェアの情報を含む固有識別情報を保持する。これにより、不具合の発生した環境の再現性をより高めることができ、不具合の原因究明の可能性をより高めることができる。
【0028】
(3)制御装置10は、制御装置10と構成部品200との接続状態に関する接続情報を取得する接続情報取得部12をさらに備え、制御側保持実行部16は、制御側構成履歴保持部14及び部品側構成履歴保持部212に、取得した接続情報を含む新たな構成履歴を保持させる。これにより、接続状態についても再現することができるようになるので、不具合の原因究明の可能性をさらに高めることができる。
【0029】
次に、本開示の第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200について、
図6を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、構成部品200が、部品側差異検出部213と、部品側保持実行部214と、を備える点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、制御装置10が制御側差異検出部15を有しない点で第1実施形態と異なる。そして、第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、制御側保持実行部16が、差異の検出にかかわらず、制御側構成履歴保持部14に、取得した固有識別情報を含めて新たな構成履歴として保持させる点で第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200は、制御側保持実行部16が、部品側構成履歴保持部212に動作しない点で第1実施形態と異なる。
【0030】
部品側差異検出部213は、例えば、CPUが動作することにより実現される。部品側差異検出部213は、部品側構成履歴保持部212に保持されている最新の構成履歴と、制御側構成履歴保持部14に保持されている新たな構成履歴との構成上の差異を検出する。部品側差異検出部213は、例えば、最新の構成履歴に含まれる固有識別情報と、新たな構成履歴に含まれる固有識別情報との差異を検出する。
【0031】
部品側保持実行部214は、例えば、CPUが動作することにより実現される。部品側保持実行部214は、差異が検出された場合に、新たな構成履歴を既に保持されている構成履歴に加えて制御側構成履歴保持部14に保持させる。すなわち、部品側保持実行部214は、差異が検出された場合に、制御側構成履歴保持部14に保持されている最新の構成履歴について、部品側構成履歴保持部212に、既に保持されている構成履歴に加えて新たな構成履歴として保持させる。
【0032】
次に、本実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200の動作の流れについて、
図7を参照して説明する。
まず、産業機械1の電源が投入される(ステップS11)。すなわち、制御装置10及び構成部品200の電源が投入される。次いで、固有識別情報取得部13は、産業機械1の構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として取得する(ステップS12)。制御側保持実行部16は、制御装置識別情報及び固有識別情報を含む新たな構成履歴について、制御側構成履歴保持部14に保持させる(ステップS13)。
【0033】
次いで、部品側差異検出部213は、制御側構成履歴保持部14及び部品側構成履歴保持部212にアクセスする。部品側差異検出部213は、制御側構成履歴保持部14に保持された新たな構成履歴と、部品側構成履歴保持部212に保持されている最新の構成履歴との差異を検出する(ステップS14)。新たな構成履歴と最新の構成履歴との間に差異がある場合(ステップS14:YES)、部品側保持実行部214は、新たな構成履歴について、既に保持されている構成履歴とは別に、部品側構成履歴保持部212に保持させる(ステップS15)。これにより、本フローは、終了する。一方、新たな構成履歴と最新の構成履歴との間に差異が無い場合(ステップS14:NO)、部品側保持実行部214は、新たな構成履歴について、部品側構成履歴保持部212に保持させない(ステップS16)。これにより、本フローは、終了する。
【0034】
以上、第2実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200によれば、以下の効果を奏する。
(4)第2実施形態に係る産業機械1は、制御装置10と、制御装置10によって制御される、交換可能な複数の構成部品200と、を備える産業機械1であって、制御装置10は、自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部11と、構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部13と、過去に取得された固有識別情報について、取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している制御側構成履歴保持部14と、制御装置識別情報と新たに取得された固有識別情報とを新たな構成履歴として、既に保持されている構成履歴とは別に新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる制御側保持実行部16と、を備え、構成部品200は、自身の識別情報を固有識別情報として保持する固有識別情報保持部211と、過去に産業機械1を共に構成した、制御装置10の制御装置識別情報と構成部品200の固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴を保持している部品側構成履歴保持部212と、部品側構成履歴保持部212に保持されている固有の構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報と、制御側構成履歴保持部14に保持されている新たな構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報との構成上の差異を検出する部品側差異検出部213と、差異が検出された場合に、既に保持されている構成履歴とは別に新たな構成履歴を部品側構成履歴保持部212に保持させる部品側保持実行部214と、を備える。これにより、構成部品200側から自発的に、新たな構成履歴を保持することができる。したがって、制御装置10にかかる負荷を分散して、低減することができる。
【0035】
以上、本開示の産業機械、制御装置、及び構成部品の各実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0036】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態を適宜組み合わせて産業機械1、制御装置10、及び構成部品200を構成してもよい。例えば、制御装置10が制御側差異検出部15を備えるとともに、構成部品200が部品側差異検出部213を備える構成を採用できることはもちろんである。
【0037】
また、上記各実施形態において、固有識別情報取得部13は、電源の投入時に固有識別情報を取得するとしたが、これに制限されない。固有識別情報取得部13は、任意の時刻、予め定められた時刻、及び所定の時間間隔毎の少なくともいずれかのタイミングで固有識別情報を取得してもよい。
【0038】
また、上記各実施形態において、固有識別情報取得部13は、制御装置10に直接接続されていない構成部品200の固有識別情報について、介在する構成部品200を介して、固有識別情報を取得してもよい。例えば、構成部品200は、自身に接続されている構成部品200の固有識別情報を取得する部品側固有識別情報取得部(図示せず)を備えてもよい。部品側固有識別情報取得部は、自身に接続されている構成部品200の固有識別情報に加えて、自らの固有識別情報を固有識別情報取得部13に取得させるようにしてもよい。
【0039】
また、上記各実施形態において、構成部品200は、制御装置10に自発的に固有識別情報を送信するようにしてもよい。構成部品200は、自発的に固有識別情報を送信する固有識別情報送信部(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0040】
また、上記実施形態において、制御装置10がデイジーチェーン(daisy chain)で構成部品200と接続される例を示したが、これに制限されない。制御装置10は、バス(図示せず)を用いて構成部品200のそれぞれと接続されてもよい。また。制御装置10は、無線を用いて構成部品200のそれぞれと接続されてもよい。
【0041】
また、上記実施形態において、制御側構成履歴保持部14及び部品側構成履歴保持部212は、構成履歴である構成部品200のリストとして、種々の記載方法で記載されたものであってよい。構成部品200のリストは、
図8に示すように箇条書きであってもよい。また、構成部品200のリストは、
図9に示すように、直接接続されているものをグループとして示すものであってもよい。また、構成部品200のリストは、
図10に示すように、差異の部分のみを含むものであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、構成部品200は、共通電源、ティーチペンダント、表示装置であってもよい。また、固有識別情報として、パルスコーダの原点、アンプの許容最大電流量、軸の情報、オプションパラメータ、電子キー・RFID等を用いたセキュリティ保護用のユーザ認証の情報等を含んでもよい。
【0043】
また、上記実施形態において、固有識別情報取得部13は、他の構成部品200と同じ固有識別情報を保持してもよい。固有識別情報取得部13は、例えば、ロット番号を識別情報として保持してもよい。また、固有識別情報取得部13は、プリント板単位で識別情報を保持してもよい。また、固有識別情報取得部13は、複合構成品ごとに識別情報を保持してもよい。
【0044】
次に、本開示の第3実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200について、
図11から
図13Cを参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図11、
図13A、
図13B及び
図13Cにおいて、略称「PCB」、「IF」、「PC」、「SP」、「ソフト」は、それぞれ「Printed circuit board」、「インタフェース」、「パルスコーダ」、「スピンドルアンプ」、「スピンドルモータ」、「ソフトウェア」の略称である。
【0045】
第3実施形態に係る産業機械1は、
図11から
図13Cに示すように、以下の点で、第1及び第2実施形態と異なる。制御側構成履歴保持部14は、制御装置10及び構成部品200のプリント基板(PCB)単位及びソフトウェア単位で識別情報を保持する。また、
図12に示すように、第3実施形態に係る産業機械1においては、構成部品200は、部品側構成履歴保持部212を有せず、制御側構成履歴保持部14は、制御装置10及び構成部品200両方の固有識別情報を保持する。また、制御装置10は、
図11に示すように、3つのインタフェース(IF1=Interface1、IF2=Interface2、IF3=Interface3)を有する。
【0046】
図11に示すように、第3実施形態に係る産業機械1は、制御装置10と、制御装置10のIF1に接続される複数の構成部品200と、制御装置10のIF2に接続される複数の構成部品200と、制御装置10のIF3に接続される複数の構成部品200と、を備える。制御装置10は、メイン用PCBとバックパネル用PCBとを備える。メイン用PCBには、CPU用PCBとメモリ用PCBと通信用PCBと電源用PCBとが、実装されている。メモリ用PCBには、CNCソフトAとCNCソフトBとがインストールされている。バックパネル用PCBには、追加機能用PCBが実装されている。
【0047】
IF1には、サーボアンプ203、パルスコーダ205がこの順で2列接続されている。IF2には、サーボアンプ203、パルスコーダ205がこの順で1列接続されている。また、IF2には、スピンドルアンプ206が接続されている。スピンドルアンプ206には、スピンドルモータ207及びスピンドルセンサ208が接続されている。IF3には、センサ201及びI/O202がそれぞれ直接に接続されている。
【0048】
サーボアンプ203は、IF用PCBとドライブ用PCBとを備える。パルスコーダ205は、PC用PCBを備える。パルスコーダ205は、サーボモータ204に組み込まれており、パルスコーダ205及びサーボモータ204両方の固有識別情報を保持する。スピンドルアンプ206は、IF用PCBとドライブ用PCBとを備える。スピンドルアンプ206のIF用PCBには、SPソフトがインストールされている。スピンドルセンサ208は、センサ用PCBを備える。センサ201は、センサ用PCBを備える。I/O202は、I/O用PCBを備える。各PCBには、PCB自身及びPCBが設けられる構成部品の固有識別情報(個体識別番号など)が記憶されてもよい。
【0049】
図12に示すように、第3実施形態に係る産業機械1においては、制御装置10は、制御装置識別情報保持部11と、接続情報取得部12と、固有識別情報取得部13と、制御側構成履歴保持部14と、制御側差異検出部15と、制御側保持実行部16と、を備える。構成部品200は、固有識別情報保持部211を備える。第3実施形態に係る制御装置10において、接続情報取得部12、固有識別情報取得部13、制御側差異検出部15及び制御側保持実行部16は、
図11に示す制御装置10のCPU用PCBに実装されるCPUにより実現される。第3実施形態に係る制御装置10において、制御装置識別情報保持部11及び制御側構成履歴保持部14は、
図11に示す制御装置10のメモリ用PCBに実装されるメモリにより実現される。
【0050】
制御装置識別情報保持部11は、制御装置10に適用されているソフトウェアの情報を含む制御装置識別情報を保持する。制御装置識別情報は、制御装置10自身の個体識別番号、型式を含み、更には、制御装置10を構成する各種PCBの個体識別番号や、制御装置10にインストールされた各種ソフトウェアの情報(系列、版数など)を含む。
【0051】
制御側構成履歴保持部14は、制御装置識別情報保持部11が保持していた制御装置識別情報と、固有識別情報取得部13によって過去に取得された固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持する。制御装置識別情報としては、メモリ用PCB以外のPCBの個体識別番号や、制御装置10を構成するソフトウェアの系列、版数)等があり、これらは変更されることがある。
【0052】
制御側保持実行部16は、制御装置識別情報保持部11が保持している制御装置識別情報と固有識別情報取得部13によって新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に前記新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる。なお、第3実施形態に係る産業機械1においては、構成部品200は、部品側構成履歴保持部212を有しないため、制御側保持実行部16は、構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させることになる。
【0053】
第3実施形態に係る産業機械1においては、前記新たな構成履歴は、制御装置識別情報保持部11が保持している制御装置識別情報及び固有識別情報取得部13によって新たに取得された固有識別情報と、既に保持されている構成履歴に含まれる制御装置識別情報及び固有識別情報との間の構成上の差異を有する制御装置10のみの制御装置識別情報又は構成部品200のみの固有識別情報を含んでもよい。また、前記新たな構成履歴は、前記構成上の差異を有する制御装置10の制御装置識別情報及び構成部品200の固有識別情報の両方を含んでもよい。
【0054】
構成部品200の固有識別情報は、構成部品200の個体識別番号、型式、ソフトウェアの情報(系列、版数など)、許容最大電流値などを含み、更には、構成部品200を構成する各種PCBの個体識別番号や、構成部品200にインストールされた各種ソフトウェアの情報(系列、版数など)を含む。
【0055】
【0056】
図13A、
図13B及び
図13Cに示される構成履歴は、既に保持されている構成履歴と新たに取得された構成履歴(新たな構成履歴)とを含む。新たな構成履歴は、例えば、当初の構成部品から変更された構成部品について、その取得された日付とともに含む情報である。また、構成履歴は、構成部品(PCB及びソフトウェア)の名前、個体識別番号、型式(又は、モジュール名等の仕様を特定できるもの)、を表形式で順に並べた情報を含む。
【0057】
図13A、
図13B及び
図13Cに示される構成履歴においては、
図13Aの先頭から
図13Cの2行目に示される構成履歴は、当初の構成の情報を示すものであり、従って、すべての構成の情報を示している。
図13Cの3行目以降に示される構成履歴は、当初の構成からの変更履歴を示している。例えば、ある記録日において、Interface1に接続されているサーボアンプ#1のドライブ用PCBが別の個体(異なる個体識別番号が付いている。型式は違うこともあり、同じこともある)に交換されたことを示している。また、別の記録日において、CNCのCNCソフトAの系列や版数がアップデートされたこと(型式は違うこともあり、同じこともある)を示している。また、更に別の記録日において、Interface3に、センサが追加されたことを示している。
【0058】
また、制御装置10、サーボアンプ203、スピンドルアンプ206の個体識別番号は、構成されるPCB、筐体(図示せず)、及びケーブル(図示せず)等を組み立てたものに与えられるものである。本実施形態において、個体識別番号は、各構成に含まれる何れかのPCBの保持する個体識別番号そのもの、又は保持する個体識別番号から生成されるものである。なお、個体識別番号は、各構成に含まれるPCBの保持する個体識別番号とは別の番号であってもよい。
【0059】
以上、第3実施形態に係る産業機械1、制御装置10、及び構成部品200によれば、以下の効果を奏する。
(5)第3実施形態に係る制御装置10は、構成部品200を制御する制御装置であって、自身の識別情報を制御装置識別情報として保持する制御装置識別情報保持部11と、構成部品200の固有の識別情報について、それぞれの構成部品200から固有識別情報として新たに取得する固有識別情報取得部13と、制御装置識別情報保持部11が保持していた制御装置識別情報と、固有識別情報取得部13によって過去に取得された固有識別情報とについて、取得タイミングごとにまとめた構成履歴として保持している制御側構成履歴保持部14と、制御装置識別情報保持部11が保持している制御装置識別情報と固有識別情報取得部13によって新たに取得された固有識別情報とをまとめて新たな構成履歴とするとともに、既に保持されている構成履歴とは別に新たな構成履歴を制御側構成履歴保持部14に保持させる制御側保持実行部16と、を備える。
これにより、構成部品200は構成履歴の保持部を備える必要が無く、制御装置10側で、制御装置10及び構成部品200両方の固有識別情報を保持することができる。したがって、構成部品200の構成を簡易化することができる。
【0060】
以上、本開示の産業機械、制御装置、及び構成部品の第3実施形態につき説明したが、本開示は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。なお、前述の構成の変更に関する説明は、第3実施形態にも適用される。逆に、第3実施形態についての説明は、他の実施形態や変形例の説明にも適用される。
【0061】
例えば、上記第3実施形態において、制御側構成履歴保持部14は、プリント基板単位で識別情報を保持するとしたが、これに制限されない。例えば、制御側構成履歴保持部14は、構成部品200単位で識別情報を保持してもよい。
【0062】
また、上記第3実施形態において、制御側保持実行部16は、構成上の差異を新たな構成履歴とするとしたが、これに制限されない。制御側保持実行部16は、例えば、定期的に取得した制御装置10及び構成部品200の識別情報を新たな構成履歴としてもよい。また、上記第3実施形態において制御装置10は3つのインタフェースを有しているが、これに限定されるものではない。制御装置10のインタフェースに接続される構成部品200の数や種類は、例示されるものに制限されない。
【0063】
パルスコーダ205及びサーボモータ204それぞれが、自身の固有識別情報を保持してもよい。その場合、インタフェースには、サーボアンプ203、サーボモータ204、パルスコーダ205がこの順で接続されてもよい。
スピンドルセンサ208は、スピンドルモータ207に組み込まれていてもよい。その場合、スピンドルセンサ208は、スピンドルセンサ208及びスピンドルモータ207両方の固有識別情報を保持してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 産業機械
10 制御装置
11 制御装置識別情報保持部
12 接続情報取得部
13 固有識別情報取得部
14 制御側構成履歴保持部
15 制御側差異検出部
16 制御側保持実行部
200 構成部品
212 部品側構成履歴保持部
213 部品側差異検出部
214 部品側保持実行部