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特許7563948変性ポリフェニレンエーテル、その製造方法、プリプレグ及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】変性ポリフェニレンエーテル、その製造方法、プリプレグ及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/48 20060101AFI20241001BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20241001BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C08G65/48
C08J5/24 CEZ
B32B15/04 A
H05K1/03 630H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020188249
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077400
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】福圓 真一
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-252983(JP,A)
【文献】特開2003-119371(JP,A)
【文献】特表2007-507592(JP,A)
【文献】特開2019-172725(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112898824(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C08L,C08K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテルであって、
ポリスチレン換算の数平均分子量が500~15,000であり、
前記変性ポリフェニレンエーテル全量を基準として、メタクリル酸の含有量が70ppm以上200ppm未満、メタクリル酸無水物とメタクリル酸ビニルとの合計含有量が10ppm以上200ppm未満、有機アミン触媒の含有量が40ppm以上200ppm未満、及び塩化物イオンの含有量が10ppm以上1500ppm未満である、ことを特徴とする変性ポリフェニレンエーテル。
【化1】
・・・式(1)
(式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数であり、Aは、下記式(5)で表される基である。
【化2】
・・・式(2)
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、Rは炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化3】
・・・式(3)
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。
【化4】
・・・式(4)
式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。
【化5】
・・・式(5)
上記式(5)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)であり、sは0~5の整数である。)
【請求項2】
下記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、下記式(10)の不飽和化合物との反応工程を有する、ことを特徴とする変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
【化6】
・・・式(8)
(式(8)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
【化7】
・・・式(2)
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、Rは炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化8】
・・・式(3)
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。
【化9】
・・・式(4)
式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。
【化10】
・・・式(10)
上記式(10)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)であり、sは0~5の整数である。)
【請求項3】
前記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、前記式(10)の不飽和化合物との反応が、有機アミン触媒又はルイス酸触媒の存在化で実施される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、前記式(10)の不飽和化合物との反応が、前記有機アミン触媒の存在化で実施され、前記有機アミン触媒がジメチルアミノピリジンである、請求項3に記載の製造方法
【請求項5】
請求項1に記載の変性ポリフェニレンエーテルを含む、ことを特徴とする熱硬化組成物。
【請求項6】
基材と、請求項5に記載の熱硬化組成物とを含む、ことを特徴とするプリプレグ。
【請求項7】
前記基材がガラスクロスである、請求項6に記載のプリプレグ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔とを含む、ことを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法、プリプレグ、及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE」ともいう。)は、優れた高周波特性、難燃性、耐熱性を有するため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の材料として幅広く用いられている。近年、通常の高分子量ポリフェニレンエーテルよりも、極めて低分子量を示すポリフェニレンエーテルが基板材料等の電子材料用途に対して有効であることが期待されている。このため、2,6-ジメチルフェノールを原料として用い一般的な高分子量ポリフェニレンエーテルよりも更に低誘電化した低分子量ポリフェニレンエーテル及びその効率的な製造方法が、特許文献1に提案されている。
【0003】
一方、基板材料等の成形材料としてポリフェニレンエーテルを利用する際には、誘電特性に優れるだけではなく、耐熱性や成形性等に優れていることも求められる。しかし、従来のポリフェニレンエーテルは熱可塑性であり、充分な耐熱性を得ることができない場合があった。このため、ポリフェニレンエーテルに、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を添加したものを用いることや、ポリフェニレンエーテルを変性させたものを用いること等が提案されている。
【0004】
特許文献2には、所定のポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、p-エテニルベンジル基やm-エテニルベンジル基等を少なくとも1つ以上有してなる変性ポリフェニレンエーテル化合物が記載されている。
また、特許文献3にはポリフェニレンエーテル部分を分子構造内に有し、かつ、この分子末端に、メタクリル基を有した変性ポリマーについて記載されている。
【0005】
特許文献2や特許文献3に開示された化合物のように、末端変性した熱硬化性ポリフェニレンエーテルの耐熱性を容易に確保するためには、熱硬化性ポリフェニレンエーテルと熱硬化性架橋剤との架橋密度を高くする方法が効果的である。そのため、一つの分子に複数の末端を有する多官能ポリフェニレンエーテルが必要となる。このため、多官能フェノール化合物存在下で重合することにより得られる、低分子の多官能ポリフェニレンエーテルが特許文献4、5及び6に提案されている。これら多官能ポリフェニレンエーテルは、分岐構造を有するため、同じ分子量において、直鎖状のポリマーよりも溶液粘度が低く、同じ分子量でも直鎖状ポリマーに対して高い流動性を有するため、硬化工程で比較的高い分子量のポリマーを用いることができ、硬化物の物性向上が期待できる。また、架橋反応点が多くなることから、上記の物性向上に寄与するほかに、架橋反応コントロールが行いやすくなることも期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-99824号公報
【文献】特開2004-339328号公報
【文献】特許第5147397号公報
【文献】米国特許第9012572号明細書
【文献】特許第5176336号公報
【文献】特許第5439700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、高周波対応の基板向け熱硬化組成物は、変性ポリフェニレンエーテルのような低誘電性ポリマー材料、熱硬化性架橋剤、及び架橋開始剤等を溶かしたワニスをガラスクロスのような支持材に含浸させ熱硬化させる工程を経て得られる。硬化後に高いガラス転移温度を発現可能な変性ポリフェニレンエーテル組成物を原料として用いれば、誘電特性を悪化する原因となる架橋開始剤等の添加率を削減でき、より誘電特性に優れた基板材料となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、硬化後には高いガラス転移温度を有する変性ポリフェニレンエーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
下記式(1)で表される変性ポリフェニレンエーテルであって、
ポリスチレン換算の数平均分子量が500~15,000であり、
前記変性ポリフェニレンエーテル全量を基準として、メタクリル酸の含有量が70ppm以上200ppm未満、メタクリル酸無水物とメタクリル酸ビニルとの合計含有量が10ppm以上200ppm未満、有機アミン触媒の含有量が40ppm以上200ppm未満、及び塩化物イオンの含有量が10ppm以上1500ppm未満である、ことを特徴とする変性ポリフェニレンエーテル。
【化1】
・・・式(1)
(式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数であり、Aは、下記式(5)で表される基である。
【化2】
・・・式(2)
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、Rは炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化3】
・・・式(3)
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。
【化4】
・・・式(4)
式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。
【化5】
・・・式(5)
上記式(5)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)であり、sは0~5の整数である。)
[2]
下記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、下記式(10)の不飽和化合物との反応工程を有する、ことを特徴とする変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
【化6】
・・・式(8)
(式(8)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
【化7】
・・・式(2)
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、Rは炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化8】
・・・式(3)
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。
【化9】
・・・式(4)
式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。
【化10】
・・・式(10)
上記式(10)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)であり、sは0~5の整数である。)
[3]
前記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、前記式(10)の不飽和化合物との反応が、有機アミン触媒又はルイス酸触媒の存在化で実施される、[2]に記載の製造方法。
[4]
前記式(8)で示される未変性ポリフェニレンエーテルと、前記式(10)の不飽和化合物との反応が、前記有機アミン触媒の存在化で実施され、前記有機アミン触媒がジメチルアミノピリジンである、[3]に記載の製造方法
[5]
請求項1に記載の変性ポリフェニレンエーテルを含む、ことを特徴とする熱硬化組成物。
[6]
基材と、請求項5に記載の熱硬化組成物とを含む、ことを特徴とするプリプレグ。
[7]
前記基材がガラスクロスである、請求項6に記載のプリプレグ。
[8]
請求項6又は7に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔とを含む、ことを特徴とする積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬化後には高いガラス転移温度を有する変性ポリフェニレンエーテル、及び当該変性ポリフェニレンエーテルを含む熱硬化組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は、この本実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。
【0012】
<変性ポリフェニレンエーテル>
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、下記式(1)で表され、前記変性ポリフェニレンエーテル全量を基準として、メタクリル酸の含有量が200ppm未満、メタクリル酸無水物とメタクリル酸ビニルとの合計含有量が200ppm未満、有機アミン触媒の含有量が200ppm未満、及び塩化物イオンの含有量が1500ppm未満であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が500~15,000である。
【化11】
・・・式(1)
(式(1)中、Zは下記式(2)で表されるa価の部分構造であり、aは2~6の整数を表し、Yは各々独立に下記式(4)で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に0~200の整数であり、a個の(-Yn-A)中少なくとも1つのnは1以上の整数である。
【化12】
・・・式(2)
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、Rは炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化13】
・・・式(3)
式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。
【化14】
・・・式(4)
式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかである。
【化15】
・・・式(5)
式(5)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えばアルキレン基)であり、sは0~5の整数である。)
【0013】
本実施形態において、上記Z(式(2)で表される部分構造)を中心フェノール部位とも呼び、本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルの原料となる多官能未変性ポリフェニレンエーテルを重合する際に反応の起点となる中心骨格を意味し、変性ポリフェニレンエーテルをNMR、質量分析、熱分解GC-MS等の手法で解析することによりその構造を同定できる。変性ポリフェニレンエーテルから上記中心フェノール部位の構造を同定する具体的方法としては、フラグメンテーションを起こしにくいことが知られている電界脱離質量分析法(FD-MS)を実施し、検出されるイオンの間隔により繰り返しユニットを推定することが可能である。更に電子イオン化法(EI)でフラグメントイオンのピーク解析やNMRによる構造解析と組み合わせることで中心フェノール部位の構造を推定する方法が挙げられる。
【0014】
上記変性ポリフェニレンエーテルは、上述のとおり、上記Zがa価の中心部Xにa個の部分構造(R等で置換されているフェノール)が結合する構造であり、a価の部分構造(即ち、式(2)で表されるZ)に式(1)中の(-Yn-A)が結合する構造である。
【化16】
・・・式(2)
式(2)中のaは、式(1)中のaと同じ整数である。式(2)で表される中心フェノール部位において、a個の各部分構造は、同じ構造であってもよいし、異なっていてもよい。中でも、溶媒への溶解性に一層優れ、硬化後のガラス転移温度が一層高い変性ポリフェニレンエーテルとなる観点から、a個の各部分構造は同じ構造であることが好ましい。
式(2)中のa個の-O-末端は、式(1)のYに直接結合してよい。
【0015】
式(2)中、Xはa価の任意の連結基であり、特に制限されないが、例えば、鎖式炭化水素、環式炭化水素等の炭化水素基;窒素、リン、ケイ素及び酸素から選ばれる、一つ若しくは複数の原子を含有する炭化水素基;窒素、リン、ケイ素等の原子;又はこれらを組み合わせた基;等が挙げられる。Xは単結合を除く連結基であってよい。Xは、a価の部分構造を互いに連結する連結基であってよい。
上記Xとしては、単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアルキル骨格、単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価のアリール骨格、単結合又はエステル結合等を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合するa価の複素環骨格、等が挙げられる。
ここで、アルキル骨格としては、特に制限されないが、例えば、炭素数2~6の少なくともa個に分岐した鎖式炭化水素(例えば、鎖式飽和炭化水素)の分岐末端が部分構造のベンゼン環に直接結合する骨格(a個の分岐末端にベンゼン環が結合していればよく、ベンゼン環が結合しない分岐末端があってもよい。)、等が挙げられる。また、アリール骨格としては、特に制限されないが、例えば、ベンゼン環、メシチレン基、又は2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン基が、単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。更に、複素環骨格としては、特に制限されないが、例えば、トリアジン環が単結合又はアルキル鎖を介して、Rが結合しているベンゼン環に結合する骨格等が挙げられる。
【0016】
式(2)中、Rは、各々独立にメチル基、エチル基、n-プロピル基等の炭素数1~8の直鎖状アルキル基及び下記式(3)で表される部分構造のいずれかであり、-O-が結合するベンゼン環の炭素原子を1位とし、2位又は6位の少なくとも一方の炭素原子に結合しており、kは各々独立に1~4の整数である。
【化17】
・・・式(3)
上記式(3)中、R11は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基であり、R12は各々独立に置換されていてもよい炭素数1~8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基及び置換されていてもよいフェニル基のいずれかである。式(3)中の左側の末端(-(R12)側末端)が、ベンゼン環の炭素原子と直接結合してよい。
上記置換基としては、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0017】
上記式(3)は、好ましくは、2級及び/又は3級炭素を含む基であり、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、2,2-ジメチルプロピル基や、これらの末端にフェニル基を有する構造等が挙げられ、より好ましくは、tert-ブチル基である。
【0018】
上記式(2)のベンゼン環は、酸素原子を介して上記式(1)の(Yn-A)が結合している炭素原子を1位にとした場合に、2位及び6位以外の炭素原子に、中心部Xが結合していてよく、4位に中心部Xが結合していることが好ましい。
【0019】
Yは各々独立に、下記式(4)の構造を有する2価の連結基である。
【化18】
・・・式(4)
上記式(4)中、R21は各々独立に、置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基、及びハロゲン原子のいずれかであり、R21はメチル基であることが好ましい。式(4)の左側の末端が、式(1)中のZ(例えば式(2)中の-O-)に直接結合してよく、右側の末端がAに直接結合してよい。
【0020】
上記式(1)中、Aは、水素原子又は下記式(5)で表される基であり、下記式(5)で表される基であることが好ましい。
【化19】
・・・式(5)
上記式(5)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかである。
32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)である。
sは、0~5の整数である。
式(5)中の左側の末端が、式(1)中のY(例えば、式(4)の右側の末端)に直接結合してよい。
【0021】
硬化後のガラス転移温度が一層高く、溶媒への溶解性に一層優れる変性ポリフェニレンエーテルが得られる観点から、上記式(5)で表される置換基はメタクリロイル基であることが好ましい。
【0022】
31の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチルブチレン、2,2-ジメチルブチレン、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、1,1-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、3,4-ジメチルペンチル、2-メチル-3,3-ジメチルブチル、1-メチル-3,3-ジメチルブチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,3-ジメチル-2-ペンチル、2-イソプロピルブチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、1-シクロヘキシルメチル、2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、2,4-ジメチルシクロペンチル、2-メチルシクロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロペンチルエチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、1,1-ジメチルへキシル、2,2-ジメチルへキシル、3,3-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルへキシル、5,5-ジメチルへキシル、1,2-ジメチルへキシル、1,3-ジメチルへキシル、1,4-ジメチルへキシル、1,5-ジメチルへキシル、2,3-ジメチルへキシル、2,4-ジメチルへキシル、2,5-ジメチルへキシル、1,1-エチルメチルペンチル、2,2-エチルメチルペンチル、3,3-エチルメチルペンチル、4,4-エチルメチルペンチル、1-エチル-2-メチルペンチル、1-エチル-3-メチルペンチル、1-エチル-4-メチルペンチル、2-エチル-1-メチルペンチル、3-エチル-1-メチルペンチル、4-エチル-1-メチルペンチル、2-エチル-3-メチルペンチル、2-エチル-4-メチルペンチル、3-エチル-2-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、3-エチル-4-メチルペンチル、4-エチル-3-メチルペンチル、1-(2-メチルプロピル)ブチル、1-(2-メチルプロピル)-2-メチルブチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチル、1,1-(2-メチルプロピル)エチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、2,2-ジエチルプロピル、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチルプロピル、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチルプロピル、2-エチル-1,1-ジメチルブチル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、2,5-ジメチルシクロヘキシル、2,6-ジメチルシクロヘキシル、3,5-ジメチルシクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシルメチル、3-メチルシクロヘキシルメチル、4-メチルシクロヘキシルメチル、2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、2-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシルエチル、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル、2-フェニルエチル等が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘプチル、1-メチルへキシル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジルであり、より好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジルであり、更に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、アミル、シクロペンチル、n-へキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、4-オクチル、2-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、5-メチルヘプチル、6-メチルヘプチル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、5-エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジルである。
【0023】
32の炭化水素基の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,3-トリメチレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチルレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,2-シクロペンチレン、1,3-シクロペンチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、3,3-ジメチル-1,3-プロピレン、ヘキサメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル-1,4-ブチレン、2-エチル-1,4-ブチレン、3-エチル-1,4-ブチレン、1-メチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、3-メチル-1,5-ペンチレン、4-メチルペンチレン、1,1-ジメチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,4-ブチレン、3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2-ジメチル-1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-ブチレン、ヘプタメチレン、1-メチル-1,6-へキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1,5-ペンチレン、1,1-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、4,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,2-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、1,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,3-ジメチル-1,5-ペンチレン、2,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、3,4-ジメチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1-メチル-3,3-ジメチル-1,4-ブチレン、1,2,3-トリメチル-1,4-ブチレン、1,3-ジメチル-1,4-ペンチレン、2-イソプロピル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキシルメチレン、2-エチル-1,3-シクロペンチレン、3-エチル-1,3-シクロペンチレン、2,3-ジメチル-1,3-シクロペンチレン、2,4-ジメチル-1,3-シクロペンチレン、2-メチル-1,3-シクロペンチルメチレン、2-シクロペンチルエチレン、1-シクロペンチルエチレン、オクタメチレン、1メチル-1,7-ヘプチレン、1-エチル1,6-へキシレン、1-プロピル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、1,1-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、4,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、5,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,2-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,3-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキシレン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキシレン、1,1-エチルメチル-1,5-ペンチレン、2,2-エチルメチル-1,5-ペンチレン、3,3-エチルメチル-1,5-ペンチレン、4,4-エチルメチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-2-メチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、1-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-1-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-2-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-4-メチル-1,5-ペンチレン、4-エチル-3-メチル-1,5-ペンチレン、1-(2-メチルプロピル)-1,4-ブチレン、1-(2-メチルプロピル)-2-メチル-1,4-ブチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチレン、1,1-(2-メチルプロピル)エチル-1,3-プロピレン、1,1-ジエチル-1,3-プロピレン、2,2-ジエチル-1,3-プロピレン、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチル-1,3-プロピレン、2-エチル-1,1-ジメチル-1,4-ブチレン、2,3-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,3-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,5-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2,6-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、3,5-ジメチル-1,4-シクロヘキシレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシル-1-メチレン、2-エチル-1,4-シクロヘキシレン、3-エチル-1,4-シクロヘキシレン、4-エチル-1,4-シクロヘキシレン、2-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシルエチレン、1-シクロヘキシル-2-エチレン、ノニルメチレン、1-メチル-1,8-オクチレン、デシルメチレン、1-メチル-1,8-ノニレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、1,2-フェニレン、メチレン-1,4-フェニレン-メチレン、エチレン-1,4-フェニレン-エチレン等が挙げられる。好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル-1,4-ブチレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、1-エチル-1,4-ブチレン、2-エチル-1,4-ブチレン、3-エチル-1,4-ブチレン、1-メチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、3-メチル-1,5-ペンチレン、4-メチル-1,5-ペンチレン、ヘプタメチレン、1-メチル-1,6-ヘキシレン、2-メチル-1,6-ヘキシレン、3-メチル-1,6-ヘキシレン、4-メチル-1,6-ヘキシレン、5-メチル-1,6-ヘキシレン、1-エチル-1,5-ペンチレン、2-エチル-1,5-ペンチレン、3-エチル-1,5-ペンチレン、2-メチル-1,4-シクロヘキシレン、3-メチル-1,4-シクロヘキシレン、4-メチル-1,4-シクロヘキシレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレンであり、より好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1-エチル-1,3-プロピレン、1-メチル-1,4-ブチレン、2-メチル―1,4-ブチレン、3-メチル-1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレンであり、更に好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2-プロピレン、テトラメチレン、2-メチル-1,2-プロピレン、1,1-ジメチルエチレン、ペンタメチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-シクロペンチレン、1,6-へキサメチレン、1,4-シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1-メチル-1,7-ヘプチレン、3-メチル-1,7-ヘプチレン、4-メチル-1,7-ヘプチレン、2-メチル-1,7-ヘプチレン、5-メチル-1,7-ヘプチレン、6-メチル-1,7-ヘプチレン、2-エチル-1,6-ヘキシレン、3-エチル-1,6-ヘキシレン、4-エチル-1,6-ヘキシレン、5-エチル-1,6-ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレンである。
【0024】
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、上記式(1)の構造において1つ以上のAが水素原子であるポリフェニレンエーテルを含んでも良いが、熱硬化組成物にて高ガラス転移温度を得る観点より、上記式(1)の構造において1つ以上のAが水素原子であるポリフェニレンエーテルを含まないことがより好ましい。
【0025】
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、上記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテルを基準として、200質量ppm未満のメタクリル酸、200質量ppm未満のメタクリル酸無水物及びメタクリル酸ビニル、200質量ppm未満の有機アミン触媒、並びに1500質量ppm未満の塩化物イオンであることが好ましく、上記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテルを基準として、100質量ppm未満のメタクリル酸、100質量ppm未満のメタクリル酸無水物及びメタクリル酸ビニル、100質量ppm未満の有機アミン触媒、並びに1000質量ppm未満の塩化物イオンであることがさらに好ましい。
【0026】
上記変性ポリフェニレンエーテルは、例えば、下記式(6)で表される一価のフェノール化合物と下記式(7)で表される多価(a価)のフェノール化合物(中心フェノール)とを共重合し、未変性ポリフェニレンエーテルを得て、続いて変性反応を行うことにより得られる。製造方法の詳細は後述する。
【化20】
・・・式(6)
(式(6)中、R21は、上記式(4)と同様の基が挙げられ、上記式(4)と同じであることが好ましい。)
【化21】
・・・式(7)
(式(7)中、X、R、k、aは、上記式(2)と同様のものが挙げられ、上記式(2)と同じであることが好ましい。Xに結合するa個の部分構造は、それぞれ同じであってもよいし異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。)
【0027】
上記式(6)で表される一価のフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジメチルフェノール、2-メチル-6-エチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2-エチル-6-n-プロピルフェノール、2-メチル-6-クロルフェノール、2-メチル-6-ブロモフェノール、2-メチル-6-n-プロピルフェノール、2-エチル-6-ブロモフェノール、2-メチル-6-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-n-プロピルフェノール、2-エチル-6-クロルフェノール、2-メチル-6-フェニルフェノール、2,6-ジフェニルフェノール、2-メチル-6-トリルフェノール、2,6-ジトリルフェノール等が挙げられる。中でも、特に、安価であり入手が容易であるため、2,6-ジメチルフェノール、2,6-ジエチルフェノール、2,6-ジフェニルフェノールが好ましい。
【0028】
なお、上記フェノール化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記式(7)で表されるようなa価のフェノール化合物は、対応する一価のフェノール化合物と、アルデヒド類(例えば、ホルムアルデヒド等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等)、又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応や、対応する一価のフェノール化合物同士の反応等により、工業的に有利に製造できる。
【0030】
上記式(7)で表されるフェノール化合物のうち、分子内に2つのフェノールユニットを有するフェノール化合物の例を以下に列挙する。
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
更に上記式(7)で表されるフェノール化合物のうち、分子内に3つ以上のフェノールユニットを有するフェノール化合物の例を以下に列挙する。
4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシ-3-エトキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルエチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、2,2’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(2-ヒドロキシフェニル)メチレン]-ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-エチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)メチル]-6-メチルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、2,4-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル]-6-シクロヘキシルフェノール、3,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2-ベンゼンジオール、4,6-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,4,6-トリス[(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,3-ベンゼンジオール、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,5/3,6-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4/2-ヒドロキシ-2,3,5/3,4,6-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-6-メチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、4,4’-メチレンビス[2-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]-3,6-ジメチルフェノール]、6,6’-メチレンビス[4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-1,2,3-ベンゼントリオール]、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-シクロヘキシルフェニル)メチル]フェノール]、4,4’-シクロヘキシリデンビス[2-シクロヘキシル-6-[(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メチル]フェノール]、4,4’,4’’,4’’’-(1,2-エタンジイリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
特に好ましいa価のフェノール化合物(中心フェノール)は、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[(4-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-[(3-ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’,4’’,4’’’-(1,4-フェニレンジメチリデン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタンである。
【0033】
a価のフェノール化合物(中心フェノール)におけるフェノール性水酸基の数は2個以上であれば特に制限はないが、ポリフェニレンエーテル末端が多くなると熱硬化速度の制御が難しくなる可能性があるため、好ましくは2~6個、より好ましくは2~4個である。
【0034】
式(7)で表されるa価のフェノール化合物(中心フェノール)を含有させる場合には、式(6)に記載の全一価フェノール類に対する式(7)の二価フェノール性化合物の量は特に制限されないが、全一価フェノール類に対して2~30mol%とするのが好ましい。
【0035】
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルにおいて、上記式(1)の構造を有する変性ポリフェニレンエーテルの原料となる多官能ポリフェニレンエーテルは、単官能ポリフェニレンエーテルを酸化剤の存在下で多価フェノールと平衡化する再分配反応によって製造することもできる。再分配反応は、当該技術において公知であり、例えばCooperらの米国特許第3496236号明細書、及びLiskaらの米国特許第5880221号明細書に記載されている。
【0036】
しかしながら、再分配反応を用いて多官能ポリフェニレンエーテルを生成する場合、反応開始剤と酸化剤として過酸化物を用いることが多いが、この過酸化物は反応性が高く様々な形態の副生成物を生成する。その副生成物の代表的な一例としては、生成するポリフェニレンエーテルへの過酸化物付加体である。また、目的物である多官能ポリフェニレンエーテルだけではなく、原料である単官能ポリフェニレンエーテル、多価フェノールにも過酸化物が付加した副生成物が生成するので、目的物である上記式(1)の構造を有する変性ポリフェニレンエーテルの純度が低下し、中心フェノール部位当たりの平均官能基数も低減してしまう。
【0037】
本実施形態における変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)は、500~15,000であることが好ましく、より好ましくは1,000~10,000であり、更に好ましくは1,500~8,000である。数平均分子量(Mn)が上記範囲内であることにより、基板材料への適用工程においてワニスを作製する溶媒に溶解させた際の流動性がより向上し、基板材料適用時の加工性を確保することができる。
数平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0038】
本実施形態における変性ポリフェニレンエーテルの平均官能基数は、1.8~6.0であることが好ましく、より好ましくは2.0~4.0であり、更に好ましくは2.5~4.0である。平均官能基数が上記範囲内であることにより、ポリフェニレンエーテル末端の熱硬化速度を制御し、熱硬化不良を抑制することができる。
平均官能基数は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0039】
<変性ポリフェニレンエーテルの製造方法>
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法は、例えば、重合法により下記式(8)で表される、分子末端が水酸基である多官能ポリフェニレンエーテル(本明細書において、未変性多官能ポリフェニレンエーテル、未変性ポリフェニレンエーテルともいう)を合成し、その末端水酸基に式(1)におけるA置換基を導入する、すなわち変性することにより製造することができる。
【化22】
・・・式(8)
((8)中、Z、Y、n、aは式(1)と同様のものが挙げられ、同じであることが好ましい。)
【0040】
(重合工程)
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテルの製造方法では、重合工程において、重合溶剤として未変性多官能ポリフェニレンエーテルの良溶剤である芳香族系溶剤を用いることが好ましい。
ここで、未変性多官能ポリフェニレンエーテルの良溶剤とは、多官能ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶剤であり、このような溶剤を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o-、m-、p-の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;等が挙げられる。
【0041】
本実施形態で用いられる重合触媒としては、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いることが可能な公知の触媒系を使用できる。一般的に知られている触媒系としては、酸化還元能を有する遷移金属イオンと当該遷移金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが知られており、例えば、銅化合物とアミン化合物からなる触媒系、マンガン化合物とアミン化合物からなる触媒系、コバルト化合物とアミン化合物からなる触媒系、等である。重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、ここに若干のアルカリもしくは更なるアミン化合物を加えることもある。
【0042】
本実施形態で好適に使用される重合触媒は、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物及びアミン化合物からなる触媒であり、より好ましくは、アミン化合物として下記式(9)で表されるジアミン化合物を含む触媒である。
【0043】
【化23】
・・・式(9)
式(9)中、R14、R15、R16、R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状アルキル基であり、全てが同時に水素原子ではない。R18は、炭素数2から5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である。
【0044】
ここで述べられた触媒成分の銅化合物の例を列挙する。好適な銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また、第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で特に好ましい金属化合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から使用時に合成しても良い。しばしば用いられる方法は、先に例示の酸化第一銅とハロゲン化水素(又はハロゲン化水素の溶液)を混合して作製する方法である。
【0045】
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等である。また、これらは、水溶液や適当な溶剤を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は、特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
【0046】
次に触媒成分のジアミン化合物の例を列挙する。例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’-トリエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-エチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチル-N-エチルエチレンジアミン、N-n-プロピルエチレンジアミン、N,N’-n-プロピルエチレンジアミン、N-i-プロピルエチレンジアミン、N,N’-i-プロピルエチレンジアミン、N-n-ブチルエチレンジアミン、N,N’-n-ブチルエチレンジアミン、N-i-ブチルエチレンジアミン、N,N’-i-ブチルエチレンジアミン、N-t-ブチルエチレンジアミン、N,N’-t-ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’-トリメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノ-1-メチルプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノ-2-メチルプロパン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,5-ジアミノペンタン等が挙げられる。本実施形態にとって好ましいジアミン化合物は、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基の炭素数が2又は3のものである。これらのジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して0.01モルから10モルの範囲が好ましい。
【0047】
本実施形態においては、重合触媒の構成成分として、第1級アミン及び第2級モノアミンを含むことができる。第2級モノアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-i-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-i-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン、N-フェニルメタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、N-フェニルプロパノールアミン、N-(m-メチルフェニル)エタノールアミン、N-(p-メチルフェニル)エタノールアミン、N-(2’,6’-ジメチルフェニル)エタノールアミン、N-(p-クロロフェニル)エタノールアミン、N-エチルアニリン、N-ブチルアニリン、N-メチル-2-メチルアニリン、N-メチル-2,6-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0048】
本実施形態における重合触媒の構成成分として、第3級モノアミン化合物を含むこともできる。第3級モノアミン化合物とは、脂環式第3級アミンを含めた脂肪族第3級アミンである。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル-n-ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは、単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの使用量は、特に限定されないが、重合反応に添加するフェノール化合物100モルに対して15モル以下の範囲が好ましい。
【0049】
本実施形態では、従来より重合活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することについて、何ら制限されない。そのような界面活性剤として、例えば、Aliquat336やCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。その使用量は、重合反応混合物の全量100質量%に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
【0050】
本実施形態の重合における酸素含有ガスとしては、純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は、常圧で充分であるが、必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。
【0051】
重合の温度は、特に限定されないが、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応選択性の低下や高分子量成分が生成する恐れがあるので、0~60℃、好ましくは10~50℃の範囲である。
【0052】
未変性多官能ポリフェニレンエーテルの製造方法では、ポリフェニレンエーテル重合時において、溶液状態で重合すること(本明細書中、「溶液重合」とも称する)が好ましい。溶液重合により製造することにより、かさ高い構造を有している中心フェノールを用いた場合においても、未変性多官能ポリフェニレンエーテルの製造時に上記式(8)の構造を含まないポリフェニレンエーテル成分や、過酸化物による副生成物が生成する割合を少なくし、目的物の上記式(1)の構造を含む変性ポリフェニレンエーテルを純度よく生成することができる。
【0053】
(銅抽出及び副生成物除去工程)
本実施形態において、重合反応終了後の後処理方法については、特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて、触媒を失活させる。また、ポリフェニレンエーテルの重合により生じる二価フェノール体の副生成物を除去処理する方法も、従来既知の方法を用いて行うことができる。上記の様に触媒である金属イオンが実質的に失活されている状態であれば、該混合物を加熱するだけで脱色される。また既知の還元剤を必要量添加する方法でも可能である。既知の還元剤としては、ハイドロキノン、亜二チオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
(液液分離工程)
未変性多官能ポリフェニレンエーテルの製造方法においては、銅触媒を失活させた化合物を抽出するため水を添加し、有機相と水相に液液分離を行った後、水相を除去することで有基礎から銅触媒を除去してよい。この液液分離工程は、特に限定しないが、静置分離、遠心分離機による分離等の方法が挙げられる。上記液液分離を促進させるためには、公知の界面活性剤等を用いてもよい。
【0055】
(濃縮・乾燥工程)
続いて、本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法においては、液液分離後の上記未変性多官能ポリフェニレンエーテルが含まれた有機相を、溶剤を揮発させることで濃縮・乾燥させてよい。
なお、続いて変性反応(未変性多官能ポリフェニレンエーテルの末端に式(1)における置換基Aを導入する反応)を行うにあたり、この工程は省略してもよい。
【0056】
上記有機相に含まれる溶剤を揮発させる方法としては、特に限定はしないが、有機相を高温の濃縮槽に移し溶剤を留去させて濃縮する方法やロータリーエバポレーター等の機器を用いてトルエンを留去させて濃縮する方法等が挙げられる。
【0057】
乾燥工程における乾燥処理の温度としては、少なくとも60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましく、140℃以上が最も好ましい。多官能ポリフェニレンエーテルの乾燥を60℃以上の温度で行うと、ポリフェニレンエーテル粉体中の高沸点揮発成分の含有量を効率よく低減できる。
【0058】
未変性多官能ポリフェニレンエーテルを高効率で得るためには、乾燥温度を上昇させる方法、乾燥雰囲気中の真空度を上昇させる方法、乾燥中に撹拌を行う方法等が有効であるが、特に、乾燥温度を上昇させる方法が製造効率の観点から好ましい。乾燥工程は、混合機能を備えた乾燥機を使用することが好ましい。混合機能としては、撹拌式、転動式の乾燥機等が挙げられる。これにより処理量を多くすることができ、生産性を高く維持できる。
【0059】
(変性反応工程)
Aの置換基(上記式(5)の官能基)を得られた未変性ポリフェニレンエーテルの末端へ導入する方法に限定はなく、例えば、未変性ポリフェニレンエーテルの末端の水酸基と、炭素-炭素2重結合を有するカルボン酸(以下、単に「カルボン酸」という。)とのエステル結合の形成反応により得られる。
エステル結合の形成法は、公知の様々な方法を利用することが出来る。例えば、a.カルボン酸ハロゲン化物とポリマー末端の水酸基との反応、b.カルボン酸無水物との反応によるエステル結合の形成、c.カルボン酸との直接反応、d.エステルとのエステル交換反応による方法等が挙げられる。上記a~dのカルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、カルボン酸、エステルを変性剤という。
aのカルボン酸ハロゲン化物との反応は最も一般的な方法の一つである。カルボン酸ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物が一般的に用いられるが、他のハロゲンを利用してもかまわない。反応は、水酸基との直接反応、水酸基のアルカリ金属塩との反応のいずれでも構わない。カルボン酸ハロゲン化物と水酸基との直接反応ではハロゲン化水素等の酸が発生するため、酸をトラップする目的でアミン等の弱塩基を共存させてもよい。bのカルボン酸無水物との反応やcのカルボン酸との直接反応では、反応点を活性化し、反応を促進するために、例えばカルボジイミド類やジメチルアミノピリジン等の化合物を共存させてもかまわない。
dのエステル交換反応の場合は、必要に応じて、生成したアルコール類の除去を行うことが望ましい。また、反応を促進させるために公知の金属触媒類を共存させてもかまわない。反応後は、アミン塩等の副生物等を除くために、水、酸性、もしくはアルカリ性の水溶液で洗浄してもかまわないし、ポリマー溶液をアルコール類のような貧溶媒中に滴下し、再沈殿により、目的物を回収してもかまわない。またポリマー溶液を洗浄後、減圧下に溶媒を留去し、ポリマーを回収してもかまわない。
【0060】
Aの置換基(上記式(5)の官能基)を得られた未変性ポリフェニレンエーテルの末端へ導入する方法としては、式(10)で示されるカルボン酸ビニルを使用してもよい。反応点を活性化し、反応を促進するために、有機アミン触媒又はルイス酸触媒を共存させてもかまわない。有機アミン触媒としてはカルボニル基の活性化能が高いジアミノピリジン(特に好ましくはジメチルアミノピリジン)が好ましい。ルイス酸触媒としては、特に制限されないが、塩化アルミニウム、トリフルオロボラン、スカンジウム(III)トリフラートなどが好ましい。
【化24】
・・・式(10)
上記式(10)中、R31は各々独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基)、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかである。
32は各々独立に、炭素数1~30の炭化水素基(例えば、アルキレン基)である。
31としては、上述と同様の化合物が挙げられ、同様の化合物が好ましい。また、R32としては、上述と同様の化合物が挙げられ、同様の化合物が好ましい。
sは、0~5の整数である。
【0061】
上記のような変性剤としては、商業性産されており入手が容易であることからメタクリル酸無水物、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸ビニルが好ましい。メタクリル酸無水物の場合、脱離基としてメタクリル酸が発生し、メタクリロイルクロリドの場合には脱離基として塩化物イオンが発生するため、置換基Aを導入後には系中に多量のメタクリル酸や塩化物イオンが含まれてしまう。一方、メタクリル酸ビニルを用いた場合には脱離基がアセトアルデヒドガスであり、反応溶液から脱離基の除去が容易であるためメタクリル酸ビニルが好ましい。アセトアルデヒドガスの除去方法としては、反応溶液への窒素バブリングや真空乾燥等の方法が挙げられる。
【0062】
下記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテル中に含まれる不純物としては変性剤に由来するメタクリル酸無水物、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。また変性剤失活及び脱離基として生じるメタクリル酸、メタクリル酸メチルや塩化物イオン、触媒として使用する有機アミン等が挙げられる。
【0063】
上記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテル中に含まれる不純物は少ないことが好ましい。
本発明者は、上記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテル中に含まれる不純物の中でも、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸ビニル、有機アミン触媒、塩化物イオンの質量割合を低くすることにより、上記式(1)で示される変性ポリフェニレンエーテルを含む組成物を硬化させた後に、ガラス転移温度が特に高くなることを見出した。
上記有機アミン触媒とは、第三級アミンを有する化合物であり、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、4-ピロリジノピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。上記有機アミン触媒は、上述の未変性ポリフェニレンエーテルに置換基Aを導入する反応に添加する有機アミン触媒としてよい。
上記塩化物イオンは、Clをいう。
変性ポリフェニレンエーテル中のメタクリル酸の質量割合は、例えば、変性剤の反応性が高く、置換基Aの高い導入率を容易に達成可能な導入方法であるa.メタクリル酸ハロゲン化物とポリマー末端の水酸基との反応、b.メタクリル酸無水物との反応によるエステル結合の形成で使用され、系中の微量の水分との反応により容易に失活しメタクリル酸を発生するメタクリル酸ハロゲン化物やメタクリル酸無水物の使用を避け、水への反応性が低いメタクリル酸ビニルを用いることにより低くすることができる。また、メタクリル酸無水物の場合にはメタクリル酸無水物と当量のメタクリル酸が脱離基として副生してしまう。副生するメタクリル酸は例えば変性ポリフェニレンエーテルを貧溶媒であるアルコール系溶媒で洗浄しても完全に除去することは困難であり、変性剤の種類を変更し、系中に発生させないことが重要である。
変性ポリフェニレンエーテル中のメタクリル酸無水物とメタクリル酸ビニルとの合計質量割合は、例えば変性剤と未変性ポリフェニレンエーテルの反応の際に使用する有機アミン触媒としてより活性の高い化学種を選定し、過剰な変性剤を加えないようにすることにより低くすることができる。
変性ポリフェニレンエーテル中の有機アミン触媒の質量割合は、例えば有機アミン触媒の添加率の低減や活性の高いルイス酸触媒の使用により低くすることができる。
変性ポリフェニレンエーテル中の塩化物イオンの質量割合は、例えばa.メタクリル酸ハロゲン化物とポリマー末端の水酸基との反応で使用され、系中の微量の水分との反応により容易に失活し、塩酸や共存する上記有機アミン触媒との副反応により生成するアミン塩酸塩を発生するメタクリル酸ハロゲン化物の使用を避け、水への反応性が低いメタクリル酸ビニルを用いるにより低くすることができる。
後述する熱硬化組成物中にメタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸ビニル、有機アミン触媒、塩化物イオンを低くすることにより、酸や低分子量成分による硬化不良を抑制することができ、熱硬化組成物のTgを向上させることが出来る。
変性ポリフェニレンエーテル中のメタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸ビニル、有機アミン触媒及び塩化物イオンは、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0064】
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法は、上述の本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法に限定されることなく、上述の、重合工程、銅抽出及び副生成物除去工程、液液分離工程、濃縮・乾燥工程の順序や回数等を適宜調整してよい。
【0065】
<熱硬化組成物>
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、熱硬化組成物として用いることができる。熱硬化組成物は、変性ポリフェニレンエーテルを含むものであれば特に限定されないが、架橋剤と、有機過酸化物とを更に含むことが好ましく、所望により、熱可塑性樹脂、難燃剤、その他の添加剤、シリカフィラー、溶剤等を更に含むことができる。本実施形態の熱硬化組成物の構成要素について以下に説明する。
【0066】
(変性ポリフェニレンエーテル)
本実施形態の変性ポリフェニレンエーテルは、上述のとおり、熱硬化組成物において、単独の樹脂成分として使用してもよいし、他の構造を有するポリフェニレンエーテルと併用してもよいし、公知の各種添加剤と組み合わせて使用することもできる。
他の成分と組み合わせて用いる場合、熱硬化組成物中の変性ポリフェニレンエーテルの含有量は、0.5~95質量%であることが好ましく、より好ましくは20~93質量%、更に好ましくは40~90質量%である。
【0067】
(架橋剤)
本実施形態の熱硬化組成物では、架橋反応を起こすか、又は促進する能力を有する任意の架橋剤を使用することができる。
架橋剤は、数平均分子量が4,000以下であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が4,000以下であると、熱硬化組成物の粘度の増大を抑制でき、また加熱成形時の良好な樹脂流動性が得られる。
なお、数平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定した値としてよく、具体的には、GPCを用いて測定した値等が挙げられる。
【0068】
架橋剤は、架橋反応の観点から、炭素-炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有することが好ましい。架橋剤は、1種類の化合物で構成されてもよく、2種類以上の化合物で構成されてもよい。
なお、本明細書にいう「炭素-炭素不飽和二重結合」とは、架橋剤がポリマー又はオリゴマーである場合、主鎖より分岐した末端に位置する二重結合をいう。炭素-炭素不飽和二重結合としては、例えば、ポリブタジエンにおける1,2-ビニル結合が挙げられる。
【0069】
架橋剤の数平均分子量が600未満である場合、架橋剤の1分子当たりの炭素-炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、2~4であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が600以上1,500未満の場合には、架橋剤の1分子当たりの炭素-炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、4~26であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が1,500以上4,000未満の場合には、架橋剤の1分子当たりの炭素-炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、26~60であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が上記範囲内にある場合に、炭素-炭素不飽和二重結合の数が上記特定値以上であることにより、本実施形態の熱硬化組成物は、架橋剤の反応性が一層高まり、熱硬化組成物の硬化物の架橋密度が一層向上し、その結果、一層優れた耐熱性を付与できる。一方で、架橋剤の数平均分子量が上記範囲内にある場合に、炭素-炭素不飽和二重結合の数が、上記特定値以下であることにより、加熱成形時に一層優れた樹脂流動性を付与できる。
【0070】
架橋剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のトリアルケニルイソシアヌレート化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)等のトリアルケニルシアヌレート化合物、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、ポリブタジエン等の分子中にビニル基を2個以上有する多官能ビニル化合物、分子中にビニルベンジル基を有するジビニルベンゼン等のビニルベンジル化合物、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン等の分子中にマレイミド基を2個以上有する多官能マレイミド化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。架橋剤は、これらの中でも、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンから成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。架橋剤が、上記で説明された少なくとも1種以上の化合物を含むことにより、熱硬化組成物は、架橋剤と変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性及び塗工性に一層優れ、そして電子回路基板に実装されると基板特性に一層優れる傾向にある。
【0071】
変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との質量比(変性ポリフェニレンエーテル:架橋剤)は、架橋剤と変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性、熱硬化組成物の塗工性、及び実装された電子回路基板の特性に一層優れるという観点から、25:75~95:5であることが好ましく、より好ましくは、32:68~85:15である。
【0072】
(有機過酸化物)
本実施形態では、変性ポリフェニレンエーテル及び架橋剤を含む熱硬化組成物の重合反応を促進する能力を有する任意の有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。なお、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等のラジカル発生剤も熱硬化組成物のための反応開始剤として使用することができる。中でも、得られる耐熱性及び機械特性に優れ、更に低い誘電率及び誘電正接を有する硬化物を提供することができるという観点から、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0073】
有機過酸化物の1分間半減期温度は、好ましくは155~185℃であり、より好ましくは160~180℃、更に好ましくは165~175℃である。有機過酸化物の1分間半減期温度が155~185℃の範囲内にあることにより、有機過酸化物と変性PPEとの相溶性、熱硬化組成物の塗工性、及び実装された電子回路基板の特性に一層優れる傾向にある。
なお、本明細書において、1分間半減期温度とは、有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が半分になる時間が1分間となる温度である。1分間半減期温度は、ラジカルに対して不活性な溶剤、例えばベンゼン等に有機過酸化物を0.05~0.1mol/Lの濃度となるように溶解させ、有機過酸化物溶液を窒素雰囲気化で熱分解させる方法で確認される値である。
【0074】
1分間半減期温度が155~185℃の範囲内にある有機過酸化物としては、例えば、t-へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(155.0℃)、t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(166.0℃)、t-ブチルペルオキシラウレート(159.4℃)、t-ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)、t-ブチルペルオキシ2-エチルへキシルモノカーボネート(161.4℃)、t-へキシルパーオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t-ブチルペルオキシアセテート(159.9℃)、2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(166.8℃)、n-ブチル4,4-ジ-(t-ブチルペルオキシ)バレラート(172.5℃)、ジ(2-t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、ジ-t-へキシルパーオキサイド(176.7℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(179.8℃)、及びt-ブチルクミルパーオキサイド(173.3℃)等が挙げられる。
【0075】
有機過酸化物の含有量は、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との合計100質量部を基準として、有機過酸化物と変性PPEとの相溶性及び熱硬化組成物の塗工性に一層優れるという観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは1.5質量部以上であり、熱硬化組成物が電子回路基板に実装されると基板特性に優れるという観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下である。
【0076】
(熱可塑性樹脂)
本実施形態では、任意の熱可塑性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂は、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体及びその水素添加物(ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体)、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体から成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性、樹脂流動性、熱硬化組成物の塗工性及び硬化時の耐熱性等に一層優れる観点から、好ましくは50,000超780,000以下、より好ましくは60,000~750,000、更に好ましくは70,000~700,000である。
熱硬化組成物は、変性ポリフェニレンエーテル、架橋剤及び有機過酸化物と、上記で説明された種類及び重量平均分子量を有する熱可塑性樹脂とを含むと、変性PPEと他の含有成分との相溶性及び基材等への塗工性が良好になる傾向にあり、ひいては電子回路基板に組み込まれたときの基板特性にも優れることがある。
なお、重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により求められる。
【0077】
上記ブロック共重合体又はその水素添加物のビニル芳香族化合物由来の単位の含有率は、下限値について、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、22質量%以上、24質量%以上、26質量%以上、28質量%以上、30質量%以上、32質量%以上である。また、上限値について、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、69質量%以下、68質量%以下、67質量%以下である。上記ブロック共重合体又はその水素添加物のビニル芳香族化合物由来の単位の含有率が20~70質量%であることにより、変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性が一層向上し、かつ/又は金属箔との密着強度が一層向上する傾向にある。
【0078】
ビニル芳香族化合物としては、分子内に芳香環及びビニル基を有すればよく、例えば、スチレン等が挙げられる。
オレフィン系アルケン化合物としては、分子内に直鎖若しくは分岐構造を有するアルケンであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、及びイソプレン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性に一層優れる観点から、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-ブチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体、スチレン-イソブチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-エチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-ブタジエン-ブチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレンの単独重合体(ポリスチレン)から成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、及びポリスチレンからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0079】
上記水素添加物における水素添加率は、特に限定されず、オレフィン系アルケン化合物由来の炭素‐炭素不飽和二重結合が一部残存していてもよい。
【0080】
熱可塑性樹脂の含有量は、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との合計100質量部を基準として、2~20質量部であり、3~19質量部であることが好ましく、4~18質量部であることがより好ましく、5~17質量部であることが更に好ましい。この含有量が上記数値範囲内にあることにより、本実施形態の熱硬化組成物は、熱可塑性樹脂と変性ポリフェニレンエーテルとの相溶性及び塗工性に一層優れ、そして電子回路基板に実装されると基板特性に一層優れる傾向にある。
【0081】
なお、本実施形態の熱硬化組成物は、上記で説明された種類及び重量平均分子量を有する熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂を含むこともできる。
【0082】
(難燃剤)
本実施形態の熱硬化組成物は、任意の難燃剤を含むことができる。難燃剤としては、耐熱性を向上できる観点から、熱硬化組成物の硬化後に熱硬化組成物中の他の含有成分と相溶しないものであれば特に制限されない。好ましくは、難燃剤は、熱硬化組成物の硬化後に熱硬化組成物中の変性ポリフェニレンエーテル及び/又は架橋剤と相溶しない。
難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の無機難燃剤;ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、4,4-ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の芳香族臭素化合物;レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート等のリン系難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、難燃剤は、難燃剤と変性PPEとの相溶性、熱硬化組成物の塗工性、実装された電子回路基板の特性に一層優れる観点から、デカブロモジフェニルエタンであることが好ましい。
【0083】
難燃剤の含有量は、特に限定されないが、UL規格94のV-0レベルの難燃性を維持するという観点から、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、得られる硬化物の誘電率及び誘電正接を低く維持できる観点から、難燃剤の含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
【0084】
(シリカフィラー)
本実施形態の熱硬化組成物は、シリカフィラーを含有してもよい。シリカフィラーとしては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、及び中空シリカ等が挙げられる。
シリカフィラーの含有量は、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との合計100質量部に対して、10~100質量部としてよい。また、シリカフィラーは、その表面にシランカップリング剤等を用いて表面処理をされたものであってもよい。
【0085】
本実施形態の熱硬化組成物は、難燃剤及びシリカフィラー以外に、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤、溶剤等を更に含んでもよい。
本実施形態の熱硬化組成物は、溶剤を含む場合には、熱硬化組成物中の固形成分が溶剤に溶解又は分散したワニスの形態であることが可能であり、また、本実施形態の熱硬化組成物から樹脂フィルムを形成することができる。
【0086】
(溶剤)
溶剤としては、溶解性の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、メチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びクロロホルム等が好ましい。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、基材と上記熱硬化組成物とを含み、好ましくは基材と、この基材に含浸又は塗布された本実施形態の熱硬化組成物とを含む複合体である。プリプレグは、例えば、ガラスクロス等の基材を上記熱硬化組成物のワニスに含浸させた後、熱風乾燥機等で溶剤分を乾燥除去することにより得られる。
【0088】
基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラスクロス;アスベスト布、金属繊維布、及びその他の合成若しくは天然の無機繊維布;全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙-ガラス混繊糸から得られる布等の天然セルロース系基材;ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルム等が挙げられる。これらの基材は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
プリプレグ中の本実施形態の熱硬化組成物固形分(熱硬化組成物の溶剤以外の成分)の割合は、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましい。上記割合が30質量%以上であることにより、プリプレグを電子基板用等に用いた場合に絶縁信頼性に一層優れる傾向にある。上記割合が80質量%以下であることにより、電子基板等の用途において、曲げ弾性率等の機械特性に一層優れる傾向にある。
【0090】
<積層体>
本実施形態の積層体は、本実施形態の熱硬化組成物又は本実施形態のプリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得られる金属張積層板である。金属張積層板は、プリプレグの硬化物(以下、「硬化物複合体」ともいう。)と金属箔とが積層して密着している形態を有することが好ましく、電子基板用材料として好適に用いられる。
金属箔としては、例えば、アルミ箔及び銅箔が挙げられ、これらの中でも銅箔は電気抵抗が低いため好ましい。
金属箔と組合せる硬化物複合体は、1枚でも複数枚でもよく、用途に応じて複合体の片面又は両面に金属箔を重ねて積層板に加工する。
【0091】
金属張積層板の製造方法としては、例えば、熱硬化組成物と基材とから構成される複合体(例えば、前述のプリプレグ)を形成し、これを金属箔と重ねた後、熱硬化組成物を硬化させることにより、硬化物積層体と金属箔とが積層されている積層板を得る方法が挙げられる。
前記金属張積層板の特に好ましい用途の1つはプリント配線板である。プリント配線板は、金属張積層板から金属箔の少なくとも一部が除去されていることが好ましい。
【0092】
<プリント配線板>
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の金属張積層板から金属箔の少なくとも一部が除去されている。本実施形態のプリント配線板は、典型的には、上述した本実施形態のプリプレグを用いて、加圧加熱成形する方法で形成できる。基材としてはプリプレグに関して前述したのと同様のものが挙げられる。
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の熱硬化組成物を含むことにより、優れた耐熱性及び電気特性(低誘電率及び低誘電正接)を有し、更には環境変動に伴う電気特性の変動を抑制可能であり、更には優れた絶縁信頼性及び機械特性を有する。
【実施例
【0093】
以下、製造例及び実施例に基づいて本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。
なお、実施例5-7は、参考例として記載するものである。
【0094】
まず、下記に各物性及び評価の測定方法及び評価基準について述べる。
【0095】
(1)数平均分子量(Mn)
測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーSystem21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成し、この検量線を利用して、得られた変性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)の測定を行った。
標準ポリスチレンとしては、分子量が、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、550のものを用いた。
カラムは、昭和電工(株)製K-805Lを2本直列につないだものを使用した。溶剤は、クロロホルムを使用し、溶剤の流量は1.0mL/分、カラムの温度は40℃として測定した。測定用試料としては、変性ポリフェニレンエーテルの1g/Lクロロホルム溶液を作製して用いた。検出部のUVの波長は、標準ポリスチレンの場合は254nm、ポリフェニレンエーテルの場合は283nmとした。
上記測定データに基づきGPCにより得られた分子量分布を示す曲線に基づくピーク面積の割合から数平均分子量(Mn)(g/mol)算出した。
【0096】
(2)熱硬化組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)
実施例及び比較例で製造された積層板の動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)(℃)として求めた。測定装置に動的粘弾性装置(RHEOVIBRON モデルDDV-01FP、ORIENTEC社製)を用いた。積層板を、ガラスクロスの経糸が長辺となるように長さ約35mm、幅約12mm、厚さ約0.5mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張モード、周波数:10rad/sの条件で測定を行った。
【0097】
(3)熱硬化組成物の硬化物の比誘電率
実施例及び比較例で製造された積層板の10GHzでの比誘電率を、空洞共振法にて測定した。測定装置として、ネットワークアナライザー(N5230A、AgilentTechnologies社製)、及び関東電子応用開発社製の空洞共振器(Cavity Resornator CPシリーズ)を用いた。積層板を、ガラスクロスの経糸が長辺となるように幅約2mm、長さ50mm、厚さ約0.5mmの短冊状に切り出した。次に、105℃±2℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、23℃相対湿度50±5%の環境下に24±5時間静置した。その後、23℃、相対湿度50±5%の環境下で上記測定装置を用いることにより、比誘電率の測定を行った。
【0098】
(4)変性ポリフェニレンエーテル中の不純物の定量
GC/MSにより解析した。アジレント製GC-6890 MSD-5973を用い、カラム:HP-5MS(L:30m I.D:0.25mm Film厚:0.25μm)、キャリアガス:ヘリウムを用い、試料注入口の温度は325℃とし、カラムの温度は325℃に保ち、MSD検出器によって検出し、分離されたガスの電子イオン化質量分析から、副生成物を定量した。
【0099】
(5)変性ポリフェニレンエーテル中の塩化物イオンの定量
測定対象の変性ポリフェニレンエーテルのイオンクロマトグラフィーにより、変性ポリフェニレンエーテル中の塩化物イオン含有量(質量ppm)とした。
【0100】
以下、各実施例及び比較例の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法を説明する。
【0101】
(製造例1)
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.12gの酸化第一銅及び1.29gの47%臭化水素の混合物と、0.28gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、10.22gのジメチル-n-ブチルアミン、2.23gのジ-n-ブチルアミン、885.6gのトルエン、69.39gの2,6-ジメチルフェノール、30.61gの1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン(ADEKA製:AO-30)、0.05gのトリオクチルメチルアンモニウムクロリドを入れた。次いで、激しく攪拌しながら反応器へ1.05L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は20℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから200分後、空気の通気をやめ、反応器内の窒素ガス置換を行った後、この重合混合物を1.49gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)と水200gの水溶液として添加した。
更に1.0gのハイドロキノンと水40gの混合液を加え、20℃にて1時間保温し、副生したジフェノキノンの還元処理を行った後、70℃に加温し、70℃にて1時間銅抽出を実施した。その後、静置分離により未変性ポリフェニレンエーテル溶液(有機相)と、触媒金属を移した水相とに分離した。当該有機層をエバポレータにより濃縮し、固体状態の未変性ポリフェニレンエーテルを得た。
【0102】
(製造例2)
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1.5リットルのジャケット付き反応器に、予め調整した0.062gの酸化第一銅及び0.69gの47%臭化水素の混合物と、0.20gのN,N’-ジ-t-ブチルエチレンジアミン、2.81gのジメチル-n-ブチルアミン、1.31gのジ-n-ブチルアミン、865.0gのトルエン、72.3gの2,6-ジメチルフェノール、34.53gの2,3,6-トリメチルフェノール、23.16gの2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、0.05gのトリオクチルメチルアンモニウムクロリドを入れた。次いで、激しく攪拌しながら反応器へ1.37L/分の速度で空気をスパージャーより導入し始めると同時に、重合温度は20℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから200分後、空気の通気をやめ、反応器内の窒素ガス置換を行った後、この重合混合物に0.70gのエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩四水和物(同仁化学研究所製試薬)を水200gの水溶液として添加した。更に1.2gのハイドロキノンと水40gの混合液を加え、20℃にて1時間保温し、副生したジフェノキノンの還元処理を行った後、70℃に加温し、70℃にて1時間銅抽出を実施した。その後、静置分離により未変性ポリフェニレンエーテル溶液(有機相)と、触媒金属を移した水相とに分離した。当該有機層をエバポレータにより濃縮し、固体状態の未変性ポリフェニレンエーテルを得た。
【0103】
(実施例1)
反応器上部に窒素ガス導入の為のライン、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた500mLのジャケット付き反応器に製造例1で得られた未変性ポリフェニレンエーテル30gを投入した。反応器内部を窒素置換した後、トルエン70g、ジメチルスルホキシド104gを加え、未変性ポリフェニレンエーテル溶液を調合した。攪拌をしながらシリンジを用いてトリエチルアミン13.57gを加え、さらにジメチルアミノピリジン2.34gを加えた。その後メタクリル酸ビニル8.58gをシリンジに採取し系内に滴下し、18時間110℃で攪拌を継続した。常温に戻した後にメタノール2.00gを加えて反応を停止した。次いで、当該反応液を固形分濃度が22質量%となるまで濃縮した後、メタノール665.06g中に当該反応液を滴下し、変性ポリフェニレンエーテルの沈殿を得た。減圧濾過により回収した湿潤変性ポリフェニレンエーテルを再度トルエン180gへ溶解させ、pH=10の水酸化ナトリウム水溶液207.01gを加え、分液を実施した。有機層を110gまで濃縮し、メタノール567.67g中に当該有機層を滴下し、湿潤変性ポリフェニレンエーテルを得た。湿潤変性ポリフェニレンエーテルを200mLのメタノールで洗浄し、110℃で2時間真空乾燥し、変性ポリフェニレンエーテルを得た。
次に、変性ポリフェニレンエーテル79質量部に対し、TAIC(日本化成社製)20質量部、有機過酸化物(パーブチルP、日油社製)1質量部をトルエンに添加し、攪拌、溶解させてワニスを得た(固形分濃度58質量%)。このワニスに、Lガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル:2116)を含浸させた後、所定のスリットに通すことにより余分なワニスを掻き落とし、105℃の乾燥オーブンにて所定時間乾燥させ、トルエンを除去することにより、プリプレグを得た。このプリプレグを所定サイズに切り出し、そのプリプレグの質量と同サイズのガラスクロスの質量とを比較することで、プリプレグにおける熱硬化組成物の固形分の含有量を算出したところ、52質量%であった。
このプリプレグを所定枚数重ね、更にその重ね合わせたプリプレグの両面に銅箔(古川電気工業株式会社製、厚み35μm、GTS-MP箔)を重ね合わせた状態で、真空プレスを行うことにより、銅張積層板を得た。この真空プレスの工程では、先ず、室温から昇温速度2℃/分で加熱しながら圧力40kg/cmの条件とし、次いで、温度が200℃に達した後に、温度を200℃に維持したまま圧力40kg/cm及び時間60分間の条件を採用した。
次に、上記銅張積層板から、エッチングにより銅箔を除去することにより積層板(厚さ約0.5mm)を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0104】
(実施例2)
変性反応の溶媒をトルエン136g、ジメチルスルホキシド34gに変更とした他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0105】
(実施例3)
変性反応の溶媒をトルエン34g、ジメチルスルホキシド136gに変更とした他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0106】
(実施例4)
反応器上部に窒素ガス導入の為のライン、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた500mLのジャケット付き反応器に製造例2で得られた未変性ポリフェニレンエーテル30gを投入した。反応器内部を窒素置換した後、トルエン70g、ジメチルスルホキシド104gを加え、未変性ポリフェニレンエーテル溶液を調合した。攪拌をしながらシリンジを用いてトリエチルアミン10.62gを加え、さらにジメチルアミノピリジン1.83gを加えた。その後メタクリル酸ビニル6.72gをシリンジに採取し系内に滴下し、18時間110℃で攪拌を継続した。
その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0107】
(実施例5)
変性反応をジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンを使用せず、スカンジウムトリフラート4.74gを使用し実施した。また、溶媒として192gのトルエンのみを使用し変性反応を実施した。その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0108】
(実施例6)
変性反応をジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンを使用せず、スカンジウムトリフラート4.74gを使用し実施した。また、溶媒として76.8gのトルエン、115.2gのジメチルスルホキシドを使用し変性反応を実施した。その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0109】
(実施例7)
変性反応をジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンを使用せず、スカンジウムトリフラート4.74gを使用し実施した。また、溶媒として192gのトルエンのみを使用し変性反応を実施した。その他は実施例4と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0110】
(比較例1)
300ml3つ口フラスコに撹拌子を入れ、主管に三方コックを付けたジムロート冷却器を設置し、一方の側管に温度計を差したゴム栓を取り付けた。トルエン73.5g及び製造例1で得られた未変性ポリフェニレンエーテル26.0gを混合して約85℃に加熱した。ジメチルアミノピリジン0.33gを添加した。固体がすべて溶解したと思われる時点で、無水メタクリル酸4.2gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。
その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0111】
(比較例2)
300ml3つ口フラスコに撹拌子を入れ、主管に三方コックを付けたジムロート冷却器を設置し、一方の側管に温度計を差したゴム栓を取り付けた。トルエン73.5g及び製造例2で得られた未変性ポリフェニレンエーテル26.0gを混合して約85℃に加熱した。ジメチルアミノピリジン0.33gを添加した。固体がすべて溶解したと思われる時点で、無水メタクリル酸4.2gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。
その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0112】
(比較例3)
300ml3つ口フラスコに撹拌子を入れ、主管に三方コックを付けたジムロート冷却器を設置し、一方の側管に温度計を差したゴム栓を取り付けた。もう一方の側管から製造例1で得られた未変性ポリフェニレンエーテル組成物20gを投入し、ゴム栓を取り付けた。フラスコ内部を窒素置換した後、マグネチックスターラーで内部の攪拌をしながらシリンジを用いてトルエン140gで溶解させ、次いでトリエチルアミン6.32gを加えた。その後塩化メタクリロイル3.27gをシリンジに採取し、ゴム栓から系内に滴下した。滴下終了後から3時間常温で攪拌を継続した後にオイルバスでフラスコを加熱し、還流状態で反応を継続した。還流開始から2時間経過した段階で加熱をやめ、常温に戻った後にメタノール1.00gを加えて反応を停止した。次いで当該反応液を固形分濃度が20重量%となるまで濃縮した後、濃縮液と等重量のイオン交換水を用いて水洗した。その後、水槽を除去し、有機層をメタノール(有機層の5倍重量)に攪拌しながら滴下した。次いで沈殿物をろ過し、ろ物を110℃で1時間真空乾燥し、変性ポリフェニレンエーテル組成物を得た。
その他は実施例1と同様の方法で操作を実施し、変性ポリフェニレンエーテル及び積層板を得た。
各分析結果を表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
表1に示すとおり、比較例1~3との比較により、実施例1~7の変性ポリフェニレンエーテルを用いることで、ガラス転移温度を高めた変性ポリフェニレンエーテルの熱硬化組成物を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の変性ポリフェニレンエーテル及び熱硬化組成物は、高ガラス転移温度であるため、電子材料用途として産業上の利用価値がある。