(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】管体接合構造、熱交換器、及び熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241001BHJP
F28F 9/06 20060101ALI20241001BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F28F9/02 301A
F28F9/06
F28F9/02 301E
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2020195451
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨永 高広
(72)【発明者】
【氏名】木村 和樹
(72)【発明者】
【氏名】森元 海
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-020748(JP,A)
【文献】特開2019-136872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0355404(US,A1)
【文献】特開昭54-124361(JP,A)
【文献】特開2000-301567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F9/00-9/06,21/06
F16L13/00-13/16
H01L23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通する第1内部流路を内部に含む第1本体部と、先端面に前記第1内部流路と連通する第1開口を含む第1接続管部とを有する金属製の第1管体と、
前記流体が流通する第2内部流路を内部に含む第2本体部と、先端面に前記第2内部流路と連通する第2開口を含み、前記第1開口を介して前記先端面側の少なくとも一部が前記第1接続管部の内部に嵌合された第2接続管部とを有する第2管体と、
樹脂組成物のインサート成形物で、かつ前記第1接続管部及び第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部と接触するとともに、前記第1接続管部の前記先端面の外周縁の全周を覆って、前記第1接続管部に前記第2接続管部を固定している樹脂固定部と
を備え
、
前記第2接続管部は、
前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、
前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部と
を含み、
前記非嵌合部は、大張出部と小張出部とを有し、
前記第2接続管部の長手方向に直交する第1平面で前記大張出部を切断したときの切断面における前記大張出部の外周の全長は、前記第1平面と平行な第2平面で前記小張出部を切断したときの切断面における前記小張出部の外周の全長よりも長い、管体接合構造。
【請求項2】
前記非嵌合部の肉厚は、前記嵌合部の肉厚よりも厚い、請求項1に記載の管体接合構造。
【請求項3】
流体が流通する第1内部流路を内部に含む第1本体部と、先端面に前記第1内部流路と連通する第1開口を含む第1接続管部とを有する金属製の第1管体と、
前記流体が流通する第2内部流路を内部に含む第2本体部と、先端面に前記第2内部流路と連通する第2開口を含み、前記第1開口を介して前記先端面側の少なくとも一部が前記第1接続管部の内部に嵌合された第2接続管部とを有する第2管体と、
樹脂組成物のインサート成形物で、かつ前記第1接続管部及び第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部と接触するとともに、前記第1接続管部の前記先端面の外周縁の全周を覆って、前記第1接続管部に前記第2接続管部を固定している樹脂固定部と
を備え
、
前記第2接続管部は、
前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、
前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部と
を含み、
前記非嵌合部の肉厚は、前記嵌合部の肉厚よりも厚い、管体接合構造。
【請求項4】
前記第1接続管部の長手方向に直交する平面で切断した、前記嵌合部を含む断面において、前記第1接続管部の内空面積の総面積に対する前記嵌合部の総面積の比率は、30面積%以上80面積%以下である、請求項1
~請求項3のいずれか1項に記載の管体接合構造。
【請求項5】
前記第1接続管部の長手方向において、前記樹脂固定部の前記非嵌合部とは反対側の外周縁は、前記嵌合部の前記先端面の外周縁よりも前記非嵌合部側に位置する、請求項
1~請求項4のいずれか1項に記載の管体接合構造。
【請求項6】
前記第1接続管部の外周面のうち前記樹脂固定部と接触する外周面は、粗化面を有する、請求項1~請求項
5のいずれか1項に記載の管体接合構造。
【請求項7】
前記第2接続管部は、樹脂製であり、
前記非嵌合部と前記樹脂固定部とは、融着している、請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載の管体接合構造。
【請求項8】
請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の管体接合構造を備え、
前記流体は、被熱交換物との間で熱交換する熱交換媒体である、熱交換器。
【請求項9】
前記第1管体は、少なくとも1つの伝熱管を含み、
前記少なくとも1つの伝熱管の各々は、
前記被熱交換物に前記熱交換媒体の熱を伝熱する管状の前記第1本体部と、
一対の前記第1接続管部と
を有し、
前記第2管体は、第1マニホールド及び第2マニホールドを含み、
前記第1マニホールドは、
前記第1内部流路に前記熱交換媒体を供給する前記第2内部流路を内部に含む前記第2本体部と、
前記一対の第1接続管部の一方の内部に嵌合された前記第2接続管部と
を有し、
前記第2マニホールドは、
前記第1内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する前記第2内部流路を内部に含む前記第2本体部と、
前記一対の第1接続管部の他方の内部に嵌合された前記第2接続管部と
を有する、請求項
8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1マニホールドは、
前記熱交換媒体を前記第2内部流路に供給する供給部品と接続される供給部品接続管部と、
前記供給部品接続管部と前記供給部品接続管部に接続された前記供給部品との隙間を封止するための第1パッキンと
を有し、
前記第2マニホールドは、
前記第2内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する回収部品と接続される回収部品接続管部と、
前記回収部品接続管部と前記回収部品接続管部に接続された前記回収部品との隙間を封止するための第2パッキンと
を有する、請求項
9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1マニホールド及び前記第2マニホールドの各々は、樹脂製であり、
前記第1マニホールドは、前記第2本体部の外周面から突出し、かつ前記熱交換媒体を前記第2内部流路に供給する供給部品を固定するための第1突出固定部を有し、
前記第2マニホールドは、前記第2本体部の外周面から突出し、かつ前記第2内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する回収部品を固定するための第2突出固定部を有する、請求項
9又は請求項
10に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1管体は、複数の伝熱管を含み、
前記第1マニホールドは、互いに連結可能な複数の第1マニホールド分割体を含み、
前記複数の第1マニホールド分割体の各々は、
少なくとも1つの前記第2接続管部と、
前記複数の第1マニホールド分割体に含まれる他の前記第1マニホールド分割体と連結するための第1連結管部と
を含み、
前記第2マニホールドは、互いに連結可能な複数の第2マニホールド分割体を含み、
前記複数の第2マニホールド分割体の各々は、
前記第1マニホールド分割体の前記第2接続管部と対になる前記第2接続管部と、
前記複数の第2マニホールド分割体に含まれる他の前記第2マニホールド分割体と連結するための第2連結管部と
を含む、請求項
9~請求項
11のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項13】
一対の第1接続管部を有する金属製の伝熱管を準備する第1準備工程と、
前記一対の第1接続管部の一方が嵌合される第2接続管部を有する第1マニホールドを準備する第2準備工程と、
前記一対の第1接続管部の他方が嵌合される第2接続管部を有する第2マニホールドを準備する第3準備工程と、
前記一対の第1接続管部の一方を前記第1マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第1嵌合工程と、
前記一対の第1接続管部の他方を前記第2マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第2嵌合工程と、
前記第1嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の一方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の一方及び前記第1マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第1インサート成形工程と、
前記第2嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の他方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の他方及び前記第2マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第2インサート成形工程と
を有
し、
前記第2接続管部は、
前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、
前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部と
を含み、
前記非嵌合部は、大張出部と小張出部とを有し、
前記第2接続管部の長手方向に直交する第1平面で前記大張出部を切断したときの切断面における前記大張出部の外周の全長は、前記第1平面と平行な第2平面で前記小張出部を切断したときの切断面における前記小張出部の外周の全長よりも長い、熱交換器の製造方法。
【請求項14】
一対の第1接続管部を有する金属製の伝熱管を準備する第1準備工程と、
前記一対の第1接続管部の一方が嵌合される第2接続管部を有する第1マニホールドを準備する第2準備工程と、
前記一対の第1接続管部の他方が嵌合される第2接続管部を有する第2マニホールドを準備する第3準備工程と、
前記一対の第1接続管部の一方を前記第1マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第1嵌合工程と、
前記一対の第1接続管部の他方を前記第2マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第2嵌合工程と、
前記第1嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の一方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の一方及び前記第1マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第1インサート成形工程と、
前記第2嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の他方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の他方及び前記第2マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第2インサート成形工程と
を有
し、
前記第2接続管部は、
前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、
前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部と
を含み、
前記非嵌合部の肉厚は、前記嵌合部の肉厚よりも厚い熱交換器の製造方法。
【請求項15】
前記第1マニホールドは、互いに連結可能な複数の第1マニホールド分割体を有し、
前記複数の第1マニホールド分割体の各々は、
少なくとも1つの前記第2接続管部と、
前記複数の第1マニホールド分割体に含まれる他の前記第1マニホールド分割体と連結するための第1連結管部と
を有し、
前記第2マニホールドは、互いに連結可能な複数の第2マニホールド分割体を有し、
前記複数の第2マニホールド分割体の各々は、
前記第1マニホールド分割体の前記第2接続管部と対になる前記第2接続管部と、
前記複数の第2マニホールド分割体に含まれる他の前記第2マニホールド分割体と連結するための第2連結管部と
を有し、
前記第2準備工程は、前記複数の第1マニホールド分割体の各々の前記第1連結管部同士を連結する第1連結工程を含み、
前記第3準備工程は、前記複数の第2マニホールド分割体の各々の前記第2連結管部同士を連結する第2連結工程を含む、請求項
13又は請求項14に記載の熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体接合構造、熱交換器、及び熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに搭載される中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、又は電気自動車に搭載される二次電池は、作動時に発熱する。このような発熱体を冷却するための手段として、冷却用媒体を用いる熱交換器が種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載されるリチウムイオン電池の温度を調整するための熱交換器が開示されている。特許文献1に開示の熱交換器は、多孔管と、分配用タンクと、集合用タンクとを備える。多孔管は、冷却水が流れる複数の通孔を有する。分配用タンクは、多孔管の複数の通孔の各々に、冷却水を分配する。集合用タンクは、多孔管の複数の通孔を通過した冷却水を集合させる。多孔管と、分配用タンク及び集合用タンクの各々とは、ロウ付けにより接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の熱交換器の用途の多様化を受けて、形状の複雑化をはじめ、熱交換器の軽量化、低コスト化等への対応が望まれている。特に、冷却用媒体を用いる熱交換器では、密閉性を確保しつつ、溶接又はロウ付け以外の方法により、第1管体を、第2管体に接合する技術が求められている。第1管体は、多孔管を含む。第2管体は、分配用タンク及び集合用タンクを含む。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、第1管体と第2管体とがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる管体接合構造、熱交換器、及び熱交換器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
【0008】
<1>本開示の第1態様の管体接合構造は、
流体が流通する第1内部流路を内部に含む第1本体部と、先端面に前記第1内部流路と連通する第1開口を含む第1接続管部とを有する金属製の第1管体と、
前記流体が流通する第2内部流路を内部に含む第2本体部と、先端面に前記第2内部流路に連通する第2開口を含み、前記第1開口を介して前記先端面側の少なくとも一部が前記第1接続管部の内部に嵌合された第2接続管部とを有する第2管体と、
樹脂組成物のインサート成形物で、かつ前記第1接続管部及び第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部と接触するとともに、前記第1接続管部の前記先端面の外周縁の全周を覆って、前記第1接続管部に前記第2接続管部を固定している樹脂固定部と
を備える、管体接合構造である。
【0009】
第1接続管部の先端面の外周縁は、押圧力がかかると変形しやすい。第1態様では、樹脂固定部がインサート成形される際に、第1接続管部の樹脂固定部が形成される部位には、第1接続管部の径方向において第1管体の内部に向けて押圧力がかかる。この際、第2接続管部の第1接続管部の内部に嵌合された部位は、第1接続管部の先端面の外周縁の支えとして機能する。そのため、第1接続管部の先端面の外周縁は、変形しにくい。その結果、管体接合構造は、第1管体と第2管体とがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる。
【0010】
<2>本開示の第2態様の管体接合構造は、
前記第2接続管部が、前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部を含み、
前記第1接続管部の長手方向に直交する平面で切断した、前記嵌合部を含む断面において、前記第1接続管部の内空面積の総面積に対する前記嵌合部の総面積の比率が、30面積%以上80面積%以下である、<1>に記載の管体接合構造である。
【0011】
第2態様では、樹脂固定部がインサート成形される際に、第2管部の嵌合部は、第1接続管部の樹脂固定部が形成される部位の支えとしてより強く機能する。そのため、第1接続管部の樹脂固定部が形成される部位は、より変形しにくい。
【0012】
<3>本開示の第3態様の管体接合構造は、
前記第2接続管部が、前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部とを含み、
前記第1接続管部の長手方向において、前記樹脂固定部の前記非嵌合部とは反対側の外周縁が、前記嵌合部の前記先端面の外周縁よりも前記非嵌合部側に位置する、<1>又は<2>に記載の管体接合構造である。
【0013】
第3態様では、第1接続管部の樹脂固定部と接触する部位の内部には、第2管体の嵌合部が存在する。これにより、樹脂固定部がインサート成形される際、第2接続管部の嵌合部は、第1接続管部の樹脂固定部が形成される部位の支えとして機能する。その結果、第1接続管部の樹脂固定部に接触する部位は、変形しにくい。それ故、管体接合構造は、第1管体と第2管体とがロウ付けされていなくても、密閉性により優れる。
【0014】
<4>本開示の第4態様の管体接合構造は、
前記第2接続管部が、
前記第1接続管部の内部に嵌合された嵌合部と、前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部とを含み、
前記非嵌合部の肉厚が、前記嵌合部の肉厚よりも厚い、<1>~<3>のいずれか1つに記載の管体接合構造である。
【0015】
第4態様では、第2管体の非嵌合部の曲げ強度は、第2管体の嵌合部よりも強い。そのため、樹脂固定部がインサート成形される際、第2管体の非嵌合部の樹脂固定部が形成される部位に押圧力がかかっても、第2管体の非嵌合部は、より変形しにくい。
【0016】
<5>本開示の第5態様の管体接合構造は、
前記第1接続管部の外周面のうち前記樹脂固定部と接触する外周面が、粗化面を有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の管体接合構造である。
【0017】
第5態様では、樹脂固定部は、第2管部により強く固着する。その結果、管体接合構造は、密閉性を長期にわたって保持することができる。
【0018】
<6>本開示の第6態様の管体接合構造は、
前記第2接続管部が、前記第1接続管部の内部に嵌合されていない非嵌合部を含み、
前記第2接続管部が、樹脂製であり、
前記非嵌合部と前記樹脂固定部とは、融着している、<1>~<5>のいずれか1つに記載の管体接合構造である。
【0019】
第6態様では、樹脂固定部は、第2管体の非嵌合部に強く固着する。その結果、管体接合構造は、密閉性を長期にわたって保持することができる。
【0020】
<7>本開示の第7態様の熱交換器は、<1>~<6>のいずれか1つに記載の管体接合構造を備え、
前記流体が、被熱交換物との間で熱交換する熱交換媒体である、熱交換器である。
【0021】
第7態様では、熱交換器は、第1管体と第2管体とがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる。
【0022】
<8>本開示の第8態様の熱交換器は、
前記第1管体が、少なくとも1つの伝熱管を含み、
前記少なくとも1つの伝熱管の各々が、前記被熱交換物に前記熱交換媒体の熱を伝熱する管状の前記第1本体部と、一対の前記第1接続管部とを有し、
前記第2管体が、第1マニホールド及び第2マニホールドを含み、
前記第1マニホールドが、前記第1内部流路に前記熱交換媒体を供給する前記第2内部流路を内部に含む前記第2本体部と、前記一対の第1接続管部の一方の内部に嵌合された前記第2接続管部とを有し、
前記第2マニホールドが、前記第1内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する前記第2内部流路を内部に含む前記第2本体部と、前記一対の第1接続管部の他方の内部に嵌合された前記第2接続管部とを有する、<7>に記載の熱交換器である。
【0023】
従来の熱交換器では、伝熱管とマニホールドとはロウ付けによって固定されていた。そのため、従来の熱交換器が外部から振動を受けやすい環境下に設置されると、外部からの振動に起因する応力は、伝熱管とマニホールドとの接合面であるロウ付け部分に局所的に作用しやすい。これにより、ロウ付け部分は破損しやすいおそれがある。また、従来の熱交換器では、例えば、結露が生じやすい環境下で使用されると、ロウ付け部分は腐食しやすいおそれがあった。
第8態様では、樹脂固定部は、伝熱管の第1接続端部の外周面、及び伝熱管に差し込まれた第1マニホールド又は第2マニホールドの外周面に形成されている。樹脂固定部は、第1マニホールド又は第2マニホールドが差し込まれた伝熱管の先端面の外周縁の全周を覆っている。そのため、熱交換器が外部から振動を受けやすい環境下に設置されても、外部からの振動に起因する応力は、従来の熱交換器のように局所的に作用しにくい。更に、第8態様では、熱交換器は、結露が生じやすい環境下で使用されても、樹脂固定部は、腐食しにくい。その結果、熱交換器は、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる。
【0024】
<9>本開示の第9態様の熱交換器は、
前記第1マニホールドが、前記熱交換媒体を前記第2内部流路に供給する供給部品と接続される供給部品接続管部と、前記供給部品接続管部と前記供給部品接続管部に接続された前記供給部品との隙間を封止するための第1パッキンとを有し、
前記第2マニホールドが、前記第2内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する回収部品と接続される回収部品接続管部と、前記回収部品接続管部と前記回収部品接続管部に接続された前記回収部品との隙間を封止するための第2パッキンとを有する、<8>に記載の熱交換器である。
【0025】
第9態様では、熱交換器は、供給部品接続管部と供給部品との隙間、及び回収部品接続管部と回収部品との隙間から熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を、パッキンを備えない場合よりも確実に防止することができる。
【0026】
<10>本開示の第10態様の熱交換器は、
前記第1マニホールド及び前記第2マニホールドの各々が、樹脂製であり、
前記第1マニホールドが、前記第2本体部の外周面から突出し、かつ前記熱交換媒体を前記第2内部流路に供給する供給部品を固定するための第1突出固定部を有し、
前記第2マニホールドが、前記第2本体部の外周面から突出し、かつ前記第2内部流路から排出される前記熱交換媒体を回収する回収部品を固定するための第2突出固定部を有する、<8>又は<9>に記載の熱交換器である。
【0027】
第10態様では、熱交換器は、供給部品が第1マニホールドから抜け落ちる脱落の発生を抑制するとともに、回収部品が第2マニホールドから抜け落ちる脱落の発生を抑制することができる。
また、第10態様では、第1マニホールド及び第2マニホールドの各々は、一体樹脂成形品である。そのため、第1突出固定部及び第2突出固定部の各々は、ロウ付け又は溶接によって第2本体部の外周面に別途取り付けられていない。これにより、熱交換器は、第1マニホールド及び第2マニホールドの少なくとも一方が金属製である場合よりも製造コストに優れる。
【0028】
<11>本開示の第11態様の熱交換器は、
前記第1管体が、複数の伝熱管を含み、
前記第1マニホールドが、互いに連結可能な複数の第1マニホールド分割体を含み、
前記複数の第1マニホールド分割体の各々が、少なくとも1つの前記第2接続管部と、前記複数の第1マニホールド分割体に含まれる他の前記第1マニホールド分割体と連結するための第1連結管部とを有し、
前記第2マニホールドが、互いに連結可能な複数の第2マニホールド分割体を含み、
前記複数の第2マニホールド分割体の各々が、前記第1マニホールド分割体の前記第2接続管部と対になる前記第2接続管部と、前記複数の第2マニホールド分割体に含まれる他の前記第2マニホールド分割体と連結するための第2連結管部とを有する、<8>~<10>のいずれか1つに記載の熱交換器である。
【0029】
第11態様では、熱交換器は、大型であっても製造コストに優れる。
【0030】
<12>本開示の第12態様の熱交換器の製造方法は、一対の第1接続管部を有する金属製の伝熱管を準備する第1準備工程と、前記一対の第1接続管部の一方が嵌合される第2接続管部を有する第1マニホールドを準備する第2準備工程と、前記一対の第1接続管部の他方が嵌合される第2接続管部を有する第2マニホールドを準備する第3準備工程と、前記一対の第1接続管部の一方を前記第1マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第1嵌合工程と、前記一対の第1接続管部の他方を前記第2マニホールドの前記第2接続管部に嵌合する第2嵌合工程と、前記第1嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の一方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の一方及び前記第1マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第1インサート成形工程と、前記第2嵌合工程が実行された後、前記一対の第1接続管部の他方の先端面の外周縁の全周を覆うように、前記一対の第1接続管部の他方及び前記第2マニホールドの前記第2接続管部の各々の外周面の少なくとも一部に、樹脂固定部をインサート成形によって形成する第2インサート成形工程と
を有する熱交換器の製造方法である。
【0031】
第12態様では、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる熱交換器を製造することができる。
【0032】
<13>本開示の第13態様の熱交換器は、
前記第1マニホールドが、互いに連結可能な複数の第1マニホールド分割体を有し、
前記複数の第1マニホールド分割体の各々が、少なくとも1つの前記第2接続管部と、前記複数の第1マニホールド分割体に含まれる他の前記第1マニホールド分割体と連結するための第1連結管部とを有し、
前記第2マニホールドが、互いに連結可能な複数の第2マニホールド分割体を有し、
前記複数の第2マニホールド分割体の各々が、前記第1マニホールド分割体の前記第2接続管部と対になる前記第2接続管部と、前記複数の第2マニホールド分割体に含まれる他の前記第2マニホールド分割体と連結するための第2連結管部とを有し、
前記第2準備工程が、前記複数の第1マニホールド分割体の各々の前記第1連結管部同士を連結する第1連結工程を含み、
前記第3準備工程が、前記複数の第2マニホールド分割体の各々の前記第2連結管部同士を連結する第2連結工程を含む、<12>に記載の熱交換器の製造方法である。
【0033】
第13態様では、大型であっても、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる熱交換器を低コストで製造することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、第1管体と第2管体とがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる管体接合構造、熱交換器、及び熱交換器の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る伝熱管、供給マニホールド、及び供側樹脂固定部の接合構造の外観を示す。
【
図3】第1実施形態に係る伝熱管の外観を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る供給マニホールドの外観を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る供給マニホールドの枝管部の外観を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る供給マニホールドの差口端部の外観を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る供給マニホールドの受口端部の外観を示す斜視図である。
【
図10】第1実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。
【
図11】射出成形金型の型締を行った状態の第1実施形態に係るインサートの断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。
【
図13】第3実施形態に係る供給マニホールドの枝管部の外観を示す斜視図である。
【
図14】第4実施形態に係る伝熱管の外観を示す斜視図である。
【
図15】第4実施形態に係る供給マニホールドの枝管部の外観を示す斜視図である。
【
図16】第5実施形態に係る供給マニホールドの枝管部の外観を示す斜視図である。
【
図17】第6実施形態に係る配管接合構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本開示に係る管体接合構造、熱交換器、及び熱交換器の製造方法の実施形態について説明する。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0037】
(1)第1実施形態
図1~
図11を参照して、本開示の第1実施形態に係る熱交換器100について説明する。
図1は、第1実施形態に係る熱交換器100の外観を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る伝熱管1、供給マニホールド2A、及び供給側樹脂固定部3Aの接合構造の外観を示す。
【0038】
第1実施形態では、熱交換器100は、外部の発熱体の放熱を促進させるために用いられる。発熱体は、作動時に発熱する。発熱体としては、CPU、メモリモジュール、二次電池、パワーモジュール、バッテリーモジュール等が挙げられる。メモリモジュールとしては、DIMM(Dual Inline Memory Module)等が挙げられる。二次電池としては、車載用リチウムイオン電池等が挙げられる。発熱体は、被熱交換物の一例である。
【0039】
熱交換器100は、
図1に示すように、平板状物である。熱交換器100は、上主面TS100を有する。上主面TS100は、平面状である。
熱交換器100は、例えば、上主面TS100上に発熱体が物理的に接触するように配置される。換言すると、熱交換器100は、発熱体の下部に配置される。熱交換器100は、発熱体の下部のみならず、発熱体の上部にも配置されてよい。また、2つの熱交換器100を用いて、一方の熱交換器100を発熱体の下部に配置し、他方の熱交換器100を発熱体の上部に配置してもよい。発熱体の上部及び下部の各々に熱交換器100を配置することで、発熱体の上部及び下部の各々から発熱体を冷却することができる。その結果、発熱体の冷却効率は一層向上する。
【0040】
熱交換器100は、複数の伝熱管1と、供給マニホールド2Aと、回収マニホールド2Bと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bは対になる。
複数の伝熱管1は、第1管体の一例である。供給マニホールド2A、及び回収マニホールド2Bは、第2管体の一例である。詳しくは、供給マニホールド2Aは、第1マニホールドの一例である。回収マニホールド2Bは、第2マニホールドの一例である。複数の供給側樹脂固定部3A、及び複数の回収側樹脂固定部3Bは、樹脂固定部の一例である。
【0041】
第1実施形態では、伝熱管1の長手方向を「左右方向」、供給マニホールド2Aの長手方向を「前後方向」、左右方向及び前後方向に直交する方向を「上下方向」として説明する。また、左右方向において、伝熱管1に対して供給マニホールド2A側を「右側」、伝熱管1に対して回収マニホールド2B側を「左側」と規定する。なお、これらの向きは、本開示の熱交換器の使用時の向きを限定するものではない。
【0042】
複数の伝熱管1の各々は、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々と接続されている。左右方向において、複数の伝熱管1は、供給マニホールド2Aと回収マニホールド2Bとの間に位置する。供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1に供給マニホールド2Aを固定している。回収側樹脂固定部3Bは、伝熱管1に回収マニホールド2Bを固定している。
詳しくは、
図2に示すように、伝熱管1は、右側先端面RS1を有する。伝熱管1の右側先端面RS1は、供給マニホールド2Aに接続されている。供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1の全周を覆うように、伝熱管1の外周面CS1及び供給マニホールド2Aの外周面CS2A上に形成されている。伝熱管1、回収マニホールド2B、及び回収側樹脂固定部3Bの接合構造も同様である。複数の伝熱管1、供給マニホールド2A、回収マニホールド2B、複数の供給側樹脂固定部3A、及び複数の回収側樹脂固定部3Bは、一体となっている。右側先端面RS1は、第1接続管部の先端面の一例である。
【0043】
供給マニホールド2Aは、外部の供給部品から供給された冷却用媒体を複数の伝熱管1の各々に案内する。供給部品は、冷却用媒体を熱交換器100に供給する。複数の伝熱管1の各々の内部には、冷却用媒体が流通する。複数の伝熱管1は、発熱体と物理的に接触して、発熱体と熱交換する。回収マニホールド2Bは、複数の伝熱管の各々から供給された冷却用媒体を集合させ、外部の回収部品に案内する。回収部品は、冷却用媒体を熱交換器100から回収する。
【0044】
冷却用媒体としては、冷却用液体、冷却用気体等が挙げられる。冷却用液体としては、水、油等が挙げられる。冷却用気体としては、空気、窒素ガス等が挙げられる。冷却用媒体の温度は、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。冷却用媒体は、流体の一例である。詳しくは、冷却用媒体は、熱交換媒体の一例である。
【0045】
熱交換器100の寸法は、特に限定されず、発熱体の種類(リチウムイオン電池、バッテリモジュール、パワーモジュールなど)等に応じて、適宜調整される。
発熱体が上主面TS100上に配置される場合、熱交換器100の左右方向の長さL1(
図1参照)は、好ましくは10cm以上300cm以下であり、熱交換器100の前後方向の長さL2(
図1参照)は、好ましくは10cm以上300cm以下である。
【0046】
(1.2)伝熱管
次に、
図1~
図3を参照して、本開示の第1実施形態に係る伝熱管1について説明する。
図3は、第1実施形態に係る伝熱管1の外観を示す斜視図である。
【0047】
伝熱管1は、金属製の押出成形物である。伝熱管1は、
図3に示すように、扁平多孔管である。伝熱管1は、上主面TS1を有する。複数の伝熱管1の上主面TS1は、熱交換器1の上主面TS100を構成する。
【0048】
第1実施形態では、伝熱管1は、管本体部11と、供給側接続管部12と、回収側接続管部13と、2つの仕切り壁14とを有する。管本体部11は、伝熱管の第1本体部の一例である。供給側接続管部12及び回収側接続管部13は、伝熱管の一対の第1接続管部の一例である。
【0049】
管本体部11は、供給側接続管部12から左方向に沿って回収側接続管部13に延びている。管本体部11の長手方向は、伝熱管1の長手方向を示す。供給側接続管部12は、管本体部11の右側端部を構成する。回収側接続管部13は、管本体部11の左側端部を構成する。2つの仕切り壁14は、管本体部11、供給側接続管部12、及び回収側接続管部13の内部に位置する。2つの仕切り壁14の各々は、供給側接続管部12から左方向に沿って回収側接続管部13に延びている。2つの仕切り壁14は、前後方向において、所定の間隔を空けて離間している。管本体部11、供給側接続管部12、回収側接続管部13、及び2つの仕切り壁14は、一体物である。
【0050】
管本体部11は、発熱体からの熱を冷却用媒体に伝熱する。管本体部11は、管状物である。
管本体部11は、内部に、後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cを有する。後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cの各々は、仕切り壁14によって独立している。後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cの各々には、冷却用媒体が流通する。後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cは、第1内部流路の一例である。
【0051】
以下、後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cの各々を区別しない場合、後側流路R11A、中央流路R11B、及び前側流路R11Cをまとめて「内部流路R11」と記載する場合がある。
【0052】
供給側接続管部12は、供給マニホールド2Aと接続するための部位である。供給側接続管部12は、後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cを有する。後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cは、前方向に向けてこの順で、右側先端面RS1に形成されている。後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cは、第1開口の一例である。
【0053】
回収側接続管部13は、回収マニホールド2Bと接続するための部位である。回収側接続管部13は、後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cを有する。後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cは、前方向に向けてこの順で、左側先端面LS1に形成されている。
【0054】
供給側接続管部12の後側開口H1Aと、回収側接続管部13の後側開口H1Aとは、後側流路R11Aを介して連通している。供給側接続管部12の中央開口H1Bと、回収側接続管部13の中央開口H1Bとは、中央流路R11Bを介して連通している。供給側接続管部12の前側開口H1Cと、回収側接続管部13の前側開口H1Cとは、前側流路R11Cを介して連通している。
【0055】
以下、後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cの各々を区別しない場合には、後側開口H1A、中央開口H1B、及び前側開口H1Cをまとめて「開口H1」と記載する場合はある。
【0056】
伝熱管1の材質は、金属であり、熱交換器100の用途等に応じて選択され得る。伝熱管1の材質は、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ、コバルト、亜鉛、鉛、スズ、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種であってもよい。合金としては、ステンレス、真鍮、リン青銅等が挙げられる。なかでも、熱伝導性の観点からは、伝熱管1の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び銅合金から選ばれる少なくとも一種が好ましく、銅又は銅合金がより好ましい。軽量化及び強度確保の観点からは、伝熱管1の材質は、アルミニウム又はアルミニウム合金がより好ましい。
【0057】
発熱体が上主面TS100上に配置される場合、伝熱管1の左右方向の長さL3(
図3参照)は、好ましくは2cm以上60cm以下である。
【0058】
(1.3)供給マニホールド
次に、
図1、
図2、
図4~
図9を参照して、本開示の第1実施形態に係る供給マニホールド2Aについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る供給マニホールド2Aの外観を示す斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る供給マニホールド2Aの枝管部22の外観を示す斜視図である。
図6は、
図2に示すVI-VI線断面図である。
図7は、
図2に示すVII-VII線断面図である。
図8は、第1実施形態に係る供給マニホールド2Aの差口端部23の外観を示す斜視図である。
図9は、第1実施形態に係る供給マニホールド2Aの受口端部24の外観を示す斜視図である。
【0059】
供給マニホールド2Aは、一体樹脂成形品である。供給マニホールド2Aは、
図4に示すように、冷却用媒体を複数の伝熱管1の各々に分配するヘッダーである。
【0060】
供給マニホールド2Aは、
図4に示すように、主管部21と、複数の枝管部22と、差口端部23と、受口端部24とを有する。主管部21は、第1マニホールドの第2本体部の一例である。枝管部22は、第1マニホールドの第2接続管部の一例である。
【0061】
主管部21は、差口端部23から後方向に沿って受口端部24に延びている。主管部21の長手方向は、供給マニホールド2Aの長手方向を示す。伝熱管1の長手方向と、供給マニホールド2Aの長手方向とは直交する。差口端部23は、主管部21の前側端部を構成する。受口端部24は、主管部21の後側端部を構成する。複数の枝管部22の各々は、主管部21の外周面CS21から左方向に向けて突出している。複数の枝管部22の各々は、前後方向に沿って一列に配列されている。主管部21、複数の枝管部22、差口端部23、及び受口端部24は、一体物である。
【0062】
(1.3.1)主管部
主管部21は、内部に内部流路R21を有する。内部流路R21には、冷却用媒体が流通する。内部流路R21は、伝熱管1の内部流路R11(
図3参照)に冷却用媒体を供給する。内部流路R21は、第2内部流路の一例である。
【0063】
(1.3.2)枝管部
枝管部22は、
図5に示すように、嵌合部22Fと、非嵌合部22Nとを有する。嵌合部22Fは、熱交換器100において、枝管部22のうち伝熱管1の内部に嵌合される部位を示す。非嵌合部22Nは、熱交換器100において、枝管部22のうち伝熱管1の内部に嵌合されない部位を示す。嵌合部22Fは、左右方向において、枝管部22の左側に位置する。非嵌合部22Nは、左右方向において、枝管部22の右側に位置する。嵌合部22F及び非嵌合部22Nは、一体物である。
【0064】
嵌合部22Fは、後側張出部22F1と、中央張出部22F2と、前側張出部22F3とを有する。後側張出部22F1、中央張出部22F2、及び前側張出部22F3は、前方向に向けて、この順に配置されている。後側張出部22F1、中央張出部22F2、及び前側張出部22F3の各々は、非嵌合部22Nの左面LS22N2から左方向に向けて張り出している。
【0065】
後側張出部22F1は、
図6に示すように、熱交換器100において、伝熱管1の後側開口H1A(
図3参照)を介して、伝熱管1の内部に嵌合される。供給側接続管部12は、前後方向の後側に後側内周面IS12A(
図6参照)を有する。供給側接続管部12の後側内周面IS12Aは、後側流路R11Aの一部を構成する。後側張出部22F1の外周面CS22F1は、
図6に示すように、供給側接続管部12の後側内周面IS12Aと接触している。
中央張出部22F2は、熱交換器100において、伝熱管1の中央開口H1B(
図3参照)を介して、伝熱管1の内部に嵌合される。供給側接続管部12は、前後方向の中央に中央内周面IS12B(
図6参照)を有する。供給側接続管部12の中央内周面IS12Bは、中央流路R11Bの一部を構成する。中央張出部22F2の外周面CS22F2は、
図6に示すように、供給側接続管部12の中央内周面IS12Bと接触している。
前側張出部22F3は、熱交換器100において、伝熱管1の前側開口H1C(
図3参照)を介して、伝熱管1の内部に嵌合される。供給側接続管部12は、前後方向の前側に前側内周面IS12C(
図6参照)を有する。供給側接続管部12の前側内周面IS12Cは、前側流路R11Cの一部を構成する。供給側接続管部12の前側内周面IS12Cは、前側流路R11Cの一部を構成する。前側張出部22F3の外周面CS22F3は、
図6に示すように、供給側接続管部12の前側内周面IS12Cと接触している。
【0066】
以下、後側張出部22F1の外周面CS22F1、中央張出部22F2の外周面CS22F2、及び前側張出部22F3の外周面CS22F3の各々を区別しない場合には、外周面CS22F1、外周面CS22F2、及び外周面CS22F3を「外周面CS22F」と記載する。供給側接続管部12の後側内周面IS12A、供給側接続管部12の中央内周面IS12B、供給側接続管部12の前側内周面IS12Cを区別しない場合には、後側内周面IS12A、中央内周面IS12B、及び前側内周面IS12Cを「内周面IS12」と記載する。
【0067】
熱交換器100において、支柱面積比の上限は、好ましくは80面積%以下、より好ましくは70面積%以下、さらに好ましくは65面積%以下である。支柱面積比の下限は、好ましくは30面積%以上、より好ましくは40面積%以上、さらに好ましくは45面積%以上である。支柱面積比は、左右方向に直交する平面で切断した嵌合部22Fを含む断面において、伝熱管1の内空面積の総面積に対する嵌合部22Fの総面積の比率を示す。具体的に、伝熱管1の内空面積は、
図6において、後側内周面IS12Aで囲まれた面積と、中央内周面IS12Bで囲まれた面積と、前側内周面IS12Cで囲まれた面積との和を示す。嵌合部22Fの総面積は、
図6において、後側張出部22F1の面積と、中央張出部22F2の面積と、前側張出部22F3の面積との和を示す。
【0068】
中央張出部22F2は、
図5に示すように、2つの開口H2Aを有する。2つの開口H2Aは、中央張出部22F2の左側先端面LS22に前後方向に沿って形成されている。
図7に示すように、枝管部22は、内部に内部流路R22を有する。開口H2Aは、枝管部22の内部流路R22を介して、主管部21の内部流路R21と連通している。そのため、熱交換100において、主管部21の内部流路R21は、内部流路R22及び2つの開口H2Aを介して、伝熱管1の中央流路R11Bと連通している。左方向から観た開口H2Aの形状は、長孔状である。
後側張出部22F1及び前側張出部22F3の各々は、
図5に示すように、1つの開口H2Bを有する。開口H2Bは、後側張出部22F1及び前側張出部22F3の各々の左側先端面LS22に形成されている。開口H2Bは、枝管部22の内部流路R22を介して、主管部21の内部流路R21と連通している。そのため、熱交換100において、主管部21の内部流路R21は、内部流路R22及び後側張出部22F1の開口H2Bを介して、伝熱管1の後側流路R11Aと連通している。また、熱交換100において、主管部21の内部流路R21は、内部流路R22及び前側張出部22F1の開口H2Bを介して、伝熱管1の前側流路R11Cと連通している。左方向から観た開口H2Bの形状は、長孔状である。開口H2Bの面積は、開口H2Aの面積よりも大きい。
【0069】
非嵌合部22Nは、
図5に示すように、大張出部22N1と、小張出部22N2とを有する。大張出部22N1は、主管部21の外周面CS21から左方向に向けて延びている。小張出部22N2は、大張出部22N1の左面LS22N1から左方向に向けて延びている。
左右方向に直交する面で切断した大張出部22N1及び小張出部22N2の各々の切断面において、大張出部22N1の外周の全長は、小張出部22N2の外周の全長よりも長い。
開口H2A、開口H2B、及び開口H2Cは、第2開口の一例である。
【0070】
第1実施形態では、非嵌合部22Nの小張出部22N2の肉厚L22N2(
図7参照)は、嵌合部22Fの中央張出部22F2の肉厚L22F2(
図7参照)よりも厚い。換言すると、非嵌合部22Nの肉厚は、嵌合部22Fの肉厚よりも厚い。
【0071】
枝管部22の寸法は、特に限定されず、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。
発熱体が上主面TS100上に配置される場合、嵌合部22Fの左右方向の長さL4(
図7参照)は、好ましくは0.2cm以上10cm以下であり、より好ましくは、0.5cm以上4cm以下であり、小張出部22N2の左右方向の長さL5(
図7参照)は、好ましくは0.2cm以上10cm以下、より好ましくは、0.3cm以上4cm以下である。
【0072】
(1.3.3)差口端部
差口端部23は、外部の供給部品と接続するための部位である。
【0073】
差口端部23は、
図8に示すように、接続管部231と、Oリング232と、上側突出固定部233と、下側突出固定部234とを有する。接続管部231は、第1マニホールドの供給部品接続管部の一例である。Oリング232は、第1パッキンの一例である。上側突出固定部233、及び下側突出固定部234は、第1突出固定部の一例である。
【0074】
接続管部231は、外部の供給部品と接続される部位である。詳しくは、接続管部231は、供給部品の内部に差し込まれる。接続管部231の外径は、主管部21の外径よりも小さい。接続管部231は、開口H21Aを有する。開口H21Aは、主管部21の内部流路R21と連通する。
【0075】
Oリング232は、接続管部231に接続された供給部品と、接続管部231との隙間を封止する。接続管部231の外周面CS231は、環状溝G231を有する。環状溝G231は、接続管部231の軸周りの全周に亘って形成されている。Oリング232は、環状溝G231に嵌合されている。
【0076】
上側突出固定部233は、主管部21の外周面CS21から上側に向けて突出している。上側突出固定部233は、螺子孔SC1を有する。螺子孔SC1は、供給部品を上側突出固定部233に螺着するために用いられる。換言すると、螺子孔SC1は、差口端部23に供給部品を固定するために用いられる。
下側突出固定部234は、主管部21の外周面CS21から下側に向けて突出している。下側突出固定部234は、螺子孔SC2を有する。螺子孔SC2は、供給部品を下側突出固定部234に螺着するために用いられる。換言すると、螺子孔SC2は、差口端部23に供給部品を固定するために用いられる。
【0077】
(1.3.4)受口端部
受口端部24は、外部の供給部品と接続するための部位である。
【0078】
受口端部24は、
図9に示すように、上側突出固定部241と、下側突出固定部242とを有する。受口端部24は、開口H21Bを有する。開口H21Bは、主管部21の内部流路R21と連通する。上側突出固定部241、及び下側突出固定部242は、第1突出固定部の一例である。
【0079】
上側突出固定部241は、主管部21の外周面CS21から上側に向けて突出している。上側突出固定部241は、螺子孔SC3を有する。螺子孔SC3は、供給部品を上側突出固定部241に螺着するために用いられる。換言すると、螺子孔SC3は、受口端部24に供給部品を固定するために用いられる。
下側突出固定部242は、主管部21の外周面CS21から下側に向けて突出している。下側突出固定部242は、螺子孔SC4を有する。螺子孔SC4は、供給部品を下側突出固定部242に螺着するために用いられる。換言すると、螺子孔SC4は、受口端部24に供給部品を固定するために用いられる。
【0080】
(1.3.5)供給マニホールドの材質
供給マニホールド2Aを構成する樹脂は、特に限定されず、熱交換器100の用途等に応じて選択され得る。供給マニホールド2Aを構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、エラストマーを含む。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリルニトリルブタジエンスチレン(AB)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリケトン系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0081】
供給マニホールド2Aを構成する樹脂は、種々の配合剤を含んでもよい。配合剤としては、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0082】
(1.4)回収マニホールド
次に、本開示の第1実施形態に係る回収マニホールド2Bについて説明する。
【0083】
回収マニホールド2Bは、一体樹脂成形品である。回収マニホールド2Bは、冷却用媒体を複数の伝熱管1の各々から回収するヘッダーである。
【0084】
回収マニホールド2Bは、供給マニホールド2Aと対になる。枝管部22が主管部21の外周面CS21から右方向に向けて突出している点、差口端部23及び受口端部24の各々に外部の排出部品が接続される点の他は、供給マニホールド2Aと同様の構成である。
【0085】
回収マニホールド2Bは、主管部21と、複数の枝管部22と、差口端部23と、受口端部24とを有する。主管部21は、第2マニホールドの第2本体部の一例である。枝管部22は、第2マニホールドの第2接続管部の一例である。
【0086】
回収マニホールド2Bを構成する樹脂としては、供給マニホールド2Aを構成する樹脂として例示したものと同様のものが挙げられる。回収マニホールド2Bを構成する樹脂と供給マニホールド2Aを構成する樹脂とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0087】
(1.5)供給側樹脂固定部
次に、
図1、
図2、
図6~
図9を参照して、本開示の第1実施形態に係る供給側樹脂固定部3Aについて説明する。
【0088】
供給側樹脂固定部3Aは、樹脂組成物のインサート成形物である。インサート成形物とは、インサート成形によって成形されたものを示す。インサート成形については、
図11を参照して後述する。
【0089】
供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1に供給マニホールド2Aを固定する。
【0090】
供給側樹脂固定部3Aは、
図2及び
図7に示すように、伝熱管1の供給側接続管部12の外周面CS12及び供給マニホールド2Aの小張出部22N2の外周面CS22N2と接触している。供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1の全周を覆っている。
【0091】
以下、伝熱管1の供給側接続管部12の外周面CS12のうち、供給側樹脂固定部3Aと接触する面を「樹脂固着面FS12」という場合がある。
【0092】
第1実施形態では、
図7に示すように、左右方向において、供給側樹脂固定部3Aの左側(非嵌合部22Nとは反対側)の外周縁LE3は、嵌合部22Fの左側先端面LS22の外周縁LE22よりも右側(非嵌合部22N側)に位置する。換言すると、伝熱管1の樹脂固着面FS12に対向する内部には、嵌合部22Fが位置する。
【0093】
樹脂固着面FS12は、粗化面を有する。換言すると、樹脂固着面FS12には、粗化処理が施されている。粗化処理の詳細については、後述する粗化工程で説明する。
【0094】
樹脂固着面FS12に粗化処理が施されることにより、樹脂固着面FS12には凹凸構造が形成される。凹凸構造は、供給側樹脂固定部3Aと伝熱管1との接合強度が充分に得られるのであれば特に制限されない。凹凸構造における凹部の平均孔径は、例えば、5nm以上250μm以下であってよく、好ましくは10nm以上150μm以下であり、より好ましくは15nm以上100μm以下である。また、凹凸構造における凹部の平均孔深さは、例えば、5nm以上250μm以下であってよく、好ましくは10nm以上150μm以下であり、より好ましくは15nm以上100μm以下である。凹凸構造における凹部の平均孔径又は平均孔深さのいずれかまたは両方が上記数値範囲内であると、より強固な接合が得られる傾向にある。
【0095】
凹凸構造における凹部の平均孔径、及び平均孔深さは、電子顕微鏡、又はレーザー顕微鏡を用いることによって求めることができる。具体的には、樹脂固着面FS12の表面及び断面を撮影する。得られた写真から、任意の凹部を50個選択し、それらの凹部の孔径、及び孔深さから、凹部の平均孔径、及び平均孔深さをそれぞれ算術平均値として算出することができる。
【0096】
第1実施形態では、供給側樹脂固定部3Aを構成する樹脂組成物は、供給マニホールド2Aを構成する樹脂と相溶性を有する樹脂である。これにより、供給側樹脂固定部3Aと、供給マニホールド2Aの小張出部22N2の外周面CS22N2とは融着している。本開示において、「相溶性を有する」とは、樹脂固定部を構成する樹脂が溶融する雰囲気下において、分離せずに混ざり合うことを示す。供給側樹脂固定部3Aを構成する樹脂は、その主成分が供給マニホールド2Aを構成する樹脂と同一であることが好ましい。
【0097】
供給側樹脂固定部3Aの寸法は、特に限定されず、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。
発熱体が上主面TS100上に配置される場合、樹脂固着面FS12の左右方向の長さL6(
図7参照)は、好ましくは0.1cm以上10cm以下、より好ましくは、0.3cm以上4cm以下である。
【0098】
(1.6)回収側樹脂固定部
次に、本開示の第1実施形態に係る回収側樹脂固定部3Bについて説明する。
【0099】
回収側樹脂固定部3Bは、樹脂組成物のインサート成形物である。
【0100】
回収側樹脂固定部3Bは、供給マニホールド2Aの代わりに伝熱管1に回収マニホールド2Bを固定する他は、供給側樹脂固定部3Aと同様である。
【0101】
第1実施形態では、回収側樹脂固定部3Bを構成する樹脂組成物は、回収マニホールド2Bを構成する樹脂と相溶性を有する樹脂である。
【0102】
(1.7)冷却用媒体の流れ
次に、
図10を参照して、熱交換器100内を流通する冷却用媒体の流れについて説明する。
図10は、第1実施形態に係る熱交換器の外観を示す斜視図である。
図10中、符号F1は、熱交換器100に供給マニホールド2Aの開口H21A及び開口H21Bに供給される冷却用媒体の流れ方向を示す。符号F2は、供給マニホールド2Aの内部流路R21から伝熱管1の内部流路R11に流通する冷却用媒体の流れ方向を示す。符号F3は、伝熱管1の内部流路R11内を流通する冷却用媒体の流れを示す。符号F4は、伝熱管1の内部流路R11から回収マニホールド2Bの内部流路R21に流通する冷却用媒体の流れ方向を示す。符号F4は、回収マニホールド2Bの開口H2A及び開口214から排出される冷却用媒体の流れ方向を示す。
【0103】
熱交換器100は、例えば、発熱体に熱交換器100の上主面TS100が物理的に接触するように設置されて、使用される。この際、供給マニホールド2Aには、外部の供給部品が接続される。回収マニホールド2Bには、外部の排出部品が接続される。発熱体の熱は、複数の伝熱管1を介して、内部流路R11に充填された冷却用媒体に伝導する。
【0104】
冷却用媒体は、流れ方向F1に沿って、供給マニホールド2Aの開口H21A及び開口H21Bに供給される。開口H21A及び開口H21Bから供給された冷却用媒体は、流れ方向F2に沿って、供給マニホールド2Aの内部流路R21及び内部流路R22を介して、伝熱管1の内部流路R11に移動する。伝熱管1の内部流路R11に到達した冷却用媒体は、流れ方向F3に沿って、内部流路R11内を回収マニホールド2Bに向けて移動する。この際、冷却用媒体は、管本体部11との熱交換により、温められる。一方、管本体部11は、冷却用媒体との熱交換により、冷却される。次いで、温められた冷却用媒体は、流れ方向F4に沿って、伝熱管1の内部流路R11から回収マニホールド2Bの内部流路R21及び内部流路R22に移動し、開口H21A及び開口H21Bに到達する。回収マニホールド2Bの開口H21A及び開口H21Bに到達した冷却用媒体は、開口H21A及び開口H21Bの各々から流れ方向F5に沿って、外部の排出部品に排出される。このようにして、冷却用媒体は、熱交換器100の内部で発熱体から熱を吸収し、熱交換器100の外部に排出される。つまり、熱交換器100は、発熱体の放熱を促進させる。
【0105】
(1.7)熱交換器の製造方法
次に、
図1~
図11を参照して、本開示の第1実施形態に係る熱交換器100の製造方法について説明する。
図11は、射出成形金型90の型締を行った状態の第1実施形態に係るインサート80の断面図である。
図11中、射出成形金型90のスプルー、及びホットランナー等は、省略されている。
【0106】
第1実施形態に係る熱交換器100の製造方法は、準備工程と、粗化工程と、嵌合工程と、インサート成形工程とを有する。準備工程、粗化工程、嵌合工程、及びインサート成形工程は、この順で実行される。
【0107】
(1.7.1)準備工程
準備工程は、第1準備工程、第2準備工程、及び第3準備工程を含む。第1準備工程、第2準備工程、及び第3準備工程の実行順は、特に限定されない。以下、第1準備工程、第2準備工程、及び第3準備工程をこの順で説明する。
【0108】
(1.7.1.1)第1準備工程
第1準備工程では、複数の伝熱管1を準備する。伝熱管1を準備する方法は、特に限定されず、押出成形等が挙げられる。伝熱管1は、市販品であってもよい。
【0109】
(1.7.1.2)第2準備工程
第2準備工程では、供給マニホールド2Aを準備する。供給マニホールド2Aを準備する方法は、特に限定されず、樹脂成形等が挙げられる。樹脂成形としては、射出成形、注型成形、プレス成形、インサート成形、押出成形、トランスファー成形等が挙げられる。
【0110】
(1.7.1.3)第3準備工程
第3準備工程では、回収マニホールド2Bを準備する。回収マニホールド2Bを準備する方法は、特に限定されず、樹脂成形等が挙げられる。
【0111】
(1.7.2)粗化工程
粗化工程では、伝熱管1の樹脂固着面FS12に粗化処理を施す。これにより、インサート成形工程を実行する前に、樹脂固着面FS12には微細な凹凸構造が形成される。そのため、インサート成形工程において、供給側樹脂固定部3A及び回収側樹脂固定部3Bを構成する樹脂組成物の溶融物(以下、「樹脂溶融物」と記載する。)は、射出圧力によって、樹脂固着面FS12の微細な凹凸構造の隙間内に入り込みやすい。換言すると、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く伝熱管1に固着する樹脂固定部が得られる。その結果、密閉性を長期にわたって保持できる熱交換器100が得られる。
【0112】
粗化処理を施す方法は、特に制限されない。粗化処理を施す方法は、例えば、特許第4020957号に開示されているようなレーザーを用いる方法;NaOH等の無機塩基、またはHCl、HNO3等の無機酸の水溶液に伝熱管1の外周面CS1を浸漬する方法;特許第4541153号に開示されているような、陽極酸化により伝熱管1の外周面CS1を処理する方法;国際公開第2015-8847号に開示されているような、酸系エッチング剤(好ましくは、無機酸、第二鉄イオンまたは第二銅イオン)および必要に応じてマンガンイオン、塩化アルミニウム六水和物、塩化ナトリウム等を含む酸系エッチング剤水溶液によってエッチングする置換晶析法;国際公開第2009/31632号に開示されているような、水和ヒドラジン、アンモニア、および水溶性アミン化合物から選ばれる1種以上の水溶液に伝熱管1の外周面CS1を浸漬する方法;特開2008-162115号公報に開示されているような温水処理法;ブラスト処理等が挙げられる。粗化処理を施す方法は、伝熱管1の材質、所望の凹凸構造の状態等に応じて使い分けることが可能である。
【0113】
粗化工程では、樹脂固着面FS12に、粗化処理に加え、官能基を付加する処理(以下、「表面改質処理」と記載する)を施してもよい。樹脂固着面FS12に表面改質処理を施すことで、樹脂固着面FS12と供給側樹脂固定部3A及び回収側樹脂固定部3Bとの化学的な結合が増える。その結果、伝熱管1に対する供給側樹脂固定部3A及び回収側樹脂固定部3Bの接合強度は、より向上する傾向にある。
【0114】
表面改質処理は、粗化処理を施すと同時に、又は粗化処理を施した後に行うことが好ましい。
【0115】
表面改質処理を施す方法は、特に制限されない。表面改質処理を施す方法は、例えば、官能基を持つ化学物質を水又は有機溶剤に溶解した溶液に伝熱管1の表面を浸漬する方法;官能基を持つ化学物質またはこれを含む溶液を樹脂固着面FS12にコーティング又はスプレーする方法;官能基を持つ化学物質を含むフィルムを樹脂固着面FS12に貼り付ける方法等が挙げられる。有機溶剤は、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、アセトン、トルエン、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアルデヒド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ベンゼン、又は酢酸エチルエーテルを含む。官能基を付加する処理を粗化処理と同時に行う方法としては、例えば、官能基を持つ化学物質を含む液体を用いてウェットエッチング処理、化成処理、陽極酸化処理等を行う方法が挙げられる。
【0116】
(1.7.3)嵌合工程
嵌合工程は、第1嵌合工程及び第2嵌合工程を含む。第1嵌合工程、及び第2嵌合工程の実行順は、特に限定されない。以下、第1嵌合工程、及び第2嵌合工程をこの順で説明する。
【0117】
(1.7.3.1)第1嵌合工程
第1嵌合工程では、複数の伝熱管1の各々の供給側接続管部12を供給マニホールド2Aの枝管部22に嵌合させる。詳しくは、複数の伝熱管1の各々の供給側接続管部12の内部に、供給マニホールド2Aの枝管部22を差込む。これにより、伝熱管1の供給側接続管部12の開口H1を介して、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fが伝熱管1の供給側接続管部12の内部に嵌合される。換言すると、複数の伝熱管1の各々が供給マニホールド2Aに接続される。
【0118】
(1.7.3.2)第2嵌合工程
第2嵌合工程では、複数の伝熱管1の各々の回収側接続管部13を回収マニホールド2Bの枝管部22に嵌合させる。詳しくは、複数の伝熱管1の各々の回収側接続管部13の内部に、回収マニホールド2Bの枝管部22を差込む。これにより、伝熱管1の回収側接続管部13の開口H1を介して、回収マニホールド2Bの嵌合部22Fが伝熱管1の回収側接続管部13の内部に嵌合される。換言すると、複数の伝熱管1の各々が回収マニホールド2Bに接続される。
【0119】
第1嵌合工程及び第2嵌合工程が実行されることにより、インサート80が得られる。インサート80は、複数の伝熱管1の各々が供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々に接続されてなる。
【0120】
(1.7.4)インサート成形工程
インサート成形工程は、第1インサート成形工程と、第2インサート成形工程とを含む。第1インサート成形工程、及び第2インサート成形工程の実行順は、特に限定されない。第1インサート成形工程、及び第2インサート成形工程は、製造コストの削減の観点から同時に実行されることが好ましい。以下、第1インサート成形工程及び第2インサート成形工程をこの順で説明する。
【0121】
(1.7.4.1)第1インサート成形工程
第1インサート成形工程では、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1の全周を覆うように、伝熱管1の供給側接続管部12の外周面CS12及び供給マニホールド2Aの小張出部22N2の外周面CS22N2に、供給側樹脂固定部3Aをインサート成形によって形成する。これにより、供給マニホールド2Aは、供給側樹脂固定部3Aによって伝熱管1に固定される。
【0122】
インサート成形には、射出成形機が用いられる。射出成形機は、射出成形金型90と、射出装置と、型締装置とを備える。射出成形金型90は、
図11に示すように、可動側金型91と、固定側金型92とを備える。固定側金型92は射出成形機に固定されている。可動側金型91は、固定側金型92に対して移動可能である。射出装置は、供給側樹脂固定部3A及び回収側樹脂固定部3Bを構成する樹脂組成物の溶融物(以下、「樹脂溶融物」という。)を、所定の射出圧力で、射出成形金型90のスプルーに流し込む。型締装置は、樹脂溶融物の充填圧力で可動側金型が開かないように、可動側金型を高圧で締め付ける。
【0123】
まず、可動側金型90を開いて、インサート80を固定側金型92上に設置し、可動側金型91を閉じて、型締を行う。つまり、インサート80は、射出成形金型90内に収容される。これにより、インサート80と射出成形金型90との間に、第1空間R91、及び第2空間R92が形成される。第1空間R91は、供給側樹脂固定部3Aを形成する空間を示す。第2空間R92は、主管部21を射出成形金型90内に収容するための空間を示す。次いで、射出成形機は、第1空間R91内に、樹脂溶融物を高圧で充填する。
【0124】
この際、伝熱管1の供給側接続管部12の内周面IS12は、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fの外周面CS22Fと接触している。つまり、インサート成形の際、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fは、伝熱管1の支えとして機能する。これにより、伝熱管1の径方向において伝熱管1の供給側接続管部12に伝熱管1の内部に向けて射出圧力がかかっても、伝熱管1の供給側接続管部12は変形しにくい。
【0125】
第1実施形態では、可動側金型91の転写側面S91の一部は、大張出部22N1の外周面CS22N1と接触する。つまり、第1空間R91と第2空間R92とを結ぶ経路は、転写側面91S及び大張出部22N1の外周面CS22N1の接触によって遮断される。そのため、第1空間R91内に樹脂溶融物が充填されても、第1空間R91内の溶融樹脂は、第2空間R92内に移動しない。その結果、樹脂溶融物が第2空間R92内に侵入することに起因するバリの発生は抑制される。つまり、バリ等の不要な樹脂形状が形成されない熱交換器100が得られる。
【0126】
次いで、射出成形金型90内の樹脂溶融物を冷却固化させる。これにより、インサート80に供給側樹脂固定部3Aが形成される。
【0127】
(1.7.4.2)第2インサート成形工程
第2インサート成形工程では、伝熱管1の左側先端面LS1(
図3参照)の外周縁LE1(
図3参照)の全周を覆うように、伝熱管1の回収側接続管部13の外周面CS13及び回収マニホールド2Bの小張出部22N2の外周面CS22N2上に、回収側樹脂固定部3Bをインサート成形によって形成する。これにより、伝熱管1に回収マニホールド2Bが固定される。
【0128】
第2インサート成形工程は、第1インサート成形工程と同様にして実行される。これにより、インサート80に回収側樹脂固定部3Bが形成される。
【0129】
第1インサート成形工程及び第2インサート成形工程が実行されることによって、熱交換器100が得られる。
【0130】
(1.8)作用効果
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換器100は、第1管体接合構造及び第2管体接合構造を有する。第1管接合構造体は、伝熱管1と、供給マニホールド2Aと、供給側樹脂固定部3Aとを備える。供給側樹脂固定部3Aは、インサート成形物である。供給側樹脂固定部3Aは、供給側接続管部12の外周面CS12及び供給マニホールド2Aの小張出部22N2の外周面CS22N2と接触するとともに、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1の全周を覆って、供給側接続管部12に枝管部22を固定している。
伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1は、押圧力がかかると変形しやすい。第1態様では、供給側樹脂固定部3Aがインサート成形される際に、伝熱管1の供給側樹脂固定部3Aが形成される部位には、伝熱管1の径方向において伝熱管1の内部に向けて押圧力がかかる。この際、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fは、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1の支えとして機能する。そのため、伝熱管1の右側先端面RS1の外周縁RE1は、変形しにくい。その結果、第1管体接合構造は、伝熱管1と供給マニホールド2Aとがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる。
【0131】
第2管体接合構造は、伝熱管1と、回収マニホールド2Bと、回収側樹脂固定部3Bとを備える。第2管体接合構造も第1管体接合構造と同様に、伝熱管1と回収マニホールド2Bとがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる。以下、第2管体接合構造は、第1管体接合構造と同様の作用効果を奏するため、第2管体接合構造についての説明を省略する。
【0132】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、支柱面積比は、30面積%以上80面積%以下であることが好ましい。
これにより、供給側樹脂固定部3Aがインサート成形される際に、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fは、伝熱管1の供給側樹脂固定部3Aが形成される部位の支えとしてより強く機能する。そのため、伝熱管1の供給側樹脂固定部3Aは、より変形しにくい。
【0133】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、
図7に示すように、左右方向において、供給側樹脂固定部3Aの外周縁LE3は、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fの左側先端面LS22の外周縁LE22よりも右側に位置する。
換言すると、伝熱管1の樹脂固着面FS12の内部には、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fが存在する。これにより、供給側樹脂固定部3Aがインサート成形される際、供給マニホールド2Aの嵌合部22Fは、伝熱管1の供給側樹脂固定部3Aが形成される部位の支えとして機能する。その結果、伝熱管1の供給側樹脂固定部3Aは、変形しにくい。それ故、第1管体接合構造は、伝熱管1と供給マニホールド2Aとがロウ付けされていなくても、密閉性により優れる。
【0134】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、
図7に示すように、供給マニホールド2Aの枝管部22の非嵌合部22Nの肉厚は、嵌合部22Fの肉厚よりも厚い。
これにより、非嵌合部22Nの曲げ強度は、嵌合部22Fよりも強い。そのため、供給側樹脂固定部3Aがインサート成形される際、供給マニホールド2Aの非嵌合部22Nの供給側樹脂固定部3Aが形成される部位に押圧力がかかっても、非嵌合部22Nは、より変形しにくい。
【0135】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、伝熱管1の樹脂固着面FS12は、粗化面を有する。
つまり、伝熱管1の樹脂固着面FS12は、粗化面を有する。これにより、供給側樹脂固定部3Aは、供給マニホールド2Aにより強く固着する。その結果、第1管体接合構造は、密閉性を長期にわたって保持することができる。
【0136】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、供給マニホールド2Aの枝管部22は、樹脂製である。枝管部22の非嵌合部22Nの小張出部22N2と供給側樹脂固定部3Aとは、融着している。
これにより、供給側樹脂固定部3Aは、供給マニホールド2Aの非嵌合部22Nに強く固着する。その結果、第1管体接合構造は、密閉性を長期にわたって保持することができる。
【0137】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換器100は、第1管体接合構造と、第2管接合構造を備える。
これにより、熱交換器は、伝熱管1とマニホールド2とがロウ付けされていなくても、密閉性に優れる。
【0138】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換器100は、複数の伝熱管1と、供給マニホールド2Aと、回収マニホールド2Bと、供給側樹脂固定部3Aと、回収側樹脂固定部3Bとを備える。
従来の熱交換器では、伝熱管とマニホールドとはロウ付けによって固定されていた。従来の熱交換器が外部から振動を受けやすい環境下に設置されると、外部からの振動に起因する応力は、伝熱管とマニホールドとの接合面であるロウ付け部分に局所的に作用しやすい。そのため、ロウ付け部分は破損しやすいおそれがある。また、従来の熱交換器では、例えば、結露が生じやすい環境下で使用されると、ロウ付け部分は腐食しやすいおそれがあった。
これに対し、供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1の供給側接続管部12の外周面CS12、及び伝熱管1に差し込まれた供給マニホールド2Aの枝管部22の外周面CS22に形成されている。供給側樹脂固定部3Aは、伝熱管1の供給側接続管部12が差し込まれた伝熱管1の先端面RS1の外周縁RE1の全周を覆っている。そのため、熱交換器100が外部から振動を受けやすい環境下に設置されても、外部からの振動に起因する応力は、従来の熱交換器のように局所的に作用しにくい。更に、熱交換器100は、結露が生じやすい環境下で使用されても、供給側樹脂固定部3Aは、腐食しにくい。その結果、熱交換器100は、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる。
【0139】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、
図8に示すように、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、接続管部231と、Oリング232とを有する。
これにより、熱交換器100は、供給部品接続管部23と供給部品と隙間、及び回収部品接続管部24と回収部品との隙間から熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を、Oリング232を備えない場合よりも確実に防止することができる。
【0140】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、樹脂製である。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、
図8及び
図9に示すように、上側突出固定部233及び下側突出固定部234を有する。
これにより、供給部品は、供給マニホールド2Aの上側突出固定部233及び下側突出固定部234に螺着される。回収部品は、回収マニホールド2Bの上側突出固定部233及び下側突出固定部234に羅着される。その結果、供給部品が供給マニホールド2Aから抜け落ちる脱落の発生、及び回収部品が回収マニホールド2Bから抜け落ちる脱落の発生を抑制することができる。
また、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、一体樹脂成形品である。そのため、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々の上側突出固定部233及び下側突出固定部234の各々は、従来の金属製のマニホールドのようにロウ付け又は溶接によって主管部21の外周面CS21に別途取り付けられていない。そのため、熱交換器100は、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの少なくとも一方が金属製である場合よりも製造コストに優れる。
【0141】
図1~
図11を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換器100の製造方法は、第1準備工程と、第2準備工程と、第3準備工程と、第1嵌合工程と、第2嵌合工程と、第1インサート成形工程と、第2インサート成形工程とを有する。
これにより、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる熱交換器400が得られる。
【0142】
(2)第2実施形態
次に、
図1~
図12を参照して、本開示の第2実施形態に係る熱交換器400について説明する。
図12は、第2実施形態に係る熱交換器400の外観を示す斜視図である。
【0143】
第2実施形態に係る熱交換器400は、前側熱交換器分割体401及び後側熱交換器分割体402の連結体である点で、第1実施形態に係る熱交換器400と異なる。
【0144】
第2実施形態では、熱交換器400は、前側熱交換器分割体401と、後側熱交換器分割体402とを備える。前側熱交換器分割体401及び後側熱交換器分割体402の各々の構成は、第1実施形態に係る熱交換器100と同じである。
【0145】
前側熱交換器分割体401は、複数の伝熱管1と、供給マニホールド2Aと、回収マニホールド2Bと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、主管部21と、複数の枝管部22と、差口端部23と、受口端部24とを有する。前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの受口端部24は、後側熱交換器分割体402と連結するために用いられる。
前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aは、第1マニホールド分割体の一例である。前側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bは、第2マニホールド分割体の一例である。前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの複数の枝管部22は、第1マニホールド分割体の第2接続管部の一例である。前側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの複数の枝管部22は、第2マニホールド分割体の第2接続管部の一例である。前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの受口端部24は、第1連結管部の一例である。前側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの受口端部24は、第2連結管部の一例である。
【0146】
後側熱交換器分割体402は、複数の伝熱管1と、供給マニホールド2Aと、回収マニホールド2Bと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、主管部21と、複数の枝管部22と、差口端部23と、受口端部24とを有する。後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの差口端部23は、前側熱交換器分割体401と連結するために用いられる。
後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aは、第1マニホールド分割体の一例である。後側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bは、第2マニホールド分割体の一例である。後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの複数の枝管部22は、第1マニホールド分割体の第2接続管部の一例である。後側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの複数の枝管部22は、第2マニホールド分割体の第2接続管部の一例である。後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの差口端部23は、第1連結管部の一例である。後側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの差口端部23は、第2連結管部の一例である。
【0147】
熱交換器400は、前側熱交換器分割体401と後側熱交換器分割体402とを連結してなる。詳しくは、後側熱交換器分割体401の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの差口端部23は、前側熱交換器分割体402の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの受口端部24に差込まれている。後側熱交換器分割体401の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの上側突出固定部233と、前側熱交換器分割体402の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの上側突出固定部241とは螺子固定されている。後側熱交換器分割体401の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの下側突出固定部234と、前側熱交換器分割体402の供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの下側突出固定部242とは螺子固定されている。
【0148】
次に、本開示の第2実施形態に係る熱交換器400の製造方法について説明する。
【0149】
第2実施形態に係る熱交換器400の製造方法は、準備工程と、粗化工程と、嵌合工程と、インサート成形工程と、連結工程とを有する。準備工程、粗化工程、嵌合工程、インサート成形工程、及び連結工程は、この順で実行される。
【0150】
準備工程、粗化工程、嵌合工程、及びインサート成形工程の各々は、第1実施形態に係る熱交換器100の製造方法で説明した準備工程、粗化工程、嵌合工程、及びインサート成形工程の各々と同様にして実行される。
【0151】
連結工程は、第1連結工程と、第2連結工程とを含む。第1連結工程、及び第2連結工程の実行順は、特に限定されない。以下、第1連結工程、及び第2連結工程をこの順で説明する。
【0152】
第1連結工程では、前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの受口端部24と、後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの差口端部23とを連結する。詳しくは、前側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの受口端部24に後側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの差口端部23を差込む。次いで、後側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの上側突出固定部233と、前側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの上側突出固定部241とを螺子固定するとともに、後側熱交換器分割体401の供給マニホールド2Aの下側突出固定部234と、前側熱交換器分割体402の供給マニホールド2Aの下側突出固定部242とを螺子固定する。
【0153】
第2連結工程では、前側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの受口端部24と、後側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの差口端部23とを連結する。詳しくは、前側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの受口端部24に後側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの差口端部23を差込む。次いで、後側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの上側突出固定部233と、前側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの上側突出固定部241とを螺子固定するとともに、後側熱交換器分割体401の回収マニホールド2Bの下側突出固定部234と、前側熱交換器分割体402の回収マニホールド2Bの下側突出固定部242とを螺子固定する。
【0154】
第1連結工程、及び第2連結工程が実行されることにより、熱交換器400が得られる。
【0155】
図1~
図12を参照して説明したように、第2実施形態では、熱交換器400は、前側熱交換器分割体401と、後側熱交換器分割体402とを備える。前側熱交換器分割体401と、後側熱交換器分割体402とは連結している。
そのため、熱交換器は、大型であっても製造コストに優れる。
【0156】
図1~
図12を参照して説明したように、第2実施形態では、熱交換器400の製造方法は、第1準備工程と、第2準備工程と、第3準備工程と、第1嵌合工程と、第2嵌合工程と、第1インサート成形工程と、第2インサート成形工程と、第1連結工程と、第2連結工程とを有する。
これにより、大型であっても、長期にわたって優れた密閉性を保持することができる熱交換器400が低コストで製造することができる。
【0157】
(3)第3実施形態
次に、
図1~
図3、
図6、
図8、
図9、及び
図13を参照して、本開示の第3実施形態に係る熱交換器100aについて説明する。
図13は、第3実施形態に係る供給マニホールド2Aaの枝管部22aの外観を示す斜視図である。
【0158】
第3実施形態に係る熱交換器100aは、枝管部22aの中央張出部22F2aが1つの開口H2Cを有する点で、第1実施形態に係る熱交換器100と異なる。
【0159】
第3実施形態に係る熱交換器100aは、複数の伝熱管1と、供給マニホールド2Aaと、回収マニホールド2Baと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。供給マニホールド2Aaは、主管部21と、複数の枝管部22aと、差口端部23と、受口端部24とを有する。枝管部22aは、嵌合部22Faと、非嵌合部22Nとを有する。嵌合部22Faは、後側張出部22F1と、中央張出部22F2aと、前側張出部22F3とを有する。
【0160】
中央張出部22F2aは、
図13に示すように、1つの開口H2Cを有する。開口H2Cは、中央張出部22F2aの左側先端面LS22に形成されている。開口H2Cは、枝管部22aの内部流路R22を介して、主管部21の内部流路R21と連通している。左方向から観た開口H2Cの形状は、長孔状である。開口H2Cの面積は、第1実施形態に係る2つの開口H2A(
図5参照)の総面積よりも大きい。これにより、第2実施形態に係る供給マニホールド2Aaは、第1実施形態に係る供給マニホールド2Aaよりも冷却用媒体が流通しやすい。
【0161】
回収マニホールド2Baは、枝管部22aが主管部21の外周面CS21から右方向に向けて突出している点、差口端部23及び受口端部24には外部の排出部品が接続される点の他は、供給マニホールド2Aaと同様の構成である。
【0162】
(4)第4実施形態
次に、
図1、
図2、
図6、
図8、
図9、
図14、及び
図15を参照して、本開示の第4実施形態に係る熱交換器100bについて説明する。
図14は、第4実施形態に係る伝熱管1bの外観を示す斜視図である。
図15は、第4実施形態に係る供給マニホールド2Abの枝管部22bの外観を示す斜視図である。
【0163】
第4実施形態に係る熱交換器100bは、伝熱管1bが仕切り壁14を有しない点、及び枝管部22bが1つの張出部22F4で構成されている点で、第1実施形態に係る熱交換器100と異なる。
【0164】
第4実施形態に係る熱交換器100bは、複数の伝熱管1bと、供給マニホールド2Abと、回収マニホールド2Bbと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。
【0165】
伝熱管1bは、金属製の押出成形物である。伝熱管1bは、
図14に示すように、扁平単孔管である。
第4実施形態では、伝熱管1bは、管本体部11bと、供給側接続管部12bと、回収側接続管部13bとを有する。
管本体部11は、内部に、内部流路R11Dを有する。
供給側接続管部12b及び回収側接続管部13bの各々は、開口H1Dを有する。供給側接続管部12bの開口H1Dと、回収側接続管部13bの開口H1Dとは、内部流路R11Dを介して連通している。
【0166】
供給マニホールド2Abは、主管部21と、複数の枝管部22bと、差口端部23と、受口端部24とを有する。枝管部22bは、
図15に示すように、嵌合部22Fbと、非嵌合部22Nとを有する。
【0167】
第4実施形態では、嵌合部22Fbは、張出部22F4を有する。張出部22F4は、非嵌合部22Nの左面LS22N2から左方向に向けて張り出している。
張出部22F4は、5つの開口H2Dを有する。5つの開口H2Dは、左側先端面LS22に形成されている。5つの開口H2Dの各々は、前後方向に沿って、一列に配置されている。5つの開口H2Dの各々は、枝管部22bの内部流路R22を介して、主管部21の内部流路R2と連通している。左方向から観た開口H2Dの形状は、長孔状である。
【0168】
第4実施形態に係る熱交換器100bにおいて、張出部22F4は、伝熱管1bの開口H1Dを介して、伝熱管1の内部に嵌合される。
【0169】
張出部22F4は、熱交換器100bにおいて、伝熱管1bの開口H1Dを介して、伝熱管1bの内部に嵌合される。張出部22F4は、外周面CS22F4を有する。張出部22F4の外周面CS22F4は、供給側接続管部12の内周面IS12Dと接触している。
【0170】
(5)第5実施形態
次に、
図1、
図2、
図6、
図8、
図9、
図14、及び
図16を参照して、本開示の第5実施形態に係る熱交換器100cについて説明する。
図16は、第5実施形態に係る供給マニホールド2Acの枝管部22cの外観を示す斜視図である。
【0171】
第5実施形態に係る熱交換器100cは、伝熱管1bが扁平単孔管である点、供給マニホールド2Ac及び回収マニホールド2Bcの嵌合部22Fcが複数の平板部22F5で構成されている点で、第1実施形態に係る熱交換器100と異なる。
【0172】
第5実施形態に係る熱交換器100cは、複数の伝熱管1bと、供給マニホールド2Acと、回収マニホールド2Bcと、複数の供給側樹脂固定部3Aと、複数の回収側樹脂固定部3Bとを備える。
【0173】
供給マニホールド2Acは、一体樹脂成形品である。供給マニホールド2Acは、主管部21と、複数の枝管部22cと、差口端部23と、受口端部24とを有する。
主管部21は、第1マニホールドの第2本体部の一例である。枝管部22cは、第1マニホールドの第2接続管部の一例である。
【0174】
複数の枝管部22cの各々は、
図16に示すように、主管部21の外周面CS21から左方向に向けて突出している。複数の枝管部22cの各々は、前後方向に沿って一列に配列されている。主管部21、複数の枝管部22c、差口端部23、及び受口端部24は、一体物である。
【0175】
枝管部22cは、嵌合部22Fcと、非嵌合部22Nとを有する。嵌合部22Fc及び非嵌合部22Nは、一体物である。嵌合部22Fcは、嵌合部の一例である。非嵌合部22Nは、非嵌合部の一例である。
【0176】
嵌合部22Fcは、8つの平板部22F5を有する。8つの平板部22F5の各々は、非嵌合部22Nの内部から左方向に向けて突出している。8つの平板部22F5の各々は、前後方向に沿って、主面同士が対向するように所定の間隔を空けて配置されている。
平板部22F5は、熱交換器100cにおいて、伝熱管1bの開口H1D(
図14参照)を介して、伝熱管1bの内部に嵌合される。8つの平板部22F5の各々は、上面TS22F5及び下面BS22F5を有する。平板部22F5の上面TS22F5及び下面BS22F5は、供給側接続管部12の内周面IS12D(
図14参照)と接触している。
【0177】
嵌合部22Fcは、7つの開口H2Eを有する。7つの開口H2Eの各々は、隣接する平板部22F5同士が前後方向において所定の間隔を空けて配置されることで構成されている。枝管部22cは、内部に内部流路R22を有する。7つの開口H2Eの各々は、枝管部22cの内部流路R22を介して、主管部21の内部流路R21と連通している。そのため、熱交換器100cにおいて、主管部21の内部流路R21は、内部流路R22及び7つの開口H2Eを介して、伝熱管1bの内部流路R11Dと連通している。
【0178】
(6)第6実施形態
次に、
図17を参照して、本開示の第6実施形態に係る配管接合構造500について説明する。
図17は、第6実施形態に係る配管接合構造500の断面図である。
【0179】
第6実施形態では、配管接合構造500は、流体の移動に用いられる。流体は、気体、液体、及び粉体の少なくとも1つを含む。粉体は、微粒子の集合体を示す。気体は、水蒸気を含む。液体は、水を含む。
【0180】
配管接合構造500は、
図17に示すように、金属配管50と、配管60と、樹脂固定部70とを備える。
金属配管50は、第1管体の一例である。配管60は、第2管体の一例である。
【0181】
第6実施形態では、金属配管50の長手方向を「左右方向」として説明する。また、左右方向において、金属配管50に対して配管60側を「右側」、その反対を「左側」と規定する。なお、これらの向きは、本開示の熱交換器の使用時の向きを限定するものではない。
【0182】
金属配管50は、配管60に接続されている。樹脂固定部70は、金属配管50に配管60を固定している。
詳しくは、
図17に示すように、金属配管50は、右側先端面RS50を有する。金属配管50の右側先端面RS50は、配管60に接続されている。樹脂固定部70は、金属配管50の右側先端面RS50の右側外周縁RE50の全周を覆うように、金属配管50の外周面CS50及び配管60の外周面CS60上に形成されている。複数の金属配管50、配管60、及び樹脂固定部70は、一体となっている。右側先端面RS50は、第1接続管部の先端面の一例である。右側外周縁RE50は、第1接続管部の先端面の外周縁の一例である。
【0183】
金属配管50は、金属製の配管である、金属配管50の形状としては、流体の種類等に応じて適宜選択され、例えば、丸管、角管、異形管等が挙げられる。異形管としては、例えば、フラット角パイプ、半円パイプ、楕円パイプ等が挙げられる。
金属配管50は、管本体部51と、接続管部52とを有する。管本体部51は、第1本体部の一例である。
管本体部51は、接続管部52から左方向に向けて延びている。接続管部52は、管本体部51の右側端部を構成する。
管本体部51は、流体を流通させる。管本体部51は、内部に、内部流路R51を有する。内部流路51には、流体が流通する。
接続管部52は、配管60と接続するための部位である。接続管部52は、開口H52を有する。開口52は、管本体部51の内部流路R51と連通している。
金属配管50の材質としては、伝熱管1の材質として例示したものと同様のものが挙げられる。菅本体部51は、第1本体部の一例である。内部流路R51は、第1内部流路の一例である。開口52は、第1開口の一例である。
【0184】
配管60は、金属製又は樹脂製の配管である。配管60の形状は、金属配管50の接続管部52の内部に嵌合する形状であれば、特に限定されない。
配管60は、管本体部61と、接続管部62とを有する。管本体部61は、第2本体部の一例である。
管本体部61は、接続管部62から右方向に向けて延びている。接続管部62は、管本体部61の左側端部を構成する。
管本体部61は、流体を流通させる。管本体部61は、内部に、内部流路R61を有する。内部流路R61には、流体が流通する。
接続管部62は、金属配管50と接続するための部位である。接続管部62は、開口H62を有する。開口H62は、管本体部61の内部流路R61と連通している。
配管60の材質としては、伝熱管1の材質として例示したものと同様のもの、及び供給マニホールド2Aを構成する樹脂として例示したものと同様のものが挙げられる。管本体部61は、第2本体部の一例である。内部流路R61は、第2内部流路の一例である。開口H62は、第2開口の一例である。
【0185】
樹脂固定部70は、樹脂組成物のインサート成形物である。
樹脂固定部70は、金属配管50に配管60を固定する。
樹脂固定部70は、金属配管50の接続管部52の外周面CS52及び配管60の外周面CS60と接触している。樹脂固定部70は、金属配管50の右側先端面RS50の右側外周縁RE50の全周を覆っている。
以下、金属配管50の接続管部52の外周面CS52のうち、樹脂固定部70と接触する面を「固着面」という場合がある。
固着面は、粗化面を有する。換言すると、固着面には、粗化処理が施されている。
配管60の材質が樹脂である場合、樹脂固定部70を構成する樹脂組成物は、配管60を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂であることが好ましい。これにより、樹脂固定部70は、配管60に融着する。
配管60の材質が金属である場合、配管60の外周面CS60のうち、樹脂固定部70と接触する面は、粗化面を有することが好ましい。
【0186】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0187】
(13.1)変形例1
第1実施形態~第5実施形態では、
図7に示すように、左右方向において、供給側樹脂固定部3Aの外周縁LE3は、嵌合部22Fの外周縁LE22よりも右側に位置するが、本開示はこれに限定されない。例えば、左右方向において、供給側樹脂固定部3Aの外周縁LE3は、嵌合部22Fの外周縁LE22と同じ位置であってもよいし、左側に位置してもよい。左右方向において、外周縁LE3が外周縁LE22の左側に位置する場合、外周縁LE3と外周縁LE22との間の左右方向の長さは、熱交換器100の密閉性を確保する観点から、伝熱管1の肉厚以下であることが好ましい。
【0188】
(13.2)変形例2
第1実施形態~第5実施形態では、
図7に示すように、非嵌合部22Nの肉厚は、嵌合部22Fの肉厚よりも厚いが、本開示はこれに限定されない。非嵌合部22Nの肉厚は、嵌合部22Fの肉厚と同じであってもよいし、嵌合部22Fの肉厚よりも薄くてもよい。
【0189】
(13.3)変形例3
第1実施形態~第5実施形態では、樹脂固着面FS12は、粗化面を有するが、本開示はこれに限定されない。樹脂固着面FS12は、粗化面を有しなくてもよい。また、熱交換器100の製造方法は、粗化工程を含まなくてもよい。
【0190】
(13.4)変形例4
第1実施形態~第5実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、樹脂製であるが、本開示はこれに限定されない。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの少なくとも一方は、金属製であってもよい。
【0191】
(13.5)変形例5
第1実施形態~第5実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、接続管部231及びOリング232を有するが、本開示はこれに限定されない。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、接続管部231及びOリング232を有しなくてもよい。
【0192】
(13.6)変形例6
第1実施形態~第5実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、上側突出固定部233、下側突出固定部234、上側突出固定部241、及び下側突出固定部242を備えるが、本開示はこれに限定されない。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、上側突出固定部233、下側突出固定部234、上側突出固定部241、及び下側突出固定部242を備えなくてもよい。
【0193】
(13.7)変形例7
第1実施形態、第3実施形態~第5実施形態では、伝熱管1の数は5枚であるが、伝熱管1の数は、特に限定されず、1枚以上4枚以下であってもよいし、6枚以上であってもよい。また、第1実施形態、第3実施形態~第5実施形態では、伝熱管1の形状は、扁平管状であるが、伝熱管1の形状は、特に限定されず、丸管、角管、異形管等であってもよい。また、伝熱管1の外周面CS1には、空冷用フィンが取り付けられていてもよい。第1実施形態、及び第3実施形態では、仕切り壁14の数は2つであるが、仕切り壁14の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0194】
(13.8)変形例8
第1実施形態~第5実施形態では、冷却用媒体を用いたが、本開示はこれに限定されない。例えば、熱交換媒体として、加熱用媒体を用いてもよい。加熱用媒体としては、加熱用液体、加熱用気体等が挙げられる。加熱用液体としては、水、油等が挙げられる。加熱用気体は、空気、水蒸気等が挙げられる。加熱用媒体の温度は、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。熱交換媒体として加熱用媒体が用いられる場合、熱交換器100は、外部の発熱体の蓄熱を促進させる。
【0195】
(13.9)変形例9
第1実施形態~第5実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bは一体樹脂成形品であるが本開示はこれに限定されない。供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの少なくとも一方は、金属製であってもよい。また、例えば、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの少なくとも一方は、枝管部22が樹脂製で、その他の部位が金属製の一体成形品であってもよい。
【0196】
(13.10)変形例10
第1実施形態~第5実施形態では、供給マニホールド2A及び回収マニホールド2Bの各々は、Oリング232を備えるが、Oリング232の代わりにパッキンを備えてもよい。パッキンとしては、リップパッキン、スクィーズパッキン、オイルシール、クッションシール、ダストシール等が挙げられる。
【0197】
(13.11)変形例11
第2実施形態では、熱交換器分割体の数は2つであるが、熱交換器分割体の数は、被熱交換物の種類等に応じて適宜選択され、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0198】
100 熱交換器
1 伝熱管
11 管本体部
12 供給側接続管部
13 回収側接続管部
2A 供給マニホールド
21 主管部
22 枝管部
2B 回収マニホールド
3A 供給側樹脂固定部
3B 回収側樹脂固定部
RS1 右側先端面
RE1 外周縁
R11A 後側流路
R11B 中央流路
R11C 前側流路
R21 内部流路
RS1 右側先端面
H1A 後側開口
H1B 中央開口
H1C 前側開口
H2A 開口
H2B 開口