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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20241001BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241001BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H02M3/00 H
H02M3/00 W
H02J3/32
H02J3/14 160
H02J7/34 G
H02J7/04 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020202089
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089581
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】520039179
【氏名又は名称】NTTアノードエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健一
(72)【発明者】
【氏名】清川 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】細田 好昭
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 浩二
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-046454(JP,A)
【文献】特開2016-134926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02J 3/32
H02J 3/14
H02J 7/34
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換して負荷に出力するとともに、出力する当該直流電力の電圧を第1高圧電圧および前記第1高圧電圧よりも電圧が低い第1低圧電圧の間で切替え可能な第1変換部と、
前記第1変換部と並列に配置され、前記交流電力を前記直流電力とは別の直流電力に変換するとともに、出力する当該直流電力の電圧を第2高圧電圧、および、前記第2高圧電圧よりも電圧が低い第2低圧電圧の間で切替え可能な第2変換部と、
前記第2変換部の直流電力側と電気的に接続され、出力する電力の電圧である蓄電電圧が前記第1高圧電圧および前記第2高圧電圧よりも電圧が低く、かつ、前記第1低圧電圧および前記第2低圧電圧よりも電圧が高い蓄電部と、
前記第1変換部よりも前記蓄電部側および前記第2変換部よりも前記負荷側の間に配置され、前記第2変換部から前記負荷に向かう電流の流れを許容し、前記第1変換部から前記蓄電部に向かう電流の流れを規制する規制部と、が設けられ、
前記第1変換部および前記第2変換部は、
それぞれ前記第1高圧電圧および前記第2高圧電圧で直流電力を出力する第1モード、それぞれ前記第1低圧電圧および前記第2低圧電圧で直流電力を出力する第2モード、及びそれぞれ前記第1高圧電圧および前記第2低圧電圧で直流電力を出力する第3モードで運転可能に構成され
前記第2モードを行った後に前記第3モードを行い、前記第3モードを行った後に前記第1モードを行うことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記第2高圧電圧は、前記第1高圧電圧未満の電圧であり、
前記第2低圧電圧は、前記第1低圧電圧以上の電圧である請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
更に記憶部を有し、
前記記憶部に記憶された予め定められたスケジュールに基づいて前記第1変換部および前記第2変換部に対して制御信号を出力し、前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切り替えを制御する制御部が更に設けられている請求項1または2に記載の電源システム。
【請求項4】
入力受付部を介して入力された前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切替え入力に基づいて前記第1変換部および前記第2変換部に対して制御信号を出力し、前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切り替えを制御する制御部が更に設けられている請求項1または2に記載の電源システム。
【請求項5】
前記蓄電部には、前記制御部へ前記蓄電部に関する情報を送信する情報送信部が設けられている請求項3または請求項4記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力の供給に用いて好適な電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電部を有する電源システムとして、直流電源ユニットおよび充電兼予備ユニット(以下「充電ユニット」とも表記する。)が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-046454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電源システムにおいては、例えば、直送ユニットと充電ユニットの電圧を同時に上げ下げすることで蓄電部に充電を行う「充電モード」と、蓄電部から放電させる「放電モード」を切換える充放電制御等が行われている。
【0005】
しかしながら、蓄電部の放電後に敢えて充電を行わないことは想定されていないため、放電後は必ず充電を行う制御が行われていた。そのため、放電後の任意の時間に蓄電部に充電を行うことが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、放電後の任意の時間に蓄電部への充電を可能にすることで、電気料金の低減を図りやすい電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の電源システムは、交流電力を直流電力に変換して負荷に出力するとともに、出力される直流電力の電圧を第1高圧電圧および前記第1高圧電圧よりも電圧が低い第1低圧電圧の間で切替え可能な第1変換部と、前記第1変換部と並列に配置され、前記交流電力を前記直流電力に変換するとともに、出力される直流電力の電圧を第2高圧電圧、および、前記第2高圧電圧よりも電圧が低い第2低圧電圧の間で切替え可能な第2変換部と、前記第1変換部の直流電力側および前記第2変換部の直流電力側の間に配置され、前記第2変換部から前記第1変換部に向かう電流の流れを許容し、前記第1変換部から前記第2変換部に向かう電流の流れを規制する規制部と、前記第2変換部の直流電力側と電気的に接続され、出力される電力の電圧である蓄電電圧が前記第1高圧電圧および前記第2高圧電圧よりも電圧が低く、かつ、前記第1低圧電圧および前記第2低圧電圧よりも電圧が高い蓄電部と、が設けられ、前記第1変換部および前記第2変換部は、それぞれ前記第1高圧電圧および前記第2高圧電圧で直流電力を出力する第1モード、それぞれ前記第1低圧電圧および前記第2低圧電圧で直流電力を出力する第2モード、及びそれぞれ前記第1高圧電圧および前記第2低圧電圧で直流電力を出力する第3モードで運転可能に構成される。
【0008】
本発明の電源システムによれば、第1変換部および第2変換部を、第1モード、第2モードおよび第3モードで運転可能とすることにより、蓄電部の放電後の任意の時間に蓄電部を充電することが可能となる。
【0009】
ここで、第1変換部および第2変換部がそれぞれ第1高圧電圧および第2高圧電圧で直流電力を出力する第1モードでは、負荷に対して給電が行われるとともに、蓄電部に充電が行われる。第1変換部および第2変換部がそれぞれ第1低圧電圧および第2低圧電圧で直流電力を出力する第2モードでは、蓄電部から放電された電力が負荷に対して供給される。第1変換部および第2変換部がそれぞれ1高圧電圧および第2低圧電圧で直流電力を出力する第3モードでは、負荷に対して給電が行われる一方で、蓄電部への充電は抑制される。
【0010】
そのため、本発明の電源システムでは、第2モードにおいて蓄電部が放電を行った後、蓄電部に給電を行うまでの間、第3モードにおいて負荷に給電を行い、蓄電部への充電を抑制することができる。第3モードの後の第1モードにより、負荷に給電すると共に蓄電部への充電を行うことができる。
【0011】
上記発明において前記第2高圧電圧は、前記第1高圧電圧未満の電圧であり、前記第2低圧電圧は、前記第1低圧電圧以上の電圧であることが好ましい。
このように第2高圧電圧を第1高圧電圧未満の電圧とすることにより、第1モードにおいて負荷への電力供給と、蓄電部への充電と、を両立させやすくなる。
【0012】
蓄電部から出力される蓄電電圧は、第3のモードにおいて第1変換部から出力される第1高圧電圧よりも低いため、第3モードにおいて蓄電部から負荷への放電を抑制しやすくなる。また、第2低圧電圧を、第1低圧電圧以下の電圧とすることにより、第2モードにおいて蓄電部から負荷への放電を行いやすくなる。
【0013】
上記発明においては、記憶部に記憶された予め定められたスケジュールに基づいて前記第1変換部および前記第2変換部に対して制御信号を出力し、前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切り替えを制御する制御部が更に設けられていることが好ましい。
【0014】
このように予め定められたスケジュールに基づいて第1モード、第2モードおよび第3モードの切り替え制御を行うことにより、例えば、電源システムの外部から切り替え制御を行うことが難しい環境下であっても、切り替え制御を行うことができる。
【0015】
上記発明においては、入力受付部を介して入力された前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切替え入力に基づいて前記第1変換部および前記第2変換部に対して制御信号を出力し、前記第1モード、前記第2モードおよび前記第3モードの切り替えを制御する制御部が更に設けられていることが好ましい。
【0016】
このように入力された切替え入力に基づいて第1モード、第2モードおよび第3モードの切り替え制御を行うことにより、例えば、記憶部に記憶された予め定められたスケジュールに基づいて切り替え制御を行う場合と比較して、切り替え制御を柔軟に行いやすくなる。例えば、第1モード、第2モードおよび第3モードを行うタイミングや、それぞれのモードを継続する期間を、周囲の状況に応じて適宜変更することが容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電源システムによれば、第1変換部および第2変換部を、第1モード、第2モードおよび第3モードで運転可能とすることにより、蓄電部の放電後の任意の時間に蓄電部を充電することが可能となる。そのため、蓄電部を放電する時刻に関わらず、蓄電部の充電を電力料金が安い時間帯に行うことが可能となり、電気料金の低減を図りやすいという効果を奏する。
【0018】
上記発明において前記蓄電部には、前記制御部へ前記蓄電部に関する情報を送信する情報送信部が設けられていることが好ましい。
このように情報送信部を設けることにより、制御部に蓄電部に関する情報が入力される。制御部は、蓄電部に関する情報を参照しながら切り替え制御することが可能となる。ここで、蓄電部に関する情報としては、蓄電部における電圧や、充放電の際の電流や、残容量などの情報を例示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電源システムを説明する模式図である。
図2図1の主制御部の構成を説明するブロック図である。
図3】第1モードにおける直流電力の流れを説明する模式図である。
図4】第1モードにおける各電圧の時間変化を説明するグラフである。
図5】第1モードにおける各電圧の時間変化を説明する他のグラフである。
図6】第2モードにおける直流電力の流れを説明する模式図である。
図7】第2モードにおける各電圧の時間変化を説明するグラフである。
図8】第3モードにおける直流電力の流れを説明する模式図である。
図9】第3モードにおける各電圧の時間変化を説明するグラフである。
図10】本発明の電源システムの他の例を説明する模式図である。
図11図10の主制御部の構成を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の一実施形態に係る電源システム1について、図1から図11を参照しながら説明する。
電源システム1は、図1に示すように、電力を消費する負荷40に供給するシステムである。本実施形態では、交流電力を所望の電圧の直流電力に変換して負荷40に供給するシステムである例に適用して説明する。なお、電源システム1は、直流電力を所望の電圧の直流電力に変換して負荷40に供給するシステムであってもよい。
【0021】
本実施形態では、負荷40が通信設備である例に適用して説明する。負荷40は、通信設備に限定されるものではなく、その他各種の電力を消費する機器のいずれかであってもよい。
【0022】
電源システム1には、図1に示すように、電源装置10と、蓄電部30と、が主に設けられている。
電源装置10は、交流電力を所望の電圧の直流電力に変換して負荷40に供給するものである。本実施形態では、交流電力は商用電源50から電源装置10に供給される例に適用して説明するが、商用電源50以外の手段によって供給されるものであってもよい。
【0023】
また、電源装置10は、蓄電部30に蓄電される直流電力を供給するものである。さらに、電源装置10は、電源装置10への交流電力の供給が停止した際に、蓄電部30から放電された直流電力を負荷40に供給するものである。
【0024】
電源装置10には、図1に示すように、第1変換部11と、第2変換部12と、規制部13と、主制御部(制御部)21と、が主に設けられている。本実施形態では、第1変換部11および第2変換部12が電源装置10の内部で並列に配置されている例に適用して説明する。
【0025】
また、第1変換部11は1台であってもよいし、複数台であってもよい。第2変換部12は1台であってもよいし、複数台であってもよい。本実施形態では、第1変換部11および第2変換部12のそれぞれが複数台である例に適用して説明する。
【0026】
具体的には、複数の第1変換部11が並列に配置されるとともに、複数の第2変換部12が並列に配置されている。そして、複数の第1変換部11のグループと、複数の第2変換部12のグループとが、並列に配置されている。
【0027】
第1変換部11は、電源装置10に入力された交流電力を直流電力に変換して負荷40に出力する変換器である。第1変換部11は、主制御部21から入力される制御信号に基づいて、出力される直流電力の電圧を第1高圧電圧VH1および第1高圧電圧VH1よりも電圧が低い第1低圧電圧VL1の間で切替える構成を有している。
【0028】
第2変換部12は、電源装置10に入力された交流電力を直流電力に変換して蓄電部30に出力する変換器である。第2変換部12は、主制御部21から入力される制御信号に基づいて、出力される直流電力の電圧を第2高圧電圧VH2および第2高圧電圧VH2よりも電圧が低い第2低圧電圧VL2の間で切替える構成を有している。
【0029】
なお、第2高圧電圧VH2は、第1高圧電圧VH1未満の電圧であり、第2低圧電圧VL2は、第2高圧電圧VH2未満の電圧であり、かつ、第1低圧電圧VL1以上の電圧である。つまり、電圧の高低関係は、次の通りである。第1高圧電圧VH1>第2高圧電圧VH2>第2低圧電圧VL2≧第1低圧電圧VL1。
【0030】
本実施形態では、第1高圧電圧VH1の値が第2高圧電圧VH2の値よりも高い例に適用して説明するが、第1高圧電圧VH1の値は、第2高圧電圧VH2の値以上であってもよい。
【0031】
なお、第1変換部11および第2変換部12としては、公知の構成を有する変換器を用いることができ、変換器の形式や、電力の変換方式や、電圧の切り替え方式などを特に限定するものではない。
【0032】
規制部13は、第1変換部11グループの直流電力側と、第2変換部12グループの直流電力側と、の間に配置される電子部品である。規制部13は、第2変換部12グループから第1変換部11グループに向かう電流の流れを許容し、第1変換部11グループから第2変換部12グループに向かう電流の流れを規制する電子部品である。本実施形態では、規制部13がダイオードである例に適用して説明する。
【0033】
主制御部21は、第1変換部11および第2変換部12に対して、それぞれ出力する直流電力の電圧を制御する制御信号を出力するものである。本実施形態では、主制御部21がCPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するマイクロコンピュータである例に適用して説明する。
【0034】
上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、図2に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を協働させて演算部22や、入力受付部23として機能させるものである。なお、図2では、理解を容易にするために第1変換部11および第2変換部12の代表を1つずつ図示している。
【0035】
演算部22は、第1変換部11および第2変換部12を制御する制御信号を生成するものである。制御信号は、第1変換部11および第2変換部12に対して、それぞれ第1高圧電圧VH1および第2高圧電圧VH2で直流電力を出力させる第1モードM1、それぞれ第1低圧電圧VL1および第2低圧電圧VL2で直流電力を出力させる第2モードM2、及びそれぞれ第1高圧電圧VH1および第2低圧電圧VL2で直流電力を出力させる第3モードM3の少なくとも3種類の信号である。
【0036】
第1モードM1は、負荷40に直流電力を供給するとともに蓄電部30に充電を行うモードである。第2モードM2は、商用電源50から負荷40への電力供給を停止し、蓄電部30から放電した直流電力を負荷40に供給するモードである。第3モードM3は、負荷40に直流電力を供給するとともに蓄電部30への充電を抑制するモードである。
【0037】
入力受付部23は、第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3を切り替える切替え信号が入力されるものである。入力受付部23は、入力された切り替え信号を演算部22に出力可能に接続されている。
【0038】
また、入力受付部23は、図1に示すように、情報通信可能な外部ネットワーク26を介してパーソナルコンピュータ等の情報端末や、BEMS(Building Energy Management System)や、CEMS(Community Energy Management System)などの入力部25から切り替え信号が入力されるものである。
【0039】
外部ネットワーク26は、電源システム1の外部に設置されたネットワークであって、有線による情報通信、無線による情報通信、および有線と無線を組わせた情報通信を行うネットワークのいずれであってもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、入力受付部23が外部ネットワーク26を介して入力部25と情報通信可能に接続された例に適用して説明するが、入力受付部23は、外部ネットワークを介することなく入力部25と直接に情報通信可能に接続されていてもよい。
【0041】
蓄電部30は、直流電力が充電されるとともに、蓄電された直流電力を放電するものである。充電される直流電力は第2変換部12から出力されたものである。放電された直流電力は負荷40に供給される。
【0042】
蓄電部30には、蓄電制御部(情報通信部)31と、蓄電池32と、が主に設けられている。
蓄電制御部31は、蓄電池32を制御するコントローラである。また、蓄電制御部31は、蓄電池32における電圧や、充電または放電時の電流や、残容量などの蓄電部30に関する情報を取得し、主制御部21に取得した情報を送信するものである。
【0043】
なお、本実施形態では蓄電部30に蓄電制御部31が設けられている例に適用して説明するが、蓄電部30には蓄電制御部31が設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0044】
蓄電池32は、直流電力が充電されるとともに、蓄電された直流電力を放電するものである。蓄電池32としては充電および放電が可能な二次電池であればよく、蓄電池の種類や、形式などを特に限定するものでなない。本実施形態では蓄電池32がリチウムイオン電池である例に適用して説明する。
【0045】
次に、上記の構成からなる電源システム1における充電および放電について、図3から図9を参照しながら説明する。まず第1モードM1における充電および放電について説明し、その次に第2モードM2における充電および放電について説明し、最後に第3モードM3における充電および放電について説明する。
【0046】
まず、第1モードM1における充電および放電について説明する。外部ネットワーク26を介して入力部25から主制御部21に第1モードM1への切り替え信号が入力される。主制御部21は、入力された切り替え信号に基づいて、第1変換部11および第2変換部12へ出力する制御信号を生成する。生成された制御信号は、第1変換部11および第2変換部12へ出力される。
【0047】
制御信号が入力された第1変換部11は、図3に示すように、第1高圧電圧VH1の直流電力を出力する。第1変換部11から出力された直流電力は、負荷40に供給される。また、制御信号が入力された第2変換部12は、第2高圧電圧VH2の直流電力を出力する。第2変換部12から出力された直流電力は、蓄電部30に充電される。
【0048】
さらに、規制部13が設けられているため、第1変換部11から出力された直流電力が蓄電部30へ向かって流れにくい。また、第1高圧電圧VH1の値が第2高圧電圧VH2の値よりも高いため、第2変換部12から出力された直流電力が負荷40へ向かって流れにくい。
【0049】
ここで、蓄電部30の蓄電池32が充電されている場合に第1モードM1の制御を行ったときの電圧の時間変化について図4を参照しながら説明する。この場合、第1変換部11から出力される直流電力の第1高圧電圧VH1の値は一定となる。また、第2変換部12から出力される直流電力の第2高圧電圧VH2の値も一定となる。蓄電池32は充電されているため、蓄電池32の蓄電電圧VBも一定となる。なお、第2高圧電圧VH2の値は、蓄電電圧VBの値に応じて制御される。
【0050】
また、蓄電部30の蓄電池32が充電されていない場合に第1モードM1の制御を行ったときの電圧の時間変化について図5を参照しながら説明する。この場合、第1変換部11から出力される直流電力の第1高圧電圧VH1の値は一定となる。その一方で、第2高圧電圧VH2の値、および、蓄電電圧VBの値は、蓄電池32が充電されるに従い値が高くなる。蓄電池32が充電されると、第2高圧電圧VH2の値、および、蓄電電圧VBの値は一定となる。
【0051】
なお、蓄電池32に対する充電方法は、公知の充電方法を用いることができる。本実施形態では、蓄電池32の蓄電電圧VBと充電電流とを考慮した充電(CCCV充電:定電流定電圧充電)方法を用いて充電する例に適用して説明する。
【0052】
次に、第2モードM2における充電および放電について説明する。外部ネットワーク26を介して入力部25から主制御部21に第2モードM2への切り替え信号が入力される。主制御部21は、入力された切り替え信号に基づいて、第1変換部11および第2変換部12へ出力する制御信号を生成する。生成された制御信号は、第1変換部11および第2変換部12へ出力される。
【0053】
制御信号が入力された第1変換部11は、図6に示すように、第1低圧電圧VL1の直流電力を出力する。また、制御信号が入力された第2変換部12は、第2低圧電圧VL2の直流電力を出力する。
【0054】
蓄電部30からは、蓄電電圧VBの直流電力が出力される。出力された直流電力は、負荷40に供給される。ここで、蓄電電圧VBの値は、第1低圧電圧VL1の値、および、第2低圧電圧VL2の値よりも高いため、蓄電部30から出力された直流電力は、規制部13を負荷40に向かって流れる。
【0055】
ここで、第2モードM2の制御を行ったときの電圧の時間変化について図7を参照しながら説明する。図7において時間T2が、第2モードM2の制御を開始したタイミングである。時間T2よりも前では、第1変換部11から出力される直流電力の電圧は第1高圧電圧VH1であり、第2変換部12から出力される直流電力の電圧は第2高圧電圧VH2である。
【0056】
第2モードM2の制御が開始されると、第1変換部11から出力される直流電力の電圧は第1低圧電圧VL1となり、第2変換部12から出力される直流電力の電圧は第2低圧電圧VL2となる。
【0057】
また、第2モードM2の制御が開始されると、蓄電部30から放電が開始され、放電された直流電力が負荷40に供給される。蓄電部30から供給される直流電力の蓄電電圧VBは、第2モードM2の制御直後から時間の経過とともに低下する。蓄電電圧VBの低下は、その値が第2低圧電圧VL2になるまで、もしくは第1モードM1または第3モードM3に切り替わるまで続く。
【0058】
蓄電電圧VBの値が第2低圧電圧VL2の値まで低下した後は、蓄電部30からの放電は停止する。蓄電電圧VBの値が、第2低圧電圧VL2の値よりも低下する場合には、蓄電部30への充電が開始される。そのため、蓄電電圧VBの値は、第2低圧電圧VL2と同じ値となる。
【0059】
第2低圧電圧VL2の値は、蓄電部30に予め定められた蓄電容量が残る値ように定められた値を例示することができる。このようにすることで、商用電源50が停電した場合に備えて蓄電部30からの放電を停止させることができる。つまり、停電時に蓄電部30から負荷40へ直流電力の供給が可能となる。
【0060】
蓄電電圧VBの値が第2低圧電圧VL2の値まで低下した後、もしくは第2低圧電圧VL2まで低下するまでに、第1モードM1、または、第3モードM3に移行し、負荷40への直流電力の供給を継続してもよい。この場合、第1モードM1に移行したときには、蓄電部30への充電が行われる。また、第3モードM3に移行したときには、蓄電部30への充電が抑制される。
【0061】
最後に、第3モードM3における充電および放電について説明する。外部ネットワーク26を介して入力部25から主制御部21に第3モードM3への切り替え信号が入力される。主制御部21は、入力された切り替え信号に基づいて、第1変換部11および第2変換部12へ出力する制御信号を生成する。生成された制御信号は、第1変換部11および第2変換部12へ出力される。
【0062】
制御信号が入力された第1変換部11は、図8に示すように、第1高圧電圧VH1の直流電力を出力する。また、制御信号が入力された第2変換部12は、第2低圧電圧VL2の直流電力を出力する。
【0063】
第1変換部11から出力された直流電力は、負荷40に供給される。その一方で、蓄電部30には供給されない。第2低圧電圧VL2の値が蓄電電圧VBの値よりも低い場合には、第2変換部12から蓄電部30への充電は抑制される。
【0064】
ここで、第3モードM3の制御を行ったときの電圧の時間変化について図9を参照しながら説明する。図9において時間T3が、第3モードM3の制御を開始したタイミングである。
【0065】
時間T3よりも前では、第1変換部11から出力される直流電力の電圧は第1低圧電圧VL1であり、第2変換部12から出力される直流電力の電圧は第2低圧電圧VL2である。蓄電部30からは放電が行われ、蓄電電圧VBは時間の経過とともに低下している。
【0066】
第3モードM3の制御が開始されると、第1変換部11から出力される直流電力の電圧は第1高圧電圧VH1となる。第2変換部12から出力される直流電力の電圧は第2低圧電圧VL2のままである。
【0067】
蓄電電圧VBは時間T3における値であって、蓄電電圧VBは第1高圧電圧VH1と第2低圧電圧VL2との間の値となる。そのため、蓄電部30からは放電されず、かつ、充電もされない。
【0068】
上記の構成の電源システム1によれば、第1変換部11および第2変換部12を、第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3で運転可能とすることにより、蓄電部30の放電後の任意の時間に蓄電部30を充電することが可能となる。
【0069】
ここで、第1変換部11および第2変換部12がそれぞれ第1高圧電圧VH1および第2高圧電圧VH2で直流電力を出力する第1モードM1では、負荷40に対して給電が行われるとともに、蓄電部30に充電が行われる。第1変換部11および第2変換部12がそれぞれ第1低圧電圧VL1および第2低圧電圧VL2で直流電力を出力する第2モードM2では、蓄電部30から放電された電力が負荷40に対して供給される。第1変換部11および第2変換部12がそれぞれ第1高圧電圧VH1および第2低圧電圧VL2で直流電力を出力する第3モードM3では、負荷40に対して給電が行われる一方で、蓄電部30への充電は抑制される。
【0070】
そのため、電源システム1では、第2モードM2において蓄電部30が放電を行った後、蓄電部30に給電を行うまでの間、第3モードM3において負荷40に給電を行い、蓄電部30への充電を抑制することができる。第3モードM3の後の第1モードM1により、負荷40に給電すると共に蓄電部30への充電を行うことができる。
【0071】
上記の構成の電源システム1によれば、第2高圧電圧VH2を第1高圧電圧VH1未満の電圧とすることにより、第1モードM1において負荷40への電力供給と、蓄電部30への充電と、を両立させやすくなる。第2低圧電圧VL2を、第2高圧電圧VH2未満の電圧とすることにより、第3モードM3において蓄電部30から負荷40への放電を抑制しやすくなる。また、第1低圧電圧VL1及び第2低圧電圧VL2は、ともに、蓄電部30から放電される蓄電電圧VBよりも低く、第2低圧電圧VL2を、第1低圧電圧VL1以下の電圧とすることにより、第2モードM2において蓄電部30から負荷40への放電を行いやすくなる。
【0072】
入力された切替え入力に基づいて第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3の切り替え制御を行うことにより、例えば、予め定められたスケジュールに基づいて切り替え制御を行う場合と比較して、切り替え制御を柔軟に行いやすくなる。例えば、第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3を行うタイミングや、それぞれのモードを継続する期間を、周囲の状況に応じて適宜変更することが容易となる。
【0073】
蓄電制御部31を設けることにより、主制御部21に蓄電部30に関する情報が入力される。主制御部21は、蓄電部30に関する情報を参照しながら切り替え制御することが可能となる。
【0074】
なお、上述の実施形態では、電源装置10の主制御部21に、切替え信号が入力される入力受付部23が設けられている例に適用して説明したが、図10および図11に示すように、主制御部(制御部)121に第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3の切り替えスケジュールが記憶された記憶部123が、入力受付部23の代わりに設けられていてもよい。
【0075】
この場合、主制御部121は記憶部123に記憶されたスケジュールに基づいて第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3を切り替える制御を行う。
なお、記憶部123に記憶されるスケジュールは、予め定められたものであってもよいし、電源システム1の管理者などが適宜定めたものであってもよい。さらにスケジュールは、変更可能に記憶されてもよいし、変更不可に記憶されてもよい。
【0076】
記憶部123に記憶されたスケジュールに基づいて第1モードM1、第2モードM2および第3モードM3の切り替え制御を行うことにより、例えば、電源システム1の外部から切り替えを指示することが難しい環境下であっても、切り替え制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0077】
1…電源システム、 11…第1変換部、 12…第2変換部、 13…規制部、 21,121…主制御部(制御部)、 23…入力受付部、 30…蓄電部、 31…蓄電制御部(情報通信部)、 40…負荷、 123…記憶部
図1
図2
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図5
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図8
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図10
図11