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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241001BHJP
   G06Q 50/43 20240101ALI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/43
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020206445
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093791
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康博
(72)【発明者】
【氏名】藤森 一憲
(72)【発明者】
【氏名】山田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】山下 由美子
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈昌
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-009367(JP,A)
【文献】特開2013-134580(JP,A)
【文献】特開2018-116739(JP,A)
【文献】特開2011-044112(JP,A)
【文献】特開2002-329096(JP,A)
【文献】特開2007-102434(JP,A)
【文献】特開2020-160813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記コンピュータが備えるプロセッサが、所定の施設において順番待ちをしている複数のシェアリング車両のうちの順番を譲られることを希望する第二のユーザが乗車している車両である第二の車両から受信したデータである提案データに基づいて、順番を譲ることを希望する第一のユーザが乗車している車両である第一の車両を特定するステップと、
前記プロセッサが、前記コンピュータの記憶部に記憶された前記第一の車両の電子鍵を、前記第二のユーザに関連付いた第二の端末に送信し、前記コンピュータの記憶部に記憶された前記第二の車両の電子鍵を、前記第一のユーザに関連付いた第一の端末に送信するステップと、
前記プロセッサが、前記第二の車両から受信した前記提案データに基づいて、前記第一のユーザに対して付与するインセンティブを表すインセンティブデータを生成するステップと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子鍵を用いて車両の施解錠を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗や施設において、待ち行列を管理するためのシステムがある。例えば、特許文献1には、受付状況や混雑状況の確認を、ユーザが所持する携帯端末によって行うことができるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-071550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のシステムにおいては、受付を行った順に、顧客に対する案内が行われる。一方で、同じ待ち行列に属しているユーザ同士が、順番の交換を望むケースがある。
【0005】
本開示は、車両に乗車して順番待ちを行う施設等において、ユーザ同士で順番の交換を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様に係る情報処理方法は、
所定の施設において順番待ちをしている複数の車両の中から、順番を譲ることを希望する第一のユーザが乗車している車両である第一の車両と、順番を譲られることを希望する第二のユーザが乗車している車両である第二の車両の組み合わせを決定するステップと、前記第一の車両の電子鍵を、前記第二のユーザに関連付いた第二の端末に送信し、前記第二の車両の電子鍵を、前記第一のユーザに関連付いた第一の端末に送信するステップと、前記第一のユーザに対して付与するインセンティブを表すインセンティブデータを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、他の態様として、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両に乗車して順番待ちを行う施設等において、ユーザ同士で順番の交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両システムの概要図。
図2】サーバ装置の一例を概略的に示したブロック図。
図3】サーバ装置に記憶される端末データの例を示した図。
図4】携帯端末の一例を概略的に示したブロック図。
図5】施解錠装置の一例を概略的に示したブロック図。
図6】各構成要素が送受信するデータのフロー図。
図7】各構成要素が送受信するデータのフロー図。
図8】第一の車両と第二の車両の位置関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係る車両システムは、サーバ装置と、ユーザが所持する携帯端末と、車両に搭載された施解錠装置と、を含むシステムである。本システムでは、携帯端末が、サーバ装置からシェアリング車両の電子鍵を取得し、当該電子鍵を車両に送信することで、車両の施解錠を行うことができる。
【0011】
本開示の一態様は、斯様なシステムが行う情報処理方法である。
具体的には、所定の施設において順番待ちをしている複数の車両の中から、順番を譲ることを希望する第一のユーザが乗車している車両である第一の車両と、順番を譲られることを希望する第二のユーザが乗車している車両である第二の車両の組み合わせを決定するステップと、前記第一の車両の電子鍵を、前記第二のユーザに関連付いた第二の端末に送信し、前記第二の車両の電子鍵を、前記第一のユーザに関連付いた第一の端末に送信するステップと、前記第一のユーザに対して付与するインセンティブを表すインセンティブデータを生成するステップと、を含む。
【0012】
第一および第二の車両は、所定の施設や店舗等において順番待ちをしている車両である。これらの車両は、駐車場への入庫を待っている車両であってもよいし、ドライブスルー等においてサービスを受ける順番を待っている車両であってもよい。
通常、店舗等において順番待ちを行っているユーザ同士が順番を交換したい場合、受付番号札等を交換することが考えられる。一方、車両そのものが待ち行列を形成している場合、物理的な位置を交換することは容易ではない。そこで、本実施形態では、それぞれの車両に関連付いた端末(例えば、車両の乗員が所持する端末)同士が、互いの車両の電子鍵を交換する。さらに、後方の車両(順番を譲られる車両)の乗員が、前方の車両(順番を譲る車両)の乗員に対して謝礼を提供する。車両がシェアリング車両である場合、このような方法によって、車両ごと順番を交換することが可能になる。
【0013】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0014】
実施形態に係る認証システムの概要について、図1(A)を参照しながら説明する。本実施形態に係るシステムは、サーバ装置100と、携帯端末200と、車両10に搭載された施解錠装置300と、を含んで構成される。
【0015】
サーバ装置100は、複数の車両10の電子鍵を管理する装置である。車両10は、ユーザに貸与されるシェアリング車両であってもよい。
携帯端末200は、車両10に乗車するユーザが所持するコンピュータである。
施解錠装置300は、車両10に搭載されたコンピュータである。施解錠装置300は、携帯端末200と無線通信を行った結果に基づいて、車両のアンロックを行う。なお、車両のアンロックとは、ドアを解錠し、エンジンの始動(ないし、電源の投入)を可能にすることを指す。
【0016】
さらに、本実施形態における車両システムは、所定の施設等において順番待ちをしている車両同士が、電子鍵を交換する仕組みを提供する。図1(B)は、電子鍵の交換を説明する図である。
車両10Aおよび車両10Bは、同一の施設において順番待ちをしている車両である。車両10Aは、車両10Bよりも行列の前方に位置する。
以降、車両10Aに搭載された施解錠装置を施解錠装置300Aと称し、車両10Bに搭載された施解錠装置を施解錠装置300Bと称する。また、車両10Aの乗員が所持する携帯端末を携帯端末200Aと称し、車両10Bの乗員が所持する携帯端末を携帯端末
200Bと称する。
なお、それぞれを区別する必要がない場合、それぞれを、車両10、携帯端末200、施解錠装置300と称する。
【0017】
サーバ装置100は、いずれかの携帯端末から送信されたリクエストに基づいて、順番を譲る車両と、順番を譲られる車両をマッチングする。例えば、一定の謝礼を出すことを条件に、前後で順番の交換を希望する車両がいた場合に、当該申し出を受諾する車両を募り、電子鍵の交換を行う。さらに、謝礼(インセンティブ)を表すデータを、携帯端末200Bから携帯端末200Aに(すなわち、後方の車両から前方の車両に)送信する。その後、各車両の乗員が互いの車両に乗り移ることにより、車両ごと順番を交換することができる。
【0018】
システムの構成要素について、詳しく説明する。
サーバ装置100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、サーバ装置100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを実行することによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0019】
図2は、図1に示したサーバ装置100の構成の一例を概略的に示したブロック図である。サーバ装置100は、制御部101、記憶部102、および通信部103を有して構成される。
【0020】
制御部101は、サーバ装置100の制御を司る手段である。制御部101は、例えば、CPUなどの演算装置によって構成される。
制御部101は、機能モジュールとして、車両貸出部1011およびマッチング部1012を有している。各機能モジュールは、ROM等の記憶手段に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0021】
車両貸出部1011は、シェアリング車両である車両10の電子鍵を管理する。電子鍵とは、車両10が有する施解錠装置300から認証を受け、車両10の施解錠を行うための電子データである。
車両貸出部1011は、車両10の貸与を受けるユーザが所持する携帯端末200の求めに応じて、当該車両10(施解錠装置300)に対応する電子鍵を取得し、当該電子鍵を携帯端末200に送信する。
電子鍵は、予め記憶されたものを取得してもよいし、動的に生成してもよい。例えば、所定の時間帯においてのみ有効な電子鍵や、使用回数が指定された電子鍵、所定の携帯端末においてのみ使用できる電子鍵などを生成することもできる。
【0022】
また、一つの携帯端末200が複数の施解錠装置300にアクセスする場合、車両貸出部1011は、携帯端末200ごとに複数の電子鍵を管理してもよい。
さらに、車両貸出部1011は、車両の予約情報や、携帯端末200を認証するための情報に基づいて、電子鍵の発行可否を判定してもよい。
【0023】
マッチング部1012は、携帯端末200から送信されたリクエストに基づいて、同一の施設等において順番待ちの行列を形成している車両同士が順番を交換するための処理を実行する。
マッチング部1012は、車両同士をマッチングする処理と、車両間で電子鍵を交換する処理を実行する。マッチングとは、順番を譲ることを希望する車両(以下、第一の車両)と、順番を譲られることを希望する車両(以下、第二の車両)との組み合わせを決定することを指す。第一の車両は、第二の車両よりも行列の前方に位置する車両である。
【0024】
マッチング部1012は、第二の車両から、第一の車両に対して順番の交換を提案するデータ(提案データ)を受信する。提案データには、第二の車両の位置情報、第二の車両の識別子、および、支払ってもよい謝礼を示すデータ等が含まれる。
マッチング部1012は、受信したマッチング依頼に基づいて、マッチング候補となる車両を検索し、候補となる車両に対して順番の交代を打診する。相手側の車両がこれを受諾すると、互いの車両に対応する電子鍵を、それぞれ対応する携帯端末200に送信する。すなわち、車両10Aに対応する電子鍵を、携帯端末200Bに送信し、車両10Bに対応する電子鍵を、携帯端末200Aに送信する。
【0025】
また、マッチング部1012は、車両10が貸し出し中である期間において、車両10と携帯端末200を関連付け、携帯端末200から周期的に位置情報を取得する。これらの情報は、端末データとして、後述する記憶部102に記憶される。これによりサーバ装置100は、同一の待ち行列に並んでいる車両を特定することができる。
【0026】
記憶部102は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部102には、制御部101にて実行される各種プログラム、当該プログラムが利用するデータ等が記憶される。また、記憶部102には、前述した電子鍵を生成するためのデータ(認証関連データ)、および前述した端末データが記憶される。
図3は、端末データの例である。端末データは、携帯端末200の識別子、携帯端末200に関連付いた車両10の識別子、携帯端末200の位置情報などを含む。これらのデータは、制御部101が携帯端末200と通信した結果に基づいて、周期的に更新される。
【0027】
通信部103は、ネットワーク経由で携帯端末200と通信を行うためのインタフェースである。
【0028】
次に、携帯端末200について説明する。図4は、携帯端末200の構成の一例を概略的に示したブロック図である。
携帯端末200は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)といった小型のコンピュータである。携帯端末200は、制御部201、記憶部202、通信部203、入出力部204、および近距離通信部205を有して構成される。
【0029】
制御部201は、携帯端末200の制御を司る手段である。制御部201は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。制御部201は、後述する記憶部202に記憶されたプログラムをCPUによって実行することでこれらの機能を実現してもよい。
【0030】
制御部201は、機能モジュールとして、貸与処理部2011、認証部2012、および、交換処理部2013を有している。各機能モジュールは、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0031】
貸与処理部2011は、予約したシェアリング車両の電子鍵をサーバ装置100から取得する。
具体的には、貸与処理部2011は、サーバ装置100に対して、電子鍵の発行を要求
するデータ(以下、鍵発行要求)を送信する。サーバ装置100において生成された電子鍵は、通信部203を介して受信される。
【0032】
認証部2012は、自装置が有する電子鍵を、車両10に搭載された施解錠装置300に送信し、車両10の施解錠を行う処理を実行する。
具体的には、後述する入出力部204を介して操作画面をユーザに提供し、ユーザが行った操作に基づいて、施錠または解錠を行うための要求を生成する。例えば、貸与処理部2011は、タッチパネルディスプレイに、解錠を行うためのアイコン、施錠を行うためのアイコン等を出力し、ユーザによって行われた操作に基づいて、施錠または解錠を要求するデータを生成する。当該データは、電子鍵とともに施解錠装置300へ送信される。
【0033】
なお、ユーザが行う操作は、タッチパネルディスプレイを介したものに限られない。例えば、ハードウェアスイッチ等によるものであってもよい。
なお、携帯端末200が電子鍵を有していない場合、操作画面からの施錠操作および解錠操作は不可能となる。
携帯端末200が取得する電子鍵は、不変のキーであってもよいし、ワンタイムキーであってもよい。いずれの場合も、電子鍵と照合を行うためのデータ(認証情報)が、施解錠装置300に事前に記憶される。
【0034】
交換処理部2013は、他の携帯端末200と、車両の電子鍵を交換する処理を行う。
自車両が第二の車両である場合、交換処理部2013は、ユーザが行った操作に基づいて、順番の交換を第一の車両に提案するためのデータ(提案データ)を生成し、サーバ装置100に送信する。
また、自車両が第一の車両である場合、交換処理部2013は、サーバ装置100から送信された提案データの内容をユーザに提示し、これを受諾するか否かを確認する処理を行う。
【0035】
記憶部202は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部202には、サーバ装置100から送信された電子鍵、および、制御部201にて実行される各種プログラム、データ等が記憶される。
【0036】
通信部203は、携帯端末200をネットワークに接続するための通信手段である。本実施形態では、4GやLTE等の移動体通信サービスを利用して、ネットワーク経由で他の装置(例えばサーバ装置100)と通信を行うことができる。
【0037】
入出力部204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示する手段である。具体的には、タッチパネルとその制御手段、液晶ディスプレイとその制御手段から構成される。タッチパネルおよび液晶ディスプレイは、本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。
【0038】
近距離通信部205は、施解錠装置300との間で近距離無線通信を行うためのインタフェースである。近距離通信部205は、所定の無線通信規格を用いて、近距離(数cm程度)における通信を行う。
本実施形態では、近距離通信部205は、Bluetooth(登録商標)LowEnergy規格(以下、BLE)によるデータ通信を行う。なお、本実施形態ではBLEを例示するが、他の無線通信規格も利用可能である。例えば、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、Wi-Fi(登録商標)などを利用することもできる。
【0039】
施解錠装置300は、車両10に搭載された装置であって、ドアの施錠および解錠を行う装置である。施解錠装置300は、携帯端末200と近距離無線通信を行って当該携帯端末200を認証する機能と、携帯端末200を認証した結果に基づいて、電子ロックの施解錠を行う機能を有している。なお、本実施形態では施解錠という語を用いるが、施解錠装置300は、認証の結果に基づいて、車両10のエンジン(またはシステム)の始動を可能にしてもよい。
【0040】
図5は、施解錠装置300の構成の一例を概略的に示したブロック図である。
施解錠装置300は、制御部301、記憶部302、および、近距離通信部303を有して構成される。
【0041】
制御部301は、近距離通信部303を介して携帯端末200と近距離無線通信を行い、携帯端末200を認証する制御と、認証結果に基づいて電子ロックの施解錠を行う制御を行うモジュールである。制御部301は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。
【0042】
制御部301は、機能モジュールとして認証部3011を有している。当該機能モジュールは、記憶手段(ROM等)に記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0043】
認証部3011は、携帯端末200から送信された電子鍵に基づいて、携帯端末200の認証を行う。具体的には、記憶部302に記憶された認証情報と、携帯端末200から送信された電子鍵とを照合し、これらが整合した場合に、認証成功と判断する。双方の情報が整合しない場合、認証失敗と判断する。認証部3011が携帯端末200の認証に成功した場合、車両10が有する電子ロックに対して、施解錠を行うための指令が送信される。なお、認証部3011が行う認証の方式は、認証情報同士を単純に比較して同一性を検証する方式であってもよいし、非対称暗号を用いた方式であってもよい。
【0044】
記憶部302は、情報を記憶する手段であり、RAM、磁気ディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体により構成される。記憶部302には、携帯端末200から送信された電子鍵と照合するための認証情報や、制御部301にて実行される各種プログラム、データ等が記憶される。
【0045】
近距離通信部303は、近距離通信部205と同一の通信規格によって、携帯端末200との間で通信を行う手段である。
【0046】
図6および図7は、前述した各構成要素間で送受信されるデータのフローを示した図である。図6は、ユーザが車両10の貸与を受ける際の処理を示した図であり、図7は、二台の車両が互いの順番を交換する際の処理を示した図である。
【0047】
まず、図6を参照し、車両10の貸与処理について説明する。
携帯端末200は、サーバ装置100に対して、任意のタイミングで鍵発行要求を送信する(ステップS11)。
次に、サーバ装置100(車両貸出部1011)は、鍵発行要求を受信したか否かを判定する(ステップS12)。鍵発行要求を受信した場合、サーバ装置100(車両貸出部1011)は、対応する車両の電子鍵を取得し(ステップS13)、携帯端末200に送信する(ステップS14)。鍵発行要求を受信していない場合、初期状態に戻る。この際、車両貸出部1011は、車両の予約状況を表すデータを参照することで、電子鍵の送信可否を判定、または、送信する電子鍵を特定してもよい。
これにより、携帯端末200のユーザは、当該携帯端末200を用いて車両10(施解
錠装置300)にアクセスすることが可能になる。
【0048】
電子鍵の送信が完了すると、車両貸出部1011は、車両10と携帯端末200の関連付けを記憶する(ステップS15)。これにより、例えば、図3に示したような端末データのレコードが新しく生成される。
【0049】
車両10と携帯端末200の関連付けが完了すると、サーバ装置100は、携帯端末200に対して位置情報の送信を周期的に要求する(ステップS16)。また、携帯端末200が、これに応答して、自装置の位置情報をサーバ装置100に送信する(ステップS17)。サーバ装置100は、受信した位置情報を用いて、端末データの更新を行う。これによりサーバ装置100は、貸し出し中の車両10の現在位置を把握することができる。
なお、本例では、携帯端末200から位置情報を収集する例を挙げるが、車両10に通信機能が備わっている場合、サーバ装置100が、車両10から位置情報を収集してもよい。
【0050】
ステップS16およびS17の処理は、ユーザが車両を返却するまで周期的に実行される。ユーザが車両を返却した場合、サーバ装置100は、端末データの該当するレコードを削除する。
【0051】
次に、図7を参照して、待ち行列に並んでいる複数の車両が、その順番を交換する処理について説明する。ここで、携帯端末200Aは、待ち行列の前方に位置する車両10Aの乗員が所持する端末である。また、携帯端末200Bは、待ち行列の後方に位置する車両10Bの乗員が所持する端末である。本例では、車両10Bが、待ち行列の前方に位置する車両と、順番の交換を希望し、車両10Aがこれに応じる例を挙げる。
図8は、車両10Aおよび10Bの位置関係を示した図である。以降、車両10Aの乗員を第一のユーザ、車両10Bの乗員を第二のユーザと称する。
【0052】
ステップS21では、第二のユーザが、携帯端末200Bを介して、順番の交換を提案するにあたっての条件(提案条件)を入力する。提案条件は、順番を交換するにあたって提供可能な謝礼(インセンティブ)の内容を含む。
例えば、車両10Aおよび10Bが、特定の店舗において飲食サービスの提供を待っている場合、第二のユーザは、車両10Aの乗員(第一のユーザ)に対して、謝礼として、飲食物を購入可能な電子クーポンの提供を申し出ることができる。また、車両10Aおよび10Bが、駐車場の入庫を待っている場合、第二のユーザは、車両10Aの乗員(第一のユーザ)に対して、謝礼として、駐車料金の一部負担を申し出ることができる。
【0053】
ステップS22では、携帯端末200が、入力された提案条件に基づいて、提案データを生成し、サーバ装置100へ送信する。提案データは、第一の車両(携帯端末200B)の現在位置、謝礼の内容等を含むデータである。
【0054】
ステップS23では、サーバ装置100(マッチング部1012)が、受信した提案データに基づいて、車両同士のマッチングを行う。本ステップでは、記憶された端末データに基づいて、同じ施設において順番待ちをしている車両の有無を判定する。
マッチング候補となる車両が存在する場合(ステップS24-Yes)、サーバ装置100は、提案データを、当該車両に関連付いた携帯端末200Aに送信する(ステップS25A)。マッチング候補となる車両が存在しない場合(ステップS24-No)、処理は初期状態に戻る。
【0055】
ステップS25Aにおいて、提案データを受信した携帯端末200Aは、互いの車両の
位置関係と、提案条件を第一のユーザに提示し、提案を受け入れるか否かの選択を行わせる。結果はステップS25Bにおいてサーバ装置100へ送信される。
提案が受諾された場合(ステップS26-Yes)、サーバ装置100は、それぞれの車両に対応する電子鍵を取得する(ステップS27)。すなわち、車両10Aに対応する電子鍵と、車両10Bに対応する電子鍵が取得される。提案が受諾されなかった場合(ステップS26-No)、処理は初期状態に戻る。
【0056】
次いで、サーバ装置100は、携帯端末200Aに対して、車両10Bの電子鍵と、謝礼に対応するデータ(インセンティブデータ)を送信する(ステップS28)。なお、本ステップにおいて、サーバ装置100は、謝礼に対応するポイントやクーポン等を第二のユーザに購入させる処理を実行してもよい。
また、サーバ装置100は、携帯端末200Bに対して、車両10Aの電子鍵を送信する(ステップS29)。これにより、車両10Aの乗員と、車両10Bの乗員は、シェアリング車両ごと、順番の交換を行うことができる。双方の乗員が現地で車両を乗り換えると、順番の交換が完了する。
【0057】
車両の交換が完了すると、サーバ装置100が、記憶されている端末データを更新し、携帯端末と車両との関連付けを再度行う。前述した例では、携帯端末200Aが車両10Bと関連付けられ、携帯端末200Bが車両10Aと関連付けられる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る車両システムでは、所定の施設等において順番待ちをしている複数の車両の順番を交換することができる。
なお、本実施形態では、インセンティブを表すデータを携帯端末に直接送信したが、当該データは、電子マネーや電子クーポンを管理するサーバ装置等に送信してもよい。例えば、第二のユーザが所有する、ネットサービスのアカウントからポイントを減算し、当該ポイント、または、当該ポイントで購入した電子クーポン等を、第一のユーザが所有するアカウントに付与する処理を、当該ネットサービスを提供するサーバ装置に行わせてもよい。
【0059】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本発明はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0060】
また、実施形態の説明では、マッチング候補として一台の車両を選択したが、マッチング候補となる車両は複数台であってもよい。この場合、所定の基準に基づいて、マッチングの対象となる車両を決定してもよい。例えば、最も早く応答した車両をマッチングの対象として決定してもよい。
【0061】
さらに、謝礼に関する交渉を可能にしてもよい。例えば、ステップS21において第一のユーザが提案条件(謝礼の内容)を入力せず、ステップS25Bにおいて、第二のユーザが、希望する謝礼を回答してもよい。さらに、謝礼の積み増しを交渉してもよい。この場合、第一のユーザと第二のユーザとの間で更なるインタラクションを行い、交渉が成立した場合にのみ、ステップS26以降の処理を進めるようにしてもよい。
【0062】
また、実施形態の説明では、第二の車両が、順番の交換を申し出たが、順番の交換は、第一の車両から申し出てもよい。この場合、図7に示した、携帯端末200Aと携帯端末200Bが逆になる。例えば、携帯端末200Aが、第一のユーザが希望する謝礼の内容を含む提案データを生成し、携帯端末200Bを介してこれを受信した第二のユーザが、
提案の受諾可否を選択してもよい。
【0063】
また、マッチング候補の車両が複数ある場合、入札形式で回答を収集し、最も良い条件を提示した車両をマッチングの対象としてもよい。
【0064】
また、実施形態の説明では、サーバ装置100が電子鍵の交換を仲介したが、携帯端末200同士が直接通信を行うことで、電子鍵の交換、および、インセンティブデータの送受信を行うようにしてもよい。
【0065】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0066】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0067】
100・・・サーバ装置
101,201,301・・・制御部
102,202,302・・・記憶部
103,203・・・通信部
200・・・携帯端末
204・・・入出力部
205,303・・・近距離通信部
300・・・施解錠装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8