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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】軸の締結構造
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/04 20060101AFI20241001BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20241001BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
F16D1/04 200
F16H1/16 Z
F16H19/04 E
F16H19/04 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020206764
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022093996
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康紘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 卓司
(72)【発明者】
【氏名】大川 航輝
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-063970(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/16
F16D 1/04
F16H 1/16
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸の軸端部に連結されて前記駆動軸と一体に回転する支持部材と、
前記駆動軸の軸線を挟むように並ぶ2箇所に配置され、前記支持部材にそれぞれ前記軸線に対して進退可能に支持された一対の爪部材と、
前記支持部材に回転自在に支持された軸部材の回転を往復運動に変換して前記一対の爪部材に伝達する開閉機構とを備え、
前記爪部材は、前記駆動軸の軸方向から見て前記軸線に向けて開く谷状の凹部を有し、
前記一対の爪部材は、前記軸部材が一方に回転することによりそれぞれ前記軸線に接近し、前記軸部材が他方に回転することによりそれぞれ前記軸線から離間する構成が採られ、
前記一対の爪部材は、それぞれ棒状に形成されて前記軸線とは直交する方向に延びる状態で互いに平行に並んでいるとともに、前記支持部材に前記軸線に対して進退できるように平行移動可能に支持され、
前記軸部材は、軸方向の一端側と他端側とに左右逆の雄ねじが形成された左右ねじによって構成され、
前記開閉機構は、前記軸部材の前記雄ねじと、この雄ねじが螺合するように前記一対の爪部材の端部に形成された雌ねじとを用いて構成されていることを特徴とする軸の締結構造。
【請求項2】
駆動軸の軸端部に連結されて前記駆動軸と一体に回転する支持部材と、
前記駆動軸の軸線を挟むように並ぶ2箇所に配置され、前記支持部材にそれぞれ前記軸線に対して進退可能に支持された一対の爪部材と、
前記支持部材に回転自在に支持された軸部材の回転を往復運動に変換して前記一対の爪部材に伝達する開閉機構とを備え、
前記爪部材は、前記駆動軸の軸方向から見て前記軸線に向けて開く谷状の凹部を有し
前記一対の爪部材は、前記軸部材が一方に回転することによりそれぞれ前記軸線に接近し、前記軸部材が他方に回転することによりそれぞれ前記軸線から離間する構成が採られ、
前記一対の爪部材は、それぞれ棒状に形成されて前記軸線とは直交する方向に延びているとともに、一端部どうしが接離可能となるように他端部が前記支持部材に揺動自在に支持され、
前記軸部材は、軸方向の一端側と他端側とに左右逆の雄ねじが形成された左右ねじによって構成され、
前記開閉機構は、前記軸部材の前記雄ねじと、この雄ねじが螺合するように前記一対の爪部材の前記一端部に設けられた雌ねじとを用いて構成されていることを特徴とする軸の締結構造。
【請求項3】
請求項記載の軸の締結構造において、
前記一対の爪部材の前記他端部は、前記軸線方向に延びる支軸を介して前記支持部材に揺動自在かつ着脱自在に支持され、
前記支軸は、前記一対の爪部材が並ぶ方向において複数の位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする軸の締結構造。
【請求項4】
駆動軸の軸端部に連結されて前記駆動軸と一体に回転する支持部材と、
前記駆動軸の軸線を挟むように並ぶ2箇所に配置され、前記支持部材にそれぞれ前記軸線に対して進退可能に支持された一対の爪部材と、
前記支持部材に回転自在に支持された軸部材の回転を往復運動に変換して前記一対の爪部材に伝達する開閉機構とを備え、
前記爪部材は、前記駆動軸の軸方向から見て前記軸線に向けて開く谷状の凹部を有し
前記一対の爪部材は、前記軸部材が一方に回転することによりそれぞれ前記軸線に接近し、前記軸部材が他方に回転することによりそれぞれ前記軸線から離間する構成が採られ、
前記一対の爪部材は、これらの爪部材が並ぶ方向に延びるラックをそれぞれ有しているとともに、前記支持部材に前記軸線に対して進退できるように平行移動可能に支持され、
前記軸部材は、ウォームギアによって構成され、
前記開閉機構は、
前記一対の爪部材のうち一方の前記爪部材の前記ラックに噛合する第1のピニオンおよび他方の前記爪部材の前記ラックに噛合する第2のピニオンと、
前記ウォームギアに噛合するとともに前記第1のピニオンと同軸上で一体に回転する第1のウォームホイールと、
前記ウォームギアに噛合するとともに前記第2のピニオンと同軸上で一体に回転する第2のウォームホイールとを有していることを特徴とする軸の締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する駆動軸に被駆動軸を締結する軸の締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用機械の回転する被駆動軸にこれを駆動するアクチュエータの駆動軸を連結するにあたっては、回転力が正しく伝達されるように、両軸を締結構造によって連結することが多い。産業用機械として例えば空調用ダクトに設けられるダンパにおいては、ダンパ軸(被駆動軸)を緊縛して駆動軸に連結する締結構造が採用されている。ダンパ軸は、断面形状が円形または四角形で、その軸径は、φ6mm~φ26mm前後である。また、ダンパ軸に伝える駆動力は、最大40Nm前後である。
【0003】
この種の締結構造は、例えば特許文献1に記載されているように、駆動軸と一体に回転する支持部材にダンパ軸を側方(軸線とは直交する方向)から重ね、このダンパ軸を側方から囲むような形状のねじ部材で支持部材に締結する構成が採られている。この締結構造を有するアクチュエータは、支持壁にダンパ軸とは直交する方向への平行移動を許容する取付構造によって取付けられている。
【0004】
このような取付構造を用いる理由は、駆動軸に対してダンパ軸が偏芯した状態で組付けられると、駆動時にアクチュエータがダンパ軸を中心として揺動するようになるからである。アクチュエータの揺動を許容するにあたって、アクチュエータの筐体にダンパ軸とは直交する方向に延びる切り欠きが形成され、この切り欠きに、支持壁に突設された突起が移動自在に挿入されている。切り欠きは、駆動時にアクチュエータが回転反力で回転することを規制するために、筐体の駆動軸から離間した端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2005/0287947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている締結構造では、ダンパ軸が駆動軸に対して偏芯してしまい、アクチュエータの駆動力がダンパ軸に伝達される際の伝達効率が低くなるという問題があった。偏芯量は、ダンパ軸の軸径が小さいほど大きくなる。
また、ダンパ軸が偏芯して取付けられることを考慮して偏芯の影響を吸収する取付構造を採用しなければならない。このため、アクチュエータを設計する際の制約や条件が多くなるし、アクチュエータの製造コストも高くなってしまう。
【0007】
さらに、上述した取付構造が設けられていても、製品取付後に全動作範囲にわたって正常に動作可能か否かを確認する作業が必要であった。この理由は、筐体の末端に存在する切り欠きが支持壁に突設された突起に引っかかったり、突起から外れたりして動作不良となるおそれがあるからである。
【0008】
本発明の目的は、被駆動軸が駆動軸に偏芯することなく連結される軸の締結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明に係る軸の締結構造は、駆動軸の軸端部に連結されて前記駆動軸と一体に回転する支持部材と、前記駆動軸の軸線を挟むように並ぶ2箇所に配置され、前記支持部材にそれぞれ前記軸線に対して進退可能に支持された一対の爪部材と、前記一対の爪部材に開閉機構を介して連結された軸部材とを備え、前記爪部材は、前記駆動軸の軸方向から見て前記軸線に向けて開く谷状の凹部を有し、前記開閉機構は、前記軸部材の回転を往復運動に変換して前記一対の爪部材に伝達するように構成され、前記一対の爪部材は、前記軸部材が一方に回転することによりそれぞれ前記軸線に接近し、前記軸部材が他方に回転することによりそれぞれ前記軸線から離間するものである。
【0010】
本発明は、前記軸の締結構造において、前記一対の爪部材は、それぞれ棒状に形成されて前記軸線とは直交する方向に延びる状態で互いに平行に並んでいるとともに、前記支持部材に前記軸線に対して進退できるように平行移動可能に支持され、前記軸部材は、軸方向の一端側と他端側とに左右逆の雄ねじが形成された左右ねじによって構成され、前記開閉機構は、前記軸部材の前記雄ねじと、この雄ねじが螺合するように前記一対の爪部材の端部に形成された雌ねじとを用いて構成されていてもよい。
【0011】
本発明は、前記軸の締結構造において、前記一対の爪部材は、それぞれ棒状に形成されて前記軸線とは直交する方向に延びているとともに、一端部どうしが接離可能となるように他端部が前記支持部材に揺動自在に支持され、前記軸部材は、軸方向の一端側と他端側とに左右逆の雄ねじが形成された左右ねじによって構成され、前記開閉機構は、前記軸部材の前記雄ねじと、この雄ねじが螺合するように前記一対の爪部材の他端部に設けられた雌ねじとを用いて構成されていてもよい。
【0012】
本発明は、前記軸の締結構造において、前記一対の爪部材の前記他端部は、前記軸線方向に延びる支軸を介して前記支持部材に揺動自在かつ着脱自在に支持され、前記支軸は、前記一対の爪部材が並ぶ方向において複数の位置にそれぞれ設けられていてもよい。
【0013】
本発明は、前記軸の締結構造において、前記一対の爪部材は、これらの爪部材が並ぶ方向に延びるラックをそれぞれ有しているとともに、前記支持部材に前記軸線に対して進退できるように平行移動可能に支持され、前記軸部材は、ウォームギアによって構成され、前記開閉機構は、前記一対の爪部材のうち一方の前記爪部材の前記ラックに噛合する第1のピニオンおよび他方の前記爪部材の前記ラックに噛合する第2のピニオンと、前記ウォームギアに噛合するとともに前記第1のピニオンと同軸上で一体に回転する第1のウォームホイールと、前記ウォームギアに噛合するとともに前記第2のピニオンと同軸上で一体に回転する第2のウォームホイールとを有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、一対の爪部材が駆動軸の軸線に対して互いに接近あるいは互いに離間するように等間隔に動作する。このため、被駆動軸が一対の爪部材の間に挿入された状態で一対の爪部材を互いに接近する方向に移動させることによって、被駆動軸が一対の爪部材によって把持され、駆動軸と同一軸線上に位置して偏芯が無い状態で支持部材に締結される。
したがって、本発明によれば、被駆動軸が駆動軸に偏芯することなく連結される軸の締結構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1の実施の形態による軸の締結構造の正面図である。
図2図2は、図1におけるII-II線断面図である。
図3図3は、第1の実施の形態による軸の締結構造の斜視図である。
図4図4は、第1の実施の形態による軸の締結構造の分解斜視図である。
図5図5は、軸の締結構造の変形例を示す斜視図である。
図6図6は、軸部材の変形例を示す斜視図である。
図7図7は、軸の締結構造の変形例を示す斜視図である。
図8図8は、軸の締結構造の変形例を示す斜視図である。
図9図9は、軸部材とロッドの変形例を示す斜視図である。
図10図10は、軸部材を支持する部分の断面図である。
図11図11は、軸の締結構造の変形例を示す斜視図である。
図12図12は、第2の実施の形態による軸の締結構造の正面図である。
図13図13は、図12におけるXIII-XIII線断面図である。
図14図14は、第2の実施の形態による軸の締結構造の斜視図である。
図15図15は、第2の実施の形態による軸の締結構造の分解斜視図である。
図16図16は、第2の実施の形態による軸の締結構造の斜視図である。
図17図17は、第3の実施の形態による軸の締結構造の正面図である。
図18図18は、第3の実施の形態による軸の締結構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る軸の締結構造の一実施の形態を図1図11を参照して詳細に説明する。
図1に示す軸の締結構造1は、駆動軸2の軸端部に被駆動軸3を一体に回転するように連結するためのものである。駆動軸2は、図示していないアクチュエータによって駆動されて回転する。被駆動軸3は、図示してはいないが、例えば空調用ダクトに設けられているダンパの軸や、バルブアクチュエータの軸など、産業用機械の動力が加えられ回転する軸であれば、どのような軸でも使用可能である。
【0017】
この実施の形態による軸の締結構造1は、駆動軸2の軸端部に例えばスプライン嵌合(図示せず)によって一体に回転するように連結された支持部材4に後述する各機能部品を組付けて構成されている。締結構造1を構成する機能部品は、駆動軸2の軸線Cを挟むように並ぶ2箇所に配置された一対の爪部材5,6と、これらの爪部材5,6の一端部に開閉機構7(図2参照)を介して連結された軸部材8と、爪部材5,6の他端部を貫通するロッド9である。開閉機構7は、詳細は後述するが、軸部材8の回転を往復運動に変換して一対の爪部材5,6に伝達するように構成されている。
【0018】
この実施の形態による支持部材4は、駆動軸2の軸線Cとは直交する方向に延びる板状に形成されている。支持部材4の中央部には、図2に示すように、円形の穴11が形成されている。この穴11は、駆動軸2と同一軸線上に位置するように形成されている。
支持部材4の一端部には、図3に示すように、駆動軸2の軸線方向に延びる縦板12が一体に形成されている。縦板12は、図2に示すように、平面視においてコ字状に形成されている。縦板12の両端部には、この実施の形態による軸の締結構造1の機能部品の一つである軸部材8が貫通している。
【0019】
軸部材8は、軸線方向の一端側と他端側とに左右逆の雄ねじ13,14が形成された左右ねじで、縦板12の両端部に回転自在に支持されている。この軸部材8は、駆動軸2の軸線Cとは直交する方向に延びている。以下においては、軸部材8の一端側(図2においては左側)に形成された雄ねじを第1の雄ねじ13といい、軸部材8の他端側に形成された雄ねじを第2の雄ねじ14という。
【0020】
軸部材8の縦板12から突出した両端部には、それぞれナット15,16がねじ込まれて軸部材8に対して回ることがないように固着されている。
軸部材8の縦板12より内側であって一端側と他端側とには、一対の爪部材5,6が螺合している。以下においては、軸部材8の一端側に螺合する爪部材を第1の爪部材5といい、軸部材8の他端側に螺合する爪部材を第2の爪部材6という。これら第1および第2の爪部材5,6の説明は後述する。
【0021】
支持部材4の他端部、すなわち駆動軸2の軸線Cに対して縦板12とは反対側の端部には、角柱状の支持片17が突設されている。この支持片17には、ロッド9が貫通している。
ロッド9は、例えば右ねじのボルトによって構成され、長手方向の中央部が支持片17を貫通する状態で上述した軸部材8と平行に延びている。
【0022】
第1の爪部材5と第2の爪部材6は、それぞれ棒状に形成され、一端部に軸部材8が貫通するとともに他端部にロッド9が貫通する状態でこれらの部材を介して支持部材4に支持されている。すなわち、第1および第2の爪部材5,6は、駆動軸2の軸線Cを挟むように並ぶ2箇所に配置され、駆動軸2の軸線Cとは直交する方向であってかつ軸部材8とロッド9とが並ぶ方向に延びる状態で互いに平行に並んでいる。
【0023】
第1の爪部材5の一端部には、図2および図4に示すように、軸部材8の第1の雄ねじ13が螺合する第1の雌ねじ21が形成されている。第2の爪部材6の一端部には、軸部材8の第2の雄ねじ14が螺合する第2の雌ねじ22が形成されている。第1の雌ねじ21と第2の雌ねじ22は、左右逆となるように形成されている。すなわち、第1の雌ねじ21と第2の雌ねじ22は、一方が右ねじとなるように形成されているとともに、他方が左ねじとなるように形成されている。この実施の形態においては、軸部材8の第1および第2の雄ねじ13,14と、一対の爪部材5,6の第1および第2の雌ねじ21,22とを用いて開閉機構7が構成されている。
【0024】
第1の爪部材5の他端部にはねじ孔23が形成され、第2の爪部材6の他端部には貫通孔24が形成されている。ロッド9は、第2の爪部材6の外方から貫通孔24に挿入され、支持片17を貫通して第1の爪部材5のねじ孔23に螺合している。貫通孔24は、ロッド9の頭部側端部が摺動自在に嵌合するように形成されている。
このように軸部材8とロッド9とが第1の爪部材5と第2の爪部材6とに貫通することにより、第1および第2の爪部材5,6は、支持部材4に駆動軸2の軸線Cに対して進退できるように平行移動可能に支持されることになる。これらの第1および第2の爪部材5,6は、軸部材8が一方に回転することによりそれぞれ駆動軸2の軸線Cに接近し、軸部材8が他方に回転することによりそれぞれ駆動軸2の軸線Cから離間する。
【0025】
第1の爪部材5の長手方向の中央部と第2の爪部材6の長手方向の中央部とには、図2に示すように、駆動軸2の軸線方向から見て駆動軸2の軸線Cに向けて開く谷状の凹部25,26が形成されている。凹部25,26の壁面は、複数の歯25a,26aが並べて形成されている。これらの歯25a,26aは、駆動軸2の軸線Cと平行な方向に延びる突条によって形成されている。歯25a,26aの先端は角形状に形成されている。
【0026】
この実施の形態による軸の締結構造1においては、ナット15またはナット16に工具(図示せず)を係合させて軸部材8を回すことによって、この回転が第1および第2の雄ねじ13,14と第1および第2の雌ねじ21,22とからなる開閉機構7により往復運動に変換される。すなわち、軸部材8の回転が往復運動に変換されて一対の爪部材5,6の一端部にこれらを往復運動させるような推力が付与される。第1の爪部材5に作用する推力の方向は、第2の爪部材6に作用する推力の方向と反対の方向である。このとき、一対の爪部材5,6の他端部を貫通するロッド9が実質的にリニアガイドとして機能することにより、一対の爪部材5,6が互いに平行移動して爪部材5,6どうしの間隔が変わるようになる。
【0027】
すなわち、一対の爪部材5,6が駆動軸2の軸線Cに対して互いに接近あるいは互いに離間するように動作する。このため、被駆動軸3が爪部材5,6の凹部25,26の間に挿入された状態で一対の爪部材5,6を互いに接近する方向に移動させることによって、被駆動軸3が一対の爪部材5,6によって把持され、駆動軸2と同一軸線上に位置して偏芯が無い状態で支持部材4に締結される。このとき、第1の爪部材5と駆動軸2の軸線Cとの距離と、第2の爪部材6と駆動軸2の軸線Cとの距離は、常に等しい。このため、軸径が異なる被駆動軸3を連結する場合でも常に偏芯を抑えることができる。軸部材8を使用して第1および第2の爪部材5,6で被駆動軸3を締結した後、ロッド9を、大きなトルクに耐えるため締結力を向上することを目的として最後に増し締めする。
したがって、この実施の形態によれば、被駆動軸が駆動軸に偏芯することなく連結される軸の締結構造を提供することができる。
【0028】
このように被駆動軸3が駆動軸2とは偏芯することがないために、駆動軸2を有するアクチュエータの筐体に偏芯を吸収する構造を設ける必要がなく、アクチュエータの製造コストを低く抑えることができる。また、この軸の締結構造1を採用することにより、製品取付後に全動作範囲にわたって正常に動作可能か否かを確認する作業は不要になる。
【0029】
この実施の形態による軸の締結構造1は、例えば空調用ダクトに用いられるダンパの軸や、バルブの軸などにアクチュエータのトルク(駆動力)を伝達する重要な構造である。ダンパの軸やバルブの軸等の被駆動軸3の軸径は幅広く、回転に必要なトルクの値も幅広いが、この実施の形態によれば、それらの要求を満足する軸の締結構造が得られる。上述した実施の形態を採ることにより、伝達可能なトルクは、例えば50Nm以上になる。
また、この実施の形態による軸の締結構造1は、駆動軸2と一体に回転する支持部材4に一対の爪部材5,6を互いに近接、離間するように平行移動可能に設けたものであるから、特許文献1に記載されているようなギア等を使用する必要がないため、スペースが最小スペースで済み、結果的に小型が可能である。
【0030】
(第1の実施の形態の変形例1)
開閉機構は図5に示すように構成することができる。図5において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図5に示す軸の締結構造31は、図1図4に示した軸の締結構造1とは一対の爪部材5,6を支持する構造のみが異なっている。図5に示す軸の締結構造31は、一対の爪部材5,6の一端部を貫通する軸部材8(以下においては第1の軸部材8という)と、一対の爪部材5,6の他端部を貫通する第2の軸部材32とを備えている。これらの第1の軸部材8と第2の軸部材32は、図1に示す実施の形態を採るときに用いた軸部材8と同等のもので、左右ねじによって構成されている。
【0031】
第1の爪部材5の一端部は第1の軸部材8に螺合し、他端部は第2の軸部材32に螺合している。第2の爪部材6の一端部は第1の軸部材8に螺合し、他端部は第2の軸部材32に螺合している。第1の軸部材8と第2の軸部材32は、支持部材4に突設された縦壁33を貫通し、縦壁33を回転自在となるように貫通している。
この構成を採ることにより、一対の爪部材5,6の両端部に締結力を加えることができるから、駆動軸2から被駆動軸3に大きなトルクを伝達できるようになる。この場合の伝達可能なトルクは、例えば50Nm以上になる。
【0032】
(第1の実施の形態の変形例2)
軸部材は図6(A)~(C)に示すように構成することができる。これらの図において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図6(A)~(C)に示す軸部材8は、第1の雄ねじ13を有する第1の軸部材41と、第2の雄ねじ14を有する第2の軸部材42とに分けて形成されている。第1の軸部材41と第2の軸部材42を1本の軸部材8とするためには、図6(A)~(C)に示すような結合構造43~45を採ることができる。
【0033】
図6(A)に示す結合構造43は、第2の軸部材42の先端部に形成された穴43aに、第1の軸部材41の先端部に突設された柱状突起43bを挿入し、これら両者を接着剤で互いに接着する結合構造である。
図6(B)に示す結合構造44は、第2の軸部材42の先端部に形成されたねじ孔44aに、第1の軸部材41の先端部に突設されたねじ部44bをねじ込み、これら両者を接着剤で互いに接着する結合構造である。
【0034】
図6(C)に示す結合構造45は、第2の軸部材42の先端部に形成された穴45aに、第1の軸部材41の先端部に突設された柱状突起45bを嵌合させ、これら両者を接着剤で互いに接着するとともに止めねじ45cをねじ込む結合構造である。止めねじ45cは、第2の軸部材42の先端部の外周面に開口するねじ孔45dにねじ込まれ、先端が第1の軸部材41に押し付けられる。
軸部材8を図6(A)~(C)に示すように構成することにより、左ねじと右ねじのねじ部毎に軸部材(第1の軸部材41と第2の軸部材42)を形成することができるから、軸部材8の組立てが容易になる。
【0035】
(第1の実施の形態の変形例3)
第1の実施の形態による軸の締結構造は図7に示すように構成することができる。図7において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図7に示す軸の締結構造51は、図1図4に示した軸の締結構造1とは支持部材4と一対の爪部材5,6が異なっている。
【0036】
図7に示す支持部材4は、軸部材8とロッド9を支持する縦壁52,53を備えている。図7に示すロッド9は円柱状に形成されている。しかし、ロッド9は、図1に示す実施の形態のようにボルトによって構成することができる。縦壁52,53は、軸部材8とロッド9の軸線方向において対をなすように設けられており、それぞれ軸部材8とロッド9とが並ぶ方向に延びている。図7に示す軸部材8の両端部54,55は、ナットを省略して円柱状に描いてある。これらの縦壁52,53の長手方向の両端部52a,52b,53a,53bは、長手方向の中央部52c,53cより他方の縦壁に接近するように形成されている。軸部材8とロッド9は、この縦壁52,53の両端部52a,52b,53a,53bを貫通している。
【0037】
軸部材8とロッド9が貫通する第1および第2の爪部材5,6は、縦壁52,53に沿うような形状に形成されている。すなわち、第1および第2の爪部材5,6は、凹部25,26を有する中央部58,59が駆動軸2の軸線Cとは反対側に突出する形状に形成されている。
図7に示す構成を採ることにより、軸部材8の両端部54,55と、ロッド9の両端部56,57とが支持部材4から突出することがないか、突出したとしても突出量を少なくすることができるから、省スペース化が図られてコンパクトな軸の締結構造を実現することができる。
【0038】
(第1の実施の形態の変形例4)
第1の実施の形態による軸の締結構造は、図8図10に示すように構成することができる。図8図10において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図8に示す軸の締結構造61は、軸部材8とロッド9とがそれぞれ軸線方向の中央部のみで支持されている点で図1図4に示した軸の締結構造1とは異なっている。
【0039】
軸部材8とロッド9は、図9(A),(B)に示すように、軸線方向の中央部に両側より外径が小さい小径部62,63が形成されている。軸部材8の小径部62の外径と、ロッド9の小径部63の外径は、同一である。この実施の形態による軸部材8の先端部には、軸部材8を回転させるときに工具(図示せず)を係合させるための六角穴8aが形成されている。この実施の形態によるロッド9は、小径部63を挟む両側が円柱状に形成されている。上述した実施の形態とは異なり、六角柱状の頭部を有していない。
支持部材4は、軸部材8を回転自在に支持する第1の軸受構造64と、ロッド9を回転自在に支持する第2の軸受構造65とを備えている。これらの第1の軸受構造64と第2の軸受構造65は、同一の構成となるように形成されており、図10に示すように、支持部材4に突設された受け部材66と、この受け部材66と協働して軸部材8またはロッド9を挟持するキャップ67とを備えている。
【0040】
受け部材66とキャップ67の互いに対向する部分には、軸部材8やロッド9の小径部62,63が摺動自在に嵌合する断面円弧状の凹曲面66a,67aが形成されている。また、キャップ67は、軸部材8やロッド9とは直交する方向に延びる一対のボルト68を有している。これらのボルト68は、受け部材66を含めて支持部材4を貫通している。ボルト68の先端部にはナット69が螺着されている。このナット69を緩めてボルト68から外すことにより、キャップ67とともに軸部材8やロッド9を支持部材4から外すことができる。
【0041】
この実施の形態においては、軸部材8が軸線方向の中央部において軸受構造64によって支持部材4に回転自在に支持されるから、上述した実施の形態で示した支持部材4の縦板12が不要になる。また、軸部材8を工具で回すための2個のナット15,16を軸部材8に固着させる必要もない。このため、この実施の形態を採ることにより、部品数の削減と組立工数の削減とが図られてコストダウンを図ることができる。
【0042】
(第1の実施の形態の変形例5)
第1の実施の形態による軸の締結構造は、図11に示すように構成することができる。図11において、図1図4図8図10によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図11に示す軸の締結構造71は、軸部材8を支持する構造が他の実施の形態とは異なっている。
【0043】
図11に示す支持部材4は、軸部材8の一端部のみが貫通する縦壁72を有している。縦壁72は、軸部材8の回転を許容する状態で軸線方向への移動を規制している。
図11に示すロッド9は、図9(B)に示したロッド9と同様に、軸線方向の中央部に小径部63が形成されているとともに小径部63の両側がそれぞれ円柱状に形成され、支持部材4に図10で示したものと同等の軸受構造65によって回転自在かつ軸線方向への移動が規制されるように支持されている。
この実施の形態で示すように軸部材8の一端部のみが支持部材4に支持される構成を採ることにより、軸部材8に一対の爪部材5,6を組み付けて形成された組立体を支持部材4に簡単に取付けることができるから、組立が容易な軸の締結構造を実現できる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本発明に係る軸の締結構造は図12図16に示すように構成することができる。図12図16において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図12に示す軸の締結構造81は、揺動式の一対の爪部材82,83を備えている。以下においては、便宜上、図12の左側に位置する爪部材を第1の爪部材82といい、他方の爪部材を第2の爪部材83という。
【0045】
第1および第2の爪部材82,83は、それぞれ棒状に形成されて駆動軸2の軸線Cとは直交する方向に延びている。これらの爪部材82,83の長手方向の中央部には凹部25,26が形成されている。また、これらの爪部材82,83は、一端部82a,83aどうしが接離可能となるように他端部82b,83bが支持部材4に支軸84を介して揺動自在に支持されている。第1の爪部材82の凹部25は、第2の爪部材83の凹部26と対向している。支軸84は駆動軸2の軸線Cと平行に延びている。
【0046】
爪部材82,83の一端部82a,83aどうしは、開閉機構7を介して軸部材8に連結されている。軸部材8は、軸線方向の一端側と他端側とに左右逆の第1の雄ねじ13と第2の雄ねじ14とが形成された左右ねじによって構成されている。軸部材8の少なくとも一端部には、図示してはいないが、工具を係合させるためのナットが固着されている。
開閉機構7は、第1の爪部材82の一端部82aに回動自在に保持された円柱状の第1のナット部材85と、第2の爪部材83の一端部83aに回動自在に保持された円柱状の第2のナット部材86とを備えている。
【0047】
第1のナット部材85は、軸部材8の第1の雄ねじ13が螺合する第1の雌ねじ21が形成され、第1の爪部材82に形成された軸孔87(図15参照)に回動自在に嵌合している。軸孔87は、駆動軸2の軸線Cと平行に形成されている。第2のナット部材86は、軸部材8の第2の雄ねじ14が螺合する第2の雌ねじ22が形成され、第2の爪部材83に形成された軸孔88に回動自在に嵌合している。この軸孔88も駆動軸2の軸線Cと平行に形成されている。
【0048】
この実施の形態による開閉機構7は、軸部材8の第1および第2の雄ねじ13,14と、これらの第1および第2の雄ねじ13,14が螺合するように一対の爪部材82,83の一端部82a,83aに設けられた第1および第2のナット部材85,86の第1および第2の雌ねじ21,22とを用いて構成され、軸部材8の回転を往復運動に変換して第1および第2の爪部材82,83に伝達する。
【0049】
第1および第2の爪部材82,83の他端部82b,83bには、駆動軸2の軸線Cと平行に延びる貫通孔89,90が形成されている。この貫通孔89,90には、それぞれ支持部材4の支軸84が回動自在かつ着脱自在に嵌合している。このため、第1および第2の爪部材82,83は、支軸84を中心にして支持部材4に揺動自在かつ着脱自在に支持されることになる。支軸84は、第1の爪部材82と第2の爪部材83とが並ぶ方向において複数の位置にそれぞれ設けられている。この実施の形態による支軸84は、第1の爪部材82と第2の爪部材83とが並ぶ方向に所定の間隔をおいて離間する4箇所にそれぞれ設けられている。
【0050】
一対の爪部材82,83は、被駆動軸3の軸径に応じて4本の支軸84のうちの2本に接続される。被駆動軸3の軸径が相対的に小さい場合は、図16に示すように、4本の支軸84のうち、内側の2本の支軸84に第1、第2の爪部材82,83が接続される。被駆動軸3の軸径が相対的に大きい場合は、図14に示すように、4本の支軸84のうち、外側の2本の支軸84に第1、第2の爪部材82,83が接続される。
【0051】
この実施の形態による軸の締結構造81においては、軸部材8を回すことによって、この回転が第1および第2の雄ねじ13,14と第1および第2の雌ねじ21,22とからなる開閉機構7により往復運動に変換され、一対の爪部材82,83の一端部82a,83aにこれらが互いに接近あるいは離間する方向へ推力が付与される。このため、第1の爪部材82と第2の爪部材83とがそれぞれ支軸84を中心にして揺動し、両爪部材82,83の一端部82a,83aどうしの間隔が変わる。
【0052】
このため、被駆動軸3が一対の爪部材82,83の間に挿入された状態で一対の爪部材82,83の一端部82a,83aどうしが互いに接近する方向に移動することによって、被駆動軸3が一対の爪部材82,83によって把持され、駆動軸2と同一軸線上に位置して偏芯が無い状態で支持部材4に締結される。このとき、第1の爪部材82と第2の爪部材83とが等角度で揺動するため、第1の爪部材82と駆動軸2の軸線Cとの距離と、第2の爪部材83と駆動軸2の軸線Cとの距離は、常に等しい。このため、軸径が異なる被駆動軸3を連結する場合でも常に偏芯を抑えることができる。
したがって、この実施の形態においても、被駆動軸が駆動軸に偏芯することなく連結される軸の締結構造を提供することができる。
【0053】
このように被駆動軸3が駆動軸2とは偏芯することがないために、駆動軸2を有するアクチュエータの筐体に偏芯を吸収する構造を設ける必要がなく、アクチュエータの製造コストを低く抑えることができる。また、この軸の締結構造を採用することにより、製品取付後に全動作範囲にわたって正常に動作可能か否かを確認する作業は不要になる。さらに、この軸の締結構造81は、軸部材8を作業者が回すだけで被駆動軸3の締結が完了する構造で、操作箇所が1箇所であるから、作業効率がよい。このため、同一の現場で大量に用いられる場合であっても短時間で被駆動軸3の締結作業を完了させることができる。
【0054】
この実施の形態による一対の爪部材82,83の他端部82b,83bは、軸線方向に延びる支軸84を介して支持部材4に揺動自在かつ着脱自在に支持されている。支軸84は、一対の爪部材82,83が並ぶ方向において複数の位置にそれぞれ設けられている。
このため、被駆動軸3の軸径に合わせて第1の爪部材82と第2の爪部材83との間隔を変えることができるから、軸径が大きくなるにしたがって凹部25,26の歯25a,26aの当たり角度が大きくなる現象を緩和することができる。すなわち、相対的に太い被駆動軸3を連結する場合であっても、相対的に細い被駆動軸3を連結する場合と同等の高い軸締結力を維持することができる。
【0055】
(第3の実施の形態)
本発明に係る軸の締結構造は図17および図18に示すように構成することができる。図17および図18において、図1図4によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図17および図18に示す軸の締結構造91は、ギア駆動式の一対の爪部材92,93を備えている。以下においては、便宜上、図17の左側に位置する爪部材を第1の爪部材92といい、他方の爪部材を第2の爪部材93という。
【0056】
この実施の形態による一対の第1の爪部材92と第2の爪部材93は、先端部に凹部25,26を有する板状に形成されており、凹部25,26どうしが駆動軸2の軸線Cを挟んで互いに対向するように配置されている。これらの爪部材92,93は、駆動軸2の軸線Cに対して進退できるように、支持部材4に図示していないガイドレールやスライダなどを介して平行移動可能に支持されている。爪部材92,93の移動方向は駆動軸2の軸線Cとは直交する方向である。また、これらの爪部材92,93の一側部には、図18に示すように、これらの爪部材92,93が並ぶ方向に延びるラック94,95がそれぞれ設けられ、このラック94,95を含む開閉機構7を介してウォームギア96に連結されている。この実施の形態においては、ウォームギア96が本発明でいう「軸部材」に相当する。
【0057】
ウォームギア96は、第1の爪部材92と第2の爪部材93の側方近傍に配置され、図示していない支持構造を介して支持部材4に回転自在に支持されている。また、ウォームギア96は、その軸線C1が駆動軸2の軸線Cとは直交するとともに、第1の爪部材92と第2の爪部材93とが並ぶ方向とも直交するように配置されている。ウォームギア96の軸線C1は、第1の爪部材92と第2の爪部材93とが並ぶ方向において、駆動軸2の軸線Cと同一の位置に位置している。図示してはいないが、ウォームギア96の軸端部またはウォームギア96を支持する支持構造におけるウォームギア96と一体に回転する軸部材には、工具を係合させるための例えばナット状の部材が固着されている。
【0058】
開閉機構7は、ウォームギア96から第1の爪部材92に動力を伝達する第1のギア97と、ウォームギア96から第2の爪部材93に動力を伝達する第2のギア98とを備えている。第1のギア97と第2のギア98は、それぞれ軸心部を貫通する支軸(図示せず)を介して支持部材4に回転自在に支持されている。
第1のギア97は、ウォームギア96に一側方から噛み合う第1のウォームホイール97aと、この第1のウォームホイール97aと同一軸線上に位置付けられた第1のピニオン97bとから構成されている。第1のピニオン97bは、第1のウォームホイール97aに一体に形成されている。このため、第1のピニオン97bは、第1のウォームホイール97aと同軸上で一体に回転する。また、第1のピニオン97bは、第1の爪部材92のラック94と噛合している。
【0059】
第2のギア98は、ウォームギア96に他側方から噛み合う第2のウォームホイール98aと、この第2のウォームホイール98aと同一軸線上に位置付けられた第2のピニオン98bとから構成されている。第2のピニオン98bは、第2のウォームホイール98aに一体に形成されている。このため、第2のピニオン98bは、第2のウォームホイール98aと同軸上で一体に回転する。また、第2のピニオン98bは、第2の爪部材93のラック95と噛合している。
【0060】
この実施の形態による軸の締結構造91においては、ウォームギア96が例えば図18において反時計方向に回転することによって、第1のギア97が図18において時計方向に回転するととともに第2のギア98が図18において反時計方向に回転する。第1のギア97の回転は、第1のピニオン97bと第1の爪部材92のラック94との噛み合いによって往復運動に変換され、第1の爪部材92に伝達される。第1のギア97が図18において時計方向に回転することにより、第1の爪部材92が駆動軸2の軸線Cに接近する方向に移動する。
【0061】
一方、第2のギア98の回転は、第2のピニオン98bと第2の爪部材93のラック95との噛み合いによって往復運動に変換されて第2の爪部材93に伝達される。第2のギア98が図18において反時計方向に回転することにより、第2の爪部材93が駆動軸2の軸線Cに接近する方向に移動する。このため、ウォームギア96が回転方向の一方あるいは他方に回転することにより、一対の爪部材92,93が駆動軸2の軸線Cに対して互いに接近あるいは互いに離間するように動作する。
【0062】
このため、被駆動軸3が一対の爪部材92,93の間に挿入された状態で一対の爪部材92,93を互いに接近する方向に移動させることによって、被駆動軸3が一対の爪部材92,93によって把持され、駆動軸2と同一軸線上に位置して偏芯が無い状態で支持部材4に締結される。第1の爪部材92と駆動軸2の軸線Cとの距離と、第2の爪部材93と駆動軸2の軸線Cとの距離は、常に等しい。このため、軸径が異なる被駆動軸3を連結する場合でも常に偏芯を抑えることができる。
したがって、この実施の形態においても、被駆動軸が駆動軸に偏芯することなく連結される軸の締結構造を提供することができる。
【0063】
このように被駆動軸3が駆動軸2とは偏芯することがないために、駆動軸2を有するアクチュエータの筐体に偏芯を吸収する構造を設ける必要がなく、アクチュエータの製造コストを低く抑えることができる。また、この軸の締結構造を採用することにより、製品取付後に全動作範囲にわたって正常に動作可能か否かを確認する作業は不要になる。
さらに、この軸の締結構造は、ウォームギア96を作業者が回すだけで被駆動軸3の締結が完了する構造で、操作箇所が1箇所であるから、作業効率がよい。このため、同一の現場で大量に用いられる場合であっても短時間で被駆動軸3の締結作業を完了させることができる。
【0064】
さらにまた、この実施の形態による軸の締結構造においては、第1、第2の爪部材92,93にこれらの間隔が変わる方向に外力が加えられたとしても、ウォームギア96と第1および第2のウォームホイール97a,98aとの噛み合いに基づくセルフロック機能により第1および第2のギア97,98は回ることがない。このため、ウォームギア96を回さない限り締結が緩むことがないから、締結の信頼性が高い軸の締結構造を実現することができる。
【符号の説明】
【0065】
1,31,51,61,71,81,91…軸の締結構造、2…駆動軸、4…支持部材、5,82,92…第1の爪部材、6,83,93…第2の爪部材、7…開閉機構、8…軸部材、25,26…凹部、13…第1の雄ねじ、14…第2の雄ねじ、21…第1の雌ねじ、22…第2の雌ねじ、84…支軸、94,95…ラック、96…ウォームギア(軸部材)、97a…第1のウォームホイール、97b…第1のピニオン、98a…第2のウォームホイール、98b…第2のピニオン、C…軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18