(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】避雷装置
(51)【国際特許分類】
H05F 3/02 20060101AFI20241001BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20241001BHJP
E04C 2/52 20060101ALI20241001BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H05F3/02 P
E04H9/14 D
E04C2/52 X
E04F13/08 Y
(21)【出願番号】P 2020215975
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原山 賢
(72)【発明者】
【氏名】野村 成孝
(72)【発明者】
【氏名】久▲崎▼ 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】北丸 博章
(72)【発明者】
【氏名】春日 昭文
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 章
(72)【発明者】
【氏名】山岸 憲二
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-185017(JP,A)
【文献】特開平11-256723(JP,A)
【文献】特開2008-312311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00-7/00
E04H 9/14
E04C 2/52
E04F 13/08
E04C 2/00
E04F 13/14
H02G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平目地および鉛直目地を介して縦横に並べて配置された複数の外装パネルと、各前記外装パネルの自重を支持すると共に、躯体を介して接地された導電性の複数の下地部材と、前記水平目地内に設置された複数の支点部材であって、各前記支点部材の上方に位置する前記外装パネルの揺動の支点を構成する複数の支点部材と、を有する建築物の外装に設置される避雷装置であって、
前記水平目地における各前記支点部材の下方に設置され、前記下地部材に取り付けられることによって前記下地部材に電気的に接続され、前記外装パネルの外表面より外側に位置する外側部を有する導電性の取り付け部材と、
各前記取り付け部材における前記外側部に取り付けられことによって前記取り付け部材に電気的に接続され、前記外装パネルの外表面より外側に位置する導電性の受雷部材と、
を備え
、
一の前記受雷部材の端部と、他の前記受雷部材の端部とが、前記支点部材の下方において、前記取り付け部材の前記外側部に取り付けられている、避雷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の避雷装置であって、
前記受雷部材は、前記水平目地と平行に延伸する長尺状の部材である、避雷装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の避雷装置であって、
各前記取り付け部材の前記水平目地に平行な方向の幅は、各前記外装パネルの前記水平目地に平行な方向の幅の3割以下である、避雷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、建築物の外装に設置される避雷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築基準法上、高さ20mを超える建築物には、有効な避雷設備の設置が義務付けられている。例えば、このような建築物の屋上には、避雷設備としての避雷針が設置される。
【0003】
建築物において、落雷箇所は屋上に限られるものではなく、高層部の外装にも落雷するおそれがある。そのため、建築物の外装にも避雷装置を設置することが望ましい。従来、建築物の外装を構成するPC板の側面に、鉛直方向に延伸する受雷部材を固定し、該受雷部材をPC板固定用のアンカーボルトに電気的に接続することにより、接地を確保した避雷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建築物の外装に避雷装置を設置する際には、受雷部材を、鉄骨等の躯体を介して接地面に接地する必要がある。そのため、受雷部材と躯体との間の電気的接続経路確保のために外装に貫通部を設ける必要があり、外装の気密性(止水性)が低下するおそれがある。また、建築物の外装に避雷装置を設置する際には、避雷装置によって地震時における外装パネルの揺動が阻害されるおそれがある。上記従来の技術では、建築物の外装に避雷装置を設置する際に、外装の気密性(止水性)の低下抑制と、外装パネルの揺動の確保とを両立することが困難である。
【0006】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示される避雷装置は、建築物の外装に設置される避雷装置である。建築物の外装は、水平目地および鉛直目地を介して縦横に並べて配置された複数の外装パネルと、各前記外装パネルの自重を支持すると共に、躯体を介して接地された導電性の複数の下地部材と、前記水平目地内に設置された複数の支点部材であって、各前記支点部材の上方に位置する前記外装パネルの揺動の支点を構成する複数の支点部材と、を有する。避雷装置は、取り付け部材と、受雷部材とを備える。取り付け部材は、前記水平目地における各前記支点部材の下方に設置され、前記下地部材に取り付けられることによって前記下地部材に電気的に接続され、前記外装パネルの外表面より外側に位置する外側部を有する導電性の部材である。受雷部材は、各前記取り付け部材における前記外側部に取り付けられことによって前記取り付け部材に電気的に接続され、前記外装パネルの外表面より外側に位置する導電性の部材である。
【0009】
このように、本避雷装置は、外装パネルの外表面より外側に位置する受雷部材を備え、受雷部材は、取り付け部材、下地部材および躯体を介して接地面に接地される。そのため、本避雷装置によれば、建築物の外装への落雷を受雷部材で受雷し、取り付け部材等を介して接地面へと流すことができるため、落雷から外装を保護することができる。
【0010】
また、本避雷装置では、受雷部材を取り付けるための取り付け部材が、水平目地内に設置される。そのため、本避雷装置によれば、受雷部材と躯体との間の電気的接続経路を水平目地内に確保することができ、外装に避雷装置を設置することに伴う外装の気密性(止水性)の低下を抑制することができる。また、本避雷装置では、受雷部材は、外装パネルの外表面より外側に位置するために、地震時に揺動する外装パネルに干渉しない。また、取り付け部材は、水平目地22における支点部材の下方に設置されるために、取り付け部材が地震時に揺動する外装パネルに干渉することも抑制される。従って、本避雷装置によれば、外装に設置された避雷装置が地震時の外装パネルの揺動を阻害することを抑制することができる。
【0011】
(2)上記避雷装置において、前記受雷部材は、前記水平目地と平行に延伸する長尺状の部材である構成としてもよい。本避雷装置によれば、各受雷部材を建築物の外装の幅方向の広い範囲にわたって設けることができ、落雷から外装を効果的に保護することができる。
【0012】
(3)上記避雷装置において、一の前記受雷部材の一端は、一の前記取り付け部材における前記外側部に取り付けられ、前記一の受雷部材の他端は、前記一の取り付け部材と水平方向に隣り合う他の前記取り付け部材における前記外側部に取り付けられている構成としてもよい。本避雷装置によれば、各受雷部材を2つの取り付け部材によって安定的に支持することができると共に、各受雷部材を建築物の外装の幅方向のより広い範囲にわたって設けることができ、落雷から外装を極めて効果的に保護することができる。
【0013】
(4)上記避雷装置において、各前記取り付け部材の前記水平目地に平行な方向の幅は、各前記外装パネルの前記水平目地に平行な方向の幅の3割以下である構成としてもよい。本避雷装置によれば、取り付け部材が地震時に揺動する外装パネルに干渉することが効果的に抑制されるため、外装に設置された避雷装置が地震時の外装パネルの揺動を阻害することを効果的に抑制することができる。
【0014】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、避雷装置、避雷装置を備える建築物等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態における建築物100の側面構成を概略的に示す説明図
【
図2】本実施形態における建築物100の一部の側面構成を概略的に示す説明図
【
図3】本実施形態における建築物100の一部の断面構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.実施形態:
A-1.建築物100の構成:
図1は、本実施形態における建築物100の側面構成を概略的に示す説明図である。
図2は、本実施形態における建築物100の一部の側面構成を概略的に示す説明図である。
図2には、
図1のX1部における側面構成が拡大して示されている。
図3は、本実施形態における建築物100の一部の断面構成を概略的に示す説明図である。
図3には、
図2のIII-IIIの位置の断面構成が拡大して示されている。なお、各図において、Z軸方向は鉛直方向であり、Z軸正方向は上方向であり、Z軸負方向は下方向である。この点は、以降の図においても同様である。
【0017】
図1に示すように、建築物100は、外装20を備える。外装20は、複数の外装パネル21を備える。各外装パネル21は、水平方向視で略矩形の板状部材である。複数の外装パネル21は、水平目地22および鉛直目地23を介して、縦横(水平方向および鉛直方向)に並べて配置されている。本実施形態では、外装パネル21は、押出成形セメント板により構成されている。また、本実施形態では、複数の外装パネル21は、いわゆる縦張り工法により設置されている。
【0018】
また、
図2および
図3に示すように、建築物100の外装20は、下地部材31と、クリップ部材32と、ナット部材33と、ボルト34と、ロッキングブロック35と、シーリング材36と、ガスケット37と、レインバリア38と、水切りプレート46と、塞ぎゴム44とを備えている。下地部材31は、各外装パネル21の自重を支持する部材である。本実施形態では、下地部材31は、各水平目地22に沿って設けられた水平方向に延伸する部材であり、より具体的にはCT形鋼(CT-100×50×6×8)により構成されている。下地部材31は、フランジが鉛直方向に平行となり、かつ、ウェブが水平方向に平行となるような姿勢で設置されている。
【0019】
図3に示すように、下地部材31(のフランジ)には第1ブラケット41(例えば、山形鋼:L-90×90×7)が接合され、第1ブラケット41には第2ブラケット42(例えば、山形鋼:L-90×90×7)が接合され、第2ブラケット42は建築物100の躯体鉄骨40(例えば、H形鋼の梁)に接合されている。これにより、下地部材31は、躯体鉄骨40に支持されると共に、躯体鉄骨40を介して接地面に接地される(
図3の破線の矢印参照)。なお、第1ブラケット41および第2ブラケット42は、水平方向に沿って所定のピッチ(例えば、500mmピッチ)で設けられる。
【0020】
図3に示すように、各外装パネル21は、ボルト34により互いに締結されたクリップ部材32およびナット部材33によって挟持された状態で、クリップ部材32を介して下地部材31に支持されている。なお、クリップ部材32およびナット部材33の組は、各外装パネル21の上端部および下端部に、2組ずつ配置される。
【0021】
図2および
図3に示すように、ロッキングブロック35は、水平目地22内における、各外装パネル21の幅方向(
図2のX軸方向)の略中央の位置に配置されており、ロッキングブロック35の上方に位置する外装パネル21の揺動の支点を構成する。すなわち、
図2に示すように、地震時には、各外装パネル21は、ロッキングブロック35の位置を支点として、破線で示すように傾いた姿勢と、それとは反対側に傾いた姿勢とに繰り返しなるように、揺動する。ロッキングブロック35は、特許請求の範囲における支点部材の一例である。
【0022】
図3に示すように、シーリング材36は、下地部材31(のフランジの上端部)と各外装パネル21の下端部の室内側表面との間をシールする部材である。また、ガスケット37は、下地部材31(のフランジの下端部)と各外装パネル21の上端部の室内側表面との間をシールする部材である。また、レインバリア38は、水平目地22内に設置され、水平目地22と平行に延伸する部材であり、水平目地22への雨水の浸入を防止する。レインバリア38には、図示しない空気導入孔が設けられている。なお、鉛直目地23内にも、同様のレインバリアが設置されている。このように、本実施形態の外装20における水平目地22および鉛直目地23は、目地における室内側においてシーリング材36やガスケット37によって気密性・止水性を確保し、外気と目地内との圧力差をなくすことによって雨水の浸入を防ぐ等圧目地である。なお、
図2では、レインバリア38の図示を省略している。
【0023】
図3に示すように、水切りプレート46は、下地部材31の上側のフランジにおける屋外側の表面とウェブの上面とに沿って延伸し、さらに外装パネル21の上面まで至るような断面形状の板状部材である。水切りプレート46は、例えば、鋼板により形成されている。塞ぎゴム44は、略T字形の断面を有する部材であり、水切りプレート46における屋外側の端部を押さえるように設置されている。水切りプレート46および塞ぎゴム44により、室内への雨水の浸入が防止される。
【0024】
A-2.建築物100が備える避雷装置10の構成:
本実施形態の建築物100は、高さが20mを超える、比較的高層の建築物である。そのため、建築基準法に従い、建築物100における高さ20mを超える部分に、避雷設備が設置されている。具体的には、
図1に示すように、建築物100における高さ20mを超える部分の外装20に、避雷装置10が設置されている。なお、外装に設置された避雷装置10に加えて、建築物100の屋上に他の避雷設備(例えば、避雷針)が設置されていてもよい。
【0025】
図1から
図3に示すように、避雷装置10は、取り付け部材50と、受雷部材60とを備える。
図4は、取り付け部材50の詳細構成を示す説明図である。
図4には、取り付け部材50の平面(上面)構成が示されている。また、
図5は、受雷部材60の詳細構成を示す説明図である。
図5には、受雷部材60の平面(上面)構成が示されている。
【0026】
図2から
図4に示すように、取り付け部材50は、水平目地22内におけるロッキングブロック35の下方に設置されている。取り付け部材50は、所定の厚さ(例えば、厚さ2mm)の板状部材が折り曲げられた構成を有しており、導電性材料(例えば、アルミニウム)により形成されている。本実施形態における取り付け部材50の、水平目地22の延伸方向に直交する断面(
図3のYZ断面)の形状は、下地部材31のウェブの上面に配置された平板状部分と、該平板状部分の屋外側端部から鉛直下方に延伸すると共に、途中で屈折して斜め下方向に延伸する部分と、該部分の屋外側端部から屋外側に向かって、外装パネル21の外表面より外側まで水平方向に延伸する平板状部分と、を有する形状である。すなわち、取り付け部材50は、外装パネル21の外表面より外側に位置する外側部51を有している。取り付け部材50には、貫通孔52および54が形成されている。取り付け部材50は、貫通孔52に挿入されたビス58によって下地部材31に取り付けられており、これによって下地部材31に電気的に接続されている。なお、取り付け部材50における水平目地22の延伸方向(
図2のX軸方向)に沿った幅W1は、外装パネル21の幅W2の3割以下であることが好ましく、外装パネル21の幅W2の2割以下であることがさらに好ましい。
【0027】
図3および
図5に示すように、受雷部材60は、所定の厚さ(例えば、厚さ2mm)の板状部材が折り曲げられた構成を有しており、導電性材料(例えば、アルミニウム)により形成されている。本実施形態における受雷部材60の、水平目地22の延伸方向に直交する断面(
図3のYZ断面)の形状は、略L字形状(Y軸に平行な平板状部分と、該平板状部分の屋外側端部から下方に延伸する平板状部分と、から構成された形状)である。受雷部材60には、貫通孔62が形成されている。
図2および
図3に示すように、受雷部材60は、取り付け部材50の外側部51に取り付けられ、外装パネル21の外表面より外側に位置している。より具体的には、受雷部材60は、水平方向に延伸する長尺状の部材であり、ある受雷部材60の一端は、該一端に形成された貫通孔62に挿入されたボルト68によって、ある取り付け部材50における外側部51に取り付けられており、該受雷部材60の他端は、該他端に形成された貫通孔62に挿入されたボルト68によって、該取り付け部材50と水平方向に隣り合う他の取り付け部材50における外側部51に取り付けられている。すなわち、各受雷部材60は、水平方向視で、水平目地22に沿って、ある外装パネル21の幅方向中央付近の位置から該外装パネル21の隣の外装パネル21の幅方向中央付近の位置まで延伸している。受雷部材60は、取り付け部材50に取り付けられることによって、取り付け部材50に電気的に接続される。その結果、受雷部材60は、取り付け部材50、下地部材31、第1ブラケット41、第2ブラケット42および躯体鉄骨40を介して、接地面に接地される(
図3の破線の矢印参照)。
【0028】
図6から
図8は、避雷装置10の設置方法を示す説明図である。まず、
図6のA欄に示すように、下地部材31を設置し、下地部材31の上に水切りプレート46を敷く。次に、
図6のB欄に示すように、塞ぎゴム44を、水切りプレート46における屋外側の端部を上から押さえるようにして、外装パネル21の上面に設置することにより、止水する。
【0029】
次に、
図7のA欄に示すように、水切りプレート46の上に、取り付け部材50を設置する。設置された取り付け部材50の一部(外側部51)は、外装パネル21の外表面より外側に位置している。取り付け部材50の外側部51には、受雷部材60を留めるためのボルト(スタッドボルト)68が取り付けられている。次に、
図7のB欄に示すように、ビス58により、取り付け部材50を下地部材31に固定する。
【0030】
次に、
図8のA欄に示すように、取り付け部材50上に受雷部材60を設置する。
図5に示すように、受雷部材60に形成された貫通孔62は、拡径された部分(ルーズ孔部分)を有しており、該拡径された部分にボルト68を挿通することにより、受雷部材60を設置する。なお、受雷部材60の貫通孔62へのボルト68の挿通後、受雷部材60を水平方向にずらすことにより、ボルト68が貫通孔62における拡径部以外の部分に挿通された状態とする。最後に、
図8のB欄に示すように、ボルト68にナットを締め付けることにより、受雷部材60を取り付け部材50に固定する。以上の工程により、建築物100への避雷装置10の設置が完了する。
【0031】
A-3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の避雷装置10は、建築物100の外装20に設置される避雷装置である。建築物100の外装20は、複数の外装パネル21と、複数の下地部材31と、複数のロッキングブロック35とを有する。複数の外装パネル21は、水平目地22および鉛直目地23を介して縦横に並べて配置されている。各下地部材31は、各外装パネル21の自重を支持すると共に、躯体鉄骨40を介して接地された導電性の部材である。各ロッキングブロック35は、水平目地22内に設置されており、各ロッキングブロック35の上方に位置する外装パネル21の揺動の支点を構成する。
【0032】
また、本実施形態の避雷装置10は、取り付け部材50と、受雷部材60とを備える。取り付け部材50は、導電性部材であり、水平目地22における各ロッキングブロック35の下方に設置される。取り付け部材50は、下地部材31に取り付けられることによって下地部材31に電気的に接続されている。取り付け部材50は、外装パネル21の外表面より外側に位置する外側部51を有する。また、受雷部材60は、導電性部材であり、各取り付け部材50における外側部51に取り付けられることによって取り付け部材50に電気的に接続されている。また、受雷部材60は、外装パネル21の外表面より外側に位置する。
【0033】
このように、本実施形態の避雷装置10は、外装パネル21の外表面より外側に位置する受雷部材60を備え、受雷部材60は、取り付け部材50、下地部材31および躯体鉄骨40等を介して接地面に接地される。そのため、本実施形態の避雷装置10によれば、建築物100の外装20への落雷を受雷部材60で受雷し、取り付け部材50等を介して接地面へと流すことができるため、落雷から外装20を保護することができる。
【0034】
また、本実施形態の避雷装置10では、受雷部材60を取り付けるための取り付け部材50が、水平目地22内に設置される。そのため、本実施形態の避雷装置10によれば、受雷部材60と躯体鉄骨40との間の電気的接続経路を水平目地22内に確保することができ、外装20に避雷装置10を設置することに伴う外装20の気密性(止水性)の低下を抑制することができる。また、本実施形態の避雷装置10では、受雷部材60は、外装パネル21の外表面より外側に位置するために、地震時に揺動する外装パネル21に干渉しない。また、取り付け部材50は、ロッキングブロック35の下方に設置されるために、取り付け部材50が地震時に揺動する外装パネル21に干渉することも抑制される。従って、本実施形態の避雷装置10によれば、外装20に設置された避雷装置10が地震時の外装パネル21の揺動を阻害することを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態の避雷装置10では、受雷部材60は、水平目地22と平行に延伸する長尺状の部材である。そのため、本実施形態の避雷装置10によれば、各受雷部材60を建築物100の外装20の幅方向の広い範囲にわたって設けることができ、落雷から外装20を効果的に保護することができる。
【0036】
また、本実施形態の避雷装置10では、一の受雷部材60の一端は、一の取り付け部材50における外側部51に取り付けられ、該一の受雷部材60の他端は、該一の取り付け部材50と水平方向に隣り合う他の取り付け部材50における外側部51に取り付けられている。そのため、本実施形態の避雷装置10によれば、各受雷部材60を2つの取り付け部材50によって安定的に支持することができると共に、各受雷部材60を建築物100の外装20の幅方向のより広い範囲にわたって設けることができ、落雷から外装20を極めて効果的に保護することができる。
【0037】
また、本実施形態の避雷装置10において、各取り付け部材50の水平目地22に平行な方向の幅W1は、各外装パネル21の水平目地22に平行な方向の幅W2の3割以下であることが好ましい。このような構成によれば、取り付け部材50が地震時に揺動する外装パネル21に干渉することが効果的に抑制されるため、外装20に設置された避雷装置10が地震時の外装パネル21の揺動を阻害することを効果的に抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、建築物100の高さ20mを超える部分におけるすべての水平目地22に沿って、避雷装置10(受雷部材60)が設けられている。そのため、本実施形態によれば、建築物100の外装20における水平目地22のピッチ単位で避雷装置10(受雷部材60)を設けることができ、落雷から外装20を効果的に保護することができる。
【0039】
なお、本実施形態における避雷装置10は、外装パネル21の建込時(水平目地22構成時)に、建築物100の屋内側から施工することができるため、外部足場を必要とせず、施工の容易化およびコストダウンを実現することができる。
【0040】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0041】
上記実施形態における建築物100や避雷装置10の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、建築物100の高さ20mを超える部分におけるすべての水平目地22に沿って避雷装置10(受雷部材60)が設けられているが、必ずしもこのような構成である必要はなく、少なくとも1つの水平目地22に沿って避雷装置10(受雷部材60)が設けられていればよい。
【0042】
上記実施形態では、各受雷部材60が、水平方向に隣り合う2つの取り付け部材50にわたって取り付けられているが、各受雷部材60が1つの取り付け部材50に取り付けられていてもよい。また、上記実施形態では、各受雷部材60は、水平目地22と平行に延伸する長尺状の部材であるが、受雷部材60の形状は必ずしもこのような形状である必要はない。
【0043】
上記実施形態では、外装パネル21として押出成形セメント板が用いられているが、外装パネル21として他の外装パネル(例えば、PC板)が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10:避雷装置 20:外装 21:外装パネル 22:水平目地 23:鉛直目地 31:下地部材 32:クリップ部材 33:ナット部材 34:ボルト 35:ロッキングブロック 36:シーリング材 37:ガスケット 38:レインバリア 40:躯体鉄骨 41:第1ブラケット 42:第2ブラケット 44:塞ぎゴム 46:水切りプレート 50:取り付け部材 51:外側部 52:貫通孔 58:ビス 60:受雷部材 62:貫通孔 68:ボルト 100:建築物