(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】カウンセリング方法及びカウンセリング装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241001BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20241001BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2020561526
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049942
(87)【国際公開番号】W WO2020130103
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2018240364
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】水本 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】天野 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 征嗣
(72)【発明者】
【氏名】羽生 直人
(72)【発明者】
【氏名】安田 知永
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-515489(JP,A)
【文献】特開2016-77649(JP,A)
【文献】特開2002-56281(JP,A)
【文献】国際公開第2012/172625(WO,A1)
【文献】特表2016-538825(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンセリング装置によって実行されるカウンセリング方法であって、
ユーザの遺伝子検査の結果を表し、肌特性に関連する複数のSNPの有無を含む遺伝子情報と、前記ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得し、
前記角層情報がSCCA-1、MMP-9、IL-1ra、IL-1αのうちの少なくとも一つの量を含み、
前記肌特性に関連するSNPの有無に基づいて、前記肌特性の肌体質スコアを算出することにより前記ユーザの肌体質を判定し、
前記角層情報に基づいて前記ユーザの肌の能力を判定し、
前記肌体質と前記肌の能力とに基づいて前記ユーザに提案するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定し、
前記特定されたスキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報を含むカウンセリング情報を前記ユーザに提示する、
ことを含むカウンセリング方法。
【請求項2】
前記カウンセリング情報は、前記肌体質の情報と前記肌の能力の情報とを含む、
請求項1に記載のカウンセリング方法。
【請求項3】
前記ユーザの属性情報又は嗜好情報を取得する、
ことを含み、
前記スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することは、前記属性情報又は嗜好
情報にさらに基づく、
請求項1又は2に記載のカウンセリング方法。
【請求項4】
前記角層情報は、取得時期が異なる複数の角層検査の結果を含み、
前記肌の能力を判定することは、前記角層情報に基づいて肌の能力の変動パターンを判
定することを含む、
請求項1~3の何れか一項に記載のカウンセリング方法。
【請求項5】
前記ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画像情報を取得する、
ことを含み、
前記スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することは、前記肌画像情報にさら
に基づく、
請求項1~4の何れか一項に記載のカウンセリング方法。
【請求項6】
前記ユーザの属性情報又は嗜好情報と、前記ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画
像情報とを取得する、
ことをさらに含み、
前記スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することは、
前記肌の能力と前記属性情報又は嗜好情報と前記肌画像情報とに基づいて、前記ユーザ
の肌に影響する要素を抽出し、
前記肌体質と前記抽出された要素とに基づいて、スキンケアアドバイス及び/又は化粧
品を特定することを含む、
請求項1~5の何れか一項に記載のカウンセリング方法。
【請求項7】
前記カウンセリング情報は、ユーザが他のユーザと情報を交換し、又はスキンケアアド
バイス及び/又は化粧品に関する情報を得るためのコミュニティに関する情報を含む、請
求項1~6の何れか一項に記載のカウンセリング方法。
【請求項8】
前記カウンセリング情報は、肌の安定度に関する情報を含む、請求項1~7の何れか一
項に記載のカウンセリング方法。
【請求項9】
ユーザの遺伝子検査の結果を表し、肌特性に関連する複数のSNPの有無を含む遺伝子
情報と、前記ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得する取得部
であって、前記角層情報がSCCA-1、MMP-9、IL-1ra、IL-1αのうちの少なくとも一つの量を含み、
前記肌特性に関連するSNPの有無に基づいて、前記肌特性の肌体質スコアを算出する
ことにより前記ユーザの肌体質を判定する肌体質判定部と、
前記角層情報に基づいて前記ユーザの肌の能力を判定する肌の能力判定部と、
前記肌体質と前記肌の能力とに基づいて前記ユーザに提案するスキンケアアドバイス及
び/又は化粧品を特定する特定部と、
前記特定されたスキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報を含むカウンセリング情
報を前記ユーザに提示する提示部と、
を備えるカウンセリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カウンセリング方法及びカウンセリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの健康や美容に関するニーズに応えるべく、健康や美容を促進する医薬品、化粧品、食品等が販売されている。特に、肌の健康や美容に関しては、ユーザの意識及び関心の高さから多様な化粧品等が提供されている。ユーザは、多様な化粧品等の中から、自身の体質や現在の肌の状態、例えば、肌のバリア性、うるおい、シミ、シワ等の状態に応じて、自身に適した化粧品等を選択することができるようになっている。一方で、ユーザは、多様な化粧品等の内から自身に適した化粧品等を選択するために自身の体質や肌の状態をまず把握しなければならなかった。
【0003】
このようなユーザの負担を軽減すべく、ユーザの体質や肌の状態を検査し、その検査の結果に基づいて推奨される化粧品等の情報や肌へのアドバイスをユーザに提示することによって、ユーザが化粧品等を選択することを支援するサービスが提供されている。特に、ユーザの遺伝子の情報とユーザの肌に生じやすいリスクの種別との間には関連があることが知られているため、ユーザの遺伝子の情報に応じてユーザの肌に生じやすいリスクの種別に応じた対処方法を提示するカウンセリングが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ユーザの遺伝子の遺伝子多型情報を取得し、取得した遺伝子多型情報に基づいてユーザの体質に関する遺伝的特徴の有無を決定し、遺伝的特徴に応じて対処方法を提示する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、肌の状態は、遺伝子の情報に基づく遺伝的特徴に加え、紫外線等による日常的な肌へのダメージや肌のケアの状況といった、ユーザの過去及び現在の生活環境や生活習慣の影響(以下、外的及び内的リスクと称する。)を受けることが知られている。したがって、適切なスキンケアアドバイスや化粧品等の情報をユーザに提示するためには、カウンセリングにおいて、遺伝的特徴に加え、肌の状態を検査することによって得られる外的及び内的リスクを考慮する必要がある。
【0007】
カウンセリング方法及びカウンセリング装置の目的は、ユーザにとって適切なスキンケアアドバイスを提示することである。
【0008】
実施形態に係るカウンセリング方法は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得し、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定し、角層情報に基づいてユーザの肌の能力を判定し、肌体質と肌の能力とに基づいてユーザに提案するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定し、特定された肌体質と肌の能力とに基づいてユーザにスキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する、ことを含む。
【0009】
本開示において、スキンケアアドバイスは、睡眠や運動等の生活習慣、ユーザに適したスキンケア成分、化粧品、サプリメント、美容機器等のユーザに適したスキンケア手法や食事等の、健やかで美しい肌を保つことに寄与するあらゆることに関するアドバイスを含む。また、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報は、商品リコメンド情報を含んでもよい。
【0010】
実施形態に係るカウンセリング方法において、カウンセリング情報は、肌体質の情報と肌の能力の情報とを含む、ことが好ましい。
【0011】
実施形態に係るカウンセリング方法は、ユーザの属性情報又は嗜好情報を取得する、ことを含み、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することは、属性情報又は嗜好情報にさらに基づく、ことが好ましい。
【0012】
実施形態に係るカウンセリング方法において、角層情報は、取得時期が異なる複数の角層検査の結果を含み、肌の能力を判定することは、角層情報に基づいて肌の能力の変動パターンを判定することを含む、ことが好ましい。
【0013】
実施形態に係るカウンセリング方法は、ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画像情報を取得する、ことを含み、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することは、肌画像情報にさらに基づく、ことが好ましい。
【0014】
実施形態に係るカウンセリング方法は、ユーザの属性情報又は嗜好情報と、ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画像情報とを取得する、ことを含み、スキンケアアドバイスを特定することは、肌の能力と属性情報又は嗜好情報と肌画像情報とに基づいて、ユーザの肌に影響する要素を抽出し、肌体質と抽出された要素とに基づいて、スキンケアアドバイスを特定することを含む、ことが好ましい。
【0015】
実施形態に係るカウンセリング方法において、カウンセリング情報は、ユーザが他のユーザと情報を交換し、又はスキンケアアドバイス及び/又は化粧品に関する情報を得るためのコミュニティに関する情報を含む、ことが好ましい。
【0016】
実施形態に係るカウンセリング方法において、カウンセリング情報は、肌の安定度に関する情報を含む、ことが好ましい。
【0017】
実施形態に係るカウンセリング装置は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得する取得部と、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定する肌体質判定部と、角層情報に基づいてユーザの肌の状態を表す肌の能力を判定する肌の能力判定部と、肌体質と肌の能力とに基づいてユーザに提案するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定する特定部と、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する提示部と、を備える。
【0018】
実施形態によれば、カウンセリング方法及びカウンセリング装置は、ユーザにとってより適切なスキンケアアドバイスを提示することを可能とする。
【0019】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】カウンセリング装置3による処理の一例を示す模式図である。
【
図2】カウンセリングシステムSの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】カウンセリング装置3の概略構成の一例を示す図である。
【
図4】遺伝子情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】角層情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】SNPテーブル600のデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】遺伝的特徴判定テーブル700のデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】外的及び内的リスク判定テーブル800のデータ構造の一例を示す図である。
【
図9A】スキンケアアドバイステーブル900のデータ構造の一例を示す図である。
【
図9B】化粧品テーブル910のデータ構造の一例を示す図である。
【
図10】カウンセリング情報表示画像1000の一例を示す図である。
【
図11】カウンセリング装置3における処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図12】SNPテーブル600aのデータ構造の一例を示す図である。
【
図13】遺伝的特徴判定テーブル700aのデータ構造の一例を示す図である。
【
図14】問診情報入力画面1400の一例を示す図である。
【
図15】スキンケアアドバイステーブル900aのデータ構造の一例を示す図である。
【
図16】変動パターン判定テーブル1600のデータ構造の一例を示す図である。
【
図17】ユーザ情報テーブル1700のデータ構造の一例を示す図である。
【
図18】カウンセリング情報表示画像1000aの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0022】
図1は、カウンセリング装置3による処理の一例を示す模式図である。
【0023】
カウンセリング装置3は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報とユーザの角層検査の結果を表す角層情報とに基づいて、ユーザに適したスキンケアアドバイスや化粧品を特定し、特定したスキンケアアドバイスや化粧品の情報をユーザに提示する。カウンセリング装置3は、例えば、サービスの提供者によって運営される店舗に設置されるパーソナルコンピュータ(PC)である。カウンセリング装置3は、店舗の店員によって管理される多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)又は店舗の外に設置されるサーバ等であってもよい。
【0024】
図1(1)に示されるように、カウンセリング装置3は、ユーザの遺伝子情報と角層情報とを取得する。遺伝子情報は、遺伝子検査の結果を表す情報である。遺伝子情報は、例えば、ユーザの所定の遺伝子が、肌の特定の性状(肌特性)と関連があると知られている所定のSNP(Single Nucleotide Polymorphism;一塩基多型)のバリエーションを含むか否かを表す情報である。肌特性は、例えば、肌のバリア性、うるおい、シミ、シワ、肌のゆらぎ、日焼けダメージ、肌の敏感度、肌荒れ等の性状である。SNPは、特定の生物種(例えば、黄色人種)における塩基配列中の一部の塩基の変異であって、特定生物種内において所定頻度(例えば、1パーセント)以上の頻度で現れることが知られている変異をいう。所定のSNPを有する者は、そのSNPを有しないものと比較して、例えば、肌のシミを生じやすい、又は生じにくいといった特定の肌特性との関連があることが知られている。角層情報は、角層検査の結果を表す情報である。角層情報は、例えば、ユーザの肌の角層に種々の検査を実行することによって得られる、肌特性との関連が知られている所定の角層因子の含有量や生化学的又は形態学的特性に関する情報である。
【0025】
以降では、肌特性と関連があると知られているSNPの複数のバリエーションのうち、ユーザの肌特性に影響を及ぼすバリエーションを指して、単に「SNP」と表現することがある。
【0026】
続いて、
図1(2)に示されるように、カウンセリング装置3は、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定する。肌体質は、ユーザの肌の体質を表す情報である。肌体質は、肌特性ごとのユーザの肌の遺伝的特徴を表す情報である。肌体質は、ユーザの肌において、将来、問題となり得る肌特性を示す情報である。
【0027】
また、カウンセリング装置3は、角層情報に基づいて、ユーザの肌の能力を判定する。肌の能力は、肌特性ごとのユーザの肌の外的及び内的リスクの影響の程度を表す情報である。肌の能力は、ユーザの肌の美しくなる力を表す情報でもよい。肌の能力は、現在のユーザの肌において問題となっている、又は、近い将来、問題となり得る肌特性を示す情報である。
【0028】
続いて、
図1(3)に示されるように、カウンセリング装置3は、肌体質と肌の能力とに基づいて、ユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。続いて、
図1(4)に示されるように、カウンセリング装置3は、特定したスキンケアアドバイスや化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示し、一連の処理を終了する。
【0029】
このように、カウンセリング装置3は、ユーザの遺伝子の検査結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層の検査結果を表す角層情報とを取得し、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定し、角層情報に基づいてユーザの肌の能力を判定し、肌体質と肌の能力とに基づいてユーザに提案するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定し、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する。これにより、カウンセリング装置3は、肌体質情報によって表される遺伝的特徴と肌の能力情報によって表される外的及び内的リスクとに基づく、ユーザにとってより適切なスキンケアアドバイスや化粧品の情報を提示することを可能とする。
【0030】
図2は、カウンセリングシステムSの概略構成の一例を示す図である。カウンセリングシステムSは、遺伝子検査装置1と、角層検査装置2と、カウンセリング装置3とを備える。カウンセリングシステムSにおいて、遺伝子検査装置1と、角層検査装置2と、カウンセリング装置3とは、インターネット又はイントラネット等のネットワーク4を介して相互に通信可能に接続される。
【0031】
遺伝子検査装置1は、ユーザの身体から取得された遺伝子検査用の検体に対して遺伝子検査を実行し、遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報を生成し、生成された遺伝子情報をカウンセリング装置3に送信する。そのために、遺伝子検査装置1は、遺伝子検査部11と、遺伝子情報送信部12とを備える。
【0032】
遺伝子検査部11は、遺伝子検査用の検体に対して遺伝子検査を実行し、遺伝子情報を生成する。遺伝子情報は、例えば、ユーザの遺伝子が所定のSNPを含むか否かを表す情報である。
【0033】
遺伝子検査部11は、遺伝子検査用の検体から遺伝子情報を生成する。遺伝子検査用の検体は、例えば、ユーザの唾液、血液、粘膜等であるが、ユーザの核酸を精製可能な検体であればこれらに限られない。以下、遺伝子検査部11が遺伝子検査用の検体から遺伝子情報を生成する遺伝子情報生成処理の一例について説明する。まず、遺伝子検査部11は、公知の手法を用いて検体からユーザの核酸を精製する。続いて、遺伝子検査部11は、生成されたDNA(Deoxyribonucleic Acid)である核酸において所定のSNPの検出を試みることで所定のSNPの有無を判定する。所定のSNPとは、肌特性との関連が知られているSNPである。所定のSNPとして、肌特性ごとに単数又は複数のSNPが適宜選択されてよい。所定のSNPは、例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)を用いた方法やDNAプローブを用いた方法によって検出される。続いて、遺伝子検査部11は、所定のSNPの有無をコンピュータ読み取り可能なデジタルデータとして記録することで、遺伝子情報を生成する。
【0034】
遺伝子検査部11は、例えば、上述した遺伝子情報生成処理を実行可能な市販の遺伝子検査機器である。遺伝子検査部11は、上述した核酸の精製を実行可能な核酸精製機器及びSNPの検出を実行可能なSNP検出機器等の組み合わせでもよい。また、遺伝子情報生成処理の一部又は全部は検査者によって実行されてもよい。
【0035】
遺伝子情報送信部12は、生成された遺伝子情報をカウンセリング装置3に送信する。そのために、遺伝子情報送信部12は、ネットワーク4を介して、カウンセリング装置3と通信を行うための通信インタフェース回路を備える。遺伝子情報送信部12が備える通信インタフェース回路は、例えば、有線LAN(Local Area Network)の通信インタフェース回路等である。遺伝子情報送信部12は、ネットワーク4を介して、生成された遺伝子情報を自動的に、又は、遺伝子検査装置1の操作者若しくはカウンセリング装置3の要求に応じて、カウンセリング装置3に送信する。
【0036】
なお、遺伝子情報送信部12は、ネットワーク4を介さずに遺伝子情報をカウンセリング装置3に提供してもよい。例えば、遺伝子情報送信部12は、図示しない出力部を介して、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の外部記憶媒体に遺伝子情報を出力し、カウンセリング装置3にその外部記憶媒体を読み込ませることで遺伝子情報を提供してもよい。このとき、外部記憶媒体に遺伝子情報を出力する処理とカウンセリング装置3に外部記憶媒体を読み込ませる処理との一部又は全部は検査者によって実行されてよい。
【0037】
角層検査装置2は、ユーザの身体から粘着テープ等によって取得された角層試料に対して角層検査を実行し、角層検査の結果を表す角層情報を生成し、生成された角層情報をカウンセリング装置3に送信する。そのために、角層検査装置2は、角層検査部21と、角層情報送信部22とを備える。
【0038】
角層検査部21は、角層試料に対して角層検査を実行し、角層情報を生成する。角層情報は、肌特性との関連が知られている所定の角層因子の含有量や生化学的又は形態学的特性に関する情報である。
【0039】
角層検査部21は、角層試料から角層情報を生成する。角層試料は、例えば、粘着テープ等によって採取されたユーザの肌表面の組織であるが、角層細胞が含まれていればこれらに限られない。以下、角層検査部21が角層検査用の検体から角層情報を生成する角層情報生成処理について説明する。角層検査部21は、所定の角層因子の含有量や生化学的又は形態学的特性を測定する。例えば、角層検査部21は、肌のバリア性や敏感度との相関が知られている角層炎症タンパク質の量を測定する。角層炎症タンパク質の量は、角層試料に対してELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)法等の手法を用いた角層検査を実行することで測定され得る。続いて、角層検査部21は、測定した角層因子の含有量や生化学的又は形態学的特性に関する情報をコンピュータ読み取り可能なデジタルデータとして記録することで、角層情報を生成する。
【0040】
角層検査部21は、例えば、角層情報生成処理を実行可能な市販の角層検査機器である。角層検査部21は、それぞれ異なる角層情報生成処理を実行可能な複数の角層検査機器の組み合わせでもよい。また、角層情報生成処理の一部又は全部は検査者によって実行されてもよい。
【0041】
角層情報送信部22は、生成された角層情報をカウンセリング装置3に送信する。そのために、角層情報送信部22は、ネットワーク4を介して、カウンセリング装置3と通信を行うための有線LAN等の通信インタフェース回路を備える。角層情報送信部22は、ネットワーク4を介して、生成された角層情報を自動的に、又は、角層検査装置2の操作者若しくはカウンセリング装置3の要求に応じて、カウンセリング装置3に送信する。なお、角層情報送信部22は、上述したように、ネットワーク4を介さずに角層情報をカウンセリング装置3に提供してもよい。
【0042】
図3は、カウンセリング装置3の概略構成の一例を示す図である。カウンセリング装置3は、記憶部31と、操作部32と、表示部33と、通信部34と、処理部35とを備える。
【0043】
記憶部31は、プログラム又はデータを記憶する任意のデバイスであり、例えば、半導体メモリ装置を備える。記憶部31は、処理部35による処理に用いられる、オペレーティングシステムプログラム、デバイスドライバプログラム及びアプリケーションプログラム等のプログラム並びにデータ等を記憶する。プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部31にインストールされる。
【0044】
操作部32は、カウンセリング装置3の操作を可能とする任意のデバイスであり、例えば、タッチパネル、キーボード又はマウスである。カウンセリング装置3の操作者は、操作部32を介して、文字、数字、記号等を入力することができる。操作部32は、操作者によって操作された場合、その操作に対応する信号を生成する。操作部32は、生成された信号を処理部35に供給する。
【0045】
表示部33は、映像又は画像を表示する任意のデバイスであり、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。表示部33は、タッチパネルである操作部32と一体化されていてもよい。表示部33は、処理部35から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像を表示する。
【0046】
通信部34は、カウンセリング装置3がネットワーク4を介して遺伝子検査装置1及び角層検査装置2等の他の装置と通信を行うための通信インタフェース回路を備える。通信部34が備える通信インタフェース回路は、有線LANの通信インタフェース回路である。通信部34が備える通信インタフェース回路は、LTE(Long Term Evolution)又は無線LANの通信インタフェース回路等であってもよい。通信部34は、遺伝子検査装置1及び角層検査装置2等の他の装置から受信したデータを処理部35に供給する。
【0047】
処理部35は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部35は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、カウンセリング装置3の動作を統括的に制御する。処理部35は、DSP(Digital Signal Processor)、LSI(Large Scaled Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等でもよい。処理部35は、記憶部31に記憶されているプログラム及び操作部32から供給された操作に対応する信号に基づいてカウンセリング装置3の各種処理が適切な手順で実行されるように、表示部33及び通信部34の動作を制御する。処理部35は、記憶部31に記憶されているプログラムに基づいて処理を実行する。また、処理部35は、複数のプログラムを並列に実行することができる。
【0048】
処理部35は、取得部351と、肌体質判定部352と、肌の能力判定部353と、特定部354と、提示部355とを備える。これらの各部は、処理部35が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。また、これらの各部は、ファームウェアとしてカウンセリング装置3に実装されてもよい。
【0049】
取得部351は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得する。例えば、取得部351は、通信部34を制御して、遺伝子検査装置1から遺伝子情報をデジタルデータとして受信することによって遺伝子情報を取得する。また、取得部351は、通信部34を制御して、角層検査装置2から角層情報をデジタルデータとして受信することによって角層情報を取得する。取得部351は、他の方法により遺伝子情報と角層情報とを取得してもよい。例えば、通信部34を制御して、図示しない他の端末から既に検査済みの遺伝子情報又は角層情報をデジタルデータとして受信してもよい。取得部351は、検査者による操作部32に対する操作に応じて遺伝子情報又は角層情報を生成することにより、遺伝子情報又は角層情報を取得してもよい。
【0050】
図4は、遺伝子情報400のデータ構造の一例を示す図である。遺伝子情報400には、遺伝子名410、RS番号(Reference SNP ID number)420、変異430及び測定結果440等が関連付けられて記憶される。遺伝子名410には、肌特性との関連が知られている所定のSNPが含まれる遺伝子の名称が記憶される。RS番号420には、所定のSNPを一意に特定可能なRS番号が記憶される。RS番号は、SNPを一意に特定可能な番号である。RS番号に対応するSNPが含まれる遺伝子の名称や、SNPの塩基配列を表す配列情報等の詳細な情報は、例えば、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information;NCBI)のウェブサイト等で公開されている。変異430には、関連付けられたSNPの塩基配列の変異の内容を表す情報が記憶される。測定結果440には、関連付けられたSNPがユーザの遺伝子に含まれているか否かを示す情報が記憶される。
【0051】
図4の例では、遺伝子名「TNF」に含まれる、RS番号「rs1800629」に対応するSNPは、遺伝子中の「31575254」で特定される位置の塩基が、「G(グアニン)」から「A(アデニン)」に置換されたものであることが示されている。そして、遺伝子検査装置1による検査の結果、RS番号「rs1800629」に対応するSNPがユーザの遺伝子から検出されたことが示されている。また、
図4の例では、遺伝子名「ABCC11」に含まれる、RS番号「rs17822931」に対応するSNPは、遺伝子中の「48224287」で特定される位置の塩基が、「C(シトシン)」から「T(チミン)」に置換されたものであることが示されている。そして、遺伝子検査装置1による検査の結果、RS番号「rs17822931」に対応するSNPがユーザの遺伝子から検出されなかったことが示されている。
【0052】
図5は、角層情報500のデータ構造の一例を示す図である。角層情報500には、角層因子510及び測定量520等が関連付けられて記憶される。角層因子510には、肌特性との相関が知られているタンパク質等の所定の角層因子を識別可能な名称等の情報が記憶される。測定量520には、角層検査によって得られた、関連付けられている角層因子の含有量や生化学的又は形態学的特性を表す測定量が記憶される。
【0053】
図3に戻り、肌体質判定部352は、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定する。肌体質は、肌特性ごとのユーザの肌の遺伝的特徴を表す情報である。
【0054】
例えば、肌体質判定部352は、記憶部31に記憶されたSNPテーブル600を参照し、取得部351が取得した遺伝子情報に基づいて、肌特性ごとにSNPスコアを算出する。
【0055】
図6は、SNPテーブル600のデータ構造の一例を示す図である。SNPテーブル600には、RS番号610、肌特性620及び作用630等が関連付けられて記憶される。肌特性620には、肌特性の項目の何れかを識別する情報が記憶される。例えば、肌特性620には、肌の「バリア性」、「うるおい」、「シミ」、「シワ」、「日焼けダメージ」、「敏感度」、「肌荒れ」、「肌のゆらぎ」等の、所定の肌特性の項目の名称の何れかが記憶される。肌特性620には、所定の肌特性の項目を識別する識別情報が記憶されてもよい。
【0056】
バリア性は、肌からの水分蒸散量の大小を表す。水分蒸散量が大きい場合、肌のバリア性は高いと評価され、水分蒸散量が小さい場合、肌のバリア性は低いと評価される。うるおいは、肌に含まれる水分量の大小を表す。水分量が大きい場合、肌はうるおっていると評価され、水分量が小さい場合、肌は乾燥していると評価される。シミは、メラニンの生成が高まることによる肌のある領域への色素沈着の程度が周辺の領域の色素沈着の程度と差がある場合に生ずる色むらの数を表す。色素沈着の色むら数が多い場合、肌のシミは多いと評価され、色素沈着の色むら数が少ない場合、肌のシミは少ないと評価される。シワは、肌の表皮又は真皮の変形の程度を表す。変形の程度が大きい場合、肌のシワは多いと評価され、変形の程度が小さい場合、肌のシワは少ないと評価される。日焼けダメージは、肌が日光暴露によって受けたダメージであって、シミ、シワ又は日焼けに至る前の肌の変化を表す。日焼けによるタンパク質発現の変化の程度が大きいほど、日焼けダメージは大きいと評価される。敏感度は、外的刺激や内的刺激による肌のトラブルの起こりやすさ又は感じやすさの程度を表す。肌のトラブルの起こりやすさ又は感じやすさの程度が大きいほど、敏感度は高いと評価される。肌荒れは、肌のかさつき、ごわつき、赤み等の肌変化の程度を表す。肌変化の程度が大きいほど、肌が荒れていると評価される。肌のゆらぎは、特定の刺激に由来しない、断続的に起こる肌の悪化を表す。肌の悪化の頻度又は程度が大きい程、肌のゆらぎが大きいと評価される。
【0057】
肌特性の項目は上述した項目に限られず、他の項目が設けられてもよい。例えば、頬のバリア性及び腕のバリア性といった、部位ごとの肌特性の項目が設けられてもよい。シミの数及びシミの平均面積といった、評価方法に応じて細分化された肌特性の項目が設けられてもよい。大ジワや小ジワといった、肌特性の変動要因に応じて細分化された肌特性の項目が設けられてもよい。肌のキメ及び肌のハリといった、他の肌特性の項目が設けられてもよい。
【0058】
作用630には、関連付けられたRS番号に対応するSNPが、関連付けられた肌特性に対してどのような作用を及ぼすのかを識別する情報が記憶される。例えば、作用630には、「ポジティブ」又は「ネガティブ」の何れかが記憶される。作用「ポジティブ」は、関連付けられたSNPを有するユーザにおいて、関連付けられた肌特性がより現れやすくなることを意味する。作用「ネガティブ」は、関連付けられたSNPを有するユーザにおいて、関連付けられた肌特性がより現れにくくなることを意味する。
【0059】
図6に示される例では、RS番号「rs1800629」は、肌特性「シワ」と作用「ポジティブ」とに関連付けられて記憶されている。したがって、RS番号「rs1800629」に対応するSNPは、肌特性「シワ」に対して、ポジティブな影響を有している。このように、SNPテーブル600は、RS番号「rs1800629」に対応するSNPを有するユーザが、そのSNPを有しないユーザと比較して、肌のシワが生じやすいという遺伝的性質を有することを示す情報を記憶する。一方、RS番号「rs1800414」は、肌特性「バリア」及び作用「ネガティブ」に関連付けて記憶されている。このように、SNPテーブル600は、RS番号「rs1800414」に対応するSNPを有するユーザが、そのSNPを有しないユーザと比較して、肌のバリア性が低下しやすいという遺伝的性質を有することを示す情報を記憶する。
【0060】
なお、
図6に示される例では、肌特性ごとに複数のSNPが関連付けられていたが、SNPテーブル600には、肌特性ごとに一つのSNPが関連付けられて記憶されてもよい。
【0061】
図3に戻り、肌体質判定部352は、SNPスコアを算出する肌特性を選択する。肌体質判定部352は、SNPテーブル600を参照し、ユーザの遺伝子に含まれるSNPに対応するRS番号のうち、選択された肌特性に関連付けられ、且つ、「ポジティブ」の作用に関連付けられたRS番号を取得する。また、肌体質判定部352は、ユーザの遺伝子に含まれるSNPに対応するRS番号のうち、選択された肌特性に関連付けられ、且つ、「ネガティブ」の作用に関連付けられたRS番号を取得する。肌体質判定部352は、肌体質毎の体質評価アルゴリズムに基づいて、取得されたRS番号に関連付けられたSNPの有無に応じた肌体質スコアを算出する。
【0062】
肌体質判定部352は、上述した手順をそれぞれの肌特性について実行することにより、各肌特性についての肌体質スコアを算出する。
【0063】
図4に示された遺伝子情報400の例を用いて、肌体質判定部352が
図6に示されたSNPテーブル600を参照して肌体質スコアを算出する手順の一例について説明する。まず、肌体質判定部352は、肌体質スコアを算出する肌特性として「シワ」を選択する。続いて、肌体質判定部352は、ユーザの遺伝子に含まれるSNPに対応するRS番号のうち、肌特性「シワ」に関連付けられ、且つ、「ポジティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数を計数し、その数を「ポジティブ」の作用のスコアの値とする。
図4において、ユーザの遺伝子には、肌特性「シワ」に関連付けられ、且つ、「ポジティブ」の作用に関連付けられたRS番号「rs1800629」に対応するSNPが含まれるため、RS番号の数は「1」と計数され、「ポジティブ」の作用のスコアの値は「1」となる。続いて、肌体質判定部352は、ユーザの遺伝子に含まれるSNPに対応するRS番号のうち、肌特性「シワ」に関連付けられ、且つ、「ネガティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数を計数し、その数を「ネガティブ」の作用のスコアの値とする。
図4において、ユーザの遺伝子には、肌特性「シワ」に関連付けられ、且つ、「ネガティブ」の作用に関連付けられたRS番号「rs1107946」に対応するSNPが含まれないため、RS番号の数は「0」と計数され、「ネガティブ」の作用のスコアの値は「0」となる。続いて、肌体質判定部352は、「ポジティブ」の作用のスコアの値である「1」から「ネガティブ」の作用のスコアの値である「0」を減じることで、肌特性「シワ」の肌体質スコアを「1」と算出する。
【0064】
なお、肌体質スコアは以下のように算出されてもよい。まず、肌体質判定部352は、肌体質スコアを算出する肌特性として「シワ」を選択する。続いて、肌体質判定部352は、肌特性「シワ」に関連付けられたRS番号を特定し、特定されたRS番号のそれぞれに対応する変数を生成する。続いて、肌体質判定部352は、特定されたRS番号に対応するSNPがユーザの遺伝子に含まれない場合には、そのRS番号に対応する変数を「0」に設定し、特定されたRS番号に対応するSNPがユーザの遺伝子に含まれる場合には、そのRS番号に対応する変数を「1」に設定する。続いて、肌体質判定部352は、特定されたRS番号に対応する変数に基づいて特定アルゴリズムに従って肌特性「シワ」の肌体質スコアを算出する。特定アルゴリズムは、例えば、肌特性「シワ」に関連付けられたRS番号に対応する変数に、そのRS番号に対応するSNPが肌特性「シワ」に及ぼす影響の程度に応じて所定の重みづけを行い、その総和を算出するアルゴリズムである。特定アルゴリズムは、肌特性「シワ」に関連付けられたRS番号に対応する変数に基づいて他の任意の演算を行い、肌体質スコアを算出するアルゴリズムであってもよい。特定アルゴリズムは、肌特性「シワ」に関連付けられたRS番号に対応する変数に設定された値の組み合わせに基づいて、予め記憶部31に記憶されたテーブル等を参照して肌体質スコアを決定するアルゴリズムであってもよい。特定アルゴリズムは、肌特性ごとに異なるアルゴリズムであってもよい。
【0065】
肌体質判定部352は、上述した手順を肌特性「バリア」について実行することにより、肌特性「バリア」の肌体質スコアを算出する。このようにすることで、肌体質判定部352は、各肌特性についての肌体質スコアを算出する。
【0066】
肌体質判定部352は、記憶部31に記憶された遺伝的特徴判定テーブル700を参照し、各肌特性について算出された肌体質スコアに基づいて、肌特性ごとに遺伝的特徴を判定する。
【0067】
図7は、遺伝的特徴判定テーブル700のデータ構造の一例を示す図である。遺伝的特徴判定テーブル700には、肌特性710、リスク判定条件720、リスク判定730等が関連付けられて記憶される。リスク判定条件720には、関連付けられた肌特性の肌体質スコアに関する条件が記憶される。リスク判定730には、関連付けられたリスク判定条件が満たされた場合の遺伝的特徴に基づくリスクの程度を表す情報が記憶される。
【0068】
図7に示される例では、肌のシワの肌体質スコアが「3、4又は5」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、高いと判定される。肌のシワの肌体質スコアが「0、1又は2」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、中程度であると判定される。肌のシワの肌体質スコアが「-2又は-1」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、低いと判定される。
【0069】
例えば、SNPテーブル600において、肌のシワにポジティブな作用を有するSNPが5種、ネガティブな作用を有するSNPが2種である場合、算出される肌のシワの肌体質スコアがとり得る値は、「-2」以上、「5」以下である。そして、ユーザの遺伝子情報がこれらのSNPをすべて含む場合、肌のシワの肌体質スコアは3である。
図7に示される例では、肌のシワの肌体質スコアが「3、4又は5」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、高いと判定されるように、リスク判定条件720が定められている。また、肌のシワの肌体質スコアが「0、1又は2」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、中程度であると判定されるように、リスク判定条件720が定められている。また、肌のシワの肌体質スコアが「-2又は-1」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、低いと判定されるように、リスク判定条件720が定められている。
【0070】
なお、リスク判定条件720は、肌特性ごとに異なるように定められてよい。例えば、リスク判定条件720は、肌特性にポジティブな作用を有するSNPとネガティブな作用を有するSNPとの数に応じて、肌特性ごとに異なるように定められてもよい。
【0071】
図3に戻り、肌体質判定部352は、遺伝的特徴を判定する肌特性を選択する。続いて、肌体質判定部352は、遺伝的特徴判定テーブル700を参照し、選択された肌特性に関連付けられたリスク判定条件と、選択された肌特性の肌体質スコアを比較することで、選択された肌特性についての遺伝的特徴を判定する。
【0072】
肌体質判定部352は、上述の手順をそれぞれの肌特性について実行することにより、肌特性ごとに遺伝的特徴を判定する。このようにすることで、肌体質判定部352は、ユーザの肌体質を判定する。
【0073】
肌の能力判定部353は、角層情報に基づいてユーザの肌の能力を判定する。肌の能力は、肌特性ごとのユーザの肌の外的及び内的リスクの影響の程度を表す情報である。
【0074】
例えば、肌の能力判定部353は、記憶部31に記憶された外的及び内的リスク判定テーブル800を参照し、取得部351が取得した角層情報に基づいて、肌特性ごとに外的及び内的リスクの程度を判定する。
【0075】
図8は、外的及び内的リスク判定テーブル800のデータ構造の一例を示す図である。外的及び内的リスク判定テーブル800には、肌特性810、リスク判定条件820及びリスク判定830等が関連付けられて記憶される。リスク判定条件820には、角層因子を識別する情報と、角層因子の測定量に関する条件とが関連付けられて記憶される。リスク判定830には、関連付けられたリスク判定条件を満たした場合の外的及び内的リスクの程度を識別する情報が記憶される。
【0076】
図8に示される例では、角層因子「SCCA-1」の測定量が「3.0以上」である場合、肌のバリア性に関するリスクは、高いと判定される。また、角層因子「SCCA-1」の測定量が「1.0以上であり且つ3.0未満」である場合、肌のバリア性に関するリスクは、中程度であると判定される。また、角層因子「SCCA-1」の測定量が「1.0未満」である場合、肌のバリア性に関するリスクは、低いと判定される。また、角層因子「MMP-9」の測定量が「40以上」である場合、肌の日焼けダメージに関するリスクは、高いと判定される。
【0077】
なお、リスク判定条件820には、複数の角層因子を識別する情報と、複数の角層因子の測定量の関係に関する条件とが関連付けられて記憶されてもよい。
図8に示される例では、「IL-1ra/IL-1α」の値が「300以上」である場合、敏感肌に関するリスクは、高いと判定される。なお、「IL-1ra/IL-1α」の値とは、角層因子「IL-1ra」の測定量の、角層因子「IL-1α」の測定量に対する比率を表す値である。複数の角層因子の測定量の関係に関する条件は、比率に関する条件に限られず、複数の角層因子の測定量の和や大小関係に関する条件等の任意の条件が用いられてもよい。また、
図8に示される例では、肌特性810ごとに異なる角層因子に基づいてリスク判定条件820が定められているが、同一の角層因子に基づいて複数の肌特性のリスク判定条件820が定められてもよい。この場合、リスク判定条件820は、肌特性810ごとにそれぞれ独立に定められてもよい。例えば、「IL-1ra/IL-1α」の値が「100」以上であるときに、敏感肌に関するリスクが高いと判定されるとともに、「10」以上であるときに、肌のバリア性に関するリスクが高いと判定されるようにリスク判定条件820が定められてもよい。
【0078】
図3に戻り、肌の能力判定部353は、外的及び内的リスクの程度を判定する肌特性を選択する。続いて、肌の能力判定部353は、外的及び内的リスク判定テーブル800を参照し、選択された肌特性に関連付けられたリスク判定条件と、角層情報に含まれる角層因子の種別と測定量とを比較することで、選択された肌特性についての外的及び内的リスクの程度を判定する。
【0079】
肌の能力判定部353は、上述の手順をそれぞれの肌特性について実行することにより、肌特性ごとに外的及び内的リスクの程度を判定する。このようにすることで、肌の能力判定部353は、ユーザの肌の能力を判定する。
【0080】
特定部354は、肌体質と肌の能力とに基づいて、ユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。例えば、特定部354は、肌体質判定部352によって遺伝的リスクが高いと判定され、且つ、肌の能力判定部353によって外的及び内的リスクが高いと判定された肌特性を選択する。特定部354は、記憶部31に記憶されたスキンケアアドバイステーブル900および化粧品テーブル910を参照し、選択された肌特性に対応するスキンケアアドバイス及び化粧品をユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品として特定する。
【0081】
遺伝的特徴に基づくリスクと外的及び内的リスクとの両方が高いと示された複数の肌特性が存在する場合、特定部354は、複数の肌特性を選択してもよいし、既定の優先順位に従い複数の肌特性の何れかを選択してもよい。既定の優先順位は、ユーザに共通に定められてもよく、ユーザに対する問診等の結果に基づいてユーザごとに設定されてもよい。遺伝的特徴に基づくリスクと外的及び内的リスクとの何れか一方のみが高いと示された肌特性が存在する場合、特定部354は、遺伝的特徴に基づくリスクと外的及び内的リスクとの何れか一方が高いと示された肌特性を選択してもよい。遺伝的特徴に基づくリスクと外的及び内的リスクとの何れかが高いと示された肌特性が存在しない場合、特定部354は、遺伝的特徴に基づくリスクと外的及び内的リスクとの両方が中程度であると示された肌特性を選択してもよい。また、特定部354は、肌特性を選択することなく既定のスキンケアアドバイス及び化粧品を特定してもよい。
【0082】
図9Aは、スキンケアアドバイステーブルのデータ構造の一例を示す図である。スキンケアアドバイステーブル900には、肌特性901とスキンケアアドバイス902とが関連付けられて記憶される。肌特性901には、所定の肌特性の何れかの項目を識別する情報が記憶される。スキンケアアドバイス902には、スキンケアアドバイスを識別する情報が記憶される。スキンケアアドバイス902には、ユーザに提示されるスキンケアアドバイスを表すテキストデータが記憶されてもよい。
【0083】
図3に戻り、特定部354は、スキンケアアドバイステーブル900を参照し、選択された肌特性に関連付けられたスキンケアアドバイスをユーザに提案するスキンケアアドバイスとして特定する。なお、肌特性が選択されなかった場合は、肌特性「なし」に関連付けて記憶されたスキンケアアドバイスをユーザに提案するスキンケアアドバイスとして特定する。また、複数の肌特性が選択された場合は、複数の肌特性のそれぞれに関連付けられた複数のスキンケアアドバイスをユーザに提案するスキンケアアドバイスとして特定してもよいし、既定の優先順位に従い複数のスキンケアアドバイスの何れかをユーザに提案するスキンケアアドバイスとして特定してもよい。
【0084】
図9Bは、化粧品テーブルのデータ構造の一例を示す図である。化粧品テーブル910には、肌特性911と化粧品912とが関連付けられて記憶される。肌特性911には、所定の肌特性の何れかの項目を識別する情報が記憶される。化粧品912には、化粧品を識別する情報が記憶される。
【0085】
図3に戻り、特定部354は、化粧品テーブル910を参照し、選択された肌特性に関連付けられた化粧品をユーザに提案する化粧品として特定する。なお、肌特性が選択されなかった場合は、肌特性「なし」に関連付けて記憶された化粧品をユーザに提案する化粧品として特定する。また、複数の肌特性が選択された場合は、複数の肌特性のそれぞれに関連付けられた複数の化粧品をユーザに提案する化粧品として特定してもよいし、既定の優先順位に従い複数の化粧品の何れかをユーザに提案する化粧品として特定してもよい。
【0086】
また、特定部354は、選択された肌特性に基づいて、ユーザに提示する肌の安定度に関する情報をさらに特定してもよい。肌の安定度に関する情報は、ユーザの肌に関するトラブルの起こりにくさなど、ユーザが健やかな肌を保つための目安となる情報や、肌に関するトラブルの予兆要素などに関する情報である。肌の安定度に関する情報は、肌の刺激への応答性や、化粧品等に含まれる各種成分への反応等に関する情報でもよい。
【0087】
このようにすることで、特定部354は、ユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。特定部354は、スキンケアアドバイス及び化粧品の何れか一方のみを特定してもよい。
【0088】
提示部355は、特定されたスキンケアアドバイス及び化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する。例えば、提示部355は、スキンケアアドバイス及び化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示するためのカウンセリング情報表示画像を表示部33に表示させるための表示データを生成する。提示部355は、生成された表示データを表示部33に供給する。このようにすることで、提示部355は、カウンセリング情報をユーザに提示することを実現する。
【0089】
図10は、カウンセリング情報表示画像の一例を示す図である。カウンセリング情報表示画像1000は、遺伝子検査結果表示領域1010と、角層検査結果表示領域1020と、スキンケアアドバイス表示領域1025と、化粧品情報表示領域1030と、用法情報表示領域1040とを含む。
【0090】
遺伝子検査結果表示領域1010には、肌体質を含む情報が表示される。例えば、遺伝子検査結果表示領域1010には、肌特性ごとの遺伝的特徴を表す情報が表示される。角層検査結果表示領域1020には、肌の能力を含む情報が表示される。例えば、角層検査結果表示領域1020には、肌特性ごとの外的及び内的リスクの程度を表す情報が表示される。スキンケアアドバイス表示領域1025には、肌特性ごとの遺伝的特徴と外的及び内的リスクの程度とに基づく、化粧品の種別に限定されない、スキンケアに関するアドバイスが表示される。化粧品情報表示領域1030には、特定された化粧品の名称と画像とが表示される。用法情報表示領域1040には、特定された化粧品について推奨される用法が表示される。
【0091】
提示部355が提示するカウンセリング情報には、特定部354によって特定された肌の安定度に関する情報が含まれてもよい。提示部355が提示するカウンセリング情報には、スキンケアアドバイスの情報及び化粧品の情報の何れか一方のみが含まれてもよい。
【0092】
図11は、カウンセリング装置3における処理の手順の一例を示すフロー図である。まず、取得部351は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得する(S1110)。続いて、肌体質判定部352は、遺伝子情報に基づいて、ユーザの肌体質を判定する(S1120)。続いて、肌の能力判定部353は、角層情報に基づいてユーザの肌の能力を判定する(S1130)。続いて、特定部354は、肌体質と肌の能力とに基づいてユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する(S1140)。続いて、提示部355は、スキンケアアドバイス及び化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示し(S1150)、一連の処理を終了する。
【0093】
このように、カウンセリング装置3は、ユーザの遺伝子検査の結果を表す遺伝子情報と、ユーザの角層検査の結果を表す角層情報とを取得する取得部351と、遺伝子情報に基づいてユーザの肌体質を判定する肌体質判定部352と、角層情報に基づいてユーザの肌の能力を判定する肌の能力判定部353と、肌体質と肌の能力とに基づいてユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する特定部354と、スキンケアアドバイス及び化粧品の情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する提示部355と、を備える。このような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、遺伝的特徴と外的及び内的リスクとを考慮し、より適切な化粧品の情報を提示することを可能とする。また、ユーザは、遺伝的特徴に基づく将来の肌に有用な化粧品の情報と外的及び内的リスクに基づく現在及び近い将来の肌に有用な化粧品の情報との提示を受けることができる。これにより、ユーザはカウンセリング情報の提示を複数回にわたって受ける必要がなくなり、カウンセリング装置3における処理の回数が減少され、処理負荷が低減する。
【0094】
また、カウンセリング装置3において、カウンセリング情報は、肌体質の情報と肌の能力の情報とを含む。これにより、カウンセリング装置3は、ユーザの肌の遺伝的特徴及び外的及び内的リスクの情報を提供することができ、ユーザが自ら適切なスキンケア法や化粧品を選択することを支援することを可能とする。
【0095】
また、カウンセリング装置3において、肌体質は、複数の肌特性のそれぞれの遺伝的特徴に基づくリスクの程度を表す情報であり、肌の能力は、複数の肌特性のそれぞれの外的及び内的リスクの程度を表す情報であり、特定部354は、肌体質情報によって遺伝的特徴が高いと判定され、且つ、肌の能力情報によって外的及び内的リスクが高いと判定された肌特性に応じたスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定する。このような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、遺伝的特徴と外的及び内的リスクとの両方が高いと判定され、早急な対応が必要な肌特性の改善に適したスキンケアアドバイス及び化粧品をユーザに提示することを可能とする。
【0096】
なお、カウンセリング装置3は、上述した実施形態に限られない。以下では、カウンセリング装置3の他の実施形態について説明する。なお、同一の構成については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0097】
[変形例1]
上述した実施例では、特定部354は、肌体質によって遺伝的特徴に基づくリスクが高いと示され、且つ、肌の能力によって外的及び内的リスクが高いと示された肌特性に応じたスキンケアアドバイス及び化粧品を特定したが、これに限られない。特定部354は、肌の能力に基づいて外的及び内的リスクが高い肌特性を特定し、肌体質に基づいて肌特性の悪化のメカニズムを特定し、特定された肌特性とメカニズムとに基づいてスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定してもよい。
【0098】
例えば、肌体質判定部352は、記憶部31に記憶されたSNPテーブル600aを参照し、遺伝子情報に基づいて、肌特性の悪化のメカニズムの遺伝的特徴の程度を判定する。
【0099】
図12は、SNPテーブル600aのデータ構造の一例を示す図である。SNPテーブル600aには、RS番号610と、肌特性620と、メカニズム640と、作用630とが関連付けられて記憶される。メカニズム640には、関連付けられた肌特性を変化させるメカニズムを識別する情報が記憶される。単一の肌特性に対して複数のメカニズムが関連付けられてもよい。これにより、肌特性の変化を生じさせるメカニズムは複数存在する場合でも、肌特性とメカニズムが適切に関連付けられる。
【0100】
図12に示される例では、RS番号「rs1800629」は、肌特性「シワ」とメカニズム「炎症」と作用「ポジティブ」とに関連付けられて記憶されている。これは、RS番号「rs1800629」に対応するSNPを有するユーザは、肌特性「シワ」が形成されやすくなることを表す。RS番号「rs1800629」に対応するSNPは、「炎症因子TNFの産生が高くなりやすい」という影響を有し、肌特性「シワ」が形成されやすくなるという影響を有するためである。すなわち、SNPテーブル600aには、RS番号「rs1800629」に対応するSNPを有するユーザが、そのSNPを有しないユーザと比較して、肌が炎症を起こしやすく、その結果シワが生じやすいという遺伝的性質を有することを示す情報が記憶される。また、RS番号「rs1107946」は、肌特性「シワ」とメカニズム「I型コラーゲンの産生」と作用「ネガティブ」に関連付けられて記憶されている。これは、RS番号「rs1107946」に対応するSNPを有するユーザは、肌特性「シワ」が生じにくいことを表している。RS番号「rs1107946」に対応するSNPは、「I型コラーゲンの産生が高まりやすい」という影響を有することが知られており、肌特性「シワ」には真皮のコラーゲンの悪化が影響するためである。すなわち、SNPテーブル600aには、RS番号「rs1107946」に対応するSNPを有するユーザが、そのSNPを有しないユーザと比較して、I型コラーゲン産生が高まりやすく、その結果シワが生じにくいという遺伝的性質を有することを示す情報が記憶される。
【0101】
肌体質判定部352は、肌体質スコアを算出する肌特性とメカニズムとを選択する。肌体質判定部352は、SNPテーブル600aを参照し、遺伝子情報に含まれるRS番号のうち、選択された肌特性とメカニズムとに関連付けられ、且つ、「ポジティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数を計数する。また、肌体質判定部352は、遺伝子情報に含まれるRS番号のうち、選択された肌特性とメカニズムとに関連付けられ、且つ、「ネガティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数を計数する。続いて、肌体質判定部352は、「ポジティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数から「ネガティブ」の作用に関連付けられたRS番号の数を減じることで、選択された肌特性とメカニズムとの肌体質スコアを算出する。
【0102】
肌体質判定部352は、上述した手順をそれぞれの肌特性とメカニズムとについて実行することで、各メカニズムについて肌体質スコアを算出する。
【0103】
また、肌体質判定部352は、記憶部31に記憶された遺伝的特徴判定テーブル700aを参照し、メカニズムごとに算出された肌体質スコアに基づいて、各メカニズムについて遺伝的特徴の程度を判定する。
【0104】
図13は、遺伝的特徴判定テーブル700aのデータ構造の一例を示す図である。遺伝的特徴判定テーブル700aには、肌特性710、メカニズム740、リスク判定条件720及びリスク判定730等が関連付けられて記憶される。メカニズム740には、メカニズムを識別する情報が記憶される。
【0105】
図13に示されるように、炎症の肌体質スコアが「1又は2」である場合、炎症による肌のシミに関する遺伝的特徴に基づくリスクは、高いと判定される。また、炎症の肌体質スコアが「0」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴は、中程度であると判定される。また、炎症の肌体質スコアが「-2又は-1」である場合、肌のシワに関する遺伝的特徴は、低いと判定される。
【0106】
肌体質判定部352は、遺伝的特徴の程度を判定するメカニズムを選択する。肌体質判定部352は、選択されたメカニズムに関連付けられたリスク判定条件と、選択されたメカニズムの肌体質スコアとを比較することで、選択されたメカニズムについての遺伝的特徴の程度を判定する。肌体質判定部352は、上述した処理をメカニズムのそれぞれについて実行することで、各メカニズムについて遺伝的特徴の程度を判定し、肌体質情報を生成する。
【0107】
特定部354は、肌体質情報と肌の能力情報とに基づいて、ユーザに提案する化粧品を特定する。特定部354は、肌の能力によって外的及び内的リスクが高いと示されている肌特性を選択する。特定部354は、選択された肌特性に関連付けられたメカニズムのうち、肌体質によって遺伝的特徴に基づくリスクが高いと示されているメカニズムを選択する。特定部354は、選択されたメカニズムに対応する化粧品をユーザに提案する化粧品として特定する。
【0108】
上述したような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、外的及び内的リスクが高い肌特性について、肌特性の悪化が生じる複数のメカニズムのうち、遺伝的特徴が高いメカニズムに対処する化粧品を提示することができる。
【0109】
[変形例2]
カウンセリング装置3において、特定部354は、肌体質に基づいて第1化粧品を特定し、肌の能力に基づいて第2化粧品を特定してもよい。例えば、特定部354は、肌体質によって遺伝的特徴に基づくリスクが高いと示されている肌特性に応じて第1化粧品を特定する。また、特定部354は、肌の能力によって外的及び内的リスクが高いと示されている肌特性に応じて第2化粧品を特定する。提示部355は、特定された第1化粧品の情報と第2化粧品の情報とを含むカウンセリング情報をユーザに提示する。このような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、ユーザの肌に現在生じている問題とユーザの肌に将来生じうる問題とに対処するための、ユーザの肌にとって長期的な視点で適切な化粧品を提示することを可能とする。
【0110】
[変形例3]
カウンセリング装置3において、取得部351は、ユーザの問診情報を取得し、特定部354は、問診情報にさらに基づいて、ユーザに提示する化粧品を特定してもよい。
【0111】
例えば、取得部351は、問診情報入力画面を表示するための画像データを生成し、表示部33に問診情報入力画面を表示する。取得部351は、ユーザが操作部32を操作して、表示された問診情報入力画面に入力した情報を取得することで、問診情報を取得する。
【0112】
図14は、問診情報入力画面1400の一例を示す図である。問診情報入力画面1400は、複数の設問領域1410と、複数の設問領域のそれぞれに対応する複数の回答領域1420と、送信ボタン1430とを含む。ユーザは、操作部32を操作して、設問領域1410に表示された設問に対する回答を回答領域1420に入力する。設問への回答が終了すると、ユーザは、送信ボタン1430を選択する。取得部351は、送信ボタン1430が選択されたことに応じ、回答領域1420に入力された回答を取得することで、問診情報を取得する。
【0113】
問診情報には、ユーザの性別、年齢、食事の内容、日常生活における日光暴露の状況、睡眠の長さ及び時間帯、寝つきの良さ、喫煙の有無、過去の肌荒れ経験の有無、現在のストレスの度合い、月経周期並びに睡眠時間等の属性情報が含まれてよい。問診情報には、ユーザの嗜好に関する嗜好情報が含まれてよい。属性情報及び嗜好情報は、ユーザが設問に回答することによらずに取得されてもよい。例えば、問診情報入力画面1400の設問領域1410において複数の画像を提示し、回答領域1420において複数の画像のうち、ユーザの好みに沿う画像を選択させることで、取得部351は、ユーザの嗜好情報を取得する。取得部351は、図示しない測定装置を用いてユーザの表情に関する情報又はユーザの脳波に関する情報を取得し、取得した情報に基づいてユーザの属性情報又は嗜好情報を取得してもよい。取得部351は、ユーザの行動特性又は心理的な変化に基づいてユーザの属性情報又は嗜好情報を取得してもよい。
【0114】
続いて、特定部354は、問診情報にさらに基づいて、ユーザに提示する化粧品を特定する。例えば、特定部354は、肌体質情報によって遺伝的特徴に基づくリスクが高いと示され、且つ、肌の能力情報によって外的及び内的リスクが高いと示された肌特性を選択する。特定部354は、記憶部31に記憶されたスキンケアアドバイステーブル900aを参照し、選択された肌特性と問診情報とに対応するスキンケアアドバイス及び化粧品をユーザに提案するスキンケアアドバイス及び化粧品として特定する。
【0115】
図15は、スキンケアアドバイステーブル900aのデータ構造の一例を示す図である。スキンケアアドバイステーブル900aには、肌特性901と問診分類904と化粧品903とスキンケアアドバイス902とが関連付けて記憶される。化粧品903には、化粧品を識別する情報が記憶される。問診分類904には、取得部351が取得した問診情報に基づくユーザの分類条件が記憶される。
【0116】
特定部354は、スキンケアアドバイステーブル900aを参照し、選択された肌特性に関連付けられた問診分類のうち、取得部351が取得した問診情報が条件を満たす問診分類を特定する。特定部354は、特定した問診分類に関連付けられたスキンケアアドバイス及び/又は化粧品をユーザに提案するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品として特定する。
【0117】
上述したような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、ユーザの問診情報に基づいて、ユーザの生活習慣に適合するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を提示することができる。また、カウンセリング装置3は、ユーザの問診情報に基づいて、ユーザの嗜好に適合するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を提示することができ、ユーザの満足感を向上することができる。
【0118】
[変形例4]
カウンセリング装置3において、角層情報は、取得時期が異なる複数の角層検査の結果を含み、肌の能力判定部353は、角層情報に基づいて肌の能力の変動パターンを判定してもよい。
【0119】
この場合、取得部351は、取得時期が異なる複数の角層検査の結果を含む角層情報を取得する。取得部351は、通信部34を介して、角層検査の結果を表す情報を角層検査装置2から受信する。取得部351は、受信した角層検査の結果を表す情報を記憶部31に記憶するとともに、記憶部31に記憶されている、受信した角層検査の結果とは取得時期が異なる角層検査の結果を表す情報を記憶部31から取得する。このようにして、取得部351は、取得時期が異なる複数の角層検査の結果を含む角層情報を取得する。
【0120】
肌の能力判定部353は、角層情報に基づいて、肌の能力の変動パターンを判定する。例えば、肌の能力判定部353は、記憶部31に記憶された変動パターン判定テーブル1600を参照し、肌特性ごとの外的及び内的リスクの程度を表す肌の能力と、肌特性ごとの外的及び内的リスクの変化の傾向を表す変動パターンとを判定する。
【0121】
図16は、変動パターン判定テーブル1600のデータ構造の一例を示す図である。変動パターン判定テーブル1600には、肌特性1610と、第1リスク判定条件1620と、リスク判定1630と、第2リスク判定条件1640と、変動パターン判定1650とが関連付けられて記憶される。第1リスク判定条件1620には、受信された角層検査の結果(以下、第1角層情報と称する。)に関する判定条件が記憶される。リスク判定1630には、関連付けて記憶された第1リスク判定条件が満たされた場合の外的及び内的リスクの程度を表す情報が記憶される。リスク判定1630に記憶された外的及び内的リスクの程度は、第1角層情報のみに基づいて判定される。すなわち、外的及び内的リスクの程度は、現在の肌の能力を反映した情報である。第2リスク判定条件1640には、第1角層情報より前に取得された角層検査の結果(以下、第2角層情報と称する。)に関する判定条件が記憶される。変動パターン判定1650には、関連付けて記憶された第1リスク判定条件と第2リスク判定条件とが満たされた場合の外的及び内的リスクの程度の変動の状況を識別する情報が記憶される。変動パターン判定1650には、例えば、「改善傾向」「悪化傾向」「変動なし」等の情報の何れかが記憶される。変動パターン判定1650に記憶された変動の状況は、第1角層情報に加え、第2角層情報にも基づいて判定される。すなわち、変動の状況は、現在の肌の能力と過去の肌の能力とを反映した情報である。
【0122】
肌の能力判定部353は、外的及び内的リスクの程度と肌変動パターンとを判定する肌特性を選択する。肌の能力判定部353は、選択された肌特性に関連付けられた第1リスク判定条件と、第1角層情報に含まれる角層因子の種別と測定量とを比較することで、選択された肌特性についての外的及び内的リスクの程度を判定する。肌の能力判定部353は、選択された判定された外的及び内的リスクに関連付けられた第2リスク判定条件と、第2角層情報に含まれる角層因子の種別と測定量とを比較することで、選択された肌特性についての肌変動パターンを判定する。
【0123】
肌の能力判定部353は、上述の手順をそれぞれの肌特性について実行することにより、肌特性ごとに外的及び内的リスクの程度と変動パターンとを判定する。
【0124】
特定部354は、肌体質情報と肌の能力情報に基づいて、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定する。例えば、特定部354は、肌体質情報によって遺伝的特徴が高いと示され、且つ、肌の能力情報によって外的及び内的リスクが高く、変動パターンが「悪化傾向」又は「変動なし」であると示された肌特性を特定する。特定部354は、特定された肌特性に応じたスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。
【0125】
上述したような構成を備えることにより、カウンセリング装置3は、外的及び内的リスクが改善傾向にある肌特性よりも外的及び内的リスクが悪化傾向にある肌特性に優先して対処するスキンケアアドバイス及び化粧品を提示することができ、よりユーザの肌に適したスキンケアアドバイス及び化粧品を提示することができる。
【0126】
[変形例5]
カウンセリング装置3において、取得部351は、ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画像情報を取得し、特定部354は、肌画像情報にさらに基づいて、スキンケアアドバイス及び化粧品を特定してもよい。
【0127】
この場合、ネットワーク4を介してカウンセリング装置3と通信可能に接続された図示しない撮影装置は、ユーザの肌を撮影し、ユーザの肌画像を生成する。取得部351は、通信部34を介して、撮影装置からユーザの肌画像と肌画像の撮影時刻とを取得する。取得部351は、取得した肌画像に対して所定の画像解析アルゴリズムを適用することによって、肌画像情報を取得する。肌画像情報は、肌表面あるいは肌の奥の状態の推定情報である。肌画像情報は、例えば、肌のキメ、シワ、うるおい、シミ、透明感、皮脂、明るさ、等の肌特性のそれぞれについてのリスクの程度を表す情報であってよい。
【0128】
特定部354は、肌体質情報と肌の能力情報と肌画像情報とに基づいてスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定する。例えば、特定部354は、肌体質情報に基づいて遺伝的リスクが高いと判定され、且つ、肌の能力情報に基づいて外的及び内的リスクが高いと判定され、且つ、肌画像情報に基づいてリスクが高いと判定された肌特性を特定する。特定部354は、スキンケアアドバイステーブル900及び化粧品テーブル910を参照し、特定された肌特性に基づいてユーザに提示するスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。
【0129】
このように、肌画像情報と肌体質情報とを組み合わせて用いることで、肌体質情報から導かれる本来の肌の状態と肌画像情報から導かれる現在の肌の状態との間の乖離が明らかになる。そして、スキンケアアドバイス及び/又は化粧品の有用性がより明確となるため、カウンセリング装置3は、ユーザにとって納得感のある提案をすることができる。また、カウンセリング装置3は、肌画像情報と肌体質情報とを組み合わせて用いることで、例えば、肌画像情報に基づいてリスクが低いと判定され、肌体質情報に基づいてリスクが高いと判定された肌特性について、予防的な対応を提案することが可能となる。
【0130】
[変形例6]
また、カウンセリング装置3において、取得部351は、ユーザの属性情報又は嗜好情報と、ユーザの肌を撮影した肌画像に基づく肌画像情報とをさらに取得してよい。そして、特定部354は、肌の能力、属性情報又は嗜好情報、及び、肌画像情報に基づいて、ユーザの肌に影響する要素を抽出し、肌体質と抽出された要素とに基づいて、スキンケアアドバイス及び化粧品を特定してよい。
【0131】
肌に影響する要素は、属性情報や嗜好情報の内から抽出されてよい。例えば、肌の能力又は肌画像情報に基づいて肌の「日焼けダメージ」に関する外的及び内的リスクが高いと判定された場合、特定部354は、属性情報や嗜好情報の内から「日焼けダメージ」に関する情報(例えば、紫外線への対処が十分であるか否か)を肌に影響する要素として抽出する。特定部354は、抽出された要素と肌体質とに基づいて、スキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。例えば、特定部354は、ユーザの紫外線への対処が十分であるか否か、及び、ユーザの肌体質のうち日焼けダメージに関するSNPスコアが所定値以上であるか否かに応じて、異なるスキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。
【0132】
このようにすることで、ユーザは、属性情報又は嗜好情報のうち、ユーザの肌に影響が大きいと考えられる属性情報又は嗜好情報の要素に基づくスキンケアアドバイスの提示を受けることができる。属性情報又は嗜好情報は、ユーザが自身の認識に基づいて入力した情報であるため、属性情報又は嗜好情報に基づくスキンケアアドバイスはユーザにとってより納得感の高いものとなり、アドバイスが実践される可能性が高くなる。また、属性情報又は嗜好情報はユーザの生活習慣ごとに大きく異なるため、よりユーザ毎にパーソナライズしたスキンケアアドバイスが提示されるようになる。
【0133】
なお、特定部354は、肌に影響する要素として、例えば、食事バランス、ビタミンやミネラル等の特定の栄養素の摂取量、就寝時間、睡眠時間、紫外線や大気汚染に対する暴露状況、精神ストレスの程度等を抽出してもよい。
【0134】
[変形例7]
なお、上述した説明では、カウンセリング装置3において、特定部354は、肌体質情報及び肌の能力情報に基づいて肌特性を特定し、特定された肌特性に基づいてスキンケアアドバイス及び化粧品を特定したが、これに限られない。特定部354は、肌体質情報に代えて、遺伝子情報に基づいてスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定してよい。
【0135】
この場合、例えば、特定部354は、肌の能力情報に基づいて外的及び内的リスクが高いと判定された肌特性を特定する。特定部354は、SNPテーブル600を参照して、特定された肌特性に関連付けられたSNPのRS番号を取得する。特定部354は、遺伝子情報に基づいて、取得されたRS番号のそれぞれに対応するSNPがユーザの遺伝子に含まれるか否かを判定する。特定部354は、それぞれのSNPがユーザの遺伝子に含まれるか否かを判定した結果の組み合わせに基づいて、スキンケアアドバイス及び化粧品を特定する。それぞれのSNPがユーザの遺伝子に含まれるか否かを判定した結果の組み合わせとスキンケアアドバイス及び化粧品との対応関係は、あらかじめ記憶部31に記憶されていてよい。
【0136】
このようにすることで、カウンセリング装置3は、SNPの組み合わせに応じたスキンケアアドバイス及び/又は化粧品をユーザに提示することが可能となる。すなわち、肌体質スコアが同一であっても、SNPの組み合わせに応じて異なる提案が可能となるため、カウンセリング装置3は、よりユーザの体質に沿ったアドバイスをすることが可能となる。
【0137】
なお、上述した説明では肌体質情報に代えて遺伝子情報を用いたが、特定部354は、肌の能力情報に代えて角層情報に基づいてスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定してもよい。
【0138】
[変形例8]
また、カウンセリング装置3において、提示部355が提示するカウンセリング情報は、ユーザが自身と近い肌体質をもつ他のユーザと情報を交換し、又はスキンケアアドバイス及び化粧品に関する情報を得るためのコミュニティに関する情報を含んでもよい。
【0139】
この場合、記憶部31は、ユーザに関する情報を管理するユーザ情報テーブルをさらに記憶する。
【0140】
図17は、ユーザ情報テーブル1700のデータ構造の一例を示す図である。ユーザ情報テーブル1700には、識別情報1710と、連絡情報1720と、遺伝子情報1730と、グループ1740と、URL1750とが関連付けて記憶される。
【0141】
識別情報1710には、ユーザを一意に識別可能な情報が記憶される。連絡情報1720には、ユーザにカウンセリング情報を提示するための情報が記憶される。連絡情報1720には、例えば、ユーザのメールアドレスが記憶される。遺伝子情報1730には、取得部351によって取得されたユーザの遺伝子情報の一部又は全部が記憶される。
図17に示される例では、遺伝子情報1730には、複数のSNPのRS番号と、ユーザがそれぞれのRS番号に対応するSNPを有しているか否かを示す情報とが関連付けられた情報が記憶されている。グループ1740には、ユーザの遺伝子情報1730に基づいて定められる、ユーザが所属する肌体質のグループを識別する情報が記憶される。ユーザは、コミュニティサイトを通じて、ユーザが所属するグループに対して発信された情報を受信することができる。また、ユーザは、コミュニティサイトを通じて、ユーザが所属するグループに対して情報を発信することができる。URL1750には、ユーザがコミュニティサイトにログインするためのURLが記憶される。URLは、ユーザがコミュニティサイトにログインするためのログイン情報を含む、ユーザ毎に異なる文字列であってよい。また、グループ毎に異なるコミュニティサイトが設けられる場合、URLは、ユーザが所属するグループ毎に異なる文字列であってよい。なお、URLは、コミュニティに関する情報の一例である。
【0142】
取得部351は、遺伝子情報及び角層情報に加え、ユーザの通信端末にコミュニティに関する情報を送信するための連絡情報をさらに取得する。取得部351は、操作部32を介してユーザに連絡情報を入力させることによって連絡情報を取得してもよく、通信部34を介してユーザの通信端末から連絡情報を取得してもよい。取得部351は、連絡情報と遺伝子情報とをユーザ情報テーブル1700に記憶する。
【0143】
特定部354は、ユーザに提示するスキンケアアドバイス及び/又は化粧品を特定することに加え、ユーザ情報テーブル1700の遺伝子情報1730に基づいて、ユーザが所属するグループをさらに特定する。特定部354は、例えば、遺伝子情報1730の複数のSNPのRS番号と、それぞれのRS番号に対応するSNPを有しているか否かを示す情報との組み合わせに応じて、ユーザが所属するグループを特定する。グループは、例えば、あらかじめ記憶部31に記憶された、RS番号と、RS番号に対応するSNPを有しているか否かを示す情報との組み合わせに基づいて特定されてよい。ユーザが所属するグループを特定した特定部354は、特定したグループをユーザ情報テーブル1700に記憶する。これにより、相互に近い肌体質を有するユーザが同一のグループに所属する。
【0144】
特定部354は、ユーザが所属するグループに基づいて、ユーザがコミュニティサイトにログインするためのURLをさらに特定する。特定部354は、例えば、あらかじめ記憶部31に記憶された複数のグループのそれぞれに対応するURLのうちから、ユーザが所属するグループに対応するURLを選択することにより、URLを特定する。
【0145】
提示部355は、特定部354によって特定されたスキンケアアドバイス及び化粧品の情報及びURLを含むカウンセリング情報をユーザに提示するためのカウンセリング情報表示画像1000aをユーザの通信端末に表示させるための表示データを生成する。
【0146】
図18は、カウンセリング情報表示画像1000aの一例を示す図である。カウンセリング情報表示画像1000aは、遺伝子検査結果表示領域1010と、角層検査結果表示領域1020と、スキンケアアドバイス表示領域1025と、化粧品情報表示領域1030と、用法情報表示領域1040と、テキスト表示領域1050とを含む。テキスト表示領域1050は、ユーザをコミュニティサイトへ誘導するための文字列を表示する領域である。
図18に示す例では、テキスト表示領域1050に表示される文字列は、特定部354によって特定されたURLへのハイパーリンクを含む。テキスト表示領域1050は、特定部354によって特定されたURLを文字列として表示してもよい。
【0147】
提示部355は、記憶部31のユーザ情報テーブル1700を参照し、ユーザの連絡情報を取得する。続いて、提示部355は、取得した連絡情報に基づいて、カウンセリング情報表示画像の表示データをユーザの通信端末に送信する。このようにすることで、提示部355は、コミュニティに関する情報を含むカウンセリング情報をユーザに提示する。
【0148】
このようにすることで、カウンセリング装置3は、ユーザが自身と近い肌体質を有する他のユーザとの情報交換の場となるコミュニティを提供することができる。そして、カウンセリング装置3は、ユーザの肌体質にあった情報をコミュニティにおいて発信することで、ユーザにとってより適切なスキンケアアドバイスや化粧品の情報を継続的に提示することができる。
【0149】
なお、上述した説明では、提示部355は、カウンセリング情報表示画像1000aの表示データを送信することでユーザにカウンセリング情報を提示したが、これに限られず、多様な方法で提示してよい。例えば、提示部355は、カウンセリング情報表示画像をウェブページとしてユーザに提示してもよい。
【0150】
また、提示部355は、コミュニティサイトのURLのみをユーザに送信してもよい。この場合、コミュニティサイトは、カウンセリング情報表示画像をユーザに提示できるように構成されてもよい。
【0151】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。当業者は、本発明の思想及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換、及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0152】
S カウンセリングシステム
1 遺伝子検査装置
2 角層検査装置
3 カウンセリング装置
31 記憶部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 処理部
351 取得部
352 肌体質判定部
353 肌の能力判定部
354 特定部
355 提示部