(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】5Gミリメートル波システムのためのビーム追跡
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20241001BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241001BHJP
H01Q 3/36 20060101ALI20241001BHJP
G01S 3/34 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H04B7/08 422
H01Q21/06
H01Q3/36
G01S3/34
(21)【出願番号】P 2020568246
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 US2019065683
(87)【国際公開番号】W WO2020139561
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】オーハン,オナー
(72)【発明者】
【氏名】ニコプアー,ホセイン
(72)【発明者】
【氏名】タルワー,シルパ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヤン‐ソク
(72)【発明者】
【氏名】ナランパッティ エカンバラム,ヴェンカテサン
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0033761(US,A1)
【文献】特開2017-224968(JP,A)
【文献】特開2017-147574(JP,A)
【文献】特開2017-118335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H01Q 21/06
H01Q 3/36
G01S 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスの装置であって:
N
r個のアンテナおよびN
r/N
r
rf個のアンテナ・サブアレイを含むアンテナ・アレイであって、N
r
rfは当該装置のRFチェーンの数を示す、アンテナ・アレイと;
処理回路とを有しており、前記処理回路は:
前記N
r/N
r
rf個のアンテナ・サブアレイでビームフォーミング機能を実行し;
前記ビームフォーミング機能の実行に応答して受信された受信信号の到達角を決定し;
前記到達角に応じて当該装置の移相器を調整するよう構成されて
おり、
前記到達角は:
各サブアレイを(N
r/N
r
rf)(2d/λ)個の格子角のそれぞれに向けてステアリングする段階であって、dは各サブアレイ間の距離であり、λは前記受信信号の波長である、段階と;
最大の測定されたパワー利得をもつ格子角を選択する段階とを実行することによって決定される、
装置。
【請求項2】
前記ステアリングは、離散フーリエ変換(DFT)コードブックを用いて実行される、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記DFTコードブックは、(N
r/N
r
rf)×(N
r/N
r
rf)のサイズを有する、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
前記ビームフォーミング機能は、各アンテナ・サブアレイのアレイ・パターンが実質的に同一であるように、前記N
r/N
r
rf個のサブアレイの各アンテナ・サブアレイに適用されたビームフォーミング・ベクトルを用いて実行される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2018年12月28日に出願された米国特許出願第16/235,227号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
諸側面は、無線通信に関する。いくつかの側面は、3GPP(Third Generation Partnership Project[第三世代パートナーシッププロジェクト])ネットワーク、3GPP LTE(Long Term Evolution[ロングタームエボリューション])ネットワーク、3GPP LTE-A(LTE Advanced[LTEアドバンスト])ネットワークおよびニューラジオ(new radio、NR)ネットワークを含む第五世代(fifth-generation、5G)ネットワークを含む無線ネットワークに関する。他の側面は、ビームフォーミング(beamforming)およびビーム追跡(beam tracking)動作のための技術、方法および装置に向けられる。
【背景技術】
【0003】
次世代(5G以上)システムは、大規模な複数入力複数出力(Multiple Input Multiple Output、MIMO)アーキテクチャおよびミリメートル波(ミリ波、mmWave)動作を利用する。大規模MIMOシステムの主要な課題の一つは電力消費である。もう一つの課題は、ビームフォーミングにおいて生じる。これは、大規模MIMOシステムに存在するすべてのアンテナ素子を用いたビームフォーミングに関連した待ち時間の増加のためである。
【0004】
さらに、ミリ波システムにおけるビーム追跡のために提案された解決策は盲目的〔ブラインド〕でなく、ビーム方向を取得するためにパイロット信号を送る必要がある。そのようなビーム追跡は、時間がかかり、ビーム空間にわたるTxスキャニングおよびRxフィードバックに頼ることがある。使用される時間のため、そのようなビーム追跡は、高速車両用途では役に立たない可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面において、同様の数字は、異なる図において同様の構成要素を記述することがある。末尾の文字が異なる類似の数字は、同様の構成要素の異なる事例を表わしうる。図面は、限定ではなく例として、本稿で論じられるさまざまな側面を概括的に示す。
【0006】
【
図1】いくつかの側面に従った例示的なユーザー装置を示す。
【0007】
【
図1A】いくつかの側面に従った、
図1の装置に関連して使用することができるミリ波システムを示す。
【0008】
【
図2】いくつかの側面に従った例示的な基地局無線ヘッドを示す。
【0009】
【
図3A】いくつかの側面に従った、例示的なミリ波通信回路を示す。
【0010】
【
図3B】いくつかの側面に従った、
図3Aに示される例示的な送信回路の諸側面を示す。
【0011】
【
図3C】いくつかの側面に従った、
図3Aに示される例示的な送信回路の諸側面を示す。
【0012】
【
図3D】いくつかの側面に従った、
図3Aに示される例示的な無線周波数回路の諸側面を示す。
【0013】
【
図3E】いくつかの側面に従った、
図3Aにおける例示的な受信回路の諸側面を示す。
【0014】
【
図4】いくつかの側面に従った、
図3Aにおける例示的な使用可能なRF回路を示す。
【0015】
【
図5A】いくつかの側面に従った、例示的な無線フロントエンド・モジュールのある側面を示す。
【0016】
【
図5B】いくつかの側面に従った、例示的な無線フロントエンド・モジュールの代替的な側面を示す。
【0017】
【
図6】いくつかの側面に従った、
図1または
図2で使用可能な例示的なマルチプロトコル・ベースバンド・プロセッサを示す。
【0018】
【
図7】いくつかの側面に従った、例示的な混合信号ベースバンド・サブシステムを示す。
【0019】
【
図8A】いくつかの側面に従った、例示的なデジタル・ベースバンド・サブシステムを示す。
【0020】
【
図8B】いくつかの側面に従った、例示的なベースバンド処理サブシステムの代替的な側面を示す。
【0021】
【
図9】いくつかの側面に従った、例示的なデジタル信号プロセッサ・サブシステムを示す。
【0022】
【
図10A】いくつかの側面に従った、アクセラレータ・サブシステムの例を示す。
【0023】
【
図10B】いくつかの側面に従った、代替的な例示的なアクセラレータ・サブシステムを示す。
【0024】
【
図11】いくつかの側面に従った、サブアレイ型ハイブリッド・アーキテクチャを示す。
【0025】
【
図12】いくつかの側面に従った一様なアレイを示す。
【0026】
【
図13】いくつかの側面に従って定義できる等価アンテナ・アレイを示す。
【0027】
【
図14】いくつかの側面に従った、ハイブリッド・フェーズドアレイを用いた統合アナログ・デジタル・ビーム追跡の方法を示す。
【0028】
【
図15】いくつかの側面に従った、アナログ・ビームフォーミング・アーキテクチャを示す。
【0029】
【
図16】いくつかの側面に従ったビーム・ステアリングに対する移動性の影響を示す。
【0030】
【
図17】いくつかの側面に従った、マルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。
【0031】
【
図18A】いくつかの側面に従った、ユーザー装置(UE)が静止している場合のビーム追跡のためのマルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。
【0032】
【
図18B】いくつかの側面に従った、ユーザー装置(UE)が可動である場合のビーム追跡のためのマルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。
【0033】
【
図19】いくつかの側面に従った一様な線形アンテナ・アレイを示す。
【0034】
【
図20】いくつかの側面に従った、最適化されたビームフォーミング・ベクトルの方向を示す。
【0035】
【
図21】いくつかの側面に従った、マルチフィンガー・ビームを使用するビーム追跡の方法を示す。
【0036】
【
図22】いくつかの側面に従った、複数のビームのブラインド・ビーム追跡のためのアーキテクチャを示す。
【0037】
【
図23】一つまたは複数の側面がその上に実装されうる機械の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、いくつかの側面に従った例示的なユーザー装置を示す。ユーザー装置100は、いくつかの側面においてはモバイル装置であってもよく、アプリケーション・プロセッサ105、ベースバンド・プロセッサ110(ベースバンド・サブシステムとも呼ばれる)、無線フロントエンド・モジュール115(radio front end module、RFEM)、メモリ120、接続性サブシステム125、近接場通信(near field communication、NFC)コントローラ130、オーディオドライバ135、カメラドライバ140、タッチスクリーン145、ディスプレイドライバ150、センサー155、取り外し可能メモリ160、電力管理集積回路(power management integrated circuit、PMIC)165、およびスマートバッテリー170を含む。
【0039】
いくつかの側面では、アプリケーション・プロセッサ105は、たとえば、一つまたは複数の中央処理装置(central processing unit、CPU)コアと、キャッシュ・メモリ、低ドロップアウト電圧レギュレータ(low drop-out voltage regulator、LDO)、割り込みコントローラ、SPI、I2Cまたはユニバーサル・プログラマブル・シリアル・インターフェース・サブシステムなどのシリアル・インターフェース、リアルタイム・クロック(real time clock、RTC)、インターバルおよびウォッチドッグ・タイマーを含むタイマー・カウンタ、汎用IO、SD/MMCなどのメモリ・カード・コントローラ、USBインターフェース、MIPIインターフェース、および/または統合試験アクセス・グループ(Joint Test Access Group、JTAG)試験アクセス・ポートのうちの一つまたは複数とを含むことができる。
【0040】
いくつかの側面では、ベースバンド・プロセッサ110は、たとえば、一つまたは複数の集積回路を含むはんだ付け(solder-down)基板、メイン回路基板にはんだ付けされた(soldered)単一のパッケージ化された集積回路、および/または2つ以上の集積回路を含むマルチチップモジュールとして実装されてもよい。
【0041】
ミリ波技術の応用は、たとえば、WiGigおよび将来の5Gを含むことができるが、ミリ波技術は、多様な遠隔通信システムに適用可能でありうる。ミリ波技術は、短距離通信システムにとって特に魅力的でありうる。WiGigデバイスは、ライセンス不要の60GHz帯で動作する一方、5G mmWaveは、初期には、ライセンスされる28GHz帯と39GHz帯で動作すると期待される。ミリ波システムにおける例示的なベースバンド・サブシステム110およびRFEM 115のブロック図が
図1Aに示されている。
【0042】
図1Aは、本開示のいくつかの側面に従った、
図1の装置100に関連して使用することができるミリ波システム100Aを示す。システム100Aは、ベースバンド・サブシステム110および一つまたは複数の無線フロントエンド・モジュール(RFEM)115という2つの構成要素を含む。RFEM 115は、変調された中間周波数(IF)信号、DC電力、クロック信号および制御信号を供給する単一の同軸ケーブル190によってベースバンド・サブシステム110に接続できる。
【0043】
ベースバンド・サブシステム110の全体は示されておらず、
図1Aはアナログ・フロントエンドのある実装を示している。これは、中間周波数(現在の実装では約10GHz)へのアップコンバータ173をもつ送信器(TX)セクション191A、IFからベースバンドへのダウンコンバート175をもつ受信器(RX)セクション191B、送信および受信信号を単一のケーブル190上に多重化/多重分離するための組み合わせ器を含む制御および多重化回路177を含む。加えて、RFEM 115のためのDC電力を提供するために、ベースバンド回路基板上に電力ティー(power tee)回路192(これは離散的なコンポーネントを含む)が含まれる。いくつかの側面において、TXセクションおよびRXセクションの組み合わせは、トランシーバと称されることがあり、これは、本明細書に記載されるタイプの一つまたは複数のアンテナまたはアンテナ・アレイに結合されうる。
【0044】
RFEM 115は、いくつかのプリントアンテナと、複数の無線チェーンを含む一つまたは複数のRFデバイスとを含む、小型の回路基板であってもよく、ミリ波周波数へのアップコンバージョン/ダウンコンバージョン174、電力合成器/分割器176、プログラマブル移相器178および電力増幅器(PA)180、低ノイズ増幅器(low noise amplifier、LNA)182、ならびに制御および電力管理回路184Aおよび184Bを含む。この構成は、一般に、すべてのRFおよびベースバンド機能を単一のユニットに統合し、アンテナだけが同軸ケーブルを介してリモートに接続されるWi-Fiまたはセルラー実装とは異なることができる。
【0045】
このアーキテクチャ上の相違は、ミリ波周波数での同軸ケーブルにおける非常に大きな電力損失によって駆り立てられうる。これらの電力損失は、アンテナでの送信電力を低下させ、受信感度を低下させることがある。この問題を回避するために、いくつかの側面において、PA 180およびLNA 182は、集積されたアンテナをもつRFEM 115に移されてもよい。加えて、RFEM 115は、同軸ケーブル190上のIF信号がより低い周波数でありうるように、アップコンバージョン/ダウンコンバージョン174を含んでいてもよい。mmWave 5G装置、技術、および特徴のためのさらなるシステム・コンテキストは、本明細書中で以下に議論される。
【0046】
図2は、いくつかの側面による例示的な基地局またはインフラストラクチャー設備の無線ヘッドを示す。基地局は、たとえば、進化型ノードB(eNB、eNodeB)またはニューラジオ・ノードB(gNB、gNodeB)と称されることがある。いくつかの側面において、基地局無線ヘッド200は、アプリケーション・プロセッサ205、ベースバンド・プロセッサ210、一つまたは複数の無線フロントエンド・モジュール215、メモリ220、電力管理集積回路(PMIC)225、電力ティー回路230、ネットワーク・コントローラ235、ネットワーク・インターフェース・コネクタ240、衛星ナビゲーション受信機(たとえば、GPS受信機)245、およびユーザー・インターフェース250のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0047】
いくつかの側面では、アプリケーション・プロセッサ205は、一つまたは複数のCPUコアと、キャッシュ・メモリ、低ドロップアウト電圧レギュレータ(LDO)、割り込みコントローラ、SPI、I2Cまたはユニバーサル・プログラマブル・シリアル・インターフェースのようなシリアル・インターフェース、リアルタイム・クロック(RTC)、インターバルおよびウォッチドッグ・タイマーを含むタイマー・カウンタ、汎用IO、SD/MMCなどのようなメモリ・カード・コントローラ、USBインターフェース、MIPIインターフェースおよび統合試験アクセス・グループ(JTAG)試験アクセス・ポートのうちの一つまたは複数とを含んでいてもよい。
【0048】
いくつかの側面では、ベースバンド・プロセッサ210は、たとえば、一つまたは複数の集積回路を含むはんだ付け基板、メイン回路基板にはんだ付けされた単一のパッケージ化された集積回路、または2つ以上の集積回路を含むマルチチップ・サブシステムとして実装されてもよい。
【0049】
いくつかの側面では、メモリ220は、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)および/または同期DRAM(SDRAM)を含む揮発性メモリ、および高速電気消去可能メモリ(一般にフラッシュメモリと称される)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、および/または三次元クロスポイントメモリを含む不揮発性メモリのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。メモリ220は、はんだ付けされたパッケージ化された集積回路、ソケット化されたメモリ・モジュール、およびプラグイン・メモリ・カードのうちの一つまたは複数として実装されてもよい。
【0050】
いくつかの側面では、電力管理集積回路225は、電圧レギュレータ、サージプロテクタ、電力警報検出回路、およびバッテリーまたはキャパシタなどの一つまたは複数のバックアップ電源のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。電力警報検出回路は、ブラウンアウト(不足電圧)およびサージ(過電圧)のうちの一つまたは複数を検出しうる。
【0051】
いくつかの側面では、電力ティー回路230は、ネットワークケーブルから引き出される電力のための備えを提供しうる。電源ティー回路230は、単一のケーブルを使用して、電源およびデータ接続性の両方を基地局無線ヘッド200に提供しうる。
【0052】
いくつかの側面では、ネットワーク・コントローラ235は、イーサネット〔登録商標〕のような標準的なネットワーク・インターフェース・プロトコルを使用して、ネットワークへの接続性を提供しうる。ネットワーク接続性は、電気的(一般に、銅相互接続と呼ばれる)、光学的または無線のいずれかである物理的接続を使用して提供されうる。
【0053】
いくつかの側面では、衛星ナビゲーション受信機245は、全地球測位システム(GPS)、グローバルナビゲーション衛星システム(Globalnaya Navigatsionnaya Sputnikovaya Sistema、GLONASS)、Galileoおよび/またはBeiDouのような一つまたは複数のナビゲーション衛星コンステレーションによって送信された信号を受信および復号する回路を含んでいてもよい。受信機245は、アプリケーション・プロセッサ205に、位置データまたは時間データの一つまたは複数を含みうるデータを提供してもよい。時間データは、アプリケーション・プロセッサ205によって、他の無線基地局またはインフラストラクチャー設備と動作を同期させるために使用されうる。
【0054】
いくつかの側面では、ユーザー・インターフェース250は、一つまたは複数のボタンを含んでいてもよい。ボタンは、リセットボタンを含んでいてもよい。ユーザー・インターフェース250は、LEDのような一つまたは複数のインジケータおよび表示スクリーンを含んでいてもよい。
【0055】
図3Aは、いくつかの側面による例示的なミリ波通信回路を示し、
図3Bおよび3Cは、いくつかの側面による、
図3Aに示される送信回路の諸側面を示し、
図3Dは、いくつかの側面による、
図3Aに示される無線周波数回路の諸側面を示し、
図3Eは、いくつかの側面による、
図3Aの受信回路の諸側面を示す。
図3Aに示されるミリ波通信回路300は、機能に応じて代替的にグループ化されてもよい。
図3Aに示される構成要素は、例解目的のためにここに提供されており、
図3Aに示されない他の構成要素を含んでいてもよい。
【0056】
ミリ波通信回路300は、プロトコル処理回路305(またはプロセッサ)または他の処理手段を含んでいてもよい。プロトコル処理回路305は、とりわけ、媒体アクセス制御(medium access control、MAC)、無線リンク制御(radio link control、RLC)、パケットデータ収束プロトコル(packet data convergence protocol、PDCP)、無線資源制御(radio resource control、RRC)、および非アクセス層(non-access stratum、NAS)の機能のうちの一つまたは複数を実装してもよい。プロトコル処理回路305は、命令を実行するための一つまたは複数の処理コアと、プログラムおよびデータ情報を記憶するための一つまたは複数のメモリ構造とを含んでいてもよい。
【0057】
ミリ波通信回路300は、デジタル・ベースバンド回路310をさらに含んでいてもよい。デジタル・ベースバンド回路310は、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)機能、スクランブルおよび/またはスクランブル解除、符号化および/または復号、層マッピングおよび/またはデマッピング、変調シンボル・マッピング、受信シンボルおよび/またはビット・メトリック決定、マルチアンテナポート前置符号化および/または復号(空間‐時間、空間‐周波数または空間符号化のうち一つまたは複数を含みうる)、参照信号生成および/または検出、プリアンブル・シーケンス生成および/または復号、同期シーケンス生成および/または検出、制御チャネル信号ブラインド復号、および他の関連機能のうちの一つまたは複数を含む物理層(PHY)機能を実装してもよい。
【0058】
ミリ波通信回路300は、送信回路315、受信回路320および/またはアンテナ・アレイ回路330をさらに含んでいてもよい。ミリ波通信回路300は、RF回路325をさらに含んでいてもよい。いくつかの側面では、RF回路325は、送信および/または受信のための一つまたは複数の並列RFチェーンを含んでいてもよい。RFチェーンのそれぞれは、アンテナ・アレイ回路330の一つまたは複数のアンテナに接続されてもよい。
【0059】
いくつかの側面では、プロトコル処理回路305は、制御回路の一つまたは複数のインスタンスを含んでいてもよい。制御回路は、デジタル・ベースバンド回路310、送信回路315、受信回路320、および/またはRF回路325のうちの一つまたは複数のための制御機能を提供してもよい。
【0060】
図3Bおよび3Cは、いくつかの側面に従った、
図3Aに示される送信回路の諸側面を示す。
図3Bに示される送信回路315は、デジタル‐アナログ変換器(DAC)340、アナログ・ベースバンド回路345、アップコンバージョン回路350、および/またはフィルタリングおよび増幅回路355のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。DAC 340は、デジタル信号をアナログ信号に変換しうる。アナログ・ベースバンド回路345は、のちに示すような複数の機能を実行しうる。アップコンバージョン回路350は、アナログ・ベースバンド回路345からのベースバンド信号をRF周波数(たとえば、ミリ波周波数)にアップコンバートすることができる。フィルタリングおよび増幅回路355は、アナログ信号をフィルタリングおよび増幅することができる。プロトコル処理回路305と、DAC 340、アナログ・ベースバンド回路345、アップコンバージョン回路350および/またはフィルタリングおよび増幅回路355のうちの一つまたは複数との間で制御信号が供給されてもよい。
【0061】
図3Cに示される送信回路315は、デジタル送信回路365およびRF回路370を含んでいてもよい。いくつかの側面では、フィルタリングおよび増幅回路355からの信号が、デジタル送信回路365に提供されてもよい。上述のように、プロトコル処理回路305と、デジタル送信回路365およびRF回路370のうちの一つまたは複数との間で制御信号が供給されてもよい。
【0062】
図3Dは、いくつかの側面に従った、
図3Aに示される無線周波数回路の諸側面を示す。無線周波数回路325は、無線チェーン回路372の一つまたは複数のインスタンスを含んでいてもよく、これは、いくつかの側面では、一つまたは複数のフィルタ、電力増幅器、低雑音増幅器、プログラマブル移相器、および電源を含んでいてもよい。
【0063】
無線周波数回路325はまた、いくつかの側面では、電力合成および分割回路374を含んでいてもよい。いくつかの側面では、電力合成および分割回路374は、双方向に動作してもよく、その結果、同じ物理回路が、装置が送信しているときは電力分割器として、装置が受信しているときは電力合成器として動作するように構成されうる。いくつかの側面では、電力合成および分割回路374は、装置が送信しているときに電力分割を行ない、装置が受信しているときに電力合成を行なうために、一つまたは複数の完全にまたは部分的に別個の回路を含んでいてもよい。いくつかの側面では、電力結合および分割回路374は、ツリーに配置された一つまたは複数の二叉(two-way)電力分割器/結合器を含む受動回路を含んでいてもよい。いくつかの側面では、電力合成および分割回路374は、増幅器回路を含む能動回路を含んでいてもよい。
【0064】
いくつかの側面では、無線周波数回路325は、
図3Aの送信回路315および受信回路320に接続してもよい。無線周波数回路325は、一つまたは複数の無線チェーン・インターフェース376および/または組み合わされた無線チェーン・インターフェース378を介して、送信回路315および受信回路320に接続してもよい。いくつかの側面では、一つまたは複数の無線チェーン・インターフェース376は、それぞれが単一のアンテナ構造に関連付けられている一つまたは複数の受信または送信信号に一つまたは複数のインターフェースを提供してもよい。いくつかの側面では、組み合わされた無線チェーン・インターフェース378は、それぞれがアンテナ構造のグループに関連付けられる一つまたは複数の受信または送信信号に単一のインターフェースを提供してもよい。
【0065】
図3Eは、いくつかの側面に従った
図3Aの受信回路の諸側面を示す。受信回路320は、並列受信回路382のうちの一つまたは複数および/または組み合わされた受信回路384のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。いくつかの側面では、前記一つまたは複数の並列受信回路382および一つまたは複数の組み合わされた受信回路384は、一つまたは複数の中間周波数(IF)ダウンコンバージョン回路386、IF処理回路388、ベースバンド・ダウンコンバージョン回路390、ベースバンド処理回路392、およびアナログ‐デジタル変換器(ADC)回路394を含んでいてもよい。本明細書で使用するところでは、「中間周波数」という用語は、キャリア周波数(または周波数信号)が、送信、受信、および/または信号処理における中間段階などにおいてシフトされた周波数をいう。IFダウンコンバージョン回路386は、受信したRF信号をIFに変換することができ、IF処理回路388は、たとえば、フィルタリングおよび増幅を介して、IF信号を処理することができる。ベースバンド・ダウンコンバージョン回路390は、IF処理回路388からの信号をベースバンドに変換することができる。ベースバンド処理回路392は、たとえば、フィルタリングおよび増幅を介してベースバンド信号を処理してもよい。ADC回路394は、処理されたアナログ・ベースバンド信号をデジタル信号に変換することができる。
【0066】
図4は、いくつかの側面に従った、
図3Aの例示的なRF回路を示す。ある側面では、
図3AのRF回路325(参照符号425を使って
図4に描かれる)は、IFインターフェース回路405、フィルタリング回路410、アップコンバージョンおよびダウンコンバージョン回路415、合成器回路420、フィルタリングおよび増幅回路424、電力合成および分割回路430、および無線チェーン回路435のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0067】
図5Aおよび
図5Bは、いくつかの側面に従った、
図1および
図2に示される回路において使用可能な無線フロントエンド・モジュールの諸側面を示す。
図5Aは、いくつかの側面による無線フロントエンド・モジュール(RFEM)のある側面を示す。RFEM 500は、ミリ波RFEM 505と、一つまたは複数の、6ギガヘルツ超の無線周波数集積回路(RFIC)515および/または一つまたは複数の6ギガヘルツ未満のRFIC 522とを組み込む。この側面において、前記一つまたは複数の6ギガヘルツ未満のRFIC 515および/または一つまたは複数の6ギガヘルツ未満のRFIC 522は、ミリ波RFEM 505から物理的に分離されていてもよい。RFIC 515および522は、一つまたは複数のアンテナ520への接続を含んでいてもよい。RFEM 505は、複数のアンテナ510を含んでいてもよい。
【0068】
図5Bは、いくつかの側面に従った、無線フロントエンド・モジュールの代替側面を示す。この側面では、ミリ波および6ギガヘルツ未満の無線機能は、同一の物理的な無線フロントエンド・モジュール(RFEM)530内に実装されてもよい。RFEM 530は、ミリ波アンテナ535と6ギガヘルツ未満のアンテナ540の両方を組み込んでもよい。
【0069】
図6は、いくつかの側面に従った、
図1または
図2に示されるシステムおよび回路において使用可能なマルチプロトコル・ベースバンド・プロセッサ600を示す。ある側面では、ベースバンド・プロセッサは、一つまたは複数のデジタル・ベースバンド・サブシステム640A、640B、640C、640Dを含んでいてもよく、これらは、本明細書では、まとめて、デジタル・ベースバンド・サブシステム640とも呼ばれる。
【0070】
ある側面では、前記一つまたは複数のデジタル・ベースバンド・サブシステム640A、640B、640C、640Dは、相互接続サブシステム665を介して、CPUサブシステム670、オーディオ・サブシステム675、およびインターフェース・サブシステム680のうちの一つまたは複数に結合されてもよい。ある側面では、前記一つまたは複数のデジタル・ベースバンド・サブシステム640は、相互接続サブシステム645を介して、デジタル・ベースバンド・インターフェース660A、660B、および混合信号ベースバンド・サブシステム635A、635Bのそれぞれのうちの一つまたは複数に結合されてもよい。
【0071】
ある側面では、相互接続サブシステム665および645は、それぞれ、バス ポイントツーポイント接続およびネットワークオンチップ(network-on-chip、NOC)構造のそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。ある側面では、オーディオ・サブシステム675は、デジタル信号処理回路、バッファメモリ、プログラムメモリ、発話処理アクセラレータ回路、アナログ‐デジタル変換器回路およびデジタル‐アナログ変換器回路などのデータ変換器回路、および増幅器およびフィルタの一つまたは複数を含むアナログ回路のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0072】
図7は、いくつかの側面に従った、混合信号ベースバンド・サブシステム700の例を示す。ある側面では、混合信号ベースバンド・サブシステム700は、IFインターフェース705、アナログIFサブシステム710、ダウンコンバータおよびアップコンバータ・サブシステム720、アナログ・ベースバンド・サブシステム730、データ変換器サブシステム735、合成器725、および制御サブシステム740のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0073】
図8Aは、いくつかの側面に従った、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801を示す。
図8Bは、いくつかの側面に従った、デジタル・ベースバンド処理サブシステム802の代替側面を示す。
【0074】
図8Aのある側面では、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801は、デジタル信号プロセッサ(DSP)サブシステム805A、805B、…805N、相互接続サブシステム835、ブートローダ・サブシステム810、共有メモリ・サブシステム815、デジタルI/Oサブシステム820、およびデジタル・ベースバンド・インターフェース・サブシステム825のそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0075】
図8Bのある側面では、デジタル・ベースバンド処理サブシステム802は、アクセラレータ・サブシステム845A、845B、…845N、バッファメモリ850A、850B、...850N、相互接続サブシステム835、共有メモリ・サブシステム815、デジタルI/Oサブシステム820、コントローラ・サブシステム840、およびデジタル・ベースバンド・インターフェース・サブシステム825のそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0076】
ある側面では、ブートローダ・サブシステム810は、前記一つまたは複数のDSPサブシステム805のそれぞれに関連付けられた前記プログラムメモリおよび実行状態の構成を実行するように構成されたデジタル論理回路を含んでいてもよい。前記一つまたは複数のDSPサブシステム805のそれぞれのプログラムメモリの構成は、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801および802にとって外部の記憶から実行可能なプログラムコードをロードすることを含んでいてもよい。前記一つまたは複数のDSPサブシステム805のそれぞれに関連付けられた実行状態の構成は、前記一つまたは複数のDSPサブシステム805のそれぞれに組み込まれうる少なくとも1つのDSPコアの状態を、それが実行されていない状態に設定するステップと、前記一つまたは複数のDSPサブシステム805のそれぞれに組み込まれうる少なくとも1つのDSPコアの状態を、それが所定のメモリ位置から始めてプログラムコードを実行し始める状態に設定するステップとのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0077】
ある側面では、共有メモリ・サブシステム815は、読み出し専用メモリ(ROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、埋め込み動的ランダムアクセスメモリ(eDRAM)、および/または不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0078】
ある側面では、デジタルI/Oサブシステム820は、インターインテグレーテッド回路(Inter-Integrated Circuit、I2C)、シリアル周辺インターフェース(Serial Peripheral Interface、SPI)、または他の1、2、もしくは3線式シリアル・インターフェースなどのシリアル・インターフェース、汎用入出力(general-purpose input-output、GPIO)などのパラレル・インターフェース、レジスタ・アクセス・インターフェース、および直接メモリ・アクセス(direct memory access、DMA)のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。ある側面では、デジタルI/Oサブシステム820において実装されるレジスタ・アクセス・インターフェースは、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801の外部のマイクロプロセッサ・コアが、制御およびデータ・レジスタおよびメモリの一つまたは複数を読み取りおよび/または書き込みできるようにすることができる。ある側面では、デジタルI/Oサブシステム820において実装されるDMA論理回路は、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801の内部および外部のメモリ位置を含むメモリ位置間での、データの連続ブロックの転送を可能にしうる。
【0079】
ある側面では、デジタル・ベースバンド・インターフェース・サブシステム825は、ベースバンド処理サブシステムと、デジタル・ベースバンド処理サブシステム801の外部の混合信号ベースバンドまたは無線周波数回路との間での、デジタル・ベースバンド・サンプルの転送のための備えを提供することができる。ある側面では、デジタル・ベースバンド・インターフェース・サブシステム825によって転送されるデジタル・ベースバンド・サンプルは、同相および直交(I/Q)サンプルを含んでいてもよい。
【0080】
ある側面では、コントローラ・サブシステム840は、制御レジスタおよび状態レジスタならびに制御状態機械のそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。ある側面では、制御レジスタおよび状態レジスタは、レジスタ・インターフェースを介してアクセスされてもよく、制御状態機械の動作の開始および停止、制御状態機械のデフォルト状態へのリセット、任意的な処理機能の構成、および/または割り込みの生成の構成、および動作状態の報告のうちの一つまたは複数のための備えを提供してもよい。ある側面では、一つまたは複数の制御状態機械のそれぞれは、前記一つまたは複数のアクセラレータ・サブシステム845のそれぞれの動作シーケンスを制御してもよい。
図8Aおよび
図8Bの両方の実装の例が、同じベースバンド・サブシステム内に存在してもよい。
【0081】
図9は、いくつかの側面によるデジタル信号プロセッサ(DSP)サブシステム900を示す。
【0082】
ある側面では、DSPサブシステム900は、DSPコア・サブシステム905、ローカル・メモリ910、直接メモリ・アクセス(DMA)・サブシステム915、アクセラレータ・サブシステム920A、920B…920N、外部インターフェース・サブシステム925、電力管理回路930、および相互接続サブシステム935のそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0083】
ある側面では、ローカル・メモリ910は、読み出し専用メモリ、静的ランダムアクセスメモリ、または埋め込み動的ランダムアクセスメモリのそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0084】
ある側面では、DMAサブシステム915は、DSPサブシステム900の内部および外部のメモリ位置を含むメモリ位置間でデータのブロックを転送するように適応されたレジスタおよび制御状態機械回路を提供してもよい。
【0085】
ある側面では、外部インターフェース・サブシステム925は、DSPサブシステム900の外部のマイクロプロセッサ・システムによる、DSPサブシステム900内に実装されるメモリ、制御レジスタ、および状態レジスタのうちの一つまたは複数へのアクセスのための備えを提供してもよい。ある側面では、外部インターフェース・サブシステム925は、DMAサブシステム915およびDSPコア・サブシステム905のうちの一つまたは複数の制御下で、ローカル・メモリ910とDSPサブシステム900の外部にある記憶との間でのデータの転送のための備えを提供してもよい。
【0086】
図10Aは、いくつかの側面に従った、アクセラレータ・サブシステム1000の例を示す。
図10Bは、いくつかの側面に従った、アクセラレータ・サブシステム1000の例を示す。
【0087】
ある側面では、アクセラレータ・サブシステム1000は、制御状態機械1005、制御レジスタ1010、メモリ・インターフェース1020、スクラッチパッド・メモリ1025、計算エンジン1030A…1030N、およびデータフロー・インターフェース1035A、1035Bのそれぞれの一つまたは複数を含んでいてもよい。
【0088】
ある側面では、制御レジスタ1010は、アクセラレータ・サブシステム1000の動作を構成し、制御することができ、これは、イネーブル・レジスタ・ビットによって動作を有効または無効にすること、停止レジスタ・ビットに書き込むことによって処理中の動作を停止すること、計算動作を構成するためのパラメータを提供すること、一つまたは複数の制御およびデータ構造の位置を識別するためのメモリ・アドレス情報を提供すること、割り込みの生成を構成すること、または他の制御機能のうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0089】
ある側面では、制御状態機械1005は、アクセラレータ・サブシステム1000の動作シーケンスを制御してもよい。
【0090】
ハイブリッド・フェーズドアレイを用いた統合アナログ・デジタル・ビーム追跡
ミリ波通信システムは、次世代のセルラー・システムのための有望な技術であるとみなされてきた。ミリ波通信システムは、複数の受信アンテナを含むことができる。ミリ波周波数の小さな波長は、小さな領域に多数のアンテナを含めることを可能にする。複数のアンテナをもつシステムで実現されるビームフォーミング利得は、より少ないセル間およびセル内干渉、高いデータレート、およびより大きなセルラー容量を提供する。
【0091】
しかしながら、ミリ波通信システムの1つの課題は、複数のアンテナを有する装置における電力消費である。電力コストを低減するために、移相器を用いて相対位相を調整した後、アナログ領域で異なるアンテナからの受信信号を組み合わせるハイブリッド位相アレイを使用することができる。このアーキテクチャは、ADC(RFチェーン)とそれに続くデジタル処理のハードウェア・コストを低減する。
【0092】
アナログ・フェーズドアレイは、移相器を用いてアナログ領域で信号を組み合わせることができ、1対のADC(RFチェーン)のみを必要とする。しかしながら、アナログでの組み合わせは、ミリ波通信システムのビームフォーミングおよびビーム追跡能力を制限しうる。マルチユーザー/マルチビームフォーミングをサポートするために、2つ以上のRFチェーンを使用するハイブリッド・フェーズドアレイ・アーキテクチャを提供することができる。
【0093】
諸側面によるシステム、方法、および装置は、より小さなアレイを使用して、統合的なアナログおよびデジタルのビーム追跡を実行できる。諸側面による装置、システムおよび方法は、デジタル領域においてより迅速なビーム掃引を実行するために、縮小されたサイズのアンテナ・アレイを使用することができる。デジタル領域における最良のビーム方向を発見した後、いくつかの側面による装置は、最大のビームフォーミング利得を有するようにアナログ・ビームフォーミング・ベクトルを調整する。諸側面は、到達角度推定の精度をさらに改善できる。
【0094】
図11は、いくつかの側面に従った、サブアレイ・タイプのハイブリッド・アーキテクチャ1100を示す。無線周波数フロントエンド(Radio frequency front end、RFFE)1102は、複数のアンテナ入力1104を提供する。移相器1106は、アナログ領域でアンテナ信号を組み合わせるために使用でき、ADC 1108は、組み合わされた信号をベースバンド・プロセッサ1110に提供する前にデジタル領域に変換する。しかしながら、本明細書で提供されるアルゴリズムは、デジタルおよび完全に接続されたハイブリッド・ビームフォーミング・アーキテクチャに適用できることが理解されるであろう。
【0095】
(
図11に示されるように)アナログ領域で受信信号を組み合わせると、初期アクセス待ち時間およびビーム追跡能力が制限される。モバイル・ユーザーにとって、これは頻繁な通信リンク失敗につながる。諸側面において、
図11に示されるように、サブアレイ型ハイブリッド位相アレイ・アーキテクチャのために、統合アナログ・デジタル・ビーム追跡法が提案される。諸側面において、統合アナログ・デジタル・ビーム追跡方法の動作は、処理回路(たとえば、ベースバンド・プロセッサ110(
図1))によって実行できる。
【0096】
図12に示されるような、受信機におけるN
r個のアンテナ1202およびN
r
rf個のRFチェーン1204を備えた一様なアレイ1200を考える。結果は、矩形アレイに拡張することもできる。アンテナ1202間のアンテナ間隔dを想定する。
【0097】
移相器の位相励起を
【数1】
と記す。ここで、|w
n|=1、n=0,…,N
r-1である。到達方位角θについてのアレイ・ベクトルが式(1)で定義されるとする。
【数2】
ここで、λはキャリア周波数の波長である。
【0098】
モバイル・ユーザーにとって、到達角度は時間とともに変化し、wが時間変動するθに適合されないとビームフォーミング利得が劣化する。いくつかの側面によるアルゴリズムは、時間的に変化する方位角θ(t)を追跡し、推定到達角度に従ってビームフォーミング利得を最大化する。
【0099】
対応するビームフォーミング利得最適化問題は、次のように書くことができる:
【数3】
【0100】
複雑さを低減するために、離散的な一組のビーム・ステアリング角が、たとえば米国電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802.11adファミリーの規格に従ってコードブックにおいてあらかじめ定義され、w(t)は、コードブック・ベクトルのうちビームフォーミング利得を最大化する1つに設定される。しかしながら、このアプローチに従うことは、アナログ・アンテナ・アレイが一時にはコードブック内の1つのビーム方向のみを見ることができるので、アナログ移相器を使用する場合にビーム掃引時間が大きくなることを意味する。さらに、ステアリング角の量子化により、システムはビーム・ステアリングのミスマッチを経験することがある。
【0101】
しかしながら、ビーム・ステアリング待ち時間とビーム・ステアリング誤差は、アンテナ・アレイを小さなサブアレイに分割することにより低減できる。いくつかの側面によるシステムおよびアルゴリズムは、デジタルRFチェーンを用いて正確な到達角度を見つけるために、ハイブリッド・フェーズドアレイのサブアレイを用いて広いビーム・パターンでビーム・ステアリングを実行することができる。次いで、アナログ移相器は、処理回路(たとえば、ベースバンド・プロセッサ110(
図1))において実装される後述のアルゴリズムに従って、推定到達角度に従って調整されることができる。
【0102】
諸側面によるシステムは、ハイブリッド・フェーズドアレイに基づいているので、各サブアレイの受信信号(または一般にRFチェーンに対応する受信信号)は、移相器後かつADC/DAC前にアナログ領域で組み合わされる。所与の移相器励起wについて、受信機におけるビームフォーミングされた信号は、次のように観察される:
【数4】
ここで、r(t)は受信信号、sは送信信号、nは加法的白色ガウス雑音である。
【0103】
到達角度推定アルゴリズムを用いてθ(t)を推定することができる。しかしながら、到達角推定の精度はwに依存し、いくつかの側面での処理回路は、アナログ・ビーム・ステアリング・ベクトルwを見つけるために、以下に概説する方法を実施することができる。
【0104】
図13は、いくつかの側面に従って等価アンテナ・アレイをどのように定義することができるかを示す。アナログ・ビーム・ステアリング・ベクトルwを見出すための初期動作において、処理回路は、初期サブアレイ・ビームフォーミング・ベクトルを設定することができる。諸側面において、処理回路は、
図13に示されるように、等価なサブアレイが同じアレイ・パターンを有するようにするために、各サブアレイについて同じビームフォーミング・ベクトルを使用する。しかしながら、結果は、異なるアレイ・パターンに一般化することができる。
図13を参照すると、同じビームフォーミング・ベクトルが各サブアレイ1302、1304、1306、1308に適用される場合、等価アンテナ・アレイ1310、1312、1314、1316は、図示のように、サブアレイ1302、1304、1306、1308のアレイ・パターンに等しいアンテナ・パターンをもつN
r
rfアンテナのアレイであると考えることができる。
【0105】
しかしながら、処理回路が初期サブアレイ・ビームフォーミング・ベクトルを用いてサブアレイ・ビームフォーミングを実装した後、現在の到達角推定アルゴリズムが受信信号r(t)に適用されるとき、(N
r/N
r
rf)(2d/λ)個の曖昧な(回折格子)到達角が受信回路において観察される。これは、有効要素間間隔が(N
r/N
r
rf)dとなり、これがλ/2より大きいからである。たとえば、d=λ/2かつN
r/N
r
rf=4であれば、4つの格子到達角推定が必要になり、正しい到達角を見つけることができない。よって、正しい到達角を見つけるために、処理回路は、いくつかの側面においては、諸サブアレイのビームをこれらの4つの格子〔グレーティング〕方向に操向し、各格子方向のパワー利得を測定する。処理回路は、式(4)に従って、最も高い利得を有する格子方向を選択する。式(4)は、諸サブアレイにおいてサイズ(N
r/N
r
rf)×(N
r/N
r
rf)を有する離散フーリエ変換(DFT)コードブックを使用する:
【数5】
【0106】
このコードブックは、ビームを全格子方向に操向するのに十分な、(Nr/Nr
rf)個のビーム方向を有する。以下に提供される数学的証明によれば、格子方向に向けてビームを操向するためにDFTコードブックを使用すれば十分である。
【0107】
格子方向θ
g1が与えられれば、次のように書くことができる:
【数6】
ここで、式の左辺は等価アンテナ・アレイのアレイ・ベクトルから得られる。すなわち、
【数7】
式の右辺は複素指数関数の周期性から導かれる。
【0108】
格子角度は、次式に従って与えられる:
【数8】
ここで、ψは(φλN
r
rf)/(2πdN
r)のための補助変数である。
【0109】
サブアレイのアレイ・ベクトル:
【数9】
のステアリング角θを(7)の格子角に置き換えると、次式で与えられる(N
r/N
r
rf)×(N
r/N
r
rf)のサイズの離散フーリエ変換(DFT)コードブックを得る:
【数10】
ここで、φは後述のようにして見出される。
【0110】
上記において、サブアレイでのDFTコードブックが、格子角度の方向に向かうビームフォーミング利得を有するのに十分であることが証明された。しかしながら、各DFT方向について、正確なθgk、k=1,2,…を見出すためには、φを推定する必要がある。
【0111】
φを推定するために、処理回路は、DFTビームフォーミング・コードブックの行の一つを各サブアレイに逐次的に適用し、それぞれの場合について、処理回路は、デジタル到達角推定アルゴリズムを用いて到達角を推定する。到達角の推定は、パイロット・シーケンスを受信した後にのみビーム追跡が実行されるパイロット・ベースの方法に拡張することができる。この手順は次のように書くことができる:まず、処理回路が、各サブアレイにDFT
k
Tビームフォーミング・ベクトルを適用する。次に、処理回路は、次のように、任意のブラインド・アルゴリズムを用いて到達角θを推定する。
【数11】
【0112】
式(10)~(12)を実行した後、各方向について、処理回路は、受信信号強度を測定し、最も強い
【数12】
を選択する。ここで、
【数13】
【0113】
推定された到達角に従って最終位相値を設定する:サブアレイについて最良のDFT方向を選択し、正しい到達角を見つけた後、処理回路は、推定された到達角に基づいて最終位相値を設定する。たとえば、処理回路はwを次のように設定する:
【数14】
【0114】
上記のプロセスは、種々のシナリオに基づく例を用いて要約することができる。変化が速いチャネルのためのビーム追跡アルゴリズムを実装する第一のシナリオは、以下のように要約できる。
【0115】
入力として与えられるもの:アンテナの総数Nr、およびRFチェーンの総数Nr
rf
【0116】
k=0ないし(N
r/N
r
rf)-1について、処理回路はビームフォーミング・ベクトルDFT
k
Tを各サブアレイに適用する。次に、処理回路は、次のように、任意のブラインド・アルゴリズムを用いて到達角度θを推定する。
【数15】
次いで、
【数16】
最後に、
【数17】
と設定する。
【0117】
同様に、第二のシナリオは、遅い変化のチャネルのためのビーム追跡アルゴリズムに適用される。この場合、最良のDFTビーム方向DFTk*
Tが諸サブアレイについて既知であるとする。処理回路は、新しいチャネルの方向に向かう、より良好なビームフォーミングのためにwを調整する。
【0118】
入力として:アンテナの総数NとRFチェーンの総数N
r
rfおよびDFT
k*
Tを与えられて、DFT
k*
Tビームフォーミング・ベクトルを各サブアレイに適用する。次に、処理回路は、任意のブラインド・アルゴリズムを用いて次のように到達角θを推定する。
【数18】
最後に、
【数19】
と設定する。
【0119】
図14は、いくつかの側面に従った、ハイブリッド・フェーズドアレイによる統合アナログ・デジタル・ビーム追跡の方法1400を示す。方法1400のいくつかの動作は、ベースバンド・プロセッサ110(
図1)のような処理回路によって実行することができる。
【0120】
方法1400は、処理回路1402がアンテナ・サブアレイにおいてビームフォーミング機能を実行する動作1402で始まる。たとえば、ビームフォーミングは、(N
r/N
r
rf)において実行されることができる。ここで、N
rは装置(たとえば、ユーザー装置100(
図1))のアンテナ(たとえば、アンテナ1202)の数であり、N
r
rfはRFチェーン(たとえば、RFチェーン1204)の数である。ビームフォーミングは、
図13に示されるように、各アンテナ・サブアレイのアレイ・パターンが実質的に同じであるように、(N
r/N
r
rf)個のサブアレイの各アンテナ・サブアレイに適用されたビームフォーミング・ベクトルを用いて実行することができる。
【0121】
方法1400は、処理回路が、ビームフォーミング機能を実行することに応答して受信された受信信号の到達角を決定する動作1404をもって継続することができる。到達角は、(Nr/Nr
rf)(2d/λ)個の格子角度のそれぞれに向けて各サブアレイを操向する段階であって、dは各サブアレイ間の距離であり、λは受信信号の波長である、段階を実行し、式(4)を参照して上述したように、最大の測定電力利得を有する格子角度を到達角として選択することによって決定することができる。ステアリングは、(Nr/Nr
rf)×(Nr/Nr
rf)のサイズのDFTコードブックを使用して実行することができる。
【0122】
方法1400は、処理回路が装置の移相器を到達角に従って調整する動作1406をもって継続することができる。
【0123】
マルチフィンガー・ビームを用いた低パワー/複雑さのビーム追跡方法
アナログ・フェーズドアレイは、大規模MIMOおよびミリ波システムにおいて、ADCに関連するハードウェア・コストを低減するために使用できる。アナログ・フェーズドアレイ・アーキテクチャは、移相器を用いてアナログ領域で受信された信号を組み合わせ、ADC(RFチェーン)の1対のみを使用する。しかしながら、アナログでの組み合わせは、主ビーム・パワーを最大にするために狭い諸ビーム(たとえば、DFTビームフォーミング・コードブック)が考えられる場合、ミリ波通信システムのビームフォーミングおよびビーム追跡能力を制限することがある。諸側面は、単一RFチェーン(アナログ・ビームフォーミング)ミリ波通信システムを使用して、装置において、電力効率がよく、高速なビーム追跡方法を提供する。諸側面は、アナログ・ビームフォーミング・アーキテクチャにおいてビームフォーミングを実行するための装置および方法を提供する。諸側面において、2組のコードブックがビームフォーミングにおいて使用され、符号語およびコードブックの間のスイッチングによって、装置は、有効な動作チャネルを変更して通信を中断することなく、最良のビーム方向を見つけることができる。
【0124】
図15は、いくつかの側面によるアナログ・ビームフォーミング・アーキテクチャ1500を示す。少なくともいくつかの側面において、アーキテクチャ1500は、アナログ領域で受信された信号を組み合わせるために、アンテナ素子1504に接続された移相器1502を使用する。このアーキテクチャは、1つのDAC/ADCペア(RFチェーン1506)を使用する。移相器1502を使用することによって、異なるビーム・パターンおよびさまざまなビーム・ステアリング方向を有する1つのビーム1508を生成することができる。
【0125】
図16は、いくつかの側面によるビーム・ステアリングに対する移動性の影響を示す。狭いビームフォーミングは、静止ユーザーについては最高の利得を生み出すことができる。しかしながら、狭いビームフォーミングは、モバイル・ユーザー、特に高速で移動するモバイル・ユーザー(たとえば、車両)については、ビーム・ステアリング誤差および通信リンクの喪失につながる可能性がある。たとえば、基地局1602は、ユーザー1606に到達するためにビーム1604を送信することができる。しかしながら、ユーザー1606が図のように新しい位置に移動する場合、ビーム1604はもはやユーザー1606によって受信されることができない。
【0126】
図17は、いくつかの側面によるマルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。マルチフィンガー非対称ビームフォーミングを実装する諸側面では、各ユーザー装置(UE)1700は、より大きなビームフォーミング利得を有する1つのメインローブ1702と、メインローブ1702に隣接する、より低いビームフォーミング利得を有する1つの二次ローブ1704とを生成することができる。マルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンは、
図17に示されるように、メインローブに対して対称でありうる。さらに、これら2つのビームフォーミング・パターンは、もし到着方向がメインローブ1702の半パワー・ビーム幅(half power beam width)内であるならば、ビームフォーミング後の受信信号が同様のビームフォーミング利得を有するように設計することができる。
【0127】
図18Aは、いくつかの側面による、UEが静止している場合のビーム追跡のためのマルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。
図18Bは、いくつかの側面による、ユーザー装置(UE)が可動である場合のビーム追跡のためのマルチフィンガー非対称ビームフォーミングを示す。チャネルを追跡するために、UE処理回路(たとえば、ベースバンド・プロセッサ110(
図1))は、
図18Aおよび18Bに示されるように、ビームフォーミング・ベクトルをパターン間で行ったり来たりと切り換える。UE処理回路は、UEが切り換えられたビームフォーミング・パターンをもってチャネルを推定できるように、各フレームの最初にビームを変更することができる。
【0128】
図18Aに示される非移動(静止)状況においては、受信信号の到達角1800は、同じままである。ビーム1802および1804は、同様のビームフォーミング利得を有するように設計されており、UEは、チャネル利得のいかなる変化も観察しない。よって、UEは同じ(現在の)ビーム方向を用いて、中断することなく通信を継続することができる。
【0129】
図18Bに示される高移動性状況では、受信信号の到達角1806が急速に変化すると、UEは2つの異なるチャネル利得を観察する。二次ローブのビームフォーミング・パターンが新しい到達角の方向にある場合に、受信信号電力が、他のビームフォーミング・パターンと比較して、より大きくなる。たとえば、図示されるように、二次ローブ1808のビームフォーミング・パターンが新しい到達角1810の方向にある場合、ビームフォーミング・パターン1812の受信信号電力は、他のビームフォーミング・パターン1814と比較して、より大きくなる。次いで、UEは、そのビーム1816を、
図18Bに示されるように、最も高いチャネル利得を有するビーム・パターン1812の二次ビーム1808の方向に操向する。
【0130】
図19は、いくつかの側面による一様な線形アンテナ・アレイ1900を示す。線形アンテナ・アレイ1900が示されているが、他のアレイ・タイプ(たとえば、矩形)を使用することができる。アンテナ素子1902は、d=λ/2によって与えられる量1904だけ離間されることができる。ここで、λはキャリア周波数の波長である。
【0131】
ビームフォーミング・ベクトルは、以下に述べるように設計できる。まず、アンテナの位相および振幅励起を次のように表わす:
【数20】
【0132】
方位角θにおける遠距離場放射パターンは、次式で与えられる。
【数21】
【0133】
アンテナ放射パターン関数f(θ)も定義されることができる。ここで、0≦θ≦180°である。
【0134】
次に、メインローブ角度および二次ローブ角度をそれぞれθl,1およびθl,2として定義すると、サイドローブに対して上限を適用するための一組の角度を定義できる:
θp,i、i=1,…,L (18)
【0135】
方位角θl,1およびθl,2についての所望の放射パターンは、それぞれd1=d(θl,1)およびd2=d(θl,2)として与えられることができる。
【0136】
次に、方位角θ
l,i、i=1,…,Kについて最小二乗最小化問題を次のように与えることができる:
【数22】
【0137】
上記(19)の問題は、NP困難な問題であることを注意しておく。最適化問題(19)の解は、所望のメインローブおよび二次ローブならびに低下したサイドローブを生成するマルチフィンガー・ビームフォーミング・ベクトルwを与える。
【0138】
図20は、いくつかの側面に従った、最適化されたビームフォーミング・ベクトルの方向を示す。上記の最適化問題は、任意の方向にビームを生成するように柔軟であるが、諸側面による方法および装置は、真横の角度、すなわち
図20に示されるように0°のところにメインローブを有する単一の最適化されたビームフォーミング・ベクトルw
optを生成する。
【0139】
諸側面はまた、ビーム・ステアリング・コードブックとしてDFT行列をも提供する。DFT行列は次のように与えられることができる:
【数23】
ここで、Oはオーバーサンプリング比であり、
【数24】
である。ここで、所望のステアリング角度θに対応するDFTコードブック・インデックスkは、
【数25】
によって与えられる。ここで、
【数26】
は、最も近い整数を見出す演算子である。
【0140】
UE処理が初期に最良のビームフォーミング方向およびDFT符号語インデックスk*を知っていると仮定すると、UE処理回路は、次のようにw
optにa
k*を要素ごとに乗算することによって、ステアリングされたビームフォーミング・ベクトルを得ることができる。
【数27】
ここで、(・)
Hは共役演算であり、diag(・)はビームフォーミング・ベクトルの対角化である。
【0141】
rにより受信信号が与えられると、UE処理回路は、次の条件を検査することができる:第一に、ビームフォーミング・ベクトルs
1後の受信信号強度が(23)によりs
2よりも大きい場合には、ビームをs
1の二次ビームの方向に向けて操向するために、DFTコードブック・インデックスを1増加させる(k*←k*+1)。(21)において、εは、頻繁なビーム・スイッチングを防ぐための閾値である。
【数28】
【0142】
第二に、ビームフォーミング・ベクトルs
2後の受信信号強度が式(24)
【数29】
によりs1よりも大きい場合には、
【0143】
s2の二次ビームの方向に向けてビームを操向するために、DFTコードブック・インデックスを1だけ減らす(k*←k*-1)。
【0144】
それ以外で、第1の条件も第2の条件も成立しない場合には、UE処理回路は、ビームフォーミング・インデックスを同じに維持する。
【0145】
式(15)~(19)を参照して上述したようなビームフォーミングを実施し、次いで、最も強い受信信号強度の方向へビーム・ステアリングを実施することによって、UE処理回路は、車両用途のような高い移動性の状況においても通信を維持することができる。
【0146】
図21は、いくつかの側面によるマルチフィンガー・ビームを使用するビーム追跡のための方法2100を示す。方法2100は、UE処理回路(たとえば、ベースバンド・プロセッサ110(
図1))によって実行できる。
【0147】
方法2100は、処理回路が、第1のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンを生成するマルチフィンガー・ビームフォーミング・ベクトルを使用して、第1のフレームの第1のサブフレームにおいてビームフォーミング機能を実行する動作2102で始まる。第1のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンは、主ビームおよび第1の二次ビームを含むことができる。諸側面において、第1の二次ビームは、主ビームよりも低いビームフォーミング利得を有する。
【0148】
方法2100は、処理回路が、第2のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンを生成するマルチフィンガー・ビームフォーミング・ベクトルを使用して、第1のフレームの後の第2のフレームの第1のサブフレームにおいてビームフォーミング機能を実行する動作2104をもって継続する。第2のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンは、動作2102からの同じ主ビームおよび異なる二次ビームを含むことができる。諸側面において、第1の二次ビームは、主ビームからの第1の方位角にあり、第2の二次ビームは、主ビームを通じて伸びる軸に関して第1の二次ビームに対称な、主ビームからの第2の方位角にある。諸側面において、処理回路は、少なくとも式(16)~(19)を参照して、本明細書で前述した最小二乗最小化問題に従って方位角を決定するように構成される。
【0149】
方法2100は、処理回路が、第1のフレームと第2のフレームとの間の受信電力の変化の検出に応答して、その後の諸フレームにおける主ビームの方位角を変化させる動作2106をもって継続する。諸側面において、処理回路が対応する第1のフレームまたは第2のフレームのどちらにおいてより高い利得を検出したかに依存して、主ビームの方位角は、第1の二次ビームまたは第2の二次ビームのいずれかの方向に対応するように変更される。諸側面において、方位角は、式(20)~(23)を参照して上述したように、DFTコードブックのインデックスをインクリメントまたはデクリメントすることによって変更される。
【0150】
改善されたSNRおよび干渉緩和のための5G mmWaveにおける複数ビームのブラインド・ビーム追跡
ビーム追跡アルゴリズムは、現在のシステムにおいてビームを取得するために使用される。いくつかのビーム追跡アルゴリズムは、高速(たとえば、車両)用途におけるブラインド追跡アルゴリズムを含む。しかしながら、そのようなブラインド追跡アルゴリズムは、現在、一度に1つのビームを追跡する能力に限られている。2つ以上のビームを迅速に追跡し、該2つ以上のビームを信号対雑音比(SNR)の改善のために使用できることは有用であろう。さらに、複数ビーム追跡は、UEが干渉信号を並列に追跡し、干渉信号送信電力を除去することを可能にすることにより、強い干渉信号の存在下でのビーム取得を改善することができる。最後に、複数ビーム追跡は、複数ユースMIMO場面において、基地局が複数のユーザーを追跡するのを助けるために、基地局側で有用である。
【0151】
諸側面による方法および装置は、受信機におけるFFTの数を減少させることによってハードウェアの複雑さを減少させることができる。いくつかの側面に従って提供されるアルゴリズムは、各ユーザーについて1つある複数の並列追跡チェーンを通じて、複数のユーザーにスケールすることができる。諸側面によるアルゴリズムは、最も強いビームを追跡し、最も強いビームに対応する諸重みを決定し、最も強いビームに対応する直交方向に受信信号を投影し、受信信号パワーに応じた順序で複数の並列ビームを追跡するプロセスを繰り返すことができる。
【0152】
複数のビームは、高い移動性の状況において、たとえ到達角が頻繁に変化する場合でも、追跡することができる。追跡能力はサンプリング周波数の関数であり、これは、より速い追跡について、信号帯域幅または信号特性に関係なく、またタイミングまたは周波数の同期なしに、正確に追跡するためには、より高いサンプリング周波数がやはり使用できることを意味する。
【0153】
ブラインド・アルゴリズムは、干渉ビームを追跡できるため、干渉の存在下でも追跡することができる。これは、ブラインド・アルゴリズムが時間領域で動作し、信号に関知せず、パイロットに依存しないからである。直交方向に投影することにより、ブラインド追跡アルゴリズムは干渉を最小化する。
【0154】
諸側面による装置および方法が各アンテナの各RFチェーンの出力において、ADC後の信号にアクセスできる、完全にデジタルなミリ波アーキテクチャを想定する。k番目のアンテナで受信した信号が次のように与えられる単純な平坦フェージング・シナリオ:
【数30】
ここで、y
k(t)は、k番目のアンテナで受信した信号である。
【0155】
ベクトル形式では、(25)は次のように書くことができる。
【数31】
g
cmはc番目のクラスターにおけるm番目の要素の複素利得、cはクラスターの数、mはクラスターにおける角度の数、θ
mは異なる反射の角度である。
【0156】
単一のビームを追跡するための重みw
k
*を提供するブラインド・アルゴリズムを想定する。ここで、z
k(t)は単一の出力信号である。
【数32】
【0157】
重みは出力パワーを最大化するアルゴリズムによって決定される:
【数33】
【0158】
そのようなアルゴリズムの例は、出力パワーを最大化する等利得合成(Equal Gain Combining)法を使うことである。μは学習レートであるとして:
【数34】
【0159】
上記のブラインド技法はチャネルの知識をもたないので、何個のクラスターが存在するかはわからない。この自由度を考慮すると、ブラインド技法は、組み合わされた出力パワーを最大化するように収束する。言い換えれば、θkは最も強い方向のビームに収束する。たとえば、1つのクラスターが他のクラスターよりも有意に高いパワーを有する複数のクラスターを想定すると、式(29)で記述されたブラインド・アルゴリズムは、主(最大合成パワー)クラスターに収束する可能性が高い。これは、1つのビームを追跡するのに有用でありうるが、複数の反射および複数のビームが存在する場合、追跡は、これらの他の反射/ビームについて困難または達成不可能となりうる。
【0160】
第2のクラスターのための第2の(より低いパワーの)ビームを構築するために(たとえば、最も強いビームについてのθ1を発見した後に次に強いビームについてのθ2を発見するために)、諸側面に従った方法は、再収束が実行される前に、第1のクラスターのクラスター効果を除去する。第1のクラスター効果を除去せずに、第2のビームを追跡しようとすると、実際の第2のビームではなく、第1のビームの劣化したバージョンに収束する。第1のクラスターのクラスター効果を除去するために、まず、第1のビーム(最も高いパワーに対応する)が収束して、θが第1のビームの角度として得られたとする。次いで、諸側面によるアルゴリズムは、第1のビーム重みベクトルを使用して、第1のビームからのエネルギーを抑制し、残りのビームについての残留エネルギーを残す。次に、諸側面に従ったアルゴリズムは、次いで、ブラインド技法を再適用して、第2のクラスターを見つけることができる。抑制は、信号をもとのビーム方向に対する直交空間に投影することによって達成できる。M個の複数ビームを適正に初期化することにより、収束速度を上げることができる。
【0161】
複数ビーム追跡のためのアルゴリズムは、いくつかの側面によれば、まず、
wm≠wl m≠lについて (33)
となるように、M個の異なる方向におけるM個のビーム(ビームまたは直交ビーム間の小さな相関を有する)を初期化することができる。
【0162】
S
mを、
【数35】
の列によって張られる部分空間とする。
【0163】
さらに、
【数36】
を、S
mの直交補部分空間とする。
【0164】
受信信号全体は、2つの直交成分に分解でき、一方の成分は部分空間S
mにあり、他方の成分は部分空間
【数37】
にある。
【数38】
ここで、
【数39】
は、部分空間S
mへの投影行列であり、
【数40】
は部分空間
【数41】
への投影行列である。
【0165】
【数42】
がl≠m、l=1,…,Mについて方向w
lからのエネルギーを含まないことを注意しておく。
【0166】
w
mは、
【数43】
に基づき、
【数44】
であることをふまえて更新される。
【0167】
w
mを更新するために、諸側面によるシステムおよび方法は、単一ビーム追跡ブラインド・アルゴリズム:
【数45】
を使うことができる。
【0168】
次に、諸側面によるシステムおよび方法は、すべての投影行列
【数46】
を更新する。
【0169】
2つのビームについての例示的な投影行列は、次のように与えられる:
【数47】
【0170】
次いで、上記の処理を、第3のビームについて、またはそれ以上ビームが検出されなくなるまで繰り返すことができる。処理は、たとえば、ある数のビームに限定することができ、またはパワー閾値をもつビームの検出に限定することができる。
【0171】
図22は、いくつかの側面による、複数のビームのブラインド・ビーム追跡のためのアーキテクチャ2200を示す。アーキテクチャ2200のいくつかの要素は、処理回路(たとえば、ベースバンド・プロセッサ110(
図1))によって実装できる。信号は、k個のアンテナから2202で受信され、ADCに提供され(2204)、ADCが2206で信号y(t)を生成する。次いで、処理回路は、ブロック2206および2208において、上記の式(35)と同様に投影行列を生成する。最大M個の投影行列が生成されうる。
【0172】
次に、処理回路は、M個の投影行列を信号y(t)に適用して、最大M個の
【数48】
信号を生成する。次に、ブロック2210および2212において、たとえば、式(38)の単一ビーム追跡ブラインド・アルゴリズムを使用して、重み行列が更新される。その後、追跡された個々のビームは、さらなる処理のために、FFT 2214および2216に提供される。
【0173】
図23は、本明細書で議論される技法(たとえば、方法論)の任意の一つまたは複数が、たとえばビーム掃引およびビーム追跡動作のいずれかが実行されうる、例示的な機械2300のブロック図を示す。
【0174】
本明細書に記載される例は、機械2300内の論理またはいくつかの構成要素、または機構を含んでいてもよく、またはそれらによって動作してもよい。回路(たとえば、処理回路)は、ハードウェア(たとえば、単純な回路、ゲート、論理など)を含む、機械2300の有形エンティティにおいて実装される回路の集合である。回路のメンバーシップは、時間の経過につれて柔軟でありうる。回路は、動作時に、指定された動作を単独でまたは組み合わせて実行しうる部材を含む。一例では、回路のハードウェアは、特定の動作を実行するように、変更不能に設計されてもよい(たとえば固定結線される)。一例では、回路のハードウェアは、特定の動作の命令をエンコードするよう物理的に(たとえば、磁気的に、電気的に、不変の塊状粒子の移動可能な配置など)修正された機械可読媒体を含む、可変的に接続された物理的構成要素(たとえば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含んでいてもよい。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の基礎となる電気的特性は、たとえば、絶縁体から導体に、またはその逆に変更される。命令は、組み込みハードウェア(たとえば、実行ユニットまたはローディング機構)が、動作中に特定の動作の諸部分を実行するよう、可変接続を介して、前記回路の諸部材をハードウェア内に作り出すことができるようにする。よって、一例では、機械可読媒体要素は、回路の一部であるか、または装置が動作しているときに回路の他の構成要素に通信的に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれも、複数の回路の複数の部材で使用されてもよい。たとえば、動作中、実行ユニットは、ある時点において第1の回路類の第1の回路において使用され、別の時点では第1の回路類の第2の回路によって、または第2の回路類の第3の回路によって再利用されてもよい。機械2300に関するこれらの構成要素のさらなる例は、以下のとおりである。
【0175】
代替的な諸側面では、機械2300は、スタンドアローン装置として動作してもよく、または、他の機械に接続(たとえば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク化された配備において、機械2300は、サーバー‐クライアント・ネットワーク環境において、サーバーマシン、クライアントマシン、または、両方の資格で動作してもよい。一例では、機械2300は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして機能してもよい。機械2300は、パーソナルコンピュータ、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント、移動電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、または、その機械が行なうべきアクションを指定する命令(逐次的であってもなくてもよい)を実行することができる任意の機械でありうる。さらに、単一の機械のみが例示されているが、用語「機械」は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、その他のコンピュータクラスター構成など、本明細書で議論された方法論の任意の一つまたは複数を実行するために、命令のセット(または複数のセット)を個別にまたは共同で実行する機械の任意の集合も含むと解釈される。
【0176】
機械(たとえば、コンピュータシステム)2300は、ハードウェアプロセッサ2302(たとえば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ2304、静的メモリ(たとえば、ファームウェア、マイクロコード、基本入出力(BIOS)、統一拡張可能ファームウェアインターフェース(UEFI)などのためのメモリまたは記憶)2306、および大容量記憶2308(たとえば、ハードドライブ、テープドライブ、フラッシュ記憶装置、または他のブロック装置)を含んでいてもよく、それらの一部または全部が、相互リンク(たとえば、バス)2330を介して互いに通信しうる。機械2300は、表示ユニット2310、英数字入力装置2312(たとえば、キーボード)、およびユーザー・インターフェース(UI)ナビゲーション装置2314(たとえば、マウス)をさらに含んでいてもよい。一例では、表示ユニット2310、入力装置2312、およびUIナビゲーション装置2314は、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械2300は、さらに、記憶装置(たとえば、ドライブユニット)2308、信号生成装置2318(たとえば、スピーカー)、ネットワーク・インターフェース装置2320、および一つまたは複数のセンサー2316(たとえば、全地球測位システム(GPS)センサー、コンパス、加速度計、または他のセンサー)を含んでいてもよい。機械2300は、一つまたは複数の周辺装置(たとえば、プリンター、カードリーダーなど)を通信または制御するための、シリアル(たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、パラレル、または他の有線または無線(たとえば、赤外線(IR)、近接場通信(NFC)、など)接続などの出力コントローラ2328を含んでいてもよい。
【0177】
プロセッサ2302のレジスタ、メインメモリ2304、静的メモリ2306、または大容量記憶装置2308は、本明細書に記載される技法または機能のうちの任意の一つまたは複数を具現するまたはそれによって利用される、データ構造または命令2324(たとえば、ソフトウェア)の一つまたは複数のセットが記憶される機械可読媒体2322であってもよく、またはそれを含んでいてもよい。命令2324はまた、機械2300によるその実行中、プロセッサ2302のレジスタ、メインメモリ2304、静的メモリ2306、または大容量記憶2308のいずれかに、完全にまたは少なくとも部分的に存在してもよい。一例では、ハードウェアプロセッサ2302、メインメモリ2304、静的メモリ2306、または大容量記憶装置2308の一つまたは任意の組み合わせが、機械可読媒体2322を構成してもよい。機械可読媒体2322は、単一の媒体として示されているが、「機械可読媒体」という用語は、一つまたは複数の命令2324を記憶するように構成された単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバー)を含んでいてもよい。
【0178】
用語「機械可読媒体」は、機械2300による実行のための命令を記憶、エンコード、または搬送することができ、機械2300に本開示の技法のうちのいずれか一つまたは複数を実行させる任意の媒体、またはそのような命令によって使用される、または関連するデータ構造を記憶、エンコード、または搬送することができる任意の媒体を含んでいてもよい。非限定的な機械可読媒体の例は、固体メモリ、光媒体、磁気媒体、および信号(たとえば、無線周波数信号、他の光子ベースの信号、音信号など)を含みうる。一例では、非一時的な機械可読可能媒体は、不変質量(たとえば、静止質量)を有する複数の粒子を有する機械可読媒体を含み、よって、物質の組成物である。よって、非一時的な機械可読媒体は、一時的な伝搬信号を含まない機械可読媒体である。非一時的な機械可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(たとえば、電気的にプログラマブルな読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイスのような不揮発性メモリ;内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含んでいてもよい。
【0179】
命令2324は、さらに、多数の転送プロトコル(たとえば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちの任意の1つを使用して、ネットワーク・インターフェース装置2320を介して伝送媒体を使用して、通信ネットワーク2326を通じて送信または受信されてもよい。例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(たとえばインターネット)、移動電話ネットワーク(たとえば、セルラーネットワーク)、プレーンオールドテレフォン(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(たとえば、Wi-Fi(登録商標)として知られる米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11ファミリーの規格、WiMax(登録商標)として知られるIEEE 802.16ファミリーの規格、IEEE 802.15.4ファミリーの規格、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどを含みうる。一例では、ネットワーク・インターフェース装置2320は、通信ネットワーク2326に接続するために、一つまたは複数の物理的なジャック(たとえば、イーサネット、同軸、または電話ジャック)または一つまたは複数のアンテナを含んでいてもよい。一例では、ネットワーク・インターフェース装置2320は、単一入力複数出力(SIMO)、複数入力複数出力(MIMO)、または複数入力単一出力(MISO)技法のうちの少なくとも1つを使用して無線通信する複数のアンテナを含んでいてもよい。
「伝送媒体」という用語は、機械2300による実行のための命令を記憶、エンコード、または搬送することができる任意の無形の媒体を含むと解釈され、デジタルまたはアナログ通信信号、またはかかるソフトウェアの通信を容易にする他の無形の媒体を含む。伝送媒体は、機械可読媒体である。
【実施例】
【0180】
実施例1は、無線通信デバイスの装置であって: Nr個のアンテナおよびNr/Nr
rf個のアンテナ・サブアレイを含むアンテナ・アレイであって、Nr
rfは当該装置のRFチェーンの数である、アンテナ・アレイと;
処理回路とを有しており、前記処理回路は: 前記Nr/Nr
rf個のアンテナ・サブアレイでビームフォーミング機能を実行し; 前記ビームフォーミング機能の実行に応答して受信された受信信号の到達角を決定し; 前記到達角に応じて当該装置の移相器を調整するよう構成されている、
装置である。
【0181】
実施例2は、実施例1の主題を含むことができ、前記到達角は: 各サブアレイを(Nr/Nr
rf)(2d/λ)個の格子角のそれぞれに向けてステアリングする段階であって、dは各サブアレイ間の距離であり、λは前記受信信号の波長である、段階と; 最大の測定されたパワー利得をもつ格子角を選択する段階とを実行することによって決定される。
【0182】
実施例3は、実施例1~2の主題を含むことができ、前記ステアリングは、離散フーリエ変換(DFT)コードブックを用いて実行される。
【0183】
実施例4は、実施例1~3の主題を含むことができ、前記DFTコードブックは、(Nr/Nr
rf)×(Nr/Nr
rf)のサイズを有する。
【0184】
実施例5は、実施例1~4の主題を含むことができ、前記ビームフォーミング機能は、各アンテナ・サブアレイのアレイ・パターンが実質的に同一であるように、前記Nr/Nr
rf個のサブアレイの各アンテナ・サブアレイに適用されたビームフォーミング・ベクトルを用いて実行される。
【0185】
実施例6は、無線通信デバイスの装置であって: アンテナ・アレイと; 前記アンテナ・アレイに結合された処理回路とを有しており、前記処理回路は: 第1のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンを生成するマルチフィンガー・ビームフォーミング・ベクトルを用いて、第1のフレームの第1のサブフレームにおいてビームフォーミング機能を実行する段階であって、前記第1のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンは主ビームおよび第1の二次ビームを含む、段階と; 前記第1のフレームの後の第2のフレームの第1のサブフレームにおいて、第2のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンを生成するマルチフィンガー・ビームフォーミング・ベクトルを用いて、前記ビームフォーミング機能を実行する段階であって、前記第2のマルチフィンガー・ビームフォーミング・パターンは、前記主ビームおよび第2の二次ビームを含む、段階と; 前記第1のフレームと前記第2のフレームの間の受信電力の変化を検出することに応答して、その後のフレームにおける前記主ビームの方位角を変化させる段階とを実行するよう構成されている、装置である。
【0186】
実施例7は、実施例6の主題を含むことができ、前記第1の二次ビームは、前記主ビームよりも低いビームフォーミング利得を有する。
【0187】
実施例8は、実施例6~7の主題を含むことができ、前記第1の二次ビームは、前記主ビームから第1の方位角にあり、前記第2の二次ビームは、前記主ビームから、前記主ビームを通じて延在する軸について前記第1の二次ビームとは対称な第2の方位角にある。
【0188】
実施例9は、実施例6~8の主題を含むことができ、前記主ビームの方位角が、前記第1の二次ビームまたは前記第2の二次ビームのいずれかの方向に対応するように変更される。
【0189】
実施例10は、実施例6~9の主題を含むことができ、前記主ビームの方位角が、当該装置が最も高いチャネル利得を検出した前記フレーム中のビーム方向に対応するように変更される。
【0190】
実施例11は、実施例1~10の主題を含むことができ、前記方位角は、当該装置が最も高いチャネル利得を検出した前記フレーム中の対応する二次ビームのビーム方向に対応するように変更される。
【0191】
実施例12は、実施例1~11の主題を含むことができ、前記方位角は、離散フーリエ変換(DFT)コードブックのインデックスをインクリメントまたはデクリメントすることによって変更される。
【0192】
実施例13は、実施例1~12の主題を含むことができ、前記処理回路は、最小二乗最小化問題に従って前記主ビームの前記方位角を決定するように構成される。
【0193】
実施例14は、無線通信デバイスの装置であって: 複数のビームを含む信号を受信するように構成されたアンテナ・アレイと; 前記アンテナ・アレイに結合された処理回路とを有しており、前記処理回路は: 前記アンテナ・アレイにおいて受信された前記複数のビームのうちの第1のビームを検出する段階と; 前記第1のビームに対応する重みベクトルに基づいて、受信信号内の前記第1のビームからのエネルギーを抑制する段階と; 受信信号内の前記第1のビームからのエネルギーを抑制した後に、受信信号内の第2のビームを検出する段階とを実行するよう構成されている、装置である。
【0194】
実施例15は、実施例14の主題を含み、前記処理回路は: 前記第2のビームに対応する重みベクトルに基づいて、受信信号内の前記第2のビームからのエネルギーを抑制する段階と; 受信信号内の前記第2のビームからのエネルギーを抑制した後に、受信信号内の第3のビームを検出する段階とを実行するようさらに構成されている。
【0195】
実施例16は、実施例14~15の主題を含み、前記処理回路は、前記第1のビームの方向に直交する空間に前記受信信号を投影することによって、前記第1のビームからのエネルギーを抑制する。
【0196】
実施例17は、実施例14~16の主題を含み、前記処理回路は、ブラインド・アルゴリズムを使用して、パイロット信号なしに、前記第1のビームおよび前記第2のビームを検出する。
【0197】
実施例18は、請求項14~17の主題を含み、前記ブラインド・アルゴリズムは、出力パワーを最大化する等利得合成法を含む。
【0198】
実施例19は、実施例1~18のいずれかに記載される動作を実施するための方法を含むことができる。
【0199】
実施例20は、実施例1~18のいずれかに記載の動作を実行するための手段を有するシステムを含むことができる。
【0200】
実施例21は、実施例1~18のいずれかに記載される動作を実行するための命令を含む、コンピュータ読み取り可能な媒体を含むことができる。
【0201】
個別的な例示的な諸側面を参照してある側面が記述されたが、本開示のより広い精神および範囲から逸脱することなく、これらの側面にさまざまな修正および変更を加えることができることは明らかであろう。よって、明細書および図面は、制約する意味ではなく例解するものと見なされるべきである。本明細書の一部をなす添付の図面は、限定ではなく例解として、主題が実施されうる具体的な諸側面を示す。図示された諸側面は、当業者が本明細書に開示された教示を実施できるようにするのに十分な詳細さで説明されている。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的置換および変更を行なうことができるように、他の側面を利用し、そこから導き出すことができる。よって、この詳細な説明は、限定する意味で解釈されるべきではなく、さまざまな側面の範囲は、添付の特許請求の範囲に該当する均等物の全範囲も合わせた添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0202】
本発明の主題のそのような諸側面は、本明細書において、単に便宜上、用語「側面」によって個別におよび/または集合的に言及されることがあるが、実際に二つ以上が開示されている場合に本願の範囲を、どの単一の側面または発明概念にも自発的に限定することは意図していない。よって、個別的な諸側面が図示され、本明細書に記載されているが、同一の目的を達成するよう計算された任意の構成を、示された具体的な諸側面の代わりとしてもよいことを理解しておくべきである。本開示は、さまざまな側面の任意の、またあらゆる適応または変形をカバーすることを意図している。上記の諸側面、および本明細書に具体的に記載されていない他の諸側面の組み合わせは、上記の記載を検討すれば当業者には明らかとなろう。
【0203】
本稿において、用語「a」または「an」は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1」または「一つまたは複数」の他の事例または使用とは無関係に、1または2以上を含むものとして使用されている。本稿において、用語「または」は、非排他的な「または」を指すために使用されており、「AまたはB」は、特に断わりのない限り、「AだがBではない」、「BだがAではない」、および「AおよびB」を含む。本稿において、用語「含む」および「ここで」が、それぞれ用語「comprising」および「wherein」の平易な英語の等価語として使用されている。また、以下の請求項において、用語「含む」および「有する」は、オープンエンドである。すなわち、システム、UE、物品、組成物、処方物、またはプロセスであって、請求項においてそのような用語で挙げられているものに加えて、要素を含むものであっても、その請求項の範囲内にはいるとみなされる。さらに、特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」および「第3」などは、単にラベルとして使用されており、その対象に数値的要件を課すことは意図されていない。
【0204】
本開示の要約書は、読者が技術的開示の性質を迅速にみきわめられるようにするために提供されている。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないとの理解で提出される。さらに、前述の詳細な説明では、開示の流れをよくする目的で、さまざまな特徴が単一の側面にまとめられていることがわかる。この開示方法は、特許請求される側面が、各請求項において明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された側面のすべての特徴よりも少ないものにある。よって、以下の請求項は、ここに、各請求項が別個の側面として自立して、詳細な説明に組み込まれる。
【0205】
下記は、本明細書で論じられた方法、機械可読媒体、およびシステム(たとえば、機械、デバイス、または他の装置)のさまざまな例を記載する。