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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241001BHJP
   H01G 4/33 20060101ALN20241001BHJP
【FI】
H01G4/30 541
H01G4/30 544
H01G4/33 102
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021030890
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131768
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】津吉 淳弘
(72)【発明者】
【氏名】大塚 隆史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健一
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033169(JP,A)
【文献】特開2002-033239(JP,A)
【文献】特開2010-232282(JP,A)
【文献】特開2007-123690(JP,A)
【文献】特開2007-149970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、キャパシタの下部電極を含む第1の導体層と、
前記下部電極の上面及び側面を覆う誘電体膜と、
前記誘電体膜を介して前記下部電極の上面に形成されたキャパシタの上部電極と、
前記下部電極の前記上面及び前記側面と前記誘電体膜との間に介在する第1の密着膜と、
前記基板と前記第1の導体層の間に設けられた平坦化層と、を備え、
前記下部電極の前記側面には、前記平坦化層を構成する絶縁材料が付着していることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第1の導体層及び前記上部電極を埋め込む第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に設けられ、インダクタパターンを含む第2の導体層と、
前記第2の導体層を埋め込む第2の絶縁層と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1の密着膜はTi、Cr又はTa、これらの酸化物及びこれらの窒化物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記上部電極は、前記誘電体膜と接し、Ti、Cr又はTaを含むシード層と、前記シード層上に形成されたメッキ層の積層構造を有し、
前記誘電体膜のうち前記下部電極の前記側面を覆う部分と前記第1の絶縁層との間には、前記シード層と同じ材料からなる第2の密着膜が介在していることを特徴とする請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記下部電極の前記側面と前記平坦化層を構成する絶縁材料の間には、前記第1の導体層に含まれるシード層を構成する導電材料が介在していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品に関し、特に、キャパシタが内蔵された電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタが内蔵されたチップ型の電子部品としては、特許文献1に記載された電子部品が知られている。特許文献1に記載された電子部品は、2層の導体層を用いてキャパシタとインダクタの直列回路を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-34626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電子部品では、キャパシタの下部電極の上面及び側面が誘電体膜で直接覆われていることから、両者の界面において剥離が生じやすいという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、キャパシタが内蔵された電子部品において、キャパシタの下部電極と誘電体膜の間の剥離を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子部品は、基板上に形成され、キャパシタの下部電極を含む第1の導体層と、下部電極の上面及び側面を覆う誘電体膜と、誘電体膜を介して下部電極の上面に形成されたキャパシタの上部電極と、下部電極の上面及び側面と誘電体膜との間に介在する第1の密着膜とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、下部電極の上面及び側面と誘電体膜との間に第1の密着膜が介在していることから、下部電極と誘電体膜の界面における剥離を防止することが可能となる。
【0008】
本発明による電子部品は、第1の導体層及び上部電極を埋め込む第1の絶縁層と、第1の絶縁層上に設けられ、インダクタパターンを含む第2の導体層と、第2の導体層を埋め込む第2の絶縁層とをさらに備えていても構わない。このよう構造を有する場合、第1及び第2の絶縁層に起因する応力によって下部電極と誘電体膜の界面における剥離が生じやすくなるが、第1の密着膜によって剥離を防止することが可能となる。
【0009】
本発明において、第1の密着膜はTi、Cr又はTa、これらの酸化物及びこれらの窒化物の少なくとも一つを含んでいても構わない。これによれば、Cu等からなる下部電極と無機材料等からなる誘電体膜の両方に対して高い密着性を得ることが可能となる。
【0010】
本発明において、上部電極は、誘電体膜と接し、Ti、Cr又はTaを含むシード層と、シード層上に形成されたメッキ層の積層構造を有し、誘電体膜のうち下部電極の側面を覆う部分と第1の絶縁層との間には、シード層と同じ材料からなる第2の密着膜が介在していても構わない。これによれば、第1の絶縁層の界面における剥離が生じにくくなる。
【0011】
本発明による電子部品は、基板と第1の導体層の間に設けられた平坦化層をさらに備え、下部電極の側面には、平坦化層を構成する絶縁材料が付着していても構わない。これによれば、下部電極の側面と第1の密着膜との密着性をより高めることが可能となる。この場合、下部電極の側面と平坦化層を構成する絶縁材料の間には、第1の導体層に含まれるシード層を構成する導電材料が介在していても構わない。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、キャパシタが内蔵された電子部品において、キャパシタの下部電極と誘電体膜の間の剥離を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態による電子部品1の構造を説明するための略平面図である。
図2図2は、図1のA-A線に沿った略断面図である。
図3図3は、導体層M1,MMのパターン形状を示す略平面図である。
図4図4は、絶縁層11に設けられたビアの位置を示す略平面図である。
図5図5は、導体層M2のパターン形状を示す略平面図である。
図6図6は、電子部品1の等価回路図である。
図7図7は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図8図8は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図9図9は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図10図10は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図11図11は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図12図12は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図13図13は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図14図14は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図15図15は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
図16図16は、電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態による電子部品1の構造を説明するための略平面図である。また、図2は、図1のA-A線に沿った略断面図である。
【0016】
本実施形態による電子部品1はLCフィルタであり、図1及び図2に示すように、基板2と、基板2の主面上に形成された導体層M1,MM,M2及び絶縁層11,12を備えている。導体層M1,MMのパターン形状については図3に示されており、絶縁層11に設けられたビアの位置については図4に示されており、導体層M2のパターン形状については図5に示されている。基板2の材料としては、化学的・熱的に安定で応力発生が少なく、表面の平滑性を保つことができる材料であればよく、特に限定されるものではないが、シリコン単結晶、アルミナ、サファイア、窒化アルミ、MgO単結晶、SrTiO3単結晶、表面酸化シリコン、ガラス、石英、フェライト、有機フィルムなどを用いることができる。基板2の表面は平坦化層3で覆われている。平坦化層3としては、アルミナや酸化シリコンなどを用いることができる。
【0017】
導体層M1は最下層に位置する導体層であり、図3に示すように、導体パターン21~26を含んでいる。このうち、導体パターン21~24は端子電極パターンであり、ループ状の導体パターン25はインダクタパターン兼キャパシタの下部電極であり、導体パターン26はキャパシタの下部電極である。導体パターン25の一端は導体パターン21に接続されている。また、導体パターン26は、導体パターン23,24に接続されている。これら導体パターン21~26は、いずれも平坦化層3と接し、チタン(Ti)、クロム(Cr)又はタンタル(Ta)を含む薄いシード層Sと、シード層S上に設けられ、シード層Sよりも膜厚の大きい銅(Cu)などからなるメッキ層Pによって構成されている。他の導体層MM,M2に位置する導体パターンについても同様であり、Ti、Cr又はTaを含むシード層SとCuなどからなるメッキ層Pの積層体によって構成されている。
【0018】
導体パターン21~26のうち、少なくともキャパシタの下部電極を構成する導体パターン25,26については、その上面及び側面が密着膜5を介して誘電体膜(容量絶縁膜)4で覆われている。誘電体膜4は、窒化シリコンなどの無機絶縁材料からなる。密着膜5はTi、Cr又はTa、これらの酸化物及びこれらの窒化物の少なくとも一つからなり、導体層M1と誘電体膜4の間に介在することによって、密着性の低い窒化シリコンとCuの界面における剥離を防止する役割を果たす。特に、密着膜5は、導体層M1の上面だけでなく側面も覆うことにより、誘電体膜4の剥離が広域において防止される。密着膜5が存在する位置は図3に示されており、導体層M1の上面及び側面は、上層の導体層との接続部分を除いて全面が密着膜5によって覆われている。
【0019】
導体パターン25,26の上面には、誘電体膜4を介して導体パターン31,32が形成されている。導体パターン31,32は、導体層M1と導体層M2の間に位置する導体層MMに属し、キャパシタの上部電極を構成する。これにより、導体パターン25を下部電極とし、導体パターン31を上部電極とするキャパシタと、導体パターン26を下部電極とし、導体パターン32を上部電極とするキャパシタが形成される。導体層MMの厚さは導体層M1,M2よりも薄く、これにより導体層MMのパターン精度が高められている。導体層M1及び導体層MMは、ポリイミドなどの樹脂材料からなる絶縁層11で覆われる。
【0020】
図4に示すように、絶縁層11には導体層M1,MMを露出させるビア41~47が設けられている。このうち、ビア41~44はそれぞれ導体パターン21~24を露出させる位置に設けられ、ビア45は導体パターン25の端部を露出させる位置に設けられ、ビア46,47はそれぞれ導体パターン31,32を露出させる位置に設けられる。
【0021】
導体層M2は、絶縁層11の表面に設けられた2層目の導体層であり、図5に示すように、導体パターン51~58を含んでいる。このうち、導体パターン51~54は端子電極パターンであり、ループ状の導体パターン55はインダクタパターンであり、導体パターン57は上部電極の引き出しパターンであり、ミアンダ状の導体パターン58はインダクタパターンである。導体パターン51~54は、ビア41~44を介してそれぞれ導体パターン21~24に接続される。導体パターン55の一端は、ビア45を介して導体パターン25の他端に接続され、導体パターン55の他端は、導体パターン57に接続されるとともに、ビア46を介して導体パターン31に接続される。導体パターン57は、ビア47を介して導体パターン32に接続される。
【0022】
図6は、第1の実施形態による電子部品1の等価回路図である。
【0023】
図6に示すように、本実施形態による電子部品1は、端子電極E1と内部ノードNの間にキャパシタC1とインダクタL1が並列に接続され、端子電極E2と内部ノードNの間にインダクタL2が接続され、端子電極E3,E4と内部ノードNの間にキャパシタC2が接続された回路構成を有する。端子電極E1は導体パターン21,51に対応し、端子電極E2は導体パターン22,52に対応し、端子電極E3は導体パターン23,53に対応し、端子電極E4は導体パターン24,54に対応する。また、内部ノードNは導体パターン57に対応する。キャパシタC1は、導体パターン25の一部を下部電極とし、導体パターン31を上部電極とする。キャパシタC2は、導体パターン26の一部を下部電極とし、導体パターン32を上部電極とする。インダクタL1は導体パターン25,55によって構成され、インダクタL2は導体パターン58によって構成される。
【0024】
このように、キャパシタを構成する導体層M1,MMの上層にインダクタパターンを構成する導体層M2が存在する場合、導体層M1,MMを覆う絶縁層11の応力だけでなく、導体層M2を覆う絶縁層12の応力が加わることから、密着性の低い界面において剥離が生じやすい。このような問題は、インダクタパターンがより多くの導体層を用いて形成されている場合にはより顕著である。
【0025】
しかしながら、本実施形態による電子部品1は、最も剥離が生じやすい導体層M1と誘電体膜4の間に密着膜5が介在していることから、導体層M1と誘電体膜4の界面における剥離を防止することができる。ここで、密着膜5は、全面が誘電体膜4で覆われている必要はなく、誘電体膜4から露出している部分を有していても構わない。誘電体膜4から露出する密着膜5は、絶縁層11との密着性を高める役割を果たす。
【0026】
次に、本実施形態による電子部品1の製造方法について説明する。
【0027】
図7図16は、本実施形態による電子部品1の製造方法を説明するための工程図である。電子部品1の製造プロセスにおいては、集合基板を用いて複数の電子部品1が多数個取りされるが、図7図16に示す製造プロセスは1個の電子部品1に着目している。
【0028】
まず、図7に示すように、基板(この時点では集合基板)2上にスパッタリング法などを用いて平坦化層3を形成し、その表面を研削或いはCMPなどの鏡面化処理を行なって平滑化する。その後、平坦化層3の表面にスパッタリング法などを用いてシード層Sを形成する。次に、図8に示すように、シード層S上にレジスト層R1をスピンコートした後、導体層M1を形成すべき領域のシード層Sが露出するよう、レジスト層R1をパターニングする。この状態で、シード層Sを給電体とする電解メッキを行うことにより、図9に示すように、シード層S上にメッキ層Pを形成する。シード層Sとメッキ層Pの積層体は、導体層M1を構成する。図9に示す断面においては、導体層M1に導体パターン25,26が含まれている。そして、図10に示すようにレジスト層R1を除去した後、表面に露出するシード層Sを除去すれば、導体層M1が完成する。シード層Sの除去は、イオンミリングなどのエッチングによって行うことができる。
【0029】
ここで、シード層Sの除去をイオンミリングによって行うと、図11に示すように、イオンビーム61の照射によって、まずシード層Sが弾き飛ばされ、次に平坦化層3を構成する絶縁材料62が弾き飛ばされる。弾き飛ばされたシード層Sの一部は導体層M1の側面に付着し、弾き飛ばされた絶縁材料62の一部は、シード層Sを構成する導電材料の上から導体層M1の側面に付着する。これにより、導体層M1の側面M1sにはシード層S及び絶縁材料62からなる極めて薄い膜、或いは、部分に的に付着したシード層S及び絶縁材料62からなる凹凸が形成される。導体層M1の側面M1sに形成されたシード層S及び絶縁材料62からなる膜や凹凸は、導体層M1と密着膜5の密着性を高める役割を果たす。一方、イオンミリングによって弾き飛ばされたシード層S及び絶縁材料62は、導体層M1の上面M1tには付着しないことから、シード層S及び絶縁材料62の付着に起因するキャパシタンスの変動などは生じない。
【0030】
次に、図12に示すように、導体層M1の上面及び側面を含む全面に、Ti、Cr又はTaからなる密着膜5を成膜する。次に、図13に示すように、導体層M1及びその周囲を覆うレジスト層R2を形成した後、レジスト層R2をマスクとして密着膜5をパターニングする。これにより、密着膜5は、導体層M1の上面、側面及びその周囲にのみ残存する。
【0031】
次に、図14に示すように、全面に誘電体膜4を成膜する。誘電体膜4としては、例えば、窒化シリコン(SiNx)や酸化シリコン(SiOx)などの常誘電体材料の他、公知の強誘電体材料などを利用することができる。誘電体膜4の成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマCVD法、MOCVD法、ゾルゲル法、電子ビーム蒸着法などを用いることができる。その後、誘電体膜4のうち平坦化層3の表面に形成された部分など、キャパシタとして機能しない部分の誘電体膜4を除去しても構わない。キャパシタとして機能しない部分の誘電体膜4を除去すれば、誘電体膜4の応力が緩和される。キャパシタとして機能しない部分の誘電体膜4としては、導体層M1のうちキャパシタの下部電極として機能しない部分(例えば導体パターン21~24など)を覆う部分も含まれる。このような部分の誘電体膜4を除去すれば、部分的に密着膜5が露出した状態となる。
【0032】
次に、図15に示すように、導体層M1の形成方法と同様の方法を用いることによって、導体パターン25,26の上面に誘電体膜4を介して導体パターン31,32を形成する。導体パターン31,32も、シード層Sとメッキ層Pの積層体からなる。これにより、導体層MMが完成し、導体パターン25,26を下部電極とし、導体パターン31,32を上部電極とするキャパシタが形成される。
【0033】
ここで、導体層MMに含まれるシード層Sは、上述の通り、Ti、Cr又はTaを含んでいることから、誘電体膜4に対する密着性が高い。シード層Sの不要部分は、図10に示した方法で除去される。ここで、導体層MMに含まれるシード層Sの除去をイオンミリングによって行うと、部分拡大図である図16に示すように、誘電体膜4のうち導体層M1の側面M1sを覆う垂直部分には、シード層Sの一部が残存する。このように残存したシード層Sの一部は、第2の密着膜6として機能する。また、導体層MMに含まれるシード層Sと密着膜5が同じ材料である場合、同じ物質で誘電体膜4を挟むことになるため、仕事関数が等しくなる。これにより、バイアス依存性が発生せず、電圧に対して電流が正負対称になる。
【0034】
そして、導体層M1,MMを覆う絶縁層11を形成した後、図4に示したビア41~47を絶縁層11に形成し、さらに、導体層M2及び絶縁層12を順次形成すれば、本実施形態による電子部品1が完成する。ここで、図16に示すように、誘電体膜4のうち導体層M1の側面M1sを覆う垂直部分にシード層Sの一部を残存させれば、このシード層Sが絶縁層11に対する密着膜6として機能することから、絶縁層11の界面における剥離が生じにくくなる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0036】
1 電子部品
2 基板
3 平坦化層
4 誘電体膜
5 第1の密着膜
6 第2の密着膜
11,12 絶縁層
21~26,31,32,51~58 導体パターン
41~47 ビア
61 イオンビーム
62 絶縁材料
C1,C2 キャパシタ
E1~E4 端子電極
L1,L2 インダクタ
M1,MM,M2 導体層
M1s 導体層の側面
M1t 導体層の上面
N 内部ノード
P メッキ層
R1,R2 レジスト層
S シード層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16