(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】モジュラービジョンシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G03B 35/08 20210101AFI20241001BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241001BHJP
G03B 17/00 20210101ALI20241001BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20241001BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241001BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20241001BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20241001BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241001BHJP
【FI】
G03B35/08
G03B15/00 H
G03B15/00 T
G03B15/00 W
G03B17/00 Q
G03B17/14
G03B17/56 A
G06K7/10 372
G06K7/10 416
G06K7/10 468
H04N23/45
H04N23/57
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021038398
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504382671
【氏名又は名称】コグネックス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス ヌニンク
(72)【発明者】
【氏名】カール ガースト サード
(72)【発明者】
【氏名】レネ デラソース
(72)【発明者】
【氏名】サウル サンス ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】イェンス リュッテン
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-217410(JP,A)
【文献】特開平03-138634(JP,A)
【文献】特開平08-205200(JP,A)
【文献】特開2006-270265(JP,A)
【文献】特開2010-245831(JP,A)
【文献】特開2012-159616(JP,A)
【文献】特開平08-126031(JP,A)
【文献】特開2008-028900(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102866572(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0151041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 35/08
G03B 17/00
G03B 17/14
G03B 15/00
H04N 23/57
H04N 23/45
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェースプレートを有するハウジングと、
前記フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールであって、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第1のイメージングレンズと、を有する第1の光学モジュールと、
前記フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールであって、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第2のイメージングレンズと、を有する第2の光学モジュールと、を備え、
前記第1の光学モジュールは第1の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは
、前記第1の複数の取り付け向きに依存しない第2の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、これにより、前記第1の光軸及び前記第2の光軸が共通平面内で互いに対して斜めに延在する複数のイメージング構成が、共同で提供される、モジュラービジョンシステム。
【請求項2】
前記複数のイメージング構成のうちの2つ以上は、それぞれ、前記第1の光軸と前記第2の光軸とがなす異なる角度のそれぞれに対応する、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項3】
前記複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、前記第1の光軸が前記第1の光学モジュールから延在する第1の方向は、前記第2の光軸が前記第2の光学モジュールから延在する第2の方向から発散する、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項4】
前記複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、前記第1の光軸と前記第2の光軸とがなす角度は、5°~30°である、請求項3に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項5】
第1の複数の取り付け向きのサブセットを提供するよう構成された第1の交換可能なウェッジと、第2の複数の取り付け向きのサブセットを提供するよう構成された第2の交換可能なウェッジと、をさらに備える、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項6】
前記第1の光学モジュールを、前記第1の複数の取り付け向きで、前記ハウジングに対して支持するよう構成された第1の円筒形の取付面と、
前記第2の光学モジュールを、前記第2の複数の取り付け向きで、前記ハウジングに対して支持するよう構成された第2の円筒形の取付面と、をさらに備える、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項7】
前記イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の光軸は前記第1の光学モジュールから前記第2の光軸に向かって延在し、前記第2の光軸は前記第2の光学モジュールから前記第1の光軸に向かって延在する、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項8】
前記イメージング構成のうちの前記少なくとも1つにおいて、前記第1の光軸及び前記第2の光軸は互いに対して整列し、これにより、前記共通平面内で、前記第1のFOVと前記第2のFOVとが一定幅でオーバーラップする、請求項7に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項9】
前記イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1のFOVと前記第2のFOVとがオーバーラップする部分において、前記第1のFOVの外縁と前記第2のFOVの外縁とが、イメージング方向と平行に延在する、請求項8に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項10】
フェースプレートを有するハウジングと、
前記フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールであって、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第1のイメージングレンズと、を有する第1の光学モジュールと、
前記フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールであって、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第2のイメージングレンズと、を有する第2の光学モジュールと、を備え、
前記第2の光軸は、前記第1の光軸と共通平面内にあり、
前記第1の光軸と前記第2の光軸との間で前記共通平面に沿って
当該第1の光軸と当該第2の光軸とに交差する方向に光学素子軸が延び
、
前記第1の光学モジュールは第1の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは第2の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、これにより、複数のイメージング構成が共同で提供され、
前記複数のイメージング構成において、
前記第1の光軸は、複数の異なる距離だけ、前記光学素子軸の方向に、前記第1の矩形イメージセンサの中心に対して横方向にオフセットされており、
前記第2の光軸は、複数の異なる距離だけ、前記光学素子軸の方向に、前記第2の矩形イメージセンサの中心に対して横方向にオフセットされている、モジュラービジョンシステム。
【請求項11】
前記複数のイメージング構成のうちの2つ以上は、それぞれ、前記第1の矩形イメージセンサの中心及び前記第2の矩形イメージセンサの中心からの前記第1の光軸及び前記第2の光軸のオフセットの異なるセットのそれぞれに対応する、請求項10に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項12】
前記複数のイメージング構成において、前記第1の光軸及び前記第2の光軸は互いに平行である、請求項10に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項13】
前記イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1の光軸及び前記第2の光軸のオフセットにより、前記共通平面内で、前記第1のFOVと前記第2のFOVとが一定幅でオーバーラップする、請求項12に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項14】
前記イメージング構成のうちの前記少なくとも1つにおいて、
前記第1の光軸のオフセットは、前記第1の光軸を、前記第1の矩形イメージセンサの外縁と交差するように整列させる外向きのオフセットであり、
前記第2の光軸のオフセットは、前記第2の光軸を、前記第2の矩形イメージセンサの外縁と交差するように整列させる外向きのオフセットである、請求項13に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項15】
前記第1のイメージングレンズは第1の可変焦点距離レンズであり、
前記第2のイメージングレンズは第2の可変焦点距離レンズであり、
前記イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、前記第1のイメージングレンズ及び前記第2のイメージングレンズを複数の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、前記共通焦点距離に対応する動作距離において、共通平面内で、前記第1のFOVと前記第2のFOVとが一定幅でオーバーラップする、請求項12に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項16】
フェースプレートを有するハウジングと、
前記フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールであって、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第1のイメージングレンズと、を有する第1の光学モジュールと、
前記フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールであって、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第2のイメージングレンズと、を有する第2の光学モジュールと、を備えるモジュラービジョンシステムであって、
前記第1の光学モジュールは第1の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは
、前記第1の複数の取り付け向きに依存しない第2の複数の取り付け向きで前記フェースプレートに取り付けられるよう構成され、これにより、前記モジュラービジョンシステムが、前記第1の光軸及び前記第2の光軸の複数の別個の配置を提供する複数のイメージング構成に選択的にセットされる、モジュラービジョンシステム。
【請求項17】
前記取り付け向きのうちの2つ以上の各々において、前記第1の光軸と前記第2の光軸は、共通平面内で、互いに離れる方向に角度付けられている、請求項16に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項18】
前記取り付け向きのうちの2つ以上の各々において、前記第1の光軸と前記第2の光軸は、共通平面内で、互いに近づく方向に角度付けられるとともに前記第1のFOVと前記第2のFOVとを一定幅でオーバーラップさせる、請求項17に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項19】
前記取り付け向きのうちの第1の取り付け向き及び第2の取り付け向きにおいて、共通平面内で、前記第1の光軸は前記第2の光軸と平行に延在し、
前記第1の取り付け向きによって、前記第1の光軸及び前記第2の光軸が、対応する前記第1の矩形イメージセンサ又は前記第2の矩形イメージセンサに対して第1のオフセット配置となり、
前記第2の取り付け向きによって、前記第1の光軸及び前記第2の光軸が、対応する前記第1の矩形イメージセンサ又は前記第2の矩形イメージセンサに対して、第2の別のオフセット配置となる、請求項16に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項20】
前記第1のイメージングレンズは第1の可変焦点距離レンズであり、
前記第2のイメージングレンズは第2の可変焦点距離レンズであり、
前記複数のイメージング構成の第1のイメージング構成において、前記第1のイメージングレンズ及び前記第2のイメージングレンズを複数の第1の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、前記第1の共通焦点距離に対応する焦点距離において、前記共通平面内で、前記第1のFOVと前記第2のFOVとが第1の一定幅でオーバーラップし、
前記複数のイメージング構成の第2のイメージング構成において、前記第1のイメージングレンズ及び前記第2のイメージングレンズを複数の第2の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、前記第
1の共通焦点距離に対応する焦点距離において、前記共通平面内で、前記第1のFOVと前記第2のFOVとが第2の一定幅でオーバーラップする、請求項19に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項21】
前記フェースプレートは、複数の正方形又は多角形の取付開口を有し、
前記第1の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の1つに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の別の1つに取り付けられるよう構成されている、請求項1に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項22】
前記フェースプレートは、複数の正方形又は多角形の取付開口を有し、
前記第1の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の1つに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の別の1つに取り付けられるよう構成されている、請求項10に記載のモジュラービジョンシステム。
【請求項23】
前記フェースプレートは、複数の正方形又は多角形の取付開口を有し、
前記第1の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の1つに取り付けられるよう構成され、前記第2の光学モジュールは前記フェースプレートの前記複数の正方形又は多角形の取付開口の別の1つに取り付けられるよう構成されている、請求項16に記載のモジュラービジョンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月10日に出願された「モジュラービジョンシステム及び方法」と称される係属中の米国出願第16/814,378号の一部継続出願であり、その優先権を主張し、当該出願の内容はここに引用することにより盛り込まれているものとする。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当せず。
【0003】
本技術は、例えばバーコードリーダといったビジョンシステムに関する。
【発明の概要】
【0004】
本技術の実施形態は、概して、マシンビジョンシステムのための交換可能なモジュール及び関連する取付システムを提供することができる。例えば、複数の交換可能なモジュールの各モジュールは、イメージングデバイスへの取り付けのために同様の取り付け構造を有することができるが、異なるタイプ又は構成の光学デバイスを支持することができる。したがって、互換性のある支持構造(例えば、相補的な取付開口を備えたイメージングデバイスのフェースプレート)と組み合わせて使用される場合、いくつかの実施形態は、異なるタイプの動作のために異なる光学デバイス間の迅速かつ容易な移行を可能にすることができる。
【0005】
本技術は、ハウジングと、ハウジングに取り外し可能に取り付け可能なフェースプレートと、第1の正方形のモジュラー取付本体と、第2の第1の正方形のモジュラー取付本体と、を含むモジュラーセンサシステムを含むことができる。フェースプレートは、第1の正方形の取付開口及び第2の正方形の取付開口を有することができる。第1の正方形のモジュラー取付本体は、第1の光学デバイスを支持することができ、第2の正方形のモジュラー取付本体は、第2の光学デバイスを支持することができる。第1の取付本体及び第2の取付本体のそれぞれは、第1の向き又は第2の向きのいずれかで、第1の正方形の取付開口又は第2の正方形の取付開口のいずれかの中に別々に取り外し可能に固定することができる。
【0006】
モジュラーセンサシステムの第1の取付本体及び第2の取付本体は、フェースプレートの第1の取付開口又は第2の取付開口の凹型ショルダー上に当接するよう構成された正方形の前方フランジを含むことができる。
【0007】
モジュラーセンサシステムのフェースプレートは、第1の回転向き又は第2の回転向きのいずれかでハウジングに固定可能であってもよい。第1の取付開口又は第2の取付開口のそれぞれの正方形の取付部分は、フェースプレートが第1の回転向きにあるときはハウジングのイメージング軸に対して垂直に整列でき、フェースプレートが第2の回転向きにあるときはハウジングのイメージング軸に対して平行に整列する。
【0008】
モジュラーセンサシステムの第1の光学デバイスは、細長い長方形の形状を有する第1のイメージングセンサを含むことができ、モジュラーセンサシステムの第2の光学デバイスは、細長い長方形の形状を有する第2のイメージングセンサを含むことができる。第1の正方形のモジュラー取付本体及び第2の正方形のモジュラー取付本体が両方ともそれぞれの第1の向きで設置される場合、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサの長寸法は互いに平行に配されることができる。第1の正方形のモジュラー取付本体が第1の向きで設置され、第2の正方形のモジュラー取付本体が第2の向きで設置される場合、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサの長寸法は互いに垂直に向くことができる。
【0009】
モジュラーセンサシステムの第1の光学デバイスは、第1の取り付けタイプの第1のレンズを受け入れるように構成された第1のレンズマウントを有することができ、第2の光学デバイスは、第2の取り付けタイプの第2のレンズを受け入れるように構成された第2のレンズマウントを有することができる。
【0010】
モジュラーセンサシステムのフェースプレートは、第1の取付開口に隣接する第1のI/Oポートと、第2の取付開口に隣接する第2のI/Oポートとを有することができる。
【0011】
モジュラーセンサシステムは、フェースプレート上の第1の光学デバイス又は第2の光学デバイスのいずれかの設置ポジションを示すように構成されたポジションインジケータをさらに含むことができる。
【0012】
モジュラーセンサシステムは、ハウジング内にマシンビジョンコンピューティングデバイスをさらに含むことができる。マシンビジョンコンピューティングデバイスは、フレキシブルPCBコネクタを介して第1の光学デバイス及び第2の光学デバイスと電気通信することができる。
【0013】
本技術は、第1の取付開口及び第2の取付開口を有するフェースプレートと、第1の取付本体に固定される第1の光学デバイスを含むことができる第1の光学モジュールと、第2の取付本体に固定される第2の光学デバイスを含むことができる第2の光学モジュールと、を含むモジュラーセンサシステムを含むことができる。第1の取付本体は、第1の光学デバイスの動作のために、第1の取付開口又は第2の取付開口のいずれかの中に、第1の複数の回転的に区別可能な向きで選択的に固定することができる。第2の取付本体は、第1の光学デバイスの動作のために、第1の取付開口又は第2の取付開口のいずれかの中に、第2の複数の回転的に区別可能な向きで選択的に固定することができる。
【0014】
モジュラーセンサシステムの第1の取付開口、第2の取付開口、第1の取付本体及び第2の取付本体は、それぞれの多角形の取付部分を含むことができる。それぞれの多角形の取付部分は、各々、正方形の取付部分の各セットを含むことができる。第1の取付開口及び第2の取付開口の各々の正方形の取付部分は、第1の光学モジュール及び第2の光学モジュールが少なくとも2つの回転的に区別可能な向きのうちのいずれかにある状態で、第1の光学モジュール又は第2の光学モジュールのいずれかの正方形の取付部分と係合するように構成することができる。
【0015】
モジュラーセンシング本体のフェースプレートは、第1の向き又は第2の向きのいずれかでマシンビジョンデバイスのハウジングに取り付けられるように構成することができる。フェースプレートの第1の向きとフェースプレートの第2の向きとの間の回転の差(rotational difference)は90度としてもよい。
【0016】
モジュラーセンシング本体の第1の光学モジュールは、レンズを取り外し可能に受け入れ、レンズと電気通信するように構成することができる。
【0017】
本技術は、第1の取付開口及び第2の取付開口を備えたフェースプレートを含むマシンビジョンシステム用のモジュラーセンサシステムを含むことができる。複数の光学モジュールの各光学モジュールは、取付本体と、光学デバイス又はレンズマウントのうちの少なくとも1つとを含むことができる。各取付本体の第1の側部取付部分及び第2の側部取付部分は、第1の取付開口又は第2の取付開口のいずれかの第1の側部取付部分又は第2の側部取付部分のいずれかと係合して、各取付本体をフェースプレートに固定するとともに、各取付本体が複数の取り付け向きのうちのいずれかにある状態で各取付本体をそれぞれの第1の取付開口又は第2の取付開口に対して回転しないよう固定するように構成することができる。
【0018】
モジュラーセンサシステムの各取付本体の取付部分は、フェースプレートの取付開口のそれぞれの取付部分と係合して、各取付本体が第1の回転向き又は第2の回転向きのいずれかにある状態で、各取付本体を、回転しないように選択的に固定するように構成することができる。第1の回転向きと第2の回転向きとの間の回転の差は90度とすることができる。
【0019】
モジュラーセンサシステムの各光学モジュールの第1の側部取付部分及び第2の側部取付部分は、回転対称性を有する正方形の周壁を含むことができる。
【0020】
モジュラーセンサシステムの各取付本体の第1の側部取り付け構造及び第2の側部取り付け構造は、長方形の取り付け構造を共同で画定することができる。
【0021】
本技術は、フェースプレートを備えたハウジングと、フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールと、フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールとを含むモジュラービジョンシステムを含むことができる。第1の光学モジュールは、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第1のイメージングレンズとを含むことができる。第2の光学モジュールは、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のフィールド・オブ・ビュー(FOV)を定める第2のイメージングレンズとを含むことができる。第1の光学モジュールは、第1の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるように構成することができ、第2の光学モジュールは、第2の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるように構成することができる。第1の光軸及び第2の光軸が共通平面内で互いに対して斜めに延在するような複数のイメージング構成を共同で提供することができる。場合によっては、さらに、第1の矩形イメージセンサの第1の側部は、複数のイメージング構成において第2の矩形イメージセンサの第2の側部と平行であってもよい。
【0022】
モジュラービジョンシステムの複数のイメージング構成のうちの2つ以上は、それぞれ、第1の光軸と第2の光軸とがなす異なる角度のそれぞれに対応することができる。
【0023】
複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、第1の光軸がモジュラービジョンシステムの第1の光学モジュールから延在する第1の方向は、第2の光軸がモジュラービジョンシステムの第2の光学モジュールから延在する第2の方向から発散することができる。複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、第1の光軸と第2の光軸とがなす角度は、5°~30°とすることができる。
【0024】
モジュラービジョンシステムは、第1の複数の取り付け向きのサブセットを提供するよう構成された第1の交換可能なウェッジと、第2の複数の取り付け向きのサブセットを提供するよう構成された第2の交換可能なウェッジと、をさらに備えることができる。
【0025】
モジュラービジョンシステムは、第1の光学モジュールを、第1の複数の取り付け向きで、ハウジングに対して支持するよう構成された第1の円筒形の取付面と、第2の光学モジュールを、第2の複数の取り付け向きで、ハウジングに対して支持するよう構成された第2の円筒形の取付面と、をさらに備えることができる。
【0026】
モジュラービジョンシステムのイメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、第1の光軸は第1の光学モジュールから第2の光軸に向かって延在し、第2の光軸は第2の光学モジュールから第1の光軸に向かって延在することができる。イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、第1の光軸及び第2の光軸は互いに対して整列することができ、これにより、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVとが一定幅でオーバーラップするようにすることができる。イメージング構成のうちの少なくとも1つにおいて、第2の光学モジュールから最も遠くにある第1のFOVの側部と、第1の光学モジュールから最も遠くにある第2のFOVの側部とが、イメージング方向と平行に延在することができる。
【0027】
本技術は、フェースプレートを備えたハウジングと、フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールと、フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールとを含むモジュラービジョンシステムを含むことができる。第1の光学モジュールは、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のFOVを定める第1のイメージングレンズとを含むことができる。第2の光学モジュールは、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のFOVを定める第2のイメージングレンズとを含むことができる。第2の光軸は、第1の光軸と共通平面内にあってもよく、光学素子軸は、第1の光軸と第2の光軸との間で延在する方向を定めることができる。第1の光学モジュールは第1の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるよう構成することができ、第2の光学モジュールは第2の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるよう構成することができる。第1の光軸が、第1の矩形イメージセンサの中心に対して複数の異なる距離だけ光軸の方向に横方向にオフセットされ、第2の光軸が、第2の矩形イメージセンサの中心に対して複数の異なる距離だけ光学素子軸の方向に横方向にオフセットされた、複数のイメージング構成を、共同で提供することができる。場合によっては、さらに、複数のイメージング構成において、第1の矩形イメージセンサの第1の側部を第2の矩形イメージセンサの第2の側部に平行にすることができる。
【0028】
モジュラービジョンシステムの複数のイメージング構成のうちの2つ以上は、それぞれ、第1の矩形イメージセンサの中心及び第2矩形イメージセンサの中心からの第1の光軸及び第2の光軸のオフセットの異なるセットのそれぞれに対応することができる。
【0029】
モジュラービジョンシステムの第1の光軸及び第2の光軸は、複数のイメージング構成において互いに平行にすることができる。イメージング構成の少なくとも1つにおいて、第1の光軸及び第2の光軸のオフセットにより、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVを一定の幅でオーバーラップさせることができる。
【0030】
イメージング構成の少なくとも1つにおいて、第1の光軸のオフセットは、第1の光軸を第1の矩形イメージセンサの外縁と交差するように整列させる外向きのオフセットであってもよく、第2の光軸のオフセットは、第2の光軸を第2の矩形イメージセンサの外縁と交差するように整列させる外向きのオフセットであってもよく。
【0031】
モジュラービジョンシステムの第1のイメージングレンズは第1の可変焦点距離レンズであってもよく、モジュラービジョンシステムの第2のイメージングレンズは第2の可変焦点距離レンズであってもよい。イメージング構成の少なくとも1つにおいて、第1のイメージングレンズ及び第2のイメージングレンズを複数の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、共通焦点距離に対応する動作距離において、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVとを一定幅でオーバーラップさせることができる。
【0032】
本技術は、フェースプレートを有するハウジングと、フェースプレートに取り付けられる第1の光学モジュールと、フェースプレートに取り付けられる第2の光学モジュールとを含むモジュラービジョンシステムを含むことができる。第1の光学モジュールは、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のFOVを定める第1のイメージングレンズとを含むことができる。第2の光学モジュールは、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のFOVを定める第2のイメージングレンズとを含むことができる。第1の光学モジュールは、第1の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるように構成することができ、第2の光学モジュールは、第2の複数の取り付け向きでフェースプレートに取り付けられるように構成することができ、これにより、モジュラービジョンシステムが、第1の光軸及び第2の光軸の複数の別個の配置を提供する複数のイメージング構成に選択的にセットされる。
【0033】
取り付け向きのうちの2つ以上の各々において、モジュラービジョンシステムの第1の光軸と第2の光軸は、共通平面内で、互いに離れる方向に角度付けられてもよい。取り付け向きのうちの2つ以上の各々において、第1の光軸と第2の光軸は、共通平面内で、互いに近づく方向に角度付けられてもよく第1のFOVと第2のFOVとを一定幅でオーバーラップさせてもよい。
【0034】
取り付け向きのうちの第1の取り付け向き及び第2の取り付け向きにおいて、モジュラービジョンシステムの第1の光軸は、共通平面内で第2の光軸と平行に延在することができる。第1の取り付け向きによって、第1の光軸及び第2の光軸を、対応する第1のイメージセンサ又は第2のイメージセンサに対して第1のオフセット配置とすることができる。第2の取り付け向きによって、第1の光軸及び第2の光軸を、対応する第1のイメージセンサ又は第2のイメージセンサに対して、第2の別のオフセット配置とすることができる。第1のイメージングレンズは第1の可変焦点距離レンズとすることができ、第2のイメージングレンズは第2の可変焦点距離レンズとすることができる。第1のイメージング構成において、第1のイメージングレンズ及び第2のイメージングレンズを複数の第1の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、第2の共通焦点距離に対応する焦点距離において、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVとを第1の一定幅でオーバーラップさせることができる。第2のイメージング構成において、第1のイメージングレンズ及び第2のイメージングレンズを複数の第2の共通焦点距離のうちのいずれかに調整することにより、第2の共通焦点距離に対応する焦点距離において、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVとを第2の一定幅でオーバーラップさせることができる。
【0035】
本技術は、モジュラービジョンシステムを設定する方法を含むことができる。この方法は、第1の取付本体と、第1の矩形イメージセンサと、第1の光軸及び第1のFOVを定める第1のイメージングレンズとを含む第1の光学モジュールを、モジュラービジョンシステムのハウジングに取り付ける工程と、第2の取付本体と、第2の矩形イメージセンサと、第2の光軸及び第2のFOVを定める第2のイメージングレンズとを含む第2の光学モジュールを、上記ハウジングに取り付ける工程と、を有することができる。第1の光学モジュールを取り付ける工程及び第2の光学モジュールを取り付ける工程は、複数のイメージング構成のうちの、第1の光軸及び第2の光軸が共通平面内で互いに斜めに延在する選択イメージング構成を、共同で提供するために、第1の光学モジュールについて第1の複数の取り付け向きから選択することと、第2の光学モジュールについて第2の複数の取り付け向きから選択することと、を含むことができる。
【0036】
上記方法において、複数のイメージング構成のうちの2つ以上は、それぞれ、第1の光軸と第2の光軸とがなす異なる角度のそれぞれに対応することができる。
【0037】
上記方法において、複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、第1の光軸が第1の光学モジュールから延在する第1の方向は、第2の光軸が第2の光学モジュールから延在する第2の方向から発散することができる。複数のイメージング構成のうちの2つ以上において、第1の光軸と第2の光軸とがなす角度は、10°~30°とすることができる。
【0038】
上記方法において、第1の光学モジュールをハウジングに取り付ける工程は、第1の複数の取り付け向きのサブセットを提供するように構成された第1の交換可能なウェッジを取り付けることを含むことができる。第2の光学モジュールをハウジングに取り付ける工程は、第2の複数の取り付け向きのサブセットを提供するように構成された第2の交換可能なウェッジを取り付けることを含むことができる。
【0039】
上記方法において、第1の光学モジュールをハウジングに取り付ける工程は、第1の円筒形取付面上で第1の光学モジュールを支持することを含むことができる。第2の光学モジュールをハウジングに取り付ける工程は、第2の円筒形取付面上で第2の光学モジュールを支持することを含むことができる。
【0040】
上記方法におけるイメージング構成の少なくとも1つにおいて、第1の光軸は、第1の光学モジュールから第2の光軸に向かって延在することができ、第2の光軸は、第2の光学モジュールから第1の光軸に向かって延在することができる。上記方法におけるイメージング構成の少なくとも1つにおいて、第1の光軸及び第2の光軸は、互いに対して整列させることができ、これにより、共通平面内で、第1のFOVと第2のFOVとを一定幅でオーバーラップさせることができる。イメージング構成の少なくとも1つにおいて、第2の光学モジュールから最も遠くにある第1のFOVの縁は、第1の矩形イメージセンサのイメージング平面に対して垂直に延在することができる。第1の光学モジュールから最も遠くにある第2のFOVの縁は、第2の矩形イメージセンサのイメージング平面に対して垂直に延在することができる。
【0041】
上記の及び関連する目的を達成するために、本技術は、以下で十分に説明する特徴を含む。以下の記載及び添付の図面は、本技術の特定の例示的な態様を詳細に説明するものである。しかしながら、これらの態様は、本技術の原理を採用し得るさまざまな方法のほんの一部である。本技術の他の態様、利点及び新規の特徴は、図面と併せて検討することで、本技術に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0042】
本技術は、様々な改良及び代替形態の影響を受けやすいものであるが、その特定の実施形態は、例として図面に示され本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、特定の実施形態に関する本明細書の記載は、本技術を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、特許請求の範囲で定義される本技術の精神及び範囲内にあるすべての改良物、同等物及び代替物を網羅することを意図することを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による、フェースプレート及び交換可能な光学モジュールのセットを備えたマシンビジョンシステムの等角図である。
【
図2】
図1のマシンビジョンシステムの等角分解右上正面図である。
【
図3】
図1のマシンビジョンシステムの等角分解左上背面図である。
【
図4】
図1のマシンビジョンシステムの正面立面図である。
【
図5】
図1の線5-5に沿ったマシンビジョンシステムの等角断面図である。
【
図6】
図1のマシンビジョンシステムの等角図であり、モジュールのセットが別の向きに配されている。
【
図7】
図1のマシンビジョンシステムの等角図であり、モジュールのセットが別の向きに配されている。
【
図8】
図1のマシンビジョンシステムの等角図であり、フェースプレートが別の向きに配されている。
【
図9】本技術のいくつかの実施形態による、フェースプレート及び交換可能な光学モジュールを備えたマシンビジョンシステムの等角図である。
【
図10】本技術のいくつかの実施形態による、フェースプレート及び角度が付けられた交換可能光学モジュールのセットを備えたマシンビジョンシステムの右側面立面図である。
【
図11】本技術のいくつかの実施形態による、フェースプレートと、交換可能な光学モジュール及びウェッジからなるセットとを備えたマシンビジョンシステムの底面図である。
【
図12】フェースプレートと、交換可能な光学モジュール及び円筒形フランジからなるセットとを備えたマシンビジョンシステムの底面図であり、本技術のいくつかの実施形態による光学モジュールの動作範囲を示す。
【
図13】
図12のマシンビジョンシステムの底面図であり、光学モジュールが発散光軸構成を有している。
【
図14】フェースプレート及び交換可能な光学モジュールのセットを備えたマシンビジョンシステムの断面図であり、本技術のいくつかの実施形態による、レンズのそれぞれのフィールド・オブ・ビューを中心に配されたイメージセンサの光軸のアライメントを示す。
【
図15】
図14のマシンビジョンシステムの断面図であり、各レンズの光軸がそれぞれのイメージセンサに対して横方向にシフトされている。
【
図16】本技術のいくつかの実施形態による、発散する光軸及びフィールド・オブ・ビューを有するマシンビジョンシステムの概略図である。
【
図17】本技術のいくつかの実施形態による、レンズ-イメージセンサ間シフト及び平行な光軸を備えたマシンビジョンシステムの概略図である。
【
図18】光軸及びフィールド・オブ・ビューがオーバーラップしているマシンビジョンシステムの概略図である。
【
図19】本技術のいくつかの実施形態による、レンズ-イメージセンサ間シフト及び平行な光軸を備えたマシンビジョンシステムの概略図である。
【
図20】レンズイメージセンサシフトを有するマシンビジョンシステムの概略図であり、異なる焦点距離でのフィールド・オブ・ビューの一定のオーバーラップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
対象技術の種々の態様について添付の図面を参照して説明する。複数の図面において、同様の符号は同様の構成要素に対応する。しかしながら、図面及び図面に関連する以下の記載は、特許請求の範囲に記載の事項を開示されている特定の形態に限定することを意図するものでないことは理解されるべきである。代わりに、これらは特許請求の範囲に記載の事項の精神及び範囲に含まれるあらゆる改良物、同等物及び代替物を網羅することを意図している。
【0045】
別段の特定又は限定のない限り、「接続」、「取り付け」及び「結合」並びにこれらのバリエーションは、広義に使用され、直接的及び間接的な取り付け、接続、支持及び結合を包括する。さらに、「接続」及び「結合」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「接続」は、ある要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に接続されることを意味し、必ずしも電気的又は機械的に接続されることを意味するものではない。同様に、特に明記しない限り、「結合」は、ある要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に結合されることを意味し、必ずしも電気的又は機械的に結合されることを意味するものではない。
【0046】
本明細書で使用される場合、別段の定義又は限定のない限り、方向に関する用語は特定の図面又は例についての議論で参照する際の便宜のために用いられるものであり、不変の絶対的又は相対的な向きを示すのに用いられるものではない。例えば、鉛直又は水平な向きの参照は特定の例又は図面の態様の議論に用いられる場合があるが、必ずしもすべての設置又は構成で同様の向き又は形状でなければならないのではない。但し、この点に関し、「横方向」は、関連する基準フレームに対し少なくとも部分的に垂直な方向(例えば、通常のイメージング方向、イメージングデバイスのフェースプレートに対し垂直な基準線、イメージングセンサに対し垂直な基準線など)を示すのに用いられる。
【0047】
本明細書において、開示されたモジュラービジョンシステムのさまざまな実施形態について、電子マシンビジョンデバイス及び関連する処理装置を含むマシンビジョンシステムとの関連で記載する。これは、本開示の特徴及び利点がこの目的に非常に適しているためである。しかしながら、本開示のさまざまな態様は、本明細書で具体的に議論したもの以外のマシンビジョンシステム(例えば、ハンドヘルド又は固定取付イメージングシステム)及びモジュラー構成によって恩恵を受け得る任意の他のシステムを含む他のタイプのシステムとの関連で適応できることは明らかである。
【0048】
マシンビジョンシステムは、一般的に、1つ又は複数のイメージングデバイスと、取得された画像の特定の側面を自動的に分析するように構成された1つ又は複数の処理装置(例えば、マシンビジョン「エンジン」)とを含む。そのため、マシンビジョンシステムは、非限定的な例として、とりわけ、製造、組み立て、テスト、測定、自動化及び制御用途で使用することができる。
【0049】
通常、特定のマシンビジョンタスクを最適に実行するには、マシンビジョンシステムの異なる構成、例えば、異なる向き若しくはタイプのイメージングセンサ、異なるイメージングレンズ又は他の光学モジュール(例えば、エイマー、距離ファインダーなど)などを備えることが必要な場合がある。例えば、上記したように、マシンビジョンシステムは、物体の画像をキャプチャし、画像を分析して関連する特性やアクションなどを識別し、画像分析に基づいてさまざまなデバイス(例えば、製造装置又はソート装置)に指示をするように構成することができる。このコンテキストにおいて、イメージングセンサの最適なタイプ若しくは向き、又はレンズ若しくは他の光学デバイスの最適なタイプは、キャプチャすべき物体の相対的な向き、物体の特定のタイプ若しくは環境(例えば、照明に関する考慮事項)、又はその他の要因と直接関係する場合がある。したがって、特定のマシンビジョンシステムで使用するために、特定のイメージングセンサ、レンズ又は他の光学デバイスを容易に交換できることがオペレータにとって有用な場合がある。
【0050】
一部の従来のイメージングシステムは、制限された、所定の、そして時には変更不可の向きに固定される光学デバイスを用いて、特定の物体をキャプチャするよう又は特定の条件下で所定のプロセスを実行するよう構成することができる。それに対応して、一部の従来のマシンビジョンシステムは、通常、1つの(及び1つのタイプの)光学デバイスのみを任意の所与の時に受け入れ、これを用いて動作するように装備され得る。さらに、一部の従来のシステムは、同様の取り付け構成を有するレンズの相互交換を介するなどして光学デバイスを取り換えることが可能であるが、これらのシステムは多種多様な動作及び動作条件への順応に特に適合していない場合がある。
【0051】
本技術の実施形態は、特定のマシンビジョンシステムと共に個別に又は共同で使用するための容易な交換に適合した光学モジュールを提供することを含む、上記の又は他の課題に対処することができる。例えば、本技術のいくつかの実施形態では、複数の光学モジュールは、同様の取り付け構造を含むが異なる光学デバイス又は他の動作部分を含むことができ、これにより、特定のマシンビジョンシステムで使用するために光学モジュール同士を容易に交換することができる。いくつかの実施形態では、マシンビジョンシステムはフェースプレートを含むことができ、フェースプレートは、ハウジングに固定可能(例えば、取り外しできるように固定可能)であるとともに、別の、離散的な向きで、ハウジングに再設置可能であり、これにより、フェースプレートに固定された光学モジュールをシステムの他のコンポーネントに対して同様にして新たな向きに向けることができる。いくつかの実施形態では、フェースプレートは、1つ以上の(例えば、複数の)取付開口を含むことができ、各取付開口の中に、交換可能な光学モジュールのセットのうちのいずれか1つを受け入れることができる。いくつかの実施形態では、光学モジュールは、複数の向きで動作するために、マシンビジョンシステムのフェースプレート内に取り外し可能に受け入れられるように構成することができる。いくつかの実施形態では、そのような光学モジュールは、(例えば、異なるタイプのレンズマウントを介して)異なるタイプのレンズ、イメージングセンサ又はイメージングアクセサリを受け入れるように構成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、光学モジュール及び対応する取付開口は、光学モジュールが複数の異なる回転向き(rotational orientation)に固定されることを可能にするように構成された全体的に相補的な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、そのような形状は、離散的な数の回転向きを提供するために、光学モジュールを(例えば、別のマシンビジョンコンポーネントに対して)特定の向きに容易に整列させることができるよう又は他の利点を提供するよう構成されてもよい。例えば、いくつかの光学モジュール及び取付開口は、互いに直角に延在する取付部分(例えば、取付面又は縁)の各セットを備えて、相補的な正方形の取付プロファイルを示すことができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、別段の特定又は限定がない限り、「正方形」は、正方形(即ち、等しい辺(側部)を有する矩形)のプロファイルの少なくとも2つの側部を共同で形成する少なくとも2つのセグメントを含む形状を指す。したがって、例えば、正方形の光学モジュールは、正方形の一部を共同で画定する少なくとも2つの垂直な取付部分(例えば、直線的な取付縁)からなるセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、光学モジュールのこの構成は、取付開口の同様の構成と組み合わせて、光学モジュールのための、有用な、回転的に区別可能な取り付け向きの離散的なセットをオペレータに提供することができ、併せて、有用な、モジュールと前記開口との比較的しっかりとした取付インターフェース(例えば、整列した取付部分(例えば取付縁)のセットなど)を提供することができる。さらに、この構成及び他の構成(例えば、他の多角形の取付部分など)における異なる取り付け向きは、オペレータが視覚的又は触覚的に簡単に識別でき、また、別のマシンビジョン用途のための通常望ましい向きの変更に適切に整列させることができる。
【0054】
正方形の構成は、上で概説した例示的理由を含め、いくつかの構成で特に有用であるかもしれないが、他の構成も可能である。例えば、開示された技術によるいくつかのモジュール又は取付開口は、多角形(例えば、六角形)のプロファイルの非正方形部分を形成してもよく、あるいは別の実施形態では一部又は全体が正方形のプロファイルから外れていてもよい。
【0055】
図1~
図3は、マシン可読シンボルを含む物体の1つ又は複数の画像を取得及び分析するように適応されたイメージングデバイスとして構成された例示的なマシンビジョンシステム10を示す。マシンビジョンシステム10は、さまざまなタイプの画像取得及び分析のいずれかを実行するように動作可能な画像取得ソフトウェアを使用することができる。例えば、コンベヤ経路に沿って物体を輸送するコンベヤは、物体とマシンビジョンシステム10のフィールド・オブ・ビュー(FOV)との間の相対移動をもたらす。したがって、コンベヤが作動すると、マシンビジョンシステム10は、物体(又は他の対象)の連続的な画像をキャプチャし、その後、1つ又は複数の画像に含まれる1つ又は複数のシンボルを分析(例えば、識別及びデコード)することができる。他の実施形態では、他の物体又は他のマシンビジョン動作のための画像取得を追加で(又は代替的に)実行することができる。さらに、いくつかの実施形態では、マシンビジョンシステム10(又は本開示による他の形態のもの)を、コンベヤ上にはない物体のイメージングに使用することや、可動又はハンドヘルドデバイスなどとして動作させることなどができる。
【0056】
マシンビジョンシステム10は、フェースプレート16内に取り外し可能かつ交換可能に受け入れられる第1及び第2の光学モジュール12,14のセットを含む。図示の実施形態では、フェースプレート16は、ハウジング18に取り外し可能に取り付けられるが、他の構成も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ハウジング18のハウジングベゼル18Aが、ハウジング18から取り外され、回転され、そして異なる向きでハウジング18に再び取り付けられてもよい(例えば、
図2の回転を示す矢印を参照)。いくつかの実施形態では、ハウジング18とハウジングベゼル18Aとの間のインターフェースは、ハウジング18に対して約90度のインクリメントでハウジングベゼル18の回転を可能にするための正方形のインターフェースであってもよい。
【0057】
本明細書では、第1及び第2の光学モジュール12,14が、第1の光学モジュール12及び第2の光学モジュール14として示され記載される。しかしながら、より多くの又はより少ない数のモジュールを設けてもよい。以下でさらに説明するように、光学モジュール12,14のモジュラー構成は、フェースプレート16の取付開口の対応する構造と組み合わせて、マシンビジョンシステム10を、多種多様な光学デバイスを単独で又はさまざまな組み合わせで使用する可能性のある多種多様な用途に合わせて、容易にカスタマイズ可能にすることができる。
【0058】
図示の実施形態では、特に
図2及び
図3に示すように、第1及び第2の光学モジュール12,14は、それぞれ、取付本体20,22、レンズマウント24,26(例えば、sマウント又はcマウントレンズタイプ用)、及び光学デバイスを有する。一例として、第1及び第2の光学モジュール12,14に関し示され記載される光学デバイスは、プリント回路基板(PCB)28,30に取り付けられる第1及び第2のイメージングセンサ32,34として構成される。しかしながら、距離センサ又は測定デバイス(例えば、タイム・オブ・フライト・センサ、三角測量デバイス又は他の3Dセンサ)、光学照準デバイス(例えば、パターン投影用)などの他の光学デバイス、レンズアセンブリ又はレンズマウント(例えば、sマウント又はcマウントレンズタイプ用など)。いくつかの実施形態では、加速度計又は他の向きセンサなどの他のデバイスを追加で(又は代替的に)含むことができる。
【0059】
別の実施形態では、モジュールの取付本体はさまざまな異なる取付部分(例えば、取付フランジの縁)を有することができ、これによって、複数の離散的な向きでの取り付けを含む、関連するマシンビジョン(又は他の)システムへの取り付けが容易となる。例えば、取付本体20,22は、正方形の取付プロファイルを有して構成され、正方形の第1の側部取付部分36,38及び正方形の第2の側部取付部分40,42を含み、これらは互いに直角に延在する。特に、取付本体20,22の取付プロファイル(及び取付本体20,22全体として)は、実質的に正方形の形状であり、第1の側部取付部分36,38は直線状であるとともに第2の側部取付部分40,42に対して垂直であり、第2の側部取付部分40,42も直線状であり、そして、さらなる取付プロファイルが、取付部分36,38,40,42のそれぞれと対称的に対向している(本明細書で使用される場合、「実質的に正方形」は、直角の角又は丸みのある角を含むことができるプロファイルを示す)。しかしながら、他の実施形態では、2つの正方形側部(例えば、取付部分36,40と同様のもの)及び2つ以上の非正方形側部を有する構成など、他の構成も可能である。
【0060】
図示の実施形態では、第1の側部取付部分36,38及び第2の側部取付部分40,42は、取付本体20,22の各側の全体に沿って延在する。他の実施形態では、取付プロファイルの側部取付部分は、モジュールの関連する側部に沿って部分的にのみ延在してもよい。さらに、上でも述べたように、いくつかの側部取付部分は、他の側部取付部分に対して垂直以外の向きで設けられてもよい。例えば、いくつかの取付プロファイルは、取付プロファイルの側部取付部分がさまざまな異なる角度で互いに対して延在するように、非矩形の多角形の形状を示してもよい。
【0061】
通常、取付プロファイル(及びその取付部分)がある程度の回転対称性を示すことは有用な場合があり、これにより、関連するモジュールを、さまざまな回転向き(rotational orientations)で特定の取付開口内に容易に固定することができる。いくつかの実施形態では、離散的な数の考え得る設置向きを提供するために、離散的な回転対称性を備えた取付プロファイルが特に有用な場合がある。以下でさらに説明するように、例えば、取付部分36,38,40,42の四面体回転対称性により、第1及び第2の光学モジュール12,14を、フェースプレート16内の4つの離散的な回転向きのうちのいずれかに固定することができる。他の実施形態では、他のタイプの回転対称性も可能である(例えば、六角形又は他の多角形の形状を有する取付プロファイルのためのもの、又は他のn回回転(Cn)回転対称プロファイルのためのもの)。
【0062】
上記したように、図示の第1及び第2の光学モジュール12,14の光学デバイスは、第1及び第2のイメージングセンサ32,34である。しかしながら、以下に限定されるものではないが、距離センサ、測定システム若しくはデバイス(例えば、タイム・オブ・フライト・デバイス、三角測量デバイスなど)又は光学照準デバイス(例えば、パターン投影用)などの他の光学デバイスも考え得る。いくつかの実施形態では、モジュール上の処理装置(例えば、PCB28,30)は、画像取得、画像取得のためのターゲティング、距離測定などに関連する特定の機能がエンコードされていてもよく、あるいは他の実施形態ではそのような機能を実行するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、以下でも説明するように、光学モジュールは、これらの機能又は他の機能を実行するために別のデバイスと電子通信するように構成することができる。例えば、ハウジング18は、任意のさまざまなマシンビジョン(又は他の)機能を実行するようプログラムできるコンピューティングデバイス88を収容するコンパートメント80を含む。
【0063】
非モジュール型コンピューティングデバイスとの通信を容易にするために、さまざまなモジュール用電子コネクタを設けることができる。例えば、ハウジング18内のコンピューティングデバイス88との間でデータを送信するために、フレキシブルPCBコネクタ82を、第1及び第2の光学モジュール12,14のそれぞれに選択的に電気接続してもよい。いくつかの実施形態では、フレキシブルPCBコネクタは、1つ又は複数のリジッドPCB(例えば、
図3に示すリジッドPCB90)同士を結合することができるフレキシブルPCBのセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、リジッドPCBコネクタとフレキシブルPCBコネクタの組み合わせ同士を結合して、柔軟性及び構造を提供することができる。いくつかの実施形態では、フレキシブルPCBコネクタ82は、ハイブリッド・リジッド・フレックスPCBを含むことができる。通常、リジッド・フレックスPCBは、互いに積層されて1つの構造をなすリジッド基板とフレキシブル基板の両方を有する。使用できるPCBの別の形態はリジッド化されたフレックス構造PCBであり、このPCBは、フレックス回路に、回路基板上の電子コンポーネントを支持するために取り付けられた補強材が含まれている。いくつかの実施形態では、無線通信を含む他の通信チャネルも考え得る。
【0064】
また、マシンビジョンシステム10は、メモリ媒体を含むことができる(本明細書において、ハウジング18のSDカードスロット内に受け入れ可能な取り外し可能SDカードとして示す)。メモリ媒体は、スキャン若しくは処理された画像の保存、データ及び通信のバッファリング、コンピュータで実行される命令の保存などに使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような光学モジュールは、取り外し可能なメモリ媒体又は他のメモリ媒体を含んでもよい。
【0065】
また、上記したように、光学モジュールのセットに対応する取付開口は、通常、特定のモジュールの容易かつカスタマイズ可能な取り付けを可能にする取付部分(例えば、構造的な縁又は面)を備える取付プロファイルを含むことができる。
図2及び
図3を参照すると、例えば、フェースプレート16は、第1の取付開口44及び第2の取付開口46を含む取付開口のセットを有する。第1の取付開口44は、第1の開口側部取付部分48及び第2の開口側部取付部分52を有し、第2の取付開口46は、第1の開口側部取付部分50及び第2の開口側部取付部分54を有する。第1の開口側部取付部分48,50及び第2の開口側部取付部分52,54は、第1の光学モジュール又は第2の光学モジュール12,14のいずれかを支持してこれと接続するように構成される。したがって、第1及び第2の取付開口44,46は両方とも正方形の開口であり、第1の開口側部取付部分48,50及び第2の開口側部取付部分52,54は正方形の一部を画定する。第1及び第2の光学モジュール12,14の別の実施形態と同様に、第1の開口側部取付部分48,50及び第2の開口側部取付部分52,54によって形成される正方形の一部は、直角の角又は丸みのある角を含んでもよく、あるいは他の正方形形状を含んでもよい。
【0066】
同様に、第1の開口側部取付部分48,50は、第2の開口側部取付部分52,54に対し垂直以外の向きで設けることができ、第1及び第2の取付開口44,46は、第1の開口側部取付部分48,50及び第2の開口側部取付部分52,54の少なくとも一部に関し回転対称性を有することができる。さらに、第1の開口側部取付部分48,50又は第2の開口側部取付部分52,54は、第1及び第2の取付開口44,46のそれぞれの側部の全体又は一部に沿って延在することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、取付開口の取付プロファイルは、光学モジュールを受け入れるように構成することができ、光学モジュールの取付プロファイル(又は他の部分)は取付開口内に引っ込んだかたちである(凹である)。この点に関し、例えば、第1及び第2の取付開口44,46は正方形の取付ショルダー70,72を含み、取付ショルダー70,72は、第1及び第2の光学モジュール12,14の取付プロファイルを受け、支持して、第1及び第2の光学モジュール12,14をフェースプレート16に対して特定の平行移動位置及び回転向きに維持するよう構成されている。
【0068】
図示の実施形態では、ショルダー70,72は、第1及び第2の取付開口44,46の周囲に完全に延在するが、他の構成では、取付開口のより少ない数の(例えば、少なくとも1つの)側部に沿って延在する凹型(recessed)(又は他の)ショルダーであってもよい。また、取付ショルダー70,72内に設けられている又は取付ショルダー70,72から延在して設けられている固定具支持部74,76が設けられており、固定具支持部74,76は、固定具78を受け入れて、第1及び第2の光学モジュール12,14を第1及び第2の取付開口44,46にしっかりと固定するように構成されている。しかしながら、他の実施形態では、他の態様で構成された固定具又は固定具支持部、統合された可動固定具(例えば、回転可能なタブ)、異なる数の固定具などを含む他の固定具構成が可能である。
【0069】
いくつかの実施形態では、固定具は、固定具ヘッドと固定具のねじ部分との間に設けられたシャフト部分を有することができる。シャフト部分は、固定具支持部74,76の穴の直径とほぼ同じサイズの直径を有することができる。固定具のシャフト部分は、同様のサイズの直径を有することで固定具支持部74,76の穴の対応する部分と係合することができ、これにより、光学モジュール12,14を取付開口44,46内で正確な適合関係で精密に整列させることができる。他の同様の構成によっても、必要に応じて、光学モジュール12,14における正確な適合係合を提供することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、特定の光学モジュールのより簡単な設置又は取り外しを容易にするために、アクセス特徴部を設けることができる。これは、例えば、モジュールの一部又はすべてが埋め込まれた(引っ込んだ)配置で取り付けられる構成において特に有用な場合がある。いくつかのアクセス特徴部は、インデントされたアクセスポイントとして構成することができ、例えば、取付開口から光学モジュールを取り外すのを助けるためのユーザの指又はツールを受け入れるよう構成することができる。
図1に示すように、例えば、凹部44a,44bが取付開口44の横方向延長部として設けられ、凹部46a,46bが取付開口46の横方向延長部として設けられている。凹部44a,44b,46a,46bによって、光学モジュール12,14がフェースプレート16に埋め込まれている状態でユーザが光学モジュール12,14の側部を把持する又は他の形態では光学モジュール12,14の側部に係合させることが可能となり、これにより、(固定具78の取り外し後に)光学モジュール12,14を比較的簡単に取り外すことが可能となる。いくつかの実施形態では、必要に応じて、異なる取付開口から同じ方向に延在する凹部又は他のアクセス特徴部を設けることによりユーザがモジュールに係合するためのより有用なクリアランスを提供できるが、他の構成も可能である。
【0071】
別の実施形態では、異なる取付開口を、特定のフェースプレート内で互いに対して異ならせて配置することができる。このような配置は、例えば特定の光学モジュールを互いに整列させるとともに他のマシンビジョン機器とも整列させることで特定の動作を最適に実行するために有用である場合がある。
図3を引き続き参照すると、図示の実施形態では、第1及び第2の取付開口44,46は、第1の開口側部取付部分48,50によって定められる方向に互いに直線的に整列され、第1の側部取付部分48,50はフェースプレート16上において同一直線上に配置される。また、第1及び第2の取付開口44,46はフェースプレート16の中心線86に沿って整列され(
図4参照)、第1の取付開口44の中心66及び第2の取付開口46の中心68は中心線86に沿って配置される。
【0072】
しかしながら、他の構成では他の向きも可能である。例えば、取付開口のいくつかのセットは、互いに直線的に整列していない取付部分、又は斜角で互いに対して角度が付いた側部取付部分を示すことができる。同様に、取付開口のいくつかのセットは、フェースプレートの中心線又は他の同様の基準特徴部に沿って(又はこれらを中心に)整列していなくてもよい。また、第1及び第2の取付開口44,46は、さまざまな異なる向きで第1及び第2の光学モジュール12,14のうちのいずれかを交換可能に受け入れるように実質的に同一であるが、いくつかの構成は非同一の取付開口を含んでもよく、例えば異なる光学モジュールを交換可能に受け入れるように構成されてもよく、あるいは他の形態では、同じ光学モジュールを選択された一部の可能な向きでのみ受け入れるように構成されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、上でも説明したように、モジュールとモジュールが接続された大規模システムとの間の通信のために通信チャネルを設けることができる。
図4を参照すると、例えば、フェースプレート16は、第1のI/Oポート56、第2のI/Oポート58及び第3のI/Oポート60を含む、I/Oポートのセットをさらに有する。I/Oポート56,58,60は、ハウジング18内のコンピューティングデバイス88に電気的に接続されるとともに、限定列挙ではないが構造化ライト、調整可能レンズ又は操作可能ミラーなどのアクセサリに対し電力供給又は制御を行うための電気接続部を受け入れるよう構成することができる。いくつかの実施形態では、取付開口に対するI/Oポートの標準構成は、特定のモジュールの容易な互換性にさらに寄与することができる。例えば、I/Oポート56,58は同じタイプであり、第1及び第2の取付開口44,46のそれぞれの中心66,68から共通の距離62に設けられている。同様に、I/Oポート56,60は異なるタイプであるが、両方とも第1の取付開口44の中心66から共通の距離62に設けられている。したがって、例えば、どの取付開口44,46が特定のモジュールを受け入れるかに関係なく、異なるモジュール用の異なるタイプの電気コネクタを関連するI/Oポートに容易に接続することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、他の構成が可能である。例えば、いくつかの実施形態は、I/Oポート56,58と同様の複数のポートを含むが、関連する各取付開口の周囲の複数の位置にこれらが分配されているような構成など、I/Oポートに関する他の構成を含むことができる。
【0075】
図示の構成及び開示された技術による他の同様の構成により、光学モジュールを、広範囲のマシンビジョン動作に対応するために、異なる位置そしてフェースプレート上における異なる位置に、交換可能に取り付けることができる。
図1に戻って参照すると、例えば、フェースプレート16は第1の向きで示されており、第1の光学モジュール12は第1の取付開口44内で第1の向きで示されており、第2の光学モジュール14は第2の取付開口46内で第1の向きで示されている。第1の光学モジュール12の第1の側部取付部分36は第1の取付開口44の第1の開口側部取付部分48と係合し、第2の側部取付部分40は第2の開口側部取付部分52と係合する。さらに、第2の光学モジュール14の第1の側部取付部分38は第2の取付開口46の第1の開口側部取付部分50と係合し、第2の側部取付部分42は第2の開口側部取付部分52と係合することが示されている。
【0076】
図1に示す構成は、マシンビジョン動作又は動作コンテキストの特定のセットにおいて特に有用な場合がある。さらに、第1及び第2の光学モジュール12,14の取付部分並びに第1及び第2の取付開口44,46の取付部分の回転対称性によって、第1及び第2の光学モジュール12,14は、それぞれ、取付開口44,46のうちのいずれかに選択的に固定することができる。そして、光学モジュール12,14及び取付開口44,46の共通の取り付け形状によって、光学モジュール12,14を、離散的な複数の異なる回転向きで、取付開口44,46のうちのいずれかに固定することができる。例えば、
図6に示すように、第1及び第2の光学モジュール12,14は、第1の向きから時計回りに90度の回転差を有する(即ち、時計回りに90度回転した)第2の向きで示されている。別の例として、
図7に示すように、第1及び第2の光学モジュール12,14は、
図6の第2の向きから時計回りに90度の回転差を有する第3の向きで示されている。図示していないが、第1及び第2の光学モジュール12,14を、
図1に示す第1の向きから反時計回りに90度の回転差を有する第4の向きとしてもよいことは理解されたい。
【0077】
光学モジュール及び取付開口の取付部分の特定の構成により、回転向きの離散的なセットが提供されるだけでなく、モジュールを取付開口に対して回転しないよう固定することができる。例えば、第1及び第2の光学モジュール12,14の正方形(及び直線状)の取付部分36,38,40,42と、第1及び第2の取付開口44,46の正方形(及び直線状)の取付部分46,48,50,52との係合により、第1及び第2の光学モジュール12,14をフェースプレート16に対して回転しないよう比較的しっかりと固定することができ、これにより、関連する光学システム(例えば、寸法計、イメージングデバイスなど)の比較的正確な較正及び動作を可能にすることができる。
【0078】
第1及び第2の光学モジュール12,14は、第1又は第2の取付開口44,46のいずれかの中に受け入れ可能であるが、一度に1つだけ受け入れ可能である。また、上で明記した第1及び第2の光学モジュール12,14の向き及び位置は、単なる例でしかない。例えば、第1の光学モジュール12を第2の取付開口46に第1の向きで設けて、その際に第2の光学モジュール14を第1の取付開口44に第2の向きで設けることができる、等々である。
【0079】
いくつかの実施形態では、有利には、第1及び第2の取付開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14の向き及び配置を、自動的にモニターすることができる又は他の形態では管理することができる。そのために、例えばマシンビジョンシステム10にポジションインジケータを設けて、取付開口内に受け入れられたときの第1及び第2の光学モジュール12,14のポジション(例えば、向き又は位置)を示すようにすることができる。一部のポジションインジケータは、機械的接触によって動作して、設置のために、第1の取付本体及び第2の取付本体を位置決め(例えば、保持又は触覚フィードバックを提供)することができる。例えば、取付本体の上及び取付開口の周囲の戻り止め及びレセプタクル(例えば、ディボット)又はインターロッキング歯部によって、特定の光学モジュールに関する1つ又は複数の回転アライメントを示すことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、電気信号によってそれぞれの取付本体の設置向きを示すことができる。例えば、ピンを、第1及び第2の光学モジュール12,14の両方の一部から延在させて、第1及び第2の取付開口44,46の取付ショルダー70,72内のレセプタクル内に延在させることができる。特定のレセプタクル内のピンによって作動された電気回路によって、特定の向きを示すことができる。場合によっては、そのような電気回路は、第1及び第2の光学モジュール12,14のうちのどちらが現在特定の取付開口に取り付けられているかを決定するように構成することができる。位置センサの別の形態では、第1の(例えば、固定された)磁石を第1及び第2の光学モジュール12,14の上又は中に選択的に配置して、取付ショルダー70,72上に選択的に配置された第2の(例えば、固定された)磁石と、あるいは第1の磁石及び第2の磁石がある程度近接して配置される形態ではフェースプレート16内における位置に配置された第2の磁石と、相互作用するように構成することができる(例えば、磁気で作動する機械又は電気スイッチ)。
【0081】
図6~
図8を参照すると、マシンビジョンシステム10は、第1及び第2の光学モジュール12,14の第1及び第2のイメージングセンサ32,34の両方を含むデュアルセンサシステムを提供することができる。いくつかの実施形態では、イメージングセンサは、横と縦のピクセル比が5:4、4:3又は16:9であることができるような細長い矩形の形状を有することができる。これに対応して、いくつかのデュアルセンサシステム用途では、イメージングセンサ32,34はどちらも水平方向に整列させることができ(
図6)、他の用途では、イメージングセンサ32,34はどちらも鉛直方向に整列させることができる(
図7)。別の実施形態では、モジュール12,14の回転適応性によって、イメージセンサ32,34の長軸を、平行かつ非同一直線上に整列させることができ(
図6)、又は平行かつ同一直線上に整列させることができ(
図7)、又は互いに垂直となるよう整列させることができ(例えば、
図6のセンサ32の向きと
図7のセンサ34の向きの組み合わせ)、又は他の形態も可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、上でも記載したように、フェースプレートは、より大きなシステムに対して取り外し可能であり回転的に調整可能(rotationally adjustable)であってもよい。例えば、
図8は、フェースプレート16を、
図1の向きと比較して、ハウジング18に対して第2の向きに配置できることを示している。フェースプレート16の第2の向きは、
図7のフェースプレート16の第1の向きから反時計回りに90度の回転差を有する(即ち、フェースプレート16が90度(反時計回りに)回転されている)。フェースプレート16の向きをハウジング18に対して回転させる機能により、第1及び第2の光学モジュール12,14を水平に(例えば、ハウジング軸84(
図3)に平行に)又は垂直に(例えば、ハウジング軸84に垂直に(
図1、
図6及び
図7))整列させることができ、これにより、光学モジュール12,14以外のモジュール用の動作を含む特定のタイプのマシンビジョン動作を容易にすることができる。フェースプレート16は、フェースプレート16をさらに90度(反時計回りに)回転させることによって第3の向きに配置することもでき、フェースプレート16を
図7の第1の向きから90度(時計回りに)回転させることによって第4の向きに配置することもできることは理解されたい。さらに、他の実施形態は、光学モジュール用のフェースプレート又は他の取り付け構造のための他のタイプの調整可能性を示すことができる。
【0083】
一度に2つのモジュールをカスタマイズ可能に使用する機能は多くのコンテキストにおいて有用な場合があるものの、いくつかの実施形態は異なる数のモジュール及び取付開口を示してもよい。例えば、
図9は、一度に1つの光学モジュールのみで使用するように構成されたマシンビジョンシステム100の別の実施形態を示す。マシンビジョンシステム100は多くの局面において上記のマシンビジョンシステム10に類似しており、100番台の同様の参照符号がマシンビジョンシステム100において使用される。例えば、マシンビジョンシステム100は、ハウジング118に結合されるフェースプレート116と、フェースプレート116内の取付開口144内に取り付けられる光学モジュール112とを有する。光学モジュール112は、光学モジュール12と全体的に類似しており、フェースプレート16の第1及び第2の開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14に関して上記したものと同様の構成で、開口144内に取り付けることができる。但し、マシンビジョンシステム10,100はいくつかの局面において互いに異なっている。例えば、フェースプレート116は、光学モジュール112が取り付けられる1つの取付開口144のみを有する。このようにマシンビジョンシステム10は、通常は一度に1つの光学モジュールでのみ使用することができるが、光学モジュール112を他のモジュールと交換して広範囲の機能を提供することができる。
【0084】
一部の光学読み取りシナリオでは、例えば、物体がコンベヤに沿って移動するときに物体を読み取る際に、特に固定位置カメラの場合、コンベヤの幅を網羅するために複数のカメラを備えるビジョンシステムが必要な場合がある。例えば、コンベヤの幅全体にイメージングカバレッジを共同で提供するために、コンベヤに対して別々のカメラを別々に設置することができる。しかしながら、従来のマルチカメラビジョンシステムは、所望の結果を得るために個々のシステム同士を同期させなければならない場合があるため、設置がより複雑になる可能性がある。いくつかの従来のビジョンシステムでは、ビジョンシステムは複数のカメラを備えるハウジングを含むが、関連するコンベヤの幅によっては、コンベヤにおける必要観察領域を網羅するためにカメラを比較的遠くに離して設けなければならない場合がある。結果的に、そのようなシステムは、カメラ間に必要とされる距離が原因で大抵比較的かさばったものとなる。さらに、これらの両構成におけるカメラと処理ユニットとの間の距離は、これらの要素間の比較的大きな距離がデータ転送の安定性及び滑らかさに悪影響を与える可能性があることから、信号品質を低下させる可能性がある。
【0085】
上記の及び他の問題に対処するために、本技術のいくつかの実施形態は、光学モジュールを複数の向きにして光学モジュールのFOVと光軸の角度とのうちの少なくとも1つを変更することができるマルチモジュールビジョンシステムを提供することができる。複数の取り付け向きは、ハウジングに対するモジュールの向きを変更すること及び/又はモジュール内のコンポーネントの向きを変更することによって達成することができる。例えば、いくつかの光学モジュールは、基準フレーム(例えば、ビジョンシステムのフェースプレートの前面により画定される平面、又はイメージセンサのイメージング面)に対して角度的に又は並進的に調整可能であるように構成することができ、これに応じて、関連するFOVの向き及びオーバーラップを調整することができる。
【0086】
基準フレームに対して光学モジュールをカスタマイズ可能に角度付けする又は平行移動させる機能により、いくつかの実施形態を容易に改良して、全く別のカメラパッケージを必要とせずに(例えば単に共通のハウジング及びその他のコンポーネントに対してイメージングモジュールを調整又は交換することで)、異なる光学観察用途で使用することができる。したがって、場合によっては、いくつかの実施形態のカスタマイズ可能なモジュール性は、必要な機能範囲について、必要な労力を通常より減らすとともにモジュラーコンポーネントの使用数を減らすことを可能にすることによって、任意の所与のシステムの総合適応性を改善できるとともに、製造時の及び現場でのセットアップを合理化することができる。さらに、いくつかの実施形態では、システムのモジュール性は、光学コンポーネントと関連する処理ユニットとの間の距離を最小化するのに役立ち、これにより、光学モジュールと処理ユニットとの間の信号転送速度及び品質を高めることができる。これに関連して、光学モジュール間(及び光学モジュールと処理ユニットの間)の距離が比較的短いことで、いくつかの実施形態を代替の従来のシステムよりも実質的によりコンパクトにすることができる。
【0087】
この点に関して、例えば、
図10は、マシンビジョンシステム200の別の実施形態を示す。マシンビジョンシステム200は、多くの局面において上記のマシンビジョンシステム10,100に類似しており、200番台の同様の参照符号がマシンビジョンシステム200において使用される。例えば、マシンビジョンシステム200は、ハウジング218に結合されるフェースプレート216を有する。また、マシンビジョンシステム200は、フェースプレート216に取り付けられる第1の光学モジュール212及び第2の光学モジュール214を有する。第1及び第2の光学モジュール212,214は、通常、フェースプレート16の第1及び第2の開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14に関して上記したものと同様のカスタマイズ可能な構成で、フェースプレート216内に取り付けることができる。
【0088】
但し、マシンビジョンシステム200はいくつかの局面においてマシンビジョンシステム10,100と異なっている。例えば、第1及び第2の光学モジュール212,214は、フェースプレート116の平らな前面に対して面一に設置されるのではなく、フェースプレート216が沿って位置する平面296に対して、角度292,294の角度を付けて、フェースプレート116の前方に配置される。したがって、モジュール212,214上の光学デバイス(非図示)は、非平行光軸又は他の同様の構成を必要とする三角測量又は3Dイメージングなどの動作で使用することができる。
【0089】
別の実施形態では、別の方法で光学モジュールの非平面的取り付けを提供することができる。例えば、以下でさらに示し説明するように、フェースプレート216の第1及び第2の開口244,246の角度の付いた取付部分又はウェッジ(例えば、
図10の第1の開口側部取付部分248,250)によって、角度292,294を提供することができる。加えて又は代替的に、第1及び第2の光学モジュール212,214の第1及び第2の取付本体220,222の形によって、角度292,294を提供することができる。例えば、取付本体220,222は、関連する光軸を所望の角度で角度付けすることができる構造的ウェッジを含むように又はこれとカスタマイズ可能に相互動作するように構成することができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「ウェッジ」は、光学モジュールを支持するか、又は基準フレームに対して特定の非正方形の角度(又は複数の角度)で光学コンポーネントを選択することができる固定構造を指すのに使用される。例えば、マシンビジョンシステムのコンテキストにおいては、ウェッジは、通常、光学モジュールを支持するか、光学コンポーネント(レンズアセンブリなど)を選択して、関連する光軸を、イメージングアセンブリのフェースプレート又は関連するイメージセンサのイメージング面によって画定される平面に対して斜めの角度に整列させる構造である。いくつかの実施形態では、「ウェッジ」は、三角形又は台形の側部プロファイルを備えたブロック状の形状を示して、フェースプレート又は光学モジュール(又はそのコンポーネント)と係合する角度の付いた連続的な支持面を提供することで、光学モジュールの光学コンポーネントのための非正方形の支持部を提供することができる。いくつかの実施形態では、「ウェッジ(wedges)」は、非正方形の支持部を共同で提供するようなより離散的な構造を示すことができるが、必ずしもブロック状である必要はなく、中実の三角形若しくは台形の側部である必要もない。
【0091】
いくつかの実施形態では、
図10に示すような角度292,294は、互いに同じ又は類似していてもよい。他の実施形態では、前面プレートの平面に対する光学モジュールの角度は同じでなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学モジュール及び第2の光学モジュールの角度は基準フレーム(例えば、平面296)に対して調整可能であってもよく、この調整は、関連する取付開口内の(又はそれに対する)取り付け構造の調整を介して、又は別の光学モジュールの調整若しくは選択を介して行われるものを含む。いくつかの実施形態では、第1の光学モジュール及び第2の光学モジュールは、
図10に示すように互いに近づく方向にではなく互いに離れる方向に(例えば、
図11に示し後述するように)角度が付けられていてもよく、あるいは同じ方向に角度が付けられていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学モジュール及び第2の光学モジュールのそれぞれの角度は、(例えば、モジュール同士が横方向に沿って反対を向くよう角度が付けられるよう)異なる回転軸から得られるものであってもよい。いくつかの実施形態では、第1のモジュール又は第2のモジュールの角度のうちの1つはゼロであってもよい(即ち、モジュールは角度が付けられていなくてもよい)。
【0092】
図11は、マシンビジョンシステム300の別の実施形態を示す。マシンビジョンシステム300は、多くの局面において上記のマシンビジョンシステム10,100,200に類似しており、300番台の同様の参照符号が、可能な場合は、マシンビジョンシステム300において使用される。例えば、マシンビジョンシステム300は、ハウジング318に結合されるフェースプレート316を有する。また、マシンビジョンシステム300は、フェースプレート316に取り付けられる第1の光学モジュール312及び第2の光学モジュール314を有する。第1の光学モジュール312及び第2の光学モジュール314は、通常、フェースプレート16の第1及び第2の開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14に関して上記したものと同様のカスタマイズ可能な構成で、フェースプレート316内に取り付けることができる。第1の光学モジュール312は、第1の取付本体320及び第1の矩形イメージセンサ(図では隠れている)を有する。第2の光学モジュール314は、第2の取付本体322及び第2の矩形イメージセンサ(図では隠れている)を有する。さらに、第1及び第2の光学モジュール312,314のイメージングセンサは水平方向に整列させることができ(例えば、
図6のイメージングセンサ32,34を参照)、他の用途では、イメージングセンサの一方(又は両方)を垂直に整列させることができる(例えば、
図7のイメージングセンサ32,34を参照)。別の実施形態では、モジュール312,314の回転適応性によって、イメージセンサの長軸を、平行かつ非同一直線上に整列させることができ(例えば、
図6を参照)、又は平行かつ同一直線上に整列させることができ(例えば、
図7を参照)、又は互いに垂直に整列させることができ(例えば、
図6のセンサ32の向きと
図7のセンサ34の向きの組み合わせ)、又は他の形態も可能である。
【0093】
但し、マシンビジョンシステム300はいくつかの局面においてマシンビジョンシステム10,100,200とは異なっている。例えば、第1及び第2のイメージングレンズ302,304は、本明細書に記載のマシンビジョンシステムの他の実施形態に含ませることもできるが、第1及び第2の光学モジュール312,314の一部として記載され図示されている。第1及び第2のイメージングレンズ302,304は、第1光軸及び第2の光軸306,308並びに対応するFOV(非図示)を定める。
【0094】
さらに、第1の光学モジュール312の取り付け向きは第1のウェッジ348によってカスタマイズ可能に定められ、第2の光学モジュール314の取り付け向きは第2のウェッジ350によってカスタマイズ可能に定められる。ウェッジは、光学ビジョンモジュール(例えば、モジュール312,314)の一体型又は交換可能なコンポーネントとして、又はフェースプレート(例えば、フェースプレート316)の一体型又は交換可能なコンポーネントとして、又は別個のコンポーネントとして設けることが考えられる。
図11に示すように、第1及び第2のウェッジ348,350は、光学モジュール312,314の一部として含まれており、それぞれ第1及び第2の光学モジュール312,314を発散する向き(divergent orientation)にし、これにより第1及び第2の光軸306,308を発散する向きにする。換言すると、第1及び第2のウェッジ348,350は、第1及び第2の光軸306,308間の発散角度310を定める。
【0095】
いくつかの実施形態では、発散角度310は、5度~30度とすることができるが、他の角度も可能である。通常、この構成では、第1及び第2の光軸306,308は、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサ(非図示)のイメージング領域の中心に位置するが、他のアプローチも可能である。この点に関して、さらに、円筒形取付ウェッジ348,350を使用して、光学モジュール412,414のすべての光学コンポーネント(例えば、レンズ402,404及び関連するイメージングセンサ)を又は光学モジュール412,414の選択された光学コンポーネントのみを、共同で所望の角度に向かせることができる。
【0096】
上記のマシンビジョンシステム200と同様に、第1及び第2のモジュール312,314と共に使用されるウェッジは、異なるイメージング構成を提供するために調整可能であり、取り外し可能であり、交換可能であることができる。いくつかの実施形態では、ウェッジ348,350は、光学モジュール312,314及び光軸306,308の異なる向きを選択的に提供するように調整可能である。いくつかの実施形態では、異なる角度プロファイルを有する他のウェッジ(非図示)を設置して(例えば、ウェッジ348,350と直接交換して)、それぞれが、(例えば、フェースプレート316の平面396から垂直に延在する基準線398に対して)第1及び第2のイメージングレンズ302,304の第1及び第2の光軸306,308を、異なる向き角度(angles of orientations)にすることができる。いくつかの実施形態では、ウェッジは、第1及び第2の光軸306,308が交差するような取り付け向きを提供するように配置することができる(
図18も参照)。
【0097】
ウェッジ(例えば、ウェッジ形の支持ブロック)が有用な場合もあるが、いくつかの実施形態では他の支持構造を使用して、光軸について(又は光学モジュール全体について)異なる角度向き(angular orientations)を選択的に提供することができる。この点に関して、例えば、
図12及び
図13は、マシンビジョンシステム400の別の実施形態を示す。マシンビジョンシステム400は、多くの局面において上記のマシンビジョンシステム10,100,200,300に類似しており、400番台の同様の参照符号が、可能な場合は、ビジョンシステム400において使用される。例えば、マシンビジョンシステム400は、ハウジング418に結合されるフェースプレート416を有する。また、マシンビジョンシステム400は、フェースプレート416に取り付けられる第1の光学モジュール412及び第2の光学モジュール414を有する。第1の光学モジュール412及び第2の光学モジュール414は、通常、フェースプレート16の第1及び第2の開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14に関して上記したものと同様のカスタマイズ可能な構成で、フェースプレート416内に取り付けることができる(例えば、
図1を参照)。
【0098】
図示の実施形態では、第1の光学モジュール412は、第1の取付本体420、第1のイメージングレンズ402及び第1の矩形イメージセンサ(図では隠れている)を有する。第2の光学モジュール414は、第2の取付本体422、第2のイメージングレンズ404及び第2の矩形イメージセンサ(図では隠れている)を有する。さらに、第1及び第2の光学モジュール412,414のイメージングセンサは水平方向に整列させることができ(例えば、
図6のイメージングセンサ32,34を参照)、他の用途では、イメージングセンサはどちらも垂直に整列させることができる(例えば、
図7のイメージングセンサ32,34を参照)。別の実施形態では、モジュール412,414の回転適応性によって、イメージセンサの長軸を、平行かつ非同一直線上に整列させることができ(例えば、
図6を参照)、又は平行かつ同一直線上に整列させることができ(例えば、
図7を参照)、又は互いに垂直に整列させることができ(例えば、
図6のセンサ32の向きと
図7のセンサ34の向きの組み合わせ)、又は他の形態も可能である。
【0099】
但し、マシンビジョンシステム400はいくつかの局面においてマシンビジョンシステム10,100,200,300とは異なっている。例えば、第1の光学モジュール412の取り付け向きは、光学モジュール412を第1の円筒形取付面448に対して(例えば沿って)調整することによって変更することができ、第2の光学モジュール414の取り付け向きは、光学モジュール414を第2の円筒形取付面450に対して(例えば沿って)調整することによって変更することができる。したがって、第1及び第2の円筒形取付面448,450は、それぞれ第1及び第2の光学モジュール412,414の向きを選択的に変更する機能を提供するように構成されている。例えば、
図12は、フェースプレート416の平面496から垂直に延在する基準線498に対する(但し、上で説明したものを含む他の基準フレームも考えられる)、第1及び第2のイメージングレンズ402,404の第1及び第2の光軸406,408のそれぞれの可能な向き角度の範囲を示す。この点に関して、円筒形取付面448,450を使用して、光学モジュール412,414のすべての光学コンポーネント(例えば、レンズ402,404及び関連するイメージングセンサ)、又は光学モジュール412,414の選択された光学コンポーネントのみを、共同で所望の角度に向かせることができる。
【0100】
図示の実施形態では、第1の光軸及び第2の光軸のそれぞれの角度範囲は約60度であるが、他の範囲も可能である。これに対応して、マシンビジョンシステム400は、第1及び第2の光軸406,408が互いに向き合うように(
図12に示す内側範囲光軸406,408参照)、互いに平行となるように(
図12に示す光軸406,408の中心位置合わせを参照)、又は互いに発散するように(
図13を参照)、第1及び第2の光学モジュール412,414を向かせるように構成できる。
【0101】
図12及び
図13に示すものを含むいくつかの実施形態では、円筒形の取り付け構造は、限られた角度範囲を有する支持面を含むことができる(例えば、全周面ではない)。いくつかの実施形態では、円筒形の取り付け構造によって、光学モジュールがフェースプレートに(既知の回転可能な支持構造の使用を介することを含む方法で)取り付けられた後、光学モジュールの旋回調整を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、円筒形の取り付け構造は、フェースプレート(又は光学モジュール)に対して固定できるが、光学モジュールを任意の角度向きの範囲でフェースプレートに選択的に固定することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、マシンビジョンシステムのモジュラー構成により、光学モジュールをさまざまな平行移動された向きで(例えば、上記したように異なる角度向きに回転させずに)マシンビジョンシステムに固定することができる。この点に関して、例えば、
図14及び
図15は、マシンビジョンシステム500の別の実施形態を示す。マシンビジョンシステム500は、多くの局面において上記のマシンビジョンシステム10,100,200,300,400に類似しており、500番台の同様の参照符号を、可能な場合は、マシンビジョンシステム500において使用している。例えば、マシンビジョンシステム500は、ハウジング518に結合されるフェースプレート516を有する。また、マシンビジョンシステム500は、フェースプレート516に取り付けられる第1の光学モジュール512及び第2の光学モジュール514を有する。第1の光学モジュール512及び第2の光学モジュール514は、通常、フェースプレート16の第1及び第2の開口44,46内の第1及び第2の光学モジュール12,14に関して上記したものと同様にカスタマイズ可能な構成で、フェースプレート516内に取り付けることができる。
【0103】
図示の実施形態では、第1の光学モジュール512は、第1の取付本体520、第1のイメージングレンズ502及び第1の矩形イメージセンサ532を有する。第2の光学モジュール514は、第2の取付本体522、第2のイメージングレンズ504及び第2の矩形イメージセンサ534を有する。さらに、第1及び第2の光学モジュール512,514のイメージングセンサ532,534は、水平方向に整列させることができ(例えば、
図6のイメージングセンサ32,34を参照)、他の用途では、イメージングセンサ532,534はどちらも垂直に整列させることができる(例えば、
図7のイメージングセンサ32,34を参照)。別の実施形態では、モジュール512,514の回転適応性によって、イメージセンサ532,534の長軸を、平行かつ非同一直線上に整列させることができ(例えば、
図6を参照)、又は平行かつ同一直線上に整列させることができ(例えば、
図7を参照)、又は互いに垂直に整列させることができ(例えば、
図6のセンサ32の向きと
図7のセンサ34の向きの組み合わせ)、又は他の形態も可能である。
【0104】
但し、マシンビジョンシステム500はいくつかの局面においてマシンビジョンシステム10,100,200,300,400とは異なっている。例えば、第1の光学モジュール512の取り付け向きは、複数の取り付け向きを提供するためにイメージングセンサ532に対して横方向に平行移動(即ち、シフト)可能であり、第2の光学モジュール514の取り付け向きは、これもまた複数の取り付け向きを提供するためにイメージングセンサ534に対して横方向に平行移動(即ち、シフト)可能である。例えば、
図14に示すように、第1のイメージングレンズ502の第1の光軸506は、第1のイメージングセンサ532の中心536と整列され、第2のイメージングレンズ504の第2の光軸508は、第2のイメージングセンサ534の中心538と整列される。さらに、第1の光軸506は第2の光軸508に平行である。この構成では、第1及び第2の光軸506,508は、第1及び第2のイメージングセンサ532,534のFOV内の中心に位置する。
【0105】
図15に示す別の例示的な構成では、第1のイメージングレンズ502は、第1のイメージングセンサ532に対して横方向外向きに(即ち、第2のイメージングレンズ504から離れる方向に)平行移動されており、これにより、第1のイメージングレンズ502の第1の光軸506は、第1のイメージングセンサ532の中心536から第1の距離510だけ横方向にオフセットされている。特に、レンズ502は、光軸506,508間の最短経路に沿って延在する光学素子軸530によって定められる方向に沿って、光軸506,508の共通平面内で平行移動されている。また、第1の光学モジュール512の他の調整を介して、第1の光軸506を、複数の異なる距離だけ(例えば、光学素子軸530に沿って)又は別の方向に、第1のイメージングセンサ532の中心536から横方向にオフセットできることも考えられる。同様に、第1のイメージングセンサ532の中心536は、通常、光学素子軸530に沿って配置され得る(例えば、軸530の方向に沿って、光軸506と整列される、光軸506の外側に横方向に整列される又は光軸506の内側に横方向に整列される)が、いくつかの実施形態では、第1のイメージングセンサ532の中心536からの光軸506のオフセットに関する横方向の局面(lateral aspect)がオフセットの複数の空間的要素の1つであるようなものを含む、他のアライメントが可能である。
【0106】
引き続き
図15の例示的な構成を参照すると、第2のイメージングレンズ504は、第2のイメージングセンサ534に対して横方向外向きに(即ち、第1のイメージングレンズ502から離れる方向に)平行移動されて示されており、これにより、第2のイメージングレンズ504の第2の光軸508は、第2のイメージングセンサ534の中心538から第2の距離564だけ横方向にオフセットされている。特に、上でも同様に述べたように、レンズ504は、光軸506,508の共通平面内で、光学素子軸530によって定められる方向に沿って平行移動されている。また、第2の光学モジュール514の他の調整を介して、第2の光軸508を、第2のイメージングセンサ534の中心538から横方向に複数の異なる距離だけ(例えば光学素子軸530に沿って)又は複数の方向に、オフセットできることも考えられる。同様に、第2のイメージングセンサ534の中心538は、通常、光学素子軸530に沿って配置され得る(例えば、530軸の方向に沿って、光軸508と整列される、光軸508の外側に横方向に整列される又は光軸508の内側に横方向に整列される)が、いくつかの実施形態では、第2のイメージングセンサ534の中心538からの光軸508のオフセットに関する横方向の局面がオフセットの複数の空間的要素の1つであるようなものを含む、他のアライメントが可能である。
【0107】
いくつかのイメージング構成では第1の距離510は第2の距離564に等しくてもよく、いくつかのイメージング構成では第1の距離510は第2の距離564と等しくない(例えば、より大きい又はより小さい)ものとすることができることも考えられる。さらに、いくつかの実施形態では、光学モジュール512,514及びフェースプレート516は、複数のイメージング構成において、モジュール512,514の平行移動が、第1及び第2の光軸506,508を互いに平行に維持したままなされるよう構成することができる。
【0108】
通常、レンズの光軸が関連するイメージングセンサの中心と整列しないようにシフトされたいくつかの構成では、レンズによって提供されるFOVがイメージングセンサの縁を越えて延在する可能性がある。結果として、光学モジュールのいくつかの平行移動は、センサによって検出されるように、FOVのサイズが変更される可能性があり、光軸が、得られた有効FOV内で中心から外れる可能性がある(
図17及び
図19に関しても説明される)。例えば、
図15に示すように、光学モジュール512のFOV506Aは、イメージングセンサ532の横方向外側の縁を越えて延在する場合があり、これにより、光学モジュール512でのイメージングのための有効FOVは、イメージングレンズ502についての潜在的な総FOVよりも小さくなる場合がある。同様の構成が光学モジュール514についても得られる可能性があり、場合によっては、イメージングモジュールのFOVは、関連するイメージングセンサの他の(例えば、横方向内側の)縁を越えて延在する場合がある。
【0109】
加えて又は代替的に、モジュラービジョンシステムのいくつかの実施形態は、ハウジング及びイメージングレンズの光軸に対して平行移動可能なイメージングセンサを提供することができる。この点に関して、いくつかの光学モジュールは、関連するイメージングレンズがフェースプレートに対して固定された状態(又は異なる方向に向け直された状態)のまま、イメージングセンサをフェースプレートに対して横方向に平行移動させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、イメージングセンサを、光学モジュールの背面にある可動センサブラケットに取り付けることができる。通常、有効FOVは、イメージングセンサに対するイメージングレンズの横方向シフトによって影響を受けるのと同様に、イメージングレンズに対するイメージングセンサの対応する横方向シフトによっても影響を受ける可能性がある。したがって、イメージングセンサに対するイメージングレンズ(又はより大きな光学モジュール)の平行移動に関する本明細書での議論は、イメージングレンズに対するイメージングセンサ(又はより大きな光学モジュール)の同様の調整に関する議論を本質的に含むと理解されるべきである。これに対応して、例えば、当業者は、
図15及び他の図に示すものを含む光軸とイメージセンサとの間のオフセットされた空間的関係を、光軸を調整する(例えば、平行移動させる)ことによって、センサを調整する(例えば、平行移動させる)ことによって、又は光軸とセンサを調整することによって得ることができることを認識するであろう。
【0110】
いくつかの実施形態では、上で概説したような光軸の調整を、任意の所与の光軸と関連するイメージングセンサとの間の正常な向きを維持しながら行うことができる。例えば、レンズ(又は関連するセンサ)の横方向シフトの場合、レンズの焦平面を、関連するセンサのセンサ面と平行に概ね維持することができる。同様に、上でも議論したように、レンズの角度調整の場合、関連するセンサも概ね同様に調整することができ、これにより、レンズの焦平面は、関連するセンサのセンサ面と平行に概ね維持することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では他のアプローチが可能である。
【0111】
したがって、
図10~
図15は、概して、さまざまな全体イメージング構成を提供するために、複数の光学モジュールのそれぞれの光軸の相対的な向きを選択的に調整できるモジュラービジョンシステムの構成例を提示する。したがって、上で概説したように、本技術の実施形態は、イメージングのための複数の光軸が、互いに平行に、互いに発散するように又は互いに近づくように構成された、あるいはこれらの間にさまざまな横方向間隔を有するように構成された(そして関連するイメージングセンサの中心に対しさまざまな横方向間隔を有するように構成された)マシンビジョンシステムの、比較的容易な設定を可能にすることができる。以下でさらに説明するように、この全体構成は、さまざまなイメージングコンテキストについてのマシンビジョンシステムの高度な適応性を有利に可能にし、これには、複数のイメージセンサのFOVのオーバーラップの程度を最適化及びカスタマイズ可能にすること、複数のFOVによって提供される合計イメージング幅を最適化及びカスタマイズ可能とすることが含まれる。例えば、いくつかのシステムは、隣接するFOV同士の一定サイズのオーバーラップ領域を提供するため、又は、シンボル若しくは他の特徴の画像の信頼性のある取得のために(例えば、分析される最小のバーコード又は他の特徴に応じたオーバーラップサイズを提供するために)関連する動作距離で適切なオーバーラップを確保しつつ合計(総)イメージングFOVの合計横方向イメージング領域を最大化するため、又は、さまざまな他の利益のために、調整可能である。
【0112】
この点に関して、
図16及び
図17は、光学モジュール412,414,512,514が発散FOVを効果的に提供するように調整されたモジュラービジョンシステム400,500の例示的なイメージング構成を示す。通常、発散構成(例えば、
図16及び
図17に示すようなもの)は、別々のモジュールのFOVがオーバーラップする動作(イメージング)距離を比較的長くすることができるが、FOV間のオーバーラップの程度は距離の増大と共に(例えば、線形的に)増大する傾向がある。したがって、これらの構成は、例えば、近い動作距離ではFOVオーバーラップが必要ない場合があるが長い動作距離において比較的大きい程度のFOVオーバーラップが重要になる可能性がある用途(例えば、ロジスティクスシステム)において有用である。さらに、発散する光軸を備えた構成は、互いに収束する(近づく)光軸を備えた同等の構成よりも、必要とされる光学モジュールに対する角度又はシフト調整を比較的小さくすることができる。これにより、製造が容易になるとともに、正常な基準面からの焦平面のずれが通常はより小さくかつ正常な基準面に垂直な軸からの光軸のずれが通常はより小さいことから、(角度が付いた構成において)長距離での画像の解像度が向上する可能性がある。
【0113】
図16に示すモジュラービジョンシステム400は、第1及び第2の光学モジュール412,414の第1及び第2のイメージングレンズ402,404が、第1及び第2の光軸406,408、したがってFOV456,458が、互いに発散するように互いに離れる方向に向くように角度が付けられている。FOV456,458がオーバーラップし始めるモジュラービジョンシステム400からの動作距離は、基準線498に対する第1及び第2のイメージングレンズ402,404の向き角度にそれぞれ依存し、したがって、特定のコンテキストに合わせて必要に応じて調整することができる。さらに、光軸406,408の方向が互いに発散しているので、FOV456,458の合計(総)カバレッジを比較的広くすることができる。
【0114】
図17に示すモジュラービジョンシステム500は、第1及び第2のイメージングレンズ502,504が互いに離れる方向にシフトされており、第1及び第2の光軸506,508が、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサ(図では隠れている)のそれぞれの中心から距離を空けて配置されている。第1及び第2の光軸506,508は互いに平行のままである。但し、(
図15に関しても説明したように)レンズ502,504の関連するFOVが横方向にセンサを超えて延在していることから、画像取得のための有効なFOV556,558は互いに発散している。換言すると、光軸506,508は、関連するイメージングセンサに対して十分に横方向外向きにシフトされているので、FOV556,558は、光軸506,508に関して対称ではなく、特にその横方向内側において効果的に切り詰められている(truncated)。
【0115】
図16に関連して同様に議論したように、FOV556,558がオーバーラップし始めるモジュラービジョンシステム500からの動作距離は、第1及び第2のイメージングレンズ502,504が互いに離間している距離に依存する。さらに、
図16に示す構成と同様に、FOV556,558間のオーバーラップは、FOV556,558の最初の交差を超えたところから動作距離とともに増大する。したがって、場合によっては、レンズ502,504の具体的な横方向間隔を選択することで、特定のオーバーラップのための所望の動作距離とコンベヤ(又は他の場所)でのFOV556,558の所望の総カバレッジとの間のバランスを最適化することができる。
【0116】
図18及び
図19は、光学モジュール412,414,512,514が収束FOVを効果的に提供するように調整されたモジュラービジョンシステム400,500の例を示す。通常、収束構成(例えば、
図18及び
図19に示すようなもの)は、別々のモジュールのFOVがオーバーラップする動作(イメージング)距離を比較的短くすることができ、これにより、比較的広範囲の動作距離にわたって効果的な画像取得を行うことができる。さらに、場合によっては、収束構成は、広範囲の動作距離にわたってFOVの一定のオーバーラップをもたらす(即ち、共通平面(例えば、関連する光軸の両方を含む面)内で一定幅のオーバーラップをもたらす)ことができる。したがって、これらの構成は、例えば、比較的短い動作距離が必要となり得る用途に有用な可能性がある。
【0117】
図18に示すモジュラービジョンシステム400は、第1及び第2のイメージングレンズ402,404が互いを向くように角度が付けられて第1及び第2の光軸406,408を提供しており、これによって、FOV456,458もまた互いに向くように角度が付けられている。結果として、FOV456,458は、ビジョンシステム400に比較的近いシンボル(又は他の特徴)の有用な画像の取得をサポートできるように、比較的短い動作距離で初めてオーバーラップする。
【0118】
特に、図示の構成では、第1のFOV456の横方向外側(即ち、第2の光学モジュール414から最も遠い側)は、第2のFOV458の横方向外側(即ち、第1の光学モジュール412から最も遠い側)と平行に延在する。図示したような構成を含むいくつかの場合において、FOV456,458の上記の側のうちの1つ以上は、イメージング方向400Aと平行に延在することもできる。さらに、FOV456,458の横方向外側は、
図18に示したようなものを含む物体面460に垂直であってもよい。その結果、最初の動作距離を超えたところから、FOV456,458間のオーバーラップの幅は動作距離に関係なく一定のままとなる。
図18に示す第1及び第2のイメージングレンズ402,404の角度は、FOV456,458の外縁が平行になることから、いくつかの設置では最大収束角度と見なすことができることに注目すべきである。したがって、角度が増大すると、FOV456,458の外縁が最終的に交差し、その結果、物体面460においてオーバーラップしない領域(即ち、死角)が生じる。いくつかの実施形態では、より小さな収束角度が可能であるものの、これは、得られたFOV間における一定幅のオーバーラップが得られない場合がある(図示の構成とは対照的である)。
【0119】
通常、イメージング方向は、イメージングの対象領域(例えば、物体面460)と、第1のイメージングレンズと第2のイメージングレンズ(例えば、レンズ402,404)の中間にあるフェースプレート(例えば、フェースプレート416)上のポイントと、の間の直線最小距離に対応する方向、又は、イメージングシステムの2つの光軸(例えば、軸406,408)間の角度を二等分する線に対応する方向、のうちの少なくとも1つとして定義される。物体面(例えば、物体面460)は、第1及び第2のレンズ402,404の焦平面がオーバーラップする、モジュラービジョンシステム400からの動作距離にある面として定義される。
【0120】
図19に示すモジュラービジョンシステム500は、第1及び第2のイメージングレンズ502,504が互いに近づく方向にシフトされており、第1及び第2の光軸506,508が、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサ(図では隠れている)の中心からそれぞれ一定の距離を空けて配置されている。特に、第1及び第2の光軸506,508は互いに平行のままである。但し、(
図15に関しても説明したように)レンズ502,504の関連するFOVが、関連するセンサを超えて横方向に延在していることから、画像取得のための有効なFOV556,558は互いに収束している。換言すると、光軸506,508は、関連するイメージングセンサに対して十分に横方向内側にシフトされているので、FOV556,558は光軸506,508に関して対称ではない。実際、図示の構成では、光軸506,508は、イメージングセンサの縁とそれぞれ正確に交差し、したがって、それぞれのFOV556,558の横方向の外縁を画定し、これにより、FOV556,558の外縁同士もまた平行になる。これに対応して、
図19に示すように、最初の動作距離を超えて以降、FOV556,558間のオーバーラップの幅は、動作距離に関係なく一定のままである。
【0121】
光軸がイメージングセンサの縁と交差する同様の他の構成は、他の実施形態及びコンテキストにおいて有利な場合がある。本明細書で使用される場合、光軸又は他の光学的基準が、センサの合計ピクセル幅の5%以内のセンサの縁からの距離で光学センサにぶつかる(又はセンサを越えて延在する)場合に、光軸又は他の光学的基準がイメージングセンサの縁と交差すると見なす。場合によっては、光軸はイメージングセンサのピクセル検出器の最後の行又は列にぶつかる可能性があり、したがって、イメージングセンサの縁と正確に交差すると見なせる。しかしながら、上で概説したように、いくつかの実施形態では、光軸は他の位置でイメージングセンサと交差することができ、そのような他の位置としては、イメージングセンサの中心にある位置、及びイメージングセンサの中心にないがセンサの縁と交差するように(例えば、光軸に関連するFOVの一部がセンサの1つ又は複数の縁によって切り詰められる又は切り詰められないように)中心からそれほど遠くない位置を含む。
【0122】
図16及び
図18は、モジュラービジョンシステム400を用いて説明するものである。しかしながら、光軸の角度を変更するためにウェッジが使用されるモジュラービジョンシステム300にも同様の議論が当てはまることに留意されたい。同様に、光軸の角度又はシフト(平行移動)調整を提供する他のモジュラービジョンシステムを、
図16~
図19の例示的な構成で大まかに示されるようなものを含む収束又は発散FOVを提供するように、同様に構成することができる。また、
図16~
図19の任意の所与の構成に関して、角度調整のみ又は横方向調整のみを説明しているが、いくつかの実施形態は角度調整とシフト調整とをするよう構成されたモジュールを含むことができる。
【0123】
いくつかの構成では、平行移動(シフト)調整の使用は、可変焦点距離(即ち、ズーム)レンズを使用する実施形態に特に適している可能性がある。可変焦点距離イメージングレンズと組み合わせて使用する場合、例えば、光軸の平行アライメントを維持したまま横方向にシフト可能な光学モジュールによって、あらゆるさまざまな焦点距離にて、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサの共通イメージング平面内のFOV間のオーバーラップを一定の幅にすることができ、これにより、モジュラービジョンシステムをセンサ平面に対して垂直にスケーリングすることができる。
【0124】
例えば、
図20に示すモジュラービジョンシステム500は、第1及び第2のイメージングレンズ502,504がズームレンズとして構成されており、光学モジュール512,514が互いに離れる方向に横方向にシフトされており、第1及び第2の光軸506,508が、第1のイメージングセンサ及び第2のイメージングセンサ(図では隠れている)のそれぞれの中心から距離をおいて配置されている。このように、
図20のFOV556,558は、
図17に示したものと同様に構成されるが、2つの構成間の具体的な横方向調整は、任意の所与のコンテキストに応じてさまざまであってもよい。しかしながら、第1及び第2の可変焦点距離レンズ502,504は、FOV556,558が共通平面内で特定の幅だけオーバーラップする第1の共通焦点距離550を有するように調整することができる。さらに、第1及び第2の可変焦点距離レンズ502,504は、第1の共通焦点距離550よりも長い第2の共通焦点距離552を有するように調整することができ、第2の共通焦点距離552でも、FOV556,558は、依然として共通平面内において一定幅でオーバーラップする。さらに、このイメージング構成のモジュラービジョンシステム500と同様の効果、即ちFOVが複数の共通焦点距離において一定幅でオーバーラップするという効果は他のズーム調整でも得ることができる。したがって、例えば、光学モジュラーの選択的調整によって定められるようなFOVの一定のオーバーラップを用いて、さまざまな高さを有する物体600の有用な画像を取得することができ、これにより、関心のあるシンボル又は他の特徴を、FOVのうちの任意の所与の1つの中で完全にキャプチャできることが保証される。
【0125】
いくつかの実装形態では、本明細書に開示されるデバイス又はシステムは、本技術の態様を具体化する方法により利用又は設置することができる。同様に、デバイス又はシステムの特定の特徴又は機能に関する本明細書での記載は、概して、意図された目的のためにそのような特徴を使用する方法及びそのような機能を実装する方法の開示を本質的に含むことを意図する。同様に、特定のデバイス又はシステムを使用する任意の方法の明示的な議論は、別段の特定又は限定がない限り、そのようなデバイス又はシステムの利用された特徴及び実装された機能の開示を、本技術の実施形態として本質的に含むことを意図する。
【0126】
再び
図1を参照すると、例えば、本技術のいくつかの実施形態では、光学モジュールのセットをマシンビジョンデバイスに設置する方法が提供される。一実施形態では、第1の光学モジュール12は、ハウジング軸84に対して所定の向きに配置され、フェースプレート16の第1又は第2の取付開口44,46の一方の中に受け入れられる。第2の光学モジュール14は、ハウジング軸84に対して所定の向きに配置され、第1又は第2の取付開口44,46の他方の中に受け入れられる。また、第1及び第2の光学モジュール12,14はフェースプレート16に固定されてもよい。第1の光学モジュール12又は第2の光学モジュール14の少なくとも1つと、それらの間の電気通信のためのマシンビジョンシステム10のコンピューティングデバイス88と、の間で電気接続を行うことができる。いくつかの実施形態では、フェースプレート16は、ハウジング軸84に対して所定の向きに配置され、これに固定される。フェースプレート16とマシンビジョンシステム10のコンピューティングデバイス88との間の電気通信のためにこれらを電気接続することができる。この方法は、モジュラービジョンシステム300,400及び500を含むマシンビジョンデバイスの他の実施形態を含み得ることを理解されたい。
【0127】
また、
図11に戻って参照すると、例えば、本技術のいくつかの実施形態では、光学モジュールのセットをマシンビジョンデバイスに設置する方法が提供される。一実施形態では、(複数の取り付け向きから選択される)取り付け向きを提供する第1のウェッジ348を有する第1の光学モジュール312が選択され、フェースプレート316に対して所定の向きに配置される。また、(複数の取り付け向きから選択される)取り付け向きを提供する第2のウェッジ350を有する第2の光学モジュール314が選択され、フェースプレート316に対して所定の向きに配置される。したがって、特定のウェッジの選択を通じて、2つの光学モジュールの光軸の特定の相対角度向きを選択することができ、(例えば、上記の考慮事項下で)特定の用途のパフォーマンスを最適化することができる。この(又は他の同様の)方法は、円筒形の取り付け特徴に対する調整を介して角度調整が行われる場合及び角度調整の代わりに(又はそれに加えて)光学モジュール(又はそのコンポーネント)の横方向調整が選択される場合を含む、実施形態400及び500を含むマシンビジョンデバイスの他の実施形態を含み得ることも理解されるべきである。
【0128】
再び
図12及び
図13を参照すると、例えば、本技術のいくつかの実施形態では、光学モジュールのセットをマシンビジョンデバイスに設置する方法が提供される。一実施形態では、第1の光学モジュール412は、フェースプレート416に対して所定の向きに配置され、第1のイメージングレンズ402の取り付け向きは、複数の取り付け向きから選択されて、複数のイメージング構成のうちの対応する1つを提供する。第2の光学モジュール414は、フェースプレート416に対して所定の向きに配置され、第2のイメージングレンズ404の取り付け向きは、複数の取り付け向きから選択されて、複数のイメージング構成のうちの対応する1つを提供する。この方法は、特定のウェッジ(又はウェッジのセット)の選択を介して角度調整が行われる場合、及び、角度調整の代わりに(又はそれに加えて)光学モジュール(又はそのコンポーネント)の横方向調整が選択される場合を含む、モジュラービジョンシステム300及び500を含むマシンビジョンデバイスの他の実施形態を含み得ることを理解されたい。
【0129】
上に開示された特定の実施形態は単なる例であり、本技術は、本明細書の教示から利益を得る当業者に明らかな、異なるしかし同等の方法で、修正及び実施され得る。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本明細書に示す構造又は設計の詳細に対する限定は意図していない。したがって、上に開示された特定の実施形態に変更又は修正を加えてもよいことは明らかであり、そのような変形はすべて、本技術の範囲内及び精神内であると考慮される。したがって、求める保護は以下の特許請求の範囲に記載される通りのものである。