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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/05 20060101AFI20241001BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241001BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20241001BHJP
   C25D 11/00 20060101ALI20241001BHJP
   C25D 11/18 20060101ALI20241001BHJP
   C25D 11/24 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H05K1/05 A
H05K1/05 B
H01L23/12 J
H01L23/14 M
C25D11/00 308
C25D11/18 311
C25D11/18 312
C25D11/24 302
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021040128
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139647
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100144510
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 真由
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】牛田 貴久
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 直樹
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2008-0067853(KR,A)
【文献】特開2008-187144(JP,A)
【文献】特開2006-228907(JP,A)
【文献】特開2004-259745(JP,A)
【文献】特開2012-023180(JP,A)
【文献】特開2013-135010(JP,A)
【文献】特開2007-243194(JP,A)
【文献】特開2010-278309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/05
H05K 3/00
H01L 23/12
H01L 23/14
C25D 11/00
C25D 11/18
C25D 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板であって、
アルミニウム(Al)を主成分とする金属材料から成る基材と、
前記基材表面上に形成された前記金属材料の陽極酸化被膜であり、上面に、導電性の配線部が形成された、酸化被膜層と、
を備え、
複数の前記酸化被膜層が、平面視で、互いに離間して形成れ、隣り合う前記酸化被膜層の間は、前記基材表面が露出しており、
前記平面視で、前記酸化被膜層は、角が丸面取りされた正方形または長方形であることを特徴とする、
配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記複数の酸化被膜層が形成された前記基材表面において、前記複数の酸化被膜層の合算面積は、前記基材が露出している露出部の合算面積より大きいことを特徴とする、
配線基板。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配線基板であって、
前記酸化膜層は3つ以上形成され、縦横に配列されていることを特徴とする、
配線基板。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の配線基板であって、
平面視で、前記酸化膜層の外周は、全周に亘って前記基材表面が露出していることを特徴とする、
配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(発光ダイオード:light emitting diode)やパワー半導体などの熱を多く発生する素子が搭載される配線基板としては、高放熱性の配線基板が用いられている。高放熱性の配線基板として、アルミニウム基板にアルマイト被膜を施して電子基板(以下、アルマイト基板とも呼ぶ)として扱う技術が提案されている。アルマイト基板は、絶縁性を備えつつ、アルミニウム基板の熱伝導率、および熱拡散率を維持することができるため、高放熱化を図ることができる。
【0003】
ところで、配線基板としては、電子部品が搭載される配線基板領域が複数形成された、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作される場合がある。多数個取り配線基板の場合、1枚の多数個取り配線基板をダイシングして、複数の個片を得る。アルマイト被膜はクラックを生じやすいため、アルマイト基板を多数個取りの形態で製作した場合、切削時の衝撃で、アルマイト被膜にクラックが生じやすい。この課題に対し、例えば、特許文献1では、アルマイト被膜を形成する前に、隣り合う配線基板領域(個片)の境界をパンチングによって形成し、隣り合う配線基板領域を繋ぐタイバーを形成する領域を小さくすることにより、ダイシングの際に生じるクラックの発生を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6008204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、タイバーの表面がアルマイト被膜に被覆されているため、特許文献1に記載の技術によってもなお、ダイシング時に、クラックが発生する虞がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、アルミニウムを主成分とする金属材料から成る基材と、基材表面上に形成された酸化被膜層を有する配線基板において、酸化被膜層のクラックの発生を抑制する他の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、配線基板が提供される。この配線基板は、アルミニウム(Al)を主成分とする金属材料から成る基材と、前記基材表面上に形成された前記金属材料の陽極酸化被膜であり、上面に、導電性の配線部が形成された、酸化被膜層と、を備え、複数の前記酸化被膜層が、平面視で、互いに離間して形成れ、隣り合う前記酸化被膜層の間は、前記基材表面が露出している。
【0009】
この形態の配線基板は、いわゆる、多数個取りの配線基板であり、1つの酸化被膜層が形成された領域が1つの個片に相当する。この構成によれば、複数の酸化被膜層が離間して形成され、かつ隣り合う酸化被膜層の間は、基材表面が露出している。そのため、多数個取りの配線基板を個片に切り分ける際は、金属材料から成る基材を切断し、酸化被膜層を切断しないため、酸化被膜層におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0010】
(2)上記形態の配線基板であって、前記複数の酸化被膜層が形成された前記基材表面において、前記複数の酸化被膜層の合算面積は、前記基材が露出している露出部の合算面積より大きくてもよい。このようにすると、個片の取り数を多くすることができる。
【0011】
(3)上記形態の配線基板であって、前記酸化膜層は3つ以上形成され、縦横に配列されていてもよい。このようにすると、配線基板をダイシングして個片を得る際に、容易にダイシングすることができる。
【0012】
(4)上記形態の配線基板であって、平面視で、前記酸化膜層の外周は、全周に亘って前記基材表面が露出していてもよい。酸化被膜層は、基板の角などのような出っ張った箇所に形成されると、加熱や衝撃によってクラックの起点になる可能性が高くなる。この形態によれば、配線基板の周縁部に酸化被膜層が形成されないため、酸化被膜層のクラックを、さらに抑制することができる。また、配線基板がダイシングされた個片の状態においても、基材の縁や角に酸化被膜層が形成されていない状態になるため、個片におけるクラックの発生も抑制することができる。
【0013】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、配線基板を含む製品、配線基板の製造方法、配線基板を含む製品の製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の配線基板の平面構成を概略的に示す説明図である。
図2】第1実施形態の配線基板の断面構成を概略的に示す説明図である。
図3】第1実施形態の配線基板から切り出される個片の説明図である。
図4】第2実施形態の配線基板の平面構成を概略的に示す説明図である。
図5】第3実施形態の配線基板の構成を概略的に示す説明図である。
図6】第4実施形態の配線基板の構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の配線基板100の平面構成を概略的に示す説明図であり、図2は、配線基板100の断面構成を概略的に示す説明図である。図2では、図1におけるA-A断面を示している。配線基板100は、平面形状が略長方形状の平板状の基材10と、基材10の表面上に形成された酸化被膜層20と、第1酸化被膜層21と、を有する。酸化被膜層20の上には配線部30が形成されている。一方、第1酸化被膜層21の上には配線部30が形成されておらず、第1酸化被膜層21は、基材10の表面を露出させる給電部23を有する。本実施形態の配線基板100は、電子部品が搭載される配線基板領域としての酸化被膜層20が複数形成された、いわゆる多数個取り配線基板である。
【0016】
基材10は、アルミニウム(Al)を主成分とする金属材料から成る。基材10はアルミニウムを主成分とする金属材料から成るため、熱伝導率および熱拡散率が高い。本実施形態において、主成分とは、質量%が最も高い成分である。
【0017】
基材10は、図2に示すように、第1主面11と、第1主面11の裏面である第2主面12と、第1主面11と第2主面12とを繋ぐ側面13と、を備える平板状である。本実施形態では、基材10の第1主面11に、酸化被膜層20および第1酸化被膜層21が形成されており、第2主面12と側面13には、酸化被膜層20および第1酸化被膜層21が形成されていない。
【0018】
酸化被膜層20および第1酸化被膜層21は、アルミニウムを主成分とする金属材料から成る平板(以下、「元板」とも呼ぶ)に陽極酸化処理をして表面を変質させて形成された陽極酸化被膜(アルマイト)である。すなわち、本実施形態において、元板に陽極酸化処理をして形成された陽極酸化被膜部分が酸化被膜層20および第1酸化被膜層21であり、変質していない素地の部分が基材10である。酸化被膜層20および第1酸化被膜層21は、絶縁性を有する。
【0019】
酸化被膜層20は、図1に示すように、平面形状が角丸正方形状、換言すると、角が丸面取りされた正方形状である。酸化被膜層20の上には、配線部30が形成されており、酸化被膜層20は、電子部品が搭載される領域(以下、製品領域とも呼ぶ)である。
【0020】
配線部30は、主成分が互いに異なる3種の金属薄膜が積層されて構成されている。具体的には、チタン(Ti)を主成分とする金属薄膜と、白金(Pt)を主成分とする金属薄膜と、金(Au)を主成分とする金属薄膜と、が酸化被膜層20側から順に積層されている。チタンは、酸化被膜層20との密着性が良好であり、白金は金との密着性がチタンよりも良好であり、金は高導電性、抗腐食性でありボンディング性が良好である。そのため、この構成によれば、配線部30の剥離が抑制され、高導電性、抗腐食性でありボンディング性が良好な配線層を実現することができる。なお、図2では、各薄膜を区別して図示していない。配線部30は、蒸着、スパッタリング等の公知の方法により形成することができる。
【0021】
第1酸化被膜層21は、図1に示すように、平面形状が長方形状である。第1酸化被膜層21の上には配線部30が形成されておらず、電子部品が搭載される領域ではない。第1酸化被膜層21は、上述の通り、基材10の第1主面11が露出した給電部23を有する。給電部23は、上述の陽極酸化処理を行う際の通電用治具との接点であり、陽極酸化が行われた後も基材10の表面が露出している。給電部23は、平面形状が真円状(図1)の貫通孔(図2)である。給電部23の平面形状は、真円でなくてもよく、略楕円状、略多角形状等、種々の形状であってもよい。給電部は、通電するための電極痕、通電痕、治具痕とも呼ばれる。配線基板100では、2つの第1酸化被膜層21が、基材10の第1主面11の端部に形成されている。
【0022】
図1に示すように、配線基板100は、複数の(本実施形態では、16個の)酸化被膜層20を有し、16個の酸化被膜層20は、縦横に(詳しくは、4行4列に)配列されている。換言すると、16個の酸化被膜層20は、碁盤目状に形成されている。図1、2に示すように、複数の酸化被膜層20は、平面視で互いに離間して形成され、隣り合う酸化被膜層20の間は、基材10の第1主面11が露出している。すなわち、複数の酸化被膜層20は、互いに繋がっていない。また、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21とも、互いに離間して形成され、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21との間は、基材10の第1主面11が露出している。基材10の第1主面11が露出している部分を、以下、「露出部15」とも呼ぶ。図1において、露出部15に斜線ハッチングを付して示している。
【0023】
図3は、配線基板100から切り出される個片110の説明図である。図3(A)は配線基板100を個片110に分割する際の切断線Lを示し、図3(B)は個片110の一例を示す。図3(B)は、図3(A)における紙面左上の個片を図示している。配線基板100が、切断線L(図3(A))で分割されると、基材10の表面上に1つの酸化被膜層20が形成されている個片110(図3(B))が、16個得られる。16個の個片110のそれぞれにおける露出部15の大きさおよび配置は、異なっていてもよい。
【0024】
図示するように、切断線Lは露出部15に配置されている。換言すると、切断線L上に酸化被膜層20が形成されていない。そのため、配線基板100を個片110に切り分ける際は、基材10である金属板を切断し、酸化被膜層20を切断しない。したがって、ダイシング時に酸化被膜層20が傷ついてクラックを生じることを抑制することができる。その結果、各個片110におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0025】
また、図示するように、配線基板100の周縁部に酸化被膜層20が形成されていない。すなわち、加熱や衝撃によってクラックの起点になる可能性が高い基材10の端部(縁、角)から離して酸化被膜層20が形成されており、配線基板100の周縁部は基材10が露出している。そのため、酸化被膜層20のクラックを、抑制することができる。また、各酸化被膜層20の外周は、全周に亘って基材10の第1主面11が露出しており、配線基板100がダイシングされた個片110の状態においても、基材10の端部(縁、角)から離して酸化被膜層20が形成された状態になるため(図3(B))、個片110におけるクラックの発生も抑制することができる。
【0026】
上述の通り、第1酸化被膜層21は給電部23を有するため、給電部23を起点としてクラックが生じやすい。本実施形態において、上述の通り、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21とは離間して設けられており、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21との間は、基材10の第1主面11が露出しているため、第1酸化被膜層21にクラックが生じ、進展したとしても、露出部15でクラックの進展が食い止められ、酸化被膜層20まではクラックが進展しない。そのため、配線部30が形成されており、製品領域となる酸化被膜層20におけるクラックを抑制することができる。
【0027】
配線基板100において、複数の酸化被膜層20の合算面積は、露出部15の合算面積より大きい。そのため、1枚の配線基板100から多くの個片を得ることができる。
【0028】
配線基板100では、複数の酸化被膜層20が互いに離間して形成されると共に、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21とが離間して形成されている。このように、基材10の表面に部分的に酸化被膜を形成する方法としては、例えば、元板の表面全面にアルマイトを形成した後に、不要部(基材10の表面を露出させる部分)を、湿式の化学処理、レーザー加工等により除去する方法(第1の方法)を用いることができる。また、例えば、元板の表面の不要部(基材10の表面を露出させる部分)に、フォトリソグラフィでマスキングを施した後にアルマイトを形成する方法(第2の方法)を用いることもできる。
【0029】
第1の方法にて酸化被膜層20および第1酸化被膜層21を形成した場合、基材10の厚さは略一様であり、元板の厚さより薄い。一方、第2の方法にて酸化被膜層20および第1酸化被膜層21を形成した場合、基材10の第1主面11が露出している露出部15(図1において斜線ハッチングを付して表示している部分)の基材10の厚さは、元板の厚さと略同じであり、酸化被膜層20および第1酸化被膜層21が形成されている部分は、露出部15より厚さが薄くなっている。すなわち、第2の方法にて酸化被膜層20および第1酸化被膜層21を形成した場合は、基材10の厚みが部分的に異なっている。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の配線基板100によれば、複数の酸化被膜層20は、平面視で互いに離間して形成され、隣り合う酸化被膜層20の間は、基材10の第1主面11が露出している露出部15になっている。そのため、配線基板100を個片110に分割する際に露出部15で切断することにより、酸化被膜層20を切断しないため、酸化被膜層20のクラックの発生を抑制することができる。すなわち、個片110におけるクラックの発生を抑制することができる。また、本実施形態の配線基板100によれば、個片化する際に、酸化被膜層20を切断しないため、個片化する際に酸化被膜を切断する場合と比較して、酸化被膜層20の端面の荒れを抑制することができる。
【0031】
また、配線基板100において、酸化被膜層20は第1酸化被膜層21と離間して形成され、酸化被膜層20と第1酸化被膜層21との間は、基材10の第1主面11が露出している露出部15になっている。すなわち、給電部23を起点としてクラックが生じやすい第1酸化被膜層21と、酸化被膜層20とが分断されているため、第1酸化被膜層21にクラックが生じ、進展したとしても、露出部15でクラックの進展が食い止められ、酸化被膜層20まではクラックが進展しない。そのため、酸化被膜層20のクラックの発生を抑制することができる。
【0032】
また、上述の通り、基材10の端部(縁、角)に酸化被膜層20が形成されると、クラックが発生しやすい。これは、基材10の端部に形成された酸化被膜層20は厚さが不均一になること、基材10の端部は応力が集中しやすいことによる。これに対し、本実施形態の配線基板100によれば、基材10の第1主面11の周縁部には酸化被膜層20が形成されていないため(換言すると、酸化被膜層20は、基材10の縁から離して形成されているため)、酸化被膜層20におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0033】
さらに、酸化被膜層20の平面形状は、角丸長方形状であり、応力が集中する角が形成されていないため、クラックの発生を抑制することができる。
【0034】
本実施形態の配線基板100によれば、個片化する際の酸化被膜層20のクラックの発生を抑制することができるため、各個片は、酸化被膜層20により絶縁性を担保しつつ、熱伝導率が高いアルミニウムを主成分とする基材10により高放熱性を得ることができる。そのため、個片を、例えば、発熱量が大きい高輝度LEDを高密度化して搭載する配線基板として用いることができる。その他、CPU(Central Processing Unit)、パワーデバイス、太陽電池等の半導体や液晶等に適用することもできる。
【0035】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態の配線基板100Aの平面構成を概略的に示す説明図である。本実施形態の配線基板100Aが、第1実施形態の配線基板100と異なる点は、第1酸化被膜層21Aの平面形状および配置と、酸化被膜層20の個数と、基材10Aの平面形状である。以下に説明する実施形態において、第1実施形態の配線基板100と同一の構成には同一の符号を付し、先行する説明を参照する。
【0036】
本実施形態の第1酸化被膜層21Aは、図示するように、平面形状が、酸化被膜層20と略同一の角丸正方形状である。配線基板100Aは、14個の酸化被膜層20と2個の第1酸化被膜層21とを備える。本実施形態において、14個の酸化被膜層20と、2個の第1酸化被膜層21とを合わせた16個が、4行4列に配列されている。図4に示す例において、1つめの第1酸化被膜層21は2行めの3列めに配置されており、2つめの第1酸化被膜層21は、3行めの1列めに配置されている。基材10Aは、第1実施形態の基材10より第1主面11の面積が小さく、平面形状が略正方形状である。
【0037】
このようにしても、配線基板100Aを個片に分割する際の酸化被膜層20のクラックの発生を抑制することができる。
【0038】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態の配線基板100Bの構成を概略的に示す説明図である。図5(B)は基材10の第1主面11を示し、図5(B)に示す平面図の紙面左側の側面13Lを図5(A)、紙面右側の側面13Rを図5(C)に、それぞれ示す。図5(A)、(C)において、酸化被膜層20および配線部30の図示を省略している。本実施形態の配線基板100Bが、第1実施形態の配線基板100と異なる点は、第1酸化被膜層21Bの平面形状および配置と、基材10Bの平面形状である。
【0039】
第1酸化被膜層21Bの平面形状は、図5(A)、(C)に示すように、長方形状であり、第1酸化被膜層21Bは、基材10の側面13に配置されている。基材10Bは、第1実施形態の基材10より第1主面11の面積が小さく、平面形状が略正方形状である。
【0040】
このようにしても、配線基板100Bを個片に分割する際の酸化被膜層20のクラックの発生を抑制することができる。
【0041】
さらに、本実施形態の配線基板100Bによれば、第1酸化被膜層21Bが側面13に形成されており、酸化被膜層20が形成されている第1主面11と異なる面に形成されているため、基材10Bの面積を第1実施形態の基材10より小さくすることができる。すなわち、無駄な領域を小さくすることができる。
【0042】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態の配線基板100Cの構成を概略的に示す説明図である。図6には、配線基板100Cを個片に分割する際の切断線Lも図示されている。本実施形態の配線基板100Cが、第1実施形態の配線基板100と異なる点は、酸化被膜層20Cの平面形状および配置と、基材10Cの平面形状である。
【0043】
本実施形態の酸化被膜層20Cの平面形状は正方形状である。平面視で、4行4列に配列された16個の酸化被膜層20Cのうち、1行めに配置された4個の酸化被膜層20Cは、基材10Cの紙面上側の縁(辺)に沿って形成されている。換言すると、平面視で、1行めに配置された4個の酸化被膜層20Cは、自身の上辺(紙面上側の辺)が、基材10Cの上辺(紙面上側の辺)と一致している。同様に、平面視で、4行めに配置された4個の酸化被膜層20Cは、自身の下辺(紙面下側の辺)が、基材10Cの下辺(紙面下側の辺)と一致している。
【0044】
本実施形態の基材10Cの平面形状は、第1実施形態の基材10より短辺の長さが短い長方形状である。すなわち、基材10Cの第1主面11の面積は、第1実施形態の基材10より小さい。
【0045】
配線基板100Cを、切断線Lにより切断し、個片に分割すると、2種類の個片が得られる。1種は、平面視で、酸化被膜層20Cの全周に亘って基材10Cの第1主面11が露出しているものであり、他の1種は、平面視で、酸化被膜層20Cの外周の一部は基材10Cの第1主面11が露出しているものである。
【0046】
このようにしても、配線基板100Cを個片に分割する際の酸化被膜層20Cのクラックの発生を抑制することができる。
【0047】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0048】
・酸化被膜層20の数は、上記実施形態に限定されず、2個以上であればよい。
【0049】
・上記実施形態において、複数の酸化被膜層20が、縦横に配列されている例を示したが、これに限定されず、複数の酸化被膜層20が無秩序に配置されてもよい。
【0050】
・上記実施形態において、同一の平面形状の酸化被膜層20が複数形成される例を示したが、複数の酸化被膜層の平面形状は、互いに異なっていてもよい。
【0051】
・上記実施形態において、複数の酸化被膜層20の合算面積が、露出部15の合算面積より大きい例を示したが、複数の酸化被膜層20の合算面積が、露出部15の合算面積以下であってもよい。
【0052】
・配線部30の主成分、および構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、Al、Au、Pt、Ti、Cu、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Ag等の金属又はこれらの合金の単層又は積層構造で形成することができる。また、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)等の導電性材料を用いてもよい。
【0053】
・上記実施形態において、基材10の第2主面12には酸化被膜層20が形成されていない例を示したが、第2主面12にも酸化被膜層20が形成されていてもよい。このようにすると、基材10の第2主面12側にも電子部品を搭載することができる。
【0054】
・上記実施形態において、第1酸化被膜層21が1つの給電部23を備える例を示したが、第1酸化被膜層21が給電部23を備えなくてもよいし、2つ以上の給電部23を備えてもよい。
【0055】
・第1酸化被膜層21の平面形状および配置は、上記実施形態に限定されない。酸化被膜層20が基材10の第1主面11に形成され、第1酸化被膜層21が第2主面12に形成されてもよい。また、酸化被膜層20が基材10の第1主面11に形成され、第1酸化被膜層21が第2主面12および側面13に形成されてもよい。さらに、第1酸化被膜層21が形成されていなくてもよい。
【0056】
・酸化被膜層20の平面形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、酸化被膜層20の平面形状は、三角形、五角形、六角形等の多角形状であってもよいし、円形状、楕円形状等の多角形以外の形状であってもよい。多角形状の場合には、角が面取りされていてもされていなくてもよい。
【0057】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0058】
10、10A、10B、10C…基材
11…第1主面
12…第2主面
13、13L、13R…側面
15…露出部
20、20C…酸化被膜層
21、21A、21B…第1酸化被膜層
23…給電部
30…配線部
100、100A、100B、100C…配線基板
110…個片
L…切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6